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死へ誘う蒼き薔薇

#ダークセイヴァー #第五の貴族 #異端の神々 #狂えるオブリビオン

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●地下迷宮の蒼き花園
 日の当たらぬ地下都市の一面がぼんやりと蒼く輝く。鬼火のような光に導かれて近付けば、それがほのかに輝く蒼い花、薔薇の園だと気付く。
「私の地下都市に招かれざる客がやってきたか」
 跪く配下の者から報告を受け、屋敷の花園に埋もれるように屈み、咲き乱れる蒼い薔薇を愛でていた、地下都市を支配するヴァンパイア『葬華卿』が不快そうに顔を上げた。
「『狂えるオブリビオン』か、厄介な相手が来たものだ」
 溜息を吐き、葬華卿は手にした鋏で蒼い薔薇を切り取る。
「まともにやり合えばこちらが不利か。だが理性を失っているならば、私が用意した迷宮の罠に容易く誘い込める……」
 蒼い薔薇の甘い香りを楽しみながら、葬華卿は立ち上がる。
「死の罠の迷宮を作動させる。力だけが増大した狂戦士など、罠で死に絶えるのがお似合いだ」
 葬華卿は右頬に刻まれた蒼い薔薇の紋章を輝かせ、毒を持つ花に甘い口づけをする。そして放り投げると、蒼い花の浸蝕が始まり、地下都市の入り口まで蒼き薔薇で大地が覆われた。
「では私は迷宮の最深部で愚か者が死に絶えるのを待つとしよう」
 侵入した狂えるオブリビオンは、その毒の花畑を抜けねば辿り着けない。例え迷宮を抜けられたとしても、衰弱してその力は大幅に減少しているだろう。
「戦いとは力だけでは勝てない。せめてもの情けだ、美しき花々に包まれて死ぬがいい……」
 微笑む葬華卿は傍に置いてあった柩を浮かべ、蒼き花に満たされた迷宮の地下深くへと潜った。

●グリモアベース
「ダークセイヴァーの第五の貴族が支配する地底都市に、『異端の神々』が自分を殺したオブリビオンに憑依した『狂えるオブリビオン』が侵入する未来が視えた」
 バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)がダークセイヴァーに新たな動きがあると集まった猟兵たちに告げる。
「第五の貴族は地下都市への入り口に用意されていた『死の罠の迷宮』を使い、狂えるオブリビオンを罠に嵌める。だが傷つきながらも狂えるオブリビオンは迷宮を突破し、第五の貴族の元に辿り着き返り討ちに遭う」
 激しい戦いが行われ、第五の貴族が傷ついた狂えるオブリビオンを打ち倒すのだという。
「しかし、勝利した第五の貴族に異端の神々が憑依してしまい、新たな狂えるオブリビオンと化して手が付けられない存在となってしまう。それだけは阻止しなくてはならん」
 元より強力な第五の貴族が、理性を失った狂えるオブリビオンとなってしまう。その脅威は今の比ではないだろう。
「諸君には、狂えるオブリビオンに先行して死の罠の迷宮の最深部を目指し、第五の貴族を討ち取ってもらいたい」
 先んじて第五の貴族を倒してしまえば、狂えるオブリビオンと成る可能性を消してしまえる。
「そして、迷宮を抜けて傷ついた狂えるオブリビオンとの連戦となる。放置すれば地底都市の住人が皆殺しにされてしまう。ここで討たねばならん」
 狂えるオブリビオンは理性を失っており、ただ暴れて猟兵にも攻撃を仕掛けて来る。

「まずは死の罠の迷宮を抜けねばならん。蒼い薔薇は毒の香気を放つ、さらに棘の荊が触手のように動いて、侵入者を捕える。それを突破しなくては先に進めん」
 拘束する茨と、毒の花の香りを何とかしないと足止めを喰らうことになる。
「迷宮の最深部に到着できれば、第五の貴族『葬華卿』との戦いとなる。だが蒼薔薇の紋章の力によって強化され、普通に戦っても勝ち目はない。薔薇ということは植物の特性を持っているはずだ。その弱点を突けば勝利への道を切り拓けるだろう」
 蒼薔薇の紋章の弱点を攻めれば、強大なヴァンパイア相手に勝機を得る事ができる。
「最後に迷宮を突破した狂えるオブリビオン『傀儡卿』ジェーン・ドウとの戦いとなるが、理性を失い強引に罠を突破した為、毒や生い茂る茨の傷を負っている。その『傷』を攻めれば有利に戦えるだろう」
 罠の傷を予想し、そこへ攻撃を加えることでこちらのペースで優位に事を勧められる。

