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熾火は青く昌盛・始

#ブルーアルカディア #『オーデュボン』

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#ブルーアルカディア
#『オーデュボン』


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●『V』
 森の中を青い鎧の巨人が進む。
 その一歩は緩やかなものであったけれど、なめらかに駆動する歩みは立ち止まることはなかった。
 どれだけ多くのオブリビオンに襲来されても青い鎧の巨人、『セラフィムV』は止まることはなかった。
 胸部が不意に開くと、そこから現れたのは少年であった。
 未だ成人を迎えていない少年。彼は『セラフィムV』に促されるように掌に立ち、息を吐き出す。
「ありがとう、『V(ヴィー)』。これで『オーデュボン』の連中は引き離せたかな……あの不思議な人達のおかげなんだけど……」
 あの人達は無事だろうか。
 魔獣に追われていた自分たちを助けてくれた勇士でもなければ、正規軍の軍人でもないようだった。
 不思議と『セラフィムV』も彼等を敵とみなしていないようであった。

「……この先に君と僕の役目があるんだろうか、本当に。僕にはそれがわからない」
 少年は青い鎧の巨人『セラフィムV』の掌の上で再びため息をついた瞬間、息を呑みこんだ。
「――……! これっ、まさか!」
『セラフィムV』が反応したように背後を振り返る。
 そこにあったのは巨大な飛空艇より次々と浮遊大陸へと降り立つゴーレムの群れであった。
 それがオブリビオンであることは疑いようのない事実。
 あのゴーレムにも何度も襲われたのだ。けれど、数が違う。膨大な数。軍勢と呼んでいいほどのゴーレムたちがこちらを目指して一直線に突き進んでくる。
 自分たちの進むはずだった道の先には幻獣を飼育している広大な牧場がある。
 もしも、この牧場が戦火に晒されれば、逃げ出した幻獣たちによって『アジール王国』や牧場を管理している者たちが犠牲に為るだろう。

「またっ! また僕らを追うのか、『オーデュボン』! そうやって人々を戦いに巻き込んで!」
 少年が叫んだ。
 これまで数多の戦いがあったのだろう。巨人か、それとも少年か。
 あるいは両方に屍人帝国『オーデュボン』が狙う理由があるのかもしれない。けれど、それで屍人帝国のオブリビオンがしたことはただの破壊だけだ。

 ここに至るまでに三つの浮島が雲海に沈んだ。
 それを知るからこそ、己の未だ見果てぬ旅の執着まで彼等は止まれない。雲海に沈み滅びた浮島のためにも、決して歩みは止められないのだ――。

●セラフィム
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。今回の事件もまたブルーアルカディア……再び屍人帝国『オーデュボン』が『アジール王国』の存在する大きな浮遊大陸に軍勢を差し向けたのです」
 またか、と思う者もいたかもしれない。
 雲海に沈んだかつての帝国、それが再び浮かび上がった時、そこは最早かつての大陸ではない。オブリビオンを満載した屍人帝国というオブリビオンの巣窟なのだ。

 彼等の目的は未だ知れず。
「ですが、執拗に彼等が狙い、追っていたのが『青い鎧の巨人』なのです。5mほどの鎧をまとった巨人……この世界では恐らくゴーレムと呼ばれる類の存在であるのですが、それを追って屍人帝国『オーデュボン』は、再び浮遊大陸に降り立つのです」
 屍人帝国『オーデュボン』が放った軍勢は『マインドゴーレム』と呼ばれる天使核を動力源とするゴーレムの一種である。
 生命ではないが、かつての帝国で運用されていた戦力だ。
 この『マインドゴーレム』を率いているのが、屍人帝国『オーデュボン』の指揮者とでも言うべき存在である。

「恐らく、その青い鎧の巨人を付け狙うよう命令されているのでしょう。屍人帝国の強大なオブリビオン……その名は『セラフィムビースト』――天使核の作用によって多数の『天使の翼』を生やした強大な魔獣です。強靭な肉体に加え、高い魔法能力を有しており、自在に空を飛ぶこともできます」
 また元となった生物が一体なんであったのかは判明していないが、人語をわずかに解するようである。
 強大な魔獣であるが、これを打倒しなければ屍人帝国『オーデュボン』の軍勢は浮遊大陸から撤退することはないだろう。
「また戦場となる直ぐ側には幻獣牧場と呼ばれる幻獣を育て、乗騎として飼いならすための牧場が存在しています」

 ナイアルテは、たとえばワイバーンやペガサス、グリフォンやヒポグリフなど翼のある幻獣を示してみせる。
 確かに人に慣らされた幻獣は人々の生活にとって欠かせない存在であろう。
 そうでなくても飛空艇以外の空の移動手段として、また友として彼等を育てている牧場の人々を戦火に晒すわけにはいかない。
「はい、そのとおりです。牧場が戦火に巻き込まれれば、パニックになった幻獣たちが放たれ、恐らく『アジール王国』は混乱に陥るでしょう。そうなってはオブリビオン、屍人帝国『オーデュボン』に付け入る隙を与えるだけなのです」

 だからこそ、ここで屍人帝国の侵攻を止めなければならない。
「青い鎧の巨人は、皆さんに対して敵意を持つことはないようです。ですが、彼等がなんらかの問題……もしくは屍人帝国『オーデュボン』に狙われるなんらかの理由があるはずなのです。戦いを終えた後に接触して頂けると、今後の予知において何かがわかるかもしれません」
 そういってナイアルテは再び頭を下げる。
 戦いは未だブルーアルカディアの世界にあって続いている。
『アジール王国』が座す浮遊大陸は広大であれど、この浮遊大陸が雲海に沈めば二度屍人帝国として浮上した時、世界全土にもたらす戦禍は、さらなる膨大なものとなるだろう。

 それを止めるのが猟兵たちに託された使命であるのならばこそ、この一連の騒動の鍵を握るであろう青い鎧の巨人をオブリビオンの手に渡らせるわけにはいかないのだ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 大空の世界、ブルーアルカディアにおいて屍人帝国『オーデュボン』が再び『アジール王国』座す浮遊大陸に降り立ち、青い鎧の巨人『セラフィムV』を追い侵攻を開始しました。
 これを追う軍勢を打倒し、物語の鍵を握るであろう存在に接触するシナリオとなります。

●第一章
 集団戦です。
 押し寄せる『マインドゴーレム』との戦いとなります。
 膨大な数の屍人帝国『オーデュボン』の軍勢です。天使核を動力とするゴーレムの一種であり、元は生命を持たぬ存在でしたが雲海に沈みオブリビオン化しています。

 青い鎧の巨人『セラフィムV』もまた戦場にいますが、皆さんの足手まといになることはありません。
 また庇護も必要ないほどに戦えているので撃破される危険性はありません。

●第二章
 ボス戦です。
『マインドゴーレム』の軍勢を率いる指揮官である魔獣『セラフィムビースト』との戦いになります。
 この魔獣『セラフィムビースト』を打倒しない限り、敵の軍勢は浮遊大陸から撤退することはないでしょう。
 強大な魔獣であるため強靭な肉体と高い魔法能力、飛行能力を有しており、さらにはわずかですが人語も解するようです。

●第三章
 日常です。
 浮遊大陸の平和を守った皆さんは、戦場の近隣に存在した幻獣牧場でのひとときを過ごすことができます。
 共に戦った青い鎧の巨人『セラフィムV』もまたしばらくそこにとどまるようです。
 接触してみるのもよいでしょう。

 それでは、ブルーアルカディアにおける物語の始動と屍人帝国の脅威を振り払う皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『マインドゴーレム』

POW   :    自爆型ゴーレム
自身が戦闘不能となる事で、【抱きついている】敵1体に大ダメージを与える。【自爆までのカウントダウン】を語ると更にダメージ増。
SPD   :    全身兵器
【目からの魔力光線】【飛行腕による拘束】【飛行脚部の回転ドリル】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    マインドコール
【天使核操作信号】を放ち、戦場内の【天使核】が動力の物品全てを精密に操作する。武器の命中・威力はレベル%上昇する。

イラスト:8mix

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦場となった浮遊大陸は『アジール王国』と呼ばれる人々の生活圏である。
 当然、王都からは離れているが、だからこそ日常に使われる幻獣たちの飼育をする牧場が存在しているのだ。
 人になれた幻獣たちであるが、戦禍に晒されればパニックを起こし野に放たれてしまう。そうなった後に残るのは混乱と、ともすれば人命が損なわれる事態に発展すりやもしれない。
 そうなってからでは全てが遅きに失する。
 ゆえに青い鎧の巨人は、迫る屍人帝国『オーデュボン』の軍勢、『マインドゴーレム』を牧場から引き離そうとしているのだ。
「『V(ヴィー)』、だめだ。ここで戦っちゃあ! もっと遠くに! うわっ!」
『マインドゴーレム』が放つ魔力光線が青い鎧の巨人に放たれ、爆風を巻き起こす。
 しかし、その鎧に傷がつくことはなかった。
 爆炎の中から青い鎧の巨人、『セラフィムV』は立ち上がり、『マインドゴーレム』に掴みかかり、その巨体を大地に投げつけ破壊していく。

 しかし、多勢に無勢である。
 どれだけ『セラフィムV』が頑強な存在であったとしても、消耗されてしまえばどうなるかわからない。
「ううっ……! どうすれば……! このままでは、また他の浮島と同じようにこの大陸も……!」
 雲海に沈み滅びた浮島。
 その光景を少年は見たのだろう。だからこそ、この浮遊大陸を破滅の憂き目に晒すわけには行かぬと、叫ぶのだ。

 誰かと、助けを乞うのではなく。
 己と『セラフィムV』が求める旅の終着点へと至る為に不屈の闘志を燃やすように、叫ぶのだった――。
鈴久名・紡
むすびを幻獣牧場へ向かわせる
牧場の幻獣達を落ち着かせて、必要なら護ってやってくれ
姿形が違えど、幻獣であるむすびの存在は
恐慌を鎮める役に立ってくれるかもしれないから

俺自身は竜神飛翔を使用
速度を活かしつつ
槍に変化させた禮火に鎧砕きと斬撃波を乗せて
なぎ払いの先制攻撃
二撃目で腕を狙った部位破壊も乗せていく
『抱き着かせない』その為にそれに必要な部位を奪う

立ち回りには注意して
浮島に被害が出ないように位置取る

青い巨人に敵が集中するようなら
雷と……禮火得意の氷結攻撃を敵に放とう
あぁ……お前に巨人の防御は任せるよ
浮遊する盾に変化した葬焔に巨人のフォローを一任

敵の攻撃は見切りで回避
必要ならばオーラ防御で防いで凌ぐ



 いつだってそうだけれど、戦いの犠牲に為るのは弱者である。
 弱き者であるからこそ巻き込まれるのか。もしくは食い物にされてしまうのか。どちらせによ、その犠牲を強いるのが戦禍であるというのならば、これを捨て置けぬと叫ぶのもまた人である。
「必要なら護ってやってくれ」
 そう己に従う羽付き兎型幻獣の『むすび』に告げ、鈴久名・紡(境界・f27962)は、ユーベルコードの輝きと共に完全竜体へと変じ、空へと舞い上がる。

 目の前に捉えるのは、幻獣牧場に迫る屍人帝国『オーデュボン』の軍勢、『マインドゴーレム』である。
 このままでは幻獣牧場に戦火が及び、そこに飼育されている幻獣たちがパニックに陥れば、人的な被害は免れぬだろう。
 だからこそ、姿形が違えど同じ幻獣である『むすび』の存在は、幻獣たちの恐慌を鎮めることができるかもしれないと思ったのだ。
「竜神飛翔――いくぞ」
 一瞬で空を駆ける竜となった紡が『マインドゴーレム』の一体へと槍へと姿を変えた神器の一撃を見舞う。

 薙ぎ払うように放たれた衝撃波が『マインドゴーレム』たちをなぎ倒し、その動きを止める。
「自爆攻撃をしようとするようだが」
 組み付くことによってはつどうするのであれば、その『抱きつく』腕を落としてしまえばいい。
 続く二撃目で『マインドゴーレム』の腕を破壊し、紡は雷撃と共に戦場を駆け抜ける。

 視界の端には『セラフィムV』と呼ばれる先の戦いでも姿を見つけることができた青い鎧の巨人がいる。
 こちらと同じようにオブリビオンとなった『マインドゴーレム』と組み合って大地に投げつけるようにして攻撃を防ぎ、繰り出している。
「あちはら大丈夫なようだが……あぁ、お前に巨人の防御は任せるよ」
 漆黒の鬼棍棒が盾へと変じ、その背を護るようにして『マインドゴーレム』が組み付くのを防ぐ。

 敵の数は膨大であり、自爆攻撃をも辞さぬ『オーデュボン』の消耗戦術に付き合ってやる義理はないのだ。
「――」
『セラフィムV』は己がかばわれたことに気がついたのだろう。紡は、その瞳が優しく輝くを見た。
 あれはどうやらオブリビオンではないようであるし、同時に猟兵たちに仇為すものでもないことを直感的に理解するのだ。
「敵の狙いがなんであれ、あの青い鎧の巨人は渡すまい。その背中は護ってみせる。だから、存分に戦え」

 紡と青い鎧の巨人は互いの背中を護るように『マインドゴーレム』の群れと対峙する。
 雷撃が戦場に落ち、神器の槍の薙ぎ払いが嵐のような攻勢を持って『オーデュボン』の軍勢を打ち砕いていく。
 それは確かに多勢に無勢であったが、同時に猟兵がこの場に間に合ったことを示すには十分である。己たちの存在が希望となるのならば、この大空の世界にあってもなお、絶望は似合わぬ。
 そういうように紡の放つ雷撃は、この青い空の下、浮遊大陸においてオブリビオンを撃滅する必滅の雷となって降り注ぎ続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

髪塚・鍬丸
事情を聞くのは後だ。まずは敵を迎撃する。
森の中で視界が悪い。各個撃破する。【影分身の術】を使い無数の分身を生み出す。
各分身を散開させ、木々の枝を【ジャンプ】して飛び回り敵を迎え撃つ。それぞれ意識を共有する事で【情報収集】、戦場全体の動きを把握。敵一体に対し三名以上で攻撃。
分身一人が敵の正面から気を引き、その隙に後方から複数で攻め倒していく。
体内に見える核が弱点だろうか。手裏剣の【投擲】や刀による【貫通攻撃】で狙ってみよう。
本体は青い巨人と併走し守りつつ分身全体を操作。分身からの敵の動きの情報を少年に伝える。
この巨人は君の指示で動いてるのかい?何にせよ、急いで進んで貰った方が良さそうだ。



 大空の世界、ブルーアルカディアにおいて猟兵達の中には、青い鎧の巨人と二度目の邂逅を果たす者もいたことだろう。
 未だ彼等の目的がなんであるのか、何故追われているのかを理解する者はおらず。
 けれど、彼等がオブリビオンではなく、オブリビオンを打倒する存在であるというのならば、これに加勢をするのもまた猟兵の務めである。
 少なくとも、髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)はそう思っていたことだろう。

 戦場と成った浮遊大陸は森が多い。
 視界が悪いことが数で劣る猟兵にとっては状況をひっくり返す一手となることは言うまでもない。
 数で迫るのならば、戦術でもってこれを覆すのだ。
「事情を聞くのは後だ。まずは敵を各個撃破する――臨む兵 闘う者 皆 陣列べて前に在り」
 影分身の術(カゲブンシンノジュツ)によって鍬丸が分身し、百にもいたろうかという数でもって森の中へと散開する。
 木々の枝を蹴って、迫る『マインドゴーレム』たちを迎え撃つのだ。

 それぞれの分身は鍬丸自身と意識を共有することであらゆる状況、敵の侵攻と進撃の速度、そして数を常時把握する。
 敵は必ず目的である青い鎧の巨人『セラフィムV』を狙ってくる。
 ならばこそ、これを阻むためには地の利を使わぬ手はない。
「天使核で動くゴーレムであるというのならば、その動力源さえ断ち切れば――!」

 分身の一人が『マインドゴーレム』の注意を引くように魔法光線を躱しながら、立ち回る。
 たしかに一対一であれば鍬丸と言えど数に圧されてしまうだろう。
 けれど、此処には自分ひとりではない。分身たちが必ず一体の『マインドゴーレム』に尽き3人でもって事に当たるとフォーメーションを組んでいるのだ

 注意を引く鍬丸が魔法光線を躱し、その死角から残る二人が手裏剣を投げ放ち、その露出した天使核を貫くのだ。
 その一撃が天使核に亀裂を走らせ、走り込んだもうひとりの鍬丸が刀でもって亀裂をさらに深くさせる。
「やはり、これが天使核。お前達の急所だな」
 注意を引いていた鍬丸がドリルの一撃を既のところで躱しながら、そこへ手裏剣を畳み掛けるのだ。
 亀裂が完全に天使核を砕いた瞬間『マインドゴーレム』がその外殻を大地に沈ませ、動きを止める。

 見事な連携で持って一体の『マインドゴーレム』を仕留めた瞬間、次々と周囲で『マインドゴーレム』たちが機能を停止していく。
 それは鍬丸が放った分身たちが時同じくして天使核を砕いたからであろう。
「後は、この青い鎧の巨人か……中にいる君。この巨人は君の指示で動いているのかい?」
 そう呼びかける鍬丸の目の前に巨人の胸が開き、一人の少年が姿を表す。

「『V(ヴィー)』は違うんだ! 僕が動かしているわけじゃなくて……! でも、オブリビオンと戦ってくれる!」
 その言葉に鍬丸は一瞬ためらう。
 しかし、状況は未だ切迫しているのだ。ならばこそ、ここは判断を違えるわけにはいかない。
「相解った。何にせよ、急いで進んでもらった方が良さそうだな。こちらも援護する。安心していい。俺たちは君の味方だ。だから、何も案ずるな。身を守ることだけを考えるんだ」
 そういって鍬丸は再び、青い鎧の巨人を追う『マインドゴーレム』たちへと駆けていく。

 あの少年の言葉が真実であれば、あの『セラフィムV』は自律しているということになる。
 しかし、まだ深く事情を聞ける状況ではない。
 鍬丸は己にそう言い聞かせ、疾く戦いを終わらせるために分身たちと共に森を駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セラフィナ・セレスティ
キミ達を助けに来たよ、ボクに任せて!
……出たね『オーデュボン』、さあ物語を進めようか
キミ達の謎を紐解けるなんて最高にワクワクするよ

少年と『セラフィムV』は大丈夫そうだね、よしよし
この大陸を沈ませやしないからね!
それじゃあ、ボクも魔力解放、法陣多重展開!
ここと牧場との間の空間にあらゆる攻撃を受け流す風の盾たる魔法陣を展開
特大サイズだよ、牧場も守りきってみせる!

靴に魔法の翼を生やして空中戦だ
魔力光線、飛行腕、回転ドリルは持ち前の身軽さで回避
ノータイムでマジックミサイルを打ち込んで目眩ましにしよう
本命はこっちだよ
来たれ六連星、キミには水と雷の複合魔法がよく効きそうだ



 屍人帝国『オーデュボン』。
 その名を知ったのは、つい先日であった。
 謎に包まれた過去の化身。かつて雲海に沈んだ浮遊大陸に存在していた帝国であることは言うまでもないことだ。
 しかし、その屍人帝国として蘇った『オーデュボン』が何故、青い鎧の巨人『セラフィムV』を付け狙うのか。
 それを知る者はおらず、そして追われる青い鎧の巨人を再び襲うオブリビオンの大軍勢を前にして猟兵が為すべきことはたった一つであった。

「あの人達は――!」
 青い鎧の巨人は己の胸の中から出た少年を護るように、掌でもって壁を作りながら、『マインドゴーレム』の放つ魔法光線を防ぐ。
 その力の強大さが屍人帝国を引き寄せるのか。
 しかし、舞い降りるように猟兵たちが転移し、次々とオブリビオンの軍勢を打ち払っていく。

「キミ達を助けに来たよ、ボクに任せて!」
 セラフィナ・セレスティ(celestial blue・f33925)は夜色の髪をなびかせ、青色の宝石の如き瞳をユーベルコードにきらめかせる。
 彼女の心にあったのは、ワクワクとした胸躍るような謎解きへの渇望であった。
 屍人帝国『オーデュボン』。
 その謎の鍵であろう青い鎧の巨人と少年。
 そんな彼等が織りなす謎を解けることに最高にワクワクしているのだ。

「こ、こっちは大丈夫だけれど……貴方達は」
「よしよし、この大陸を沈ませやしないからね!」
 そういって煌めく瞳と共に魔力が開放され、魔法陣が多重に展開されていく。
 それはこの付近に存在する幻獣牧場を守るための風の盾たる魔法陣を展開するセラフィナの強大なる魔力の奔流であった。
 どれだけ魔法光線を放つのだとしても、幻獣牧場に戦火が及ぶことを許さない。
 それは少年も望まぬであろうし、何よりセラフィナ自身も望まない。
「特大サイズだよ、牧場も守りきってみせる!」

 それは彼女の願いそのものであったことだろう。
 手の届く範囲の全てを守る。そのために自分の魔力があるのだし、同時にそれを害しようとするオブリビオンの存在を許すものではなかった。
「遅いッ!」
 ステップを軽やかに踏むようにしてセラフィナの靴に翼が生え、『マインドゴーレム』が放つ腕の一撃を躱す。
 手の甲を足場にするようにして彼女は空へと舞い上がっていき、ドリルの一撃すらも華麗に躱すのだ。

「数が相手だていうのなら」
 放たれるマジックミサイルが閃光を迸らせ、『マインドゴーレム』たちの視界を塗りつぶす。
 だが、『マインドゴーレム』たちは知らない。
 その一瞬の間に紡がれるユーベルコードが、それら全てを合わせた閃光よりも眩い輝きを放つ魔法を生み出していたことに。

「キミにはこれが効くと思うんだよね」
 掲げるは六連制の輝き。
 来たれ、と導くユーベルコードがセラフィナの魔力と水、雷の魔法と合わさって、姿を変えていく。

 遠き夜空にありながら、その輝きを持って一つの星と紛う力。
 それは、昴(スバル)。
 セラフィナが放つ水と雷の魔法が魔法陣からまたたく間に六連撃でもって『マインドゴーレム』の動力源である天使核を討ち貫き、その動きを止める。

 それはまさに一瞬の出来事であったことだろう。
「必ず守りきってみせるからさ。だから安心してよ。物語を進めるためにね! ボクはワクワクしているんだ。後で教えてよ。キミ達がどんな道程をたどってきたのかを。そして、これから何処に向かうのかを――!」
 セラフィナはそう微笑み、魔法陣を無数に空に展開していく。

 絢爛たる六連星の輝きが大空を駆け抜け、オブリビオンの追いすがる闇を振り払っていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アドナ・セファルワイド
少年よ。案ずることは無い
何故なら妾がいる。セファルワイド帝国皇帝、アドナ・メレク・ベル・セファルワイドがな
そんな声が少年の耳朶に響くと同時、マインドゴーレムが斬滅されていく

我がユーベルコードはセファルワイド帝国の歴史を変容させ、様々な可能性を皇帝たる余の元へと招来する勅命型ユーベルコード
つまりは過去改竄能力者の一人である故に、同じ過去改竄の異能を持つ黒騎士アンヘルとやらの異能もある程度以上は納められるものよ

そう呟いて帝国総歴史書を開き、作り上げたセファルワイド帝国のキャバリア「サマエル・モルトゥス」を騎士が乗った状態で複数召喚
それぞれがマインドゴーレムを各個撃破していくぞ



 人の心に恐怖あれど、それを踏み越えることができるのもまた人の感情である。
 ならばこそ、誰かと他者を願う心は少年にはなかった。
 いつだって彼には背中を押す者がいなかった。
 いつだって彼には自分を奮い立たせるしかなかった。
 周りに誰もいなくても。
 それでも己の役目が何であるのかもわからぬままに青い鎧の巨人『セラフィムV』に守られながら、三つの浮島を渡ってきた。

 自分たちを追ってきたオブリビオン、屍人帝国『オーデュボン』は三つの浮島を沈めた。
 少年は自分たちを追うオブリビオンに恐怖したのではない。
 自分たちが足を踏み入れた浮遊大陸が尽く沈むのではないかという恐怖に震えたのだ。
 だからこそ、彼は叫ぶのだ。
「許せるわけがない。こんなことあっていいわけがない!」
 迫るオブリビオン、『マインドゴーレム』と『セラフィムV』が激突する。武装を持たぬ青い鎧の巨人は、少年の言葉に応えるように『マインドゴーレム』を叩き伏せるのだ。

「少年よ」
 しかし、多勢に無勢である。そこに転移してきた猟兵の言葉が響きわたる。
「――」
『マインドゴーレム』たちは即座に天使核操作信号を放とうとして、虚空より放たれた斬撃によって切断される。
「案ずることはない。なぜなら妾がいる。セファルワイド帝国皇帝、アドナ・メレク・ベル・セファルワイドがな」
 その言葉は、アドナ・セファルワイド(セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942)が紡いだものであった。

 輝くユーベルコードに瞳は煌めく。
 虚空より現れし黒く消える事無き追想の刃(オイディプス・ダインスレイブ)は、次々と『マインドゴーレム』たちを切断していく。
「我がユーベルコードはセファルワイド帝国の歴史を変容させ、様々な可能性を皇帝たる余の元へ招来する勅命型ユーベルコード」
 ゆえに、空間に刻まれた斬撃は『マインドゴーレム』を虚空より出て、彼を包囲切断していく。
「ゆえに余が告げるのだ。恐れることはない。恐怖に震えることもない。そして、理不尽に屈する必要もない」

 アドナの手にて開かれるのは、セファルワイド帝国総史書。
 かつての帝国が辿り得た全ての歴史を綴り、魔術として展開しうる権能。
「『サマエル・モルトゥス』。帝国騎士よ、その機体を駆り妾の敵を討つのだ」
 下された勅によって、戦場を走るのはオブリビオンマシン『サマエル・モルトゥス』。
 青い鎧の巨人と同じく5mほどもあろう天使核を用いたオブリビオンマシンが戦場を駆け抜け、『マインドゴーレム』と激突する。

 装甲と装甲が激突し、火花を散らせる。
 如何に『マインドゴーレム』と言えど、唸りを上げる炉心輝く『サマエル・モルトゥス』の力に対抗できるわけではない。
 放たれた剣が、空間より放たれるユーベルコードの斬撃が尽くこれを切り捨てていくのだ。

「す、すごい……! これなら!」
 少年は迫る敵と、そして次々と転移してくる猟兵たちを見上げる。
 アドナはうなずく。
 自分だけではない。彼を助けるため、ブルーアルカディアにおいて侵攻を企てる屍人帝国の目論見を管感と猟兵たちが降り立つ姿を示すのだ。

「言ったであろう。案ずることはないと――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
連携OK!

【WIZ】

セラフィムヴィーかぁ、マインドゴーレムなんて技術もあるわけだ。

折角の異世界技術、ここで色々テストしておこっか!

ぼくも、ここはキャバリア阿穹羅
で出撃しようか!
ユーベルコヲド、叢雲!
牧場から遠ざけつつ、被害は最小に……なら、対機械の侵食ナノマシンが有効かな!
動力が優秀でも末端にその力が行き届かなきゃ、意味はないでしょ?

……それに、出来るだけ天使核は無傷で確保したいしね、お誂向きってわけさ!

ヴィーに関しては援護は大丈夫って聞いたけど、必要なら応急修理もしておこうか?
というより、どんな戦いぶりなのか気になるのが本音かな?



 青い鎧の巨人の名を『セラフィムV(ヴィー)』と言う。
 ブルーアルカディアにおいて、ある浮遊大陸を征く存在であり、かの巨人を追い回すオブリビオン……屍人帝国『オーデュボン』の影が示唆されたのはつい先日のことであった。
 屍人帝国が何故、青い鎧の巨人を追い回すのか。
 その理由は未だ語られていない。
 けれど、そのままにしておく理由など猟兵たちにはなかっただろう。

 迫るオブリビオンの軍勢『マインドゴーレム』たちが、その体をばらばらにして『セラフィムV』へと迫る。
 組み合うのもつかの間、『セラフィムV』は武装など持たぬのか、そのありあまるパワーでもって『マインドゴーレム』たちを大地に叩きつけ破壊するのだ。
「セラフィムヴィーかぁ、『マインドゴーレム』なんて技術もあるわけだ」
 国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)は天才たる所以を遺憾なく発揮するようにいちべつするだけで、『マインドゴーレム』の構成を読み切っていた。

 単純ながら天使核を動力源にして、各パーツをバラバラにコントロールしている。
 あれならば、各部を破損したとしても他の破壊されたゴーレムから腕や足、胴や頭を補充してロスなく機体を保つことができる。
「よく考えられてるなぁ……せっかくの異世界技術、ここで色々テストしておこっか!」
 鈴鹿は己が制作したキャバリア、『SR-ARX01 阿穹羅』のハイカラでアバンギャルドな機体と共にブルーアルカディアの空を駆け抜ける。

「フィールド展開よし!ムラクモユニット散布!」
 降り立つと同時に展開されるのは、超微細希金機械群・叢雲(レアメタルナノマシンユニツト・ムラクモ)である。
 牧場から敵を遠ざけつつ、被害を最小限にするのならば、彼女が生み出した侵食型粒子金属片が役立つ。
 それらは散布されるだけで『マインドゴーレム』たちの装甲の中に潜り込んでいく。

 微小な金属片であるからこそ、装甲のつなぎ目や、あらゆる場所へと張り込み、一片でも入り込めばそこから全てを侵食していくのだ。
「下手にバラバラにコントロールする設計が仇となったね。動力が天使核で優秀でもさ!」
 そう、彼女の狙い通りである。
 腕や足をバラバラにコントロールしている以上、動力が末端まで行き渡らなければ、一箇所が滞るだけど、そこから先は使い物にならなくなってしまう。
 まさに人間で言うところの壊死そのものである。

「末端にまで力が行き渡らなきゃ、意味はないでしょ?」
 それにと、鈴鹿は告げる。
 己の駆るキャバリアがアバンギャルドに舞うようにして金属片を撒き、光の反射でもって世界を染め上げていくのだ。
「できるだけ天使核は無傷で確保したいしね。誂え向きってわけさ!」
 あくまで異世界技術の見聞を広めたい。
 それが鈴鹿の目的であった。屍人帝国『オーデュボン』の狙いである『セラフィムV』に援護は必要無いと聞いていたが、共に戦う姿を見ればわかる。

「わー、確かに必要なさそう。わりと力技ばっかりだけど、関節部とかどうやって維持してるんだろうね」
『セラフィムV』は基本的に力技である。
 投げ飛ばしたり、殴りつけたり。武装がないのだから、そうせざるを得ないのだろう。
 けれど、それだけ力技を続ければ必ずどこか関節や負荷がかかりやすい部分が破損しそうなものであるが、それが全く見られない。
 興味は尽きないが。鈴鹿はそれは後の楽しみであるというように、今は目の前の『マインドゴーレム』に集中するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
『オーデュポン』の最初の侵略も、彼らを追ってのものだったみたいね。
オブリビオンの狙いは、挫く。この大陸も沈めさせたりしないわ。

森の中か。障害物が多くて、かえって苦手なのよね。派手な破壊も躊躇われるし。
それじゃあ、「結界術」「全力魔法」氷の「属性攻撃」「範囲攻撃」「戦術」「道術」で寒氷陣を敷きましょう。
大地から生える氷の牙で、マインドゴーレム達を「串刺し」にしてやるわ。
「式神使い」で偶神兵装『鎧装豪腕』を顕現。「オーラ防御」をかけて、マインドゴーレムの攻撃を捌いてもらう。

森の中なら、エルフの領分でしょ? アヤメ、隠身しながら、適度に攻撃してゴーレムの攻撃を散らして。

あたしに向かってくる敵は潰す。



 屍人帝国『オーデュボン』は先日から青い鎧の巨人――『セラフィムV』を狙い、付け回していた。
 前回の戦いにおいて、それは初めて露見したことであり、猟兵もまたブルーアルカディアの世界に降り立ってまだ日が浅かった。
 それゆえに前回は接触するよりも、迫る屍人帝国に対抗することが急務であった。
「『オーデュボン』の最初の侵略も、彼等を追ってのものだったみたいね」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は、己の視界の先にて猟兵たちと共に戦う『セラフィムV』の姿を見やる。

 迫る『オーデュボン』の『マインドゴーレム』を力技も斯くやというように投げ飛ばしたり、拳を叩きつけたりしながら、これを撃退している。
 確かにこちらの援護は必要無いのだろうということもうなずける戦闘力であった。
 ならば、こちらも自分の仕事に専念できるというものである。
「オブリビオンの狙いは、挫く。この大陸も沈めさせたりしないわ」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。

「森の中という立地が苦手なのよね。見通しも悪いし」
 けれど、泣き言を言っては居られない。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。冷たく凍えし絶望の爪牙よ。地の底より目覚めて、大地を闊歩する傲慢なる衆愚を穿ち貫け。疾!」
 解き放たれるユーベルコードの輝きが、『マインドゴーレム』たちの足元から氷の柱となって串刺しにする。

 その一撃でもって多くの『マインドゴーレム』たちが動きを止める。
「寒氷陣(カンピョウジン)……これで動きは止めたわ。アヤメ、攻撃をちらしなさい」
 ゆかりの指示と共に式神のアヤメと鎧装豪腕が飛ぶ。
 周囲に張り巡らせたオーラの力が放たれた『マインドゴーレム』の魔法光線やドリルの一撃を防ぎながら、ゆかりは戦場を走る。

 少しでも『マインドゴーレム』の攻撃を散らそうとしているのだ。
『セラフィムV』が規格外の存在であったとしても、数にものを言わせるのが、ブルーアルカディアのオブリビオン、屍人帝国のやり方である。
 前回の戦いがそうであったように、数の暴力の前には猟兵と言えど危ういのだ。
 だからこそ、『マインドゴーレム』の攻撃を『セラフィムV』に集中はさせない。
「森の中なら、エルフの領分でしょ、アヤメ?」
「それはそうですけど、故郷の森と違って勝手が違うんですから、あまり過度に期待はしないでくださいよ」

 そんなやり取りを行いながら、ゆかりは鎧装豪腕でもって『マインドゴーレム』の放ったドリルの一撃を受け止めて笑う。
「それはそうかもしれないけれど――あたしに向かってくる敵は潰す」
 氷の柱が『マインドゴーレム』を貫き、さらにせまる敵には己の薙刀の一撃をくわえ、鎧装豪腕でもって叩き潰すのだ。

「力技を倣うわけじゃあないけれどね。それでも頭を潰してしまえば!」
 ゆかりはアヤメと共に森の中を駆け抜け、『マインドゴーレム』たちを各個撃破していく。
 それは数で劣る猟兵にとっては常套手段であったことだろう。
 どれだけ強い猟兵と言えど、数に囲まれては敗北せざるを得ないのだから。けれど、それでも立ち回り次第でどうとでもなるのだ。

 敷き詰めた氷の柱は『マインドゴーレム』たちの進軍を阻み、そして、ゆかりは己の薙刀でもってこれを打ちのめしていく。
 遠くで『セラフィムV』がまた一体『マインドゴーレム』を仕留めた音を聞き、ゆかりは続々と転移してくる猟兵たちの姿を見上げる。
「これなら、なんとかなりそうね。アヤメ、もうひと踏ん張りよ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
生体なのか機械仕掛けなのかは解らないけど、
少年と『青い鎧の巨人』さんとはオブリビオンではないっぽいね。
むしろ狙われてるみたいだし、お話聞くにしてもまずは敵を撃退してからかな。

【セレステ】で『マインドゴーレム』の軍勢の前に出たら、
【E.C.O.M.S】を展開して、【M.P.M.S】といっしょに撃ち込んでいこう。

どのくらいの数がでているのかわからないけど、できるなら飛空挺まで墜とせたらいいんだけどな。

相手を撃退したら、少年さんに『オーデュポン』とのお話聞かせてもらおう。
『青い鎧の巨人』さんもゴーレムってことは、誰かが作ったものなのかな?
機械系なら、メモリーとか見せてもらえると嬉しいんだけど!



