ディメニェーロの願い星(作者 棟方ろか
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#ブルーアルカディア  #踊りましょう、ひときわ鮮やかで短いこの夜に 


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#ブルーアルカディア
#踊りましょう、ひときわ鮮やかで短いこの夜に


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●Shall We Dance?
 夢と語らうように星が瞬く。
 顔を出した蒼き星たちは、この時期にしか見られない輝きでかれらを見下ろした。
 ひときわ鮮やかな光で短夜を飾るそれこそが、望みを叶える力をもたらす願い星。
 踊りましょう、と翼で夜を翔ける人は、つま先で星を散らしながら楽しく踊り続けた。
 踊りましょう、と誰かと舞う人は星の海で揺蕩い、互いの囁きだけを聞いて過ごした。
 そうすれば夏の願い星が微笑んでくれると知っているから、人々は自分だけの願い星を探して踊り明かす。
 この夜を、言い伝え発祥の地に因んで『ディメニェーロの短夜』と呼んだ。

 子守唄代わりに読み聞かせてもらった話の中で、少女アンナが一等好きな伝承だ。
 手帳に書き残して肌身離さず持ち続けた。保険調査官として飛空艇を渡り歩くアンナの心強い味方だ。
「今がその『ディメニェーロの短夜』なのに……」
 不運にも、調査対象である飛空艇の停まる浮島が、屍人帝国に襲撃されてしまって。
「何が狙いだって言うんです、もう!」
 いつもと変わらぬ出立だった。浮島も平穏だと天気予報で聞いてきたというのに。
 飛空艇の外、宙を飛び回る『蒼雷の機精』たちは「星を、星を」と繰り返しながら浮島の民を捕らえ、飛空艇へ詰め込んでいた。アンナは最初から飛空艇に詰めていたため、『蒼雷の機精』から襲われることはなかったが、しかし。
「な、なんですか!? 私を食べてもおいしくありませんよ!」
 飛空艇へ飛び込んできた一体の獣に、ずっと張り付かれている。
 グルルと唸るばかりで今すぐに喰われる気配はないが、恐ろしい存在には変わりなく、獅子を前にアンナは手帳を抱きしめることしかできない。
「お兄様……お兄様、お願いっ、『風の終わり』から助けに来て……!」
 空の果て、風の終わり。
 死んだ後に行けるという世界へ向けて、アンナはひたすら祈り続けた。

●グリモアベースにて
「お兄さんではないけど助けてあげましょ! 浮島の人たちのことも。ね?」
 ホーラ・フギト(ミレナリィドールの精霊術士・f02096)が笑顔に乗せた言葉は、猟兵たちの耳にもはっきり届く。浮島と飛空艇を襲うオブリビオン――屍人帝国の軍勢は、理由は分からないが少女アンナを連れ去ろうとしているらしいと、ホーラは続けて。
「飛空艇にいるのが、そのアンナさん。青緑の髪と瞳が綺麗な召喚獣さんよ」
 彼女は空輸に伴う保険会社に勤める調査官。事故で浮島へ停泊した飛行艇を調べるため訪れていた。
 被害状況の調査も、損害額の計算も済んで後は報告するのみとなったところで帝国軍の襲撃を受け、船内で身動きが取れずにいる。
 外では『蒼雷の機精』が大空を欲しいままにしていて、簡単に逃げ出せそうにない。何より、彼女を監視するように睨む獣が眼前にいた。
「アンナさんに張り付いてるその魔獣が、軍勢を率いてるポジションなの」
「じゃあ、ボス格のその獣を倒せば『蒼雷の機精』たちも退却する可能性が……?」
 猟兵が返した言葉へ、そうよっ、とホーラが笑顔を向けた。
「真っ先に魔獣の元へ行ければいいんだけど……」
 大量にいる機精を減らしてからでないと無理だと、彼女は言う。
 どんな作戦を採るにせよ、『蒼雷の機精』との戦いは免れない。
 蒼雷と名がつく通り、機精たちは蒼き雷を武器に邪魔する者の排除にかかる。姿を現した猟兵にも当然、問答無用で攻撃してくる。
「数が数だから、かしら。編隊飛行での攻撃を得意としてるわ」
 あっという間に取り囲まれたりしないよう、戦う間も注意が要るだろう。
 ここで猟兵たちを見送ろうとしたホーラは、思い出したように手を叩き合わせた。
「今はちょうど、『ディメニェーロの短夜』と呼ばれる願い星と逢える夜の時期なの」
 帝国の軍勢を撃退し、アンナを始め人々の無事が叶ったあかつきには。
 自分だけのたったひとつの願い星を探して、ダンスに耽るのも良いだろう。
「ダンスが苦手だなんて野暮なことは言いっこなしよ」
 ふふ、と小さく笑ってホーラは片目を瞑ってみせた。
「せっかくだもの、楽しんできてちょうだい! その方が浮島の人たちも喜ぶわっ」
 浮島の平穏とアンナの身を託して、ホーラは猟兵たちを宵の差し迫った大空へ送った。


棟方ろか
 お世話になります。棟方ろかです。
 一章が集団戦、二章でボス戦、三章は日常でございます。

●一章(集団戦)について
 時間は夕方。やたらと「星を」「星が」と呟く『蒼雷の機精』とのバトルです。
 飛空艇の周りと浮島の空を占領しているので、蹴散らしてください!

●二章(ボス戦)について
 夕方と夜の狭間で、舞台は飛空艇内。
 少女アンナの目の前にいる魔獣が、ボスとなっております。
 二章開始時に簡単なリプレイを挿入しますので、そちらもご参照くださいませ。

●三章(日常)について
 星空を翔けながらのダンスといきましょう。
 翼や飛行用の機構など、飛行手段を持つ方はそれを用いてもよし。
 ジェット噴射などで飛べる機械を、浮島の人から借りることもできます。
 『ディメニェーロの短夜』は、願い星だけでなく夏の風も味方になってくれる夜。
 擬翼やマントなどの道具やユーベルコードをうまく使って、舞い踊るのも良いでしょう。
 三章開始時に簡単なリプレイを挿入しますので、そちらもご参照くださいませ。
 登場人物であるアンナの他、グリモア猟兵のホーラ・フギトも、お話相手などに必要でしたらお声がけください。
 もちろん、この章のみの参加も大歓迎でございます。どうぞお気軽に。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『蒼雷の機精』

POW ●ブリッツストライク
【出力最大にした雷属性のエンジン 】によりレベル×100km/hで飛翔し、【自身の重量】×【スピード】に比例した激突ダメージを与える。
SPD ●ライトニングフラッフ
【掲げた手のひら 】から、戦場全体に「敵味方を識別する【雷の粒子】」を放ち、ダメージと【感電】の状態異常を与える。
WIZ ●サンダーボルトシージ
【甲高いサイレン 】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【仲間と共に組んだ編隊】で囲まれた内部に【仲間の人数に比例した数の雷】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


レザリア・アドニス
星を…?
なら、星が見えない花吹雪の黄昏は、いかがですか?

