書を狩る兵達ー水の衣の祭典、強欲の海でも
「やぁ、水着コンテストは順調か?猟書家対策としての儀式も兼ねている故、災厄追跡者(オウガチェイサー)としては期待しているんだ」
凛とした口調で告げるグリモア猟兵の一人、東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)。白ビキニを着て顔が真っ赤だが、プライドが高いのか平然とした表情で話を進めていく。
曰く、現在行われているカクリヨファンタズムでの水着コンテストは、妖怪達の総出を以て『フォーミュラ無き世界』を侵略する脅威『猟書家(ビブリオマニア)』に対する有効な儀式となりうるとの事だ。
「つまり、猟兵全体の士気が上がっているとみて間違いないだろう。それに乗じて私はグリードオーシャンの猟書家の予知を手繰り寄せた」
瞬間、深耶の持つ刀から立ち上がる妖気――其れが深耶のグリモアであり、剣術の極みの一つはホログラフの如く像を形作っていく。
「今回はメリー・バーミリオンの予知を行ったのだが……奴の担当する侵略は『宝島を発見してのグリモアベース侵略の手がかりとなるアイテムの発見』だ。このグリードオーシャンは特殊であり、偽の侵略だが……グリモアベース侵略と言う重大な危機を抱えている」
猟兵にとっての生命線であるグリモアベース。
それがオブリビオン側からはどの座標にあるかどころかどのような世界……引いては概念の域で理解が及んでいないというアドバンテージがあるのは予兆でも良く分かっている。
「故に、今回はメリー・バーミリオンを迎撃する為に用意した島を宝島だと偽って奴を誘い込み、袋叩きにするのが今回の依頼だ」
その作戦立案の縁で冒険商人との縁が結ばれたとの事だが、これもグリードオーシャンのオウガ・フォーミュラを撃破する際に大きな助けとなるだろう。
「ちなみに迎撃の準備は済ませているが、作戦の内の半分は猟書家を待つだけでな……ただ待つのも暇だろうと思って、避暑の娯楽用区画とバーベキューの準備をも済ませている。せっかくの夏の海で水着なのだ。楽しんで来い」
そう言うと同時に、転移の術式を起動させる深耶であった。
黒代朝希
水着コンテストに由来したシナリオです。
猟書家シナリオですが、戦闘よりもバーベキューを楽しんだり海水浴で遊んだり熱さの無い屋内で娯楽を堪能するシナリオとなっています。
第一章では猟書家が襲撃してくるまでの間、深耶が用意した娯楽用区画とバーベキューを楽しむことが出来ます。
この章だけ参加するというのも全然OKですので、是非夏の海をご堪能してください。
第二章では猟書家との戦闘になりますが、こちらが迎撃の準備を完了させているので比較的楽に戦えます。
それでは、せっかくの水着を着て夏の海を楽しんでみませんか?
第1章 冒険
『ワクドキ!トレジャーハント!』
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POW : 島中の地面を掘り返して宝を探す
SPD : 怪しい洞窟や洞穴を探して宝を見つけ出す
WIZ : 地図其の物をさらに詳しく調べて宝の在処を探る
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニケ・ブレジニィ
青色の無難なファミリー水着を着用。
東雲さんを誘って、バーベキューを楽しみます。
「白い水着が、よく似合っていますね」
可能なら、その冒険商人さんもバーベキューに誘って親交を深めます。[心配り3]
「おひとつ、如何ですか?」
リプレイのために、このキャラクターを自由に扱っていただいて、全く問題ありません。
「東雲さん、といいましたか。」
今回の依頼におけるグリモア猟兵の名を呟くのはニケ・ブレジニィ(桜の精の王子様・f34154)。
彼女は無難な青色のファミリー水着を着用して今回の猟書家迎撃用の依頼に参加している。
「どうです、一緒にバーベキューでも」
「まぁ、猟書家が来るまでに時間はあるからな……構わんよ」
そう言って深耶は白いビキニを着たままバーベキューの肉焼きを行っていく。
「手つきが良いですね」
「山籠もりで似たような事……まぁ一般的なキャンプにおける所作は手慣れていると考えていてくれ」
テキパキとした手並みで肉が焼けたら皿に移していく深耶。その様子を見てニケはある提案を思いつく。
「可能ならば、今回の作戦に協力してくれたその冒険商人さんもバーベキューに誘って親交を深めてみてはどうでしょうか?」
「ん……そうしようか」
一旦火を止めて冒険商人を呼び出していく深耶。そうして始まったニケと深耶と冒険商人の三人でのバーベキュー。
ちなみに冒険商人は壮年の男性で、肥満体ながらも長い時を有意義に過ごした者特有の気品の良さと温厚な性格が伺える商人だ。
そうして焼き上げられて皿に盛られた肉をソースにつけ、口に運んでいく三人。
「ム、流石に良い肉だな。このグリードオーシャンは海鮮料理が主体だが、牧畜も行われている所は優れた技能を有しているという事か」
「はい、とても美味しいですね」
そう言って深耶と冒険商人に笑いかけていくニケ。
そんな暖かな時間が、三人の間で共有されていったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ヤムヤム・グリード
グリードオーシャン、か。何気に来たのは初めてな気もするが、何となく親近感の湧くトコだな。概ね名前のせいな気はしなくも無いが。
ンな事ァともかく、夏ってのは料理人にとっちゃ掻き入れ時。折角の海で泳ぎすらしないっつーのも何となく勿体ない気はしなくも無ェが、オレには料理人としての矜持がある──つまりッ!
