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ミドゥギの祝祭

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #栄華と破滅の歌姫 #スターライダー

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●跳ねっ返り娘の幸運
 オパールは、眉をひそめられる娘だった。
 胸元と腰回りばかりを布で覆った装いは、スペースシップ『オーア』の人々の価値観からすれば“扇情的”すぎた。誰もが彼女を破廉恥と断じ、不良娘と噂する。
 あたしは、この綺麗な肌を見て貰いたいだけなのに。
 クリスタリアンの彼女の望みはそれだけだ。他の女たちが色濃く化粧し、服飾品で飾りたいと思うのと同じ気持ちを、自身の、半ば透き通った、虹色を帯びた乳白色の肌に抱いていただけ。
 けれどもスペースシップの保守的な人々は、七分より短い袖、くるぶしの見える裾でさえとんでもない背徳であるかのように見なすのだ。眉をひそめ、後ろ指を差して……。

 こんな船からは離れたい。彼女がそう思うようになったのも、当然の話であったろう。だから彼女はスターライダーになった。『オーア』では女が宇宙バイクにまたがるなんてはしたないとされていはいたが、毒を食らわば皿までと。生来のオレンジ色の髪を短く切って、あれは男勝りの女だから仕方ないと皆から思われるために。
 その想いは一つ。いつか自分の理解者のいる船に辿り着きたいというものだった。
 それが叶わぬのならばせめて……誰も知らない小惑星の陰でくらいは、好きな格好をしていたい。

 いつもオパールはそうして自分だけのファッションショーを楽しんでいたが、今日はふと、辺りに何者かの歌声が響いているのに気がつくのだった。
(空気のない宇宙に、歌?)
 疑問はすぐに解消された。歌声は銀河帝国を礼讚し、帝国兵の鎧を身に纏い臣従することこそ幸福だなどと呼び掛けている。
 ああ、これはオブリビオンのユーベルコードが、脳裏に直接響かせているんだ。そこまではすぐに解ったけれども……オパールの中で、今度は別の疑問が持ち上がってくる。
(この程度の歌声に洗脳される人なんていんの?)

 結論から言うと……めちゃくちゃ沢山いた。
 しばらくの後、船に戻ったオパールが見たものは……まるで顔を露にすることさえ破廉恥だとでも言うように帝国兵の鎧に身を包む、変わり果てた住民たちの姿だったのだから。

●ミドゥギの祝祭
「すなわち『オーア』の住民は、オパールどのを除いて洗脳されてしもうたわけじゃの」
 そんな悲劇をヤクモ・カンナビ(スペースノイドのサイキッカー・f00100)は予知したが……しかし同時、人々を洗脳から解き放つ方法もまた予知できたのだ。
「『オーア』にかつて存在した失伝儀式、『ミドゥギの祝祭』……これがオパールどのだけが洗脳に打ち克てた理由じゃ! オパールどのは知らぬ間に、この儀式を実施しちょったから助かった、ということじゃの……ゆえに皆々様、洗脳されずにオブリビオンを倒したくば、この祝祭の儀式を実践されよ!」
 そしてその祝祭の儀式とは……。

 【水着コンテスト】!!!

 つまり、このように考えられたし。
 洗脳歌の主張は「帝国兵の鎧を着ることこそ人類唯一の幸福である」だと言える。この主張は『オーア』の「過度の肌の露出は破廉恥である」という価値観と親和して、人々を帝国兵になるよう駆り立てた。
 が……オパールだけは例外だ。彼女は肌を露出することを厭わなかったため、洗脳歌とさっぱり相容れなかった……ということは、『水着』という解放感溢れる服装の素晴らしさを人々に知らしめたならば、自ずと人々の洗脳は解けるのだ! 何故水着かというと、泳ぐためであれば肌が露出してしまうのも不可抗力なので、下着と違って破廉恥なわけじゃないからね!

 ゆえにまずは帝国兵コスプレをした人々が集まる『オーア』の中央広場で猟兵たちの水着姿をアピールし、人々に新しい価値観を受け容れさせて洗脳を解く。
 次に、そのまま歌声の主たる『栄華と破滅の歌姫』を骸の海に還す。ただでさえ洗脳の効きにくい水着姿に加えて、洗脳から解放された『オーア』の人々がその水着姿を応援してくれることにより自信がついたなら、きっと洗脳を跳ね返せること間違いなしだ!

