5
紙花に憂う

#UDCアース #UDC-Null

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース
#UDC-Null


0




●少女が騙る噂話
 あのね。これ、隣のクラスの子から聞いた話なんだけど。
 恋が叶うおまじないがあるんだって。
 ね、ね、知りたい? ねえねえ!
 じゃあ教えてあげる。あのね、簡単なんだよ? 友達にお手紙書くでしょ? その一番最後にね、ハートマークつけるの。
 マル、の代わりに小さいハートマーク。赤いペンでね。簡単でしょ?
 そうしたら羊の神様が、好きな人と自分を縁結びしてくれるんだって! 運命の赤い糸で結んでくれるんだってー! きゃー!
 あ、でもね――。

●グリモアベースにて
「諸君、カクリヨでの仕事ご苦労だったな」
 ヴィズは相変わらず上から目線で、猟兵たちを労う。
「あたしの故郷はかくして護られた。改めて礼を言うぞ。ま、これはつまり次の仕事だという事でもあるんだがね。UDC-nullって判る?」
 ――UDC-null。即ち「UDCの怪物によるものではないと証明されたもの」の事を指す。要は単なる虚言であったとか、噂だけで終わったとか、そういう部類のものだ。
 しかし其れはカクリヨファンタズムという世界の存在により、根底から引っ繰り返されてしまった。カクリヨから迷い込んだ妖怪による仕業であるという可能性が出た事で、UDC-nullのケースは“全て”再検証が必要となったのである。
「お陰でUDC職員は朝も夜もないそうだ。可哀想だが仕方ないね。――今回は其のUDC-nullについての案件だよ。……お前たち、手紙って書いた事あるかい? ガッコウでさ、ジュギョウ中にさ、お手紙書いて、紙を折って、後ろの人に渡す? みたいな? そういうのをやった事あるってUDC職員のおなごがいってたんだけど」
 どうやら其処に紛れ込んだUDC-null……いや、骸魂がいるらしい。女子にありがちなおまじないを利用した簡易召喚術式だよ、とヴィズは語る。
「文末に赤いハートマーク。其れだけさ。其れだけだが、念のこもった文字というのは恐ろしいものでねえ、神様さえ呼べてしまうのさ。結局女子達には何事もなく、ただの噂話だと当時は片付けられた。其の再調査をお願いしたい」
 手紙たちは保存され、現在はUDCが借り受けた事務所にまとめて運んであるという。其の数は嫌になるほどらしい。
 骸魂に憑依された妖怪たちが何処へ消えたかを突き止めるには、まず其の資料の調査から始めなければならないだろう。

「……其れよりさ、あたしは気になる事があるんだよ」
 ヴィズは小さく言う。内緒話をするかのように。
「このおまじない、とても巧妙に作られてるんだよね。大人が郎党組んでやる物々しい儀式ではないけど、心理をくすぐって浸透するような、もっと恐ろしい類の。……一体誰がそんな儀式を考えたんだろうね?」

●其の少女の名を、私は知らない
 ――でもね。
 其れだけじゃ駄目って人もいるじゃない?
 既に彼女いますとか。実は先生がとか。
 そういう人にはね、もう一つとっておきのおまじないがあるの。そうしたらね、羊の神様は槍を使って、そういう壁を取り除いてくれるんだって。
 友達に書くお手紙の中に、この中のどれかの文字を入れればいいんだよ。アルファベットだからちょっと入れづらいかもしれないけど……まずは「E」でしょ? それから……。


key
 こんにちは、keyです。
 今回はUDCアースでのシナリオとなります。
 UDC-nullの調査と敵の撃破です。

●目的
「暗号を読み解き、邪神を撃破せよ」

●プレイング受付
 タグ・マスターページにてお知らせ致します。

●このシナリオについて
「紙媒体の情報の調査」
「集団戦」
「ボス戦」
 となっております。
 紙媒体の情報の調査は、UDC組織が借り受けた事務所に無数の「少女達の手紙」が残っております(ヴィズも言ってますね)ので、そちらをひたすら調査してください。
 イメージとしては、ルーズリーフに要件を書いて、折り紙のように折って作る手紙です。覚えている人は覚えている筈。今もある文化かは判りませんが、keyが学生時代にはおおいに流行りました。
 調べてみれば主な痕跡のハートマークだけでなく、更に別の手掛かりが出て来るかも知れません。
 集団戦、ボス戦は断章にてご説明します。

●注意事項(宜しければマスターページも併せてご覧下さい)
 迷子防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは合言葉を添えて下さい。


 此処まで読んで下さりありがとうございました。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
123




第1章 日常 『電子化されてない資料を漁る憂鬱な仕事』

POW   :    気合いで黙々と資料を漁る

SPD   :    速読などを活かして迅速に資料を漁る

WIZ   :    効率の良い調査方法を考える

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 其の事務所は町中に立つコンクリート製のビルだ。
 3階建ての2階フロアを借りたという。
 其処に集まった君たちを待っていたのは、小さな紙きれの山だった。ピンク、黄色、オレンジ。或いはルーズリーフ。様々な色した少女達の手紙が開かれて、テーブルの上に雑に山積みにされている。
「まず、全部集めるのに苦労しました」
 くっきりと目の下に隈を作ったUDC組織の職員が言うには、似たような“おまじない”が近隣の地域で頻発した形跡があった事、それらを別の案件としてまとめていた事。故に全てのケースを集めきるのに時間がかかったという。
「更にそこから開封作業ですよ……単純労働とはいえ、長時間やっていると哲学的な気持ちになりますね。ただひたすら可愛いシールを剥いで、紙の引っ掛けをどけて、開いていく……何が起こるか判りませんから、中身を読むことはしていません。其れは猟兵の皆様にお願いしたい次第です。……え? プライバシー? そんな事言ってたらUDCの調査は出来ませんよ。ほら早く。僕らも出来る事は協力します」
 食事の用意とか、休息時のまとめとか。
 ――そう言ったけれど、職員は大あくび。少しだけ仮眠を取ると言って、別室へ行ってしまった。
 君たちは紙に向き合う。少女の秘密を暴くのを楽しんでも良いが、手紙の共通点だけは見落とさないように。
(ひたすら手紙を読んでいく作業になります。途中で休憩しているプレイングなどもOKです。2章3章につながるヒントは適宜こちらから提示しますので、少女たちの愛らしい手紙を楽しんでください)
ディ・アルカード
疲れ切った職員の背中を見送り

