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猟書家の侵略~章魚烏賊之秋

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 関門海峡に浮かぶ「巌流島」。
 嘗て有名な剣豪が戦った場所として全国に広まった無人島は、天下一の剣豪を目指す者の憧れの地となり、そして、大菩薩峠で修行を積んでいた日下部太郎左衛門延乃進(くさかべたろうざえもんのびのしん)にとっても、夢の場所であった。
「おおぉ……念願の聖地巡礼に御座んス……!」
 小さな船を漕いで、舟形の島に降り立つ。
 ドキドキしながら辺りを眺めた延乃進は、見渡す限りの大自然に、かの有名な剣豪同士の死闘を思い描くつもりであったが、そこには大きなタコが待っていた。
「んむっ? なんと大きなタコに御座んス……!」
『剣豪さん、随分と凝ってるタコ~。按摩でホニャホニャにほぐすタコ!』
 クネクネ~と触手を動かしながら接近するタコ。
 いつの間に回り込んだか、タコは延乃進を砂浜に横臥させると、なんやかんやで按摩を施し、鍛え上げた筋肉をイイ感じにほぐしていく。
 接触直後はタコを「うまそう」と思っていた延乃進も、すっかりリラックスしてフニャフニャになり、
「ハ~! 極楽に御座んスなぁ……」
『そうそう、このまま極楽に逝っちゃうタコ~……』
 瞳を閉じた彼には、ギンッと目を鋭くしたタコは見えないのだった。


「猟書家の幹部の一人『真田神十郎』は東海道の宿場町で討伐されたけど、真田の意志を継ぎ、江戸幕府の転覆を実現すべく、また一体のオブリビオンが行動を始めたの」
 クルセイダーに与する邪が、またしても一体。
 猟書家の侵略が止まらないと、神妙な面持ちで話し始めたニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)は、深海より来たる恐ろしい悪魔の名を告げた。
「彼は『皇帝烏賊』唐鞠・咲……とっても大きなイカよ」
 非常に大きなイカで、触腕を含めると25mくらい。
 彼奴はエンパイアウォーの後、平和になった近海で海運を発達させた江戸幕府を物凄く嫌っていたようだが、此度、クルセイダーの野望を聞いて倒幕に賛同したという。
 花屋は困ったように説明を足して、
「この巨大イカは、部下の蛸オブリビオン達に秘術『超・魔軍転生』を施して、その一体一体に魔軍将『上杉謙信』の魂を詰め込み、瀬戸内海の巌流島に進軍してきたの」
 イカの部下はタコ。
 タコに詰めしは、軍神『上杉謙信』――エンパイアウォーでは「車懸かりの陣」で猟兵を苦しめた智将が相手とは厄介だ。
「巨大イカが率いるタコ軍団の狙いは、或る優秀な剣豪の命……日下部延乃進を抹殺し、強力な配下として加えようとしているわ」
 剣豪を殺し、オブリビオンとして蘇らせる。
 江戸幕府を打倒する為の軍勢の強化を図っているのだと花屋が言えば、無論、そんな事は許さないと猟兵が拳を握り、こいつらをやっつけようという話になる。
 コックリと頷いたニコリネは、現況を詳述して、
「智将『上杉謙信』を憑装したタコ達はやっぱり軍略に優れていて、彼等は剣豪を巧みに不利な地形に、海へと引きずり込もうするから、皆は剣豪が唆されないように守って!」
 タコは言葉巧みに話し掛けてくる。
 修行で疲れた身体を解そうとか、血行が良くなるとか、或いは問答無用で触腕を絡めたりして海へ引き込もうとするから、何とか乗り切って欲しい。
「一通りタコをやっつけたら、今度はイカよ。ボスの『皇帝烏賊』は兎に角大きいから、彼が好む海から引きずり出して戦うと良いかもしれない」
 憑装していないボスとは、力と力の純戦となる。
 イカをやっつけたなら、タコ軍団も烏合の衆と化して蹴散らせるので、華麗にやっつけて来て欲しいと話を纏めたニコリネは、ぱちんとウインクしてグリモアを召喚し、
「大丈夫、皆も随分と強くなったもの、水着で海鮮バーベキューくらいの気持ちで行ってきてね!」
 タコもイカも美味しいから、と。
 温かな光が猟兵を包んだ。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、猟書家幹部「真田神十郎」の意志を継ぎしオブリビオン『皇帝烏賊』の侵攻を食い止める「真田血風録」シナリオ(難易度:普通)です。

●戦場の情報
 サムライエンパイア、豊前小倉藩領の「巌流島」(船島)。
 海岸線で戦う他、小舟に乗って海上で戦ったり、海中戦も出来ます。

●シナリオ情報(二章構成です)
 第一章 骨抜き妖怪『衣蛸』(集団戦)
 OMOTENASIの神髄を体得したタコの妖怪達。
 旅路に現れてはOMOTENASIしてくれるが、実は罠。毒を持つ多くの動物がするように、身も心も軟体生物のように骨抜きにして、弱らせてから絞め殺そうとします。
 今回は「超・魔軍転生」によって魔軍将「上杉謙信」を憑装しており、剣豪を狙って進撃してきます。なお、食べられます。

 第二章 『皇帝烏賊』唐鞠・咲(ボス戦)
 自称・サムライエンパイア近海を統べる頭足類の王(オス・人間換算で約20歳)。
 日光浴と海中探索が趣味で、海の仲間を奪う船と乱獲する人間は絶許!
 見かけ次第、容赦無く沈めてしまう残酷なオブリビオンです。なお、食べられます。

●プレイングボーナス『剣豪を守る』
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 大薙刀使いの延乃進は猟兵ほど強くはありませんが、足手纏いにはなりません。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。
 また、このシナリオに導入の文章はございません。オープニング公開後、すぐにプレイングをお送りいただけます。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 集団戦 『骨抜き妖怪『衣蛸』』

POW   :    随分と凝ってるタコ~。俺たちのようにほぐすタコ!
【タコの保護色能力で全身を迷彩して接近し】【筋肉の塊である8本の触手で相手を捕まえ、】【マッサージで弱らせてからの絞めつけ攻撃】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    カッピングもやってますタコ~。血流良くなるタコ!
【タコの保護色能力で全身を迷彩して接近し】【非常に強力な吸盤で相手を捕まえて、】【カッピングで生気を吸い取り弱らせる攻撃】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    運動不足じゃないかタコ~?ヨガは身体に良いタコ!
【再生能力を活かして非常にしぶとく接近して】から【筋肉の塊の触手と強力吸盤で相手へ捕縛攻撃】を放ち、【操り人形のように強制的にヨガをさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アナスタシア・ムスハルト
🏝101240

のびちゃん、お久しぶりねぇ
ねぇねぇ、どうかしらぁ、この水着。かわいいでしょ~?
「誘惑」しちゃうわよぉ

ところで真田何某はもう倒れたって聞いたけど……
まぁ、むつかしいことはいいわぁ、とりあえず斬ればいいのよ

刀でズバっと「切断」
もう、のびちゃんばっかり狙って
あなたみたいなのは、女の子を襲うって聞いたことあるんだけど…………あら、もしかしてそっちがお好みなのかしらぁ?
怒って絡み付いてきたら、噛みついて食い千切ったり(大食い)、「怪力」で引き千切るわぁ

一度斬ったんだから、もう「見切った」わぁ
保護色で姿を消そうと、私の「致死断絶剣」からは逃げられないわよ

さぁ、新鮮なオサシミの捕り放題よぉー



「ハ~! 極樂に御座んスなぁ……」
 甲州の大薙刀こと日下部太郎左衛門延乃進がとうろりと瞼を下ろした、その時。
 聽き憶えのある暢然としたソプラノが眠気を払った。
「のびちゃん、お久しぶりねぇ。今日は巌流島に来たのぉ?」
「おぉ、その玉を轉がす樣な聲は……杏奈(あな)殿!! 息災に御座んスか?」
 がばちょと顔を持ち上げて仰ぐ麗姿こそ、アナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)――深秋の大菩薩峠で共闘した戰友にして恩人だ。
 渚に降り立ったアナスタシアは、月白の艶髪を汐風に搖らして頬笑み、
「ねぇねぇ、どうかしらぁ、この水着。かわいいでしょ~?」
「ハイ絶景!! 繊細ながら破壊力は抜群、角度も相俟って暴力的で御座んスなー!」
「あらぁ~、鼻血?」
 蠱惑的な水着で、最高のアングルから恩人を仰望した延乃進は、すっかり彼女に釘付けだが、今も按摩を施術中の『衣蛸』は面白くあるまい。
(『ほーん……お二人は顔見知りタコね……ほぉぉーん……』)
 巨蛸は8本の触腕をフル稼働しながら、二人の会話を注意深く聞いて、
「ところで真田何某はもう倒れたって聞いたけど……剣豪はまだ狙われるみたいねぇ」
「んむんむ……杏奈殿こそ天下の大剣豪に御座んスから、お気をつけ下され……」
「まぁ、そうねぇ……魔の手を感じたら、とりあえず斬ればいいのよ」
 云うや刀が魚鱗の如く晃乎(キラリ)と輝き、鋭利い切れ味で触腕を斬り落とす!
 宙を躍った赫黑い腕が、ズンッと濱辺に落ちたなら、アナスタシアは少しむくれた樣に佳脣を尖らせ、更に一閃ッ! 返す刀に二本目の触腕を切り離した!!
「もう、のびちゃんばっかり狙って。私も剣豪なのに」
『ッダコー!』
「あなたみたいなニュルニュルの悪者は、女の子を襲うって聞いたことあるんだけど…………あら、もしかしてそっちがお好みなのかしらぁ?」
『痛タタコ……これは作戰タコ、軍略タコ! OMOTENASIで剣豪を――タコーッ!!』
 痛がる間に、辨明する間に、今度は三本目をガブリッ!
 小さく愛らしい齒は然し頗る頑健で、少し塩味の付いた触腕に嚙み付き、食い千切り、更には「もっと」と食欲を煽られた健啖が、純然たる握力で四本目を引き千切る!
 一度斬れば全てを識る、【致死断絶剣】(デッドリーエッジ)が恐ろしかろう。
『タッタコー! ちょっと按摩で落ち着いて欲しいタコー! 気持ち良くギャッ!!』
 砂地と同化して回り込む触腕に鏨ッと刀を突き立てた佳人は、莞爾と頬笑み、
「さぁ、新鮮なオサシミの捕り放題よぉー」
 云うや瞬刻。
 閃爍一閃が渚に疾るや、ざんばらとタコの切り身が宙を躍った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

香神乃・饗
誉人f02030と
かがみのきょうのスクール水着と赤半纏
前に通ったスイミング以来っす
勿論泳げるようになったっす
からり笑顔
へっ
恥ずかしい水着っすか
これしか無いときょとん
替えてくるっす
言われる儘に替え
似合うっすか

浜辺でこうして油断してるフェイント
未来見て吸われる所を読み皆で避け
そこに刃突立てタコを斬りご馳走

俺食べたことないっす
美味しいんっすか
あ、誉人そこっすざくっといくっす
多分ここもっす
あと日下部太郎左衛門さんそこっす
へへへ剣豪に守られちゃったっす
お礼に一本どうっすか

七つ道具でおこしていた焚火で炙り料理
醤油たらし宴会
美味さに目キラキラ

じゃあメインで呑むっす
お預け

生作りこりこり美味しっ
ひあ
口中吸われて


鳴北・誉人
饗(f00169)と
🌴青無地のハーフ丈に白のパーカー

スイミングスクールに通って泳げるようになったのは俺もだけどォ
いや饗?ソレはな教室で穿く用の水着なんだわ…なんで今穿いてンのォ…
いいから穿き替えてこい
饗に🌴赤いショートパンツを握らせる

なんやかんやで揉み解されてたまるか
剣刃一閃、饗の指示する箇所の足を斬り落とす
延乃進サンが苦戦する足は俺が斬る
俺も腕に覚えはあるよォ、さあおいでタコ
食わせろ!お前がうめえって知ってンだからァ!