 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はガンシップである『リオ・セレステ』を駆り、『マインドゴーレム』の軍勢の前に飛び出していた。
 どのくらいの数が屍人帝国『オーデュボン』の飛空艇より飛来したのかわからない。
 けれど、あきらかに猟兵たちの数よりも多いことは言うまでもなく、その物量をすでに経験していた彼女にとって、急ぎやらなければならないことは敵の数を減らすことであった。

「作戦行動、開始」
 その瞳がユーベルコードに輝き、E.C.O.M.S(イーシーオーエムエス)によって八角形のユニットが膨大な数でもって飛び出していく。
 理緒の駆るガンシップを見えなくするほどに展開されたユニットたちは、ミサイルランチャーから放たれたミサイルと共に『マインドゴーレム』へと走り、爆風を吹き荒れさせる。
『マインドゴーレム』たちは腕や足を失いながらも、天使核操作信号に寄って破壊された残骸である『マインドゴーレム』の腕や足さえも操作して、理緒に襲いかかるのだ。

「危ないッ!」
 そう叫んだ声が聞こえたと思った瞬間、青い鎧の巨人が理緒に迫る『マインドゴーレム』の腕を掴んで投げ飛ばす。
「『セラフィムV』……! 後でお話を聞かせてね! 今は――!」
 そう、今はその時間もない。
 そして、確約も出来たわけでもない。けれど、理緒は直感的に感じていたのだ。

 目の前にで駆動する青い鎧の巨人。
 生体のようになめらかに動き、機械仕掛けであるのかもわからない。けれど、オブリビオンではないという判断だけはできる。
 彼等が何故、屍人帝国『オーデュボン』に狙われているのかはまだわからない。わからないけれど、今はこの場を切り抜けなければ、その真相さえも闇に葬られてしまう。

 そうなっては全てが遅きに失する。
「お返事もらえる余裕はないか……でも、誰が作ったものなのか、機械ならメモリーとか、そこらへんから見えてくるものもあるかもしれないし!」
 単純な興味であったのかもしれない。
 けれど、理緒は見覚えがあったかもしれない。いや、正確には己の目でみたわけではない。
 よく似た何かを、そのデータを何処かで見たような気がしたのだ。

 しかし、その直感は己に迫る『マインドゴーレム』の拳でもって中断させられる。
 その一撃を間一髪で躱しながら、ミサイルランチャーからミサイルを放ち爆散させる。これだけの物量だ。それでも必ず後続がやってくる。屍人帝国とはそういう存在なのだ。
 それは嫌というほど先の戦いで学んだことだ。
「あっぶないなー! でも、やられないよ!」
 だからこそ、一番いいのは『マインドゴーレム』を運んできた飛空艇を落とすことである。
 けれど、理緒の確認できる範囲内に、飛空艇は見受けられない。『マインドゴーレム』を投下してすぐに撤退したのか、もしくは援軍を引き連れてくるのか。
 どちらにせよ、理緒がやるべきことは変わらない。
 ユーベルコードに輝く瞳のままに理緒は、己の駆るガンシップと共に大空の世界、ブルーアルカディアを駆け抜け、爆炎と爆風の中を翔び、『セラフィムV』と協力して、『マインドゴーレム』を撃滅していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

んー…あの巨人なぁ。なんかこう、キャバリア連想するのよな。
森の中、といえどわしのすることは変わらん。黒燭炎で突き、その炎で延焼せぬように気を付けつつ燃やす。
念のため、強化した結界術で森の保護もしておるでな。

さて、陰海月のお陰で位置を誤認しておるの…予想外の方向からの突きなぞ、さらに避けられぬよな。


少年心あふれる陰海月、ゴーレムかっこいい!けど戦い!なので四天流星ぽいぽい投げて、錯誤呪詛巻いてる。ぷきゅー…。
(目からビームかっこいいのにー…)



 5m級の巨人。
 それは異世界を知る猟兵にとっては、ある意味で見慣れたものであったし、サイズ感であったことだろう。
 異世界を知らぬ者にとっては、巨大なる巨人にしか思えず、その青い鎧の巨人は、ゴーレムの類にしか思えなかったかも知れない。
 それでも5mを越える存在は珍しかったのだろう。
 だから、屍人帝国『オーデュボン』が、『セラフィムV』を狙う――。

「というのは、流石に弱いか。ただ大きいから、その動力と為る天使核が巨大である、というだけならば、別に追わなくてもよかろうものであるが」
 しかしながら、と馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の中の一柱である『侵す者』がつぶやく。
 どうしても、あの巨人、『セラフィムV』が異世界であるクロムキャバリアにおけるキャバリアを連想させらるのだ。
 しかし、かの巨人はどうやら自律しているようでもあった。

「ふむ、とは言え、わしのやることは変わらん」
 手にした黒色の槍を構え、『マインドゴーレム』へと駆け出す。
 どれだけ人の身よりも大きかろうが、猟兵である以上、己よりも巨大な存在と相まみえることなど日常茶飯事である。
 なればこそ、ユーベルコードである。

「……ここは悪霊のあるところ」
 四悪霊・『界』(シアクリョウ・サカイ)。それは強化された結界術にて周囲の森を保護するものであった。
 戦火に晒さぬという意味では、これほど頼もしいユーベルコードもないだろう。同時に『マインドゴーレム』たちを結界の中に閉じ込めるのだ。
「――」
『マインドゴーレム』は己たちが閉じ込められたことにより、森の中で思うように動けない。
 放つ魔法光線やドリルの一撃をもってしても、結界が敗れないのだ。
 じれるように結界に激突しながらも、しかして強烈なる結界がそれを阻む。

「無駄だとも――」
 そこに走り込んできた『侵す者』の黒色槍の一撃が炎を噴出させながら、動力源である天使核を貫く。
 一撃のもとに貫いた槍が砕いた天使核が四散する中、影から出て錯誤の呪詛を持った鋲を放つ『陰海月』がいつもよりはしゃいでいるのに『侵す者』は苦笑する。

「これ、真面目にせい」
 しかしながら、少年心溢れる『陰海月』にとってゴーレムとはカッコいいものである。そして、強いものだ。
 だからこそ、目から魔法光線を放つ『マインドゴーレム』をキラキラした目でみてしまうのも致し方あるまい。
「ぷきゅー……」
 かっこいいけれど、倒さなければならない。
 少年の心を理解するのであれば、なおのこと『侵す者』は、それならばあちらのほうがよかろうと『セラフィムV』を示す。

 青い鎧の巨人。
『マインドゴーレム』をねじ伏せる剛力でもって戦う姿は勇姿と表現しても差し支えのないものであったことだろう。
 それを見た『陰海月』が如何なる感想を抱いただろうか。

 声援を受けるようにしながら『侵す者』は己の槍を振るい、次々と『マインドゴーレム』の天使核を砕いていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソナタ・アーティライエ
散策中、たまたま訪れた牧場でこんな事態に遭遇してしまうなんて……
美しい世界を襲う災厄に対する悲しさと、この子達を守らなければという思いを胸に
仲良くなった天馬『シューベルト』の背を借り、戦場へと向かいます

波となって押し寄せる軍勢に抗するため、偉大なる龍王の幻身を召喚し
「今まさに蹂躙されようとしている小さき者たちの為に
どうかその王威の一端をお示しください」と強く願いながら
奏でるヴァイオリンの音色と共に響かせ訴えます

崩れ落ちる軍勢の姿に敵であっても悲しさを覚えずにはいられません
ですが、この身を預けるシューベルトから伝わってくる鼓動が
皆を守る一助になれたのだと、慰めてくれているように感じます



 ブルーアルカディアの平和な浮遊大陸、そこに存在する幻獣牧場は、人々の暮らしにとって必要不可欠な存在である幻獣たちを飼育する場所である。
『アジール王国』に属する幻獣牧場もまた同様である。
 新たな世界であるブルーアルカディアに訪れ、散策していたソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)は偶然にも、屍人帝国『オーデュボン』の侵攻を知ることになる。

 無数の猟兵たちが転移してきているが、さらに数が多いのが『オーデュボン』のオブリビオンである『マインドゴーレム』である。
 飛空艇から次々に投下される『マインドゴーレム』の数を数えることなどできはしなかった。
 膨大な数。そして、軍勢と呼ぶにふさわしいオブリビオンたちが、これから何をしようと言うのか、ソナタは理解できていなかった。
 けれど。
 そう、けれど。彼女はその優しき心で己の行動を決定するのだ。
「美しい世界を襲う災厄に対する悲しさ……この子たちは守らなければなりません」

 彼女のつぶやきは、その胸に浮かぶ思いと同様である。
 まったく違えることのない思いと言葉は、そのままに力となって、瞳に宿るのだ。それを感じたのだろう。
 ソナタのそばに寄り添う天馬『シューベルト』が付き従うのだ。
「わたしに乗れというのですね、『シューベルト』。ええ、あなたの背を借りて参りましょう」
 共に、とソナタは天馬と共に戦場へと飛翔する。

 まるで波のような『マインドゴーレム』の攻勢。
 凄まじい物量である。眼下には『セラフィムV』と呼ばれる青い鎧の巨人が猟兵たちとともに『マインドゴーレム』と戦っている。
 如何に強力な個体であろうとも数の暴力でもってすり潰される運命が見える。
 だからこそ、ソナタは瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。
「今まさに蹂躙されようとしている小さき者達の為に、どうかその王威の一端をお示しください」
 強く願い、ソナタはヴァイオリンを奏でる。

 葬送行進曲『夜天の王』(シュウエンヲウタウオウノガイセン)。

 旋律は天を覆うほどに巨大な夜空色の何者かを招来せしめる。
 まるで夜空がそのまま落ちてきたかのような、凄まじい光景。世界が一変するかのようなユーベルコードは、それだけで超重圧の覇気となって『マインドゴーレム』に襲いかかるのだ。
 物体であるがゆえに彼等に魅了や幻惑や畏怖は関係ないものであろう。
 けれど、その圧倒的な存在の前に『マインドゴーレム』と言えど、機能不全に陥っていく。
 超重圧の覇気が『マインドゴーレム』の体をボロボロに崩していくのだ。

「ああ……例えオブリビオンと言えど、かつては浮遊大陸に在りし存在。それがまた再び滅びなければならないなんて……」
 敵と言えど、悲しさを覚えずにはいられない。
 それがソナタの優しさであろう。時として、それが足枷になることもあるだろう。
 けれど、天馬はそんな彼女を慰めるようにして頬と頬を合わせるのだ。
 例え、彼女の優しさが足枷になるのだとしても、己がいると言うように。
「そうですね……皆を守る一助になれたのならば」

 けっして、彼等の二度目の滅びもまた無意味ではない。
 そういうようにソナタは慰めてくれる優しさに寄り添うように、『マインドゴーレム』を送る音色を奏でるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルビィ・フォルティス
ごきげんよう、青い鎧の巨人様。
援護は必要でして?

面倒な型のゴーレムがたくさんですわね……
残しておくと厄介ですの、全て停止させましてよ。

荊棘の剣障を使用し、自身と数体のマインドゴーレムを風の壁で包む
これで牧場に被害はおよびませんわ。この中の敵はわたくしにお任せあそばせ。

自前の翼で飛翔し、光線を避けながら接近、アドウェルサで切り裂いていく
ドリルや飛行腕による掴みは空中ステップも合わせた空中軌道で回避し、カウンターで天使靴シューズによる蹴り+突風で風の障壁まで吹き飛ばし、かまいたちで切り刻む

こんなものでは、まるで物足りませんことよ。



 蒼き鎧の巨人の名を『セラフィムV(ヴィー)』と言う。
 それを知った時、ルビィ・フォルティス(空の国の家出娘・f33967)は何を思っただろうか。
 あれだけの巨大なゴーレム、人型を動かす動力が天使核であるというのならば、己の故郷もすくえるのではないかと考えたかも知れない。
 けれど今の彼女は猟兵である。
 彼女が今成さねばならぬことはたった一つ。

 屍人帝国『オーデュボン』の『マインドゴーレム』が群れをなして青い鎧の巨人を捕獲せんとするのを阻まねばならない。
 魔法光線が放たれ、飛行する腕部やドリルが無数に放たれる中、『セラフィムV』は、それらの攻撃を物ともせず猟兵達と共にこれに立ち向かっている。
「ごきげんよう、青い鎧の巨人様。援護は必要でして?」
 というのは建前のようなものだ。
 助太刀をするというのは、彼女にとって当然のことであったけれど、己の剣と風を操る能力には自信があるのだ。
 安売りをするつもりはない。

 けれど、どうしたって誰かを助けることをやめることはないのだ。
「あの人達の味方……!? 助けてくれるっていうの?」
 青い鎧の巨人の中で少年が幾分和らいだ声を上げる。
 それを聞けただけでルビィには十分だった。共に並び立つには十分だ。
「面倒な型のゴーレムがたくさんですわね……」
 周囲に飛び散った『マインドゴーレム』の破片。 
 これまで猟兵と『セラフィムV』が破壊した『マインドゴーレム』なのだろう。けれど、無事な四肢を使って、欠損した腕や足を補充する機能は、あまりにも厄介であった。

「無事な部位を残しているだけで再び欠損を埋める……厄介なですの。全て停止させましてよ」
 彼女の瞳が輝く。
 手にするのはフォルティス家に受け継がれてきた風の魔力を操る剣、『アドヴェルサ』。
 その刀身より放たれるは風の障壁である。
 少年や『セラフィムV』が近くに存在する幻獣牧場を気にしているというのならば、戦火が及ばぬようにと敵を囲いこんでしまえばいい。
「これで牧場に被害は及びませんわ。このなかの敵はわたくしにおまかせあそばせ」
 そういってルビィが風の障壁の中へと飛び込んでいく。

「あなたはわたくしを楽しませてくれまして?」
 目の前には無数の『マインドゴーレム』たち。
 多勢に無勢であるが、ルビィは不敵に笑っていた。そう、彼女にとって強者との戦いは己の剣の技量を高める絶好の機会である。
 ならばこそ、彼女は笑って剣を振るうのだ。

 エンジェルとしての翼が羽撃き、魔法光線を躱す。放たれた拳を華麗なる風のステップで翻り、剣でドリルの一撃を受け流す。
「こんなものでは、まるで物足りませんことよ」
 放たれた蹴撃は、まさに荊棘の剣障(ケイキョクノケンショウ)。
 その細足より放たれる風の魔力が、生み出された風の障壁に『マインドゴーレム』たちを叩きつけ、そのかまいたちの刃が『マインドゴーレム』の曲を粉微塵になるまで刻んでいく。

 嵐のような風の中を踊る彼女の華麗なる舞を惜しむのならば、それが風の障壁越しでしか見ることができないことであろう。
 けれど、ルビィはたおやかに笑っていうのだ。
「剣は秘めてこそ。なれば、見えぬくらいでちょうどよいもの」
 剣舞が如き立ち振舞であったとしても、その剣が冴え渡ることに変わりはなく。
 放たれた剣の一撃が『マインドゴーレム』の天使核を貫き、その動作を尽く停止させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
「天上界」にこう簡単に行けるようになるとは、
流石グリモアというところでしょうか

そして、行けるようになったのなら
猟兵としての務めを果たすのみです!
――《戦士の手》とともに!

輝闘機『ブライト・ナイト』に風の【属性攻撃】を
目いっぱい込め、飛翔して【空中戦】を挑みましょう
空の世界、けれど私とブライト・ナイトなら!

ゴーレムのUCを警戒しつつも、ヒットアンドアウェイで
肉弾戦を挑んでいきます
青い巨人を追うのならこちらに注意を引くように
【衝撃波】を打ち込み、近づいては【鎧砕き】の攻撃を
ねじ込み――

相手からの反撃には、「見切り】で回避
難しいなら【オーラ防御】ではじく!
その程度の攻撃、いくらでも受けてきましたっ!



 これまで多くの世界を見てきた猟兵たちにとって、オブリビオンが求めた世界をこうして歩くことになるとは思わなかった者もいるのだろう。
 簡単に世界を転移し、垣根を越える。
 それが成せるのはグリモアの力があってのことである。
 だからこそ、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は驚愕したのだ。

 天上の世界、雲海が広がり、青い空が出迎える世界。
 名をブルーアルカディアといい、浮遊大陸や飛空艇が空を舞う想像を絶する世界。
 しかし、この世界にあってもオブリビオンの脅威がある。
 それが屍人帝国である。
 雲海に沈んだものは生物であれ、無機物であれ必ず消滅する。その後に再び浮上した時、そこにはオブリビオンを満載した屍人帝国が生まれるのだ。
「ならば猟兵としての務めを果たすのみです! ――『戦士の手』と共に!」
 ユーフィは輝闘機『ブライト・ナイト』と共に戦場となった浮遊大陸へと赴く。

 降り立ったのは森の中。
 遠目に見えるのは幻獣牧場であろう。そこに戦火が及べば、飼育されている幻獣たちがパニックに陥り、人的な被害が出てしまうことは想像に難くない。
 ならばこそ、ユーフィは戦いの場を空へと限定させる。
 敵がオブリビオンであるというのならば、猟兵である己を必ず滅ぼそうとするだろう。
 牧場より敵の目をそらすという意味では『ブライト・ナイト』の巨躯は悪目立ちするものであった。
「空の世界、けれど私とブライト・ナイトなら!」
 ユーフィの狙い通り、屍人帝国『オーデュボン』の『マインドゴーレム』たちが魔法光線や浮遊する拳でもって『ブライト・ナイト』を叩き落とそうと群れをなして殺到する。

 しかし、ユーフィの動きを完全にトレースする『ブライト・ナイト』の力を侮ったというほか無い。
 凄まじい速度で踏み込んで、そのユーフィの格闘者としての技量でもって『ブライト・ナイト』が拳を振るう。
 放たれた一撃は『マインドゴーレム』の天使核を吹き飛ばし、その巨躯を停止させるのだ。
「殴りっこなら負けません。勝負っ!」
 放たれる拳が衝撃波を打ち込み、その装甲を砕く。

 その動きは一騎当千と呼ぶにふさわしいものであり、同じく共に戦う青い鎧の巨人『セラフィムV』の瞳が輝く。
 まるで、その動きを学ぶように動きをトレースし、拳で持って『マインドゴーレム』を打倒していくのだ。
「青い鎧の巨人さんも、共に戦ってくれるんですね! ならば!」
 共に戦ってくれるというのならば、これほど心強いことはない。
 しかし、見れば見るほどにユーフィの動きを完璧に模倣している。今の『セラフィムV』と戦い方が似ているからであろうか。
 参考にするように動く『セラフィムV』は、まるでユーフィの弟子のようにその拳技でもって、ユーフィに負けぬ活躍を見せるのだ。

 そんな『セラフィムV』の動きにユーフィは気合をみなぎらせ、『マインドゴーレム』から放たれる拳の一撃を受け止める。
 負けてなどいられない。
 まるで師を仰ぐような動き。なればこそ、恥じぬ戦いをしなければならない。
「その程度の攻撃、いくらでも受けてきましたっ!」
 そう、数多の世界を渡り、数多のオブリビオンと対峙してきた。
 その経験の蓄積が今、ユーフィのユーベルコードを通して発現し、戦士の手(センシノテ)の名に恥じぬ戦いでもって、大空の世界の元、彼女の拳が唸りを上げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「さーて、鳥の次はどんな敵さんが来るのかな?楽しみだなぁ。」
(敵さんらを見る)………(Argentaを展開)

Argentaを足場に敵さんらの遥か頭上まで駆け上がる。
んでもって、無言で自分の手首を切ってUCを発動。
射程距離が長い事を活かして敵さんらを一方的に攻撃する事にする。

UCの射程範囲内の敵さんらを片っ端からぶち抜いていく。
敵さんの攻撃が来そうなら、すぐにジャンプで他の槍に移動してすぐさま攻撃を再開。
ああ、牧場の方には一応行かせないようにしとくよ。

青鎧も気になるけど先ずはこいつらを殲滅しないと。
「血が出ない敵さんは僕嫌いなんだ。楽しくないし。」
だから、とっとと死ね。



 本来己が持つ吸血衝動を抑えるというのは、如何なる困難を伴うものであろうか。
 苦痛を感じるほどのものであれば、いっそ解き放ってしまったほうが楽になれるものであろう。
 けれど、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)はそれをしない。
 それをした所で、己の吸血衝動が癒えることがないことを彼は知っているからであろう。
 ならば、その衝動を紫煙によって抑え込み、己が吸血の牙を振るうのは彼が言うところの敵さん、即ちオブリビオンに対してのみであるという成約を課すことこそが何ものにも勝る極上のスパイスと成り得るのだから。
「さーて、鳥の次はどんな敵さんがくるかな? 楽しみだなぁ」

 そんなふうに彼が浮足立ってしまうのもまた無理なからぬことであったことだろう。
 けれど、その瞳が捉えたのは『マインドゴーレム』である。
 無機物で持って構成された体は、どこに牙を立ててよいのかわからず。
 突き立てたとて、はたして血液と呼ばれるものが存在しているのかどうかさえわからない。
 いや、本当は判っているのだ。
 どうあがいても、『マインドゴーレム』からは己の吸血衝動を癒すことはできないと。
 ならばこそ、容赦はしない。容赦などいるものか。
「……」
 無言のまま展開された銀の槍。
 それを足場にして莉亜は即座に空へと駆け上がっていく。とてもではないが、彼にとっては楽しめる戦いではない。
 ならば即座に戦いを終わらせることこそが、肝要である。

 己の手首を自傷することによって血が噴出する。
 それは彼のユーベルコードの代償行為である。血液を代償にし、己の視界に映る全ての敵を討ち貫く魔砲が現出する。
「くたばれ」
 短く言葉を告げる莉亜。
 そう、『マインドゴーレム』に興味は少しもない。
 彼が興味を持てるのは、血肉でもって悪逆を為すオブリビオンだけである。ならばこそ、楽しさもなにもあったものではない。

 確かに青い鎧の巨人には興味があるけれど、それとこれとは別である。
「血が出ない敵さんは僕嫌いなんだ。楽しくないし」
 きっぱり言い放ち、陽滅魔砲(ヒュブリス)の一撃がブルーアルカディアの空を染め上げる。
 放たれた魔砲の一撃は『マインドゴーレム』を瞬時に貫き、次々と擱座させていくのだ。
「まあ、一応はね。牧場の方には行かせないけれど」

 ここまでサービスでしかない。
 どうかと思うのだ。
 どうか、次に出てくるオブリビオンの指揮官は血が出る敵さんでありますようにと。
 そうでなければ、莉亜の吸血衝動は収まるどころか、フラストレーションが貯まるばかりである。
 だからこそ、莉亜は次なる得物を求め、銀の槍を蹴って大空を跳ねるようにして駆けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スリジエ・シエルリュンヌ
あの時、ちらりとお見かけした青い巨人…それが『セラフィムV』なのですね。

で、あれば…文豪探偵、推して参ります!
そして、今回は私らしく始めましょう。桜のガンシップを手に入れたときに、UCもできましたから。

そう、前衛バリツ探偵がすることはただ一つ。周りに被害を出さないようにしつつの【探偵の突撃】です。
相手の攻撃は、第六感で見きって避けますね。操作には充分慣れましたし!
なんなら、魔砲撃で飛行腕と回転ドリルを弾いてもいいかもです。

※養父の影響で、とても近接主体です。



 その青い鎧の巨人をスリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)はわずかであるが姿かたちを見知ったものであった。
「あの青い巨人……それが『セラフィムV』なのですね」
 彼女の瞳に映る青い鎧の巨人は、迫る屍人帝国『オーデュボン』の『マインドゴーレム』に組み付き、圧倒的な力で彼等を投げ飛ばし、打倒している。
 他の猟兵たちも戦いに馳せ参じているが、確かにこれを見る限りでは、青い鎧の巨人である『セラフィムV』に援護の必要はなさそうであった。

「で、あれば……文豪探偵、推して参ります!」
 スリジエが駆る桜色のガンシップがうなりを上げる。
 彼女が手に入れた桜色のガンシップ。それは彼女が文豪探偵であることを知らしめるように、探偵の突撃(トゥシェ・ラ・シブル)を敢行するのだ。
 凄まじい速度でもって空を駆けるスリジエと桜色のガンシップ。
 それは閃光のように、矢のように青空に一閃を刻み込み、『マインドゴーレム』の放つ魔法光線を躱しながら、一直線に突き進む。

 放たれた浮遊腕や無数のドリルの攻撃など、スリジエにとっては恐れるに足らぬものであり、同時に躱す必要もないものであると知らしめる。
 魔砲撃の弾丸が撃ち落とし、一直線に進む姿に『マインドゴーレム』たちが攻撃を集中させるのだ。
 けれど、それは彼女にとっては願ってもないことであった。この戦場の付近には幻獣牧場が存在している。なればこそ、そこを戦火に晒すわけにはいかないのだ。
 息を吸い込む。
 やるべきことは単純明快。もう彼女はわかっているのだ。己がなんであるのかを。
「いきます!」
 前衛バリツ探偵。
 そんな彼女が周囲に被害を齎さずに、戦い続けるというのであれば、それは確約された未来なのだ。
 桜色のガンシップが迫る攻撃の波すら物ともせずに弾き飛ばしながら、『マインドゴーレム に激突し巨躯を吹き飛ばすのだ。

 まさに矢どころの話ではない。
 もはや弾丸そのものとなったスリジエと桜色のガンシップが次々と『マインドゴーレム』をなぎ倒していくのだ。
「ど、どうなってるっていうんだ、一体……! あの人は無事なのか!?」
 青い鎧の巨人の中で少年が呻く。
 彼にとって、スリジエの戦い方は驚愕に値するものであったのだろう。魔砲撃を放ちながら、『マインドゴーレム』の拳やビームを弾き飛ばし、さらなる突撃で持って敵の戦列を突き崩していく。

「これがバリツ探偵。ええ、もうすっかりガンシップの操縦も慣れましたもの!」
 スリジエの言葉が響き渡り、バリツ探偵という単語は少年の心に深く刻まれたことだろう。
 恐れを知らず、傷を顧みることなく。
 誰かのために戦うということを誇らしげに語るスリジエの姿は、きっと少年の心を後押しするには十分なものであったことだろう。

 それがかつてスリジエが養父から影響を受けたように、彼女もまた別の誰かに影響を与える。
 良い影響も悪い影響も、須らく人の生であるというのならば、この時こそがきっと誰かの人生に影響を及ぼし、その道筋を正しきものへと導くことだろう。

 スリジエはガンシップを駆りながら、養父のことを思い出し、己の文豪探偵としてのバリツでもって『マインドゴーレム』を尽く打倒していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
青い鎧の巨人か。縁があればと思ってたが意外に早かったな。
で、最初は『マインドゴーレム』の大群か。
オーデュボンを名乗るくせに鳥系じゃねえのか。(謎の難癖)

そーだな、たまにはクロム以外で『スルト』を使ってやるか。
『スルト』に搭乗してゴーレムの群れを蹴散らします。
炎の剣で切断したり、拳や脚に魔力を纏わせ、触れた先から大爆発させたり。(紫微天尊)

敵POWUCは紫微天尊の力によって他のゴーレムに抱き着かせて自爆してもらいましょう。

たーまーやーってな



 青い鎧の巨人『セラフィムV』。
 それはブルーアルカディアの世界を知った猟兵たちが知った存在である。
 オブリビオンである屍人帝国『オーデュボン』が付け狙う存在であり、その存在を巡って三つの浮島が雲海に沈んだ。
 この『アジール王国』が座す浮遊大陸もまた例外ではないというように、昨日の今日で即座に追手を放つ『オーデュボン』の物量には些か驚嘆するものであったことだろう。
「青い鎧の巨人か。縁があればと思ってたが意外に早かったな」
 アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は縁があれば、また出会うこともあるであろうと思っていたが、それがこんなにも早く実現するとは思っても居なかったのだろう。

 転移してきた猟兵たちと歩幅を合わせて戦う『セラフィムV』と組み合うオブリビオンである『マインドゴーレム』。
 援護の必要がないと聞き及んでいたが、確かにそのとおりであった。
 組み付き『マインドゴーレム』を徒手でもって投げ飛ばし、殴りつけ破壊していく姿は、確かにオブリビオンが求める理由の一つには成りえそうなものであった。
「だが、まあ、よくわからんな。それだけなら、あの『マインドゴーレム』でも良いわけであるし……」
 しかし、とアレクサンドルはつぶやく。
 名を『オーデュボン』と名乗っているくせに手繰る軍勢は鳥じゃないのかと。
 前回は確かに羽持つオブリビオンばかりであったからそ腑に落ちないのだ。

 本当にそうなのかと。
「そーだな。たまにはクロムキャバリア以外で『スルト』を使ってやるか」
 アレクサンドルが指を鳴らした瞬間、背後に現れるオブリビオンマシン『スルト』の姿。
 そのコクピットの中に収まると己の動きをトレースする鬼神の如き力でもってアレクサンドルは紫微天尊(セイサツヨダツ)が如く魔力をまとわせた拳や蹴撃でもって『マインドゴーレム』たちを蹴散らしていく。

 手にした炎の剣でもって溶断せしめる姿は、『セラフィムV』にとっては近づきがたいものであったことだろう。
 触れた先から『マインドゴーレム』を爆散せしめる姿は、オブリビオンマシンであることを想像以上に見せつけるものであった。
「たーまーやーってな」
 さらに魔力を流し込んだ『マインドゴーレム』が何かに操られるように僚機である味方の軍勢に抱きつき、自爆しては諸共に爆散していく。

 まさに魔性の技と呼ぶに相応しき戦いに爆煙を背にしながら『スルト』は歩みを進める。
 その姿に恐れを抱くことはあれど、それが味方であるというのならば、心強いものであったことだろう。
 純然たる力。
 それを見せつけるアレクサンドルの戦いぶりは、青い鎧の巨人のなかの少年の心に強烈な印象として残ったことだろう。
「生かすも殺すも気分次第ってな」

 アレクサンドルはまだまだ襲い来る『マインドゴーレム』を相手に、活殺自在とでも言うかのように『スルト』と共に戦場を駆け抜けていく。
 あれだけの荒ぶる神が如く戦いぶりは、『マインドゴーレム』では止めようがない。
 触れれば操られ、離れれば即座に距離を詰められ爆散させられる。
 まるで止めようのない破壊の化身が如く『スルト』とアレクサンドルは戦場を蹂躙し、屍人帝国の軍勢の一角を尽く滅ぼすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
血肉を持たぬ敵は喰いでがありませんが、狩らぬ理由にはなりません
これ程の数であれば砥石代わりにはなるでしょう

我等が刃は戦の中でこそ研ぎ澄まされる
悉く斬り刻んでくれよう

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ状況を把握、戦闘知識+瞬間思考力を活かし敵行動を予測し攻撃ルートを組み立てる

先制攻撃のUCに夜砥を忍ばせ最も早く攻撃しようとする集団の背後の敵に範囲攻撃で体勢を崩し、夜砥に伝わせた怨念の炎の二段構で装甲を蝕む
影の腕が繋がったら怪力+ジャンプ、串刺しでとどめを刺し周囲の敵が大勢を立て直す前になぎ払い+範囲攻撃で切断
UCの爆破や敵の体を足場に、危険な時は影の腕や夜伽を利用した空中機動で回避する



 その身に怨念を蓄積させ、呪詛を満ちる瞳でもってオブリビオンを射抜くのは、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)であった。
 狂戦士と呼ばれるにふさわしい眼光。
 彼の瞳がオブリビオンを一度認知すれば、後に残るのは怨敵の骸のみである。
 だが此度の戦場にあって相対するは屍人帝国『オーデュボン』の『マインドゴーレム』である。

 無機質な体。
 天使核を動力とし、命令に従うだけの存在。そこに血肉は通わず、あるのは無機質な輝きだけである。
「血肉を持たぬ敵は喰いでがありませんが」
 けれど、狩らぬ理由にはならない。
 ゆえに彼は一歩を前に進めるのだ。ゆらりと傾ぐようにして彼の身体が前に傾いた瞬間、彼はすでに己の間合いへと『マインドゴーレム』の姿を捉えていた。
 放たれた黒い影が『マインドゴーレム』の装甲を弾けさせ、その身体をひしゃげさせる。

 すでに彼の頭の中には最適な攻撃ルートが組み上げられている。
 ただ進撃経路を導き出すだけではない。これまで数多に積み上げられてきた怨敵との戦い。
 その経験上から来る最適な攻撃を躱しながら、こちらの攻撃を当てていく戦術を彼は息をするように行えるのだ。
 まさに野生。
 理性ではなく本能が己の戦闘技巧を研ぎ澄ませていくのだ。
「これほどの数であれば研ぎ石の代わりにはなるでしょう」
 放つ超極細の糸が『マインドゴーレム』を切断し、まとわせた怨念の炎が装甲を焼き切っていくのだ。

 さらに彼の身体が軽やかに空へと舞い上がる。
 影の腕でもって繋がった『マインドゴーレム』へと一撃を畳み込み、その動きを停止させる。
 次の瞬間には影面(カゲツラ)の如き黒き影が再び別の『マインドゴーレム』へと走り、周囲の敵の体勢が整わぬうちに爆破させ、己の怪力に任せた一撃でもって尽く敵を打倒していく。
「我等が刃は戦の中でこそ研ぎ澄まされる――」
 輝くユーベルコードの瞳。

 爛々と輝く瞳の中にあるのは狂気ではなく怨念そのもの。
 オブリビオンを尽く滅ぼせ、悉く切り刻んでくれようという呪詛そのものな言霊は、例え言葉を解さぬ物言わぬ『マインドゴーレム』であったとしても、恐怖を感じさせるには十分すぎる戦い方であった。
 影の腕と怨念の炎。
 その二段構えの攻撃の前に『マインドゴーレム』の軍勢は総崩れとなっていく。
 どれだけ数を頼みにしたところで戦場を軽やかに舞うように走り抜け、彼の背後に山積していく残骸を見れば、それが如何に無駄なことであるかを知るだろう。

 そう、彼の怨念の炎は止められない。
 燃え尽きることのない呪詛でもって彼は入り、刃を振るうのだ。
 研ぎ澄まされていく感覚は、戦いの中でこそ磨かれるものである。疾く敵を打倒せしめることこそが、周囲に齎される被害を最小限に抑えるための最善の策であると知らしめるように、織久の戦いぶりは、『セラフィムV』を通して、胸の中に抱かれる少年の瞳に刻まれるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イングリット・ジルニトラ
※アドリブや他猟兵との連携はOKです

巨人と少年か。
彼等の絆はどこまで行けるのか興味はあるな。
それにしても浮島を三つも沈めてまで狙うとは…一体奴らは何を考えてるのだ?

ガレオンチェンジで飛空艇の姿で参戦だ。

自爆型のゴーレムか。
あれに囲まれて一斉に自爆デモされたらさすがに持たないな。
また堕ちるのはごめんだ。
最大船速!!
抱き着かれないように、敵との距離に注意しつつ主砲の有効射程範囲に収める。接近したゴーレムは踊るようにマニューバで船体を動かし、左右両舷のスカイソードで切り裂く。飛空艇が白兵戦ができないと誰が決めた。
艦載砲…砲弾装填、うてー
(使用技能:『空中機動』『空中戦』『呪殺弾』『砲撃』『斬撃波』)



 人と物との間に絆は生まれるのであろうか。
 その答えを知るのは人ではなく、物であったかもしれない。ジルニトラ級陸番艦イングリット、かつて大空を飛ぶ飛空艇であり、雲海に沈みかけた存在である。
 彼女は、イングリット・ジルニトラ(ガレオノイドの翔剣士・f33961)――猟兵として今も存在している。
 青い鎧の巨人と少年。
 彼等の間柄を彼女は如何なるものとして捉えたことだろうか。

「巨人と少年か。彼等の絆はどこまで行けるのか興味はあるな」
 彼女の言葉は、彼等の間に余人には伺い知れることのない絆が育まれているようにも思えたのだろう。
 それは確かに今後の戦いを占う上では外すことのできない要因であったことだろう。
 けれど、それ以上にイングリットを憤慨させたのは、彼等を追って三つの浮島が雲海に沈んだということである。

 彼等を追う屍人帝国『オーデュボン』が何を考えているのか。
 それを今考えても詮無きことであるのは承知の上であるが、己がかつて属していた小国のことを思えばこそ、オブリビオンを赦してはおけぬのだ。
 その瞳がユーベルコードに輝き、己の姿を飛空艇へと変じさせる。
 幽霊船の如き姿ではあるが、これこそがイングリットの本来の姿である。

 眼下に見える『マインドゴーレム』は自爆を厭わぬ存在である。
 組み付かれれば、自爆されイングリットの飛空艇としての巨躯すらも傾けさせるものである。
「あれに囲まれて一斉に自爆でもされたら、流石に保たないな。また墜ちるのはごめんだ――最大船速!!」
 イングリットの判断は早かった。
 即座に己の最高速度へと達し、『マインドゴーレム』が組み付こうとするのを振り切って飛ぶのだ。
 彼我の距離の目算は、かつて飛空艇であった己こそが一番よくわかっている。

 艦載砲の砲塔を向け、地上に在る『マインドゴーレム』たちへと砲撃を加え、次々と爆炎の中にその姿を消し飛ばす。
 しかし、その爆炎の中からでも『マインドゴーレム』たちは次々と飛び立ち、イングリットの飛空艇としての船体に取り付こうとするのだ。
「接近戦ならばと思ったか、甘い!」
 イングリットが叫ぶと同時に巨大な飛空艇が大空で踊るように軌道を描く。

 それはまるで戦闘機が行うような挙動であったが、巨大な飛空艇がそれを行えば圧巻なる存在感を戦場に示すのだ。
「左右両舷で切り裂く!」
 飛空艇が白兵戦をできぬと誰が定めたか。
 それを知らしめるようにイングリットの船体に備えられたスカイソードの一撃が迫る『マインドゴーレム』たちを切り裂いて、空中で爆発四散させる。

「艦載砲……砲弾装填、撃て――」
 大空の直上より放たれる艦載砲の一撃。
 それは地上に存在していた『マインドゴーレム』の一群を消し飛ばすには十分すぎる威力で持って戦場を爆炎に染める。
 放たれた砲弾の衝撃波が木々を揺らし、屍人帝国の軍勢の一角を突き崩しながらイングリットは、その巨大な船体を悠々と浮かばせ、恐らくこれから現れるであろう敵の指揮官を待つ。

 オブリビオンは全て敵である。
 己を落とした存在ではなくとも、それでもやはりこれから悲劇を起こす存在であるのならば、イングリットは己の存在意義の全てを掛けて、これを討ち滅ぼすと己の中にある怨念の炎をたぎらせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎

雲海に沈めばあんなんに成り果ててまうとわかってて
素通りなんてもっての他や
なんや青い鎧の巨人ゆうんも気になるし
微力なれども助太刀させて貰うで?

きゃばりあデ思イキリ飛行スルンニ嵌マッテモタカラ、デハ決シテナイデ?

キャバリア搭乗
空中戦・空中機動・推力移動駆使し飛行

黒翼騎士とかが動揺しとったんや
キャバリア見たらゴーレムでもデータ不足とかで多少はフリーズするやろ
すかさず先制攻撃でジャミング
信号発信と操作を妨害し更なる混乱を図りつつUC展開
火焔と雷霆でなぎ払い、感電で精密操作を邪魔する

敵攻撃は見切り・盾受け・武器受け・敵を盾にするで対処

さてさて
追われてるこの子もなにやら色々ありそうやねえ



 人も物も、何もかもが雲海に沈めば消滅する。
 それがこの大空の世界ブルーアルカディアの理である。消滅するだけであるのならば、滅びと変わらない。
 滅びるだけであるのならば、それは必定である。
 ならばこそ、割り切ることもできよう。けれど、雲海に沈んだ大陸や物、人は再び浮上してくる。
 それは再生ではなく、歪んだ過去の化身として現在ににじみ出てくるだけのことにほかならない。
「雲海に沈めばあんなんに成り果ててまうとわかってて、素通りなんてもって他や」
 クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は異形の銕の機神と共に大空の世界を翔びながら、眼下に見える戦いの最中にある森を見つめる。

 知ってしまったのならば、見過ごすことができない。
 そのたった一つだけで戦いに赴くのが猟兵であるというのならば、クルルは正しく猟兵であったことだろう。
 その心にキャバリアでもって思いっきり空を飛ぶことが心地よいと思って、嵌ってしまっただとかそういうことは決してないのである。
 人の心の中を覗き見したわけではないので、定かではないがきっとそうなのである。
 ウン、ソウダネ、とクルルは目をそらしながらうなずくであろうが、きっとそういうことなのだ。

「きたれ霹靂、きたれ炎獄――此処を敵の奈落となさん――」
 クルルと機神の瞳が輝く。
 それはユーベルコードにして狂奔する雷霆と火焔の嵐の輝き。放たれるユーベルコード霹雷炎獄陣(ヘキライエンゴクジン)は屍人帝国『オーデュボン』の『マインドゴーレム』を包み込み、感電と熱傷でもって彼等の装甲を溶断していく。
「――!」
 彼等はゴーレムである。
 もれなく天使核を動力としているのならば、前の前に降り立った機神もまたそのとおりであると思うであろう。
 放たれる天使核操作信号。けれど、機神はそれとは異なる原理、動力で動いている。ならばこそ、それは如何なる意味をも成さないのだ。

「やっぱり……あの黒翼騎士たちが動揺しとったんは、これか」
 青い鎧の巨人『セラフィムV』とサイズや挙動の似通った機神を見て、彼等は動揺していた。
 明らかに自分たちが手繰る軍勢、『マインドゴーレム』とは異なる技術であることを知っていたのだ。
 ならば、逆説的に考えれば『セラフィムV』と機神は似通った存在であると言えるのだろうか?

「それは後で考えるとしてや」
 雷霆と火焔の嵐の中を駆け抜け、大盾の一撃で持って『マインドゴーレム』を粉砕する機神。
 その直ぐ側で青い鎧の巨人が背中を預けるようにして徒手でもって『マインドゴーレム』を打ち付け、投げ倒している。
 武装を保たず、徒手だけでこれだけの敵を相手にして無傷であるところを見れば、その装甲が如何に頑強であるかを知らしめるものだろう。
「追われてるこの子も何やら色々ありそうやねえ」

 オブリビオンである屍人帝国に名指しで追われる存在。
 それがどのような意味を持っているのかはわからない。けれど、青い鎧の巨人が屍人帝国に渡ることは、どう考えても物事が好転するとは考えられない。
 ならばこそ、クルルは戦うのだ。
 考えることは後でもできる。今己が成さねばならぬことは、オブリビオンを打倒し、周囲に被害を出さぬこと。
 ただそれだけに集中し、雷霆と火焔の嵐の中を青い鎧の巨人と共に切り抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
屍人帝国『オーデュボン』、懲りねえ奴らだぜ。まだ例の『青い鎧の巨人』を追ってんのかよ。
「・・・どんな理由が在ろうと好きにはさせません。」

おい、青い鎧の巨人ッ!大丈夫かッ!・・・大丈夫そうだな。傷一つついてねえ。
と、先ずはゴーレム共をどうにかするのが先決だな。
「・・・式、召喚【戦駆け劔武者】」
いけ、戦駆け劔武者ッ!派手に暴れてやりなッ!

劔武者を敵集団に突撃させるぜ。接近する時に放ってくる遠距離攻撃を見切って回避したり特殊金属の太刀で迎撃したりしながら必殺の神速居合術の射程圏内に入った奴から叩き斬ってやれッ!

まとめてスクラップになっちまいなッ!