アレはしばらく帰ってこぉへんな

雑多に積まれた手紙を一瞥してから

しゃーないやるか

まず開封したガワ(ゴミ)の前に立ちます

そもそも
人手が足りてへんのが問題なんや

おもむろに軽く指を噛み
滲んだ血をガワに押し付ければ
パタパタと折り畳まれ
まるで折り紙の弥次郎兵衛のような姿へ
どんどん「スクラップ」と呼んでいる使い魔を量産していきます

まぁこんなもんやろ
ほなええかお前ら指示や
ばらして中身をここに持ってくるんや
さっさと終わらせるで

指示を出し使い魔達が、問題なく作業を始めたのを確認した後、
ダルそうに深く椅子に座り手紙を眺めます、、、

UDC-nullな、手紙が媒体とか、ほんまなんぎな話やで




 ――アレは暫く帰ってこぉへんな。
 疲れ切った職員の後ろ姿を見送りながら、ディ・アルカード(【D】・f34040)はそう確信していた。向き直れば手紙の山、山、山。流石にあの職員一人ですべてをこなした訳ではないだろうが、疲労の程が伺える。
 ――其れでも人手が足りんいうことやろ。其れが一番の問題や
 ディは手紙……ではなく、手紙がしまわれていた段ボールの前に立ち、おもむろに親指を噛む。ぎりり、と糸切り歯を強く立てれば、じわりと鉄の味がした。
「そもそも人手不足が問題なんやったら、増やせばええっちゅう話やな」
 ぽたり。
 真っ赤な血を一滴二滴、段ボールに落とす。すると段ボールがごそごそと動き出し、ぱたぱたと折れて形を成していく。
 二本真っ直ぐに伸びた腕のような形状は、まるでやじろべえのよう。其れが4つ5つと出来上がる様を見たディは、こんなもんやろ、と頷いた。
「よっしゃ、早速やけど指示やで。あの手紙をばらして此処に持ってくるんや。さっさとやるで、とりかかれ」
 彼の使い魔――“スクラップ”は命令に忠実に、どっかりと椅子に座ったディへと手紙を持ってくる。目を通せば「あの先生ウザい」だの「●●君のことどう思う?」だの、思春期らしい愛らしい内容ばかりである。
 ――これがほんまに召喚儀式に使われたんか?
 疑問に思うけれども、確かに最後の方を見れば、句点の代わりに赤いハートマークが小さく入っている。其れから目に留まるのは……
「なんかやたらめったら“LOVE”が多いなぁ。そんなに愛の安売りしたいんか?」
 そう、時折不自然にアルファベットが紛れ込んでいる事がある。LOVE、HOME、TO:●●ちゃん……見比べていると、微かに覚えのある香りがした。
「……これ、血か」
 そう。血の香りがするのだ。すんすんとよく出所を探れば、「E」「M」「T」「H」の辺りから強く香る気がする。
「何や、一気に物騒になってきたで……」
 他の手紙も見てみなあかん。
 ディは使い魔から受け取った手紙に、今度はほんの少しだけ真剣に目を通し始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・ゆず
こいがかなうおまじない……
……や、だめだめ。やっちゃダメ
……こんな簡単に恋が叶ったら、誰も苦労しないんだよなぁ
頭の隅に浮かんだあの人を振り払うようにかぶりを振って、お手紙を読みましょう

ひとつひとつ、目を通して行こう
文脈から外れた文字とか、ちらつく色、とか
UDCアースの中学には通っているけれど
こんなやりとりしたことないから少し新鮮
ま、わたし宛ではありませんけどね
みぃんなわたしを避けてお手紙回すんだもん
ふぅん、こんなことやり取りしてたんだ……

白紙のルーズリーフに、丸っこい文字を並べて
お手紙を見ながら真似て折ってみる
うーん、難しいなぁ

ひとつ、チョコレートをつまみながら
――あ、やば。汚しちゃった?!




 御園・ゆず(群像劇・f19168)は、何処にでもいる女学生に見える。三つ編みにセーラー服、内気そうなおとなしそうな表情。
 けれど其れは全て、演じられているもので。内側にある狂気を、ゆずはいつだって抑え込んでいる。特別な力がある事を、クラスメイトに知られたくなかったから。
 ――でも。其れでも、ゆずだって女の子だ。恋が叶うおまじない、という言葉には惹かれるものがある。
「……や、だめだめ。やっちゃだめ」
 ふるふると頭を振るう。そんなに簡単に恋が実る筈ないから。頭に浮かんだ影を必死に振り払い、手紙を読んでいく。
 色とりどりのペンで飾られた手紙は、其れ自体が青春を物語っているようだ。ゆずは手紙のやりとりをしたことがないから、新しい文化に触れた気がして少し新鮮だった。
 ――だって、みぃんなわたしを避けてお手紙回すんだもん。
 中身は他愛のない愚痴や悩み事。あとはハマっている漫画にアニメ、ファッションの流行についてとか。普通の子って、こんな事を書くんだね。ゆずは丁寧に目を通していく。
 ちょっと真似してみてもいいかしら。ちょっとくらい、良いよね。
 白紙のルーズリーフを鞄から取り出すと、丸っこい文字を並べていく。最近はどんなお仕事をしたっけな。あ、お花を配るお手伝いをしたな。其の事を書こう。
 かりかりと書いていくと、まるで日記みたいで。ちょっと手紙らしくないなって、苦笑。
 あとは手紙の折り痕を頼りに、自分もルーズリーフを折ってみる。ううん、難しい。巧く折れないし、なんだかいびつになっちゃう。
 なんだか疲れちゃった、とゆずは伸びをする。そういえばチョコレート買ってあったな、って、一粒摘まんで口に入れた。そのままチョコがついた手で手紙を取り――あっ!
「やば。 汚しちゃった!?」
 綺麗な方の手で手紙を持ち、慎重に確認する。汚れてはいないようだ、安心。
 ついでなので中身を確認する。この子はどうやら恋の悩みを抱えているようだ。しかもその相手には既に彼女がいるらしい。可哀想。――だったのだけど。