大量のタコ足で宴会
炙りを噛み締め堪能
うめえ…!

酒飲みてえけど今は我慢
まだメイン(イカ)が残ってンだっけ?

口の中にひっつかれてる饗がおかしくて
俺もやる!
タコの刺身も食う
ンま!



 あぢぃ、と一言。
 白パーカーのフードに繊指を添えつつ、僅かな翳蔭の下で盛夏の渚を眺めた鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)は、白砂を踏んで來たる梅印の相棒に藍瞳を瞠った。
「……でかでかと名前書いてあんなァ……」
 読まずとも知っている、彼は香神乃・饗(東風・f00169)。
 晴朗の空で耀くお天道様のようにからりと笑った彼は、得意げに云って、
「前に通ったスイミング以来っす。勿論、泳げるようになったっす」
「いやスイミングスクールに通って泳げるようになったのは俺もだけどォ……ソレはな、教室で穿く用の水着なんだわ……なんで今穿いてンのォ……」
「恥ずかしいっすか? でもコレしか無いっす」
「……恥ずかしい、つーか、アブねぇんだわ……」
 きょとんとした饗を前に、くしゃりと前髪を掻く誉人。
 青無地のハーフ丈を穿く己に對し、かがみのきょうのスクール水着に赤半纏を合わせた相棒の破壊力は抜群だ。特に、誰にでも読めるひらがなのやさしさが脅威的。
 爽涼の風に溜息ひとつ運ばせた彼は、椋實色の佳瞳を丸くした儘の相棒に赤いショートパンツを握らせると、小屋を指差し、
「いいから穿き替えてこい」
「替えてくるっす」
 と、素直に其を受け取って着替えに走る東風に「頼むよォ」と添える。
 早々のお色直しとなった饗は、直ぐさま白濱を駆けて来て、
「似合うっすか」
「――ン」
 無問題、と頷いた誉人は、こうする間にもユラユラと搖れる陽炎――迷彩に身を隠して接近するタコの群れを親指に示し、須臾、白い砂を蹴った。

  †

『ドーモ、剣豪=サン。猟兵=サンも大歓迎! 按摩は最高タコ~!』
『さぁさ極楽の宴、竜宮城に招待するタコ~!』
 口八丁手八丁、アノ手コノ手で剣豪を絆し、海へと引き込まんとする『衣蛸』たち。
 一度、その強力な吸盤に捕われては逃れられまいと凛然を萌した饗は、射干玉の黑瞳、玲瓏の彩を煌々と燦かせて【香神占い】――10秒先の未来を幻視した。
「日下部太郎左衛門さん、そこ危ないっす」
『ッッタコー!!』
 射線に割り込むと同時、触腕が伸びきった所に両刃爪状の『苦無』を突き立てる。
 悲鳴を喊びながらも迫り出た第二の触腕には、先見の明を共有した誉人が【剣刃一閃】して斬り落とし、
「あ、誉人そこっす! 絡めて來るから、ざくっといくっす」
「りょーかい。なんやかんやで揉み解されてたまるかっての」
 白虹一条、白銀の冱刀『唯華月代』がひやうと刃鳴りするや、触腕を宙に躍らせる。
 ズンッと砂地を叩く巨きな触腕の、未だウネウネと動く鮮度の良さが食欲を唆ろう。
 誉人は更に脇差『絶花蒼天』の仄青い光を暴いてタコを睨め、
「俺も一応剣豪で、腕に覚えはあるよォ。……さあおいでタコ」
『瞳が爛々としてて怖いタコーッ! この剣豪=サンからは逃げるタコーッ!』
「食わせろ! お前がうめえって知ってンだからァ!」
 保護色を纏って消えかかる瞬間を斬る。問答無用で斬る。
 二本、三本……と触腕を切り離せば、ヒクヒクと動く其を空中キャッチした饗が濱辺を疾って宴会スポットへ、予め『よろず屋七つ道具』で起こしていた焚火にセット!
 この見事な事前準備と連携の妙には、延乃進も感嘆を零そう。
 目下、彼等は大量に獲得したタコ足を炙って海の幸を堪能し、
「うめえ……! 醤油だけでこれだけうまいとか……」
「俺食べたことないっす。タコって美味しいんっすか」
「おひとつドーゾ」
「……うっ……うまっ!! ……うまいっす……!!」
 片や柳眉を開いて美味を噛み締め、片や黑瞳にキラキラと感動を湛え。
 垂涎の止まらぬ口元を拭った誉人は、流眄に小屋を見遣り、
「酒飲みてえけど我慢時か……まだメイン(イカ)が残ってンだっけ?」
「じゃあ今はお預けっす。メイン(イカ)で呑むっす」
 メインはイカ(🦑)――。
 その言葉に頭足綱の矜持を搖さぶられたタコ達が、続々と海から押し寄せた!
『タコも優れているタコーッ! 究極の吸盤でマッサージしてやるタコー!!』
『極上のカッピングで血行を佳くしてやるタコーッ!』
 然し、激情した敵を相手取るほど樂なものは無し。
「タコ次郎、破れたり! に御座んス!!」
 嘗て有名な剣豪も苛立ちによって自滅したと、延乃進が大薙刀を一振りして側面を急襲すれば、連中が体勢を崩した瞬間、誉人が(モグモグしたまま)二刃を閃かせる!
「ン、おかわり来た」
 畢竟、饗の未来予知を破る術は敵方に無し。
 誉人が斬り飛ばした触腕を芳ばしく焼き上げた饗は、戰場を同じくする延乃進に薫香を差し出して、
「へへへ剣豪に守られちゃったっす。お礼に一本どうっすか」
「うむ、忝い」
 と、むしゃむしゃ食べる。而してホワホワの笑顔を揃える。
 焼きは勿論、刺身の美味しさも格別だろう。
 新鮮な生き造りを口に運んだ饗が、コリコリプリプリとした食感を堪能せんとすれば、まだ溌溂とした吸盤に咥内を吸われ、
「ひあ」
「!! 俺もやる!」
 思わず聲を漏らした相棒に微咲(えみ)を零した誉人も、続けてぱくり。
 口の中に引ッ付くタコの甘みに陶然とした彼は、スッと藍瞳を細め、
「ンま!」
 と、絶賛の一聲。
 相棒と味わう海の幸を心ゆくまで愉しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
🏝

でっかいタコにイカねぇ
なら悠長にしてられないわ
とっとと踊り喰いじゃなかった剣豪助けに行くわよ

・「忍び足」で両者に接近、「先制攻撃」で蛸足「切断」と同時に剣豪をUCで溶かして体内吸収で保護

説明してる暇ないから私の中で大人しくしてて
後で元に戻したげるから
で、さっそく会えたわね蛸刺し
剣豪が欲しいならまず私を捕まえる事ね、じゃ

・「ダッシュ」逃走、ギリギリ引きつけつつわざと海に逃げる
一度捕まるもUCで海中に蕩けて回避

・直後大量の海水と同化し蛸が見上げる程にデカい【飢渇】海坊主登場
周りの海も急速に黒が浸食して「逃げ場がない」感出しつつ大口を開けて蛸共を丸呑みにし「捕食」

『――オイシイ』(モグモグ)


荒谷・つかさ
なるほど。
つまり。

――今宵はタコ焼きパーティーね。
(めっちゃ嬉しそうに烈火包丁担いで参戦する食欲の鬼)
(なお今回の水着はエンパイア流に黒のさらしと褌(id=47059)という男前すぎるスタイル)

乗り込んですぐに【荒谷流野戦焼肉術】発動
まず延乃進に絡んでるタコをずんばらりと焼きタコに調理
それを皮切りに「目の前に存在する食材(タコ)共」をBBQにしていく
必要な道具や別の食材、調味料等は「怪力」で持ち込み
素焼きの他に茹で、各種煮込み、酒蒸し、粉もの等々タコ料理のフルコースを「視界に映る食材(つまり全てのタコ)」が尽きるまで作り続け、食べ続ける
延乃進や他の猟兵にも気前よく振舞っていく


エル・クーゴー
🏝100622
●WIZ


躯体番号L-95
当機は整体施術に高い適性を発揮します

どうぞこちらへ、そしてそこでうつ伏せに
当機が本物の按摩ってやつを体験させてやりますよ


・まず延乃進をタコから離そう
・「どうせならタコよか見た目のいい女子の方がええやろ?」ということで、素顔オープン&(表情薄いが)ウィンクでもしてアピる

・延乃進を確保出来たら己が揉み始める……と見せ掛けてうちのドローン『マネギ』としれっと交代、己はタコ相手の交戦に入る

・タコのシメ方として、俎板の上で釘を打つみたいな仕儀に倣い【L95式杭打機】をブチ込まん(貫通攻撃)

・ヨガさせられ始まったら、ヨガなのでL95式ブラスターで火を噴き反撃(焼却)


オリヴィア・ローゼンタール
🏝46232

聖地巡礼、聖職者と剣豪では意味合いが異なるかもしれませんが、無粋な邪魔はさせませんよ

水着で海中に身を潜め(水中戦)、機を窺う
延乃進さんを海へ引き込む時は、意識がそちらに集中する筈
海から飛び出て、銛のように槍をタコへ突き立てる
自身の優位を確信した瞬間、それが最も隙が大きくなるのです

異形とは言え、タコはタコ
延乃進さん、目と目の間辺りが急所です
強靭な脚に惑わされず、そこを一突きで事足ります

とはいえ変幻自在の蛸足、懐に潜り込まれれば槍では不利
延乃進さんに絡もうとするのを引き剥がして庇う
自身に絡みつかれ、身動きが出来なくなれば……【灼烈轟雷槍】
踊り焼きは趣味ではないんですけどね



 傳馬船に乗り、巌流島に至る。
 折りしも吹き募る汐風に、白銀のポニーテールを梳りながらやって来たエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は、電脳ゴーグルの燐光を全灯させると同時、佳聲を滑らせた。
「躯体番号L-95_保護対象者を捕捉しました」
 スッ……と繊指が示す岸の向こうで、「甲州の大薙刀」こと日下部太郎左衛門延乃進が寝そべり、その脇で骨抜き妖怪『衣蛸』が按摩を施している――。
 会話は聽こえないが、なんやかんや歓談しているのであろう。
 眼鏡の奥、白金の麗瞳を鋭くしたオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は、魔軍将『上杉謙信』を憑装したという妖怪を睨めて、
「あれが此度の敵……聖職者と剣豪では意味合いが異なるかもしれませんが、聖地を巡礼して心を浄わんとする者に對し、無粋な邪魔はさせませんよ」
 云うや純白の水着姿を晒し、とうっ! と舟から海へダイブ。
 忽ちマーメイドと化す彼女の影を追ったメフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)は、海面から舟形の孤島へ視線を滑らせ、
「この小島にでっかいタコやらイカやら出てくる、と……なら悠長にしてられないわね。とっとと踊り喰い――じゃなかった、剣豪助けに行くわよ」
 と、垂涎を禁じ得ぬ口端を手の甲に拭いつつ、肩越しに犀利な流眄を注ぐ。
 同僚の闘志に呼應した荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)は、純然たる怪力でぎーこ、ぎーこと漕いでいた豪速の舟にブレーキを掛けると、櫂を『烈火包丁』に持ち替え、
「なるほど。つまり。――今宵はタコ焼きパーティーね」
 刺身、活作り、踊り食い――。
 無表情ながら真赭の麗瞳を煌々と輝かせて云えば、一縷の迷いも無き首肯がコクコクと揃い、一同はタコハントに出るのだった。