待雪草を身に纏い、飛行能力と機動力を上げる
毒花の嵐を起こし、敵の編隊を吹き散らすことを狙う
空に踊るように、高速に飛行しながら、【全力魔法】【範囲攻撃】【高速詠唱】で、止まずに狂い嵐を吹かせる
出来るだけ多く巻き込むように位置を取りながら、あまり突進しすぎずに、囲まれないように気を付ける
編隊の形を潰すことを、常に心がける

さすがブルーアルカディア
ここで飛翔するのは、気持ちよすぎるの
まるで翼ある者の故郷みたいに…
さて、ここの空をいっぱい楽しむ前に、
うるさい虫の群れを片づけましょう


 入相に響くのは、帰りを促す鐘でも家路を急ぐ人々の声でもなかった。
 星を、と繰り返す蒼で染まった夕空を、レザリア・アドニス(死者の花・f00096)は目を細めて見つめる。
 浮島も飛空艇も取り囲んだ動力甲冑の化身は、感情不確かな顔で飛び回り、生きとし生けるものを襲うだけ。これから現れる星へ手を伸ばすにしては、あまりにも。
「気が散っているようにしか、見えないですね……」
 だからレザリアは蒼き星へ細腕を伸ばした。切り揃えられた爪の先から、瞬く間に待雪草が散り始める。
 そして白に煌めく雪の華を纏った『レザリア』という花が舞うのは、この果てしない夕暮れだ。機精の群れさえなければ、遮るものの無い大空。頬を撫でる風も来訪を喜ぶように優しくて。
(気持ち良すぎるの。さすがブルーアルカディア……)
 瞼を閉ざしても色を感じられる茜色の中を、彼女は飛ぶ。
 待雪草の加護が彼女の軌跡を空へ白く刻んでいった。まるで飛行機雲だ。
「星が……星が」
 空の世界を堪能する少女と違い、機精たちは欲する存在を呼ぶだけ。
 勿体ない。そうレザリアは溜息をついて、白い腕を広げる。
「なら、星が見えない花吹雪の黄昏は、いかがですか?」
 持ちうる武器の総てを鈴蘭の花びらに換えれば、異なる色の登場に機精たちがざわついた。
 揺らぐ軍勢へ花嵐で挨拶すると、隊列を為していた機精が散開していく。突如として生まれた花風の舞いで機精の布陣も崩れ、穴があく。幕のように空を占める蒼雷に、ぽっかりと。
 けれどすぐさま穴を埋めるべく機精が集い、耳をつんざくサイレンを響かせた。
 その様相はレザリアから見ても異常で。
(星のことばかり考えているのに……それでも形を保とうとするの……?)
 もしかしたら。ただひとつの星を求めて止まないからこそ、保たずには居られないのだろうか。
 そんなことを考えながらレザリアは、前へと踊り出る。吹きやまぬ風に、花弁の言を乗せて。
「ここは、翼ある者の故郷みたいで……とても落ち着くから」
 蒼雷が花を、少女を撃ち落とそうとするも彼女の飛翔は眩まない。
「めいっぱい楽しませてもらいます。……うるさい虫を片付けた後に」
 迸る雷光が眼に焼け付く。それでも彼女は鈴蘭で空を飾り続けた。
大成功 🔵🔵🔵

鏑木・桜子
編隊飛行を組んでの突進攻撃ですか。速度と質量の乗算にて大きな威力と制圧力をもちますが…難点は「攻撃が直線的」なことと「それを上回る速度で動き敵」には相対速度の観点から威力が出なかったりそもそもそも追いつけずに突撃できないことが難点ですね。
わたしは空を飛ぶことはできませんが…我が奥義、我がブシドーを持ってすれば「落ちるより速く」空を駆けることのよって擬似的に飛行することが可能です。
ということで二の太刀「桜花春雷」にて空を駆け飛び回る敵の背後に回り込み神速の居合斬りを放ちます。
相手は突撃のため速度を殺さないように直線的にしか動けませんがわたしは居合のため自由に機動を変えれる利点を活かします。


 空の色を透かした羽織をはためかせて、鏑木・桜子(キマイラの力持ち・f33029)は入りのひとときに足の先からふわりと、浮島を見下ろせる小島へ舞い降りた。花びらが踊る夕暮れに異質な気配が染み付いている。徐に見上げた桜子の双眸は、美しい景色を侵犯する機精の群れを映し込み、揺らめく。
「あれほどまでの大群で……攻め込んできたのですか」
 ここから飛空艇の泊まる港までの距離はまだ遠く、人々の心境を思うと桜子の眦も緊迫を刷くばかり。
 そんな彼女に気づいた蒼き機精たちは、じいっと窺うような眼差しを向けてくる。
(編隊を組んでの攻撃、ね)
 星を求むかれらの眼は虚ろとも呼べると桜子は感じ、静かに体勢を低くし、そして駆けた。
(空を自在に飛ぶことは叶いませんが……成すべきことを成すだけ)
 いつぞや憧れたかもしれない空の真っ只中へ飛び込んだ少女の身は、占拠する蒼めがけ風を切っていく。
 広がった髪が夕空の彩を受け入れて踊る一方、彼女自身の仕種はただ一点を見据えていた。ただ、倒すべき敵だけを。
 そして過去に染まった動力甲冑の化身もまた、迫り来る彼女から目を逸らさない。
「星を……」
 桜子へ伸ばした腕が、桜子へ向けた声が、なぜだか物悲しく思えた。悲しげなのに差し出された輝きは、悪意に満ちている。そして隊列を組んで追い払おうとしてくる機精からの風圧をも、桜子は天を翔けるための足場へ換えた。
 風を踏んで、跳ねて、落ちるより早く彼女は走っていく。
 蒼雷の粒子がバチリと唸って桜子を包み込んでも、その足は止まらないし鈍らない。
 自分たちよりも鮮やかに空を駆ける桜子に、機精の部隊も同じく動きを緩めなかった。だから。
(我が奥義、我がブシドーをもってすれば、叶わぬと思われた道も築けるもの。けど……)
 あなたたちは違うはず、と胸中でのみ呟く。
 唇は固く結んだまま、桜子が鉄鞘から抜刀するのは大太刀だ。
(その機動力から織り成す直線的な攻撃では……わたしを撃墜させることは、きっと叶わないわ)
 振るえばブォンと凄まじい音が、暮れ時の大空へ太刀の威を知らしめた。
 彼女が細く小柄な見目で繰り出した、神速の居合い抜き。それが機精の背を断った刹那には、桜子の姿もかき消え次なる敵へと跳んでいて。咲き誇る桜花に、蒼き雷は追いつけない。追いついたと思いきや桜子に後背を奪われる。この連続に、浮島や飛空艇を襲っていた群れにも動揺が走り始めた。
「星のために」
「星を、この手に」
 口々に言いながらかれらの眼光は桜子だけを捉え、少女を墜とそうと飛び交う。
 しかし止まぬ桜子の猛攻に一機、また一機と減り、脅威であるかの隊列にも穴があき始めていった。
大成功 🔵🔵🔵