「敵の用意した罠の迷宮に突入する困難な戦いとなるだろう。だが第五の貴族と、狂えるオブリビオンを同時に討つ好機でもある。ならば最大の戦果を求めて介入するのが猟兵というものだろう」
 説明を終えてバルモアは暗い地下都市に続く、蒼い薔薇の咲く迷宮へのゲートを開いた。
「迷宮を踏破し、地下都市の支配者と異端の神々が憑りついたオブリビオンの両者を撃破せよ!」


天木一
 こんにちは天木一です。
 ダークセイヴァーの地底都市に続く毒花の迷宮を突破し、第五の貴族と狂えるオブリビオンを撃破しましょう!

 第1章は地底都市に向かう迷宮を急ぎ潜ることになります。迷宮は蒼い薔薇で覆われ、放たれる毒の香りによって侵入者を阻みます。無数の薔薇から伸びる茨は触手のように動き侵入者を捕えます。

 第2章は第五の貴族との戦いとなります。蒼薔薇の紋章を右頬に宿し、圧倒的な戦闘力を持っています。植物を由来とした紋章の弱点を突かなければ勝てない強敵です。

 第3章では狂えるオブリビオン『傀儡卿』ジェーン・ドウとの戦闘になります。理性を失ったオブリビオンで、全てを破壊するように暴れ回ります。迷宮の罠によって負った傷を攻めることで、プレイングボーナスを得る事ができます。

 複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページかタグにて。
 地下迷宮を突破し、邪悪なヴァンパイアとオブリビオンを打ち破ってください!
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第1章 冒険 『死の罠の迷宮』

POW   :    防御力を活かし、強引に罠を突破する

SPD   :    罠を解除しながら迷宮を踏破する

WIZ   :    迷宮の隠し通路や仕掛けを暴く

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●蒼き薔薇の迷宮
 真っ暗なはずの地下都市への隠された通路。普通ならば真っ暗でただ険しいだけの道があるはずだった。しかし今は人を招き入れるように蒼い鬼火の如き明りがぼんやりと灯っている。
 それに誘われた鼠の群れが近づくと甘い香りが漂う。見れば仄かに光っているのは地面に敷き詰められるように咲いた蒼い薔薇だった。見る者を魅了するような美しい薔薇の香りに鼠が酔ったように目を閉じる。すると体が痙攣を起こし動けなくなる。それを見た他の鼠達が甲高い鳴き声を上げて逃げようとすると、いつの間にか自分達を囲むように伸びた茨の棘が突き刺さり、捕えられて蒼き薔薇に引き寄せられる。
 甘い香りに包まれた鼠の体が動かなくなり、じわじわと茨から血を吸い上げられる。やがて血の一滴も残さず吸い上げられると、干乾びた体が茨によって地中に引きずり込まれ、何事も無かったように、美しい薔薇の花園だけが変わらず咲き続ける。だがその花は先ほどよりも生気を宿し、艶っぽさが増しているように見えた。

 麻痺毒の甘い香りを放ち、捕え血を吸い上げる茨を持つ蒼き薔薇の群れ。この薔薇の道を突破して最深部で待つ第五の貴族の元に、狂えるオブリビオンよりも早く到着しなくてはならない。
 猟兵達は覚悟を決め、美しくも恐ろしい蒼き薔薇の迷宮へと足を踏み入れた。
エウロペ・マリウス
青い薔薇には縁があってね(髪に生えた青薔薇を撫でて)
青薔薇を人を傷つける罠に使うのは許せないかな

行動 WIZ

対策としては、
薔薇自体を、氷の【属性攻撃】で凍らせつつ進むよ
それでも全てに対応は難しいだろうから、
毒=【環境耐性】【呪詛耐性】【毒耐性】で対応
拘束する茨=【結界術】【オーラ防御】で対応

