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ひとりの少女が堕ちてきて

#ブルーアルカディア #ザエル帝国との戦い

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#ブルーアルカディア
#ザエル帝国との戦い


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●ブルーアルカディア:ブランシュ島
 辺境の平和な浮島に、危機が近づく。
「なんだ、あれ」
 その予兆を最初に知ったのは、島唯一の村に住むひとりの少年、ラシッドだった。

 予兆――すなわち、天を埋め尽くさんばかりの、屍人帝国の尖兵たち。
 黒翼広げ羽ばたくは、残骸と成り果てた誇り高きエンジェルの騎士の末路!
「し、屍人帝国!? どうしてこんな島に!」
 島に近づく黒い群れを見たラシッドは、急いで村へ引き返そうとした。
 だがその時、彼はあることに気付く。
「……流れ星?」
 黒き群れから逃げるようにして、一筋の光が斜めに落ちていく。
 白昼にそぐわぬ星めいた軌跡は、なぜだか少年の心をざわつかせた。
「……!」
 少年は、光が落ちていくほうへと駆け出した。
 行かなければならないと、彼の中で何かが叫んでいた。

 同時刻、黒翼騎士の群れの中心部。
 ラシッドからは見えなかったが、奴らは「あるもの」を護送していた。
 それは、巨大な檻。内部には、強靭な角と天使の翼を持つ巨大な魔獣がいる。
 騎士たちが持つ何本もの鎖によって、檻はがんじがらめにされていた。
 どうやら獣は、自由にさせてはならぬほどに凶暴らしい。
「イーラ様の許しがあるまで、絶対にそいつを自由にするなよ、いいな!」
「「「はっ!」」」
 指揮官役の言葉に、騎士たちは緊迫した面持ちで応える。
 檻に閉じ込められた魔獣は、己の出番が来るその時を待ちわびていた。

●グリモアベース:予知者、クイン・クェンビー
「みんなみんな! この間見つかった新しい世界で、大事件が起こるよ!」
 少女めいた少年は、集まった猟兵たちを見渡し、拳を握りしめた。
「えっと、一応説明しておくね。新しい世界の名前は、ブルーアルカディア!
 オブリビオンから手に入る「天使核」っていうアイテムで栄えてる世界で、
 この世界には地面が無い代わり、あちこちに島々が浮かんでるんだって。
 でも、かつて沈んで滅んだはずの国々が、次々と復活して悪さしてるんだ!」
 それが屍人帝国であり、今回の敵もそのひとつだと、クインは語る。
「どんな国だったのかはわからないけど、とにかく奴らには目的があるみたい。
 ブランシュ島には興味がないみたいだけど、相手はオブリビオンだからね……。
 島に住んでいる人々を皆殺しにするぐらいは、簡単にやってのけるはずだよ」
 オブリビオンが、生者に情けをかけることなどありえない。
 邪魔ならば、殺す。連中はそういうモノだ。ましてや軍隊ならば……。

 だからこそ、その凶行を止めてほしい……と、クインは言った。
「いますぐブランシュ島に転移して、オブリビオンの侵攻を止めてほしいんだ。
 きっと、向こうにも「切り札」と呼ぶべき存在はいると思う。
 簡単な戦いじゃないけど……オブリビオンの好きにはさせられないよね!」
 クインは握りしめた拳を震わせて、決然とした面持ちで言った。

 もしもグリモア猟兵でなければ、クインは率先して戦いに臨んだだろう。
 しかし、転移の役目を背負った彼には、戦うことは許されない。
 ゆえにこそ、クインは猟兵たちを信じるのだ。必ず勝ってくれるはずだと。
「敵の大部分は、もともとエンジェルの騎士だったオブリビオンみたいだよ。
 統率された動きでびゅーんって飛び回ると思うから、連携攻撃に気をつけて!
 ……って言っても、色んな敵を倒してきたみんななら、きっと心配ないよね!」
 クインはあっけらかんとした笑みを浮かべ、胸の前にグリモアを出現させた。
「じゃあ、問題なければ転移を始めるよ、いい? ……みんな、頑張ってきて!」
 転移術式によって生み出された光が、猟兵たちの視界を染め上げる。
 それは、かの世界に無限に広がる、青空のような色だった。


唐揚げ
 魯肉飯です。遅まきながら、新世界シナリオ第一弾となります!
 もしかしたら、今後連作的なシナリオを出すかもしれません。
 つまりはキャンペーン第一話のような感じですね。ワクワクします。

 本シナリオは、謎の屍人帝国との戦いのあと、3章で野営をします。
 そこでNPCと交流したり、案内役のクインを呼び出せたりします。

 ともあれまずは、頑張って屍人帝国との戦いに勝利してください。
 奴らの狙いは一体なんなのか……えっタイトルでほぼバレてる?
 まあ、はい。おおよそ、ボーイミーツガールみたいな感じです。
 皆さんの立ち位置は、彼らを護る「謎の余所者」といったところでしょうか。
 既存作品だと、師匠ポジションになったりするイメージですね。かっこいい。

 話を戻しましょう。
 各章ごとに、断章とプレイング受付期間の詳細を投稿します。
 その時点でプレイング受付開始となりますので、ご注意ください。
 それでは、邪悪な野望を打ち砕く熱いプレイング、お待ちしています!
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第1章 集団戦 『黒翼騎士』

POW   :    集団突撃戦術
【背中の翼と飛行魔術】によりレベル×100km/hで飛翔し、【一緒に突撃を仕掛ける人数】×【速度】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    黒翼斧槍
【敵の頭上に飛翔し、ハルバード】による素早い一撃を放つ。また、【追い風を受ける】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    黒翼防御戦術
自身の【部隊の守備担当】になり、【翼に風を受ける】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。

イラスト:astk

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ブルーアルカディア:ブランシュ島、郊外
 空から落ちた光の正体は、ひとりの少女だった。
「……」
 少年は見惚れていた。銀髪の少女の美貌に――それもあるが、違う。

 エンジェルと思しき少女の背中には、白金に輝く翼が生えていた。
 まるで太陽めいた輝きは、少女の息遣い――あるいは鼓動――に呼応して明滅する。
「う、う……」
「……はっ」
 少女の呻き声で我に返ったラシッドは、慌てて彼女に駆け寄る。
「だ、大丈夫!? 怪我はない?」
「……あなた、は……?」
 少女がぱちぱちと目を瞬くと、光は静かに消え去った。
 されど、彼女の翼は、内に輝きを秘めているかのように美しい。
「僕は、ラシッド。ええと、この島の村に住んでて……」
「……ラシッド……」
「と、とにかく、村へ急ごう! そこなら水や食料も――」
 ラシッドは少女を立たせ、村のほうを見やり……唖然とした。

 炎が、揺らめいていた。

「…………村が、燃えてる……?」
 黒い群れが、炎を中心に翔んでいるのが見えた。
 鳥葬のように。あるいは、誘蛾灯に群がる虫のように。
「……あ」
 呆然とする少年のとなりで、少女もまたぽかんとした。
 華奢な体が震え、蒼白になり、そして言う。
「あ……あいつらは、私を追って、ここに……? それで、ああ……」
 少年はその言葉に振り返り、少女の視線を追って空を見た。

 黒い群れが、こちらに近づいていた。
「や、やだ……あいつらが、来る」
「あいつら?」
「黒い騎士……《ザエルの黒騎士》たちが、来る……!」
 ラシッドは――強烈な、そして選びがたい二択を強いられ、呻いた。
 今すぐ村に戻り、村人たちの安否を確認したいという気持ちがある。
 彼にとって、村人たちはみんなが親であり、きょうだいであり、友達だ。

 けれど。
「だいじょうぶ」
 少年は、震える少女の手を握りしめていた。
「え」
「ぼ……僕には何も出来ないけど、でも、大丈夫!」
 何の根拠も確証もない言葉。近づく悪意を感じて、少年は震えた。
 それでも彼は、手を握っていた。
「大丈夫だから……!」
 少女は、緑色の瞳を大きく見開いた。

 ラシッドの言葉は、所詮気休めでしかない。
 《ザエルの黒騎士》たちにかかれば、彼は数秒でバラ肉に変わるだろう。
 だが待て。少年少女と、迫る黒の間を阻むように、光が生まれた。
「なんだ……!?」
 黒騎士たちは呻いた。本能的に、奴らは光を畏れた。
 光の中から来るものどもの存在を察知して、恐れ、そして憎んだ。
 奴らは、"それ"を知らぬ。
 だが、本能――いや、もっと根源的な部分で、"それ"を識っている。

 過去の残骸を滅ぼすもの。
 世界の寵愛を受けし、生命の埒外たる存在!

 少年と少女もまた、光を見つめていた。
 光の中から来る者を。
 そしてその光は、炎に見舞われた村にも顕れていた。

 光を通じて来たる者の名を、猟兵と云う。
 オブリビオンの仇敵にして天敵――世界を救うものだ。

●プレイング受付期間
 7/9(金)08:30前後まで。
●1章の備考
 現在、《ザエルの黒騎士》と呼ばれる存在(『黒翼騎士』たち)の攻撃は、
「①少女とラシッド少年」
「②ブランシュ島の村(便宜上「ブランシュ村」とする)」
 それぞれに及んでいます。
 どちらを防衛するか決めた上で、①か②をプレイングに記入してください。
(分身や召喚体を使って①②両方を守る、というのは可能ですが、別行動可能な存在なしに単独で両方を守ることは出来ないとします)
 現状、まだ村民に被害は出ていません。
 参加者様がどの程度どちらを選んだかによって、3章での描写が色々変わります。
●注記
 ①②の記載がない場合は、こちらで適宜いい感じに割り振ります。
ルビィ・フォルティス

随分と物々しいですわね。淑女を迎えるマナーがなっていないのではなくて? お帰りはあちらでしてよ。
報酬は期待できませんけれど、居合わせたのも縁ですわ。敵はわたくしたちに任せて、あなたはその子の傍にいてあげてくださいませ。

自前の翼で飛翔し、黒翼騎士たちの前に立ちふさがる
敵の素早い攻撃を天使靴シューズの空中ステップも交えて避ける
須臾の剣風を使用、敵集団の間を飛び回り、巻き起こす風で敵が追い風に上手く乗れないようにする
飛び回りつつアドウェルサによる斬撃とかまいたちによる攻撃を加え、黒翼騎士を落としていく

恨むのであれば、自身の運の無さを恨みなさいませ?



●風とともに
 空より来たるは黒き翼。
 これに相対し、雄々しく広げられたるは、白き翼である。
「随分と物々しいですわね。淑女を迎えるマナーがなっていないのではなくて?」
 空を埋め尽くす黒翼騎士の軍勢を相手に、わずか14歳の少女は言った。
「あ、あなたは……」
 背中に回した少年の誰何に、少女はくすりと笑って名乗る。
「わたくし、ルビィ・フォルティスと申しますの。これでも貴族ですわ。
 ……あれらはわたくしたちにお任せなさい。あなたはその子のそばに」
 ルビィは肩越しに少年を振り返り、ちらりと少女を一瞥した。
 不安げな少女は、ラシッドの袖を掴み、震えている。
「わ、わかりました!」
「いい返事ですわ」
 ラシッドの言葉にルビィは頷き、改めて敵を見返した。
「あら、あなたたちまだいらっしゃいましたの? お帰りはあちらでしてよ」
「たかが小娘が、我ら《ザエルの黒騎士》にナメた口を叩いてくれる」
 騎士の物言いを、ルビィはふふん、と鼻で笑った。
「多勢に無勢で淑女を追いかけ回して、何が騎士かしら。笑わせますわ」
「何ぃ!?」
「……報酬は期待できませんけれど、これも何かの縁。一仕事いたしましょう」
 風纏う長剣『アドウェルサ』をすらりと抜き放ち、ルビィは飛翔した!

 白い翼がはためき、風を生み、その風を利用してルビィは空を駆ける。
 天使靴で風を蹴ることで変幻自在を軌道を描き、ハルバードの刺突を躱した。
「遅いですわね!」
 踊るような剣閃が渦を描き、周囲の騎士を巻き込んで烈風が撒き起こる。
 膨れ上がった風は乱気流となって爆ぜ、敵の陣形をかき乱す!
「くっ! この娘、疾いぞ……!」
「囲め、囲め!」
 黒翼騎士たちは、ルビィを包囲して閉じ込めようとするが、そうは問屋が卸さない。
 ルビィは音をもあとにする速度で加速し、ハチドリめいて敵を翻弄した。
 すれちがいざまに繰り出される鋭い斬撃は、黒き鎧を紙くずのように断ち切る!
「わたくしを捕まえるつもりですの? 生意気ですわよ!」
 黒の群れを白い翼が斬り裂くさまは、朝焼けが夜の闇を退けるかのようだ。
 翼を、あるいは胴を斬られた黒翼騎士は、次々と空の底へと堕ちていく。
「おのれぇっ!」
 頭上からハルバードの強襲。だが、ルビィはこれを読んでいる。
 ギリギリのところでぐるぐるとスケーターめいて回転し、鎌鼬を生み出した!
「――恨むのであれば、自身の運の無さを恨みなさいませ?」
 全身を切り刻まれ、本懐を果たせず堕ちていく騎士に、少女は言った。
 家出娘と侮るなかれ。彼女の天賦の才は、黒き騎士をも翻弄するほどだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

シュタルク・ゴットフリート

「屍人帝国め、今を生きる人々を過去に引きずり込むなど断じて許さん!」

シュトゥルム・ラケーテンでの【推力移動】にて飛翔、村を襲う黒騎士達を攻撃。
村人を攻撃せんとする者を最優先で狙う。
「過去を過去へ還すべく、俺もまた過去より舞い戻った。『現在』を守る為に!」

【空中機動】にて交戦。
基本の攻撃手段はアイゼンファウストを以ての打撃。
複数の敵が集まっているなら、フォイヤ・ヴェスペを展開し【範囲攻撃】を仕掛ける。
緊急時には指定UC発動、ロケット出力全開からの突撃(【重量攻撃】)を以て村や村人への脅威を文字通り吹き飛ばそう。
「黙して過去へと還るがいい…!」



●死してなお
 雲海に沈んだ者の末路はふたつ――二度と戻らぬか、残骸と成り果てるか。
 だが、何事にも例外というものはある。
「屍人帝国め、今を生きる人々を過去に引きずり込むなど断じて許さん!!」
 燃える村に降り立った炎の翼の戦士、シュタルク・ゴットフリートこそその例外。
 雲海に沈んでなお、死せざる死によって黄泉帰った不屈の戦士である。

「うおおおおッ!!」
 裂帛の気合を放ち、シュタルクは黒翼騎士に戦いを挑んだ。
 ドウ!! シュトゥルム・ラケーテンが炎を噴き出し、巨躯を前へと進ませる!
「何! 猟兵だと……ぐおっ!!」
 猛スピードで叩き込まれたガントレットの一撃は、ハルバードでは防げない。 縦に掲げた柄はあっけなくへし折れ、拳が黒翼騎士の鎧をぶち抜いた。
 噴射熱がガントレットへと燃え移り、射殺した敵の肉体を爆散させる!
「聞け、オブリビオンとなったモノどもよ!!」
 シュタルクは朗々たる声で叫んだ。
「過去を過去へ還すべく、俺もまた過去より舞い戻った。『現在』を守るために!
 これ以上、貴様らに『現在』を否定させはせん。それでもなお戦うならば――」
 ぎらりと、兜の奥で瞳が光る。
「まずは、このシュタルク・ゴットフリートを討ってみせるがいいッ!」
「「「ほざいたな、貴様ァッ!!」」」
 黒翼騎士が来る。陣形を組み、猛スピードで突撃を仕掛ける必勝戦術だ。
 巨大な飛空艇すらも叩き落とすほどの威力を秘めた、極めて危険な合体攻撃。
「いいだろう、相手になってくれる!」
 シュタルクはミサイルランチャーを展開し、弾幕を形成。
 敵の突撃の勢いを削ぎつつ、自らも単身でロケット噴射突撃を敢行した!
 燃え上がる村の上空で、勇ましき騎士と黒き騎士の群れが――激突!!

 数も威力も、ともすれば練度さえ彼方が上のはずだった。
 しかし見よ。激突を制し、空を斜めに切り裂いたのはシュタルクである!
「ば、バカな……!」
 猛烈な激突エネルギーで四散した敵のひとりが、死に際に呟いた。
 炎の翼を広げたシュタルクは、勇ましく胸を張り振り返る。
「俺にあって貴様らにないもの、それは「守るもの」だ……堕ちた騎士たちよ。
 黙して過去へと還るがいい。いずれは俺も、再び雲海の下へ還るのだから」
 兜の下の面は、誰にも垣間見えない。
 けれどもその声音には、哀悼めいた響きがあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナスターシャ・ノウゼン

屍人帝国のぉ。また性懲りもなくどこかの忘れ去られた国が甦ったか。
他の猟兵に任せたいところじゃが、一応妾の住む世界のことだしの。一つ、青春のお手伝いと参ろうか。別に今回のシチュエーション、つい最近テレビで見たからじゃないぞ?違うからな?

とはいえ、前線で激しく戦うのは勘弁じゃな。疲れるし。
妾は脇役でいいんじゃよ、脇役で。

群がる黒騎士どもを斧錨を【ぶん回し】ながら吹き飛ばしていこうか。
なんじゃ、上から来るのか?まぁ、どこから来ても変わらん。皆々<地獄の炎>で焼き散らしてくれようぞ。

ふぁ……運動したら眠くなるの。もう帰って寝たらダメか?……ダメじゃよなぁ。知っとった。



●脇役らしく
 永き眠りに就く前、彼女の名は畏怖と崇敬を込めて呼ばれていた。
 ナスターシャ・ノウゼン。あるいはゲヘナの炎、あるいはイフリート。
 形あるすべてのものを形なきものに変え、形なきものを無へと帰する。
 恐ろしくも強大なる、この世ならざる獣――それが、彼女だ。

 いや、だったというべきか。
「ふぁ……面倒じゃのぉ。まあ一応妾の住む世界じゃし、働きはするが」
 残念ながら今のナスターシャは、ぐうたらで引きこもりなダメ女である。
 戦場にやってきたというのに、あくびをしているあたりからしてもうダメだ。
「脇役なりにやらせてもらうかのう。青春のお手伝いと参ろうではないか」
 ただし、それが彼女の力が弱まったことを意味するかと言えば、否である。

「そぉら、大漁じゃあ!」
 ナスターシャが振り回すのは、アックスアンカーだ。
 ただしそれはただのアンカーではなく、炎の力を宿した魔の武器。
 いかに彼女がぐうたらになったとはいえ、ナスターシャは炎の化身である。
 力を込めれば鉄は赤熱し、大気を焦がす灼熱の鉾と化す!
「な、なんだこの力は……! 一体何者――うおおっ!?」
 純粋な熱量に、巨大なアンカーの質量、そしてスピード。
 馬鹿げた膂力で振り回された炎斧錨は、いわば鉄と熱の嵐と言えよう。
 防御も回避も許さぬ純粋な暴力が、敵の隊列をボウリングめいて薙ぎ払う!
「あそこだ! あの女を討て!」
「んん? なんじゃ、上から来るのか? まあ、どこから来ても変わらんが」
 ぶんぶんと斧錨を振り回しながら、空いた片手の掌に炎を生み出す。
 ナスターシャが無造作に炎を投げつけると、それは空中で無数に散った。
 相対する敵のみを焼き尽くす、地獄の炎。ゲヘナの化身と謳われた所以!
「う、うわああああ!!」
 黒翼騎士は次々に炎に包まれ、たちまち黒焦げの残骸と化した。
「す、すごい……《ザエルの黒騎士》が、一網打尽だなんて……」
 ラシッド少年の袖を掴んだ少女は、ただ唖然とそのさまを見上げていた。
 ナスターシャは少年少女を一瞥し、ふぁ、と呑気にあくびをする。
「運動したら眠くなるの。もう帰って寝たらダメかのう……」
 けだるげにつぶやくナスターシャだが、敵がそれを許してくれるわけもない。
 次々に現れる新手を見上げ、ナスターシャは嘆息した。
「ダメじゃよなぁ。知っとったけど」
 そしてまた、炎が生まれる。
 愚かなる敵を魂まで焼き尽くす、地獄の火炎が!

成功 🔵​🔵​🔴​

ベル・プリンシパル

屍人帝国の奴ら、なんて酷いことを…!
これ以上の好き勝手は許さないぞ!
魔力の矢の束ね撃ちを放って牽制して、注意をこっちにひきつけるんだ
村に今以上の被害は出させないし、村の人たちにも手は出させない
さあかかってこい!俺が相手になるよ!

【乱れ撃ち】で牽制をしながら腰翼を使って大空に飛翔し、【空中戦】をするよ
すっごい速さで飛んでくるみたいだけど、牽制の射撃で連携を乱して隙を作って、俺の【空中機動】力で攻撃を回避
牽制をし続けて、相手が態勢を立て直そうと隊列を組み直し始めたところで光球を連続発射だ!
相手集団を囲むように放った光球から、花火みたいに広がる魔力の矢の追尾【範囲攻撃】で一気に撃ち落とすよ!



●その黒を討て
「た、助けてください……! 白金の翼の娘など知りません!」
 ハルバードを突きつけられた女性が、悲鳴混じりに叫んだ。
 黒翼騎士たちの目当てはエンジェルの少女。村人はその捜索の一環として狙われ、脅され……そして、当然のように命の危機に瀕している。
 連中が村を燃やした理由など、ただそれだけだ。それで十分なのだ。
「そうか、知らんか。ならば仕方ない」
 黒翼騎士は瞑目して言い――目を見開き、ハルバードを掲げた!
「ならば死ね。役立たずめが!」
「ひ……!」
 なんたる横暴! だが、その時……振り下ろされたハルバードを何かが弾いた!

 軌道をそらされたハルバードが、ざしゅっ! と女性の真横の土を掘った。
 自分が真っ二つになると思っていた女性は、目を回して気絶してしまう。
「誰だ!」
 ハルバードを持ち上げた騎士の誰何に、弓を構える少年が答えた。
「なんてひどいことしやがる……! それ以上の好き勝手は許さないぞ!」
 エンジェルの少年、ベル・プリンシパルは、騎士の凝視を真っ向睨み返す。
 ハルバードを弾いたのは、彼が生み出した魔力の矢による束ね撃ちである。
「村にも、村の人たちにも、これ以上手は出させないぞ。さあ、かかってこい!」
「ガキが……ならば貴様から血祭りにあげてやるッ!」
 激昂した騎士は部下を引き連れ、狙いをベルに移した。
 ベルは腰に生えた翼をはばたかせ、魔力の矢を乱れ撃ちしながら飛翔する。
 敵は矢を警戒しつつ、ベルを圧殺するために立体的包囲網を築いていく……!
「我ら《ザエルの黒騎士》に挑むということの愚かさを、身を以て味わわせてやる」
「何が騎士だ、よってたかって罪もない人たちを苦しめておいて!」
 勇ましく舌戦を繰り広げつつも、ベルは敵の動きを警戒していた。
 おそらく敵の狙いは、多方向からの突撃でベルを串刺しにすることだ。
 突撃を許せば逃げ場はない。ならば、突破口を自ら開くのみ!
「――そこだ!」
「ぬうっ!?」
 ベルは魔力を収束させた矢を放ち、連携に穴を作って急降下した。
 上下左右からの同時突撃はかわされ、突き出されたハルバードががちんと噛み合う。
「チッ、ちょこまかと……隊列を組み直せ!」
「そうはさせるか! まとめて、撃ち落とすッ!」
 ベルは矢を撒き散らす光球をいくつも生み出し、それを投射。
 花火めいて広がった魔力の矢が、敵の陣形を内側からかき乱した。
「こいつで、終わりだ……ッ!」
 そして引き絞られた矢が、指揮官の胸部を貫通!
「がは……ッ! バ、カな……!」
 血を吐いて雲海へ堕ちていく敵を見送ったベルは、次の敵を討つために羽ばたいた。
 これ以上の犠牲を生み出さないために、少年は命を賭して戦場を舞う――。

成功 🔵​🔵​🔴​

リゥ・ズゥ

堕ちた天使の群れはなるほど、恐ろしいものだろう。
だが、ソレを超える脅威、恐怖の具現がその前に立つ。

敵が空を征く天使であるならば、より高い宇宙(ソラ)より来た悪魔が、その全てを滅ぼそう。

しかし、これが英雄譚ならば、少女を守るのは悪魔ではなく、勇気ある少年の役目である

「敵は、その娘が狙い、か」
「その娘を、お前が守るなら、リゥ・ズゥは、奴等に専念、する。任せた」

その身を炎に変じ、敵の魔の手を少年少女に届く前に察知し撃退(野生の勘、視力、見切り、早業)、
敵陣に飛び込み襲い来る全てをあらゆる防御を超高温の炎で焼き尽くす(ダッシュ、捨て身の一撃、カウンター、鎧無視攻撃)


「守れた、か? ならば、いい」



●燃え盛るカイブツ
 ――ズシン!! と、巨躯が地に降りた。
 それはまるで、異界から来たる地獄の炎の化身めいる……と、ラシッドは思った。
 その比喩は、間違っていない。それは、異界から来たカイブツだ。
 青き空よりもさらに上、より高き黒の宇宙(ソラ)より来た《悪魔》。
『……敵は、その娘が狙い、か』
「しゃ、喋った……!?」
 カイブツが、不明瞭な声で言った。
 恐ろしい風貌に反して、その声は不思議と優しげに思えた。
『その娘を、お前が守るなら、リゥ・ズゥは、奴らに専念、する』
 唖然とするラシッドに、カイブツ――リゥは、言った。
『任せた』
「……!!」
 少年は、カイブツがなんであるかを理解する前に、頷いていた。
 彼は、任せたと言った。
 ならば、何があろうと彼女を守り抜くと、ラシッドは決めたのだ。

 黒きカイブツが、黒の騎士どもに戦いを挑む。
 いや、黒き翼が、燃え盛る黒の化身に戦いを挑む――というべきか。
「矢を放て! いかな巨躯とて、数の前には勝てん!」
 後衛の騎士たちが矢を放ち、前衛がハルバードを構えて吶喊する。
 だが、おお……それは山であり、海であり、嵐であり、災害である。
 自律する破滅たる、帝竜ガイオウが。
 その心臓の力を得たリゥは、まさしくすべてを焼き尽くす炎の塊。
 飛来する鏃を、ハルバードの矛先を、触れた瞬間に炭化させてしまう。
「なんだ、あいつは……!?」
 誇り高き《ザエルの黒騎士》たちは、久しく忘れていたものを思い出した。

 ――恐怖である。

『そちらの攻撃は、終わりか。ならば……リゥ・ズゥの、番だ』
 巨躯が風となった。それから起きたのは、一方的な蹂躙であり破壊だ。
 騎士を炭に変え、翼を灼き、斧槍を融かし、軍勢を滅殺する。
 少年と少女は、燃え上がるカイブツの暴虐を畏れた。
 けれどもそれが、己らを守ろうとする意思の具現であることを識っている。
 太古の人々が天災に神性を見出したように、彼らもまた恐怖しつつ敬意を払った。
「あ、ありがとうございます……!」
 少年か、少女か、あるいはどちらもか。
 駆け出した彼らの声に、リゥは一度だけ振り返り、頷いた。
 炎のせいか、彼の口元には、笑みめいたものが浮かんでいるように見えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フュテュール・ステラセ
・心情
青空(そら)に浮かぶ、島々の世界……空を「あれ」に支配された「あの世界(クロムキャバリア)」とは、大違いですね
いつか、この世界のようにあの世界も大空を自由に舞える世界にしたいものですね
……故に、という訳ではありませんが
助太刀といきましょう、セイヴェリオス

・戦闘
セイヴェリオスに乗り、【空中戦】を行います
ユーベルコード「吹雪乱舞」も用いて、敵の部隊を蹴散らしてしまいましょう……相手がオブリビオンだというのなら、手加減をするつもりもありません
ついでに風の【属性攻撃】や【全力魔法】、【念動力】も用いて、全力でひっかき回していきましょうか

・その他
アドリブ等は大歓迎です


秋山・軍犬
少年少女は他の猟兵に任せて
自分達は村の救援へ行くっすよ焔ちゃん!

という訳で火災に関しては
炎を操れる【指定UC】に対処してもらう
亜種とはいえ炎を司る精霊だから
炎を燃え上がらせることも出来れば
鎮める事も出来るんすよね

焔「ついでに、村人を焼こうとした汚物は
焼却しておくから、軍犬は村人の事を頼んだぜ
ひゃっはーッ!」(火炎耐性+焼却+掃除)

よし頼んだっすよ!
軍犬は焔ちゃんの鶏達と一緒に村人の救助してくる!

怪力や野生の勘、火炎耐性、環境耐性などを駆使しつつ
建物の倒壊などで危機に瀕してる村人を救助

鶏達に動けない村人を安全な場所まで運搬してもらい
負傷の酷い村人は超級料理人的な医術で応急処置を施していこう。


ユーリィ・ミニットマン
魔獣狩人のユーリィだ、宜しく頼む。

②村の防衛に向かう。
周辺環境を確認するべく、村民と話しておきたい所だが……あまり悠長なことは言っていられなさそうだ。
取り急ぎ、オレたちは避難誘導に注力しよう。オレの同胞たる[群狼]たちの中にはそれなりに大きな体躯の奴もいる。小柄な者やちょっとした瓦礫程度なら、その背に乗せられるだろう。
群れは幾つかに分けて行動させる。もし他の者が居たなら、好きに活用して貰って構わない。

周辺環境等を把握し次第、黒騎士の討伐役に回る。
幾ら素早かろうとも、障害物の多い所に誘い込めばある程度動きを読み易くは出来る。あの大きな翼に[水銀毒]入の弾丸を当てる程度のことなら、造作無いだろう。


エル・クーゴー

●SPD


>ブルーアルカディアに現着

躯体番号L-95
当機はタワーディフェンスに高い適性を発揮します


・キャバリア『アルテミス』に搭乗し【操縦】、村から敵勢を臨める方角に対して鎮座
・アルテミスのシステム系をこの場で改修(メカニック+武器改造)、己の電脳魔術行使を補佐するサーバーとして運用する

・敵勢を「戦場」定義内に捕捉次第【万象改竄:電脳大天球儀】発動

・敵の攻撃は得物による物理、かつ「上方から」と読めている
・であれば連中をスキャン光で括ってやるのは易い(ハッキング+範囲攻撃)

・ハッキングに掛けた敵は「同志討ちを命じる/動作停止を課して墜落させる/敵陣容について情報を吐かせる」等、戦況の為に適宜操る


ミレア・ソリティス
ミレア・ソリティス、任務了解しました。
出撃します
方針:②

転移後、『ジャミングミサイル』を発射し、2型突撃兵装へ換装後、
そのままUCで戦闘機形態へと移行、戦場への認識阻害《ジャミング》を仕掛け敵部隊の連携を絶ちつつ、孤立した目標へブースター点火、加速しての高速突撃ランスチャージを行い仕留めます

こちらへ意識を向ければその分村への攻撃を減らせます
加えて私がいる限り、戦場全体への微弱ジャミングが続きますので
可能な限り囮として妨害を続行します

敵が密集するのであれば兵装換装しランチャーで
「時間経過で起爆する炸裂弾」を爆風・閃光重視(《吹き飛ばし・目潰し・体勢を崩す》)で撃ち込み追い散らします

※アドリブ◎



●ブランシュ村は紅く燃ゆ
「な、なあ! あんたたちの目当ては、白金の翼を持つっていう娘なんだろう!?
 見てくれよ、この村のどこにも、そんな娘はいないんだ! わかってくれ!」
 燃え盛る家の前で、元の持ち主と思しき男性が跪いていた。
 それを冷たく見下ろす指揮官級の騎士は、酷薄な声で言う。
「そうだな。すでに別働隊が少女を発見し、何者かと交戦中にある」
「……は? じゃ、じゃああんたたち、なんでこの村を……」
「何故?」
 理解が及ばない、といった顔の男に、騎士もまた首を傾げた。
「何故と言われてもな。我々が"この村を燃やさない理由がない"だろう?」
「な――」
「おい、こいつはもういい。適当に殺しておけ」
 ぽかんとする男から興味を失くした騎士は、部下に軽々と命じた。
 村を焼く理由はない……だが、焼かない理由もない。
 ならば目についたものは殺し、壊し、奪う。それがオブリビオンなのだ……!

 ――BLAMN!!
「がは……!?」
 男を処刑するはずだった黒翼騎士は、銃声とともに倒れた。
「敵襲か!?」
 別の騎士たちが周囲を索敵するが、それらしい姿は見当たらない。
 BLAMN!! そしてまた銃声。今度は別の方角!
「くそっ、障害物に隠れているのか。散開して見つけだすぞ!」
「「「了解!」」」
 騎士たちは翼を広げて空に展開する。しかし、それが誤りだ。
「自ら姿を晒しましたね。戦場で無防備になることの愚かさを思い知りなさい」
「な……!?」
 ごう――!! と凍てつく風が横合いから吹き付け、騎士を浚った。
 一瞬にして、防御する暇もなく、黒翼騎士が風の刃と氷の矢によって絶命する。
「なんだと? 早すぎる! 認識外の距離からの強襲など……!」
 生き残った騎士は、猛スピードで上昇するキャバリアの姿を認めた。
 白い女騎士めいた機体は、氷のような碧い髪を流して翔んでいく。
 追って殺すべきか、地上の何処かに隠れた銃撃者を燻り出すべきか。
 思案が隙を生む……キャバリアは一機ではないのだ!
「あが……あ、頭が!? あがががががッ!?」
「ど、どうした!?」
 隣に居た騎士が、突然頭を押さえて悶え苦しんだ。
 何事かと困惑した次の瞬間、口から泡を吹く騎士がハルバードを振り上げ仲間に襲いかかる!
「何をする! 気でも狂ったか……!?」
 いや、違う。これは敵の攻撃だ――黒翼騎士は本能的に理解する。
 その証拠に、見よ。まるで戦場を睥睨するように、天高く佇むもう一つの機影。
 青銀の翼を広げた姿は、まるで機械じかけの天使、あるいは月の女神か。
 機体からなんらかの術式を組み込まれた光が放たれ、戦場を走査する。
 あれが原因か。狂った仲間のハルバードを受けながら、騎士は分析した。

 だが、二体の機体を、騎士は追撃することが出来なかった。
 味方の攻撃を凌ぐので精一杯だった騎士に、弾頭が飛来する。
「あああ――!」
 時間差で弾頭は炸裂し、爆風と閃光が騎士どもを包み込んだ。
『敵部隊、撃破。引き続き、ジャミングミサイルを散布。敵連携を妨害します』
 戦闘機形態に変形したウォーマシン、ミレア・ソリティスによる攻撃である。
 ミレアは特殊なジャミング効果を持ったミサイルを散布し、これによって敵の術式および認識を阻害、頭上のキャバリア――つまり、エル・クーゴーが駆るワンオフ機『アルテミス』の電脳魔術を支援しつつ、敵の耳目を惹いた。
「"戦場"定義をアップデート>再走査開始。ハッキング第二波、実行します」
 アルテミスのバイザーが妖しい光を放ち、天球儀状のヴィジョンが回転した。
 連携を乱された黒翼騎士は、空を駆ける3つの鋼に釘付けになり、あるいはアルテミスがもたらすハッキングによって同士討ちを起こし、混乱の一途を辿る。
「鎧袖一触、と参りましょう。この空を自由に舞うのは、私たちですわ」
 不用意に飛翔した騎士を駆るのは、青い髪のサイキックキャバリア『セイヴェリオス』を駆るフュテュール・ステラセの仕事だ。
 妨害、奇襲、そして蹂躙。
 3人の乙女たちは、万軍さえも打ち崩す鉄壁の戦術を、完璧にこなしていた。

 一方、地上。
「……見事だな。こちらも存分に働かせてもらうとしよう」
 散弾銃を手にした人狼めいた風貌の男――ただし彼は召喚獣である――が、物陰から姿を現し、頭上を見上げた。
 戦乙女たちの空中戦は、魔獣狩人である彼の目から見ても壮絶の一語。
 敵を空中に惹きつけてくれているおかげで、もう討伐を行う必要はなさそうだ。
「あ、あんたは一体……」
「魔獣狩人のユーリィだ。よろしく頼む。……さあ、立ち上がってくれ」
 "ミニットマン"の異名を持つ男、ユーリィ・ミニットマンは、倒れていた男の手を引いて助け起こしてやった。
 彼の窮地を救ったのは、言うまでもなくユーリィの銃撃である。
「周辺環境はおおよそ確認し終えた。ここからはオレがアンタを誘導しよう」
「ま、待ってくれ!」
 歩き出そうとしたユーリィを、男が呼び止めた。
「つ、妻が……村のどこかに妻がいるはずなんだ。炊事のために水を汲みに行っていて……!」
「……それなら問題ない。オレの同胞たちの鼻があればすぐに見つけ出せる」
 ユーリィがそう言った直後、遠くから狼の遠吠えが聞こえた。
 ユーリィは耳をぴくっと震わせ、二度続いた遠吠えを確認するとひとつ頷く。
「さっそく見つけたようだ。同胞たちに任せれば、問題ない」
「狼が同胞? ……その耳、もしかしてあんた「山の民」か!」
 ユーリィは無言で頷いた。彼ら「山の民」は、召喚獣でありながら一種の民兵めいて漂泊する流浪の戦士たちである。
 同胞たる群狼たちもまた、ユーリィにとっては手足と呼ぶべき頼れる仲間だ。

 そして、村民たちの避難を急ぐのは、ユーリィだけではなかった。
「だ、誰かー! 中に娘が閉じ込められているんだ! 助けてくれーっ!」
「はいはい、呼ばれて飛び出て参上っすよ! 下がっててくださいっす!」
 泣き叫ぶ父親の前に現れたのは、秋山・軍犬……と、彼の召喚した精霊の少女。
「さあ焔ちゃん、やっちゃってくださいっす!」
『ひゃっはーッ! 汚物は消毒するが、いたいけな子どもは話が別だぜーッ!』
 なにやら珍妙なことを叫びつつ、精霊少女『焔』が手を突き出す。
 すると父親らの家を包んでいた炎は、しおしおと萎びるように縮み、消えた。
「す、すごい……!」
「炎を燃え上がらせるなら、その逆も出来るってことっすね。さてと」
 軍犬はぐっぐっとストレッチすると、崩れかけた家の中に突っ込んだ。
 フードファイターの溢れる怪力で、倒壊した柱を吹き飛ばす!
「うえええん、うえええん……! お父さん、お母さぁん……!」
「よし、見つけたっす! さあもう大丈夫っすよ、お父さんが待ってるっす!」
 泣きじゃくる少女を抱えた軍犬は、ロケットめいたスピードで家を脱出。
 ふたりが外に出た直後、家はがらがらと音を立てて倒壊した。
「ああ……! ありがとうございます、ありがとうございますッ!」
「礼はいいっすよ。鶏たち、このふたりを護送してほしいっす!」
「「「コケコケーッ!」」」
 なぜか精霊少女と一緒に出てくる巨大鶏たちが、甲高く鳴いた。
 見かけは珍妙だが、1メートルを超える鶏たちの守りは実際堅固である。
 巨大な鶏と群狼があちこちを飛び回るさまは、まるでサーカスのようだ。
「いたぞ、生き残りの連中だ! 皆殺しにしろ!」
「ひゃっはー! のこのこ新手が出てきやがったぜ、消毒だぁー!!」
 駆けつけた増援を、今度は焔の生み出した炎が迎撃した。
 軍犬は敵の対応を焔に任せ、次の要救助者を探しに村を駆け回る。
「さすがに敵の数が多いっすね……! けど、上の人たちがうまくやってくれるのを祈るしかないっす」
 軍犬が見上げる空では、乙女たちの戦いが続いていた。

 ……上空!
「頭上を取れ! まずはあの、翼を広げた機体を落とすぞ!」
「「「了解!」」」
 黒翼騎士たちは指揮官の指示を受け、猛スピードで急上昇。
 ハッキングで友軍を妨害するアルテミスに狙いを定め、突撃陣形を組んだ。
「――攻撃がどの方向から来るか読めていれば、対処は可能です」
 天球儀が上空の敵部隊に向けられる。だが、突撃の速度は予想以上に疾い!
『誘導攻撃端末、射出』
 そこへ横合いから攻撃を仕掛ける、戦闘機形態のミレア。
「セイヴェリオス、駆けるのです。風よりも疾く!」
 そしてフュテュール駆るセイヴェリオス! 絶好のタイミングだ!
「チッ……!」
 猛烈な風の刃と氷の矢、そしてジャミングを交えたランチャー攻撃を受けた敵部隊は、咄嗟に陣形を散らして広範囲の攻撃を回避する。
 距離を取って再展開しようとする敵部隊を、セイヴェリオスは絶対に逃さない。
「全力でひっかき回させてもらいます。このセイヴェリオスから逃れられるとでも?」
「疾いな……! 言うだけはあるッ!」
 黒と蒼とがドッグファイトめいて空中で幾重も交差し、火花を散らした。
 それを見上げるアルテミスから、再び走査光が迸る!
「ハッキング、実行」
『ジャミングミサイル、全弾射出。友軍の電脳魔術を援護します』
 パパパパパパ――! と、空に無数の爆炎が花開いた。
 見えざる魔術はついに騎士たちの意識を捉え、掌握する。
「が……あ、頭がぁあ……!!」
「強制介入命令_動作停止。一体のみ、敵情報入手のため"残します"」
 エルの無慈悲な命令(コマンド)により、黒き翼は羽ばたきをやめ雲海へと堕ちていく。
 指揮官級の騎士のみが、捕虜めいて囚われの身となった。
「……騎士としても堕ち、羽ばたくことさえも奪われる。哀れですね」
 空を奪われた世界、クロムキャバリアからやってきたフュテュールは、雲海へと堕ちていく騎士たちを憐憫の眼差しで見下ろした。
 同じように、黒の大群が堕ちていくさまを、村人たちを避難させたユーリィと軍犬も見上げていた。

 そして捕虜となった黒翼騎士の口から、猟兵たちは屍人帝国の真の名を知る。
 奴らの名は「ザエル帝国」――太古の昔、強大なる魔術士たちが作り出した、数多くの遺失魔術を生み出したとされる大国だったのだ……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

千束・桜花

ええ、ええ! 大丈夫ですとも!
あなたも、その少女も、私たちが守ります!

翼を持つ騎士が相手となればこちらも飛びたいところですが……相手の得物も近接戦用のものとお見受けします!
ならばこちらは地に伏して待つとしましょう!

退魔刀を鞘に納めて、居合の構えをとります!
狙うは相手がこちらへ突撃を仕掛けたそのとき!
剣速には、自信がありますから

さあさあ、幾人でも切り伏せて差し上げましょう!
守る相手がいるときの我々の強さを見せつけながら!



●一撃の虚空
「ね、ねえ……どこへ逃げるの……?」
 ラシッド少年に手を引かれ、少女は不安げに問うた。
 少年は走りながら、言葉をかき集め、すべて投げ捨てて、答える。
「わからない……! でも……でも、逃げなきゃ!」
 少年は、決して少女の手を離さない。
 おお、だが現実は残酷なり。少年の前に立ちはだかる新たな騎士の影……!
「ざ、《ザエルの黒騎士》!」
「――大丈夫!」
 少年は少女をかばい、そして叫んで、己の無力さに歯噛みした。
 彼に、奴らに抗う力はないのだから。

 しかして。
「ええ、ええ! 大丈夫ですとも!」
 颯爽たる声とともに、ざんっ!! と剣閃が花開いた。
 立ちはだかった騎士が、どう、と倒れ伏す。
「「え……?」」
 ふたりは、桜を見た――桜のように美しく溌剌と笑う乙女を。
「あなたも、その少女も、私たちが守ります! どうぞご安心をば!」
 華を、千束・桜花と云う。凛とした佇まいだった。
 彼女は振り返り、抜き放った刀を鞘に収め、ぐっと腰を落とした。
 見上げる空、蒼を埋め尽くさんばかりの黒が、徐々に降りてくる。
「力がないから、武器がないからと、己を卑下することはありません!」
 黒が滑空を仕掛けた。猛スピードの突撃!
 されどそれを迎え撃った桜花の剣は、黒の羽ばたきよりもなお疾い。
 桜吹雪が舞い散って、穢れた騎士の魂をさらっていった。
「は、疾い……! 剣を抜くのが見えなかった……!」
「剣速には自信がありますので」
 桜花は肩越しに少年を振り返り、にこりと笑った。
「私には翼はありません。ゆえに、生身であれほど自由に翔べはしません。されど!」
 ざんっ! 再び剣が魂をさらっていく。
「私には剣があり、護国の正義があり、そしてこの意思があります。
 守る相手がいるとき、私たちはとても――そう、とても強くなるのですよ!」
 快哉たる声。剣は止まらず奔り、敵を斬り伏せ続ける。
「だからどうか、あなたもその「守りたい」という気持ちをお忘れなく!
 たとえ剣なく銃なくとも、あなたの心にひたむきなその心があるならば――」
 ざん――花吹雪が、3人を包み込み、蒼を桜色で塗り替えた。
「あなたは、世界を相手にしても戦えるはずです。ええ、必ず!」
 見開かれた桜花の瞳は、空の蒼よりもなお明るく輝いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

七那原・望
①自分
②たくさんのねこさん

ここがブルーアルカディア……と、今はそれどころじゃないですね。

ここはわたしが引き受けます。あなたは早くその人を連れて安全なところへ。

アマービレでねこさんをとにかくいっぱい呼んで、多重詠唱全力魔法を駆使して村を黒騎士から護ってもらいつつ、並行して住民の救助と消化もお願いしましょう。

向かってきますか。それなら……

第六感と野生の勘で動きは見切っています。
一斉突撃に合わせてカウンターでオラトリオの影の刃を大量に展開し、敵の勢いを利用して串刺しにしちゃいましょう。
漏れた分やこちら側に来なかった黒騎士は全力魔法のLux desireを攻撃回数重視で連発し、蹂躙を。



●新たな世界で
 七那原・望がタクトを振ると、にゃあにゃあと魔法猫が飛び出した。
 見かけは可憐だが侮るなかれ、これでなかなかどうして、腕が立つ。
 少なくとも、黒翼騎士の手から村の住民を救うことは出来るだろう。
「ねこさんたち、村の人たちはお願いしますね」
 望の言葉にねこたちはにゃあと答え、風のように駆け出していった。
 そして望は、眼帯を通して少年と少女を見返す。
「ここはわたしが引き受けます。あなたは早くその人を連れて安全なところへ」
「……は、はい。ありがとうございます……!」
 ラシッド少年は少女の手を引いて、道を駆け出した。
 望は空を見上げる――少女を追う大量の騎士の群れを。
「警告します。これ以上先へ進むなら、命はないと思ってください。
 無論、村の侵略も許しません。今すぐにこの島から手を引くのです」
「小娘ごときが小賢しい! 我ら《ザエルの黒騎士》が、そんな虚仮威しを呑むと思ったか!」
「――向かってきますか」
 望の声が冷たく低くなった。
「それなら……お望み通りに、お相手いたしましょう!」
 望の周囲に、無数の魔法陣が出現する!

 小さな魔法陣から迸ったのは、影の刃だ。
 望自身もオラトリオの翼を展開して羽ばたくと、散った羽根が刃に変じて、空から落ちてくる騎士どもを串刺しにする。
「な、なんだ、この物量は……!?」
「この程度で終わりと思いましたか? まだまだここからですよ」
 影の刃をも飲み込むほどの光の奔流が、いくつもの光芒となって放たれた。
 望みを束ねた膨大なる光は、黒を白で染め上げ、この世から消し去っていく!
「罪なき人々を苦しめる騎士なんて、もう騎士ではありません。
 あなたたちが向かってくる以上、わたしはあなたたちを倒し尽くします!」
 たったひとりの少女が、精強無比なる騎士たちを蹂躙していく。
 これこそまさしく、奇跡の存在たる猟兵の真骨頂!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アドナ・セファルワイド
少年、貴様は運が良い…いや、不幸中の幸いというべきか
余の顔は知らなくとも、『セファルワイド帝国』という名は聞いたことがあろう?

その言葉と同時に40と41の騎士が、殺竜武器を手にしてラシッドの元に赴いた余(①)と村の護衛(②)へと分断して現れる

我が騎士達よ
無辜なる民に一人も犠牲を出さずに己の生存を優先して戦闘を行え、妾の護衛は気にするな
何故なら、余は無敵だからだ

瞬間【皇帝天鎧】と【セファルワイド総歴史書】を用いた魔術格闘戦を仕掛けていく
幾ら早くても傷をつけられなくては、な?
特級防壁魔術をセファルワイドの技術と歴史から展開し、攻防一体の盾として攻撃を防ぎながらその堅さを活かして徒手空拳を仕掛けるぞ



●帝の名のもとに
 軍勢を圧倒する唯一の方法……それは、敵を上回るほどの軍勢を用意すること。
 アドナ・セファルワイドの従える龍殺しの騎士たちは、まさにその具現である。
 強く、忠義に厚く、死を恐れず、されど無駄に命を捨てることもない。
 皇帝の名のもとに、その正義のために全身全霊を捧げる無敵の騎士たち!
「我が騎士たちよ、無辜なる民にひとりも犠牲を出させることなく戦え。
 されど、己の生存を捨てるべからず。無論、妾の護衛も気にせずともよい」
 アドナは不敵に笑った。
「――なぜなら、余は無敵だからだ」

 対する黒翼騎士たちは、鏃型の陣形を組んで空を圧した。
「頭目を叩く! 狙いを損なうな!」
 指揮官の号令のもと、己を一振りの鉾と化した騎士たちが流星めいて堕ちる!
「なるほど、我が騎士たちには劣るがいい意気をしている。しかし――」
 破城槌めいた突撃は、しかし、巨大な魔力障壁によって阻まれた。
「何……!?」
「……いくら速くても、傷をつけられなくてはな?」
 どうん! と巨大な障壁が振動し、騎士の陣形を総崩れにさせた。
 アドナは魔力で浮遊し、散った騎士たちを徒手空拳で叩きのめしていく。
 竜をも殺す騎士たちの追撃が、黒翼騎士どもの命を無慈悲に奪っていった。
「その魂に刻みつけるがいい! 我がセファルワイド帝国の名をな!」
 圧倒的たる暴虐……いや、当然の力の行使に、少年と少女は驚くほかなかった。
 血と鉄にまみれてなお、アドナは皇帝らしく誇り高く笑う。
 真に君臨すべき強者が誰なのかを、世界に示すかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワタツミ・ラジアータ

試運転には丁度良いですわね
それに空を自由に飛べるというのは嬉しいですし

装備:キャバリア+ガンシップ型外装

二人に向かう攻撃を防ぎつつ、ヘイトを集める
空中戦を行う
主に体当たりによる轢き逃げと爆撃
敵攻撃は外装で受ける

速度では劣るため、速度とは無関係な範囲攻撃に切り替える
ある程度敵が集まったところでUCを使用
守るべき者・物を避けてそれ以外を素材化
キャバリアの顎が開いてそこから素材を食べる
餌になる恐怖を与える

耐久戦なら得意ですわ
食事も沢山あるようですし

敵攻撃での破損部分は素材化した敵を使用して修復
喰った敵の天使核は外装の動力に組み込み速度向上を目論む

調整中の外装の為、最大出力には不安が残る



●世界を喰らう
「――試運転には、ちょうどいいですわね」
 ワタツミ・ラジアータがこの戦場に参着した理由は、それともうひとつ。
 空を自由に飛べる……クロムキャバリアでは絶対に不可能な自由がゆえ。
 少年少女のことを守りはするが、彼女の思考はあくまでキャバリアにあった。

 ……とはいえ。厳密に言えば、それはキャバリアでありキャバリアではない。
 あまりにも特異すぎる彼女(レプリカント)のための、外装と呼ぶべきもの。
 ガンシップ型の外装を装備した鎧が、ずしん、と降り立った。
「新手か? 妙な機体だ……まあいい、包囲して殲滅しろ!」
 黒翼騎士たちは、ワタツミの"鎧"から溢れる違和感を警戒しつつ散開した。
 ワタツミはぐるりと周囲を見渡し、敵の数と陣形を確認する。
「そう、その程度の数なのですわね」
 巨躯が空を翔ぶ。小回りでは圧倒的に黒翼騎士が上だ。
 ワタツミはそれを承知の上で、ひどく無骨な体当たりと爆撃を見舞う。
 運悪く衝突した騎士の末路は言うまでもない、血のシミ……いや、霧か。

「見た目通り動きは鈍重だ、喰らわないように注意しろ!」
「一斉突撃で決めるぞ! どれだけ堅牢な鎧とて我らなら穿けよう!」
 戦い慣れた黒翼騎士たちは、徐々にワタツミとの戦いに慣れていた。
 いかに"鎧"が強固で火力を有するとは言え、相手は飛行戦闘の達人たちだ。
 数は絶対的な戦力差である。……尋常の戦いであるならば、だが。
「機海、起動――祝詞を伝えよ、海の彼方へ」
 敵が集まってきたのを見て取ったワタツミは、"詠唱"を開始した。

 惑星改竄式――構築。唄を紡げ/囃子を鳴らせ/高らかに。

「……なんだ? あの機体、様子がおかしいぞ」
「臆するな、叩き落とせば鉄屑だ……!」
 だが、騎士たちは突っ込むことが出来なかった。
 何か、理解しがたいモノが、目の前で蠢いているように思えた。
 異界の、一切の常識が通用しない"外"の法則に従う何かが。

 侵蝕、強制執行開始――いざ始めよう/愉しき宴を。

「耐久戦なら得意ですわ」
 ばきばき、みし……と、キャバリアの顎が開いた。
「"食事"もたくさんあるようですし」
 鋼が手を伸ばし、不用意に突撃した騎士をつかみ取り……喰らった!
「な!?」
 ばきり、ごきり、ぐしゃり。
 鋼は敵を、あるいは資源化された土を、木を、石を喰らう。世界を喰らう。
 破壊された部分が見る間に修復し、ゴンゴンゴン……と機関の脈動が大気に伝わった。
「最大出力にはまだ不安が残りますけれど、君たちには必要なさそうですわね」
 貪食が始まった。もはや騎士どもは、敵ではなく喰らわれるべき資源だった。
 世界樹の根を齧る悪竜の如く、異星の輩は喰らい、奪い、壊し尽くした。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーシア・ロクス
※①です
ユーシア・ロクス、新世界に…っていきなり大変じゃないですか!
後、あの二人を見たわたし(2P)がなんだか興奮しながら何かを呟いてて怖いです……

わたし(3P)も「向こうの目的は多分あの少女。ほっとけば村のほうから増援が来るかも」っていうし、相手が高速で飛ぶんでしたら……
『絶望撃ち抜く砲火のカギ』を出してUC!