 “でも、きっと大丈夫だよね。私が勇気を持ってさえいれば、えめす様が手下を使って、相手を殺してくれるよね”

「……物騒すぎない?」
 思わず漏れ出た言葉。この“えめす様”は、何者なのだろう。邪神だろうか、其れともよく本に書いてあるただのおまじないの神様か。……後者であってほしいけど。
「うーん…」
 問題の手紙を翳して読み返しながら、ぺろ、とチョコの名残を舐め取る。
 血のように甘い味がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

手書きの暗号ですかー。そうなれば、私なんですよねー。
忍者文字ってのがありまして。まあ、『知ってる者同士ならば通じる』やつですねー。
ようは、おまじないする側と受けとる側で通じればよい、と。

紙での方が馴染みありますしねー。あまり苦ではないですよ。当主で頭領でしたし。
ふふ、文字を間違えたふり、ペンで消したように見せかけたり、可愛らしく絵にした文字とかねー?

『おまじない』はかくて『のろい』となる。漢字的には一緒ですけどね。
内部三人「見てて甘酸っぱくないか?」
忍の仕事に情はいりませんよ?
内部三人(武士)「はい」




 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の中には4人が済んでいる。
 其の内の一人、『疾き者』が、やりましょーと手を上げた。彼か彼女かも定かでないが、器の性別をくんで彼と呼ぶことにしよう。
 彼は忍者である。つまり、暗号や隠密の類にかけては彼はピカイチである。今回も手紙をさらりと読んで、これは他意のないもの、他意のあるもの、と手早く仕分けて行っていた。
「忍者文字っていうのがありましてー」
 誰にともなく語る。或いは内側の3人に向けてかもしれない。のほほんとした口調で喋りながら、他意のありそうな手紙に詳しく目を通し始めた。
「まあ、概要をかいつまむと、『知ってる者同士ならば通じる』という奴ですねー。これも多分同じでしょー。要は、おまじないする側と受け取る側で通じればよい、と。しかし紙とは古典的で良いですねー。これがけーたい?のメッセージだったら、追いきれないし捕まえきれなかったでしょうねー」
 文字を間違えたふり。
 ペンで消したように見せかけた本当の意味。
 可愛らしい絵にした文字。
 それらを『疾き者』は目敏く探し出し、チェックを入れておく。あとから照合するのに必要だからだ。
「しかし、不思議な事が一つ。このおまじないを誰が考えたのかという事ですー。多数の人間が協力しなければ呼び出せないようなものだとは予測が付きますが、一体何が目的で、どうやって構想を練ったのでしょー? これ、普通の女子中高生には出来ないと思うんですけどー」
 特定のアルファベットから香る血の匂い。文末の赤いハートマーク。時折話に出る“えめす様”という存在。
 それらをピックアップして、彼はうーん、と唸った。
「あと気になるのは、この手紙は“そのまま”捨ててくれと書いてる子が多い事ですねー。普通は恥ずかしくて“千切って捨てて”とか言うと思うんですがー」
『まあ、甘酸っぱいもんな』
『見ててこっちが恥ずかしくなる』
「はいそこ。忍の仕事に情はいらないんですよ?」
『ハイ』
 つまりナイーブハートな武士野郎どもは引っ込んでろという事である。
 そのまま捨てて欲しい。其の意味は何だろう。捨てられた手紙は何処へ行く?
 ――まずは屑籠。恐らくは教室の。そうして教室の屑籠から……一か所に集められて、処理場へ。そして。
「……燃やされますねー」
 其れが狙いか。
 恋の炎にかけたのか、炎のような執念か。『疾き者』の瞳は、手紙たちの裏にちらつくシルエットを捉えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『アングラーフィッシュ・レイダース』

POW   :    丸呑み攻撃
【頭部の誘因突起から放つ催眠光】が命中した対象に対し、高威力高命中の【丸呑み攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    祭儀場の召喚
【口から吐く霧状の催眠ガス】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を邪神復活の儀式空間に変える霧で満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    胃袋空間
小さな【体躯】で【丸呑みした口】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【広大な胃袋空間】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「皆さんの調査と当事者からの聞き取りで、大体の儀式の概要が判りました」
 仮眠から目覚めても隈の取れないUDC職員が、ファイルを手に話し始める。
「このおまじないで信仰されていたのは“えめす様”。おまじないの内容は「文末に赤いハートマークを付けて目印にする。そしてペン先で指を突き、「E」「M」「T」「H」のアルファベットには血の混じったインクを使う。えめす様は目印と呼ぶ声に引かれて、願いを叶えるためにやって来る……という事です。えめす…恐らくEMETHと書くのでしょう」
 部屋にあったホワイトボードに、職員がアルファベットを並べる。
「これは魔術の基本、ゴーレムの心臓部に刻む文字です。Eを消すとMETH……死を意味する単語になり、ゴーレムは崩れてしまうという……ああ、ご存じないです? そうですか。兎も角、魔術的アプローチの方法は判りました。此処は町中で危険ですから、人のいない港町の倉庫へ向かってください。手紙は職員が運びます」

 ――斯くして、汐風香る港町の倉庫に案内された猟兵たち。
「手紙を焼却する事で、既に召喚されている筈の邪神に意思の伝達を試みます。恐らく燃やされるまでが儀式だったのでしょう。……しかし、いきなり本命が出て来るとは思えません。まずは使い魔が出て来るかと。駆除をお願い致します」
 そうして職員が合図をすると、中央に積まれた紙の山に容赦なく火のついたマッチが投げ込まれる。少女達の青春がめらりと火に巻かれた。
「私は防御を張っているのでお気になさらず。好きに暴れまわって下さい」
 手紙はまるで脂を塗っていたかのように瞬く間に燃え上がる。
 其の中からずるり、ずるり、と出てきたのは――顎だけが異様に大きな異形。

