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【猟】鮫肌のクロスボウと綺麗好きの深海人

#グリードオーシャン #猟書家 #猟書家の侵攻 #メガリス #深海人 #狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス #プレイング受付中

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●グリードオーシャン・ルーチア島
 グリードオーシャンの荒れた海、その海中にその島はあった。
 島の名前はルーチア島。巨大な二枚貝の殻の間に作られた、空気の泡に包まれた島だ。
 たくさんの深海人が漁をして生計を立てる中で、海岸のゴミ拾いを日課にしているミンククジラの深海人がいた。
「よいしょ、っと。今日もいろんなゴミが流れ着いてるなぁ」
 その彼、アレッサンドロ・アルデガニは、今日も日課のゴミ拾い。このルーチア島の海岸には、海流の影響で様々なものが流れ着く。たまにお宝が漂着することもあるが、大概はゴミばかりだ。
「さて、こんなところで……うん?」
 そして南側の海岸の掃除をあらかた終えたところで、アレッサンドロはそれに気がついた。駆け寄って、被っていた砂を払う。
「これは……」
 それはクロスボウだった。鮫の骨を組み合わせて作られているらしく、表面がざらざらしている。それをアレッサンドロが拾い上げた時だ。
「もしかして、これが――」
「メガリス!」
 海の方から大きな声がした。アレッサンドロがはっと顔を上げた瞬間。目の前には大きく口を開いたモササウルスが、こちらに飛びかかっている。
「メガリス! それをよこせ!」
「うわっ、なんだ!?」
 吼えるように声を発したモササウルスが猟書家だと、アレッサンドロは知る由もない。踵を返して逃げ出した。

●グリモアベース
「グリードオーシャンの海中に存在する『深海島』……こんな形で行くことになるとはねぇ」
 エラ・フィンチ(波打ち際の青尻尾・f26169)は自身のグリモアでもあるメガリス「暗夜の種火」から映し出される風景を見ながら、口角を持ち上げた。
 グリードオーシャンには貝や珊瑚で作られた海中都市である「深海島」と呼ばれる島が存在する。空気の泡に包まれた深海島は沈むことも浮かぶこともなく、グリードオーシャンの海中を静かに漂っているのだ。
 当然、海上から向かうのは容易ではない。しかしグリモアによる転移があるなら話は別だ。
「島まではあたしが転移で連れて行く。それに島には空気があって普通に呼吸が出来るから、海中移動の装備は用意しなくていいよ」
 そう言って笑うエラの言葉に、猟兵たちはほっと胸をなでおろした。泳いだり、潜ったりの準備をしなくてもいいというのは有り難い。呼吸が出来るのもいいことだ。
「今回向かう『ルーチア島』って深海島には、海流の影響か色んなものが海岸に流れ着くらしくてね。今回メガリスを見つけるのが予知された深海人も、そういうゴミの清掃を行うやつらしい。まずは、そいつに接触してメガリス探しと、ついでにゴミ掃除の手伝いをしてやってくれ」
 話しながらグリモアから映す映像を見せるエラ。そこにはミンククジラの頭部を持った深海人の青年が、海岸に落ちているゴミをせっせと拾っている。この青年が、今回接触するアレッサンドロだ。
 その青年が、骨でできたクロスボウを拾い上げる。その映像を見せながらエラが話す。
「メガリスは『鮫肌のクロスボウ』。鮫の骨で作られているらしいクロスボウでね、泳ぐ敵に向かって撃てば、水中に入った矢が小さなサメに変化して食らいつくんだ。今回相手をする幹部猟書家は水中を泳ぐ。丁度いい相手だろうさ」
 そう言いながら彼女が目を向けたのは、映像の中にいるモササウルスだ。人の言葉を話し、水中どころか空中をも移動する巨大なモササウルス。これを見せながらエラは説明した。
「その幹部猟書家……『狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス』ってやつなんだけど、海中を泳ぐ巨大なモササウルスだ。その口はあらゆるものを吸い込んで噛み砕き、その全身からは電撃とプラズマレーザーを放つ。おまけに雷の渦を作り出して放ってくる強敵だ。注意してかかるんだよ」
 大きな的だと侮るなかれ、その攻撃力は苛烈の一言だ。とにかく攻撃の範囲が広い。アレッサンドロも援護してくれるが、彼が攻撃に巻き込まれないよう注意する必要があるだろう。
 そこまで話したエラが、ランタンを掲げた。黒い炎が揺らめき、ポータルの向こうから潮の香りが流れ込んでくる。
「準備はいいかいお前たち。出発だ!」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 すっかり夏ということで、夏らしくグリードオーシャンでのシナリオとなります。
 深海に浮かぶルーチア島を舞台に、猟書家幹部を撃退しましょう。

●目標
 ・狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス×1体の撃破。

●特記事項
 このシナリオは「2章構成」です。第2章がクリアになった時点で、シナリオが完成となります。
 グリードオーシャンの「骸の月」の侵食度合いに、成功数が影響します。

●戦場・場面
(第1章)
 ルーチア島の海岸です。島にはグリモア猟兵が転移させてくれます。
 海岸ではアレッサンドロが、流れ着いたたくさんのゴミを掃除しています。
 アレッサンドロに接触し、海岸のゴミを掃除するのを手伝いましょう。