[グラットン]を展開し!出店を!!!開くッ!!!!以上ッッ!!!!!
……ま、水着も持ってねェしな。それどころか半袖のコックコートすら無い。少しばかりは暑いかも知れんが、魔界の酷暑地帯に比べりゃ天国だぜ。
ともあれ、夏の思い出を彩る背景にでもなれりゃァ料理人冥利に尽きるってモンだ。
※アドリブ、連携等歓迎です
「グリードオーシャン、か。何気に来たのは初めてな気もするが、何となく親近感の湧くトコだな……概ね名前のせいな気はしなくも無いが」
グリードオーシャンの宝島の一つ、そこに立つのはヤムヤム・グリード(特急厨師・f31534)……同じ『グリード』の名を冠する料理人猟兵である彼は物珍し気に周囲を見渡し、
「ンな事ァともかく、夏ってのは料理人にとっちゃ掻き入れ時。折角の海で泳ぎすらしないっつーのも何となく勿体ない気はしなくも無ェが、オレには料理人としての矜持がある──つまりッ!」
瞬間、改造キッチンカー『グラットン』を展開し、出店を開いたのであった。
「……ま、水着も持ってねェしな。それどころか半袖のコックコートすら無い」
その言葉通り、ヤムヤムは日差しが特に強い北半球の夏の時期の強欲の大海にて長袖のコックコートのままであった。
だがそれがどうしたと言わんばかりに呵々大笑して料理を作り上げていく。その腕前は異能の域に達した料理技術を持つ『超級料理人』特有の天上の域の代物である。
「少しばかりは暑いかも知れんが、魔界の酷暑地帯に比べりゃ天国だぜ」
まぁ、デビルキングワールドの悪魔は何故か非常に強い。生半可なオブリビオンでは逆に圧倒され、猟兵も多数を相手取るのは多少手こずる程だ。
増してその悪魔種族出身の猟兵であるヤムヤムはいわば『基礎』が強い猟兵と言えるだろう。
つまり何が言いたいのかと言うと、ヤムヤムが語った魔界の酷暑地帯は正真正銘の熱地獄だと推測できる……という事だ。
「ともあれ、夏の思い出を彩る背景にでもなれりゃァ料理人冥利に尽きるってモンだ……お、この島の手配をしてくれた冒険商人の部下のようだな」
水着を着た若い海賊達が屋台の前に集まろうとしているのを見てヤムヤムは微笑を浮かべる。
そうして振舞った料理……塩気を強く、しかし粗野にならない調整をかけたシュラスコを紙皿へと大量に盛り付けて海賊に差し出すヤムヤム。
適切に焼かれた肉を頬張った海賊たちは、口の中で広がる原始的なまでに強い肉の味を堪能していく。
その様子を見て、ヤムヤムは再び呵々と笑うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
緋神・美麗
【むにー】
絡み・アドリブ歓迎
メリー・バーミリオン、まだ活動してたのねぇ。全くしょうがないわねぇ。もう何回目か覚えてないけどしばき倒してお宝回収させて貰おうかしらね。
生憎まだお酒飲めないのよねぇ。しょうがないからソフトドリンクで我慢してBBQを楽しむとしましょうか。どうせ食べるなら美味しいものをってね。用意されたお肉や野菜に下ごしらえして美味しく焼くわよ。おシノギちゃんが召喚した死霊にも指導して美味しく焼かせるわね。
「お肉もいいけど野菜もちゃんと食べなさいね。」
凄い勢いでお肉が消費されていくのを見て自分の分をしっかり確保しておく
シノギ・リンダリンダリンダ
【むにー】
猟書家やら海の女やら、相変わらず私の海で好き勝手やってるようですね
まぁ、メリーナントカなんて何度か倒している相手ですし問題ないですけど
とりあえず今は肉を楽しみましょう!
海賊といえば肉!肉と言えば酒!酒と言えば宴会!
さぁ皆様盛り上がって…お酒飲める人もしかして居ません?
あ、良かったアリサ様居た!よーし負けませんよ!
用意されている肉を死霊を召喚して焼かせつつ、酒をガブガブ飲む
大きな戦いの前の宴会は船員の鼓舞にも繋がります
美麗様の指導の下で焼いた野生の肉はさぞ美味しいでしょうね
あははは!いやぁ最高の宴ですね!肉が美味しい!!
娯楽ってなんでしょうね?おらー死霊達偵察してきなさーい!
アリスティアー・ツーハンドソード
【むにー】の皆と行動
アドリブ・連携歓迎
偽の島に誘い込むか、中々賢い作戦じゃないか
さてバーベキューだが……まあ見ての通り口が無くてね、代わりに【戦乙女モリガン】に僕を担いでもらって適当な野生動物でも狩ってその肉を持ってこよう
所謂シビエというやつさ、そんなわけで動物を探して【ブレイクミラー・ホッパーション】で島を駆け回ろう……割れた破片が島をぐるっと囲むようにね
料理と同じで戦いは下準備が大切さ
解体は気分を悪くする人がいるかもしれないから人目に付かないところで
…成人組は既に出来上がっているな。ほら追加のお肉だよ、食べすぎてお腹を壊さないようにね
アリサ・マーキュリー
【むにー】
……?よくわかんないけど、バーベキューでお肉が食べ放題と聞いてやって来ました。
私も飲めるよ、酒。
よーし、シノギに負けないぞー。どれだけ食べられるか勝負だ!