【技能・式神使い、見切り、受け流し】
【アドリブ歓迎】



 鬼面のヒーローマスクがカタカタと、その面を揺らす。
 その心にあるのは常に正義の心だけである。
 大空の世界ブルーアルカディアにおいて、屍人帝国とはオブリビオンの巣窟そのものである。
 雲海に沈みし大陸が再び浮上した時、そこにあるのはオブリビオンのみが存在し、オブリビオンの欲望に寄ってのみ行動する悪辣なる帝国――『オーデュボン』だけであった。

 先立ってこの浮遊大陸を侵略せんと迫っていた『オーデュボン』の懲りぬ侵攻に神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は早くも辟易していた。
『屍人帝国『オーデュボン』、懲りねえ奴らだぜ。まだ例の『青い鎧の巨人』を追ってんのかよ』
 吐き捨てるように言う凶津の言葉に相棒である桜がうなずく。
 彼等の好きにさせてはならない。
 オブリビオンが戦火を広げようというのならば、それを止めるのが正義の心を灯す彼等の使命であるからだ。
「……どんな理由があろうと好きにはさせません」

 二人は共に転移した大空の世界から、森へと降り立つ。
 すでに多くの猟兵たちが駆け付けているのだろう、屍人帝国の大軍勢を前にしても一歩も前に進ませぬと奮闘している。
 そこに青い鎧の巨人もまた戦い続けていた。
『おい、青い鎧の巨人ッ! 大丈夫かッ! ……大丈夫そうだな。傷一つついてねえ』
 凶津は今もまだ徒手でもって戦い続ける青い鎧の巨人の戦いぶりを見て、驚嘆した。
 取り立てて頑丈であるのだろうが、それがオブリビオンの狙う理由には成りえないだろう。 
 それだけならこうまでして追い立てる理由がない。
 
 何か他の理由が……と思わないでもなかったが、今は為すべきことがあるのだ。
「……式、召喚。【戦駆け劔武者】(シキガミ・イクサガケツルギムシャ)」
 桜の言葉とともに召喚されるのは体高5m級の機動鎧武者の霊であった。
 その巨大さとは裏腹に、超高速の踏み込みで持って一瞬のうちに特殊金属の太刀でもって『マインドゴーレム』を一閃の元に切り捨てる。
 その姿は、まさに劔の名を冠するに相応しい威容であった。

『いけ、戦駆け劔武者ッ! 派手に暴れてやりなッ!』
 凶津の言葉と共に劔武者と青い鎧の巨人が戦場に駆け出す。劔武者が一閃し、青い鎧の巨人が『マインドゴーレム』を投げ飛ばす。
 二体の巨人が織りなすコンビネーションは、悉くオブリビオンを打倒し、互いに傷を追うこと無く戦場を蹂躙していくのだ。
「……すごい。まるで最初からそうであったみたいに、あの青い鎧の巨人……劔武者に合わせている」
 桜の瞳にはそう映ったようであった。

 しかし、青い鎧の巨人と面識があるわけではない。
 けれど、即座に動きに追従する青い鎧の巨人、『セラフィムV』の動きは常軌を逸していたものだった。
 柔軟な行動。
 自律しているという動き、そのどれもが驚異的な吸収力で持って周囲の猟兵たちの動きを己のものにしていっているようでもあったのだ。

『どっちにせよ、心強い味方ってわけだ! さあ、必殺の神速居合術でもって――』
 凶津が叫んだ瞬間、青い鎧の巨人がその怪力で持って『マインドゴーレム』たちをまとめて劔武者へと追いやる。
 射程に入ったと見るや否や、劔武者が居合の構えを取る。
 そこが射程であるとすでに理解されているのだろう。だからこそ、劔武者の瞳がユーベルコードに輝くのだ。

 これこそが必殺の神速居合術。
『まとめてスクラップになっちまいなッ!』
 放たれた剣閃の一撃が、『マインドゴーレム』をまとめて両断せしめる。
 その鋭き一撃は、爆炎を巻き起こし、それを背にして劔武者は居合の構えから、鯉口を切るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
事情はよく分からないけれど
目の前の脅威を何とかしないとね

ガトリングガンで範囲攻撃し
数を減らしていこう

青い鎧の巨人の様子も見るようにしてみよう
デザイン的にA&Wやこの世界のものなんだろうか
ゴーレムなのかそれともどこかで他で見た事あるものなのかな

近付かれたらワイヤーガンで絡めとったり
ビームを神気で防いだりしながら戦うよ
抱きついてきたらワイヤーガンを使って緊急回避しよう

どうしても避けきれなかったら
カウントダウンに合わせて封印の縛めを使用
彫像と化して自爆を防ごう
悪いけど独りで壊れてくれ
…変な所に吹き飛ばない事を祈ろう

あらまあ、大変ですの
怪我してたらいけませんし
邪神の施しを使いますの

…彫像のまま戦え、と



 屍人帝国『オーデュボン』が何故青い鎧の巨人を狙うのか、その目的は未だ判明していない。
 けれど、事情がよくわからないからといって彼等を見捨てることも、目の前の脅威を捨て置くこともできないのが猟兵という存在であったことだろう。
 少なくとも、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はそうであったのだ。
 迫る『マインドゴーレム』の群れを前にガトリングガンでもって斉射し、少しでも数を減らそうとしていたのだ。

 自分に組み付き、自爆仕様と迫る物量作戦。
 それは標的であろう青い鎧の巨人にも同様に行われているようであった。いや、むしろ、そうでもしないと青い鎧の巨人が止められぬと彼等は理解しているのだろう。
 現に晶の視界の端で戦い続ける青い鎧の巨人『セラフィムV』の鎧とも装甲とも取れる身体には傷一つ付いていないのだ。
「アックス&ウィザーズやこの世界の物なんだろうか……」
 デザインを見るだけでは共通点が見つけられない。
 けれど5m級の体高を持つ人型であるという点から見れば、それはどこかで見たことがある戦術兵器と類似する点もありそうなものであった。

 けれど、そんな思索を張り巡らす晶を前に、悠長に構えている時間はない。
 物量で押す『オーデュボン』の戦略は、如何に猟兵と言えど数の暴力には勝てぬことを如実に示していた。
「まったく……おちおち考え事もできないな」
 ワイヤーガンで木の枝に巻き付き、『マインドゴーレム』の腕の範囲から逃れ、晶は封印の縛め(シールド・スタチュー)によって己の身体を彫像と化して敵の自爆の影響を遠ざける。
「と、やっぱりね……自爆攻撃が本命なんだ」

 晶の周囲に群がる『マインドゴーレム』たち。
 これだけの数を前にして攻撃で数を減らすのは時間的にも効率的に考えても無駄であろう。
 ならば、とユーベルコードに寄って超硬の希少金属へと姿を変えた晶は、その身を大地に下ろし、あえて『マインドゴーレム』たちの自爆攻撃を受けるのだ。
「悪いけど勝手に自爆してくれ……変なところに吹き飛ばないことを祈ろう」
 爆発が巻き起こり、超硬金属の彫像と化した晶に『マインドゴーレム』の爆風は無意味であった。

「あらまあ、大変ですの。怪我してたらいけませんし、邪神の施しを使いますの。晶、晶、どうかそのままでお戦いになってくだしまし」
 などと邪神の分霊が知ったような口を言う。
 爆風の中から彫像の姿のまま晶は歩みだす。
 どれだけの爆炎が上がろうとも、超硬金属の彫像と化した晶を傷つけることができるものは存在しない。

 ゆえに、このまま『マインドゴーレム』の自爆攻撃を受け止め続けた方が効率的にはいいのだろう。
 けれど、なんとも釈然としない。
 何に変わるのか選べるだけが救いなのかなぁ、と思ってみたものの、この姿で戦うのはあんまりにも気が引ける。
 何より邪神の分霊が大喜びであるのが気に食わない。
 自分自身は全く動けなくなるけれど、それでもガトリングガンを構え弾丸を放っていれば、そこらじゅうから『マインドゴーレム』が集まってくるのだ。

 その度に爆炎が上がり、自爆攻撃を受け止めていく。
「ああ、もう本当に早く戦いが終わってくれないかな」
 身動きが取れぬままに爆炎の色だけが世界を染める。
 そんな最中にあっては、晶と言えどため息がこぼれ出てしまものである。けれど、順調にオブリビオンの数を減らしていることは事実であろう。
『セラフィムV』の負担も猟兵たちが戦いに参じたことによって減ってきている。

 このままであれば、青い鎧の巨人である『セラフィムV』が鹵獲されることはないだろう。
 晶は、それを思えば己が彫像として自爆攻撃を一手に引き受けることを良しとする他ないのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「魔獣牧場の魔獣か。
確かに逃げ出したら一大事!
ここはその前に解体して我の食料に……
あいたぁっ!」

ステラ、そんな全力で叩いて、我の天才的頭脳がバカになったらどうするのだ!

「ともかく、天使(ルビ:セラフィム)のように美しい我を付け狙う帝国め……
今回も返り討ちにしてくれよう!」

ルクス、何か言ったか?

【魔力増幅】で集中して魔力を高めていくぞ。
さあ、この大陸ごと消滅させてくれるわ!
って、あいたぁっ!(二度目

「ともかく、我の魔術を受けるがよい!」

あれ?
なんか抱きついてきたゴーレムがカウントダウン始めてるのだが?
これ、我、ピンチな感じ?

「こら、ルクス、弟子なら師匠である我を助けんかっ!」


ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

魔獣の牧場……のんびりしてない感じですけど、
小さい頃はかわいいんでしょうか?
って、師匠、これは食べちゃダメです。請求されますよ?

……師匠が天使? まさか『セラフィムV』の『V』ってババ……。
あ、いえ、あっちは『B』で……『V』もある!?

なにはともあれ、ゴーレムにも天使核あるんですよね。
この間はちょーっと失敗して報酬もらい損ねてしまいましたから、
今回は頑張りますよ!

飛ばれると面倒ですけど、敵が歩いてくるなら問題ありません。
【カンパネラ】で外側を砕いて、中身をいただきますよ!

あ、師匠はだいじょぶですよ。不老不死ですから痛いだけです!
ちゃんと天使核だけはげっとしてくださいね!


ステラ・タタリクス
【勇者パーティー】
※人型で参加

幻獣牧場…とてものどかな光景ですね
ガレオノイドの私にも懐いてくるなんてとてもかわいい
ええ、そこ、食べない(スリッパでスパーン!)
どこから出したか、ですか? それはメイドの秘密です

さて…またもや騒がしい来客のようです
迷惑なお客は丁重にお帰りいただきましょう
ちなみにルクス様、お婆さんという意味の『vetula』があります

それでは
【テールム・アルカ】発動
人型で扱えるサイズのハイペリオンランチャーを転送後、腕のガジェットに装着
一気に……行く前に、待ちなさい(ハイペリオンランチャーの砲身でしばく)
フィア様、砲身が折れたらどうしてくれるのですか?

さて今度こそ……なぎ払います!



 ブルーアルカディアにおいて幻獣は種によって人々に寄り添うパートーナーとして存在している生物である。
 ペガサスやグリフォン、羽を持つ幻獣であれば飛空艇の代わりに個人の脚となることもあるだろう。
 けれど、それは小さな頃から人に慣れさせていればの話である。種族を超えた絆を育むためには時として綺麗事だけで語れぬものもあるだろう。
 幻獣牧場という名がまさにそれであろう。
「幻獣牧場……とてものどかな光景ですね」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思わずすり寄ってくる幻獣の仔に頬がほころぶ。
 動物と触れ合うことでメンタルがリフレッシュされることもあるというのならば、今こそまさにステラの心は落ち着きを見せていた。

 けれど、そんなのどかな光景、そして自分になついてくれる幻獣の仔たちをまえにして共に行動する二人は割と問題児的発言をしていた。
「のんびりしてない感じですけど、小さい頃は可愛いものなんですね」
「幻獣牧場の幻獣か。確かに逃げ出したら一大事! ここはその前に我の食料に……」
 じゅるり、とヨダレの音が聞こえた気がした。

 もしかしなくてもフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)である。
 水族館に言って美味しそうだなぁって思うタイプなのであろう。気持ちはわかるが、今はそういうこと言っているといかんですよ。
「師匠、これは食べちゃだめです。請求されますよ?」
 ルクスがたしなめるが、それたしなめているっていうより、単純にお金の心配しているよね。お金が潤沢なら食べてたってことかな? と思わないでもなかったが、フィアは食べる気満々である。

「請求が怖くて焼き肉が食べられるものか……ってあいたぁっ!?」
 そこに飛んできたのはステラが放ったスリッパの一撃である。
 わりと何処から出したのかと問いただしたいところであるが、これもまたメイドの秘技である。問いただしてはいけない。わりとマジで、ここか? ここなんか? とやりたいところであるが、それは抑えなくてはならない。
「そこ、食べない」
「ステラ、そんな全力で叩いて我の天才的頭脳がバカになったらどうするのだ!」
 えぇ……割とマジでおっしゃってるんですねってなるステラであったが、まあ、それはおいておいて。

 彼女たちがわちゃわちゃやっていると戦場から抜け出て来たのだろう、屍人帝国『オーデュボン』の『マインドゴーレム』たちが姿を表す。
「さて……またもや騒がしい来客のようです。迷惑なお客は丁重にお還り頂きましょう」
「ふっ、天使(ルビでセラフィムって描いてある)のように美しい我を付け狙う帝国目……今回も返り討ちにしてくれよう!」
「……師匠が天使?」
 ルクスが、ちょっと疑問顔になった。
 何だその顔は、となるところであるが、フィアはこういうところでは鈍感なのである。
『セラフィムV』のVはババ……いや違う違う。それだとB……いえ、ルクスさま、お婆さんという意味の頭文字でVと……。

 そんなヒソヒソやり取りが成されているとはつゆ知らずフィアはその瞳をユーベルコードの輝かせる。
「魔力増幅(マナ・ブースト)によって増大させた極大魔法にて、屍人帝国のゴーレムなぞ、大陸毎消滅させてくれるわ! って、あいたぁ!?」
 二度目の突っ込みがフィアに入る。

 そこにあったのは、ステラの構えるテールム・アルカによってリサイズされたハイペリオンランチャーであった。
 腕にガジェットとして装着しているのだが、フィアが大陸毎ぶっ飛ばそうとした瞬間に、その頭を砲身でどつくのだ。
 わりと容赦ないなこのメイド。
「フィア様、砲身がおれたらどうしてくれるのですか?」
 え、我今どつかれたよね? なんで我のほうが謝る流れになってんの? とフィアは思わないでもなかったがごめんなさいした。えらい。

「ともかく我の魔術を受けるが良い!」
 しかし、がっしりと『マインドゴーレム』がフィアにしがみついている。
 ぴ、ぴ、ぴ、となんか妙な音が聞こえているのだ。え、これまさか。
「な、なんかカウントダウンしている感じなのだが!? これ我ピンチな感じ?」
 ルクス! ルクス! と助け呼ぶがルクスは割と放任である。あれ、お世話係じゃなかったでしたっけ。
 そんなことは関係ないのである。

 ルクスは前回ちょーっと失敗して報酬もらいそこねてしまったのだ。いや、ちょーっとだったかな? けどまあ、そんなことは些細なことである。
 今回はがんばろうと意気込んでいるのだ。えらい。
「飛ばれると面倒ですけど、敵が歩いてくるなら問題ありません! La Campanella(ラ・カンパネラ)の一撃で! 砕いて! 中身をいただきます!」
 え、ルクスさん? ルクスさーん? となっているフィアにしがみつく『マインドゴーレム』がカウントダウンはいよいよ最終段階に入っている。

 そんな師匠を見てルクスは微笑むのだ。
「あ、師匠大丈夫ですよ。不老不死ですから、痛いだけです! ちゃんと天使核だけはげっとしてくださいね!」
 他人事である。
 ステラは、と見てもステラはステラでハイペリオンランチャーで大忙しである。え、割とマジでこれピンチじゃない? という顔をしたフィア。
 残念ながらそういうことである。

「つまりオチ担当って……コト!?」
 フゥン?
 盛大な爆炎が巻き起こり、その煙の中、煤だらけに成りながらフィアがどえらい目にあったとばかりに肩を落として戻ってくる姿があったとかなかったとか。
 そんな最中二人のパーティメンバは、天使核ゲットに大忙しであったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
雲海より蘇りし屍人達と、大陸の命運を握る天使核……
ははっ、まるで神話の登場人物になった気分だな。
そんな世界でも、俺の『役割』は一介の卒(下級の兵)。
■闘
空の世界なら、此方も【空中戦】で行くべし。
次々と放たれていく光線や飛行腕等の攻撃を【残像】が
残る程の空中【ダッシュ】で立ち回ろう。
万一当たりかけても『全部』当たらなければ問題あるまい。

敵が密集している処を発見したら【薙鎌・荒】を発動し加速。
【早業】の抜刀術から荒ぶる真空波を放ち、【範囲攻撃】で
一気に殲滅するのだ。一体たりとて逃さぬ。

■他
万一あの青い巨人が手こずっている姿が見えたら、大丈夫と
いえども割って入り助太刀しよう。

※アドリブ歓迎・不採用可



 ブルーアルカディアにおいてオブリビオンはかつて在りし帝国より舞い戻りし存在である。
 どれだけ強大な帝国であったとしても、浮遊大陸を浮かび上がらせる天使核が潰えれば、尽くが雲海に沈んでいく。
 雲海に沈めば、どんな存在も生命も等しく消滅するのである。
 これがこのブルーアルカディアにおける理の一つである。
「雲海より蘇りし屍人達と、大陸の命運を握る天使核……ははっ、まるで神話の登場人物に成った気分だな」
 愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)は思わず、そうつぶやいていた。
 そう、目の前に広がる大空の世界。
 どこまでも続くかに見える雲海と青空。

 そして、目を引くのが点在する浮遊大陸である。
 こんな世界にあってもなおオブリビオンの存在は人々に破滅をもたらす。ならばこそ、己の役割はなんだと自問するのだ。
「俺の『役割』は一介の卒。ならば」
 そう、ならば自問するまでもない。
 成さねばならぬことを成し、これをもって己の刃でもってオブリビオンを打倒せしめる。
 世界が変われど、己がやるべきことは何一つ変わってなど居ないのだ。

 猛禽の翼を広げ、清綱が空を駆ける。
 すでに戦場には青い鎧の巨人『セラフィムV』とオブリビオンである『マインドゴーレム』との戦いが繰り広げられている。
 徒手でもって敵をなぎ倒す青い鎧の巨人のちからは凄まじいものであったが、オブリビオンの数も膨大である。
「構太刀、息吹く刃風はいくさ場の……空直斬りし、荒れ薙鎌」
 己こそは一陣の風。
 羽撃く猛禽の翼と共に空を駆け抜ける清綱の斬撃は神速そのものであった。

 剣閃から生み出されるのは嵐のごとき真空波であった。
 固まって点在していた『マインドゴーレム』たちは清綱の姿を視認する暇もなく、一瞬のうちに真空波に飲み込まれ、嵐の中に消えていくのだ。
「一気に殲滅する……一体たりとて逃さぬ」
 オブリビオンが世界に戦火をもたらし、混乱に導くというのならば、それを平定せしめてこそ己の役目。

「むっ……――助太刀は無用であろうが」
 その瞳がユーベルコードに再び輝く。
 神速の踏み込みは『セラフィムV』の背後から襲いかからんとしていた『マインドゴーレム』の胴を一閃のもとに斬り裂き、その一撃を持って窮地を救うのだ。
 もしかしたのならば、己の助太刀などいらなかったのかもしれない。
 けれど、それでも身体が勝手に動くのだ。
 誰かを救おうとする時、その背景や関係、そんなものは僅かなものであって、重要なものではない。

 清綱の行いは、きっと青い鎧の巨人の胸の中に抱かれる少年にも伝わったことだろう。
 戦う者は、斯く在るべき。
 そう伝えるように放たれた清綱の剣閃の一撃は、確かに『マインドゴーレム』を斬り裂き、少年の心に刻まれることだろう。
「無用であったやもしれぬが、それでも」
「ありがとう。そんなことはないよ。助けてもらったこと、嬉しいって思えるから」
 少年の言葉に清綱はうなずく。
 素直な少年なのだなと言う印象を受け止め、そして、清綱は再び大空へと舞い上がるのだ。

 屍人帝国『オーデュボン』。
 それが何故、この青い鎧の巨人を付け狙うのかは未だわからぬ。
 けれど、はっきりしていることが一つだけある。
「己が成さねばならぬこと。ただそれだけで十分である」
 剣閃が空に走り、己の信念の軌跡を刻む。
 清綱はそれをもって己という存在を世界に知らしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
うーんゴーレム…
魔獣と比べると何というか、面白い素材が少なそう…
構成素材だけでもとりあえず採取だけはしとこうかなあ…
まあ天使核だけでも確保出来ればお値段的には十分そうだし


『メカニック』の見識から天使核の位置を…って多分あの目立つ奴だよね
うーん無防備というかなんというか…
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Code:U.G】起動
数が多いなら、纏めて行動不能にする!
天使核部分には弱い重力をかけつつ、ゴーレム自体には最大の重力をかけて自重で潰れて貰う!
最大速度で突っ込みながら、装甲を『なぎ払い』自爆する前に天使核を回収し離脱
抱きつかれないように回避しながらボーナスゲット!



 屍人帝国『オーデュボン』が飛空艇から無数に投下した『マインドゴーレム』たちは未だ、その数を誇っていた。
 多くの猟兵たちが駆け付け、青い鎧の巨人『セラフィムV』と共に撃滅する中、それでもなお数を誇るのは、『オーデュボン』がどれほどの物量を未だ蓄えているのかを知るには十分すぎるものであった。
 しかし、そんな『マインドゴーレム』の一群を見て、渋い顔をしているのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。
「うーんゴーレム……」

 そんなふうにつぶやく彼女はメカニックとしても一流であったことだろう。
 数多の世界を知る猟兵であるからこそ、多くの世界においてゴーレムに類する存在を見てきた。
 だからこそ、言い方は悪いが『マインドゴーレム』において彼女が見るべきところはほとんどなかったと言ってもいいだろう。
 浮遊する腕、魔法光線、脚部がドリルに成っていて、それらが動力である天使核によって個別に操作される。
 同時にパーツを失ったとしても、破壊された同機から足りないパーツを補填すれば、戦場において戦力の減少に歯止めが効く。
 よく考えられているが……。

「まあ、よくあるやつだよね。ていうか、魔獣と比べるとなんていうか、面白い素材が少なそう……構成素材だけでもとりあえず採取しておこうかなぁ……」
 それでもわりと消極的である。
 なればこそ、彼女の瞳に映る天使核だけがお値段的には十分に働きに釣り合うものである。
「うーん無防備」
 あからさまな部分である。中心に存在していればこそ、動力として末端までエネルギーを供給することができるのだろうが、それにしたってあからさますぎる。
「あ、そっか。もとは戦闘用じゃないんだ。作業用なんだね」
 ならば、あんなふうに露出しているのもうなずける。
 メンテナンスの幅を考えれば、簡単に天使核を取り替えることができるほうが良いのだろう。

「ま、なら話は簡単。数が多いなら、まとめて行動不能にする!」
 二振りの模造神器が引き抜かれ、その瞳がユーベルコードに輝く。
「重力制御開始。地の理は今此処に」
 Code:U.G(コード・アンロック・グラビティ)。それは彼女自身を重力制御形態へと移行させ、自在に重力を操ることができる。
 振り抜いた模造神器が二振り共振するようにユーベルコードに寄って生み出された重力を解き放ち、『マインドゴーレム』たちの動きを止める。

 自爆攻撃を仕掛けようとしていたようであるが、重力を手繰る玲にとって、それは悪手そのものであった。
「近づけなければ発動できない。しかもしがみついて確実に自爆に巻き込めないと発動できないって時点でお粗末だよね」
 そこへ駆け込み、模造神器の一撃を『マインドゴーレム』へと叩き込む。
 天使核を覆う申し訳程度の装甲を斬り裂き、天使核事態をもぎ取って玲は次々と『マインドゴーレム』を蹴って突き進む。

 手にはすでに数十という天使核がもぎ取られている。
「ゴーレムに抱きつかれないように回避しながらボーナスゲット! まあ、どっかで見たようなゲームにあったなこれ」
 玲は華麗に天使核をもぎ取った『マインドゴーレム』たちを蹴り倒し、自爆装置の爆風を躱して着地する。

 後に残るのは『マインドゴーレム』の残骸と天使核をもぎ取ってウハウハの銭ジャブ生活だけである。 玲はメカニックとして気がつくだろう。
 ゴーレムの設計思想は確かにブルーアルカディアにかつてあった帝国のものである。
 けれど、彼等が追っている青い鎧の巨人の設計思想は、それらとは一線を画するものであった。
 何もかもが違う。
 共通していることは恐らく天使核を動力として使っているということだけである。

「なら、そこらへんに屍人帝国が追う理由があるのかな?」
 気になることは多い。
 けれど、夏前ボーナスをゲットした玲にとって、それは些細なことなのだ。これでまたあれやこれどれもそれもゲットできるという寸法である。
 クソチョロだなぁと玲は微笑みながら、爆炎を上げる『マインドゴーレム』たちの残骸を後にするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
孔雀輪で【空中機動】【空中浮遊】し【空中戦】

また来たのか、何度来ようが企みは叩き潰す
あの青いゴーレムも気になるが今は敵に集中しよう

SPDで判定
魔銃のレプリカを持って戦闘
敵の攻撃は【戦闘知識】【見切り】で回避したり、風の【結界術】で防御する
義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】をUCで付与した弾丸を【スナイパー】【属性攻撃】で放ち、敵の【逃亡阻止】や次の攻撃までの【時間稼ぎ】を行う
それから橙の災い:爆破【爆撃】を弾丸に付与し同じように敵に放ち攻撃する



 屍人帝国『オーデュボン』の追跡は執拗なものであったと言わざるを得ないであろう。
 先の戦いにおいてあれだけの大攻勢を仕掛けたにも関わらず、猟兵達と勇士、正規軍の活躍でその殆どは潰走状態となって散り散りとなった。
 けれど、それでも間を置かずに再びこの浮遊大陸に侵攻を開始するのは、『オーデュボン』の国力がどれほどのものであるのかを知るには十分なものであった。
 屍人帝国は一度は雲海に沈み、滅びた帝国である。
 けれど、再び雲海より浮かび上がった時、そこにはオブリビオンが満載しており、戦火を広げることだけを考えるように行動するのだ。

 屍人帝国『オーデュボン』もまたその例外にもれぬ。
 彼等が追う『セラフィムV』と呼ばれる青い鎧の巨人。
 それを追い求め、すでに三つの浮島が雲海に沈んだのだという。それは許されざることである。
「また来たのか、何度来ようが企みは叩き潰す」
 ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は孔雀輪と呼ばれる宝貝でもって、空中に浮遊しながら侵攻を開始するオブリビオンの大軍勢を前に立ちふさがる。

 確かにあの青い鎧の巨人も気になるのだが、今はそれよりも幻獣牧場を守ることのほうが先決である。
 魔銃のレプリカを持ち、風の結界に守られながら義眼のメガリスを藍色に輝かせる。
 圧潰のちからを持つ属性付与(エンチャント)が放たれる度に『マインドゴーレム』の身体が大地に沈み込んでいく。
 敵が逃げることを優先するのであれば、それもまた阻止刷ることにつながるが、彼らは人間ではない。
 命令を忠実にこなすだけを使命としたゴーレムなのだ。
「逃げる必要もなく、ただ命令遂行のままに振る舞う、か……なら好都合だ」
 圧潰の属性を付与した弾丸でもって動きを止めた『マインドゴーレム』たちの頭上からルイスは橙色に輝く災の属性を付与した弾丸を解き放つ。

 ユーベルコードに寄って開放された爆破の力が、次々と『マインドゴーレム』をひしゃげさせる。
 そこに走り込んできた『セラフィムV』が徒手でもって、これらを完全に破壊せしめるのだ。
「――自律しているという話であったが……動きが最初から比べるとよくなっていないか……?」
 ルイスは気がついたことだろう。
 戦いが始まった当初より、『セラフィムV』の動きは更になめらかに、更に洗練されたものになっている。

 振るう拳や装甲に頼むのではなく、立ち回ることを覚え、次々と『マインドゴーレム』を撃破してみせる。
 それはルイスという狙撃手がいることを想定にいれたような動き方であった。
 明らかに戦いの始まりと今とでは『セラフィムV』の動きが違うのだ。
「どういうことだ……?」
 ルイスは訝しむ。
 けれど、それは今なすべきことではない。

 今は一体でも多くの敵を打倒することが先決だ。
 だからこそ、ルイスは狙撃の手を緩めず、『セラフィムV』と連携するように、『マインドゴーレム』を打倒して行くのであった。
 わずかに感じた違和感。 
 それが、猟兵たちにとって凶と出るのか、それとも吉と出るのか。

 わからぬままに、けれど決して悪いことにはならないだろうと、そう思うようにルイスは引き金を引くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
※ロシナンテⅢに騎乗

ここまでの戦力を割いてまであの青の巨人を追う理由は…

いえ、今は騎士として助勢するのみです

飛竜口部砲の乱れ撃ち射撃を浴びせながら空中戦
加速乗せた馬上槍の一撃でゴーレム達を攻撃
抱きつきには盾受けで防御…!?

怪力で振り払い他ゴーレムへぶつけつつ推力移動で素早く離脱

厄介な機能ですが、爆発機構の位置は掴めました
(瞬間思考力+情報収集+見切り)
以後は物資収納Sから取り出すナイフ投擲
UC制御奪取で自爆機能を暴発させ敵を殲滅

セラフィムVの御乗りの方、聞こえますか?
機体が自律しているとのことですが…道中、お怪我などはありませんでしたか?
戦闘終了後、人心地付ける筈です
今しばらくのご辛抱を



 機械飛竜『ロシナンテⅢ』がブルーアルカディアの空を舞う。
 眼下に見えるは戦場である。
 屍人帝国『オーデュボン』と青い鎧の巨人を巡る戦いが巻き起こっているのだ。とは言え、多くの猟兵たちが駆け付けたことにより、多くの『マインドゴーレム』が打倒されている。
 青い鎧の巨人――『セラフィムV』もまた猟兵を敵とはみなしていないのだろう。
 こちらと連携するような動きさえ見せているのだ。
「ここまでの戦力を割いてまであの青い鎧の巨人を追う理由は……」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は己の電脳が予測演算を開始するのを感じたが、それを中止する。

 そう、今はまだやるべきことが残っている。
 未だ幻獣牧場の近隣まで戦火が及んでいることは由々しき事態である。トリテレイアが為すべきことは、少しでも戦火を幻獣牧場から遠のかせ、『マインドゴーレム』を駆逐することだ。
 機械飛竜と共に上空から銃撃を加え、飛翔加速を重ねた馬上槍の一撃で持って『マインドゴーレム』の天使核を貫き砕く。
「容易い……しかし、これは!」
 そう、『マインドゴーレム』は自機の損壊など気にもとめない。
 あるのは目的遂行という名のプログラムだけである。

 自爆してでも敵を討つ。
 ただそれだけのために『マインドゴーレム』はトリテレイアの持つ大盾にしがみつき、自爆するのだ。
 爆風が吹きすさび大盾をとっさに離したことが功を奏したのだろう。本体には爆風のダメージが入らなかったが、二度目はない。
「厄介な機能ですが、爆発機構の位置はつかめました。レプリカとはいえ銀河帝国製が最も機能的に相性が良いのは複雑ですが」
 彼が収納スペースから取り出したのは、銀河帝国特殊工作作業用微細機械(ハックオアブラスト)であった。

 そのナイフのような特殊な装備は、特殊爆薬と機能選択が可能なナノマシンによって成り立つものである。
 投擲したナイフが『マインドゴーレム』の中へと侵入し、その機能を内側からハッキングするのだ。
「ならば、ここで自爆して頂く。素早き敵機を撃滅する。自爆装置があるのならば、それを作動させてしまえば、それだけで機能停止する。天使核操作信号によって、倒された残骸からパーツを補填することもできますまい」
 ナノマシンが『マインドゴーレム』のなかの操作系統を乗っ取り、一瞬で自爆装置を作動せる。
 
 あとはトリテレイアが上空から安全に処理するだけでいいのだ。
「『セラフィムV』にお乗りの方、聞こえますか?」
 トリテレイアはオープン回線でもって『セラフィムV』へと語りかける。
 予知によれば、完全に自律しており、胸に抱く少年は操作をしている様子はないという。
 けれど、少年が戦いのストレスに侵されていないとも言えない。いや、きっとそうであろうと思いトリテレイアは声を賭けたのだ。
「道中お怪我などはありませんでしたか?」
「――……この声、誰? いや、あの時の人達の仲間? 僕は大丈夫だよ。けれど、『V(ヴィー)』は少し疲れているみたいなんだ」

 少年の声が聞こえる。
 なるほど、とトリテレイアはうなずく。こちらが思う以上に少年はたくましいようであった。
 けれど、『V(ヴィー)』と呼んだ青い鎧の巨人。それはまさしく少年と青い鎧の巨人が意思疎通のようななにかやり取りを行っていることを示している。
 ならばこそ、トリテレイアは言うのだ。
「戦闘終了後、一心地着けるはずです。今しばらくのご辛抱を」
「うん、ありがとう。けれど、貴方達も無理をしないで。せっかく助けてもらったのに、お礼を言えないなんて、そんなのは嫌だからね」
 その言葉にトリテレイアは騎士として誓うのだ。

「ええ、お任せください。きっとまた相見えましょう。お約束致します――」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『セラフィムビースト』

POW   :    天使核獣
【天使核のエネルギー】を使用する事で、【八翼】を生やした、自身の身長の3倍の【滅びの獣】に変身する。
SPD   :    セラフィムコメット
【天空に出現した『天使の輪』】から、戦場全体に「敵味方を識別する【燃え盛る隕石】」を放ち、ダメージと【消えない炎】の状態異常を与える。
WIZ   :    獣の烙印
攻撃が命中した対象に【獣化をもたらす烙印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【烙印の侵食】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:カツハシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『マインドゴーレム』の軍勢は、多くの猟兵達によって駆逐された。
 それを屍人帝国『オーデュボン』の飛空艇からねめつける気配があった。
 すでに人の意識は無く。
 されど、獣ほどの獣性に支配されたわけでもない。
 この飛空艇、そして『オーデュボン』の一軍勢を預かる存在が咆哮する。

「――……ッ!! マタシテモ我ラの邪魔をするカ、猟兵ッ!!」
 片言の人語。
 しかして、その瞳に知性はかけらもなく。
 あるのは猟兵という存在に対する苛立ちと、圧倒的な暴力の気配だけであった。
『セラフィムビースト』。
 それがこの獣の名であり、天使核によって多数の天使の翼を持つ獣となったかつての何者かは、飛空艇の甲板から飛び出し、爆炎荒ぶ浮遊大陸に降り立つ。

「ワレらの主君ノ邪魔をスルのならば、生かしてはオケぬ。『セラフィムV』、そのウツワ、もらいうけル――!」
 凄まじい重圧と共に咆哮がほとばしり、戦場にあった猟兵達全てに響きわたる。
 巨大なる獣の体躯に魔法能力、そして飛行能力まで備えた存在。
 それがこれまで『マインドゴーレム』を差し向けていたのだろう。

 知性はもはやなく。
 あるのは獣性のみ。されど、その獣性こそがあらゆる力をも凌駕するように天使核の輝きでもって知らしめるのだ。
 ブルーアルカディアにおいて、かの『セラフィムビースト』こそが屍人帝国『オーデュボン』において強大な存在であると。

 言うまでもなく、これまで戦ってきた存在とは比べ物にならぬほどの力を秘めた獣が今、その牙を猟兵たちへと剥いたのだった――。
鈴久名・紡
勘違いをするな
過去の遺物が『今』生きているものを害するのなら
俺達は何度でもお前の言う『邪魔』をする

引き続き盾状の葬焔で青い巨人の防御フォロー
俺自身も引き続き竜神飛翔を使用し竜形態を維持

残像と空中機動で死角を狙える位置に回り込み
槍状の禮火に鎧無視攻撃と斬撃波を乗せて先制攻撃のなぎ払い

的が大きい分、当て易くはある……
が、それは言い換えれば敵の一撃も大きく重いと言うこと
フェイントを交ぜつつ、天候操作で暴風を起こす
敵の身体の自由を少しでも奪えれば良い
隙が生じたら、氷結の属性攻撃を乗せた一撃を放つ

敵の攻撃は見切りと空中機動で回避
回避不能時はオーラ防御で防ぎ
激痛耐性で耐えつつ攻撃に生命力吸収を乗せていく



 唸る天使核が凄まじい輝きを放っていく。
 それは『セラフィムビースト』の体内に格納されている天使核が燃焼していることを示していた。
 怒りに震えていた。
 己の主の道を阻む存在、猟兵。
 対峙してわかるのだ。あれこそが己たちが滅ぼさねばならぬ存在であると。己の細胞、全てが叫ぶ。あれを滅ぼせと。
「ナラバ、ワレ等はお前達を滅ぼす。ジャマをするな――ッ!!!」
 凄まじ咆哮と元に『セラフィムビースト』の背より現れるは八翼。
 滅びの獣となった姿は、対峙したときよりもさらなる威圧感とともに猟兵達の身を焦がすほどの衝撃を放つ。

「勘違いをするな」
 そう告げたのは、鈴久名・紡(境界・f27962)であった。
 彼の瞳に恐れはない。
『セラフィムV』の胸の中にある少年は怯えたかも知れない。その底知れぬ悪意、破壊の衝動、あらゆるものがすべてを傷つけるためだけに振るわれる。
 それを知りながら、己を肯定する滅びの獣を前にして竦んだかもしれない。

 けれど、紡の言葉が少年の心に火を灯すだろう。
「過去の異物が『今』生きるものを害するのなら、俺達は何度でもお前の言う『邪魔』をする」
 盾の形を取った黒い鬼棍棒が青い鎧の巨人『セラフィムV』を守るようにして宙に舞う。
 戦いは恐ろしいだろう。
 けれど、それでも誰かのためにと力を振るうことはこんなにも力が湧き上がるものだと紡は知らしめる。
「竜神飛翔――!」
 ユーベルコードに輝く紡の姿は、暖かな光を放つ。

 何も心配することはない。
 完全竜体へと変じた彼が空へと舞い上がり、『セラフィムビースト』と激突する。
 雷撃が『セラフィムビースト』を穿つが、それでも止まらない。
「コの程度で――!」
「流石に的が大きい分、当て易くはあるが……」
 神器が槍へと姿を変え、衝撃波を載せて薙ぎ払うが、『セラフィムビースト』は止まらなかった。

 放たれる拳の一撃が一撃でも紡に入れば、紡の体は完全なる竜の姿であっても大地に失墜する他なかったことだろう。
 だからこそ、紡は空を駆ける。
 フェイントを交え、天候操作でもって暴風を巻き起こし、己の背を追う『セラフィムビースト』を引き離すのだ。
「引き離されるモのか!」
 手を伸ばす『セラフィムビースト』。
 その拳の一撃が凄まじい衝撃波となって紡を襲う。だが、それこそが紡の待ち望んだ一撃であった。

 こちらを攻撃する瞬間こそが、『セラフィムビースト』の隙を生む。
 竜の体であるからこそ空中で体を翻し、竜の顎に加えた神器の槍の一撃が『セラフィムビースト』の叩きつけられる。
 交錯する一撃と一撃。
 しかし、フェントをあわせていた紡はカウンターのように体をかすめる凄まじい獣の一撃による痛みを耐える。

 耐え難い痛み。
 かすめただけでもこの威力。
 龍鱗が砕け、傷から血潮が噴出する。けれど、それでも紡は己の力を振るうことにためらいを保たなかった。
「必ず『邪魔』をする。お前達が『今』を脅かすのならば、それを守る。それが、それこそが」
 己の成さしめることであると叫ぶように紡の放った神器の一撃は、勝利への楔として『セラフィムビースト』の一翼を貫き、鮮血と咆哮でもって、己の勝利を知らしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
前章と同じく孔雀輪で【空中機動】【空中浮遊】を使い【空中戦】

器か、あれだけの学習機能が有れば欲するのも頷けるが邪魔させてもらう
俺をもう一度殺してみろよ、オブリビオン!