それから……、

「おいで。今日は、ここがキミ達の遊び場だよ。『妖精達の悪戯遊戯(ニンフ・マレフィキウム)』」

呼び出した妖精達に迷宮の探索を手伝って貰って、応援や助言、技能「【ハッキング】【鍵開け】【封印を解く】での支援をお願いするよ

青薔薇の紋章、か
ボクが背負う紋章と違えど、穢された気分だからね
容赦はしないよ


クオン・キマヴィス
……生憎と薔薇の群れが欲しがっている血は私には一滴も流れてない。一切気にせず正面から突破する。

茨に拘束されても持ち前の怪力で引きちぎればいいだけ。ついでにUCを発動、炎を弾丸として装填した銃で薔薇を焼き払う。

……時間が惜しいから第五の貴族の元には最速で、最短のルートを使って突き進む。



●凍え燃える薔薇
 仄暗い迷宮の中、甘い香りがする方向に顔を向けると、眼前に広がるのは光を宿す蒼き薔薇の花園。
 見目麗しく魅了されてしまいそうだが、決して油断はできない。その隠し持つ茨は人の生き血を啜る凶悪なものだった。
「青い薔薇には縁があってね」
 オラトリオのエウロペ・マリウス(揺り籠の氷姫・f11096)は、髪に生えた美しい青薔薇を撫でる。
「青薔薇を人を傷つける罠に使うのは許せないかな」
 青薔薇を悪用する第五の貴族を討とうと、氷の結晶のようなロッド【コキュートス】を手にして周囲に冷気を放ち薔薇を凍結されていく。すると甘い毒の香りも冷気によって閉じ込められたように収まった。
「凍らせてしまえば植物の動きは鈍る。これで少しは安全になるはずだよ」
 冷たく表面を霜に覆われた薔薇の花園に近付く。寒さに凍えた薔薇が震えるが、毒の香気は微量しか放たれず、沈むように地面を漂っていた。

「成程、凍らせることで、毒の香りも減衰している」
 その後に続くクオン・キマヴィス(黒絢の機巧少女・f33062)は周囲を見渡し、凍結させることで薔薇の香りが弱まっているのかと感心した。
「……このまま安全に進めればいいが。……地中を動いているものがある」
 クオンは怖れず足を踏み出し、エウロペを追い抜いて先んじて凍えた薔薇園に堂々と入る。右眼に装着した【索敵・情報分析用バイザー『REALIZE』】で視界に入ったデータを分析してみると、地面に動きがあることが判明した。

「これで完全に封じられていればいいのだが、そう甘くもないだろう」
 エウロペも大地をよく観察すれば、土が動いているのが見つかる。地中を茨が動いているのだと推測できた。
「茨が地中を移動しているな。狙いは……こちらか」
 その予想通りに足元から茨が飛び出て、後方のエウロペの足に絡み付こうとする。しかし結界がそれを阻み、空中で茨の突撃を押し留めた。
「予測できていれば対処は容易い。それから……」
 さらに次の一手として、ユーベルコード『妖精達の悪戯遊戯』を発動する。
「おいで。今日は、ここがキミ達の遊び場だよ。『妖精達の悪戯遊戯(ニンフ・マレフィキウム)』」
 エウロペの魔力に誘われて悪戯好きな妖精達が姿を見せる。すると綺麗な薔薇の迷宮に喜んで、遊び場の探索に飛び回り始めた。
「妖精達に任せれば、道を探し出してくれるだろう」
 花園も迷宮も妖精達からすれば庭のようなものだと、元気に飛び交う姿を見てエウロペは微笑んだ。

「……地中にまでは冷気が届いていないからか」
 歩くクオンの足元からも茨が飛び出し、その足にしっかりと絡み付いた。そして棘を刺して血を吸い上げようとする。
「……生憎と、あなたたちが欲しがっている血は、私には一滴も流れてない」
 しかし棘が血を吸うどころか、金属に阻まれたように深く刺さらない。
「正面から突破する――」
 クオンが強引に足を踏み出すして、押し留めようとする茨を引き千切った。

「こっちかい?」
 花園の奥の方で手招きする妖精達に誘われ、エウロペは凍らせた薔薇の園を進む。足元から茨が出そうになると、妖精達が集まってその上に石を置いたりして、茨に間違ったものを捕まえさせる遊びをしていた。