浴びるように酒を飲んで肉や野菜を食らう
アリスティアーの分も食べるからね……!
美味し〜。何の肉だかわかんないけど何これ!あははは!
2人が肉を用意して、用意されたお肉を食べる……なんて連携プレー(何もやってない)
2人には感謝しないとね……。
宴会……こんな宴会でええんかいってことね。なるほど。お酒美味しい。
鼓舞……お酒を飲んでおお叫べってことね。なるほど。お酒足りない……。
ね、ね。娯楽用区画って何かあるのかな。食べ終わったら行ってみない?
保戸島・まぐろ
迎撃準備できているなら、安心して待機できるわね!
バーベキューができるってことなので、私が美味しいものを作ってあげるわよ!
大きく角切りしたマグロ肉とネギやニラなどの香味野菜の串!
マグロのカマを網で塩焼き!
BBQの上にダッチオーブン置いてマグロ肉鍋!
せっかくだから、深耶と冒険商人さんも一緒にどうぞ!
他の参加者もぜひ食べてちょうだい!
料理はお手の物、フードファイターの腕の見せ所ね!
バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎!
ハーイ、バーベキューデスネー!
水着姿で参りマース!
今回は野外イベントということで、『クッキングカー』を持ち込んで調理しマース!
肉も野菜も穀物も、たっぷり用意しておりマスヨー!
作戦のタイミングまで、現場にいる猟兵や冒険商人のエブリワンをもてなしマース!
リクエストに応じて料理を作りマスヨー!
ドリンクに関しては、炭酸飲料もフルーツジュースもボトルでありマース!
ワタシは未成年ゆえ、アルコールはNGで失礼しマース!
それに、喜楽なバトルとはいえ、この後に戦闘行為がありますからなー。
残った食材は、戦後の祝勝会に用いマース! まずは英気を養いマショー!
「メリー・バーミリオン、まだ活動してたのねぇ」
「全く、猟書家やら海の女やら、相変わらず私の海で好き勝手やってるようですね」
コンキスタドールの残党の一人にしてグリードオーシャンに跋扈する猟書家の一人となったメリー・バーミリオンに対してそう語るのは緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)とシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)。
彼女らは海賊幽霊船『シャニムニー』を根城とする旅団に所属する猟兵であり、その目的とは36全ての海を駆ける事。
故に海を司ると言って良い強欲の大海『グリードオーシャン』にて猛威を振るっていたコンキスタドールを良くは思っていない。
「全くしょうがないわねぇ。もう何回目か覚えてないけどしばき倒してお宝回収させて貰おうかしらね」
「まぁ、メリーナントカなんて何度か倒している相手ですし問題ないですけど」
しかし、『羅針盤戦争』にてコンキスタドールは再起不可能なまでの大打撃……最高幹部『七大海嘯』が『鮫牙』を除いて全滅し、『鮫牙』自身も理性無きその在り方から組織のシンボルにするには致命的に不適切な存在だ。
故に、今回の『残党』処理において二人は気負う事は全くないのである。
「偽の島に誘い込むか、シンプルだが中々賢い作戦じゃないか」
そして『シャニムニー』所属の猟兵は彼女ら二人だけでなく、意思を宿した両手剣……インテリジェンスウェポン型の猟兵アリスティアー・ツーハンドソード(王子気取りの両手剣・f19551)はグリモア猟兵の作戦を簡潔にそう評価する。
「しかし、バーベキューだが……まあ見ての通り口が無くてね。代わりに戦乙女モリガンに僕を担いでもらって適当な野生動物でも狩ってその肉を持ってこよう」
少女型のゴーレム兵に自らを担がせて島の森の奥深くへと進んでいくアリスティアー。
食事が構造上行えない為、他の猟兵を楽しませる事に方向性をシフトさせたのだ。
「……?よくわかんないけど、バーベキューでお肉が食べ放題と聞いてやって来ました」
そう言ってエールを飲み干していくのはアリサ・マーキュリー(I’m not a princess!・f01846)。彼女も『シャニムニー』に属する猟兵である。
「迎撃準備できているなら、安心して待機できるわね!」
「ハーイ、バーベキューデスネー!」
そこに合流してきたのは保戸島・まぐろ(無敵艦隊・f03298)とバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)。
彼らは『シャニムニー』所属の猟兵ではないが、グリードオーシャンにてバーベキューが行えると聞いてこの依頼に参加したのである。
「おっと、お酒は……飲めなさそうですね」
「ハーイ、19歳ナノデー」
「代わりに、バーベキューができるってことなので私が美味しいものを作ってあげるわよ!」
シノギの問いに対してそれぞれクッキングカーとマグロ肉を用いた料理の準備をしていくバルタンとまぐろ。
そこにジビエの下準備を済ませて肉を持ってきたアリスティアーがゴーレム兵に担がれて合流する。
「お待たせ……成人組は既に出来上がっているな。ほら追加のお肉だよ」
「おー、良い鹿肉デスネー!」
アリスティアーが捌いた鹿肉を受け取り、クッキングカーで香ばしく焼き上げていくバルタン。
その様子を見て美麗が感嘆の息を漏らす。
「これが超級料理人の料理なのね……これは楽しみだわ」