ユノ・フィリーゼ
夏の夜を彩る願い星
何処かにある自分だけのひかり
一体、どんなものなのかしら
誰もが素敵な夜を迎えられるように、頑張らないとね

こんにちは
みんなで集まって随分と賑やかね
良ければ私も混ぜて下さいな
誘うよう機精へ手招き囁けば
宙を蹴って、自由に舞台を駆け巡る
翼はなくても空はゆけるのよ

忍ばせた蒼の短剣で傷を刻んで
あちらからのお誘いはひらりと身を翻し躱す
でも、手のひらに集まる光には思わず目が奪われて
輝く星とは違っても、とても、綺麗
……っだけど見惚れてる場合じゃ、ないのよね…!

素敵な景色をありがとう
今度は私の番ね
ふわりと笑みを向け、呼び出すは蒼花の嵐
―さぁ、どうぞご一緒に
空の上での舞踏会
最後まで楽しみましょう?


 いつもなら果てなき蒼穹を映すユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)の瞳も、今ばかりは薄暮に揺れた蒼だけを知る。
 焦がれた色とは違うけれど、ユノの目指す先はその蒼だ。そして天翔ける翼は彼女の両足にあった。だからユノは躊躇わず、底の見えぬ大空へとはばたく。あの蒼き機精へ向けて。
「こんにちは。随分と賑やかね」
 こてんと頭を傾け、覗き込むようにして蒼雷の輪へ飛び込んだ。
 ユノは直後、拒否を示す光の波に呑まれかける。けれどすぐさま踵で大気を打ち鳴らし、彼女の身はひらりと青い夕波から遠ざかった。
「残念な集まりね。挨拶もまともにできないなんて」
 瞬ぎながらそう呟き、翻ったユノが次にかれらへ示したのは手招きだ。
 すると応じた機精たちが、黙したまま彼女へ手を伸ばす。掴むためではなく、拒むための手を。
(わ、綺麗……)
 昼にも夜にも見ることの叶わぬ光が、そこにあった。思わずユノも目を奪われてしまった輝きが、花びらのように踊る。
(星とは違うけど、とても綺麗……って、見惚れてる場合じゃないのよね!)
 一瞬の出来事だった。掌から放たれた雷の力が、ユノを襲う。
 だが彼女とて宙を踊る者、容易く受け止めたりはせず、クラシカルなシューズで滑るように空をゆく。そして存分に風の軌跡を刻んだ後、かれらの傍らへふわりと降り立った。広がる大気の層を足場にして。
「良ければ私も混ぜて下さいな」
 そっと顔を突き出して囁けば、表情なき機精も瞠目する。すかさず振り払おうとした機精の腕は、やはり宙空で舞うだけだ。ユノに当たりもしない。代わりにかれらが受けたのは澄み渡る蒼刃による傷。ユノが忍ばせて近寄った証で。
「素敵な景色をありがとう」
 ユノは、懲りずに手を掲げたかれらへ微笑みかける。一帯が蒼雷で満たされていく中、軽快にステップを踏みながら。
「お礼に私も、この空を飾ってあげる。一曲……お相手願えるかしら」
 トン、と靴先で跳ねながら機精へ迫ったユノは、唇に弾む笑みを刷く。同時に蒼雷の海へと広がる、蒼き花。まるで絨毯を転がすような勢いで咲き誇り、花は機精たちを凍てつかせた。澄み渡った夕空で、過去を模った動力が次々と命を凍らせていく。
 そうして残った蒼雷の申し子らへ、ユノの手招きがまた向けられる。
「さぁ、あなたもご一緒に」
 誘うユノの笑顔は、いつだって空の色彩を映して煌めくばかり。
 だからだろうか。残った機精の面差しに惑いが差す。
「ほら、最後まで楽しみましょう? だってこの後は……」
 自分だけの願い星が、夜を素敵に飾ってくれるのだから。
大成功 🔵🔵🔵

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

アンナ…か…
あの少女を救う為にもこの蒼穹の空を駆けようぞ…
我が名は…アンナ!処刑人が娘也!

【ゲヘナ・フレイム】を発動
[空中浮遊]で空を舞い敵群に[空中戦]を仕掛けよう

鉄塊剣を抜き振るい
[オーラ防御]纏い敵群に突進して
[存在感と悪目立ち]で彼等を惹き付けよう

敵の攻撃を[見切り]で回避し、動き回る敵を逃さぬように[追跡]
敵を絶対に倒す[覚悟と闘争心]を胸に灯して
鉄塊剣を振り回し[重量攻撃で鎧砕き]
[鎧無視攻撃で串刺し]て次々に仕留めてゆこう…!

一匹たりとも逃すまいぞ…!
私は…処刑人だッ!!!


(アンナ……か……)
 狙われた少女の名がこびりついて離れないのは、彼女もまたその響きを共有する者だからだろうか。
 空を焦がす夕の陽を一身に受け、仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は蒼穹を駆ける。
 蹴ったそばから風が吹き、彼女の身を空へ空へと押し上げていく――肌身を裂いて噴出する炎が、そうさせた。
 深い地の底を思わせる業火が、知らぬはずの遥かなる高みでアンナを覆う。焔の力を得たことで、蒼の一群めがけ突き進む彼女の姿は、晩景を映した鳥のよう。
 そして赤々と燃え上がる意志をもって、彼女は叫ぶのだ。
「我が名は……アンナ! 処刑人が娘也!!」
 焔と名乗り口上で存在感を見せつけた彼女へと、蒼き雷が集い始める。
 かれらもまた、最大出力のエンジンを武器に翔け巡り、アンナの元に飛び込んでいく。四囲はけれどアンナを揺らがせる脅威になり得ない。
「ふッ……!!」
 アンナは呼吸に合わせて剣を抜き、その勢いのまま空を薙ぐ。そして鉄塊のごとき剣の太刀風に圧された機精へ、刀を振り下ろした。すると眼前の一機は耐え切れず、潰されるようにして墜ちていく。
 けれど蒼雷をひとつ見送る時間すら、アンナは作らない。
 直後に彼女の一太刀が捉えたのは、別の機体だ。振り上げた鉄の塊は、飛び込んできた機精に戸惑うことを許さない。叩き壊せばエンジン音も瞬く間に消え、動力源が落ちたことを物語った。
 しかし尚も機精は、アンナへの攻撃をやめようとしない。諦めるという言葉を持たぬかのように。
(倒す……敵は絶対に……)
 言葉の代わりに呼気へ決意を燈すと、アンナの双眸にも焔が宿った。
 その刹那に巨大な刃が喰らったのは、彼女へ激突しようとした機精だ。
(仕留める!!)
 アンナの得物は、迫る相手の威力をも活かして串刺しにした。ブレーキを知らぬ機精は貫かれた直後、多くの部品を、過去を散らすようにして空で力尽きる。
「一匹たりとも逃すまいぞ……!」
 覚悟のままに続けたアンナの咆哮が、大気を震わす。
 間もなく彼女の握る一振りは、遠方への飛翔を試みた最後の敵を捕まえて。
「知らぬなら教えてやる。私は……」
 捕まえた相手にアンナが贈るものなど決まっている。
「処刑人だッ!!!
 意識と命を焼き尽くす、赤。
 まさしく今、この空を染めるその色だけだ。
大成功 🔵🔵🔵