……さあ、的(オブリビオン)はどこですか!?全部《クイックドロウ・砲撃・制圧射撃》で叩き落としてスコアにしちゃいます!(殺気)

2P『少年少女の邪魔をする奴なんてみんな二人を祝福する花火になってしまえばいいんすよォーー!!』



3P『またわたし(1P・2P)の悪い病気が……』
※アドリブ歓迎



●馬に蹴られてならぬ……
「ユーシア・ロクス、新世界に……って、なんですかこれぇ!?」
 ユーシア(1P)は、空を埋め尽くす黒翼騎士の大群にドびっくりした。
 依頼の説明を聞いていなかったのか、ユーシア(1P)よ。話を聞け。
 まあ多分、思った以上に敵が居たんだから驚いたのではないかと思いますね。
「どうやら向こうの目的は、多分あの少女ですね。ほっとけば村の方から増援が来るでしょう」
 ユーシア(3P)は、メガネをくいっと上げつつ解説した。
 そして、心のなかではドヤ顔していた。それっぽいムーブが出来たから。
「つまりあの敵を倒さないと、女の子が危ないということで」
「許さねえ…………」
「ヒエッ!」
 ユーシア(1P)は、ユーシア(2P)の地獄の底から響くような声にドビビった。
「いたいけな少年少女の邪魔をする奴なんて、みんなふたりを祝福する花火になってしまえばいいんすよ……馬に蹴られて地獄に落ちろならぬ花火に変わって咲き誇れっすよ……」
「あ、あのわたし(2P)? 何をそんな興奮して……???」
 2Pがブツブツブツブツなんか言ってるもんだから、当の少女もびっくりしてラシッド少年の身体に隠れていた。
「な、なんだかわからないけどあの人、怖い……」
「え……えっと、大丈夫だよ、多分……」
「は? 尊いんすけど? 不安な少女を庇う少年とかマジありがたいっすね、どこにお布施すればいいっすか?」
「わたし? ねえわたし??? これから戦いなんですけど???」
「わたしたち、敵が来ますよ!」
「「!」」
 3Pユーシアの叱責に我に返り、ふたりは空を見上げた。
 黒翼騎士が、陣形を組んで此方に落ちてくる!

「向こうが高速で飛ぶなら……全部叩き落としてスコアにしちゃいますっ!!」
 がしゃん! とユーシア1Pが巨大なカギを担ぎ、血走った目で叫んだ。
「さあ、来るなら来いです! 全員撃ち落としてやりますよぉーっ!!」
 BRATATATATATA!! ピチュンピチュンピチュン!
 ミサイル! 熱線! レーザー! あとボム!
 シューティングゲームにありえそうな銃火器がカギからほとばしり、黒騎士を次々に爆炎の華に変えてしまう!
「ふふふふふ! これはハイスコア更新間違いなしですねぇ!!」
「ああ、わたしの悪い病気が……」
「さあ今のうちに逃げるっすよふたりとも! こっちのことはいいっす! 推しには触れない関わらない関与しないが三カ条っすから!」
「……こっちでもわたしの悪い病気が……」
 3Pユーシアは頭を抱えた。知略派ぶってもさっぱり意味がなかったようである。

成功 🔵​🔵​🔴​

秋由良・インテグラ
①少女とラシッド少年

空はいいわね……どこまでも広くて自由で……ボーイミーツガールも映えるわ。……そんなひと時を邪魔するのは誰かしら!?

HF120ファルコンに搭乗して参加。早速【スルーポイント】を発動して攻撃爪とガトリング砲で攻撃していくわ。思いきり空気をかき回して身動きしにくくした後、攻撃爪で地面に叩きつけていくわよ。
隼の狩りを見せてあげるわ!

ファルコンのシェイクダウンにはちょうどいいわね!空を堪能させてもらうわ!

※連携アドリブ歓迎



●ファルコンズ・ハント
 どこまでも吹き抜ける風、見渡す限りの青い空、白い雲。
 この世界の景色は平和で美しい――空を汚す黒の軍勢さえなければ。
「空はいいわね……どこまでも広くて自由で……なのに、まったく」
 秋由良・インテグラの駆るガンシップ『HF120ファルコン』が空を切り裂いた。
「少年と少女の出会い、そんなひとときを邪魔するのは誰かしら!?」
 BRRRRRTTTT!! ガトリング砲が火を吹き、落ちてくる騎士どもを散らす。
「そこのふたり! ここは私が相手するから、気にせず行きなさい!」
「あ、ありがとうございます! ……行こうっ!」
「うん……!」
 ラシッドは少女の手を引き、駆け出した。インテグラはふっと微笑む。
「本当に爽やかでいいわね。……あなたたちに邪魔させるのがもったいないわ」
 そして空に広がる敵の軍勢を睨み、眦を決した。
「隼の狩りを見せてあげるわ。死にたい奴からかかってきなさい!」
「相手は一機だ、数で圧せ! 《ザエルの黒騎士》の力を見せてやれ!」
 数は圧倒的。されどインテグラ、臆することなく。
 少年と少女の出会いを守り抜くため、隼の戦いがここに火蓋を切った!

 敵はこの世界の天候を知り尽くし、空中戦に秀でた軍勢だ。
 追い風を利用した加速は、インテグラでなければ見切れないほどに疾い。
「もらった!」
 頭上に陣取った騎士が、ハルバードを下に向けて一気に滑降する。
 しかし衝突の寸前、ファルコンは紙一重で攻撃を躱し、攻撃爪で騎士を捕縛!
「な!?」
「空の戦いで、鴉が隼に勝てると思ったかしら? ……落ちなさい!」
 KRAAASH!! 勢いよく叩きつけられ、黒翼騎士は四散!
 ファルコンは一気に飛翔し空気をかき回して追い風を散らしてしまうと、
 ガトリング砲で敵の翼を撃ち抜き、次々と雲海へ叩き落としていった。
「ファルコンのシェイクダウンにはちょうどいいわね……空を堪能させてもらうわ!」
 空を奪われた世界からやってきた猟兵は、己の自由を謳歌するかのように華々しく気高く舞う。
 堕落した騎士の矛では、偉大なる狩人を捉えられるはずもなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

矢来・夕立

少年少女の前で人型のものをバラバラにするべきではないでしょう。オレなりに空気を読みました。ウソですが。
人間ふたりと共同体ひとつなら後者を優先するまでのこと。

一番安全な場所にいるように。そうですね、天災時の寄り合い場とか。
そこから出てきたらアレより先にオレに殺されると思ってください。
…羊飼いの気分ですよ。言うこと聞いててくれるといいんですが。

避難所を監視できる場所から、上空を警戒しておきます。
この世界は本当に…気軽に空を飛ぶのが普通なんですね。
将来について考えるときが来たようです。いま無策で来るほど愚かでもありませんが。

【紙技・冬幸守】。
ほぼ唯一の対空戦術です。通用するか試してみましょう。


鳴宮・匡



村に火を放つ、なんてまた短絡的なやり方だ
“皆殺しにする”つもりなら三流の仕事だな

救助はあまり得意じゃない
敵の殲滅を受け持つよ
……近くに村民がいれば、避難勧告くらいはするけどな

狙いはまず、村人を追い立ててるやつらから
身は隠さないよ、むしろ積極的に目に留まるように立ち回る
邪魔者を排除する方に気が向いてくれれば、索敵の面倒もない

相手が攻撃の予備動作に入った瞬間を狙い撃つ
炎に紛れられたら多少は視認も難しかったろうが
わざわざ空に上がってくれるんだ
――いい的だよ
ついでだ、そのまま墜ちてくれ

狙えるなら甲冑の隙間から頭部を
難しければ、翼を穿ってから頭を狙う
いずれにせよ効率よくやっていこう
まだ先は長そうだしな



●姿を晒すもの、隠すもの
「ここから動かないでください」
 天災時の寄り合い場として用意された仮設避難所で、矢来・夕立は言った。
「加勢しようだとか、逃げ遅れた人を救助しようとか、家族を探そうとか。
 お気持ちはわかりますが、そういうのは絶対にやめてください。迷惑です」
 半端にウソの混じった警告は、余計に住民たちに効いた。
 彼らは決して避難所を動かないだろう。なにせ……。
「もしもここを出たら、アレより先にオレに殺されると思ってください」
 その言葉だけは、まったくウソを含んでいなかったからである。

 一方その頃、村の大通りをわざと目立つように駆け抜ける男がいた。
 黒翼騎士はばさばさと悠然と羽ばたき、その男の後を追う。
「どうした、もっと急いで逃げてみろ。追いついてしまうぞ!」
「…………」
 逃げる男……鳴宮・匡は黒翼騎士をちらりと見返し、嘆息した。
(皆殺しにするつもりなら、火を放つなんてのは短絡的なやり方すぎる。それにあの騎士なんてとても思えない下品さ……三流も三流だな)
 無論、匡は黒翼騎士から逃げているわけではない。
 あえて姿を晒し、目立つように動くことで、敵を誘っているのだ。
 幸い、彼が避難勧告するまでもなく、このあたりの村人はみな避難していた。
 用意のいい猟兵がいたのだろう――それとおそらく、彼らに動かないよう警告する、察しのいい輩も。
 それが見知った相手であるとまでは、匡はまだ思っていない。
(集まるなら集まってくれたほうが都合がいい。こっちとしても楽だ)
 村人を襲われるぐらいなら、自分が囮になって敵を惹きつける。
 危険だが、匡はむざむざ殺されるつもりはなかったし、その危険も織り込んだ上で動いていた。面倒がないし合理的だ――なにより、負ける気がしない。

 狙い通り騎士の部隊が集まり、匡を包囲する。
「串刺しにしてやろう。我らザエル帝国に歯向かった罰だ!」
 頭上高く飛び上がった騎士が、ハルバードを構え、そして落ちる。
 並の戦闘者であれば、追い風を味方にしたスピードは目視不可能だろう。
 だが、匡には目がある。疾いだけの敵ならば、頑強な敵よりよほどやりやすい。
(不意を討つつもりなら、炎に紛れるべきだぜ)
 心のなかで忠告しつつ、匡は銃を構えた――狙いは頭部。外すつもりはない。
 彼が意識を集中すると、世界は止まって見えた。引き金を引く。
 ……同時に無数のコウモリが、包囲網を展開する騎士に襲いかかるのが見えた。

 主観時間が現在に追いつく。
「がは……ッ!?」
 脳天を撃ち抜かれた黒翼騎士は、レミングスめいてきりもみ回転して炎の中に落下した。
 攻撃の機会を伺っていた他の騎士たちは、不意に飛び出したコウモリの群れ――よく見ればそれはすべて紙で出来ている――に苛まされている。
 匡は躊躇せず、引き金を引いた。ひとつ、ふたつ、みっつ。
 翼を、あるいは頭を効率よく撃ち抜き、残りの騎士もすべて仕留めていく。
 体のいい狩り……いや掃除に近い、そのぐらいに手際のいい処理だった。
 絶命した騎士は雲海へ、あるいは炎の中へ落ちていく。とどめは要らなさそうだ。
「この世界、本当に気軽に空を飛ぶのが普通なんですね」
 物陰に隠れていた夕立が、影から滲み出るように姿を現した。
「みたいだな」
「将来について考える時が来たようです。あれが唯一の対空戦術ですから、通用してなによりでした」
「俺がいなかったらどうするつもりだったんだ?」
 匡の言葉に、夕立は目をそらした。
「もちろんオレがとどめを刺して回ってましたよ。手間が省けてなによりです」
「そうだな。俺も弾が節約できて助かった」
「なら手伝い料を請求しても?」
「……俺も手間賃を請求できる立場だと思うんだけど?」
「おあいことしておきましょう」
 匡は肩をすくめる。
「まあ、まだ先は長そうなんだ。協力して効率よくやっていきましょう」
「いいですよ。ところで」
 夕立の視線が匡に向いた。
「あなたは"こっち"だったんですね」
「そりゃあ、こっちのほうが向いてるからな」
「そうですね」
「そういうお前はどうして?」
 言われて、夕立は視線をまた逆に移した。
「少年少女の前で、人型のものをバラバラにするべきではないでしょう。オレなりに空気を読みました」
「そっか」
「……信じるんですか?」
「いや、特には」
 つまらない人ですね、と夕立は呟いた。
 匡はそっぽを向いたままの少年の顔をしばし見つめ、ぽつりと溢す。
「別にそれでいいさ。もっと向いた奴らが、きっと此処には来てる」
 匡の言葉は確信めいていた。

 ……そして彼の言葉通り、少年少女を守る猟兵たちがいた。
 ゆえに彼らは姿をさらし、あるいは隠し、血腥い仕事に従事する。
 それが、自分たちには一番向いた仕事だとわかっていたから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジャガーノート・ジャック
★レグルス ①

(空より急襲する黒騎士の群れ。逃げる天使と少年。それらを視野に収めつつ)

……まるで何処かの映画のようだな。(ザザッ)

少し格好つけた助け方をするのもいいか。
準備はいいな相棒?
――行くぞ。

(森が顕現すると同時、少年少女と騎士の間に割って入る様に降り立つ。)

赤い猫のような森番が先にいる。それについていけ。(言葉一つを少年らに投げた後、)

――今、此処は獅子星の領域。
赤獅子の縄張りたる森。
そして
黒獅子の狩場だ。

("GHOST".
森に現れし己の霊を追従し攻撃を回避しつつ、偏差射撃で悉く敵の脳天を穿ち抜く。)

獅子の縄張りに踏み入るとどうなるか。身を以て憶えた経験は来世で活かすといい。(ザザッ)


ロク・ザイオン
★レグルス

(手を取り合って「冒険」をする
そういう映画を知っている
己も、憧れたことだって、ある)

いいよ。
……主役は、あの二人だ。
派手にやろうぜ。相棒。

(「響徊」
とびきり風通しの悪い、迷いの森を喚んでやろう
森に呑まれた翼はもう自由には動けまい
おれの相棒の、格好の的だ)

この森はおれが導こう。
そこから先は、何処へ行きたい?

……その手を、離しちゃだめだよ。



●Let's do it.
 少年と少女が手を取り合って、「冒険」をする。
 見たことのない遺跡、悪辣な大人たち、恐ろしい古代の兵器。
 胸を騒がせる神秘と試練を乗り越えて、少年少女は絆を深め合う。
 その先に別れが来ることもあれば、冒険が続くこともある。
 古今東西、ありふれたテーマ。ロク・ザイオンもそんな映画を知っていた。
 憧れたことだって、ある。それがまさか、現実になろうとは。

 ただ、手を取り合う少女は、ロクではない。
 彼女はそれほどか弱くなかったし、相棒――ジャガーノート・ジャックも、少年というよりはもっと勇敢なヒーローだ。
 だから、この「物語」の主役はあのふたりだ、ふたりはそう決めていた。
《――少し格好つけた助け方をするのもいいか》
「いいよ。……派手にやろうぜ、相棒」
 ふたりは不敵に笑って、光の中から飛び出した。

 まず最初に戦場に萌え出たのは、木々――いや、森である。
 めきめきと背を伸ばす、陽の光さえ遮る、深く昏い森が現出した。
「うわあっ!?」
 ラシッドは目の前に生えた大木にぶつかりかけ、慌ててつんのめった。
「きゃっ」
 手を引かれて走っていた少女は、勢い余って少年の背中に顔を埋める。
「あ、ご、ごめん! 急に木が生えたから……!」
「木が、生えた……? ……すごい」
 鼻頭をさすりつつ、少女は頭上を見上げ、鬱蒼と茂る緑に見惚れた。
 それは、少女が見たことのない、「自然」という名の景色だったから。
「見つけたぞ、あそこだ!」
「「!」」
 木々は騎士の多くを飲み込んだが、幸運にも逃れた敵は居なかったわけではない。
 翼を畳んだ騎士どもが、木立の中から現れふたりに近づいてくる。
「ど、どうしよう……!」
「……大丈夫。あいつらに、君は触れさせない」
 ラシッドは少女を背中に守り、震える拳を握って胸を張った。
「その小娘を渡せ、小僧。今なら見逃してやってもいい」
「……い、嫌だ! お前たちなんかの言うことは、聞かない!」
 騎士たちは舌打ちし、顔を見合わせた。
「まあいい、どのみち殺すつもりだったんだ。小僧は俺がやる」
「なら俺が「白金の乙女」を確保するか」
 白金の乙女? それが少女の名なのか? 少年は思考した。
 ……背中越しに少女の震えを感じると、萎えかけた気力が満ちる。
「に、逃げて、おねがい……」
「嫌だ……君は、あいつらには絶対渡さないから……だから、大丈夫」
 騎士がハルバードを身構える。刺突が繰り出されれば避けられるわけはない。
 それでもラシッドは大きく両手を広げた。少女を守るように!

 稲妻めいた速度で刺突が放たれた瞬間、本物の稲妻が両者の間に割って入った。
 ズドン!! と雷鳴が遅れてほとばしり、襲いかかった騎士どもを吹き飛ばす!
「「ぐわぁっ!?」」
「うわ……!」
「きゃ……!」
 少年と少女も、慌てて耳を押さえてうずくまった。
 もうもうと立ち込める砂埃の向こう、豹を思わせる黒き影が屹立する。
《――無事なようだな》
 靄の向こうに、赤いバイザーが輝いた。
「あ、あなたは……」
《――赤い猫のような森番が先にいる。それについていけ》
 誰何に応えることなく、黒い豹は言った。
 そして赤の閃光は、よろめく騎士どもを射抜くように見据えた。
《――今、ここは獅子星(レグルス)の領域。赤獅子の縄張りたる森》
 赤がひときわ強く輝く。黒が影めいて強まった。
《――そして、黒獅子の狩場だ》
「黒獅子だと? 我ら《ザエルの黒騎士》を相手によく吠えた!」
 ハルバードが靄を薙ぎ払う。しかし、黒き影はそこにはもうない。
 亡霊めいた煙が地面から立ち上るだけで、それがぞくりと騎士を震わせた。
《――獅子の縄張りに足を踏み入れるとどうなるか、身を以て憶えろ》
 声は背後から! バチン! と電光が煌き、黒翼騎士を貫いた!
「い、いったいどこから……ぎゃああ!!」
《――そして、その経験は来世で活かすといい》
 ざりざりと、砂嵐めいた声がした。
 それが自分たちの背中を叩いている気がして、少年は少女の手を引き駆け出す。
 彼らのあとに続くのは、新手の騎士どもの罵声と、それを打ち砕く黒獅子の雷鳴だけ。

 そしてふたりは、出し抜けに「赤獅子」に出会った。
「見つけた」
 鑢めいた耳障りな声は、しかし、柔らかくあどけなかった。
「あ、あなたが、「森番」……?」
 ラシッドの言葉に、森番はこくりと頷く。
「この森はおれが導こう。そこから先は、どこへ行きたい?」
「……それは」
 少年は押し黙り、少女をちらりと見やった。
「……わからないの。どこへ逃げればいいのかなんて」
 少女が言葉を紡ぐ。ロクは、ふたりの手を見た。
 彼らは先行きがわからないながらも、お互いの手をぎゅっと握りしめていた。
 すがるように……あるいは、決して離れないでいてと願うように。
「わからないなら、それでいい。おれはいい森番だから、森を抜けたって道案内できるから」
 ロクはそう言って、微笑んだ。
「……だから、その手を、離しちゃだめだよ」
 少年も少女も、鑢がかった声――どこか超然とした忠告めいても聞こえる――に、素直に頷いた。
「さあ、いこう。いつ追手が来るか、わからないからな」
「あの……」
「ん?」
「……あの黒い獅子さんは、大丈夫、なの?」
 少女の問いに、ロクは目を嬉しそうに、あるいは誇らしげに細めた。
「心配いらない。……おれの相棒は、だれよりも強い」
 彼女の言葉は、偽りでも、過信から来るものでもなかった。
 森を抜けるまでの間の静寂が、何よりの証左だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィクトリア・ノウェム
むぅ…ちょうどお金が必要だったところなので
少しでも天使核を獲りたいところです
……あとできればご飯も欲しい、です

飛空艇『エル・セプス』を駆り村のほうの防衛に行きます(①)
先手必勝、です
離れたところから『A.F.C.』を撃って何体か撃ち落とすです

生き残りがこっち来たですけど
ばか両親の遺したこのエル・セプスを、ただの飛空艇と思ったら大間違いです

飛空艇を強化外装形態に変形し、
出力全開・全力全壊、UCでこっちからぶつかるです
……数さえ減っていれば打ち負けはしない、です

そのまま別の敵に『ケルベロスファング』を打ち込んで《怪力》で思い切り《ぶん回し》て更に別の相手にぶつけるです

※アドリブ連携歓迎、です



●完済目指し今日も翔ぶ
「なんだあれは? 飛空艇か……?」
 村の上空を飛ぶ黒翼騎士たちが見たのは、奇妙な飛空艇だった。
 見た目は通常の飛空艇と明らかに一線を画し、なんらかの機能を感じさせる。
 一番奇妙だったのは、たった一隻でこちらへ近づいてくるところだった。
「たかが飛空艇一隻で我らの相手をしようとは……思い知らせてやれ!」
 黒翼騎士が反応すると、飛空艇に設置された魔導砲が火を噴く。
 中々に狙いがいい。何体かの騎士は直撃を受けて雲海へ落ちていった。
「バカめ、あんな攻撃に当たるなど……《ザエルの黒騎士》の恥晒しが」
 オブリビオンが、仲間の身を案じることなどない。
 むしろ逆に、マヌケな仲間を隠れ蓑に、騎士どもは飛空艇に肉薄する!

「……むぅ、生き残りがわんさかこっち来てるですね」
 飛空艇を操縦する少女、ヴィクトリア・ノウェムは唇を尖らせた。
「さてはこのエル・セプスを、ただの飛空艇だと思って油断しているですね?
 それが大間違いだっていうことを、直接味わわせてやるですよ!」
 ヴィクトリアがレバーを引くと……おお、見よ!
 飛空艇エル・セプスの船体が、急速変形していくではないか!
 内部から出現した強化外装が船体を覆っていく。よもや可変型飛空艇とは!
「へ、変形しただと!?」
 黒翼騎士の攻撃がエル・セプスを叩く! だが強化外装は傷一つなし!
 反発力で吹き飛ばされた黒翼騎士に、エル・セプスは一気に突撃を仕掛ける!
「数さえ減っていれば、打ち負けはしない、です!」
「うわあああ……!?」
 KRAAAAASH!! 船体が直撃した黒翼騎士は、手足がバラバラに折れ曲がり雲海の底へと落ちていった。
「さ、散開しろ! 散開だーッ!」
「逃さない、です」
 ビュンッ! とフックショット『ケルベロスファング』が射出され、指揮官級の騎士の足を絡め取った。
 巧みな操舵により、指揮官はぐんと振り回され……SMAAAASH!!
 固まっていた味方に激突し、まとめてバラバラに吹っ飛んだ……!
「ばか両親の遺したものですけど、エル・セプスをなめてたらえらいことになるですよ」
 操舵輪を握りながら、ヴィクトリアはふんすと得意げに鼻を鳴らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
過去の残骸が勤勉なことだ

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
重力の影響も断絶しての空中戦
囮役を兼ね存在を誇示
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

『煌皇』を以て高速詠唱を無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、敵勢下方より斉射
それを間断なく無限回実行
敵勢を魔弾の軌跡で圧し潰す

創世し最古の理に例外はない
何をしようと阻むことも逃れることも叶わぬ
尽く消え失せるのみと知れ

当たっても影響はないが、敵意無しの証明に現地人には当てぬように

※アドリブ歓迎



●煌きを灯す
 誘蛾灯に群がる羽虫のように、原理の蒼い光が敵を呼ぶ。
 奴らは識っているのだ……知識ではなく、本能として。
 それは、決して生かしておいてはならぬもの。
 さもなくば、己らは尽く滅ぼされるであろうことを……!

 だがやんぬるかな、アルトリウス・セレスタイトは一切の慈悲を持たない。
 己の持つ能力を適切に使い、滅ぼすべき敵を完膚なきなまでに滅ぼす。
 彼がここへ来た時点で、オブリビオンどもに逃れるという選択肢はなくなった。
 誘うように誇示された存在は、挑発や嘲弄んためではない。
「過去の残骸が勤勉なことだ」
 ――より効率よく、合理的に敵を滅殺するための、当然の手段である。

 蒼い光が現実化し、質量を備え、無数の光の球体となった。
「創世最古の理に例外はない。何をしようが阻むことも逃れることも叶わぬ。
 抗いたいのならば好きにしろ――俺は、お前たちがどうしようと興味がない」
 魔弾が逆巻の雨めいて、大地から空中へと迸った。
 敵は陣形を組んでアルトリウスを包囲しようとしたが、蟷螂の斧も同然。
 ハルバードで防ごうが、硬い鎧を身に纏おうが、すべては無駄。
 因果すらも超越し滅びという結果だけをもたらす魔弾は、その根源の存在を砕く。
 間断なく繰り返される魔弾は、雨というよりももはや波濤と呼ぶべきだろう。

 万物滅殺の原理を組み込まれた蒼は、青空よりもなお深く、澄んでいる。
 それは逆に言えば、蒼以外の一切を許さぬ無慈悲な色でもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
何処の世界も平和には未だ遠い、か……
なればこそ、悪行を見過ごすなぞ論外というもの
此れより先は相応しいものが相手をして遣ろう

中空を制したと……其れで勝てると思っているのなら
随分と目出度い頭の出来だと云わざるをえんな
視えている限り、空に在ろうが逃しはせん
――至攻白極、集え水氣
如何に素早かろうが、攻撃を加える瞬間の“点”は存在するもの
多少の傷なぞ耐性と覚悟で捻じ伏せ無視し
戦闘知識に第六感重ねて起点を計り先読みし、その瞬間を潰してくれよう
そして其のまま凍り果て墜ちて来るがいい
素っ首刎ね飛ばしてくれる

既に過去へと沈んだものに浮かぶ事は赦されない
お前達に出来る事は、唯一つ――疾く潰えろ、過去の残滓



●上より黒来たり、下より白至る
 猟兵の戦いに終わりは見えない。なにせ相手は自動的に出現する過去の残骸。
 世界が時間=過去を消費して推進する以上、骸の海が尽きることはない。
 たとえ新たな世界とて、戦乱が起きているのは当然といえよう。

「……だからといって、お前たちの悪行を見過ごすつもりはない」
 鷲生・嵯泉の隻眼が、ぎらりと鈍く煌めいた。
 常人であれば、その眼光を浴びただけで震え上がり戦意喪失するだろう。
 真っ向睨み返すあたりは、なるほど《ザエルの黒騎士》などと大仰な名を賜るだけはあるか。
「我らの邪魔をするか、剣士よ。命知らずめ」
「よくほざく虫どもだ。命知らずがどちらかはよく考えろ」
 嵯泉はタバコに火を点け、空の敵を見下した。
「此れより先は、相応しいものが相手をして遣ろう。かかってこい」
「……その言葉、冥府で悔やむことになるぞッ!」
 黒が上を取った。通常の戦闘で言えば圧倒的有利……しかし!

 これは、尋常の戦いではない。
 ユーベルコードという奇跡を操る、超常の戦士同士の戦い。
 加えて言えば、嵯泉の剣の腕はもはや達人の域をすら超えている!
「随分と目出度い頭の出来だと云わざるを得んな」
 嵯泉に翼はない。ゆえに、ばさばさと騒がしく羽ばたいたりはしない。
 そもそも、飛翔する必要がない。剣が此処にあり、敵があちらから来るならば。

「――な」
 来るのを待つ必要すら、ない。
「終いだ、猪武者。中空を制したから勝てるなどと、驕ったお前たちが無能なのだ」
 落ちることなく、騎士どもの胴体は真っ二つに両断されていた。
 至攻白極――水気を凝り固め、およそ10kmの距離をすら間合いとする絶技。
 見えた時点で勝負は決まっていた。いかに速かろうが、攻撃には点というものがある。それを読んで、刃を滑らせれば、これこの通り。
「首を刎ねる栄誉はくれてやる。満足したならば疾く潰えろ、残滓ども」
 返す刀がするりと首級を刎ね、三分割された残骸どもは雲海に堕ちていく。
 嵯泉は煙草を吸い終えると、吸い殻を握りつぶして次の戦場へと歩み去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ディルクニア・エリスランサス

※天使が相手な為、ヤサグレ通り越してナナメに不機嫌

ッケ。なぁにが『黒翼騎士』だ、気取りやがって
やってる事ぁ所詮ただの人殺しだろうによ
目障りだ。ハエみたいに叩き落としてやらァッ!



方針:
開幕から黒翼騎士を罵り倒して挑発し、盛大にヘイトを稼ぎに行く
攻撃は最大の以下略によって結果的に守る形になるだけで、殆ど村人は眼中に無い
酒をくれるならまた別ではあるが(

寄らばポールメイスで殴り倒し、攻撃されれば頑健さに任せて真正面から耐えるか、雑な防御で受け止める
離れれば追尾性能付きの魔力砲が襲う、と敵としては兎に角面倒極まりない戦術で天使を駆逐


八つ当たりなのは承知の上だがな
やっぱ気に食わねぇのさ、天使ってのはよ



●その者ら天使にして天使に非ず
 ディルクニア・エリスランサスは、いつになく不機嫌だった。
 酒が足りぬから? それもあろう、だが最大の理由は……敵が背負うその翼。
 エンジェル。この世界に種族であり、堕ちた彼らのかつての種族の名。
 それが、ディルクニアにとってはどうにも我慢ならなかったようだ。
「ッケ、なぁにが『黒翼騎士』だ、気取りやがって」
 ディルクニアは空いた酒瓶を投げ捨て、ぶっきらぼうに言う。
「やってるこたぁ所詮ただの人殺しだろうによ……目障りだぜ」
「何?」
「ハエみたいに叩き落としてやるってンだよ! かかってきやがれ!!」
 燃え盛る村の路地で、ディルクニアは黒翼騎士どもと相対する。
 まず一人目が黒い翼をはためかせ、超低空飛行でディルクニアに迫った!

 はたしてハルバードがその胴体を両断すると思われた、刹那。
「ぐぼッ」
 マヌケな悲鳴をあげて倒れたのは、襲いかかった黒翼騎士のほうだった。
 ポールメイスが、ハルバードより速く兜ごと頭蓋骨を粉砕していたのだ。
「こいつ……! 全員でかかれ、油断するな!」
「おう、そうだ。全員で来い。まだるっこしくて仕方ねェ」
 ディルクニアの挑発は、結果的に村人たちの命を救うこととなった。
 しかし彼女は最初から彼らのことを考慮していない。
 とにかくこのムカつく連中を叩きのめす、そのことだけを考えていた。
「左右から攻めるぞ!」
「応ッ!」
 騎士どもは連携してディルクニアを攻め立てるがしかし、ポールメイスの大薙ぎ!
「遅すぎる」
 頑健さと怪力に任せた強引な防御……いや、やや焦燥なカウンターでハルバードを弾いて、遠心力をねじ伏せるとバットのスイングめいた殴打を見舞う。
 騎士がミンチに変わった。返り血を浴びるさまは悪鬼羅刹もかくやだ。
「距離を取って陣形を――」
「させるかよ」
 ドウッ!! と掌から放たれた魔力砲が分裂し、騎士どもを襲う――。

「……はあ、さっぱりいい気分にならねえ」
 その場に居た騎士をねこそぎ殺し尽くしたディルクニアは、血の海で嘆息した。
「あ、あの……」
 そこへ、震え上がった村人が声をかける。
「あ? ……さっさと逃げろよ、お前らなんざどうでも」
「た、助けていただいたお礼をしたいのです! 我々に出せるのは酒やごちそうぐらいなものなのですが」
 ぴくり。ディルクニアの耳が動いた。
「……気が変わった。避難所までは護衛してやるよ」
「ほ、本当ですか!?」
「ただしウソはなしだ。絶対に酒を呑ませろよ、いいな!」
 道中、ディルクニアは同じことを5、6度繰り返したという。

成功 🔵​🔵​🔴​

玉ノ井・狐狛
②村

火遊びが楽しいってのは、ま、わからんではないけどなァ
カタギの村でハシャぐのは、ほどほどにしておこうっつう話だぜ

相手が先番となりゃ、すでに火を使われてるのはしょうがない
せいぜい利用させてもらうとしよう

UC……敵さんがたの放った火を掌握する
炎がテメエらの成果だと思ってんなら、油断もあるんじゃねえか?
そこを突く狙いで、掌握した炎による攻撃

連中が訓練された軍隊ってんなら、上手く刺さるのは、よくて最初だけだろう
……が、それで十分
ヤツらが仕掛けを警戒するなら、その分だけ攻勢が鈍る
アタシらの目的、防御(タワーディフェンス)には都合がイイ

ほらほら、気をつけないと焼き鳥になっちまうかもしれないぜ?



●楽しい"火遊び"
 黒翼騎士が、この村を焼き討ちにする理由など一切存在しない。
 ただそこにあったから、任務の一環として皆殺しにする――それだけだ。
「カタギの村でハシャぐのは、ほどほどにしておいてほしいンだがねェ」
 玉ノ井・狐狛は凄惨な有様に嘆息し、村人を追いかける騎士隊を目視した。
「おやまァ、鬼ごっこまで始めてら。火遊びをしたら火ィの始末をしねェと――」
 狐狛が燃え盛る家に片手をかざすと、不思議なことが起きた。
 燃え盛る炎が、まるでブラックホールか何かに吸い込まれるように、狐狛の掌に集まっていくのだ。
 それは狐狛の掌のなかで、ひときわ色濃く猛々しく炎の塊に変わる。
 しかもその現象は家ひとつではなく、周囲の炎すべてに起こっていた。
「火傷をしちまうもんだぜェ!」
 狐狛は、吸収した焰を騎士の部隊めがけて投げつけた。
 炎の塊は空中で無数に分裂し、飛礫めいて黒翼騎士に襲いかかる!

「くっ!? なんだ、これは……!」
 しかし敵も、伊達に騎士の名を冠しているわけではないらしい。
 横合いからの奇襲を即座に察し、風の魔術を乗せた斬撃で炎をかき消した。
「あそこか、猟兵め……我らの狩りを邪魔するとはな」
「狩り、ねぇ。この世界じゃ、騎士ってのは弱虫を追いかけて悦に浸る連中のことを云うのかい?」
「貴様!」
 騎士どもは激高する。狐狛はにやりと不敵に笑った。
「ほら、こうやって簡単に挑発にひっかかっちまう。アタシが本気で、あれでアンタらを仕留めるつもりだと思ったかい?」
 狐狛は騎士どもに掌を突き出している……否! 彼女が手を伸ばしていたのは騎士たちではない。
 その背後で燃え上がる炎を、黒翼騎士越しに制御していたのだ!
「「「なあっ!? ほ、炎が……!」」」
 建築物から騎士どもへと燃え移った炎は、さらに強く燃え上がる。
「火の用心、火の用心っと。騎士様が焼き鳥になっちまったら格好つかねえなぁ」
 狐狛はけらけら笑い、状況を認識したであろう空の騎士どもを睨む。
 敵がこちらを警戒して出方を伺ってくれるなら、それはそれで好都合。
 狐狛の役目は敵を皆殺しにすることではなく、持ちこたえることなのだ。
(たっぷり考えて身構えてなヨ、たいむ・いず・まねーってやつさね)

 ギャンブラーは、必ずしも勝利の方程式を識っているだけでは成り立たない。
「よりしぶとく生き残ること」を知ることも、また博徒の知恵なのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード

まったく、オブリビオンは村を焼くのが好きだねえ。
村なんて焼いたって食えやしないだろうに。

さて、とりあえず村の消火した方がいいよね。
【万喰熱線】を使って、炎を吸収しようか。
吸収した炎のエネルギーは熱線に変えて、黒翼騎士を攻撃するよ。
どれだけ速く動けても、突撃するなら真っ直ぐこっちに飛んでくるし、
当てるのはそこまで難しくないかな。
どんどん撃ち落として、数を減らしていこうか。

目的が何だか知らないけれど、どうせ碌なもんじゃないだろうしね。
もう一度雲海の下に帰ってもらうとしようか。



●雲海の下へと
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードを中心に、炎が渦を巻いていた。
 といってもペトニアロトゥシカを燃やしているわけではない、むしろ逆だ。
 炎は彼女の身体に吸い込まれ、最初から存在しなかったかのように消え去る。
 その熱量が何処へ行ったかといえば、無論ペトニアロトゥシカの体内である。
「さあて、とりあえずこんなもんかな……」
 ペトニアロトゥシカが空を見上げると、そこには黒翼騎士の部隊。
「ユーベルコード使いだ、油断せず全力で戦うぞ!」
 指揮官の指示に従い、黒翼騎士たちは包囲陣形を組む。
 遠くから見れば、ペトニアロトゥシカを中心に天の輪が生まれていただろう。
 ただし黒き天使どもがもたらすのは、祝福でも恩寵でもなくまったき死!
「まったく、オブリビオンってのは村を焼くのが好きだねえ……」
 言いつつ、ペトニアロトゥシカはすぅ、と大きく息を吸い込んだ。
 熱吸収状態になったペトニアロトゥシカは、自分から動くことが出来ない。
 その熱量を体内で変換し、制御するための無視できないデメリットだ。

 しかし、このケースに限っては、むしろ「動く必要がなかった」。
 敵の攻撃は突撃だと分かっている以上、待ち構えればいいだけだからだ。
「――かかれ!!」
 黒き騎士たちが、複数の方向から猛スピードで斜め下へ突撃を仕掛ける!
 ペトニアロトゥシカは目を細め――大きく口を開いた!
「全部まとめて、お返しだよ!!」
 彼女の体内で収束したエネルギーが熱線に変わり、口蓋から放たれた。
 まるでフィクションの怪獣映画めいて、プラズマ化した熱線がぐるりと360度を一周!
「な――」
 黒翼騎士どもは悲鳴も断末魔も残さず、一瞬にして蒸発した。
 遅れて空中に無数の爆炎が咲き誇り、空を煌々と照らし出す。
 黒き輪は光り輝く爆炎の輪に変わった、というわけだ。
「どれだけ速く動けても、まっすぐこっちに飛んでくるなら狙いは簡単ってね」
 ペトニアロトゥシカは蒸気を口から吐き出すと、こきこきと首を鳴らした。
 余剰エネルギーがその全身から陽炎めいて溢れ出し、空気を熱する。
「さあ次だ、どんどん撃ち落としていこう」
 燃え盛る村の真ん中を目指して、ペトニアロトゥシカは駆け出す。
 滅びの炎は、ペトニアロトゥシカにとって体のいい「餌」だったのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪丸・鳳花

平和な村が襲われていて黙って見ているわけにはいかない
ボクの猟兵の力は皆を助けるためにあるのだから!
ボクの覚悟と勇気をご覧あれ!
さあ、黒騎士たち!勝負だ!

敵が翔ぶならば、対抗してボクも翔ぼう
光るジェットブーツで空中戦と洒落込もうか
敵の注意を村人から遠ざけるためにボクの存在感を見せつけよう
連携攻撃をさせぬよう念動力で牽制をしつつ、囲まれぬように立ち回ろう
地形の利用で時には建物を足場にしたり、攻撃を回避するために隠れたりしよう

敵のUCは必ずボクの頭上に来る
ならば、逆にそのタイミングを狙おう
オーラ防御で一撃に備えて反撃のチャンスを窺おう
【閃光乱舞】で敢えて敵の間合いに踏み込み攻撃だ!



●道化師は炎の中でも
 たんっ、と空気を蹴って、雪丸・鳳花のジェットブーツが光の軌跡を描いた。
 羽ばたく黒き群れの間をジグザグに駆けるさまは、気まぐれな流星のようだ。
「邪魔をするな、猟兵! 貴様はこの村の用心棒か何かか!?」
「いいや、あいにくみんな初対面だしボクはこの島に来たことだってないね!」
「ならば何故我らの前に立ちふさがる……!」
 黒翼騎士がハルバードを振るう。鳳花は蹴り足で斧を弾いた!
「何故? なら逆に聞かせてもらおう、キミたちはなぜこの村を燃やすんだい?
 キミたちの目当てはあのエンジェルの少女で、もう居場所はわかっている。
 この村で情報を集めるならまだしも、わざわざ焼き討ちにする理由はないよね!」
「我ら《ザエルの黒騎士》に理由を問うだと? 笑止!」
 ガキン、ガ、ガガガガッ! と、光と黒とがぶつかりあった。
「殺さぬ理由がない。ならば殺す! それこそが我ら無慈悲なるザエルの戦士よ!」
「ああ、そう言うだろうと思ったさ――ならばボクも同じだよ、黒騎士たち!」
 鳳花が攻めに転じた。猛烈な蹴りの連続で、敵の連携をかき乱す。
「平和な村が襲われていて、黙って見ているわけにはいかないのさ!
 ボクの猟兵の力は、みんなを助けるためにこそあるのだからね!」
 鳳花の描く光は、彼女の覚悟と勇気の証でもあった。
 煌めくような正義を心に秘めて、鳳花は微笑みさえして空を舞う。
「さあ、勝負だ黒騎士たち! キミたちの悪行はここで終わらせるッ!」
 道化師めいて愉快な彼女も、鉄火場にあっては炎の中でさえ笑って戦う。
 その姿は、諦めかけていた村の人々の心を震わせるに十分だった。

 だが!
「もらった……!」
 黒騎士のうち一体が、鳳花の頭上に陣取っていた。
 他の敵は鳳花を包囲し、逃れられないように陣形を固めている!
「死ね、猟兵ッ!」
「――死中に活あり、とはいい言葉だと思うね!」
 まっすぐ堕ちてきたハルバードを、鳳花は身のこなしで回避!
 念動力で敵の身体を縛り、すれ違いざまにソバットめいた蹴りを叩き込んだ!
「ぐはッ!?」
「このチャンスを待っていたよ。今度はこちらの番だ!」
 鳳花は虎の子の革命剣を鞘走らせ、目がくらむほどの速度で剣を振るった。
 稲妻じみた速度の剣閃が、周囲の騎士を切り捨て、敵は雲海へ堕ちていく!
「……どうだい? ボクの素晴らしい戦いは! カッコよかっただろう!」
 着地した鳳花は、戦いを見上げていた村人たちに誇らしげに言い放った。

成功 🔵​🔵​🔴​

試作機・庚
主に②
さーて、人助け人助け。面白くなりそうな物語を見つけたらちょいちょい黒子になるのが楽しいんデスよね〜。
って言っても私が出来るのは被害の矛先を減らすくらいデスけどね。
こういうのはハッピーエンドってやつが一番デスし盛り上げるならいざしらず邪魔するなら容赦はしないデスよ。

ってことで使うUCは【庚・襲来】
詠唱は飾りなので無しデスよ
面白くなりそうな雰囲気があるデスからそれを盛り上げる敵に対しての闘争心はバッチリ
襲われそうな村人のところに分身を積極的に送り込んでヘイトを稼ぐタンクになるデスよ

二人の少年と少女には…まぁ、致命的な被害が行かないけどちょくちょく攻撃が来る程度に援護して吊り橋効果を狙うデスよ



●身体が闘争心を……
「ザエル帝国の名のもとに、死ねぇ!」
「ひいいっ!」
 逃げ遅れた村人に、黒翼騎士の無慈悲な処刑斧が振り下ろされる。
 しかしてそこに割って入り、がきんとハルバードを受け止める女がいた!
「何者だ!?」
「テンプレ台詞いいデスね~、ならこっちもテンプレに則るデスよ。
 "貴様らに名乗る名前はない"でどうデスかね! 一回言ってみたかったデス!」
 それは、試作機・庚が召喚した、彼女の分身だった。
 分身体はハルバードを跳ね上げると、牽制の一撃を繰り出し騎士を怯ませる。
「ぐ、こいつ……!」
「さあさあ、相手は私デスよ……いや、私たちデスかね!」
 村のあちこちに分身たちは飛び、村人を救助したり避難誘導していた。
「人助けって最高デスね、黒子になって面白そうな物語を見届けるのがたまらないデス」
「冒険の始まりって感じがするデスからね、張り切ってやるデスよ!」
 分身体では、黒翼騎士たちを倒すことはできないだろう。
 しかし彼女らが囮となることで、村人たちの命は喪われずに済んだのだ……。

 一方その頃、ラシッドと少女は!
「見つけたぞ、白金の乙女だ! ガキのほうは殺せ!」
「お、追いつかれた……!?」
 少女の手を引いて走るラシッドは、頭上の騎士の存在に気付いた。
 敵はハルバードを構え、ミサイルめいた速度で落下してくる。危険だ!
「っと、ふたりの間に割り込むのはよくないデスよ~?」
 そこへ本体の庚が駆けつけ、ギリギリのところでハルバードを受け止める!
「あ、ありがとうございます……!」
「あーいやいや、私は黒子デスから、お気になさらず。演者には手を触れないのがマナーデスからね」
 礼をする少年に、庚は妙ちくりんなことを言って手を振った。
「えっと……?」
「と、とにかく行こう!」
「う……うん」
 首をかしげる少女の手を引いた、少年は再び走り出す。
「そうそう、それがいいデス。吊橋効果狙ってもう少し焦らすのも……」
「よくも邪魔してくれたな、女ァ!」
「おっと、冗談が通じない連中デスね~」
 激昂した騎士の攻撃を受け止め、庚はざりざりと後退した。
「外野は役目を果たしたら退場しないとダメデスよ? 相手になりましょう!」
 銃器を構え、庚は言い放った。彼女の行動原理はひどく俗物的だ。
 しかしこれが大きな戦いの序章となることは、誰の目にも明らかだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

霑国・永一

お~景気良く燃えてるなぁ。怒号と悲鳴がBGMとして実にマッチしてる。
とはいえハエがたかってる光景は気持ち悪いし、殺虫しておかないといけないか。
話に聞いた少年少女たちはこれから起こる祭りを見れないのが残念だねぇ。

さぁて、相手は飛んでくるようだし、空に向けて狂気の爆弾を放るとしよう。これが風物詩の花火ってやつさぁ。
威力もさることながら、ここからがお祭り騒ぎ。毒によってハエ同士での殺し合いが始まるのさぁ。まさに蟲毒!毒うけてない奴を少しでも減らすようあちこち投げないとなぁ。ああ、でも村民は一応保護対象だし、そっちにだけは気を付けよう。
運良く生き残ったハエには俺から銃弾をプレゼントするとしよう



●怒号と悲鳴の交響曲
 響き渡る絶叫、あるいは助けを求める声、そして殺意に満ちた罵詈雑言。
 阿鼻叫喚の地獄がここにある――霑国・永一にとっては心地よい景色だった。
「景気よく燃えてるなぁ。"BGM"もマッチしてて最高だねぇ」
 こんな有様を、笑いながら眺めるようなのは破綻者しかいない。
 だがそんな永一にとっても、黒翼騎士の群れは煩わしいノイズだった。
「ハエがたかってるのは気持ち悪いや、ひとつ殺虫しておかないとねぇ」
 夏真っ盛りだし、などとジョークを言いながら、永一は毒爆弾を取り出した。

「夏の風物詩といえば花火だよねぇ、盛大に咲かそうかぁ!」
 永一は豪腕で毒爆弾を放り投げ……起爆!
「な、なんだ!? 爆弾だと!?」
「焦るな、爆発の威力は大したことがないようだ。小細工をしおって」
 しかし黒翼騎士も素人ではない、爆弾の直撃は当然のように回避された。
 敵の目が地上の永一に集まるが、当の永一はニヤニヤと嫌味な笑みを浮かべていた。

 ……この爆弾の真価は、爆弾そのものの威力ではない。
 もちろん直撃すれば威力は相応だが、この兵器が悪辣たる所以はばらまかれる毒にこそある……!
「よし、連携して奴を仕留め……っ!?」
 指揮官級の騎士は、背後から突き出されたハルバードをかろうじて躱した。
 誰が攻撃したのかといえば、それはもちろん部下である黒翼騎士だ。
「何をする!? トチ狂ったか!?」
「ふ、はははは……ヒヒヒヒ!」
 部下は狂った笑みを浮かべ、制止も聞かずにめちゃくちゃに斧槍を振り回す。
 しかも一体だけではない、部下の騎士全員が同士討ちを始めていたのだ!
「なんだ、これは……まさかあの爆弾の効果か!? ええい、役立たずどもめ!」
 やがて指揮官も精神の均衡を失い、同士討ちの輪の中に加わってしまった。

「あっはははは! まさに蠱毒! ハエがハエを殺すなんて最高だねぇ」
 地上の永一は、頭上で繰り広げられる醜い争いに手を叩いて笑った。
 仮に生き残りが出たとしても、そいつは永一が手ずから仕留めればいいだけのこと。
 あえて敵を同士討ちさせ、その無様を見て楽しむ……それもまた、破綻した狂人の理解不可能な愉悦だった。
「ほらほら、花火と言えばお祭りだよぉ。もっと騒がなきゃねぇ!」
 見える限りの空から騎士どもがいなくなるまで、邪悪な"花火"はあちこちで咲き続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート

ハッハー!新世界初っ端からハードじゃねーか
刺激的で素晴らしいが、もうちょい静かな脚本が好みなんだ
…で、ボーイミーツガールを邪魔する気は無いし
俺は端役だからさ、主役に近すぎちゃいけないんだよね
そもそも拠点防衛の方が得意だし
というわけで、だ
舞台を護るのが、俺の役目だな

うるせー蠅が多いな
飛んでるから優位とでも思ってんだろ
殺虫剤を焚いてやる──『Metamorphose』
データゴーストと化して、局地的重力操作で連中を地に堕とす
悪いんだけどさ、主役さまの帰る場所なんだよね、此処
無粋な観客が上から茶々入れて良い場所じゃないわけ お分かり?