SPDで判定
敵を【挑発】し狙いを自分に【おびき寄せ】る
【動物使い】でリンクアイを敵の死角まで行って貰う間、俺は銀腕を【武器改造】で表面は液状化した盾にして【盾受け】【受け流し】や風の【結界術】で防ぐ
ダメージを受けたら【気合い】【火炎耐性】で耐える
リンクアイが死角に着いたらUCを発動
義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】をリンクアイを介して【スナイパー】【全力魔法】を使い攻撃



 猟兵の放った槍の一撃が『セラフィムビースト』の一翼を貫き鮮血と激痛による咆哮が迸らせる。
 鋭き槍の一撃は翼を喪わせるには十分すぎる威力であったことだろう。
 だが、猟兵たちの追撃は終わらない。
 敵が個として猟兵を上回る力を持つことは百も承知である。
 これまでだってそうだったのだ。個では敵うべくもない敵。けれど、そのどれもが打ち倒されてきた。
 何故ならば、猟兵の戦いはつなぐ戦いである。個で叶わなくとも、つなぐことによって敵を打倒せしめる。

 ゆえにルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は己またそれに準じるというのだ。
「許さぬ、ユルサヌ! 猟兵! 猟兵ィィィッ!!」
 咆哮と共に『セラフィムビースト』の頭上に光輪が展開する。
 それはまばゆい輝きを放ちながら、天空より招来せしめた燃え盛る隕石の群れ。それは正しく『セラフィムビースト』の敵である猟兵を認識し、彼等めがけて放たれた一撃であった。

 凄まじい質量を持つ隕石の攻撃を前にルイスはリンクアイを起動させる。
「器か、あれだけの学習機能があれば、欲するのもうなずけるが、邪魔させてもらう」
 ルイスは己に意識を集中させるように挑発する。 
 煽り、正常な判断力を奪い、敵の隙を引き出す。銀の腕が盾となり落とされる隕石んの一撃を防ぐ。
 しかし、流体たる銀の腕、そのメガリスの力をもってしても隕石の凄まじき一撃を防ぐことはできなかった。
 燃え盛る炎がルイスの体を焼き、その皮膚をただれさせていく。
「見誤ったな、猟兵! ワガゆーべる、コードの力を!」
 確かに凄まじい力である。

 それは認める。
 だが、ルイスの瞳は諦めも敗北も是としない。
 そこにあるのは己が『生者の盾』であるという矜持のみにである。
「俺をもう一度殺してみろよ、オブリビオン!」
 輝くユーベルコード。
 彼の不屈たる体現。不死者、デッドマンで在るがゆえに、己の体を厭うことはない。風の結界術が宝貝である孔雀輪より吹き荒れ、燃え盛る炎を振り払ってルイスの義眼が輝く。
「――どれだけ恐ろしかろうが、生命が喪われることはあってはならない。生命は戻らない。喪われてしまえば、それだけで人の心が砕けていく。それを知るんだよ!」

『今』を蝕む戦火だけがオブリビオンの目的であるというのならば、これを捨て置くことはできない。
 例え、己の身がどれだけ砕けようとも、生命を守ることだけはやめてはならない。
 その姿を器と呼ばれた『セラフィムV』の中で少年は見ていた。

 眩いまでの輝き。
 人の心が見せる輝き。その光でもって何を為すのか、何を求めるのか、彼は理解していただろう。
「――生命を、守る」
 つぶやき、言葉にするだけで力が湧き上がってくる。
 眩いユーベルコードの輝きは、義眼のメガリスを介してリンクアイより発露する。藍色の輝きでもって不可視の狙撃手(リンクスナイパー)が『セラフィムビースト』の光輪を狙い撃つ。

 あの隕石の一撃が凄まじいのは言うまでもない。
 だからこそ、その頭部を狙うのだ。放たれた圧潰の一撃が『セラフィムビースト』の頭を垂れさせるようにのしかかり、その獣を大地に失墜させる。
「全力で撃ってこれか……だが、隕石の一撃は止めた。そう何度も俺を殺せると思うなよ。オブリビオン……!」
 傷だらけに成りながらも誰かのために戦う姿。

 それは戦列なる輝きでもって少年の心に刻み込まれたことだろう。
『セラフィムV』は輝きを見つめ続けていた。
 正しいことは言葉を介さない。
 その存在を前にして感じ取るだけでいい。それが力の在処であるというように、その輝きをもってルイスは知らしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アドナ・セファルワイド
戯れはそこまでにしておけ
瞬間、余の手に聖剣型の対オブリビオン・フォーミュラ兵装が顕現
その刀身を振るうとフォーミュラを弑する威力を持つ刃によって隕石と炎が剣圧によって砕けていく

剣だけではない
起動せよ、対オブリビオン・フォーミュラ用オブリビオンマシンよ
その言葉と同時にサマエル・モルトゥスを素体とした対オブリビオン・フォーミュラ兵装のキャバリアが出現
それが軍勢をなしてセラフィムビーストを砕いていく

これが我が帝国、セファルワイド帝国の力よ
そう凛と呟いて剣を自ら振るっていく



 砕けた光輪が再び『セラフィムビースト』の頭上に輝く。
 八翼の一枚を貫かれ、一度は光輪によって招来せしめる隕石の一撃を阻止した猟兵たちであったが、『セラフィムビースト』は圧潰の力から立ち上がり咆哮を迸らせる。
「オオおお――ッ! 我を、ここまでオイコムか。だが」
 光輪が煌めき、そのユーベルコードの力を発現させる。
 その肉体にありし、天使核の強大さは言うまでもない。それに比例するようにオブリビオンの力は増していくのだから。

 天空より降り注ぐ隕石。
 それは燃え盛る炎と共に猟兵たちの頭上を狙う。
「戯れはそこまでにしておけ」
 告げる言葉とともに災禍の頂点を砕くは夢幻から誘われし帝国最終兵器(アンチ・フォーミュラアームズ・セファルワイド)が煌めく。

 ユーベルコードによって、セファルワイド帝国が辿り得たすべての歴史より顕現せしオブリビオン・フォーミュラ討滅用最終兵器が姿を表す。
 手にするのは聖剣の形をしていた。
 振るう刀身は輝きに満ちていて、振るわれる一撃でもってアドナ・セファルワイド(セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942)に迫る隕石を一刀の元に切り伏せるのだ。

 両断された隕石が大地に堕ちるよりも早く振るわれる斬撃がさらに細かく隕石の破片を細断し、霧散させる。
「我がユーベルコードヲ、霧散させる、だと……!?」
 剣圧でもってすべての隕石が大地に堕ちることを防いだアドナは、その瞳に輝くユーベルコードの煌めきと共に告げる。
「剣だけではない。起動せよ、対オブリビオン・フォーミュラ用オブリビオンマシンよ」

 その言葉と同時に『サマエル・モルトゥス』を素体とした対オブリビオン・フォーミュラ兵装のオブリビオンマシンが姿を表す。
 あらゆる歴史が帝国の滅びを必定とするのならば、その力こそが敵を穿つものとなる。
『今』を生きるすべての人々のためにと振るわれるユーベルコードの力。

「『今』ならば、それに手が届くものであろう。これが我が帝国、セファルワイド帝国の力よ」
 凛として告げる言葉と共に軍勢となった『サマエル・モルトゥス』が戦場を駆け出す。
「ヌカセよ――! ワガ主の前に立ちふさがるというのナラバ――!」
『セラフィムビースト』と軍勢が激突する。
 火花が散り、爆炎が上がる。
 戦いの趨勢は数で決する。だが、そこには必ず人の意志がなければならない。
 滅ぼす、守る、そのいずれか、もしくは別のなにか。
 矜持であれ、誇りであれ、人の心に抱く某が有ればこそ、人は歩みを止めない。歴史がそれを物語っている

 だからこそ、アドナも足を止めないのだ。
「汝の滅びは必定。ならばこそ、余が貴様に引導を渡してくれよう」
 構えた聖剣と共にアドナは戦場を一閃するように駆け抜ける。
 手にした剣は『セラフィムビースト』の胴へと袈裟懸けに振るわれる。凄まじい剣圧が周囲に衝撃波となってほとばしり、その分厚い鋼のような皮膚すらも切り裂いて『セラフィムビースト』に言えぬ傷痕を刻み込む。

 どれだけ強大な存在であったとしても、紡ぎ、つなぐ戦いをする猟兵たちにとって倒せぬ道理はない。
 アドナはそれを示すように己の聖剣を掲げ、今ここに反撃の狼煙を上げるように降り注ぐ隕石の尽くを霧散させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イングリット・ジルニトラ
邪魔?はたして邪魔なのはどちらですかね。
それは貴方ですよ屍人帝国。

前章と打って変わって人間形態でお相手してあげましょう。

私の身に宿った怨念を弾丸にし、左手で指弾で弾きとばし牽制をおこなう。/注:本体が幽霊船的なガレオノイド
(使用技能「呪殺弾」「威嚇射撃」)

ふむ。私に狙いを向けたようだな。
風を身に受け。空中を移動しつつ、空を舞うようにセラフィムビーストをスカイソードで切り裂いていく。
みよ、我が天空の舞踏を!!
悪いが天使とダンスは趣味じゃないな。
(使用技能:「空中浮遊」「空中戦」「空中機動」「ダンス」「斬撃波」)



 屍人帝国『オーデュボン』の『セラフィムビースト』は猟兵たちを邪魔だと告げた。
 それはオブリビオンであるならば誰しもが感じることであった。同時に猟兵もまたオブリビオンに対して、同じような感情を抱くのではないだろうか。
 互いにひと目見ただけで滅ぼし合う存在であると知る。
 決して相容れず、世界を己の欲望のままに破壊しようとする者と世界を守ろうとする者とでは、それもまた当然であったことだろう。

 だからこそ、幽霊船の如き飛空艇から人型へと姿を変えたガレオノイドであるイングリット・ジルニトラ(ガレオノイドの翔剣士・f33961)は告げる。
「邪魔? 果たして邪魔なのはどちらですかね?」
 彼女にとってオブリビオンこそが己を墜とした忌まわしき敵。
 自分を撃墜せしめた天使ではないにせよ、それと同類であると言うだけで、己の中に長年積もった怨念は燃え上る。

 例え、それが『セラフィムビースト』と呼ばれる獣のごとき存在であっても。
「それは貴方ですよ、屍人帝国」
「ワレらを邪魔だというカ、猟兵」
 袈裟懸けに切り裂かれた胸から血が吹き出しながらも、即座に止血し相対する『セラフィムビースト』。
 その姿は確かに相対するだけで個としての存在が圧倒的であることを知らしめる。

 肌を焼く重圧。
 圧倒的な技量差。頭上より天に広がっていく光輪が再び隕石を持って猟兵を襲わんとユーベルコードの輝きを放つ。
 これまで、隕石を落とすという強大なユーベルコードを連発しているというのに、未だ弱る気配がない。
「ふむ。私に狙いを向けたようだな」
 それは重畳である。イングリットにとって、己ではなく『セラフィムV』に標的を向けたのならば、それはなんとしても守らねばならぬ対象が増えたことになる。

 けれど、『セラフィムビースト』は『セラフィムV』ではなく己を標的にした。こちらを排除してからでも『セラフィムV』の確保は容易いと思ったのだろうが、それが誤った選択であることをイングリットは知らしめる。
 己の怨念を弾丸に変えて、指弾でもって牽制する。しかし、『セラフィムビースト』は意に介さない。
 こちらに狙いを絞っているのならば、牽制など無意味であるというように『セラフィムビースト』が戦場をかける。
 威嚇射撃でもってしても、まるで足が止まらない。
「逃げるカ、猟兵ッ!」
「悪いが天使とダンスは趣味じゃないな」
 空を舞うように、彼女は背に風を受ける。

 このブルーアルカディアにおいて、大空こそがイングリットの舞台である。
 飛空艇、ガレオノイドである彼女にとって風は友であり味方である。ステップを踏むように、空を舞うようにして彼女は天空の舞踏(ダンスオブエーテル)でもって、その身をユーベルコードに輝かせるのだ。
 手にしたスカイソードの刀身が煌めく度に『セラフィムビースト』に刻まれる傷痕。
 隕石が落ちてくるまで間もない。
「長々と付き合う気はないんでね。みよ、我が天空の舞踏を!」

 放つ斬撃が『セラフィムビースト』の肉体に刻まれていく。堕ちる隕石は炎を纏い、イングリットの頭上に落ちてくる。
 だが、イングリットは構わない。
 自分ができないことは誰かがやってくる。この場には己だけではない。他の猟兵だって、『セラフィムV』だっている――。

 頭上に堕ちる隕石を前に青い鎧の巨人、『セラフィムV』が、その拳が振り抜かれる。
 燃え盛る炎など物ともせずに振り抜かれた拳は、隕石を砕くのだ。
「よくやってくれた。ならば、私もそれに応えよう」
 共に戦う者がいるということは幸せなことだ。
 戦いは辛いものであるが、誰かと分かち合うことができる。そうすれば、傷もまた二つに分かれる。
 痛みも、何もかもが分かたれるのならば、両者が生存する道もまたあるだろう。

 イングリットはかつて己がそうしたように。
『セラフィムV』は『今』を生きる者たちがそうするように、その器に善なるものを宿して、『セラフィムビースト』を共に討つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
アヤメは鎧の巨人の援護をお願い。
あたしは飛鉢法で空に上がる。「空中戦」よ。「オーラ防御」「環境耐性」を使用する。

骸の海から還り来た亡者に、今生の何も傷つけさせはしない。
「結界術」「全力魔法」酸の「属性攻撃」「範囲攻撃」「呪詛」「仙術」「道術」の紅水陣を敵を中心にした空域へ広域展開。降りしきる紅い雨から逃れる術はない!

敵が使う獣の烙印は、可能な限り、小刻みな動きでかわしていく。皮膚を焼く強酸で、まともな狙いは付けられないはず。
それでも当たったなら、「呪詛耐性」で耐えてみせるわ。
敵が紅水陣から出ないよう、あたしも絶陣の中で薙刀を振るって相手をする。
そう、これはただの時間稼ぎ。時間はあたしの味方よ。



 青い鎧の巨人、『セラフィムV』の拳が大地に落ちる直前の隕石を、その拳で打ち砕く姿はまさに、その器たる体に善なる者の意志を宿すようでもあった。
 砕かれた隕石が細かく砕けながら大地に落ちる。
 あのまま隕石が落ちていれば、周囲に甚大なる被害をもたらしたことだろう。
 だからこそ、『セラフィムV』は動いたのだ。しかし、その代償は少なからず『セラフィムV』に影響を与えていた。
「動けないのか、『セラフィムV』……!」
 少年が胸の中で呻く。
 彼だけが青い鎧の巨人とのコンタクトを取れるようであり、その消耗の具合を知ることができたのだろう。

 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は『セラフィムV』の挙動がおかしくなったことにいち早く気が付き、式神であるアヤメにその援護を頼んで鉄鉢と共に空へと舞い上がる。
「アヤメ、鎧の巨人の援護をお願いね。あたしは空へ上がる!」
 光輪を収納した『セラフィムビースト』の姿はあちこちに傷を追いながらも未だ健在であった。

 八枚の翼のうち一枚を失ってはいるものの、その頑強なる肉体は猟兵を打倒せんと咆哮し、戦意をみなぎらせるのだ。
「必ズや、主ノために、猟兵をウツ!」
 獣の烙印が浮かび上がる。
 それは『セラフィムビースト』の力を増し、四方へ放たれた烙印の一撃。その一撃を受けた物は、常に攻撃を獣化という呪いによって肉体を変容させられ、その身を苛むであろう。

「骸の海から還り来た亡者に、今生の何も傷つけさせはしない。古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。魂魄までも溶かし尽くす赤き世界よ、我が呼びかけに応え、世界を真紅に塗り替えよ。疾っ!」
 輝くユーベルコードがあらゆるものを腐食させる強酸性の雨を持って戦場に存在する『セラフィムビースト』へと降り注ぐ。
 赤い靄の中に在りて『セラフィムビースト』はジリジリとその肉体を腐食させられていくだろう。

 しかし、赤い靄の中を突っ切って、ゆかりへと迫る屍人帝国の獣は拳を振り抜いた。
「――ッ!」
 ゆかりが展開した紅水陣(コウスイジン)の中は絶対に回避することのできない降りしきる紅い雨が今もなお『セラフィムビースト』の肉体を蝕んでいる。
 だというのに未だその力を損なうことなく駆け抜けてくる力は一体なんだというのだろう。
 咆哮を上げて振り抜いた拳の一撃をゆかりは鉄鉢の底で受け止める。
 しかし、その拳の一撃が鉄鉢を貫いてゆかりへと迫る。威力は減ぜられていたのだとしても、その拳の一撃は確かにゆかりの体へと獣の刻印を刻み込むのだ。
「チッ――!」
 それはどちらの舌打ちであったことだろうか。

 拳が浅かったことか、それとも獣の刻印を受けてしまったことか。 
 あるいは両方であっただろか。
「ドチラニせよ、我の勝ちダ」
 刻印はゆかりの身を蝕んでいく。
 けれど、『セラフィムビースト』もまた同様である。結界によって張り巡らされたユーベルコードの赤い靄の中は、ゆかり以外の者が適応できるものではない。

 彼女に呪詛耐性があったことが幸いしただろう。
「それはこっちのセリフよ。これはただの時間稼ぎ。時間はあたしの味方よ?」
 陣の中で薙刀を構えるゆかり。
 力量差は決定的であったけれど、地の利と時間は己の味方である。
 戦えば戦うほどに『セラフィムビースト』は消耗していくことだろう。そうなれば、次につながる。
 ここでゆかりが『セラフィムビースト』を打倒できなかったのだとしても、その眼鏡なる肉体は紅い靄の中でただれていく。

 鋼のように硬い体皮もまたぐずぐずになれば、刃も簡単に通るだろう。
「いつだってそうだけれど、誰かにつなぐ戦いばかりね、あたしたちって。けれど、それで救われる生命があるのだから、そうすることが良いって理解できる」
 だから己は戦うのだというようにゆかりは、陣が解けるその瞬間まで呪詛に抗いながら、『セラフィムビースト』を釘付けにし、怨嗟の咆哮を響かせ続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

髪塚・鍬丸
あの巨人の目的は分からないが、貴様らが狙っているのなら見届ける価値はありそうだな。

「忍鎧·天戎」のスラスターで飛行し【空中戦】を挑む。
あの巨体には生半可な武器は通用しないか。逆に奴の牙や爪をまともに喰らったら一溜りもない。
ならば巨体の懐に潜り込む。古来あらゆる世界の定石だ。
スラスター全開、一気に爪牙の間合いの内側へ突入。
愚直な直線軌道は【フェイント】。迎撃を食らう瞬間を【見切り】「野伏間」の機能で慣性を無視した【早業】の【空中機動】、【残像】を残し背後に回り込み翼を掴む。
【飯綱落としの術】の効果で敵の動きを封じ、錐揉み回転しながら落下、脳天から大地に叩き付ける。巨大化した自重が仇になったな。



 紅い靄が晴れていく。
 猟兵が成さしめた時間稼ぎは『セラフィムビースト』の鋼の如き体皮を溶かして落とす。そこに在ったのはむき出しの筋繊維であった。
 痛みにあえぐこともなく『セラフィムビースト』の瞳は獣性に煌めく。
 その心臓たる天使核が煌めき、力を発露する。
 熱を放ち、体躯が膨れ上がっていく。その身に宿した獣性そのものである姿でもって、天使の翼を広げる。

 かつては八翼あった翼は猟兵の一撃によって一翼を失っている。
「だガ、それがナンダというのだ。ここに来て我の力ハ未だ衰えず。猟兵の力など恐れるに足リズ――!」
 溢れる圧倒的な力の前に立ちすくむ猟兵など居ない。
 その姿に『セラフィムV』、青い鎧の巨人の瞳は何を映すのか。あるのは猟兵の戦いを片時も逃さぬ眼差しだけであった。

 一陣の風のように、疾風のように戦場駆け抜ける影があった。
「貴様らが狙っているのなら、あの巨人の目的がなんであれ見届ける価値がある――!」
 忍び装束のスラスターが噴出し、己よりも巨大なる存在へと立ち向かう。その姿は勇気ある者であったとことであろう。
 髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)は一直線に巨大なる滅びの獣へと立ち向かう。
「羽虫ガ! 押しつぶしてクレル!」
 振るわれる拳が鍬丸を圧殺せんと振り下ろされる。しかし、鍬丸は逃げるわけでもなく、そして横に躱すでもなく速度を上げて一歩を踏み出したのだ。
 ここは死地である。

 だからこそ、一歩を踏み出す。
「巨体の懐に潜り込む。古来あらゆる世界の定石だ」
 スラスターが全開になり、さらなる速度を得て踏み込む。拳が鍬丸の背をかすめる。ただそれだけで全身がびりびりと痛むほどの衝撃を受けるが、彼は足を止めない。 
 どれだけ己の身が傷つこうが関係ない。
 己が成さしめると決めたことは、必ず成し遂げてみせる。
「御下命如何にしても果たすべし――」

 己の間合いの内側に入り込んだ鍬丸を狙って放たれる爪の一撃を彼は愚直な直線的な攻撃であると断じた。
 その程度で己を捉えられると侮ったのが運の尽きである。
「ナ、に――!?」
『セラフィムビースト』が見たのはたなびくマフラーだけであった。
 慣性を制御するマフラーは制御装置だ。一瞬の判断が生死を分かつ。鍬丸は残像を残しながら、一瞬で『セラフィムビースト』の背後に回り込み、その背に追った翼を掴むのだ。

「お前さんは俺を侮った。小兵と。だからこそ、負けるのだ。――飯綱落とし」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 鍬丸が掴んだ翼。その細腕を振り払えぬ『セラフィムビースト』ではない。けれど、どうしたって『セラフィムビースト』は鍬丸に掴まれたまま身動きが取れなくなるのだ。
「ばかナ! 何故貴様程度が我ノウゴキをフウジられる!?」
 混乱するのも無理なからぬことである。

 これこそが鍬丸のユーベルコード。
 煌めく瞳が輝き、その動きを封じる力は桑丸の力である。一瞬で鍬丸が巨躯である『セラフィムビースト』を錐揉み回転しながら地上へと落下させる。
 それこそが飯綱落としの術(イヅナオトシノジュツ)である。

 凄まじい衝撃と共に大地に脳天より叩きつけられる一撃は、その巨躯の自重が仇となる。
 質量が大きいからこそ、この技は生きるのだ。
「なまじ人に近い姿をしていたのがお前さんの敗因だ」
 鍬丸は、大地へと打ち付けた『セラフィムビースト』の後頭部を蹴って飛ぶ。
 軽やかに。そして、己の使命を果たそうとする姿を、『セラフィムV』の瞳は確かに見ていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソナタ・アーティライエ
世界はこんなにも綺麗だというのに、どうして貴方達は……

他者を傷つけ蹂躙し、喜び奪う者
瞳に知性はなく、けれども言葉を操り主を思う
その姿に抱くのは恐れではなく、悲しみと哀れみ

七竜珠の一つ、風の宝珠の力と自身のオーラを混ぜ合わせた結界の護りと
シューベルトに託した回避を行いながら
これまで幾度も繰り返してきたように
届かないと知りながらも、矛を収め争いを止めて欲しいと
訴えかけずにはいられません

躱しきれず傷ついても挫けません
烙印の侵食に浄化で抗いながら
獣性を超え、その深奥に眠るかつての貴方に届くようにと
思いのたけを歌声に乗せて歌い、荒ぶる獣を鎮めましょう



 凄まじい衝撃が大地に走る。
 それは『セラフィムビースト』の巨躯が脳天から猟兵の一撃でもって大地に叩き込まれた音であった。
 並のオブリビオンであれば、それで絶命していてもおかしくないほど一撃であった。
 しかし、大地より立ち上がった『セラフィムビースト』は咆哮する。
「オノレ、おのれ! おのれええええ――!!」
 砕けた頭蓋であったとしても『セラフィムビースト』は獣性のままに咆哮し、己を此処まで追い込んだ猟兵を許さないだろう。

 八つ裂きにしても飽き足りぬ。
 咆哮はまさに怨嗟そのものであった。自分を傷つけ、追い込み、さらには主の道行きを阻む猟兵に対する憎しみしかほとばしるものはないというように『セラフィムビースト』が、その拳に獣の烙印が如き呪詛を乗せる。
「世界はこんなにも綺麗だというのに、どうして貴方達は……」
 そんな呪詛満ちる戦場にありて、一人つぶやくのは、ソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)であった。
 彼女は世界の美しさを知る。
 どんな世界であっても美しさを見いだせる者は、その心が豊かであることを教える。

 天馬である『シューベルト』と共に空を駆けるソナタの姿を少年は見た。
 理不尽や暴力、あらゆる負の連鎖が浮島を鎮める光景を彼は何度も見てきた。けれど、それでも世界は美しいと言う者がいる。
「他者を傷つけ蹂躙し、喜び奪う者。その瞳には知性はなく……けれども、言葉操り主を思う」
 それは誰しもの心にあるものであったことだろう。
 正しさを愛するのであれば、本来在りえぬものであった。
 だからこそ、ソナタの瞳には恐れはなかった。
 ただ悲しみと哀れみがあったのを少年は見ただろう。

「――それでも」
 それでもと、ソナタはオブリビオンと戦うのだ。七竜珠の一つである風の宝珠の力と自身が生み出すオーラの力を組み合わせた結界で己を守り、天馬である『シューベルト』を頼りに『セラフィムビースト』が繰り出す拳を躱す。
「それでも、静謐の帳を下ろしましょう……」
 彼女が何度も繰り返してきたように。

 届かぬと知りながらも、矛を納め争いを止めて欲しいと訴える歌声が響きわたる。
 それはすべてを慰撫するような優しい歌声であった。

 ――幻想小夜曲第140番『夢絃の琴』(セカイヲナダメルコモリウタ)。

 ソナタの歌声は訴えであった。
 例え、どれだけ己の身が打ちのめされてもきっと歌うことはやめないだろう。己の訴えを違えることはないだろう。
 躱しきれず獣の烙印を打ち込まれて、呪詛に身を蝕まれようとも関係ない。
「獣性を超え、その深奥に眠るかつての貴方に」
 この声を届けたいのだと歌う。
 それを少年は美しいと思ったことだろう。

 荒ぶる獣すらも鎮め得る歌声が響きわたる戦場にあって、ソナタの願いは叶うことがないと知りながらも。
 それでも願わずにはいられないのだ。
 思いの丈は歌声に乗って確かにもうひとり……青い鎧の巨人『セラフィムV』の胸に抱かれた少年に届いていたのだ。
 やめろと、と叫ぶ『セラフィムビースト』の放つ呪詛が浄化されていく。

 戦場に歌声が満ちていく。
 それは世界美しいと謳う歌姫の言霊。
 その夢を、その願いを、絶やさせてはならぬという意志が確かに伝播していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「そうそう、僕が待ってたのはこう言う敵さんなんだよ。噛み砕いて吸い殺しても良い楽しい敵さん。」
と言う事で、殺す。ゴーレムなんぞ出してきたお前は絶対にコロス。

UCで吸血鬼化する。
先ずは敵さんと周囲の生命力を奪って自身の身体を限界を超えて強化。
後は悲鳴を上げる身体を奪った生命力で治しながら敵さんを攻撃。
動きを見切り、的確に攻撃を当てて行く事にしようか。
もちろん、吸血も狙って行くよ。Argenta達の攻撃で敵さんの動きを鈍らせて、怪力を駆使したジャンプで一気に懐に入り込みガブっと行こうかな。

敵さんの攻撃を食らったら即座に奪った生命力で回復。獣化の方は無視して戦い続ける。牙さえあればテキハコロセル。



 歌声が世界に響きわたる。
 戦いを、矛を納めるようにささやく歌声を振り払うようにして『セラフィムビースト』は咆哮する。
 呪詛が世界に満ちていく。
 浄化する何者を要らぬと叫ぶ『セラフィムビースト』を前にして須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は上機嫌であった。
「そうそう、僕が待ってたのはこういう敵さんなんだよ。噛み砕いて吸い殺しても良い敵さん」
 その瞳にあるのは吸血衝動であった。

 これまでフラストレーションが貯まるように衝動を抑えてきた彼にとって『セラフィムビースト』はまさにそういう敵であったのだ。
「という事で、殺す。ゴーレムなんぞ出してきたお前は絶対にコロス」
 殺意が充満していく。
「さあ、遊ぼうか。どっちが先に死ぬのかな?」
 莉亜の瞳がユーベルコードにかがやく。
 それは己の体を吸血鬼化させ、他者の生命力を奪うオーラを纏う不死者の血統(イモータル・ブラッド)たる証そのものであった。
 周囲にある生命力を尽く奪っていく。
 限界を超える体。

 軋む体は休息に得た生命力でもって跳ねるようにして大地を蹴っていた。
 周囲に獣の烙印によって満ちる呪詛があったとしても関係などない。大地を蹴るだけで莉亜の体は悲鳴を上げている。
 それだけ強化された力に肉体がついていっていないだろう。けれど、激痛すらも開放された吸血衝動を前にしては些細なことであった。
「望ムところだ、貴様ハ、カナラズ殺す――!」
 互いに殺意しかないのだ。純然たる敵意。 
 どうあっても相容れぬ存在だからこそ己がやらなければならないことを莉亜は理解しているのだ。

 銀の槍を足場に空へと駆け上がっていく。
 振るわれる拳の一撃を受け、腕がひしゃげたとしても瞬時に奪い取った生命力でもって補填する。
「遅いんだよ」
『セラフィムビースト』と組み合う莉亜の指が組み合ってひしゃげても、即座に再生し、逆に『セラフィムビースト』の鋼の如き体皮を突き破って皮下の筋繊維を引きちぎって血潮を噴出させるのだ。

「グ、ァ――!?」
 ただ痛みだけであったのならば『セラフィムビースト』は退くことはなかっただろう。けれど、莉亜の吸血化した爪はそれだけで、肉を裂き血を啜るのだ。
 ああ、と恍惚とした表情を浮かべ、莉亜は絶対捕食者たる笑顔を見せる。
 ここまでだとは思いもしなかったのだろう。
 極上の味である。本来であれば、そこまでの味でもないのだろう。けれど、ここまで成約を己に課してきたらかこそ、その舌の上に乗る指先から滴る血はスパイスを得て彼の味覚を、吸血衝動を慰めるのだ。

「どれだけ獣化しようとしたって無駄だよ。この牙さえあればテキハコロセル」
 その瞳が爛々とかがやく。
 在るのは吸血衝動を開放した不死者の血統、その末たる存在の牙のみ。
 獣と獣が激突する。
 己の欲求に素直に。
 されど、抑えるべきものと、それを向ける者を選ぶ莉亜の姿は少年にとって如何なる者として映っただろうか。

 怪物であろうか。
 それとも獣であろうか。
「違う。彼は幸福な人なんだ。自分が幸せでありたいと願うからこそ、負荷を掛けている。衝動のままに振る舞うなんて堕落した生き方をしない人なんだ」
 それを理解したからこそ、『セラフィムV』の胸に抱かれた少年は思うのだ。得るばかりが生き方ではないのだと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて

はあ、まったく。勝手なことを言うやつじゃの。
わしらが邪魔をするのは道理じゃろうて。何せ、お主らは過去なのだ。
過去が現在を器にするなどと、あってはならぬのだよ。
やつが攻撃するに、近づく必要はありそうだの。挑発して、さらにこちらへと引き寄せ…かかったな!

前章から陰海月が四天流星を投げていたのは、この仕込みのためよ。
【四悪霊・雷】。わしらの無念、呪詛…すべてを込めた雷に撃たれるがよい!


陰海月、『セラフィムV』のこともかっこいい!と思ってる。
張り切って先制攻撃で四天流星ぽいぽい投げる。ぷきゅっ!
仕込みのことは話されてる。ぷきゅー(知ってても雷怖い)



 獣と獣の激突は血風荒ぶものであった。
 周囲には『セラフィムビースト』の引き裂かれた鋼の如き体皮の内側から噴出した血でまみれていた。
 大地がどれだけ血でもって汚されようとも『セラフィムビースト』は息を吐き出しながら、未だ健在であった。
 数多の猟兵たちが攻撃を加えてなお、倒れぬ姿はまさに強大なオブリビオンであることを示していた。
 けれど、それを打倒しなければ同じことの繰り返しである。
「イマイマシイ……! 猟兵どもメ! 我ガ、アルジの邪魔バカリを!」
 轟く咆哮。
 大気を震わせ、消耗してなお、その力に陰りは見えない。
 獣の烙印が妖しく輝く。そこにあったのは猟兵に対する敵意だけであった。

「はあ、まったく。勝手なことを言うやつじゃの」
 そう告げたのは、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の四柱の中の一柱である『侵す者』であった。
 その瞳がユーベルコードに輝いていた。
「わしらが邪魔をするのは道理じゃろうて。何せ、お主等は過去なのだ。過去が現在を器にするなどと、あってはならぬのだよ」
 その言葉に『セラフィムビースト』は拳を振り上げ、その巨躯でもって『侵す者』を押しつぶさんと迫る。

 しかし、その拳が彼を捉えることはなかった。
 放たれた拳が大地を穿ち、そこにはすでに『侵す者』の姿はなかった。
「迂闊じゃったの。あえて言わせてもらおうかの……かかったな!」
『侵す物』は武の天才である。
 それは軍略、戦いにおける技術の全てにおいて勝る者である。
 ならばこそ、このような戦いにおいて先んじて策を講じるのは当然のことである。『マインドゴーレム』との戦いにおいて何故、『陰海月』が鋲を投げ放っていたのかを『セラフィムビースト』は知るべきであった。

 獣であるがゆえに、それを知っていたとしても『侵す者』の策を看破できていたわけではないだろう。
 けれど、それが致命的になることは、やはり知るべきであったのだ。
 予め仕掛けておいた複数の鋲は闇雲に撒かれていたわけではないだ。そう、これは仕込みである。
「時は今」
 四悪霊の声が重なった瞬間、鋲で囲まれた内部に在るのは『セラフィムビースト』へと放たれたのは真黒の雷である。

 極大なる真黒き雷の一撃は『セラフィムビースト』の強靭なる肉体であったとしても耐えられるおのではなかったことだろう。
「わしらの怨念、呪詛……すべてを込めた雷に討たれるがよい!」
 放たれた真黒き雷は、一瞬で『セラフィムビースト』の肉体を駆け抜け、その体を麻痺をもたらす。

 その機を逃す『侵す者』ではない。影の中で『陰海月』がわかっていたとしても雷を怖がるように。
 どうしようもない思いは募るばかりである。
 滅ぼされたという無念。
 何も守れなかったという己を呪う呪詛。
 それらすべてが混ざり合って、人の魂すらも一つにしてしまう。その力の光景を見つめる『セラフィムV』の瞳は、それを理解していたことだろう。
 怨念が人を変える。

 怨念が時として人の足を進めることもある。
 それが正しいのか正しくないのかを断ずることは誰にもできない。仮に出来たのだとしたら、その怨念がいつの日か別のなにかに昇華する時だけであろう。
『侵す者』の放った黒色槍の一撃が『セラフィムビースト』の片目を穿つその瞬間、それを『セラフィムV』は理解したのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
何度でも猟兵は貴方達の前に立ちはだかります

前章と同じく、キャバリア搭乗での格闘戦を挑みますね
【ダッシュ】を駆使したヒットアンドアウェイ
【怪力】を生かした【鎧砕き】の一撃を見まい、
距離を取って【挑発】、また隙を作り攻撃を打ち込み
消耗させていく

相手からの攻撃は【オーラ防御】を軸に、
ただ受け流すのではなくオーラをぶつけバランスを崩すように
そして何度でも貴方達を止め、勝利するのも私達ですっ!

【グラップル】で掴んだなら、【ジャンプ】と共に
相手を下に投げ。同時に機体から私自身を射出。

止めは、自身の身体で以て――
落ちるスピードも利して《トランスクラッシュ》。
全身全霊のオーラを臀部から叩きつけ、粉砕しますよ!



 片目を失った『セラフィムビースト』の咆哮が大地に響きわたる。 
 憤怒の咆哮がオブリビオンの心臓たる天使核を持って力を開放する。膨れ上がる巨躯は猟兵を遥かに越えるものであった。
 人は巨大なものに恐れを抱く。
 けれど、その恐れを抱いたとしても捨て去ることなく歩みを進めることができる者だっていることを『セラフィムビースト』は知るべきであったのだ。
「許サヌ――! 我がカラダを傷つけたムクイ、必ずヤ!」
 巨躯に映える八枚の翼の一翼は欠けている。
 しかし、その力に陰りがあるわけではない。凄まじい膂力でもって繰り出される拳の一撃は容易に大地をえぐり、木々をなぎ倒していくのだ。

「あえて言いましょう」
 その声はユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)のものであった。
 彼女の声は決して恐怖に震えていたわけではなかった。そう、彼女は勇気ある者である。
 だからこそ、恐れを抱いたとしても、それすらも飲み込んで一歩を踏み出す戦士だ。
「何度でも猟兵は貴方達の前に立ちはだかります」
 キャバリア『ブライト・ナイト』と共にユーフィは戦場に駆け出す。如何に5m級戦術兵器であるキャバリアであったとしても、巨躯をユーベルコードによってさらなる巨大化を齎された『セラフィムビースト』には力負けをしてしまうだろう。

 だからこそ、彼女はキャバリアのダッシュ機能を駆使したヒットアンドアウェイでもって機体の拳を振るわせるのだ。
「無駄ダ! 我の体は鋼! そのテイドでは傷一つ付けられマイ!」
「ええ、確かに。これだけ鈍ければ、どれだけ腕を振り回したとしても私を捉えることはできないでしょう」
 挑発するようにユーフィが告げる。
 それはあえての挑発であった。距離を撮りながら、絶えず『セラフィムビースト』を翻弄し、隙を作っては拳を打ち込む。

 例え、その拳が『セラフィムビースト』の言う通り傷一つ付けられないのだとしても、こちらの動きに翻弄されるほどに消耗していく。
 生物であれば当然である。
 けれど、こちらは兵器である。疲れを知らぬ者であるからこそ、この消耗戦はユーフィに傾くのだ。
「何度でも貴方達を止め、勝利するのも私達です!」
 放たれた『セラフィムビースト』の拳を受け流すのではなく、オーラを展開しぶつける。
 拳にぶつかり、オーラが砕けるのをユーフィは見た。
 けれど、無理な体制で放たれた拳が振り抜かれた瞬間、『セラフィムビースト』の体が傾くのを。

「そこっ! 体勢が崩れれば、どんな巨体であろうとも!」
『ブライト・ナイト』のマニュピレーターが『セラフィムビースト』の腕を掴む。
 そのまま飛翔するように勢いをつけて、その巨躯を大地へと投げつけるのだ。
「グオ――!」
「ご苦労さま、『ブライト・ナイト』。後は私が、自分自身の体で以て――」
 彼女はキャバリアのコクピットから、その身を投げ出すように飛び出していたのだ。

 その瞳がユーベルコード輝く。
 彼女が鍛え上げた肉体を、ただ目いっぱいに叩き込むユーベルコード。それは単純ながらも、その身からは想像できぬほどの闘気纏うトランスクラッシュ(クラッシュ)の一撃であった。
 全身全霊を込めたオーラの輝きを放ち、『セラフィムビースト』の巨躯を打ちのめし、大地へとしたたかに打ち据える。

 戦う者にこそ、その勇気が宿るというのならば、邪なるものを打ち砕くのは己の鍛え上げられた肉体である。
 それを知らしめるようにユーフィは巨大なクレーターが生み出された大地に一人立つのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スリジエ・シエルリュンヌ
なるほど、追いかけていた理由はそういうことでしたか。
で、あれば…再度突撃するのもやむ無しです!

というわけで、桜のガンシップ、再び【探偵の突撃】です!
あ、相手がUCを使おうとしてますね?でも、そんなの関係ありません。
私と桜のガンシップは突撃します!発動前に潰せば問題ないですし!
なんなら、魔砲撃も加えて、発動する暇もなくしましょう。

足で稼ぐ系の探偵というものは、近接も出来なければなりません。何故なら、謎を解いていくうちに犯人にもっとも近づいてしまう瞬間があるからです。
そのとき、近接が出来ないと話にならないんですよ。

(たまに脳筋思考になる文豪探偵であった)



 大地にその巨躯が打ち込まれ、沈む『セラフィムビースト』。
 しかし、その頭上に輝くのは光輪であった。炎が燃え盛る隕石を招来せしめるユーベルコードが猟兵たちの頭上に輝かんとしていた。
「隕石を手繰るユーベルコード! でも、そんなの関係ありません!」
 スリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)は彼女が駆る桜色のガンシップと共に大地に沈んだ『セラフィムビースト』へと魔砲撃を加えながら突撃する。
 発動前に『セラフィムビースト』のユーベルコードを潰してしまおうというのだ。

 スリジエは知っている。
 オブリビオンは過去よりにじみ出て現在を壊す。
 世界を壊す以上、悲鳴は上がるからこそ、猟兵は駆けつけるのだ。その一因と成り得る『セラフィムV』は器であると『セラフィムビースト』は言った。
 言わば無垢なる存在なのだ。

 隣に悪意があれば悪に染まる。
 隣に善意があれば善に染まる。
 そういう存在なのだ。けれど、その胸に抱くのは少年である。彼と『セラフィムV』の間にはすでに深い絆が在るように彼女は思えてなからなかったのだ。
「追いかけて居た理由がそういうことでしたのなら! 私が再度突撃するのもやむなしです!」
 そう、彼女は文豪探偵である。
 足で稼ぐ探偵業であればこそ、強大なる敵の渦中に飛び込むこともできなければならない。
 なぜならば。

「そう、謎を解いていくうちに犯人に最も近づいて島う瞬間があるからです」
 それがまさに今なのだ。
『セラフィムV』を狙う屍人帝国『オーデュボン』。彼等の目的が無垢なる存在を悪に染め上げ、人に、今に仇為す存在に仕立てあげようとするのならば、、これを止めることこそが世界に対するアンサーであるとスリジエは知る。

 だからこそ、彼女の瞳はユーベルコードに輝くのだ。
「いきます!」
 探偵の突撃(トゥシェ・ラ・シブル)は止まらない。
 今は回りくどい推理も、解説も必要無い。必要なのは、一直線に謎へと突き進み、それを解き明かす覚悟だけだ。
 魔砲撃の一撃が展開する光輪を破壊しながら、そのガンシップごとスリジエは『セラフィムビースト』へと突撃を敢行する。

 それは如何なる防護もなにかも無視する。
 どれだけ鋼の如き体皮を持っていたとしても、彼女のユーベルコードは、それさえも無視するのだ。
「謎を解く時、誰かに頼ってどうします。逆上した犯人を返り討ちに出来てこそ、バリツ探偵! 謎を、困難を避けるのではなく立ち向かう気概。それこそが今まさに私自身に在るものなのです」
 スリジエと桜色のガンシップが『セラフィムビースト』に突撃し、その防護を何もかも撃ち抜く一撃でもって展開された光輪は集束していく。

 彼女の目論見通り、隕石を落とすユーベルコードは未然に防がれる。
「これが文豪探偵の在り方です」
 スリジエは、脳筋が過ぎますけれどね、と微笑みながら、けれど決してそれを譲るつもりはない。
 そういう探偵であると己を定める強さこそが、生きるために必要なことであるのだから、それを彼女は示したのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セラフィナ・セレスティ
ダメダメそんなセリフは三流以下の小物が吐くと相場が決まってる
それとキミ、人も物も猟兵もナメてると痛い目見るよ?そこんとこよろしく!