(第2章)
 第1章と同じく、ルーチア島の海岸です。狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルスがメガリスを奪おうと襲いかかってきます。
 アレッサンドロは鮫肌のクロスボウを使って後方から援護をしてくれます。

●深海人
 アレッサンドロ・アルデガニ(男性・21歳)
 ミンククジラの深海人。綺麗好きで、よくルーチア島に流れ着くゴミを掃除している。
 ルーチア島の海岸を掃除している時にメガリス「鮫肌のクロスボウ」を発見したところをアトラティヌス・モササウルスに襲われる。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『清掃ボランティア』

POW   :    ●『集まったゴミを運ぶ』:力仕事は得意だ。集まったゴミを処分場等に運ぶ。

SPD   :    ●『ゴミを見つけて集める』:細かな作業は得意だ。あちこちからゴミを拾い集める。

WIZ   :    ●『水質や土壌の浄化』:特殊な作業は得意だ。魔法や科学で正常に戻す。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
人格:ロキ
海中に島があっては、掃除も大変そうですね
「ゴミの中にも面白いものがあるかもしれませんし、拾い集めながら探しましょうか」
珍しい海藻や骨は空中に開く黒い穴(亜空間)内に放り込み、他は触手で編んだカゴに入れながら進みます
アレッサンドロさんに逢ったら、手に余るゴミが無いか聞いてみます
「大きなものや重量物なら移動手段に心当たりがあります。お困りなら運搬も処分も承りますよ?」
触手で持ち上げ、運搬先の指定が無ければ亜空間へ格納。財宝はなくとも資材にはなるでしょう
少し雑談もしてみましょうか
「ゴミ掃除は長く続けておられるのですか?今まで見つけた中で何か面白いものはありましたか?」



●「あとでいいや」が命取り
 空は遠い。頭上には海。その手前には空気の層が出来上がり、海水と酸素と二酸化炭素の交換をしている。
 そんな中を、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)はロキの人格を表に出して、ルーチア島の海岸を歩いていた。
「海中に島があっては、掃除も大変そうですね……ゴミの中にも面白いものがあるかもしれませんし、拾い集めながら探しましょうか」
 そう呟きながら、怜悧は海岸を歩きつつ視線を巡らせる。なるほど、確かにかなりの数のゴミが流れ着いていた。小さいものから大きなものまで。これはアレッサンドロが毎日掃除をしているのも分かるところだ。
 そんな中を、怜悧はゴミを拾い上げ、面白そうなものは空中に穴を開けて亜空間に放り込んでいた。
「ん……あ、これ面白そうですね。海藻でしょうか? これは……海竜の骨でしょうか。これも回収しておきましょう」
 そうして後々使えそうなものは亜空間に、それ以外のものは触手で編んだカゴの中に。
 ゴミを集めながら歩いていくと、少し遠いところに同じように屈みながらゴミを拾い上げている人影があった。
「おや……あそこにいるのは」
 青っぽい肌に尾びれに背びれ。間違いない。怜悧は近づいて声をかけていく。
「こんにちは、アレッサンドロさんですか?」
「ん? ああ、そうだけれど……君は? 島では見ない顔だけれど」
 声をかけられたアレッサンドロは振り返ってきょとんとした。確かにルーチア島の中で見る顔のはずがない。こんな海上から隔絶された島では、外から訪れるものも多くないのだろう。
 簡単に怜悧が自己紹介をすると、納得したようにアレッサンドロは頷いた。
「そうかぁ、島の外から来た人かぁ。わざわざ水上からご苦労さまだねぇ」
「いえ、アレッサンドロさんこそ毎日お疲れさまです。随分ゴミが流れ着いているようですが、手に余るようなものはありますか?」
 それとなく水を向けると、アレッサンドロは少し困ったように後方を見た。視線の先には海賊船の残骸らしい、巨大な構造物が無造作に置かれている。
「そうだなぁ……あの、あそこにある大きな船の残骸が、どうしようかなぁって思ってるんだよね」
「なるほど、あれは大きいですね……ちょっと待って下さい」
 怜悧はその船の残骸に近づくと、それに触手を巻きつけた。力をかけると、かなりの重量があるはずの残骸が軽々と持ち上げられる。
 亜空間を開けば、怜悧はその中に船の残骸を放り込んだ。
「よいしょ、っと。財宝はなくとも資材にはなるでしょう」
「おお……」
 一連の非常にスムーズな片付け方を見て、驚きに目を見張っているアレッサンドロだ。
 そんな彼に、怜悧はにこやかに笑みを見せながら声をかける。
「アレッサンドロさんは、ゴミ掃除は長く続けておられるのですか? 今まで見つけた中で何か面白いものはありましたか?」
「んん、そうだなぁ……先月に流れ着いてきた黄金のネックレスは面白かったなぁ。ただの綺麗で出来栄えのいいネックレスだったんだけど、いい値で売れてねぇ」
 そうして雑談を行いながら、二人は改めて海岸の掃除を再開していく。いわく、アレッサンドロが見つけた黄金のネックレスはメガリスでこそなかったが、財宝としてかなりの収入になったんだそうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・チタノ
深海島とても幻想的な所だけどこんなにゴミがあったら台無しだね、あのヒトがアレッサンドロさんだね?
ゴミ拾い手伝わしてください、昔ボクを育ててくれたヒトがゴミ拾いと人助けは反抗の美学・・・美徳だっけ?まあそんな感じなこと言っていたんです
でも流石に二人だと時間がかかるから姉妹達も呼びますね?
この反抗はみんなのために
ボク達は反抗の加護のおかげで重力操作能力があるんです、だから重たいものも重力を操ってこの通り、さあみんなこの島をキレイな島にしよう