「まぐろ鍋やまぐろカマもあるわよ!」
そう言って焦げないよう絶妙な焼き加減を施された大きく角切りしたマグロ肉とネギやニラなどの香味野菜を刺した串を差し出していくまぐろ。
そのまぐろ串でビールを呷るのはアリサ。彼女は大分出来上がっているようだ。
浴びるように酒を飲んで肉や野菜を食らう彼女は、アリスティア―の分まで食事を堪能するとばかりに酒と動物性タンパク質を口に運んでいく。
「美味し〜。何の肉だかわかんないけど何これ!あははは!」
「鹿肉デース」
バルタンが差し出した鹿肉を頬張りながらアルコールに溺れていく成人女性アリサ。
「いやぁバルタン様のジビエ料理とまぐろ様のマグロ料理は良いものですね!お蔭で酒が進む事進む事!」
それはシノギ(年齢82歳。見た目は非常に若々しいが)も例外ではない。
「……本当に出来上がっているようだね」
「お肉もいいけど野菜もちゃんと食べなさいね」
そう苦笑するアリスティアーの呟きに応じるかのように自分の分の肉を確保しながらシノギとアリサに釘を刺していく美麗。
そこに一旦料理を作り終えたバルタンとまぐろが合流し、深耶から支給されたソフトドリンクを料理を担当した二人に振舞う。
「いやー、夏は清涼飲料水が美味しい時期デスナー!」
「ありがと、コーラが美味しい……」
そうして喉の渇きを炭酸が入った液体で潤していくバルタンとまぐろ。
そこに、長い黒髪を翻した長身の少女が現れる。
「おや、深耶殿」
「邪魔するぞ。二時間後にメリー・バーミリオンがこの迎撃島へと到着する。それを報告しに来た」
「あら、もうそんなに時間がたっていたのね」
そのグリモア猟兵の報告が告げられる。そろそろ収拾を始めないといけないだろう。
「でもまだ、二時間はあるんでしょ?だったら深耶も一緒にバーベキューどうぞ!」
そこに待ったをかけるのはまぐろ。
「片付けと並行しながら料理を堪能するのもバーベキューの味でもあると僕は思うな。折角絶品の料理……だという料理があるんだから、深耶も食べていきなよ」
「そうか?それなら頂くとしよう」
そうしてマグロ肉や鹿肉を食していく深耶。
「フム、上手いな」
UDCアースの旧家にて令嬢として生まれ、良い料理を食べてそれなり以上に舌が肥えている深耶を以てしてもバルタンとまぐろの料理は美味と判断するに値するものであった。
「でしょ!まぐろ肉はホンマグロを使っているからね!」
「オー!ホンマグロデスカー!マグロといえば確かにそれデスナー!」
料理人としてホンマグロの仕入れ先には興味があるのかまぐろに入手先を訪ねていくバルタン。それを見て美麗とアリスティアーは微笑む。
「ちなみに……気が付いている?」
「ああ、シノギが発動していたユーベルコードだろう?」
そう言っていつの間にか傍らに控えていた死霊従者……シノギのユーベルコード『飽和埋葬(リッチ・システム)』によって召喚されたものだ。
シノギのユーベルコードはゴーストキャプテンとしての死霊魔術を主体としており、それを以て呼び出された存在である。
……それを悪用して、『羅針盤戦争』の『王笏』との闘いではあツンデレカップルの夫に妻の爆散や自殺を見せつけるというえげつなさ過ぎる戦法を取っていたのだが、それはまた別のお話。
「島の各地の迎撃用システムの調整を行ってくれたみたい。これで『メリー・バーミリオン』は確実に撃破できる可能性が高まったわ」
「成程ね……肝心の主は酔いつぶれているけれどね」
そう言ってアリサと共にアルコールに沈んだシノギを見下ろすアリスティアー。成人組の内二人がこれでは先が思いやられるはずだが、不思議とアリスティアーと美麗は逆に頼もしさを心の中に抱いていた。
「……ね、ね。娯楽用区画って何かあるのかな。食べ終わったら行ってみない?」
そう寝言のように呟くアリサ。それに肩を竦めた美麗は二人を抱き起す。
「まだ時間はあるな。ちなみに猟書家撃破が完了したらその後でも娯楽用施設を楽しんでも良いが……戦闘に間に合うなら遊んできて構わんよ」
その様子を見て苦笑し、そう語り掛けていく深耶。
「じゃあ、一緒に行こう!」
「オー!楽しそうデスナー!」
そこに同調したのはまぐろとバルタン。既に心はバーベキューから娯楽用施設へとシフトしている。
「では、娯楽用区画へと案内しよう。ああ、その二人の身に充満しているアルコールの解毒も私が担当する。酔いつぶれたことが原因で死なれたらこちらとしても堪らんからな」
そう言って歩を進めていく深耶の先導によって、四人と酔いつぶれた二人は島の娯楽用施設へと足を運ぶのであった。
大成功
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第2章 ボス戦
『メリー・バーミリオン』
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POW : 野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ : 大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「十六夜・巴」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
保戸島・まぐろ
手持ちの武器『マグロブレイド』を構えつつ、敵を迎え撃つわよ!