  †

『剣豪=サン、随分と凝ってるタコね~。長旅の疲れが出てるタコ~』
「うむり。憧れの地に至った安堵が出たんで御座んスな」
 モミモミと全身を揉み解され、イイ感じに眠くなってくる延乃進。
 極樂の心地に目蓋がとうろりと落ち、寝入るかという時――透徹と澄んだ女の佳聲が、剣豪の耳元で柔かく囁(つつや)いた。
「巌流島スペシャルマッサージステージへようこそ」
「? 巌流……すぺ……?」
 延乃進が顔を上げて見れば、美し花顔を暴いたエルが掌を岸へ、「こちらへどうぞ」と木陰に設営した天蓋付きのスペースに案内する。
 これには延乃進も衣蛸も「えっ」「えっ」となるが、エルは水着姿の美女であることを武器にウインクして移動を促し、
「整体施術に高い適性を発揮する当機が最高の按摩をご提供致します」
「そ、そうで御座んスな~。どうせならタコよか美女の白手が佳う御座んスな~!」
 而して延乃進も正直者にて、あえかに咲むエルが導く儘、木陰でうつ伏せになる。
 ニッコニコで目を閉じれば、吸盤でない温かな感触が背を揉み揉み、肩を揉み揉み……実は僚機『マネギ』がモキュモキュの肉球でマッサージしているのだが、そうとは知らぬ延乃進は夢心地に、
「ほあー、蕩けそうに御座んス~!」
 と、陶然の吐息ひとつ。

 無論、タコは怒った。激怒した。
 衣蛸は延乃進を取り戻さんと後を追いかけ、
『OMOTENASI中に客を奪うのは卑怯タコ! ターゲットを、剣豪を返せタコー!!』
 云ってニュルンと伸び出た触腕が、須臾、スパァンと斬り飛ばされる。
 宙を躍った後、ズンッと砂地を叩いた吸盤が尚も動くのを見ながら、木陰から暗々たる呪詛を連れて現れたのは、メフィス。
「――さっそく会えたわね、蛸刺し」
 背骨を變異させた尾刃を一払いして触腕を切断した彼女は、其が絡め取る筈だった剣豪を【蕩】(トロケル)――蕩けそうだった男をリアルに溶かし、体内へ吸収した!
『タコーッ! 喰った? いま喰いましたかタコ!?』
「私の中で大人しくしてて貰うだけよ」
 我が眷属「飢渇」に變異させ、自在に操る。
 剣豪を守って戰うより、中に取り込んだ方が効率的なのだと腹部を擦ったメフィスは、それから麗かな濱辺へ駆け出し、
「剣豪が欲しいならまず私を捕まえる事ね、じゃ」
『あっ! 逃亡したタコッ! 皆の者、出あえ出あえタコーッ!!』
 車懸かりの陣、発動――!
 衣蛸がウニョウニョと触腕を振り上げるや、海岸から大量の巨蛸が出現し、メフィスを捕獲せんと襲い掛かった!

「――出番のようね」
 先ずメフィスが逃げ込んだのは、巌流島スペシャルBBQステージ。
 其處で大型コンロに蓋付きグリル、焚火台等の各種道具に加え、海鮮以外の食材や各種調味料を取り揃えて待ち構えていたBBQ奉行つかさは、メフィスを追う衣蛸に緋の烱眼を結ぶや【荒谷流野戦焼肉術】(ワイルド・バーベキュー)を披露したッ!
「料理とは周到な下準備と、目の前の食える奴を使う即席應用術に有り!」
『あつ熱熱熱熱熱熱つつつつタコー!!』
 灼熱を發した巨大肉切包丁でずんばらり。
 水平に疾った斬撃は刀を返してもう一閃、頭と胴をキレイに切り離すと、黒のさらしに褌という男前すぎるスタイルの佳人を暴き、次いでジュウッと芳ばしい馨を漂わせる。
 ワイルドハント焼肉担当の看板は伊達で無し。
 つかさは巧みな包丁捌きで「薄切り」にスライスすると、今度はひと手間加えてタレの絡み易い「さざ波切り」に、炒め物用に「乱切り」もザクザクと斬って用意していく。
 彼女は視界に入る衣蛸に諸有る料理を浮かべ、
「どんどん来なさい。素焼き、茹で、煮込み、酒蒸し、粉もの……素材を活かした料理を皆に御馳走するわ」
 本日はタコ料理のフルコース。
 腕の振るいどころだと、鬼神の怪腕が絶え間なく閃いた。

『負けちゃだめタコーッ! こっちは数にモノ言わせて攻めるタコーッ!』
 衣蛸は保護色を纏って身を隠す事も出来るし、再生能力もある。
 物量策戰、波状攻撃で猟兵を囲い込み、剣豪を奪還しようと知恵を働かせた蛸の群れが続々と海から押し寄せるが、その元を断たんと動くのがオリヴィア。
 海中に潜伏して機を窺っていた佳人は、岸へと一気集中する軍勢を背襲し、
「標的を海へ引き込まんとする時、敵の意識はそちらに集中する筈――」
『? タコー?』
「そして海より出ずる者は、海に敵が潜んでいるとは思わない……!」
『ッッ、奇襲タコーッ!!』
 トビウオの如く海面を飛び出し、銛のように聖槍を突き立てる!
 陽光に耀ける飛沫を連れて現れた聖女は、魔を切り裂く『黄金の穂先』を衣蛸の胴へと突き刺し、而してぐうらり傾く一体を足場にして再ジャンプ! 今度は大きく薙ぎ払い、寄せては返す白波に赫黑い血潮を混ぜた。
 敵軍も身を反轉して応戰するが、果して触腕は疾風の槍に敵うか。
「異形とは言え、タコはタコ。目と目の間辺りが急所です」
『水着美女の弱点はビキニの紐タコ! 引っ張ってやるタコー!!』
「強靭な脚に惑わされず、そこを一突きで事足ります」
『んぎゃぎゃぎゃ痛いタコーッ!!』
 ――いや、無理だろう。

『むぎぎぎぎ……じわじわ押されてるタコ! 全員まとめて捕縛タコー!』
『剣豪も猟兵も骸の海に沈めて、配下オブリビオンにしてやるタコー!』
 プンプン怒って赤くなる衣蛸。
 個では敵わぬと齒切りした巨蛸らは、三位一体、つまり24本の触腕を以て其々の猟兵に襲い掛かッた――!

『一番のターゲットは剣豪を中に入れた小麦肌ギャル! 捕獲成功タコッ!』
「、ッ!」
 砂地をぞわぞわと這う多腕の一本に踵を摑まれるメフィス。
 強力な吸盤が逃走を止めるが、メフィスは力強い触腕が脚全体に絡まるより速く海へと逃れると、またも呪詛を帯びて黑く、黑く、輪郭を解いて波に解けた。
『タコ!? ……保護色で迷彩を纏った訳では……? み、視えないタコ!』
「隠れた訳じゃない。同化したのよ」
 衣蛸の喫驚に答えたのは、大きな巨きな海坊主。
 變幻自在の「飢渇」は、大量の海水を呑んで膨れ上がり、周辺の海を墨を流したように黑く染めると、宛如(まるで)巨壁の迫出るが如く、巨蛸も見上げるサイズとなって退路を塞いだ!
 そんな彼女が大口を開けたら如何だろう。
 凄まじい引潮で海に寄せられた蛸達は、大釜のような口に呑まれ――、
「……オイシイ」
 もぐもぐ、ごっくん、と。
 おいしく食べられてしまった。

「……はっ、蕩けて眠っていたで御座んスか?」
 而してメフィスの体内から融解して出てきた延乃進が、キョロキョロと辺りを見渡したなら、「いた!」とばかり目をギラつかせた蛸の群れが近付いてくる。
 無論、剣豪を渡しはしないと猟兵が――エルとオリヴィアが颯然と射線に割り込むが、まだまだ数で圧倒する蛸の群れは、無数の触腕を伸ばして二人の拘束に掛かった。
『クックックッ、海戰なら水着が動き易いと……まんまと掛かったタコ!』
『二人共、水着の紐を引っ張ればポロリ! 恥ずかしくて動けないタコ!』
 エルはクロスリボンを解けば、オリヴィアはホルターネックを解けば陥落する――!
 複数の衣蛸がギンッと目を鋭くして触腕を伸ばすが、これを迎える二輪の花こそ吃ッと瞳を怜悧に、犀利に、ドキドキ展開絶許の能力を顕現させた。

「延乃進さんは身動きが出来なくなるより速く、岸の方へ離れて下さい!」
 我が身に迫る悪意より、延乃進に向かう脅威を斬り捨てたオリヴィアは、彼に代わって筋肉の塊たる触手に縛されるが、闘志の光は失わず。
 聖女は『破邪の聖槍』を両手で握り込めると、その穂先に蒼き稲妻を結び、
「轟け閃光、邪悪なる者どもを灼き穿て――!」
『い痛痛痛痛がががが!! あづ熱熱熱熱いいいい!!』
 霹靂閃電、【灼烈轟雷槍】(ブリューナク)――ッ!
 凄絶な閃爍に輪郭を白く浮き立たせ、同時に影を黑く暴いた光は、数多に群がった邪の悉くを貫き、穿ち、灼き、こんがりと焦がす。
 その薫香を鼻梁に掠めたオリヴィアは、仄かに微咲(えみ)を湛え、
「……踊り焼きは趣味ではないんですけどね」
 と、柔かく流眄を注いだ。

 其の優艶な星眸(まなざし)を受け取ったエルも、既に反撃体勢は整っていよう。
「躯体番号L-95_当機はタコのシメ方を既にラーニングしています」
 淡然と発聲し、電脳魔術を起動する。
 今も四肢にはジリジリと触腕が迫るが、後背に蒼白い光環を描いたエルは冷靜沈着。
 佳人は電脳空間より四基二対の【L95式杭打機】(ニードルガンランス)を現すと、我が身に絡める触腕を辿るように斉射ッ! 貫穿の勢いで吸盤を引き剥がした!!
「俎板の上で釘を打つ仕儀に倣い、タコをオロします」
『んぎゃぎゃぎゃ痛痛痛痛タコーッ!!』
 激痛を喊びながらも、高再生力を誇る触腕をしぶとく絡める衣蛸。
 このふてぶてしい吸盤に傀儡人形の如く四肢を動かされたエルは、激ムズのヨガポーズをキメる直前に『L95式ブラスター』を構え、
「最大火力でヤキを入れます」
『タコ!?』
「ヨガなので」
 発射(ファイア)――!
 拘束されたからこそ安定した火力を浴びせ、此方も踊り焼きを完成させた。

 そんなエルとオリヴィアに庇われた延乃進が、最後に辿り着くのはBBQステージ。
 此處には退治された蛸達が次々と運ばれては鍋や網に掛けられており、
「いらっしゃい。遠慮しないで食べてって」
「むおっ! でかい!!」
 ぬん、と金剛力士の太腿くらいのタコ串焼きを差し出すのが、つかさ。
 自身もモリモリと蛸料理を味わいながら、皆に振る舞う爲の料理を作っていた彼女は、延乃進を執拗に追い掛けて来た一体を鏨ッと切り倒すと、これも丁寧に捌いて油の中へ、おつまみに最適なタコの唐揚げを追加する。
 緊張の只中にあった延乃進も、この薫香には愁眉を開こう。
 彼は誘われる儘にひとつまみ、ふたつまみ、以降は止まらず。
「……うっ……うまい……!!」
「ええ、飽きないでしょう?」
「それに、身体から力が漲ってくるような気がするで御座んス……!」
「勿論、疲労も負傷も癒せるわよ」
 素材の味と力を引き出す――それが「ワイルド・バーベキュー」!!
 一品一品が癒しや強化の効能を持つ料理なれば、延乃進は触腕マッサージや吸盤カッピングをするより元気になる。
「延乃進さんも無事で何よりです」
「――あら、いい匂い」
「全員の合流を確認しました。これより御相伴に与ります」
 而して彼女の元に集まった仲間達も、同様の効果によってパワーを得るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】🏝(102297)
イカもタコも似たようなものの気がしますが
そして敵ながら……食べられる、と

まずは彼の救出ですね
奇遇と言いますか、最早ただならぬ縁を感じておりますがお久し振りです
ただのタコに非ず、隙あらば貴方の命を狙うオブリビオンです

駆け出して接近、早業の抜刀術『陣風』にて攻撃
食べられるとならば、新鮮な内に刺身に
広範囲に攻撃でき、腕を斬り落とした後に2回攻撃で皮を斬る
下処理も問題なく……あ、あとで塩で揉んで滑りを取らなければ

倫太郎が焼いたタコも良い大きさに斬っておきましょう
私は塩を用意しました、あとで皆で食べましょうね
さて、御二方……次はイカを捌きに行きますよ


篝・倫太郎
【華禱】🏝(102298)

イカタコ……イカの部下がタコ
ま、考えても仕方ないけど喰えるんだってさ!夜彦

一先ず、延さん助けねぇと……

よいっす、延さん久しぶりじゃん?
タコの怪異に良いようにされちゃってんじゃないよ、ホント
タコは俺達が喰うものであって
喰われるものじゃないデショ?