●一年間使わなかったのなら一生使わない
 島の外に広がる海を見ながら、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)はそっと赤い瞳を細めた。
「深海島……とても幻想的な所だけど、こんなにゴミがあったら台無しだね」
 海の中の島というとてもいい雰囲気の島でありながら、ゴミが沢山流れ着くという残念さ。これはゴミを片付けないと、景観が台無しだ。
 静かにニクロムが海岸のゴミを拾うアレッサンドロに近づいていくと、身体を上げたアレッサンドロがこちらを振り返った。
「ん?」
「アレッサンドロさんだね? ゴミ拾い手伝わしてください、昔ボクを育ててくれたヒトがゴミ拾いと人助けは反抗の美学……美徳だっけ?」
 話していると、若干自分でもはっきりと言いたいことがわからなくなったらしい。首を傾げつつ、ニクロムは苦笑した。
「まあそんな感じなこと言っていたんです」
「うん、まぁ何となく分かるよ、言いたいことは。手伝ってくれるなら助かるなぁ」
 アレッサンドロも苦笑しながら首をかいた。ニクロムの言わんとすることは、とりあえずアレッサンドロにも伝わったらしい。
 ともあれ、二人で協力して掃除を始めよう、とアレッサンドロが動き出そうとしたところで。ニクロムが静かに目を閉じた。
「でも流石に二人だと時間がかかるから姉妹達も呼びますね?」
「うん?」
 彼女の言葉にアレッサンドロがもう一度首を傾げる。と、そこでニクロムが手を高く掲げた。
「この反抗はみんなのために」
 そう声を上げると、ニクロムの周囲にたくさんの少女が姿を現した。人数にして109人。あまりにも大人数が召喚されたものだから、アレッサンドロがあからさまに驚く。
「うわっ」
「さあみんなこの島をキレイな島にしよう」
 そんなアレッサンドロをそのままに、ニクロムたちが海岸に散らばっていく。数人ずつでグループになって、たくさん海岸に流れ着いている船の残骸や重たいエンジンなどを持ち上げて片付けていく。
「ボク達は反抗の加護のおかげで重力操作能力があるんです、だから重たいものも重力を操ってこの通り」
「おぉ……すごいねぇ。大きいゴミも多いから助かるなぁ」
 ニクロムの言葉に目を大きく見開きつつも、アレッサンドロは嬉しそうだ。こうしてニクロムたちはアレッサンドロと協力しながら、海岸のゴミをどんどん片付けていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キング・ノーライフ
ビーチコーミングという奴か、本職にしている者は珍しい。
しかしメガリスを持って平気とは、海賊の資質があるのか?
面白そうな相手ではあるな。

【狸塚の呼び鈴】と【神は神を呼ぶ】で二人を呼び、コツを聞いて我々もやってみるか。邪神には気に入った物を見つけたらくれてやろう、流石に冒涜的な物や宝は見つからんだろうが。そして何気に従者と邪神は初邂逅か、どうなるか想像がつかんが揉めはせんだろう、多分。(楽観視)

さ我もゴミ拾いがてら装飾に使えそうな珊瑚やシーグラス、インテリアに使えそうな大きな木の枝等を探すとするか。しかし何故かあの二人の戦利品をひたすら交互に見せられる気がする。まあ二人が楽しんでるのは悪くないか。