第2章 ボス戦 『召喚獣『ヴァジュラ』』

POW ●電磁結界
【雷の尻尾】から、戦場全体に「敵味方を識別する【レベル回の雷撃と超電磁場】」を放ち、ダメージと【電磁力反発による近接攻撃不可】の状態異常を与える。
SPD ●サンダー・レールガン
【超電磁場と雷の拡散】によりレベル×100km/hで飛翔し、【超電磁場の強さ】×【雷エネルギー】に比例した激突ダメージを与える。
WIZ ●雷電の支配者
【戦場を覆う超電磁場と雷の奔流】を放ち、戦場内の【金属の物品、および電気】が動力の物品全てを精密に操作する。武器の命中・威力はレベル%上昇する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アイン・セラフィナイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●風の娘
 宵の空、夜のはじまりを見守る飛空艇の船倉で。
 お兄様たすけて、と何回呼びかけただろう。
 死者が戻ることなど無いと知っていても、召喚獣の少女アンナは震える手を胸に抱き、祈り続けるしかなかった。
 祈りたい理由のひとつでもある目の前の獣は、いつまで経っても離れてくれない。

 この獣こそ、此度の軍勢を率いてきた召喚獣ヴァジュラ。

 かれが近くにいるのもそうだが、飛空艇内の各所には浮島の住民が閉じ込められている。泣きじゃくる声や、機精に襲われて傷ついた人々のうめき声も漏れて来て。
 しかも分厚い壁越しに、外から戦いの音が耐えず届いていた状況だ。
 少女が怯えるのには充分だろう。
「怖い……っ」
 風で紡がれた尾がぴんと立ったまま震え、渦巻く青緑色の髪は萎れていた。アンナの心境を物語るように。
 そんな彼女の辺りには、保険調査に用いた書類やペンが散らばっている。そこへ意識を向ける余裕も、今の少女にはない。獣がふんふんと仕事道具の匂いを嗅げば、アンナが「ひぃっ」と悲鳴をあげた。
「そそそれは食べないでください! でも私のことも食べないでほしいです!」
 少女の訴えを聞いたのか否か、唸るだけだった魔獣は、不意に顔をもたげ壁へ目をやる。
 飛空艇の駆動音や船内の人々の声を除くと、妙に静かだった。
 静かになったのだ。猟兵たちが『蒼雷の機精』を殲滅したことで。
 戦況を察してか、獣が一歩アンナへ近づく。座り込んだ彼女は、後ろへ下がりたくても背にある倉庫の壁のおかげで逃げ場がない。
「こないで、来ないでください……!」
 それまで大人しくしていたかれは突然、少女を銜えようとした。
「きゃあぁぁ!! やめ、やめて、食べないでえぇッ!!」
 少女自身も驚くほどの大音声が、船内に響き渡る。
 そしてその叫びは、飛空艇へやってきた猟兵たちに、アンナ自身の居場所を知らせる合図となった。
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

彼女にそれ以上近づくんじゃあない…雷の獣よ…
私が相手だ…かかって来い…!
ワタシは…処刑人だ…!

妖刀で自身の手の甲を切り裂き出血させ
敵を[挑発しおびき寄せ]て船外へ連れ出して
アンナという少女から引き離そう

鉄塊剣を突き立て[武器受け]で盾代わりにして雷撃を防ぎ
自身は[オーラ防御]を纏いて防御しよう

…近づけない?!
忌々しいが…ならば…!

敵の攻撃を防いだら大剣緋色の天使を抜き振るい
【火車八つ裂きの刑】を発動
地獄の炎纏わせた[斬撃波での属性攻撃をぶん回し]
敵を切り裂き[焼却]してやろう…!

地獄の炎に焼かれるがいい…雷の獣めッ!


鏑木・桜子
はぅ…猟兵のわたしでもビビりそうな召喚獣……で、ですが…アンナさんはもっと怖い思いをしていたはず…。
もう大丈夫です…あなたはわたし達が…ブシドーにかけて守ります!

戦場全体を多い強力な電磁場…このままでは近づけませんが…。
ならば…【二の太刀「桜花春雷」】にて超高速で移動し、相手を撹乱してレールガンをかわしつつ摩擦でプラズマを発生させ電磁場を乱しましょう。
そして、電磁場の弱くなった場所や、相手の隙きを狙って一気に接近し居合抜きを放ちます。