 そんなわけで皆さん水着姿をアピールしてください。今年の水着イェーガーカードがあるとベストですが以前のやつとかプレイングで説明するだけとかでもOKです。
 実はヤクモ自身もいい感じに恥ずかしげな水着絵ができてるんでアピールしたいんだけど、ヤクモは何故か安堵したように、こんな言葉を付け加えるんだよね。
「いやー残念じゃー。わらわはグリモア猟兵として後詰めをせんといかんから、『ミドゥギの祝祭』に参加できんのよのー?(棒)」


あっと。
 はい。『ミドゥギの祝祭』は、第1ラウンド(1章)スペースシップ中央広場特設会場と、第2ラウンド(2章)小惑星会場で行なわれます。片方だけのご参加でも、両方のご参加でもかまいません。
 二つの会場の違いは以下の通りです。

●スペースシップ中央広場特設会場
 重力アリ。観客多数。観客たちとの距離が近いので、インタラクティブなパフォーマンスによるアピールができるのが大きな特徴です。

●小惑星会場
 重力微弱。カメラによる中継。『栄華と破滅の歌姫』が洗脳歌を歌うために作った舞台を勝手に拝借するため、怒った歌姫が攻撃してくるかもしれません。
 攻撃されるといっても、シーンになっていない部分で誰かが防御と迎撃をしてくれているでしょうから気にしなくても大丈夫ですが、水着でのバトルシーンをアピールすることもできるでしょう。

 なおいずれの会場でも、グループ参加による共同プレイングが可能です。見事に互いに互いを引き立て合うアピールができれば、より高い反響を生むことができるかもしれません。
 グループ参加したいが相手がいないという方は、オパールをコーディネートしてあげてください。まるで暴走族の姉御といった風体の彼女は、自分に相応しい自由さを表現できる格好が好みです。
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第1章 冒険 『洗脳音楽を破れ』

POW   :    洗脳音楽に耐える手段を探す/スターライダーに熱意を持って協力を求める

SPD   :    洗脳音楽の影響を避ける手段を探す/スターライダーと一緒に調査に出向く

WIZ   :    洗脳音楽の情報を集める/スターライダーの体験談からヒントを見出す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鳴上・冬季
「…なかなか面白そうじゃありませんか」
桜學府制服風八卦衣をマント代わりに引っ掛け白褌に下駄引っ掛け参加

「これは私が生まれた豊葦原の水着です。履いている下駄もそうですね。祭祀に使う時には締め方を変えますが、正式な民族衣装なんですよ、これでも」
「まさか貴方達は、他の地の民族衣装を貶めるほど教養のない方々ではありますまい?」
褌の締め方は横に立たせた黄巾力士見本にして実演する

「男性用の下履きですが、日常用は締め方が違いますし、成人女性が特定の時期につけることもあります。スーツでもラインが出ませんし色は好きなものを選べばよろしい。万人がサイズに拘らず履ける優れものだと私は思いますね」
筋肉見せつけアピール



 セピア色めいた町並みは、今日は真新しい白色に包まれていた。
 まるで白磁のような質感の、人々の全身を覆う帝国鎧。彼方より聞こえ来る歌声に身を委ねた人々は、あたかも本物の帝国兵であるかのように、整然と往き、一つの流れを作る。

 全ては偉大なる銀河皇帝の栄光の為に。
 全てを唯一たる銀河帝国の秩序の下に。

 果たして、『オーア』はその流れに呑み込まれてしまうのだろうか? 人々はそれこそが正しき姿だと盲信し、宙のどこかで猟書家はほくそ笑み――しかし、その大きな白き流れの中を、一つの黒が遡ってゆく。

「……なかなか面白そうじゃありませんか」
 周囲から無言の非難の眼差しが浴びせ掛けられる中で、しかし、一点の黒は威風堂々であった。高らかに鳴る下駄の音。風を切る外套は天下の桜學府のもの。
「おい――」
 誰かがその肩を掴んで引き倒そうとするものの……男はその手を捻るように躱してみせた。軽やかに身を翻す。跳躍し、ステージ上へと着地する。そのまま、自ら外套を毟り取ったのならば……輝くのは筋肉質の肉体と白褌!
「まあ、下着一枚だなんて破廉恥な!」
「君、ご婦人達の前で何をしているんだ!」
 辺りはたちどころに騒然となった。斯くも驚くべき格好を見せつけた男に浮かぶ表情は、下卑た愉悦か、はたまた興奮か――否。

 男の顔は、恥ずべきものなど何もないとでも言うかのように、自信に満ちた微笑に満ちていた。そして、私こそは帝都桜學府が猟兵が一人、“迅雷公”鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)ですと人々に知らしめる。
「まさか伝統を尊ぶ船の民たる貴方達が、他の地の民族衣装を貶めるほど教養のない方々であるなどということはありますまい?」
 冬季は、これこそは自身の故郷、豊葦原の水着であるのだと明言してみせた。先程から力強く舞台を踏みしめる、木下駄もやはり伝統の装束の一つ。
 正式な民族衣装なんですよ、これでも、と語る眼差しは信念そのものであり――それをまだ疑おうという者がいるならば、冬季は天へとその手を翳す。