●きれいな家に貧乏なし、汚い家に金持ちなし
 海に沈んだ島の海岸で、キング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)はそっと金の目を細めた。
「ビーチコーミングという奴か、本職にしている者は珍しい……しかし。海賊の資質があるのか? 面白そうな相手ではあるな」
 意識を向けるのはアレッサンドロだ。確かにメガリスを手にしても兵器でいられるのは、相応の素質があってのことだろう。ただの島人であるとは思いにくい。
 と、そんな事を考えられているとはつゆ知らず、アレッサンドロがキングへと振り返る。
「ん……貴方も島の外からのお客さんですか?」
「そうなるな。アレッサンドロ、お前を手伝いに来た」
 キングがきっぱりそう言うと、名前を呼ばれたアレッサンドロが目を丸くする。しかし、そういうこともあろうとすぐに気を取り直して頷いた。
「あ、ありがとうございます。お手伝いは歓迎です」
「うむ。ちなみにこれを本職にしているとのことだが、コツなどあるのか?」
 彼にキングが話を振ると、アレッサンドロは小さく首を傾げて考え込んだ。そして彼は、ゆっくりと口を開く。
「コツ……そうですねぇ、海岸の砂に埋れているゴミも結構あって、そういうゴミが埋まっているところは不自然に膨らんでいますから。よく観察するのは大事ですよ」
「なるほどな」
 その言葉に、キングが海岸に視線を向けた。確かにこの海岸は凸凹としている。ただ砂だけがあるというふうには、とても見えない。
 きっと、砂の下にお宝が埋まっていることもあるはずだ。そう考えてキングは呼び鈴を取り出す。
「よし、狸塚、邪神、出番だ」
「かしこまりました」
「あー」
 それがちりんと鳴らされれば、呼び出されるのは従者の狸塚・泰人だ。どうじに少年の邪神も呼び出される。
 二人並んで砂浜に降り立つや、はたと顔を見合わせる両名だ。
「……あれ、今日は一緒にお出しになるんですね?」
「あー?」
「そういえば仕事で邂逅させるのはこれが初めてか。まあ、上手くやってくれ。それと気に入ったものがあったらくれてやる」
 きょとんとした様子の邪神の頭をなでながら、キングが告げる。実際、彼らにも興味深いものがこの海岸には眠っているはずだ。
 くれてやる、その言葉にぱっと表情を明るくして駆けていく泰人と邪神だ。
「よーし、探しましょう! 行きますよー!」
「あぁー!」
 嬉々として走っていく二人を見送り、キングが小さく口角を持ち上げた。
「……フッ」
 そしたら後は仕事の時間だ。ゴミを拾いながら、キングは部屋のインテリアに使えそうなめぼしいアイテムを探していく。
「ふむ……この流木は使えそうだな。この珊瑚も悪くはない」
 大きく形の良い流木を拾い上げ、あるいは白化した珊瑚の枝を拾い上げ。そうしていい具合のアイテムを拾い集めつつゴミを拾っていると、海岸を泰人と邪神が揃って駆けてくる。
「ご主人様ご主人様、見て下さいこのシーグラス、すごく綺麗です!」
「あぁ、あぁぁー!」
 泰人の手には大ぶりのシーグラス。これは透き通っていて光をよく反射している。
 邪神の手には珊瑚の欠片が。キングの持つ珊瑚とはまた趣が違う。若干邪悪な空気も感じるほどだ。怪しいものでなければいいのだが。
「……ん、まぁ、まあ二人が楽しんでるのは悪くないか」
 従者と神の楽しそうな声を聞きながら、キングはもう一度目を細めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

バロン・ゴウト
深海の中にある島……こんな機会でもなければ絶対に行けない場所なのにゃ。
出来ればゆっくり見て回りたいけど、その前にお仕事はきっちりこなすのにゃ。

【視力】を活かして細かいゴミを中心に拾い集めるのにゃ。
ゴミを拾いつつアレッサンドロさんに接近し、【コミュ力】を活かしてまずはご挨拶なのにゃ。
「こんにちは。お兄さんも海岸のお掃除中にゃ?ボクもなのにゃ。」
そのままおしゃべりしつつ一緒にゴミを拾い、大きなゴミや重いゴミは協力して【運搬】するのにゃ。

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●今日が最後のゴミの日だと思いなさい
 島の海岸を、バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)はゆっくり歩いていた。海岸から海を見ると、海の向こうには空気の層。その向こうにはまた、青々とした海。
 幻想的な風景だ。海の只中に浮かぶ島など、普通にグリードオーシャンを行き来していたのでは到底行ける場所ではなかっただろう。
「深海の中にある島……こんな機会でもなければ絶対に行けない場所なのにゃ。出来ればゆっくり見て回りたいけど……」
 もっとゆっくりと見て回りたいし、島の人々と交流もしたい。けれど、そのためにはこの島でやるべきことをやらねばならない。
「その前にお仕事はきっちりこなすのにゃ。ゴミ拾い、ゴミ拾い」
 つまり、海岸のゴミ掃除だ。既に大きなゴミは他の猟兵があらかた片付けてくれているから、残りは小さなゴミを細かく拾い上げていく作業だ。
 そうして細かなゴミを拾い上げて、袋に集めていく中で、バロンはある人物の姿に気がつく。
「んー、小さなゴミも結構流れ着いているにゃ……にゃ?」
 影が海岸に落ちたのを見て見上げると、そこにはミンククジラの長い尾ビレ。アレッサンドロがそこに立っていた。
「こんにちは。お兄さんも海岸のお掃除中にゃ? ボクもなのにゃ」
「ん? あ、ああ、そこにいたのか。こんにちは、精が出るねぇ」
 コミュ力を駆使して、バロンがアレッサンドロに声をかける。背の高く、かつ尾ビレが大きいアレッサンドロはバロンの姿を見つけるのに少し苦労したようだが、一緒にゴミ拾いをする相手だと知ると、すぐに表情をほころばせた。
 そうして二人で一緒に海岸のゴミ拾い。背丈の低いバロンは、海岸の細かな砂に埋れたゴミを拾うのにも一役買った。
「お兄さんは、もうずっと海岸のお掃除をしているのにゃ? こんなにたくさんのゴミを片付けるなんて大変だにゃー」
「いやあ、そんなに大変でもないよ。島の皆が持ち回りで掃除しているし……僕は単に、好きだからやっているだけだしねぇ」
 アレッサンドロ曰く、前々からこの島の海岸は海中のゴミが流れ着くことが分かっていて、島の住民が交代交代で海岸の清掃を行っているのだそうだ。
 アレッサンドロはそれとは別に、こまごましたゴミを探しては片付けているらしい。今日は大型のゴミも根こそぎ掃除できたので、今日の掃除担当が困惑しそうだ、と笑った。
「ところで……大きいゴミや重たいゴミは、もう片付けられた後にゃ?」
「あ、うんうん。さっきも手伝ってくれた人たちがいてねぇ、大きいゴミはその人たちがやってくれたんだ」
 そう話しながら、アレッサンドロが足元の物体にかかった砂を払う。と、その物体を見たバロンが砂浜に手を付いた。
「ん……あれ?」
「どうしたの? ……あ」
 物体に顔を近づけたバロンを見て、アレッサンドロも身をかがめる。そして、砂浜に埋もれるようにして底にあったのは。
「これは……」
「……クロスボウ、にゃ?」
 メガリス、『鮫肌のクロスボウ』。それがこの砂浜で、ようやく姿を見せた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス』