「……妖精というのは、こんな時でもマイペース」
 クオンはどんな時でも遊び心を忘れない妖精を眺め、無表情ながらもどこか興味がありそうな眼の輝きを宿す。
「……道を示すなら、それに従って進もう」
 遊ぶように飛び回って奥へと進む妖精を追ってクオンは歩くペースを上げ、薔薇も茨も無視するように踏み潰し最短ルートを突っ切る。
 すると足場が盛り上がり巨大な茨が姿を見せた。よく見ればそれは茨が合わさったものだった。集まることで冷気に耐え、クオンの全身に巻き付こうとする。
「……寒さに耐える工夫。……生き物の本能か」
 対してクオンは【対UDC専用自動小銃『エクウェス』】を構え、ユーベルコード『終焉の火焔』を発動する。
「……時間が惜しい。邪魔をするなら強引に突破する」
 炎を帯びた自動小銃から連続して弾丸が発射される。それは蒼炎を纏い茨に着弾すると穴を穿って傷口から炎上させた。もがくように茨が左右に揺れるが、やがて炎に包まれると燃え尽きた。
「……やはり植物なら炎も苦手なよう」
 クオンはそのまま銃を構えたまま前進し、妨害する茨を片っ端から燃やしていった。

「青薔薇の紋章、か」
 エウロペは燃える銃弾によって切り拓かれた道を進みながら、この青薔薇の迷宮を作った第五の貴族のことを考える。
「ボクが背負う紋章と違えど、穢された気分だからね。容赦はしないよ」
 人々に圧政を強い、苦しめる為に使われる紋章など放ってはおけないと、エウロペも歩く速度を上げてクオンと共に迷宮を深く下っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベリザリオ・ルナセルウス
【白と黒】
異界の神々に狂えるオブリビオンか…この世界に災厄がある限り、織久は戦い続けなければならないのに…

まあ織久は普通にやる気だよね。だから心配なんだけど
一人で行かないでくれ。私が君の盾になる

●行動
織久が本気で突撃したら私では追いつけないから少し我慢してもらわないと
先にUCで薔薇には攻撃を、仲間には祝福を、薔薇を私の方に誘き寄せるためにも力を注ごう
触手が襲い掛かって来たら盾を構える。オーラによる結界を展開して私と織久を覆ってしまおう
そのままシールドチャージで一気に突っ切る
織久の範囲攻撃と私の結界両方を突き破ってくるようなしつこい触手は武器で叩き落としてしまおう


西院鬼・織久
【白と黒】
如何な迷宮と言えどもこの先に狩るべき敵がいるならば進むのみ
毒など我等が炎で焼き尽くします

ベリザリオ、先行するのは構いませんが勇み足が過ぎて炎に飲まれぬように

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ花の反応や攻撃に警戒
迷わないよう瞬間思考力も活かし頭の中で地図を作りながら移動

先制攻撃+UCの範囲攻撃で毒が届かない範囲から花を内包した毒ごと焼却
燃え残った物はなぎ払い+範囲攻撃でとどめ
ベリザリオの進行妨害や守りを突破する物も同じように片付ける



●白き盾と黒き刃
 毒を持つ薔薇の甘い香りが迷宮内に漂う。その香りに誘われた生き物は捕まり血を干乾びるまで吸われる。そこは生物を餌として繁殖する蒼薔薇の領域だった。
「何な迷宮と言えども、この先に狩るべき敵がいるならば進むのみ」
 西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は死へ誘う薔薇を前にしても、まるで目に入っていないように表情ひとつ変えず足を踏み出した。
「毒など我等が炎で焼き尽くします」
 黒い大鎌【闇焔】に黒い炎を宿し、一振りして毒の香気を吹き飛ばした。
「異界の神々に狂えるオブリビオンか……この世界に災厄がある限り、織久は戦い続けなければならないのに……」
 ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)は怨念を滾らせる織久を見てそっと溜息をつく。
「まあ織久は普通にやる気だよね。だから心配なんだけど」
 目を離すと鉄砲玉のように、どんな危険な戦場に飛び込んでしまう織久の背中を見る。今もまた躊躇いなく、死に誘う鬼火の光を放つ薔薇園へと足を踏み入れようとしている。
「一人で行かないでくれ。私が君の盾になる」
 その背中にベリザリオは声を掛けて、共に行こうと自らが前に出た。その姿が急いてるように見えて織久が言葉を投げかける。
「ベリザリオ、先行するのは構いませんが勇み足が過ぎて炎に飲まれぬように」
「織久に心配されるなんて……自分のことを心配するように言うべきか、それとも成長を喜ぶべきか……」
 逆に心配されたベリザリオは複雑な表情を浮かべながらも、今は目の前にことに集中しなくては織久の言った通りになってしまうと、気を引き締めて淡く刀身が煌めく剣【Fulgor fortitudo】と純白の盾【Gloriosus scutum】を構える。