分かったなら、死ね
一人ずつ兜の下の顔に、ナイフを突き立ててやる


アニエス・アルカンシェル

拠点防衛という意味では馴染みのある任務ですが、生身で空を駆ける敵との交戦経験はありません。
気を引き締めて行くとしましょう。

攻勢に出るのは村民の安全を確保してからでしょうね。
迎撃に出る他の猟兵がいれば初動の対応はそちらに任せて村民を誘導しましょう。安全な場所はわかりませんが、少なくとも村を離れ少年のいる方向とは逆側に逃がす方がよいでしょうね。
迎撃者がいなければ避難誘導しながらの射撃となりますが……その場合は翼を貫き機動力を削ぐことを優先しましょうか。
ある程度安全な距離を確保できたら狙撃による村の戦闘の援護と寄ってきた敵の迎撃といきましょう。翼からの急所、2発で確実に墜としていきましょう。


リア・ファル
アドリブ共闘歓迎

良い青だ
この世界でも、ボクのやるべき事は変わらない
今を生きる誰かの明日の為に

それじゃあ、行こうか『イルダーナ』!

敵機補足、環境情報に敵機動を解析
(情報収集、学習力)
【召喚詠唱・流星戦隊】、全機発進!

『セブンカラーズ』に風の魔力弾を装填
風を制し、相手の挙動を阻害

隙を突いて、イルダーナのレーザー射撃と
『ヌァザ』の斬撃で反撃していく
(属性攻撃、弾幕、空中戦、推力移動、切り込み、カウンター)

宇宙、空、海……いずれでも負けるつもりはないさ
なんたってボクは、三界の魔術師、だからね

黒翼の騎士よ、骸の海へ帰るが良い



●空を射抜け
 黒がまたひとつ、ふたつ、みっつ……空のシミのように数を増やす。
 これだけの武力を投入するだけの価値が、件の少女にはあるのだろう。
 しかし、三人は、少女たちを他の猟兵に任せ村の防衛に回った。
 彼と彼女らにとっては、その方が馴染み深く向いた戦闘任務だったからだ。

「こちらです。姿勢を低くして、足を止めないように」
 燃え盛る建物の合間を、村人たちを先導して避難誘導するアニエス・アルカンシェル。
 頭上では黒翼騎士たちと猟兵たちの戦いが、今も続いていた。
 村人たちは震え上がっているが、アニエスは極めて冷静だ。
 クロムキャバリア出身の彼女は、こうした戦時下の状況に慣れている。
「も、もうダメだ、村はおしまいだ……!」
「それはこれからの皆さん次第です。まずは生き残ることを考えましょう」
 嗚咽する男の肩を叩き、アニエスは彼をなだめた。
 パニックは伝搬する。ここで立ち往生されては彼女も困るのだ。
「そ、そうは言うけど、家も畑も焼かれてどうすりゃいいのか……」
「復興が必要であれば、私たちに手伝えることもありません。
 ですがそれは、この戦いが終わってからの話です。生き延びねば、「これから」のことを考えることさえ出来ないんですよ」
「……あ、ああ、悪い……」
 アニエスは無表情で頷き、銃器を構えて先導を再開した。

「ここにも生き残りがいたか! しぶとい奴らめ」
 だがそこへ、目ざとい黒翼騎士の部隊が立ちはだかった!
「……チッ」
 アニエスはトリガを引き、敵を牽制。騎士はハルバードで弾丸を弾いた。
 敵は一体ではない……退路を塞ぐように二体目、三体目が路地に姿を現す。
「う、うわああっ!?」
「落ち着いてください。この数であれば、なんとか対処出来るかもしれません」
 アニエスは恐慌しかけた村人をなだめつつ、心のなかで続けた。
(全員を無事に守り抜きながらというのは、難しいかもしれませんが……)
 多勢に無勢。アルカンシェルの高機動戦闘はこういう任務には向かない。
「……あなたがたの目的はなんですか? 情報収集のつもりなら、村人の鏖殺は不要では?」
「理由? そんなものはない。我らの目の届く範囲で生きている命があればこれを奪うのが我らの役目よ」
 アニエスの言葉に、指揮官と思しき騎士は鼻で笑って答えた。
「非合理的な考え方ですね。戦術的に考えれば、こんなことに意味はありません。
 戦力の分散は愚の骨頂ですよ。確実に少女を捕らえたいなら、もっと別の方法が……」
「……この娘、時間稼ぎのつもりか? 貴様との問答などどうでもいいわ! 殺せッ!!」
 痺れを切らした騎士が、ハルバードを構えて襲いかかる。
 村人たちの命運もここまでか――否、アニエスの行動には意味があった!

「イルダーナ、全速全開だ! まとめて仕留めるッ!」
 頭上から飛来したのは、黒翼騎士の増援ではなく別の猟兵だった。
 宇宙めいた戦闘機を操る少女――リア・ファルは、片手で魔銃セブンカラーズを、もう片方の手で魔剣ヌァザを振るい、敵の突撃経路を封じて斬り捨てる!
「な!? 新手だと!?」
「――油断しましたね」
 BRATATATATA! 隙を逃さぬアニエスの射撃が騎士をひとり仕留める。
 敵は咄嗟に突撃を諦めて空に逃れようとするが、好機を手放すふたりではない。
 アニエスとリアは互いに別の方角に狙いを定め、一気に反撃に転じて騎士を撃ち落としていく!
「この世界の空はいい青だ、キミたちのような黒は似合わないくらいにね!
 イルダーナ戦隊、出撃! あの子の撤退を支援してあげるんだ!」
 リアが魔剣ヌァザを振るって次元に亀裂を開くと、そこから複製された高速戦闘機『イルダーナ』の分体が出撃した。
 騒ぎを聞きつけて集まってきた騎士どもを、無人駆動する飛行編隊が迎撃する!
「援護、感謝します。迎撃している猟兵がいるはずだと考えていましたが、正解でしたね」
「こっちこそ間に合ってなによりだよ。避難経路のマッピングデータがあるから、それを使って村人さんたちを避難させてあげて!」
「助かります」
 アニエスは敵の対応をリアに任せ、震え上がる村人たちを鼓舞して立たせると避難誘導に戻った。

 そうはさせじと、周囲の黒騎士どもがどんどん集まってくる。
 機動力ではイルダーナが勝るが、空中戦闘の練度と小回りに関しては黒翼騎士もなかなかのもの。
 複製されたイルダーナ編隊は次々に撃墜され、一進一退の状況にあった。
「きりがないな、相手はどれだけの戦力をつぎ込んでるっていうんだ……!?」
『なかなかハードそうじゃねえかリア、状況は把握してるぜ』
「! ヴィクティムさん!」
 その時リアの端末に届いたのは、特A級の電脳ハッカーであるヴィクティム・ウィンターミュートの声だった。
 どうやら彼は、その卓越した電脳魔術で、アニエスや村人たちの所在も、リアの状況もすべて手に取るようにわかっているらしい。
『村人たちのほうは問題ない、俺のドローンを飛ばして護衛させてる。
 迅速な避難誘導があったおかげで、手間が省けたぜ。ここから反撃といこうじゃねえか』
「了解! じゃあ、仕掛けは任せるよ!」
『ああーー当然、セッティングはもう済んでるのさ』
 ヴィクティムがそう言った瞬間……空を埋め尽くすほどの黒の群れが、突然まっすぐに急降下してきた。
 攻撃を目論んでのものではない。立ち上るような悲鳴と混乱こそがその証。
『飛んでるから優位とでも思ってんだろ? 汚らしいハエどもが。
 主役さまの帰る場所をぶっ壊そうなんて連中にゃ、キツいお仕置きをくれてやる』
 突然のレミングス現象の正体は、データゴースト――つまり自らを電脳体とした――と化したヴィクティムによる、重力へのハッキングによるものだ。
 たとえオブリビオンであろうと、局地的な超重力に曝されれば飛行を維持することなど出来ない。
 見えない重りが黒翼騎士どもの全身を絡め取り、地面に叩きつけたのである!

「……すごいですね。あれほどの規模で重力操作を起こすなんて」
 村人を避難場所に誘導し終えたアニエスは、次々にまっすぐ堕ちていく黒翼騎士の姿を見、素直な言葉を呟いた。
 だが彼女が村人たちを優先して避難させていなければ、いかなヴィクティムやリアでも一切の犠牲なしに村人たちを救い出すことは難しかったかもしれない。
 つまりはこの結果も、彼らの即座の連携と個々の高い能力による必然の戦果なのだ。
「あ、ありがとうよあんた。ところであんたは一体どこへ……」
「応援に回ります。手数は多いほうがいいでしょうから」
 村人に答え、アニエスは踵を返して戦場へと戻った。

「ぐ……飛行魔術が無力化されている……!」
「当然だろ、もうお前らに空は飛ばさせねえよ。無粋な観客が」
「!!」
 背後からの声に振り返ろうとした騎士は、首元にナイフを突き刺され、ぐるんと白目をむいて息絶えた。
「刺激的で素晴らしいが、俺はもうちょい静かな脚本のほうが好みでね。
 端役らしく、邪魔なハエどもは一匹一匹仕留めていこうじゃねえか」
 ヴィクティムの姿がビュウン、と乱れ、消失した。
 その頭上では、イニシアチブを取り戻したリアと戦闘機編隊が敵を駆逐している。
「どんな世界でも、ボクがやることは変わらない――今を生きる誰かの明日のために、黒翼の騎士よ、骸の海へ還れ!」
 死してなお堕落した黒き残骸を、猟兵たちの剣と弾丸が滅ぼしていく……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと
①+②

飛空艇になるニンゲンがいるってェのはこの世界か。興味ァなくもねェが……
まァお前はそォするわな
だったら俺もそォするまでだ。
ちゃっちゃと片すぞフェルト。

……村の連中は蜘蛛任せでいいな。ガキ共ァフェルトに任す。そォいうのは俺には向かねェ。
その代わり護ってやらァ、他ならねェお前の頼みだ。

ちょいと"Arthur"使うぞフェルト。"GULLIVER" "刑天" "CA-ONG"、お前らも仕事だ。

【アダム】。
俺の手製の人形4機、全部繋げて操りフェルトとガキ共護りつつ糞共を撃ち落とす。
(操縦×決闘×制圧射撃)

――誰の赦し得てコイツらに触れよォてンだカス共が。
神(オレ)の赦しァ降りてねェぞ。


フェルト・フィルファーデン
◆ケンと
①+②

ここが、空の上の世界……ゆっくり散策するのは後回しね。
急ぎましょう、ケン。誰一人亡くさないために……!


わたし達本人はラシッド様達を助けに向かい、同時にUCで呼び出した絡繰蜘蛛人形を村に向かわせるわ。
蜘蛛の巣で村を守る城砦を築きながら、蜘蛛の糸で敵を絡め取り迎撃して。お願いね?


合流したら2人に声をかけるわ。その間ケンは敵をお願い。
ふふっ、ケンはそういうの苦手だものね?……ええ、アーサーは預けるわ。頼りにしてるわね。

大丈夫、わたし達は味方よ。村の方にも助けが向かっているからそちらも心配ないわ!
ふふ、とっても強いでしょう。わたしの恋人なの。
彼が絶対に守ってくれるから。わたし達を信じて。



●ボーイ・ミーツ・ガール、ミーツ・ボーイ・アンド・ガール
 カチャカチャと機械的な駆動音を立てて、蜘蛛型の人形が村中に蔓延る。
 村人たちは最初こそ敵の兵器か何かかと警戒していたが、疑念はすぐに晴れた。
「……巣を、作っているのか……?」
 ある村人は、出来上がりつつある「モノ」を見上げ、呆然と言った。
 蜘蛛型の人形たちは強靭な蜘蛛の巣を吐き出し、それを幾何学的に編み合わせ、崩れかけた複数の建物を補強し、やがて壁を作り上げた。
 積層した蜘蛛糸の壁は並の装甲よりも強固であり、黒翼騎士の攻撃をよく凌いでいる。
 だが、壁で終わりではない……蜘蛛型人形たちが築くのは、もっと大きく、もっと強固で、そしてもっと立派なものだ。

 すなわち、城砦。
 破壊された建物の残骸を建材に使い、蜘蛛糸をコーティングし、あるいは蜘蛛型人形そのものが一部となることで、村を敵の襲撃から守るための巨大な城砦を作り上げていく。
 広がる炎も特殊な材質の蜘蛛糸を焼き切ることは出来ず、黒翼騎士は蜘蛛型人形を破壊することで建造を邪魔しようとしたが、その数が膨大であるゆえに完全な妨害にはならなかった。
「す、すげえ……村に城が出来ちまった……!」
 それは仮初の城砦。長持ちはしないだろうが、少なくともこの戦いの間は彼らの安全を保証するだろう。
 誰が遣わしたかもわからない機械じかけの蜘蛛たちに、村人たちは感謝を捧げた。

 ……そして、蜘蛛型人形を遣わせた当人たちはというと。
「ちょいと"Arthur"使うぞフェルト、いいな?」
「ええ、もちろんよケン。あなたに任せるわ」
 ケンタッキー・マクドナルドはフェルト・フィルファーデンの言葉に頷き、さらに自身の作り上げた自慢の人形……"GULLIVER"、"刑天"、、そして"CA-ONG"を喚び出した。
「お前らも仕事だ。全部繋げて俺の神の手に従えッ!」
 人形四機の同時操縦! そんなことをやってのける人形遣いが、はたして猟兵の中でもどれほどいるだろうか。
 だが、ケンタッキーならば出来る――なぜなら彼は、自他ともに認める"神の手"。
 人形を作り出すのも、人形を操るのも、祝福されたその神業的な指先であればどちらも可能にしてしまう。
 いっそ悪魔的とすらいっていいテクニックで、人形たちは生きているかのように立ち上がり、降り注ぐ黒翼騎士の攻撃をはねのけ、空中へ飛び上がって戦いを挑んだ!
「あ、あれって人形……? でも、まるで生きてるみたいだ」
「……すごい。あんなことが出来る人がいるなんて」
 ラシッド少年と少女は、大量の騎士部隊を相手に互角の……いや、むしろ圧倒してすらいる戦いを繰り広げるケンタッキーの後ろ姿に、驚きを通り越して見惚れていた。
 自分たちよりもずっと小さなフェアリーが、自分たちよりもずっと大きな人形を手足のように動かしている。驚愕しない人間がいるはずもない。
「ふふっ、かっこいいでしょう? それに、彼はとってもとっても強いのよ」
 フェルトは、少年少女に微笑みかけた。
「まあ、ちょっとだけ人付き合いが苦手なところもあるんだけど……あなたたちのことを嫌っているわけではないから、勘弁してあげてね? ラシッド様」
「あ、えっと……」
「大丈夫、わたしたちは味方よ。村の方にも助けが向かっているわ」
 困惑するラシッド少年に、フェルトは穏やかな声で言った。
 ケンタッキーのことを誇らしげに語る彼女の目を見つめていた少女は、ぽつりと口を開く。
「……なんだか、とっても大事なひとみたい」
 その言葉にきょとんとしたフェルトは、花咲くようにはにかむ。
「ええ! 彼はわたしの恋人なの。あなたたちとわたしを、絶対に護ってくれるわ。
 だから、わたしたちを信じて。あなたたちが逃げられるように守り抜いてみせるから」
 少年と少女は顔を見合わせ……頷きあった。
「ケン、こっちは話が済んだわ! 道を切り開いてね!」
「当ォ然だ、俺様の人形に出来ないことはねェ!」
 ケンタッキーはフェルトの言葉に吠え返し、なおも襲い来る騎士どもを叩きのめし、あるいは切り捨て、あるいは撃ち落とした。
「誰の赦し得てコイツらに触れよォてンだカスどもが。神(オレ)の赦しァ降りてねェぞ!」
 神の従僕たる人形たちが、空と大地に進むべき道を切り開く!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティアー・ロード
【グランブルー悪巧み】


「ハーッハッハッハ!」
「乙女のピンチなれば、駆け付けるのがヒーロー!
そう、私こそが涙の支配者、[ロード・ティアー](SR_闇_杖)!」
ジョンの説明を遮り、
名乗りを上げながら召喚されるよ!(転移されてきただけ)


アビリティ【サモニングガイスト】
使用間隔7T,効果永続,炎の戦乙女を召喚する
「焼き鳥にしてあげよう!カモン、ヴァルキュリア!」

「おや、その鎧は飾りかい?」
戦乙女に指示して槍から出る炎で攻撃させるね
相手が避けようとしたら私の念動力で妨害だ!
タンクはしっかり攻撃を受け止めないとダメだろう?

燃える敵を眺めならが宣言しよう!
「ふははは!私たちがいる限り、悪は栄えないのさ!」


ジョン・ブラウン
【グランブルー悪巧み】

なんか悪巧みより先に現地入りしているだむぐるみ
少年少女の前までぽいんぽいんはねてくる

『悪巧みピックアップ10連ガチャ引くむー』

「ねぇキミたち。白くてヒレの付いた饅頭みたいなのみなかっ、居た!」[ジョン・ブラウン](SR_土_杖)

「オーライお2人さん、安心しなよ
あいつらよりも僕らの方が、タチが悪い」

真っ先に召喚され、次から次へと召喚されてくる仲間に茶々を入れる

「ピックアップが仕事し過ぎてるねぇ」

『既読演出スキップだむー』

「完凸リチャードと1凸リチャードだね」

「完凸の方はスーツがダブルだ」

「よーしクマゴロウ。歩くだけでお腹が床に擦れて寮が綺麗になる生ルンバの力を見せてやれ」


曾場八野・熊五郎
【グランブルー悪巧み】

10連ガチャでSSR演出から召喚石だけポトっと出てくる
≪星畜晶獣 クマゴロー≫(SSR土)
「もしもし?え?もう始まってるでごわ?」
「じゃーなんか我輩のこと褒めて。闇の炎の仔犬とかそんな感じで、そしたらババーンと出て行くからよろしくでごわ」

ジョンに召喚石を使用されてズモモ…とケダマックスした姿で登場
登場したら犬パンチや巨大化した鮭を敵に落として攻撃(全体奥義ゲージMAX効果)
召喚口上が気に入らなかったので適度に味方を引っ叩きながら戦う
『全然カッコ良くなかったじゃないでごわすか!あれとセットで我輩が覚えられたらどうするでごわす!』


リチャード・チェイス
【グランブルー悪巧み】①
悪巧みピックアップ10連ガチャ。
運頼みのガチャに助けを縋るなど本来は愚かな行為であろう。
しかし、このような伝説を聞いたことはないだろうか?
……出るまで回せば出る!

煌びやかな演出と共に排出される面々。
その間にちょくちょく挟まる鹿。
Rリチャード「問わずとも、私が鹿である」
Rリチャード「」
Rリチャード「」以下たくさん

排出されたリチャード達は光り輝き重なり始める。上限解放である。
ダブっても「ま、損じゃなかったかな」と思わせて課金率を上げる画期的システム。
ついでにステータスも上がって戦闘に有利になる。
完凸リチャード「体は鹿で出来ている」
1凸リチャード「体は鹿で出来ている」


詩蒲・リクロウ
【グランブルー悪巧み】①
シュピンキラーン(無駄にSSR演出で召喚される)
「ウワッ!?まぶしっうるさっ!?ナニコレどういう状況です!?」
(家でクーラー点けてアイス食ってテレビ見てくつろいでいたら突然フル装備で戦場に呼び出されたリクロウ、混乱。
そして横を見ると仲間たちとリチャードが沢山)
「え、なんであの人あんな出てくるんですか」

「なんであの人2回目以降無言なんですか」

「なんで最後に重なって一人になったんですか」

「……余ってるんですが」

「……違いは???」
(もはや死んだ目)
「ああ、もう、いいやとりあえず、チーム悪巧み出動です!」
考えるのを放棄して敵に突っ込む



●その合言葉は色々まずいですって!!
「こ、ここまでくれば、すぐには追いつかれないはず……!」
「……はぁ、はぁ、はぁっ……」
 ラシッドと少女は木々に囲まれた小道で立ち止まり、呼吸を整えた。
 猟兵たちの助けを得ながら逃げ続ける彼らだが、体力は無限ではない。
 特に白金の羽を持つ少女は、どうやら体力がほとんどないようで、
 呼吸をするのも精一杯、という様子。ラシッドは、彼女の身を案じた。
「あ、あの、平気? 顔が青いよ……」
「ん、ん……へい、き。まだ、走れる、から……」
 少女は気丈に言うが、明らかに無理をしていた。
 ラシッドは歯噛みする。自分には何の力もないし、何も出来ていない。
 助けられてばかりの自分がどうすればいいのか、少年は必死で考えていた。

 ……と、残念ながらシリアスはここまでである。
「……ね、え」
「え? ど、どうしたの」
「あれ……なに?」
「……?」
 少女が指差すものを、少年は振り返って見た。
 ……なんか、ぽいんぽいんと跳ねる、白くてヒレのついた饅頭がいた。
 正しく言うと、饅頭のように丸く、柔らかそうななにかである。
「あれは、この島のいきもの……?」
「えっいや知らない! 見たこともないよ!?」
「……そうなの?」
 こてんと首を傾げる少女。彼女は世間知らずのようだ。
 誰がどう見ても、こんな生物が自然界に存在しているわけないと口を揃えて言うだろう。

 そのぽいんぽいん跳ねる駄無い何かは、ふたりの足元にやってくると、ふたりをじーっと見上げた。
「な、なんなんだろうこいつ、とにかくキミは下がってて……」
「……あぶなくなさそう。ちょっと、かわいい」
「いやだって明らかにおかしいよ!? こんな動物見たことな」
『ガチャ引くむー』
「喋ったぁああ!?」
 ラシッドは思わず大声を出してしまった。
「しゃべるんだね」
 少女はあっさり受け入れていた。天然ゆえのスルー耐性!
『悪巧みピックアップ10連ガチャ引くむー』
「が、ガチャ? わるだくみ? ピックアップ???」
 駄無い何かの言っていることが何一つわからず、少年は首を傾げる。
「……あなたは"がちゃ"を引いてほしいの? どうすればいいの?」
 少女はその場にしゃがみ込み、駄無い何かと目線を合わせて首を傾げた。
『今なら10連ガチャ無料むー、ただしリセマラは不可能だむー』
「やっぱりおかしいよこいつ、早く移動したほうが……」
 少年は駄無い何かにやべー気配を感じ、少女を立たせようとした。

 と、そこへ。
「おーい、キミたちー! ちょっといいかなー!」
 なんでかファンタジーっぽい格好をしたジョン・ブラウンがやってきた。
「ねぇキミたち、白くてヒレのついた饅頭みたいなもの見なかっ、居た!!」
『ピックアップガチャさっさと引くむー』
「あ、あの、これはあなたのペット……? か何か? ですか???」
 突然現れたジョンに面食らいつつ、ラシッドは問いかけた。
「いやうーん、ペットというか厄介なぬいぐるみというか、なんなんだろうねこれ」
「ってこっちに聞かれてもわからないですよ!?」
「あなたはぬいぐるみ、なの?(駄無い何かに問いかける少女)」
「ぬいぐるみなのかな。どう思う?」
「えっと……うーん」
 少女も首を傾げた。いや本当になんなんだこの駄無いの。

「っと、それはいいや! さっそく10連ガチャを引いてみようか!」
 なんか気を取り直してみたいな流れでわけのわからないことを言い出すジョン。
「だからなんなんですか10連ガチャって」
「百聞は一見にしかずだよ。せっかくだしキミが召喚してみてくれる?」
「……どうやって?」
「この駄無いのをぎゅーっと押しつぶせば口から石が」
「絶対にやです!!」
「ぎゅー」
「ってやってるー!?」
 無表情で駄無い何かを押しつぶす少女。割とアクティブなタイプだった。
 すると駄無い何かの目がカッ! と光り輝き、口から七色の光が放たれる!
「な、なんだこれ……!」
「オーライおふたりさん、安心しなよ」
 ジョンはニヤリと笑った。
「あいつらよりも僕らのほうが、タチが悪いからね」
 それは決してドヤ顔で言うような台詞ではないのだが。

 ともあれ、虹色の光の中から、光の玉がぽぽぽーん! と飛び出す!
「ハーッハッハッハッハ!」
 最初に飛び出した光の玉が、けたたましい笑い声を上げた。
「おっ、この笑い声は! SRだよふたりとも、やったね!」
 SRって何??? みたいな顔で首を傾げる少年少女。
「これは……闇属性杖タイプのティア」
「乙女のピントとなれば駆けつけるのがヒーロー! そう、私こそが涙の支配者、ロード・ティアーさ!!」
 ジョンの説明を完全に遮って名乗りを上げるティアー・ロード。
 どのへんが闇なのかというと、なんか闇っぽい靄を纏っていた。
 あと隣にはふわふわ杖が浮かんでる。これもコスプレらしい。
「ピックアップが仕事しすぎてるねぇ」
「おい、いたぞ! 妙な光が見えたと思ったら奴らだ!」
 と、そこへ出現する黒翼騎士! ラシッドは少女の手を取り血色ばんだ!
「安心して、ふたりとも。ロード・ティアーのアビリティは」
「焼き鳥にしてあげよう! カモン、ヴァルキリア!!」
「だからさあボクに説明するタイミングくれない!? これチュートリアル(?)なんだけど!?」
「ハッハッハ! 私は話を聞かないよ! なぜなら闇属性だからね!」
「そういうとこだけ設定でゴリ押ししようとするのやめろ!!」
 ティアーとジョンがぎゃあぎゃあ言い争ってるのをよそに、召喚された炎の戦乙女がハルバードを受け止めた!
「これが私のアビリティ、サモニングガイスト! 使用間隔は7ターン、効果は永続だ。開幕に使うと効果的だよ!」
「だからそれボクのポジション……」
「いやそもそもなんなんですか使用間隔とかアビリティって???」
 ラシッドは何も受け止めていられなかった。当然である。

「ええい、わけのわからん奴らめ! 増援を呼んでこい!」
 炎の戦乙女が手強いと見た黒翼騎士は、さらなる増援を喚び出した。
 空に現れる無数の黒騎士。これではサモニングガイスト程度では数の差が埋められない!
「おっと、別の仲間を呼ばないとだね。さて、次に出てくるのはっと」
「あの、なんで普通にガチャ? で話が進んで」
「あっ! これはSSRだよ! 運がいいね!」
「話聞いてくれません???」
 駄無い何かの放つ虹色の光が強まり、また一つ光の玉が現れた!
 それは新たな仲間……かと思いきや、ぽとっとクリスタルめいた石だけが落ちてくる。
「これは……SSR土召喚石、「星畜晶獣クマゴロー」じゃないか!」
「星畜晶獣」
 ラシッドはもう色々理解を置いていた。
「これを使えば大量の敵を……っていや待てよちょっとごめんね」
 ジョン、なにやらファンタジーに似つかわしくない携帯端末を取り出してどこかにかける。
『はいもしもし、我輩でごわ』
「ちょっとクマゴロウ、話が違うじゃん! なんで召喚石になってるの!」
『え? ていうかもう始まってるんでごわ? 我輩お昼ごはん食べてるんでごわすが』
「スケジュール聞いてなかったの!?」
『あー、じゃーなんか我輩のこと褒めて。闇の炎の仔犬とかそんな感じで。そしたらババーンと出ていくからよろしくでごわ』
「この流れで無茶言うなよ! あとお前土属せ 切れたわ」
 何もかもグダグダであった。
「じゃーえっと……この召喚石を使って敵を蹴散らそう!」
「ゴリ押しにもほどがあるね!(ティアー)」
 完全に呆れ返った顔のラシッド(と微妙にわくわくした顔の少女)の前で、ジョンは召喚石を高く掲げた。
「さあ来い、えっと……なんだっけ、ボヤ起こした仔犬、クマゴロウ!」
 召喚石が光り輝き……その光の中から、ケダマックスした姿の曾場八野・熊五郎が出現した!
「我輩参上……って全然カッコよくなかったじゃないでごわすか! 我輩の話聞いてたでごわすか!?」
「いやだって元の予定忘れてご飯食べてるし」
「もー! これだから嫌なんでごわすよ! あーあ我輩やる気だったのになー! 変な召喚のされ方したからやる気失せたでごわすなー!!」
 とか言いつつ、周りを飛んでる黒翼騎士をスパーンと叩き落とす熊五郎。仕事はしていた。

「……ねえ、あれは何?」
 そんな大惨事をよそに、少女はぽんぽん出てくる光の玉を指差して言った。
 一同が見ると、その光の玉の中からはリチャード・チェイスらしきものが出てくる。
 なぜ「らしきもの」かというと、微妙に服装がシンプルになってたり、カラーリングが単色になってたり、装飾(?)が落ち着いてたり、そこはかとないR感を漂わせるものばかりだったからだ。
「問わずとも、私が鹿である」
「いいや、私こそが鹿である」
「何を言う。私以外に鹿はいないのである」
「……ほんとに何!?(驚くラシッド)」
「鹿なの?(首を傾げる少女)」
「少なくとも本人の認識ではそうだね!(フォロー? を入れるティアー)」
「あー、これはRリチャードだね。この数なら完凸と1凸ができるかな?。
 完凸するとスーツがダブルになってカッコいいよ。まあ性能は据え置きなんだけど」
 とかなんとかジョンが言ってたら、Rリチャード(???)はマジで光り輝き重なり始めた。そう、これが上限解放……!
 いや上限解放ってなんだよ。せめてそういうフレーバーのユーベルコードを使えよお前ら!
「が、合体した……!?」
 光が消えると、そこにはスーツがダブルのリチャードと、ちょっとだけ服装が豪華になったリチャードがいた。
「身体は鹿で出来ている」
「身体は鹿で出来ている」
「言ってること、同じ……!?!?」
 ラシッドは愕然とした。何が違うんだこれ!
「所詮Rだから、台詞はあんまり変化がないんだよね」
 さも当然みたいにいうジョンだが、だからRってなんだよ。
「喝! 運頼みのガチャに助けをすがるなど、本来は愚かな行為である」
「なんか急に説教始めたね(ティアー)」
「しかし、このような伝説を聞いたことはないだろうか……」
「「出るまで回せば出る!!」」
「サラウンドだといつも以上にうるさいねー(ジョン)」
「にぎやか」
 少女もだいぶ順応していた。もしかしてこの子ネタの適正が……!?

 ところで、最後の一個の光はなんだかビカビカ黄金に輝いていた。
「確定SSR演出だ! 一体何が出るかな!?」
「まあこの流れだとひとりしかいないけどね!」
「鹿が出る可能性もあるのである」
「お前ら我輩に任せないで戦うでごわすー!!」
 光が消え……そこに現れたのは、片手にアイス、片手にスプーン、そしてなぜかフル装備の詩蒲・リクロウだった。
「ウワッ!? まぶしっうるさっ! ナニコレどういう状況です!?」
「ピックアップが仕事してるねぇ。SSRリクロウゲットだよ!」
「SSR!? 何!? ていうかなんでリチャードさん増えてるんですか!?」
「「身体は鹿で出来ている」」
「決め台詞みたいに言われてもわけわかんないですしサラウンドマジでうるさいのでやめてもらっていいです!?」
 あ、この人苦労人だ。ラシッドは一瞬で理解した。
「すいませんジョンさん状況を説明してもらえません!?」
「ピックアップガチャ開催中だよ」
「説明になってない!!! ってうわあなんかすごい数の敵がいるし!」
「いいからお前ら全員さっさと仕事しろでごわすー(エコーつき)」
 与太話が繰り広げられている間ずっと頑張っていた熊五郎。かわいそう。
「よし、それじゃあキャラも揃ったし、次はパーティを組んでみようか!」
「なんでソシャゲのチュートリアルキャラみたいなノリなんですか!?
 あっもしかしてあなたたちが現地の方々ですかなんかすいませんうちの人たちが」
「「あ、はい」」
 完全に置いてけぼりになっている少年少女にぺこぺこ謝るリクロウ。
「私の出番かい? この力をキミのためにふるおうじゃないか!」
「ティアーさんはなんでソシャゲでキャラをパーティに入れたときのテンプレ台詞みたいなこと言ってるんですか!?」
「「身体は鹿で出来ている」」
「だからうるさいですよなんでふたりいるんですかリチャードさんいつものことだけどぉ!!」
 リクロウはぜーはーぜーはー死んだ目で息をしつつ、考えるのを放棄した。
「ああもういいやとりあえず、チーム悪巧み出動です!」
「お前ら仕事するの遅すぎでごわす!!」
「「ギャー!!」」
「ああっリチャードがやられた!」
「落ち着いてクマゴロウ! ちゅ●るあげるから!」
「いらんでごわす!!!!」
「グワーッ!?」
 そして早速の仲間割れ。結局まともに敵を蹴散らしたのはリクロウだけだったそうな。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

クラリス・クレスト
②村の防衛

罪もない人々の命を、奪わせたりはしないよ
行こう、ブルーバード
彼らを助けなきゃ

働いてもらうからね、「フォーアンサー」
ご同類を蹴り飛ばすけど邪魔はしないでよ
お前だって、ボクに死なれちゃ困るんだろ?

地面を蹴って空へ飛び立てば、もうボクたちを遮るものはない
何体の敵がいるか、どれから倒すべきか
瞬間思考力をフルに使って戦況把握、排除行動に移る
広範囲を巻き込まないようにレーザー射撃は避け
加速を載せた蹴りやチャージで対応
ライフルでの射撃も家屋に被害を出さない場合に限定するよ
空に向かって撃つ……とかね

どれだけの数がいたって問題ない
全てここで、骸の海に叩き堕とす
――この空で、ボクに勝てると思わないで


ルヴトー・シフトマン


委細、承知しました
ラシッド少年たちをお守りしたいところですが……。
一国を護る頭として、帰る場所が消えてしまうような結果は容認できない
村はお任せを 必ず守り抜いてみせます

天狼で派手に動いで破壊を広げてはいけない
<飛天揺光>と<黒鉄之雨>を二丁持ち、射撃戦です
ブンブンとうるさい羽虫どもだ
"彼女"に遠く及ばぬ奴らが、我が物顔で空を飛ぶな
───『重圧』
ご自慢の飛行を、見せてみろよ
防御戦術がお得意なんだろう?ならば避けて当然のはずだ
俺は視てるぞ、テメェらの全てを 飛んでみろ
悉くを撃ち落として、そこが過ぎた場所だと思い知らせてやる

ここに生きる全ての人と、築き上げた財産を
奪いたければ!!狼を殺してみろ!



●暴君の居ない空に
「……新手が来てる。まだ諦めてないんだ」
 空の彼方より近づく増援を見上げ、コクピットに座るクラリス・クレストは呟いた。
「罪もない人々の命を、奪わせたりはしないよ――行こう、ブルーバード」
 そして操縦桿を握りしめ、瞑目し、愛機に語りかける。
 だがコクピットに存在するのは、クラリスだけではなかった。
「……働いてもらうからね、「フォーアンサー」。ご同類を蹴り飛ばすけれど邪魔はしないでよ」
 見えはしないが、コクピットに……いや、このブルーバードに、たしかに息づくもの。
 パイロットとキャバリアをつなぐ中枢ユニットにして、この機体をオブリビオンマシンたらしめる「異物」。
「お前だって、ボクに死なれちゃ困るんだろ?」
 システムは答えない。だが、その静寂が、おそらくはマシンの答えだった。
 クラリスは頷き、黒き騎士がさんざめく空へとテイクオフした!

「クラリス――」
 地上でブルーバードの機影を認めたのは、ルヴトー・シフトマンである。
 彼女が、ブルーバードが、澄み渡るような青空を舞う。
 己らの故郷では決して見れない風景に、ルヴトーは感慨めいたものを抱いた。
 しかし、ここは戦場だ。そんな感傷に浸るのは、一瞬とて許されない。
「彼女がいるなら、安心だ。俺も、全力でやれる」
 天狼が鳴動した。両手に握りしめるは『飛天揺光』、そして『黒鉄之雨』。
 近接戦闘では、村の建物に余計な被害を及ぼしてしまう。
 ゆえに、射撃戦で、あのブンブンとうるさい羽虫どもを射抜き落とす……!
「我らの邪魔をする愚かな猟兵め、《ザエルの黒騎士》を甘く見るなよ!」
 敵は包囲陣形を組み、同時突撃で天狼を串刺しにしようとした。
 そのために飛翔するのを、ルヴトーはコクピット越しにぎらりと睨み射抜く。
「"彼女"に遠く及ばぬお前らが、我が物顔で空を飛ぶな――!!」
「「「!?」」」
 ずん、と、見えない神の手が騎士どもを上から叩きのめしたように思えた。
 そんな錯覚をもたらすほどのプレッシャー――重圧。それが違和感の正体。
 羽ばたこうと広げられた翼は、青い空を叩くことなく閉じられる。
「な、なんだこれは、身動きが取れない……!」
「ご自慢の飛行を、見せてみろよ。この俺の前で飛べると言うならなァ!!」
 BLAMBLAMBLAMBLAM!! 双銃が火を噴き、地面に縫い留められた敵を撃ち抜く。

 その頭上、ブルーバードは自由を味わうように雄々しく飛翔し、複数の騎士隊を相手に互角以上に叩きを繰り広げていた。
「こ、こいつ! 小回りならこちらのほうが上のはずなのに……!」
 飛行戦闘に卓越した騎士編隊をして、ブルーバードの速度は捕らえられない。
 包囲しようとしても曲芸的な飛行で包囲をかいくぐり、突撃はすべて掠めさえせずに回避されてしまう。
 そして合間合間に放たれるライフル射撃が、地上のルヴトーと同じように黒翼騎士を精密に射抜き、雲海の下へと叩き落とすのだ。
「空に飛び立ったボクたちを、キミたちが捉えることなんて出来やしない。
 この空で、ボクに勝てると思わないで。全員、骸の海に叩き落としてやる!」
 BLAM、BLAMN!!
 地上と空、見えない壁で隔てられた戦場で同じ銃声が響き渡る。
 近づく敵があればブルーバードの蹴り足が粉砕し、天狼の牙じみた拳が血のシミに変えた。
 ルヴトーもクラリスも、お互いがすぐそこで戦っていることを認識している。
 しかし、互いに手を出すことはない。支援もしない――地上は狼にとっての狩場であり、空は青い鳥にとっての舞台なのだから。
(ルヴトーさんなら、ボクの助けがなくたってやれる)
(クラリスが、空の戦いでこいつらに遅れを取るわけがない)
 互いの技量と覚悟に信頼を置くからこそ、ふたりはそれぞれの戦場で戦う。
 堕落した天使騎士どもでは、若者たちの道を阻むことなど出来るわけがなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

尸・骸燐
【黒弊】②
よーし、おっけー老大
とりあえず大暴れすれば良いんだよね
【宿星天剣戟】で飛び回って撹乱しながら、
青龍偃月刀でぶった斬っていくよ

老大(嶺依)の力でさらにぎゅんぎゅん加速しながらぶった斬っていくよー
ひゃっふー

あ、道すがらで村人みつけたら、霞月が作った結界にほいほい放り込んでいくよ
目的はわすれてないからね、えらいんだよ私は


黎・霞月
【黒幇】②

はいはァい、ンじゃ村人の救出と外敵の排除を目的にィ、っと
まァ、どうせ我(オレ)、動き回る気ィ更々ないンだけどさァ

暴れたい奴は他に沢山居るっしょォ
我は結界張って安地作っとくよ先ずは
村人はこっちに誘導しとくゥ、救出した奴もこっちに置いてってェ
あンま燃えてそうなら、大気から水精製して可能な範囲で増幅してからぶちまけとくよォ

怪我人?
たっく……めんどくさァ……
分かってる、仕事だしちゃんとやるよォ
元より、攻撃なンて得意じゃねェもん
結界張ったり治したりする方が遥かに楽

あのさァ、骸燐せめてもうちょい優しく放り込んでやれよォ……たっく、怪我人居ンだろォ


趙・昊天
【黒幇】②
ここが新しい世界……ねぇ
島が浮かんでるってのも不思議な情景だねぇ
仙界とも似てるようでまた違うな

さてさて、とにかく数で殴りゃあいいんだろう?
十二支獣の馬達を召喚し、襲ってくる奴等を足止めしてやんよ
公主や村民には指一本触れさせねえさ


黎・嶺依
【黒幇】②
どことなく険峻な山々のそびえる仙境を彷彿とさせる世界じゃのう
俗世というのが信じられぬほどじゃ

さて。敵は多く、空を飛んで連携してくる
となれば、数で対抗できる妾たちの出番であろうよ

霞月や、面倒がらずにきちんとおやり
怪我人ひとり出すんじゃないよ

扇を振るい、若い衆らに仙力を纏わせ、飛翔能力を与えて敵に攻撃しやすくさせよう

さあ、行くがよい
街を守っておる妾たちの前で、無辜の民らを傷付けることあたわぬと知らしめよ!


梁・雨龍
【黒幇】②
おや、随分とまぁ非道い景色が広がっている事だな
僕達のいる場所のほうがマシとも言い切れないが、公主殿(嶺依)の頼みとなれば聞かざるを得ないからねぇ

さて…それじゃあ村の民の避難は他の人に任せるとして、僕は自分の仕事を全うするとしよう
巻き込まないという可能性もないからね、とっとと避難することを勧めるよ

…羽根の生えた鎧の戦士、武器は長得物か
では僕はその辺のガラス片で応戦するとしよう、かかってくるといい
舐めてるわけではないよ、君達を殺すにはこれで十分だからね

どんなに強固な鎧を固めていても、必ず脆い部分はあるものだ
そこを狙ってしまえば、ハイこの通り

さぁ、次は誰がこうなりたいのかな?



●黒と黒
「ふむ……ここが新たな世界か」
 黎・嶺依は島の風景を、そしてどこまでも広がる空と雲海を見渡した。
「どことなく仙境を彷彿とさせる世界じゃ。俗世というのが信じられぬのう。
 うむ、実に美しい。わらわはこの景色が気に入ったぞ。……じゃというのに」
 もっとも、そこにあるのは燃え盛る村の惨状と、黒き騎士の群れだが。
「無粋な連中は、どの世界にもいるというわけか。嘆かわしいものじゃ」
「片付けてやればいいんでしょう? 公主の号令あればすぐに動きますよ」
 忠義篤き言葉と裏腹に、趙・昊天の雰囲気はいささか頼りげがない。
「数に数で対処するのは、俺たちの得手だからねぇ。だから俺らを召喚したんでしょう、公主?」
 というよりも軽薄で、何事も他人事のように受け止めている気配があった。
 もっともそれは見た目の話。こと、公主への忠義に関しては揺るぎない。

「まァ、どうせ我、動き回る気ィさらさらないからさァ、排除は任せるわァ」
 やる気のなさでいうと、むしろ黎・霞月のほうがあからさまにひどい。
 彼にとって宝貝以外のものはどうでもいい、よその世界の住人などなおさら。
 だが、あるじがやれと命じるならば、それに従うのが黒幇の徒というもの。
「暴れたいやつは沢山居るっしょォ? 結界張って安地は作っとくからさァ。
 逃げ遅れた奴が居たら、我んとこに引っ張ってくりゃ世話しておくよォ」
「じゃあ、私は暴れまわればいいんだね! それなら得意!」
「避難はお任せだね。早めにやってくれよ、巻き込む可能性もあるし」
 意気揚々と言う尸・骸燐と、にこにこ笑顔を浮かべた梁・雨龍。
 明らかにまともでない気配を放つ武闘派ふたりだ。この鉄火場にはある意味最適だろう。
「村人見つけたら結界に放り込めばいいんだよね? 大丈夫、わすれないよ。私えらいからね」
「自分で言うあたり、不安しかないな。ま、僕としてはどうでもいいけどね」
 己の仕事以外に興味がないといった様子で、雨龍は言った。
 敵の数は多い。力を振るうチャンスは存分にあるということだ。

「霞月や、面倒がらずにきちんとおやり。怪我人ひとり出すんじゃないよ」
「はァいはい、わかってますってばァ」
「昊天、骸燐、雨龍。暴れるのはいいが、村人たちや建物は巻き込まんようにな」
「もっちろん! 心配ないよ老大、だって私えらいもん」
「本当に偉い奴ってのは、自分で偉いなんて言わないんだけどねぇ」
「言ったって聞かないだろ骸燐は。……さて、公主殿。号令は?」
 雨龍に言われ、嶺依はこくりと頷いた。
「無粋な輩をことごとく皆殺しにしてやれ。されど、無辜の民を傷つけること能わず。
 街を守る妾らの力と名を、あの騎士もどきどもに刻み込んでやるのじゃ!」
 嶺依が扇を振るって命ずれば、仙力が空舞う異能と戦う力を与える。
 それ以上に部下たちを高揚させ力を高めるのは、なによりも公主の御言葉。
 恨みも憎悪もありはしない――だが、あるじが命じたならば殺すのみ。
 四人の化け物どもが、燃え盛る村へと飛び込んだ。

「チッ、また新手か……! ザエル帝国に仇なす猟兵ども!」
「ザエルていこく? なにそれ? 聞いたことないし知らないや」
 舌打ちする黒翼騎士の言葉をたいして取り合わず、骸燐は空を駆けるように飛翔して青龍偃月刀を振るった。
 しかし敵もずぶの素人ではない、なにより飛翔戦闘にはあちらのほうが一日の長がある。
「女ひとりで、我ら《ザエルの黒騎士》に立ち向かうなどなぁ!」
 ハルバードが偃月刀を弾き、続けざまの刺突が骸燐の鳩尾めがけ突き出された!
「よくわかんないけど、その名前が自慢なの。まあ私のほうが強いけどね」
「!?」
 懐に潜り込んだはずの必殺の刺突は、しかし軽々と躱されていた。
 骸燐の予想以上の身のこなしとスピードに、黒翼騎士はペースを狂わされる。
 緩急をつけた動きは、狙ってやっているものではない。すべて骸燐の我流だ。
 骸燐は逆にするりとハルバードの懐に潜り込み、偃月刀を巧みに操って獣の爪じみた斬撃を騎士の鎧に刻み込んだ!
「ぐあっ!?」
「ほらね? まあ老大の力あるんだから負けるわけないんだけどさぁ」
 体勢を崩した騎士の身体を、回転速度を載せた唐竹割りが真っ二つに割く。
 骸燐は気ままに空を飛翔し、立ちはだかる敵を同じように刀の錆へと変えていった、
 とらえどころのない太刀筋は、遊び回る子どもめいて自由で、そして無邪気である。つまり、一山いくらのオブリビオンでは太刀打ち出来ないということ。
「ひゃっふー! ……っと、村人みーっけ」
 眼下を必死で逃げる村人に気付いた骸燐は、猛禽めいて一気に滑降。
「だ、誰か助け……てぇえええっ!?」
「はいはい、助けるよー。暴れないでねー」
 偃月刀で襟首を引っ掛けてすくいとることは、救助とは呼ばないだろう。
 骸燐にそんな細かいことを考える頭があるわけもなく、じたばたともがく村人の悲鳴はそもそも聞こえていない。

 骸燐の目指した先には、霞月の構築した結界があった。
 すでに何名か怪我をした村人が運び込まれており、霞月は面倒そうな顔をしつつしっかりと治療をしている。
「たっく、めんどくさァ……まァ仕事だからちゃンとすっけどォ」
「霞月ー! 新しい村人運んできたー」
「おー、ご苦労さ……っておォい!?」
 骸燐は、偃月刀で引っ掛けた村人を無造作に結界に投げ込んだ!
 霞月は咄嗟に両手で村人を受け止める。どすん、と尻餅をつき、眼鏡がズレた。
「あのさァ、せめてもうちょい優しく放り込んでやれよォ……」
「え? ちゃんと仕事してるじゃん私! なんか間違ってる?」
「間違ってるっつゥかさァ……怪我人居ンだろォ」
 万事が万事興味の薄い霞月が、逆に道理を説くという珍妙な光景だ。
「なンで我がこンな肉体労働してンだよォ」などとぼやきつつ、霞月は目を回して気絶している村人を適当なところへ寝かせた。
「じゃあ次行ってくるねー!」
「ってオイ、だから我の言ってることォ……聞いてないなァありゃァ」
 霞月は嘆息し、自らの生気を聖なる光で分け与え、怪我人たちを癒やす。
 身体は疲れるし結界の維持もしなければならないしで、実に面倒くさい。
「消火もしなきゃいけねェしなァ、これ我だけ作業多くなァい……?」
 やんぬるかな、技術畑の霞月のぼやきを聞いてくれる人は誰もいなかった。

 とまあこうして結界なんぞを張っていると、それは当然敵の目に留まる。
 やわな攻撃では破壊されない霞月の結界だが、攻撃を受けないことに越したことはない。
 そこで村人たちを守るように立ち回っているのが、昊天の召喚した十二支獣の馬たちだ。
「あそこに村人どもが匿われているぞ! 皆殺しにしろ!」
「血気盛んだねぇ。んなことする意味あんのか? ま、どうでもいいけどさぁ」
 昊天はへらりと言い、12体の馬に命じて騎士どもにけしかけた。
 生命力を分け与えた馬たちは見た目からして精強であり、鞍上に誰もいなくともそのたくましい蹄で騎士の頭部を兜ごと叩き潰してしまう。
「くっ、なんだこの獣は……! 見た目以上に手強いぞ!」
「そりゃ当然だよぉ。俺がわざわざ力を分け与えてやったんだからさぁ」
 昊天本体は高みの見物だ。そこまで生命力が残っていないこともあるが。
 空駆ける軍馬たちはハルバードの横薙ぎを飛び越え、あるいは後ろ足で回り込んだ黒翼騎士を蹴り飛ばす。
 ちょこまかと飛び回る騎士がいれば、その翼を噛みちぎって地上へ叩きつける獰猛なものまでいた。
「公主にも村人にも指一本触れさせねえさ。そういう命令を受けたんでね」
「あいつが本体か……! 奴を叩くぞ!」
「まあそうなるよなぁ。――けど、わざわざ俺が姿を現してる意味は考えたほうがいいんじゃないかい?」
 昊天はにやりと笑う……その瞬間、ヒュンと鋭い風が一陣吹き抜けた。
 するとどうだ。騎士三体の首が胴体と泣き別れし、首なしの胴体は明後日の方向へ飛んでいって自ら雲海の下へ落ちていった!
「なっ!? ま、まだ伏兵がいたのか……!」
 風の正体は、近くに身を潜めて機会を伺っていた雨龍である。
 彼の手にあるのは……驚くべきことに、剣でも戟でもなんでもなく、そこらの民家の残骸から拾ってきたただのガラス片だった。
「どうしたんだい? 来るならさっさと来ればいい。僕から仕掛けるのは面倒なんだ。そのご自慢の長得物で、羽虫みたいに突っ込んでくるといいじゃないか」
「何を……! そんなガラクタで、我々を倒せるつもりか!?」
「現にやってみせただろうに。ああ、目が追いついてなかったのかな?」
「貴様……! ええい、その減らず口を縫い止めてやるッ!」
 騎士が散開し、様々な方向からハルバードによる連続攻撃を仕掛ける。
 昊天の馬たちが攻撃を妨害し、雨龍は馬の身体や騎士の死角を利用することで決して己の姿を捉えさせず、ガラス片をナイフめいて振るった。
 刃どころか武器ですらない、ただのガラスだ。それが、振るわれるたびに血を生んで騎士を一撃で仕留めてしまう。魔法のようだった。
「どんなに強固な鎧を固めても、必ず脆い部分はあるものだ。そこを狙ってしまえば……この通り、ってね」
 気がつけば雨龍の足元には、無数の死骸が転がっていた。
「やるねぇ。その調子で俺の仕事も奪ってくれると助かるよ」
「きちんと働かないと公主に叱られるよ? ほら、そこで見ていらっしゃる」
 軽口を叩くふたり。嶺依は羽衣をたなびかせ戦場を見下ろしていた。
 隙だらけの有様だが、黒翼騎士が刃を届かせることは決してありえない。
「よい働きぶりじゃ。連れてきた甲斐があったようじゃの」
 精鋭の騎士が、いくら束になろうと敵わない。
 それが、黒幇の恐るべき凶手たちなのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『セラフィムビースト』

POW   :    天使核獣
【天使核のエネルギー】を使用する事で、【八翼】を生やした、自身の身長の3倍の【滅びの獣】に変身する。
SPD   :    セラフィムコメット
【天空に出現した『天使の輪』】から、戦場全体に「敵味方を識別する【燃え盛る隕石】」を放ち、ダメージと【消えない炎】の状態異常を与える。
WIZ   :    獣の烙印
攻撃が命中した対象に【獣化をもたらす烙印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【烙印の侵食】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:カツハシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「わ、我ら黒騎士がこれほどの数集まっても返り討ちにあうとは……!」
 猟兵たちの奮戦により、ザエル帝国――それが奴らの国の名である――の黒騎士たちは圧倒的劣勢にあった。
 《白金の乙女》を目の前にして、撤退するほかないのか。指揮官は忌々しさに拳を握りしめる。

 ――残念だけれど、撤退なんていう選択肢は君たちにはない。

「! い、イーラ様……!」
 どこからともなく響いた声に、残存騎士たちは震え上がった。
 ザエル帝国の幹部のひとりであり、彼らの直属の上司。
 いかにしてか、その当人が念話を飛ばしてきたのだ。

 ――獣の使用許可を与えよう。別に、その島は沈めてしまっても構わない。
   ただし、絶対に白金の乙女は回収するんだ。命に代えても……ね。

「は……はっ! ザエル帝国の名のもとに!」
 騎士たちは決死の敬礼をし、そして指揮官が叫んだ。
「檻の拘束を緩めろ! 獣を解き放つ!」
 じゃらじゃらと音を立て、騎士たちの握る鎖が手放された。
 巨大な檻の中に閉じ込められていたのは、いくつもの翼と強靭な角を持つ、キャバリアよりも巨大な天使核獣。
 獣は頑丈そうな檻をあっさりと破壊すると、距離を取りそこねていた騎士どもをつかみ取り、頭から貪り喰らう!
「う、うわああああっ!!」
「助けようなどとするなよ、獣に巻き込まれるぞ! 距離を取れ!」
 騎士どもが撤退すると、入れ替わりに獣はずずん!! と島に降り立った。
 衝撃で燃えて崩れかけた建造物が倒壊し、避難所に集まった村人たちは悲鳴をあげる。

「……ザエルの獣……」
「え?」
 獣の巨躯を見上げる少女の呟きに、ラシッドは振り返った。
「遺失魔術の力で天使核を増設して、戦闘能力を高めた代わりに、帝国でも制御が難しくなった……それが、ザエルの獣」
「あいつらにさえ扱いきれないなんて、そんなものを使ってまで、キミを……」
「……早くあいつを倒さなきゃ、この島が沈んじゃう……!」
「そんな!」
 天使核獣は一切を鏖殺する。目的である白金の翼の少女ただひとりを除いて。
 荒れ狂う滅びの獣の力は、並外れて強大だ……!