LoreleiとHoldaを連動させて起動
迷彩しても周囲と同じ熱量にゃなんねぇんだよなぁ
ついでに、砂地に重量分、移動してる分跡残ってるし?

さって、先にちょいと軽く炙っとこ

拘束術・真式使用
焦げたら流石に迷彩も解けるだろ

夜彦!延さん!下処理は任せた!

え?ボスのイカも片づけたら焼いて喰おうな!
醤油もちゃんと持ってきた!(えっへん!)



 傳馬舟の隣に、翡翠色と瑠璃色のサーフボードを仲良く並べる。
 晴朗なる蒼穹の下、白砂の煌めく濱辺に降り立った月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、白波に濡れる海岸線を烱瞳に捺擦(なぞ)るうち、濱辺でうつ伏せになる見知った男と、彼に按摩を施す異形の姿を捉えた。
 自ず、何とも言えない星眸(まなざし)が揃おう。
「あれが今回の敵……イカの部下のタコ、と……」
「イカもタコも似たようなものの気がしますが」
 これまで侍の國に侵攻する猟書家を華麗にやっつけてきた二人も、此度の異色の敵には謎めいたものを感じつつ、ふう、と溜息ひとつして扨措く事にする。
「ま、考えても仕方ない。こいつら喰えるんだってさ! 夜彦」
「敵ながら……食べられる、と」
 オブリビオンだが食べられる。然も美味しいとか。
 ニッと頬笑む倫太郎の傍ら、暫し思案した夜彦は、矢張りこれまでの敵とは一味違うと交睫すると、長い睫を眞直ぐ渚へ結び、翠緑の麗瞳に晃然たる光を宿した。
「何はともあれ、先ずは“甲州の大薙刀”の救出ですね」
「……ああ、また狙われちまった人気者を助けねぇとな」
 手間を惜しむ身で無し、何度でも助けよう。
 秀でた鼻梁を渚に向けた儘、コツンと拳を突き合わせた二人は、芙蓉の顔(かんばせ)に凛然を湛えるや、陽光に煌めく眞白の砂を踏み締めた。

  †

「ハー、極樂に御座んスな……」
 骨抜き妖怪『衣蛸』が施すOMOTENASIに陶然としていた日下部太郎左衛門延乃進は、不圖、聽き憶えのある聲に意識を戻され、がばちょと起き上がった。
「よいっす、延さん久しぶりじゃん?」
「奇遇と言いますか、最早ただならぬ縁を感じておりますがお久し振りです」
 黒地に麻の葉柄を広げる青年と、紫地に竜胆を咲かせる麗人。
 色違いの袖無しパーカーを着る装いは初見でも、決して見紛う事は無い。
「おおおっ、倫殿! 夜彦殿!! お二人も聖地巡礼に御座んスか?」
「いや、それこそ延さんに用があって。つか俺だけ略すなって」
「……ふふ、大菩薩峠での戰いが昨日の事の様に思い出されます」
「うむうむ。懷しゅう御座んスなぁ!!」
 随分と親しげに話すのは、深秋の大菩薩峠で共に戰った戰友であり恩人だから。
 彈む会話に按摩の手を遮られた衣蛸は、あと少しで剣豪を夢心地にさせられたのに、と目をギラリ凄ませるが、その瞬間にこそ二人は烱眼を注いで云った。
「而してこのタコはただのタコに非ず、隙あらば貴方の命を狙うオブリビオンです」
「!! 何と、また狙われたで御座んスか!? そうとは全く気付かず……」
「タコの怪異に良いようにされちゃってんじゃないよ、ホント」
「め、面目無し……!」
 縮こまって頭を掻く延乃進の背後で、ドキッとする衣蛸。
(『……ッッ、バレたら仕方無いタコ……剣豪を完全脱力状態で海へ引き込めなければ、仲間をたっくさん呼び集めて引き摺り込むしかないタコ……!』)
 邪はスッ……と保護色を纏うや、四本の触腕を密かに延乃進へ這わせつつ、残る四本を蒼穹に高く掲げて仲間を呼ぶ。
 そうして同じく迷彩を纏った仲間が、白波に紛れて近付いた時だった。
「タコは俺達が喰うものであって、喰われるものじゃないデショ?」
『!? ッ!! 動けないタコーッ!!』
 先制したのは倫太郎。
 Lorelei [ RKS ]とHolda [ RKS ]に視認性を強化した彼は、周囲の色と馴染んでも決して同化できぬ熱量を捕捉すると、【拘束術・真式】――不可視の鎖を放って捕縛し、触手の動きを掣肘した!
「砂地に重量分、移動してる分跡残ってるし? 前衛は5体ってトコか?」
『えっえっ何で判明っちゃうタコ!?』
「さって、先にちょいと軽く炙っとこ」
『ァあづ熱熱熱熱熱熱いタコーッ!!』
 小気味佳く微笑う倫太郎と、喫驚を揃える巨蛸の間に爆熱が喊び、薫香が広がる。
 迷彩が焼き消えた時が攻め時か、倫太郎は威勢よく大聲を発し、
「夜彦! 延さん! 下処理は任せた!」
 而して二人も心得たもの。
 應と白砂を蹴った二人は、先ずは夜彦が『夜禱』に白虹一条を描き、
「食べられるとならば、新鮮な裡に刺身に致しましょう」
『さ、さしみ――ッ!?』
「海の幸は鮮度が命です」
『タコーッ!!』
 微動する事すら許されぬ触腕を宙に躍らせるは、抜刀術【陣風】――ッ!
 曇り無き愛刀『夜禱』を暴くや、一度に40本もの触腕を斬り落とした夜彦は、これらが砂地を叩くより迅速く刀を返して皮を斬り、ツルンッとした肌膚を暴き出す。
「下処理も問題なく……あ、あとで塩で揉んで滑りを取らなければ」
 美味しく頂くには下処理が肝心だと云う麗人の傍ら、延乃進は倫太郎が芳ばしく焼いたタコをサクサクと斬り、こちらも準備万端の様子。
 お好みに合わせて調味料も用意すれば、たのしいタコパーティーが開催できよう。
「俺、醤油もちゃんと持ってきた!」
「私は塩を用意しました、あとで皆で食べましょうね」
 えっへん! と胸を張る倫太郎に、莞爾と頬笑む夜彦も塩を用意して完璧。
 そんな二人を前にすれば、巨蛸の脅威に晒されていた延乃進も愈々樂しくなってくる。
「さて、御二方……次はイカを捌きに行きますよ」
「ああ、ボスのイカも片づけたら焼いて喰おうな!」
「……うむり! 本日は海鮮の宴に御座んスなー!」
 えいえいおう、と。
 意気軒昂たる聲が汐風に運ばれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)。
「…焼…の…で…か?」
ロベルタさんの唐突で急な焼く提案に驚きます。
確かに焼くと美味しそうな蛸ではありますが…。
食べられるとしても腹痛を起す気がします。これは。

ともかくロベルタさんと協力連携し倒しますね。
『真改』の一振りで【蓑火】を使用しようと思います。
私はロベルタさんの攻撃の呼吸に合わせます。
恐らくその方がロベルタさんがやりやすいと考えました。

情報では大型の蛸とのことなので色々と準備します。
リミッターを解除した上で限界突破の属性攻撃をします。
蛸が私の間合いへ入った瞬間に懐へ飛び込むようダッシュ。
早業で2回攻撃を蛸へ加えます。
攻撃は見切りや野生の勘などで回避を。


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)。

愛剣で【散花閃】を使って焼き蛸にするじぇ!
封印を解いてから限界突破で最大火力斬りするよ。
あ。属性攻撃と切断も剣に付けておこうかな~。

初撃は斬らずに炎が目の前を通過する感じで。
二撃目が本命。墨ねーとの連携で蛸さんを焼く!
「えっと…。火線、えっくす斬りー!」
僕と墨ねー。左右から交互に蛸を斬る感じで行く。
墨ねーは僕の自由にしてくれるはずだから問題ない♪

そうそう。上杉さんって戦いに優れた人だったっけ?
なら自分(蛸)の周りに罠とか作ってあるかもねぃ。
それか。蛸さん同士で連携してくるかもしれない。
…。
剣豪さんを捕らえる隠兵とかいそうだよねぃ。
だったら剣豪さんも一緒に連携!!