 衝撃波が広場とその周囲を襲い……人々が思わず瞑った目を恐る恐る開いた時には、舞台を覆う土煙の中に、新たな人影が浮かび上がっていた。
 ……いいや、それは人の姿を持ちながら、人とはまるで異質な“戦車”であった。黄巾力士と名付けられたこの人型宝貝の腰にもやはり白い布が巻きつけられている……褌だ。しかし、冬季の締める褌とは締め方が違うように見える。
 それもそのはず、冬季は人々へと語り聞かせる。
「これは祭祀に使う時の締め方であり、日常の下履きとしての締め方とは異なります」
 黄巾力士のものを解き、今度は別の遣り方で締め直してみせて。それから、成人女性が特定の時期につけることもあると説いた時にはあちこちでご婦人が気を失いはしたが――それを助けるため周囲の人々は、婦人の鎧を取り除く。人助けに邪魔な鎧を脱ぎ捨てる。鎧の下のスーツは汗で濡れ、内の下着の色を透けさせているが……。
「褌ならば、スーツでもラインが出ぬのです。無論、色も好きなものを選んで合わせればよろしい」
 あゝ、褌とは如何なる機能性を持つものか! 紐を結ぶ形であるから、着る者の体躯を問わぬのも良い。
 羅馬彫刻の如き冬季の筋肉美を引き立てるその布切れを前にして、スペースシップ『オーア』の人々の価値観は大いに揺さぶられつつあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

花澤・まゆ
【星野祐一さん(f17856)と一緒に】
あたしね、オパールさんの衣装、素敵だと思うな
だから、祐一さんと応援しにきたの!

えへへ、見よ、この赤と青のコントラスト!
この優れたファッションセンス!
肌を露出することは破廉恥なことではなくて
健康的なことも意味するんだよ
夏!海!泳いだり走ったり…宇宙船じゃ難しいのかな
(海の写真を用意してアピール)

そして祐一さんのこの健康的な肉体美を見なさい!
明るくて、溌剌としてて…なによりカッコいい!
(照れながら)
髪の色にパンツの赤と黒が映えるよね…

自分の体の美しさをアピールすることは悪いこと?
オパールさんはとても綺麗
もっと他の人も自分を見つめ直してほしいな

アドリブ歓迎


星野・祐一
【花澤まゆちゃん(f27638)と一緒に】
そうそう!俺もその衣装、素敵だと思うぜ?
オーアの住民に開放感のある格好の良さを教えてやろうじゃないか

へへっ、どーよこの開放的なファッション!
破廉恥?これは動きやすさを追求した立派な服装だぜ
清楚である事は美点だけどさ
行き過ぎると余裕を無くしちまうぜ?
リゾート用の船なら海とかあるんだけどな…これとか
(スマホで皆に見せて)

おっと、まゆちゃんの肉体美も負けてないぜ
綺麗な肌、素敵な翼、そして何より笑顔がかわいい!
(力説した後周りを見て)
…あ、俺のだからな!誰にも渡さないぞ!

肌を隠す綺麗さもあれば肌を見せる綺麗さもある
皆も偶にはさ、肌を晒してみるこった

アドリブ歓迎



 だから、花澤・まゆ(千紫万紅・f27638)は飛び出してゆく。あの、輝かしい舞台の上へ。何もかもを眩しさで覆い尽くす場所へ。
 広場を埋め尽くすが如き人々の群れの頭上を、仄かに青みがかった白い翼はゆっくりと旋回してみせた。鳥ではない。天使なんかでもない。けれども……誰よりも自由でありたいと願う、一人の女性になりたての少女がまゆだから。
 羽織ったパーカーが羽衣のようにはためいて、内側に隠されていた青いビキニをちらりと見せた。スペースシップのちっぽけな空をも伸び伸びと舞うオラトリオを見上げていた人々が、慌てたように目を伏せる。それを眺めて、まゆはくすりと笑う。そして――呼び掛ける。

 こっちへきて……と。

 幾人かの男らがやけに勢いよく声の主へと振り向いたようだが、すぐに、彼らは何かとんでもない勘違いをしていたのに気付いてあからさまな落胆の色を浮かべた。
 呼ばれたのは、自分達のことじゃなかった。何故なら彼女に応えて舞台に飛び乗ったのは……快活な赤と黒のハーフパンツにアロハシャツの若者だったんだから!

「おう、来たぜ!」
 若者――星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は赤みがかった髪を振り乱すがごとく舞台の上で大型の水鉄砲をくるくると回すと、とどめとばかりに空中へと水弾を打ち上げた。祐一自身の野性味溢れるステップと相まって、勢いよく吐き出された水弾は……途中で砕け、清々しい無数の雨粒となって辺り一帯に降り注ぐ。
 虹が生まれ、その中で祐一は熱烈なダンスを踊った。誰よりも大切な自由の女神に手を差し伸べて。取った手を力強く引き寄せたなら、激しく、まゆの体を振り回す!

 清廉なる青にして無垢なる白は、情熱的な赤にして健康的な黒に抱かれて、渾然一体に命を燃やし続けていた。そのさまが……破廉恥でなどあるものか。精緻に作り上げられた理性も尊いものではあるかもしれないが、ありのままの姿を曝け出せることもまた美しい。
「なあ、そうだろ?」
 今度は、祐一のほうが大衆へと呼び掛けた。この船においては目を背けたくなるほど開放的な踊り手達に……はたして、賛同する者は出るのだろうか?