 ――めじるし きえた
 ――いけにえ どこ
 ――かみにささげる いけにえ
 ――かみ おなかへってる

 ぼそぼそと呟くような声で異形は呟き――牙を剥いた。
 骸魂というには余りに凶暴な存在が、君たちに襲い掛かる。
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
武器:漆黒風、四天流星

おやー、また盛大に燃えたと思ったら。
では、やりますかー。

先制攻撃で、陰海月と一緒に四天流星投げましてー。
ふふっ。ええ、私たちの前に来るといいでしょう。

そこは死地。四天流星に囲まれし場所。
つまりは…私たちの呪い、その落雷地点なり(指定UC発動)

まあ、捕まらないように見切りますしー。
内部三人が結界術張ってくれてますのでねー?
私たちの結束、舐めないでくださいね?


少年心溢れる陰海月、四天流星を相手囲むようにぽいぽい投げる。抵抗めっちゃする。
相手、何か怖い(幽霊は平気。義透の事情も知ってる)。ぷきゅっと鳴く。




 ――あの●●って子、ちょっとウザいよね
 ――先生の教え方もうちょっとどうにかならないかなー

 異形が囁く。生贄を囁く。
 手紙に込められた少女達の“想い”を食い荒らして、模倣している。
 其れは冒涜だった。人間の想いを食料としか考えず、価値なく食い散らかしていた。
「おやー、また盛大に燃えたと思ったら」
「ぷきゅ」
 けれども、そんな事は義透には関係ないのだ。
 傍に陰海月を従えて、“疾き者”は鏢を投擲する。オブリビオンは身軽にそれらをひょいと避け、次々と義透と陰海月の元に接近する。
「ぷきゅ!」
 やだやだ怖い。逃げ出したのは陰海月。ぽいぽいと鏢をまき散らしながら、オブリビオンと追いかけっこ。
 持っている鏢で直接異形を切り裂いて、あらあらと“疾き者”は困ったように笑った。
 其れもまた計算内だからだ。ぷきゅぷきゅ鳴きながら逃げる陰海月も、まきちる「ひょう」も、全て。
 異形が陰海月を飲み込もうとあんぐり口を開けた瞬間、陰海月は円形に逃げていた足を止め、一気に斜めに走り込んだ。
 異形が其れに続く。ああ、其処は奈落の口。配置された鏢が輝き――
「時は今」
『今こそ好機』
 四人の悪霊が声を上げる。そうして落とされる――漆黒のいかづち。まるで柱かと見紛うような其れは見事に異形の集団を直撃し、多くを滅し、近くにいた者に麻痺の呪を与えた。
 ごろん、ごろん。或いは青黒い灰になり、或いは転がり動けなくなる異形達。

 ――告白しちゃおっかなー
 ――どうやって呼び出したらいいと思う?

 壊れたテープのように再生される少女たちの想いだが、其れに“疾き者”は耳を傾けない。
 ぷきゅぷきゅと無事帰還した陰海月を撫で――おや?
「脚がちょっと焦げてしまいましたねー。ごめんなさいねー」

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・ゆず
うっわ……グロ……
近寄らないようにしよ…

異形に軽く引きつつ、お仕事はきちんとこなしませんとね
ヴァイオリンケースからパーカーホールM85を取り出して
倉庫の影に隠れて狙撃です

邪神に捧げる生贄など居ませんよ
おんなのこを騙すだなんて、お仕置きです!
スコープを覗いて、一射一射確実に
現実には居もしないカミサマに祝詞を捧げながら引鉄を引きます
そう、神様なんて居ないんです
恋を叶えてくれるカミサマも、わたしを救ってくれるカミサマも

他の方をアシストするように動きますね
弱っている個体を狙撃したり、猟兵さんへ襲い掛かってくる個体を撃ちます
……さて、次はえめすさま、ですか
早々に片づけたいですね




 ――友達を増やすってどうしたらいいかな?
 ――●●くんと仲良くなりたい! イケメンだし!

「うっわ、グロ……」
 外見もそうだが、呟いているのが日常だというのがまた奇怪だ。こういう手合いには近づかないに限る。ゆずはヴァイオリンケースを持ち直すと、異形が炎から生まれ、周囲を把握する前に倉庫の荷物、其の陰に隠れる。
 ヴァイオリンケースから取り出すのはパーカーホールM85。ボルトアクション式の長距離専用ライフルだ。遊底を一度引いて弾を装填すると、荷物の陰から異形に向けて構える。この荷物は柔らかい。もし相手が体当たりを仕掛けてきても、荷物が崩れてきてアウト、なんて事にはならないだろう。
「邪神に捧げる生贄なんていませんよ」
 そう、もう手紙は全て燃えてしまったのだから。
「おんなのこを騙すだなんて――お仕置きです!」

 ――水泳、面倒だから休んじゃ ギャッ

 耳障りな悲鳴を上げて、大口からガスを散布していた個体がこてんと倒れる。どうしたのか、と異形達が彼をつつくが、頭を的確に打ち抜かれた彼は最早起き上がる事はない。ざらりと青黒い灰になってしまった。
 ゆずは冷静に冷徹に事を運ぶ。遊底を引き、肉眼で確認してからスコープを覗き、銃爪を引く。たった其れだけ。打ち出された銀の弾丸が、異形をあやまたず撃ち抜いた。
 心の中でゆずは何処かで見た祝詞を唱える。
 でも、カミサマなんていない。彼女はそう思っている。恋を叶えてくれるカミサマも、ゆずを救ってくれるカミサマもいない。いるのは敵と味方だけ。信じられるのは自分の腕だけ。そうじゃなきゃ、此処で大きな銃を使って異形を撃ち抜くなんてそんな、そんなこと、

 ――明日カラオケいかない?