『セラフィムV』達に疲労の色が見える気がする
魔導砲を彼らのもとへ転送
『爽』くん、敵が近づいたら遠慮無く砲撃でぶっ飛ばして

牧場を守る風の盾と靴の翼はそのまま、引き続き空中戦
相手の攻撃は可能な限り躱して、スカイソードでも受け流す
保険にボクの周囲に常に浄化の魔法陣を展開しておく
今回は敵一匹、空中戦を繰り広げながら避雷針を限られた範囲に仕掛ける
同時に、敵にこっそり捕縛の魔法陣を展開しておこう

残念だね、裁きの時間だよ
キミはそこから逃げられない
裁きの雷を好きなだけ味わうといいよ



 光輪が収束し、隕石を落とすユーベルコードが消えて行く。
 けれど、それでもなお『セラフィムビースト』は穿たれた大地より立ち上がるのだ。頭を振って土煙の中から立ち上がる威容は未だ強大そのものであった。
 獣の烙印をもたらす呪詛の力はユーベルコードとして発現し、咆哮となって世界に響きわたるのだ。
「我ガアルジの為に! 貴様たちをトリノゾク、カナラズ、必ずダ!」
 みなぎる力。
 それは己の主に対する忠義だけであったのだろうか。

 歪に歪んだ獣性の発露は、猟兵たちを滅ぼさんとほとばしる。
 しかし、それだけの獣性の発露、重圧を前にしてもセラフィナ・セレスティ(celestial blue・f33925)はまるで、そんなにすごんだとしても怯むことはないというように青色宝石の瞳を輝かせるのだ。
「ダメダメ、そんなセリフは三流以下の小物が吐くと相場が決まってる」
 だから、何も怖くはないのだと弾丸のように飛ぶ『セラフィムビースト』をセラフィナは翼の生えた風手繰る靴でもってステップを踏み、空中を軽やかに舞うのだ。

 確かにあの拳の餌食になれば、己であってもただでは済むまい。
 けれど、彼女の瞳には『セラフィムV』が疲弊している姿が映っていた。
「それとキミ、人も物も猟兵もナメてると痛い目見るよ? そこんとこよろしく!」
 すでに痛い目を現在進行形で受けているようだけれどね、とセラフィナはあえて余裕たっぷりに微笑んで呪詛まとう拳を躱し続ける。

 スカイソードの刀身で受け流すも、衝撃波が己の身を打つのだ。
「『爽』くん、彼等のことを頼んだよ」
 セラフィナは己の身を守るためではなく、疲弊して動かない『セラフィムV』の護衛へとスフィア型の魔導砲を護衛に転送する。
 それを『セラフィムV』の中で少年は見ていた。
 自分の身もまた危険に晒されてるというのに、セラフィナはこちらを優先した。

 自分だけではなく誰かを。
 その姿を見た少年はこれまで猟兵たちが誰かのためにこそ戦う姿を見て知るのだ。そう在るべきだと。斯く在りたいと願うのだ。
 それは願いでもあり、祈りでもあった。
 正しき行いをする者たちが負けてはならないとさえ思ったのだ。
「おっと! 危ない……!」
 セラフィナは呪詛にまみれた烙印の拳を受けてもなお、浄化の魔法陣でもって呪詛を払いながら、徐々に『セラフィムビースト』に追い込まれていた。

「誰が何をナメているだと? 猟兵! そういうノは、勝ってカラいうのダな――!」
 放たれた拳がセラフィナに迫る。
 けれど、セラフィナは不敵に笑っていた。
「残念だね、裁きの時間だよ」
 瞬間、魔法陣がいくつも展開し、捕縛の魔力でもって『セラフィムビースト』の腕に絡みつき、その動きを止める。
「何……?!」
 周囲に打ち込まれた避雷針。
 いつのまにと『セラフィムビースト』は思っただろう。同時に、これか、とも思ったのだ。

 セラフィナが無駄に動き回ると思っていたのだ。それはこの避雷針を気取られぬためである。
 己の周囲に打ち込んだ避雷針が輝き、セラフィナの瞳がユーベルコードに輝く。
「キミはそこから逃げられない。裁きの雷を好きなだけ味わうといいよ」
 告げる言葉と共にディバインデバイスが演奏される。
 奏でられるユーベルコードの名は――。

「ディバン・サンダー……キミを穿つ雷の名さ」
 天より落ちる裁きの雷が『セラフィムビースト』の体を穿ち、その身を焼き焦がしていく。
 極大なる雷はどれだけ防護の力を持っていたとしても、無関係である。
 打ち込んだ避雷針は雷の力を集約させるためのもの。
 その中心に捉えた『セラフィムビースト』は逃げることも叶わず、そして、力を一点に集中させた裁きの雷の前に、ついに膝を折るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルビィ・フォルティス
この世界の歴史は屍人帝国との戦いの歴史。
この剣は何度だってあなた方を阻み、切りましてよ。

派手な技ですわね。それ自体は嫌いではありませんことよ。ただ、場所も悪いですし何より……その爪と牙は飾りですの?
隕石も火も、邪魔でしてよ。

靄雲の剣霊を使用、セラフィムビーストが作り出した天使の輪を隠すように雲を展開し、隕石を受け止める

これでここにあるのはお互いのみ、さぁ、踊ってくれまして?

自前の翼で飛翔し、セラフィムビーストに接近、振るう爪や牙、強靭な体躯での攻撃を天使靴シューズでの空中ステップも合わせた機動で回避
アドウェルサでの斬撃とかまいたちを起こす蹴りで確実にダメージを積み重ねていく



 ブルーアルカディアにおいて屍人帝国との戦いは常に滅びとの戦いでもある。
 浮遊大陸が雲海に沈むのは動力として存在する天使核が使い物にならなく為るからだ。
 己の故郷も問題を抱えている。
 だからこそ、ルビィ・フォルティス(空の国の家出娘・f33967)は強力な天使核を求めてブルーアルカディアの世界を巡る。
 極大の雷に討たれた『セラフィムビースト』の心臓は確かに強大なものであったことだろう。けれど、それを得るためにはまず打倒しなければならない。
「この世界の歴史は屍人帝国との戦いの歴史。この剣は何度だってあなた方を阻み、切りましてよ」

 そう告げる彼女の目の前にある『セラフィムビースト』は焼け焦げた鋼の体皮から煙を立ち上らせながら咆哮する。
 互いに猟兵とオブリビオン。
 何をしなければならないかなど、今更問うまい。
 滅ぼし合う関係であるからこそ、その咆哮は光輪を頭上に輝かせ、広がっていく。

 空に広がる光輪より喚び出されるのは燃え盛る隕石であった。
 その一撃を受ければ猟兵はもとより、この浮遊大陸の一角もまた亀裂が走ることだろう。
 そうなって犠牲に為るのはいつだって力なき者である。
「派手な技ですわね。それ自体は嫌いではありませんことよ。ただ、場所も悪いですし何より……その爪と牙は飾りですの?」
 ただ、とルビィの瞳がユーベルコードに輝く。
 少しがっかりしたのもまた事実である。彼女にとって己の剣技を高めることは強者と刃を交えることである。

 だというのに『セラフィムビースト』は燃え盛る隕石でもって己を討とうとしている。
「ホザケよ、猟兵――!」
 空より飛来する隕石。
 しかし、ルビィのユーベルコードは光輪を隠すように巨大な雲となって顕現する。
 それは靄雲の剣霊(アイウンノケンレイ)。
 本来は足場として召喚される雲であるが、今は光輪を隠し、落ちる隕石を受け取る雲として展開するのだ。
「隕石も火も、邪魔でしてよ」
 告げる言葉と共にルビィは一気に駆け出す。隕石が雲にぶつかり、けれど燃え盛る炎が柔らかな雲に包まれて消えて行く。

「我ガユーベルコードを防ぐか!」
『セラフィムビースト』は足場となった雲を駆け上がっていく。
 この現状を生み出した猟兵、ルビィを打倒するために、彼女の言葉を払拭するために己の牙と爪を振るうのだ。
「これでここにあるのはお互いのみ、さあ、踊ってくれまして?」
 エンジェルの翼が羽撃き、互いに空へと舞い上がる。
 強靭な体躯を持つ『セラフィムビースト』は個体としての力を一つ取ってみても猟兵に勝るものである。

 だからこし、技術があるのだ。
 己よりも強大な者を討つためにある技術。それが剣技であるというのならば、ルビィの剣技こそ振るわれる爪牙をいなし、その受け継がれてきた長剣『アドウェルサ』でもって爪の一撃を受け止める。
「これほどか細いウでデ何がデキる!」
「ええ、確かにあなたと踊る程度ならば造作もなく。そして、あなたを打倒するのには――」
 天使核から生み出された風がシューズによってステップを踏む。一瞬でルビィの身体が『セラフィムビースト』の背後に回るのだ。

「ナニ――!?」
「――この剣があれば、十分でしてよ」
 放たれる斬撃と彼女の蹴撃が繰り出すかまいたちの如き一撃が『セラフィムビースト』の延髄に叩き込まれ、その巨体を大地へと叩きつける。

 優美なる剣技は優美なるものに宿る。
 ならば、ルビィは空にありて見下ろすように『セラフィムビースト』へと敢えて恭しく一礼をして、剣戟に幕を降ろすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎

猟兵に怨み骨髄みたいやけど
変な忠義心もガチガチで
どんな存在が大元になったんかわからんほど
歪みに歪んでもた姿やなあ…

雲海に沈むことが齎すもんが
なんか他の世界の骸の海還りと比べて
すごくえげつないような…
今考え込んでも詮無き事やけど
しみじみ怖っ


引き続きキャバリア搭乗
空中戦・空中機動・推力移動駆使し飛行

見切りと盾受け・武器受けで敵UC・攻撃を回避に努め対処
オーラ防御・浄化・呪詛耐性で追撃に対抗
獣化?
もしやモフモフ好きやったん?
でも当たらな意味はあらへんで?

巨人と少年に攻撃行きそうならかばう

敵見据えUC使用
リミッター解除のスナイパーで天使核狙う
今のあんたの業を量る天と根の國からの審判や



 放たれた斬撃の一撃が『セラフィムビースト』を穿つ。
 どんなに堅牢なる鋼の如き体皮であったとしても、切り裂けぬものなどないというように猟兵の斬撃は繰り出され大地に失墜する巨躯。
 立ち上がってくるのは、その強大な天使核があればこそであろうか。
 いや、それ以上に己が相対する猟兵に対する憎しみが勝るものであったことだろう。傷を追っていない場所など何処にもない。けれど、それでも傷を物ともせず、猟兵を滅ぼさんとする怨嗟は潰えることなどなかったのだ。

「滅ボス、ほろぼす、ホロボス! 猟兵はスベテ、鏖殺スベシ!」
『セラフィムビースト』の肉体から獣の烙印によって呪詛が満ち溢れていく。
 その姿を前にしてもクルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は立ち止まることをしなかった。
 結局の所、猟兵に対する恨み骨髄に徹する、というやつなのであろう。
 確かに忠義心もあるのだろうが、雲海に沈めばそれは消滅し、過去に歪んだなにかに成り代わるのだ。
「どんな存在が大元でなったんかわからんほど、歪みに歪んでもた姿やなぁ……」
 異形の銕の機神が大地を蹴って空へと舞い上がる。

 どれだけ過去に存在した者が清廉潔白であったとしても、雲海に沈めば辿る道は一つしかない。
 過去に歪む。
 ただそれだけである。それは他の世界の骸の海へと還ることに比べて、あまりにも凶悪なものであったことだろう。
「今考え込んでも詮無きことやけど……」
 しみじみと恐ろしさがこみ上げてくる。
 けれど、クルルは立ち止まらない。放たれた爪の一撃を大盾で受け止めながら、浄化の力を持って呪詛を振り払う。
 獣化の呪いは呪詛でもってなされる。

 人を獣に。
 それは知性もなく本能すらも縛られた家畜同然であろう。それこそが『セラフィムビースト』の呪詛の本質である。
「もしやもふもふ好きやったん? でも当たらな意味はあらへんで?」
 大盾で防ぎ、浄化の力でもってそれを振り払う。
 ならば、『セラフィムビースト』の攻撃は何一つ異形の銕の機神へ届かないのだ。
「あの青い鎧の巨人になんで執着しているのかわからへんけど……あの子らを傷つけようっていうんなら!」
 異形の銕の機神の瞳がユーベルコードに輝く。

 リミッターを解除された力は、その視線のみでもって天之原からの光焔、底根國からの常闇をもたらす。
 まさに幽明審判(ユウメイシンパン)。
 視線でもって射殺す一撃は、『セラフィムビースト』の巨躯にある天使核……即ち心臓をねめつけるのだ。
「あまねき旻より赫焉、あまねき黄泉より冥闇――今のあんたの業を量る天と根の國からの審判や」
 放たれたユーベルコードによる光焔が天使核を貫き、湧き上がる常闇が足元tから『セラフィムビースト』を大地へと引きずり落とす。

「――ッ! 我ヲ、失墜サセルか!」
 心臓である天使核を握りつぶされるような、燃やし尽くされるかのような痛みに悶える『セラフィムビースト』。
 そこへ飛来するのは機神である。
 構えた大盾でもって『セラフィムビースト』へと叩きつけ、その巨躯を大地へと沈めさせる。
 変幻自在なる空中機動。
 本来であれば、キャバリアの出自を考える上で必要のない機能である。
 何せ、空を飛ぶことができない世界で生まれた者であれば。けれど今は違う。大空の世界ブルーアルカディアにおいてこそ、機神は己の十全たる力を発揮するように大空を駆け、クルルと共に敵を討つ。

 それは『セラフィムV』、青い鎧の巨人にとっても同じことであったことだろう。
 善なる者の意識が宿ったであろう器は、優しい瞳でもってクルルと機神の戦いぶりを見つめていたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
さーて、あれを倒せばとりあえずミッションクリアか。
しかし、強靭な肉体に高い魔法力を併せ持っても知性がなあ……
兵器としてはあの程度でも良いが、本人生きてて楽しいのかね。
まあ、オブリビオンだから関係ねえのか。

『スルト』に搭乗したまま。『魔力解放』を行い、天を舞います。
超音速の機動戦闘で翻弄。
敵がPOWUCにより巨大化後、動きを見切って間合いを詰め、魔力により強化巨大化させた『炎の剣』を背中に突き刺し、そのまま魚の開きを作るように剣を突き刺したまま尾っぽの方に飛翔してみましょう。

こいつ結構、いい天使核が獲れるんじゃねえか?
(既にこの世界の流儀に馴染んでいる)



 天使核が燃える。
 燃えて、燃えて、その巨躯をさらなる滅びの獣へと姿を変貌させるのだ。
『セラフィムビースト』は、その変貌した滅びの獣としての力を発露させるように咆哮を轟かせる。
 しかし、それだけ憎悪でもって咆哮を上げるのだとしても、それは威嚇程度にしかならぬことをアレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は知っている。
 どれだけ強靭な肉体、高い魔法能力を併せ持つオブリビオンであったとしても、知性がなければ、それは獣でしかない。

 獣でしかない存在が人語を語るのだとして、それが何の意味があるのだ。
「知性があれじゃなあ……兵器としてはあの程度でも良いが、本人生きてて楽しいのかね?」
 そう問いかけるのは己が騎乗するオブリビオンマシン『スルト』である。
 魔力解放(スーパーパワー)によって開放された黄金の魔力が、機体を包み込み、対峙する『セラフィムビースト』との間に目に見えぬ力の拮抗を知らしめる。

 これまで多くの猟兵たちが削りに削った『セラフィムビースト』の体力。
 それはその傷痕を見ればわかるものだ。
「我をグロウするか、猟兵! 楽しい楽しくないなど関係ナイ! 我にあるのは、主のタメノ存在意義のみ!」
 咆哮する巨躯、滅びの獣が『スルト』へと襲いかかる。
 天を舞う二体は超音速の領域にまで到達する。二体が空を飛ぶ度に空気の壁を突き破る轟音が雷鳴のごとく響き渡り、互いの機動力が堂々であることを知らしめる。

 あれだけの手傷を負ってなお、『スルト』に迫る速度は大したものであるが、それでもアレクサンドルは構わなかった。
 動きはすでに見切っている。
 どれだけ早く動くのだとしても、どれだけ力強い攻撃を放つのだとしても、アレクサンドルには関係がなかった。
 すでに敵の拳や蹴撃の動きは単純なものであると知るからだ。なぜなら、『セラフィムビースト』は獣である。

 獣であるがゆえに技術はない。
 これが人であったのならば、技術でもって敵を欺き、虚を突くこともあっただろう。けれど、人よりも優れたるものを持つがゆえに、獣は狩られるのだ。
「力、速度、どれもなかなかのものだが――一つ忘れてるな。お前が相手をしているのは猟兵だぜ?」
 ユーベルコードに輝くアレクサンドルの瞳。
 開放された絶大なる魔力がほとばしり、『スルト』の手にした『炎の剣』が刀身を巨大化させる。

「猟兵など恐れるに足らズ! 我ガ必ズヤ、その首を――!」
「そうはならねぇよ」
『スルト』が残像を残すほどの速度で飛翔し、その背に回り込んで刀身を突き立てる。
 まるで魚の開きを作るようにして尾の方へと飛ぶ『スルト』が鮮血に塗れる。
 絶叫の如き咆哮が世界に響き渡り、『セラフィムビースト』が言えぬ傷にあえぐのを聞くのだ。

「こいつ結構、いい天使核が獲れるんじゃねえか?」
 そうだよな、とアレクサンドルは確認するように言葉を紡ぐ。
 すでにこの世界、ブルーアルカディアの流儀に馴染んでいるようである。浮遊大陸を存続させるのも、飛空艇でもって空を飛ぶのも、どれもが天使核を必要とするものばかりである。
 ならばこそ、『セラフィムビースト』の天使核は巨大であるがゆえに有用であるのだ。
 アレクサンドルは笑いながら、獣を狩る。
 彼の目に映るのは打倒すべき強敵ではなく。そう、ただ狩り殺されるだけの獲物にしかすぎないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
「邪魔? この世界の邪魔をしているのは、そっちじゃないかな!」

今回は【セレステ】で空中戦を仕掛けていくね。

それにしても、セラフィムビースト?
堕ちた天使ってわけでもなさそうだし、天使の使い魔だった感じなのかな。

ま、どっちにしても神とか天使とかにあまり期待してないしね。
いればいたで面倒だし、いなければ置き土産が厄介だし。概念だけになってくれないかな。

飛空挺に天使とかがいるのかはわからないけど、これを倒さないとたどり着けないみたいだね。
【M.P.M.S】を空対空モードで使用して、
ホーミングミサイルをロックオンさせてビーストを狙うね。

飛空挺が見えたら【テスカポリトカの鏡】で撃ち落とせるといいんだけど!



「我ノ邪魔をする、ナ――!」
 鮮血が背から噴出し、その体躯を濡らす。
『セラフィムビースト』は数多の猟兵の攻撃を受けて、その身に刻まれた傷の深さをもって憎悪を募らせる。
 己が主より賜った使命、それを果たせぬままに死することを最も恐れるがゆえに、その憎悪は猟兵へと向けられる。
 使命こそが生きる理由であるというのならば、その獣は『滅びの獣』と成り果ててもなお、主の目的を果たそうと力を振り絞って、ユーベルコードの輝きを放つのだ。

 巨大なる身体。
 滅びの獣と呼ばれる八翼は一翼が既に欠けている。
 背には凄まじい裂傷が走り、その身を保っているのは最早、主に対する忠義心だけが支えであったことだろう。
「邪魔? この世界の邪魔をしているのは、そっちじゃないかな!」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はガンシップである『リオ・セレステ』と共に大空を駆ける。
 目指すは八翼欠けた『セラフィムビースト』が変貌した滅びの獣である。

 それにしてもと、彼女は思うのだ。『セラフィムビースト』。
 その名に冠する天使の名。
 数多の世界にあっても耳に響く『セラフィム』の名は、この世界にあっても存在している。
 例えば『セラフィムV』。
 青い鎧の巨人もまた『セラフィム』の名を冠する存在だ。
 如何なる経緯を持って屍人帝国である『オーデュボン』に与し、そして狙われる存在でるのかを理緒は未だ知らない。
「ま、どっちにしても神とか天使とかにあまり期待してないしね。いればいたで面倒だし、いなければ置き土産が厄介だし。概念だけになってくれないかな」

 理緒の本音であった。
 今を生きる人々にとって過去は過去でしかない。過ぎ去ったものに縋ることは時間の浪費にすぎない。
 だからこそ、理緒が狙うのは『セラフィムビースト』を運んできたであろう飛空艇である。
「飛空艇をオトスつもりか!」
 その狙いを看破したのが『セラフィムビースト』である。
 知性が高くはなくとも、理緒の動きで察したのだろう。ミサイルランチャーから放たれるミサイルを躱しながら、けれどこれまで数多の猟兵たちが刻み込んできた傷痕が、それをさせない。

 傷が開き血潮が噴出しながらミサイルの爆炎に巻き込まれていく巨躯。
 それを見やり、理緒は見たのだ。
「――いた! やっぱり『セラフィムビースト』を運んできた飛空艇がいたんだ――なら!」
 彼女の瞳が輝く。
 同時に彼女の駆る『リオ・セレステ』の艦首に装備された大口径主砲が発射形態へと姿を変える。
 その名を、テスカトリポカの鏡(テスカトリポカノカガミ)。

 煌めくユーベルコードが放つ光は膨大な力を溜め込んでいた。
「射線クリア。いっちゃえー!」
 主砲の火力を最高値にまで引き上げた一撃は砲身を焼き付かせる。それほどまでの威力で持って一直線に伸びた光条の一撃が狙う飛空艇と『セラフィムビースト』を巻き込んで貫くのだ。

 一泊の後に爆散する飛空艇。
 これで『セラフィムビースト』が逃げることは最早できぬだろう。
 理緒は敵の退路を絶ち、同時にしばらくの間青い鎧の巨人、『セラフィムV』の追跡を屍人帝国『オーデュボン』ができなくなる要因を作りだしたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
あれが屍人帝国から蘇った『魔獣』。其の身に宿された
「天使核」は、此の世界の文明の礎となる……か。
此の世界は、「戦い」こそが「生きる」事になるのだな。
■闘
今は此の地を護るのが最優先。故に俺も戦おう。
敵に在るのは獣性のみなら、【野生の勘】で動きを【見切る】。
視野に入り辛い至近距離で立ち回りながら、相手を惑すぞ。
バレた時は咄嗟の【ダッシュ】で緊急回避。

好機が来たら隙を突いて空高く【ジャンプ】し、刀を構える。
そこから攻撃力を重視した【件鬼・刀】を大上段から放ち、
其の身を頭部から真っ二つに【切断】せん!

この『闘争の連鎖』を断つ術……必ずや見つけねばなるまい。

※アドリブ歓迎・不採用可



 一条の光が『セラフィムビースト』が変じた『滅びの獣』と彼を運んできたであろう屍人帝国『オーデュボン』の飛空艇を貫き爆散させる。
 しかし、『セラフィムビースト』は未だ健在であった。
 光に飲み込まれてもなお、その一翼を失った七翼のうちの半数を犠牲にしながらも、その身を守ることに成功したのだ。
 なんという執念であろうか。
 彼にあったのは、凄まじき憎しみだけであった。
 己を此処まで追い込んだ猟兵、そして使命を果たす事ができなくなってしまったことに対する憎悪。
 それらが全て彼を突き動かすのだ。

「許すまじ――! ユルセルものか! 猟兵――!」
 咆哮が轟き『滅びの獣』となった巨躯が大地を蹴って、再び空へと舞い上がる。ねめつける瞳が爛々と輝き、あるのは最早獣性だけであった。
「あれが屍人帝国から蘇った『魔獣』。其の身宿された天使核はこの世界の文明の礎となる……か」
 愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)は空を見上げる。

 この世界は雲海に沈めば消滅しか道は残っていない。
 ならばこそ、オブリビオンの心臓である天使核を持って、大陸を浮遊せしめるだけの動力を得て生活をしている。
 ならばこそ、この世界は『戦い』こそが『生きる』事と同義であるのだ。

 ならばこそ、清綱はこの世界に生きる人々を、そして浮遊大陸を守ることが何よりも優先されるべきことであると知る。
 全てを破壊せんとする『滅びの獣』は、大地すらも混乱と破壊でもって雲海に叩き落とすことができるだろう。
「ならば、その身に在るのが獣性のみならば――」
 清綱は駆ける。
 どれだけ巨躯を誇ろうとも、それが獣性、獣であるというのならば、己の身に宿る野生の勘を頼りに振り下ろされる爪の一撃を躱す。

 猛禽の翼でもって巨躯を誇る『滅びの獣』の間合いの内側に入り込み、その動きで持って敵を惑わすのだ。
「オオオオ――ッ!」
 ほとばしる憎悪の咆哮は、腕が叩きつけられる度に強くなっていく。
 その憎しみがどれほどのものであるかを清綱は知る。けれど、それは結局のところ、獣の怨嗟にすぎない。
 悲しいかな、ただそれだけなのだ。
 人語を解するのだとしても、人の矜持、人の心までは理解できてない。だからこそ、力と速度で勝るのだとしても、技術の前に敗北を喫するのだ。

「では、参る……」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 一瞬の隙。
 振り下ろされた爪の一撃を猛禽の翼でもってひらりと躱し、上昇する。眼下に見えるは強大なる存在。
 件鬼・刀(ケンキ)。

 特異な剣術であった。最上段に振り上げた刀身が大空の下で煌めく。
 生命を断ち切る斬撃。
 それは清綱にとって、『闘争の連鎖』を断ち切る術であったことだろう。未だ、解決すべきものは多かれど、それでも見つけ出さなければならない。
 どれだけたくましい生命があるのだとしても、人の生き方はそれだけではないと示さねばならぬ。

「ゆえに、お前は滅びなければならないのだ。遠き果てに術を見つけるのだとしても、今が過去によって食い殺されることなどあってはならぬのだから」
 放たれた斬撃が巨大なる『滅びの獣』へと振り下ろされ、一撃のもとに残る八翼の一翼を両断せしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
おうおう、ヤバそうな獣畜生が現れやがったぜ。
「・・・ですが、負けるつもりはありません。」
良く言ったぜ、相棒ッ!
敵は魔法に飛行になんでもごされってなようだ。
んじゃ、俺達もとっておきの力を見せ付けてやろうぜッ!
「・・・転身ッ!!」

鬼神霊装を纏って高速で戦場を空に地上にと縦横無尽に移動しながら敵の攻撃を見切りつつ接近して左手の暴風を纏わせた薙刀をぶちこんでやるぜ。

敵が隕石を落とそうとして来やがったら霊装から放出する雷を右手の妖刀に集束させた斬撃の放射を天使の輪に叩きこんで防いでやるぜ。

てめえが居たら青い鎧の巨人達とゆっくり話もできねえ。とっとと消えちまいなッ!

【技能・見切り、空中戦】
【アドリブ歓迎】



 巨大なる『滅びの獣』へと変貌した『セラフィムビースト』は翼を失って大地に失墜する。
 その姿は変ずる前の『セラフィムビースト』そのものであったが、その体躯に刻まれた傷痕が癒えることはなかった。
 あらゆる箇所から血潮が吹き出し、その身を染める。
 けれど、その獣性を秘めた瞳はなんら変わることはなかった。在ったのは己の忠義心と主の目的を邪魔する猟兵の存在を決して許さぬという堅き意志のみであった。
「羽虫のゴトク、我にたかりヨッテ……! 許さぬぞ、猟兵――!」
 咆哮が轟く。

 しかし、それで猟兵が退くことなどありはしないのだ。
『おうおう、ヤバそうな獣畜生が現れやがったぜ』
「……ですが、負けるつもりはありません」
 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)と相棒の桜が『セラフィムビースト』の前に立ちふさがる。
 依然、『セラフィムビースト』は『セラフィムV』を狙っている。
 すでに稼働限界が来ているのか、動けぬ青い鎧の巨人を守らんと猟兵達は戦う。守る者があるのならば、一歩も引かぬのが猟兵であると知らしめるように二人は立ちふさがったのだ。

『よく言ったぜ、相棒ッ!』
 凶津の鬼面のヒーローマスク、その瞳がユーベルコードに輝く。
 それは封じられし荒ぶる力であった。
 雷神霊装と風神霊装、その二つを同時に身にまとい、力と為すのが鬼神霊装(オーバードフォーム)である。
 荒び荒ぶる力が桜の身体を依り代にして荒ぶる。
 けれど、二人の心は一つである。

 正義の心というたった一つが絆を紡ぐ。
 それは『セラフィムV』と少年の間柄にも似たものがあったのだろう。煌めくユーベルコードの輝きは、彼等の瞳に刻まれるのだ。
「……ッ! 転身ッ!!」
 裂帛の気合と共に荒ぶる力を完全に制御した二人が空を飛ぶ。
 一瞬で『セラフィムビースト』との距離を詰めた斬撃の一撃が『セラフィムビースト』の身体を横一文字に切り裂く。

「――ッ!? このソクドは!?」
 何も見えなかったのだろう。
 凄まじい強化。其の代償は桜の身を苛む流血。けれど、彼女は己が身を顧みることはなかった。
 己が成さしめなければならぬことをしっているからだ。
「馬鹿なッ! 我をウワマワル速度、だと! アリエヌ!」
 空に光輪が展開され、招来されるは燃え盛る隕石。
 けれど、それを見上げた桜と凶津の判断は早かった。霊装から放出される雷の力を右手に手にした妖刀へと集約させていく。

 びりびりと己の肌を焼くほどの力。
 荒ぶる力の制御はまるで効いていない。けれど、凶津は何も恐れなかった。どれだけ己たちの身を削る戦いをするのだとしても、二人の気持ちは一つであった。
『一気に決めちまえ、相棒ッ!!』
 ほとばしる雷撃の如き妖刀の斬撃が空より落ちる隕石を一刀の元に猟団せしめるのだ。
 雷光が空にほとばしり、絶大なるユーベルコードによる一撃すらも霧散させる。

「このまま切り裂きますッ!」
 隕石を両断せしめてもなお、桜の瞳が捉えていたのは『セラフィムビースト』であった。
 薙刀の一撃で持って横一文字に刻まれた傷。
 さらに遥か上空より迫る縦一文字の斬撃は凄まじい速度を持って『セラフィムビースト』へと振り下ろされる。
『てめえらが居たら青い鎧の巨人とゆっくりと話もできねえ、。とっとと消えちまいなッ!』

 二人の心が一つになった鬼神の一撃が『セラフィムビースト』に癒えぬ十文字の傷痕を刻み込む。
 これこそが二人の絆の力であると暴風と雷光の十文字でもって見せつけるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
※ロシナンテⅢ

主君の任を果たす責務の重さは理解致します
ですが、この地の安寧乱す者がどちらかなど明白
だからこそ私は騎士としてあの少年と巨人に助太刀するのです


巨躯のリーチや可動、体裁きをセンサーでの情報収集で把握し瞬間思考力で見切り、飛竜操る細やかな空中戦機動で攻撃躱し
すれ違い様に馬上槍で肉や翼を削ぎ

飛竜ハッキング限界突破推力移動で急上昇し太陽を背に急降下
密かに機械飛竜の口部砲の弾種変更操作
飛竜口部砲乱れ撃ちスナイパー射撃で放つは目潰し目的のペイント弾

攻撃躱したすれ違い様にUC発射し電流で拘束
麻痺した敵をそのまま大地へ叩き付け

討ち取らせていただきます

起き上がる前に怪力で心臓部目掛け馬上槍投擲



 機械飛竜『ロシナンテⅢ』に騎乗したトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は『セラフィムビースト』に刻まれた暴風と雷光の十文字を見下ろしていた。
 凄まじい猟兵たちの攻撃。
 けれど、それらの尽くを受けきってもなお立ち上がってくる『セラフィムビースト』の瞳に彼は忠義を見たであろう。

 例え、獣性と欲望にまみれた瞳であったとしても、その根底にあるのは主に対する忠義であった。
 ゆえに彼は、その責務の重さを理解していた。
「ですが、この地の安寧乱す者がどちらかななど明白。だからこそ、私は――」
 機械飛竜が空に翻り、『セラフィムビースト』が立ち上がる前にこれを叩かんと迫る。

 しかし、その目論見は達することはできなかった。
 放たれた馬上槍の一撃を受け止めるのはユーベルコードに寄ってさらなる巨躯へと変貌を遂げた『セラフィムビースト』――いや、『滅びの獣』の姿であった。
「これを受け止めますか!」
「この程度で我ヲ、倒せるとオモウナ――!」
『滅びの獣』はすでに八翼全ての翼を失っている。だからこそ、空へと飛び上がることができないだろう。

 けれど、その巨躯は未だ健在である。傷を刻み込まれていたとしても、消耗するだけであり決定打には未だ至っていない。
「何故、ワレの邪魔をスル! 我が主のモクテキを達するタメニは!」
 あの青い鎧の巨人『セラフィムV』が必要なのだろう。けれど、トリテレイアは否定する。
「いいえ。屍人帝国がもたらすのは滅びのみ。ならばこそ、私は騎士としてあの少年と巨人に助太刀するのです」
 機械飛竜が機体のリミッターを外していく。
 トリテレイアが電脳で持って直接リンクし、その機動性を高めていくのだ。掴まれた馬上槍を振り抜いて、遥か上空まで急上昇していく。

 どれだけ手を伸ばしたとしても、彼を捉えることはできなかったことだろう。
 限界を超えた機動。
 機体が軋んでいるが、目的を達成するためならば、壊れたとしても構わない。生命と違って機体は直せばいいのだから。
「騎士の戦法としては行儀が少々悪いのですが……!」
 太陽を背にしたトリテレイアが機械飛竜の口部砲を『セラフィムビースト』へと向ける。

 逆光に眩む『セラフィムビースト』の瞳にはばらまかれる弾丸が全て己の身を削るものであるように思えただろう。 
 だからこそ、その巨大な腕でもって振り払おうとして、爪の一撃が放たれた弾丸の一部を炸裂させる。
 そこから引き起こされたのは爆風ではなく、目潰しをもk的としたペイント弾であった。
「ぐ、ム――!?」
 一体何が起こったのか理解できなかったことだろう。
 己の視界を妨げるペイント弾。

 それは一瞬であったがトリテレイアにとっては十分すぎるほどの隙であったのだ。
「両腰部稼働装甲格納型 隠し腕(通常拘束モード)(ワイヤード・サブ・アーム・ノーマルスタンモード)――起動!」
 すれ違いざまに放たれたワイヤ制御隠し腕が、その巨躯に絡みつき流し込まれた電流でもって『セラフィムビースト』の自由を奪うのだ。
「グォぉぉ―――!?」
 身体がしびれる。自由が利かない。
 そんな最中、己の身体が凄まじい力でもって大地を引きずり倒され、圧倒される。

 こんなことなど在ってはならない。
 なのに、今目の前に存在する猟兵はそれを成さしめたのだ。
「討ち取らせて頂きます」
 トリテレイアは機械飛竜より飛び降り、仰向けに引きずられる『セラフィムビースト』の心臓部めがけて馬上槍を投擲する。
 其の一撃は奇しくも数多の猟兵たちが刻んだ傷痕が幾度も重なった箇所であった。
 鋼の如き体皮は削られ、強靭なる筋繊維が露出している。

 そこへ打ち込まれたトリテレイアの一撃は、強靭なる筋繊維をも打ち破って、骨を砕くにまで至る。
 これこそが己の騎士たる矜持であると知らしめるようにトリテレイアは、己の使命を全うするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
先程までの獲物とは比べ物にならぬ威容、どれ程の命を喰らって来たのやら
これは良い糧となりそうです

我等が怨念満たすため、如何なる爪牙も爆炎も諸共喰らい尽くしてくれよう

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ敵味方の動きを把握
戦闘知識+瞬間思考力を活かして行動を読み攻撃を見切る

先制攻撃+ダッシュで接近、なぎ払い+切断で手足を狙い斬撃にUCを乗せて傷口をえぐる
UCが含む怨念の炎で蝕み継続して能力を削ぐ

巨大化したらUCで顔面を狙い、炎と残像を囮にダッシュ
夜砥で捕縛し怪力で引き寄せとジャンプで体に乗り上げ背部になぎ払い+切断
夜砥を命綱代わりに体に乗り上げ傷口に串刺し+怨念の炎を流し込み天使核を蝕む



 放たれた槍の一撃が、オブリビオンの心臓である天使核を守る強靭なる筋繊維をついに突き破り、その堅牢なる骨すらも砕いた。
 けれど、未だ脈打つ心臓である天使核は破壊されていない。
「ココまで、此処までの、ソンザイであるのか、猟兵! その力、必ずや我がアルジに仇為すモノ! ならば!」
 巨大なる肉体、『滅びの獣』とかした『セラフィムビースト』が咆哮する。

 もはや、その瞳に合ったのは獣性でしかない。
 けれど、余裕をかなぐり捨て、獣である以上のことを己には課さぬとばかりに咆哮する。
 猟兵を侮っていたわけではないのだ。けれど、此処までの存在であると知るのならば、彼等を生かしてはおけぬ。
 本来の目的である『セラフィムV』の確保よりも、先決すべきことが生まれた。それは猟兵の抹殺である。
「キサマらは鏖殺する。ここで全てコロシ尽くす!」
 皆殺しである。

 けれど、その言葉を前にして西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は言うのだ。
「その忠義は我等が恩怨満たすほどのものであろうか、いやない。どれほどの生命を、その爪で、牙で喰らってきた、オブリビオン」
 彼の瞳は怨念にまみれていた。
 おぞけも走るほどの威容。
 強大なる『滅びの獣』を前にしても織久は怯むことはなかった。
 なぜなら、その身に宿る怨念がそれを許さないどころか、感じさせることもなかったのだ。

 見の内側を焼くようなすさまじい怨念の炎が、満たされぬと叫ぶのだ。
「我等が怨念満たすため、如何なる爪牙も爆炎も諸共喰らいつくしてくれよう」
 一気に戦場を走る織久に振るわれる巨大なる爪の一撃。
 大地をえぐり、ひび割れさえ、衝撃波が周囲の木々をなぎ倒していく。けれど、織久を捉えることはできなかった。
 凄まじい速度と冴え渡る勘でもって彼は一撃をかわし、踏み込むのだ。
 放つ一撃が殺意の炎(サツイノホノオ)を纏い、数多の猟兵たちが刻んできた傷痕を狙って放たれる。

 流し込まれる殺意と怨念の炎が傷を焼き、黒い炎でもって『セラフィムビースト』の肉体を焼き続けるのだ。
「このホノオは、ッ!」
「消えると思うなかれ。それらこそが我等が怨念そのもの」
 再び振り下ろされた腕の一撃をかわし、織久は腕を駆け上がっていく。
 どれだけ強大な巨躯であろうとも、傷を着けることが可能であるのならば、己の黒き炎もまた有効であろう。
 超極細の糸が放たれ、『滅びの獣』の首にまとわりつき、己へと怪力でもって引き寄せる。
 片目を潰された顔。

 ここにまた猟兵の与えた傷がある。
 それを見た織久は跳躍し、その穿たれた眼下へと己の腕にまとわせた怨念の炎でもって手刀を放つ
「我等が怨念尽きる事なし。その穿たれた虚が如き眼窩で知るがいい」
 この怨念の深さを、殺意の濃さを。

 抉るようにして眼窩から流し込まれる炎。
 それは内側から『セラフィムビースト』の身体を焼き切り、天使核をも蝕むように彼等の怨念でもって炎に晒すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
あいつが指揮官って感じだね
これ以上この島を荒らされても困るし
皆と協力して倒そうか

答えてくれたら儲け物程度で
何故あの青い鎧の巨人が重要なのか聞いてみようかな
言葉を話せるみたいだし

とはいえ戦闘は避けれないから
ガトリングガンで攻撃
相手の遠距離攻撃は神気で
防御しつつ戦おう

近付いてきたら強化された力と
超硬金属の拳で殴ろうか

獣化の影響を受けないように
彫像化の恩寵を授け続けますの
本体から離れた烙印などには負けませんの

有用であることは間違いないんだ
簡単には傷つかないし
強力な攻撃を防いだ腕が曲がってもすぐ直るし
ただ、この硬い彫像の体に慣れてるのが
ちょっと怖い

大丈夫ですの
取り返しのつかない怪我をするより良いですの



 殺意と怨念の炎が『セラフィムビースト』が変貌した『滅びの獣』の肉体の内側から噴出する。
 天使核はすでに露出するほどに数多の猟兵たちの攻撃は苛烈を極めていた。
 どれだけ屍人帝国『オーデュボン』が国力に勝り、それを率いる指揮官的存在である『セラフィムビースト』が強大であったのだとしても、猟兵たちにとって、それは退くに値しない事柄であった。

「これ以上この島をあらされても困る……なら、みんなと協力して倒そうか。君もそう思うだろう!」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は青い鎧の巨人と少年に呼びかける。
 答えてくれたら儲けもの程度にしか思っていなかったが、けれど、あの『セラフィムV』が敵にとって重要なものであるのならば、それは裏を返せば猟兵たちと協力することも可能であるということを示していた。

 力を消耗していた『セラフィムV』の瞳に光がやどり、晶の言葉に応えるように立ち上がる。
「――はい!」
 答えたのは少年であった。
 青い鎧の巨人の胸の中に抱かれた少年。彼はこれまでも猟兵たちが戦う姿を見続けていた。
 彼等が自分と他の者のために戦っていることを知ればこそ、彼等にこそ報いねばならぬと感じただろう。
「ああ、一緒に戦おう!」
 晶はガトリングガンを構え、青い鎧の巨人と共に『セラフィムビースト』へと立ち向かう。

 放たれた弾丸が『セラフィムビースト』を穿ち、鮮血を迸らせる。けれど、勢いが全く削がれないのだ。
「消耗してるはずなのに、まだやれるのか!」
「猟兵! ヤハリ、貴様たちコソガ、主の怨敵ッ! ここで抹殺スル!」
 獣の烙印を浮かび上がらせながら、その呪詛を持って放たれる拳。
 それを受けてしまえば、獣化の呪詛でもって身を削られてしまう。ならばこそ、晶の瞳がユーベルコードに輝く。
 邪神の施し(リビング・スタチュー)。

 それは彫像化の魔法陣であり、それに触れた者の傷を直し、彫像化によって一時的に戦闘力を強化するものであった。
「こ、これは……『V(ヴィー)』の身体が、彫像に……!? でも、これならあの呪詛が効かない!」
「そういうこと。まあ、有用であることは間違いないんだけど……」
 簡単に傷は付かぬし、獣の烙印による影響も遮断できる。強力な攻撃を防いだ腕が曲がってもすぐ治るし、良いことだらけであるのだが。

「ただ、この硬い彫像の身体に慣れてるのがちょっと怖いんだよね」
 晶は息を吐き出す。
 これまで何度も行ってきたユーベルコードである。けれど、慣れというものは恐ろしいものである。
 最初は嫌悪感もあったかもしれない。けれど、慣れてしまえば、己の体に融合した邪神の意識と似通った、もしくはそれを使いこなそうと考えてしまう己がいることに気がつくのだ。

「大丈夫ですの。取り返しの付かない怪我をするより良いのですの」
 そんなふうに邪神の分霊は言うけれど、ことはそう単純ではないのだ。複雑な人間の心というものがある。
 けれど、そのおかげで獣の烙印による影響を受けなくてよいのは助かるものであった。
『セラフィムV』の徒手による一撃が『セラフィムビースト』の体を大きく傾がせる。
 そこに飛びかかるようにして躍り出る晶の彫像化した体。
 握りしめた拳は超硬金属の塊である。
「いつかは必ず元の体に戻るって決めてはいるけど――君のような存在がいる限り、それは遠のきそうだからさ」
 だから、倒させてもらうと振り抜いた拳の一撃が『セラフィムビースト』を吹き飛ばし、青い鎧の巨人と共に晶は拳を突き上げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

こっちも『セラフィム』?
同じような名前ですけど、なにか関係……。

なさそうですね。
こっちのはどう見ても天使っぽくないですし、綺麗な巨人さんとはすごい違いです。

いえ、師匠。師匠だって可愛いんですし、綺麗なババァがいたっていいじゃないですか。
同じ天使なら、見た目イカツイより、全然いいと思います。

こっちのは可愛くないんで悪ってことでいいですね。

飛ばれると物理でいけないですから……これです!
【ユーフォニアム】を取り出して【協奏曲第1番】で、敵にはダメージを、
そして味方は回復していきますよ!