「メリー・バーミリオン!! あなたを倒す!! 覚悟しなさい!!」
周囲にいる海賊船団員を薙ぎ払いつつ、目指すはボス!
もちろん味方も守っていくわよ! マグロブレイドは盾としても使えるんだから!
服のポケットからマグロの乾燥燻製を取り出して食べ、自らの治癒もしつつ。
連続して攻撃をするわ!
攻撃こそ最大の防御だもの!!
もし、メリー・バーミリオンのトドメをさせるなら、
「世界最大の斬撃、受けてみなさい!! ギガ・マグロ・ブレイカー!!!」とか叫びながら一撃必殺技を出す!!
※アドリブ・周囲との絡み、大歓迎!
※トドメをさせないならサポートにまわります!
「メリー・バーミリオン!! あなたを倒す!! 覚悟しなさい!!」
そうして、宝島もとい迎撃島へと乗り込んできた猟書家『メリー・バーミリオン』に対する一番槍を担ったのは、マグロを司る猟兵保戸島・まぐろ(無敵艦隊・f03298)。
「『この一閃に力を込めて! 全てを砕き悪を絶つ! ギガ・マグロ・ブレイカー!!』」
見敵必殺(サーチアンドデストロイ)。七大海嘯『舵輪』ネルソン提督が唱えた理論に基づき自身のユーベルコードをメリーよりも早くまぐろは解き放つ。
マグロブレイド……巨大なクロマグロの形状をした、圧倒的な質量と鋭利な切れ味のある刀を振りかざしてコンキスタドールを切り裂き縦横無尽にまぐろは戦場を駆け抜けていく。
その目的は、唯一つ。
「メリー!貴方の元へ辿り着き……倒す!」
「面白い、やってみな!」
こちらも負けてはいられないとばかりに呵々大笑したメリー・バーミリオンは先程切り捨てられたコンキスタドールを蘇らせる――否、呼び出していく。
コンキスタドールとはオブリビオン。即ち、何かしらの因果ある決定打を受けない限り骸の海から蘇ることが出来る。
「猟兵はアタシに任せな!アンタ達は非猟兵を確保し、人質にするんだ!」
「そうするよね!させないよ!」
即座にマグロブレイドを振り回し、衝撃波を生じさせて呼び出したコンキスタドールを吹き飛ばしていくマグロ。しかもその衝撃波にはユーベルコードによって斬撃の概念が乗せられており、吹き飛ばされたコンキスタドールの内運の悪い者は体のどこかしらが泣き別れになって再び骸の海へと還っていく。
「攻撃こそ最大の防御だもの!!」
「同感だね!」
そうしてマグロブレイドを構えるまぐろが自身の元へと切り込んでくるのを見たメリーは同じくカットラスを構え、鍔迫り合いに持ち込んでいく。
「中々やるね?どうだい、猟兵なんかやめてアタシの配下になってみる気はないかい?」
「生憎だけど……既に光画部の部長を務めているんだ。部員に申し訳ないから、断るよ!」
そうしてそれぞれの獲物を打ち鳴らし、剣戟を繰り出していく猟書家(メリー)と猟兵(まぐろ)。
それは正しく、『羅針盤戦争』の限定的な再現であった。
大成功
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バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
いらっしゃいマセー、メリーさん!
歓迎の準備は万端デース!
マグロ肉や鹿肉で英気を養ったワタシたちの白熱した歓待、たっぷり味わっていただきマショー!
ワタシが提供するメニューはこちら!
「骸式兵装展開、朱の番!」ワタシもメリーさんになることデース!
(選択UCの属性上、大津波のぶつけ合いができないのは残念ですが、)
ワタシのバーミリオンとメリーさんのバーミリオン、どちらが秀でているか勝負デース!
大津波でやる気を削いだり、ファルシオンで斬り込んだり、どったんばったんと大騒ぎ!
ある種の祭りでありますな! エブリワン、派手に暴れマショー!
ヤムヤム・グリード
フーム、アレが猟書家ってヤツか。初めて見た。
敵方は随分と大所帯みてェだし、出来れば援軍を呼びたいトコだが……
……にしても数が多いな。あの下っ端共はちゃんと飯食えてンのかね?
オブリビオンが飯を食うかは知らんが、船乗りっつーモンは栄養失調に陥りがちだと聞く。ウーム、気になって来たぞ。貧弱そうな見た目だし。
よし、ちょっと待ってろッ!調理開始ッ!!
如何な敵と言えど、飢えたヤツを放っておくのはオレの矜持が許さん。腹が減ってるならお前らも飯を食って良しッ!
純粋なるおもてなしの心に絆されてくれるとまでは思わんが、こればかりは譲れん。飢えが満たされるまでお前らとは戦わんぞッ!食事が無下にされれば話は別だがな!