「!」
 いけない、ぼーっとしていた。接近した一体の異形が、ゆずに噛み付こうと飛び掛かる。
 咄嗟に銃を横に構え、その大きな牙を銃で受ける。幸い小型だ、振り落とすのは容易い。脚で押さえて銃口を押し付け、BANG。さようなら。
 ゆずは場所を移すことにした。荷物の影から荷物の影へ動きながら、其れでもやっぱり、と結論付ける。
 カミサマなんていない。いるのは敵と味方だけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
 オラトリオのシンフォニア×聖者の女の子です。
 普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
 独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 ――カラオケちょうど行きたかったんだー!
 ――B組の●●さん、ちょっと不気味じゃない?

「これは……手紙に書かれていた文言……でしょうか」
 月詠・莉愛(銀の月を謳う・f16320)はまるでアンコウに小人の身体が生えたような異形を前にして、不気味な呟きに訝し気な顔をした。
「生贄は何処だ、とも言っていましたね。彼らは文字……手紙の感情を食らっていた……? ううん、ちょっとよく判らないです」
 そんなものが生贄になり得るのだろうか。
 少女達が他愛なく交わす文字列が? そういえば、直接手紙を調査した人たちが何かアルファベットを言っていたような……

 ――あそこのクレープ美味しくない?

 棒読みで呟かれる言葉は間近。はっと莉愛が顔を上げると、異形がぷっくりと頬を膨らませて莉愛に飛び掛かるところだった。
「――ッ! 光の矢よ!!」
 莉愛が指差すと。無数の光の矢が大地から出でて、異形を串刺しにする。跳躍した軌道をそのまんま反対方向へ飛びながら、ばかりと口を開いた異形。催眠ガスがふうわりと舞い、其の場を儀式空間へ変えていく。
 アンコウの異形達は、どうやらこの空間を変えることを優先したようだ。催眠ガスをあちこちにばらまきながら、倉庫の中央で円を描くように歩いている。
「このままでは邪神を召喚されてしまう……でも……!」
 今なら狙いをつけやすい!
 莉愛は光の矢で、規則正しく円を描く異形達を容赦なく撃ち抜いていく。

 ――えめす
 ――めす
 ――えめす
 ――めす

 異形はふうわりと青黒い塵になって消える。
 しかし、邪神召喚の儀式は間もなく完成しようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
『貴方はどんな血を流すのかしら』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
特徴 長髪 のんびり 社交的 惨殺ナイフを愛用 実は胸が大きい
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で社交性と近接戦闘特化。お嬢様口調だけどアグレッシブ
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】。ちょっぴり猟奇的かもしれないが、そこはご愛嬌
槍を使うことがあれば、相手を【串刺し】にします
その他使えそうな技能があれば適宜使用する感じで
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー

あと、虫が苦手




 ――えめす
 ――めす
 ――えめす
 ――めす

 ――そういえば思ったんだけど、おまじないってさ

「随分とうるさい雑魚ですこと」
 中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)……もとい其の副人格「シルヴァーナ」はナイフで容赦なくオブリビオンを切り裂きながら不快そうに其の柳眉を顰める。
 残像すら残りそうな、踊るようなステップ。 Zanne di squalo――鮫の牙と名付けられたナイフによる鋭利な切り裂き攻撃は他の追随を許さない。あんぐりと口を開ける異形たちを容赦なく美しく切り裂いていく。白い髪がふうわりと踊る様は芸術のようだ。

 ――誰が教えてくれたんだっけ、覚えてる?

「……」
 しかし、異形の言葉にも意味がある。シルヴァーナは言葉を聞いて口を噤んだ。
 少女達はおまじないの出所を知らない? おまじないは何処から広まった? あのグリモア猟兵が「浸透する悪質さ」と言ったこの邪神召喚の手順と関係があるのかしら?
「ああもう、しつこいったら!」
 飛び掛かって来る異形数体を切り裂いたシルヴァーナに、他段攻撃で飛び掛かる異形。シルヴァーナはナイフを向け――ばちん、と留め金を外した。
 どつんっ、と音がして、異形に勢いよく刃が突き刺さる。持ち手から外れた鮫の牙は、狙いを違えなく撃ち抜いて青黒い塵へと変えた。
「わたくしから逃げられると思ったら、大間違いですわよ! ……いえ、この場合は私達が逃げる側なのかしら? 癪ですわ!」
 殺戮本能がうなりを上げる。塵の中から回収したナイフを持ち手にカチリ嵌めて、シルヴァーナは踊る。猶予は100と6秒、其れを越えれば元の人格である「裕美」に身体を明け渡し、シルヴァーナは眠らねばならない。
「ああもう、1分間は休憩時間とかにならない、かし、らッ!」
 裕美にも戦闘力はあるが、自分のように接近して切り裂くタイプではない。どちらかといえば遠隔からの攻撃を得意とするタイプだ。
「いえ、別に……心配してるわけじゃ、ない、ですけど……」
 そうして時間が近い事を察すると、シルヴァーナは後ろへ跳んだ。物陰にダイブするように隠れ、そうしてがくりと頭を垂れる。
 するすると其の髪色が黒色に変わり、懐から取り出した眼鏡をかけたのは……“裕美”だった。
「……取り敢えず、……手紙なんてリア充の権化みたいなもの、だと思うけど」
 安易におまじないとか、よくないよね。
 裕美はうんうん、と頷いた。そうだね、よくないね。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロラン・ヒュッテンブレナー(サポート)
※絡みアドリブOK
※感情が尻尾や耳によく表れる
※人見知りだが【優しい】性格で育ちのいいお坊ちゃま
※戦闘時は魔術器官と電脳空間の演算力を用いて知略で戦う
※「ぼく」「~なの」「~さん

体のあちこちにつけた魔道具の回路を起動し(【高速詠唱】)、
狼の嗅覚聴覚視覚(【聞き耳】【暗視】)を駆使した【情報収集】と、電脳空間からの【ハッキング】で敵戦力を分析(【学習力】)

適切な魔術(UC)を組み合わせたり【乱れ撃ち】する
防御は【結界術】で作る【オーラ防御】壁や、
小柄な体系と狼の機動力(【ダッシュ】【残像】)を使う

仲間を守り、敵には【勇気】をもって容赦ない作戦・攻撃を行う(【全力魔法】)