 極上のOMOTENASIで骨抜きにする筈だった剣豪は猟兵の保護下に。
 そして猟兵は、剣豪と共にバッサバッサと巨蛸を斬り倒し、刺身に、煮込みに、更には酒蒸しから素揚げまで作って、美味しく平らげていくではないか!
『ぬーん、仲間を食いまくって……怒髪天を衝くタコー!』
 骨抜き妖怪『衣蛸』は激怒した。
 彼等は触腕を掲げてフリフリ、大いなる海に援軍を求めると、波間から続々と這い出た赫黑い巨塊が、白波を蹂躙し始める。
 晴朗なる蒼穹の下、眞白に耀く砂濱に降り立ったロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)は、その圧倒的物量作戰に怯もうか。
 否。
 断じて否。
 夏の風に白銀のポニーテールを梳らせた少女は、魔法劍『プリンチペッサ・ロッソ』に宿れる炎の精霊を解放すると、横薙ぎに斬撃を疾らせたッ!
「Petali da bruciare! みーんなまとめて焼き蛸にするじぇ!」
『ッッタコー!! あぎゃぎゃ熱熱熱熱……ッ、熱いタコー!!』
 赫々と閃めくは、【散花閃】(トランズィトーリウス)――紅蓮色の花弁のような炎を連れ立った斬撃は、数多の巨蛸に裂傷を刻むや、ぶわり延焼して焦熱を広げる。
 その鮮烈なる赫を二度見したのは、浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)。
「……焼……の……で……か?」
 焼くのか、と語尾を持ち上げる疑問は、即ち「食べるのか」という確認だ。
 しゅたっと着地したロベルタは、勿論その心算(つもり)だと無邪気な微笑を返すが、赤熱した火粉が飜々と躍る中に運ばれる薫香も、其を裏打ちするかのよう。
 墨はスッと通った鼻梁を掠める芳ばしい匂いにコクコクと頷いて、
「……確かに……焼くと、美味しそうな蛸では……ありますが……」
「う! 墨ねーもひとくち、かじっちゃお♪」
「……でも……食べたら、腹痛を起す気が、します……これは」
「えー? だめ?」
 ことり頭を傾げておねだりするロベルタを前に、今度はフルフルと頭を振る。
 蛸と云っても骸の海を潜ったオブリビオン。生食用の刺身などは食中毒になりやすく、ロベルタがお腹を壊してはいけないと心配した墨は、焼くなら「最大火力で」「悉く灰燼にすべき」と凛然を萌した。
「……ともかく、これだけの数を倒すには……ロベルタさんの協力が、必要です……」
「う。僕の【散花閃】と、墨ねーの【蓑火】を掛け合わせる?」
「はい……。私が、ロベルタさんの、呼吸に……合わせます……。恐らく、その方が……ロベルタさんが、やりやすいかと……」
 玻璃(ガラス)の震えるような繊細い佳聲を聽くうち、ロベルタが喜色に紅潮する。
 卓抜の腕を持つ墨が呼吸を合せてくれる頼もしさと、己が自由に任せてくれる嬉しさに花顔を明るくした少女は、きゅ、と咲むや一陣の風と駆け抜けた。
「いっくじょー♪」
 先ずは一閃、赫灼の炎が目の前を通過する。
 無数の火華が巨蛸の肌膚に迫った次の瞬間こそ本命か、ふわりと躍る銀髪に紅蓮の耀きを彈いたロベルタは、更に前進して【散花閃】ッ!!
「火線、えっくす斬りー!」
「……燃え包め……“蓑火”(ミノヒ)……!」
 そして間隙を置かずロベルタに追従した墨が、黒漆の鞘より大刀『井上真改』を抜いて【蓑火】――超高速の抜刀術により発火を伴った斬撃を噛み合せたッ!
『タコーッ!! こんがり芳ばしって熱量じゃないタコーッ!!』
『あぁぁあああっっ……!! 炎の熱量を超えてるタコーッ!!』
 熱線の如く明々とした斬撃が十字を結び、巨蛸の群れを熾やし尽す。
 その匂いは「芳ばしい」を一気に突破して「焦げ臭く」、今際の絶叫を喊ぶ衣蛸たちをあっという間に灰燼と化した。
「刃撃と炎撃の饗宴……見事に御座んス……ッ!」
 二人の連携を目の当たりにした剣豪、日下部太郎左衛門延乃進も喝采を禁じ得ぬ。
 大菩薩峠で邂逅した時より遙かにパワーアップした二人に、郷愁と驚嘆を得た剣豪は、またも己が狙われている事を聽くと、我が得物たる大薙刀を構え直した。
 此度の敵も魔軍将『上杉謙信』を憑装しているとロベルタは佳聲を添え、
「えっと、そうそう。上杉さんって戰いに優れた人だったっけ?」
「はい……先の大戰では……『軍神』として……織田方に、ついていました……」
 得意の戰法は『人軍一体』、車懸かりの陣――。
 用兵に優れた智将なれば、巨蛸を器にした今も個で襲い来る事は無し、必ず集団の力を発揮しようと、墨が切揃えの前髪の奥で佳瞳を烱々とさせれば、ロベルタも頷いて、
「おっちゃんを捕らえる隠兵とかいそうだよねぃ。だったら、一緒に連携しよっ!」
 敵に勝る連携を以て、多勢を切り崩す――!
 然れば勝機を見出せようと小気味よい微咲(えみ)を見せれば、延乃進もニッと笑って大薙刀を振り被り、
「おっちゃん! うむり、懷しい響きに御座んス!!」
 巌流島なる聖地にて我も戰わんと奮起し、眼前の衣蛸をずんばらりと斬り落とす。
 而して二輪の花と一振りの薙刀は、華麗に巨蛸を捌き、骸の海へと送り返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『皇帝烏賊』唐鞠・咲』

POW   :    ボクの仲間イカよ!
レベル×1体の、【えんぺら】に1と刻印された戦闘用【ダイオウホウズキイカ】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD   :    海の幸スペシャル
【新鮮素材を使った極上の海鮮料理】を給仕している間、戦場にいる新鮮素材を使った極上の海鮮料理を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    秘伝のタレ
【自分以外の何でも溶かせる特殊なイカスミ】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を幻想的な水墨画の世界に変えて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はミモザ・クルセイルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 頭足類の王を自称する『皇帝烏賊』唐鞠・咲は怒っていた。
 彼は約二年前に起こった「エンパイアウォー」で、徳川幕府が織田信長らオブリビオン勢力の騒擾を収めて以来、近海の海運が着実に発展しているのを苦々しく思っていたが、海岸に観光客まで増えてきている現状には、もう我慢できなかった。
『海は誰のもの? 海の王のものじゃなイカ!!』
 近海を我が物顔で渡る廻船問屋!
 舟を出しては釣り放題、取り放題の漁師!
 海岸沿いで日光浴や散策をする浮かれた観光客!!
 彼等は海の王を恐れる事なく海を渡り、海産物を食べ、海を資源に平和を謳歌しているエンジョイ勢につき、いつかキツいお灸を据えて遣ろうと思っていたのだ。
 故に今回、「凄腕の剣豪を配下とし手勢を強化する」「強兵を以て幕府を打倒する」と言っていた真田の意志に賛同したのだが。軍勢を率いて攻めたのだが。
『……あるぇ~? 芳ばしい馨りがするじゃなイカ!?』
 配下のタコは海岸沿いで海鮮BBQにされていた。
 現場に乗り込んだ猟兵によって、刺身に、素揚げに、手の込んだ料理にまでされていた。
 然も深海に沈める筈だった捕獲対象、日下部太郎左衛門延乃進までキャッキャウフフと海の幸を堪能しているのだから、大王イカ、いやイカの大王は激昂した。
『イカり心頭ッ!! 最早、剣豪も猟兵も抹殺せずにはいられないじゃなイカーッ!!』
 ニュルンと海面から身を乗り出し、巨大な触腕を振り上げる。
 海からでも充分に届く8本の腕と一対の触腕を扇の樣に広げれば、白波の寄せる砂濱に大きな巨きな壁が立ち塞がった。

 而して白い巨壁を見た猟兵は、串を置き、箸を置いて立ち上がる。
 彼等は好戰的に笑んで、
「皇帝烏賊、破れたり!」
 タコに次いでイカも腹に入れるべし、と――!
 其々が得意の武器を手に(メインディッシュへと)躍り掛かるのだった。
香神乃・饗
誉人f02030とメイン🦑完食

タコは美味しかったっす
こいつも美味しいっすか
???
ぽむと手をうち饗は理解した
食わずにいられなイカー!っす

解ったっす!すりたて山葵を作る
日下部太郎左衛門さん醤油とって欲しいっす

未来よみ誉人達2人が有利に戦い料理食べる隙を作れる様にイカの動きを言うっす
海鮮料理を味わいつつ糸を結んだ苦無投げ
イカをけん制したり足を斬り材料確保

つる甘っす
幾らでもつるっす

っす!焼きイカ入るっす
2人分すっ
俺もがぶり
美味しいっす

美味さに目キラキラ
そうっす全部美味しく頂くっす
足だけじゃ足りなイカっす

タコ山葵
イカタコ天出来たっす
シメはイカ飯と煮物で乾杯っす
皆で日本酒できゅ!
シメはこうじゃなイカっす


鳴北・誉人
饗(f00169)と

おーおー!イカがイカってる!おイカりかァ?
おちょくってやる
メイン(🦑)がきたぞ、饗
タコもうまかったけど
おめえがうめえことも知ってンのォ
食わずにゃいられなイカー!
真似しておちょくる

今日ばかりは俺の刀はイカ切り包丁
脇差ずらっと並べておろす
イカそうめん!
山葵醤油用意しといて、延乃進サン!
手荒に出来上がるイカ刺しをつまみ食い
あっまァ!うめえ

饗!コレも焼こうぜ
ゲソ追加ァ
なにィ?足だけでいイカって?(聞かれてない)
安心しろよ
余すことなく全部食ってやっからァ!

まだ腹八分も食ってねえわ
満腹まで食うわ
先刻我慢した酒も飲もっかァ、饗

イカ飯?イカ飯!やった!うおー!イーカー!
🦑ガチ勢本領発揮



 頭足類の王(自称)は、神十郎の意志を継ぐオブリビオンとして巌流島に侵襲したが、花盛りで食べ盛りの二人には、葱を背負った鴨であり、飛んで火に入る夏の虫であり。
 畢竟(つまり)、食材でしかなかった。
「――よし。メイン(🦑)がきたぞ、饗」
 BBQ用の焚火台の前、タコの串焼きを味わっていた鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)が青藍の麗瞳に烱々と光を湛え、矗然(すっく)と立ち上がる。
 彼は保護対象たる剣豪を背に隠すや、小気味佳い微咲を湛えて『皇帝烏賊』を煽り、
「おーおー! イカがイカってる! おイカりかァ?」
『ムキョー! 王をおちょくるとは失礼じゃなイカ!』
 これに巨魁がプンスカとイカれば、その透徹たる身の鮮やかさに射干玉の黑瞳を結んだ香神乃・饗(東風・f00169)が、タコの唐揚げを嚥下しつつ語尾を持ち上げた。
「タコは美味しかったっす。こいつも美味しいっすか」
 答えは、肩越しに注がれる塊麗の微笑が全て。
 誉人の艶然を受け取った饗は、ぽむ、と掌を打つと、悪戯な微笑を浮かべて発聲し、
「食わずにいられなイカー! っす」
「食わずにゃいられなイカー!」
 而して誉人も樂しげに聲を重ねれば、海の王『唐鞠・咲』は怒髪冠を衝こう。
 王は無数のダイオウホウズキイカに極上の海鮮料理を持たせるや、一気突貫させ、
『それいけ海の幸スペシャル! 猟兵も剣豪もイカして帰す訳にはイカなーいッ!!』
『イカーッ!!』
 と、白波を蹂躙しながら猛進してきた。