「フーム、アレが猟書家ってヤツか。初めて見た。一見すると見た目は可愛いコンキスタドールって所だが……」
「彼らはオウガ・オリジンから奪った現実改変ユーベルコードによって自らの担当する侵略を行い、骸の月侵食を促進するという特殊なユーベルコードを有していマース。侮っては行けまセーン」
ヤムヤム・グリード(特急厨師・f31534)が初めて接触した猟書家『メリー・バーミリオン』について抱いた完走にバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はそう告げる。
「敵方は随分と大所帯みてェだし、出来れば援軍を呼びたいトコだが……」
「そうデスネー。メリー・バーミリオンは集団戦を得意とする司令官型コンキスタドール、デスシネー」
そうして、お互いの獲物を握りしめてメリーの配下と睨み合うバルタンとヤムヤム。
「……にしても数が多いな。あの下っ端共はちゃんと飯食えてンのかね?」
「何となくメリーは部下の面倒見が良い気がシマース」
ヤムヤムがふと零した疑問に自身の感想を伝えるバルタン。
「オブリビオンが飯を食うかは知らんが、船乗りっつーモンは栄養失調に陥りがちだと聞く。ウーム、気になって来たぞ。貧弱そうな見た目だし」
「ン……成程、アプローチとしては悪くないデース」
そう呟くヤムヤムの意図を見抜いたバルタン。それはつまり――
「よし、ちょっと待ってろッ!調理開始ッ!!」
「マグロ肉や鹿肉がありマース!!」
「良し!それなら良いもんが作れるぜッ!」
「ワタシも手伝いマース!!」
――超級料理人として特上の料理を振舞い、コンキスタドールを影朧の如く浄化していくというものだった。
別に、可笑しな手段ではない。ヤムヤムとバルタンは共に超級料理人。
それは異能……ユーベルコードの域に至った天上の料理人という事。
ならば、集団戦級オブリビオンに料理を振舞ってその業を浄化する――それを、出来ない筈は決してない。
これが猟書家であるメリー・バーミリオンだったら格の違いで一蹴されていただろう。だが、今回二人の超級料理人を取り囲んでいるのは彼女の部下。必然的に彼女よりはオブリビオンとしての格は劣る。
ならばこそ、天上の料理を振舞ってオブリビオン――世界の敵としての宿業を洗い流すという手段は通用するのだ。
「『おいしい関係(スイート・リレーションシップ)』!!これでも喰らいなッ!」
調理用ユーベルコードを発動し、マグロ肉と鹿肉をソースを絡めて加熱する事で香しい匂いを戦場に漂わせていくヤムヤム。
超級料理人の料理は、匂いだけで集団戦オブリビオンを釘付けにするに足る。
しかし、その匂いが届かない所から遠距離射撃を試みようとするコンキスタドールがいる。
「おっと、させません、デース!ーー『骸式兵装展開、朱の番!』、『模倣様式・木阿弥大津波(イミテーションスタイル・バーミリオン)』!」
それを、狙撃手ごとコンキスタドールの軍勢を大津波で飲み込んでいくのはバルタンのユーベルコード。
「ワタシが提供するメニューはこちら!ワタシもメリーさんになることデース!」
そう宣言するバルタンは衣装もメリー・バーミリオンを模したものとなっていた。
愛刀たるファルシオン風サムライソードから解き放たれる大津波によってコンキスタドールの調理妨害は届かない。
そのバルタンの援護によって、ヤムヤムが作成したマグロ肉を魚料理、鹿肉を肉料理としたフルコースは完成した。
「如何な敵と言えど、飢えたヤツを放っておくのはオレの矜持が許さん。腹が減ってるならお前らも飯を食って良しッ!」
「ハーイ!ワタシもフルコースを作ったので召し上がれー!」
そうして超級料理人によって振舞われたフルコース料理は、確かにコンキスタドールの宿業をその美味で洗い流す事に成功。
料理を食べたコンキスタドールは礼をすると同時、骸の海へと浄化されて転生していった。
大成功
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アリスティアー・ツーハンドソード
【むにー】の皆と行動
アリサに装備してもらって出撃
ようこそレディメリー・バーミリオン
早速で悪いがキミは既に詰んでいる
宣言と同時に選択UCを発動
マーカーとなる鏡の破片は先程のBBQで狩りをしている時に島を囲むように撒いてある…すなわち文字通り大地を切り裂く巨人の剣のおでましさ!
