2
天空の宝石少女~風のカーバンクル

#ブルーアルカディア #幻獣

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ブルーアルカディア
#幻獣


0




●晴天を破る襲撃
 空に浮かぶ天空の島。天上世界ブルーアルカディアにおいて、不思議な力で浮遊する大陸こそが、人々の住まう大地でもある。
 空と雲が他の世界の地上より近い以外、そこは牧歌的な風景がどこまでも広がる、のどかな草原だった。どこにでもある、田舎の村といった感じだろうか。雲から千切れ、零れ落ちたような毛並みの羊達が、のんびりと草を食んでいる。
 だが、そんな平穏は、この世界においては決して長く続かない。一瞬、空に黒い影が現れたかと思うと、そこから降下して来た機械の翼を持った少女達。
「降下完了……。これより、ターゲットの捜索を開始するわ」
「了解。各員、散開して行動せよ。抵抗の意思に関係なく、ターゲット以外の住民は全て抹殺。天使核など、有用な道具が入手できた場合は、回収しておくことを忘れないようにね」
 降下を終えた少女達は、それぞれ手にした工具を武器に村の中へと散って行く。自らの足、そして武器として、小型の飛空艇を従えて。
 かくして、村は勇士達の到着を待つまでもなく壊滅させられ、オブリビオンに堕ちた技師達は、その中から一人の少女を連れ去って行った。

●狙われた幻獣
「ブルーアルカディア……新たに発見された、雲海に浮かぶ大陸世界で、オブリビオンの襲撃が予知された」
 このままでは、村の人間が虐殺され、非道なる略奪が行われる。猟兵として見過ごすわけにはいかないと、霧崎・紫苑(機械仕掛けの闇医者・f32327)はグリモアベースに集まった猟兵達に、新たなる世界で起こる事件についての説明を始めた。
「襲撃があるのは、浮遊大陸に存在する田舎の村だ。どうも、ただの略奪行為ではなく、明確な目的があるようだが……いったい、それが何なのかまでは、私にも分からなかった」
 強いて言えば、最後にオブリビオン達が、幻獣の少女を一人連れ去る光景が見えたということだけか。恐らくは、敵の狙いはその幻獣だろう。
 幻獣といえばイフリートが有名だが、他にも様々な種族がいる。どれも、古代魔法により召喚された『魔力ある獣の種族』であり、彼らの中には他にない不思議な力を持っている者もいる。
「私も詳しいことは知らないが、浚われてしまう幻獣の少女は、カーバンクルという種族らしい。額に真紅の宝石を持っている半人半獣の幻獣だが……今回の事件で狙われている少女の宝石は、青白い色のものだった」
 果たして、単に珍しいから狙われたのか、それとも他に何か理由があるのか。そこまでは分からないが、虐殺と誘拐を放ってはおけない。
「浮遊大陸に出現したのは、ガレオンドラゴン型のオブリビオンが一体と、それに搭載された飛空艇技師のオブリビオン達だな。艦載機として、技師の使う小型の飛空艇も多数確認されている。非戦闘員だと思って甘く見ていると、足下を掬われるかもしれんぞ」
 こちらが村に到着でいるのは、敵の降下した直後となる。飛空艇技師達は、まず最初に人のいない草原地帯へと現れるので、彼女達が村へと向かう前に、全て撃破する必要がある。
「降下した部隊が全滅すれば、ガレオンドラゴンが自ら降下してくるだろう。村人や幻獣の保護をするにしても、まずは敵を全滅させなければ、余計な戦いに巻き込んでしまう可能性もある」
 敵の出現する場所が町ではなく村、それも民家のある集落から離れているのは幸いだ。気になる点も色々とあるが、まずは敵の撃破を優先して欲しい。
 そう言って、紫苑は猟兵達を、ブルーアルカディアの浮遊大陸へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 新世界は浮遊大陸の大冒険!
 と、いうわけで……ドラゴン型の飛空艇と、それに搭乗しているオブリビオンの技師達との戦いになります。
 幻獣のことなども気になりますが、まずは目の前の敵を倒してから、改めて村の人々と交流しましょう。

●第一章
 『堕ちた飛空艇技師』との集団戦になります。
 周囲に民間人はいませんが、彼女達は自らの武器として、小型の飛空艇を従えています。
 障害物の少ない平原での戦いになりますので、その点も考慮して戦った方が良さそうです。

●第二章
 『ガレオンドラゴン』とのボス戦です。
 単機でも複数の小型飛空艇以上の戦闘力を誇ります。

●第三章
 浮遊大陸の人々と交流するか、あるいはターゲットにされていた幻獣の少女と接触できます。

●幻獣の少女
 額に真紅の宝石を宿す、カーバンクルと呼ばれる種族の少女です。
 彼女の額には、通常とは異なる色の宝石が宿っているようですが……。
191




第1章 集団戦 『堕ちた飛空艇技師』

POW   :    飛空艇落としの技術
【装甲剥がしの攻撃】が命中した部位に【侵蝕性オブリビオンオイル】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    高速改造の技術
自身の【修復技術により味方の飛空艇】を【高速改造し、現状に適した形体】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ   :    飛空艇解体計画
【敵の飛空艇を解体する飛空艇技師】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[敵の飛空艇を解体する飛空艇技師]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。

イラスト:雑草サキ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

久留米・圓太郎
■WIZ
なるほど「魔力を秘めた宝石」は、カーバンクルの身体の一部とあっては、それまさかの「乱獲」?
宝石売り飛ばすブローカーの存在もあり得そうだし……これは拙い。
魔法使いの名において、潰しにかかるか!

……いや、守る相手が女の子だから、じゃないぞ!うん!

■戦闘
技師を集める気か?なら、オレも手数を増やして対抗だ!
[ウィザード・ミサイル]を【範囲攻撃】のせで、一気に焼き払ってしまおう。そうすれば、降下出来る場所を、分散させられて各個撃破がよりしやすくなるかもしれん。

集める途中ならば、集められてしまう前に【高速詠唱、全力魔法、2回攻撃】でそうそうに倒してしまおう。

※アドリブ、連携は歓迎します


フレミア・レイブラッド
新しい世界に着いて早々、女の子の誘拐に虐殺なんて物騒な話ね…。まぁ、見過ごすわけにはいかないし、早急に撃退させて貰おうかしら

【ブラッド・オブリビオン】で「荒野に飛来する氷鳥達」の「氷雪の鷲獅子」を召喚。
鷲獅子に【極寒の風】や【凍てつく息吹】を指示し、随伴する小型飛空艇の撃墜及び敵本体の凍結による戦闘不能を指示。
自身も鷲獅子の攻撃に合わせて凍結の魔力弾【属性攻撃、高速・多重絵詠唱、全力魔法、誘導弾】による連射で飛空艇や技師の飛翔翼を破壊し、【念動力】や【怪力】で技師達を捕縛して拘束または撃破するわ

しかし、女の子の技師とは可愛らしいわね。何人か捕縛に留めて、後で魅了して眷属にしようかしら♪


ティエル・ティエリエル
お空の上でもがんばるぞー☆
襲ってくるオブリビオンをやっつければいいんだよね!
つまりいつも通り!えっへん、ボクに任せておいてよ♪

ようし、小型飛空艇の死角から飛びついて飛べないように壊しちゃうぞ!
翼や浮遊機関を壊して落っこちちゃえー☆
ふふーん、飛空艇からの攻撃だと思ってるみたいで一生懸命探してるみたいだけど見つからないよーだ!
最後は【お姫様ビーム】をどっかーんと撃ってフィニッシュだ♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


カーバンクル・スカルン
はいはい、あなた方。あんな巨大なガレオンから降りてきてこの先に何の用事かな? お姉さんにちょっと話してみんしゃいなー?