POW   :    海喰覇龍ド・ラ・ケートゥス
【驚異的な吸引力で周囲のものを吸い込み】【隕石をも喰らう牙で噛み砕く。捕食物を】【吸収し必要な物質に原子レベルで変換する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    狂濤雷葬ラ・ト・ヴァジュラ
【全身】から【半径300mに放射雷撃とそれに伴う電熱】を放ち、【遠距離の敵にはプラズマレーザーを放つ事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    冥海災渦デ・ジ・カリュブディス
【電撃と海流を乱し生み出す渦による巨大雷渦】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に残り、雷渦から電気を吸収し自身を強化】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●いつか読むつもりの「いつか」は永遠に来ない
「メガリス!」
「わっ!?」
 途端、海面がざばーっと派手に破裂した。そこから轟音を響かせて、モササウルスが飛び出してくる。
 モササウルスはアレッサンドロの持つクロスボウに狙いを定めて、鋭い牙の生える口を開いて吼えた。
「メガリス! よこせ、渡せ!」
 その言葉に、大いにビビるアレッサンドロだ。だが、クロスボウを抱えながら猟兵たちの後ろに隠れつつ言葉を返す。
「と、突然出てきてなんだお前は!? たとえゴミじゃないとしたって、これはしかるべき手順で届けなければならないんだ!」
 このクロスボウが何であれ、海岸で発見された以上はこの島の持ち物だ。ならば、この島のルールに則って処理をする。当然の流れである。
 アレッサンドロが、自分の前に立つ猟兵たちに言葉をかけながらクロスボウを握った。
「すみませんが皆さん、あれの撃退をよろしくお願いします! 僕も、出来る限りお手伝いを――」
 そして、アレッサンドロの指がクロスボウの引き金にかかった時。ひとりでに矢が放たれ、その矢が海面に触れるや鮫へと姿を変えた。
「わっ!?」
「ぬぅっ!?」
 出現した小型の鮫は、モササウルスと比べたらとても小さな存在だったろうが。しかし水中を自在に泳ぎ、飛び出してモササウルスの身体に食らいつく。
「こ、これなら……! い、いきますよぉ!」
 攻撃手段を思わぬ形で得たアレッサンドロが、猟兵たちのさらに後ろにつきながらクロスボウを握る。もう一発、鮫がクロスボウから飛び出した。

●特記事項
 アレッサンドロ・アルデガニはメガリス「鮫肌のクロスボウ」を持って猟兵の援護を行います。
 「鮫肌のクロスボウ」の能力は断章に記載した通り、矢を放つとそれが小型の鮫になって飛び出し、自動で敵を追尾して攻撃するものです。攻撃力はそこまでではありません。
火土金水・明
明「今回は水中に特化した猟書家ですか。さすがはグリードオーシャンですね。」クロ「感心している場合じゃないにゃ。」明「おっと、そうでした。」(アレッサンドロさんとタイミングを合わせて攻撃をします。)
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】で【継続ダメージ】と【属性攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【沈黙の騎士と聖なる騎士】で、『狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【電撃耐性】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


バロン・ゴウト
出たなモササウルス!ボク達猟兵が相手になるのにゃ!
アレッサンドロさんは何より自分の身を守ることを優先してほしいのにゃ。援護はありがたいけど、くれぐれも無茶は禁物にゃ!

アレッサンドロさんに攻撃が向かないよう注意しつつ、【盾受け】で攻撃を防ぎながら隙を伺うのにゃ。
敵が【海喰覇龍ド・ラ・ケートゥス】を行った瞬間鞘を捨て、敵の吸引力を利用しながらの【金色の一閃】での【カウンター】攻撃で敵の鼻面を深く【串刺し】するのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。


ニクロム・チタノ
でたね猟書家アレッサンドロさんボクに考えがあります後ろに、合図するので構えてくださいどんな攻撃が来ても護り抜くので反抗の導きを信じて
すごい電撃でも
反抗をこの身に
チタノヤタテは八つの最強の盾を持つ、どんな電撃や高熱も通さないよ
まだもってボクの体敵の攻撃が終るまで
今だアレッサンドロさん撃ちまくって
よし、敵が狼狽えている今がチャンスボクの残った力を渾身の超重力に変えて斬り付けるよ
この一撃に反抗の加護と導きを