 ――えめす
 ――めす
 ――えめす
 ――めす

「敵が本格的に召喚にはいってるの?」
 ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は狼の嗅覚で気付いていた。何かが来る。円を描いて踊るように歩く異形達の中央にエネルギーが収束している。それは電脳空間からのハッキングを用いた情報収集でも裏打ちされた情報だ。
 このエネルギー体には今は手出しできない。本格的に邪神を召喚する準備に入ってしまった事にロランは僅かに眉を寄せるが、ならばと胸に手を当てる。
「おねえちゃん、力を借りるの」
 大切な義姉の幻影が背後に現れ、ロランに加護を施す。UDCの伝承では人狼と吸血鬼は豊穣をかけた天敵同士だというが、ロランとダンピールである義姉にはそんな事は関係なかった。大切なおねえちゃんから借りた力で、敵の数を減らすの。
 人狼吸血鬼は空を駆ける。じぐざぐに飛行しながら月光を放つ。月の光に照らされて、アンコウの異形は身体から力が抜ける異常な感覚に襲われた。其れはまるで、月に病んだかのよう。其の隙にロランは詠唱し、風の刃で敵を切り裂いていく。
 頭部の誘因器官から光を放つ異形もいたが、超高速で飛行するロランには掠りもしない。気付けば座り込んでしまって、そうして風の刃でざくり、だ。
 けれど、上空から見ればありありと判った。魔法陣が倉庫の中央に描かれている。エネルギー体は其の中央で、いよいよ形を作り――邪神が現界しようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『『白羊卿』アリエス』

POW   :    輝け我がハマル
【頭の角に火の魔力が宿り、巨大】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    輝け我がシェラタン
【手にしたトライデント】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    輝け我が白羊の庭
【足元から生え続ける植物】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アルム・サフィレットです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ――赤いハートマーク
 其れは目印となり、遠き星辰の果てにいる神へと繋がる。

 ――EMETH
 少女達が記した感情の欠片は、ちりばめられた其の文字によって生命を得た。

 ――METH
 少女達の想いは焼かれ、仮初の命を得た感情の欠片たちは「生贄」となる。

『召喚の儀、大儀であった!』
 吼え猛るような声が倉庫にこだまする。其処にいたのは羊の巻き角を備えた男。手にはトライデント、足元にはふうわりと緑が生い茂り、邪神のイメージとは程遠く感じる。
『勇気ある者たちよ、願いを叶えよ……む?』
 其の場の雰囲気に、白羊卿は不思議そうな顔をする。
『成る程。私はどうやら、今回は邪魔者のようだな』
 ははは、と笑う其の様すら豪快である。
 場所が場所、状況が状況であれば正しく崇められたのであろうが、このUDCにおいては彼は邪神と定義されてしまったのだ。
『生憎と、私には邪神らしい事は出来んが、君たちの力を測る事は出来る!
 思えばこの術式を“彼女”に貸し与えたのは数十年と昔であった。知らぬうちに歪んだのか、術者が私を歪めようとしたのかは定かではないが』
 白羊卿は顎を撫で、ふむ、と思案する――まあ良いだろう、とトライデントを倉庫の床に打ち付けて甲高い音を立てた。
『斥候を倒し、私を呼び出した猛者たちよ! 見事私を討ち果たして見せるがいい! そうしなければ……そうしなければ、どうするかな。少し外を散歩してみるか?』
 随分とのんきな邪神のようだが、このような存在に外を闊歩されてはUDC職員が気絶してしまう。カクリヨ由来の神様だからのんきなのかもしれないが、兎に角、元居た場所にお帰り頂こう!
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて

ゆるいですねー(表向き、のほほんな人が何か言ってる)
しかし、術式の大元を考えたのはあなたでも…伝えた人が別にいる、ですかー。
まあ、今考えても仕方ありません。

指定UC発動しましてー。かわいいですよねー、陰海月。
まあ、相手適応してもいいんですよ。対抗UC固定したいのでー。

ふふ、その間合いには近づかず。漆黒風を投擲していきましてー。
ああ、踏み込まれたら?そのときは結界で一瞬の間を作り、内部三人が操る四天霊障による押し潰しがいきますのでねー?
先程はわざと見せなかったんですよ。