逃げるようが逃げまいが、陸を行こうが空に飛ぼうが私のやることは変わらない、車輪を投げて【出発しんこー!】
こんな広くて見通しの良い場所ならずっと見失うことなく指を差し続けていられるねー!

あなた達、飛空艇の解体作業はお手の物のようだけど、私のバラックスクラップを止める知識はおありかな? まあ工具を差し込む前に轢き飛ばされちゃうんだけどね!


エメラ・アーヴェスピア
空の広い世界ね…そして独自の技術もある、と
色々と調べたい事はあるけれど先ずは仕事ね
それじゃあ、猟兵の仕事を始めましょうか

広い草原に上から来る敵、そして広範囲攻撃は無し
ええ、とてもやり易いわね…とはいえ大型機を使うと装甲をはがされた後に色々とされるから…
『この場は既に我が陣地』、【砲撃】の弾幕で迎え撃つとしましょうか
相手の数が分からないけれどこの砲弾の雨を無事に抜けられるとは思わない事ね

※アドリブ・絡み歓迎



●降下部隊迎撃作戦
 グリモアベースから転送された途端、草原を吹き抜ける心地よい風が猟兵達の頬を撫でた。
 太陽が、他の世界に比べても思った以上に近い。それだけでなく、地平線の直ぐ向こう側に広がっている雲が、まるで山の如くこちらを見下ろしている。
 天空の浮島。話には聞いていたが、ここブルーアルカディアは、本当に空の上に浮いている島々の世界なのだ。
「空の広い世界ね……そして独自の技術もある、と。色々と調べたい事はあるけれど、先ずは仕事ね」
 だが、ともすればこのまま観光したくなる気持ちを抑え、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は改めてどこまでも広がる空を見上げた。
 情報によれば、この草原に降下したオブリビオンが、そのまま近くの村を襲撃し、幻獣の少女を攫うのだという。そんなことは、絶対に阻止せねばならない。略奪目的の無差別な虐殺など、どこの世界においても許されることではないのだから。
「それにしても……新しい世界に着いて早々、女の子の誘拐に虐殺なんて物騒な話ね……」
 この清々しい空気を台無しにされそうなことに、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は少しばかり不満顔。もっとも、今まで数多の世界で戦って来た彼女からすれば、今回の敵とてさしたる強敵ではないのかもしれない。それに、敵の狙いが珍しい幻獣だというのであれば、無法者による略奪で片付けて良い案件なのかも微妙なところだ。
「なるほど『魔力を秘めた宝石』は、カーバンクルの身体の一部とあっては……それまさかの『乱獲』?」
 もしや、幻獣の身体から宝石を引っこ抜いて売り飛ばす者がいるのではないかと推察する久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)だったが、真相は未だ不明のままだ。それでも、この地で虐殺が行われる以上、それを食い止めるのが猟兵の務め。守る相手が女の子だからやる気出すとか、そういうわけでは断じてない……たぶん。
「まあ、どこの世界でも、私達のやることは変わらないさ」
「襲ってくるオブリビオンをやっつければいいんだよね! つまり、いつも通り!」
 カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)の言葉に、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が頷いた。
 敵が空から降下して来るのであれば、こちらは対空用の作戦を展開すればいい。かくして、飛空艇を携えた技師達を迎え討つべく、猟兵達は各々の持ち場について敵を待ち構えるのであった。

●蒼穹防衛作戦
 澄み渡る青空を切り裂いて、突如現れた巨大なガレオン船。オブリビオン化したことにより船舶でありながら竜となった、ガレオンドラゴンが現れたのだ。
 単機でも複数の大型飛空艇と互角以上の戦力を誇る、恐るべき存在。だが、ガレオンドラゴンの真の恐ろしさは、なにも純粋な船の戦闘力だけに限らない。
「目標確認! 降下、開始!」
 ガレオンドラゴンから、次々と降下してくる飛空艇技師達。小型の飛空艇を携えた彼女達こそ、ガレオンドラゴンに所属する歩兵であり、メカニックであり、そして艦載機でもある。
 単独で中隊規模の戦力を輸送することができる。それこそが、ガレオンドラゴンの恐るべき能力。数にして、実に200体以上の飛空艇技師達と、彼女達の使う小型飛空艇を搭載できるのだ。これだけの数に襲われたら、小さな村や町など瞬く間に制圧されてしまい、勇士の一人や二人がいたところで、数の暴力の前に全滅である。
 だが、今回ばかりはガレオンドラゴンと、そして飛空艇技師達にとって相手が悪かった。なにしろ、彼女達を待ち受けるのは百戦錬磨の猟兵達。そんな彼らが地上で対空迎撃準備を整えて、それぞれ待機していたのだから。
「来たわね……砲撃、開始!!」
 まずはエメラが、呼び出した魔導蒸気砲台にて攻撃を開始した。その数、およそ500体。火力を重視しているが故に命中精度はそこまででもないが、それでもこれだけの数を集めれば、分厚い弾幕で容易に敵を近づかせない。
「地上からの迎撃!? 各員、回避して……きゃぁっ!!」
「くっ……! このままじゃ、こっちの飛空艇が先にやられてしまう!?」
 砲弾の雨による洗礼を受け、慌てて回避行動に移る飛空艇技師達。しかし、気が付けば既にそこら中が砲弾の嵐で埋め尽くされており、これを回避するのは至難の技だ。
「残念だったわね。ここは既に、私の砲撃陣地よ」
 この弾幕、抜けられるものなら抜けてみろ。仁王立ちで空を見上げるエメラを前に、飛空艇技師達は翻弄されるばかりであり。
「このままじゃ拙いわ! 各員、散開! 側面から回り込んで、被弾を減らすわよ!」
 このまま自由落下していても勝ち目はないと、飛空艇技師達は降下ポイントを変える作戦に出た。そのまま仲間と合流することで、更に力を強めようというのだろうが。
「技師を集める気か? なら、オレも手数を増やして対抗だ!」
 そうはさせまいと、圓太郎が炎の矢を放つ。こちらも、エメラの砲撃に勝るとも劣らない本数だ。慌てて避ける飛空艇技師達だったが、これではいつまでも再集結できず、真の力を発揮できない。
「きゃぁっ! 翼が!!」
「くっ……落下を制御できないわ!!」
 機械の翼をやられた者は、そのまま地表に叩きつけられ、泥塗れの肉塊となり消滅した。小型飛空艇が無事だった者は、なんとかそれに捕まることで、転落死だけは回避したようだが。
「血の隷属を用いて命ずる……。フレミア・レイブラッドの名の下に、嘗ての力を以て骸の海より戻り、わたしに力を貸しなさい」
 間髪入れず、フレミアが凍れる魔鳥を召喚した。凍てつく風を操る鷲獅子。空中戦の機動力なら、小型飛空艇にも負けはしない。
「今度は何!? いきなり、怪物が現れたわよ!」
「幻獣だとしても、あんな種族は今まで確認されていないけれど……凄く力の強い召喚士がいるというの!?」
 鷲獅子を知らない飛空艇技師達からすれば、フレミアの呼び出した存在は、幻獣の一種に見えたのだろう。その間にも、未知の敵を相手に戸惑っている彼女達へ、鷲獅子は情け容赦なく凍てつく風を叩き付け。
「しまった! 機関が凍り付いて落下する!?」
「きゃぁっ! 飛空艇が、いきなり爆発するなんて……これも、あの鳥の仕業!?」
 内部機関を凍結させられて落下する飛空艇が出る中、今度は唐突に飛空艇が大爆発! 次から次へと色々なことが起こり過ぎて、技師達は全く対処できないままやられて行く。
(「ふふーん、飛空艇からの攻撃だと思ってるみたいで、一生懸命探してるみたいだけど、見つからないよーだ!」)
 なお、そんな彼女達の様子を見て、ティエルは飛空艇の中でほくそ笑んでいた。
 フェアリーならではの小さな身体。それを利用すれば、小型飛空艇の中へ潜り込むことなど朝飯前。そうやって、内部に入り込んで中から機械を壊してしまえば、もう相手は自由に飛ぶことさえできないはずだ。
「な、なんてこと!? こちらの想定していた以上の戦闘力を持った勇士が、こんな田舎の村に集まっていたなんて……」
 信じられない。その言葉を紡ぐ前に、驚愕の色に顔を染めた飛空艇技師もまた、対空砲火の海へと沈んで行った。