キング・ノーライフ
真の姿(金属の翼に肩当装着)
うーむ、技を見るとヘタに離れるとアレッサンドロは危険になるな。
【白野入鹿】に一緒に跨り、【見切り】と【操縦】で回避しながらアレッサンドロにコツコツ当ててもらうか。

焦れてこちらにレーザーではなく接近しての電気を狙ったら好機、【雷獣の毛皮】の【電気耐性】で雷撃をいなし、電熱が伝う前に【ドルフィン・ソロオーケスラ】による超音波を叩きこむ。この手の物は超音波はとてもやかましくて攻撃に集中できまい。

そしてコヤツらの弱点は腹を守る骨が無いので腹へのダメージ、その隙に腹に【鎧無視攻撃】の【衝撃波】を叩き込む事で追い込んでいくとしよう。サメモドキに神が負ける訳にはいかんのだ。


水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
人格:アノン
でけェな。喰いでがありそうだ
『ケルベロス』の液体金属を纏い、5mほどの黒い狼のような姿になる
鮫は目くらましにさせてもらうか。下から飛び出あるなら頭の上は隙が多いだろ。全身を光属性の触手で覆い透明化。足に風の触手を纏い、空中を蹴って上から近づく。爪に氷の触手を纏い、冷気で切り裂きつつ温度を下げてマヒ攻撃だ
「ヒャハハハハ、っと、危ねェ」
雷渦を野生の勘で回避、尻尾に雷属性の触手を纏って電撃を受け流すぜ
再度姿を消し、上へと回り込む。さっきより早く気づかれるだろうから、噛みついてきたら腹の方に回り込み、柔らかそうな場所を狙って逆に喰い千切ってやる



●大は無駄を兼ねる
「メガリス! メガリスをよこせ!」
 空中を飛ぶモササウルスが、大きく口を開けながら吠える。その姿を睨みつけながら、バロンは黄金のレイピアを構えた。
「出たなモササウルス! ボク達猟兵が相手になるのにゃ!」
 バロンの横に立つ怜悧の一人格、アノンも、凶暴な色を瞳に浮かべた。『暴食の王・ケルベロス』の液体金属が彼を取り囲む。
「ハッ、でけェな。喰いでがありそうだ」
 液体金属が渦を巻いた次の瞬間、その渦を破って飛び出すのは体高5メートルほどの巨大な黒い狼だ。アノンが姿を変えた狼が、赤い瞳を輝かせながらモササウルスをにらみつける。
 アノンの姿に目を見開いているアレッサンドロを庇うように立ちながら、バロンが声を上げた。こうしている間にも敵は攻撃を仕掛けてくるかもしれないのだ。
「アレッサンドロさんは何より自分の身を守ることを優先してほしいのにゃ。援護はありがたいけど、くれぐれも無茶は禁物にゃ!」
「わ、分かりましたぁ! でも……」
 頷きながらも、アレッサンドロは困惑した表情だ。当然といえば当然だろう、いくら距離を保ったとして、モササウルスには遠距離攻撃の手段もあるのだ。
 キングが難しい表情をしながら腕を組み、傍らにイルカの白野入鹿を呼び出す。
「そうだな、ヘタに離れるとアレッサンドロは危険になる。ここは我とともに行動して遠距離からコツコツと――」
「待ってください」
 そうして自分と一緒に入鹿に跨がらせようとしたところで、声を上げるのはニクロムだった。彼女は自分の胸に手を当てながら、きっぱりと言う。
「アレッサンドロさんはボクが守り抜きます。どんな攻撃が来ても通さない」
 その言葉に、全員が目を見開いた。火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)も心配そうな表情をしながらニクロムに声をかける。
「大丈夫ですか? 確かに距離を取っていれば、その分吸い込み攻撃や雷撃は防げるでしょうが、レーザーは……」
 生半可な防御力で、アレッサンドロを守り切ることが果たして出来るか。頷くニクロムを見ながら、アノンが声を上げた。
「いや、逆にありじゃねぇか。遠距離にいれば飛んでくる攻撃はレーザーだけだ。そのレーザーを防ぐ手立てがあるってんなら、いけんだろ」
 彼の言葉に、もう一度ニクロムが頷いた。確かに距離を保った状態を維持すれば、恐れる必要があるのはレーザーのみ。そのレーザーを防ぐ手段がしっかりあるのなら、ここでニクロムに守らせるのは安定だろう。
 キングも納得した。ニクロムに目を向けて小さく頷く。
「そうか。ならば任せる」
「はい」
 短く言葉を返しながら、改めてニクロムがアレッサンドロの前に立った。刀を抜き、強く声を発する。
「行きますよアレッサンドロさん、反抗の導きを信じて」
「は……はい!」
 その言葉が合図だ。アレッサンドロがクロスボウを構えると同時に、猟兵たちもおのれの武器を構える。
「よし、行くのにゃ!」
 そしてバロンの言葉とともに、ニクロムを除く猟兵たちは海の上へと飛び出していく。それを追いかけるようにアレッサンドロのクロスボウから鮫がいくつも放たれた。