 いいや。少なくとも一人いることを誰もが知っていた。そして彼女は期待を――あるいは不安を――裏切らず、広場のあちらからこちらまで、無言で、一歩、また一歩と歩み寄る。
 人々は“不良娘”を遠巻きにして、固唾を飲んで見守っていた。一方のオパールは、ただ前だけを見て歩みを進め。胸を張り、分かたれた人々の作るランウェイを往く彼女の胸元のフリルは、腰のパレオは、髪と同じ色に燃えて乳白色の肌を橙色に照らす。
「うん……あたしは、素敵だと思うな」
「それに、誰が何と言おうと格好いいぜ?」
 いつしかまゆと祐一の二人も足を止めており、ただオパールの水着に魅入られていた。
 肌を隠す綺麗さがないとは決して言わない。その証拠に祐一は、振袖姿の艶やかなまゆも、朝顔模様の浴衣のまゆも、制服も、民族衣装も、もこもこと着込んだ冬の普段着のまゆも好きだ。
 だけど……今の、綺麗な肌を見せてくれ、素敵な翼を広げて踊るまゆだって好きなんだ!

 そう祐一が力説するとまゆは照れたはにかみを満面に浮かべ、それから、祐一さんだって、と口を尖らせた。
 力強い祐一の筋肉は思っていた以上に引き締まっていて、明るい溌剌さに満ちている。
「見なさい、祐一さんのこの健康的な肉体美!」
 赤と黒の間の子のような髪の色にハーフパンツの赤と黒が映えるよね、だとか、派手なシャツとか水鉄砲にゴーグルとかの遊び心がいつもより一層の親しみを感じさせてくれる、だとか……兎に角、祐一のファッションスタイルを褒める言葉は幾らでも出てくるけれど……それらを全部一言で言うなら、「カッコいい!」、だ!
「あーおほん……君達! 仲睦まじいのは結構だが、あまり見せつけるのも目に毒というものではないかね」
 一人の紳士――帝国兵の鎧のせいでいまいち判らないが口ぶりからするとそうなのだろう――が堪らず口を挟んだが、まゆの笑顔の可愛らしさを存分に満喫した祐一も、祐一の格好良さを十分に堪能したまゆも止まらなかった。
「時にはこうやって、愛を形にして示すのも必要だろ? ファッションだって同じだぜ。清楚であることは美点だけどさ。行き過ぎると余裕を無くしちまうぜ?」
「もちろん、本当に破廉恥なだけだったらいけないけどさ。これでもファッションセンスには自信があるんだよ? これは、破廉恥な肌の露出じゃなくて、健康的なことを意味して肌を見せてみたつもりなんだけど……どう?」
「私の個人的な好みとしては、」
 すると紳士は自ら鎧の頭部を脱ぎ捨てて、朗らかな笑顔を作って返すのだった。
「あまりおおらかでありすぎるよりは、薄衣一枚の下に透けて見えるくらいが望ましい。だが今思えばオパール君も、昔はそれくらいで留めていたね。あの時、私がもう少し自分に正直である選択をできていたならば……オパール君に肩身の狭い思いをさせずに済んだかもしれないね」

 それはそれでキモいんだけどさ、と減らず口を叩きながらも、オパールは、どこか誇らしげな様子に見えた。
「とはいえこんな町中じゃ、もっと開放的に、なんて言ってもあんまりピンと来ないだろ」
 笑う祐一は辺りをきょろきょろと見回して、この船はリゾート用ってわけでもないし人工海浜はないのか?、と自問しスマートフォンを操作する。
「……そうそう、こういう船だと映えるんだよ。どうだ? こんな場所にスーツやドレスじゃ勿体ないだろ?」
「夏! 海! 泳いだり走ったり……は、やっぱり普通の宇宙船じゃ難しいのかな」
 まゆも写真を広げつつ、あんなことをしたいだとかこんなことをしたいだとか想像の世界を膨らませてゆく。
「なあ……そういう場所、あたしが行ってもおかしくないかな?」
 動画や写真を覗き込んで尋ねたオパールに対して……二人の答えはもちろんYESだ。
「皆も偶にはさ、肌を晒してみるこった。オブリビオンをぶっ倒したら、『オーア』住民総出で海水浴船を視察するのもいいかもな!」
「だからその機会に、他の人も、もっと自分を見つめ直してくれるといいな――そうすればきっと、みんな、今以上に素敵になるはずだから」

 まあ……彼らがどんなに素敵になっても、その頃には祐一はもっと魅力的になって、まゆを誰にも渡さないけどな!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『栄華と破滅の歌姫』