●2章の備考
 ザエルの獣=セラフィムビーストは、例の少女以外のすべてを敵とみなし、またブランシュ島の環境に一切頓着せず暴れます。
 攻撃を引き付けたり空中戦に徹するなどの工夫がなければ、島に甚大な被害が出てしまうでしょう。

 なお、1章は①②ともに充分な防衛が出来たため、NPCの人命には一切に被害が出ていません。
(仮に島が沈没した場合は、少女を除く全員が死亡します)

●プレイング受付期間
 7/14 08:30前後まで。
 ※合同プレイングはなるべく同じタイミングでご提出ください。
アルトリウス・セレスタイト
次は獣か
浪費の限りだな

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
重力の影響も断絶し空中戦
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

魔力放出で近接し白打を以て天印起動
因果の原理にて「命中させて」しまえば不発の恐れもない
捕らえた時点で動くことは叶わずユーベルコードも霧散する

更に付与の瞬間を無限循環させ多重拘束
崩壊速度も加速させ速やかな始末を図る

拘束後は手近に味方がいればそちらへ投げ飛ばして続きを任せる
いなければ打撃で追撃
纏う原理を無限に廻し、無限量の圧と破壊の原理をを乗せ打ち込む

※アドリブ歓迎


フュテュール・ステラセ
・心情
あのような獣を投入するとは、どうやら随分と過激なようですね帝国とやらは
ですが、この島を犠牲にする訳にもいきません……
セイヴェリオス、あれを止めましょう!

・戦闘
真の姿(セイヴェリオスがオーラを纏い、セイヴェリオスの意識と一体化した状態)となり、[光刃虹翼(エール・レイスパーダ)]を展開し【滑空】しつつ【空中戦】でザエルの獣と戦います。
【オーラ防御】で防ぎ、【全力魔法】の【属性攻撃】をザエルの獣にぶつけていきます。
敵が変身するようならば、そこが好機。
的が大きくなるのならば、ユーベルコード『戦嵐刃雷撃』はその真価を発揮できるでしょう。

・その他
アドリブ等は大歓迎です


秋山・軍犬
敵の切り札が島を沈める程とは…
なら此方も現状で切れる最大の切り札を…切るッ!

幸い一章の騎士は焔ちゃんが相手してくれたから
この一戦、この切り札【指定UC】を全力でぶん回せる

覇気を敵に叩き付け自身に誘き寄せ
相手が間合いに入ったら
無数の超巨大な、まな板で自身と敵ごと上下四方を
囲み、巨人の厨房とも言うべき領域に閉じ込め
戦闘による周辺被害をシャットアウト

後はUCの使用限界が訪れるまで
フードファイターの経験と超級料理人の技巧を
駆使した【指定UC】で
あらゆる素材を徹底的に剥ぎとり戦力を削いでいく

さあ、かかってこい! 食える相手(魔獣)なら
例え、島一つ沈める荒狂う魔獣だろうと
はかりおさめ(料理)てみせるっす!


七那原・望
そこまでしてたった一人の少女を?
それほどの価値がある、という事なのでしょうか……

アマービレで新たに呼んだねこさん達にお願いしましょうか。

逃げた騎士を可能なら捕まえてきてくれませんか?
どの道残すわけにはいきませんし、拷問でもすれば何かしら情報が得られるかもです。

さて、わたしはわたしのやるべき事を。

背中の翼で空中戦を挑みます。
強化属性全力魔法で自身の限界を超え、リミッターも解除し、第六感と野生の勘を働かせて敵の攻撃を見切り、回避からのカウンターで絶・蘇威禍割を叩き込み、滅びの獣の概念やエネルギー供給源の天使核ごと粉砕してしまいましょう。

大きくなっても関係ないです。
この二刀でバラバラにしてあげます。



●滅びの獣
 たったひとりの少女を捕らえるためにしては、《ザエルの獣》は明らかな過剰戦力だ。
 星降らすその力は島を砕き、滅びの獣となればすべてを喰らい尽くすだろう。
「そこまでしてたったひとりの少女を……それほどの価値がある、とでも……?」
 訝しむ七那原・望、しかし獣が返すのは問いの答えでなく、咆哮だ。
 セラフィムビーストは巨大な翼をはためかせ、檻の残骸から飛び出した!
「逃げた騎士はねこさんたちに任せるとして……ここから先は行かせませんよ!」
 望は翼を広げ、セラフィムビーストの突撃に真っ向から戦いを挑む。
 獣の爪じみて突き出された二刀が、獣の巨大な角と激突し、轟音を響かせた!
「グオオウゥッ!!」
 衝撃で吹き飛ばされたセラフィムビーストは、涎を撒き散らして吠える。
 身の丈で圧倒的に劣るはずの少女が、己の剛力を凌いだことが信じられないのだ。
 邪魔するものは圧倒的な暴力でねじ伏せてきた獣にとって、これは生まれてはじめての経験と言ってよかった。

「! あれは……!」
 その時、獣が天を仰ぎ、異様な気を漲らせることにフュテュール・ステラセが気付いた。
 するとセラフィムビーストの頭上に巨大な光輪が出現し、それは加速度的に肥大化していく。
「隕石を落とすつもりですか……! セイヴェリオス、あれを止めましょう!」
 フュテュールの駆るサイキックキャバリア『セイヴェリオス』が、限界を超えて真の姿を――光あふれるオーラを纏い、フュテュールと文字通りの一心同体となった姿――解放し、一条の光となって空へ翔んだ。
 背に広げた『光刃虹翼(エール・レイスパーダ)』がはためくと、翼からこぼれ落ちた羽が光の刃となり、光輪から降り注ぐ隕石を両断・破砕する!
「グルルル……ッ!!」
「この島には、一切手出しはさせません。誰も犠牲にはさせない……ッ!」
 セイヴェリオスの纏う光のオーラがさらに強く煌き、光はやがて渦巻く嵐となって分離した。
「あらしよ、雷よ! 我らに勝利の一撃を!」
 ごうごうと渦巻く光り輝く嵐は、さらに飛来する隕石を巻き込んで獣を襲う!
 セラフィムビーストはその巨体ゆえにサイキックエナジーの嵐を逃れられず、荒れ狂う念動力に拘束されもがき苦しんだ。

「よし、この勢いで動きを止めるっすよ! こっちも切り札を切るっす!」
 そこですかさず、秋山・軍犬がユーベルコード『巨人の厨房』を発動。
 彼自身も黄金のオーラに包まれ、そのオーラが巨大なまな板となって具現化した。
 たかが調理器具と侮るなかれ。厨房とはすなわち、フードファイターにとっての『決闘場』といってもいい。
 巨大な黄金のまな板は、そこらの城壁よりもなお堅牢な障害物であり、敵を閉じ込め逃れられぬバトルフィールドを形成することが出来るのだ。
 つまり……嵐から逃れようともがき苦しむセラフィムビーストを、いくつものまな板によって作られた立方体が牢獄めいて閉じ込めてしまうのである!
「これで島には手出し出来ないはずっす! この隙に……!」
 だが、天使核を"増設"されたセラフィムビーストの出力は、軍犬の予想を超えていた。
 嵐に戒められたセラフィムビーストの肉体が、メキメキと異様な音を立てて膨れ上がり、捻じくれた大木のように"成長"していく。
「あれが『滅びの獣』ってわけっすか……一筋縄ではいかないっすね……!」
「オオオオオオオッ!!」
 セラフィムビーストは自らの天使核の力で変身することで、嵐と黄金の壁の二重の戒めを強引に突破しようとしているのだ。
「そうはさせないっすよ!」
 軍犬は自ら決闘場に飛び込み、サイキックの嵐で動けないセラフィムビーストの空を黄金の包丁で斬り裂く。
「なんという荒れ狂った力……セイヴェリオスの念動力に抗うなんて……!」
 フュテュール=セイヴェリオスは片掌を突き出し、セラフィムビーストの行動を全力で抑制する。
 本来であれば彼女の『戦嵐刃雷撃(サンダーストーム・ギガスラッシュ)』は、念動力の嵐で敵を拘束し斬撃を与えることで術式完成となるが、少しでも力を緩めてしまえば嵐をも突破されそうな力が荒ぶっていた。
「大きくなっても関係ないです。この二刀でバラバラにしてあげます」
 黄金の包丁を振るう軍犬に加勢し、望が双刃を振るいセラフィムビーストの全身におびただしい剣閃を叩きつけた。
 全身から不浄な紫色の血を噴き出しながらも、獣は健在である。

「いつまでももがくな、獣め。お前が為せることなど何一つない」
 そこにアルトリウス・セレスタイトが加わり、『天印』の術式でさらなる拘束を重ねた。
 因果をも捻じ曲げる静止の原理の力が、セラフィムビーストの変身を抑制し、膨大な膂力を無理矢理に封じ込める……獣の異形化が停止し、逆回しの映像めいて徐々に身体が縮小していくではないか。
「拘束はこちらで担おう。攻撃は任せる」
 アルトリウスは三人の猟兵にそう言うと、両手を突き出した。
 蒼い光の帯めいた拘束術式が、さきほどまで獣を戒めていた鎖のようにその巨体に巻き付き、焼きごてめいて天印を刻み込み、力を減衰させていく……!
 さらに刻み込まれた術式は、セラフィムビーストの力を奪うだけでなく、その力によって奴を自壊させていくのだ。
「食える相手なら、たとえ島ひとつ沈める魔獣だろうとはかりおさめてみせるっすよ!」
 軍犬の包丁が、セラフィムビーストの鋼めいた肉に大きく食い込んだ。
「グオオオッ!?」
「概念すらも粉砕するわたしの剣閃、その身で味わわせてあげます」
 望の神速の斬撃は無数の剣戟に繋がり、物質的なダメージだけでなく「滅びの獣」という概念そのものを打ち砕く。
 目にも留まらぬ斬撃が獣の全身におびただしい傷をもたらし、その苦痛にセラフィムビーストは絶叫した!
「これなら――行けます、セイヴェリオス! 雷の一撃をッ!」
 そして雷鳴纏うセイヴェリオスの剣が、高く飛び上がり振り下ろされた。
 落下速度とサイキックエナジーを載せた剣が、大気を切り裂いて稲妻めいた轟きを巻き起こす。
 それは、少女を手篭めにしようとする、邪悪なる屍人帝国への鬨の声のようにも思えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
傭兵さん/f01612

▼方針
鳴宮:遠距離から隕石を破壊
矢来:破壊された隕石を利用して接近

隕石を砕くらしいです。

…ノーコメントで。派手にやって下さるぶんには助かります。
それだけで獣の注意を惹くでしょうし、オレは騒音や影に乗じて接近できる。
『朽縄』を引っ掛けて破片の間を渡っていきましょう。
壁走りは忍者のたしなみです。

それにしてもばかみたいな大きさですね。
でも一匹だけ。であれば対処可能です。
『朽縄』と『牙道』を合わせて縄鏢にする。
【錫乱】――食用でない獣になら遠慮なく毒を打てます。
追いかけ回して何度でも打ち込む。死ぬまでやる。

…ま、手持ちの毒が切れたら見逃してあげますよ。
尤ももう虫の息でしょうけど。


鳴宮・匡
夕立(f14904)と


隕石を撃ち落として被害を防ぐのと同時
夕立の駆け上がる道を作るよ
【無形の影】で隕石破壊に適した形状の銃器を選択

夕立の進路にあるものを最優先に
全ての隕石を地表に激突する前に迎撃する
足場になるものはそのままに
あいつの頭上から降り注ぐ破片は負傷を与えないレベルまで砕く
……自分の頭上も気にするけどさ

立ち位置はこまめに変えながら射撃を繰り返す
回避の際は銃器を“解体”して防御に影を回し
立ち上がると同時に再形成して攻撃を続行

こっちに目を引き付けておけば、夕立の方に気は向かないだろう
近接すれば気付くだろうが、その時には手遅れだ

……しかし本当に忍者って厄介だな
恨みを買わないように気を付けるよ



●星を砕く
「グオオオオ……ッ!!」
 セラフィムビーストが天を衝くように雄叫びを上げると、その頭上に巨大な光輪が出現し、見る間にぐんぐんと直径を広げていく。
 光輪の内側は星空めいた闇黒であり、どうやらなんらかの力によって異次元ないし宇宙空間と接続されているらしかった。
 ならば、そこから何が堕ちてくるかは言うまでもない――星である。
「放っておいたら火の雨だな、あれは」
「どうします? 妨害しようにも生半可な攻撃は効かなさそうですよ」
 矢来・夕立の問いかけに、鳴宮・匡はあっさりと答えた。
「堕ちてくるなら、着弾する前に迎撃して撃ち落とせばいい」
「……は?」
「だから、隕石を撃ち落とすんだよ。俺がやるから本体は頼む」
「…………」
 夕立は匡の顔を、2秒ほど見つめた。
 その顔に、「こいつは正気なのか」という胡乱げな思考がありありと書かれていた。
「なんだよ」
「いえ、わかりました。そういうことならお任せします」
 夕立はまともな議論をやめた。やれる、というのならそうなのだろう。
 ならば、任せるだけだ。派手にやってくれればいい囮にもなる。
「あなたに限って、大口を叩くなんてこともないでしょうしね」
 夕立はそう言って姿を消した。おそらく、彼なりの皮肉だったらしい。
「……忍者に言われたくないんだよな、そういう台詞は」
 どちらも揃って人智を超えていることは、いまさら言うまでもない。

 光輪がひときわ強く輝くと、ついにその内側から燃える隕石が出現した。
 しかもひとつではない。この島全体を覆えるほどの、大量の隕石!
「グオウッ!!」
 行け、とばかりに獣が吠えると、隕石は一気に加速した。
 匡の手の中で影がアンチマテリアルライフルの形を取る――そして、狙撃。
 BLAMN!! と、銃声……いや、砲声が大気をつんざいた。
 12.7x99mm特殊弾頭が隕石の核を貫き……数千度の熱を纏った隕石が、破砕!
「マジでやってるよ、どうなってるんだあの人」
 燃え盛る飛礫をひょいと躱し、夕立はドン引きした。
 ……もっともその当人も、燃え盛る隕石を引火する前に飛び渡るという絶技をさらっとこなしている。やはり、どちらも人間業ではない。
「近づいてみると余計にデカいな……」
 ぐんぐんとセラフィムビーストの巨体が近づく。強靭な皮膚は鋼めいていた。
 己の装備では、貫くだけでも一苦労だろう。夕立は嘆息する。
 物理的に斬ったり穿ったりするのは、剣の達人でもない夕立には不可能だ。

 ならば、どうするか――答えは毒である。
「そこです」
「グルォウッ!?」
 隕石を迎撃する何者か=匡に気を取られていたセラフィムビーストは、"岩陰"から迫る夕立の存在に気づけず、縄鰾による刺突を喰らった。
 筋肉の繋ぎ目に擲たれた縄鰾は皮膚を貫いて肉に突き刺さるが、所詮は鰾である。
 その一撃でセラフィムビーストを粉砕することも、動けなくさせることも出来ない。
 巨体からすれば針のようにか細い一撃……だが、獣はぐらりとよろめいた。
「この世界の方々はどうなのか知りませんが、あいにくオレはお前みたいな化け物を食う趣味はありませんので」
 夕立はセラフィムビーストの巨体に持っていかれる前に縄鰾を引き戻し、スリングめいて回転させ、さらに別の箇所に突き刺す。
 本体が毒に苛まれている間にも隕石は降り続けるが、それは匡の狙撃によって的確に破壊されていた。
「……本当に忍者って厄介だな。恨みは買わないようにしないと」
 巨体を追いかけ回す夕立の姿に、匡は純粋な警戒心を抱いた。
 そんなことを言いながら、降り注ぐ隕石の破片を躱し、対物ライフルをぶっ放し、巨大隕石を狙撃するなどという芸当をしておきながら、である。
 できるなら、やる――それが匡のスタイルとはいえ、これもなかなかに常軌を逸していた。
 何かを極めすぎた者というのは、割と自分を客観視できなくなるものなのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千束・桜花
制御ができず味方すら喰らう獣を放つなど、相手の指揮官は何を考えているのですか!
少年少女を、島の人々を護るため、止めてみせます!

あの巨躯で暴れられたら島そのものが落ちてしまいます
まずは獣を島から引き離さないと危険ですね
低い姿勢から斬り込んで、剣と桜吹雪の圧で獣を空中に吹き飛ばしましょう!
先陣を切り、多少の無茶を通してこその将校!
私の後ろにいる人たちを思えば、痛みなど無いに等しいのです!

舞台は空、敵役は獣、そして舞うは桜!
いざ、力比べといきましょう!


試作機・庚
少女一人にこんだけ出すってことはよっぽどあの少女は驚異なんデスね…
なら、徹底的に妨害してやるデスよ!(悪い笑顔)
Peacemaker Ready.

使うUCは【驚異排除】
UC内に【UC:一軌刀閃】が含まれてるデスよ
当たればダメージ、当たらなくても軌道にいれば拘束するデスから地上や要救助者に被害が出そうなときに使って空に打ち上げるデスよ。
隕石は…この速さなら当たらないと思うデスからなんとかなるデスよきっと


ナスターシャ・ノウゼン
どこぞから獣臭さが漂ってくるかと思えば、また随分と大物が出てきおった。
帝国の騎士共も制御出来ておらんようじゃし、困ったもんじゃ。はぁ、妾達で躾てやるしかなさそうかの。

せっかく助けた住民諸共島を壊されるわけにはいかんし、あやつの注意を引くとするか。
斧錨に≪ブレイズフレイム≫を纏わせて、鎖を掴んだら【ぶん回し】て獣に向けて投擲じゃ。
ほぉれ、取ってこーい!なんての。
まぁ、鎖掴んでるんじゃから引き戻せるんじゃが。
妾自身も地獄の炎を纏って近接戦闘と行くか。一人挟みうちとか、妾賢くない?
ま、余裕があったら獣を斧錨で打ち上げて、地上へのダメージを減らしたりもしようか。高い高ーい、といった感じじゃ。


ユーリィ・ミニットマン
これが件の、懸念されていた『切り札』という奴か……人の手により改造された魔獣とは、何とも悍ましいものだな。
出し惜しみをする余裕はとてもじゃないが無さそうだ。持ちうる力、道具、全て出し尽くすつもりで臨もう。

魔獣の力を宿す[血の酒]を口に含み、オレの背に翼を生じさせる(UC《人間の証明》の効果)。飛行能力を得ると共に移動力を増強し、八翼を生やした魔獣に空中戦を仕掛けよう。
高機動性を得る代償として防御力が犠牲になるものの(装甲半減)、あの魔獣の暴威を地上の人々──戦う力を持たない村民たちの方へ向かわせる訳にはいかない。多少なりともダメージを負うことを覚悟した上で、奴の周囲を飛び回り攻撃を引き付ける!


白斑・物九郎
●POW



〝天国では狩りが出来ない〟――
起きなさいや、奪い足りねえ荒くれ共
俺めのコトはキャプテンと呼べ

ワイルドハント号、出航ォ!


【砂嵐の王・死霊大隊Ⅱ】発動
空だってイケる俺めの船に搭乗、ビースト目掛けて衝角の方から上向きに――突っ込む!

相手を空に釘付けにする
艦載砲のバラ撃ち(威嚇射撃)も重ねて、相手を俺めに釘付けにさせる

【野生の勘】に頼んだ操舵で八翼を掻い潜りながら――そんだけ〝ある〟なら【狩猟】のし甲斐もあるってモンですわ――艦載武装から捕鯨銃やら銛やらをセレクト、銛をロープ付で【投擲】

命中次第、船の機動と自前の【怪力】を合わせて――核を一個でもブッこ抜いてってやりまさァ!(串刺し+こじ開け)


ワタツミ・ラジアータ
天使核とはあのようにも使えるのですわね。

二人に:
ご心配なくあなたたちにも島もアレは近づかせませんわ。
相手が大きくても、やりようというのはありますしね。

【POW】
やりよう:
自身も大きくなって力ずく

真の姿を起動
一章で捕食した天使核を燃料に使う
キャバリアを内部から浸食、さらに外装と浸食合体
8×2=16mのサイズになり獣と相対

しっかりと躾させていただきますわ。
獣には、それが一番わかりやすいでしょう?

真の姿:
キャバリアをベースにワタツミの容姿
ポニーテールは解けている
手足はキャバリア、頭部はワタツミ、赤い装甲ドレスを纏う

獣の天使核の捕食を狙う
獣も充分に捕食対象
獣も理解できるように食物連鎖を教える



●島を砕く獣、獣を討つ力
「天使核とはあのようにも使えるのですわね……勉強になりますわ」
 咆哮する獣を見上げ、ワタツミ・ラジアータは意味深に呟いた。
 そして彼女は慄くラシッド少年と少女を振り返り、無表情のまま続ける。
「ご心配なく。あなたたちにも島にも、アレは近づけませんわ」
「そ、それは……でも、一体どうやって?」
「相手が大きくても、やりようというのはありますもの。それに――」
 三人の頭上で、ズズン!! という轟音が響き渡った。
 別の猟兵たちが、巨大なるセラフィムビーストに戦いを挑んでいるのだ。
「ここにいるのは、私だけではありませんので」
 少年と少女は見上げた――驚天動地の猟兵たちの戦いを!

 まず初めに先陣を切ったのは、千束・桜花である。
 彼女には愛機たるキャバリアもあったが、桜花はあえてそれを使わなかった。
 桜花はキャバリア乗りである以前に、超絶的な腕前を持つ學徒兵でもあるからだ。
「守るべき人と場所があるならば、この一刀にて一騎当千を見せつけましょう!」
 セラフィムビーストの身体が、島の地面から浮かび上がった。
 一体何をしたのか――それは、斬撃だ。ただの斬撃の威力と剣圧によって、身の丈10倍はあろうかというセラフィムビーストを宙に吹き飛ばしたのだ!
「グオオオ……ッ!?」
「こんなちっぽけな人間ごときにしてやられるとは、思っておりませんでしたか?
 残念でしたね! 私は将校……いかなる苦難にも率先して立ち向かう者ですゆえ!」
 ごうごうと荒れ狂う桜吹雪は、桜花の義勇心を形としたものである。
 剣戟によって渦巻いた桜吹雪は、まるで竜巻めいてセラフィムビーストを包み込んでいた。
「舞台は空、敵役は獣、そして舞うは桜! いざ、力比べといきましょう!」
 桜花は地を蹴って飛翔し、桜の渦に乗る形で空中へと跳躍した。
 そして、自由落下するセラフィムビーストの全身を、斬る斬る斬る斬る斬りまくる!
「グ、オオオ……ウオオオオッ!!」
 セラフィムビーストは翼を増やしながら無理矢理に羽ばたき、斬撃の嵐から逃れるように身悶えした。
 咆哮とともに頭上の天輪が膨れ上がり、内側に宇宙めいた虚空を映し出す。
 そこから現れるのは……燃え盛る隕石だ! それも1つや2つではない!
「どうしても島を沈めたいみたいデスねぇ……なら徹底的に妨害してやるデスよ!」
 そこで疾風のように飛び出したのは、試作機・庚だった。
 彼女もまた常識を超えた騎兵であり、その剣閃は音をたやすく超える。
 ひとつ、ふたつ、みっつ――光めいて瞬いた剣戟は、飛来する隕石をことごとく断ち切り、四散いや飛散した隕石の残骸は自らの熱によって焼滅してしまう。
 宇宙速度にすら匹敵する剣戟は、空から飛来する星など簡単に断ち切ってしまうのだ。
 いわんや巨躯を誇る獣など、斬撃の起こした風だけで全身をズタズタに斬り裂くほど!
「悔しいデスか~? ムカつきマスか~? 喋れなくても顔に出るからいい気味デスね~!」
 庚は悪~い笑顔を浮かべ、怒りと苦痛にもんどり打つ《ザエルの獣》を挑発した。
 獣は言葉を喋ることはないが、言語を解するだけの知能はあるらしい。
 双眸に煮えたぎる憎悪と憤怒の感情を察し、庚はふふんと勝ち誇る。
「残念デスが、あなたには誰も殺させないデスし、何も壊させマセンよ~!」
「オオオオッ!!」
 セラフィムビーストは全身のあちこちから、天使核獣の証である翼を生やし、その肉体をさらに巨大化させて庚や桜花を引き裂こうとする……が!

「ほうれ、忘れ物じゃ! 首輪はちゃんと着けておかんとのう!」
「グルォッ!?」
 そこでセラフィムビーストの全身に巻き付いたのは、奴を拘束するために《ザエルの黒騎士》たちが用いていた巨大な鎖である。
 がらがらと音を立てて鎖が絡みつき、猟兵に襲いかかろうとした両腕を器用に縛り上げ、さらに首根っこをがんじがらめにしてしまう。
 だれがこんな力技をやってのけたのか? それは、ナスターシャ・ノウゼンという名を持つ召喚獣……あるいは炎の化身、あるいはゲヘナの支配者たる怪物の力!
「まったく獣臭くて敵わんのう、帝国の連中も躾の出来ん連中じゃ!
 となれば……妾らが代わって躾をしてやらんとなぁ? ほうれ、どうどう!」
 ナスターシャは無数の鎖を己の振るう斧錨にくくりつけ、
 召喚獣としてのすさまじい膂力で鎖を引っ張り、
 セラフィムビーストの巨体を振り回してのけた。
 地獄の炎が鎖を伝い縛り付けられたセラフィムビーストの全身を焼き焦がす。
 庚や桜花によって刻みつけられた傷口を熱で苛まれ、セラフィムビーストは苦痛と屈辱に悶え苦しんだ!
「グ、オオオ……ッ!?」
「ははははは! どうしたどうした、さっきまでの元気はどこへいったのかのう?
 それともあれか、おぬしは縛られたほうが喜ぶタチかえ、んん?」
 超巨大な獣を、半獣めいた姿の美女が鎖で縛り付け振り回し痛めつける。
 その景色の異様さこそが、この世ならぬ異界から出現したナスターシャの力量を知らしめていた。
 永き眠りから覚醒めたゲヘナの炎、その力はなおも健在ということか!
「ガル、ルルル……ッ!!」
「おお、そうかそうか。自由にしてもらいたいか。では解いてやろうぞ」
 セラフィムビーストが鎖を引きちぎろうとすると、ナスターシャは不可解にも拘束を解いてしまった。
 もちろんそれは、本気で奴を自由にしてやろうというわけではない。
 ナスターシャに襲いかかろうとする獣――だが、そこに横入りする巨影!

 ズズン!! と、強烈な衝撃によって大気が再び揺れた。
 何が起きた? ……答えは、船だ。巨大な船の衝角が獣を貫いている!
「"天国では狩りが出来ない"――起きなさいや、奪い足りねえ荒くれども」
 空舞う飛空艇……否、"狩猟船"の甲板に屹立するは、不遜なるひとりの男。
 いかにも海賊めいた装いで腕組したその男は、にやりと獰猛な笑みを浮かべる。
「ワイルドハント号、出航ォ!!」
 セラフィムビーストを串刺しにしたのは、白斑・物九郎の召喚した狩猟船!
 甲板に無数の幽霊たち――ただの海賊ではなく、狩猟を好むとびっきりのあらくれどもだ――がひしめき、武装を掲げ、狩猟船に取り付けられた砲台でセラフィムビーストを撃ちまくった。
 ザエルの獣はぶちぶちと肉を引き裂かれるのを承知で衝角の拘束から逃れ、
 さらなる大量の隕石を降らせながらワイルドハント号を迎え撃つ。
「ハ! デカブツのくせになかなか"やる"じゃニャーですか!」
 ワイルドハント号は恐れぬ。砲撃で隕石を撃墜しながら、再び突貫!
「豪快だな……! だが、これだけの勢いなら、オレも攻め込めるというものだ」
 地上からそのさまを目撃していたユーリィ・ミニットマンは、懐から「血の酒」を取り出すと一気に飲み干した。
 魔獣の力を宿したこの酒を呑むことで、ユーリィは一時的にだが空を舞う翼を得ることが出来る。
 機動力の代償に防御力を損なうものの、ワイルドハント号の巨大な質量があれば問題はなかった。
「あの暴威を、地上の人々に向けさせるわけにはいかない。援護するぞ、猟兵」
「俺めのコトはキャプテンと呼べ!」
「なら、キャプテンだ。隕石はこちらに任せてくれ!」
 ユーリィは不遜な物九郎の言葉に素直に応え、稲妻めいて飛翔しながら隕石の雨を撃ち落とす。
 その狙いは幽霊たちの砲撃よりもなお正確であり、火力で圧倒的に劣るはずなのにも関わらず、燃え上がる隕石の尽くを一撃で破砕させていた。
「いい腕しやがりまさァな、なら今のうちに突撃だァ!」
 ドウ、ドウドウドウ……! 砲撃が再びセラフィムビーストを撃つ!
 さらに船体から銛やら捕鯨銃やらが飛び出し、獣を穿って縛り付けた!
「たしか天使核がたくさんあるんでしたっけかァ? そんだけ"ある"なら、狩猟のしがいもあるってモンですわ」
 物九郎はにやりと笑い、魔鍵を異空間から出現させ……自ら跳躍、セラフィムビーストの巨体に取り付くと、どすりと鍵を突き刺した!
「天使核の一個でもブッこぬいてやりまさァ!」
「どれだけ天使核があろうと、魔獣ならば解体のしようはある。オレは魔獣解体士だ、なんとかの獣だろうが知ったことか……!」
 そしてユーリィも隕石を撃ち落とし、飛散した残骸を隠れ蓑に獣の身体を抉った。
 己の身を小さきものどもに解体される痛みと恥辱に、獣は咆哮する!
「じたばたするならまた縛ってやってもよいぞ? ま、面倒じゃから力技で黙らせるが、のうッ!」
 SMAAAASH!! ナスターシャの斧錨が炸裂! 鋼じみた筋肉が破砕して血が噴き出した。
 斧錨から燃え移った炎が獣を包み込み、傷口から体内に沁み込んで内外を同時に炙る!
「これぞ一騎当千の集いたる猟兵の力! 獣よ、あなたに自由は赦しません!」
「痛みも感じず、一秒ごとに斬り裂いてやるデスよ!」
 さらに桜花と庚の斬撃が、鋼鉄のような強度の肉を斬り裂き骨を断つ……!

「オ……オオオオオオオ……ッ!!」
 それほどのダメージを受けてなお、《ザエルの獣》は己の身体を巨大化させ、強引に傷を塞ぎ、猟兵たちを振りほどいて暴れようとした。
 ――そう、"した"。だがあいにく、それは叶わなかった。
『言葉ではわからないようなので、ひとつ実力行使で教えてあげましょう』
 そこに、巨躯がそびえていた。ともすればセラフィムビーストをも超えそうなほどの巨躯が。
 見た目こそワタツミのものだが、手足は彼女のキャバリアのものであり、纏う赤いドレスは装甲服とでも呼ぶべき物々しいもの。
 これが、ワタツミの真の姿……天使兵の力を取り込み、15メートルを超える巨体に「侵食合体」した、すべてを喰らうものの威容!
「グオオオ……ッ!?」
『この世にはシンプルな「決まり」というものがありますわ。
 誰が決めたものでもなく、自然に定められた、たったひとつの法則が』
 ワタツミは暴れ狂うセラフィムビーストの身体を無造作に掴み……そして、ぞぶりと噛み付いた。そう、《ザエルの獣》を食ったのである!
「グォオオアアアアアッ!?」
『――食物連鎖。その頭でも理解できるように、たっぷりと、教えてあげましょう』
 滅びの獣に変じて強靭となったその身体を、異星の法則に則った怪物の牙が容赦なく咀嚼する。
 ザエルの獣は恐怖した――猟兵という、規格外の天敵たちの力に。
 そして己を喰らい取り込もうとする、己よりも巨大なるモノの底知れぬ恐ろしさに……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジョン・ブラウン
【コンプラ重視悪巧み】

「ひゃー、無茶するねぇ」

「なーに、制御不能の獣が何するものぞってね。ウチは意味不明の鹿だぞ」

「ドッグランに連れてくるなら最低限のしつけはしといて欲しいんだけど!?」
「ウィスパー、演算開始!早くしないと備品壊しちゃうよあのワンちゃん!」

ユーベルコードによる地形改竄を行い、島への被害を軽減すると共に
足元に落とし穴や逆に隆起した地形を作り出し
セラフィムビーストの行動の妨害や誘導を行う

「リチャード!餌あとどれくらい残ってる!?」

「ティアー、5秒後に一瞬だけ右側の視界を遮る!」

陽動役の二人と連携しつつ
クマゴロウとリクロウの元へセラフィムビーストを誘導する


詩蒲・リクロウ
【コンプラ重視悪巧み】

なんとなくどんな雰囲気かわかってきましたけど、帝国っていうのは禄なところじゃないんですね。

「リチャードさんが注意を惹き付け、ジョンさん、ティアーさんは削りつつ誘導!
そして熊五郎さんと僕で叩きます!そんな感じで各自行動開始!」

熊五郎と共に敵の行路を先回りし潜伏し、強烈な一撃を構える

「今です!グラウンドクラッシャー!!!」

しかし、リクロウの一撃では相手を砕く事はできずに罅が入るのみ。

「くっ、硬い……!」
「熊五郎さん、すみません!残りいけますか!?」


曾場八野・熊五郎
【コンプラ重視悪巧み】
「なんてことだ……モジャ公、あれヤギ肉鶏肉犬肉のどの味がするでごわすか!?」
「害獣駆除の要領でごわす。群れで追い込んで足止めてドカンでごわ」

囮組に任せて襲撃予定地点に先回り
渾身の一撃を入れるために伸びをしてストレッチしておく
ヤブに潜んで奇襲用意『騙し討ち』
「ステンバーイ……ステンバーイ……今だゴーゴーゴー!」

リクロウを踏み台にして真の姿になりながら飛び掛かる
リクロウがつけた傷に【犬ドリる】を叩きこみぶち抜く『怪力・部位破壊・トンネル掘り・傷口をえぐる・捕食・大食い』
「ちょっとトリニクー、ちゃんと息の根止めないと駄目でごわす」
「……うーん犬の餌より不味かったでごわ」


リチャード・チェイス
【コンプラ重視悪巧み】

完凸リチャード「意味不明の鹿とは失敬であるな」
1凸リチャード「うむ、こんなにも単純明快であるというのに」
完凸「見たまえ、ここに集いし鹿達も同意を表明している」
1凸「私達は何と心強い味方を得たのであろうか(ハンカチで涙を拭うポーズ)」

獣の巻き添えでそこら辺で気絶してる騎士達をユベコの対象に。
快く囮を引き受けてくれる彼等に敬礼。
その雄姿は3章が終わるまで忘れない、シナリオの面白さはずっと忘れない。

完凸「ふむ、残りも減ってきたであるな」
1凸「あと餌になりそうなものであるか……」
(見つめ合う完凸&1凸。おもむろにステッキで完凸を殴り飛ばす1凸)

1凸「リチャーードーー!!」(慟哭)


ティアー・ロード
【コンプラ重視悪巧み】
「ケダモノめ……ッ!
この島は、この島の乙女は全て
この私、ロード・ティアーが守る!」
真の姿へと変化して迎え撃とう!
ここから先はヒーロータイムだ!

『使用:ジャスティスペイン』
チェイスが囮になってくれるが(……チェイスはなぜ増えてるんだ?)
そっぽ向かれても困るし、島へ被害を出させる訳にもいかない
私も攻撃を加え注意を引こう!
ちょっとした攻撃では意味がない、この身を矢とした全力のキックや
ブレーンバスターを仕掛けるよ!
「真・ジャスティス捨て身キィィッッック!」

『誘導』
決定打の為に誘導するよ
目に向かってサマーソルトキックしたりなど
ジョンの指示にも対応するね
「気軽に無茶を言ってくれる!」



●悪巧み、新天地にて大暴れ(もうすでに暴れている)
「ひゃー、無茶するねぇ。よっぽどキミが欲しいみたいだ」
 暴れるセラフィムビーストを見上げ、ジョン・ブラウンは冗談めかした。
 少女はラシッド少年の手をぎゅっと握りしめ、震えているばかり。
「なんとなくこの世界がどんな雰囲気かわかってきましたけど、帝国っていうのはろくなところじゃないんですね……」
 ようやく戦闘準備を整えた詩蒲・リクロウが、やれやれと嘆息する。
「なんてことだ……あれヤギ肉鶏肉犬肉のどの味がするでごわすか!?」
「「それはもちろん、鹿とは比べ物にならぬ下劣な味である」」
「いやいや君たち、気にするポイント違うしこだわるところも違うからね」
 完全に食い意地しか張ってない畜生こと曾場八野・熊五郎と、
 なぜか分裂したままのリチャード・チェイスと、それにツッコミを入れるティアー・ロード。
「……ん? チェイスはなんで増えてるんだ……? 意味不明じゃない?」
「意味不明な鹿とは失敬であるな、なあ1凸リチャードよ」
「うむ。こんなにも単純明快であるというのに。完凸リチャードよ」
「ややこしい! ややこしすぎますよリチャードさん! なんとかならないんですか!?」
「そんなことより味が気になるでごわす! あっ牛肉も大歓迎でごわす」
「ほらね、こいつらは全然怖がってないよ。だからキミも怖がらなくて大丈夫」
 相変わらずの仲間たちを指差して、ジョンは少女に笑いかけた。
「制御不能の獣が何するものぞってね。ウチは意味不明の鹿だもん」
「……たしかに、なんだか見てると色々どうでもよくなるっていうか……」
「いやそれはそれでよくないと思うんだけど……」
 悪巧みのノリに染まりかけた少女を、ラシッドが慌てて引っ張り戻した。
 このままではシリアスとギャグの境界線が破壊されて大変なことになる。
 こいつらがいる時点で色々ぶっ壊れてる気がするが、まあそこはそれ。

「とにかく、ここは5人で連携してあの獣を倒しましょう」
 と、比較的まともな方のシャーマンズゴーストが音頭を取った。
「リチャードさんが注意を惹きつけ」
「「うむ」」
「ジョンさん、ティアーさんは削りつつ誘導!」
「オーケー」
「任せておきたまえ!」
「そして熊五郎さんと僕で叩きます!」
「害虫駆除の要領でごわすな。群れで追い込んで足止めてドカンでごわ」
「そんな感じです、では行きますよ!」
「いい作戦である。見よ、ここに集いし鹿たちも同意を表明している」
「私たちはなんと心強い味方を得たのであろうか(ハンカチで涙を拭うポーズ)」
「ってなんでもう増えてるんですか!? 早いですよ早い! いいから行きますよ!!」
((……あれ、大丈夫なのかな))
 少年と少女はぽかんとして見送るほかなかった。

 とまあ新世界でもいつものノリの5人だが、敵が付き合ってくれるかと言うと話は別。
 セラフィムビーストは怒りの雄叫びをあげる。そのパワーは洒落ではない!
「ふむ、そこにいる傷ついた騎士たちが手伝ってくれるようである」
「快く囮を引き受けてくれるとは、見上げた騎士道精神であるな。敬礼である」
 ダブルリチャードは、蹴散らされた騎士たちを鹿(シャーマンズゴースト)に変えてしまった。
 大量の鹿(シャーマンズゴースト)がまとわりつく。獣、激おこ!
「グルゥオオオオオッ!!」
「獣くんも喜んでいるようであるな、1凸よ」
「まるでどろんこ遊びをする子どものようであるな、完凸よ」
 爪を振り回して怒り狂っているようにしか見えない。どうなっているんだこいつの認識力は。
「だからなぜ増えてるんだチェイスは……まあいい、ここは私も参戦だ!」
 ティアーは真の姿へと変身した!
「この島は、この島の乙女はすべてこの私、ロード・ティアーが守るッ!」
 空中でポーズを取り、錐揉み回転しながら全力キックを叩き込んだ!
「真・ジャスティス捨て身キィイイイイック!!」
「グオオオッ!?」
 これは強烈! 鹿(シャーマンズゴースト)に気を取られていたセラフィムビーストは、巨体をくの字に折り曲げて吹き飛ぶ。
 ティアーはその隙を逃さず角を掴むと、空中でブレーンバスターを仕掛けた!
 え? 投げ技なら地面に当てないとダメージがないんじゃないかって?
 大丈夫! 空中に当たり判定(???)が存在するのでノーダメージなんだ!
「ステンバーイ……ステンバーイ……」
 一方その頃、襲撃予定地点にはなぜか空中に草むらがPOPし、熊五郎とリクロウは迷彩カラーでその中に溶け込んでいた。
 熊五郎は簡易ギリースーツを身にまとっている。ギリースーツについてるの草じゃなくてスシとかお弁当に入ってるバランだけど。
「あっちは苦戦しているみたいですね、上手くいくといいんですが……」
「豚肉味も悪くないでごわ(ストレッチしながら)」
「マジで味のことしか考えてませんね熊五郎さん、やる気ならまあいいですけど……」
 野性味たっぷり(限りなくポジティブに捉えた表現)な熊五郎に悪れるリクロウ。
 ちょうどその時、ティアーの妨害にジョンが加勢し、様々な障害物を作り出すことでセラフィムビーストの動きを妨害しようとしていた。
「ウィスパー、演算開始! 早くしないと備品壊しちゃうよあのワンちゃん!」
 KRAAAASH!! ドッグランめいた複雑な地形は獣の膂力で破壊される!
「これは一筋縄ではいかないね……というか巨大化してないかいあれ」
 ティアーの指摘通り、セラフィムビーストはぐんぐん巨大化している。
 身体から羽が生え、危険なオーラが噴き出し、眼光がぐつぐつ煮えるようにぎらついていた。
「グォオウウッ!!」
 SMASH!! 爪の一薙ぎが、纏わりつく鹿(シャーマンズゴースト)を吹き飛ばす!
「ふむ、残りも減ってきたであるな……」
「リチャード! 餌あとどれくらい残ってる!?」
「あと餌になりそうなものであるか……」
 ダブルリチャード、お互いをじっと見つめる。しばし沈黙が流れた。
「……いやいや、さすがに同じ自分を餌にするのは」
「フンッ!」
「グワーッ!?」
 完凸リチャードをステッキで殴り飛ばす1凸!
 完凸リチャードはセラフィムビーストの口の中へ吸い込まれていった!
「リチャーーーーードーーーー!!」
「いや今自分で殴り飛ばしたよね!?(ティアー)」
「おのれザエルの獣……許さんのである!!」
「すごいよ今の流れで不慮の事故みたいな扱いにしようとしてるよ!
 まあ誘導できそうだからいいけどさ……ティアー、5秒後に一瞬だけ右側の視界を遮る!」
「了解!」
 茶番以下の惨劇はさておき、ジョンとティアーは息を合わせた……!

「ステンバーイ……今だ! ゴーゴーゴー!」
 セラフィムビーストがふたりの連携で吹き飛ばされた瞬間、熊五郎は立ち上がった。
「ようやく出番ですね! 今です、グラウンドクラッシャー!!」
 リクロウは猛突進を仕掛け、セラフィムビーストの肉体に武器を叩きつけた!
「グルルル……!」
「……! な、なんて強靭な身体なんだ、攻撃が全然通らない!?」
 だが、ALAS! セラフィムビーストの筋肉はまるで鋼めいている。
 不意打ちのグラウンドクラッシャーでさえ、その攻撃は通らない!
「熊五郎さん、すみません! 残りいけ」
「どっせぇーい!!」
「グワーッ!?」
 熊五郎、さっそうとジャンプ! そしてリクロウを踏み台にした!
「なんで僕を踏み台に」
「どっせぇーい! どっせぇーい!! どっせぇーい!!!」
「いやちょ僕の上で連続ジャンプしないでください痛い痛い痛い痛い痛い!!」
 なぜかリクロウを踏みまくる熊五郎。別に1UPはしない。
「ちょっとトリニクー、ちゃんと息の根止めないと! ダメで! ごわす!」
「いやそこはすいませんけどだからって踏まないでください痛い痛い痛い!」
「む! しかしあの傷、使えるかもしれないでごわす……!」
 リクロウのグラウンドクラッシャーは、完全に無効化されたわけではなかった。
 わずかな傷に気付いた熊五郎は、真の姿に変身すると連続ジャンプで強化された脚力を使い大ジャンプし、ドリルめいて回転しセラフィムビーストに突撃!
「痒いでごんす痒いでごんす!! うおおおおお!!」
 ズガガガガガガガ!! 熊五郎の野生の力がセラフィムビーストの肉を抉った!
「グオオオオオッ!?」
「や、やりましたね熊五郎さん! 僕を踏みつけたのもこのために!?」
「いやそれは無関係でごわ」
「ぶっ飛ばしていいですかね!!!!!!」
「……うーん犬の餌よりまずいでごわ」
「話聞いてもらえますか!!!!!!」
 リクロウ、ただただ痛めつけられただけだった。かわいそう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黎・嶺依
【黒幇】
連中の動きが変わったかと思えば、なるほど、手に負えぬほどの狂獣を差し向けてきおったか…

者共、このままでは村に被害が出る
妾の仙力を貸し与えるゆえ、かの獣を空の上へと引きずり上げよ!

骸燐、雨龍、昊天の三人に仙力を供給しながら、押し引きと連携の指揮を取る
骸燐は突っ込みすぎるきらいがある上に、昊天は他の者と功を過剰に競いがちじゃ
雨龍はともかくとして、このふたりには目を光らせねばなるまいて

汝の飛ほどに、みながみな従順であれば…
一体どこで教育を間違えたやら…。これも反抗期かのう…


黎・霞月
【黒幇】

うわ、……え、莫迦では?はァ?
改造しといて、制御すら出来なくなってンの?
自分たちで作ったもんくらい制御出来るようにしろよこのド三流!制御も出来ねェもんは作ったって言わねェんだよ!

あーー…………まァ良いけどさァ、どうせ全部倒すンだしィ……
たっく、良いよ分かりましたよ戦闘要員に混ざりますよォ……あー、やだ向いてねェ……

おいでェ、飛
うん、你は素直で可愛いねェ
瞬や宴とは大違い
はいはい、行ってらっしゃァい
あンな制御不能の出来損ないより、我の飛の方が強い

……あ?我ェ?
嶺小姐と自分に結界張って大人しくしてるよォ
どーせ、飛ぶ速度上がったって身体能力も動体視力も追っつかねェもん


尸・骸燐
【黒弊】
おー、何か凄いいい感じのが出てきたね。
食べたら美味しくなさそうだけど、たくさん殴っても元気そうだね

老大(嶺依)から仙力をもらいながら頑張って殴るよ
基本的に【宿星天剣戟】で飛びながら青竜刀を何度も叩き込んでいくよ
危ないもんね、なるべくあいつより上に位置取りをして、下へ攻撃を行かせないように注意するよ
もし下に行きそうだったら上から思いっきり叩き込んであげる
あ、老大の指示は頑張って聞くよ。


趙・昊天
【黒幇】
困ったもんだねぇ、こんな獣を解き放っちまうなんてさ

公主の力で空を滑空し、十二支獣使令法の馬を再び召喚
もうちょいと遊んでいきな
まだはしゃぎたりねぇだろう?
俺も馬と共に突撃し、闘気を周囲に張り巡らせながら闘ってみせるっての

公主、俺のことそんなに信じてねぇの?
一番の功績立てるのは俺だっての
それは信じなって――!!