●降りて来てからが地獄です
 圧倒的な対空砲火。凄まじい火力により飛空艇技師達の大半は殲滅され、辺りには瓦礫と化した小型飛空艇が転がるばかり。
 だが、そんな中でも、辛うじて弾幕を抜け切った者達が存在した。味方の飛空艇の残骸を盾に、強引に降下した者達だ。
 もっとも、強行突破したところで、彼女達に待っているのは地獄だけ。半壊状態の小型飛空艇では、とてもではないが万全の状態の猟兵に敵うはずもなく。
「はいはい、あなた方。あんな巨大なガレオンから降りてきて、この先に何の用事かな?  お姉さんにちょっと話してみんしゃいなー?」
 彼女達を待ち受けていたのはカーバンクル。幻獣の少女ではない。拷問器具めいた武器を製造し、それで敵を蹂躙する、紅き瞳のクリスタリアン。
「こいつ……何者!?」
「人間ではない……でも、幻獣や天使でもない……」
 未知なる種族に戸惑いを隠せない飛空艇技師達。そんな彼女達へ、カーバンクルは静かに指先を向けることで、地獄への水先案内とする。
「車輪が発車します、ご注意ください!」
「え……って、なんなの、あれ!?」
 唐突に出現した巨大な車輪。それらが寸分の狂いもなく、飛空艇技師達目掛けて突進を開始したのだ。
「こ、こんなの、事前の情報にないわ!」
「飛空艇もないのに、こんな兵器をどこから!?」
 抵抗虚しく、飛空艇技師達は次々と車輪によって弾き飛ばされ、あるいは轢き殺されていった。彼女達は飛空艇を扱うプロ故に、飛空艇であれば自在に解体、改造できる。だが、当然のことながら、カーバンクルの放った車輪は彼女達の技術の範疇外。専門技術というものは、自分の守備範囲の相手には強いのだが、未知なる相手には滅法弱い。
「あなた達、飛空艇の解体作業はお手の物のようだけど、私のバラックスクラップを止める知識はなかったようだね」
 もはや戦いは一方的。カーバンクルが指差すだけで、飛空艇技師達はやられて行く。堪らず、残った者達は小型飛空艇に乗って逃げ出そうとしたが……この状況で、それは悪手以外の何物でもなかった。
「おっと! そうはさせないぞ!!」
 なんと、小型飛空艇の残骸から、突如としてティエルが飛び出して来たのである。撃墜した飛空艇を隠れ蓑に、この機会を窺っていたのだ。
「うーー、どっかーん! 今ならビームだって出せそうだよ☆」
「こ、今度はな……きゃぁぁぁぁっ!!」
 謎のビームを浴びて吹っ飛ぶ飛空艇技師達。結局、彼女達は最初から最後まで、何が何だか分からない内にやられてしまった。
「これで、降下部隊の大半は片付いたかしら? それにしても……女の子の技師とは可愛らしいわね」
 撃墜された者の中に生き残りがいるならば、捕縛して眷族にするのも悪くない。そう言って、最後にフレミアは小型飛空艇の残骸を漁り、戦闘不能になった飛空艇技師達を回収して行くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
虐殺と誘拐を阻止せよ!
いきなりハードな任務ですね。
どこの世界も平和にはほど遠いようで。
理由はわからなくても、やるべきことはわかる。
オブリビオン、沈めるべし!
空中戦闘ならキャバリアを召喚して殲滅するですよ。
アポイタカラ、出撃するっぽーい!
障害物のない平原なら<凶鳥強襲>
高速移動しながら敵を掃射。
マシンガンとライフルに三式弾装填の20.3cm砲を概念付与。
小型の飛空艇は戦闘機みたいなものだよね。
三式弾と相性はバッチリなのです。
形成された弾幕すべてが榴散弾だからね。
後は味方の位置にだけ注意しておけば大丈夫。
味方がいて銃が撃てない!
そんな時はサイレントヴォイスがあるからへーきへーき。



●残らず掃討します
 猟兵達の対空作戦により、飛空艇技師達の大半は、碌に本気を出すこともできないまま撃墜された。
 だが、中には仲間を囮にし、狡猾に立ち回る者達もいる。辛くも迎撃を逃れた一団は、草原を低空飛行しつつ、猟兵達の包囲網を迂回しながら進んで行く。
「な、なんとか、降下には成功したわね」
「これより、作戦に移るわ。当初の予定通り、ターゲットの確保が最優先よ」
 生き残りは決して多くはなかったが、それでも見過ごせる数でもなかった。もっとも、そんな彼女達は既に露木・鬼燈(竜喰・f01316)によって、しっかり捕捉されていたのだが。
(「虐殺と誘拐を阻止せよ! いきなりハードな任務ですね。どこの世界も平和にはほど遠いようで……」)
 どちらにせよ、やるべきことは変わらないと、鬼燈は愛機であるアポイタカラを発進させた。異端の技術を用いた高性能のサイキックキャバリアだが、能力的には堅実かつ高水準といった、バランスの良い仕上がりに纏まった機体だ。
「……不吉をくれてやるっぽい!」
 敵の姿を照準に捉えるや否や、鬼燈はアポイタカラを高速で移動させつつ、強力な榴散弾を発射した。着弾しただけで、周囲の地形ごと吹き飛ばすような広域破壊弾。おまけに、火力も戦艦の主砲クラスとなれば、小型の飛空艇など一溜まりもない。
「ほ、砲撃!? いったいどこから……」
「気をつけて! 大型の飛空艇が隠れているかもしれないわ!」
 いきなり仲間を吹き飛ばされ、飛空艇技師達の間に動揺が走った。このレベルの火力なら、敵の大型船が必ず近くにいるはずだと踏む彼女達ではあったが、当然のことながらそんな物は存在しないわけでして。
「こうなったら、飛空艇を改造して進むわよ!」
「了解! だったら、装甲を強化して突破し……ぎゃぁっ!!」
 機動力を犠牲に装甲を強化したところで、それではアポイタカラからすれば単なる的であった。ならば、火力を犠牲に機動力を強化して逃げようとするが、なにしろアポイタカラもまた、音速の8倍以上のスピードで飛びまわっているのだ。
「ちょっ……機体のバランスが!?」
「これは……ソニックブーム!? それに、あの火力は……」
 音速突破の生み出す衝撃波により、敵の小型飛空艇は一発で粉砕され見る影もない。そして、生き残った技師達も、榴散弾で情け容赦なく吹き飛ばされて行く。
「うん、全て片付いたっぽいね。草原も、かなり焼いちゃったけど……まあ、仕方ないか」
 破壊された小型飛空艇の残骸が散らばる大地を、鬼燈はキャバリアの中から見降ろして呟いた。拡散する榴弾と衝撃波のダブルパンチには、さしもの飛空艇技師達も、即席の飛空艇改造だけでは対処できなかったようである。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ガレオンドラゴン』