  †

 蓋し誉人は恐怖に染まるどころか、玲瓏の白皙を喜色に輝かせて邀撃に出る。
「タコもうまかったけど。おめえがうめえことも知ってンのォ」
 今日ばかりはイカ切り包丁と働いて呉れと脇差『絶花蒼天』の仄青い光を暴いた彼は、【天刃百華】――冱ゆる刃を複製し、91条の閃爍と躍らせてイカの群れを捌いた!
 足が10本の相手にも、これなら手数で劣るまい。
 彼はダイオウホウズキイカを手際佳くオロすや、身が透ける程に細かく刻んで、
「はい、イカそうめん! お待ちどーサン。饗と延乃進サンは山葵醤油用意しといて」
「解ったっす!」
「合點(がってん)に御座んス!」
 而して同じ釜の飯を、いや、同じ海の幸を堪能した三人の連携は妙々。
 饗は燦爛と輝くイカの細切りを硝子の器に盛り付けると同時、山葵を擦りおろして、
「日下部太郎左衛門さん、そこの醤油とって欲しいっす」
「お任せあれ……おお、これは小豆島の木桶仕込み醤油! タコ山葵に最適に御座んス」
「こだわりの調味料を持って来たっす」
 タコわさに、イカわさ。
 次いで、カリッとした衣のタコ天とイカ天。
 先に獲得した🐙と合わせて🦑も料理していくが、其々に相應しいカットが出来ているのは、【香神占い】――精確な予知によって包丁人に指示が出せているからに他ならぬ。
 延乃進と誉人が有利に戰えるよう、饗がイカの群れの動きを予測したなら、あとは繊維に従って刃を走らせるのみで、
「進路や行動が読めていると、つまみ食いできる余裕も御座んスなー」
「ちょっと一口……――あっまァ! うめえ」
 鋭利い切り口なれば鮮度も抜群、誉人は舌に広がる美味に絶賛喫驚中。
 瑞々しい海の幸に頬が蕩けるところ、饗は更に『糸』に結わえた『苦無』を投擲して、後続の牽制や、進軍速度の調整、そして材料の確保に貢献する。勿論、食べもする。
「つる甘っす。幾らでもつるっす」
 晃然(キラリ)と閃いた爪状の両刃が触腕を斬ったなら、傍らでは同じく健啖な誉人が一瞬でアシを斬り飛ばし、
「饗! コレも焼こうぜ。ゲソ追加ァ」
「っす! 焼きイカ入るっす」
 居酒屋のオーダー追加みたいなノリで、忽ち二人分が焼き上がる。
 視界に映るもの全てを平等に順番に食べていこうという彼等に、フードロスなどという言葉は無し、饗と誉人は胃袋が求める儘にイカを捕え、斬り、食し、そして味わった。
「……はっふっ……はふ! 美味しいっす」
「な。こいつら冷たい海流から来てっから、身が締まってンのよォ」
 漆黑の佳瞳をキラキラと、黒曜石の如く耀かせる饗の隣、誉人もイカの美味さを知った梅紋の相棒に莞爾と笑みつつ、咥内に広がる極上の味を噛み締める。
『ッッ……ッ! 底無しの胃袋……イカれてるんじゃなイカッ!?』
 埒外の食欲を見せる二人には、『皇帝烏賊』も驚愕の表情を見せるが、彼等が恐ろしいのはこれからの事。
 ちゅるんとイカ素麺を啜った饗がふくふくと咲めば、誉人は刃の如く研ぎ澄ませた流眄を注いできて――、
「足だけじゃ足りなイカっす」
「なにィ? 足だけでいイカって?」
『えっ、いやっ……そんな事は言ってなイカ……な……?』
 イカ達がサッと目を逸らした瞬間、『絶花蒼天』の鋩に方向を示された無窮の光が91条、今度は白波に向かって放射状に広がる。
 佳脣を滑るテノール・バリトンは凍えるほど冷ややかに、
「安心しろよ」
『えっ』
「余すことなく全部食ってやっからァ!」
『ゲソーッ!?』
 而して後。
 大量のイカが渚に打ち上げられた。

  †

「シメはイカ飯と煮物で乾杯っす」
「イカ飯? イカ飯! やった! うおー! イーカー!」
 ふっくら、もっちり、ほこほこ。
 弱火で40分程煮たイカ飯が、湯気と共に芳しい薫香を広げれば、其を肺腑いっぱいに吸い込んだ二人が、こちらもほこほこ、満面の笑みを揃える。
 食卓には愈々日本酒が登場し、酒精の馨が宴を賑わして呉れよう。
 誉人は汐風に渇く紅脣をペロリと舐めて、
「まだ腹八分も食ってねえんだわ。がっつり満腹まで食うよォ」
 何せこちとら🦑ガチ勢だ。
 イカハントに奮起したなら、食べるのだって手を抜かないと、美し白皙に喜色を湛えて盃を受け取る。
「先刻我慢したからな、今度は遠慮なくいこうぜ、饗」
「シメはこうじゃなイカっす」
 おちょくる裡に馴染んでしまった『皇帝烏賊』の口調をひとつ。
 盃を間に小気味佳い咲みを結んだ二人は、きゅっと酒精を咽喉に流して幾許――、
「くぅー!」
 と絞り出すような感嘆を、晴朗の空に馴染ませるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
タコの次はイカ
では、参りましょう
呼び出しておいた春暁に焼いたタコを小さく千切って食べさせながら頷く

次も焼きと刺身
イカはより細く、薄く斬ることによってイカそうめんに
……頑張ります

春暁には空から仕掛けて貰いましょう
私と倫太郎を援護させる為、敵を妨害して気を逸らすようにします
……啄んで味見しないでくださいね?
あ、給仕されたものは大丈夫かと
私も走りながら、こっそり摘まんで楽しみましょう

倫太郎が釣り上げた所を狙います
2回攻撃となぎ払いにて召喚されたイカごと攻撃します

……どうでしょう?
一緒に斬ってしまいましたので、量が変わっていなければ
食べられるということでしょう
量が増えたら、皆にも振る舞えますね


篝・倫太郎
【華禱】
来たな、イカ!
今回のメインディッシュ!

極上の焼きタコをモグモグしながら、びしぃ!

うっし、ご馳走が来た!
夜彦も延さんも、準備おっけ?
んじゃ、いっちょ捌いて美味しく頂いちゃお!

拘束術使用
射程内に触腕がある事を確認したら鎖で貫いて先制攻撃
そのままぐるぐる巻きにしちゃおう!(ぎゅっぎゅっ)

羅刹の膂力舐めんなよ?
そのまま一本釣りの要領で浜に釣り上げちゃえないかやってみよ
召喚された戦闘用イカも貫いちまおう

あ!なぁ、夜彦……
戦闘用のイカって喰えると思う?
倒したら、消えちゃうかな?

浜に釣り上げたイカ下処理は夜彦と延さんにお任せしちゃお!

うっしゃー!終わったー!
あ、醤油つけて焼こう?
お刺身も良いよな!



『ッッこれだけの軍勢で攻めているのに、押し込めないなんて可怪しいじゃなイカ!?』
 まだ足りなイカ!? と聲を裏返して増援を送り込む『皇帝烏賊』唐鞠・咲。
 頭足類の王(自称)が呼び掛けたなら、夥多しい数のダイオウホウズキイカが渚に溢れるが、白波を蹴散らして来る異形の軍勢を前に、猟兵の健啖は折れぬ。
「来たな、イカ! 今回のメインディッシュ!」
 矗然(すっく)と立ち上がるは、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
 極上の焼きタコをモグモグしながら、びしぃ! と敵の侵攻を指差す彼の隣、艶めいた茶翼が美しいイヌワシ『春暁』に、細かく千切った焼きタコを食べさせていた月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、玲瓏なる翠瞳をゆっくり目尻に寄せた。
「タコの次はイカ、と……では、参りましょう」
 敵影を捉え、靜かに首肯を置く。
 鬼灯の如く赫黑い巨影が、特上の舟盛りを抱えて海岸線を覆う――渾沌たる異景を前に常人なら居竦むところ、先にタコ料理を堪能した彼等は一縷と怯まず。
 それどころか倫太郎は琥珀色の佳瞳をキラキラと煌かせて、
「うっし、ご馳走が来た! 延さんも夜彦も、準備おっけ?」
「應に御座んス! タコに力を貰ったで御座んスからなぁ!」
「勿論、私も春暁も鋭気は十分」
「んじゃ、いっちょ捌いて美味しく頂いちゃお!」
 鴇色の佳脣よりペロリと舌が覗いた刹那、一同が一斉に動き出した。

 ぴゅうと風を切る指笛に合わせて羽搏いた『春暁』が、晴朗なる蒼穹へと飛翔したのは間もなくの事。
 夜彦は空気の叩かれる音を追って細顎を上げ、
「春暁は空から遊撃を頼みます。……啄んで味見しないでくださいね?」
 と、輕妙を添えつつ自軍の援護と敵軍の妨害を任せれば、大きな翼は滑らかに帆翔(ソアリング)して急降下! 宛ら鳶が油揚げを竊むが如く、あっという間に舟盛りを強襲し、敵の攻撃手段を奪取した。
 餘りの迅速に成す術も無し、イカらはイカりをぶつけるので精一杯。
『ッッ、これは猟兵と剣豪をやっつけるヤツだから食べちゃイカーんッ!!』
「給仕されたものは大丈夫ですから、遠慮なく啄みましょう」
『あっあっ!? いま食べた!? 今、脇からチョイッと食べたんじゃなイカ!?』
 空に向かってイカ達がブーブー文句を言う中、連中の気が逸れた瞬間に夜彦も一撮み、豪勢な舟盛りから高級魚キジハタの刺身を頂戴し、旬ならではの旨味に舌鼓。
 而して海鮮料理を樂しめば、スピードが落ちる不安は無し。
 白砂を颯爽と駆け抜けた夜彦は、ここでイカ漁に燃える倫太郎にバトンタッチして、
「まだまだお腹に余裕がありますので、手加減は無用です」
「っしゃ! そんじゃ底引き網だ!!」
 どれだけ獲っても良いと許可を得たなら、端整の顔がパァッと輝こう。
 倫太郎は【拘束術】――災禍を縛る不可視の鎖を擲げ放ち、半径110m圏内に群がる🦑の触腕を絡げると、ぎゅっと引き絞って挙措を阻む。
「そのままぐるぐる巻きにしちゃおう!」
『えっあっ、ゲソが……ゲソが……ッ!!』
 ぎゅっぎゅっ、と身に染む羅刹の膂力に怖氣が走ったのも一瞬。
 全長20mを越す巨体群は、純然たる力によって持ち上がり、浮き上がり――、
「……で、このまま浜に釣り上げちゃえ!」
『イィィィィィカァァァァァァアアアッ!』
 まさか、まさかの、一本釣りッ!!
 陽光に煌めく泡沫を連れて宙を躍ったイカ達は、目を白黒させながら空を游ぐ一方で、眼路に閃く光の一条を捉えられたろうか。
 倫太郎が「漢(おとこ)の一本釣り」を果した瞬間には、一陣の風と駆け走った夜彦が真下から斬撃を放って、
「より細く、薄く斬ることによって、透けるほど透明に……頑張ります」
『イ、カ――ッ!?』
 刃鳴一閃、イカそうめん錬成――ッ!!
 曇り無き愛刀『夜禱』も此度は刺身包丁と働こうか、細かく等間隔に疾走した斬撃は、イカを一瞬で糸状に切り裂き、キラキラと眩しく輝く身を硝子の皿に乗せた!
 これには倫太郎も喫驚と共に喜色を浮かべて、
「おおー、仲間のイカも喰えるんだ! 消えなくて良かった!」
「これは美味しく食べられるということでしょう」
「うっしゃー! 増援のイカもちゃっちゃと貫いちまおう!」
「そうですね。量が増えたら、皆にも振る舞えますから」
 焼きに、刺身に……この量なら「揚げ」や「蒸し」「焚き」も出来そうか。
 二人が樂しげに話す傍ら、濱より上がったイカの下処理は任せろと、延乃進も腕まくりしているのだから、イカは恐怖にプルプルと身を震わせる。
 目下、晴れやかな笑みに駆け出す二人は、イカなる海獣より恐ろしく映り――、
「これだけあれば、全員が満腹で帰れそうですね」
『大軍勢を見て喜ぶなんてイカれてる……感覚がイカれてるんじゃなイカ……!?』
「あ、醤油つけて焼こう? お刺身も良いよな!」
『ッッ!? 胃袋もイカれてるんじゃなイカ!?』
 ――いや。
 夜彦も倫太郎も「ちょっとお腹が空いているだけ」だ。
 二人は待望のメイン料理を堪能しようと釣りまくり、斬りまくり、そして食べまくり、真夏の海辺のアクティビティをがっつり満喫するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アナスタシア・ムスハルト
🏝101240

美味しいって、解除不能のデバフみたいなものよねぇ

巌流島なら定番よねぇ、「破れたり」
残念ながら私は二刀流じゃなくて一刀流だからされる側なんだけど
でも、まぁ、私の剣は燕返しならぬ――「秘剣・燕殺し」
伝え聞いた逸話を元に、さらに速く鋭く練り上げた我流の秘剣
陸に上がったイカが避けられるモノじゃないわぁ
宮本武蔵でも憑装してくるべきだったわね?