 侵入者が現れると、すぐさま蒼薔薇は毒を宿す強い香りを放ち、吸ったものを麻痺させて動きを止めようとする。
「迷宮の中で麻痺毒とは厄介だね。先んじて薔薇を散らそう」
 ベリザリオがユーベルコード『Sanctuarium benediction』を発動し、楽器を奏でるような音と共に旋律の矢が放たれる。それが蒼薔薇に命中すると、薔薇が吹き飛ぶ。すると防衛反応のように周囲の蒼薔薇が濃厚な毒香を撒き散らした。さらには地面を這うように茨が近づく。
「狙い通り私へと意識を向けたようだ」
 今度は地面に矢を撃ち込み、ベリザリオは自らと織久に祝福を与え毒への耐性を得る。それと同時に足元の地面から飛び出した茨の触手が襲い掛かり、ベリザリオの足に巻き付いて棘を刺した。
「軽装ならば危険なのだろうが、私の装備ならば防げる」
 純白の鎧に盾は強固な守りによって装着者の身を守る。棘は金属に阻まれてベリザリオに傷をつけることができない。その茨を剣で斬り裂き拘束を解いた。
「織久、このまま突破しよう」
 ベリザリオはオーラの結界を張って迫る茨を押し戻し、自分と織久を包んで盾を前に構え、シールドチャージで真っ直ぐ迷宮の奥へと突撃する。
 蒼薔薇が蹴散らされ、濃厚な蒼薔薇の毒香を迷宮に充満させた。
「今日はベリザリオが積極的です。此方も遅れぬようにせねば」
 織久は後を追いながら大鎌を振るい、ユーベルコード『殺意の炎』を使い怨念と殺意の黒い炎を放って香りごと蒼薔薇を燃え上がらせる。
「毒で我等の炎は止められぬ。灰燼と化して道を開けよ」
 織久は行く手を遮る花も茨も、全てを燃やして道を作った。

 蒼薔薇の園は燃やされ、踏み荒らされて無残な姿を晒す。しかし、植物は根を張りしぶとく生存しようと、茨を地中に張り巡らせていた。その茨が地中から突き出て、棘で剥き出しの顔を刺そうとする。
「焼かれてもまだ根を残して生きているようだ。植物の生命力は強靭だね」
 ベリザリオはそれを盾で受け止め、剣を振るって叩き落とす。すると茨は地中に戻り、今度は背後から現れる。それを織久が大鎌で斬り飛ばした。
「地の底ならば我等が怨念から逃れられると思ったか」
 織久が大鎌を地面に振り下ろし、その穴から炎を地中に巡らせる。蛇のように伸びた炎が地面のあちこちに空いた穴から噴き出し、焼け焦げた茨の触手がもがき苦しむように姿を見せた。
「結末は地中で蒸し焼かれるか、地上で炙り焼かれるかの違いでしかない」
 地上に出た茨に向け、織久が大鎌を振るい黒い炎を浴びせて燃やし尽くす。
「織久の炎とは相性が悪かったみたいだね。だがまだまだ先は長い、油断せずに進むとしよう」
 燃えて灰となった蒼薔薇を見下ろし、ベリザリオはオーラの結界で身を守りながら迷宮の奥へと進む。
「この程度なら全力で駆け抜けても平気ですが……」
 織久が強引に駆け抜けようかと考えたが、そこで振り返ったベリザリオと視線が合う。その顔はこちらの考えを見透かしているようで、織久は首を軽く横に振って思い浮かんだ単独作戦を消し、先頭を進むベリザリオの背中を追い駆けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラウン・アンダーウッド
薔薇の迷宮とはなんとも素敵だね♪まぁ、その実態はなんとも凶悪ではあるけれど

陰気は陽気に、面白可笑しく行こじゃないか。さぁ、即席パレードの始まりだ♪
クラウンが道化師の笛を引きながら人形楽団を引き連れて行進。10体のからくり人形達は等間隔でクラウン達を囲むような位置で踊るように移動していく。


愛久山・清綱
第五の貴族を狙う、強大な『狂えるオブリビオン』。
一体、此の世界で何が起きているのだろうか?
やはり、更に恐るべきものが存在するというのか……?
■闘
【SPD】
時間が惜しい……ここは正面突破で行こう。
襲ってくる茨を中距離から【早業】の抜刀から放つ【空薙】で
ばっさりと【切断】しながら進み、貴族の処まで【ダッシュ】。
広範囲に放ち、一気に道を拓くのだ。