POW   :    属性変換
【ドラゴンの牙】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【部位を持つ『属性ドラゴン』】に変身する。
SPD   :    ガレオンブレス
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【口】から【ブレス砲撃】を放つ。
WIZ   :    飛竜式艦載砲
【飛空艇部分の艦載砲】を向けた対象に、【砲撃】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:来賀晴一

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●竜艇、現る!
 敵の先発隊として降下した飛空艇技師達は、猟兵達の活躍により、全て殲滅・捕縛された。
 だが、戦いはそれで終わらない。草原に巨大な影が射したかと思うと、その影の主が情け容赦ない砲撃を浴びせて来たのだから。
 ガレオンドラゴン。竜であり、巨大な飛空艇でもある敵の本隊が、ついに自ら降下して来たのである。
 たった一隻でも、複数の大型飛空艇を沈めることも可能な圧倒的火力。おまけに、見た目以上のスピードを誇り、その速度は音速を軽々と突破する。肉体の一部は未だ人工物だが、それでも敵が恐るべき竜であることに違いはない。
 果たして、敵の目的は何なのか。何故、珍しい幻獣を狙い、攫って行こうとしているのか。
 その答えを知るためにも、今は目の前の敵を倒さねばならない。幻獣の少女と、なによりこの島で暮らす人々を守るため、怒りのままに荒れ狂う竜艇を撃破せよ!
久留米・圓太郎
■こいつが親玉か!

流石に竜、というだけあってこれはデカい、な。
ま、オレも飛ぼうと思えば飛べるし、引きつけるだけ引きつけて、無駄弾使わせて、スキを作ってみるか……

■[休まぬ翼]発動
音速から見たらどえらく遅いが、ブレスはあたりにくい、はず

一応【カウンター】は積んでおくが攻撃力は期待できそうもない
敵の懐に飛び込みつつ、【オーラ防御、地形の利用、野生の勘】で逃げまくろう
無駄弾からのスキを作らせて、そこを突いて貰おう

※アドリブ、連携は歓迎します


ティエル・ティエリエル
むむむー! 大きな飛空艇だと思ったらドラゴン? でもやっぱり飛空艇?
どっちでも島の人々を襲うなら許さないぞ☆

ふふーん、そんなおっきな大砲でボクのこと狙えるかな♪
ジグザグ飛行の「空中戦」で狙いをつけさせずに飛び回ってガレオンドラゴンに近づいていくよ!

ボクの射程距離に入ったら飛空艇部分をまとめて【妖精姫のタライ罠】でタライに替えちゃうよ♪
これでゴツーンと頭をぶつけちゃえー☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


フレミア・レイブラッド
人工物と融合した竜、といったところかしら?
コレもこの世界基準での「魔獣」の一種になるのかしらね。肉は食用にできそうにないけど…。
竜の部分も船の部分も素材としては有用そうだし、なるべく憂慮した方が良いのかしらね?まぁ、竜相手だしできる限りだけど

【ブラッディ・フォール】で「出撃! キャバリア大戦」の「オブシディアンMk4」の力を使用(魔力で乗騎として構成)

【念動力】の防壁で機体を守りつつ、機体が装備しているライフルで牽制や砲撃の迎撃を行い、【マイクロミサイルポッド】で敵を包囲攻撃して敵の足を止め、装備しているバズーカやライフル、ミサイル等の武装による【弾幕】【砲撃】を一点集中で叩き込んで沈めるわ



●巨影襲来
 巨大な影が草原を隠した瞬間、流れる風が一瞬にして変わった。
 草を撫でる爽やかな風は姿を消し、代わりに流れて来るのは火薬の匂い。竜と化した艦艇の、恐るべき威力の砲台によるものだ。
「こいつが親玉か! さすがにデカいな……」
 数百人規模の人員を搭載可能な巨大戦艦を前に、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)は思わずたじろいだ。
 正直、正攻法でこれを撃破するのは難しい。巨体であるということは、それだけ攻撃こそ命中させやすいものの、圧倒的な耐久力を誇っているということでもあるからだ。
「むむむー! 大きな飛空艇だと思ったらドラゴン? でもやっぱり飛空艇?」
「人工物と融合した竜、といったところかしら? コレもこの世界基準での『魔獣』の一種になるのかしらね?」
 さすがのティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)やフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)も、迂闊に攻めるようなことはしない。かつて、竜の帝王やその配下と戦ったこともあるが、それだけにドラゴンの危険性と強さは、なによりもよく理解していたから。
「オォォォォ……」
 巨大な竜艇が吠えると同時に、艦載砲による一斉射撃を仕掛けて来た。咄嗟に散開する三人だったが、なにしろ弾の数が凄まじい。
「おわっ! や、やばっ!!」
「うわわっ! 正面、当たっちゃう!?」
 障害物のない草原では身を隠すような場所もなく、圓太郎は逃げるだけで精一杯。絶え間なく続く砲撃を前にしては、ティエルも自慢のスピードを生かして攻撃を避けるのが限界だ。
「やるわね……。だったら、こっちも手加減している状況じゃなさそうだわ」
 そんな中、素材が回収できれば御の字だと踏んでいたフレミアが、早々に思考を切り替え、殲滅作戦へと移行した。やはり、これだけの戦力差がある相手に出し惜しみなどできない。多少、素材になりそうな部位を破壊してしまうかもしれないが、それも致し方のないことだと。
「骸の海で眠るその異形、その能力…我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 ブラッディ・フォール。かつて、フレミア自身が対峙したことのあるオブリビオンの似姿となり、その能力を寸分狂わず模倣するという彼女の得意技。その強さは変身するオブリビオンに依存してしまうのが欠点だが、故に出し所を間違えなければ状況を好転させる切り札ともなる。
「キャバリアに変身した!?」
「いや、違う! 呼び出して、自分で操縦しているのかも……」
 ティエルと圓太郎が感心する中、フレミアはキャバリアに搭乗したまま果敢に砲弾の迎撃へと向かって行った。バズーカ、ライフル、そしてミサイル。あらゆる火器をフルに使い、迫り来る竜艇の砲弾との相殺を狙い。
(「……とりあえず、爆風は念のフィールドで防ぐとして……後は、こっちの弾がどこまで持つかってところかしら?」)
 凄まじい爆風が巻き起こる中、懸命に弾幕の切れ間を探す。このまま戦っていても、総火力では敵の方が上だ。弾が切れれば、いくらキャバリアとて集中砲火の前に無事では済まない。その前に、なんとしても敵の弱点を見つけ、一斉射撃を浴びせなければ。
「よ~し、こうなったら……」
 逃げてばかりでは埒が明かないと、ついにティエルが飛び出した。確かに、面を制圧される程に砲撃されては堪らないが、攻撃の大半がフレミアのキャバリアに集中している今なら、弾幕にも多少の穴はあるはず。
「こ、この状況で突っ込むの!? ま、オレも飛ぼうと思えば飛べるし、引きつけるだけ引きつけて、無駄弾使わせて、スキを作ってみるか……」
 一見して無謀極まりないと思われる仲間達の行動に触発されてか、圓太郎もまた翼を広げて宙へと飛んだ。彼の翼は決して飾りなどではない。羽ばたきを利用して鋭角的な軌道で飛び回れば、スピードは出なくとも直線的に飛んでくる砲弾を回避するだけなら十分だ。
「さて……後はこれで、どうやって敵を倒すかってことだけど……」
 もっとも、回避はできても火力に乏しいことは、圓太郎自身が一番良く理解していた。いかに魔術が使えるとはいえ、さすがに戦艦を落とすだけの魔法は使えない。
 やはり、ここはフレミアのキャバリアに頼るしかないのかと……そう、彼が思った時だった。
「ふふーん、そんなおっきな大砲でボクのこと狙えるかな♪」
 なんと、大砲の弾を足場に接敵したティエルが、いつの間にかガレオンドラゴンの底部に張り付いているではないか。
 小柄な体格が幸いして、ティエルはガレオンドラゴンに気づかれてはいなかった。それでも、彼女の力で巨大な竜艇を撃沈させることなど、半ば不可能にしか思えないのだが。
「みんなずっこけちゃえー♪」
「……ッ!?」
 なんと、ティエルが叫ぶと同時に、敵の戦艦部分が次々にタライへと変化し始めたではないか! おまけに、そのタライは一ヵ所に集まると、残されたドラゴンの頭や翼へ、一斉に落下を開始した。
「ゴァ……ァァァ……」
 もはや空中で解体されたに等しく、何もできないままガレオンドラゴンは落下して行く。当然だ。身体の半分は飛空艇で作られているのに、その飛空艇部分が全てタライになってしまったのだから。
「なんだか分からないけど、これはチャンスね。……ターゲットロック、発射!!」
 地上に落下し、悶え苦しむだけのガレオンドラゴンへ、フレミアのキャバリアが情け容赦ない一斉射撃! 爆風が敵を包み、その煙が晴れて中から姿を現したのは、飛空艇部分がタライから戻った代わりに、肉体の半分近くを大破させられた竜艇の姿だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エメラ・アーヴェスピア
さて、あとは本命のアレなのだけれど…
竜に飛行艇…面白い組み合わせだけれど、この世界にはああいうのが多いのかしら?
とりあえず戦いましょうか、先程の敵もそうなのだけれど、残骸からわかる事もありそうだし、ね