梁・雨龍
【黒弊】
ほう、どうやら向こうもなりふり構わなくなってきたようだ
はっはっは、あのような猛獣一匹に振り回されるとはなかなか滑稽な絵だね

さて、公主殿の有難い仙力のおかげで空を飛ぶようにはなれたものの…空であの獣と対峙するのはなかなかこれまでにはなかった経験だ
ゆえに今回は事態を想定し、いくらか武器を拾っておくとしよう。
先ほど戦った敵兵の武器を数本奪い、骸燐殿の攻撃に合わせる形で武器を使った一撃を叩き込もう
悪いが下に落とすわけにはいかないのでね、我らとこの上で遊んでもらうよ、天の害獣よ



●天獣狂舞
「……はァ?」
 黎・霞月は、心底信じられないという顔で天を仰いだ。
 正確に言えば、青い空を蓋せんばかりの巨大なセラフィムビーストを。
「改造しといて制御すらできなくなってるとか、莫迦では?
 自分たちで作ったもんくらい制御出来るようにしろよド三流どもがよォ!」
「あーあ、霞月が怒ってる~。技術者としてのコケン? に触れたのかな~」
「困ったもんだねぇ、あの獣もだけど、霞月ちゃんのこだわりもさぁ」
 ま、それが頼れるんだけどね、とひとりごちる趙・昊天。
「たしかに、食べたら美味しくなさそうだよね。たくさん殴っても元気そうなのはいいことかな?」
 尸・骸燐は、相変わらず少々トんだことを言う。昊天は呆れた様子で肩をすくめた。
「いやいや、そういう話じゃなくて……まあ骸燐ちゃんにとってはそれでいいのかねぇ」
「霞月が呆れるのも無理はないよ。あんな猛獣一匹に振り回されてるようではね」
 と、梁・雨龍は呵々大笑した。
「それだけ向こうもなりふり構わなくなってきたのだろうが、滑稽な絵だ」
「とはいえ、それで島を沈められては、妾らの頑張りが徒労に終わってしまう。
 何より、何の罪もないこの島の人々が死に絶えるのは、妾の望むところではない」
 黎・嶺依は、持っていた地仙扇をぴしゃり、と閉じた。

「者ども、もう一仕事しておくれ。かの獣を空の上に釘付けにするのじゃ」
「え~……? あンな失敗作相手に戦うのヤなンだけどォ……」
 だが、霞月は気が向かない様子だ。
「霞月。汝はあの帝国とやらのずさんさが頭に来ているのじゃろう?」
「ン……まァねェ。制御できねェモンは「作った」とは言わねェしィ」
「ならば、本当の一流がなんたるかを、彼奴らに見せてやるべきではないかの?
 それができぬというなら、霞月よ、汝は口だけということになってしまうぞ」
「…………」
 嶺依の煽りに、霞月は憮然とした表情で唇を尖らせた。
 彼女の言いたいことはわかる……無精せずに一緒に戦え、というのだ。
 わざとらしい挑発もそのためだろう。たしかに沽券に関わる話ではあるが……。
「霞月ってこういうとき毎回嫌がるよねぇ、暴れるの楽しいのに」
「楽しみは人によるっての、覚えといたほうがいいよ骸燐ちゃん」
「え~? そういうもんなの? よくわかんないなあ、ギジュツシャって」
 昊天はくっくと喉を鳴らして笑った。
「まあ、そのぶん俺らが仕事すりゃいいだけだよねぇ」
「やる気になるのはいいが、ツッコミすぎるなよ。公主殿も目を光らせている」
「えぇ~? 公主ってばひどいなあ、俺のことそんなに信じてねぇの?」
「そういうところだと思うんだけどな……」
 昊天は他者と競う時、一番を目指してやりすぎるきらいがある。
 雨龍はそこを指摘したのだが、昊天はたいして気にしていないようだ。
 嘆息しつつ、雨龍は身構える。彼らの身体にはすでに仙力が満ちていた。
「ったく、いいよわかりましたよ、向いてねェンだけどなァ……」
 霞月が観念した様子で言うと、嶺依はうんうんと頷いて、表情を引き締める。
「さあ行け! あれなる獣に我らという存在を教えてやるのじゃ!」
 嶺依が扇で指し示せば、獣はかかってこいとばかりに咆哮した……!

 《ザエルの獣》の一手目は、天の輪を拡大しての隕石召喚。
 宇宙めいた亜空間に繋がった輪の内側から、燃え盛る隕石が次々に降り注ぐ。
「うわ、なんか降らせてきたよ! 危ないなあ!」
 などと呑気に言いつつ、骸燐は燃える隕石を飛び渡るという絶技を披露する。
 炎が彼女の身体を捉えるより先に蹴り渡るという、優れた武功があってこそだ。
 仮に燃えたところで彼女は僵尸、痛覚を感じることがあるかどうか。
「邪魔しないでよね、っと!」
 立ちはだかる大岩があれば、青竜刀でばっくりと真っ二つにしてしまう。
 そのあとに続くのは、十二支の馬獣にまたがる昊天である。
 残りの馬獣たちを先んじて突撃させ、隕石除けにしつつ機会を虎視眈々と伺っていた。
「まだはしゃぎたりねぇだろう? たっぷり暴れまわりなぁ!」
 馬たちは前足で隕石を踏み砕き、あるいは体当たりで直接押しのけ進む。
 鏃型に展開した獣の陣は崩しがたく、そのスピードを止められない!
「っと、あれを地上に落としては元の木阿弥かな……それっ!」
 雨龍は黒翼騎士からくすねたハルバードを、隕石めがけて投げつける。
 骸燐と昊天の突撃で逸らされた隕石は、斧槍に串刺しにされた瞬間に爆裂。
 飛散した破片も、燃え盛る己の熱量で大気圏突入めいて燃え尽きるだろう。
「公主殿は島を護れとのお達しだったからね。着弾させないように気をつけなよ、ふたりとも」
「わかってるって! それにもし私たちが仕損じても、霞月がいるじゃん?」
 骸燐がちらりと下方を見やると――なるほど、嶺依と霞月は結界の中。
 どうやら霞月は、いつものように使令を使わせて大人しくしているつもりらしい。
「おいでぇ、飛……うん、你は素直で可愛いねェ」
 雷光纏う虎の首元を撫でてやり、霞月はにこにこと飛を結界の外へ放った。
 すると飛は雄叫びとともに稲妻を放ち、落ちてくる隕石を次々に破砕させる。
「霞月よ、汝自身はどうするのじゃ」
「あ? 我ェ? どーせ飛ぶ速度上がったって追っつかないモンよォ。
 それよか、あンな制御不能の出来損ないと、我の飛の違いってのを見せてやンねェとな?」
「……まあ、働いてくれるならそれでもよいが」
 嶺依は嘆息した。本当に、どいつもこいつも自分勝手に育ったものだ。
「骸燐よ、突っ込みすぎるでないぞ! ふたりと連携するのじゃ!」
「わかってるわかってる~、でもついてこれないなら仕方ないよね~」
「……言うじゃないのぉ。俺に喧嘩売ってんのかねぇ?」
「昊天、売り言葉に買い言葉はやめよ! 汝こそ周りを見て動け!」
「安心しなよ公主、一番の功績立てるのは俺なんだからさぁ!!」
 案の定、骸燐と昊天は競うように突っ込み、セラフィムビーストと交戦に入った。
 連携も何もあったものではない……嶺依は額に手を当てて嘆息する。
「汝の飛ほとに、みながみな従順であればのう……」
「アッハ、大変だねェ小姐も」
「汝も大概だと言っとるんじゃが!?!?」
 霞月はけろっとした顔で笑っていた。図太いヤツである。

 とまあそれはさておき、セラフィムビーストは隕石の雨を降らせながら、邪悪な獣の印を刻み込む爪と角を振るい、三人の武侠を迎え撃った。
 ぶおん、と大腕を振るえば大気がかき混ぜられ、空中の三人をミキサーじみた暴風が襲う。巻き込まれないように飛ぶだけでも至難の業!
「グオオオオッ!!」
「よほど下に降りたくて仕方ないようだね。けど、そうはいかない」
 そんな嵐じみた暴風の中でも、雨龍は涼しい顔で笑っていた。
「我らとこの上で遊んでもらうよ、天の害獣よ。その動きもだんだんわかってきた!」
 獣の膂力はたしかに強大だが、やはりその動きは単純で御しやすい。
 問題は、どう来るか分かっていてもあまりにスピードが疾すぎること。
 並の戦士では、先読みしていたとしても実際の攻撃速度に追いつけまい。
 その猛攻を軽々と躱し、カウンターを叩き込む雨龍の立ち回りは達人の域だ。
「骸燐殿、攻撃は合わせるよ」
「はいはーい、上から行くよぉ!」
 骸燐は隕石を蹴りつけてくるくると回転しながら加速、獣の直上へ。
 そして回転に自重を載せ、鞭を叩きつけるように青竜刀を脳天へ!
「あらよっとぉ!」
「グォオオウッ!?」
 鋼鉄じみた獣の額が割れ、血が吹き出す。まさしく槌のような一撃だ。
 敵がダメージでふらついた瞬間、雨龍は新たな斧槍を手裏剣のように投擲。
 きりもみ回転する斧槍がセラフィムビーストの脇腹に突き刺さり、傷を抉った!
「いいとこは持っていかせてもらうよぉ、公主が見てるんでね……!!」
 そこへ昊天。見れば、いつのまにか馬たちも獣を取り囲んでいる。
 みなぎる闘気を戟めいた形に収束させ、弾丸のような速度で突撃し追い打ちの一撃!
「オオオオオオ……!!」
 続けざまの飛の電撃がセラフィムビーストに炸裂すると、その巨体を中心に蜘蛛の巣めいて稲妻が広がった。
 散乱した稲妻は隕石を召喚する天の輪に絡みつき、輪を破壊してしまう!
「どうだい? 俺の攻撃が一番効いてるよねぇ、あれは」
「いやいや、僕の一撃が効いたんだって」
「何言ってんのさ、私のが一番強いに決まってんじゃん!」
「汝ら、くだらないことで言い争いしてないで真面目に戦わんか!」
「そォそォ、我の飛が一番強いモンねェ」
「そういう話ではなくだな……はぁ~、本当にもう……」
 この状況、親の心子知らず……とでもいうべきだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

は、島ぶち壊そォってか?
太ェノラ猫だクソッタレが。

オウ やるぞフェルト
お前ならアレ止めるくらい訳ねェよな。

――テメェはやっちゃならねェ事をした
何かわかるか糞ッタレ
一つ 島が仮にもブチ壊れるとフェルトが泣く。重罪だ。

そンでそれ以上に―――

折角アイツが作った砦クソ猫如きが台無しにしよォとしてンじゃねェぞ あァ゛?!!!!
(使うは【マテリアル】、蜘蛛もその砦も無機質故に発動要綱範疇。
 フェルトが築いた城塞を素材とした砦人形を起動させ)

いいぞフェルトドンピシャだ――
死ねやボケカスが!!!!!
(ブチキレつつブン殴る。発動解除すれば砦は元通り。その辺の対応もバッチリだ)

……はァ スッキリしたわ


フェルト・フィルファーデン
◆ケンと
あの女の子を奪えれば後は全てどうでもいいと……気に入らないわね。
ええ、もちろんよケン。あなたと一緒なら、何の問題も無いわ!!

……えっ!?
(わたしそんなに泣き虫じゃないつもりよ!?とか、クリエイターとして気持ちはわかるけれど砦はそういうものだしそこまで気にしなくても……なんて、今言うのは野暮かしらね。
それに、悪い気はしないしね!)

……ふふ、ありがとう、ケン。そういうところも大好きよ!
だったらわたしは、あなたのサポートに徹しましょうか!

電子の蝶が見せるわたし達の幻影で敵を空へ誘導。見境のない獣なら簡単に引っかかるでしょうね。
そのままケンの砦人形の射程距離へ。
さあ、決めちゃって、ケン!!



●そびえ立つは魂なきもの
 ズズン――!!
「グオオオオッ!!」
 地へと降りたセラフィムビーストは、村人たちを殺そうと避難所に向かった。
 その前にそびえ立つのは、フェルト・フィルファーデンが蜘蛛糸で作り上げた簡易式の砦である。
「させるかオラァ!!」
 そこへ横合いからインタラプトを仕掛ける、ケンタッキー・マクドナルドの人形!
「グオオッ!?」
 予想外の方向から予想外の勢いの突撃を受け、セラフィムビーストはごろごろと地面を転がった。
 すぐに体勢を立て直し、ケンタッキーとフェルトをぐるぐると威嚇する。
「ケッ、島も砦も壊させるかよこのクソッタレのノラ猫が。立場弁えやがれ」
「あの女の子を奪えればすべてどうでもいいだなんて、気に入らないわ。
 それにしてもケン、あの獣は巨大よ? 一体どうやって対抗するの?」
 フェルトの言葉に、ケンタッキーはにやりと不敵な笑みを浮かべた。
「どうやるだァ? 決まってンだろフェルト、お前と力を合わせンのさ」
「!」
「お前ならアレを止めるぐらいワケねェだろ。そこからは俺に任せろ」
 ケンタッキーの表情は、野卑ではあるがフェルトへの信頼に満ちていた。
 愛する男にそんなことを言われてしまったら、応えなければ女がすたる。
 フェルトは同じように不敵な微笑みを浮かべ、こくりと頷いた。
「ええ、もちろんよケン。あなたと一緒なら、何の問題もないわ!」
 フェルトは電子の蝶を召喚し、セラフィムビーストへけしかけた。

 電子の蝶の群れがセラフィムビーストを覆い隠し、内側に幻を投影する。
 それは、逃げ惑う白金の乙女――つまり、あの少女の幻影だ。
「グルァアアッ!!」
 セラフィムビーストは涎を垂らし、幻の少女を追いかけて空へ飛ぶ。
 怒り狂った獣には、フェルトの精巧な幻が覿面に効いた。
「これで地上からは引き剥がせたわ、ケン!」
「おう! テメェはやっちゃならねェことをしたってのを教えてやらァ!!」
 ケンタッキーが砦に手をかざすと、砦はバラバラになって崩れ去った。
 より正確に言うと、質量はそのままに人形部品に変じたのである。
「テメェがやっちまったことは、ふたつある」
 ケンタッキーは、幻に囚われているセラフィムビーストを睨めつけた。
「ひとつ、島が仮にもブチ壊れるとフェルトが泣く! 重罪だ」
「……えっ!?」
 わたしそんなに泣き虫じゃないつもりよ!? と、フェルトは反論したかった。
 が、ケンタッキーが怒ってくれているのは、それはそれで嬉しいお年頃だ。
「ふたつ! テメェは――アイツが折角作った砦をブチ壊そうとしやがった!!」
(と、砦はそういうものだし、わたしはあまり気にしてないんだけど……)
「フェルトが許そうが俺が許さねェ! だからテメェはぶっ飛ばす!!!」
 ガシャガシャと、神の手の意思に従い、巨大な砦人形が起動した。
 セラフィムビーストよりも巨大な人形に乗り込み、ケンタッキーは鋼の拳を握りしめる!
「死ねや、ボケカスがァ!!!!」
 SMAAAAAASH!! ケンタッキーの怒りを載せた鋼の拳が、獣に炸裂!
「グゥオオオウッ!?」
「まだまだだ! 行くぞオラァアア!!」
 左拳! 右拳! 左拳! 右拳!
 防御も回避も許さぬ、怒りのラッシュ! 轟音で大気が銅鑼のように揺らぐ!
「け、ケンったら、もう……」
 頭上で繰り広げられるのはあまりにもバイオレンスな光景なのだが、
 フェルトはそんなことなどお構いなし、照れて顔を赤くしていた。
 ケンタッキーの怒りは想いの裏返し。彼女への愛を証明しているようなもの。
 乙女としてはとても喜ばしかった。まあやってることが暴力的すぎるんだけども。
「まだまだ行くぞコラァ!! 俺様の怒りを味わいやがれェ!!」
 獣が悲鳴を上げても、ケンタッキーの怒りのラッシュは終わらなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベル・プリンシパル
なんておっきな魔獣…!
あんなのを暴れさせて、村どころか島がどうなってもお構い無しなんだ…
けど、そんなこと絶対にさせないよ!

自分の翼を広げて飛翔、島へ被害が及ばないように空中戦を仕掛けるよ
魔力の矢の乱れ撃ちを浴びせて、こっちを狙ってくれるまで気を引く!
上手く誘導して、ゲイルブーツの風の魔力を使った高速機動で撹乱しながら、バインドダートを撃ち込んでいくよ
あれだけの巨体を一発で封じ切れるとは思えないから、限界突破するまで魔力を高めた矢を何度も何度も撃ち込んで、封じる効果を重ねて空中に磔にする!
大きくなるだけじゃなくて隕石まで降らしてくるんだ、島を守るために動きもユーベルコードも止めてみせるよ!


ルビィ・フォルティス
分別というものがありませんの?
品がありませんわね。

島を破壊されるわけにはいきませんわ。引き付けましてよ。

熾天の剣姫を使用、三対六翼を生やした姿に変身し、上空へと飛びあがる
アドウェルサを振るうことで生み出すかまいたちにより、上空からセラフィムビーストを攻撃しこちらに目を向けさせる
下ばかり見ていて、首が落ちても知りませんことよ。

敵がこちらに向かって来たなら空中で戦闘
一撃も当たらなければ獣化の烙印も恐れることはない
最大で475km/hに達する速度と持ち前の剣技で敵の攻撃を避けつつ着実に攻撃を加えていく

ザエルの獣だかなんだか知りませんけれど……獣なんかに、わたくしは遅れはとりませんことよ。


ミレア・ソリティス
作戦情報を更新。推力移動で一定距離を維持しつつ、
ジャミングミサイル及びランチャーでの閃光弾を敵頭部付近へ撃ち込み牽制、味方支援を行います

敵がUCを使うならば、こちらも奥の手を。
『ノヴァ・バスター』転送、エクステンドモードへ変形、システム最適化、
『ヴィントシュティレ』転送、ユニット展開・結合を開始
全射撃管制を本体へとリンク

…全行程完了しました。
【FR-06 Ex ノヴァ・ブレイカー】発射体勢へ移行

最大出力でマイクロブラックホール弾頭(重力・闇属性+継続ダメージ+体勢を崩す+捕縛)を発射、
敵UCの天輪をそれが生じる隕石ごと、
拡散される前に超重力場に巻き込み圧壊・消滅させます。

※アドリブ連携歓迎です


ヴィクトリア・ノウェム
敵は大物ですけど、心配しなくていいです
あの大きさならきっと素材もたくさん取れるです
慰謝料代わりに貰っちゃえばいいです

その為にもまずは村から引き剥がす、です
行くですよ、エル・セプス
外装形態に変形、ケルベロスファングを打ち込み《捕縛》、
そのまま《怪力》で村の外、もしくは空に《ぶん回し》て投げ……

む。大きくなって抵抗するです?
なら、こっちも遠慮なしです。起きるです。ケルベロスファング。
UCで食いこんでるフック部分を機械の魔獣の顎に変形、噛みつかせて余計なエネルギーは奪ってしまう、です
それでも抵抗するならA.F.C.をどんどん撃ち込んで怯ませて
そのままぶん投げる!……です

※アドリブ連携歓迎、です


シュタルク・ゴットフリート
今を生きる人々の命も礎も顧みぬ、相も変わらぬ悪辣極まりなき遣り方だな…!
この獣も、貴様らの企みも、全て打ち砕いてくれる!

【推力移動】にて飛翔しつつ交戦。
フォイヤ・ヴェスペを獣へ撃ち込み、意識を惹ければそのまま高度を上げ、可能な限りの高空で戦うとしよう。
敵はその破滅的な力を最大限に振るってくるだろうから、地上へ近づかせぬことを第一義とする。

敵の間合い一歩外を飛翔しつつ、フォイヤ・ヴェスペの【誘導弾】にリヒト・ランツェのビーム(【貫通攻撃】)を交えダメージを与えてゆく。
敵が大振りの攻撃を仕掛けてきたらその懐へ飛び込み、爆砕鉄拳を胸元へ叩き込んでくれよう。
「過去へと、還れ…!」



●獣と踊れ
「グゥルルル……フシュルルルル……!!」
 めき、めりめりめり……と音を立てて、セラフィムビーストの身体が変異する。
 骨がきしみ、肉を裂いて羽根が芽生え、全身がどくんどくんと脈動していた。
「今を生きる人々の命も礎も省みぬ、あいも変わらぬ悪辣極まりなきやり方……!
 この上なお巨大化し島を沈めるつもりなのだろうが、そうはさせんぞ帝国め!!」
 シュタルク・ゴットフリートは兜の下で目をぎらりと輝かせ、『シュトゥルム・ラケーテン』を最大噴射。
 己を弾丸と変え、全力のロケット突撃を仕掛ける……が、しかし!
「グゥオオオオオッ!!」
「ぬうっ!?」
 滅びの獣と化したセラフィムビーストは、シュタルク必殺の突撃を強靭な肉体で跳ね返してしまった!
 そして八枚の翼を広げ、空域全体に轟くほどのすさまじい雄叫びを上げる!
「クッ、力技では敵わぬか……!」
「作戦情報を更新。敵個体を空中に釘付けにし、島への被害を最小限に防ぎます。
 友軍は後退してください。全ジャミングミサイル装填完了――発射します」
 入れ替わりにミレア・ソリティスが前に出て、獣の頭部にミサイルランチャーを叩き込んだ。
 ドウドウドウドウ……! ジャミングミサイルが爆砕すると同時に強烈な妨害エネルギーがセラフィムビーストを包み込み、意識をこちらに集中させる。
「グルルルル……!」
「敵性体の認識がこちらに移ったのを確認しました。空中戦へ移行します」
「あの大きさならきっと素材もたくさん取れるです。慰謝料代わりにもらう、です」
 ミレアは戦闘機形態へ変形、空高く飛翔しセラフィムビーストの囮となる。
 その後に続いて外装形態に変形した可変飛空艇『エル・セプス』を纏うヴィクトリア・ノウェムが追従し、牽制の魔導砲を撃ち込んで敵を挑発する。
 さらに『ケルベロスファング』を打ち込み強引に引き上げようとするが、強化されたセラフィムビーストの膂力はフックショットを拒絶した。
「む、大きくなったせいか小癪です。でも、それならそれでやり方はあるです」
 起きるです、ケルベロスファング――と、ヴィクトリアが唱えると。
 フック部分がめきめきと音を立てて機械の魔獣の顎めいた形に変貌した!
「その有り余ってる余計なエネルギーは、奪ってしまう、です」
 再び射出されるフックショット……セラフィムビーストは尾で弾き返そうとするが、強靭なる魔獣の顎は牙を剥き、さながら冥府の三頭獣そのままにがぶりと肉に噛み付いた!
「グオオオッ!?」
「いつまでも抵抗するな、です。素材をよこせ、です……!」
 ギギ、ギギギギ……と綱引き状態に陥るヴィクトリアとセラフィムビースト。
 セラフィムビーストの巨体が、徐々に地面から浮き上がる。凄まじい出力だ!

「よし、あいつの足が地面から離れた! 支援しよう、ルビィ!」
「わかっていますわ。獣なんかに遅れを取りはしませんわよ!」
 ベル・プリンシパルは魔力の矢を束ね、セラフィムビーストの全身に乱れ撃ちを浴びせた。
 ルビィ・フォルティスはユーベルコード『熾天の剣姫』を発動し、三対六枚の純白の翼を生やした姿へと変身。
 長剣『アドウェルサ』に烈風をまとわせ、セラフィムビーストの巨体の下を滑るように飛翔、竜巻を起こしてその巨体を空へと押し上げる!
「まったく、ザエル帝国とやらには分別も品もありませんわ。さあ飛びなさい!
 あなたなんかにこの島を沈めさせるわけにはいきませんのよ!」
 時速500km/h近い速度で飛翔するルビィの斬撃は、ケルベロスファングで戒められたセラフィムビーストでは捉えられない。
 しかもジャミングミサイルのダメージが大きく、うまく狙いを定めることができないのだ。
「グォッ、ウオオオオ……ッ!!」
「動きが鈍いぞ、ザエルの獣よ! 先程は遅れを取ったが二度は繰り返さぬ!」
 シュタルクが拳を握りしめると、熱エネルギーがその拳に集まっていった。
 鋼の甲冑が赤熱し、人間には到底耐えられないエネルギーが拳に集まる。
 しかし、シュタルクならば耐えられる――彼はすでに死人だからだ!
「我が拳を以て、その身を帝国の企みごと打ち砕く! 受けよこの一撃ッ!!」
 ドウ! シュトゥルム・ラケーテン再点火!
 ケルベロスファングとジャミングミサイル、そして風の斬撃で鈍った獣の攻撃を掻い潜り、シュタルクはセラフィムビーストの顎下へと到達!
「――オオッ!!」
 そして赤熱した拳によるアッパーカットだ! KRAAAAASH!!
「うわ……!」
 ベルは弓矢を手放しかけた。それほどの爆発が空を染め上げた。
 片腕を吹き飛ばすほどの超絶的破壊力を受けたセラフィムビーストは、空中に「打ち上げられた」!
「派手な攻撃ですわね、これで楽になりましたわ!」
「このままケルベロスファングでがんじがらめにしてやる、です」
「よし、今ならいける……大人しくしてもらうよ、バインドダートッ!」
 空中高く打ち上げられたセラフィムビーストの巨体に、強靭なフックショットのワイヤーがぐるぐると絡みついた。
 そこへベルが魔力の矢を放つ。拘束術式を埋め込んだ特製の鏃だ。
 鏃は無数に分裂してセラフィムビーストの全身を貫き、空中の空間そのものに根を張って獣を文字通り縫い止めた!
「グォオオウッ!! ガルルルル……!!」
 だが、獣も伊達ではない。肉体が引きちぎれるのを厭わず無理矢理に魔力杭から抜け出そうとする。
「一発で封じられるとは思ってないさ、何発だって撃ち込んでやる……!」
 ベルは新たな魔力の矢を装填し、諦めることなくセラフィムビーストに何発も叩き込んだ。
 ケルベロスファングの牙がさらに食い込み、加えてシュタルクとヴィクトリアの同時砲撃が獣の抵抗を阻害する。
「おとなしくしてろ! ……です、素材をはぎ取れない、です」
「過去へと還れ、獣よ……!」
「オオオオオ……ガァアアアッ!!」
 獣の咆哮――見よ、頭上に出現した巨大な光輪を!
 輪の内側は宇宙めいた虚空に繋がっており、そこから燃える隕石が飛来する!
「い、隕石!? あんなのが落ちてきたら島はめちゃくちゃだよ!」
 ベルは矢をつがえつつ叫んだ。彼の魔力矢では隕石までは撃ち落とせない。
「すべて切り捨てれば済む話ですわ!」
 ルビィは流星のように飛翔し、次から次へと隕石を切って捨てる。
 だが、あまりにも数が多い。根源をどうにかしなければ……!

「……ノヴァ・バスター転送、エクステンドモードへ変形、システム最適化」
 ミレアの躯体が変形し、次元転送された大型ランチャーおよび外装サブユニットへ変形。
 ガシャン、ガシャン! と、ウォーマシンは一機の巨大砲台へと変貌する。
「全射撃管制、リンク……FR-06 EX N◎VA・ブレイカー、発射体制へ移行します。
 エネルギー充填にいくらか時間がかかります。援護をお願いします」
「仕方ない、です。やれるだけやってやる、です!」
「なんとしてでも、この島は守り抜く!」
 シュタルクとヴィクトリアは砲口を隕石群に切り替え、ミレアめがけて落下してくる隕石を次々に撃ち落とした。
 ノヴァ・バスターの砲口に、漆黒のエネルギーが集中する!
「グオオオオオ!!」
「絶対に自由にさせないぞ……!」
 その隙に脱出しようとするセラフィムビーストの肉体は、ベルが全力で抑制。
 その時光輪ゲートから巨大な隕石が出現、A.F.Cおよびフォイヤ・ヴェスペの砲撃もものともせず飛来する!
「たとえ星の飛礫であろうとも……わたくしの道は、阻めませんわッ!」
 ルビィの秘剣が煌めいた! 巨大隕石は8分割され破砕!
「……最大出力、チャージ完了。マイクロブラックホール弾頭、発射します……!」
 ドウン――!!
 ミレアの放った弾頭がゲート内で炸裂し、超重力場を発生、残存隕石を吸引。
 光輪を内側からめきめきと圧潰させ、そしてついには跡形もなく消し去る!
「砲塔、冷却開始……これでもう隕石は降らせられないでしょう」
「上出来ですわ。ならば手間を掛けさせられた報いを味わわせましょう!」
「肉も骨もしっかり剥ぎ取ってやる、です」
「人々を苦しめ恐怖させた代償を支払ってもらうまで……!」
 ベルの矢に射抜かれ身動き取れぬ獣に、三人の攻撃が叩き込まれた。
 巨体をも穿つ猟兵たちの猛攻に、《ザエルの獣》は苦痛の絶叫をあげる……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーシア・ロクス
3P『……いい加減目を覚ましてください!(メガネが光る)』
わひゃっ!?まぶしっ!!
2P『目がー!目がー!!』

3P『落ち着きましたか?大物が出てきました。このままじゃ村どころか島も怪しいものです』
2P『そんなBADEND御免被る!』
3P『なので……わたし達(2P・3P)が陽動し相手の気を引きます。その間にわたし(1P)は何とか近づいて…』

格闘ゲームに繋いで『カギ』を手甲型に変更、そのままUCの「相手を無防備に宙に浮かせるコンボ始動技」を決めて無理やり浮かせドーン!ですね!

2P『わたしも秘蔵の特製プラモファイター『アルミィ先生』を遊撃に出すっす。しくじんなっすよ!わたし!』

※アドリブ連携歓迎です


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
まったく、制御できない獣なんて使うんじゃないよ。
まあ言っても仕方ない、どうにかするとしようか。

さて、向こうが大きくなるならこっちも【如意伸躯】で巨大化するとして、
地上で暴れたら島に被害が出そうだし、翼を出して空中戦にしようか。

羽ばたきの衝撃波と竜の肺腑を使った暴風のブレスで攻撃して注意を引いて、
地上を巻き込まない上空でなるべく戦うようにするよ。
相手が近づいてきたら殴ったり足の爪で切り裂いたりして攻撃しようか。
手が届きそうなら翼の一枚でも掴んでへし折ってやりたいところだね。

お腹すいてるのか虫の居所が悪いのか知らないけど、
アンタに食わせる餌も遊ばせるオモチャもここにはないよ。


リゥ・ズゥ
騎士の次は、獣、か。先までのよりは、喰いでがある、な。
ザエルの獣。天使の力を宿した、魔獣。ちょうど、いい。リゥ・ズゥの糧に、してやろう。

不死身のカイブツを発動し、獣の天使核、及び八翼による空戦能力に対し適応進化して迎撃する。
禍々しい黒翼を生やし獣へ喰らいつき、噛み千切る。
獣が天使核のエネルギーを発揮する度、こちらも天使の力を喰らうべく適応し、進化する。
また、巨大化した体で攻撃を受け止め続け、島への被害も可能な限り食い止める。

天使核、とやら。極めて上質な、エネルギー源、だ。
それを、よこせ。リゥ・ズゥに、喰わせろ。
力を喰らい、リゥ・ズゥは、もっと、強く、深く、進化する。


秋由良・インテグラ
デカブツが出たわね。島一つ沈めてまで欲しい何かがあの子にあるのかしら……どのみち渡したら碌なことにならないのはわかったわ。

機動性はわかったし次は最高速チャレンジでもしようかしら。
ガトリングで敵をひきつけかく乱しつつ一気に上空へ上昇、ある程度まで上昇したら反転、【レッドウィング】を発動。可変翼を可動させ翼をたたみ急降下して獣相手に攻撃爪を展開したファルコンで突進する!

大人しく空の底に沈むか、解体されて次代の礎になりなさい。

※アドリブ連携歓迎


雪丸・鳳花
勇気ある少年と少女、そしてこの地に住まう民のためにこれ以上この島を壊させるわけにはいかない!

光るジェットブーツとUCを併用し、空中戦に徹しよう
歌唱とダンスで存在感をアピールして獣を引きつけ、島から少しでも遠ざけよう

敵の攻撃を第六感と見切りで回避を試みた直後、フェイントとUCによる高速移動で素早く近づき、乱反射させたビームと蹴りで攻撃だ
もし状態異常になっても激痛耐性で我慢だ
この島の受けた痛みに比べたら何でも無いさ

ボクの夢は役者として1人でも多くの人を笑顔にすることさ
でも、演劇の舞台だけじゃない
猟兵としても皆を笑顔に出来る存在になりたい
だから、誰かのためにボクは戦うんだ

アドリブ連携歓迎



●巨躯、空に君臨す
 空に君臨する巨体はひとつ――否、3つ!
「まったく、制御できない獣なんて使うんじゃないよ……手間がかかるだろうに」
 滅びの獣と化したセラフィムビーストと肩を並べるのは、ユーベルコード『如意伸躯(ヴァリアブル・フィジーク)』によって己の大きさを変化させたペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードだ。
「空中戦といこうじゃないか……さあ、あたしの方を見なッ!」
 大きく大きく息を吸ったペトニアロトゥシカは、ぼぉうっ!! とすさまじい風圧のブレスを吐き出した。
 竜の肺腑から放たれるブレスは、吐息というレベルではない、もはや暴風だ。
 セラフィムビーストは竜巻じみた暴風に呑まれ、空中でぐるんと上下反転!
「グオオオッ!?」
「先ほどのよりは、食いでがある、な。リゥ・ズゥの糧に、してやろう……!」
 さらにぬうっ、と巨大化したリゥ・ズゥが立ち上がり、セラフィムビーストの巨体を鷲掴みにした。
 そしてリゥはぐわっと大きく口を開け……セラフィムビーストの巨体に、噛み付いた!
 めきめきめりめりめり! とすさまじい音を立て、不浄な血が空中に吹き出す。
「グルァアアアッ!?」
 セラフィムビーストは痛みに悶え苦しむが、一度食らいついたリゥはそう簡単に獲物を逃しはしない。
 滅びの獣となることで生えた翼のうちの一枚を、めりめりと食いちぎり……強引に引き裂いた。
 無論、だからといって、《ザエルの獣》が地上におろしてもらえることはない。
「あーあ、痛そうだねえ。まあ、もっと痛い思いをしてもらうけどねぇ」
 真下で待ち構えていたペトニアロトゥシカの爪が、傷口にずぶずぶとめり込む。
 ペトニアロトゥシカは別の羽根を掴み、力任せにべきべきとへし折ってしまう……!

「いやー、まるで怪獣映画のようだね! これは一大スペクタクル映像だ!」
 3つの巨躯の激突を、地上からゆうゆうと眺める雪丸・鳳花。
 はっはっはと気楽そうに笑う彼女は、しかし戦うことを諦めてはいなかった。
「……だがどうやら、向こうもただしてやられるばかりではないようだね」
 然り――鳳花が見上げているのは、厳密に言えば3つの巨躯のさらに上方。
 セラフィムビーストが出現させた光輪と、その内側にわだかまる「闇」。
 まるで宇宙と繋がったような闇黒の中には、星のような光点がいくつも見える。
「まさか……隕石でも落とすつもりなんですか!?」
「おそらくそう……って、んん?」
 ユーシア・ロクスの言葉に振り返った鳳花は、はてなと首を傾げた。
 なぜなら、ユーシアの両隣には、ユーシアと同じ顔をした――しかしメガネをかけていたり外見は微妙に異なる――少女がふたり、立っているからだ。
「もしかして三つ子か何かかい?」
「え!? あ、えーと、うーんどうでしょう、説明すると話が長くなりますね!」
「まあそんなもんだと思ってもらえばいいっす! わたしもユーシアで」
「もちろん、わたしもユーシアです。分身のようなものですよ。
 と、快活そうなほうの少女と、メガネをかけた少女が言った。
 ……実は彼女らは、すべて「ユーシア・ロクス」という一体のバーチャルキャラクターから分離した、いわば2P・3Pの同一存在なのである。
 言うなれば、ユーベルコードの力で作り上げられた分身といったところ。
 細かいことを気にしない鳳花は「なるほど!」とあっさり納得し、再び空を見上げた。
「あの隕石をどうにかしないと、怪獣バトルどころではないだろうね!」
「だったらわたしたちで、あれを迎撃するっすよ! ね、わたしたち!」
「ええ、島に着弾してしまったら大変ですからね……!」
 ユーシア本体は手に持った砲塔を手甲に変え、がちゃりと装備。
 ふたりめのユーシアは……なにやら妙な女性型プラモデルを取り出した。
「わたし秘蔵のプラモファイター、アルミィ先生! 迎撃はお願いっす!」
「今回はわたしが火砲支援を行います……あなたも、ご武運を!」
 がしゃん、と巨大なアームドフォートめいた砲台を構える眼鏡のユーシア。
「ああ、任せておきたまえ! このボクの輝きで、降り注ぐ災厄など吹き飛ばしてしまうさ!」
 鳳花はジェットブーツを光らせ、さらに全身からピカーッ! と光を放った。
「「「うおっ、まぶし!!」」」
「はっはっは! さあ、ボクの後光にみんな酔いしれたまえ! はーっはっは!」
 実は鳳花はハイカラさんであり、光は他ならぬ彼女自身の後光である。
 全身に纏った超硬度精神感応結晶体が乱反射を起こし、光はビームとなって彼女を守るのだ。
「は、派手ですねあの人……とにかく、行きましょう!」
 ジェットブーツの力で舞い上がった鳳花を追って、ユーシアたちも飛翔する。
「グオオオオオオッ!!」
 光輪がさらに巨大化し、ついに燃え盛る隕石が虚空から落ちてきた!
「勇気ある少年と少女、そしてこの地に住まう罪なき民のためにも!
 これ以上、この島を壊させるわけにはいかないよ! このボクの目が黒いうちはね!」
 まるでスケート選手めいて、鳳花はぶつかり合う3つの巨躯の間を滑る。
 その身から放たれた光がビームとなり、燃え盛る隕石を次々に迎撃!
「てやぁーっ!!」
「アルミィ先生、頼むっすよー!」
 SMAAASH!! ユーシア(1P)の拳と、ユーシア(2P)の秘蔵ファイター、そしてユーシア(3P)の砲撃がさらに隕石を迎撃する!

「……天使核、とやらは、こんな、ことも出来る、のか……極めて上質、だ」
 それでもなお破壊できない隕石や粉砕された破片は、リゥがその巨体で自ら受け止める。
 そして隕石を隠れ蓑に逃れようとするセラフィムビーストは、リゥとペトニアロトゥシカががっしりと掴み、決して逃さない!
「その、天使核を、リゥ・ズゥによこせ。力を喰らい、リゥ・ズゥは、もっと、強く、深く、進化する……!」
「あたしは別にそんな力なんて要らないけどねぇ、アンタに食わせる餌も遊ばせるオモチャも、ここにはないんだよッ!」
 SMASH! SMAAAASH!! リゥとペトニアロトゥシカの拳/爪が同時に炸裂!
 セラフィムビーストは苦悶し大きく仰け反る……そこへ降り注ぐガトリング弾!
「島ひとつ沈めてまでほしい何かがあの子にあるのか……それは気になるけど。
 どのみち渡すつもりはないわ。ここで確実に消えてもらうわよ、獣とやら!」
 秋由良・インテグラの操縦する可変翼ガンシップ『HF120ファルコン』だ!
 ファルコンはガトリング砲でセラフィムビーストの注意を惹きつけ、攻撃を誘発する。
 怒り狂ったセラフィムビーストは無造作に爪を振るうが、インテグラの天才的な操縦センスにかかれば、文字通り隼のごとく回避は容易!
「遅いわね。あんな怪獣にプロレス仕掛けられれば当然かしら?」
 同じ猟兵、つまり味方ではあるが、ペトニアロトゥシカとリゥの巨躯とパワーは恐るべきものがあった。
 しかし大きさとパワーで敵わなくとも、インテグラにはインテグラの戦い方がある。
「機動性はわかったし、次は最高速チャレンジでもしてみようかしら……!」
 インテグラは敵の攻撃を回避すると同時、一気に垂直飛行で上空へ。
 セラフィムビーストが二体の怪獣の攻撃を逃れそれを追うと、天空で180度反転!
 すさまじい加速Gがインテグラの身体を襲うが、アンサーヒューマンである彼女は平気な顔でガンシップを制御する!
「叩き落とすわ……逃げられると思わないで!」
 翼をたたみ急降下し、ファルコンに搭載された攻撃爪を展開した。
 まっすぐに飛翔する両者は交錯――瞬間の激突を制したのはインテグラだ!
「グオオオオオッ!?」
 攻撃爪は隼の爪めいて、ざっくりとセラフィムビーストの肉体を縦に裂いていた。
 正中線を刀のごとく切り裂かれたセラフィムビーストが、身悶えして体勢を崩し落下する……!
「おとなしく雲海の底に沈むか、解体されて次代の礎になることね」
「――解体する肉が残ってれば、の話だけどねぇ」
 がしりと、セラフィムビーストの肉体をペトニアロトゥシカが掴んだ。
 ぐわっと大口を開き、再び噛み付くリゥ……苦悶の絶叫と滂沱の血が空を染める!
「さあみんな、見ていたまえ! これこそボクら猟兵が描く最高の物語さ!
 キミたちはもう怯える必要はない……だって、ボクらがここにいるんだから!」
 地上で見守る村民と少年少女たちに、鳳花は高らかに語りかけた。
 その光はライムライトめいて戦場を横断し、隕石を、そして光輪を叩き落とす。
「――ボクはみんなを笑顔に出来る存在になるために、戦っているんだからね!」
 ビームが一点に収束、そこはインテグラが斬り裂いた傷口!
 放射によって傷が再び開き、えぐられた傷口へとユーシアが堕ちていく!
「空中コンボを決めてやります! てぇりゃあああっ!!」
 SMAAASH!! 落下速度を載せたユーシアの連続攻撃が炸裂!
 身体を両断せんほどの強烈な傷を浴びて、セラフィムビーストは絶叫した。
 恐怖もたらす捕食者の咆哮ではない、狩られ食われる獲物の上げる悲鳴を!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディルクニア・エリスランサス
敵味方お構いなしとは。随分と「お利口」なペットじゃねェか
結構デケェが、何であろうとブチのめすさ



方針:
周辺環境? 全部自分で受け止めてタコ殴りにすれば良い

ポールメイスに仕込まれた「竜の御珠」でそこら辺の石や岩を引き寄せ、スタッフ・スリングのように力任せに投擲して挑発
ナ・ティータ・エキルに魔力を回し、質量差を真正面から怪力と「竜の御珠」の斥力を壁のように使う事で以て抗する、ほぼ文字通りの力技
烙印はナ・ティータ・エキルに一時的に全て肩代わりさせる

頭から遠い位置で角の片方を、顎側を打った角とは逆側から殴り倒し、脳を盛大にシェイク
その隙に、村人から貰った酒で詠唱代替済みの魔力砲撃を至近距離で叩き込む!



●怒りのままに
 いくら酒を浴びるように飲もうが、ディルクニア・エリスランサスの怒りは消えない。
 消せるはずがない――それは彼女の根源に、文字通り「根ざした」怒りだ。
「敵味方お構いなしとは、随分と「お利口」なペットじゃねェか」
 目の前の巨躯から放たれる天使の気配も、なおさら気に入らなかった。
 ディルクニアはポールメイスをずしんと地面に突き刺し、周囲の瓦礫や岩、あるいはこれまでの猟兵たちによって破砕された隕石の残骸をメイスに集める。
 グゴ、ゴゴゴ……と、泥団子めいて無理やり形成された巨大な岩を、ぐるんぐるんとスリングめいて振るい……セラフィムビーストへ投擲!
「オラァ!!」
「ッ!?」
 バガァン!! と岩が砕け散り、セラフィムビーストはぎろりとディルクニアを睨みつけた。
「ハ、獣の分際でガンつけとは生意気じゃねェか…・・オラ、かかってこいよ!!」
 ディルクニアは飛んだ。圧縮された質量で巨躯との差を埋め、直接力技で戦うつもりなのだ。
 なんという無謀! だがそうでもしなければ彼女の怒りは晴れぬ。
「その天使核とかいうフザけたもんごと、ブチ砕いてやらァ!!」
 天使へのディルクニアの怒りは、秒ごとに、拍動ごとに燃え上がる……!

「グオオオオッ!!」
 セラフィムビーストは角を振り回し、爪で引き裂き、ディルクニアをバラバラにしようとした。
 しかし彼女の纏う巨人の鎧、『ナ・ティータ・エキル』がそのすべてを受け止める。
 獣の烙印? 知ったことではない。角めがけてのフルスイング!
「こォやってェ、頭ンなかシェイクしてやるとよォ!!」
 SMASH!! 角を殴り飛ばし、続けざまに顎側を逆側からスイング!
「ガボッ……!!」
 セラフィムビーストは脳を揺らされ、吐瀉物を撒き散らしながらずしんと倒れた。
 ディルクニアはなみなみ注がれた火酒を飲み干すと、空き瓶を放り捨て片手に魔力を収束させた。
「歌も詠唱も要らねェ……消えろ!!」
 怒りのままに、全力の魔力砲撃をセラフィムビーストに叩きつけた――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
クラリスさん(f30400)と

……獣か
最早それにしか頼れないとは、程度が知れる
いいだろう、どっちが捕食者なのかしっかり分からせてやる
それから…地を走る狼以外にも、空を舞う猛禽も居るぞ
気を付けることだな

隕石の対処は彼女に任せられる
万が一撃ち漏らそうと、俺の二秒先への『先駆け』がカバーする
強烈な一発、即ち狙撃体勢へ
<飛天揺光>をスナイパーモードに
視えるぞ、彼女の動きが

確かに空を舞い、空を制圧する姿が視える
そして予測される獣の位置は当然、『そこ』だ
照準を合わせて、撃ち込む
狙いは当然、その不細工なドタマだ
死人も出さない 島も破壊させはしない
それが、群れを護る狼の矜持だ
底に落ちるがいい、哀れな獣野郎


クラリス・クレスト
ルヴトーさん(f31792)と

……強そうだね
でも、退く気なんてない
行こう、ルヴトーさん
攻撃はボクが引き付けるから、頼んだよ

地面を蹴って飛翔しながら
相手へ射撃戦を仕掛けていくよ
速度で撹乱して相手の目を引くのがボクの役目
地上に目を向ける暇なんて与えないつもりで立ち回るよ

当然隕石の邪魔は入るだろうけど――想定内
空間把握と予測演算は得意なんだ
落ちてくる隕石を逆に利用して加速
普段は足場を壊さないように気を付けるけど、今回は加減なし
地表に墜ちる前に全部砕くつもりでいくよ

お前の翼は、ここで砕く
目的のためならどれだけの命を犠牲にしてもいいなんて
そんな理屈、ボクたちの前じゃ通さない

――今だよ、ルヴトーさん!



●猛禽と王狼
 狼は地に伏せ、蒼き鳥は空を舞う。
 上下からの同時攻撃。セラフィムビーストは苛立たしげに尾を振るった。
「遅い――!」
 どれだけ図体を膨れ上がらせようと、獣の動きは単純である。
 それを補ってあまりあるほどのスピードと膂力も、クラリス・クレストからすれば止まって見えるも同然。
 ブルーバードは紙一重で角を、尾を、爪を避け、弾丸を見舞った。

 しかし獣の肉体は強靭であり、たかがマシンガンだのアサルトライフルではまともに傷をつけることも出来ない。
 だが、クラリスはそれを織り込んだ上で、敵を撹乱し射撃を続ける。
(ボクの仕事は、奴の目をこちらへ惹きつけること……それでいい)
 BRATATATATATA! 弾丸はセラフィムビーストの顔面を狙って降り注ぐ。
 獣は煩わしげに尾を振るって弾丸を払い、唸りながら地上から飛び上がった。
 それでいい。地上で戦闘を続ければ、あの膂力は地を砕くだろう。
 パワーについては見くびっていない――一度でも捉えられれば、ブルーバードの装甲が耐えられるわけがないことは、一目瞭然だった。
 しかし、空なら! そのためだけに研ぎ澄まされた人機に、たかが天使核獣が敵うはずもなし!
「お前の爪は、ボクを捕らえることは出来ない。絶対に当てられないよ!」
 BRATA1 BRATATATATA!!
「触れさせないし逃さない――悔しいなら落としてみろ、獣!」
「――グゥオオオオオッ!!」
 雄叫びが天を揺らす……空間さえもがゆらぎ、光輪が出現した。
 その内側にわだかまる闇の中から、燃え盛る隕石が飛来する……!

「――視えるぞ」
 そして、地上。
 片膝を突いてスナイパーモードに移行した天狼=ルヴトー・シフトマンは、2秒先へズレた視界でそれを見ていた。
 獣がどう動き、どこを狙い、どのようにクラリスを攻撃するのか。
 光の輪が生み出す隕石が何処へ落ちて、どれほどの破壊を起こすのか。
 ――クラリスが、そのすべてをいかにして武器とするのか。
 ブルーバードはクラリスの演算能力で行くべき道を見出し、空を駆ける。
 よく見える。落とされる不安などなかった。彼女ならやれるからだ。
 獣がクラリスを追う。セラフィムビーストは完全にクラリスに釘付けになっている。
「……お前は、自分が最強であり、捕食者なのだと思っているんだろう」
 がちゃりと、『飛天揺光』の照準をセットする。
「だが、それは誤りだ。本当の捕食者が、「狩る者」が誰なのか教えてやる。
 空を舞う猛禽に、そんな鈍重な身体で追いつけると思うな、堕落した獣め――」
 狙い定める先はただ一点――セラフィムビーストの頭部である。
 隕石が落ちる。クラリスは隕石を足場に飛びながら、その石を砕く。
 降り注ぐのは燃え上がる破片だけであり、それらは地面に落着する前にすべて己の熱で燃え尽きた。
 必殺の瞬間は必ず訪れる。ゆえに、弾丸は一発でいい。
 クラリスが、セラフィムビーストをそこへと導くのだから。
『先駆け』によって見たから、そう信じられるのではない。
 彼女ならば、やってくれる……心の底からルヴトーはそう信じていた。

 そして、待ち望んだ時が来る。
「お前の翼は、ここで砕く――目的のためならどれだけの命を犠牲にしてもいいなんて、そんな理屈はボクたちの前では絶対に通さないッ!」
 ブルーバードが隕石を蹴り砕いて急降下、セラフィムビーストの巨体を縫い止めるように貫いた!
「グオオオッ!?」
「――今だよ、ルヴトーさん!」
「ああ。狼の牙は、そこまで届くぞ――哀れな獣野郎ッ!」
 ドウン――!!
 スナイパーライフルの弾丸が着弾! 爆炎がセラフィムビーストの頭部を包んだ!
 地を這う狼の牙は、空に君臨する獣だろうと射止める。
 空を舞う鳥の爪は、地に蔓延る悪であろうと貫く。
 空の覇者と地の覇者が力を合わせる――これすなわち、無敵を意味するなり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
★レグルス
(弄ばれ、自然の輪から弾き出された獣には
番う仲間も、還る地もないのだろう)
…おれは、あの黒い翼の方が許せないけど。
仕方ない。今は、こっちだ。
(獣の目に、あの少女はどう映るのだろう
美しいのだろうか
惹かれただろうか)

了解。
任せた、相棒。
おーば。

(獣の頭上は星によって護られているのなら
きっと奴はそこに注意を割かない
ジャックが複製する隕石を【地形利用】
【目立たない】よう飛び渡って上空から強襲
【早業】「絶吭」で弱点を穿つ)

おれは森番。
災厄と獣、どちらもおれの獲物だよ。

……二人は、何処へ行くのかな。
いいところへ、帰れるといいな。


ジャガーノート・ジャック
★レグルス

(ザザッ)
クライマックスといった所か。
さて、むざむざ島を破壊される訳にもいかない。
上手くやるとしよう――何、いつも通りだ。
そうだろうロク?