「あ、あちらから悲鳴が……聞こえたはずです……っ」
 鞘を握りしめていた鏑木・桜子(キマイラの力持ち・f33029)が不意に、閉ざされた戸を指差す。
 猟兵たちが各々で道を切り開く中、この場で火蓋を切ったのは、桜子に肯ってみせた仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)だ。歪んでいた扉を蹴破り、これでもかと喉を開く。
「雷の獣よ、彼女にそれ以上近づくんじゃあない……!」
 ひりつく声色は、黒い眼光の威をより強める。
 彼女の叫びに反応したのは当然、船を手中に納めた獣と、そしてもうひとりのアンナ。
 震える少女の眼差しが、じっと穴があきそうなぐらいに思わぬ乗客――アンナと桜子を見つめる。
「はぅ……っ、大きくて怖い召喚獣……ですね」
 少女アンナの驚きをよそに、桜子の両肩がびくりと上下した。猟兵になったとはいえ怖いものは怖く、恐れというものも易々とかき消えてはくれない。
「怖い?」
 傍らでアンナが囁くものだから、桜子は。
「はい、けど……」
 太刀へ熱を分け与えながら、すう、と胸いっぱいに息を吸い込む。
「あちらにいるアンナさんは、もっと怖い思いをしていたはずで……怯えてばかりもいられません」
 桜子の言にアンナが顎を引き、控えめに喋る。
「先ずはあの召喚獣を、彼女から離さないと……」
 同じ名を持つ娘へかけたい声も、話したい言葉もアンナにはあった。だが、いま自分が何を優先するべきかと彼女は知っている。
 だからアンナは獣めがけ、大声を連ねた。
「私が相手だ……かかって来い……!!」
 かっと見開いた眸。裂けんばかりに振り絞った声。すべてにアンナの心持ちが発露する。
 だからだろうか。少女へ食らいつこうとしていた蒼き雷獣は、徐に顔をもたげてアンナを一瞥した。睨むような、見据えるような、異形らしい眼差しに射抜かれてもアンナは怯まない。
 眉間をいつもより少し険しくさせたまま、彼女は次に己の立場を示す。
「ワタシは……処刑人だ……!」
 戦いから離れている間ならば穢れぬ手の甲を切り裂き、迸る赤という赤を空気へ触れさせながら。
 自身がやってきた通路をちらと見やって、アンナは駆け出す。眼の冴える赤が滴り、飛び散る中を。
 すると召喚獣はかの匂いを辿り、彼女を追った。その勇ましげな尾で。
 召喚獣の尾が、床や壁、荷物へ叩きつけられていく。アンナを追った獣はまもなく、船の軋む音と共に電磁結界を展開する。拡がる結界がアンナと、そして視界の片隅にいた桜子を襲う。けれどアンナは床に突き立てた鉄塊の剣に、苦痛の半分を引き受けさせた。だが。
(っく、近づけない……?!)
 獣へ仕掛けようとしたアンナは、忌々しい、と息を吐き捨てる。
 近づけないのは桜子も一緒だった。
(これが、あの獣の力なのですね……ならば)
 惑いはあったが後ずさりはしなかった。桜子が次に選んだ道は、サンダー・レールガンをも超越する未来への道。
「二の太刀……」
 何よりも疾く、どこまでも疾く。願いにも似た祈りを刃へ滑らせて。
「桜花春雷……!」
 重力を振りきった凄まじい速さから繰り出した、居合い抜き。
 それが獣の片翼を切り落とす。
 うまく事が運んだと喜び、桜子の耳がぴこぴこ動く。そしてアンナが今も獣を引き付けているこの隙に、タタタと少女アンナのそばへ駆け寄った。
「桜子と申します。もう大丈夫ですよ」
「だい、じょうぶ……ですか?」
 現実を把握しきれていない少女の血の気のない顔を覗き、桜子は続ける。
「あなたはわたし達が……ブシドーの名にかけて守ります!」
「ブシドー……まもる……」
 桜子が伝えた単語を、少女が繰り返す。
「守って、くださるんですね。見ず知らずの私を」
 未だ拭えぬ不安を刷く少女へ、桜子は優しい眼差しを送る。
 そして桜子が振り返った先では、相棒の鉄塊剣と苦みを分かち合ったアンナが、火車の如き勢いで屍人帝国の使いへ飛びかかっていた。
「地獄の炎は、焼くだけに留まらない……! この味をまだ知らないなら……」
 刀身を振り回せば、纏う力が煌々と色彩を増し、やがて蒼に光る巨躯を灼く。
「その身に刻むといい、雷の魔獣め……!」
 アンナが刑に処したのは、大空を知るであろう蒼雷のもう片方の翼と、そこに宿る獣の意思だ。
 召喚獣の、悲鳴とも咆哮ともつかぬ雄叫びが飛空艇に響き渡った。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

プリシラ・マーセナス(サポート)
『記憶はなくても、物事の善し悪しはわかるよ』
『援護は任せて!君には当てないから!』
 キマイラですが、記憶を喪失した状態でダークセイヴァーで暮らしています。
ユーベルコードはどれでも使いますが、移動手段として「黒虎」を、緊急の近接手段として「ガチキマイラ」を使い、基本的にはマスケット銃での中・遠距離戦を好みます。
 依頼内容には拘らず、手当たり次第に選ぶ傾向があります。また、一人で戦うよりも前衛の隙を補う戦法を選びます。
 相手の年齢、性別を問わず少年的に振舞います(素を出すと侮られると思っている為)。但し、咄嗟に女性的になる場合があります(驚いた時の叫び声など)
後はお任せ、よろしくお願いします!


雛里・かすみ(サポート)
 バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
 普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


 永い時を眠って過ごしてきたかのようなプリシラ・マーセナス(迷い子猫(23)・f21808)の瞳が、飛空艇を支配していた獣を映す。
 仲間の活躍で突如倉庫から飛び出してきたかの者は、表情こそ憤りに近いが募る悪意を隠していない。
 かれを眼前にしたプリシラは、言葉は通じないかれから溢れ出る感情をひしひしと感じ取っていた。だからか全身が総毛立つ。
「おぞましい、というより……かわいそうな気がするね」
 ふと呟いた声が、何よりも濃くプリシラの耳を震わせる。
(かわいそう、と思うだなんてね。……僕も似たようなものかもしれないのに)
 失われたものを追い求めるプリシラの生き様は、他者から見ると、もしかしたら。
「かわいそうなの? 私、そういうのよくわからないのよね。でもでも!」
 そこで届いたのは、過ぎった彼女の意識を通路の向こうへ置くかのような明るい声。
 雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)の笑顔と弾んだ言葉だ。
「悪いことするのはいけないもの。飛空艇や浮島の人が楽しく過ごすためにも、やっつけなきゃ」
 かすみは片目をぱちんと瞑って、プリシラへ微笑みかけた。
 そしてかすみは次の瞬間、その細身を神霊体へと変化させる。
 奥の倉庫からやってきた獣と、向き合うために。
 しかし雷獣も黙して迎え入れはせず、床を蹴って舞い上がったかすみを追おうと、体勢を低くした。
 彼女へ飛びかかるつもりらしい獣にマスケット銃を向けながら、プリシラが口を開く。
「援護は任せて! 記憶がなくても、動き方はわかるよ」
「ええ、お願いね!」
 かすみはそう言い放った後、迷わず突き進む。舞踊にも似た軽やかな足取りで。
 拡散していく雷、蒼に蠢く巨躯が船内をいかに速く疾駆しても、彼女は恐れず立ちはだかり、そして。
「瞬き禁物だよ。さあ、ズドンとひとつ召し上がれ」
 そう口端を上げたプリシラの弾が、獣の頬を掠め、痛みと音とでかれの意識を惹く。
 朽ちかけの両翼へ更なる穴をあけたのは、プリシラの銃弾。そして。
「私、全部ちゃんと守ってみせるからね!」
 瞬く間に迫撃し、振り上げたなぎなたが、かすみの志に沿う。
 雷の奔流と磁場を切り裂き、かすみの舞が織り成す勢いを殺さずに、角を切り落とした。
 目映さで人々を恐れさせた誇り高き獣角も、主たる獣の元を離れればただの角だ。
 力の元をまたひとつ失った召喚獣は、グルルゥともガウゥとも区別がつかぬ唸り声を上げ、プリシラとかすみをねめつける。
 睨んでは頭を振り、角を失ったことで揺らいだバランスを保とうとしているらしい。
「うん、良いね。素晴らしい流れだったよ」
 プリシラが微かに頬の毛並みを和らげれば、かすみの頬にもぱっと笑みが咲く。
「あなたのおかげよ、ありがとう!」
 かすみの謝意が、人々の恐怖と不安が渦巻く船内を見事に明るくさせていった。
 それはもう朗々と響くばかりだ。かすみの笑顔も、発した声も。受けとったプリシラも例に違わない。戦いに集中していて瞥見する余裕もなかった窓を振り返る。
 窓からふと覗けば、外は――大空の世界は、宵に染まりつつあった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

レザリア・アドニス
ああ…こちら、ですね
悪いけど、それは君の食べ物ではない
いいわんこにしなさいよ?
さもなくば…
躾になっていない野犬は、お仕置きなんだよ?