移動の際は茨に絡み付かれないよう、動きを【見切り】つつ進むが
接近されかけたら大鷲の爪で【カウンター】の如く掻き斬る。
猛毒の効果は【毒耐性】で耐えるが、過信は禁物。
常に「素早く目的地に到達する」ことを意識して行動するぞ。

※アドリブ歓迎・不採用可



●正面突破
 迷宮に甘い香りが漂い、広がる蒼薔薇の楽園が生物を死へと誘う。それは甘美な死の罠だった。
「薔薇の迷宮とはなんとも素敵だね♪ まぁ、その実態はなんとも凶悪ではあるけれど」
 その美しくも恐ろしい景色を眺めたクラウン・アンダーウッド(探求する道化師・f19033)は、美しさに反して生物を糧とする蒼薔薇の凶悪な性質に食虫植物を連想した。
「見た目は華やかだけど、性質は陰気だね」
 ならばとクラウンは陽気な笑顔を浮かべ、ユーベルコード『人形の要塞』を発動した。自分の後ろに楽器を手にした自動人形【人形楽団】を並べ、それを囲むように10体のからくり人形達を等間隔で配列した。
「陰気は陽気に、面白可笑しく行こじゃないか。さぁ、即席パレードの始まりだ♪」
 人形楽団とからくり人形達を引き連れ、クラウンは【道化師の笛】を吹いて堂々と行進を始める。それに続いて楽団が音楽を奏で、リズムに乗ってからくり人形達が踊る。
 その動きを察知し、獲物が来たと蒼薔薇は甘い香気を放つ。生物が吸い込めば神経毒によって麻痺する恐るべき罠だが、賑やかな楽団は止まらない。そもそも人形達には神経毒など効果がなかった。
「さあさあ、人形パレードを楽しんでね!」
 パレードに夢中になっているクラウンと人形達は、ユーベルコードの効果によって非戦闘行為中は外部からの攻撃を遮断していた。
 毒が効かずとも強引に足を止めようと、地中から茨が飛び出して絡みつく。そして棘を突き刺そうとしたが、その鋭い棘も刺さらない。それどころか、踊る演奏する人形達の動きに一つも影響を与えられず、茨や花を踏み荒らして陽気なパレードの行進は続く。


「第五の貴族を狙う、強大な『狂えるオブリビオン』。一体、此の世界で何が起きているのだろうか?」
 ダークセイヴァーの状況を考え、愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)は眉間に深い皺を刻む。
「やはり、更に恐るべきものが存在するというのか……?」
 第五の貴族の勢力に対抗するような存在があるのかもしれないと、混沌とした世界の情勢を思い浮かべた。
「しかし、まずはこの場での戦いを勝たねばな」
 一先ずはここの敵を討たねばと、思考を打ち切って意識を戦いに集中する。
「時間が惜しい……ここは正面突破で行こう」
 先んじて花畑を行進するクラウンと人形達のパレードを見て、自分も強行突破して先を急ごうと判断し、花畑へと足を踏み出した。
 今度こそ獲物を捕えようと、クラウンを逃してしまった蒼薔薇の群れは、毒の香りと茨の触手を清綱に向けて同時に放つ。
「道を斬り拓く――」
 じりっと清綱は地面を踏みしめ居合の構えを取ると、腰に差した大太刀【空薙・剛】を抜き打ちユーベルコード『空薙』を横薙ぎに放つ。空間ごと広範囲の薔薇の群れをばっさり切り裂き、散った花びらが舞い飛ぶ。
「此の調子で貴族の処まで駆け抜ける」
 そうして開けた場所を駆け抜け、また行く手を塞ぐ薔薇を斬り飛ばした。