陰海月、焦げた脚も何のその。避けを兼ねたゆらゆらダンスしてる。陰海月単体でも結界はれる。ぷきゅぷきゅ。




「のんきですねー」
 のほほんとした人が何か言ってる。義透は陰海月を傍に従えたまま、うーん、と考える素振りをした。
「術式の大元を考えたのは貴方ですかー?」
『ん? うむ、ゴーレムの儀式を応用すればと言ったのは確かに私だ。だが……』
「伝えた人は別にいる、と」
『そうなる。顔も名前も忘れてしまったが、年端も行かぬ少女だったことだけは覚えているな』
「成る程」
 情報として義透は受け取る。術式を歪めて広めた者については、これ以上問うても満足のいく答えはかえってこないだろう。
「取り敢えずー、貴方に外を出歩かれては困るのでー」
「ぷっきゅぷきゅ」
 陰海月ががんばるよ!と触手でぐっとガッツポーズ。むむむ……と力を溜めたかと思うと、なんと凄まじい色に光り始めたではないか。其の色はなんと1680万色。思うんだけどゲーミング何とかって割となんでそこが光る? って事多いよね。ゲーミング陰海月は全体が光っておりますが。
『ほう! これはこれは……光る海月とは。毒があるのか?』
「ありませんよー。いえ、どうでしょうー」
『ははは! 曖昧な物言いだな』
 なんとこの神様、見事にゲーミング陰海月を楽しんでいる。ゆらゆらダンスする様に癒されるなあと言いながら、トライデントを持ち直すのだから恐ろしい。
 義透とて、ただ海月に踊らせる訳ではない。棒手裏剣“漆黒風”を投擲する。
『ふむ、手数が多いな。乱破の類か』
 どうやら相手は攻撃回数の増強を選択したようだ。一度振るい、二度振るい、三度振るえば漆黒風は地にからりと落ちる。
『だが、私が近付けばどうかな?』
 白羊卿が踏み入る。ゆらゆらと陰海月がゆらめくなか、光を踏み越えるように巨躯の影が落ち。
「油断は禁物ですよー?」
 ぶわ、と義透から結界が広がる。白羊卿が振り上げたトライデントが一瞬止まり、む、と神が唸った。次に放たれるのは義透の内側に潜む三人が練り上げた四天霊障。結界と結界による圧し潰しが白羊卿を襲う。
『ぬぐっ……!』
 ばりん、と音がした。白羊卿が結界を打ち割った音だ。無理矢理に背中側の結界を破り、後退する。
『むう。さすが、一筋縄ではいかないか』
「ふふー。貴方もですよー。結界を無理矢理破るなんて、流石は邪神といったところー」
『邪神か。これでも善くあるように努めているつもりなのだがなあ』
 参った参った、と神は顎を大きな手で撫でた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アニカ・エドフェルト(サポート)
『よろしく、おねがいします。』
 オラトリオのサウンドソルジャー×聖者、6歳の女です。
 普段の口調は「読点やや多め(わたし、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、あわてた時は「読点少なめ(わたし、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「つまり、あなたは……ただの神様、ですか?」
 アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)は不思議そうに首を傾げ、白羊卿に問う。ふうむ、と羊角を湛えた神は顎を撫でた。
『ただの、か。そうかも知れん。少なくともお前たちに害をなそうとして此処にいる訳ではない。ただまあ、こうも長く生きてると悪戯心がだな」
「いたずらごころ、ですか。でも、お外を出歩かれるのは、困ります」
『うむ。ならば全力でかかって来るといい! 何しろ長く生きていると退屈でな、あらゆる本を読みつくし、あらゆるもので遊んでも、生は終わらないのだ!』
 其れは拳闘士であるアニカには羨ましい話だった。鍛えても鍛えても、果ては見えないというのに、相手の神は長い生に飽きている。
 けれど、短い生だからこそ高まる力もある筈だ。アニカは行きます、と告げた後、駆け出して神へと肉薄した。
『おお? 其のなりで近距離戦を挑んでくるのか! これは面白い!』
 神がトライデントを構える。刃を下に、柄を上に。槍のように持つと、一点集中、アニカの進路に置くように突きを放った。
「負け……ません!」
 アニカは“乗った”。勝負に乗って、槍にも乗った。相手が自分の勢いを利用する攻撃を放つことは想定していたし、なにより、得物持ちとの戦いを想定したトレーニングだって積んできた。ナメられては困るのだ。
『むうっ!?』
 歩に乱れのないままトライデントの先を靴底で押さえられ、神は槍を引こうとするが――遅い。アニカは一息にトライデントの道を駆けあがり、アニエスの角に一撃、二撃、蹴撃を叩き込んだ。
『ぬおっ……』
 相手の苦悶の声を聴きながら、角を蹴って至近距離から離脱する。くるりと回転して着地するアニカを横目に見ながら、神はクラつく頭部を押さえて耐えた。
『……成る程! 見た目にあわぬ重さ……! やるな!』
「そう、素直に褒められると、照れますが……ありがとう、ございます」

成功 🔵​🔵​🔴​

夜鳥・藍(サポート)
生まれも育ちもサクラミラージュのクリスタリアン。誰かの願いで転生した元影朧、らしい。そのため影朧には同情しがち。
それなりの良家の出で言葉遣いは丁寧。だが両親とは違う種族で生まれたのを悩み高等部(高校短大相当)卒業を機に家を出ている。現在は帝都で占い師をしている。

もふもふ大好き。
実家ではいろいろ我慢してたのもあって、飼えなくとも一人暮らし&猟兵となったことで爆発しがち。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「やりづらい、といえばやりづらいですね……」
『む? 何故だ』
 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)はあっけらかんとしている白羊卿を見て、困ったと眉を下げた。そういうところですよ、という言葉は飲み込む。
 邪神とは、と思わず疑問を呈したくなる明るさをした神に頭痛がしそうだ。しかし外を散歩されるのは困る。相手が本当に邪神だとして、外に出た瞬間本性をあらわすという事態もなくはないのだから。
「――とにかく、此処で一度去って貰います」
『ははは! つれないな! 私は折角外を見られるとわくわくしているが……いや! 其れは君たちには困るのだろう。ならばお互いの力をぶつけ合うだけだな』
 ――この神様、寧ろ半分脅しながら楽しんでいるだけではないだろうか。
 そんな疑念を抱きながら、藍は手に持った三鈷剣“鳴神”を宙に投げ上げる。まるで手品のように其れは1個から3個、3個から9個と増えていき――
「響け!」
 回転で鋭さを増しながら、白羊卿に迫る。
『ほう……これは神器だな?』
 トライデントを軽く手に持ちながら、神は興味深そうに顎を撫で、構える。金属同士が触れ合う鋭い音が響いて、一息に幾つかの三鈷剣が叩き落とされた。
 1つの直線をなぞり、いかに幾つの剣を落とすか。神は其れを楽しんでいるかのよう。
『神器同士、どちらが強いか――』
「勝負するのも悪くはない、ですか? ……生憎、負けるつもりはありませんよ。響け!」
 落ちた神器が持ち上がる。トライデントは三鈷剣を貫き壊す事が出来ず、ならば攻撃の手は激しくなれど緩まる事はない。
 攻撃の数を重視し、いかに多くを落とそうとも、トライデントは一本。徐々に白羊卿の白い肌に赤い傷が刻まれていく。
『ぬう、やるな……!』
 しかし楽しそうな彼を見て、やりにくい、と藍は幾度目かの溜息を吐くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エリカ・グランドール(サポート)
 サイボーグのシャーマン×電脳魔術士のエリカ・グランドールです。
 戦闘はあまり得意ではありませんが、周囲の状況を観察して違和感のある箇所を発見したり、敵の弱点を推測して隙を作り出すといった行動で皆さんをサポートしたいです。

※セリフ例
「今、何か光りました。ここに何かあるのでは……」
「あの敵の動きには規則性があるわ。うまく狙う事が出来れば……」

 冷静沈着と言う程ではありませんが、ビックリする事はあまりありません。
 あと、笑いのツボが良くわかっておらず「今の、どこがおもしろかったのでしょうか?」と、真面目に聞き返す事もあるようです。

 ユーベルコードは、エレクトロレギオンを好んで使います。


リン・ベルナット(サポート)
 「ヒーロー参上!悪党は覚悟してね!」


方針
仲間と協力できる時は協力するよ!