さりげなく少女を背中に庇う
まだ動けるのなら…早く、別室へ避難に行きなさい
食べられたくなければ…ね

【全力魔法】と【範囲攻撃】で強化した毒花の嵐を起こし、敵を攻撃
敵の視線を遮断しつつ、あらゆるものに花びらを付けたりして、操作を妨害
また自分の周りにも花の防壁を作り、【オーラ防御】も活用して敵の操る物品を防御

どうやら、空を楽しむために、雷雲を打ち破らなければならないね
なら、このままやっちゃえばいいの


ユノ・フィリーゼ
第六感を働かせながら声のする方へと駆ける
道中怪我をしてる方等がいれば手助けを

アンナを見つけたら
怖がらせないように優しく声をかけて
もう大丈夫よ
祈りの声はちゃんと届いたから
必ず、みんなを貴女をたすけるわ
―空の果ての彼に代わって
どうか今の内に安全な場所へ

美しい獣の君
あなたにも何か理由がお有りなのでしょうけれど
彼女は渡すわけにはいかないの
…ごめんなさいね?

空舞う翼や足を狙い蒼の短剣を振るう
自由に動かれると困るものね
放たれた雷や物は、臆せず確りと流れをよみ
見切りやダッシュ、空中浮遊で躱していく

その最中に乗じて躰に触れ、種を贈る
…あなた、お花はお好き?
赤に白。この空のような青色も
望むものを魅せてあげるわ


 仲間たちの奮戦の裏、倉庫で震える少女へ声をかけたのはレザリア・アドニス(死者の花・f00096)だ。
「まだ動けますか……?」
「はい……なん、とか」
 猟兵たちの手腕により獣が引き離されたことで、少女アンナも漸くまともに息ができる。
 そこへ、道中で人々の手当を済ませたユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が合流した。
「もう大丈夫よ。ゆっくり深呼吸して」
 ユノに促されたアンナは、二種の眼差しに見守られながら激しい鼓動を抑えようとする。レザリアとユノが手本のように呼吸のリズムを作れば、応じたアンナも倣って大きく吸い込み、底の底まで吐き出す。
 目の焦点すらやや定まらずにあったアンナは、おかげで平静さを取り戻した。
「落ち着いたなら……別室に避難しなさい」
 そんな少女へレザリアが凛として告げる。
「あ、でもあなた方は……?」
「私たち、先約があるの」
 瞬ぐアンナへユノが応えた。そして青ざめた唇に血色を取り戻させるため、ユノは連ねる。
「祈りの声、ちゃんと届いたから。空の果ての彼に代わってみんなを、貴女をたすけるわ」
 ユノの口振りに、アンナの口許が緩む。
「わかりました、お気をつけて」
 言うやアンナは、獣の走り去った方角から遠ざかっていく。
 少女の背を見送り、獣の元へ急ぐ道中。レザリアはふとユノへ尋ねる。
「浮島の人たちは……」
「今も各部屋に居てもらってるの。巻き込む心配はないわ」
「それなら、心置きなくやれます……」
 遠慮など欠片も持たず、存分に。
 そんな意思を二人が瞳へ宿す頃には、蒼雷との対面が叶う。
 翼をもがれ角を折られてもなお四肢で踏ん張っていた、かの者との邂逅が。
「ああ……こちらに、いたんですね。いいわんこにしなさいよ?」
 レザリアが夕空混ざる翡翠の眸を細めた途端、手負いの獣は牙を剥く。少女アンナを奪い返したいのか、はたまた赫怒ゆえか。荒ぶる雷電の支配者が起こしたのは、あらゆる品を我が物とする蒼き千波。
 波濤に飲まれた漆黒と蒼はしかし、電気と船の部品が飛んで来る中で臆することはなかった。
 流れを捉え、風を読むようにユノが空高く舞い上がり、波を抜けた。船上では花の壁がレザリアの四辺を囲い、振りかかる災いを払っていく。雪にも似た白花の防壁は、蒼しか知らない猛獣の眼を見開かせて。
 直後、空の泪を識るユノの蒼刃が、花に見惚れるかれの四肢を切り裂いた。流れ星を思わせる煌めきを軌跡に鏤めて、痛みさえ飲み込んでくれそうな翼を模った短剣は、かれから自由を奪う。
「ねえ、蒼を湛えた美しい獣の君」
 ユノは、一場の夢に臥す獣へ声をかけた。
「あなたにも、何か理由がお有りなのでしょうね」
 咆哮にしては弱々しい呻きを、獣が吐き出す。
 屍人帝国の命令を受けてここに立つ獅子。かれが如何なる情念を抱こうと、ユノの睫毛を空色に濡らすことは叶わない。何故なら。
「彼女を、あなたに渡すわけにはいかないの」
 猟兵としても、ひととしても。
 真正面からユノが宣言したためか、蒼の世界で喚ばれた獣は支えを失い地へ伏せかけても、飛空艇を迸る雷で覆う。
「……ごめんなさいね?」
 囁いたユノの声音すら、丸呑みにして。
 そのとき、雷流の狭間から無数の鈴蘭が踊り出す。夏風に煽られ愛らしい鈴蘭から独り立ちした花びらたちが、悠然たる姿でいかずちを躱していく。行き着き先は勿論、天を翔けるすべを喪失した、かれのところ。
「いいわんこみたいに、大人しくなれないなら……」
 薄桃色に艶めく唇で、レザリアはかれにとって酷な現実を示す。
「躾のなっていない野犬は、お仕置きなんだよ?」
 レザリアの展開した花嵐が今この一瞬を占め、花弁は猛獣の前を過ぎって視線上へ影を生んだ。
「空を楽しむために、雷雲にはご退場頂かないといけないね」
 そう放ったレザリアの句が、次へ繋がる。
 彼女が築いた流れを受け継ぎ、遮られた召喚獣の世界でもうひとり――ユノがかれの躰に触れていた。
「……あなた、お花はお好き?」
 笑みを咲かす彼女の触れた先から、種がかれを蝕んでいく。咲きたくて、咲かせたい。そんな想いを養分にユノが贈った花の種はすくすくと育つ。かれの命も雷も、余すところなく糧にして。
 希くは、望みの色を。
 ユノの目前で赤と白、そして青の三色が船を飾る。壊れかけの飛空艇で咲く花たちは、退廃的な美を佳景へ刻み、かれをそこへ封じ込めた。続けてレザリアが、儚くも綺麗な鈴蘭の花を招く。毒花は迷わずかれを包んで。
「お花がいいのなら、こっちも……餞に」
 旅立つかれへ、それが最期の一手となった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第3章 日常 『星空でダンス』