では、ミッションを開始する。オーヴァ。

挑発代わりに射撃をしつつ地上にて待ち構えよう。
隕石を放ってくるんだろう?
来い。此方は逃げも隠れもしない。

誘いに乗ってくるなら応じよう――
 ノイズ
"砂嵐"。
拡散した電脳体で余さず隕石を吸収、無効化。
その上で この星はお前に返す。
(範囲攻撃×カウンター×一斉発射)

ただのカウンターではないぞ――
その星に乗って運ばれていくのは
お前に死を齎さんとする狩人だ。(ザザッ)



●星は空を灼き
「…………」
 ロク・ザイオンは、獣――ではなく、獣を捕縛していた騎士どもを睨んでいた。
 ロクからすれば、セラフィムビーストは悪ではなく「被害者」だ。
 人為的――といってもオブリビオンの仕業だが――に肉体を改造され、本能を強化され理性を奪われ、ただ暴れ狂う災厄と成り果てた哀れな獣。
 ゆえにロクはセラフィムビーストよりも、《ザエルの黒騎士》、ひいてはそれに命を下した存在に、昏い怒りを燃やしていた。
《――ロク》
 そんな相棒の怒りを察した上で、ジャガーノート・ジャックは言った。
「……ああ、わかってる。この島を壊させたりはしないよ」
 ロクは頷き、相棒に振り向いた。そしてふたりは獣を見上げる。

 巨躯があった。
 膨れ上がり、異形化し、傷つきながらその傷を飲み込んで生まれた滅びの獣。
 からだのあちこちを捕食され侵食されなお、肉体内の天使核は巨躯に力を漲らせる。
 これが天使核の力。それをもってして得ようとする少女の存在はなんだというのだ?
「グルルルル……」
 獣の瞳は内なる輝きに白く濁り、もはや何を見ているかさえわからない。
 少女の美しさに惹かれたのかどうかも、何も。

「オオオオオオッ!!」
 獣の咆哮に呼応して光の輪が広がり、そこから無数の隕石が落ちてきた。
《――手はず通りに行く。いつも通りだ、今回は君が決める番だな》
「そうだな。"運ぶ"のは任せたよ、ジャック」
《――了解した》
 滅びが、死が、災厄が、炎が降り注ぐ。
 それが直撃すれば、いかなふたりといえどもひとたまりもないだろう。
 なによりもこの島が耐えられぬ――甚大な被害を受けるか、最悪島が沈むか。
 それだけの力を、《ザエルの獣》は持っている。傷ついてなお。
《――大した技だ。しかし、本機らを堕とすには足りない》
 ジャックがそう言った瞬間――ぶわっと、巨大な砂嵐がその場を覆った。
 それは我が子を受け止める母のように、あるいは船を飲み込む怪物めいて、
 大口を開いた竜のように広がり、隕石群を受け止め……無効化してしまった。

 そう、無効化した。
 隕石の熱も、落下の速度も、質量も、何もかも砂嵐は飲み込んだ。
 だが、それでは終わらぬ。ジャックが得意とするのは成長、模倣――そして、複製。
《――この星は、お前に返そう》
「!?」
 見よ! 砂嵐の中から、吸収されたはずの隕石が「逆向きに降った」!
 空から地へ降り注ぐのではなく、地から空へと逆方向に「飛んで」いくのだ!
 しかもその燃え盛る石を次々に飛び渡るのは、隕石の熱よりもなおあかあかと、そして雄々しく燃える一筋の流星!
「おれは、銛番――災厄と獣、どちらもおれの獲物だよ」
 青い瞳が、空を映し出していた。そこに巨躯があった。

 星の雨が、セラフィムビーストを飲み込んだ。
「AAARRGH!?」
 よもや己の降り注がせた星をその身で味わうと思っていなかった獣は、その熱に、質量に、威力に、全身の傷から血を噴出させて悶え苦しんだ。
 だが獣は気付いていない。星よりもなお気高き天敵がそこに居ることを。
「――あのふたりの道行きを、邪魔してはいけない」
 最速かつ最優のポジションへ回り込んだロクは、逆手に構えた双刀を振るった。
 竜の牙じみた円弧がふたつ。セラフィムビーストの頚椎を支点に交差する。
 絶叫、そして血の噴出――それは狩りの終わりにこだまするいのちの残響。
 星の名を持つふたりは、星ごときでは潰えさせることなど出来ない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
好き勝手に暴れさせるわけにも行かないね

情報演算と牽制で相手の好きにはさせない
隕石の落下コースから、位置、数に至るまで探査演算、最大出力!
(情報収集、偵察、学習力、リミッター解除)

隕石を全て撃ち落とす!

手数と威力、範囲も必要だ
ならば彼らの力を借りるしかない
「ヌァザ、次元門解放! かの船を喚ぶ!」

【星の彼方の妖精郷】!
全部隊出撃! 一片たりとて島に落とさせない!

『イルダーナ』でビーストに対する包囲の輪に加わりつつ、
麻痺弾や毒弾を撃ち、周囲の部隊と連携して攻めて行こう
(操縦、集団戦術、空中戦、マヒ攻撃、毒使い、弾幕)

天使核っていうのも強烈な技術だね
狩りが成功したら、さっそく解析してみようっと!


アニエス・アルカンシェル
新手、単体かつ脅威レベル高。避難はおおよそ完了。
であれば、生身で戦い続ける必要もありませんね。
行きますよ、アルカンシェル。
異世界では初陣となりますが、遅れを取る気はありません。

キャバリア・アルカンシェルに機乗しての高速戦闘を行います。

低空で加速し『戦闘機動・強襲刺突』。
敵に衝突後、光刃を刺したまま空中に敵を持ち上げるように飛翔します。
目標は隕石を生み出す『天使の輪』、およびそこから生み出される隕石。
隕石に敵味方を識別する能力があろうとも、敵が味方を盾にする形で突っ込んできては無意味でしょう。
敵の身体を隕石にぶつけて隕石を破壊しつつ飛翔、実体があるならば最終的には天使の輪そのものに衝突させます。


霑国・永一
あーあ、躾も出来てないペットが来ちゃったかぁ。
しかも遊び相手をご所望のようだ。じゃれ合いしたら引き裂かれそうだし、調教兼遊び相手は《あっち》に任せよう――
『ハハハハッ!分かってんじゃねぇか!遊ぶなら猛獣に尽きるよなァ!』

真の姿ver狂気の戦鬼を発動
高速移動でビーストの上を含めた周囲を動き回って、死角から衝撃波を叩き込み続けるぜ!
隕石(ボール)遊びをしちゃいるが、広範囲とはいえ自分のところには流石に落とさねぇだろうからなァ!隕石躱すにゃビーストの近くに限るぜ!
まっ、場合によっちゃ衝撃波で砕くとか逸らすとかすっけどよ!
てか上手くいけそうなら隕石をビースト目掛けて逸らしてやるのも良いな!
くたばれ!


玉ノ井・狐狛
こりゃまた迷惑なペットだな
しつけ不足を承知で放し飼いにするあたり、始末が悪いったらない
だらしない飼い主どもに代わって、アタシらが遊んでやらなきゃならないわけだが……さて

(UC:炎の壁で獣を遮り、島へのダメージを予防する)
火でビビってくれるような可愛いヤツじゃないだろうが、こいつはもっと実際的なアプローチさ
そもそもが頑丈だし(騎士どもが鎖で抑えてたんなら、怪力にだって限度はある)、ついでに――
強引にブチ破ろうとするなら、馬鹿力を削ってこっちの持ち駒にできる
それを嫌って遠回りしてくれれば、それはそれで都合がイイ

どっちにしろ……これだけ頭数がいるんだ
ちょいと時間を稼げば、それだけで勝算になるぜ


ヴィクティム・ウィンターミュート
ワオ、強烈なフリークスのご登場じゃあねえか
そんなに熱烈な視線で見つめるなって 俺ってばシャイボーイだからさ
まずは仲良くしようぜ──死んでからな

オイオイ、隕石降らせるとか狡くないか?
そういう災害じみた真似は勘弁してほしいんだがなぁ…
しょうがねぇ──ちょいとお慈悲を頂こうかな
『Mercy Hand』
これだけの破壊の雨も、万物を癒す慈雨に早変わりってな
しかも消えない炎と来た!つまり、消えない『癒しの』炎ってわけ
お分かり?継続回復ありがとさん

さて、それじゃあ端役の役目はお終いだ
後はせせこましく、クロスボウで翼を狙うとするさ
悪いが、勝利で幕を閉じさせてもらうぜ
舞台袖で待っておくよ──それでは、華麗に退場


鷲生・嵯泉
己等でも扱い切れん様な代物という訳か
そんな物を解放するとは形振り構わんとは此の事だな……
全く忌々しい

――極實衝天、応えよ騰蛇
あの図体だ、細かい動きに対応するには意識を集中させねばなるまい
ならば攻撃を大きく躱さず、此方を追う隙を突くとしよう
動きの範囲に向き、周囲の空気の変化から
影響が及ぶ範囲、其のギリギリを見極め見切り、最小限にて躱し
奴の体表に添う様にして騰蛇を移動させる
狙うは其の背、翼の根元――機動を削ぐ
怪力に騰蛇の加速を加え、一気に斬り落としてくれる
墜ちろ……獣は獣らしく狩られるがいい

今まで行って来たのだろう所業、其の報いを受ける時が来たと知れ
世界は過去が欲しい侭にする為に在るのではないぞ



●ザエルの獣、ここに堕つ
 空に巨大な「穴」が生まれた。
 ……正しく言えば、それは極度に肥大化したセラフィムビーストの光輪だ。
 しかしあまりにも拡大された輪は、もはや空間の裂け目といってもいい。
 この戦場を、いや、燃やされた村をも飲み込んでなお巨大なほどに!
「ワオ、強烈なフリークスがやるだけはある。そこから隕石を降らせるってか?
 そういう災害じみた真似は勘弁してほしいんだがなぁ……こちとらただの人間だぜ」
 と、ヴィクティム・ウィンターミュートはおどけてみせた。
「穴」の向こうは宇宙めいた光ささぬ闇黒の空間であり、明らかにこの世ならざる「どこか」へと接続されている。
 しかも「穴」は拡大を続けている……降り注ぐ隕石の規模はどれほどのものになるか。
「……何か手があるのだろう? さすがにあの規模は私の剣では補いきれん」
 鷲生・嵯泉が言うと、ヴィクティムはニヤリと片頬を釣り上げるような皮肉めいた笑みを浮かべた。
「まあ、そりゃあな……だからあの隕石は、こっちでなんとかするさ」
「ならば私は、奴を斬る。己らでも扱いきれんような代物を放つなど、まったく忌々しい」
 嵯泉は剣を鞘走らせ、ぎらりと空舞う巨躯を睨みつけた。
「――この島に……いいや、彼奴らの目論見など何一つ成就させるものか」
「気が合うね。英雄的な名誉なんざどうでもいい、俺は奴らが気に入らねぇ」
 だから潰す。たとえ一国が相手だろうと、徹底的に。
 それが、ふたりの「やり方」というものだ。

「――オオオオオ!!」
 獣の咆哮が響き渡り、ついに「穴」の向こうから巨大な隕石が顔を覗かせた。
 内なる炎で燃え上がるそれは、着弾すれば島の環境に甚大な被害をもたらす。
 すべてが激突すれば、島を物理的に崩壊させる……とまではいかないものの、この島を浮かび上がらせている天使核に重篤なダメージを与えるはずだ!
「こりゃまた迷惑なペットだな。躾不足を承知で放し飼いとは始末が悪い」
 玉ノ井・狐狛はやれやれといった様子で頭を振り、しかし笑った。
「だが、遊び相手がほしいなら相手をしてやろうじゃねェか。アタシ"ら"がな」
「グオオオオッ!!」
「オット! 暴れられちゃあ困るんだよなぁ!」
 地上へ落ちてきたセラフィムビーストを、狐狛の生み出した炎の壁が立方体に組み合わさり、燃え上がる檻めいて閉じ込めた。
 バチバチバチバチバチ!! と焰とセラフィムビーストの爪が激突する。
「こいつは頑丈だぜぇ? アンタの閉じ込められてた檻よりもなぁ!」
 獣の怪力は無敵ではない――《ザエルの黒騎士》が拘束できていたのがその証拠だ。
 ゆえに、ユーベルコードで作り出した炎の迷宮――牢獄ならば閉じ込められる。
 狐狛の読みは正しかった……問題は、セラフィムビーストがさらに進化できるという点だ!
「グルルル……ガァアアウッ!!」
 めきめきとセラフィムビーストの巨体が膨れ上がり、これまでの戦いで穿たれた傷口からめりめり音を立てて天使の翼が「生える」。
 羊水めいて血を纏う天使の翼がばさりといくつも広がるさまは、神々しさのかけらもないグロテスクな光景だった。
 そして滅びの獣として完全覚醒したセラフィムビーストは、力任せに炎の壁を引き裂き自由を得ようとする……!
「おいおいおい、無茶やりやがるなぁ! それでもその力は削がせてもらうがね……!」
 本来迷宮として展開されるこの術式――寓話の最後は大破局(デッドリー・エヴァー・アフター)は、オブリビオンの生命力と魔力を吸収する焰で構成されている。
 つまり壁を引き裂こうと焰に触れれば、それはそれでセラフィムビーストの力を削ぐことが出来るのだ。
「こっちはじきに破られちまわぁ! お空のお星さまのほうは頼むぜぇ!」
「いいでしょう、アルカンシェル――行きますよ!」
「ハハハハハッ! ドデカいボールで遊ぶとしようじゃねえかッ!」
 キャバリア・アルカンシェルを駆るアニエス・アルカンシェルと、狂気の第二人格にバトンタッチした霑国・永一が空へ舞う。
 降り注ぐ隕石の雨! アルカンシェルは低空機動から直角に飛翔し、降り注ぐ隕石のことごとくを光の刃で斬る! 斬る!! 斬る!!!
「異世界では初陣となりますが、遅れをとる気はありません……ッ!」
 音を超える速度で飛翔するアルカンシェルが光の刃を振るえば、そのたびに虹めいた七色の光芒が空を染めた。
 そして七色の光芒に呑まれた隕石は、己の熱で燃え上がり焼滅!
「ハハハハッ! オラオラオラオラ! テメェが出したもんはテメェで片付けやがれェ!!」
 一方、生身で飛翔する永一――正しくは彼の中に宿る狂気の戦鬼――は、衝撃波を起こして隕石を破砕、その破片を炎の中でもがくセラフィムビーストに叩きつけるというやり方で、隕石を破壊しつつセラフィムビーストを攻撃していた。
 セラフィムビーストの巨躯からすれば、破壊された隕石の破片など小石にも等しい。
「なるほど、それはいいアイデアですね。"後片付け"ぐらいはしてもらわなければ」
 しかしそこにアニエスが加わると、横殴りのスコールめいた流星雨がセラフィムビーストの全身をズタズタに斬り裂いた!
「グルゥウウオオオオ!?」
「おいおいどうしたァ? 打ち返せるもんなら打ち返してみろよオラオラァ!
 まァ猛獣なんぞにボール遊びは出来ねェか! 犬以下だぜテメェ、ハハハハ!!」
 ドウドウドウドウ――KRAAAAASH!!
「チ、ここまでかい……!」
 攻撃と挑発に怒り狂ったセラフィムビーストは、ついに炎の牢獄を破壊!
 猛り狂う怪物は爪を尾を角を振り回し、高速で飛び回るアルカンシェルと永一を振り払った!
「パワーだけは規格外ですね……けれど、アルカンシェルは捉えられませんよ!」
 獣は怒り狂っているがため、完全に狙いをふたりに絞っていた。
 その暴威が地上に降り注ぐことはないだろう……だがそれも時間の問題だ。

「仕留めるには動きを止めないとダメそうだね……なら、ボクらの出番だ!」
 そこで戦列に加わったリア・ファルは、次元魔剣ヌァザで虚空を斬り裂いた。
「ヌァザ、次元門解放!^^かの船を喚ぶ!」
 はたして虚空より召喚されしは、リアの「兄」に当たるもう一つの星の船。
「兄さん、力を貸して。 ――我が兄の妖精郷……至福の島よ! 顕現せよ! 高速戦闘空母イ・ラプセル、現実空間へマテリアライズッ!!」
 自己進化型ウォーマシンの英霊たちを載せた高速戦闘空母が、次元の壁を超えて蒼き空の世界に降臨した。
 イ・ラプセルから無数の艦載機とキャバリアが発進し、半分は隕石の迎撃に、もう半分は暴れ狂うセラフィムビーストを包囲し釘付けにする!
「全部隊、攻撃開始! あの滅びを一欠片たりとて落とさせてはいけないよ!
 そしてあの獣を、絶対に空に縫い止めるんだ! そしてこのまま、討つッ!」
 BRATATATATA! ビーム砲撃がセラフィムビーストを全方位から打ちのめした。
 アルカンシェルと永一の攻撃によって刻まれた傷口が、熱線砲によって焼灼され、肉体を内側から焼かれる痛みにセラフィムビーストは悶え苦しむ!
「オオオオオッ!!」
「これだけの攻撃を受けて健在だなんて、これが天使核の力なのか……!
 その力、ぜひとも解析してみたいね! さあ、おとなしく狩られてもらおうか!」
「グ、グゥルルルル……!!」
 セラフィムビーストの苦悶の咆哮が空間を歪ませ、「穴」をさらに拡大する。
 これ以上の隕石が降るというのか――否、もはや破滅が降り注ぐことはない。
「ああ、まったく大した力だ! 俺ごときじゃ戦いにも加われねえや!
 ――だからよ、ちょいと「お慈悲」をくれや、なあ、天使様」
 虚空から降り注ぐのは隕石ではなく、恵みをもたらす雨だった。
 雨が降り注ぐと、燃え盛り焼け野原になった村や、戦闘で荒れた島の土地が癒やされていく。
「グオオオッ!?」
「破壊の雨だろうがなんだろうが、俺にかかれば慈雨に早変わり、ってな。
 そういえばお前さん、消えない炎を生み出せるんだろ? ならそいつは――」
 パチン、と指を鳴らした瞬間、リアのキャバリア部隊を覆っていた烙印の炎は色が反転した。
 鋼をも焼き尽くすはずの炎は、逆に英霊たちの傷を癒やしていく。
「消えない「癒やしの」の炎ってわけ。おわかり? 助けてくれてありがとさん!」
 敵の力を利用し、最大のタイミングで「反転」させてみせる。
 これこそまさにヴィクティムの理想的ハッピーエンドのための段取り。
「さて、それじゃあ弱く健気な俺は、その翼を射止めさせてもらおうか」
 そしてヴィクティムはゆうゆうとクロスボウを構え、ボルトを放った。
 ボルトは吸い込まれるように巨大な翼の根本に突き刺さり……天使の翼のひとつを、めりめりと引き裂いてしまう!
「ガァアアアアッ!!」
「悪いが、勝利で幕を閉じさせてもらうぜ。派手に、悪役らしく、狩られちまいな!」
 趨勢が逆転した。猟兵たちの猛反撃のときだ!

「応えよ、騰蛇。我らも征くぞ」
 召喚した式神の背に乗った嵯泉は、暴れ狂うセラフィムビーストの爪を、あるいは尾を、はたまた烙印がもたらす炎を踊るように潜り抜けた。
 どれほど強大で恐ろしい怪物だろうと、その動きは単純で読みやすい。
 もっとも読んだところで、尋常の戦士であれば圧倒的スピードとパワーの前に叩き潰されるだろう。
 嵯泉の隻眼と、鍛え抜いた戦士としてのカンは、進むべき道を最適に選び取る!
「行け、翼を叩き落とす」
 式神はうねるようにして、セラフィムビーストの体表を這うように翔んだ。
 そして向かう先は残る7つの翼――嵯泉の隻眼が煌めく!
「獣は獣らしく、狩られるがいい。……今までの所業の報いのときだ」
 斬撃一閃! 清冽にして凄烈なる剣は、ただの一閃で翼の半分を切り落とした!
 バランスを崩したセラフィムビーストは、もはや抵抗できず落ちゆくのみ。
「世界は過去がほしいままにするために在るのではない――ここがお前の終わりだ」
 その言葉は獣に向けたものであり、この状況を座視する謎めいたザエル帝国の幹部に向けたものでもあったのだろう。
 騰蛇の炎と、狐狛の生み出した炎が傷口を燃やし、セラフィムビーストのこれ以上の変異と再生を許さぬ!
「アタシに腕っぷしがなくても、ちょいと時間を稼いで小細工すりゃあ勝算になる、ってな?」
 女博徒の勝ち誇った笑みを見て、獣は怒りの雄叫びをあげようとした。
 だがその喉元を、カミソリめいた永一の斬撃がばっくりと斬り裂いていた。
「いい加減くたばれ! ハハハハハッ!!」
 吹き出す血を浴びて戦鬼は嗤う。獣さえも恐怖させる狂笑を。
「これで終わりですね――アルカンシェル、貫きなさい!」
 アニエスの機体が一気に加速し、流星めいた速度で巨躯を貫いた。
 断末魔の悲鳴は裂けた喉から響くことなく、その五体はずずん!! と島に落下する。
 もはや、セラフィムビーストに、この島を沈める力はない――否、そもそも動くことさえなかった。
 体内に増設されたいくつもの天使核が脈動を止め、そして獣は息絶える。
「クエスト達成、だね! ――それじゃあ、解体の時間だ!」
 などと言って、諸々の道具をシャキっと取り出すリアはさておいて。
 戦いを見守っていた村人たちも、少年も少女も歓声を上げた。
 そう、戦いは終わった……猟兵達は、巨獣を打ち倒したのだ!

 歓声に湧き上がるその場に、ヴィクティムの姿はなかった。
 役目が終われば華麗に退場――それが、端役の流儀なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『浮遊島でキャンプを』

POW   :    魔獣や屍人帝国を警戒し、寝ずの番をする

SPD   :    火を起こし、手早く食事を作る

WIZ   :    安全に寝られる場所を確保し、休息する

イラスト:Hachi

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
 かくして、戦いは終わった。
 ……しかし、ザエル帝国の遺した傷跡は、ブランシュ島を大きく傷つけていた。

 燃えた村の復興は、一朝一夕で終わるものではないだろう。
 家々を立て直したとして、戦火に見舞われた村人たちの心労は察して余りある。
 《ザエルの獣》は討たれたものの、残存していた敵勢力は姿を消していた。
 撤退したならばよし、そうでなければ夜襲の可能性もある。
 村人たちは身を寄せ合うようにして、焼け落ちた村の中心で火を囲んでいた。

「……私のせいで、こんなことに……」
 ラシッドは当て所なく彷徨う少女を見つけ、その手を掴んだ。
「キミのせいじゃ、ないよ。悪いのはあいつらじゃないか」
「でも」
「……今はもっと、戦いが終わったことを喜ぶべきだと思うんだ。
 そして、僕らを助けてくれたあの人たちに、感謝をしなきゃ」
「…………うん」
「村に行きにくい気持ちはわかるよ。だから、島を散歩するのはどう?」
「さんぽ?」
 顔を上げた少女に、少年は微笑む。
「きっとあの人たちもいるはずだし、僕もお礼をして周りたいんだ。
 そして出来れば、これからのためにいろんな話を聞いてみたいと思ってる」
 ラシッドは、ひとつの決意を固めていた。彼は旅立つつもりなのだ。
 この島を離れて、名前も知らない少女を守れるよう、勇士になるために。
「……ねえ、キミの名前は?」
 ラシッドの言葉に、少女は俯き……やがて言った。
「……アルピナ」
「僕はラシッド。……よろしく、アルピナ」
 ふたりは改めて、互いの手を握りあった。

●猟兵たち
 戦いは終わったものの、猟兵たちのやることは終わりではない。
 敵襲を警戒するなら野営と見張りをする必要があるだろう。
 村人たちの集いに加われば、彼らにとって大きな心強い存在となるし、
 酒や食料を持ち寄って宴を起こせば、彼らの気もきっと紛れる。

 あるいは、感謝を告げたい少年少女と交流するのもいいだろう。
 彼らの旅路はここから始まる。再びあの帝国と戦う日も来るはずだ。
 ザエル帝国とはなんなのか、なぜ少女……アルピナが狙われているのか。
 彼女らと語らうことで、今後の帝国の狙いがわかるかもしれない。
 同時にラシッドは、この島を旅立つ覚悟を決めている。
 いわば「先駆者」として、冒険のなんたるかを彼に語ってもいい。
 どんな内容であれ、ふたりは喜んで語り合ってくれるのだから。

 戦い終えて日は暮れて、しかして夜明けは未だ遠く。
 暗く黒に染まった空の下、頼りになるのは揺らめく炎の赤だけ。
 そんな赤を前に、仲間と語らう時間を持つのもまた一興……。

●つまり?
 村の人達と集まるなり、個人個人で野営をするなり自由です。
 残存兵力を叩いてもOK、NPCと交流してもOK! 自由!
 あ、あとマスコメにあるとおり、クインも呼び出せます。
 ぶっ倒したセラフィムビーストの解体作業とかもありますね。
 もちろん解体した肉とか骨とかは自由に持っていけます。戦利品にどうぞ。

●プレイング受付期間
 7/20 08:30前後まで。
フュテュール・ステラセ
・行動(POWとしてユーベルコード「戦嵐刃雷撃」を選択)
セイヴェリオスと共に、敵襲を警戒して寝ずの番をしましょうか。
あのような獣まで持ち出してまで少女を狙っていたというのなら、撤退したように見せかけて再度襲撃を行うかもしれませんし……杞憂で済んでくれるのが、一番うれしいのですが
もし、少年と少女がこちらへ来たら、少しお話でもしましょうか
とは言っても、私も過去の記憶がなく、セイヴェリオスと出会って戦いに身を投じているだけですし……まぁ、きっと、お二方にも更なる『出会い』があるのかもしれませんね?

・その他
アドリブ等は大歓迎です



●過去の記憶がなくとも
 フュテュール・ステラセは敵の襲撃を警戒し、『セイヴェリオス』を駆って周辺空域を回っていた。
 あれほどの獣を投入した連中であれば、そう簡単に少女を諦めるとは思えない。
「杞憂で済んでくれるのが、一番うれしいのですが……おや?」
 地上に降りたフュテュールが足元を見ると、そこには見覚えのある姿。
 あの少年と少女が、こちらに向かって手を振っている。
「……セイヴェリオス。少し、休憩にしましょうか」
『ええ。どうやら周囲に敵は居ないようですから』
 セイヴェリオスの内なる声が同意した。
 フュテュールはわずかに微笑んで、ふわりと大地に降り立った。

 ぱちぱちと、焚き火の炎がゆらめく。
 膝を突いたセイヴェリオスが見下ろすなか、フュテュールと少年少女は焚き火を囲み、夜の闇のなかで言葉を交わしていた。
 どうしても礼を述べたいという、ラシッドの希望によるものだ。
「その……見張りをしてくださっているところにお邪魔かもしれませんが……」
「とんでもありません。私たちは当然のことをしたまでですよ、ねえ? セイヴェリオス」
 セイヴェリオスがこくりと頷くと、さすがの少女も目を丸くした。
「動いてる……! これは、天使核で動作しているの?」
「いいえ、違いますよ。私はこの世界とは異なる場所から来たんです」
「違う世界から……」
 少女は興味津々といった表情で目を瞬かせた。
「それは……すごいですね。でも、どうしてこの島にわざわざ……?」
「……私には、過去の記憶がないのです」
 フュテュールは少年の言葉に、セイヴェリオスを見上げて呟いた。
「そんな中でこの子と出会って、今は様々な戦いの中に身を投じています。
 今回は、その行き先がここだっただけの話。言ってしまえばそれだけですよ」
「それって、でも、すごいことだと思う」
 アルピナが言った。
「だって「それだけ」のために、命を賭けて戦えるぐらい、強いんだもの」
「強い……ですか」
 フュテュールは困ったように笑う。
「戦いの中でいろいろな出会いがありました。様々な敵、様々な人々。
 私はまだ、自分が胸を張って「強い」と言えるほど自信はありません。
 あくまでセイヴェリオスが導いてくれるまま、戦い続けているだけですから」
 セイヴェリオスは無言だ。じっとフュテュールを見つめている。
「でも今回は、あなたたちが無事でよかったです。ふふ」
「……僕も、そのぐらい強くなりたいな」
「それは、彼女を守ってあげたいから?」
「え……」
 図星を突かれ、ラシッドは顔を赤らめる。フュテュールはくすくす笑った。
「あなたたちが旅に出るなら、きっと戦いが何度でもあるでしょう。
 私がそうだったように、あなたたちにもきっと『出会い』があると思いますよ」
「出会いをすれば、あなたみたいになれる?」
「さあ、どうでしょう」
 フュテュールは少女に微笑みかける。
「――でも少なくとも、楽しいことはたしかですよ」
 その言葉に、少年と少女は顔を見合わせた。
 フュテュールは相棒を見上げる……相棒もまた、微笑んでいるように見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
【エル(f04770)と】



・騎士と戦ってたエルと合流、二人で野営
・島には一緒に来てた

・ビーストから抜いて来た天使核を基に飛空艇建造すっかーってことで、エルに指示出してたり


――〝死霊大隊〟で船を出せるっちゃ出せるんですけども、やっぱコードの発動と維持とに一手割かれちまうんですよな
そこでこの世界の技術と素材の出番っスよ
そのヘンのアレをうまいことアレして、コレをいちアイテムとして定着させて――


(ラシッドとアルピナが寄ってきたら、)
ァ? なんスかおたくら
ほー、空に出るんスか
ま、せいぜい鍛えるコトですわな

ココの空でまた会うかもしれませんしな
一応覚えていきなさいや

『ワイルドハント号』
コレが俺めの船ですわ


エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】



・ビーストと戦ってた物九郎と合流、二人で野営
・島には一緒に来てた

・【マネギ・カーペンターズ】発動
・「タスクを受領しました」とか「進捗率46%」とか、システムメッセージみたいな相槌を打ちながら物九郎の指示に沿いマネギ達を指揮、飛空艇をキリキリ建造する

・電脳魔術で船の完成予想図を投影したり天使核を解析したり
・背中から生やしたマニピュレーターをぐりぐり動かし、マネギ達の作業を支援(メカニック)

(男女二人連れ)
(ラシッドとアルピナが空に出ようというなら、ある意味未来図みたいなコンビかも)

(アルピナへ、笑顔で)
庇護されるだけのヒロインは推奨されません
貴女も是非強くあって下さい



●新たなる力
「――"死霊大隊"で船を出せるっちゃ出せるんですけども、やっぱコードの発動と維持とに一手割かれちまうんですよな」
『シミュレーションを実行_改善の余地が認められます』
「そう、そこでこの世界の技術と素材の出番っスよ」
『マテリアルの分析を開始』
「つうわけでほれ、天使核引っこ抜いてきたっスわ。エル、作業開始スよ」
『タスクを受領しました』
 ……何やら、野営の片手間にやるべきだとは思えない作業が始まっていた。
 白斑・物九郎はどうやら、自らのユーベルコードの構造的欠点を、物理的なアイテムの建造によって補うつもりでいるらしい。
 ユーベルコードは無から有を生み出すが、その都度巨大な構造物を生み出すことは非常に手間がかかる。術式的な負担も、ないわけではない。
 連携しての戦闘でその隙を潰す……といった対策も考えられようが、
 物九郎は連携よりもスタンドアローンの戦いを発展させていくタイプだ。
 というよりも、彼自身が「猟団長」なんぞ名乗っておきながら、
 いの一番に突っ込みたがる生粋の喧嘩小僧体質(脳筋とも言う)なため、
 機を伺いじっと待つ……みたいな所作はまだるっこしいのである。
 もっとも必要であれば全体を俯瞰し指示を出すようなことも率先するし、
 こと戦いとなれば天性のカンの良さで最適戦術を編み出してしまうあたり、
 脳筋といっても「脳みそも筋肉なので事実上高IQ」みたいなアレだが。

 ともあれ、そんな物九郎の無茶振りを、エル・クーゴーは無表情でこなす。
 100体以上のデブ猫がワイヤーフレーム模様から現実化(マテリアライズ)し、
 受領した天使核の構造を分析、しつつ背中からマニピュレーターを展開。
 何もない場所に3Dプリンタめいてマテリアルが流し込まれ、
 船の竜骨らしき立体的なナニかを少しずつ組み上げる……ようは建造だった。
「連中が飛空艇で乗り込んできてればもっと楽だったンでしょうがなァ」
『進捗率5%』
「ま、いまはこの島であるモン使うしかニャーですわ」
『戦闘中に目撃した味方飛空艇の構造データをロードします』
「どうせなら武装の増設……いやでも下手なことすっと重量が……ァ?」
 完全にいつものバトル談義モードに入っていた物九郎、何かに気付く。
「あ、あの……お邪魔でしょうか」
「すごい……船が、空に出来上がってる」
 それはこの戦いの渦中にいたふたり――つまり、ラシッドとアルピナだった。

 エルに作業を任せつつ、物九郎は涅槃仏めいたリラックス姿勢で話を聞いていた。
「ほー。なんスかおたくら、空に出るんスか」
 物九郎はあくびをしつつしっぽを揺らす。無興味……というわけではない。
 彼らを冷たくつっけんどんにするわけでもなく、単に並列思考をしているだけだ。
 ついでに言うと、このふたり――特にラシッド――が、はたしてどんな戦士になるのか、色々と脳内シミュレーションもしていた。基本的に戦いしか頭にない。
「……ま、せいぜい鍛えるコトですわな。今のままじゃ足りないモンが多すぎる」
「それは、はい……皆さんみたいな強者にはなれないと思いますけど」
 ラシッドは苦笑して頷いた。
「ァ? ンなコト言ってたらなれるモンもなれませんわ。
 おたく、隣のコのコト守るつもりなんでしょうや。だったら四の五の言ってらんないスよ」
「……! あ、い、いや、それはまあ、そうです、けど……っ!!」
 顔を赤くして慌てふためくラシッド。アルピナはきょとんと首を傾げている。
「ウブいっスわ~。まあ冒険してりゃココの空でまた会うかもしれませんしな」
 そんな話をしていると、作業に集中していたエルがふと振り返った。
 興味深そうに見返すアルピナを見つめ、バイザーをあげるとにこりと微笑む。
『庇護されるだけのヒロインは推奨されません。あなたもぜひ強くあってください』
「……! は、はいっ」
 アルピナがこくりと頷くと、エルもまたこくんと頷いた。
「おふたりは、本当に強い方々なんですね。……僕らも、そうなりたいな」
「なら覚えていきなさいや」
 物九郎は立ち上がり、笑った。
「ワイルドハント号――これが、俺めの船ですわ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋山・軍犬
とりあえず、ザエルの獣を解体して
取り分の食材と素材を確保

足の速そうな食材は村人への炊き出し
で使っちまおう、焔ちゃん手伝いよろしくっす

焔「ひゃっはー、火の扱いは任せろー!」
(指定UCの優しさと料理+軍犬の料理+医術+救助活動)

で、食材以外の素材は
村の復興支援に自分の取り分から幾つか
融通したいけど…帝国の切り札
ザエルの獣の素材って村にそのまま流して大丈夫か?

下手な事すると余計帝国を刺激したり?

…金銭に換金してから寄付とか方が無難かな?
その辺を村の顔役やクイン君に相談(情報収集)してみるか

いや、グリモア猟兵なら
この世界の事、来たばっかの軍犬より詳しいですよね?
頭脳労働、冷静で的確なアドバイス頼んだで



●炊き出し
 セラフィムビーストの解体現場のすぐそば。
 積み上がった肉やらなんやらを鍋に放り込み、大量の料理を猛スピードで作る秋山・軍犬がいた。
「お? なんだなんだ、いい匂いがするぞ」
「これ……もしかして魔獣の肉を使ってるのか!」
「さっそく目ざとい村人が来たっすね。焔ちゃん、火力最大で頼むっす!」
「ひゃっはー、火の扱いは任せろー!」
 じゅうじゅうといい音を立てて焼ける肉の匂いに、人々は惹きつけられた。
 たちまち炊き出しの場には人垣が生まれ、そして料理が配られていく。
 空腹は幸福の最大の敵だ。腹を満たせば少しは気分も紛れる。
 軍犬と焔の作った料理に舌鼓を打つ人々は、自然と笑顔になっていた。

「わー、いいにおーい! ねえねえこれ、クインも食べていい?」
「もちろんいいっすよ!」
 そこへふらふらやってきたグリモア猟兵に、軍犬は笑いかけた。
「ただひとつ聞きたいことがあるんすよねー」
「クインに? 何々? なんでも答えるよ!」
「いやあその、料理に使えない素材についてなんすけど……」
 軍犬はちらりと、積み上げられた骨やら腱やらを見た。
「あれって、ザエル帝国の切り札……つまり大事な資産ってコトっすよね。
 そんなもん村に流して大丈夫かな~って気になるんすよ、どうすべきっすかね」
「えっ!? なんでそんなことクインに聞くの!?」
「だってグリモア猟兵なんでしょ? 自分より詳しいっすよね、この世界のこと」
「そんなわけないよー、だってクインこっちに全然来てないもん」
「えぇ~? 頼りにならないっすねぇ」
「なんでクイン落胆されてるの!? 美味しいもの食べに来たのに~……」
 もぐもぐ。それはそれとして肉を美味しかった。
「じゃあ仕方ないっすね、村の人に相談に行くんで付き合ってくださいっす!」
「クインそういう頭脳労働苦手っていうか……」
「食べたぶんは働いてもらうっすよ?」
「送り出すのが仕事なのに!? やだ~お肉食べるだけ食べたい~!」
 じたばた暴れるグリモア猟兵を引っ張っていく軍犬だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
アマービレでねこさん達を呼んだら魔法を使って村の人達を支援をお願いします。

望み集いし花園も展開し、希望者には中で寛いでもらったり、果物を好きなだけ食べてもらいます。
ダークセイヴァーの人達に比べると生活がマトモな分効果は薄いかもですけど、気は紛れるでしょう。

わたしは旅に出る彼らに話を聞きに。

こんばんは。改めまして、わたしは望です。

疑問だったのです。あなた一人を捕まえる為にあんな獣まで持ち出すなんて。
そこまでする理由はあなたにある。
答えにくければ無理に答えなくてもいいのですけど、あなたはなんで狙われているのです?

旅立つあなた達への餞別に果物をどうぞ。たくさんあるから好きなだけ持っていってください。



●ザエル帝国の影
「こんばんは」
 夜の静寂が深まるなか、七那原・望は自ら少年少女のもとへとやってきた。
「改めまして、わたしは望です。こうして落ち着けて話せてよかったです」
「あ……どうも。僕は、ラシッド。今日は本当にありがとうございました」
「……アルピナ、です」
 丁寧に挨拶する少年に対し、少女は少し気後れした様子だ。
 単純に人とのふれあいに慣れてないのだろう……望はくすりと笑う。
「たいしたことはしてないです。そういう任務でしたからね」
 ラシッドの感謝に望は奥ゆかしく答えた。
「村の人々には、ねこさんたちに色々支援してもらっているから大丈夫です。
 ダメージがひどい人には、わたしの『花園』で寛いでもらっていますし」
 望はアルピナに顔を向ける。
「わたしがここへ来たのは……あなたのお話を聞きたかったものでして」
「……私の?」
 望はこくりと頷き、言葉を続けた。
「疑問だったのです。あなたひとりを捕まえるために、あんな獣まで持ち出すなんて」
「…………」
「そこまでする理由は、あなたにある。答えにくければ無理に答えなくてもいいのですけれど……」
「……ううん。大事なこと、だから」
 アルピナは首を振り、言った。

「……私は、ザエル帝国に捕らわれていたの。それ以前のことは覚えてない。
 けど帝国は、私を使って……何か、恐ろしい実験をしようとしてた。
 私以外にもたくさんエンジェルがいたけど、みんな実験に使われて……」
「……なるほど。あの騎士たちは、そうして生み出されたものだったんですね」
 なにせ、魔獣に天使核を追加するような連中だ。
 おそらくアルピナは、相当大規模な実験の材料として価値があるのだろう。
 彼女の過去の記憶が欠落している以上、オリジンをたどるのは難しいが……。
「ありがとうございます。怖がらなくて大丈夫ですよ」
 少年の手を握りしめる少女に、望は果実を差し出した。
「……これは?」
「あなたに……いえ、あなたたちへの餞別です。村人さんたちにもお贈りしてるものです」
 瑞々しい果実を手渡され、アルピナはきょとんとした。
「……こういう時は、感謝をするものだよ」
 とラシッドが言うと、はっと我に返りぺこりと頭を下げる。
「あ、ありがとう、ございましゅっ」
 慌てていたせいか、舌を噛んだらしい。涙目で口を抑える。
「気にしないでください。ああ、たくさんありますから好きなだけどうぞ」
「……って、カゴいっぱいに! あの、ありがとうございます!」
「いえいえ」
 かしこまる少年に、望はひらひらと手を振った。
 旅立つふたりを、彼女がずっと見守ることはできない。
 なぜなら彼らの旅路は彼らのものであり、望には望の冒険がある。
 しかし餞別と、それを通じて交わされた友誼は、彼らの心にずっと残るだろう。
 ならば3人はまた……再び出会うことに、なるかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリィ・ミニットマン
無事とは言い難い状況ではあるが、人的被害は何とか抑えられたようだ。
敵側も疲弊しているだろうし、多数の猟兵が残るこの場を態々襲いに来るかは怪しい所だが……念の為、群狼たちに村の周囲を見張らせておこう。それに、そうしておけば村民たちも多少は安心出来るかも知れない。

オレ自身は獣の解体を手伝おう。元々その手の作業をするのが本業の身、手早く片付けていきたい。宴には食料が必要だろう?
……まあ、改造の影響で変な特性を持っていたりしないか不安ではあるが。念の為、毒味もしておくか。

帝国の脅威は消えず、村の復興が長い道のりとなるのは確か。
だが、ひとまずは。今日という日を生き延びたことを、共に喜び祝おうじゃないか。



●今日の生存を祝う
 狼の遠吠えが響くと、子どもたちがびくりと身をすくませた。
「安心してくれ。あれはオレの仲間たちの、連絡のようなものだ」
 ユーリィ・ミニットマンは子どもたちに目線を合わせ、無表情で言った。
「……なかま、なの?」
「ああ。村に悪い奴らが近づかないように、見張ってくれている。
 本当に襲ってくるかは怪しいが……だが決して、見逃すことはない」
 だから、安心してくれ……ユーリィは直截に言葉をぶつけた。
 あいにく不器用なタチだ、子ども相手に言葉を選べるほど器量はない。
 しかし子どもたちは、逆にそのまっすぐな言葉に心を打たれた。
「すごいね。狼さんとおはなしできるんだ」
 むしろ憧憬を込めた眼差しに、ユーリィは頭をかく。
「……まあ、安心してくれたならそれでいい。大丈夫だ」
 などと生真面目に言うユーリィが、子どもたちの遊び相手に選ばれてまとわりつかれるのも、ある意味当然だった。

 子どもたちの世話をしつつ、ユーリィは本業である獣の解体に勤しんだ。
 再生と成長を続けながら暴れ狂った魔獣は、肉体の残骸をあちこちに撒き散らしていた。
 運ばれてきたそれらを手際よく解体すると、村人たちから驚きの声が上がる。
「すごい手際だな……! さすが魔獣解体士だ」
「もともとこちらのほうが本業なのでな。それに、宴には食料が必要だろう?」
「違いない。助かるよ解体士さん、あんたたちのおかげで生き残れたんだ」
「……ああ。村の復興は、長い道のりになるだろうな」
 無事な建物は少ない。決して楽な仕事ではないだろう。
 だが、今だけは、生き残れたことを祝い、互いに喜ぶべき時間だ。
「簡単ながら調理も出来る。準備が出来たら手伝ってくれ」
「もちろんだ。あんたの歓待もさせてくれよ、解体士さん!」
「いや、オレは――」
 言いかけて、足元に駆け寄ってきた子どもたちの視線に気付く。
「……わかった。ご相伴に与ろう」
 観念したようにユーリィは肩をすくめた。
 どうやら村のささやかな宴は、楽しいものになりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベル・プリンシパル
全くの無事…というわけにはいかなかったけど、最悪の事態は免れて良かった
あんな大物を倒したんだから、暫くは追撃も無いと思うけど…
けど念には念を入れて空から村の周囲を見回りしておくよ
…正直、すっごく眠いけど!

そうやって空を飛んでたら、追われてたっていう男の子と女の子が視界に入って
良かった、君達も無事だったんだねって傍に行って話しかけよう

へえぇ、ラシッドは旅に出て勇士になるつもりなんだ
じゃあ俺とおんなじだね!
そう、何を隠そう俺も新米勇士なのです
強くて勇敢で格好良い…そんな勇士になりたくて故郷を飛び出してきたんだ
ラシッドはどんな勇士になりたい?
あてどない旅も良いけれど、未来に思いを馳せるのも楽しいよ!



●新米勇士たちの語らい
「眠い~……」
 ベル・プリンシパルは閉じそうな瞼をこすりつつ、ふよふよと飛んでいた。
 目的は当然、見張りだ。敵は全滅したわけではないのだから。
 とはいえ、あれだけの大物を倒したあとに、少人数で仕掛けてくるとは思えない。
 あくまで念のための夜警だが、村人たちに任せるわけにもいかなかった。

 ……と、ベルが島の外縁部を飛んでいると。
「ん? あれは……」
 眼下に見えてきたのは、今回の事件の渦中となったふたりだった。
「おーい、君たちー! よかった、無事だったんだね!」
 ベルはふわりとふたりの傍に降り立ち、ふっと微笑んだ。
「あっ、あなたは……この島を守ってくれた……ありがとうございます」
「……ます」
 ぺこりと、アルピナは控えめにお辞儀をした。
「いやいや~、お礼なんていいよ。俺がやりたくてやったことだからね」
「でも、助けられたのは事実ですし……」
「いいっていいって! それより君、もしかして俺と歳近いんじゃない?
 ならそんな敬語なんて使わなくていいよ! あ、俺はベルっていうんだ」
 ベルの言葉にラシッドは少々驚きつつも、こくりと頷く。
 年齢が近い者同士、どうやらウマが合うらしかった。

 3人は焚き火を囲み、しばし他愛もない話を続けた。
 その途中でふと、ベルは彼らに「今後どうするのか」と質問する。
「……旅に出るつもりです。アルピナと一緒に……ていうか、ついていくっていうべきかな」
 ラシッドが頭をかいてそう言うと、ベルは目を輝かせた。
「旅に出て勇士になるって? じゃあ、俺とおんなじだね!」
「え? もしかして……勇士なの?」
「そう、何を隠そう俺も勇士なのです。新米だけどね」
 ベルはへにゃりと笑った。
「強くて勇敢で格好いい、そんな勇士になりたくて故郷を飛び出してきたんだ」
「へえ……」
 ラシッドは憧れを込めてベルを見つめた。
「ねえ、ラシッドはどんな勇士になりたい?」
「……どんな、勇士……?」
「あてどない旅もいいけどさ、未来に思いをはせるのも楽しいよ!」
 ベルに言われ、ラシッドはアルピナをちらりと見た。
 アルピナは盛り上がるふたりを、じっと見つめている。
「…………守りたいものを守れるような勇士、かな……」
「……ほほ~? ふ~ん、なるほどね~」
 ベルがニヤニヤ笑うと、ラシッドは顔を赤くした。
「あ、いや、そういう意味じゃなくて!」
「いや~、俺はなんにも言ってないけどねぇ~。なるほどそういうことかー」
「だ、だから……っ!」
 じゃれあうふたりを見ていたアルピナはくすくすと笑った。
「ベルもラシッドも、ふたりともとっても楽しそう。ふふ」
「「……はははっ!」」
 ベルとラシッドも顔を見合わせて噴き出した。
 夜空にしばらく、三人の少年少女の屈託ない笑い声が響いた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

試作機・庚
いやー無事撃退出来てよかったデスね!
とりあえず他に敵とか居ないかちょっと周りをひとっ飛びして探知するデスかね。
隠れているとか監視してるなどがあれば見つけ次第処理デスよ。
特になければ帰って付近一帯は残党が残っているだけで戦力的に安全圏であることを周りに報告デス。
少年に旅に出るならお守り(自分が使用している拳銃のような銃器と同型のもの)を渡すデスかね
大切なものを守りたいなら強くなるのが手っ取り早いデスけど
強くなるのには時間がかかるデスからね。
銃なら技量がそこまでいらないのでしばらくは役立つと思うデスよ。
まぁ、困ったらそこのグリモア猟兵が教えてくれるとは思うデスけど。
(とか言ってみる。)



●困った時のグリモア猟兵?
「ふーむ……ひとまずこのあたりには敵影はなし、デスねぇ」
 島を哨戒していた試作機・庚は、一休みのために地面に降り立った。
 どうやら、彼女が索敵した範囲には、伏兵の類もいないようだ。
 撤退を許されない兵士がおめおめ逃げ帰るとも思えないが……それはともかく。
「おーい、お疲れ様ー!」
「ん? ああ、グリモア猟兵デスか」
 こちらに駆け寄ってきたクインの姿に気付いた。
「え? 何その呼び方、クインでいいよ?」
「いえ、グリモア猟兵で十分デス。私好感度で名称変わるタイプのヒロインなので」
「なにそれ!? 急に恋愛シミュレーションゲームみたいなこと言い出した!?」
 奇矯……もとい、かなり変わった庚のペースと思考は、余人には読みづらい。
「まあいいや。村の方でパーティしてるよ? 行かないの?」
「私は哨戒がありマスので、それに……お、ちょうどいいところに」
 庚が見つけたのは、猟兵たちにお礼を言って回るためふたりで歩く少年少女だった。
「グリモア猟兵もついてくるがいいデスよ。あなたも関係者デスからね」
「ん~? まあいいけど~」
 クインは首を傾げつつ、庚のあとについていった。

 互いに挨拶を済ませたところで、庚はあるものを差し出した。
「少年、君に餞別をあげるデスよ」
「……これは……?」
 庚が差し出したのは、彼女が使っている拳銃めいた銃器、『マスターキー』と同じ形のもの。
「私のものよりは出力は劣りマスが、そこらの武器よりは高性能のはずデス。
 大切なものを守りたいなら強くなるのが手っ取り早いデスけど、強くなるのには時間がかかるデスからね」
「あー、銃ならすぐ使えるもんね。さっすが~」
 クインの言葉に、庚はこくりと頷く。
「頑張るデスよ少年、若者のふたり旅も私的には大好物なノデ!」
「え? 大好物ってどういう……???」
「……なんだか、邪気を感じる……」
 少年の影に隠れつつ、アルピナはじぃーっと庚を見ていた。
 庚はハッハッハと気にせず笑う。泰然自若な女である。
「まぁそれに、困ったことがあればそこのグリモア猟兵が教えてくれるとは思うデス」
「えっ、クイン!? いや予知したらそりゃ伝えるけど……」
「というわけなので、安心するといいデスよ。何かあったら必ずグリモア猟兵が伝えてくれるデス」
「だから予知できたらの話だよ!? 話聞いてる!?」
 という漫才じみた庚とクインのやりとりに、少年と少女はくすくすと笑った。
「そうそう、笑顔が一番デスよ。若者はそうあるべきデス」
 年長者の庚は、ふたりの様子にうんうんと頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャガーノート・ジャック
★レグルス

(何やら魔獣解体の手伝いをしたいと言っていたロクに付き添う。)

穴?……オカリナ。こうか。
(熱線銃の威力を絞り適度な穴を開けつつ)
……ふむ。ならロク、牙にこの様な飾りを……

(ザザッ)
……君達か。災難だったな。
(作業中通りかかった二人に声を掛ける。)

君達はこれからどうするのだ?
――そうか、空の世界を巡るか。

決して易しくない旅となろう。
だが少年、ラシッド。
アルピナを此度守ったように
空の何処にいても手を引き
そして守ってやれ。

餞別だ。
(ロクに加工して貰った牙の守刀をラシッドに渡し)

――レグルス、ジャガーノート・ジャック。
何れまた会う事もあろう。
君達の旅路に幸の多からん事を祈っている。オーヴァ。


ロク・ザイオン
★レグルス
(獣の解体は森番の仕事だ
よく働いたら手頃な牙をひとつ、分け前に貰おう)
ジャック。
穴あけて。穴。
…オカリナ…多分、そんな感じ。

…ラシッド。アルピナ。
な、黒い獅子さん、大丈夫だったろ。
おれの相棒は強い。
さっきみたいに大きい敵も、他の世界にはいろいろいた。
…でも、この世界は、まだあまり知らない。
キミたちが旅をはじめるなら、おそろ、だ。

(牙の笛に息を吹き込むと、夜の鳥に似た音がする)
お守り。
アルピナにあげるよ。
…音楽とか、歌とか。
ひとの旅を楽しくしてくれるものだから。

おれはロク。レグルスをやっている。
次に会ったら聞かせて。キミたちの旅。



●旅立ちの旋律
 巨大なセラフィムビーストの解体作業は、かなりの大仕事となっていた。
 なにせやつは猟兵から甚大なダメージを受けながら、「滅びの獣」への変異と再生を何度も繰り返していたのである。
 つまり、ちぎられたり食い破られた身体の一部がそこら中に飛び散っていた。
 すべての残骸を合わせると、セラフィムビースト数体分にもなるだろう。
 それを解体するとなれば、猟兵や村人が総出になっても時間がかかるというもの。
《――ロク、解体作業の進捗はどうだ?》
 ジャガーノート・ジャックが様子を見に来ると、ロク・ザイオンは汗と血を拭って笑う。
「だいぶ進んだと思う。これ、分け前でもらった」
《――牙、か?》
 ロクが差し出したのは、セラフィムビーストの鋭い牙のひとつ。
 ナイフに加工できそうなサイズと切れ味を持つ、魔獣の素材らしい素材だ。
「ジャック、穴あけて。穴」
 しかしロクは、どうやら無事に使うつもりではないらしい。
《――穴? ……オカリナのイメージか?》
「うん、そう。そんなかんじ」
 ジャックは牙を受け取り、ためつすがめつ様々な角度から分析した。
 牙の硬度、構造、反り……そういったものを電子頭脳で計算する。
 そして熱線銃の出力を絞り、中を空洞にして適度な穴を開けた。
「できた?」
《――そうだな。この牙にこのような飾りをつけて……》
 ジャックの工作を、ロクは適当な岩に腰掛け、足をぷらぷらさせつつ見ていた。

 しばらくするとそこへ、ラシッドとアルピナがやってきた。
「あ、あの! 今日は危ないところを助けてもらって、ありがとうございました!」
「……ました」
 ぺこり。行儀よくお辞儀するふたりに、ジャックとロクは顔を向ける。
《――君たちか。災難だったな》
「あ、黒い獅子さん……」
「な、大丈夫だったろ」
 ロクが屈託なく笑うと、アルピナも微笑んでこくりと頷く。
「おれの相棒は、とっても強い。さっきみたいな大きい獣も、他の世界にはいろいろいた」
「そうなんですね……では、あなたたちも別の世界から……」
《――そういうことになるな》
「……でも、この世界は、まだあまり知らない」
 ロクはふたりの顔を見つめて、言った。
「だから、キミたちが旅を始めるなら、「おそろ」、だ」
「「おそろ?」」
《――我々も、この空では新人同然ということだ。そう気負うことはない》
 ジャックはそう言ってふたりの緊張をほぐしつつ、続ける。
《――とはいえ、君たちの旅は決して易しくないものとなるだろう》
「……うん」
 少女は顔をひそめて頷いた。
《――だが、少年……ラシッドと言ったな》
 ラシッドは赤い瞳を見返し、頷く。
《――アルピナを此度守ったように、空の何処にいても手を引き、そして守ってやれ》
「……はい!」
《――これは、本機からの餞別だ》
 ジャックが手渡したのは、ロクによって飾りをつけられた牙の守り刀。
「これは……」
《――護身用には役立つだろう。そして、本機らと君たちの絆の証でもある》
 ジャックはそう言って、ロクを見た。
 ロクもこくりと頷き、アルピナに牙のオカリナを差し出す。
「これ、あげるよ」
「私に?」
「……音楽とか、歌とか。そういうのは、ひとの旅を楽しくしてくれるものだから」
 それは、ロクの実体験からの言葉だった。
「おれはロク」
《――本機の識別名はジャガーノート・ジャック》
「おれたちは、"レグルス"をやっている」
《――いずれまた会うこともあるだろう。君たちの旅路に、幸多からんことを》
「だから次に会ったら、キミたちの旅を聞かせて」
 "レグルス"の言葉に、少年と少女は顔を見合わせ、こくりと頷いた。
 結びついた縁の証を、大事そうに握りしめて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナスターシャ・ノウゼン
いやー、終わった終わった。妾、めちゃくちゃ頑張ったのじゃ。休憩を所望する!!
ぇ、残党の警戒とか村の警護があるだろうって?
知らんわ。妾、もう動けん。限界。むーりー!