POW   :    さあ願うのです、帝国による再統一を
【民衆の知る有名な歌姫そっくりな姿 】に変形し、自身の【四肢】を代償に、自身の【帝国復活を願い行動するよう洗脳する歌声】を強化する。
SPD   :    銀河再統一を果たせるのは帝国だけです
【銀河帝国による銀河再統一を願う歌 】を披露した指定の全対象に【帝国継承軍を支持し帝国の復活を願う】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    抵抗する者は死し、賛同する者は生き残るでしょう
自身が【敵を蹂躙し味方を称賛する歌を歌って 】いる間、レベルm半径内の対象全てに【抗う心を砕き死に導く言葉】によるダメージか【従順な心を育み栄光へと導く言葉】による治癒を与え続ける。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠森宮・陽太です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 スペースシップ『オーア』の洗脳が解けた。
 それは『栄華と破滅の歌姫』にとって、あまりにも忌々しい出来事だった。

 あの、隙のない装いを好む住民らが、銀河帝国の秩序を捨てて混沌へと堕した。
 猟兵め……と彼女は独り毒づく。彼女の敵、帝国の敵、全てのオブリビオンの敵が喪われたはずの『ミドゥギの祝祭』を復活させてしまったことは、今や火を見るよりも明らかなのだ!

 スペースシップまで届かなくなった歌を諦めて、歌姫は、より射程が短くなるのを承知で新たな音色をその喉に宿した。
 猟兵ですら洗脳し、忠実なる帝国兵へと変えんとする歌だ。

 その音が――小惑星を包み込むバリアのように響く。
 儀式の復活が成った今、より強烈なそれですら猟兵らに届くかは定かでないが……。

 ……どうせ再び骸の海に還る身ならば、一人なりともその旅路の道連れとするために。
花澤・まゆ
【星野祐一さん(f17856)と一緒に】
さあ、あたしたち猟兵の水着の真骨頂といきますか!

あたしは泳げないけど、微弱重力なら空を飛ぶように舞える
動きやすさと軽やかさと、そして鮮やかさで
浮き輪を捨てて、愛刀【小夜啼鳥】を手に取ろう

中継のカメラに手を振って
(オパールさん、見ててねー!)
UC起動、一気に接敵
舞うように敵に衝撃波をお見舞いするよ
洗脳歌が聞こえてきたら、祐一さんにバトンタッチ
黙らせるように攻撃してもらうんだ
一応【環境耐性】【呪詛耐性】はしっかりと

祐一さんと前後を交代しながら攻撃を
歌う隙なんて与えやしない
骸の海に戻ればいいんだ

ところで祐一さんの水着、やっぱりかっこいいよね

アドリブ歓迎


星野・祐一
【花澤まゆちゃん(f27638)と一緒に】
俺達猟兵の水着は、そのまま戦えるように出来てんだ!

宇宙(そら)の海なら飽きる程に泳いできたぜ
FZをピピッと操作して水鉄砲を格納したら
両手に握るは【雷鳴】と【流星】

中継のカメラにサムズアップを決めて
まゆちゃんへの援護射撃も兼ねた先制攻撃
敵の周りを飛ぶように回りながら誘導弾も加えた【2回攻撃】
洗脳歌が聞こえたらまゆちゃんとバトンタッチ
敵が歌うより先に【UC、衝撃波】で体勢を崩させて妨害するぜ

【集団戦術】による波状攻撃で畳み掛ける
誰が道連れになんてなるもんかよ
骸の海にはあんただけで還りやがれ

――しかし、まゆちゃんの水着は、やっぱり可愛いよなあ

アドリブ歓迎



 だが、その調べが辺りに広がるよりも早く、二種類の熱線が歌姫の喉を全身を揺さぶった。一つは彼女を牽制するかのように、周囲を廻るような円弧を描き。一つは彼女の歌を掻き消すために、単純だが強烈な直線を描き。
 避けねば、と思う暇すら、それらは歌姫に与えなかった。歌姫に許された対処法はただ一つ……着弾の衝撃で微重力しか持たぬ小惑星上の舞台から永劫に引き離されぬよう、自ら体勢を崩しながら熱線を受け止めること。

 銀河帝国による再統一を、あくまでも拒絶するというのか猟兵め――忌々しげに熱線の飛来した方角を睨めつけた歌姫は、そこに、赤と黒に彩られた意志を見て取った。『オーア』の舞台では涼やかさを演出したあの大型水鉄砲は空間圧縮デバイス『フィールドジッパー』の中へと格納し、代わりに二挺のリボルバー、『雷鳴』と『流星』をこちらに向ける祐一の姿を!
「こんな軽装とも呼べない格好で驚かせちまったか? お生憎様、俺達猟兵の水着は、そのまま戦えるように出来てんだ! それに俺は生まれてこの方、宇宙(そら)の海なら飽きる程に泳いできたぜ? なあ……」
 挑発しながら引鉄にかけた指に力を籠めた祐一の視線は――次の瞬間、不意に歌姫から逸れた。
 不意に鼻先をくすぐる桜の香り。その出元が祐一の新しい視線の先と一致することに気付いた時には、浮き輪を手放したその人影は、既に歌姫の目と鼻の先にまで接近している。