POW荒々しく、或いは力強く踊る
SPDテクニカルに、或いは速さを意識して踊る
WIZ優雅に、美しく踊る
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●さあ、踊りましょう
 夢と語らう星月夜の絨毯。憧れで編んだ夜薄絹のカーテン。
 猟兵たちを迎え入れたそれら夜飾りたちは、刻一刻と移ろう濃淡へかれらを誘う。
 届かぬ星もあるけれど。ダンスを楽しみながらグラスを傾ければ、少しだけ分けて貰えるだろう。
 掴めぬ色もあるけれど。双眸に、写真に、映像に残して想い出にするのも良い。
 そして満天の星空で顔を出すのは、白く目映い星ばかりではない。
 この時期、蒼に輝く星を見つけたならば、それこそが『願い星』だ。
 望みを叶えるための力をもたらし、そのための運を運んでくれるお星さま。
 ディメニェーロの地を発祥とする、子守唄代わりの物語。

 ――踊りましょう。
 つま先で蹴らした星たちと一緒に、楽しく踊り続けられたら。
 ダンスのパートナーと想いを紡ぎ、星の海で揺蕩い続けられたら。
 夏の願い星が、微笑んでくれる。そうすれば願いへ近づける。

 昼間の熱が残るも涼夜になる今日、果てなく済みきった彩りへ向け、浮島から発つ人の影は止まない。
 それはいずれも優雅に、軽やかに、あるいはちょっとぎこちなく宙を舞っていた。
 擬似的な翼やロケットなどの推進機構を授かった者は、飛び方がわからないだけかもしれない。
 久しく空から遠ざかっていた者は、飛び方を忘れているのかもしれない。
 どんな飛び方だって構わない。どんなダンスでも良いのだ。
 君が君らしく夜空を翔けても、いつもの自分とは違う世界へ挑んでも。
 『ディメニェーロの短夜』はきっと、味方になってくれるはずだから。
 綺羅を飾って、ステップを踏んで、夜風の囁きや誰かの声をBGMに――夜の目も寝ずに、踊り明かそう。
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

終わったね…
そして…目の前に広がる星の海…
宙舞う船の世界で見た星の海とは違うね…

ダンス…か…
踊る事は苦手だけど…空に舞う事くらいなら…
【御伽の国の処刑人】で赤装束に変身
空を飛びながら薔薇の花弁と地獄の炎を散らす
[パフォーマンスと存在感]で駆け巡ろう

アンナ…私と同じ名を持つあの少女は無事だろうか…

願い星よ…もし私の願いを叶えてくれるのならば…
もう一人のアンナのこれからの行く末が少しでも幸多からん事を…

彼女のこれから先の人生の旅路の無事を
静かに[祈り]捧げよう…


 終わった、と吐いた音すら夜気が浚うおかげで、仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)の四辺は静かな星空を保っていた。
 星月夜を一望して、平穏が訪れた浮島の賑やかさを背に、彼女は纏っていたものを掻き寄せる。血肉でもある炎が巡るから、寒くはない。
 ただ心なしか涼しく感じる。この世界における夏の夜がそうなのか、この一帯がそうなのか、いずれにせよアンナに「寒い」と言わせるのは至難の業だ。
 そんな夜の葛藤も知らず、彼女は夜露に濡れたような睫毛を、ゆっくり上下させていた。
(星の……海……)
 星たちが頻りに瞬き、主張しているのがアンナにもわかった。
 誰かに見つけてほしいのだろう。右を向けばきらきらと歌い、左を向くと清かに輝いてくれる。星ひとつひとつが、あまりにひとと近い世界。
(宙舞う船の世界で見たのとは、似ているようで似ていない……)
 星の海という言葉で一緒くたにできても、いざ身を沈めてみると違う種類だった。
 だから僅かに目を瞠り、彼女は冴えた星灯りを浴びながら浮島の端へ立つ。
(ダンス、か……この星の海は、どんなダンスを知っているの……?)
 ぎこちなく片足を前へ出して、アンナはつま先で夜を蹴った。
 すると、赤へと変じながら漆黒が空を駆る。
 アンナの軌跡を飾るのは、散りゆく薔薇。深い青と澄んだ黒が混ざった絶景へ、赤く鏤められた花の一片一片が踊る。もしかしたら、燃えるように舞う使い手よりも上手に、雅やかに。
 そしてアンナの方は、尾を引く炎で夜空へ曲線を描く。線は途切れることなく、アンナの動きに沿って渦をつくる。彼女が己の赤によって生み出す影は、影と縁遠いはずの景色を一驚させた。
 どこまでも赤い焔が夜を撫で、かと思えば踊っていた薔薇の花びらたちが、夜に寄り添う。
 アンナはその間にちらりと、浮島を一瞥した。
(……アンナ……)
 唇で形だけ作り、声は飲み込んだまま先刻の少女を想う。
 無事だろうかと、同じ響きを持つ少女のことが気にかかった。
 だからアンナは炎と星灯りを繋いで、蒼の灯を探す。
(願い星よ……私の願いを叶えてくれるのならば……)
 まじろいでも消えぬ星の光を確かめ、アンナは眦をほんの少しだけ和らげる。
(私自身のことは、いい。もう一人のアンナを……)
 かの少女のためにアンナは祈り始める。
 元より、自分のためだけに願う気など無かった。
(これからの、アンナの行く末が少しでも幸多からん事を……)
 まだ見ぬ空の上で、数多の飛空艇を渡るのが少女の勤め。
 だからこそアンナは、彼女の人生が晴れ渡った空を進めるよう、心を篭めた。
大成功 🔵🔵🔵

レザリア・アドニス
夜空は、呼んでいる…翼ある者を
では、行きましょう?

地面を軽く蹴って、黒い鳥に擬態した死霊ちゃんと一緒に羽ばたき、夜空の海へ往く
さすが空の世界、青の楽園
流れる夜風に乗って、海に帰る魚のように飛んで、踊る
飛翔があまりにも気持ちよすぎて、星の海に溶けていく気さえもする

ねえ死霊ちゃん
青に輝く星が、『願い星』というもの
見つければ、望みを叶えてくれるかもしれない
どうします?探してみましょう?
見つければ…どんな願いをしようかしら?