のびちゃんに叩き付けられる触腕を、神速の斬撃で斬り捨てる(早業・切断)
のたうつ触腕を「怪力」で振り回して、イカスミを払う
たしか、あなた自身は溶かせないのよね? 利用させてもらうわぁ



 小さなお口でタコのゲソをちゅるん。
 新鮮な海の幸🐙を頬いっぱいに味わったアナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)は、美味で満たしたお腹を擦りつつ、おっとりと囁く。
「……美味しいって、解除不能のデバフみたいなものよねぇ」
 目下、美し白金の瞳に映る『皇帝烏賊』唐鞠・咲はイカり心頭。
 増援する度に猟兵に食い荒らされる現状に苛立った巨魁は、遂に、自らも捕食する側に回らんと、白波を漆黑のイカスミに染めつつ突貫した!
『秘伝のタレをブッかけて食べれば良いんじゃなイカーッ!!』
「のびちゃんはだめよぅ」
『イカッ!?』
 須臾、鞭撃の如く撓って叩き付けられる触腕を、咄嗟に差し出した黑鞘に彈く。
 イカれる程に軌道は見切り易いと、双眸に宿る玲瓏の彩を烱々と研ぎ澄ませた佳人は、口角をほんのり持ち上げ、頭足類の王(自称)のイカりを煽った。
「巌流島なら定番よねぇ、“破れたり”。心の乱れは命取りよぉ?」
『~~ッッ、生意気じゃなイカッ!! お前も食べちゃえば問題なイカ!!』
 相手がイカる程、アナスタシアは冷靜に、己に引き付けた触腕をヒラリと身躱す。
 輕妙な科白が零れるほど余裕があろう、彼女は轟然と迫る触腕を目尻の際に送り乍ら、白磁の繊手に黑鞘を抜いて、
「残念ながら私は二刀流じゃなくて一刀流だから、される側なんだけど……でも、まぁ、私の剣は『燕返し』ならぬ『燕殺し』――宙舞う燕は、翻ることさえ許されない」
 云って、冷艶なる白虹一条を閃かせる。
 其は伝え聞いた逸話を元に、更に迅速く鋭利く練り上げた【秘剣・燕殺し】(ソニックブレイド)――餘りに素早い斬撃にて太刀筋は視えず、嚴然たる「結果」を晒すのみ。
『イィィィカァァァァア嗚呼ッッ!!』
 目下、泡沫の躍る海岸線には、切断された触腕が白砂に濡れながら轉輾(のたう)ち、其を見て激痛を受け取った『皇帝烏賊』が漸ッと悲鳴を喊ぶ。
「やっぱり……陸に上がったイカが避けられるモノじゃないわねぇ」
 未だヒクヒクと蠢く触腕をヒョイと持ち上げるアナスタシア。
 身の丈を越す巨腕だが、彼女は其を輕々と振り回し、「己以外の何でも溶かせる」――畢竟(つまり)「己自身は溶かせない」性質を利用してイカスミを振り払ッた!
 これには延乃進が喝采して拳を突き上げ、
『杏奈(あな)殿は可愛らしいお顔で何と狡猾な! 正に戰上手の剣豪に御座んス!』
「そうねぇ、宮本武蔵でも憑装してくるべきだったかしらぁ?」
 肩越しにくすくすと微咲(えみ)を注ぐ可憐の美聲は、やっぱり暢然としていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
だって美味いんだから仕方ないじゃないの(身も蓋もねぇや)
――ふーん。アンタ、仲間を召喚できるのね
ほらアンタ達、タコの次はイカ料理よー

・押し寄せるイカの群れを【宵闇】で飛んで回避し、【飢渇】「投擲」、「爆撃」と共に爆ぜて黒雨が群れに降りそそぐ
・怪奇、イカゾンビ誕生!【飢渇】イカスミを未感染イカにも噴射して次々と仲間を増やしていくぞ!(B級ホラーか)
・イカゾンビ達が皇帝烏賊に「集団戦術」で「捕縛」しようと襲いかかる

数で押してくる相手とか私にとってはカモなのよね。イカだけど
海でイカを追うにはこっちもイカを使えばいいのよ
アンタも【染】めてイカ生産機にしてあげるわ
これでもうBBQの食材には困らないわね♪


白斑・物九郎
●WIZ



海は海の王のモンだァ?
よくわかってんじゃニャーですか

つまり俺めの物ってコトですわな

――ワイルドハント、白斑物九郎
俺めのコトはキャプテンと呼べ


・【砂嵐の王・死霊大隊】発動
・マイ【狩猟】船で海へと漕ぎ出し皇帝烏賊へ仕掛ける
・タコの脚捌いたりとか腕前は確かっぽいし、延乃進も甲板に乗っけてって斬る手伝いさせたろ

・艦載武装から銛をブッぱなす捕鯨銃等を引っ張り出し、幽霊船員総出で皇帝烏賊目掛けガンガン射掛ける(串刺し+暴力)

・皇帝烏賊のイカスミ攻撃の到来と射線は【野生の勘】での予期し操舵、掻い潜る
・水墨画調と化した海は、嵐を呼ばわる【天候操作】で自分得意の絵面へと無理矢理挿げ替える(地形の利用)



 頭足類の王(自称)、唐鞠・咲は「可怪しくなイカ!?」とにゅむり胴部を傾げた。
 増援のイカ隊は召喚する度に食い荒され、スピードを押える爲に薦めた海の幸も速攻で平らげられ、最早、オブリビオンが猟兵を歓待するOMOTENASI状態。
『奴等の胃袋がイカれてるんじゃなイカ!? そうじゃなイカ、そうじゃなイカ!』
 半ば狂亂状態で触腕を踊らせる巨邪には、タコ料理に続いて特上の舟盛りに箸を寄せたメフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)が答えて、
「だって美味いんだから仕方ないじゃないの」(もぐもぐ)
『身も蓋もなイカーッ!!』
 これに目玉をカッ開いた『皇帝烏賊』は、積年の恨みに震える触腕を白波に叩き付け、渚を赫黑いダイオウホウズキイカの群れに埋め尽くした。
『海は海の王のものじゃなイカ! 勝手は許されなイカ!!』
 亂獲禁止、遊泳禁止、散策禁止!!
 今一度、疆界を引いて遣らんと海岸線にイカを並べる巨邪に對し、雄渾たる海賊装束で現れた白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は、腕組みしながら云ってやる。
「海は海の王のモンだァ? よくわかってんじゃニャーですか」
『そうじゃなイカ、そうじゃなイ……上から目線じゃなイカ?』
「つまり俺めの物ってコトですわな」
『ゲソーッ!?』
 そんな暴論になる!? と、大きな触腕をニュルニュル動かして訴える『皇帝烏賊』を、犀利な隻眼に射抜いた物九郎は、ここにスッと片手を掲げ、
「――ワイルドハント、白斑物九郎。俺めのコトはキャプテンと呼べ」
『えっキャプ……えっ』
 云うや、白砂の濱辺が翳る。
 太陽を遮る巨影を仰げば、宙空には【砂嵐の王・死霊大隊】(ワイルドハント・ネクロトライブ)――ライオン、ユキヒョウ、チーターら狩猟好きな食肉目ネコ科の幽霊530体を船員としたトライリーム(三段櫂船)が現われ、船長を甲板へと招き入れる。
 王を名乗るからには、船の一隻二隻は持ち合わせていよう。
 巨大なガレー船上、リアルに「上から目線」を注いだ物九郎は、凄まじい胃袋を有するメフィスと、タコ捌きに定評のある延乃進も呼んでイカハントに掛かった。
「幽霊船員総出で偽王を狩る」
 冷然と言ちて捕鯨銃等を引っ張り出す物九郎の隣、高みより広視野を得たメフィスは、続々とイカが増える異景に「ふーん」と睫を落とし、
「際限なく仲間を召喚できるのね……ほらアンタ達、タコの次はイカ料理よー」
 遠慮は要らぬと佳聲を添えれば、繊麗の躯よりゾワッと滲み出た眷属『飢渇』が次々と船より飛び出し、ギョロギョロ目玉を動かすや爆裂――ッ! 骨片と血潮を混濁した漆黑の雨を降り注いだ。
『ゲソーッ!? 雨が……雨が嚙み付いてくるじゃなイカーッ!?』
 逃れられぬ黑雨にイカ達が悲鳴を上げる中、メフィス自身は醜悪な骨身の翼を生やして叫喚の海を帆翔し、折に羽搏いては暴風や真空刃を放ってイカを切り刻む。
「数で押してくる相手とか、私にとってはカモなのよね。……イカだけど」
 眼下の惨憺にペロリと舌を舐めずったのは間もなくのこと。
 爆散して尚も褪せぬ飢餓衝動は、イカの群れに寄生して【染】(ソメル)――104体のイカゾンビを生むと、飢渇化したイカスミを噴射させ、他の個体にも感染を広げた!
『ゲェェェェソォォォオオオンンンン……ッッ!』
『怖ッ!? 真夏も凍るパンデミック系モンスターパニック展開じゃなイカ……!!』
 こんな時こそ「数」は恐怖となろう。
 度重なる増援が仇となったとは、上空を飛び回るメフィスが告げて、
「海でイカを追うにはこっちもイカを使えばいいのよ。こんな風にね」
『ヒー、このB級ホラー感! 陸側から仕掛けられるとは予想外じゃなイカー!!』
 サッと蒼褪める巨邪に對し、佳人はニッコリ。
「大丈夫、アンタも【染】めてイカ生産機にしてあげるわ……これでもうBBQの食材には困らないわね♪」
『言い方!!』
 その反駁すらゾンビ化した仲間達にムギュムギュ押されて掻き消えた『皇帝烏賊』は、機動力を削がれ、随分と狙い易くなった事だろう。
「周辺のイカごと串刺しにしてやりまさ」
『イ――カ――ッ!!』
 火華を噴くなりドギャァァンッと吼えた巨銛が、一気に数体をブチ抜く。
 その射線上、照準器より鋭い星眸(まなざし)を注いでいた物九郎は、ジャガー部隊がウインチでイカ群を巻き上げる傍ら、ピューマ部隊が用意していた二発目を担いで射出! 間隙なき攻撃で首魁を脅かす。
『クッ……これが漁師の暴力……!! しかしっ、亂獲に屈する王じゃなイカッ!!』
 無論、『皇帝烏賊』も捕まりはせぬとイカスミを噴くが、物九郎は巧みな操舵で漆黑の脅威を掻い潜り、櫂のひとつも溶かす事なく巨邪の真上を取った。
 其處からはイカスミの噴射の跡――唐鞠を擁する幻想的の水墨画の世界が視えようが、物九郎は長い睫を落すや淡然と言ち、
「……言いましたよな。海は俺めのモノですってよ」
『あの』
「落書き禁止な」
 而して一刻の猶予も無し。
 手の甲に頬を拭い、宛ら「猫が顔を洗う」感じで船腹直下に嵐を呼んだ物九郎は、轟々と呻る颶風に幽玄の水墨画を揉み消すと、モノクロームの幾何学模様に書き換える。
 増援部隊がゾンビ化して敵に寝返り、己を増強する水墨画も失くした『皇帝烏賊』は、ヘナヘナとその場に崩れ落ち、
『ゲソォォ……』
 と、ゲッソリ脱力するばかりだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
🏝46232

海は誰のものでもありません
敢えて言うならそこに生きるすべてのもの
自らを王とし占有するというならば……当然、他に攻め込まれることも覚悟の上ですよね?