 祐一の、なあ、の後の言葉が放たれる。
「……まゆちゃん!」
 すると桜の香の主が呼び掛け返した。
「任せて祐一さん! あたしたち猟兵の水着の真骨頂……見せてあげる!」
 歌姫の起き上がりざまの祐一への洗脳歌を妨害するように、急降下で彼女に迫っていたのは青と白から成る祈り。小夜啼鳥(ナイチンゲール)の囁きを思わせる、小さな甲高い共鳴音を奏でながら、その小鳥と同じ名のまゆの霊刀は、歌姫へと向けて三日月状の軌跡を作る。
 あわや首級を獲らんかという乾坤一擲の一刀を、歌姫は、辛うじて左腕を掲げることで致命傷から遠ざける試みが間に合ったようだ。
 砕ける手首。押し殺した悲鳴が洩れる喉。まゆは、水着こそ準備万端でも実は泳げないのだと言うが、ほぼ無重力に近いこの小惑星上の舞台でならば、まるで泳ぐように空中を舞える。天女のように軽やかに。そして、人魚のように鮮やかに。

 もしも、この瞬間にも銀河帝国が完全に復活し、銀河の全てを再統一したならば。そんなまゆの舞いも財産として、偉大なる銀河皇帝へと献上されたことだろう。
 だが、まゆは共に在ることを決めたあの日からずっと、いるべき場所は他の誰でもなく祐一の隣だ。戦うのは、銀河帝国ではなく『オーア』で応援してくれる人々のためだ。

 歌姫が、息を吸い込んだ様子が見て取れた。彼女に愛刀の斬撃を打ちつけたまゆは至近距離にあり、洗脳歌もまた最大出力で彼女を脅かすことができる。
 左手首から先を失ったのに見合う見返りは得られた――歌姫の人工的なまでに端正な顔が歪む。銀河帝国の復活を願う歌の最初のフレーズが、まゆの脳髄を揺さぶらんとする……そして。

「オパールさん、『オーア』のみんな、見てるー!?」
 まゆが離れたところから一部始終を見守る中継カメラへと手を振ったその瞬間、歌声が力強い意志に弾き返されたのが歌姫には解った。解ってしまった。まゆの心を折らんとするならば、そのような小手先の洗脳手段では力不足だということが。

 だとしても……数十秒もその距離で歌声を聞かせることができたなら、そんなまゆとて帝国継承軍の尖兵に変わるはずだった。それが『栄華と破滅の歌姫』と呼ばれるに至った彼女の能力だ。
 だというのに。
 そのたったの数十秒を、歌姫は確保することが叶わない。中継カメラが映し出す中で、まゆと祐一はハイタッチ。歌姫の好きにさせることはないから安心しろとでも言いたげなサムズアップだけをカメラに向けた後、祐一はハイタッチのため空中に放り投げていた『雷鳴』を再びキャッチして……そう思った時には新たな熱線が歌姫に向かって伸びている。

 まゆを強引に至近距離に留めようと伸ばされた右手が、まゆを避けた『流星』からの曲射熱線により打ち砕かれた。輝く小さな爆発を背に受けて、まゆはも歌姫の手の届かないところに向けて加速する。
 その直後……今度は『雷鳴』からのチャージブラストが歌姫を穿つ。両腕を体の前でクロスして、発声機構だけはどうにか死守した彼女。もっとも、いかに強固に守りを固めようとも、フルチャージの貫通弾を受けて無事で済むわけがない。

 歌姫は、今度は両腕を肘のすぐ先から破壊され、憎々しげに祐一を睨みつけた。
 どうせ歌声を強化しようと思えば維持できなくなる躯体なのだから、両の二の腕程度の代償で発声機能を守りきれたことは大きい……だというのに青白の小娘と入れ替わりに懐に入り込んできたはずのこの赤黒の男は、既に歌声の射程圏外に逃れた後だ。
 これでは折角守った発声機構も、何も役には立たないではないか! 苛立つ歌姫の前で祐一はまゆに手を伸ばし、優しく彼女の体を手繰り寄せた。
「こうなったら道連れに、なんて思ったようだが、誰が道連れになんてなるもんかよ。骸の海にはあんただけで還りやがれ。――しかし、まゆちゃんの水着は、やっぱり可愛いよなあ」
「祐一さんの言う通り! 骸の海には独りで戻ればいいの。――ところで祐一さんの水着、やっぱりかっこいいよね」
 互いという『今ここに居るための理由』がある二人の、まるでダンスのように息の合った波状攻撃を披露するには――

 ――骸の海なんて舞台じゃ、狭すぎる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。

基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。

シリアス以外ならいたずら好きの面も。



 当のオブリビオン以外、誰も傷付くことがない世界。春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)の願うそんな世界は、今ここに、局所的、一時的ながらも生まれつつあった。
 本当は――オブリビオンであっても人に害為さぬなら、そして困っているのなら手を差し伸べたくなるくらい。残念ながらこの『栄華と破滅の歌姫』とやらは、そのどちらでもないみたいだが。