一夜限りの夢でもいい
思いっきり楽しみましょう


 どの世界とも違う色で、ここの夜はレザリア・アドニス(死者の花・f00096)を迎え入れた。くん、とレザリアが鼻先を鳴らしてみれば、澄んだ夜気はどこか痺れるように甘く感じる。ディメニェーロの短夜とやらがそうさせるのかは、わからない。分からなかったが彼女は跳んだ。
 呼ばれている。そんな気がしたから。
 行きましょう、と囁けば応じるのは肩に止まっていた一羽の鳥。彼女にとって大切でいとおしい死霊ちゃんの、擬態した姿だ。世界を浸す夜の色よりも深い黒色の鳥が、レザリアに応じて翼を広げていた。
 地面をトンと蹴ったレザリア自身も、展開した両翼を柔らかく動かす。羽ばたく音すら心地好いぐらいに、風は穏やかだ。眠りを促す時の優しさでレザリアと黒い鳥の星空散歩を眺める風と違い、星という星は遊びに誘うように囁きかけてくる。
(まるで……小さな子どもみたい……)
 夜に透けそうな白い腕を広げてみるも、近そうで遠い星屑。
 淡く色づいた指先で風をなぞってみるも、触れそうで触れない星の粒。
(やっぱり、空を飛んでも星は星……ね)
 ふるりと睫毛を揺らした少女は、大いなる海に抱かれながら夜を往く。
 翼ある者を招いていた星へ控えめに手を振って、おりおり死霊ちゃんと顔を見合わせては微笑みあって。
「さすが空の世界……」
 まさしく青の楽園だと、レザリアは感嘆を紡いだ。
 海を駆れば、星の波に乗ってどこまでも滑空できる。川を渡れば、星たちのダンスが彼女の軌跡を描いて流れゆく。似た景色が続くようでいて、彼女たちをくるんだ世界は、彼女が瞬くたびに姿を変えた。そんな中を飛ぶのがどこか、懐かしい。
「帰りたくなる、という気持ち……こういうもの、かしら」
 郷愁と呼べるものも懐旧の念も、少女にはちょっとばかり縁遠く。けれど、誰もが覚えられる情であると識っている彼女には、そうとしか例えられぬもので。
 首をかしげた友と共に、レザリアはその感覚を夜風へ流す。
「……溶けてしまいそう」
 夜色を混ぜてとろけたまなこのまま、彼女は天を翔けていく。
「ねえ死霊ちゃん」
 そしてふと傍らへ呼びかけた。
「青に輝く星が、願い星。望みを叶えてくれる……かもしれない」
 星の彩りを確かめていったレザリアは、彼女自身が『アオ』と確信できる光を探す。
「どんな願いをしようかしら? 不思議……死霊ちゃん、私……」
 人知れず浮き立った心が、彼女の頬に滲む。
「今を楽しんでいるみたい……」
 一夜限りの夢を。千ある夜の中、たったひとつきりの今夜を。
大成功 🔵🔵🔵

ユノ・フィリーゼ
空中浮遊やスカイステッパーで、
軽やかにステップとリズムを刻みながら
くるりゆらりと踊るように輝く空をゆく

澄んだ夏風を友に、巡る夜空の舞台
出会う星々はみんな違う表情をみせてくれる
同じものなんてひとつもない
美しくも優しいひかり
…このひとつひとつが、
誰かの願い星なのかしら

(あの蒼い獣の君の分も、もしかしたら―。
そう思うことだけは自由、よね)

伸ばしかけた手をそっと下ろし、
想いは胸にひめたまま、空へとまた踊り出す
行く先であの子を見つけたなら声を

―ねぇ、アンナ
貴女だけの星は見つかった?
もしまだなら、良ければ一緒にどうかしら

果てなき蒼。この空の何処かにある
自分達だけの運命を見つけに


 蹴って、歩いて、どこまでも高くユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)は跳べる。
 靴先で星の欠片が遊んだ。ふふ、と小さく笑って彼女がくるりと回れば、星粒たちもつられて踊った。その流れが楽しくて、今度は踵を打ち鳴らす。タンッ、と快さで音が弾き、ユノの足取りも軽やかに次なる輝きへ向かっていた。
 呼吸をすると、鼻の奥まで心地好く抜ける澄んだ空気。それと涼しげな夏風を友に、彼女が巡り廻るは夜空で組み立てられた舞台だ。跳ねれば星も撥ね、回れば星も舞う。指の腹で夜を撫でていくと、遊ぼうと笑いかけてくるように星たちが吸い付いてきた。
(みんな、それぞれ違う表情をしてる)
 ユノが挨拶を交わす星も、視界に飛び込んでくる星も、種々の面差しをしていた。
 地上から見る限りは、不思議と同じような星ばかりが浮かぶ空に思えたのに――ここに、同じものなんてひとつもない。
(少し近づいただけで、こんなによく見えるなんて……)
 まばたきすら惜しみ、ユノは今ある世界を、自分が舞い踊るこの夜空を目に焼き付けていく。
 色を多く持たぬはずの星も、輝きの強弱で無数の色を生んだ。光が重なれば、より鮮烈な白や金色を創りだす。光が余韻を残して薄れるときには青みがかり、夜ならではの綾がユノを虜にさせた。
 もちろん白や黄金色に輝く星ばかりではない。あっ、と思わず声をあげたユノの頭上で、ひときわ目映い宝石が輝く。ダンスのために広げていた腕を、今度はその蒼星へと伸ばしてみせた。ぐっと背を伸ばし、腕をより遠くへ置こうとしたところで、ユノはふと考えた。
 もしかしたら、このひとつひとつが誰かの願い星なのだろうかと。
 もしかしたら――。
(あの、蒼い獣の君の分も……?)
 考えついた言葉に息を呑み、伸ばした腕をそうっと下ろす。
 そして再び天を翔けたユノは、空色の瞳にひとりの少女を写した。
「……ねぇ、アンナ」
 ユノは気付く。青に溶けてしまいそうな、寂しげな眼差しでいる少女に。
「貴女だけの星は見つかった?」
 こてんと頭を傾けて尋ねてみると、アンナはかぶりを振る。
「どれも綺麗だけど、たぶん私の願い星ではないと……思うのです」
 あからさまに垂れ下がった眦を知って、ユノの口端がやさしく持ち上がる。
「そう、まだなの。良ければ一緒に……どうかしら?」
「一緒に?」
 晴れた空を宿す眸で射抜かれ、アンナがそわそわし始めた。
 そんな彼女へ、ユノは飾らぬまま手を差し出す。
「ええ、そう。一緒に踊りましょう?」
 ユノが贈った微笑ときっかけの手は、アンナの閉ざしていた笑みを咲かせて。
「はい。喜んで!」
 そうしてふたり、蒼が深まる夢の終わりへ向かって、踊り出す。
 この空のどこかにある、自分たちだけの運命を見つけるために。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年08月02日
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