落ちてくるまではアリサの動きを【ブレイクミラー・ホッパーション】でサポート
相手が逃走をはかったら、おっといいのかい?このままではキミが欲しがったお宝は確実に海の藻屑になってしまうよ
と宝の存在に『フェイント』をかけて相手に迷いを起こす
一瞬でも足が止まれば美麗の雷の餌食だ
後は待つだけ
何あれだけの質量だ、痛みを感じる暇もないだろう
シノギ・リンダリンダリンダ
【むにー】
…すっかり酔いが覚めてしまいましたね。しかしいい宴でした
逆説的に、良い宴が行えたのでこの後の戦闘も余裕って事ですよね
【一大海嘯】を解放
103体の七大海嘯全種類を満遍なく召喚。王笏もついでに全部の種類呼んでおきましょう
アリスティアー様の策に、美麗様も動き封じ…そしてアリサ様の装備
ふむ。私の役目は撹乱ですかね。海嘯共。お前達も自分たちなりに全力で足を引っ張りなさい
相手の配下を含めて、集団戦術による継戦能力の高さでとにかく嫌らしく数多のメガリス、異世界の力で蹂躙
トドメは仲間に任せましょう
私はこの宴を見ながらお酒でも
あぁ良いところに。桜花、お酒を注ぎなさい
アリサ・マーキュリー
【むにー】
……あれ、酔いが覚めてる。
え〜〜、もっと遊びたかったぁ。
あー、でもそっか。ちゃちゃっと終わらせちゃえば戻れるか。お茶の子さいさいで。茶だけに。
じゃ、行こう。もっと食べたいから。
アリスティアーを手に取って天に掲げてUCの補助。
手に取った瞬間、衣装が変わって驚く。
わ、何これ。重ね着みたいになってる。おもしろ。
一直線にバーミリオンの元へ。
敵の攻撃は避けたりアリスティアーの力で鏡の盾を展開して防いだり、切り伏せたり槍を飛ばしたりすることで回避。
これ良いな、ずっと使っていたいかも。
そのまま道を開いて行ってバーミリオンが見えたらUCで踏み込んで一気に近づいて斬り伏せる。
これで……終わり!
緋神・美麗
【むにー】
絡み・アドリブ歓迎
「もう何度目かも忘れたけど、何度も何度もお宝運んでくれてありがとうね。今回もしっかり回収させてもらうから安心してね。それじゃぁさようなら、ね。」
指定UCで電撃糸を放ちメリーを感電させながら捕縛し、アリスティアーさんのUCで止めを刺す
「意識はあっても動けないでしょ。あの巨大な剣に貫かれて果てる迄しっかり反省しなさいな。」
メリーが消滅したらメリーの海賊船を探し出して蒐集してあるお宝を根こそぎ頂いていくわよ。
「今回も大収穫ねぇ。メリー退治はこれだからやめられないわ。」
ニケ・ブレジニィ
東雲さんを守りながら(サポート)、[勇気6]を[鼓舞9]し立ち向かいます。
敵の戦闘不能確認後に、ユーベルコードの『桜の癒やし』でオブリビオン『メリー・バーミリオン』の肉体と魂を[慰め24]鎮め、転生できるよう[祈り8]ます。
「もう鎮まりたまえ、あなたの名を忘れないように私は憶えておいてあげるから」
リプレイのために、このキャラクターを自由に扱っていただいて、全く問題ありません。
「ようこそレディメリー・バーミリオン。早速で悪いがキミは既に詰んでいる」
瞬間、轟音を響かせながら巨大な剣がメリー・バーミリオンの元へと落ちていく。
アリスティアー・ツーハンドソード(王子気取りの両手剣・f19551)が語った言葉の意味。
それは要約すれば事前のバーベキューの時にユーベルコードを発動させる『仕込み』を行っていた、という事だ。
「マーカーとなる鏡の破片は先程のバーベキューで狩りをしている時に島を囲むように撒いておいた……ああ、僕のこのユーベルコードは複数の鏡の破片の内部に敵対者が存在している事が発動のトリガーである訳なのさ」
巨大な墓碑の如く大地に聳え突き刺さっている自身の真の姿を模した剣を見て、アリスティアーは言葉を紡いでいく。
その言葉を断ち切ったのは、剣をも飲み込む『波濤』であった。
「――『大逆転! 元の木阿弥大津波』。悪いね、大波で防がせてもらったよ……そして、タネをべらべら喋ってくれたモンだね?」
粉塵の向こうから歩み出してくるのは、無傷のメリー・バーミリオン。
その自信溢れる笑みに今は揺らぎがない。
「別にいいよ、他の皆も優秀だしね」
アリスティアーが気に留めた様子もなく呟くと同時、誰かの手が彼女の柄を握る。
「もっと遊びたかったから、ちゃちゃっと終わらせちゃえば戻れるよね」
その手はアリサ・マーキュリー(I’m not a princess!・f01846)のもの。彼女は戦巫女として剣術に覚えがある。故に今回のアリスティアーの担い手として彼女を手に取ったのだ。
「じゃ、行こう。もっと食べたいから」
刹那に、踏み込み突進する神速の居合い斬りが放たれる。
居合系ユーベルコード『Finis Oratio(セツナ)』によって繰り出されたその一閃は、メリー・バーミリオンによって召喚されたコンキスタドール達を一度に複数人撫で斬りにしていく。
「わ、何これ。重ね着みたいになってる。おもしろ」
しかし当のアリサが抱く感心はアリスティアーを手に取ることによる衣装の変化に向けられている。
コンキスタドールの事など二の次と言わんばかりの態度である。
「お前……!!」
その様子にプライドを傷つけられたメリー・バーミリオンは部下の仇と猛り、サーベルを振るっていく。
「おっと。アリスティアー、鏡の盾」
「はい、これでどうだい」
「!?」
しかしそのカットラスの斬撃は、アリスティアーが展開した鏡の魔法によって防がれる。