 だから――退けたい。もしも、自分の力がそのために不十分であるのだとしたら、誰かを手助けすることで目指すべき世界へと近付かせたい。

 UDCの如く秘められた『ミドゥギの祝祭』の儀式は、けれども遙が何かをするまでもなく、猟兵たちとスペースシップ『オーア』の人々に力を与え、銀河を再び暗黒に閉ざさんとする幹部猟書家を弱体化せしめていた。
 良いか、悪いかで言えば、もちろん「良い」だ。医者なんていう職業は、本来、誰からも必要とされないのが最善なのだから。
 けれども実際には人々は無数の病気に苦しんでおり、世界は邪神らオブリビオンによって脅かされている。今は必要なかったとしても、いざ必要となった時のために医者は、猟兵は――遙は力を揮う。

 ……いいや、もう一つ。
 “いざ必要となる”時が生まれぬように、未然に揮う力もあるのが医者だった。意を決し、遙は白衣を脱ぎ捨てる。現れたのは、普段の仕事中には見せない顔だ。
 濃い瑠璃色を金縁で彩ったトップスに、淡い黄色と水色の薄手のパレオ。トップスと同じく瑠璃色の、金色のアクセサリーを連ねたベルトを巻けば、今日の遙はまるでエスニックな踊り子だ。
 白衣の代わりに、パレオの二色を混ぜたような薄緑色のショールを羽織り。聴診器の代わりにハイビスカスの髪飾りを着けて。遙はたちどころに海の申し子になった。宇宙ならではの強烈な主星からの日差しは、ショールと同じ色の麦わら帽を、本物の海にいるかのように照らしつけてくれる……。

 愛用の杖にて掛けた魔法は、中継を見ていた『オーア』の人々に、眩しく、しかし包容する笑顔を印象付けるものだった。杖から溢れ出た光は遙が愛するべき人々には勇気を与えるよう輝いて。一方で、遙が退けるべきオブリビオンには鋭い花吹雪となって切りつける。
 これもまた人々に新しい生き方を示し、『ミドゥギの祝祭』の儀の効果を強めるものだったろう。もう、大手を振って自分は若いとは言えなくなった身だ。見も知らぬ大勢の人々が自分の水着姿を見て応援してくれるというのには恥ずかしさを覚えはする。するが……それによりオブリビオンの憎しみの歌を打ち砕けるのなら、勇気を出した甲斐がある。

成功 🔵​🔵​🔴​

片桐・公明(サポート)
快活な女性ですが知的な一面もあり、依頼に参加する際事件の背景について思考を巡らせ考察します。感情的な行動は滅多にしません。

主に二挺拳銃『Mathem842』『臥龍炎』を使用した遠近問わない戦闘を行います。時折、または接近戦を重視する場合は妖刀『血吸』を使用します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、積極的に行動します。ただし敵の攻撃に対しては回避を主体にして、なるべく負傷しないように立ち回ります。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「結局のところ、『ミドゥギの祝祭』っていうのは……自分に自信を持つことで、オブリビオンの洗脳音楽にも耐える強靭な精神を手に入れる儀式、って感じでいいのかしらね」
 訳知り顔で、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)が独りごちてみせた。いろいろと考えを巡らせてみたけれど……幾ら何が起こってもおかしくないオブリビオンのユーベルコードといえども、「水着を着た人には抵抗されます」なんていうわけのわからない性質があるわけがない。
 でも実際、水着を着た猟兵が洗脳歌を跳ね除けているという因果関係はあるわけで。じゃあ、一体何がそれを生んでいるのかと言えば……まあ、月並みな言い方にはなるが、『意志の力』とかいうやつに違いなかろう。

「スペースシップワールドはサイキッカーの本場だし、オブリビオンのユーベルコードも、精神力に関わっていそうなものが多めよね。特に、今回の『栄華と破滅の歌姫』なんて、洗脳ユーベルコードなんていうものを使えるんだからまさにそれ」
 公明の考察披露はまだまだ続く。それほどまでに精神の力を利用することに長けた文明がこの世界であるのなら、こちらも強い意志さえあれば敵の力を跳ね返せるのもおかしな話ではない、と。
「ところで、水着に限らず薄着になるってことは、身を守る防具もほとんどないってこと。それは衣服というものを手に入れた人類にとっては不安なもののはずだから……逆に言えば、人前でもその状態を肯定できるなら――あるいは、皆に肯定して貰えるのなら――、それは何よりも強固な精神的防具になるはずよね」

 上等だ。そのメカニズムさえ解析できてしまえば、何をすればいいのかが自ずと解き明かされる。
 ……故に。
「サイキックに関しては私も本業だから……私にはもう洗脳は効かないと思ってくれればいいわ!」
 ばばーん! 突如露わになる牛ビキニ! 何? 蓋を開けてみたら干支と掛けたネタは被ってただろって?
 問題ナシ! カラスさんに牛ビキニ頼んだのは一人だけなんだから!