だが、宴は別じゃ。踊れや歌えや。酒と肉を持てい!今日は妾の奢りじゃぞ!
生きとりゃ、あとはなるようになる。終わったことは忘れて、今を精いっぱい楽しめばいいんじゃよ。

あの少年と少女だって同じじゃよ。確かに島はぐっちゃぐちゃだし、これからどんな苦難が待っておるかも分からん。
だがまぁ、そんなのは食って寝て、起きてから考えればいいんじゃ。
今はただ、旨い酒飲んで美味い飯食って、気持ちよく寝る!これに限るの!



●疲れ果てても宴は別
「はー、疲れたー」
 ナスターシャ・ノウゼンはだらしなく地面に寝転がり、大の字になっていた。
 もともと怠惰に時間を過ごしてきた女だ、もうすでにゲージは0である。
 何のゲージかって? 労働意欲とか、なんかそういうアレだ。
「休憩を所望する! もう動けん、むーりー!!」
「あのー、お姉さん。そろそろお肉焼けますよ? でも疲れてるならいらな」
「食べる!!!!!!!」
 村人の言葉に、ナスターシャものすげえ速度で立ち上がった。
 どこぞのアルティメットシィングみたいに足首のパワーだけで起き上がった。
「うわあっ!?」
「疲れてはいるがそれはそれ! 酒と肉を前にして寝転んでられるか!
 というわけで酒と肉を持てい! 今日は妾の奢りじゃ、無礼講じゃー!」
「いや奢りも何も解体した魔獣の……」
「細かいことはええんじゃ! さっさと運べー!」
「ええ!?」
 しかも村人に自分を運ばせる始末。これが召喚獣の暴虐か!?(絶対に違う)

 とまあ、そんなふうに騒ぐナスターシャのおかげか、村人たちの暗い雰囲気も少しずつ晴れていた。
 何も考えずに食って呑んで歌って笑う女がいると、周りも落ち込んでられないということだ。
「元気ですねぇ……」
「何を言っておる、おぬしらは生き延びたんじゃぞ? ならそれを喜ばねばじゃ!
 終わったことは忘れてしまえ。まあやることは山盛りじゃろうがそれはそれ!
 やるべきことは、やるべきときに考えればよいのじゃ。というわけで騒げ!」
 村人たちはナスターシャの言葉に顔を見合わせ、苦笑した。
「……それに、苦難が待っているのはあの子どもたちも同じじゃからのう」
 ここにはいない少年少女のことを思い返し、ナスターシャは言った。
「ラシッド……あいつ、本当に村を出るつもりなんだな」
「けど私、いつかはこうなるんじゃないかと思ってたわ」
「そうだなぁ。あの子は流行り病で親を亡くして、それからずっとオレたちのことを支えてくれてたからな……むしろ笑顔で送り出すさ」
 そんな村人たちの言葉に、ナスターシャはフフンと笑った。
「そうじゃそうじゃ、今は旨い酒を呑んで美味い飯を食って、気持ちよく騒げ!
 で、疲れ果てたら寝る! これに限るのじゃ! さあ皆、杯を持てい!」
「「「おーっ!!」」」
 ナスターシャの音頭のもと、しばし騒がしい声が響き渡った。
 少年と少女も、再び立ち上がる村人たちの姿を、遠くからたしかに見ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワタツミ・ラジアータ
これは派手に壊れてしまったようですわね。
支払いは期待できませんが、このままでは生活も大変でしょう?
助けてあげますから食べる物持ってきなさいな。

【WIZ】
8mのまま
1、2章で取り込んだ敵素材と村人が持ち込んだ壊れた家屋の残骸を取り込み、建築素材や生活機材に再生
復興中向けのCC風プレハブ小屋も造る
食事に使っていない腕が建材に変形し切り離され腕が生え直す
それを繰り返す

代金は期待しておりませんし、代わりに食事とお話を御馳走してもらいますわ。

一仕事を終えたら人サイズに戻って普通に食事を楽しむ
生産量によっては空腹度は変わる

お話
商売向けの所や世情など
先の帝国についても商売相手になるかを含めて

アドアレ絡み歓迎



●巨人の気まぐれ
 ずしん、ずしん……と、巨大化したままのワタツミ・ラジアータが村を練り歩く。
 ふと彼女がかがみ込んで手を突き出すと、焼けて崩れた家の残骸が掌に吸い込まれていった。
「お、おいあんた、一体何をするつもりだ? まさか村を更地にするつもりか?」
「それがお望みであればそうしますわ。ですがそうではないでしょう? まあ見ていなさい」
 ワタツミは怯える村人にそう言うと、取り込んだ資材を体内で再構成。
 そして両手をあわせてドームのように空間を作り、地面にそっと手をつく。
 手の中から七色の輝きが漏れ……両手をあげると、そこには立派なプレハブ小屋が出来ていた。
「す、すげえ! 家を作っちまった!」
「あまり上等なものは作れませんけれど、資材の再生ぐらいなら出来ますわ」
「すげえ……疑ってすまねえ! しかしどうしてこんなことを……?」
「代金は期待しておりません。見返りをくださるなら食事とお話が欲しいんですの」
 ワタツミは腕を建材に変化させ、がらがらと村の一角に積み重ねる。
 彼女の目的は、この世界での今後の商売にあった。

 しばらくして、ワタツミも村の宴に参加することとなる。
 人間サイズに戻ったワタツミは、無表情でもりもり肉を食べていた。
「働いたせいかお腹が空きましたわ……あら、魔獣も調理すれば美味しいんですのね」
「だろう? しかし……あんたものすげえ食いっぷりだな!」
「仕事のあとは空腹になるものですわ。今回は張り切りましたし」
 大の男十数人分ぐらいの肉を平気な顔で平らげるさまは、驚きを通り越してもはや憧れすら生じそうなレベルだ。
「そうそう、この世界で商売向けの島があれば教えてほしいですわね。
 あとは……ああした屍人帝国が襲ってきているなら、その内情なども」
「そりゃあそこら中で起きてるさ。あんたみたいな強者なら引く手あまただろうぜ」
「それはなによりですわね……あの帝国とも商売はできそうかしら」
 ワタツミは無表情で考える。彼女はザエル帝国をも顧客候補とみなしているのだ。
 どうやらこの世界にも、危険と未知はありったけ転がっているらしい。
 ならばいくらでも商機はある……肉を頬張りつつ、ワタツミは野望に燃えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーシア・ロクス
(二人から少し離れた位置にダンボール)

3P(小)『……わたし達何してるんでしょうね』
2P(小)『静かにするっすわたし!夜会話の邪魔する気っすか!』

突然『わたし!UC!隠密ダンボールのすがたに変身!はやくはやく!』と言うからびっくりしてUC(これが初使用)したら……

2P『いやこれは護衛だから。二人のメモリアルを心のビデオに記録しおまけで邪魔する残党には非戦闘イベントシーンのモブ帝国兵に相応しく画面にも映れずセリフもなく死ぬという末路をくれてやる崇高な使命っすから。現実には回想モードはないんすよ!(早口)』


(なんかガタガタしてるダンボール)

※見つかるかとか襲撃があるかとか後は丸投…お任せします!



●どんなときでもダンボールがあれば問題ない
「少し、疲れちゃったね。一休みしよっか」
「……うん」
 ラシッドとアルピナは、さらさらと流れる小川のそばに腰掛けた。
 澄んだ水の冷気が、歩き疲れたふたりの身体を涼しげに癒やしてくれる。
「……あのさ。いまさらなんだけど」
 しばらく黙っていたラシッドが、意を決して口を開いた。
「何?」
「その、了承も得ずについていくとか言っちゃったけど……迷惑だったらごめん」
「迷惑だなんて……むしろ、私が迷惑をかけちゃう……」
「そんなことないよ!」
 うつむくアルピナに、ラシッドは食い気味に言った。
「君はそんなこと気にしなくていいんだ。だって僕は……」
「……?」
「あ、いやその、えっと……」
 そして顔を赤くして、座り込む。アルピナは首を傾げていた。
「だからその、僕は君のことが……っ」
 ラシッドが勇気を振り絞って、何かを言おうとするが……。

「……ねえ、ラシッド」
「え、何?」
「あれ、なんだろう」
「あれ……?」
 アルピナが指差す方を振り返るラシッド。そして呆れ顔になった。

 そこには、ダンボールがあった。
 しかも何やらガタガタと動いており、中からは声がする。
(……わたしたち何してるんでしょうね)
(静かにするっすわたし! 夜会話の邪魔する気っすか!)
 アルピナとラシッドは顔を見合わせた。あの声には聞き覚えがある。
(あの……2Pのわたし、なんで急にダンボールに変身しなきゃいけなかったんです?)
 ダンボールそのものから、ユーシア・ロクスの声がした。
(ただ出歯亀したかっただけですよね)
 3Pユーシアが呆れた声で言った。
(いやこれは護衛だから、ふたりのメモリアルを心のビデオに記録しおまけで邪魔する残党には非戦闘イベントシーンのモブ帝国兵にふさわしく画面にも映れずセリフもなく死ぬという末路をくれてやる崇高な使命っすから)
((ものすごい早口))
(現実には改装モードはないんすよ! わからないっすか!?)
((わかんないです……))
 ラシッドとアルピナはまた顔を見合わせる。首を傾げるアルピナ、ジト目になるラシッド。
「……アルピナ。次のところへ行こっか」
「あ、うん。でもさっき何を……」
「いいから!」
 ラシッドはアルピナの手を引いて歩き出してしまった。
(あーっ! ほらもうわたしたちのせいでバレちゃったじゃないっすかー!)
((いやどう考えても2Pのわたしが騒ぎすぎてただけじゃ))
(んなことないっすよ! それはそれとして照れながらも手を繋いでる男子マジ尊いありがてえ……RTとふぁぼしたいっす~~~)
((だめだこのわたし、早くなんとかしないと……))
 ユーシア同士の確執(???)が深まった一夜である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミレア・ソリティス
了解しました。任務を続行します

UC【コード・モルフェウス:LD】を使用、周辺への半電脳化、及び《ハッキング・情報収集》を開始
完全にとはいきませんが……防衛(第一章)時のデータで可能な限り修復補填しましょう

また、敵残存戦力が領域範囲内に侵入した場合、
対象の構造改竄を、また飛び道具であれば軌道の改変を行い攻撃を行います

加えて可能であれば「ザエルの獣」…あるいは「天使核」の解析、
ザエル帝国についての情報収集も出来る範囲で行いましょう

後は……「料理」はできませんが、残骸等から『マナ・キューブ』を生成する程度ならば可能です

……ただ、摂取した方の反応からすると味はよろしくないようですが
※アドリブ他歓迎です


ルビィ・フォルティス
野営から離れた位置で炎を眺めている

ラシッド様はアルピナ様と二人で旅立つようですわね。
無理もありませんことよ。
今回は退けましたけれど、こんなことが続けば村の人たちがアルピナ様やラシッド様を見る目も変わってしまいますわ。

わたくしたちにできることは、今後も彼らの助けになることと……彼らの旅立ちを、祝福されるものにすることですわ。行きましてよ。

自身の翼で飛び立ち、高空を飛行、地上側を索敵
敵の主力は黒い翼の天使でしたわね。地上のアルピナ様たちを狙うなら、もう少し低空を飛行していそうですけれど……

敵を発見したら荊棘の剣障を使用、風の壁で逃さず、アドウェルサを振るい倒す


玉ノ井・狐狛
一旦は落ち着いたみたいだが、残り火がないとも限らねぇ
後片付けはやっとかないとな

透視と霊的探知を併用しながら、そこらをひと回りしよう
主な目的はふたつ
一、物騒な置き土産なんかがあったら始末する
二、帝国の連中のやり口や得物を改めて検分しておく

やつらはオブリビオンだ、究極のところは何でもアリだろうが……
それでも、“帝国”っつうなら、組織として一定のフォーマットはあるかもだ
傾向があるなら、対策もあり得る
アタシらはまだしも、嬢ちゃん坊っちゃんには備えのひとつもあったほうがイイだろ?
使えそうなネタがあったら流してやろう

ま、哨戒してるヤツらだって居るだろ
今日くらいは休んでもイイんじゃねぇか


シュタルク・ゴットフリート
交流し友誼を得るは、今を生きる者達が為す事。
過去の亡霊たる俺は、過去を正しく過去へ還すに徹しよう。
つまり、残敵の掃討を行う。

選択UCによって砲撃形態へと鎧を変形させ、内蔵火器を主に用いて敵を攻撃していく。
リヒト・ランツェによる砲撃を敵飛空艇へ叩き込み撃沈。
敵兵士はフォイヤ・ヴェスペの【誘導弾】を以て一掃にかかる。
貴様らも全て過去の存在なれば、黙して過去へ還るがいい!

徹底的に殲滅すれば、この島へ再び脅威の迫る可能性も減じよう。
あの少女が何者かは知らぬが、今を生きる者である事は確か。
ならば守り通してみせるとも。



●夜闇に紛れて
 ザエル帝国の戦士たちは、まだ少女を諦めてはいなかった。
 ……というよりも、使い走りである《ザエルの黒騎士》に選択権はない、と形容すべきだろう。
 人々が奥ゆかしく安寧に浸るその時間ですら、奴らは虎視眈々と機を伺う。

 ……だが、それを許さない猟兵たちもいた。
「やはり伏兵が潜んでいましたわね……まあ無理もないでしょうけれど」
 空から地上を偵察していたルビィ・フォルティスは、敵の気配に顔を顰めた。
 所詮は散り散りになった敵だ、殲滅するのには大した労力は要らない。
 しかし、出来れば村人たちに――そしてあのふたりに、気付かせたくはなかった。
「迅速に、そして確実に蹴散らしたいところですが……」
「であれば、この俺の力を貸そう」
 そこにがしゃりと現れたのは、分厚いフルプレートメイルを纏うロケットナイト――シュタルク・ゴットフリートである。
「砲撃形態にて戦闘を支援する。音は大きいが……まあ、宴は騒がしく楽しんでいるようだ。この距離ならば気付かれまい」
「あら……いいんですの? あなたも休んでいてもいいんですのに」
「今を生きる者たちを守るのが俺の使命だ。問題ない」
「――それに、休むってンならアンタもそうじゃねぇかい?」
 と、いつからいたのか……さすらいの博徒、玉ノ井・狐狛が言った。
「とっとと片付けて、みんなで骨休めすりゃいいさ。だろ?」
「――同意します。長時間の戦闘行動は、肉体的・精神的に高い負担のかかる推奨されない行動です」
 そこへさらに、ウォーマシンの女騎兵、ミレア・ソリティスもやってきた。
「村の修復は私のユーベルコードで、出来る限りの作業を行いました。
 現状、村人たちも、例の少女らも敵の存在には気付いていません」
「となれば今のうちに……ですわね。ならもうひと踏ん張りといきましょう」
 ルビィは猟兵たちの気遣いに感謝し、そして表情を引き締めた。
「奴らに二度も安寧を壊させるわけにはいきませんわ。どうぞお力を貸してくださいませ?」
 微笑み、翼をはためかせ――ルビィが先陣を切る。

 先に述べたように、敵の戦力は敗残兵かつ散り散りになったものだ。
 そこに4人の猟兵が力を合わせたとなれば、もはや鎧袖一触も同然である。
「くっ……ザエル帝国の騎士は、たとえひとりになったとて諦めはせぬ!」
「聞こえのいい言葉をおっしゃりますのね。けれど実が伴ってませんわ。
 ならば問わせてもらいますけれど、あなたたちはなぜ彼女を狙いますの?」
「賊ごときに答える舌はないッ!」
「そう、なら――そのまま消えなさい」
 質問によって生じた壁の障壁が、ザエルの黒騎士を取り囲む。
 かまいたちが鋼の鎧を斬り裂き、もろくなったところへアドウェルサの剣戟。
 所詮は徒党を組む敵の一体、鮮やかな剣閃の前には形なしである。
「な、なんて強さだ……イーラ様の実験体さえいれば……!」
「おいおい、そりゃあの獣のことか? まだあンなのが居るのかい?
 やだねぇ……つゥか、その切り札もやられてんだから諦めりゃいいのにサ」
 狐狛は黒騎士の執念深さに呆れつつ、妖狐の炎でその身を苛んだ。
「ぐ、がああ……!?」
「アンタたちのその装備、ただの武器じゃないな……魔術を施してるねぇ。
 つまりおえらいさんは魔術士連中ってわけか、実験体なんぞ生み出すわけだ」
 狐狛はこれからの戦いに備え、敵の装備や戦い方をつぶさに観察する。
 ザエル帝国の物量は強大だ。しかし、何処かに必ず突ける隙があるはず。
 切り札である実験体とやらも、おいそれと投入できるわけではないのだろう。
「嬢ちゃん坊っちゃんのこれからのためだ。ま、アンタらが実験体代わりになるのも因果応報ってやつだろ?」
「お、おのれぇええ……小娘がぁ!」
 黒騎士が斧を振り上げる。刃が赤熱し、鎧に光のラインが走った。
 すると燃え盛る騎士は、意外なまでの速度で間合いを詰める――が。
「貴様らもすべて過去の存在なれば、黙して過去へ還るがいい!」
 DOOOM!! シュタルクのフォイヤ・ヴェスペのスナイプが炸裂!
 重武装モードに変形したシュタルクの砲弾は、命中すれば敵を消し飛ばす威力だ。
 騎士の身体はバラバラに爆ぜ、爆炎によってその残骸も燃え尽きた。
「おっと、こりゃどうも。助かるぜ」
「奴らを二度と空へ飛ばしはせん。これも俺の役目だ」
 狐狛の言葉にシュタルクは生真面目に答え、さらなる砲撃を見舞った。
 それに合わせ、戦闘機形態に変じたミレアの対地攻撃が地面を抉る。
「残存敵兵力を一点に集めました。飽和攻撃で殲滅します」
 KRA-TOOOM!! ふたつの超火力が、地面をクレーターめいて削り取る。
「ざ、ザエル帝国に、栄光あれ……ッ!!」
 もはや黒騎士どもの翼が、空の大気を打つことはなかった。
 地に縫い留められた戦士たちは、爆炎に呑まれて消え去っていく。

 そして戦いは終わり、爆心地に降り立つミレア。
 彼女が拾い上げたのは、黒ずんだ天使核……の、残骸であった。
「これは……どうやら魔術的な処置が施されたもののようですね。
 おそらく《ザエルの獣》同様、黒騎士にも増設処置が施されていたものと思われます」
「天使核ってのは、ようは心臓だろう? それを2つも持ってるってか?」
 ミレアの持つ疑似天使核は、手の中でバラバラと崩れ落ちた。
「……けったいなもんだぜ。ようは人体実験をいとわない連中ってこった」
 狐狛は顔を顰めた。ザエル帝国に倫理観という概念はないらしい。
 もっとも、オブリビオンにまともなモラルを期待するだけ無駄な話だが。
「……あの少女は、ザエル帝国から逃げてきたはずだな」
 シュタルクが重々しい声で言った。
「であれば、彼女も……いや、これ以上は言うべきではないか。
 それにあの少女が何者であれ、今を生きるものであることは確かなのだ」
「そうですわね。ラシッド様もアルピナ様も、こんな連中に追い立てられる謂われなんてありませんわ」
 ルビィはふわりと浮かび上がり、遠くの炎を見た。
 目を細めれば、炎の近くで静かに語らうふたつの影が見える。
「……わたくしたちに出来ることは、今後も彼らの助けになること。
 そして、彼らの旅立ちを、祝福されることにすることですわ。そうでしょう?」
「違いない。さてまあ、仕事は終わったしアタシは休もうかねぇ」
「よろしければ食料を生成できます。味はよろしくないようですが……」
 と、ミレアは食料には思えない四角いキューブを生成した。
「ありがたい話だけど、わざわざ不味いもん勧めるの変わってんなアンタ!?」
 狐狛はかかかと笑い、伸びをして歩き出す。
 夜の闇の中の戦いが、力なき人々に届くことはなかった。
 今はそれでいいのだ――彼らの戦いは、もうすでに終わったのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

……はァ 復興は骨折れそォだなこいつァよ。
まァ人間サマ共の手に任せきりだったらの話だがな。

ぶち壊れたモノそのままにしとくのァ俺の矜持に反するし フェルトもそのつもりらしいしな……おらGULLIVER、仕事すンぞ
【リリパット】共もだ。
(5m大の機械人形と30cm四方の小型人形を飛ばし補修工事をしつつ)

……ン ジャリガキ共か。
生き延びて幸運だったな。
(ろくに顔も見ない侭ぶっきら棒に。)

……そいつも言ってたが俺ァ話すのァ苦手だ。
俺の話よかフェルトの言う事でも聞いてな。

……ただまァ少し言うなら
テメェの気持ちには素直に向き合うこった。

後はそいつの事好きなら
大事にしてやれ。以上。

あ?違うのか?


フェルト・フィルファーデン
◆ケンと
これは、人手が必要ね……それなら!
さあ兵士人形達、皆で村の皆様の力になってちょうだい!資材運びに周囲の警備、他にもやる事はいっぱいよ!

(UCで呼び出し指示を出したのち、自分達は必要な建材を取りに村の外へ。そこで2人と顔を合わせ)

ラシッド様、アルピナ様……本当に、行くのね。
そう……それなら、ちょっとだけアドバイスを。
きっとこれから先、様々な困難が立ち塞がると思うわ。
そういう時はね、誰かに頼りなさい。1人で何でも出来る人なんて、どこにもいないのだから。
今はまだ飲み込めないかもしれないけれど、頭の片隅にでも覚えていてほしいわ!


ケン?それ以上深く聞いちゃ失礼よ?
ふふっ…次に会った時が楽しみね!



●長らく朴念仁してた輩の言うことではない
 がしゃん、がしゃん……と、5メートルほどの機械人形が荒れ地を歩く。
 その後ろにアヒルの赤ちゃんめいて続くのは、30cmほどの小型人形たち。
 ケンタッキー・マクドナルドの操る人形と、
 フェルト・フィルファーデンが召喚した兵士人形のコラボレーションだ。
「いやぁ、助かるねえ。あんたたちはすごいもんを持ってるんだな」
「ハッ、当然だろ。俺は"神の手"だぜ?」
 感謝を述べる村人に、ケンタッキーはいつものドヤ顔で笑った。
 ふたりは村の復興を手伝うため、人形たちを労働力として貸し出したのだ。
 人形は疲れることもない。復興作業は劇的な速度で進んでいた。
「この砦はどうしようかしら? 守りを考えるならあるべきだけど……」
「ア? ンなもん村の重要文化財に指定するに決まってンだろ」
「真顔でそんなこと言わないでくださるケン!? 普通に恥ずかしいわ!」
「いやだってフェルトが作ったンだぜ、むしろ国宝級の……」
「もうっ、そういうのはいいから! ……バラして資材に使いましょうか」
「なンでだよ!? 世界遺産なンだぞ!」
「だから、そういうのがあるからよ! もうもうもう!」
 ぽこぽことフェルトがケンタッキーの胸板を叩く様子も、微笑ましかった。

 ……夕方にかけての作業を復興に費やしたふたりは、夜の島で野営をする。
 宴に混ざるという提案もあったが、ケンタッキーが居心地悪くしていたため、
 どうせならふたりきりの時間を過ごそうということで辞退した次第である。
「ケンは相変わらず人付き合いが苦手なのね……まあ、それでいいけれど」
「必要ねェんだよ俺の人生にゃ……ア?」
 などと、ぶっきらぼうに言うケンタッキー。

 そんなところへ、ラシッドとアルピナがやってきた。
「あの、失礼しま……ひぃっ!? ご、ごごごごめんなさい失礼しました!」
「ラシッド。こわいからって、すぐ帰ったら、だめ」
 ケンタッキーの(本人には特に悪意はない)ガン付けにビビるラシッド。
「別に帰れたァ言ってねェよ……用件はなンだ?」
「ケン、睨んじゃダメよ。……話をしにきてくださったのでしょう?」
 フェルトが助け舟を出すと、ラシッドはこくりと頷く。
「はい。助けてくださったお礼をいいたくて……」
「そうかよ。ま、生き延びたのは幸いだったな、ジャリガキども」
 ケンタッキーはフン、と目を焚き火に戻し、ろくに顔も見ずに言った。
「じゃりがき、って何?」
「なんだろう、僕もわからないな……」
「チッ」
「うわぁ!? す、すいません!」
「ケン! ……気にしないで、ケンはちょっと不器用なの。いえ、指先は器用なのだけれど」
 フェルトはふふ、と笑って彼の非礼をわびつつ、ふたりに言った。
「おふたりは……本当に、旅に出られるのね?」
「……うん。ここにいたら、村の人たちに迷惑がかかっちゃう」
「僕もついていきます。村の人たちには、親なしの僕を育ててくれた恩があるし、家族みたいなものだけれど……それでも、僕がそうしたいと思いましたから」
「そう……なら、ひとつだけアドバイスをさせて?」
 フェルトは真剣な面持ちになる。
「きっとこれから先、あなたたちの前には様々な困難が立ちふさがると思うわ。
 そういう時はね、誰かに頼りならい。ひとりでなんでも出来る人なんて、どこにもいないのだから」
「「……」」
 その言葉を咀嚼しきれていない様子のふたりの顔を見て、フェルトは笑った。
「今はまだ飲み込めないかもしれないけれど、頭の片隅にでも憶えていて!」
「…………」
「ケン? あなたからは何かないのかしら?」
「ア? 俺ぁ……」
 しばらく視線をさまよわせ、ケンタッキーはそっぽを向きつつ言った。
「……まァそうだな。テメェの気持ちには素直に向き合え。そンぐらいだ」
「ありがとうございます……自分の気持ちを大事に、ですね」
「そォだ。そいつのこと好きなら大事にしてやれ。以上」
「はい、大事にさせて……はっっ!!?!?!?」
 素直に頷いていたラシッドは顔を真っ赤にして素っ頓狂な声をあげた。
 アルピナはきょとんと首を傾げている。よくわかってないらしい。
「あ? 違うのか?」
「い、いいいいいいいいや違うとか違わないじゃなくて、そのえっとあのその」
「……ケン、その言い方は失礼よ?」
「いやだってこいつどう見てもそこのガキを好」
「ケン。」
「……アッハイ」
 フェルトの笑顔の"圧"に、なぜか脂汗が止まらないケンタッキー。
 長らく片思いを秘めていたフェルトである。色々思うところあるのだろう。色々。
「……どうしてラシッドは、慌ててるんだろう……」
 アルピナだけが、意味がわからず首を傾げるばかりだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジョン・ブラウン
【悪巧みの宴】
「へーいお2人さん、お腹すいてない?」
アルピナとラシッドに向けてトングをカチカチ鳴らして呼びかける

「たくさんあるから吸い込むくらいの勢いで食べちゃって良いよ」
鉄板の周りでは焼いた端から白い饅頭の群れが肉を食い散らかしている

「アレが食べ尽くす前に……」
『タレが足りねぇむー』『素材の味が分かる塩が至高だむー』『わさび醤油寄越すむー』

「僕の仲間もちょっと落ち込んでるみたいだけど、世の中だいたいの事はお腹いっぱいになったら何とかなるもんさ」

「だから君たちも、辛い事あったらまずご飯」
「それでもちょっと無理そうだったら」

「いつでも何処でも僕ら呼びなよ」

「嫌ってほど苦笑いさせてあげるからさ」


詩蒲・リクロウ
【悪巧みの宴】
リクロウはガチ凹みしていた。

薄々気付いていた自身の火力不足、ひいては能力不足を先程の戦闘でまざまざと思い知ったからだ。
今までなまじチームで動いていたから、そこら辺をなぁなぁにしてもなんとかなって来た。(しめじをもしゃり)
しかし、最近ではもっぱら囮役かツッコミ役ぐらいでしか活躍出来ていない。(かぼちゃをもしゃり)

このままでは駄目だ。(犬畜生の謎粉を突き返す)

そろそろ修行パートに入らねばならない!
「(ガタン)と、言うわけで僕は旅に出ます!探さないでください!!!!アイ、キャン、フラーイッ!!」

そうしてリクロウはクェンビーに回収されるまでそれはそれは長い長いバンジーをしていたとさ。


曾場八野・熊五郎
【悪巧みの宴】
「うーんやっぱ変に味が混ざったみたいな味がするでごわすな……」
「ちょっと!肝と心臓は我輩のものでごわす!ハイエナやめて!」
生の肝臓を抱え込んでムチャムチャ食べてる犬

「なんだヤギトリイヌ肉食べないでごわすかトリニク?」
「しょーがない我輩が食欲増進させてやるでごわす」
グラサンかけてスペース犬の餌(粉末)をリクロウの分にファサァ……とかける
「この美味しさはDNAに素早く届く。おあがりよ」

犬の餌パウダーを拒否されたことをトリガーにUC発動
5倍速で白饅頭の群れに突っ込んで食卓を蹂躙する
「ゴワハハハ、所詮一頭身じゃ我輩の動きについてこれま……」
後ろで追いかけて来るのを見て真顔で逃げ出す


ティアー・ロード
【悪巧みの宴】
「ヒレか
悪くない。酒に合いそうだね」
折角だし飲もうか
樽で赤ワインを持ち込むよ!
(盛大に酔っぱらう)

【少年少女への酒乱】
「ふふっふっはー、乙女を悪に引き込むのは感心しないぞージョン!」
「なんでかって?乙女の危機に何時でも駆け付けるのがヒーローなのさ
なぁ、クェンビーくん!」
悪のジョンは横に置いて
空しか知らぬ少年少女たちにヒーローの何たるかを語ろうじゃないか!

【獣共への酔いどれ】
しかし、あっちは暗いな?
ツッコミも少ないし、ジョン達に絡んだ後に様子見に行こう……
「ってどっかいっちゃったな……ありゃ、ガチ凹みか」
本人も言ってたし探さないでいいさ
宴が終わるまではほっとくね、撤収の時は手伝うよ


リチャード・チェイス
【悪巧みの宴】
本日入荷いたしましたセラフィムビーストは程よい運動量により身がよく締まっております。
捕れたての荒々しい野性味をどうぞお楽しみください。
香り高く焼かれた肉をそれぞれの皿に盛りつけていくのだ。
ティアー:脂肪分に配慮したヒレ
ジョン:肉らしさが味わえるロース
熊五郎:血滴るハツ
リクロウ:しめじ

「…………」
リクロウ:カボチャ

「……若きシャーマンズゴーストよ、ツッコミが弱々しいであるぞ」

「悩みたまえ。人生、回り道は悪いものではないのであるぞ」
「この広い空は思考を深く導いてくれるであろう」
(リクロウの脚にゴムを結びつける。へい、バンジー)



●悪巧みの宴
「へーいおふたりさん、お腹すいてない?」
「「え?」」
 ラシッドとアルピナは、出し抜けに声をかけてきたジョン・ブラウンに目を丸くした。
 なにせ彼はトングをカチカチ鳴らしながら(お下品である)ギークどころか陽キャそのもののノリで誘いに来たのである。
「ま、まあお腹は少し……アルピナは?」
「…………」
 ぐぅ~きゅるるる。と、アルピナのお腹が大きな音を立てた。
 ほんのりと頬を赤くするアルピナ。ジョンはくしゃりと破顔する。
「たくさんあるからさ。吸い込むくらいの勢いで食べちゃっていいよ」
「たくさん……って、もしかしてあの《ザエルの獣》の?」
「うん、そう。早くしないと、アレが食べつくしちゃうっていうかさ……」
 ジョンがトングで示した(お下品である)先には鉄板があり、肉がじゅうじゅう焼けている。

 ……その肉を、なんか白い饅頭みたいのの群れが貪り食っていた。
『タレが足りねぇむー』
『素材の味がわかる塩が至高だむー』
『わさび醤油よこすむー』
『お前らわかってねえむー、こういうのはそのまま頬張るのが贅沢むー』
『マヨネーズないかむー?』
『マヨネーズとか狂ってるむー?』
『は?』
『は?』
『おい喧嘩すんなむー! ポン酢でいただくのが一番なのは明らかむー!』
『『『は?』』』
『は?』
 なんか喧嘩してるこいつら! 不毛!
「……なんだか、騒がしい……ですね。あはは」
 ラシッドは色々オブラートに包んだ意見を述べた。
「……他のひとたち、は?」
 アルピナは、ジョン以外の悪巧みメンバーが気になるらしい。
「ああ……僕の仲間はあっち。ひとりなんだか落ち込んでるのがいてね。
 でも、世の中だいたいのことはお腹いっぱいになったらなんとかなるものさ」
 ジョンはそう言って、微笑んだ。
「だから君たちも、辛いことがあったらまずご飯だよ。ほら、あんなふうに」
 ジョンがトングで指し示した(お下品である)先では……。

「本日入荷いたしましたセラフィムビーストは、ほどよい運動量により身がよく締まっております。捕れたての荒々しい野性味をどうぞお楽しみください、である」
 なぜか給仕姿でズパッとお辞儀するリチャード・チェイス。あれっ分身は?
「香り高く焼いたこの至高の肉、存分に味わうがいいである……」
 そして優雅に皿によそっていく、の、だが。
「これ! 肝は我輩のものでごわす! よこすでごわす!!」
 きったねえ食い意地張ってしっぽ振りながら皿を奪い取る曾場八野・熊五郎。
「私のぶんはヒレか! 悪くない、酒に合いそうだね!」
 とか言いながらもうガッパガバ呑んでやがるティアー・ロード。
「……………………」
 そして、この世の終わりみてえな顔をしながら、肉ではなくしめじをもしゃもしゃ食べている、なんだかガチ凹みしている詩蒲・リクロウ。散々な図だ。
「はぁ…………」
 そう、リクロウは凹んでいた。チーム発足以来のめちゃテンサゲ状態である。
 その理由は、言うまでもなく先のセラフィムビースト戦にあった。

 ……セラフィムビーストの強固な筋肉に、リクロウの攻撃は通じなかった。
 熊五郎(皿を咥えて血走った眼で存在しない敵を睨んでいる浅ましい犬っころ)のおかげで難を逃れたとはいえ、その事実はリクロウに重くのしかかった。
 今まではなまじチームで動いていたから、実力差とか火力不足とか、そういうシビアな部分をなあなあにしてもなんとかなってきた(だってこいつらまともに戦うことのほうが少ないし)
 しかし、しかしだ。最近の自分を思い起こしてみると、ろくなことがない。
 砲弾代わりにぶっ飛ばされたりテレポートさせられたり……あれっこれは自分全然悪くなくないか?
 ……まあそれはさておいて、やることといったらもっぱら囮役かツッコミ役ぐらいのもの。
 はたして、そんなふうにしか活躍できない自分はこのチームにいていいのだろうか。
 ……そんなことを、リクロウは考えていた。

 だがあえて、そのトンチキを書いている立場から言わせてもらいたい。
 あんたがいないと場が成り立たねえんだよ! ツッコミ役の居ないチーム悪巧みとか首輪外れた狂犬ですよ! いやもう今の時点で狂犬だけど!
 頼むリクロウ! 心折れないでくれ! どうか我々のためにも!!(切実)

 閑話休題。
「このままではダメだ……」
「なんだヤギトリイヌ肉たべないでごわすかトリニク?」
 神妙な面持ちで思い悩むリクロウに、犬畜生こと熊五郎が寄ってきた。
「しょーがない我輩が食欲増進させてやるでござる」
 スチャッ。なぜかグラサンを取り出すと、ご自慢のスペース犬の餌を肘を曲げてファサァ……とかけようとするのだが。
「この美味しさはDNAに素早く届」
「要らないです」
「おいセリフ最後まで言わせろでごわす」
「要らないです」
「なんでこざるかそのセメント! トリニクの分際で!!」
 熊五郎、キレた! ものすげえスピードで食卓を蹂躙し始める!
「ちょっとー、なにこれ!? 何が起きてるの!?」
 そこに駆けつけたグリモア猟兵、暴れ散らす犬畜生にドン引き!
「いやぁ、何が起きてるんだろうねぇ? ぶどうジュースが美味しくてわかんないねぇ!」
「それワインだよね!? めちゃめちゃお酒臭いんだけど!?」
「ジュースが美味しいからわかんないねぇ! ははは! 美味しいから!
 それにジョン、乙女を悪に引き込むのは感心しないぞ!
 なぜかって? それは乙女の危機にいつでも駆けつけるのがヒーローなのさ。
 なあキミもそう思うだろうクェンビーくん! ぶどうジュース飲む?」
「呑まないよ! まずはあの人……人? 止めないとでしょ!?」
 だがティアーは酔っ払ってるしジョンはふたりを巻き込まないようさりげなくカバーしてるしリクロウはもしゃもしゃかぼちゃ食べてるしでどうしようもねえ!
「ゴワハハハ、所詮一頭身じゃ我輩の動きについてこれま……」
『『『『『肉の時間を邪魔するやつはぶっ殺してやるむー』』』』』
「ギョワー!?」
 けしかけられた白い饅頭めいた奴らに真顔で逃げ出す熊五郎! 悪は去った!

「……なんだあれ」
「なんだろうね……」
 ラシッドとアルピナはドン引きしていた。
「その苦笑いをいつでもご提供するよ。だから、困った時は僕らを呼びな」
「この流れでカッコいいこと言われても台無しというか……」
「……ねえ、ラシッド。あのひと、飛ぼうとしてる」
「え? えー!?」
 アルピナに言われて気付いたラシッド。なんかリチャードがリクロウの足にゴム巻いてる!
「……若きシャーマンズゴーストよ。おお、ツッコミすらも弱まった若人よ。
 悩みたまえ。人生、回り道は悪いものでもないのであるぞ」
「だからって飛び降りるのはまずいですよ!?」
「この広い空は、思考を深く導いてくれるであろう」
「いいこと言ってますけど死んじゃいますよ!?」
「少年よ、そのツッコミ大事にするのである」
「普通に止めてるんですが!?」
 ラシッドの話は一切聞かないリチャード!
「そうですね」
 しかもリクロウはツッコミどころかなんか同意した!
「僕は旅に出ます、探さないでください!!」
「うん、探さないよ」
「言われなくても特に探しはしないよね」
「そういうとこですよあなたたち!! ええい、アイ! キャン! フラーイ!!」
 リクロウ、飛んだー!!
「……えっ、クインがあれ回収するの?」
「そりゃまあグリモア猟兵なんだしね(ジョン)」
「クェンビーくんには迷惑をかけるね。ぶどうジュース飲む?」
「呑まないよ!?」
「ではこの鹿を飲むといいのである」
「鹿……を飲む……って、何……!?!?」
 完全に悪絡みしているアレな野郎ども。
「ふふっ。あのひとたち、面白い」
「……まあ、いつでも笑いを提供してくれるのはいいこと……なの、かな?」
 微笑むアルピナを見て、首を傾げつつも無理やり納得するラシッドだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・ノウェム
【POW】
それでは報酬の時間、です
……確かに村はこの有様ですけど、あいつらが肉と素材の塊を慰謝料代わりに置いてったです
だから今回のお助け料はそこからもらうです

エル・セプスの外装形態を纏ったままでいるです
…?どうしてって、あいつらが慰謝料惜しさにまた来ないか一応警戒が必要ですし、
こうして過ごすほうが慣れてるからです?

とりあえず獣を移動するなら手伝うです、
でも解体は、以前ファングでやろうとして台無しにした事があったので黙ってみてるです
解体する人が自分の分を取った後に天使核を、無くなってればお肉をもらうです
で、お肉はおなかすいたので持って帰ったりしないでこの場で焼いちゃうです
※アドリブ他歓迎、です



●報酬の時間
 勇士といえど、何の見返りもなしに戦っているわけではない。
 助けた村人や飛空艇乗りからの報酬は、お互いに対する礼儀、誠意、そういったものだ。
 だから村人たちは、ヴィクトリア・ノウェムの申し出に喜んで応えた。
 見返りがあるからこそ人は動ける。これは信用の問題なのだ。

「ところでお嬢ちゃん、どうしてその鎧……? を纏ったままなんだい?」
「……あいつらが、慰謝料惜しさにまた来ないか一応警戒が必要です」
 村人の問いかけに、外装着衣形態のヴィクトリアは首を傾げた。
「それに、こうして過ごすほうが慣れてるからです」
「そうかい。物騒だねえ……まああんたがいりゃ安心だ」
 村人たちは呵呵と笑い、セラフィムビーストの解体を続けた。
 すでに他の猟兵の解体の手が入ったおかげで、作業はスムーズに進む。
 そして胴体を切り開くと、何個目かの天使核が顔を覗かせた。
「これで三個目……いや四個目か? 巨大魔獣にしたって多すぎるぜ」
「報酬が潤ってなにより、です。いただくです」
 ヴィクトリアは血に塗れた天使核を受け取り、布で拭った。
 今でも脈動していると思えるほど、その天使核に秘められたエネルギーは大きい。
「これほどの天使核を一体の魔獣に詰め込むとか、頭がおかしい、です。
 でもそのおかげで私は得を出来たので、これは僥倖というやつ、です」
「難しい言葉知ってるねぇ。肉はどうするんだいお嬢ちゃん」
「それはもちろん持って帰り……」
 ぐぅ~、きゅるるる……と、ヴィクトリアのお腹が盛大に鳴った。
「……予定変更、です。おなかがすいたので、ここで食べちゃうです」
「んじゃあみんなで焼こうか! 飲み物もあるからたっぷり楽しんでくれ」
「……まあ、焼いてくれるなら手間が省けてありがたい、です」
 村人たちの申し出に、ヴィクトリアはやや戸惑いがちに頷いた。
 金勘定ばかりの少女は、こういう暖かな空気に慣れていないらしい。

 それからしばらく、村を救ってくれた恩人を歓待する宴は続いた。
 もてはやされるヴィクトリアは、困惑しつつも悪い顔はしていなかったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黎・嶺依
【黒幇】
あまり長く雲華より離れることもできぬが
さりとて残党の脅威を無視することもできぬ
人は好かぬが、妾たちの努力が泡と消えるのを見るのも業腹じゃ
…一羽、残骸の解体に勤しむ輩もおるしのう

者ども、野営の準備せい
暗部とはいえ街を護る者として、外敵を倒して村を救った気でいてはならぬ
復興への助力、並びに周囲の警戒が妾たちの新たな役目じゃ
務めを怠った者は、妾の手がけた炊き出しにはありつけぬと思え


尸・骸燐
疲れたけど中々楽しかったね。

私は残骸の解体に加わるよ。だって、解体すればお肉いっぱい出るよね。
食べれそうな色んな部位を焼いて食べるんだ。
骨とかは要らないから霞月の手伝いもしてあげる。
感涙して五体投地で喜ぶと良いと思うよ。

あ、老大、炊き出しにお肉って使う? 使うなら持っていくよ


趙・昊天
【黒弊】

解体すんのぉ!?
霞月ちゃんってば貪欲だねぇ
骨の髄まで頂いちゃうって感じ?

周囲の警戒なら俺も任せといて
ちょいと馬に戻ってくるわ
迷い込んで此処に近づいたとあっちゃ「心の隙」が出てくるっしょ?
その隙をついて俺は攻撃するわけ
霞月ちゃんはその間に解体でもしといてよ

それにさ
公主の炊き出しめっちゃ楽しみだからさーぁ
…………邪魔されちゃ困るんだわ


黎・霞月
【黒幇】

セラフィムビーストの骨と爪と牙が欲しい
可能なら目玉も欲しいし、血肉も解析してェけど
【解体】に混ざって来るかなァ

おいでェ、飛
周辺の警戒しといてやってェ
敵の残党の可能性もあるけど、こういう時は火事場を荒らす人の方が怖ェからなァ
相手が人なら殺しちゃ駄目だよォ、飛

嗚呼、そうそう
一応、周辺には【浄化】掛けとくよォ
ま、必要ねェかもしンねェけど、やらないよりはやっといた方が良いでしょ
少なくとも、場の気配や空気は綺麗になるしィ
我も人は好かないけどねェ、嶺小姐が望むならお仕事くらいはしてあげるよォ


梁・雨龍
【黒幇】
ひとまず当分の驚異のほうは去った、といったところか
勝利の余韻に浸るのもいいが、まだ残党がいくらか残っている可能性もなくはないよねぇ
公主殿は夜営の炊き出しをすでに行っているし…化物の解体など、霞月殿のような物好きでもなければやるものでもあるまい。
となれば、僕のやることは残党の警戒と駆除…だな。

野営地から少し離れた箇所で全体を俯瞰しながら、残党のいる位置を監視するとしよう。
少しでも向こうが何か仕掛ける動きを見せたら…脅しと称して叩くとしようか。

あれだけ痛い目を見てまだ懲りない輩がいるのか…。
だがこれ以上この地に近づくのならば、容赦はしないよ?