あの巨体であの速度、面白いわね
なら、私も新兵器のテストと行きましょうか…『切り開くは我が断割の巨人』、投下
超高速の空中戦と行きましょう?相手のブレスをかわし、すれ違い様に斬りつける、それの繰り返しよ
速度が足りないのなら装甲もパージ、加速させるわ
さぁ、私の魔導蒸気兵器の力を見せてあげるわ…まぁ、私は下で観測しているだけなのだけれど

※アドリブ・絡み歓迎


露木・鬼燈
やべー異世界やべーですよ!
あんな竜?
うん、竜がいるのですね。
自分の中の竜の定義が乱れちゃうのです。
ま、まぁ、いいでしょう。
あれも竜とゆーことで…竜は殺す!
引き続きアポイタカラと<凶鳥強襲>の組み合わせ。
マシンガンとライフルに徹甲榴弾を装填。
概念付与は51cm砲。
こいつでドッグファイトを仕掛けるですよ。
最高速度に大きな差がないのなら技量が勝敗を握る。
小型ブースターを細かく使いながら機動を操作。
さらにダークネスウイングと手足の動きで姿勢制御を補助。
フォースハンドに握らせたライフルは真後ろにだって撃てる。
徹甲榴弾だから当たり所にそこまで気を使う必要もないしね。
取り敢えず数を当てていけばイケルイケル!



●機竜大戦!
 その身を半壊させられながらも、ガレオンドラゴンは再び宙を舞う。いったい、どのような原理で浮いているのか。それさえも不明のまま、竜艇は眼下の猟兵達を見下ろしながら雄叫びを上げる。
「やべー、異世界やべーですよ! あんな竜? ……うん、竜がいるのですね」
 雲海に落ちたことで、竜となって蘇った艦艇。そんなものが本当に存在したことに、露木・鬼燈(竜喰・f01316)は驚きを隠せない。
 正直、これは想像の斜め上を行く展開だ。伝説の怪物であるドラゴンが、まさかこのような方法で誕生してしまうとは。なんとも奇怪な話ではあるが、しかし目の前の現実から目を反らすわけにもいかないわけで。
「さて、あとは本命のアレなのだけれど……」
 この世界には、こんな風変わりな生き物が多いのかと、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)もまた首を傾げた。いや、目の前のガレオンドラゴンは、果たして生物なのかどうかも微妙なところではあるのだが。
「とりあえず戦いましょうか。先程の敵もそうなのだけれど、残骸からわかる事もありそうだし、ね」
「ま、まぁ、いいでしょう。あれも竜とゆーことで……竜は殺す!」
 エメラに促されて気を取り直したのか、鬼燈も気持ちを切り替え再びキャバリアへと搭乗した。半壊状態とはいえ、敵は速い。音速など軽く突破して来るため、これに追従するためには、こちらも機動力を重視しなければ。
「最高速度に大きな差がないのなら、技量が勝敗を握る。こいつでドックファイトを仕掛けるですよ!」
 愛機、アポイタカラの速度を全開にして、鬼燈は高速で飛行するガレオンドラゴンに追い縋った。迎撃のため、ブレスで応戦して来るガレオンドラゴンだったが、速度が互角ならば、小回りの利く鬼燈の方が上だ。
「おっと、危ない! こういう相手は、やっぱり正面から仕掛けるのは悪手っぽい?」
 ブレスの攻撃を間一髪のところで避け、鬼燈はアボイタカラでガレオンドラゴンの後ろを取るようにして飛び回る。首を自由に旋回させられるため、ドラゴンの正面から仕掛けるのは、360度死角のない主砲の前に身を晒すようなものだ。
 だが、その一方で、敵の背後は対空装備が殆どない。接近し過ぎれば強靭な尾の一撃によって手痛い反撃を食らいそうだが、わざわざ近づいて攻撃するつもりもない。
「徹甲榴弾装填、概念付与は51cm砲……これでブチ抜いてやるですよ!」
 巧みに相手の視覚に回り込みつつ、鬼燈はガレオンドラゴンの身体に榴弾をブチ込んで行く。さしもの竜にとってもこれは効いたのか、爆発と同時に鱗が爆ぜ、甲殻と共に船体部品までもが吹き飛んで行く。
 翻弄されるガレオンドラゴン。そんな激しい空中戦を、エメラは顔を上げてしっかりと見据え。
「あの巨体であの速度、面白いわね。なら、私も新兵器のテストと行きましょうか……」
 頃合いだとばかりに、自らもまたユーベルコードを行使する。彼女の操る蒸気兵の中でも、特に巨大で、空中戦も可能な機体を呼び出して。
「魔導蒸気巨人兵、投下準備完了……気付けた時にはもう遅いわよ?」
 そう、エメラが告げた瞬間、雲を切り裂いて現れたのは高速で飛翔する蒸気兵。それも、単なる蒸気兵ではない。巨竜やキャバリアとも互角に戦えるほどの体躯を誇る、大型サイズの蒸気兵だ。
 それは、さながら蒸気巨人と呼んだ方が相応しい存在だった。飛び道具の類は装備していないが、それでも巨人には鋭い刃という武器がある。噴出する蒸気の角度を微妙に変えながら鋭角的な軌道で飛び回り、こちらもまたガレオンドラゴンを翻弄し。
「ガッ!? グゴォォォ……」
 擦れ違い様に、装甲の脆い箇所を狙って刃で斬り付けて行くのだから堪らない。一発、一発は大した威力ではないかもしれないが、それでも何度も斬り付けられれば、巨象を蟻が倒すのと同じことが起きる可能性もあるのだ。
「ググ……ガァァァァッ!!」
 ついに我慢の限界を迎えたのか、ガレオンドラゴンは怒りに任せて横薙ぎにブレスを吐いて来た。それだけでなく、今度はそのまま首を激しく回転させ、まるでスプリンクラーの如く火炎の吐息を撒き散らす。迫り来る焔は、ついにエメラの蒸気巨人へと追い縋り、そのまま爆炎の中へと飲み込んでしまったが。
「……やった、と思ったかしら? 甘いわね」
 それでもエメラは慌てることなく、不敵な笑みを浮かべていた。果たして、そんな彼女の言う通り、爆風の中から現れたのは殆ど無傷の蒸気巨人。爆発したのはパージした装甲だけで、本体は無事だったのだ。
「悪いけど、この状態になったら、もう止められないわよ。あなたがどれだけ速くてもね」
 装甲をパージした蒸気巨人が、今までにない程のスピードでガレオンドラゴンへ肉薄する。防御を捨てて、機動力へ全ての力を振った形態になったのだ。ブレスで迎撃しようにも、今度ばかりは機影を補足することもできず、ガレオンドラゴンは翼を大きく斬り裂かれ。
「よし、バランスが崩れた! 今がチャンスなのですよ!!」
 ここぞとばかりに、鬼燈がありったけの弾丸をガレオンドラゴンへとお見舞いする。翼を穿たれ、甲殻を抉られた竜艇は、唸るような雄叫びを上げながら、眼下の草原へと落ちて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カーバンクル・スカルン
うっはー、ガレオンがドラゴンになっちまった。これか、例のガレオノイドってやつは!