「やあ! キミも一緒にどうだい?」
 クラウンは後方から薔薇を切り捨てながら近づく清綱に気付き、声を掛けて楽団と共に楽しそうに音楽を奏でる。その音楽に合わせて人形が踊り、花畑で戯れる集団に見えた。だがその実、少しでもパレードを止めてしまえば人を襲う薔薇に囚われる綱渡りの状態だった。
「む、楽しそうだが、余り此の場に留まりたくないのでな、先に行かせてもらおう」
 翼を羽ばたかせて空を飛んだ清綱はパレードを追い抜き、距離を取って前方の花畑に着地すると、大太刀を振るって自身を中心に円を描くように薔薇を刈り取った。
「お見事! みんなで拍手を!」
 そんな剣技にクラウンが拍手を送ると、からくり人形も拍手を重ね、楽団は歓声を送るように賑やかな音を鳴らす。
 そこへ茨の触手が襲い掛かるが、その行動もパレードの一環としてユーベルコードが継続しており、傷付けられずに茨は悔しそうに地中に戻った。そして先行する清綱を止めようと、足元から飛び出して縛り上げようとする。
「邪魔をするなら蹴散らすまで」
 清綱は鋭く伸ばした大鷲の爪を振り抜き、出たばかりの茨にカウンターを合わせて掻き切った。
 すると茨では無理と判断し、辺り一帯の蒼薔薇が霧が立ち込めるように、目に見える程の花粉を放って濃密な毒香の空間を作り出す。
「香りは防ぎ切れぬが、毒耐性で多少は持つだろう」
 だが過信は禁物と、清綱は剣を振るって濃密な香りを少しでも吹き飛ばし、急いで道を切り拓き、迷宮の奥へと妨害に遭っても留まることなく突き進んだ。
「薔薇の花園に音楽と踊りを! 楽しい楽しい人形パレードを迷宮の奥まで届けよう♪」
 清綱によって薔薇が散らされた道を、クラウンは人形達と楽し気な音楽を響かせて進んだ。
 その集団には何をしても通じないと、蒼薔薇も諦めたように音楽が聴こえると身を引くようになっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
◆心情
青薔薇の花言葉の一つは「神の祝福」でしたか?
しかし乍ら、そんな寄生虫めいた祝福など御免蒙りたいですね

…まあ、神と成り果てた『私』も同じだったのかもしれませんが

◆行動
青薔薇が光源となる様ですが…其れを頼みとするのは危険ですね
【暗視】で闇を見通し【聞き耳】を立てる事で不意打ちや奇襲を警戒

【毒耐性】を高めた【オーラ防御】で全身を覆い、毒の香りを遮断

更に『涅槃寂静』にて行使する「炎」属性の「ハブーブ」で【範囲攻撃】し迷宮を破壊
強風で毒の香りも吹き飛ばしてしまいましょう

加えて【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
破壊と香り散しを補助

安全に通れる道が無いのであれば、作れば良いだけです


リーヴァルディ・カーライル
…正攻法で攻略する事も出来るけど、折角だもの
今回はこの術式を試してみましょうか

"精霊石の耳飾り"に地の精霊を降霊し土や岩を透視する暗視能力を付与してUCを発動
自身に"演算、地縛鎖、土竜、掃除、破壊魔、毒避け、生命吸収"の呪詛を付与する

迷宮の構造を●瞬間思考力で見切り更に地下から●トンネルを掘り進め、
念の為に●毒耐性を強化しつつ香気や茨を●地形の利用して受け流し、
薔薇の根から●生命力を吸収して魔力を溜める●破壊工作を行いながら先に進み、
出口に到着したら土で汚れた衣装を綺麗に●掃除する

…どれだけ強力でも植物である以上、根を枯らせば終わりのはず

…迷宮の地下から攻略する策は失敗ね。衣装が汚れてしまうわ



●二面作戦
 見た者を誘うように妖しく光る花々。美しくも毒を宿す蒼薔薇が迷宮一面に広がって、侵入者を餌にしようと罠を張って待ち構えている。
「青薔薇の花言葉の一つは『神の祝福』でしたか?」
 青い薔薇の花園を見渡した霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は、その花言葉を思い出す。
「しかし乍ら、そんな寄生虫めいた祝福など御免蒙りたいですね」
 神に頼らねば存在できないようで、祝福よりも呪詛のように感じてしまう。
「……まあ、神と成り果てた『私』も同じだったのかもしれませんが」
 自らも神と成ってしまい、誰かに頼られる存在として多くの弱き人々の声を聞いた過去を思い出す。
「とは言っても、此の青薔薇には祝福ではなく呪いという言葉が似合いそうですが」
 薔薇から放たれる甘い香りが、生き物を蝕む毒素を宿している。それはまさに獲物を誘う甘い罠だろう。
「毒薔薇を排除して進みましょう」
 絶奈は行く手を遮る青薔薇の花園を排除しようと、毒耐性を高めたオーラを纏って香りを遮断して近づく。
「青薔薇が光源となる様ですが……其れを頼みとするのは危険ですね」
 見えているといっても迷宮内は薄暗く死角も多い。奇襲に警戒して目だけでなく耳でも周囲の状況を把握する。
「強風で毒の香りも吹き飛ばしてしまいましょう」
 絶奈はユーベルコード『涅槃寂静』を発動し、炎属性のハブーブを巻き起こす。熱された砂塵嵐が花畑を覆い尽くし、薙ぎ倒して焼き払いぐちゃぐちゃに潰れた焦げた残骸を残して破壊していった。
「安全に通れる道が無いのであれば、作れば良いだけです」
 嵐が過ぎ去ると薔薇の甘い香りまた吹き飛んでいた。安全になった道を絶奈は悠々と歩き出す。
 しかし地中では根が残り、蒼薔薇が息を殺して隙を窺っていた。