……回復した分、ダメージ受けるからプラマイゼロってどういう意味ですか!?
あとで船上ライブしますよ!


フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ほほう、天使(セラフィム)のような美少女たる我の器を貰い受けるとな?
なかなか熱烈なプロポーズだな。
……だが断る!」(注:人違いです

我は旅人。何者にも縛られない美少女なのだ。
あと、獣が相手なのは嫌だしな。(本音

「天使と名乗っていながら、全然可愛くない獣め!
それじゃあ、まるで天使の我も可愛くないみたいではないか!」

ルクス、ババアとは誰のことだ!
我は永遠の美少女だぞ!

とにかく獣の肉は【極寒地獄】で冷凍保存して我の食卓に並べてくれるわ!
あれだけの肉があればステラの甲板でBBQし放題だ。

「こらルクス!
我を巻き込んで演奏するでない!
回復した分ダメージ受けては意味がないではないか!」


ステラ・タタリクス
【勇者パーティー】
(フィア様とルクス様の漫才を
後方メイド顔で控えている図)
いえ、内容は聞いてはいませんが
メイドの嗜みとしてこの位置に
……終わりましたか?

獣に襲われるフィア様も見てみたい気がしますが
真面目に獣化の烙印はご注意くださいませ

巨大化、ですか
ではこちらもカサ増しといきましょう
【ガレオンチェンジ】で飛空艇形態に
ウェントス・スクートゥムによる気流の盾で
敵の攻撃を受け流しつつ
艦載砲による砲撃&突撃です!
風の盾を叩きつける感じで行くとしましょう

回復は…何かダメージ受けてる気がしますが
ルクス様お願いします
あと私の甲板はパーティー会場ではないです
また使用料取りますよ?



 叩きつけられた超硬金属の拳の一撃が『セラフィムビースト』を吹き飛ばし、その肉体を大地に沈めさせる。
 けれど、未だむさんし消え失せることのない『セラフィムビースト』は咆哮と共に立ち上がるのだ。
「許さヌ! 我が主の目的ヲ邪魔立てするだけでなく、我をココマで追い詰めるトハ!」
 咆哮が轟き、その身が膨れ上がっていく。
 凄まじい質量を持つ『滅びの獣』は、小さき猟兵たちを見下ろす。
 睥睨する瞳に在るのは殺意と獣性。
 もはや、『セラフィムV』などどうでも良かった。主の障害となる猟兵の鏖殺。それだけが『セラフィムビースト』の目的と成り代わっていたのだ。

「『セラフィムV』の器は、その後デモ、よい――オマエ達は、カナラズホロボス! 殺し尽くしてくれ、ル!」
 巨大なる獣の烙印が煌めき、呪詛が降り注ぐ中、フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)は小首をかしげていた。
「ほほう、天使(セラフィムとルビが打ってあるよ)のような美少女たる我の器を貰い受けるとな? なかなか熱烈なプロポーズだな」
 感心感心とフィアは頷いていた。
 いやそんなこと言ったかなぁと思わないでもない。

「こっちも『セラフィム』? 同じような名前ですけど、なにか関係……ないのかなぁ」
 とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)は考えていたが、フィアの突拍子もない言動に、えぇ……という顔をする。
 勘違いができるのもある種の才能だなぁと思わないでもないが、熱烈プロポーズを受けたと思ったフィアは居丈高に言うのだ。
「……だが断る!」
 バァーン!
 ではない。振り下ろされた『滅びの獣』の腕の一撃が返答であった。
 そうじゃないとツッコミを入れられたとも取れるだろうか。まあ、どちらにしたってピンチであることは間違いない。

「天使と名乗っていながら、全然可愛くない獣め!」
 なんだプロポーズ断られたくらいで! と振り下ろされた腕から逃げながらフィアがブーブー言う。
 そんな彼女を慰めるようにルクスは言うのだ。
「いえ、師匠。師匠だって可愛いんですし、きれいなババアがいたっていいじゃないですか。同じ天使なら、見た目イカツイより、全然いいと思います」
 ね、とサムズアップしながら師匠共々逃げるルクス。
 そんなルクスにババアとは誰のことだ! と永遠の美少女はツッコミを返す。

 そんな師弟漫才を後方メイド顔で控えているステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は取り立ててなにか言うでもなく見ていた。
「おい、ステラ、何を後方彼氏面で意味ありげに見とるのだ! 援護せい!」
 ていうか助けてと言うフィアにステラはうなずく。
「いえ、内容は聞いていませんでした。メイドの嗜みとして、この位置におりましたので。ところで師弟漫才はもう終わりましたか?」
 いけしゃあしゃあである。
 なんかもうすっかり定位置である。ツッコミを入れるよりボケ殺した方が最適解であるとステラはすでに学んだのだろう。
 なんだこのメイド出来るな。

「獣に襲われるフィア様はずっと見ていたい樹もしますが、真面目に獣化の烙印はご注意くださいませ」
 後が面倒だからとはステラは言わなかった。
 面倒なことになるのは目に見えていたから。
「ですよねー。こっちのは可愛くないんで悪ってことでいいですよね。もう翼は全部へし折られているみたいですから……これです!」
 ルクスはユーフォニアムを手にし、協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)を奏でる。
 これはひどい。
 ひどい音色である。ステラは思わず耳をふさぎたかったが、すでに飛空艇の姿へと変身した後である。
 耳をふさぎたくても塞げない状態になっていた我が身を彼女は若干呪った。

 けれど、艦載砲によって『セラフィムビースト』が接近するのを防ぐのは忘れない。出来るメイドであるので。
「こらルクス! 我を巻き込んで演奏するでない! 回復しているはずなのにダメージ受けてる感じになっとるではないか!」
 これではダメージ受けては回復の意味がないとばかりにぎゃあぎゃあフィアが喚く。
 しかし、ルクスは大真面目である。

 むーむむむむ、むむむのむーって感じで一生懸命であるのだ。
 けれど、悲しいかな。どう頑張っても微妙にダメージ受けてる感が拭えないのだ。実際にはちゃんと回復が機能しているはずなのだが。
「ルクス様お願いします。私の甲板はパーティ会場ではないです。また使用料取りますよ?」
「あとで船上ライブ絶対しますからね! 泣いて謝っても遅いですからね!」
 ぎゃんぎゃん姦しいルクスとステラのやり取りを背後にフィアは若干顔に青筋が走っていた。

 マジでやばいことになっておる。
 いやだが、まだ逆転の一手はあるのだ。あのでかい獣。まあ『セラフィムビースト』と言ったか。
 あれをこう、極寒地獄(コキュートス)でもって冷凍保存して食卓に並べれば、ステラの甲板上でBBQぱーちーし放題ではないか。
「名案だな! ならば早速! 我が魔力により、この世界に顕現せよ、極寒の地獄よ!」
 放たれる氷壁。
 それは『セラフィムビースト』の巨躯を取り囲み、あらゆるものを氷使える迷宮へと変ずる。

 しかし、フィアは考えていなかったのだ。
 冷蔵庫……おっと、極寒地獄のユーベルコードで取り込んだはいいが、取り出す時は解凍しなければならないということを。
 そう、誰が?
「……あ」
 捌くのも誰が?
 ……背後でルクスとステラがぎゃんぎゃんやっている中、フィアは諸々の問題が解決できないことに気が付き、されど氷壁の中から聞こえる『セラフィムビースト』の怨嗟の咆哮に、告げるのだ。

「まだまだ元気だな。まあ、元気なのは良いことだ。我は旅人。何者にも縛られない美少女なのだ。あと、獣が相手なのも嫌だしな」
 だから、お引取り願おうと氷壁を解除し、ステラとルクスを促し何故か振られたことになっている『『セラフィムビースト』へと艦砲射撃を命ずるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
ふーん、大物じゃない
そうそう、こーいうのを待ってたんだって
とりあえずその立派な角、戦利品として予約しとくよ
さてと一狩りいきますか!


引き続き《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
『斬撃波』を放ち牽制をかけつつポイポイっとポケットから召喚石をその辺に投げ捨てとこう
さて仕込みは終了
【Code:D.L】起動
3体の雷龍を指揮してセラフィムビーストを包囲させて、結界の発動と『ブレス攻撃』!
三竜包囲陣…弱体化と攻撃を兼ね合わせた必殺の陣
どう?効くっしょ?
秘術の疑似再現だよ

龍たちに陣を維持させて、結界を維持させたまま私も突撃
両剣で『なぎ払い』、『部位破壊』を試みよう
宣言通り、その角頂くよ!



 氷壁より脱した『セラフィムビースト』が艦砲射撃を受けながら、傷ついた肉体を持って戦場を走り抜ける。
 目指す先に在るのは『セラフィムV』である。ここに来て彼は悟ったのだ。己の敗北を。
 どうあっても猟兵を滅ぼすことはできないのだと。
 ならばこそ、その求めた器たる『セラフィムV』を猟兵たちの手元に置かせるのは、主である屍人帝国『オーデュボン』の主にとって得策ではないのだ。
 破壊する。
「アレは、破壊スル! 例え猟兵ドモを皆殺しに出来ずトモ!」
 あれさえ破壊してしまえば、と獣の烙印が煌めき、呪詛をもたらす拳が『セラフィムV』へと迫る。

 しかし、そんな青い鎧の巨人の間にまるで、散歩の途中のように足を踏み出したのは月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。
「ふーん、大物じゃない。そうそう、こーいうのを待ってたんだって。まあ、もう大分死に体だけど」
 ここまで来たらもう後はヌルゲーじゃないかなぁと玲は二振りの模造神器を抜き払う。
 放たれた斬撃波は牽制であった。
 けれど、同時に放たれる召喚石は気取られることはなかった。自分でも雑だなぁとは思うが『セラフィムビースト』の瞳は己と『セラフィムV』しか見ていなかった。

 最後っ屁というには、あまりにも無謀なやり方であるが、それが獣の限界であろう。ならばこそ、玲は仕込みを簡単に終えたのだ。
「プログラム起動。雷龍召喚。再現術式…三竜包囲陣発動」
 彼女の二振りの模造神器が共鳴し、ユーベルコードの輝きを放つ。その刀身に刻まれたプログラムが起動し、予め投げ放たれていた召喚石から三体の雷龍が召喚される。
 それは『セラフィムビースト』を取り囲み、結界として作動するのだ。

「――ッ!? 召喚術! これを、キサマッ!」
 放たれた弱体化結界は強力なものであった。同時に放たれる雷龍のブレスが『セラフィムビースト』の体を焼く。
 数多の猟兵たちが刻み込んだ傷痕に、ブレスの一撃はひどく痛みを伴ってしみていくことだろう。
「どう? 効くっしょ? 秘術の疑似再現だよ」
 召喚石を媒介にしているとはいえ、それは言わば異界より雷龍を呼び寄せる凄まじき力。

 Code:D.L(コード・ドラゴンロック)と名付けられたユーベルコードは弱体化と共に決して破られぬ結界の中に敵を落とし込み、雷龍たちによるブレス攻撃に絶えず晒される。
「とりあえず、その立派な角、戦利品として予約しとくよ。どんな素材なのかは言わなくっていいよ。こっちで調べるから、さ!」
 玲が走る。
 手にした模造神器の刀身を『セラフィムV』の瞳は見ていた。
 青い刀身。

 その限定的、擬似的ながらも顕現せしめる神の力。
 異界よりも召喚せしめるプログラム。それを『セラフィムV』の瞳が見ていたのだ。それが何を意味するのかはわからない。
 けれど、玲はそんなことよりも目の前の未だ見ぬ素材に心を踊らせるのだ。
「浅間通り、その角頂くよ!」
 結界の中に勢いよく飛び込む玲。
 二振りの刀身が鋏のように煌めき、『セラフィムビースト』の角を両断する。
 一瞬の交錯にあっての二連撃。それは彼女の宣言を違えること無く、その剛角を切断し、返す刃と雷龍の放つブレスと共に『セラフィムビースト』を撃滅せしめる。

「他の猟兵たちが弱めておいてくれたおかげで、良い素材がてにはいりそうだよ。まあ、君がどんな存在だったのかはわからないけれど」
 喧嘩売った相手と、目をつけられたのが自分であったことが敗因であったね、と玲は大地に着地し、空を切って落ちてくる『セラフィムビースト』の角を見事にキャッチして模造神器を納める。

 くるりと背を向けた瞬間、玲の背後で『セラフィムビースト』が消滅していく。
 霧散し、消えて行く。
 それはこのブルーアルカディアにとって骸の海へと還ることを示し、また同時に
その心臓、その血肉、その爪牙を残して浮遊大陸に生きる人々の糧になる運命を辿る。
 再びここに猟兵達は屍人帝国『オーデュボン』の侵攻を無事に防ぎ切ったのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『幻獣牧場』

POW   :    騎乗体験をする

SPD   :    餌やり体験をする

WIZ   :    ふれあい体験をする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 屍人帝国『オーデュボン』の侵攻は、『セラフィムビースト』の打倒でもって相成った。
 猟兵たちの活躍により幻獣牧場は守られ、周辺における戦いの被害は最小限に抑えられたといっても過言ではないだろう。
 幻獣牧場の人々は感謝してくれているし、なんなら幻獣牧場で遊んでいってもらってもいいと言ってくれている。

 それもいいであろう。
 同時にもう一つの問題を猟兵達は抱えている。
 そう、青い鎧の巨人『セラフィムV』である。
 戦いを終えて、その胸から一人の少年が降り立つ。年の頃は10を超えたほどであろうか。
 人間の少年であるようだが、彼は『セラフィムV』の掌から降りて、猟兵たちに頭を下げた。

「ありがとうございます、助けてくれて。こんなにも多くの戦う人がいるなんて。屍人帝国『オーデュボン』を撃退してくれたこと、僕ではできなかったことだから」
 そう言って彼は精一杯の笑顔を浮かべていた。
 これまでの道程で三つの浮島が屍人帝国によって沈められた。
 ならばこそ、己の無力を今痛感しているのだろう。

「……――僕は『エイル』。改めてお礼を」
 青い鎧の巨人の胸に抱かれていた少年『エイル』はぎこちなくほほえみながら、猟兵たちに己の名を告げる。
 何故追われていたのか、『セラフィムV』とは何なのか。
 全てが詳らかにされるわけではないだろう。けれど、確かに少年『エイル』と『セラフィムV』は今ここに猟兵達の前にある。

 明かされる事実は多くないにせよ、今後の屍人帝国『オーデュボン』との戦いにおいて、知っておくべきことがあるのならば、機会を逃すことはないだろう。
 平和を取り戻した幻獣牧場で、始めての邂逅が行われようとしていた――。
セラフィナ・セレスティ
ようやくキミ達に逢えた
あ、ケガはない?……うん、無事でほんとに良かった
ボクはセラフィナ、セラフィナ・セレスティっていうんだ、よろしくね
んで、こっちの青色の宝石がボクの本体
今キミ達の目の前で喋ってるこの身は仮初の身体で、ボクはほんとは百年使われた器物なんだ
へへ、ビックリした?

さっきも言ったけど、キミ達の話を聞かせてほしいな
キミ達がたどってきた道程を
そして、これから何処に向かうのかを
たくさんお話して、キミ達のことを知りたい
ボクのこと、猟兵のことも知ってほしい

まあ、ゆーっくり聞くよ
これから長い付き合いになりそうだ



「ようやくキミ達に逢えた」
 そう最初に告げたのは、セラフィナ・セレスティ(celestial blue・f33925)であった。
 夜色の髪を風になびかせ、青色宝石の瞳を『セラフィムV』と少年『エイル』へと向ける。
 この大空の世界、ブルーアルカディアにおいて邂逅したお互いの存在。
 だからこそ、最初はやはり友好の意志を示すべきであったことだろう。人は他者を信じきれない。だから言葉を尽くすして互いを知り、交流をはかるのだ。
 例え、知っても知り尽くせぬものがあったとしても。
「ボクはセラフィナ、セラフィナ・セレスティっていうんだ、よろしくね。んで、こっちの青色の宝石がボクの本体」
 そう言ってセラフィナは自身がヤドリガミであることを告げる。

 目の前に在るのが仮初の体であり、人の形を保っている。それがヤドリガミの在り方であると示す。
「僕は『エイル』といいます……え、あ、その」
「へへ、ビックリした? ボクはほんとは百年使われた器物なんだ」
 そう言って互いのことを伝え合う。
 ケガはお互いないようであることを確認し、一息つく。彼女の言葉は『エイル』にとってにわかに信じがたいことであったのだろう。

 肉体的な年齢だけで見れば、確かに『エイル』少年よりも年上であることはわかっていたが、まさか百年を越える器物、そのヤドリガミであることは彼におっても驚愕の事実であったのだろう。
「さっきも言ったけど、キミたちの話を聞かせてほしいな。キミ達がたどってきた道程を」
 そして、これから何処に向かうのかを。
「それは……僕たちはこれまで三つの浮島を渡ってきました。けれど、その度に『オーデュボン』が襲ってきて……」
 雲海に沈んでしまったのだろう。

 この浮遊大陸にたどり着いた後は、猟兵たちが知る通りである。
 やはり追われている。何故、『セラフィムV』が狙われるのかは、『エイル』も全てを理解しているわけではないようだった。
「器、と呼ばれていました。僕は……たまたまだったんです。僕も記憶がなくて……気がついたら、『V(ヴィー)』の目の前で」
 そこから彼の物語が始まったのだろう。
 それまでの記憶はなく、彼の記憶は『セラフィムV』と共にある記憶が始まりであったのだ。

「まあ、ゆーっくり聞くよ。キミたちのことを知りたいからね。それにボクのこと、猟兵のことも知って欲しい」
 セラフィナは微笑んで言う。
 確かにこれまで彼等の道程は険しく、厳しいものばかりであったことだろう。
 だからこそ、セラフィナは笑って欲しいのだ。
 生きるからには笑顔で居て欲しい。それがヤドリガミである己と人間である『エイル』にとって共通することであった。
 誰かの笑顔を守るために戦えるからこそ、セラフィナは『エイル』と『セラフィムV』を助けたのだから。

「これから何処に行くんだい?」
「それは、わからないんです。『V(ヴィー)』は何も言ってくれなくて……でも、しばらくはこの浮遊大陸にはいることになるのかもしれません。皆さんが『オーデュボン』をやっつけてくれたから」
 図らずともこれが彼等にとってわずかながらの安息の時間になったのだ。
 それを成さしめたのが猟兵である。

「そっか。これから長い付き合いになるかもしれないね。安心して。助けて欲しい時は呼んでよ。いつだって駆けつけるからさ。だから」
 一人で抱えるのではなく、手を取り合って、とセラフィナは『エイル』に手を伸ばす。
 共にあれるからこそ乗り越えて行けることだってあるのだと言うように、二人は手をつなぎ、今はぎこちない笑顔でもって絆の一歩を踏み出すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
やっと落ち着いてお話が出来るわね。
あたしは村崎ゆかり、陰陽師。さっきあなたの方へ送ったのが式神のアヤメね。
「コミュ力」でお話伺いましょう。

――『エイル』か。それに全高五メートル程度の人型。クロムキャバリアから流れ着いた?

ねえ、『フィンフ』って名前知らない?
ごめん、変なこと聞いたわ。
あなたたちが屍人帝国『オーデュポン』に追われる経緯、話してくれる?
あなたたちがどこへ向かっていたかも。
理由によっては、私たち猟兵が保護して上げられると思う。

ここまで、皆があなたとこの巨人を守ろうと奮戦してたところは見てくれたでしょう。
お願い、あたしたちを信じて、託してくれないかしら。悪いようにはしないわよ。



 全てを一人で抱える必要はないと猟兵は言う。
 それはこれまで一人であった少年『エイル』にとって心強い言葉であったことは間違いないだろう。 
 少年らしい笑顔が取り戻せたこと。
 それは猟兵たちが二つの戦いで得たものであった。
「やっと落ち着いてお話が出来るわね」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は、これまで青い鎧の巨人『セラフィムV』を巡る戦いにあって、当の本人たちと接触する機会を得られなかった。

 だからこそ、全てのオブリビオンを打倒した今だからこそ腰を据えて話ができると思ってやってきたのだ。
「あたしは村崎ゆかり、陰陽師。さっきのあなたの方へ送ったのが式神のアヤメね」
 そんなふうに告げるゆかりの言葉に少年『エイル』は首を傾げた。

 陰陽師という言葉にも、式神という言葉にも聞き覚えがないのだろう。
 だから、彼はゆかりが猟兵であるという事以外は何もわからないようであった。
「ありがとう、助けてくれて。僕は『エイル』。おんみょうじ、しきがみ、はわからないけれど……」
 その名にゆかりは聞き覚えがあった。
 直接の関係があるのかどうかも定かではないが、他世界を知る猟兵である彼女にとって、ある一つの世界での出来事が思い至るのだ。

「――『エイル』か。それに全高五メートル程度の人型」
 見上げる青い鎧の巨人。
 その全高は奇しくもクロムキャバリア世界の戦術兵器と似通っている。だからこそ、憶測の域を得ないまでもゆかりはクロムキャバリア世界から流れ着いた存在ではないかと思ったのだ。
 しかし、それにしては『セラフィムV』の作りはキャバリアというよりはゴーレムに近いような気がする。
 とは言え、それもまた真実であるかどうかは確証が持てない。

「ねえ、『フュンフ』という名前しらない?」
「ふゅんふ。いえ、聞いたことはないです。それは一体?」
 誰かの名前であるのかと彼は思ったのだろう。不思議な響きですね、と言う少年『エイル』が惚けているのかと思ったが、どうやらそうではないようだ。
「ごめん、変なこと聞いたわ。あなたたちが屍人帝国『オーデュボン』に追われる経緯、話してくれる?」
 ゆかりは一つでも多くの情報が欲しかった。
 彼等がどうして追われるのか。そして何処に向かおうとしていたのか。
 理由によっては猟兵が保護できるかもしれないと思ったのだ。

「はい。あなたたちが僕らを助けてくれたのはわかっています。たくさん戦ってくれたのも。それに敵ではないと感じるのは『V(ヴィー)』も同じようだから」
 彼の言葉にゆかりはうなずく。

 少年『エイル』に記憶がないこと。
 気がついた時にはある浮島にいて、目の前には『セラフィムV』が座していたこと。
 そして、三つの浮島を渡り歩いて、そのどれもが『オーデュボン』の追撃に寄って雲海に沈んだこと。
「彼等は『V(ヴィー)』のことを器だと言っていた。でも、そんなんじゃない。きっと心があるんだ。だから、僕のことを護ってくれている。何処に向かうのかはわからないんだけれど」
 それが悪い事ではないように思えるのだという。

「ありがとう。あたしたちを信じて話してくれて。まだ何処かへ移動しようというわけではないのでしょう。なら、またあなた達の危機を予知することがあるかもしれない」
 だから、その時はきっとまた護りに来るとゆかりは告げる。

 一つの約束がここに生まれた。
 きっと助けに来ると。それは遠くない未来であろうことをゆかりは知る。今は『オーデュボン』の追撃を完全に断った状態だ。
 けれど、彼等の執着から見てもまた追いかけてくるだろう。その時はきっと人知れずなんてことはない。
 必ず駆けつける。
 ゆかりは託された信頼を裏切ることをしないと誓うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
邪魔者も片付いたし漸く落ち着いて話ができるってもんだ。
坊主、エイルって言ったか。この青い鎧の巨人、『セラフィムV』だったか?について教えてほしいんだが・・・ここまでの道中の疲労が溜まってるように見えんな。
「・・・先ずは少し休憩しましょうか。」
仕方ねえな、話の途中で倒れられてもアレだしな。

『湯呑セット』でエイルの坊主に茶を淹れてやるぜ。
UDCアース、俺達の世界の緑茶だからブルーアルカディアの住人である坊主の口に合うかは分からねえが。まあ、結構お高い茶葉だから大丈夫だろッ!
「・・・お茶請けに『おはぎ』もどうぞ。」
相棒のおはぎは、絶品だぜ。
先ずは一服して疲れを癒しな、坊主。


【アドリブ歓迎】



 戦いを終えた猟兵達には休息が必要である。
 けれど、それは同時に『セラフィムV』と胸に抱かれていた少年『エイル』にもまた必要なものである。
『邪魔者も片付いたし、漸く落ち着いて話ができるってもんだ』
 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は鬼面のヒーローマスクをカタカタ揺らしながら言葉を紡ぐ。
 その光景は少年『エイル』にとっては、初めて見る光景であったのだろう。
 驚愕に見開かれたなんとも新鮮である。
 しかし、すぐに違和感は消え去っていくだろう。それが猟兵の全てが一般人に与えるものであるからだ。

『坊主、『エイル』って言ったか。この青い鎧の巨人、セラフィムVだったか? 教えてほしいんだが……』
 そこまで凶津は告げてから気がつく。
 あれだけの道中であったというのに少年『エイル』には疲れたような素振りがないのだ。
 確かに激しい戦いではあったが、彼が『セラフィムV』を操作していたわけではなかったようである。であれば、あの青い鎧の巨人は自律し、己の意志で少年を護っていたことになる。
 あれこれ聞きたいと鬼面をカタカタさせていると相棒である少女、桜が手で口をふさぐのだ。

「……先ずは少し休憩しましょうか」
 柔らかく微笑む姿に少年『エイル』はうなずく。
 これまで猟兵達に助けられたことをしっかりと恩に感じているのだろう。彼等が敵ではないということを理解しているのだ。
『仕方ねえな、話の途中でいきなり倒れられてもアレだしな』
「そんなことない。大丈夫だよ、僕は」
 疲れてなんかないよ、という『エイル』を制して桜が持参した湯呑セットでお茶を淹れて手渡すのだ。

「……どうぞ」
「ありがとう……不思議な香り。これは飲み物?」
 UDCアース、凶津たちがやってきた世界の緑茶であるからブルーアルカディアの住人であろう『エイル』の口に合うかはわからない。
 けれど、その香りは彼にとって心地の良いものであったのだろう。
 これまで長い間張り詰めていた緊張の糸が切れたように桜と共に『セラフィムV』の掌の上に座り込み、深い息を吐き出すのだ。
『まあ、結構高い茶葉だからなッ! 香りは大丈夫みたいだなッ! 苦いって感じるかもしれないがッ!』
 凶津の言葉に温かい緑茶を啜る『エイル』。
 最初はおっかなびっくりしていたが、少しして瞳の色が変わるようであった。

「驚いた。苦味の奥に甘みがわずかにあるんだ……こんな飲み物があるだなんて」
 そんな『エイル』の様子に桜がごそごそと何やら飲み物ではないものを手渡す。
 それは黒い宝石のような、まあるいなにかであった。
 当然少年には初見である。
「……お茶請けに『おはぎ』もどうぞ」
 差し出したのは、おはぎであった。馴染みのないものにいちいちビックリしている姿に凶津がカラカラ笑うのだ。

『相棒のおはぎは絶品だぜッ』
「おはぎ……これ」
 しげしげとつまんで眺めていた『エイル』は口におはぎをいれる。甘い。甘い。口の中にいっぱいに広がる甘味は彼にとっては初めての経験だったのだろう。
 瞳がキラキラしている。
 それだけで桜と凶津は気に入ってくれたのだと理解できるほどの表情の変わりようだった。

 何かを言おうとしているのだろうが、言葉を紡ごうとすればおはぎを飲み込まなければならない。 
 それがもったいなく感じられて『エイル』はキラキラした目のまま訴えるのだ。
「……気に入ってくれたようですね」
 よかった、と桜が微笑む。
『先ずは一服して疲れを癒やしな、坊主』
 二人の優しさはこれまで逃亡してきた彼にとって染み渡る滋味そのものであったことだろう。

 きっとこれから彼が好物を答える時、『おはぎ』の名を出すことだろう。
 そして、これは後で知ったことであるが『セラフィムV』は恐らくゴーレムの一種であろうということを『エイル』から伝えられる。
 さらに驚くべきは、動きが徐々に変わってきているのだという。
 これまではぎこちない動きであったが、憶測であるが猟兵たちの動きを見て動きが洗練されてきているのだという。

 答えを得るために戦ってきたが、ここに来て再び新たな謎が浮かぶ。
 それは未だ明かされぬことであったが、凶津たちはそれを明かされる日を待つように、ゆるやかな憩いの時間を『エイル』と共に過ごすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて

わしは馬県義透という。こちらは相棒の陰海月。
…すまんが、陰海月が『セラフィムV』に興味津々でな。触っても大丈夫だろうか?

うむ、大きなクラゲじゃがの、陰海月はよき生者の相棒よ。
基本、わし…わしらは死者であるからの。
わしがブレて見えるのなら、お主の目はよい。ブレて見えなくても問題はない。
そういうものだ、わしらはの。

うん、しかし。陰海月は和むの…。この世界でも相変わらずじゃ。


陰海月、故郷(グリードオーシャン)の巨人を思わせる『セラフィムV』にわくわくしている。許可が出るまで待機してる。
出たら、ぺたぺた触る。ぷきゅー。
やっぱりゴーレムはかっこいい!



 戦いの後であるが、暫しの憩いの時間を得て少年『エイル』の顔は年相応な少年らしい表情が戻ってきていた。 
 年の頃は10に至ったかどうかという程の幼子と言っても良いほどである。
 少なくとも馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はそう感じていた。
「わしは馬県義透という。こちらは相棒の『陰海月』」
 そう言って彼は『侵す者』として少年『エイル』の前にやってきていた。その背後に『陰海月』がふよふよと浮いている。

 けれど、少年『エイル』は目をこするようにしながら、けれど言うのだ。
「戦ってくれた人、だよね。まずは、ありがとう。でも……」
 それを遮るように『侵す者』が苦笑いしながら、『陰海月』を指差す。
「……すまんが、『陰海月』が『セラフィムV』に興味津々でな。触っても大丈夫だるか?」
 その言葉に『陰海月』がふよふよと前に出てくるのを見て、少年『エイル』は微笑んだ。
「構わないよ。『V(ヴィー)』もそう言っているから」

 お許しを得た『陰海月』が、ぷきゅぷきゅ言いながらワクワクした様子で浮かび上がっていく。
 青い鎧の巨人は特に動くことはなかったが、その瞳に優しさが宿っているようにも感じられたことだろう。
 決して、それが悪しき者ではないことを伝えるように『陰海月』の触手がペタペタと装甲に触れるのも拒否するような素振りはない。
 やっぱりゴーレムはかっこいい! というように『陰海月』が心做しか楽しげにスキップを空中で踏むように浮かんでいるのを見やり、『侵す者』は『エイル』に向き直るのだ。

「あなたが僕にはブレてみえる。あなたは一体何者?」
 なるほど、『侵す者』はうなずく。
 彼の妙な間は、そういうことであったのかと。けれど、別段隠し立てることもない。ゆえに告げるのだ。己が悪霊であることを。すでに死した存在であり、一つの魂ではなく4つの魂でもって成り立つ存在であることを。

「……そんな、ことが」
「わしがブレて見えるのなら、お主の目は良い。本質を見抜く目を持っている。何も問題はあるまいよ。そういうもんだ、わしらはの」
『侵す者』は感じる。
 目の前の少年が『己と同じである』と。凄まじい素質を秘めている。
 本質を見抜く瞳。
 そして、それを間違えることのない意志。何よりも感じるのだ。己が武に生きた『武の天才』であるからこそ、その片鱗を彼にどうしても感じてしまう。

 だが、これは云うまいと彼は心に決めただろう。
 それを本人が望むのであれば告げて鍛えることもできよう。けれど、それを本人が望まぬのであれば、そのまま埋もれたまま生きるのまた道の一つ。
「うん、しかし。『陰海月』は和むの……」
 どの世界であっても『陰海月』が空を舞う姿は、心に平穏をもたらしてくれる。
 それは『エイル』もまた同じであったようだった。
「アハハ、はしゃいでる。可愛いんだね『陰海月』って」
 そんなふうにはしゃぐ『陰海月』を共に見上げた『侵す者』は願わずにはいられなかったかもしれない。

 この『武』の才、これほどの才能を秘めた者が埋もれたまま一生涯を終えることを。
 けれど、それは訪れることのない未来であったのかもしれないけれど。
 今だけは空に浮かぶ『陰海月』を見て心を和ませる少年の心が健やかであれと、今を生きる者の、その前途を願わずには居られないだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アドナ・セファルワイド
フム、少年よ。これも何かの縁
我がセファルワイド帝国……浮遊大陸が沈み、各地の重要度の高い施設などを巨大飛空艇に改造し、それらの連合体を指して自治州となったが、元々帝国を擁立してから今まで数世紀に渡って余達は屍人帝国とは戦っていた
この、セファルワイド帝国初代にして唯一、そして最後の皇帝たるこの妾——アドナ・メレク・ベル・セファルワイドがな。

そして、猟兵なる存在になった今も無辜なる者に救いの手を差し伸べるのが余の信条
そういう事だ。少年、貴様の力となってやろう

そう言って余が話を切り上げた後、テーブルチェアを騎士が持ってきて少年の前に料理を振舞う
空腹であろう、気にせずに相伴にあがると良い



 少年『エイル』は青い鎧の巨人『セラフィムV』と共に三つの浮島を渡ってきたという。
 この浮遊大陸に到着したのは猟兵たちが以前の戦いに馳せ参じたのと同じタイミングであったようだった。 
 先の戦いにも参じていたアドナ・セファルワイド(セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942)にとって齢十にも達するかどうかという少年『エイル』のことはどうにも気がかりなことであったのだろう。
 屍人帝国『オーデュボン』に追われ、逃亡していたのならば、疲弊していることもあるであろうし、何より食べざかりの若人が腹を空かせているという事態が彼女にとっては許容し難いことであったのかもしれない。

「フム、少年よ。これもなにかの縁。我がセファルワイド帝国……浮遊大陸が沈み、各地の重要度の高い施設などを巨大飛空艇に改造し、それらの複合体を指して自治州となったが……」
 そう説明するアドナを前に少年『エイル』はうなずく。
 恐らく言葉の意味をそこまでは理解できていなかったのだろうけれど、それでも彼は頷く。
 直感的に言わんとしていることを理解しているのだ。
 国とは何かを。

「余達は屍人帝国と戦っていた。この、セファルワイド帝国初代にして唯一、そして最後の皇帝たる妾――アドナ・メレク・ベル・セファルワイドがな」
「助けてくれてありがとう。でも屍人帝国と戦うだけなら、僕たちを助ける理由はないんじゃ」
 彼は疑っていたわけではない。
 国として、そして皇帝として行動するのであれば、自分たちのことは些事ではないのかとそう言いたいのだ。
 言葉は足りない。

 けれど、アドナは理解していただろう。
 目の前の少年の才能。何かを統べ、人の上にたつ資質を彼もまた持っていることを。
 だからこそ、アドナは伝えるのだ。猟兵に為る前も、なった後も変わらぬ己の信念を。
「無辜なる者に救いの手を指しのべるのが余の信条。そういう事だ。少年、貴様の力となってやろう」
 誰をも救う。 
 それが上に立つものの責務であるというのならば、それは彼にとっても理解できるものであったことだろう。

 今は直感的であったとしても、少年『エイル』にはその資質がある。得ようと思って得ることのできないものであるがゆえにアドナは見込みがあると思ったのだろう。
 話を切り上げるついでに、少年とアドナの元にテーブルチェアを騎士たちが運んでくる。
 目の前には帝国の料理が並ぶのだ。
「これは……?」
 戸惑う少年『エイル』の言葉にアドナは笑うのだ。
 今まさに無辜なる者に手を差し伸べると。それが答えだというように彼女は言う。
「空腹であろう、気にせずに相伴に預かると良い」
 闊達に笑うアドナと共に『エイル』は食事を共にする。テーブルマナーもままならぬようであったが、ゆっくりと所作を教えていく。

 砂漠に水が染み込んでいくようにまたたく間に所作を吸収していく『エイル』の姿に満足気にほほえみながらアドナは、食事を楽しむのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イングリット・ジルニトラ
判定:WIZ
ふむ。どうやら無事のようだ。善哉善哉。
しかし、屍人帝国はなぜ彼らを襲ったのか。
それがわからねば三度目も四度目もあるだろう。
まあ、そのたびに私たちが返り討ちにしてやるがな。


しかし、幻獣牧場か。
かつては私の艦内には数匹の幻獣とその騎兵を運搬したり、配備されたりとしたことはあるが、こうやって触れ合うというのは初めての経験だ。
あ、うん。無理しなくていいぞ(身に宿った怨念と怨霊にビビってるらしく幻獣から避けられてる)

仕方がない、牧場周辺の戦闘跡の片づけを手伝おう。
と見せかけて、もう一度幻獣に触れ合いを…逃げられたorz



 イングリット・ジルニトラ(ガレオノイドの翔剣士・f33961)は、青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』が無事であったことを確認して胸をなでおろした。
 激しい戦いの後であったが、周囲への被害は最小限に抑えられている。
「ふむ。どうやら無事のようだ。善哉善哉」
 己が幽霊船の如き存在であるからだろうか。
 戦いの後に誰も彼もが生存しているというのは、言葉で感じるよりもずっと尊いものように彼女は感じていたことだろう。

 だからこそ、彼等を再び追ってくるであろう屍人帝国『オーデュボン』が何故、彼等を襲ったのかを考える。
 それがわからなければ、それは三度目も四度目もあるだろう。
 遠くない未来に実現するであろう事柄であったが、イングリットは何も心配などしていなかった。
「まあ、その度に私たちが返り討ちにしてやるがな」
 そう、もう二度と己は墜とされるわけにはいかないのだ。
 あの屈辱を灌がぬ限り、彼女は真にブルーアルカディアの空に戻ってきたとは言えないのだから。

「しかし、幻獣牧場か」
 彼女は懐かしむように牧場の中を歩く。
 思えば巨大な飛空艇であった自身の艦内には、数匹の幻獣とその騎兵を運搬したり、配備されていたりしたことがあったのだ。
 だからこそ、幻獣たちの姿を見れば、その思いでが蘇るのだ。
 けれど、それらは喪われてしまった過去だ。

 飛空艇からガレオノイドへと変わった自分ではあるが、生前はそんな機会などついぞなかった。だからこそ、このような機会は貴重であった。
 初めての経験なのだ。
「――……」
 しかし、イングリットは悪霊である。
 その身を突き動かすのは怨念である。怨霊の如き姿はガレオノイドの姿をしていたとしても、幻獣たちが本能的に恐れてしまうのだろう。 
 ふれあいコーナーであっても彼女に近づいてくる幻獣はいなかったのだ。
 それはそれでショックである。

 けれど、無理をしなくていいとイングリットは告げる。
 確かに己の身は怨念でもって動く悪霊だ。けれど、だからこそ守れたものがあるのだ。この幻獣牧場だってそうだ。
 彼女がいなければ、もっと壊滅的な被害を受けていたかもしれないのだ。
「仕方がない、牧場周辺の戦闘跡の片付けを手伝おう」
 自分にできることを一つ一つこなしていこう。気を取り直してイングリットは腕をまくる。

 少しでも戦場後を処理しておけば、幻獣たちも過ごしやすいかもしれない。けれど、どうにも後ろ髪引かれるのだ。
 諦めきれないと言ったほうが早い。
 けれど、そんなイングリットの目論見を見透かしたように幻獣たちは、一斉にイングリットから離れていく。
「……逃げられた」
 がっくりとしたイングリットがうなだれ、大地に手をつく。

 ここまでがっくり来るのもまた珍しいことだろう。
 けれど、そんな彼女の頭の上にぽんこと飛び乗る一匹の幻獣があったことだろう。それは彼女の背に乗っているせいで姿は見えない。
 イングリットの望むふれあいではなかったのかも知れない。けれど、確かに彼女に近寄る幻獣がいたことに彼女は、その背の重みを愛おしく思うかもしれない。

 新たな出会いが、新たな絆を生むように。
 イングリットは飛空艇で在った頃には得られなかった何かを今手にしたのかもしれなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
ふぅ、ひとまずは撃退っと!