その防御の成功によって生まれたメリー・バーミリオンの隙を狙って、アリサはアリスティアーの切っ先を女コンキスタドールの心臓部位へとねじ込んでいく。
「と、流石にそう甘くはないか」
「当たり前だよ……見逃されたに近いとはいえ、アタシはあの『羅針盤戦争』の生き残りだからね……!!」
その一撃に対してメリー・バーミリオンはサーベルの柄を用いて防ぎ、刀身がぶつかる衝撃を活かして距離を取っていく。
距離を取ったメリーは猟兵達へとサーベルの矛先を向け、大津波を溢れさせていく。
莫大な量の海水に飲み込まれれば生命体の埒外を称する猟兵といえどもただでは済まず、また最低でも戦局をひっくり返せる事は確実だ。
「もう何度目かも忘れたけど、何度も何度もお宝運んでくれてありがとうね。今回もしっかり回収させてもらうから安心してね。それじゃぁさようなら、ね」
感謝の形を取った挑発の言葉と同時、海水を流出していくサーベルの切っ先に落とされたのは――絡みついてくる糸状の電撃。
それは無論の事メリーの体を感電させていき、身動きを取れ無くしていく。
「意識はあっても動けないでしょ。あの巨大な剣に貫かれて果てるか……あるいは、別のやられ方でしっかり反省しなさいな」
そう語る緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)はメリーから視線を切り、残る最後の『シャニムニー』のメンバーへと視線を向ける。
「すっかり酔いが覚めてしまいましたね。しかしいい宴でした。逆説的に、良い宴が行えたのでこの後の戦闘も余裕って事です」
シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)。かの『羅針盤戦争』にて多くの『七大海嘯』を屠っていったミレナリィドールは、既にユーベルコードの起動準備を終えている。
「アリスティアー様の策に、美麗様も動き封じ…そしてアリサ様の装備、ふむ。私の役目は撹乱ですかね」
「まだだよ……まだ、やられるわけにはいかないんでね……」
「まだ?まだだ、が通用すると思っているんですか?」
そのシノギの言葉に宿るのは嘲笑、ではない。
それは、純粋な疑問。この状況で未だに戦況をひっくり返せると思っているのか?と、シノギは問いかけている。
「そちらが何のユーベルコードを使おうが、凌げばアタシの大津波を繰り出せ――」
「『一大海嘯(グリードプール)』」
その夢想ごと海の藻屑と成れ、と言わんばかりにメリーの言葉を遮ってシノギは己のユーベルコードの名を唱える。
「という訳で『お前達』、自分たちなりに全力で足を引っ張りなさい」
「あ、ああ……?」
訳が、分からなかった。分かりたくなかっただろう。
だって、目の前で繰り広げられている光景は……メリー・バーミリオンのコンキスタドールとしての全てを否定するに十分なモノだから。
――『一大海嘯(グリードプール)』、その能力とは。
「簡単な死霊魔術の応用ですね――『七大海嘯の残滓の召喚』、現状103体海嘯共を使役することが出来ます」
――『舵輪』、『三つ目』、『鬼火』、『鮫牙』、『桜花』、『邪剣』。
そして、八つの『王笏』全て――
それらが、合計で103体シノギに使役されて――メリー・バーミリオンを滅ぼそうとしているのだ。
まず、勝負にならなかった。
シノギとしては相手の配下を含めて、集団戦術による継戦能力の高さでとにかく嫌らしく数多のメガリス、異世界の力で蹂躙する――といった戦術を用いての運用だったのだが、そもそもメリー・バーミリオンは一介のコンキスタドールに過ぎない。
彼女自身『羅針盤戦争』の生き残りだと自負していたが、それは最高幹部たる『七大海嘯』が全滅した戦争から生き残ったという『相対的評価』である。
故に、純粋な戦闘能力で――『メリー・バーミリオン』は『七大海嘯』に決して及ばない。
そうして、メリー・バーミリオンというコンキスタドールは、奇しくもコンキスタドールの最高幹部たちによって討ち取られたのであった。
やがて、骸の海へと還っていくメリー・バーミリオン。そこに、一人の女性が歩み寄る。
「もう鎮まりたまえ、あなたの名を忘れないように私は憶えておいてあげるから」
ニケ・ブレジニィ(桜の精の王子様・f34154)。サクラミラージュ出身の桜の精であり、今回メリー・バーミリオンを転生させようと彼女の戦闘不能状態を確認した後転生を施そうとしたのだ。
その姿に、メリー・バーミリオンが何を思ったのかは……今は、誰にも分らない。
「今回も大収穫ねぇ。メリー退治はこれだからやめられないわ」
同じくメリー・バーミリオンの戦闘不能を確認した美麗は今回のメリーの海賊船を見つけ出し、中に秘蔵されていたメガリス等の財宝を運び出していた。
「さて、終わったので宴の続きと行きますか」
「うーん、いっぱいお酒飲もう」
「あ、僕を忘れないでね」
美麗の財宝の運び出しを尻目に島の施設へと戻っていくシャニムニーの三人。
そこに、任務が完了したからとグリモア猟兵の深耶を連れ出していくニケの姿。
その後を大量のメガリスを抱えて追っていく美麗。
彼らはその後、島の娯楽用区画にて夏休みを堪能したという。
こうしてグリードオーシャンにおける猟書家の侵攻。
それはまた一つ防がれたのであった。
大成功
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