●「あとで」はガラクタの最良の友だち
 海岸の際に立ちながら、明は巨大な敵を見据える。
「今回は水中に特化した猟書家ですか。さすがはグリードオーシャンですね」
 グリードオーシャンという海の世界、猟書家もやはり海での行動に長けたものになるのだろうか。そんなことを思案しつつ微笑む明に、黒猫クロがぴしゃりと言葉をかけた。
「ご主人、感心している場合じゃないにゃ」
「おっと、そうでした」
 今は戦闘中、モササウルスを見に来たわけではないのだ。後方のアレッサンドロに声を飛ばす。
「アレッサンドロさん、攻撃のタイミングはおまかせします。ですがニクロムさんの後ろからは出ないように」
「わ、分かってます!」
 明の言葉にアレッサンドロも返した。合図を出すよりはアレッサンドロに攻撃してもらい、それに明が合わせたほうがやりやすい。
 アレッサンドロを狙ってか、モササウルスが大口を開けてこちらに向かってくる。
「邪魔立てをするな!」
 猛々しく吠えるモササウルスが海上に飛び出す。その瞬間に明が杖を振るった。
「静けさと聖なる光に包まれて消えなさい」
「鮫さん、よろしくお願いします!」
 無数に放たれる魔法の矢と、何頭もの鮫。それがモササウルスの身体に殺到し、牙を立てた。突進の勢いを削がれたモササウルスがぎりと歯噛みする。
「ぐ……っ!」
 と、その一瞬閉じられた口が大きく開いた。まるでドラゴンがブレスを吐くように、口からレーザーが放たれる。
 当然、それが向かうのはアレッサンドロの方だ。明が大声を上げる。
「ニクロムさん!」
「大丈夫です!」
 しかしそこにはニクロムがいるのだ。刀を横に振り抜くようにした彼女の、胸の印が光りだす。
「反抗をこの身に」
 刹那、ニクロムの身体が膨れ上がるように巨大化した。八つの盾を構えた巨大な竜へとその姿を変じる。
 反抗の竜、チタノヤタテとの合体。その竜の力を表出させたニクロムが盾を構えると、その盾にレーザーが直撃した。強烈な光が海岸を覆う。
「わ……!」
 思わず声を上げて顔を覆ったアレッサンドロだが、レーザーが抜け出てくる様子はない。あれだけ自信満々に話したニクロムの防御は、相応に自信のあるものだったらしい。。
「なるほど、あの盾があればレーザーなど恐れる必要はないか」
「キュイッ!」
 入鹿に騎乗して海上を滑りつつ、『ノーライフ』でモササウルスを牽制していたキングはほくそ笑んだ。ああした防御があるのなら、自分の後ろに乗せて攻撃させつつ回避してもらうより安全だ。
 と、キングの言葉に入鹿が一鳴きして返した。その言葉の意味を汲み取ったキングが白い身体を優しく叩く。
「分かっている。回避はしっかり頼んだぞ、入鹿」
 そうしてキングは海中に潜った。モササウルスがいかに海中で素早く動くといえど、猟兵にもやりようはあるのだ。
 アノンも海に潜り、大きく足を動かしながらモササウルスを追っていた。水中には何体もの鮫が泳ぎ回り、モササウルスに攻撃を仕掛けている。それに紛れるように動けば、向こうにはなかなか気づかれない。
「ハ、鮫がどんどん飛んでくれているおかげで目くらましにゃちょうどいいぜ」
 ニヤリと笑いながらアノンは触手を身体にまとわせた。光の触手で屈折率を変えて自身を覆い隠し、風の触手で海の中を蹴って浮上する。
「触手ども! お前らの仕事を果たせ!」
 すっかり姿の見えなくなったアノンを、モササウルスは見つけられなかった。体高5メートルの黒い狼、ともすれば目立って仕方ないだろうが、これも触手の力によるもの。
「どこへ行った猟兵! 隠れていないで姿を見せろ!」
 頭を動かしながら敵を探すモササウルス。しかし反応に変わりがないことにしびれを切らしたモササウルスがぐ、と頭を下方向に下げた。
「来ないならこちらから――」
「そらっ!」
 その顕になった脳天に、アノンは思い切り前足を振り下ろした。爪には氷の触手をまとわせ、冷気を付け加えるおまけ付き。水中での体温低下は致命傷だ。
 結果的に、モササウルスの動きが鈍り始める。
「ぐお……! なんだ、これは……!」
「ヒャハハハハ! っと、危ねェ」
 高笑いを上げるアノンだが、すぐにモササウルスから距離を取った。その場でモササウルスが身体を回転させ、海竜を乱して雷渦を作り出したのだ。
 盛大な破裂音を響かせる大渦の中に収まったモササウルスを、泳ぎながらヒットアンドアウェイで攻撃していたバロンが見やる。こう渦の中にいられては、接近しての攻撃は困難を極める。
「あの雷渦、あそこに立たれるとなかなか近付けなくて厄介なのにゃ……!」
「バロンはこちらに来い、機を伺って、隙きができたら飛び出せばよかろう」
 そこにちょうど通りかかったキングがバロンの身体を拾い上げる。そしてそのまま、彼は海面に向かって浮上を始めた。