 そんな鋼鉄メンタルで突進してくる公明を洗脳して止めるだなんて、いかな『栄華と破滅の歌姫』といえどもできるわけがなかった。
 それでもどうにか足掻かんと、歌姫は別の姿を取らんとす。少しでも公明の精神に動揺を生み、僅かな洗脳の目を作り出すために。
 すると確かに……公明はびっくりした。だって目の前のオブリビオンが、突然腕ばかりか脚までボロボロになって他の姿に変わったんだもの。
 でも効かない。それが『オーア』の人々憧れの歌姫の姿であることを、彼女は知る由もないがために。よく解らないけど敵の姿が変わった、それだけ……なので特段躊躇うこともなく、強さと美しさを兼ね備えた諸葛流舞闘術にて舞うように打つ!!

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴上・冬季
「歌わせないことに主眼を置くなら、頭を吹き飛ばすのも叩き潰すのもありでしょう。ただ、船体にダメージを与えないよう穏便に済ますなら、感電が1番でしょうか。陣は無手でも描けますから」

「制圧射撃しなさい、黄巾力士」
黄巾力士に制圧射撃させて敵の行動を阻害しながらUCで延々ダメージと感電を与え続ける
敵の攻撃は黄巾力士にオーラ防御で庇わせる

「帝国、ねえ。そんなものなくても人は生きていけますし、そもそも私は人ではありませんし。滅びたものに殉じたいなら、貴女も滅びればよいでしょう」
仙術混じりの功夫で一挙に距離を縮め功夫の掌底で頭を弾き飛ばす

「この格好なら筋肉の動きが良く見えたでしょう?」
褌姿見せつけ微笑む



 両腕ばかりでなく両脚まで失って舞台上に倒れ込んだ歌姫の背は、新たな足音が近付いてくる振動を感じ取っていた。
 カラコロという、硬い何かが硬い舞台を叩く鋭い響き。その振動はあるところで唐突に止まり……はて、その主は何者であろうかと、彼女は残された力を振り絞り、足音の方向へと視線を向ける。

 まず目に入ったものは、小惑星の微弱な重力によってはためく外套だった。それは自身を掛けた男の肩から、持ち主が足を止めたのに従って徐々に落ちてゆこうとする最中だ。
 だが外套がどれほど男の背に再び垂れても、前面を全て覆い隠すことはなかった。ゆえに、歌姫は男を最も特徴付けるその装束を、真正面から目の当たりにすることになる。

 褌である。
 誰よりも確固たるであろう冬季の自信は、たった一枚の布を隔ててオブリビオン、それも幹部猟書家と相対しても、決して揺るぐことはなかった。そもそも、その距離であれば今の歌姫の歌声の出力では彼の誘惑など叶わぬことなど、とうの昔に見抜いている。
「とはいえ念のため……これ以上は迂闊に近付かない方が良さそうですね。さて、ここからどう彼女を骸の海へと還しましょう?」
 腕を組み、少し悩んだフリをしてみせた冬季ではあるが――その解法は既に計算済みだ。
「歌わせないことに主眼を置くなら、頭を吹き飛ばすのも叩き潰すのもありでしょう。ただ……」
 いかに弱った敵とはいえ幹部猟書家の重要器官を一撃で砕くには、さしもの冬季にも周囲の被害をゼロとはゆかない。歌姫の乗る舞台はもちろんのこと、歌姫の耐久力次第では小惑星ごとという結果も免れ得ぬかもしれない。ともすればその際の破片は勢いを持ち、宙域を航行する全ての船への脅威にもなりかねぬ……だから。

「制圧射撃しなさい、黄巾力士」
 その場で宝貝に命じる傍らで、冬季は両手で複雑な印を結んだ。
 虚空に描かれるのは八卦天雷陣が一、『青天の霹靂』の呪法。荒れ狂う雷は雷雨の“雷”ではなく“雨”の如く激しく、歌姫の全身を縛める!
「私一人を倒……たところで…………帝国は……不め……っ!」
 途切れ途切れの歌姫の捨て台詞を聞きながら、冬季の双眸はあたかも滑稽なものを見たかのように細まった。
「帝国、ねえ。そんなものなくても人は生きていけますし、そもそも私は人ではありませんし」
 滅びたものに殉じたいなら、貴女も滅びればよいでしょう――妖狐は慇懃ながらも嘲笑す。黄巾力士の掃射を受けて仙術への抵抗の機会を失った歌姫は、痺れ、何か言葉を返すことすら能わない。

「では――」
 冬季の、仙力を籠めた掌底の一撃。一瞬にして数歩の間合いを詰めた勢いは、余すところなく歌姫の頭部に伝わった。
 まるでボールか何かのように、容易く千切れて飛んでゆく頭部。最早、宙域を歌声が苛むことはない。

「この格好なら、筋肉の動きが良く見えたでしょう?」
 褌姿見せつけ微笑む冬季の所作が……後に興る『オーア』流武術の祖になるのは、また別の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月07日


挿絵イラスト