さあ、遠くから撃ってないで急降下してこっちに来い! すれ違い様にワイヤーを引っ掛けてそのままロデオと参りましょう!

持ち前の怪力で振り落とされないようにしつつ、機械仕掛けのワニを中に放って手当たり次第ぶっ壊していく、敵を中に入れた時点で乗り物は致命傷になるのさ!

あーとーはー、とりあえずこの舵輪、討伐の記念としてもらっていくわ。悪く思わないでね!(金切鋸で切り落としてから脱出)



●強敵は内から破れ
 いかに巨大な竜艇とはいえ、こうも立て続けに攻撃を浴びては無事では済まない。
 今や、半壊状態となったガレオンドラゴンは、飛行するのもやっとな状況に追い込まれている。
 そんなズタボロの竜艇ではあったが、それでも未知なる存在であることに違いはないからだろうか。竜と飛空艇という、今までにない融合を前にして、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)は思わず両目を輝かせた。
「うっはー、ガレオンがドラゴンになっちまった。これか、例のガレオノイドってやつは!」
 何か勘違いしているようだが、この際、細かいことはどうでも良いだろう。ガレオノイドは、あくまで人の姿になれる飛空艇。竜と合体する形で蘇生したガレオンドラゴンは、むしろ魔獣に等しい存在なのだが。
 敵は既に武装の大半を失い、自慢の砲撃も行えないようだった。それでも、やはり腐っても竜なのか、最後の武器はその巨体から繰り出す純粋な暴力。苦し紛れに、カーバンクルを食らわんと、ガレオンドラゴンは大口を開けて彼女の下へと飛来した。
「おっと、危ない! ここで食べられるわけには行かないからね!」
 だが、カーバンクルは、そんなガレオンドラゴンの攻撃を読んでいた。元より、武器がなくなった艦艇にできることは突撃のみ。最初から突っ込んで来ると分かっていれば、その分、起動も読みやすい。
「……ッ!?」
 目の前の獲物が消えたことで、ガレオンドラゴンは周囲を忙しなく旋回しながら飛行を続ける。しかし、障害物のない草原であるにも関わらず、カーバンクルの姿はどこにも見えない。
(「うぅ……す、凄いスピード……。振り落とされないようにしないと……」)
 実は、カーバンクルは擦れ違い様にワイヤーフックを引っ掛けて、ガレオンドラゴンの底部に張り付いていたのだ。当然、これではいくらガレオンドラゴンが探そうと、どこにも見つからないわけで。
「一発で仕留めてあげる。……だから安心して死になさい」
 破壊された艦艇の隙間から、カーバンクルは機械仕掛けのワニを侵入させた。外部は強固でも、こういった怪物は内部から破壊されると意外に脆い。ドラゴンの身体を持っていようと、戦艦の類である以上、内部からの攻撃には弱いはずなのだ。
「……ッ!? ガッ……ゴォォ……ッ!!」
 果たして、そんなカーバンクルの予想は正しく、ガレオンドラゴンは内部を破壊されて途端に苦しみ始めた。身体を内部からワニによって食われているようなものだ。これが痛くないはずがない。ついには動力部に致命的な損傷を受けたのか、ガレオンドラゴンは草原の上に不時着すると、そのまま二度と再び上空に舞い上がることをしなかった。
「おやおや、もう死に体のようだね。でも、まだ仕上げが残ってるよ」
 機械ワニにだけ任せることなく、カーバンクルは自らも艇の内部に侵入すると、破壊しながら先を急いだ。
 目指すは敵の甲板部分。本来であれば総舵手がいるであろう、舵輪が備え付けられている場所だ。
「さて、これで破壊も十分かな? あーとーはー、とりあえずこの舵輪、討伐の記念としてもらっていくわ。悪く思わないでね!」
 最後は金切鋸で舵輪を切断し、行き掛けの駄賃にいただいて行く。それが止めとなったのか、カーバンクルが脱出すると同時に、ガレオンドラゴンは音を立てて崩れ落ち、物言わぬ瓦礫と肉塊へ変わってしまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『飛空艇整備』

POW   :    破損した箇所を修理する

SPD   :    船体や甲板を綺麗に磨き上げる

WIZ   :    新しい艦装を組み込む

イラスト:十姉妹

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●少女と飛空艇
 ガレオンドラゴンの襲撃を、辛くも退けた猟兵達。草原は再び静けさを取り戻し、穏やかな空気が流れ始めた。
 近くにある村でもまた、何の変哲もない人々の日常が繰り広げられている。恐らく、村に住まう人々は、オブリビオンの襲撃があったことさえも知らないままだろう。
 やがて、定期船が訪れる時刻となり、村の桟橋に巨大な飛空艇が入港した。他の浮遊大陸から、この村では手に入らない珍しい物資を運んでくる商船だ。村の人々に必要な物資を売った後は、この村の特産品をしこたま買い入れ、再び別の浮遊大陸へ渡るのだろう。
 だが、そんな人々の生命線ともなろう船は、今日に限って随分と損傷した状態で入港していた。
「いやぁ、参った、参った。まさか、ここに来る前に魔獣の襲撃を受けるとはな……」
「今回はなんとか追い払えたが……しかし、随分と酷くやられたもんだぜ」
 飛空艇の乗員が、やりきれない表情でぼやいた。よくよく見れば、帆は破れプロペラは酷く損傷し、おまけに甲板にはあちこち穴が開いている。こんな状態で、よくここまで飛んで来ることができたと、誰が見ても感心してしまう程である。
 これでは、修理なしで飛ぶことは不可能だ。補修をするにしても、いったいどれだけ時間が掛かることか。その場にいた全員が難しい顔をして佇む中、ふらりと現れたのは、額に青白く光る宝石を持つ一人の少女。
「あの……すみません。次の船は、いつ頃に出航されるのでしょうか?」
 恐る恐る、少女は飛空艇の乗員に尋ねた。およそ、人間離れした容姿を持つ彼女ではあったが、人々と共に暮らす幻獣も珍しくはないのか、乗員たちは特に気にせず彼女の問いに答えた。
「なんだ、嬢ちゃん。この船に乗りたいってのか?」
「まあ、確かに俺達の船は、人を運ぶ仕事もしているが……見ての通り、今はズタボロにやられちまってな」
 商船としてはおろか、浮遊大陸間を繋ぐ定期船としても使い物にならない。元より、傭兵として雇った勇士の戦力を当てに動いていた船だ。彼らとの契約も切れてしまった今、この船は半壊状態な上に丸腰なのである。
「悪いが、まともに飛べるようにするのには、かなり時間が掛かると思うぜ。飛ぶだけならいいが、また襲撃を受けたら……次は撃沈されるかもしれないからな」
「そんな……。なんとか、ならないのですか?」
 乗員たちの言葉に、少女は力なく項垂れた。いったい、何故に彼女が船に乗りたがっているのか、そして何処へ行こうとしているのかは分からないが、困っていることだけは確かである。
 恐らく、この少女こそが、ガレオンドラゴンに狙われていた幻獣に違いない。彼女と接触し、船の補修を手伝えば、それは新たなる冒険の扉を開くことに繋がるはずだ。
 幸い、補修用の部品には、困ることはなさそうである。なぜなら、商船などよりもよほど頑丈で、強固な武装を持った船を、猟兵達が今しがた叩き落したばかりなのだから。
フレミア・レイブラッド
カーバンクルの少女に接触。
倒した「ガレオンドラゴン」の素材(残骸)を見せて、自分達が先程倒した素材があれば補修可能であり、提供しても良い。
代わりに何故そんなに急いで船に乗りたがってるのか教えてほしいという風に交渉。
(場合により自分達が少女を守りにやって来た事やこのドラゴン達が少女を狙ってやって来たのを撃退した事も告げる)