●人生はとても単純なのに、人はそれを複雑にしたがる
 雷渦が収まって、再び攻撃を再開する猟兵たち。思い通りに行かないことに腹が立ったらしいモササウルスが、酷く苛立った声を上げた。
「おのれ、おのれおのれ!」
 大きく口を開けたモササウルス。その口の中に海水がどんどん飲み込まれていく。明が大きく声を上げた。
「吸い込み攻撃です!」
「入鹿、距離を取れ!」
 バロンを乗せたままのキングも、入鹿に距離を取るよう指示を出す。だがその時。入鹿の鼻先に乗っていたバロンが、そこから飛び出した。
「今だにゃ!」
「えっ!?」
 明が驚きの声を上げたのも無理はない。吸い込みの威力に負けてそこから離れたのではなく、自分から入鹿の鼻先から離れたのだ。ぐんぐんとモササウルスの、開かれた大口に向かっていく。
「バロンさん!」
「何してやがる、あぶねぇぞ!」
 ニクロムとアノンも思わず声を上げた。このままでは小さなバロンの身体は、モササウルスの口の中に一直線だ。
「愚かな! 食い滅ぼしてくれる!」
 モササウルスもバロンをバカにするように声を上げる。だが、当然バロンも食われるために身を投げたはずはない。
 黄金のレイピアの鞘を彼が投げ捨てた途端、その身体がぐい、と別の方向に飛び出した。
「そうはさせないのにゃ!」
「なっ」
 剣を突き出して向かう先は、モササウルスの鼻先だ。驚きの声を上げたモササウルスの鼻に、レイピアが深々と刺さる。
 これこそがバロンの狙いだったのだ。吸い込みによって海水を吸い込まれる中に飛び込み、移動速度を高くしながら攻撃する。一歩間違えれば大惨事だが、そこはバロンも熟練の猟兵だ。
 結果として作戦は成功、モササウルスが痛みに悶え苦しんだ。
「ぐぉぉぉ!!」
 頭を激しく振るモササウルス。その鼻先に取り付いたままのバロンが、レイピアで何度も顔面を突き刺した。その様子を見ていたキングが苦笑しながら入鹿をけしかける。
「全く無茶をする。だがそれが狙いと言うなら認めよう」
「はい。それが作戦なのですから」
 明もほっと息を吐きながら杖を出した。作戦であるからこそ、あんな無茶も出来るのだ。
 そしてニクロムも、これまでのモササウルスの猛攻をしのぎきった。体力は限界が近いが、気力はまだ萎えていない、後方のアレッサンドロに声を飛ばした。
「……よし、耐えきった! 今だアレッサンドロさん、撃ちまくって!」
「あ、は、はいっ!」
 言われるがままにアレッサンドロがクロスボウを可能な限り撃ちまくる。何頭もの鮫が飛び出して、次々にモササウルスに食らいついた。
 勢いは完全に猟兵にあった。何頭もの鮫が身体に食らいついてくるのを、モオササウルスは振り払うことも出来ない。
「おのれ……!」
 忌々しげに見てくるモササウルス。ここでとうとうニクロムは前に飛び出した。ありったけの力を込めて、刀に重力をまとわせて斬りかかる。
「この一撃に反抗の加護と導きを!」
 力強く発した言葉。それとともにニクロムの刀が、モササウルスの顎を両断した。
「ぐ……!」
「隙きができたな。今こそ好機だ入鹿、盛大に響かせろっ!」
 その攻撃に押されて攻撃の手が止まる。その隙きを突いて猟兵たちは一気に前に飛び出した、キングが入鹿に指示を飛ばすと、入鹿が強烈な超音波をモササウルスにぶつけていく。
「ぐぉぉぉぉ!!」
 激しい音にモササウルスは水中で悶え苦しんだ。そうしてちらりと、今まで近づくことが出来なかった故に攻撃できなかった、モササウルスの柔らかい腹が見える。
 そこにキングが潜り込んだ。拳を激しく叩きつける。
「はっ!」
 その一撃は衝撃波を伴ってモササウルスを襲った。強烈な一撃にモササウルスの身体が浮き上がる。
 海面に打ち上げられたその巨体を、明も見逃さない。再び杖を大きく振るった。
「ここです! 騎士たちよ、光の刃を!」
 放たれるのは幾本もの光の軌跡、それがモササウルスの傷だらけの身体に殺到した。
 バロンも負けていない。レイピアを突き出しながらモササウルスにさらに傷を与えていく。
「ボクたちは絶対に負けないのにゃ!」
 負けない。その気持ちが猟兵たちを後押しする。
「お、おの、れ、猟兵……!」
 全身から血を流しながらモササウルスが猟兵たちを睨みつけた。もうその姿に、本来の恐ろしさは無い。
 そしてアノンが一気に飛び出した。海面近くまで浮き上がったモササウルスの腹に突撃し、その鋭い牙を突き立てる。
「てめぇの敗因は只一つ。オレたちが相手だったことだ! 死になぁ!」
 そういうや、彼はモササウルスの腹を大きく食い破った。
 腹を破られてはモササウルスもたまらない。断末魔を上げながら身体から力を抜いていく。
「が……」
 ぷかり、海面に浮いたモササウルスの身体が力なく波間に漂う。その死体を鮫たちが食い尽くしていくと、満足したのかモササウルスの骨と一緒に、海へと消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年07月14日


挿絵イラスト