聖槍を振るい、触腕を斬り裂きながら砂浜を駆ける(ダッシュ)
剣豪たる延乃進さんも、流石にこの質量差は如何ともし難い筈
しつこく攻撃を繰り返すことで注意を惹き付ける(おびき寄せ・挑発)
砂浜から波打ち際へ、そして海上を走る(水上歩行)

イカスミで地形を水墨画に変えられようと、海流で画として成立しない筈
私自身を狙うなら――何でも溶かすとしても、形なき風は溶かせまい
突き付けた聖槍の穂先から【属性攻撃】【全力魔法】【壊嵐旋迅槍】
破壊の暴風で斬り刻む


荒谷・つかさ
タコフルコースの次はイカのお出ましね。
任せなさい、イカもきっちり美味しく料理してあげるわ!

引き続き【荒谷流野戦焼肉術】発動し料理に専念
基本は仲間が倒したイカ軍団を調理していく
イカ焼き、イカと大根の煮物、イカ飯、ゲソ揚げ、リングフライ等々
エンパイアだけでなく各世界を回って得た知識・技法もふんだんに使った料理を振舞う
勿論加熱料理だけでなく、イカソーメンや塩辛、イカわさ等の生ものも提供
とっておきの日本酒も樽で持ち込み、自分でも炙ったイカで一杯やりながら調理場の守護神と化す
イカ軍団が私の方に来たなら、怪力で捕えてそのまま酒に漬け込む
生臭さを消しておいて、後で別の料理に使うわね



 猟兵達に追い込まれた『皇帝烏賊』唐鞠・咲は、然しイカりが消えた訳では無い。
 彼は依然として廻船問屋や亂獲漁船が憎いし、巌流島に聖地巡礼に来た延乃進も結局は浮かれた観光客につき、必ず海に沈めて遣ろうと思っていたのだ。
 無論、猟兵も然り。
 特に、爽涼の木陰で極上の海鮮料理を馳走する荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)の、尋常ならぬタコの消費量は絶許……決して看過できるものではない。
 然も彼女は、夥多しい増援部隊を前に翠眉ひとつ動かさず、
「タコフルコースの次はイカのお出ましね」
『!? ッッ!? この軍勢を前に怯まないなんて、イカれてるんじゃなイカ!?』
「任せなさい、イカもきっちり美味しく料理してあげるわ!」
『ゲソーッ!?』
 而して食指を動かすのは超速。
 巨邪の驚愕を置き去りに、ゆうらと熱を放つ『烈火包丁』を軍勢に突き付けた佳人は、白虹一条を放ってずんばらり、胴を別ち、鰭を切り離し、腸も取り除いて調理開始!
 つかさの脳内では、既に万彩のレシピが緻密に組み込まれていよう。
「とっておきの日本酒も樽で持って来たわ。調理中にも一杯やれるし、イカを漬け込めば生臭さも消せるし、万能なのよ」
 云って、間際に迫ったダイオウホウズキイカを鷲摑み、樽にドボン、ドボン、ドボン!
 この豪快さには延乃進も快哉の咲みを浮かべ、
「うむり、斬ったイカは海鮮奉行殿へ運べば佳う御座んスなー!」
 と、大薙刀をブン回して食材調達に掛かる。

 勿論、頭足類の王(自称)はイカの亂獲を許すまい。
 唐鞠はギンッと目を鋭利くして海岸線を侵襲し、
『海は王のもの! 王のイカを奪う勝手は許さなイカーッ!!』
「っ――!」
 先ずは延乃進を抹殺すべしと、大きく触腕を振り被れば、白波の渚に颯爽と割り入ったオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)が、聖槍の螺旋突きに衝撃を彈いた。
『ぬぉあっ!?』
 邪がビリビリと痺れを受け取る中、聖女は『黄金の穂先』の輝きに敵意を引き付け、
「海は誰のものでもありません。敢えて言うなら、そこに生きるすべてのもの……」
『すべての……ッ、そんな寛容で王を諭そうとは生意気じゃなイカ!!』
 次いで横薙ぎに迫る触腕は、ブンと呻った白銀の柄に叩き落す。
 唐鞠が痺れを得たように、己も巨邪の剛力を感じ取ったオリヴィアは、流石の延乃進もこの質量差は如何ともし難い筈だと佳唇を引き結ぶと、次に開いた口に挑発を乗せた。
 大瑠璃の佳聲は小気味佳く語尾を持ち上げよう。
「自らを王と称して海を占有するというならば……当然、他に攻め込まれることも覚悟の上ですよね?」
『ッ!! 王の海が誰に攻められると――』
 唐鞠が目を向いた瞬間、聖女は白砂を駆けて波打ち際へ、更に加速して海上へ!
『波間を走……水渡り!? 水渡りじゃなイカ!?』
 まさか陸の者が海に攻め込むとは思わなんだか、唐鞠は幾許か喫驚の表情を見せるも、次の瞬間には不敵に笑んでイカスミを噴射し、オリヴィアを溶かしに掛かった。
『海を翔るサーフガールよ、随分イカれた戰いをするじゃあなイカ!!』
「――矢張り私を狙いますか」
 誘き寄せは成功。
 踵に彈く水飛沫にイカスミを追い遣りながら駆け抜けた佳人は、常に海流がある海では水墨画は描けまいと、波に揉まれて消える墨色にそっと口角を持ち上げる。
 注意を引くべく執拗に繰り出していた槍撃は、漸う風を、颯を、暴風を呼び起そう。
「何でも溶かすとしても、形なき風は溶かせまい」
 吹き荒べ、【壊嵐旋迅槍】(ロンゴミニアド)――!
 轟然と突き付けた聖槍の穂先は、猛り狂う嵐を纏うや異境の魔槍となり、万物を圧壊する暴風を叩き付ける――!!
『ッッ、ッ……ゲソーッ!!』
 防禦は。間に合わぬ。
 イカスミの噴射が悉く暴風に掻き消された刹那、開けた視界に映った唐鞠は、寸断寸断(ズタズタ)に断たれた触腕を宙に踊らせると、美し放物線を描いて浜辺に飛んだ。

 そして落下地点には、ワイルドハント焼肉担当のつかさが待っている。
「さぁ、いらっしゃい」
 ズンッと重量のある巨腕を片腕一本で受け取った彼女は、逆手に握れる『烈火包丁』をスラリ走らせると、直ぐに【荒谷流野戦焼肉術】(ワイルド・バーベキュー)ッ! タコに続きイカのフルコースを完成させていく――!
「イカ焼き、イカと大根の煮物、イカ飯、ゲソ揚げ、リングフライ……エンパイアの伝統料理から、次元を問わない世界の料理で、皆を元気にしていくわよ」
 諸世界を渡って知識と技法を培ってきた“料理人”(意味深)の腕は卓越至極。
 つかさは『烈火包丁』による加熱料理は勿論の事、イカソーメンや塩辛、イカわさ等の生ものも素早く提供し、猟兵仲間や延乃進らをパワーアップさせていく。
 彼女自身もグビリと一杯あおりつつ、イカの美味に強靭を得よう。
「遠慮は要らないわ。皆、じゃんじゃん運び込んで食べてって」
 調理場の守護神にタイムラグは無し――。
 目下、巌流島の浜辺には極上のイカ料理が勢揃い、汐風に煽られた薫香が島いっぱいに満ち広がるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
今度は烏賊ですか。倒幕の人選を間違えている気がします。
真田さんに少々同情するのは何故でしょう?

海に引っ張られると危険とのことなので凍らせます。
凍結させるのは烏賊の身体とその周囲の海水ですね。
リミッター解除してのちに限界突破で技の性能を上昇を。
属性攻撃をほどこしてからダッシュで烏賊の間近へ接近。
早業と2回攻撃を用いた『真改』の一振りで【雪駆】を。
二度【雪駆】で斬れば烏賊の身体も海水も凍ると思います。

もし烏賊の身体が凍らなくても構いません。
一時期でも動きを封じることができれば十分だと思います。
ロベルタさんや他の猟兵の方々も居ることですし問題はないです。
…大きいと大味で美味しくないかもしれません…。



 天気晴朗、颯ッと吹き抜ける汐風に濡烏色の艶髪を梳く。
 サラリと搖れる切揃えの前髪の奥、蘇芳色の麗瞳に首魁『皇帝烏賊』唐鞠・咲を映した浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)は、瀲灔たる錵の刃文の美しい『井上真改』を手にした儘、靜かに囁いた。
「……今度は……烏賊、ですか……」
 思うに、倒幕の人選を間違えている気がする――。
 唐鞠は東海道で散った『真田神十郎』の意志を継いでいるという事だが、何故だろう、神十郎に幾許の同情が過ると、目前の巨邪にかの男の影を重ねた墨は、其も吐息一つして扨置くと、視野を広く、唐鞠の周囲に広がる海を見た。
(「……慥か、海に引っ張られると……危険、と……」)
 海はイカ達の得意の地形にて、引き摺り込まれては分が悪い。
 目下、海岸線に赫黑く群がるダイオウホウズキイカの軍勢も、じわじわ、にゅるにゅると数を増しており、これらを如何にせんと白波を見た墨は、不圖、玻璃(ガラス)の如き透徹の聲を零した。
「……凍らせます……」
 有言實行、鼻緒を踏み込むや花車に秘める魔力を迸發(ほとばし)らせる。
 その全てを氷属性に變換した墨は、抜身の刀を一度、黑漆の鞘に収めると、輝くばかりの凍気を刃に注ぎ込み、絶対零度の疆界に至った。
 而して閃くは、【雪駆】(ユバシリ)――。
 黑鞘より暴かれた冷涼の一刃は、水平線を捺擦(なぞ)るように橫一文字に疾駆するや唐鞠らイカの大軍勢を次々と凍らせ、更に刃を返してもう一閃ッ! 今度は足場たる海を氷に變えていく――ッ!!
『イ……カ……ッ!?』
『ゲ……ソ……ォ!!』
 寄せては返す波の音が靜默すれば、イカらの微かな悲鳴も浮き立とう。
 蚊の鳴くような墨の佳聲も、連中の鼓膜にヒヤリと迫って、
「全て凍らなくても、構いません……一瞬でも、動きを封じることが、できれば……」
 狙いは巨躯を止める事に非ず。
 僅かにも時間を止めれば、戰場を同じくした猟兵が一太刀を、其を束ねた至上の一撃が邪を穿って呉れようと、麗瞳に玲瓏の光を湛えた墨の“想定通り”。
 我が脇を駆け抜ける爽風に、銀髪の少女も居れば不安は無し。問題は無し。
 墨は時を奪われたように動きを止めたイカ達が、仲間達の一斉攻撃によって硝子の如く身を砕いていく樣に佳聲を添えて、
「……これだけ、大きいと……大味で……美味しくない、かも、しれません……」
 と、氷ブロックに小分けされた唐鞠に、そっと訣別を置くのだった。

 斯くして巌流島に侵襲した頭足類たちは、墨ら猟兵によって悉く駆逐された。
 聖地巡礼に訪れていた“甲州の大薙刀”こと日下部太郎左衛門延乃進も、無事に観光を終え、傳馬舟に乗って本土へ帰り、また修行に明け暮れる日々を送るという。
 またも猟兵によって死の危機を免れた彼ではあるが、真田神十郎が消滅した後も潰えぬ悪しき野望は、また他のオブリビオンに利用されるのか――懸念は残る。
 ――唯だ、今は。今だけは。
 平穏を取り戻した波の音が心地好かろう。
 見事に勝利を収めた猟兵は、爽涼の汐風に身を委ねるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年07月22日


挿絵イラスト