●黒幇の宴
「……ふう」
 夕暮れ。黎・嶺依は少々疲れたようなため息をついた。
 彼女は様々な事情により、根城である雲華市を離れることが出来ない。
 それに慣れない世界は、羽衣人にとって少々負担のかかる場所なのだ。
「さりとて、残党の脅威を無視することは出来ぬ……か」
「ならさァ、飛に見張りさせとけばいいっしょォ。おいでェ」
 黎・霞月が名を呼ぶと、従順なる猛虎が空より降りてぐるる、と喉を鳴らす。
「こういう時は火事場を荒らす人のほうが怖ェからなァ……。
 相手が人なら殺しちゃダメだよォ、飛。それ以外なら食っちまいな」
 虎はこくりと頷き、韋駄天めいた速度で姿を消した。
「で、我は魔獣の解体っとォ。あの素材使ったらどういうのが出来るか気になるからねェ」
「解体!? それ面白そう! お肉もいっぱい出るよね」
 と、尸・骸燐が目を輝かせて言った。
「食べれそうなとこは焼いて食べたいなぁ。分前でもらえるんでしょ?
 あ、骨とかは要らないから手伝ってあげるよ。感涙して五体投地で喜ぶといいよ」
「手伝ってくれンのはありがたいけど、絶対ェそんなことしねェ」
「えー、なんでさ。この私が手伝ってあげるんだよ? 感涙ものでしょ?」
「だからだってンだよォ」
「肉……ふむ、肉か」
 ふたりのやりとりに嶺依はしばし何かを考え、ぽんと手を打った。
「よかろう、ならば此度の任務は、村の復興補助と周囲の警戒としよう。
 者ども、野営の準備をせい。務めを怠った者は、妾の手掛けた炊き出しにはありつけぬと思え」
「はいはァい」
「はーい! 老大の炊き出しって楽しみー!」
 気楽に返事するふたり。そこに趙・昊天が加わった。
「へいへいっと……公主の炊き出しかぁ、楽しみだねぇ。こりゃ働かないとだ。
 解体なんて作業俺には無理だし、ちょっくら馬に戻って駆けてこようかね」
「……残党の警戒は僕も行くつもりだったけど?」
「ならふたりでやりゃ話は早いっしょ。村の周辺は飛がやってくれるみたいだしな」
 梁・雨龍の言葉に、昊天はへらりと笑った。
「勝利の余韻に浸ってる時こそ、備えが万全……ってな?」
「……同意見だ。なら、ふたりで手分けしてやるとしようか」
「おうよぉ。ま、本当なら俺ひとりに任せてくれてもいいんだけどねぇ」
 などと言いつつ、昊天は瑞獣としての本来の姿に戻り、駆け出した。
「僕は全隊を俯瞰できそうな場所で見張りをしていよう。
 公主殿、夜営の守りはご安心あれ。残党は誰一人として近づけさせない」
「うむ、頼りにしておるぞ。人は好かぬが、妾らの努力が泡と消えるのは業腹じゃ」
「そうですね。……それでは」
 雨龍が姿を消すと、嶺依はセラフィムビーストの死体を前にきゃっきゃと騒ぐふたりを振り返った。
「これふたりとも、あまりはしゃぐでないぞ! 妾らだけの獲物ではないのだ」
「えェ~? 骨も爪も牙も目玉もぜェんぶ欲しいンだけどなァ」
「霞月は欲張りすぎるね。私は肉だけでいいから謙虚だよ」
「汝はその肉すべて食べつくす勢いであろうが……程々にせい、程々に」
 嶺依はいつものペースのふたりに、やれやれと嘆息した。

 同じ頃、雨龍は野営地および村から離れた高い丘の上に座していた。
 ここからならよく見える――常人の視力ではぼんやりとしか見えないだろうが。
「あれだけ痛い目を見て、まだ懲りない輩がいるとも思えないが……」
 雨龍には理解しがたいことだが、連中にも忠誠心らしいものはあるようだ。
 より正確に言えば、それ以外の選択肢を許されていないというべきか。
「――あそこか」
 村よりやや離れた窪地に、数体の黒翼騎士の姿が見えた。それも別々に二群。
 めざとくそちらへ向かう昊天もいる。
「あちらは任せてよさそうだ」
 雨龍はつぶやくと、もう片方の騎士の群れめがけ、丘を飛び降りた。
 彼は「脅し」で留めるつもりだが、敵が引かなければそれはそれ。
 そして雨龍の寛大な慈悲を、黒騎士どもが解するわけもなく。
 ほどなくして、窪地には血が溢れ、雨龍は呆れながら場を去ることとなる。

 ……その頃、昊天はというと。
「くそっ、白金の乙女はいないか……奴らめ、のうのうと勝利の宴などを」
「皆殺しにしてやりたいが、さすがに戦力が心もとないな……」
 偶然にも村に近づいてしまった黒騎士たちは、怒りと恨みで心に隙を生んだ。
 自分たちが狩られるとは思っていない、敗残兵の分際での慢心である。
「いけねぇなぁ、いっぺん敗けた分際で油断してんのはさぁ」
「「「――!?」」」
 空を見上げれば、そこに瑞獣が居た。
「な、貴様は……」
「こっちにはお楽しみがあるんだよ。邪魔されちゃ困るんだわ」
 燃えるような怒りを瞳に宿して、瑞獣――つまり昊天は風を放った。
 かまいたちめいた風が、油断していた黒翼騎士どもの鎧の隙間に滑り込む。
 あるいは、死にたくないという、騎士ならざる弱さというべきか。
「ま、待て! 我々はまだ手出しをしては――」
「これからするつもりなんだろ? じゃあ同じだよ。死にな」
 無慈悲なる風が首を刎ねた。返り血を浴びて、昊天は人の姿に戻る。
「俺らに楯突くってのがどういうことかを、お偉いさんにも理解してもらわねぇとなぁ?」
 不遜に、そして残酷に微笑むさまは、まさしく暗部の住人たる威風があった。

 はたして日は暮れ、夜がやってくる頃。すなわち、宵の口。
「たーだいまっとぉ。いやぁ疲れた疲れた、もう働きたくないねぇ」
「案の定愚かな連中がいたよ。……飛もひとりふたり仕留めたようだね」
 昊天と雨龍が戻ってくると、じゅうじゅうといういい音と素晴らしい香り。
「おっかえりー! そろそろ出来そうだよ、お肉!」
 骸燐がうずうずした様子で焼き上がりを待っていた。
「おぉ、いいじゃん。……って、ちょっとこのへん空気よくなってない?」
「あァ、一応我が浄化しといた。必要ねェかもだけどねェ」
 霞月がひらひらと手を振る。
「人を好かないという割に、世話焼きだね?」
「嶺小姐が望むならお仕事くらいはしてあげるよォ。素材もたんまりもらえたしィ」
 そう言う霞月の隣には、骨やら爪やら牙やら目玉やらの素材の山。
 血なまぐさい素材を、霞月はさっそく何かの術で分解したりしている。
「これ霞月、これから食事だというのに何を散らかしておるか」
 などと口うるさく注意する嶺依は、完全におかあさんである。
「汝らも身を清めてこい。血の匂いが染みついておるぞ」
「はいはい、っと」
「これは失礼を。死んでまで迷惑をかけるな連中は……」
 ぶつくさ言いながら夜営の拠点に入るふたり。嶺依はよいせ、と食材を並べていく。
「世界はことなれど、晩餐はみな揃って楽しんでこそというものじゃ。
 全員よく働いたゆえ、妾の手掛けた食事を楽しむことを許す。無礼講じゃぞ」
「さっすが老大、話がわかる~!」
「汝は食いすぎないようにせよ。……限りはあるんじゃからな、限りは」
 小言を言いつつ、嶺依は苦笑めいて微笑んだ。
 月の見守るなか、身を寄せ合う仲間たちのささやかな宴が始まる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
さて、とりあえず一段落かな。
人を安心させるなんて柄でもないしそっちは他の人に任せて、
セラフィムビーストの解体を手伝おうか。

解体が終わったら少し肉を分けてもらって、適当な所で野営しよう。
肉は煮込んでスープにでもしようかねえ。
野菜や香草なんかを入れて、なんとなくいい感じになったら完成かな。

散歩をしてる少年少女が近くを通るなら挨拶くらいはしておこうか。
戦ってる間は話す機会もなかったし。
お腹が減っているようならスープを分けてあげてもいいかな。

まあ、きっとこれから色々あるだろうけど、
そうすると決めたんだったら、やりたいようにやってみるといいよ。
帝国と戦うのなら、縁があればまた会うこともあるかもね。



●戦いのあとのひととき
「ふぅ~……なんだか今日はえらい働いた気がするねぇ」
 戦い終わって日が暮れて、村から離れた場所に設営された野営地。
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードは温かいミルクの入ったカップを手に、ようやく訪れた穏やかな時間と戦いのあとの余韻に浸っていた。
 血の高揚は心地よい――しかしそれは酔いしれてはならぬ快楽だ。
 生きるために狩るというやり方を誤れば、あのオブリビオンのようになる。
 戦いで火照った身体を休める時間は、ヒトの側で生きるために必要な時間だ。

 そんな彼女の前には焚き火があり、使い古した鍋が吊るされている。
「そろそろ具合はいいかねぇ……おお、いい感じじゃないか」
 蓋を開くと、その中にはほこほこと煮え立つスープが入っていた。
 ふんだんに放り込まれた肉は、言わずもがなセラフィムビーストの肉である。
 解体を手伝ったお礼にと、村人たちから送られた感謝の品だ。
 森に入って摘んできた野菜や香草が、食欲をそそるいい香りを生み出している。
「戦いのあとの腹ごしらえってのはいいもんだねぇ……おや?」
 ちょうどペトニアロトゥシカがスープに手を付けようとしたところで、少年と少女がやってきた。
「あ……ごめんなさい、お食事中に」
「……おいしそう」
「いやいや、気にしないでいいよ。戦ってる間は話す機会もなかったろう」
 ペトニアロトゥシカは目を細め、ちょいちょいと手招きした。
「スープ、分けてあげるよ。喋りながら食べようじゃないか」
「いいんですか?」
「そっちの子はお腹をすかせているみたいだしね?」
 アルピナはほんのり顔を赤くし、ラシッドの影に隠れる。
 ペトニアロトゥシカはにこりと微笑み、彼らのための椅子を出してやった。

 ……丁寧に煮込まれたスープは、肉の旨味が溶け込んで絶品なものである。
 この季節でも、空高くに浮かぶ島々では夜になると非常に冷え込む。
 寒々しい宵の空の下で食べる暖かなスープは、得も言われぬご馳走だ。
「そうかい……旅に出て勇士に、ねぇ。まあそう決めたんならそうするべきだよ」
 ラシッドの決意を聞いたペトニアロトゥシカは、スープをかき混ぜつつ言った。
「きっとこれからも色々あるだろうけど、やりたいようにやるのが一番だからね。
 帝国と戦うなら、縁があればまた会うこともあるかもしれない」
「はい。その時はもっと強くなって、少しでも戦えるようになります」
「勇ましくていいことだ。……それで、お嬢さんのほうは?」
 水を向けられ、アルピナは肉をごくんと飲み込むと、目線をさまよわせた。
「……わからない。守られるだけじゃなく強くあれ、とも言われたけど。
 私は、みんなに迷惑をかけたくない。この島の人たちにも、ラシッドにも……」
「……なら、強くならなくちゃね。向こうは放っておいてくれないんだ」
 空になったアルピナの皿に、ペトニアロトゥシカはスープをよそった。
「けど、力に溺れちゃいけないよ。守るために戦うことと殺すために戦うことは違う。……まあ、ふたりを見てると、間違う心配はなさそうだけどねぇ」
 未来ある若者たちの姿に、ペトニアロトゥシカは眩しそうに目を細めた。
 次に会えた時、彼らは……彼女らは、どれだけ立派になっているだろうか。
 出会うことが戦いを意味することは心苦しいが、ペトニアロトゥシカはそんな未来が楽しみでならなかった。
「楽しいことが、少しでも多く待っているといいね」
 ペトニアロトゥシカの言葉は、幸運を祈るまじないにも似ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
クラリスさん(f30400)と

よし、作戦後の休息に野営をしよう
屋外調理用の道具は天狼に積んである
疲れた体には甘い物がいいだろうから…簡単なお菓子でも作ろうか
この串にマシュマロを刺して焼いてくれるかい?
とろけてきたら教えて

作り方は結構簡単だ
グラハムクラッカーの上に割った板チョコを乗せる
更にその上に、焼いていい具合になったマシュマロを乗せて、もう一枚のクラッカーで挟む
スモアって言うんだって 屋外でバーベキューしたりするときに、デザートなんかで振舞われるポピュラーなメニューらしい

甘くておいしいよ…お供にコーヒーも付ける?
零さないように、気を付けて食べてね
それじゃ、いただきます!


クラリス・クレスト
ルヴトーさん(f31792)と

お疲れ様、ルヴトーさん
野営……かあ、ボクこういうのもしたことないや
手伝うことなにかある?
あ、この白いやつ?を、串に刺して焼けばいいんだね
それくらいならボクでもできるかも
……あ、ちょっと焦げ目ついちゃったけど大丈夫かな?

手際よくお料理が進んでいくのをじっと見てる
こういう「人間」らしい営みに、憧れないことはないんだけど
ボクはこういうのも忘れちゃうだろうから、なあ

こーひーは……お砂糖とミルクがあれば……
えっと……ありますか……
子ども扱いも今日ばかりは反論できない……はい、いただきます

……うん、美味しい
なんだか、困っちゃうね
覚えておきたいことが、どんどん増えていくなあ



●人間らしい営み
「えーと、屋外調理用の道具は……よし、あった」
「……ルヴトーさん、なにか手伝うこと、あるかな?」
 膝を突いた天狼のバックパックをごそごそと漁るルヴトー・シフトマンを、
 クラリス・クレストは所在無げに、そして物珍しそうに眺めていた。
「ん? ああ……大丈夫、道具は一通り用意してきたし、設営も俺がやるよ」
「そっか。……野営って初めてだから、役に立てなくてごめんね」
「何言ってるんだクラリスさん、気にしなくていいって」
 ルヴトーはクラリスに苦笑し、てきぱきと慣れた手付きで調理道具を広げる。
「……ルヴトーさんは、野営って経験あるの?」
「まあね。小さな頃から親父に色々と教えられたんだ」
 狼の長たるもの、権力にふんぞり返って部下によりかかってはならぬ。
 群れの長とは群れの中でもっとも強く、賢く、たくましくあるべきもの。
 己の食い扶持も用意できないようでは、情けなくて誰もついてはこない……。
 父の厳しい言葉と、険しい山に登って過ごした日々が脳裏によぎる。
「ボク、こういうのもしたことないや……」
 クラリスには、そういう人間的な経験が欠損していた。
 彼女はキャバリアの部品(のう)であり、戦うことが使命だったから。
 少し寂しげに言うクラリスに、ルヴトーは白いふわふわしたものを差し出した。
「じゃあ……これを串に刺して焼いてくれるかな」
「? この白いやつ? は、なんていうものなの?」
「マシュマロっていうんだ。焼くととろけて美味しくなるんだよ」
「ふうん……食べ物なんだ。変な見た目だね」
 クラリスは串を受け取り、おっかなびっくりマシュマロを串に刺した。
 肉とはまた違う、スポンジめいた奇妙な感覚に首を傾げる。
「こう、かな……」
 ルヴトーが起こした火に串を差し出すと、じりじりとマシュマロが焼ける。
「…………」
「……クラリスさん、そんなじっと見てなくても大丈夫だよ?」
「でも、焦げたら台無しだし」
「すぐには焦げないからさ……」
 じぃっとマシュマロを監視(?)するクラリスに、苦笑するルヴトー。
 結局焦げ目をつけてしまい、クラリスは不安げにルヴトーに問うたりもした。

 焼いていい具合になったマシュマロを、ルヴトーは手際よく調理する。
 といっても大それたものではない。クラッカーにチョコと一緒に挟むだけだ。
「これ、スモアって言うんだって。バーベキューしたりするときなんかに、デザートなんかで振る舞われるポピュラーなメニューらしいんだ」
「ふうん……ん?」
 クラリスは何かに違和感を憶えて首を傾げた。
「"らしい"って、ルヴトーさんはしたことないの?」
「……男所帯だからね。衆で野営をする時はもっとワイルドというか……」
 ルヴトーの脳裏に、新たな光景がよぎった。
 むくつけき部下たちが、焼いただけの肉をもりもり食べる光景だ。
「塩降っときゃなんでも食える」が合言葉の連中に、マシュマロなど異世界の食物である。
 まあ、そういう野営もそれはそれで嫌いではないのだが……。
「……いやいや、今日はクラリスさんとふたりでなんだから、やめておこう」
「?」
 首をぶんぶん振って汗臭え野郎どもの記憶を振り払うルヴトー。
「とにかく、甘くておいしいよ。お供にコーヒーもつける?」
「……えっと、お砂糖とミルクがあれば……」
「そういうと思って用意してきたよ」
 むくつけき野郎どもが岩清水をがぶがぶ飲む光景……は置いといて。
 クラリスはほんのり顔を赤くし、おずおずとカップを受け取った。
「今日ばかりは、子ども扱いも反論できないなぁ……」
「いいじゃないか、コーヒーの味は人によって千差万別なんだし」
「ルヴトーさんはブラック、なんだね」
「え? ……あ、ああ。それはもちろん」
 ルヴトー、さりげなく注ごうとしていた砂糖とミルクを体の影に置いた。
 そして意を決してブラックコーヒーを飲む。……苦い。
(この年齢になっても、まだ慣れないな……親父、ごめん)
 クラリスが気付かないよう、目を瞑って苦味を我慢するルヴトーだった。

 とろけたマシュマロと塩気の強いクラッカーの味は、まさしく絶品だ。
 星星が輝く夜空のもとで食べるのも、また格別の味を提供する。
「……うん、美味しい」
「こぼさないようにね……って、どうしたのクラリスさん」
「……なんだか、困っちゃうなあ、ってさ」
 クラリスはなんとも言えない表情でうつむいた。
「ボクは、こういうのも忘れちゃうだろうから……」
「……」
「憶えておきたいことがどんどん増えていくのって、楽しいけど困っちゃうよ」
「……もし忘れてしまったら、また憶えていけばいいんじゃないかな」
「え?」
 ルヴトーは黒いコーヒーを見つめつつ、言った。
「また野営をすればいいさ。機会なんていくらでもある、そうだろう?
 ……まあ、クラリスさんがよければ、だけど。俺は全然構わないよ」
「ルヴトーさん……」
 彼なりの思いやりに、クラリスは微笑んだ。
「うん。じゃあ、また来よう。その時は、また違った料理が食べたいな」
「ああ、もちろん。魚の塩焼きとか、スープなんかもいいね」
 ふたりきりの時間は過ぎていく。
 いずれ忘れ去るとしても、いまは少女の心に、その記憶が深く刻まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋由良・インテグラ
ファルコンも頑張ってくれたし簡単なチェックと整備でもしようかしら。

2人に会ったら挨拶もそこそこにこれからどうするのか聞いてみてもいいかもね。
……アルピナの事も気にはなるし。

それはそれとして、ビジネスの話なんだけど。
私、トランスポーター……運び屋をやってるのね?何か運んで欲しいもの無い?初回は格安で引き受けるわよ?
手紙から人まで何でも運ぶから。

……とにかく。仕事があるならいつでも言ってね。
あなた達が旅に出るならその内会う事もあるでしょう。

※アドリブ連携歓迎



●ビジネスの話
「ファルコン、よく頑張ってくれたわね……問題もなさそうでよかったわ」
 愛機の整備をしていた秋由良・インテグラは、額の汗を拭って胸をなでおろした。
 テストのためとはいえ、色々と無茶をさせてしまったので不安だったらしい。
 しかしファルコンは、インテグラの無茶によく応え、そしてよく耐え抜いた。
 この機体は想像以上のようだ。インテグラは頼もしさに微笑む。

 そんなところへ、ラシッドとアルピナがやってきた。
「あら、あなたたち……無事だったのね。よかったわ」
「はい、おかげさまで。今日は本当に、ありがとうございました」
「……ました」
 ぺこりとお辞儀するふたりに、インテグラはひらひらと手を振る。
「私にも利益があるからこそやったことよ。持ちつ持たれつって考えて」
「利益……ですか?」
「この機体……ファルコンのテスト飛行とか、あとはまあ色々ね」
 猟兵は、望めばグリモアベースから報酬も支払われる。
 インテグラはそのあたりを濁した。いちいち話すのは野暮というものだ。

「それはそれとして……せっかくだしビジネスの話をしようと思うの」
「「びじねす?」」
 示し合わせたかのように首を傾げるラシッドとアルピナ。
「私はトランスポーター……運び屋をやっているのね? 何か運んでほしいものはない? 初回は格安で引き受けるわよ?」
「「それは……」」
 旅立つふたりにとっては、これ以上ない誘いではあった。
 しかししばし考えて、ラシッドは言った。
「……なら、いずれまた僕らと出会う時に、あなた自身を運んでもらえませんか」
「私を?」
「情けない話ですけど、僕はまだまだ弱いです。だから、まだ戦えない。
 ザエル帝国に襲われてピンチになった時、その力をもう一度貸してほしいんです」
「……なるほど。いいわね、行きがかりに助けるよりは"対等"だわ」
 インテグラは不敵に笑い、ラシッドと握手をした。
「契約成立よ。いずれあなたたちが今日みたいな危険に巻き込まれた時、私は私という「希望」をあなたたちに運ぶわ」
「……希望。私も、守られるばかりじゃなくて強くならなきゃ」
 アルピナの言葉に、インテグラは頷いた。
「そう願っている限りは、きっと強くなれるわ。次に会うときが楽しみね」
 恩人と救われた者としてではなく、対等なビジネスパートナーとして。
 待ち受けているであろう戦いとその出会いに、インテグラは思いを馳せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千束・桜花
戦いが終われば、役目を果たした人たちを鼓舞するのも将校の務め!
小さな英雄、ラシッド殿を褒めてさしあげましょう!

今回、ラシッド殿は大きな決断をしましたね
力無き者が誰かのために立ち上がるのは、とても困難なことです
無謀といっても良いでしょう
けれどラシッド殿は勇気を持ってあの子を守りました
この経験は、きっとあなたの力になります!
挫けそうなときは思い出してください
あなたの後ろで震える少女を、守ったときの心を!
勇気と心が揃えば、大抵のことはなんとかなりますから!

さあ、自由の世界が待っています!
いざ参りましょう、風に舞う桜の花びらのように!



●戦いのあと
「ラシッド殿! 少々お時間をいただけますか!」
「はい? ……あ、あなたは」
 お礼参りの最中、声をかけられ振り返ったラシッド。
 そこにいたのは、莞爾と微笑む千束・桜花だった。
「あの……ありがとうございました。あなたたちが来てくれなかったら……」
「いいえ、謙遜は無用です! 人々を救い守るのは将校の務めですから!」
「しょうこう?」
 首を傾げるアルピナ。
「民の剣となり盾となるもの……つまり、この私のことです!」
「おねえさんは、ショウコウって名前なんだ」
「いやそれは違うんじゃないかな……」
 天然を発揮するアルピナに、ラシッドは苦笑してツッコミをした。

「まあそれはさておき、私は将校としてあなたたちを鼓舞しに参りました1」
「「鼓舞?」」
「そうです。ラシッド殿、あなたは大きな決断をしましたね」
 そう言われ、ラシッドは困惑した。そんなことをしたつもりはないからだ。
「あなた自身は気付いていないかもしれませんが、あなたは困難なことを成し遂げました。……それは、力無き者が誰かのために立ち上がるという偉業です」
「偉業……」
「無謀、と言い換えてもいいでしょう」
 桜花は厳しくも言ったが、しかしにっこりと笑う。
「けれどラシッド殿は、勇気を以て彼女を、アルピナ殿を守りました。
 この経験は、きっとあなたの力になります。誇るべき素晴らしいことです!」
「そ、そこまで言われると恥ずかしいですね……」
 少年は控えめに顔を赤らめた。
「ううん、すごいことだよ。……私は、だからこそ救われたから」
 アルピナの言葉に、桜花はうんうんと腕を組んで頷いた。
「挫けそうなときは思い出してください」
 そして少年の目をじっと見つめ、噛み砕くようにゆっくり言う。
「あなたの後ろで震える少女を、守った時の心を!」
「……!」
「勇気と心が揃えば、大抵のことはなんとかなりますから!」
「……はい!」
「此処から先は困難もありましょう。しかしおふたりの前途は自由なのです。
 風に舞う桜の花びらのように、自由な旅に挑むふたりに、幸運のあらんことを!」
 桜花はびしりと敬礼し、小悪魔っぽく笑った。
 その応援と祈りは、彼らの旅路の大きな支えとなるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
金目のものは無し。さっさと帰ろうかと思ったけど……解体作業くらいは行くかなぁ。多分解体すればあるであろう天使の核は面白そうだし、持ち帰りたくはあったけど、これは村のものになるかな。1つしかないし仕方ない。

さて、解体するかなぁ。生憎と斬撃に秀でたユーベルコードも無いし、ちまちまとダガーでやるかぁ。
……ん? ああはいはい、分かったよ。(狂気の分身発動5体くらい)
『ヒャッハァ!解体の時間だぜ!』『手間取らせやがって、クソビースト!』『たっぷり八つ裂きにしてやっからよォ!』『どうする!?首とか四肢引っこ抜くか!?』『俺様を満足させろよォ!』
うーん、我が別人格ながら蛮族。少し肉持ち帰るから綺麗に頼むよ?



●狂気の解体ショー(あるいは悪童どもの大散らかし)
 金目のものはなし。さすがに村人から盗むのも(猟兵たちの目があるので)ためらわれる。
 となれば普通であれば、霑国・永一はさっさと帰るところだったが……。
「あの天使の核っていうの、面白そうだねぇ。ひとつしかなかったら諦めていたけれど、例の帝国連中はどうもいくつも天使核を埋め込んで立って話だ」
 永一はにたりと笑った。
「わざわざ盗人の分け前を残しておいてくれるとは、お優しい連中だねぇ」
 皮肉そのものの言葉だが、あいにくそれに憤る連中はもういない。
 かくして永一は、セラフィムビーストの解体作業を手伝うことになったが……。

「さて、ちまちまとダガーで……」
『おい待て! 待ちやがれ!!』
 永一の脳内で、狂気の人格が叫んだ。
『楽しそうな仕事を独り占めするんじゃねぇ! 俺様にもやらせろ!!』
「ん? ああ、はいはい。わかったよ」
 永一が分身を5体ほど生み出すと、狂気の人格どもは悪童めいてはしゃいだ。
『ヒャッハァ! 解体の時間だぜ!!』
『手間取らせやがって、クソビースト!!』
『たっぷり八つ裂きにしてやっからよォ!』
『どうする!?首とか四肢引っこ抜くか!?』
『俺様を満足させろよォ!』
 どうやらフラストレーションが溜まっていたらしい別人格どもは、ナイフを振り上げてケタケタ笑いながら肉を削ぎ、骨を丁寧に抜き取っていく。
「うーん、我が別人格ながら蛮族だねぇ、これは。村人もドン引きしてるよ?」
 言いつつ、永一は外野の目などさっぱり気にしていない。
「少し肉持ち帰るからきれいに頼むよ? それ以外は好きにしてほしいねぇ」
『俺様に命令するな!! まあ見てろや!!:
 血やら臓物をそこら中にぶちまけつつ、肉の解体は丁寧な手際だった。
 ……まあ、それだけ殺人に慣れている、ということなのだが。
『『『『『ああ、楽しくて仕方ねえぜぇ!!』』』』』
 声を揃えて狂笑を浮かべる別人格のはしゃぎぶりに、永一は呆れた様子で笑った。
 ……頬についた返り血をうまそうに舐めているあたり、この男も大概だが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
気の利いた事を云える性質でもない
外周中空、灯りも人の目からも外れる辺りを重点的に
――海斬倒界、ゆるりと廻れ

島1つ犠牲にする事も厭わず手に入れようとし
切り札を切ったにも関わらず、其れを失ってまでの失敗とあっては
大人しく退散する輩ばかりとは成るまい
気配の探知へと第六感を集中させ、潜んでいる違和感を探すとしよう

悪足掻きは無様なだけだ……静かにしろ、残滓
若鳥の旅立ちに要らぬ雑音を混ぜるな
ああ、そうだな……驪竜、お前もそろそろ腹が減ったろう
――欠片1つ、音の1つも“残すな”

此の先にどれ程の苦難が待ち受けていようとも
「護るべきもの」を得たものは勁い
あの少年が何処まで育つか――原石とあれども眩しい事だ



●晩餐
 むしゃり、ぐしゃり……と、不気味な咀嚼音が響く。
 倒れ伏した黒翼騎士の臓物を、くろぐろとした鱗の竜めいた何かが喰らっているのだ。
「き、貴様……誇り高き《ザエルの黒騎士》をなんと心得るか……ッ」
「誇り高き、か。……徒党を組んで、娘ひとりさらうために無辜の民の村を焼き払おうとする連中が、よくほざく」
 驪竜のあるじたる男――鷲生・嵯泉が、ぎらりと隻眼で睨みつけた。

 島一つを犠牲にすることも厭わず、制御不能の獣を解き放つ。
 そこまでして失態を犯した連中が、そう簡単に諦めるはずがない。
 嵯泉の読みはまさしく当たっており、残党の騎士と相対した次第である。
 こちらに気付かず悪辣な知恵を働かせる畜生を、驪竜は爪ひとつで殺し、そして……。
「若鳥の旅立ちに、要らぬ雑音を混ぜるな。残滓どもが囀るな」
 嵯泉は刀を抜き放ち、冷酷な表情で言った。
「悪あがきは無様なだけだ。これは私からの慈悲とでも捉えるのだな」
「や、やめ――」
「囀るな、と言ったはずだ」
 ざん、と。斬撃が、黒翼騎士の首を刎ねた。
 臓物を喰らいつくした驪竜が、新たな「馳走」に鎌首をもたげる。
「案ずるな……すべてお前が食え。ただし――かけらひとつ、音のひとつも"遺すな"」
 驪竜はこくりと頷き、はらわたが空になった死体を一口で咀嚼する。
 そして転がる首を喰らい、首なしの死体をうまそうにむしゃむしゃと喰らった。
「……此の先、どれほどの苦難が待ち受けているやら」
 嵯泉は少年たちには合わなかった。気の利いたことを言える性質ではないのだ。
 だが、思うところはある――彼は「護るべきもの」を得た、立派な戦士だ。
 騎士を名乗りながら略奪と殺戮を働く、愚かな残滓どもとは違う。
「……はたして、何処まで育つか。原石とあれども、眩しいことだ」
 嵯泉の口元が、わずかに……ほんのわずかにだが、上向いた。
 それを隠すように新たな煙草に火を点け、嵯泉は闇に沈む。
 己がそうすることで、光ある若鳥たちが、明るい道を歩めるようにと祈って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
さてと、舞台はこれにてお終いだ
──ここからは、昏く淀んだ『現実』のお時間だぜ
どうせいるんだろ?残党どもが
そういう禍根はな、断ち切るのが一番だ

さっきの戦闘から敵のデータは取れてる
外見、行動パターンに喋り方──それを貼り付ける
『Extra』達にな
飛行も出来るからな 偽装にはもってこいだ
そんでもって、任意で起爆できる自爆用爆弾も付けておく

やることは簡単
はぐれた味方が残党どもに合流して一安心、かと思いきや…そいつが死を運ぶ追い打ちになるように仕向けるってわけ
一部始終はアンドロイドの目を通して観察してる
起爆タイミングは、俺次第だ

光の中に居る少年少女諸君
こっち側には来るなよ
『悪党』と関わるな、だ 覚えとけ



●舞台裏の大掃除
 かくして巨悪は斃れ、物語はひとまずの落着を見た。
 未来ある少年少女は前だけを向き、この青い空へと巣立つのだ。
 彼らの前途には困難こそあれど、同じぐらいに――いや、それ以上の光が待つ。
 どんな悪が立ちはだかろうと、どれほどの悪意が彼らを傷つけようと。
 最後には、立ち上がり、そして大団円のハッピーエンドを掴み取る。
 世界とはそうあるべきだ。――その裏にどれほどの屍を積み重ねても。

 崇高なる物語の裏には、凄惨で下劣で残酷な『現実』が待つ。
 端役の住まう場所は、そこだ。血と悪意と狂気渦巻く場所こそがふるさとだ。
 生み出されたアンドロイドたちは、"汚れ"をよく追い立て、狩った。
 害虫駆除めいて、集まったところをズドン――ほらまたひとつ、爆音。
 ささやかで密やかなそれが、無辜の民の目や耳に届くことはない。
 小さな小さな爆発。すなわち"汚れ"どもの滅びを見届けるのは、ただひとり。
「あーあ、残念……助かったと思ったろ? 一安心したんだろ?
 あいにく、テメェらにそんな安寧は許されねえ。俺が、許さないさ」
 ヴィクティム・ウィンターミュートはゴーグルを上げ、にやりと笑った。
 山間、窪地、あるいは森の奥……隠れ潜んだ黒翼騎士どもが静かに終わる。
 自爆用爆弾を貼り付け、《ザエルの黒騎士》に変じたアンドロイドどもが、死という終わりを奴らに運ぶ。
 末期の叫びも、懇願も、後悔も逆恨みも何も許さない。
 ただ絶望だけを許し、そして殺す。……冷酷で、合理的な手際だった。

 ヴィクティムは影にある。
 光とはすなわち、焚き火を囲んで語り合うあの少年少女であり、
 生き延びたことを喜んで宴を催すあの村人たちであり、
 彼らが歩み先と、そこで関わり合いになる善き人々のためにある。
「ひとつアドバイスだ、少年少女諸君」
 闇の中で、影が嗤った。
「"こっち側"には来るなよ――『悪党』と関わるな、だ」
 ストリートの警句は、墜ちてしまった者のためにある。
 ならばそうでない者に送る言葉は、「そうなるな」というひとつだけ。
 そして端役は、誰にも知られることなく影となり、闇に溶け込む。
 これまでも、これからも、ヴィクティムの生き様はそこにあるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
傭兵さん/f01612

▼方針
残り物の処理

しつこく残ってるやつがいないか確認します。
あれだけの戦力を動かしてまであの女に用があるんでしょ。
次があってもおかしくありません。
極論、島に一人でも残ればそいつが地図を作ります。
現実はそこまで行かずとも守りの薄い場所は把握できるでしょう。
ですから残党の処理が必要なんです。

《闇に紛れて》いようと、暗所での行動にはこちらに一日の長がある。
傭兵さんが炙り出してくれてもいます。
【紙技・琴問】。おまえはこの島に暮らしてきた人間ですか。

…と、問うべき相手がいないならいないで構いません。
手が空いたら浮遊大陸の植生など見ておきます。手が空いたら。


鳴宮・匡
夕立(f14904)と


残存した敵勢力を排除する
諦めた、って感じには見えなかったからな
伏兵や偵察要員がまだいてもおかしくはないだろう
放っておけば、仮にあの二人が島を離れたとして
「帰る場所をなくす」くらいのことはするかもしれないしな

【無貌の輩】を一帯に散らして索敵を行う
一人は連絡用に、夕立の傍につけておくよ

さすがにこれだけ数がいれば見落としはほぼないだろう
判明した位置は夕立にも共有して、排除は効率よく手分けして行う
……向こうも向こうで索敵はしてるだろうけど

一応銃には消音器を噛ませておく
残ったやつらに警戒されても面倒だしな

粗方片付いて時間があったら、地形の把握でもしておくよ
……景色のいいところとかな



●残飯処理
 オブリビオンは、言ってしまえば世界の仕組みが生み出した塵芥だ。
 世界にへばりつく穢れであり、えてしてそういうのはしぶとく鬱陶しい。
 闇に潜んで機会を伺う愚か者どもは、掃いて捨てるほどいた。

「白金の少女の居場所を確認いたしました。守りはないようです」
「ふん……あの生意気なガキがひとりか。赤子の手をひねるより容易い」
 生き残りの小隊が、残忍と憤怒を目に宿して武器を構えた。
 本来、奴らに筋違いな怒りを抱く権利などかけらほどもない。
 これは奴らが始めた「戦争」であり、自業自得であり、当然の帰結だ。
 仲間を殺された怒りだの、あるじに見捨てられたことへの憤懣だの、
 そんなものを少女にぶつける謂われはない――資格も、ない。
「我ら《ザエルの黒騎士》が、伊達ではないということを教えてやらねばな」
 されど分不相応な連中は、当然のようにうそぶいた。
「「「我らの誇りに賭けて……!」」」
 騎士などと名乗るのもおこがましい、残骸どもが矛を構えた。

「質問します」
 その時、騎士どもの背後から声がした。
「「「誰だ――」」」
「"お前たちは、この島で暮らしてきた人間ですか"」
 誰かの声とともに、暗闇から放たれた黒い何かが喉元に突きつけられた。
「何を愚かなことを……姿を現せ! その首を刎ねてさらし者にしてやッ」
 隊長格の首が吹っ飛んだ。
「た、隊長殿!? なんだこれは、一体何が……」
 黒翼騎士のひとりは、その時、仲間がみな倒れ伏せていることに気付いた。
 寸前で止まっていたはずの何か――つまり刃が突き刺さって。
 絶望した騎士の脳天を、プシュン、という音とともに何かが貫いた。
 それが死神の放った弾丸であることに気付かぬまま、騎士は恐怖の表情を浮かべたまま倒れた。

「……ここにいる連中で最後のようですね」
 影から滲み出るように現れた矢来・夕立が、隣に浮かぶ"影"に言った。
『ああ、もうほかの"影"に反応はない。これで島中の伏兵は、全滅だ』
 "影"を通じて鳴宮・匡の声がする。夕立はかちゃりとメガネの位置を直した。
「こういう連中はしぶといものです。ひとりでも残してくと禍根が残る。
 この空域の地図を作られるだけでも面倒ですからね、絶滅させるしかない」
『……わざわざ無関係の村を焼くような三流どもだからな』
 報復のために、彼らの「帰る場所」を完膚なきなまでに叩き潰す。
 そんな、無意味で無価値な報復を、オブリビオンは喜んでしでかすだろう。
 奴らはそういうものだ。そして、えてしてその無意味が意味を持つ。
 人の心をへし折り、死よりも辛い絶望を与える――そんなありふれた悪意が。

 ブランシュ島のひときわ高い丘の上で、ふたりは落ち合った。
 見上げればそこは満点の星空と、地球とはまったく違う大きさの月が浮かんでいる。
「わざわざ景色のいいところを探してたんですか? 天体観測でもするつもりで?」
「ここが一番俯瞰しやすかっただけさ。おかげで狙撃も上手くいっただろ」
「まあ、それはそうですが」
 夕立は植生を調べる途中で見つけた、不思議な形の果実をひとつ投げ渡した。
「なんだこれ」
「美味そうなのでもいできました。毒味はしていません」
「そんなもんを渡すなよ。せめて自分で食え」
「いいじゃないですか。夜空の下で食事と洒落込みましょう。
 まあ猛毒だったら、オレはともかく傭兵さんはアレかもしれませんが」
「アレってなんだよ」
「ロマンチックじゃないですか? 無理心中とかっぽくて」
「縁起でもないようなこと言うな。俺はそういうのはお断りだよ」
「ショックを受けました」
「……はあ」
 匡の顔を見つめつつ、夕立はむしゃりと一口。
 もぐもぐと咀嚼しながら、かじった果実を振ってみせる。
「…………甘いな」
 匡はしぶしぶ果実を一口食べて言った。
「いいでしょう。ロマンチックで」
「だからそういうのやめろって」
「オレなりにムード作ったつもりなんですけどね。ウソですけど」
 むしゃり、むしゃり。ふたりはしばし黙って果実を食らう。
 幻想的な光景だが、ふたりはいつものように笑わないまま口だけを動かしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
アドリブ共闘歓迎

いよっし、サクッと解体して、色々解析させてもらおうっと
ヌァザ、出番だよ! 【銀閃・次元斬】!

余すところなく、素材を利用する、か
そういう向き合い方は、世界が変わっても通じるモノかも

天使核、新たな動力技術に転用も出来そうだね!


解体・剥ぎ取りのノウハウを教えてもらいつつ
(情報収集、学習力)
代価として、復興作業や食糧供給のお手伝いをしようか

モチロン、ボクの商売を手伝ってくれるなら、
定期的な物資の補給から賃金の支払いまで受け持つけど……どう?
「Dag's@Cauldron」、ブルーアルカディア支店1号、やってみません?


雪丸・鳳花
脅威は去ったが、まだ油断はできない
とはいえ、心身共に疲れ果てた村の民たちにひと時でも安らぎを与えたい

命さえあればこれから何とでもなるとは軽々しくは言えないさ
彼らに起きた驚天動地の出来事は耐え難く、日常に戻るには時間も掛かるだろう
せめて、一瞬だけでも忘れて笑顔になって欲しい

ボクは演劇部に所属する学生の身でプロではない
だが、出来うる限りのパフォーマンスで歌唱とダンスをお見せしよう
空中浮遊で魅せることもできるかな
演技に集中する事でUCで後光を光らせ、村の民の心にも光を届けるという気持ちで舞おう!
この村の未来と新たな冒険者の門出を祝って!
さあ!手拍子をよろしく頼むよ!


アドリブ連携歓迎



●これからを生きるために
 セラフィムビーストの解体作業は順調に進んでいた。
 村人たちは猟兵が分け前を持っていくことを拒まず、それどころか喜んで差し出した。
 もうすでに巨獣の身体は2/3近くがなくなっている。それでもまだ部位は多い。
「余すところなく、素材を利用する……か」
 リア・ファルは巨獣の残滓を見上げ、感慨深く頷いた。
 奪った命――といってもオブリビオンは"いのち"と呼んでいいのか微妙なところだが――"に、彼らなりの敬意を以て向き合う。
 村を焼き、そして潰した魔獣であれ、殺して狩ったあとに怒りや憎悪はない。
 死という現象を厳粛に捉える、ある種の原始的宗教めいていた。
「世界が変わっても、ヒトの考え方は通じるモノなんだね」
 かりそめから生まれた存在たるリアは、そこに込められた歴史と想いを胸に刻んだ。
 哀悼……あるいは、祈り。それはリアの生き方の本質でもある。
「よし、それじゃあボクも解体させてもらおうか! ヌァザ、出番だよ!」
 それはそれとして、しっかり素材は頂いていくちゃっかりしたリアだった。

 やがて獣が完全にバラされると、宴はいよいよ最高潮に盛り上がった。
 リアは解体や剥ぎ取りのノウハウを教えてくれた村人たちに、給仕や復興作業の援助という形で報いる。
「はいはーい、お肉が焼けたよ! じゃんじゃん食べてね!」
「いやあ、村を救ってもらったばかりかお酌までなんて、悪いねぇ」
「いいのいいの、こういうのはボクが楽しくてやってることだからね!」
 ガハハと笑う山男めいた村人に酒を注いでやりつつ、満面笑顔のリア。
 基本的にお世話焼き体質な彼女にとって、こういう作業はマジで趣味かつ生き甲斐であり、つまり一挙両得だった。

「宴もたけなわ、盛り上がっているようだね」
 そんな宴の会場に現れたのは……赤髪の少女、雪丸・鳳花である。
「あ、いらっしゃい! 飲み物なんにする? ジュースでいいかな?」
「おっと、お気遣いありがとう。しかし給仕は結構さ!」
 鳳花はリアに手を挙げて制しつつ、フフンと自慢気に言った。
「え? でも宴に参加しにきたんだし……」
「たしかにボクはここへ来た。けれどそれは飲み食いするためじゃない!」
「???」
「そう――ボクは、このボクの輝きをみんなに届けにきたのさッ!」
 パァアアア! と、鳳花の背中に浮かび上がる後光!
「「「うおっ、まぶしっ!」」」
 眩しがる村人たち。ハイカラさんの輝きは物理的にも脅威だ。
「脅威は去ったが油断は出来ない、そしてこれからは復興という困難がある。
 ボクらが手伝えるのは、せいぜいアナタたちが歩む明日のその第一歩だけ……」
「「「……」」」
 鳳花は見栄えのいい木箱の上にしゅたっと着地し、両手を広げた。
「だからこそ、今日だけはアナタたちがすべてを忘れて笑顔になれるように!
 戦いも、困難も、苦労も、すべてを捨て去ってこのボクに酔いしれるといい!」
 高慢で自信満々なように聞こえるが、それは鳳花なりの心遣いだった。
 光(スター)めいて人々を魅了し癒やす者は、不安でいてはならない。
 前を向いて、いつでも笑い、楽しい時間を人々に与える。
 それが、いまだ見習いでしかない鳳花なりの、憧れであり矜持だった。
「というわけで、よければ音楽などお願いしてもいいかなッ!?」
「え? あ、うん! ライトアップも出来るよ!」
「上出来だ! ではボクのステージを――堪能したまえ!」
 鳳花の姿をリアの召喚したライムライトが照らし、ステージが即席で生まれた。
 鳴り響くダンサブルなミュージックに乗って、鳳花は謳い踊る。
 突然のステージに人々は困惑しながらも湧き上がり、ジョッキを掲げてたいへんに喜んだ。
「この村の未来と、新たなる冒険者の門出を祝おうじゃないか!」
「ああ、ラシッドの前途に幸あれ、だ!」
「いつでも帰ってきていいんだからね、ラシッド!」
「俺たちゃ家族みてえなもんよ、くよくよしてらんないぜ!」
 謳い騒ぐ村人たちを見て、リアは苦笑めいて微笑んだ。
「みんな、彼のことが好きなんだね……この騒ぎ、届いてるといいな」
「おいお嬢ちゃん、あんたも騒ごうぜ! さあ!」
「あ、いやボクはね? ビジネスの話とかをしてみたいなって……。
 ほら、「Dag's@Cauldron」、ブルーアルカディア支店1号やってみません?」
「いいからいいから、踊れ踊れ!」
「いやだからボクはビジネスをあーっ!!」
 リアもあっという間に巻き込まれて、宴はどんちゃん騒ぎに変わった。
 誰もが今だけはすべてを忘れて、明日の希望を信じて笑っていた。

「……楽しそうだね、みんな」
「うん。……よかった。みんな、笑顔でいてくれて」
 そしてその喧騒は、たしかにふたりにも届いていた。
 旅立つふたりの心をも、鳳花の光は照らしていたのである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディルクニア・エリスランサス
……ガキは好きじゃねぇんだが、今回は特別だ
村の連中からたんまり貰った酒のお陰で冴えてるしな

おう、羽付きの嬢ちゃん。お前は座ってな。用があるのはボウズの方だ



方針:
子供嫌いな模造天使の気まぐれ超スパルタン
~あるいは人造聖女の精一杯の理性からの餞別~

割とゴキゲン……だったのだが
唐突にラシッドに武器になりそうな物を適当に手渡すと、アルピナに向けて魔力砲撃を何時でも撃てるよう構える

ほんの一握りの勇気が何かを変える時がある
せめて、それを持てる手助けをする為に



恩があろうが、知った顔だろうが
守りてぇモノに手を出す奴と戦うことを、躊躇うな
今、此処で。その覚悟が決まらねぇなら、諸共に消し飛ばすぞ!



●覚悟
「……あーあ、やかましいなァ。酒の匂いまでしてきやがる」
 村人から贈られた酒を煽りつつ、ディルクニア・エリスランサスは宴の喧騒に顔を向けた。
 これで自分だけ酒がなかったら乗り込んでいたところだが、幸い手元には樽いっぱいの酒があった。
 もっともそれもじきになくなるだろうが……ディルクニアには、他にやることがあった。

 彼女は、子どもが嫌いだ。
 しかしそれでも、やるべきことがあった。彼女だけが出来ることが。
「あ、あの……」
 目の据わったディルクニアに、ラシッドは恐る恐る話しかける。
「……お酒、呑んでるの? からだ、大丈夫?」
「おう、羽つきの嬢ちゃん。ちょっとこっちに来て、座んな」
「……?」
 アルピナは言われるまま、酒が入った樽の上に腰掛けた。
「えっと、あの……?」
「ボウズ。生き延びられて良かったなァ。ほら、餞別だ」
 ディルクニアが投げ渡したのは――黒翼騎士が帯刀していた長剣だ。
「えっ!?」
 思わずそれを両手で受け取ったラシッド。するとその瞬間!
「アタシの戦いは見てたよな? ならこれがどういう意味かわかるだろ」
「……!!」
 ディルクニアは、片手をアルピナへと突き出していた。
 掌に明らかに不穏な魔力が球状に渦巻き、夜闇を危険に照らし出す。
 ラシッドは理解した。わからいでか……ディルクニアの魔力砲撃を、彼らはたしかに目撃しているのだ。
「な、何を!?」
「どうした。アタシがその気になりゃ、羽つきの嬢ちゃんは消し飛ぶぜ」
「……!!」
 ラシッドは驚愕した。ずしりと手の中で剣が重みを増したような錯覚。
「それが嫌なら、その剣でアタシを斬ってみろよ。おら、どうした」
「な、なんでそんな……」
「斬るのか斬らねェのか、どっちだ。あぁ!?」
 怒号に、ラシッドは怯んだ……だが、剣を落とすことも退くこともなかった。
 ディルクニアはぎろりと少年を睨み続けている。静寂が訪れた。

「――やめて」
 その静寂を斬り裂いたのは、アルピナだった。
「私のことは、いい。でも、ラシッドを苦しめるのは……」
「黙ってろ、嬢ちゃん」
 アルピナの言葉を、ディルクニアは刺々しく制す。
「アタシはこのボウズに聞いてんだ。"やる"のか、"やらねえ"のか」
「でも、それがラシッドを苦しめてる。それなら私は、黙らない」
 ディルクニアがアルピナを睨んだ。
「……私はどうなってもいいの。ラシッドが苦しんだり哀しむのは、イヤ」
「だとよ。いじましい言葉だなオイ」
 ディルクニアは嫌悪感と苛立ちたっぷりに吐き捨てた。
「それで? 護る護る息巻いてたボウズは何も出来ずに震えてんのか。
 恩人だろうがなんだろうが、守りてぇモノのためなら手を出せねえってか!?」
「――!!」
「躊躇うんじゃねえ。……覚悟を決めろ! どっちを選ぶんだ、お前は!!」
「ぼ、僕は……!」
 ラシッドは剣を握りしめた。震える手が、ぐっと振り上げられ……。

 ……剣は、地面に突き立てられた。
「あ?」
「イヤです」
 訝しむディルクニアに、ラシッドは言った。
「お前、何を言って……」
「アルピナを失うのも、あなたと戦うのも、どっちもイヤです」
「……つまりもろとも消し飛ばされてェわけか」
「それもイヤです。だから僕はあなたに言います」
 ラシッドはディルクニアの目を見返す。
「やめてください。こんなことをしても意味はありません」
「お前――」
「覚悟ならあります!」
 少年が言葉を制した。
「自分のしたいことを選ぶという覚悟が、あります」
「……チッ」
 ディルクニアは興が冷めた様子で手を提げて、立ち上がった。
「だったらその甘ったれたのを貫いてみせろよ……ああ、酔いが醒めちまった」
 女が振り返ることはなかった――何かを隠すように。

大成功 🔵​🔵​🔵​



 少年の選択を、はたして女はどう思っただろうか。
 それはわからない――ただ、覚悟が示されたのはたしかだろう。
 諦めず、「やりたいこと」「願うもの」を貫く……その、愚直で甘ったれた、しかし気高い覚悟は。
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

―――意志持つ船、自称"世界一速いボロ船"ことドラゴン号の独白

ツイてない
竜の巣から東じゃ知られたガレオンの俺様が災難続きだ
賭けに負けて身代を訳のわかんねえピンクのガキに握られるわ(絶対に何かイカサマしてる)
このガキがまた「ボーイミーツガールだ!」「お城はどこ!?」なんて訳の分からないこと言うばかりで何の役にも立たねえ!
屍人帝国の噂を聞いて人足どもが逃げやがるわ
その上いつも往路の途中で日用品やら卸す村が襲われたときた(やつら暇なのか?)
連中は無事のようだが、新しい人足も代金も望み薄だ

だから―――情報を求めがてら物資を卸す代わりにせめて次の港までの人足を募集することにした



●ひとりの少女が堕ちてきて
 ――ツイてない。

 意思持つ船、ミレニアムドラゴン号は述懐する。
 わけのわからないガキに身代を握られてこっち、不運続きである。
 なんという屍人帝国の噂を聞いて、人足どもは勝手に逃げ出し。
 ガキのわけのわからない言葉のまま、飛ぶ羽目になり。
 往路のたびに寄っていた村は、屍人帝国に襲われて焼かれたときた。
 新しい人足も代金も望み薄……このままふらふら彷徨うばかりか。
 ボロ船は述懐する。ついてない、と。
 ただ、そんな彼にひとつ、救いがあったとすれば……。

「「……船に乗せてくれる?」」
「そう! そうだよふたりとも!」
 ロニ・グィーは目を輝かせ、きょとんとした少年少女に言った。
「あの船はボクのものだからね、乗るかどうかもボクが決めていいわけだ!
 そしてキミたちは、勇士になるために旅に出ようとしてるんでしょ?
 だったら船が必要だよ! この島を発つための船が! ……違う?」
「それは、そうですけど……」
「ああ大丈夫大丈夫、どこかいい島を見つけたらそこで下ろすから。
 だってキミたちは自由、なんだからね! 自分の船を見繕うなりなんなり、
 そこからはキミたち自身の力で選べばいい。ボクらはその助けをするだけ」
「……どうして、助けてくれるの?」
 アルピナの問いかけに、ロニはにこぉ~っと笑みを浮かべた。
 それがどうにも胡散臭くて、ラシッドは顔を顰める。
「キミたちの物語を、特等席で見てみたいから、かな?」
「……なんだか妙な響きに思えますけど」
「えぇ~? 別にキミたちを浚ったりこき使うわけじゃないんだからさぁ。
 まあアレボロ船だから、乗ってる間は掃除とか色々仕事があるけど」
『……当然だ。お前らは次の港までの人足だ、人足』
 船から声がして、ふたりは目を見開いた。
「でも、そうすれば……飛空艇を動かすための知識だって手に入るかもよ?
 さあどうする? これを逃したらしばらく島に船は近づかないと思うけどね~」
「ラシッド……」
「……わかりました。乗せてください」
 アルピナに見つめられ、少年は頷いた。
「仕事はなんでもします! 全部学んで、勇士になるための礎にします。
 ……でも、アルピナには何もしないでくださいね。そこはお願いします」
「なんでボクこんな信用ないんだろうねぇ?」
『そういうとこだよ』
 ドラゴン号のツッコミもあんまり効いてなかった。
 ともあれロニは満面の笑みを浮かべ、ふたりを飛空艇へいざなう。
「それじゃあ、旅の始まりだ――キミたちの門出の時間だよ!」
 アルピナとラシッドは顔を見合わせ、頷きあい、手を繋いでタラップに踏み出した。
 青空の旅が始まる――その第一歩は、ふたりで一緒に踏み出した。


 ドラゴン号は述懐する。

 ――あのガキは、努力は認めるが才能はこれっぽっちもなかった。
   おかげで俺の身体はボロボロのまんまだし……いやむしろ、一部はさらにボロっちくなった。

 ――だが。
   あいつはよく働いた。あの小娘も、よく働いた。

 俺のこれまでを思えば、あいつらが降りるまでは短い旅だった。
 だが、悪い旅じゃあなかった――降ろすのが惜しいぐらいには。

 しかし何、憂う必要もねえだろう。
 あいつらが旅を続けるなら、またどこかで出会うこともある。
 それが、この空を飛ぶってことさ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年07月23日


挿絵イラスト