えっと、君がヴィーのパイロット?エイルっていうの?
ぼくは鈴鹿、猟兵の一人だよ。

戦いながら見てたけど、すごいね、マインドゴーレムって初めて見たからさ!

ところで、エイルはヴィーのことどれくらい知ってるの?馴れ初めとか気になるけど、教えてくれる?この世界を紐解く上で、とっても重要そうな感じがするんだよね!
もしかして、遺跡から発掘された古代兵器とか!冒険譚にしたくなるような話なら尚のこと!



 浮遊大陸における屍人帝国『オーデュボン』の軍勢との戦いは苛烈を極めた。
 彼等が追っていた青い鎧の巨人『セラフィムV』は無事であり、その胸に抱いた少年『エイル』もまた無事であったことを猟兵達は喜ぶ。
 国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)もまた、その一人であったことだろう。
「ふぅ、ひとまずは撃退っと!」
 息を吐き出し、戦いの疲れを癒す暇もなく彼女は少年『エイル』へと詰め寄る。

 その勢いは凄まじいものであった。
 興味に瞳が爛々と輝くようでもあったのだ。
「えっと、君が『V(ヴィー)』のパイロット?『エイル』っていうの? ぼくは鈴鹿、猟兵の一人だよ」
 そう告げる彼女の興味は、『セラフィムV』に完全に向けられていた。
「ぱいろっと……『V(ヴィー)』は一人で動いて、僕を助けてくれているんだ。僕が指示を出しているっていうわけではないんだ」
 その言葉に鈴鹿は益々目を輝かせるだろう。
 自律するということは、戦った『マインドゴーレム』と同じ類なのだろうか。

 指示を受け、それを完遂するために動く存在。
 ならば、『セラフィムV』はゴーレムの一種なのだろうか。
「戦いながら見てたけど、すごいね。初めて見たからさ!」
 そんなものなのだろうと思っていたからか、鈴鹿は予想外の言葉に驚くのだ。
 こんなすごいものがまだ世界はあるのだと思えば、彼女の心が浮足立つのだ。もっと知りたい。その好奇心こそが彼女を天才たらしめる所以であったのかもしれない。
「ところで、『エイル』は『V(ヴィー)』のことどれくらい知ってるの?」

 その言葉に『エイル』は告げる。
 自分が記憶を持たぬこと。気がついたら『セラフィムV』の前に立っていたこと。そして、『セラフィムV』と共に三つの浮島を渡ってきたこと。
 その尽くが『オーデュボン』によって雲海に沈められたこと。
 何故、自分たちを追うのかを『エイル』自身は理解していなかった。
「わからないことばかりだけれど、あいつらは『V』のことを器だって言っていたんだ。何故なのかわからなかったけれど……」
「でも、少しはわかった?」
 鈴鹿は『エイル』の言葉からブルーアルカディアを紐解く上で重要なことを見出そうとしていた。

 そう、はじめて『エイル』と『セラフィムV』が出会ったという場所。
 そこが遺跡であったというのならば、それは発掘された古代兵器であるのかもしれない。冒険譚にしたくなるような話なのではないかと思ったのだ。
「『V』はきっとみんなの動きを見ていたんだと思う。前よりずっと動きが早く成っている気がする……前はもっとギクシャクしていた気がするんだ。でも、今回の戦いでは、それが」
 変わった。
 明らかに猟兵の戦い方やユーベルコード、そのたぐいのものを吸収している節があったのだ。

 それを聞いて鈴鹿は『器』と呼ばれる意味をわずかに理解する。
 如何なる条件、如何なる技術でもって、それが成されているのかわからない。けれど、確かに今の『セラフィムV』には『器』としての機能が働いているということだ。
 屍人帝国が『セラフィムV』を狙っているとういうのならば、十分に考えられる理由だ。
「ふむ。ならさ、きっとまた来るよ。約束!」
 そう言って鈴鹿は小指を差し出す。少年『エイル』にとっては馴染みのない仕草であったかもしれない。

 こうするんだよ、と鈴鹿は『エイル』と約束を果たすための所作を持って微笑む。
 きっとまた助けに来ると、その約束で持って縁を紡ぐ。
 いつだって猟兵の戦いはつなぎ、紡いでいくものである。だからこそ、繋がった縁を大切にしたいと彼女は思い、未だ解明されぬ世界をキラキラした瞳で見つめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルビィ・フォルティス
翔剣士のルビィ・フォルティスですの。どうぞよしなにお願いいたしますわ。
貴族らしく優雅に一礼しようとしたが幻獣牧場の雲羊をだっこしているため
ほどほどに優雅に一礼
※雲羊は雲のように毛がふわふわした羊の幻獣、雲のように空をふわふわ漂うこともできるらしい

それで、単刀直入に聞きますけれど、どうして追われていたんですの?
何か心当たりがありまして?

聞いていると、あなたもただ巻き込まれただけ、とは思えませんわね。
何か理由があって記憶をなくして、理由があって青い鎧の……ヴィー様のところで目が覚めたのだと思いますわ。

今までずっと追われていたのでしょう?
少なくとも今は安全でしてよ。ゆっくり体を休めなさいませ。



 幻獣牧場には様々な幻獣が飼育されている。
 ワイバーンやグリフォン、ペガサスといった空の世界にあって足の代わりになる幻獣が主にであったが、時には羊毛を得るための雲羊なる存在もまた飼育されているのだ。
 触れ合うことができる幻獣として人気を集めている雲羊の存在は、ルビィ・フォルティス(空の国の家出娘・f33967)にとってもご多分に漏れずであった。
 彼女はひどく真面目な顔をして、青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』の前に立ち、恭しく一礼をしてみせる。
 それは貴族らしい優雅な一礼をしようとしてのことであったのだろう。

 けれど、彼女は雲羊を胸に抱えたままであった。
「翔剣士ルビィ・フォルティスですの。どうぞよしなにお願い致しますわ」
 そう言ってくれているが、どうにも締まらない。
 雲のようにふわふわした毛に包まれた羊の幻獣、雲羊。時に空をふわふわと漂うことでも知られている可愛らしい幻獣である。
 その雲羊をしっかりと抱えたままルビィは緩みそうに為る頬を貴族としての矜持のままに引き締め、少年『エイル』に告げるのだ。
「それで、単刀直入に聞きますけれど、どうして追われていたんですの? なにか心当たりがありまして?」

 あ、そのまま続けるんだと少年『エイル』は思った。
 けれど、突っ込むことはしなかった。空気を読むことが出来る十代なのである。
「僕を、というよりは『V(ヴィー)』を追っているみたいなんだ。『器』と彼等は呼んでいたけれど……」
 彼は記憶を失っている。
 記憶の始まりは、ある浮島にて『セラフィムV』の目の前に立っていたところから始まっているのだという。

 それ以前のことは思い出せず、何故か『セラフィムV』の胸の中に抱かれ、浮島を三つ渡り歩き、その全てが屍人帝国『オーデュボン』によって雲海に沈められてきたのだ。
「きっと『V(ヴィー)』は近くにあるみんなみたいな強い人達の何かを吸収して育っていく、みたいなことができるんだと思う」
 それは以前見かけた時よりも、格段に動きがよくなっていたことと関係しているのかも知れない。
 明らかに『セラフィムV』の動きはこちらの援護が必要とするものではなかった。

 自律している、という言葉通りであるならば成長する兵器なのかもしれなかった。
「聞いていると、あなたもただ巻き込まれただけ、とは思えませんわね。何か理由があって記憶をなくして、理由があって青い鎧の……ヴィー様の所で目覚めたのだと思いますわ」
 青い鎧の巨人『セラフィムV』がもしも、成長する兵器であるというのならば、その胸に抱かれる少年『エイル』もまた同様なのではないかとルビィは感じていた。

 相対するとわかる。
 身のこなし、所作。それはほんの一時、他の猟兵たちと過ごす間に身についたものであるようにルビィは思えたのだ。
 どちらにせよ、得難い才能であることは言うまでもない。もしも、とも思う。
 もしも、己の剣技を彼が得たのだとすれば、共に剣技の果てまでたどり着くことができるのではないかと。

 けれど、それを確かめるには彼等の疲弊も心配事の一つでもあった。
「今までずっと追われていたのでしょう? 少なくとも今は安全でしてよ。ゆっくり体を休めなさいませ」
 そう言ってルビィはまた雲羊を抱えたままのほどほどに優雅な一礼を持って、その場を辞す。
 未だ謎は残っている。
 けれど、彼等が浮遊大陸を進むのであれば、屍人帝国『オーデュボン』は彼等を追い、再び戦火を広げようとするだろう。

 その時再び予知されるのであれば、謎は明かされていくかもしれない。
 ならばこそルビィは急ぐ必要はないと雲羊を今は堪能するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
『エイル』さんと『セラフィムV』……。
なんとなく聞いたことがあるようなないような?
ま、なんにしても、『オーデュボン』を撃退して牧場を守れて良かった!

それにしても……浮島を3つ?
もちろんなにか事情とか理由とかあるんだと思うけど、
話してもらえることだけでもいいから、教えてもらえないかな?
これからも『オーデュボン』とか、また襲って来そうだしね。

あ、それと……『エイル』さんと『セラフィムV』の許可がもらえるなら、
駆動系とかコクピットの中とかを見せてもらってもいいかな?
メカニックとしての興味もあるんだけど、なにか狙われる理由が隠されてるかもしれないからね。

できれば、でいいから見せてもらえると嬉しいなー。



 青い鎧の巨人『セラフィムV』と呼ばれる存在。
 少年『エイル』という名前。
 その二つに菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は僅かであるが、引っ掛かりのようなものを感じていた。
 なんとなく聞いたことがあるようなないような。
 そんな微妙な語感に彼女は違和感を感じていたのだが、なんいせよ屍人帝国『オーデュボン』を撃退し、幻獣牧場を守れたことを良しとするのであった。

 話を聞く機会があったことのほうを喜ぶべきであったからだ。
「それにしても……浮島を三つも」
 それが彼が辿っていた道程である。
 一つは『セラフィムV』が起動し、少年『エイル』が記憶を失ったまま青い鎧の巨人の前に立っていた場所である。
 そこから二つの島を渡ってきたようであるが、屍人帝国『オーデュボン』によって、いずれも雲海へと沈められてしまった。

 何かしらの事情や理由があるとは思っていたが、思っていた以上に『オーデュボン』は本気で彼等を追いたてているようでもあった。
「僕らは、飛空艇を乗り継いだりしながら、この浮遊大陸までやってきたんだ」
 そして、猟兵たちと邂逅した。
 あれほどの大攻勢を常に『オーデュボン』は繰り出してくるのだという。
 確かに、あれほどの大軍勢であれば猟兵なき浮島であれば、滅ぼされても仕方のないものであった。

 だからこそ、理緒は告げるのだ。
「これからも『オーデュボン』とか、襲ってくるだるね。だから、少しでも知りたいの」
 理緒は、だからと『エイル』に『セラフィムV』を調べせてほしいと願い出たのだ。
「それは……構わないと思うよ。『V(ヴィー)』は今疲れてしまっているようだから、休んでいる状態みたい」
 無理に動かすことがなければ構わないという許可を得て理緒は『セラフィムV』を調べていく。

 駆動系はもちろんのこと、少年『エイル』が抱かれていたであろう胸のコクピット周りなどを重点的に調べたいと思っていたのだ。
 メカニックとしての興味といわれたらそれまでである。
 けれど、『オーデュボン』に狙われているのであれば、それなりの理由が隠されているのかも知れない。 
 それを知ることができたのであれば、なにか対策を立てることもできるかもしれないからだ。
「ふむふむ……」
 電脳潜行(デンノウセンコウ)によって理緒は各所をチェックしていく。

 関節がなめらかに動くのは内部のフレームが人間の筋繊維のように構成されているからであろう。
 そして、それは経験を得るごとに強化されていく。まさに人が成長するのと同じように、だ。
 これを設計した、と呼ぶにはあまりも人間に近い構造。
 そして何よりも動力源となっている天使核である。一つで動いているわけではないようだった。

 全身、と呼ぶに相応しい量の天使核が大小様々に『セラフィムV』の中に配されているのだ。これがあの長時間戦っても疲弊することのない理由なのだろう。
「でも、これって」
 理緒はわずかに見覚えがあった。
 かつて見たデータ。
『熾盛』と呼ばれるキャバリアの最初期の型。
 A(エンジェル)型と呼ばれるデータと類似している部分があるのだ。もちろん、細部は違う。
 動力を天使核にしているところも違えば、機体の構造も微妙に異なる。

 けれど、偶然と呼ぶにはあまりにも似通っている。
「どういうこと……?」
 確かに目の前の『セラフィムV』はキャバリアではない。どちらかと言えばゴーレムに近い。
 なのに、共通する点がある。
 理緒はまた一つ謎をまろび出させただけであったのかもしれない。けれど、それはきっとどこかで繋がる点のようなものであったはずだ。
 いつかそれが線を描く日を待ちわびるように彼女はひとまず調査を終えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「なかなか楽しかったねぇ、あの敵さんは。」
ちっとはしゃぎ過ぎた気もするけど…。
まあ、良いか。とりま、煙草でも吸おう。

少年に聞きたい事ねぇ…。あ、一個あった。
君らを襲って来た連中の中に美味しそうな敵さんは居た?
鳥は美味しかったし、あの羽の生えた騎士も…あれは普通だったかな?
もちろん、さっきのデカいのはいい感じに美味しかった。

「こんな話題で話してると、だんだん喉が渇いてくるねぇ。」
…ああ、安心して。僕は敵しか殺さないし吸わないから。



 屍人帝国『オーデュボン』の『セラフィムビースト』は言うまでもなく強敵であった。
 掛け値なしの能力。
 数多の猟兵の攻撃を受けてもなお立ち上がってくる耐久力。あれで屍人帝国の幹部ではないという。ならばこそ、屍人帝国『オーデュボン』に控えるオブリビオンの数とその脅威は未だ払拭できていないと考えていいだろう。
 それを思えば、先程の戦いは試金石であった。
 須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)にとって戦いとはそういうものであったことだろう。

 己の吸血衝動を開放し、発露する。
 そうすることで結果、オブリビオンが打倒できるのだから一石二鳥である。
「なかなか楽しかったねぇ、あの敵さんは」
 ちょっとはしゃぎ過ぎた感がないわけでもないが、それでも莉亜は満足げに頷く。
 敵を打倒したことによる充足。
 食後の一服とでもいうのだろうか、彼は煙草を手にして火を灯す。
 紫煙が周囲に広がっていく。
 元は吸血衝動を抑えるために吸い始めたものであるが、莉亜にとってこれはもうルーチンワークのようなものになっていたのだろう。

 咥え煙草のまま青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』の元に近づいていく。
 聞きたいことと言ってもそうあるものではないのだが、ただ一つだけあったのだ。
「ねえ、一つ聞きたいんだけれど」
 そんなふうに声をかける莉亜に『エイル』は振り返る。
 その瞳になにかこそばゆいものを感じながら、莉亜は尋ねる。

「君等を襲ってきた連中の中に美味しそうな敵さんは居た?」
 その問いかけは莉亜以外の者が理解するのは難しいことであったことだろう。
 彼の感覚は独特なものだ。
 同じダンピールであっても理解を完全に共有することはできなかったかもしれない。けれど、少年『エイル』はその瞳で見てきていた。
 理解している、とまでは言えないかも知れないが、直感的なもので莉亜が求めるところのものを理解していたのだ。

「美味しそうな……」
「うん、そう。鳥は美味しかったし、あの羽の生えた騎士も……あれは普通だったかな? もちろん、さっきのデカいのはいい感じに美味しかった」
 独特な感想。
 敵と戦っていても、その感性は常人には理解しかねるものであった。
 けれど、少年『エイル』はしばらく考えた後で、首を振る。

「僕らを追っていた敵、オブリビオンは……あなたが言ったようなものばかりだった。だから、期待できるかわからないけど」
 それでも、これは屍人帝国『オーデュボン』の本格的な攻勢ではないとわかるのだ。
 だから、莉亜が求めるのならば、きっと今日よりも強い敵が現れることだけは確かであった。

「ふむ、こんな話題で話してると、だんだん喉が乾いてくるねぇ」
「あ、なら……」
 と少年『エイル』が湯呑を手渡そうとして取りやめるのを莉亜は見た。そういうことではないのだと彼は理解している。
 その理解を莉杏は理解したのだ。
 己が乾いた喉が求めるものがなんであるか。だから、莉亜はわざと冗談らしく笑っていうのだ。

「……ああ、安心して。僕は敵しか殺さないし、吸わないから」
 だから、そんな気遣いをしなくて良いのだと。
 少年『エイル』の直感は優れたものである。だからこそ、莉亜は取り繕うことをしない。
 それはある意味で得難いことであったのかもしれない。
 紫煙がけむり、ゆっくりと、けれど確実に守られた平穏は小休止のように流れていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スリジエ・シエルリュンヌ
桜のガンシップを停泊させてから降りて、風景を満喫しまして。

ご無事でよかったです!
…え?あの突撃をしていた人には見えないって?
あは、あはははは…私の性分なんです。バリツ探偵たるもの、度胸は必要ですしね!
それに…実は遠距離攻撃が不得意でして…。範囲攻撃できても、ほぼ自分中心円ですから…あはは。
足で稼ぐ探偵ですから、安楽椅子探偵には遠いんです、私。

でも、ご無事だったのは本当に嬉しいです。
申し遅れました、私はスリジエ・シエルリュンヌ。文豪探偵です!


亡き養父も近接と自分中心円の範囲攻撃持ちだった。ここに義父子らしさが出ている。



 浄魔桜吹雪(エスパス・デュ・トゥルフビヨン・ドゥ・スリズィエ)が吹き荒れるのは戦場の痕であった。
 癒やしの祈りは浄化と破魔の桜吹雪となって桜色のガンシップの周辺にある戦場の全てを浄化していくのだ。
 大空の世界、ブルーアルカディア。
 その世界にあって、世界を染めるのは青空と雲海の白であった。そこにスリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)がもたらした桜吹雪は、戦いの痕に残った呪詛や傷痕を癒やしていくようでも在ったのだ。

 どうせガンシップの上から眺めるのであれば、景色を満喫したいとスリジエは思ったのだ。
 眼下に見えるは幻獣牧場と青い鎧の巨人。
 ああ、とスリジエは喜色に染まった顔でガンシップを地上に降ろし、自身もまた大地に降り立つ。
 掛け足早に青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』に駆け寄るスリジエに少年が気がついたようだった。
「ご無事で良かったです!」
 本当に良かった、とスリジエが告げる姿に少年は少し面食らったようだった。

 何せガンシップであれだけ突撃を繰り返していたのだ。
 顔は見えなくても、きっともっと……言い方は悪いが大雑把な、それこそ度胸に溢れた人物のように思えたのだ。
 それは本質的な問題であって、外面の問題ではない。
 スリジエの見た目が可憐なる探偵であったとしても、その本質はバリツ探偵である。
「あは、あははは……」
「性分、なんだね。度胸が必要なんだ」
 そういう少年の理解度の高さにスリジエは頷く。見透かされているような、洞察力の高さが彼の持つ才能の一つなのだろう。

 取り繕うのが意味を成さないように思えてスリジエは白状するのだ。
「実は遠距離攻撃が不得意でして……範囲攻撃できても、ほぼ自分中心円ですから……あはは」
 それでも助けに来てくれたことを嬉しく思うのだろう。少年はそれでもいいのだと笑顔を浮かべてくれている。

 年相応な少年の笑顔はスリジエにとっては、己の探偵としての戦いの成果であるように思えて誇らしいものであったことだろう。
「足で稼ぐ探偵ですから、安楽椅子探偵には遠いんです、私」
「でも、そのおかげでこうして僕も『V(ヴィー)』もみんなと出会えた。嬉しいよ、感謝したいって思うもの」
 そういう彼の笑顔はきっとスリジエが護ったものだ。

「でも、ご無事だったのは本当に嬉しいです。申し遅れました、私はスリジエ・シエルリュンヌ。文豪探偵です!」
 手を差し伸べるスリジエ。
 彼女の亡き養父もまた自分と同じだった。
 血がつながらなくとも絆は生まれる。血のつながりだけが家族たらしめるものではないと知るからこそ、スリジエは手を差し伸べるのだ。

 いつだって駆けつけると。
 遠い場所にて座して事件を解決するものではなく、助けを求める者に駆けつけて、足で稼ぐ探偵であると自負するように。
 いつだって彼の元に駆けつけるとスリジエは微笑む。
 その微笑みに少年『エイル』もまた救われたように手を伸ばし、その手をにぎるのだ。
 きっとまたここにも一つ、新たな縁が生まれる。
 足で稼ぐからこそ、縁は大切なもの。スリジエは満足げにほほえみ、掌に伝わる暖かさを知るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

髪塚・鍬丸
少年に声をかけ労を労う。お疲れさん、無事で何よりだ。
巨人の目的について改めて心当たりを聞いてみるが、まぁ分からなくても構わない。任務である以上守り抜くさ。


その後幻獣に騎乗。
生態や騎乗のコツ等を関係者と話し、実際に乗せて貰って空を飛んでみたい。
俺の感覚では、馬に翼を生やしても飛べはしない。生物として有り得ない。天馬は魔術妖術の産物だ。
だがこの世界では人が飼育出来る程度に普通の生物だ。
有り得ないと否定するのではなく、どうやって飛んでいるのか理解しろ。触れ合い乗りこなし皮膚感覚として身に刻む。
この世界で戦い抜くには跳躍だけでは足りない。任務遂行の為、俺も翼を手に入れる必要がある。この体験を活かそう。



「お疲れさん、無事で何よりだ」
 労をねぎらう言葉を少年『エイル』に掛けたのは、髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)であった。
 忍び装束のスラスターを噴出させ、降り立つ姿は少年にとって恩人のものであったからこそ、彼は頭を下げて鍬丸を出迎えた。
「そんな。僕は何も。あなただって、無事でよかった」
 鍬丸は己が救った人物が清廉なる存在で在ることを知る。
 己の力を知り、己の無力さもまた自覚している。
 力ばかりを求めるのではなく、己の弱さもまた知る幼い少年に鍬丸は何を見ただろうか。

 その少年を連れて浮遊大陸を歩く青い鎧の巨人。
「何処に向かうのか、その目的について心当たりはないのか?」
「それが、僕にもわからなくて。『V(ヴィー)』は何も答えてはくれないんです。でも、確かにどこかに向かおうとしていることだけは確かで……」
 やはり、わからないようだった。
 わかっているのは『セラフィムV』が猟兵たちに敵対するわけでもなければ、人々に牙をむく存在でもないということ。
 そして、少年『エイル』を守ろうとしていることだけは確かであった。
「まあ、わからなくても構わない。任務である以上守り抜くさ」
「そういうもの?」
「ああ、御下命如何にしても果たすべし。それが俺だからな」

 二人は最小限のやり取りであったが、相通ずるものを感じていたのだろう。
 僅かな邂逅であったが、鍬丸は少年『エイル』が良い青年へと成長することを予感しながら、幻獣牧場に向かう。
 任務とは直接関係があるわけではないが、この世界で活動する以上、人々の足である幻獣に乗る機会もあるかもしれない。
 生態や騎乗のコツを牧場関係者に聞いて回って、実際に載せてもらおうというのだ。
「……ふむ。俺の感覚では馬に翼を生やしても飛べはしない。生物としてはあり得ない」
 けれど、実際に目の前でペガサスが飛んでいる姿を見れば、それが魔術妖術の産物であるとは思えなく成ってくる。

 牧場で飼育される程度には普通の生物なのだ、このブルーアルカディアにおいては。
 だからこそ、あり得ないと否定するのではなく、どうやって飛んでいるのかを理解する。
「馬と気質は同じか。十人十色と言うべきか、十馬十色と言うべきか……」
 掌がペガサスの肌に触れれば、互いに感覚として乗り手とペガサスの間に信頼関係が生まれていく。
 それは馬と同じだ。
 互いの心を通わせ、互いを信頼する。そうすることで呼吸が合わさり、お互いの意を汲んだ動きが出来るように為るのだ。

 このブルーアルカディアの世界あっては雲海に沈むということは消滅するということだ。
 だからこそ、戦い抜くにはスラスターの跳躍だけでゃ足りない。
 ならばこそ、己もまた翼を手に入れる必要がある。だからこそ、ペガサスと共に空を駆ける感覚は得難い経験となるだろう。
「ありがとうな」
 そういって騎乗を終えたペガサスをいたわる。
 どんなときでも感謝は忘れない。
 彼等だって生きている。感情がある。ただの道具ではないのだ。だからこそ、鍬丸は気がつくのだ。

 あの少年も青い鎧の巨人に対して、兵器という感情を持っていない。
 心通わせ絆を育んでいるのだ。それはきっと間違いではない。きっと正しい道を歩むであろうと鍬丸は確信し、空を駆ける感覚を己の身に刻み込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴久名・紡
竜神形態を解いて、大陸へ
まずは青い巨人と搭乗者の安否確認
尤も、負傷していたなら治癒を得意とする者が癒しているだろう

……無事だな、青いの

『V』と呼ばれていた巨人を見上げ零して
少年も無事であることを確認した後

暫くは追手も掛からないだろう
今まであんなやり取りを続けてきたなら
暫くは休んで英気を養うといい
思ってる以上に心は疲労してるはずだから

そんな話をしていたら、ふわりと肩に降りる影1つ
それが牧場に向かわせたむすびであると判れば
笑って迎え入れる

折角だ、美味いものを飲み食いするのも悪くない
一緒にどうだ?
……『V』はサイズ的にちょっと無理かもしれないけど

肩にぶら下がったむすびを片手で抱いて
そう誘ってみよう



 空をかける竜神が光とともに人の姿となって幻獣牧場の裾野に降り立つ。
 その瞳が見たのは青い鎧の巨人と少年の姿であった。
 あれだけの激戦の後である。傷や疲弊していないかどうかと鈴久名・紡(境界・f27962)は心配していたが、それが杞憂であったことに安堵する。
 とは言え、負傷していたのであれば治癒を得意とする者が癒やしていることであろうから、その心配もまた少ないものだった。
「……無事だな、青いの」
 そう青い鎧の巨人に呼びかける。

 名を『セラフィムV』という。
 巨人と言うから生体、もしくは他世界に存在する巨人を思い浮かべていたかも知れないが、どちらかと言えばゴーレムに近い兵器であった。
 だが、答えるように『セラフィムV』の瞳が優しく輝くのを紡は見ただろう。
「『V(ヴィー)』と共に助けてくれて、ありがとう。伝えられてよかった」
 そう言って少年『エイル』が紡に頭を下げようとするのを手で制する。

「暫くは追手もかからないだろう。今まであんなやり取りを続けてきたなら、暫くは休んで英気を養うといい。思っている以上に心は疲労しているはずだから」
 これまで三つの浮島を渡ってきたという少年たちの心労は図らずとも知れる。
 だからこそ、紡は休むべきだと提言するのだ。
 体を壊しても、心を壊しても取り返しがつかない。だからこそ、休める時に休むべきなのだ。
 青い鎧の巨人も、恐らくそれがわかっているから即座に移動を開始しないのだろう。

 そんなふうにしていると紡の型にふわりと羽の付いた兎の幻獣『むすび』が降りる。それが牧場に向かわせた彼の幻獣であるとわかれば、いつもよりも柔らかい表情と共に迎え入れるのだ。
「驚いた。そんなふうに笑えるんだ」
 それまでは戦いの最中での彼しか知らぬ少年にとって、それは驚くものであったのだろう。
 少し気恥ずかしい気分にもなろうというものである。
「折角だ、美味いものを飲み食いするのも悪くない。一緒にどうだ?」
『V(ヴィー)』はサイズ的に難しいかもしれないし、果たして食べるという意味で在っているのかどうかもわからない。

 けれど、少年はそうは行かないだろう。
 幼い少年にとって食事は大切なことだ。これまでも他の猟兵から食事をともにしてきたのだろう。けれど、長旅で疲弊した体にはまだまだ栄養が必要だ。
 腕にぶら下がる『むすび』が誘うように、ぴょんぴょんと跳ねる姿に心が癒やされる思いだった。
「僕もそう言ってくれて嬉しい。腹ごなしの運動をした後だったから」
 なんて、少し顔を赤くしつつ、まだ食べたりなかったことを白状して紡と共に牧場に歩いていく。

 心做しか足取りが軽いように思えたことが幸いであった。
 三つの浮島を屍人帝国『オーデュボン』に沈められ、自責の念もあるだろう。無理に明るく振る舞う必要が在るとは言わない。
 けれど、それでも少年の心を幾ばくか軽くすることができたというのならば、これに勝ることもないだろう。
 紡は『むすび』の働きに報いるように、共に牧場に歩んでいく。

 自分では不器用であるからと思っていたが、それでも誰かの心を癒すきっかけをつくれたのならば、それは誇って良いことだ。
 新たな邂逅が何を生み出すのかはまだわからない。
 けれど、それでも一つも無意味な出会いがなかったというように、少年の笑顔が守れたことだけが一つの救いであったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソナタ・アーティライエ
追われていた青い鎧の巨人と少年は……大事無いようですね
健在であってくれたなら、それが何より大事で
他はあまり気にしないです
それに……どのような事情があったとしても
わたしのする事は変わらないでしょうから


牧場へ帰り着いたら、すぐにシューベルトの傷の治療を
自身の放つ癒しの光に、「ありがとう」と
「わがままに付き合わせてしまってごめんなさい」の気持ちを込めながら
負担にならないように優しく、でもしっかりと抱きしめます

今日が終わればこのままお別れ、になると思っていたのですけれど
一緒に行くっていわれてしまいました
迷惑をかけて危ない目にも合わせてしまったのに……
本当にいいんですか?

アドリブ歓迎(特にシューベルト)



 屍人帝国『オーデュボン』に追われていた青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』。
 その二つの存在が守られ、大事ないことを確認したソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)は胸をなでおろした。
 健在であってくれたのならば、それが何より大事なことである。他になにか気がかりなことは彼女にはなかった。
 何故追われているのか。
 如何なる事情があるのか。
 そのどれもが体の無事以上のことでは、ソナタには思えなかったからだ。

 だから、何も問いかけることはない。
 何を聞いたとしても、何を知ったとしても、ソナタがやるべきことは今までも、これからもきっと変わることはないのだから。
「ありがとう、シューベルト」
 生まれながらの光を放ち、ソナタは戦いに傷ついた幻獣『シューベルト』の傷を癒す。
 彼女は出会ったばかりの彼と共に危険な戦場を飛んだ。
 それがどんなにか危険なことであるかを互いに承知していたことではあったけれど、それでもソナタは思うのだ。
「わがままに付き合わせてしまってごめんなさい」
 気持ちを込めながら、その傷を癒す。
 自分に出来ることはこれくらいなのだからと、優しくその体を抱きしめるのだ。

 今回ばかりの主従。
 けれど、このまま別れることはなかった。
 ソナタは危険な戦いに身を投じる猟兵である。なればこそ、この日ばかりと思っていたのだ。
 けれど、一緒に行くというように抱きしめるソナタの頬に合わされる頬。
 たったそれだけでソナタは理解したのだ。
「一緒に行く」
 ただ、それだけの一念が胸に伝わるだ。

 きっと今日だけじゃない。
 これからも迷惑をかけて危ない目に合うことになるだろう。
 だというのに構わないというように『シューベルト』の瞳が煌めいている。そこにあったのは主従を超えたなにかであったのだろう。
 共に行き、世界を守らんとする意志がそこにあった。けれど、それは同時にソナタをも守らんとする意志であったことだろう。
「ならば、共に行きましょう。きっとたくさんの迷惑をかけてしまうかもしれない。けれど、それを貴方は迷惑だなんて思わないでいてくれるのですね」

 共に在ることは、誰かに寄り添うこと。
 人の憂いに沿うからこそ優しさが生まれるのだ。黒曜の瞳と白い毛並みの美しい天馬は、その勇敢さと優しさを併せ持つ体でもってソナタに寄り添う。
 ならば、ソナタができることはたった一つである。
 差し伸べられた絆を手放さないこと。

 手綱を握るように、けれど、心から信頼できるのならば。
 それはきっと良きものへと変わっていくことであろう。
 この日の出会いをきっと忘れない。
 天馬は空高く飛び立つ。その背に歌姫を載せ、自己犠牲を厭わぬ彼女のために、己ができることを成さしめようと。
 そんな『シューベルト』の羽撃きは、力強くブルーアルカディアの空へと舞い上がらせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
スルトから降り、少年の元へ

よお少年。いやエイル君か。俺はアレクサンドル・バジル。
長い……かどうかは分からんが、これきりではない付き合いになるからよろしくな。ハハ、勘だよ。
期間はまあ、短くてオーデュボンが壊滅するくらいじゃねーかな。いや、根拠はねえよ。勘って言ったろ?