少女と交渉した後は乗員達と交渉。
【念動力】で倒した「ガレオンドラゴン」の素材を浮かべたり、【怪力】で持ち上げて見せつつ、この素材を船の補修・改修に提供し、手伝う代わりに少女や自分達を目的地まで責任を以て送り届けるよう交渉(場合により【魅了の魔眼・快】【催眠術】も使用)するわ


久留米・圓太郎
さて補修か……
人手が欲しい所、だな!

[サモニング・ガイスト]で古代戦士達を召喚して使役させよう。
君達、修理用品の運搬や駆動に影響の少なそうな場所(流石に駆動部分は、この世界をあまり知らないオレ達が下手に手出しは出来そうもない)の小破修繕は任せたよ!

さてオレは、傍観と洒落込む!
……なんてするとまた師匠が怖いし、カーバンクルの娘(こ)にちょっとはいいところみせたいしな。

オレも艤装修繕に手を貸そう!
【コミュ力、情報収集、学習力】つかって、足を引っ張らないように、飛空艇の技師さんの手助けをしよう
(ひょっとして。オレの魔法使いとしてスキルアップのヒントになるかも知れないし)

※アドリブ、連携共に歓迎


エメラ・アーヴェスピア
さて、とりあえず目標とされたお仕事は完了したわけなのだけれど…
まさか、いきなり機会を得るとは思わなかったわ
思う存分、弄らせてもらおうかしら

船員に修理の協力を申し出るわよ
とはいえこの世界の技術は初めて、調べながらにはなるのだけれどね
この世界の技術、一体どんなものかしら…技術者して、興味が尽きないわ
最初は調べながらだから一人だけれど、問題が無くなったのならUCの兵達も一緒でいいかしら

一応、少女の方にも声をかけた方良いわよね?
もしかしたらまた会う機会もあるかもしれないし
…そちらが主目的?え、ええ、そうね…

※アドリブ・絡み歓迎


露木・鬼燈
竜の解体なら得意ですが…
これはちょっとわかんないね。
竜の部分はいけるけど船の部分は、ね。
んー、できる部分だけやって修理に回ろうか。
船に詳しくなくても部品の複製や修復はできる。
<円環理法>でぽいっと!
ガレオンドラゴン素材で部品や装甲を複製。
破損個所を取り替えたり埋めたりするですよ。
作業をしながら船と天使核について学ぶですよ。
これらについて知ることはこの先役に立つはず。
キャバリアの新しい武装とかも開発できるかもなー。
夢が広がるっぽい!
んー、そーいえば竜の部分って食べられるのかな?
他の世界で食べた竜肉は美味かったのです。
こいつはどーかなー?
すっごく気になるのですよ。


ティエル・ティエリエル
お困りみたいだね!
ボクが船の修理を手伝ってあげるよ♪

【フェアリーランド】の中にくすねて……しまっておいたガレオンドラゴンの部品を提供するよ♪
ようし、ガレオンドラゴンにくっついてた艦載砲もとりつけちゃえ!これで魔物が襲ってきても対抗できるよね!

とんてんかんと飛行船を修理しながらカーバンクルの女の子にも話しかけるね♪
ねぇねぇ、お船に乗って次はどこにいくの?ボクもお空の上をいっぱい冒険したいなー☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


カーバンクル・スカルン
うんわー、こりゃひでぇわ。何があった、ケチって弱い勇士とか武器でも積み込んだんか?

でもお仕事はまだ残ってるんでしょ? スクラップビルダーの出張整備だ、任せときんしゃい。

ただあくまでも【応急処置】、ちゃんとした整備場がある所についたらすぐに持っていってね。「大丈夫そうだからいいや」にしないこと! あくまでもスクラップだからね!

お、さっき船員さんに絡んでた女の子じゃん。どうした、お姉ちゃんでよければ話聞くよ?(擬態を解いてチラリと宝石の体を見せる)

参考にはならないかもだけど、やりたいことと向いてることが一致するなんて稀だからね、この黒髪が証拠よ。ちゃんと後悔しない、後腐れない選択をしてくれれば、ね



●幻獣少女
 村の桟橋に寄港した飛空艇は、見るも無残にやられていた。戦いの跡が色濃く残る船体は、もはや二度と再び大空へ舞い上がれない程に損傷している。
「うんわー、こりゃひでぇわ。何があった? ケチって弱い勇士とか武器でも積み込んだんか?」
 あまりに酷いやられ様を前にして、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)が思わず尋ねた。もっとも、そんなことを言われては、船の乗員達とて黙ってはおらず。 
「ケチる? おいおい、冗談言わないでくれ。こっちだって、命懸けてやってんだよ。ただ、ここ最近になって妙に魔獣の動きが活発でな」
 彼らの口から語られたのは、オブリビオン達による飛空艇の襲撃件数が増加しているという話だった。場合によっては強力な魔獣と遭遇する可能性もあり、それだけ空の旅が危険になっているのだとも。
(「オブリビオンの帝国による通商路の破壊? ……いえ、今は考えていても答えは見つからないわね」)
 敵の目的が不明なことを訝しく思いつつも、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は船員達を横目に、不安そうにして見守る幻獣の少女へと近づいた。
 いったい、なぜそこまで急いで船に乗りたがっているのか。彼女の目的が分かれば、あるいは今後の冒険を進めるのにも、役立つ何かが得られるのではないかと思い。
「ねえ……よかったら、私達がこの船を補修するための素材を提供してあげてもいいわよ。その代わり、なんでそこまで急いでいるのか、教えてくれると嬉しいんだけど……」
「えぇっ!? ほ、本当ですか!!」
 フレミアの言葉を聞いて、幻獣の少女の瞳が途端に輝いた。どうやら、本当に急いでいたようで、彼女にとっては正に渡りに船といったところか。
「実は……私は、私の姉妹を探しているんです。ここ最近、連絡が取れなくなってしまって……きっと、お姉様達に何かがあったんです!」
 出航を急ぐ理由を、幻獣の少女はそう説明した。聞けば、彼女は10人姉妹の末っ子で、他に9人の姉がいるという。その全員が額に異なる宝石を宿し、それぞれ不思議な力を秘めているのだとも。
「私達の種族は、本来であれば守護を司る存在なんです。宝石の光を使って目を眩ませたり、魔術を反射したりできるので……」
 だが、自分達はそれだけでなく、他にも特殊な力がある。例えば、こんなこともできるのだと、少女が手を組み意識を集中させると。
「これは……風?」
「はい。私の額にある宝石は、風の形を自由に変えて、操ることができるんです」
 それは、何も知らない者からすれば、単なるそよ風に過ぎなかっただろう。だが、頬を撫でる風から確かな魔力の奔流を感じ、フレミアはその瞬間に目の前の少女が秘めている力を悟った。
(「この娘……その気になれば、街一つ吹き飛ばすくらいの竜巻だって起こせるのかもしれないわね……」)
 無論、少女にそのようなつもりはなく、あるいは自らの秘めたる真の力に気づいていないのかもしれないが。
 ガレオンドラゴンが、幻の変異種である少女を狙った理由。それがなんとなく分かった気がしたフレミアだったが、同時に彼女の姉達の行方には、一抹の不安を抱いたのであった。