冒険の場合は考えるより行動するよ!なせばなる!

日常の時も体を動かせるような事をしたいね。

戦闘の時は身体能力を生かしてアクティブに戦うよ!
敵の攻撃はダッシュしたりジャンプで回避するか、バトンロッドを使った武器受けでの防御で対処するね。

ユーベルコードは敵によって適時使い分けて戦うよ!
集団戦なら纏めてドーン!って感じで戦うし、ボス戦なら強力な一撃をドカン!と叩き込んだりするね!

NG
犯罪とか他人が嫌がる行為はしないよ。ヒーロー的にも絶対にNGだもんね。後、公序良俗に反するようなこともNGだよ。




「ヒーロー参上ってね! ……でも……」
 リンは困った、と頬を掻いた。
「あなたが悪党なの?」
『む、私はまだ悪い事はしていないぞ』
「するようには見えないんだよねぇ……」
「けれど、相手はオブリビオンである事は確実」
 エリカが既に発動したユーベルコードで蜘蛛型の機械兵器を量産しながら淡々と述べる。
「何もしなければ外に出るというのは立派な脅しです。外に出たらパニックになります」
「そ、そうだよね! 外に出て皆が困るのは駄目!」
『そうかあ。君たちなら通してくれると思ったんだが』
「そんな顔しても駄目ー!」
 困った、と子犬のような顔をする白羊卿に、リンが怒る。
「兎に角! 此処は貴方の世界じゃないから、お帰り頂くしかないんだよね!」
『ふむ。まあ外に出られずとも、人の子と手合わせするのは楽しい! 其れで我慢するとしよう!』
 白羊卿の足元でざわめいていた緑たちがにわかに伸びあがる。蔦植物に似たそれらはぐんぐんと延びて、エリカとリンをしたたかに打ち叩こうとした。
「おっと! そうはさせないよ!」
「え?」
 ぐん、とエリカが引っ張られるような感覚を感じたのもつかの間、リンは彼女を抱えて素早く跳び下がる。植物が床を叩き、のたうって再び二人を狙う。其れを今度は横に飛んで避ける。
「あ、あの?」
 困惑を隠しきれないエリカ。いつも冷静なかんばせに僅かに戸惑いを浮かべながらリンを見上げると、大丈夫だよ! とリンが笑う。いや、そういう事じゃない。
「あなた、どう見ても後衛だし。攻撃されるの慣れてないでしょ?」
「……其れはそうですが、わざわざあなたの手をわずらわせるほどでは」
「大丈夫大丈夫! さあ、此処なら大丈夫かな。じゃ、行って来るね!」
 ある程度白羊卿から距離を取るとリンはエリカを下ろして、真っ直ぐに神へと走っていく。ぽかん、と其れを見ていたエリカだったが、はっと我に返ると機械兵器たちに命令を飛ばす。

『仲間を守る事を優先したか! とても好ましい気性だ!』
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、残念ながら戦わないといけないんだな!」
 バトンロッドを取り出し、駆け抜けるリン。一歩、二歩、――三歩。其の三歩目を音がする程踏みしめて、槍投げの要領で槍と化したバトンロッドを一息に投げ放つ。
『そう来たか! ならば私も!』
 白羊卿もまた、トライデントを構える。ぎり、と筋肉が隆起して、リンよりも早く鋭い一撃を投げ放つ。
 二本は交錯し、交わる事はない。互いに互いを狙って閃光の如く走り、

「……1番から50番は防御に回って」
 ただ一つ勝敗を分けた要員を上げるとすれば。
 リンは一人ではなかった。

 ぽた、と血が滴る。
 リンは気付けば肩で息をしていた。神の本気に一瞬あてられたのかもしれないし、肩をかすめて壁を穿ったトライデントの所為かもしれなかった。
『……見事』
 リンのバトンロッドは、白羊卿の角に突き立っていた。バトンロッドを引き抜くと興味深げに少し見つめ、投げてリンに返す。その足元からは光の粒が湧き上がり、神の退去を告げていた。
「……わたしが見事なんじゃない。後ろのあの子が護ってくれたから」
 そう。エリカが展開していた機械兵器達が盾となって、リンを守ったのだ。まるであぶくのようにトライデントの一撃で霧散してしまった彼ら。後ろを振り返ってエリカの無事を確かめたい衝動に駆られながらリンは静かに言う。
「もう帰るの?」
『ああ、もう帰る。時間も来てしまったしな』
「時間?」
「……まさか」
『ははは! 私の最後の秘密は、最後まで暴けぬままだったようだな!』

 ――時限式の召喚だっただなんて!

『兎に角、また会う事もあるかも知れん。其の時もきっと私はこの地では邪神と称されるのだろう。だが! 悪くない。悪くない時間だった! 人の子らよ、壮健であれ!』
 瞬く間に光の粒に包まれ、消えて行った白羊卿。静寂と手紙が燃えた跡ばかりが残る倉庫で、リンとエリカは同時に溜息を吐いた。
 ある意味、邪神よりもタチの悪い神様だった。



●After
 ――そう。あの儀式、まだ生きていたのね。
 広めたけど巧く行かなかったから放っておいたのだけど。
 何でも寝かせて置いたら巧くいくという事かしら?
 ……でも、女の子の純粋な想いを贄にした程度なら……ああいうのしか呼べないのかも。
 もっと凶悪なのを呼びたいわ。
 もっと残忍なのを呼びたいわ。
 もっともっと、この退屈な世界に爪痕を残すようなものを、起こしたいわ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月01日


挿絵イラスト