それじゃあちょいと相互理解と行こうか。
(記憶なし、行き先はV次第、と。それ以外では浮島を渡ってきた方法くらいは聞いておく)
(こちらへの質問があれば答えます。猟兵関連は荒唐無稽な感じでしょうから「信じるも信じないも君次第」という態度)

まあ、今日のところはこんなもんか。またな。
(最後はどこからかお菓子を出してプレゼント。手を振って転移)



 漆黒のオブリビオンマシン『スルト』より降り立ったアレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は、青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』の前に降り立った。
 少年の瞳には『スルト』がオブリビオンマシンであることがわかっているのだろう。
 その瞳在ったのは警戒の色であった。
「よお少年。いや『エイル』君か。俺はアレクサンドル・バジル。ああ、なるほどな」
 彼が自分を警戒しているのではなく、オブリビオンマシンである『スルト』を警戒するのもまた尤もなことであった。

 だからこそ、アレクサンドルは砕けた物言いでもって彼に接する。
「こいつは確かにオブリビオンマシンだが、完全に俺の制御下にある。そう構えなくたっていいぜ」
「制御下に……? そんなことが?」
『エイル』にとってオブリビオンマシンを制御できるという時点でも驚愕為るものであったのだろう。
 信じられないものを見るような目で見上げているが、『セラフィムV』が反応しないところを見ると、それが真実であるのだと彼は悟る。
「ごめんなさい。不躾な物言いをしてしまって」
「いいや気にしてはいねーさ。どうやらこれきりではない付き合いになるから、よろしくな」
「長い付き合いに?」
「ハハ、勘だよ」

 そんなやりとりが二人の間にあった。
 世間話のようなついでの話し、という程度の流れであったけれどアレクサンドルは軽口ついでに言うのだ。
「期間はまあ、短くて『オーデュボン』が壊滅するくらいじゃねーかな。いや、根拠はねえよ。勘って言ったろ?」
 それにしたって具体的すぎると『エイル』は思ったのだろう。
 アレクサンドルは思う以上に『エイル』という少年が聡く、そして恐らくであるが武芸の才能を秘めていることを見抜く。

 アレクサンドルの前にも彼に接触した猟兵たちがいたが、彼等の所作や知識、あらゆるものを砂地に水を染み込ませるように吸収していっているようにさえ思えるのだ。
 それが天賦の才能でることは言うまでもない。
 だからこそ、記憶がなく行き先も未定。
 飛空艇でもって浮島を移動してきたのだというのならば、その都度浮島が滅ぼされてしまう光景を見てきたのだろう。
「あなたたち猟兵が悪い人ではないこと、わかります。けれど、どうしたって僕らがここにいるとここに住んでいる人に迷惑が掛かってしまう。そのときにもあなたたちは助けに来てくれると考えていい?」
『エイル』にとっての気がかりはそれだけであったのだろう。

『セラフィムV』と『エイル』がいるかぎり『オーデュボン』は彼等を追ってくるだろう。
 その時犠牲になるのはいつだって、その浮遊大陸にいた者たちばかりなのだ。
 だからこそ、その一点においてのみ彼は心配しているのだ。
 自分たちを助けてほしいと言うのではなく、自分の周りにいるものたちを助けに来てくれるかと、そう問いかけているのだ。
「まあ、オブリビオン……『オーデュボン』が絡むんならいつでも来るだろうさ。ま、信じるも信じないも君次第ではあるが」
「なら信じます。二度もあなたたちは来てくれたから。僕もできることをする。きっと『V(ヴィー)』も同じ気持ちであろうから」

 その瞳を見れば、アレクサンドルは彼が悪い人間ではないことを知るだろう。これからも歪むことはないと断言できるほどであった。
「まあ、今日のところはこんなもんか。またな」
 そう言ってアレクサンドルはどこからともなくお菓子を取り出してプレゼントする。それはクッキーの詰め合わせのようなものであったが、手軽なものだ。
 そう気負うなよ、とアレクサンドルは手を降って転移して消えて行く。

「……甘い」
 少年『エイル』は手渡されたお菓子をつまんで口に運ぶ。
 数多の犠牲があって自分がここにいる。ならば、猟兵が来てくれるのならば、失われるかもしれない生命もまた救われるかもしれない。
 それを思って彼は甘さに頬をほころばせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
牧場の人々には敬語

幻獣か、俺には協力してくれる動物たちがいるがこの世界にはこういう動物もいるんだな
このゴーレムは学習能力が高い気がするが何なんだ?
いちおう言っておくが、俺みたいな突貫は止めておけ。命がいくつあっても足らない

WIZで判定
牧場にいる幻獣とふれあい体験をしたらエイルに話しかける
戦闘での学習能力が気になったし、敵が器とか言っていたからそれも含めて尋ねてみたい
1人で逃げて戦うくらいなら助けを求めて欲しいということも伝える【心配り】
そうすぐに敵が来るとは思えないし、彼も誘ってふれあい体験でもしてみようか



 青い鎧の巨人『セラフィムV』――それはゴーレムのような出で立ちをしているが、ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)にはそれがただの兵器であるとはとても思えなく成っていた。
 共に僅かな時間戦っただけで、学習しているような動きをしていた。
 短時間で共に戦う猟兵の動きやユーベルコード、そういったものを学習し、それを踏まえた上で戦っていたように彼には思えたのだ。
「このゴーレムは学習能力が高い気がするがなんなんだ?」
 ルイスの疑問は尤もなことであった。

 けれど、少年『エイル』にはわからないようであった。 
「僕にもわからないんです。勝手に動いてくれるし、僕らや他の人を助けてくれることだってある。これまでもそうだったんです。でも、これからもそうだとはわからないけれど」
「なら、一応言っておく」
 ルイスは少年『エイル』もまた同様であるとわかる。
 天賦の才能があるのは間違いない。けれど、それは一度間違えば、誰も手助けが出来ぬような高みまで登っていくような危うささえあったのだ。

 己のようなデッドマンとは違う。
 だからこそ、ルイスは忠告するのだ。
「俺みたいな突貫は止めておけ。生命がいくつあっても足らない。そういうのは、お前の役割じゃない。お前の生命は一つだけなんだから」
 だから、無理をするなとルイス告げた。
「……覚えておきます」
『エイル』の言葉にルイスは頷く。
 素直であることは良いことだ。ならば、己がこれ以上何かを言わなくても、彼は彼で答えを選び取るだろう。

 それだけのことができる子だと見込んだのだ。
「君も一人で戦うくらいなら、助けを求めていいんだ。そうやって仲間が隣にいることはどんなことより頼もしい力になる。いつかそれがわかるはずだ」
 だから、無理をしてはならない。
 生命は一つしかなく、損なわれてしまえば、取り戻す術などありはしないのだから。
「せっかくだ、敵がすぐにはコないようであるし、一緒に幻獣牧場に行こう。少しでも気晴らしになればいい。俺には協力してくれる動物たちがいるが、この世界には幻獣なんてものもいるんだな」
 そう言って『エイル』を誘ってルイスは共に幻獣牧場へと誘う。

 考えなければならないことは数多くあるだろう。
 未だ謎を含んだ存在『セラフィムV』。
 その道程がこれから如何なるものになるのかを誰も知らないし、知り得ることもないだろう。
 だからこそ、ルイスは『エイル』の心が折れぬようにと心を配るのだ。
 その優しさがきっと彼の支えになるであろうし、また『エイル』自身が誰かの心の支えになることもあるかもしれない。
「ありがとう。きっと僕もやってみせるよ。みんなのように、誰かを助けられるように。困っている人を見たら、手を差し伸べることができるような、そんな人間になれるように」

 僕もやってみる。

 その言葉を受けてルイスは微笑んだだろう。
 決意だけではどうにもならない現実がある。
 けれど、その現実を誰かと共に分かち、共に歩くのであれば、きっと不条理さえも覆すことができる。
『エイル』はそれをルイスから学んだのだ。
 己の失敗も、己の生命も、己の過去も。
 何もかもが無意味ではなかった。後に繋がり、託し、紡がれていくものがある。それを『エイル』が受け取ってくれたことをルイスは感じ、幻獣牧場で一時の憩いを得るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
とりあえずはエイル君?に挨拶しようか
無事そうで何よりだ
初めまして佐伯晶だよ
よろしくね

私の事はアキラで良いですの
よろしくお願いしますの

気配がおかしい事に気づくようなら
大丈夫だとフォローはしておこう

青い鎧巨人の方は意思疎通できるのかな
片手を上げて挨拶してみようか

色々事情があるみたいだけど
他の人が聞いてそうな気もするし
牧場でのんびりしようかな
エイル君も一休みするなら誘ってみよう

幻獣牧場ってどんな動物がいるんだろうね
ゆっくり散歩がてら見てみようかな

ワイバーンがいたら近寄ってみようか
馴染みのある姿だしね
やっぱり餌は生肉なのかなぁ
これまで戦闘の場で見る事しかなかったから
こうしてじっくり見るのは何か新鮮だね



 戦いは終わり、多くの猟兵たちが青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』との交流を持っていく。
 それら全てが彼等にとって幸いになることは疑いようもなかった。
 10歳になったかどうかという歳の頃の少年にとって、これまでの戦いは苛烈なものであったことだろう。
 自分たちが立ち寄った浮島が尽く雲海に沈んだのだとすれば、自責の念を持っていてもおかしくはない。
 けれど、猟兵たちの言葉や交流でもって彼の顔には年相応の笑顔が浮かんでいる。
「無事そうで何よりだ。はじめまして、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)だよ。よろしくね」

 そういって晶は手を差し伸べる。
 その脇から邪神の分霊が割り込むようにして入り込んでくるのだ。
「私の事はアキラで良いですの。よろしくおねがいしますの」
 言葉の響きが同じだから呼び方にそれじゃ苦労するだろ、と晶は邪神の分霊を押し込める。
 それ以前に少年『エイル』が怪訝な顔をしている。

 どうやら彼にとって邪神の分霊は、ただの人ではないように思えているのだろう。洞察力に優れているようではあったが、ひと目で看破している様子であるのは、彼自身の天賦の才能であるように思えた。
「僕は『エイル』。ええと……」
「ああ、気にしないで。きっと変な感じがするかもしれないけれど、大丈夫だから」
 そんなふうにフォローをしつつ、晶は片手を上げて『セラフィムV』にも挨拶をしてみる。
 意思疎通ができるのかどうか確かめてみたかったこともある。

「『V(ヴィー)』もよろしくって言ってるよ」
 晶には聞こえないが、『エイル』と『セラフィムV』の間にはなにか通じるものがあるのだろう。やはり、意思疎通は彼としかできいようであった。
 いろいろな事情がるのは推してはかることができる。
 屍人帝国『オーデュボン』に狙われていることも。
 けれど、それは他の猟兵たちが多く訪ねていることだろう。ならば、共に牧場でのんびりするのも悪くはないのではないか。
 一休みのつもりで彼を誘ってみようと晶は思ったのだ。

「幻獣牧場ってどんな動物がいるんだろうね。ゆっくり散歩がてら見てみようかな」
「ペガサスやグリフォンなんかがいるよ。翼の生えた幻獣が多いみたいだけど……迫力があったのはワイバーンかな。一番大きくて、ちょっとびっくりしてしまったけれど」
 そんなふうに『エイル』が笑っている。
 これまで多くの猟兵に寄って解きほぐされてきたのだろう。緊張はなくなっているし、年相応の笑顔を見せてくる。

 晶は、そんな彼の発したワイバーンという単語に興味を持って、連れ立ってワイバーンの元へと歩んでいく。
 晶のキャバリアとも馴染みある姿であるから、興味も湧くのだ。
「やっぱり餌は生肉なのかなぁ」
 飼育にはやはり魔獣やらの肉であることが多いようだった。
 浮遊大陸というスペースに限りがある環境にあっては、やはり食糧事情は魔獣なくしては語れぬだろう。
 だからこそ、この巨大な浮遊大陸でしか牧場を作ることもできないのだ。

「これまで戦闘の場でしか見る事がなかたから、こうしてじっくり見るのはなにか新鮮だね」
 猟兵にとっても勇士にとっても戦いが日常になっている。
 だからこそ、こうして戦いを忘れることができる瞬間は貴重なのだ。
「休める時に休め、だよね。少しでも息抜きできたらいいな。きっと貴方達はここだけではない何処までも戦うのだろうし」
 十代とは思えぬ察する力でもって『エイル』は晶に言葉をかける。
 ねぎらうつもりであったのだけれど、逆に労われたようなこそばゆいに気分になりながら、晶は笑い合うのだ。

 誰かといると心が弾む。
 重荷を背負っていたのだとしても、必ず共に立ってくれる者がいる。
 それをお互いに再確認して、二人は穏やかな時間を過ごすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャム・ジアム
ゴーレム、屍人帝国……ここも謎が満ちてるのね
ふふ、でも猟兵の皆が全部退けたみたい

さすがね
古の帝国って、ねえ、疾影?
貴方と出会った時、そんな話、聞かなかった?
敵の姿はもうないの
出来る事はあるかしら

幻獣?羽があるの。可愛い
触れてもいい?
いい所、ここが守られたのね。本当に良かった
あ、あの子が狙われていた子?
大きな青い子も一緒。疾影と友達になれるかしら
こんにちは、私はジアム。あなたは?……その子は元気?
戦える子なのね。疾影もそうよ

もしかしたら、少し疲れてるかも。よかったら診せて
うん、ジアムこれでもお医者なの
QQ箱を取り出し、必要なら指定UCを
貴方を守っていい子ね。きっとまた会えるわ。旅先の安全を祈って



 屍人帝国『オーデュボン』は雲海に沈んだかつての帝国の成れの果てである。
 雲海に沈めば、人も物も何もかもが消滅し、再び大空の世界に舞い戻ったときにはオブリビオンを満載した大地へと成り果てているのだ。
 オブリビオンたちは戦火を広げ、浮島を雲海に沈めては過去に現在と言う時間を侵食していく。

 だが、それらの目論見は猟兵達によって退けられ、今一つの浮遊大陸に在っても同様であるのだ。
「ゴーレム、屍人帝国……ここも謎が満ちているのね。ふふ、でも猟兵のみんなが全部退けたみたい」
 ジャム・ジアム(はりの子・f26053)は大空の世界ブルーアルカディアにおいて、空を見上げる。
 雲は一つもない。
 いや、雲海が眼下に広がるばかりであり、大陸が空中に浮いているという光景はまさに異世界と呼ぶには相応しいものであった。

 世界を見る瞳がキラキラしている。ジアムはゆっくりと共にあるキャバリア『疾影』に言葉を投げかける。
「古の帝国って、ねえ、疾影? 貴方と出会った時、そんな話、聞かなかった?」
 問いかけてみるものの、答えはなかった。
 敵の姿がないからこそ、なにか出来ることがあるのではないかとジアムは思ったのだ。

 あの青い鎧の巨人、『セラフィムV』と言ったゴーレムのようなキャバリアのような、それでいて『疾影』のようなサイキックキャバリアのような、不安定な存在を前にジアムはなにかにたものを感じていたのかもしれない。
 降り立つ大地には幻獣牧場が存在していて、様々な幻獣たちが今も元気に過ごしている。
 それが何よりも嬉しいことであった。
「可愛い。触れてもいい? いいのね? ありがとう」
 猟兵たちが護ってくれた場所。
 いいところであるからこそ、護ってくれたことに感謝をしつつ本当に良かったと胸をなでおろすのだ。
 幻獣たちも不安に晒されることがなくてよかったとも思うのだ。
 彼等だってむやみに混乱には陥りたくはないだろう。

 ひとしきり幻獣たちと触れ合ったジアムは、ばったり牧場で少年『エイル』と出くわす。
 彼も猟兵達に誘われて幻獣牧場へとやってきていたのだろう。
「あ、あなた……」
 彼が狙われていたことをジアムは知っている。だからこそ、駆け寄っていくのだ。
 ケガはなかっただろうか、なにか困りごとがないだろうかと駆け寄るのだ。

「あなたも猟兵……心配してくれてありがとう」
『エイル』はジアムが思う以上に聡い子供のようであった。まだ10歳になったばかりであろう少年でありながら、その洞察力は凄まじいものがあったのだ。
「あの大きな青い子も一緒なのね。疾影とも友達になれるかしら? こんにちは、私はジアム。あなたは? ……その子は元気?」
 そう言って互いの名を交換し合う。

 特に問題はないようであった。
 疲れている様子であるのは、きっとこれまでの長旅の疲弊が今押し寄せているからであろう。
 ゆっくりとしてほしいけれども、それでも『セラフィムV』が動き出せばまたすぐに旅路に戻るのだろう。
 その前に少しでも健康面をチェックしておこうと言うのだ。
「うん、ジアムこれでもお医者なの。少しだけ体の状態を見せてね?」
 そう言ってQQ箱を展開し、メディカルチェックを懸ける。どうやら、心配事はないようだ。 

 むしろ、他の世界の平均的なデータと示し合わせても基準値を遥かに越える数値を叩き出している。
 彼自身の天賦の才能であるのだろう。
「あの子も、あなたも強い子なのね。きっといい子だわ」
「僕は、それほどでもないけれど、『V(ヴィー)』はそうだよ。そうなんだ。僕を護ってくれる。けれど、それでもどうしようもないことだってあるんだ……」
 でも、と『エイル』は微笑んだ。
 みんなが来てくれた、と。
 誰かのために戦うことをしてくれる猟兵たちが、自分たちでは救えぬ者たちを救ってくれたのだと、嬉しくおもているのだ。

「また会えるかな?」
「ええ、きっとまた会えるわ。あなたの旅路が安全であることを祈っている」
 秘なる水花(エヒト)の如き念波が交わした掌から伝わっていく。
 それは心に浮かぶ水花。
 花吹雪の如き清涼なる情景と共に互いに共有されるものであったことだろう。

 また再び。
 きっとまた。
 その言葉を胸に二人はそれぞれの旅路をまた征くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
…まあ、あの巨人と少年については誰かが聞いてくれるだろうし、そっちはそっちで任せよう
縁があればきっとまた出会うだろうしね
そんな事よりこっちの用事を優先しよう

まずは確保した天使核から質の良さそうなの…ってどれが質が良いんだろ
牧場の人は知ってるかな?
ちょいっと聞いて質の良さそうなのを分析用に数個確保して…と
角は持って帰ろうかな
で、残りの天使核は…半分は牧場で育ててる幻獣の余った素材とかあったら貰えないか交渉してそれの代金代わり渡そう
ちょっと色を付けて渡しとこ
それでもし幻獣1匹丸々貰えそうなら貰って、その場で解体して素材とお肉と確保

後は、換金できる所を聞いて換金しに行こ!
いやー金策には困らないね



 青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』、二つの存在をつなぐ物事は、きっと他の猟兵たちが聞いてくれているであろうから、それはそちらに任せておこうと月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思った。
 縁があればまたきっと出会うことになるであろうし、それは今の玲にとっては些細なことであった。

 そう、今の自分には優先されるべきことがあるのだ。

 手元には確保した『マインドゴーレム』の心臓たる天使核が無数にある。
 一口に天使核と言っても、やはり質というものが存在している。それは含有している動力としての力であったりするのだろうが、玲は未だどれが質が良いものであるのか、それを見定める目を養ってはいなかったのだ。
 ならば餅は餅屋である。
 この大空の世界、ブルーアルカディアに生きる人々ならば、天使核の品質の良し悪しがわかってもなんら不思議ではない。

「幸いにい幻獣牧場があるからね。あの人達知ってるかな?」
 玲は幻獣牧場へと立ち寄って、確保した天使核を牧場の者たちに見せる。
 どういうものであるかを知るためには、やはり現地の人達のやり方を見て覚えるのがよいだろう。
「ああ、天使核。どれもこれもまだたっぷり動力としての力が残っているね。それをこんなに大量に……」
 え、この人すごいな、と言う顔を牧場の関係者たちは玲に向ける。
 確かに勇士と呼ばれるオブリビオンを打倒し魔獣の素材や、天使核を持ち帰る者たちだってこの世界にはいる。

 けれど、それは危険に常に晒されるものである。
 であればこそ、ここまで大量に一度に持ってくる者もいないだろう。
「ふんふん。なるほどなーってなわけでさ、この天使核と牧場で育ててる幻獣の余った素材とかと交換って話しってアリ?」
 これだけの天使核である。
 余った素材と言わず、現物でも交換できようものである。
 というか、天使核を代金代わりに使えば、大抵のものは手に入りそうであった。

 ワイバーンやペガサス、グリフォンなど、翼ある幻獣がほとんどであったが、それでも玲の持ってきた天使核の量に換算すれば何の問題にもならぬほどであったのだ。
「それじゃ、これとこれ……あー、それも欲しいかな。その場で解体してどうにか出来るものがあれば、それも」
 なんだかんだで商売上手である。
 流石商機を逃さぬ瞳。
 お肉と素材をたっぷり確保し、ついでに品質の良い解析用の天使核を手に入れいた玲は笑いが止まらない。

 これまで猟兵として戦っても、ここまで実入りの良い世界は他にはなかったように思える。
 日々の研究という名のサブカル行脚的なあれやそれで金銭は幾らあっても困らない生活をしている彼女にとって、これだけのお金があれば当分困らない。
「いやーほんとお金には困らない世界ってサイコー!」
 がっぽがっぽである。
 天使核もこの浮遊大陸に座す『アジール王国』の王都へと向かえば、問題なく換金できると来たものである。
 もう笑いが止まらない。

 この世界にいればもしかして一生銭ジャブなのでは?
 そんなふうに玲は止まらぬ笑いと共に『セラフィムビースト』より奪った角をくるりと空中に一回転させてキャッチしてから、また金策に困ったらこの世界に来ようと決意を新たにするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
セラフィムVとあの少年からは死の気配がします
経緯を聞きかじっただけでも納得ですが

追手には島を三つ沈めても追い続けるほどの理由があり、彼等には多くの犠牲を出しても逃げる理由がある
今後も犠牲が出るのは避けられないでしょう

俺はそれを慰める事も励ます事もできません
我等は狩るもの、誰かを救う言葉は持ちません

【行動】
目立たないようにセラフィムVと少年の観察と他の猟兵とのやりとりから情報収集をしておく
空の世界で戦うにおいてUC以外の飛行手段が必要か考えているので幻獣牧場の見学に行く
怨念の炎や各UCなど怨念と呪詛+殺意に塗れた身のため基本的に動物には避けられるため遠目から眺め、距離をはかりながら見学



 西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)の瞳が、青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』から伝わる死の気配を感じ、距離を置く。
 目立たぬようにと彼等と猟兵達のやりとりを聞きかじる。
 彼等がこの浮遊大陸に至った経緯を聞くだけで、そのまとわりつくような死の気配に納得するのだ。
「浮島を三つ滅ぼす原因と成った……なるほど」
 確かにそれだけの気配を纏うだけの理由があるのだ。

 けれど、それは彼等が望んだことではないことは明白である。
 三つの浮島を滅ぼしてもなお、彼等を執拗に追う屍人帝国『オーデュボン』の理由。それが未だなんであるのかは判然としてない。
 ただ『器』と『セラフィムV』のことを呼んでおり、そして戦いの最中に猟兵達、共に戦う存在の技量やユーベルコードを学習している節があるのが、理由の一つであることは言うまでもないだろう。

 彼等が逃げ続けるというのならば、今後も犠牲が出るのは避けられないだろう。
「俺は……」
 それを慰めることも励ますこともできない。
「我等は狩るもの、誰かを救う言葉は持ちえません」
 だから何かを言うつもりはない。
 ただ、自分たちに出来るのは怨念のままにオブリビオンを狩り続けることだけである。
 そうすることで、彼等が逃げる度に増える犠牲を最小限に抑えることができるのだ。ならば、その泥を一身に己が浴びることなど大した問題ではないと織久は考えるだろう。

 しかし、同時に今回の戦いで問題点も浮かび上がってきていた。
 この大空の世界ブルーアルカディアにおいてユーベルコード以外に飛行手段が必要であると考えたのだ。
 勇士たちの飛空艇を乗り継ぐことも考えたが、これは常に勇士たちと共に行動しなければならないという問題も抱えている。
 ならば、幻獣牧場に存在する幻獣たちを使うのもまた一手であり、一考に値するものであろう。
 少年と青い鎧の巨人の動向を暫く見つめていた織久はこれ以上得るものがないのならば、と幻獣牧場へと向かい、見学をする。

 どんな幻獣であれば、戦術を組み立てやすいかと考える。
 けれど、彼は常に怨念と呪詛、殺意にまみれた身である。それは自然と漏れ出るものであり、幻獣たちであれば、それを敏感に感じ取ってしまうのだろう。
 動物たちには基本的に避けられる運命なのである。
 距離を測りながら、ワイバーンやペガサス、グリフォンと言った人々の足になりそうな存在を観察していく。
「ワイバーンは気性が荒いが力強く、どんな難所も問題なく飛べそうではある……ペガサスは気位が高く、乗り手を選ぶ……グリフォンは柔軟であるが、凡庸……」
 それぞれに一長一短である。

 これは乗り手との相性もあるだろう。
 織久は己と相性の良さそうな幻獣を見つける事はできただろうか。
 もしかしたのならば、この牧場でそういった幻獣が見つかるかもしれない。そんな運命が交錯する瞬間があれば、また再び彼が幻獣と共に大空を駆ける光景を見ることも在るだろう。

 そう遠くない未来に見ることができるのを織久は戦術に組み込みながら、熟考していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
エイル…『エイル』様と仰られるのですね?

(以前『グリプ5』で調べた憂国学徒兵クローン計画、この少年の容姿は…。他世界が関わる場合、考え得る可能性は『神隠し』ですが確証も無し、求められぬ限り沈黙)

記憶喪失とは、さぞ難儀されたことでしょう
先程『V(ヴィー)』が疲れてると仰られていましたね
私に点検をお命じ下さい

高度な自我を機体が持っている可能性もあり
貴方の許可を頂きたいのです
この機体の事であれば、騎士として不安の払拭に努めさせて頂きます

…食べたい物は御座いますか?

記憶の手掛かりが『セラフィムV』以外に無い以上、貴方はこれに乗って移動する御積もりの筈
牧場の方に頼んで日持ちする食事をご用意いたしましょう



 かつて他世界で知り得た『憂国学徒兵クローン計画』。
 そのデータを電脳から解凍したトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は暫し沈黙していた。
『グリプ5』と呼ばれる小国家に置いて得た情報である。
 その建国の父と呼ばれるのが『フュンフ・エイル』である。青い鎧の巨人『セラフィムV』と行動をともにする少年『エイル』と言葉の響きは同じである。

 恐らく10歳に至ったかどうかという年の頃である少年『エイル』に、トリテレイアが知る『フュンフ・ラーズグリーズ』の面影があるかどうかと問われれば、わずかに一致する部分がある。
「(この少年の容姿は……)」
 瞳の色と髪の色が違う。
 目鼻立ちは似通っているが、『フュンフ・ラーズグリーズ』とは違うと電脳は判断するだろう。

 まじまじとトリテレイアが見ているのを少年『エイル』は、少し困ったような顔をしていた。
「なにか、困ったことでも?」
 彼は聡い少年であるようであった。
 洞察力に優れ、武の才能もある。砂地に水が染み込むように猟兵たちの所作や言葉、そういったものを選択し吸収していく器量がある。
 それは類稀なるものであるとトリテレイアも感じるのだ。しかし、記憶がない。
 自身の出自もわからぬままに『オーデュボン』から追われ続けるのは凄まじい心労をもたらしたことであろう。

「いえ、記憶喪失とは、さぞ難儀をされたことでしょう。お困りでしたら、騎士である私に何でも主しつけください。先程『V(ヴィー)』が疲れているとおっしゃられておりましたね。私に点検をお命じください」
 トリテレイアは気を取り直す。
 少年『エイル』の瞳は、それだけでトリテレイアの内側まで見通すかのような雰囲気があった。
 人の上に立つ存在、その幼少期を見ているような感覚さえトリテレイアは覚えたことだろう。

「わかるの?『V(ヴィー)』のことが」
「高度な自我を機体が持っている可能性がある以上、貴方の許可を頂きたいのです。この場において『V(ヴィー)』様とコンタクトが取れるのは貴方だけですから」
 それならば、と『エイル』が点検を願い出る。
「いえ、騎士として不安の払拭は使命と同義。人々の安寧を守ることこそが、『騎士』としての本懐でありますれば」
 どうかおまかせを、とトリテレイアは『エイル』に告げる。
 その言葉に『エイル』は何かを感じ入る様子であったし、それ以上は何も言わなかった。

 けれど、その瞳に意志のようなものがキラキラと輝くようでもあったのをトリテレイアは後に思い出すことだろう。

 スキャニングを行って機体の状況を確認していく。
 フレームや構造、その他に欠陥は見受けられない。機体の各所に天使核が配置されているし、それらの残量も十分であった。生体と同じように起動を止めれば回復していく仕組みなのかも知れない。
 しかし、トリテレイアは気がつく。
 胸部のコクピットらしき空間が少年『エイル』が抱かれて居た場所であるというのならば、食料はどうしているのか。
 スペースは空であるし、そういったものがあった形跡もない。
「……食べたい物は御座いますか?」
 トリテレイアはそう告げる。

 彼は未だ齢10を超えた程度の少年である。
 食べたい盛であろうし、これまでの道程を考えれば、満足に食事を取っていないだろう。ならばこそ、記憶の手がかりが『セラフィムV』以外にないのならば、共に行動し移動しなければならない。
 だというのに食料を積んでいないのは生命として大問題すぎるのだ。
「えっと……『おはぎ』かな?」
 少年らしい解答であった。
 他の猟兵から与えられた『おはぎ』がよほど気に入ったのだろう。

 トリテレイアは微笑むような気配持ちながら、共に牧場へと向かう。『おはぎ』が手に入るかどうかはわからないけれど、それでも日持ちのするものを用意してもらおうと取り計らうつもりでいたのだ。
「それは……どうでしょうか。ですが、お任せください。私は『騎士』でありますから」
 そう言って少年『エイル』と共にトリテレイアは牧場に向かう。
 果たして『おはぎ』の材料はあっただろうか?
 けれども、これからの彼の道行きを考える上で食糧問題が解決するのは確かなのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

牧場ですし、新鮮な食材を期待していたんですけど、
ちょっと手に入らなさそうですね。

師匠がかなーりお腹空かせていますし、
【師匠の専属料理人】で食材ごと出しちゃいましょう。

メニューは……BBQですか?いいですけど……てっ、ぱん?

えっと、で、では失礼します……。

ほどよく熱せられた青い巨人さんに横になってもらって調理開始です。
あ、けっこう火の通りがいいですね。でも中が壊れないのかな?

師匠も限界っぽいですし、エイルさんもいっしょにいかがです?
お話しするならごはんを食べながらがいいですよね。

って、ステラさん、エイルさん抱えたまま食べるんですか……?
そのまま「あーん」までいきそうな勢いですが!


ステラ・タタリクス
【勇者パーティー】
ああ、良かった
ここの幻獣たちは無事ですね
(パーティーの面々には見せたことの無いような、
とても、とても優しい笑顔で幻獣たちの頭を撫でる)
貴方も一緒にいかがですか?エイル様(こちらにも優しい笑顔)
大変だったでしょう?ここには敵はいませんよ

って、何をしていますかあなた方は(スリッパでスパーン!スパーン!)
コレ大丈夫ですか?真面目に?

さて腹が減っては…といいます
エイル様も…なぜ「あーん」しようとしているのがバレた?
違う、失敬な。抱えているのではなく、誰も入る隙が無いほどの護衛と言ってください
密着しすぎ?恥ずかしがる必要はないのですよ?
エイル様、落ち着いたらお話を聞かせてくださいませ


フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「魔法を使って腹が減ったぞ!
セラフィムビーストの肉は手に入らなかったが、ここは幻獣牧場。
肉ならたくさん手に入るであろう。
ルクスよ、さあBBQの用意だ!」

さて、あとは肉を焼くための鉄板が必要だな。

「ん?
そこに青い鎧の形をした鉄板が突っ立っておるではないか」

ちょうどいいので、我の炎の魔法で青い鎧を熱し、BBQをするのにちょうどいい温度にしよう。
さあ、ルクスよ、この鉄板を使って料理をするのだ。

「ほう、そこでステラに抱えられている小僧はエイルというのか。
鉄板の持ち主であるお前も我らのBBQパーティに参加させてやろう」

こうして勇者パーティによるBBQパーティが幕を開けるのだ。



「魔法を使って腹が減ったぞ!」
 そう喚くように叫んだのは、『セラフィムビースト』の肉が手に入らなかったフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)であった。
 彼女は魔術、ユーベルコードを行使する度に多大な魔力を消耗し、代償として腹の虫が収まらなくなってしまうのである。
 ようは今の彼女は腹ペコ怪獣である。
 一刻も早く肉を、NIKUを口の中に放り込まなければ別な意味でやべーことになるのである。

「此処は牧場だろう。肉ならたくさん手に入るであろう。ルクスよ、さあBBQの用意だ!」
 はよして、と言うようにフィアは弟子であるルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)に命じる。
 もう師匠はしょうがないですねーとつぶやきながらルクスとステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は共に幻獣牧場へと向かう。
 けれど、一足遅かった。
 他の猟兵がたくさんの天使核をもって、肉やら素材やらを交換していったのだという。
 これ以上は潰すわけにもいかないので、取引は出来ないのだという。
「牧場ですし、新鮮な食材を期待していたんですけど、手に入らないですね……」
 これは困ったことである。
 どうしたものかとルクスはステラに相談しようとして、幻獣の幼体達に囲まれているステラの素敵な笑顔を見た。

 そう、勇者パーティの面々にはまるで見せたことのない笑顔である。
 普段のクールな表情は何処に行ったのかと思うほどの優しげな笑顔。とても、とても優しい笑顔だった。
 もはや別人では? というレベルである。
「貴方も一緒にいかがですか、『エイル』様」
 そんなふうに近くにいた少年『エイル』にも優しい笑顔を浮かべている。マジで別人なのではとルクスは思ったが、師匠であるフィアがかーなーりお腹を空かせている事態にこれはもう自分でどうにかするしかないと、その瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。

「師匠の専属料理人(エヅケ・マスター)たる私が用意できぬ食材はないのですが、なんかこれじゃない感すごいですね……」
 本来であればブルーアルカディア由来の食材で料理を振る舞いたかったのだが、フィアがBBQ、びーびーきゅー! バー! べー! キュー! と騒いでいるので仕方のないことである。
 しかし、フィアは何をしているのだろう。
 もう騒ぎまくってまたぞろトラブルを起こしているのではないかとおもったが、嫌に静かである。

 だが、それは別の意味でやばいアレであった。
 何故か横に寝かされた青い鎧の巨人『セラフィムV』がメラメラとフィアの魔法の炎で燃えているのだ。
 いや、燃えてないけど、なんか装甲があっつあつになって、空気が揺らめいているのが見えるのだ。
 そう、フィアは弟子たちが食材の確保に出向いている間、肉を焼くための鉄板を用意しようとしていたのだ。

 そこで目に入ったのが『セラフィムV』ってわけ。
 いやなんでそうなる。
「ちょうどいいので、お願いしたら快く横になってくれたわけなのだが」
 なにか問題でも?
 ルクスはまあ、師匠がそういうのならいいのかなって思って程よく熱せられた『セラフィムV』の装甲の上に調理を開始するのだ。
「えっと、で、では失礼します……」
 思った以上に良い火の通り方である。
 でも中は壊れないのかな、と思いつつも師匠であるフィアが限界であることもまた事実である。

 ならばこそ、料理にためらいは不要である。
「って、何をしていますかあなた方は」
 何処からともなく取り出したスリッパでルクスとフィアの後頭部を打ちのめすステラ。
 まあ、まっとうな疑問だし、ツッコミだよね、と誰もが思っただろう。『セラフィムV』はされるがままであったが、ツッコミが入ったことによって空気読んで立ち上がる。
 付き合いが良すぎない? 聖人か何かなのか?
「コレ大丈夫ですか? 真面目に?」
 ステラはいつのまにか抱えていた『エイル』に問いかける。

「いやその前になんでその小僧を抱きかかえておるのだ、ステラ」
 その問いかけにステラは無視であった。いや、スルーでいいのかな。いつのまにか抱えた『エイル』に『あーん』と食べさせようとしている。
 なんで?

「あのー師匠も限界なので、食べながらお話いしてもいいですよね。なんで『あーんん』が勢いで行けると思ったんですか」
「いや、その前に飯。鉄板の持ち主である『エイル』にパーティに参加する権利はあるのだけども、腹が空いたのである」
 ほれ、とフィアが口をぱかーんと開けるものだから、ルクスも甲斐甲斐しく食べさせて、エヅケしているのである。

「違う、失敬な。抱えているのではなく、誰も入る隙がないほどの護衛と言ってください」
 真面目な顔してコレである。
 大丈夫か、このメイド。
「えっと、その、密着しすぎなのでは」
『エイル』がやっとのことで言葉を紡ぐ。距離感バグってる感あるステラの抱きかかえは、10歳の少年が抵抗できるものではなかった。
 というか、がっしりホールドされている。
 本当に護衛かな?

「恥ずかしがる必要はないのですよ?」
「いや、そいう問題でもないだだろうに……あーん」
「はい、師匠あーん」
 ルクスとフィアは、まるで意に介していないようである。わりとおざなりである。何せお腹減っているからね。
 誰も『エイル』を助けようとか、助け舟出そうかなーとかそういうのはないのである。
 少年『エイル』はエライことになってしまったと、その聡い洞察力で如実に感じていた。
 ステラは護衛と称して抱きついて離してくれない。
 ルクスとフィアは二人の世界である。

 頼みの綱の『セラフィムV』は特に害意がないからと沈黙したままである。
「さあさ、『エイル』様、どうぞご遠慮なさらずに」
 そんな姦しいBBQパーティに連れてこられたことが運の尽きである。
 少年『エイル』は年上のお姉さまたちって、ちょっと怖いなと感じながら、彼女たちのBBQパーティが終るまで拘束され続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
おう、エイル殿。貴殿が御無事で何よりだ。
巨人殿も間近で見ていたが、見事な戦いぶりだったぞ。

■行
【WIZ】
む、俺か?俺はただの……すまぬ、やはり名乗ろう。清綱だ。
在るべき兵(つわもの)の姿を認めて、旅をしている。
そうだな……不躾ながら、貴殿らの事も教えて下さらぬか。

(一人と一機に別れを告げ、牧場に立ち寄り空を眺める)
此の世界の空は、実に美しい。しかしその空では過去から
来たる嵐が吹き荒れ、罪なき人々蝕んでいる。
生き残るためには……ん?何だ、急に動物が近くに来た。
【動物で話す】力を用いて聞いてみよう……えっ。
『そんな堅苦しく考えなくてもいいだろ』って?
……そうかもな。

※アドリブ歓迎・不採用可



 少年『エイル』は這々の体でバーベキューパーティから離れ、一人『セラフィムV』を見上げていた。
 この青い鎧の巨人と出会ったことが彼の旅路の始まりであった。
 それ以前の記憶はなく、どうすればいいのかもわからぬままに屍人帝国『オーデュボン』に追いたてられ続けてきた。
 困難な道程であったことだろう。
 けれど、今回猟兵たちと出会い、彼等の手助けもあったからこそ、今まで雲海に沈んだ浮島のようにこの浮遊大陸を危機に晒すことがなかったことだけが、今の彼の心の慰めであったことだろう。

「おう、『エイル』殿。貴殿がご無事で何よりだ」
 そう言って近づいてくるのは、愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)であった。
 彼の言葉はからりとしていて、爽やかなものであった。
 大規模な戦いの後とは思えないほどであったし、事実『エイル』は少しだけ戸惑ったのだ。
「巨人殿も間近で見ていたが、見事な戦いぶりだったぞ」
 そんなふうに共に『セラフィムV』を見上げる清綱。
 その泰然自若たる立ち振舞に『エイル』は何かを感じたのだろう。

「む、俺か? 俺はただの……すまぬ、やはり名乗ろう。清綱だ。在るべき兵(つわもの)の姿を認めて、旅をしている」
「つわもの……僕のことはもう知っているみたいだけれど……」
「いや、それでも御身の口から知りたいと、教わりたいと思ってしまうのだ。これは不躾であることは承知であるのだが」
 そんな清綱の潔い生き方に『エイル』は頷いた。

 これほどまでにまっすぐに生きられたのならば、それは幸せなことであろうと彼は思ったのかも知れない。
「僕は『エイル』。こっちは『V(ヴィー)』。まだ何処に向かうのかはわからないけれど……それでもオブリビオンを躱して旅をしているんだ。助けてくれてありがとう」
 記憶がないこと。
 追われていること。
 その理由も未だ定かではないことを清綱は知る。未だ謎多き青い鎧の巨人『セラフィムV』、それを『器』と呼ぶ『オーデュボン』が類まれなる学習能力を有する巨人を追い立てる理由もまた定かではない。

 けれど、彼等が決して歩みを止めぬことを知り、清綱は一人と一機に別れを告げる。
 縁があるのならば、再びまた見えることもあるだろう。
 その時、彼等はまたどんな顔を、そしてどんな成長を遂げているだろうか。
「此の世界の空は、実に美しい。しかし、その空では過去から来たる嵐が吹き荒れ、罪なき人々を蝕んでいる」
 それはブルーアルカディアという世界の成り立ちにも関係しているのだろう。
 雲海に沈めば消滅。
 しかして、大陸を存続させるためにはオブリビオンの心臓、天使核が必要である。
 生き残るためには戦わなければいけないのだ。

 それは苛烈であると言わざるを得ないし、因果なものである。
 なればこそ、少年と青い鎧の巨人の道行きはあまりにも険しいものと為ることは想像に難くない。
「……ん?」
 そんなことを考えていると幻獣の幼体が近づいてくる。
 動物と会話することのできる清綱にとって、彼等の言葉は彼を破顔一笑させるには十分なものであった。

『そんな堅苦しく考えなくてもいいだろ』

 その言葉だけで十分に救われるのだ。
 そうかもしれないと思ってしまうのだ。
 だって、世界はこんなにも美しい。同時に生きる人々の生命力の逞しさもまた清綱は知っている。
 なればこそ、何も心配することはない。

 ひと目見ただけでわかったのだ。
 あの一人と一機。
 特筆すべきは青い鎧の巨人『セラフィムV』ではない。
 あの少年こそが要である。それだけの才能を持ち合わせ、自身の生き方にまどい、そして懊悩し続ける。
 才ある者の定めであろう。
 けれど、この青空が続く世界のように、彼の心もまた自由である。

 その行く末を清綱は見ることもあるだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年07月11日


挿絵イラスト