●いざ、大改造!
 撃破したガレオンドラゴンの残骸を使い、飛空艇を補修する。そんな猟兵達の申し出は、飛空艇の船員達にとっても、願ってもないことだった。
「いやあ、済まないな。それにしても、本当にいいのか? こんな貴重な素材をもらっちまって……」
「おまけに、素材の代金は不要ってか? 随分と気前がいいことで助かるぜ!」
 そうと分かれば、早速補修を開始しよう。そう言って腕をまくる船員達だったが、しかし実際に素材を使って補修をするとなると大仕事。
「竜の解体なら得意ですが……これはちょっとわかんないね。竜の部分はいけるけど船の部分は、ね」
 竜の肉体と融合した飛空艇の残骸を眺めながら、露木・鬼燈(竜喰・f01316)は溜息を吐いた。
 正直、この竜もどきを、どのように解体するのが正しいのかは分からない。ならば、自分は竜の部分の解体を担当し、他の場所は他の猟兵に任せることにして。
「ここはスクラップビルダーの出張整備だ、任せときんしゃい」
 飛空艇の残骸部分は、主にカーバンクルが解体と選別を担当することになった。後は、切り出した素材を運ぶ人員が必要なわけだが、そこも抜かりはないようで。
「さて補修か……人手が欲しい所、だな!」
 すかさず、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)が古代戦士の霊を召喚し、彼らを使役することで必要な素材を運ばせて行く。戦士の霊なので修理作業には関われないが、肉体労働をさせるだけなら問題ない。
「さてオレは、傍観と洒落込む……なんてするとまた師匠が怖いしな。もしかすると、魔法技術の修練になるかもしれないし、オレも補修を手伝うぜ」
 そして、圓太郎自身もまた、船員達の補佐に回る形で補修作業に参加した。本音は幻獣の少女にカッコいいところを見せたかったというのもあるのだが、それはそれ。
「おお、こりゃ凄ぇな!」
「これだけの人手がありゃ、作業も捗るってもんだぜ!」
 船員達も、素材を受け取り次々に補修作業へと入って行く。外装の部分は、可能な限り猟兵達も手伝う形で作業を進めれば、そこまで苦労もせずに補修は済みそうだ。
「お困りみたいだね! ボクが船の修理を手伝ってあげるよ♪」
 高いところや細かいところは、空も飛べるティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)の出番である。それだけでなく、彼女はガレオンドラゴンの武装の中で使えそうなものを取り出すと、それらも飛空艇の側面に新しく配備して行った。
「ガレオンドラゴンにくっついてた艦載砲もとりつけちゃえ! これで魔物が襲ってきても対抗できるよね!」
 勇士を雇う余裕がないのであれば、せめて船の攻撃力だけでも高めておいた方が良いという判断だろう。実際、商船でしかない飛空艇の武装など最低限のものしかないわけで、これはありがたい限りである。
「さて、とりあえず目標とされたお仕事は完了したわけなのだけれど……まさか、いきなり機会を得るとは思わなかったわ」
 そして、複雑な内部の補修に関しては、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が名乗り出た。彼女もまた蒸気兵を呼び出して肉体労働に従事させつつ、自身は飛空艇の内部から、主に動力炉付近の修理に回り。
「ちょっとお邪魔するですよ。僕も天使核について学びたくて……」
 修理と調査を進めるエメラの前に、鬼燈が顔を出した。彼もまた、自身のキャバリアを改造するためのヒントを得るべく、この世界の技術について知りたいようだ。
「まだ、全部を調べ終えたわけじゃないけど……かなり独特の技術が使われているわね。アルダワの魔導蒸気文明とも、他の世界に見られる科学技術の粋とも異なる独自のものが多いわ」
「ん~、天使核はオブリビオンの心臓? 暴走の危険がある代わりに、凄いエネルギーを生み出しているのです?」
 互いに調査を進めながら見解を述べる二人。オブリビオンは世界を破滅に導く存在であるが、まさかその核を利用して、大陸さえ浮遊させる超技術を確立させるとは恐れ入った。
(「そういえば……この世界のドラゴンも、食べられるのですよね? 魔獣肉……あのガレオンドラゴンも、食べられるのかな?」)
 そんな中、鬼燈はガレオンドラゴンの味についても興味があったようだが、今は補修が優先だ。竜肉の味は、この修理作業が終わったら、余った素材を使ってじっくり堪能させてもらうとしよう。

●新たなる船出
 飛空艇を守るための、最後の装甲版がふわりと浮いて接続される。フレミアの念力によるものだ。彼女の手を借り、最終装甲の設置が終わった飛空艇は、見違えるほどの強化を遂げて生まれ変わっていた。
 もっとも、これはあくまで応急処置に過ぎない。継ぎ接ぎの補修では耐久性にも問題があるだろうし、本格的な整備を受けねばいずれはバラバラになってしまう。
「ちゃんとした整備場がある所についたら、すぐに持っていってね。『大丈夫そうだからいいや』にしないこと! あくまでもスクラップだからね!」
 生まれ変わった船を見て歓喜する船員達に、カーバンクルはそう言って釘を刺した。そんな中、ティエルは幻獣の少女を見つけ、改めて彼女に話しかけた。
「ねぇねぇ、お船に乗って次はどこにいくの? ボクもお空の上をいっぱい冒険したいなー☆」
「そうね……とりあえず、姉様の一人が住んでいる街へ向かうつもりよ」
 それは、ここから少しばかり離れた別の浮遊大陸にある。そこに向かうために船足が必要なのだと、幻獣の少女は告げ。
「お、さっき船員さんに絡んでた女の子じゃん。どうした、お姉ちゃんでよければ話聞くよ?」
 カーバンクルもまた、幻獣の少女に話しかける。彼女が出航する目的は既に聞いていたが、それでも姉を追って一人で旅をする少女のことが、少しばかり心配になったので。
「ありがとうございます。ですが……私は大丈夫です」
 なぜなら、これは自分が決めたことだから。確かに、この世界で女の一人旅など危険極まりないのかもしれないが、何もせずに傍観を決め込み、それで後悔をしたくないとも。
「まあ、ちゃんと後悔しない、後腐れない選択をしてくれれば、それが一番よ。自分がやりたいことと、向いていることが一致するなんて、そんなの稀なんだから」
 どちらにせよ、悔いのない選択をして欲しい。そう言って、カーバンクルは少女を船へと送り出す。本来であれば乗船の駄賃が必要だったが、そこはフレミアが交渉することで、無料にしておいたので問題はない。
「それじゃ、私達を責任もって送り届けてもらうわね」
 ついでにフレミア自身も乗船していたが、それはそれ。最後にエメラが少女に手を振ったところで、飛空艇は再び大空へと飛び立って。
「もしかしたら、また会う機会もあるかもしれないし……その時は、よろしくね」
「はい! 皆さん、ありがとうございました!!」
 幻獣の少女を乗せて、新たなる冒険へと旅立った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年07月17日


挿絵イラスト