「……正攻法で攻略する事も出来るけど、折角だもの。今回はこの術式を試してみましょうか」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は通常の攻略法も考えたが、せっかくならこの機に術を試してみようと決めた。
「……術式換装」
 【精霊石の耳飾り】に地の精霊を降霊させ、土や岩を透視する暗視能力を付与してユーベルコード『吸血鬼狩りの業・千変の型』を発動する。すると装着した自身に演算、地縛鎖、土竜、掃除、破壊魔、毒避け、生命吸収の呪詛が付与された。
「……地上が花に満たされているなら、地中から攻めればいいわ」
 リーヴァルディは迷宮の構造を演算しながら大地を操り地中に潜ると、トンネルを掘って進む。すると地中に張り巡らせた蒼薔薇の茨と根を見つけた。だがそれを攻撃する前に地上に向かって茨が穴を通し、そこから逃げ場のない地中の密閉空間に蒼薔薇の香気が流し込まれた。
「……その可能性は考慮していたわ」
 リーヴァルディは毒耐性で麻痺毒に耐え、トンネルを広げて香気を逃す。そこへ茨が拘束して血を吸おうと迫るが、グリムリーパー【過去を刻むもの】で切り払った。そして反対に薔薇の根から生命力を吸い上げる。すると根が枯れ、同じように茨もまた痩せ細って力を失い、枯れ木のように朽ちた。
「……どれだけ強力でも植物である以上、根を枯らせば終わりのはず」
 吸い上げ自らの魔力を溜めると、リーヴァルディはそれを放出して植物を削るようにトンネルを掘って破壊しながら地中を進んでいく。


 絶奈が地上を燃える砂塵嵐で薔薇を駆逐し歩いていると異音に気付いて足を止める。すると地中からぼこぼこと茨が現れた。だがそこで燃える砂嵐に巻き込まれて黒焦げになる。
「どうやら地中から進んでいる猟兵がいるようですね。足元からの攻撃は気にせずに済むようです」
 すぐにそれが仲間の猟兵によるものだと察し、絶奈は地表にだけ意識を向けて歩くスピードを上げ、地上の蒼薔薇の殲滅に専念する。
「……地上で攻撃を受けて、地中に潜っているようね」
 リーヴァルディもまた、逃げるように地中に潜ってくる蒼薔薇の動きに気付き、その理由を推測していた。
「……ではこのまま地上と地下から逃げ場のない攻撃を続けましょうか」
 そうすれば蒼薔薇を根絶やしにできると、地中からの攻撃を継続し、根や茨から生命力を奪い枯らして迷宮を奥深くまで進んでいった――。


「周囲の見た目が変わってきましたね。そろそろ終点でしょうか」
 絶奈は周囲を見渡し、同じような景色で人を惑わす迷宮の形状が変化し、細い道のようになっているのに気付いた。そして蒼薔薇に満たされた通路を白槍と黒剣で薙ぎ払いながら進むと、大きな広場へと続いている。そこは今までのように好き放題に生えたのではなく、しっかりと手入れが行き届いた蒼薔薇の庭園となっていた。
「此処が目的地のようですね」
 奥から強大な力を感じて絶奈は足を止め、見事に花咲く蒼薔薇を庭園を観察した。
「……地中の根が途切れたわ」
 その背後にぼこっと地面に大きな穴が開き、そこからリーヴァルディが姿を見せる。その身体は土だらけで、泥遊びをした子供のように汚れていた。
「……迷宮の地下から攻略する策は失敗ね。衣装が汚れてしまうわ」
 汚れた服を見下ろし、衣装を魔力で掃除して綺麗にしながらリーヴァルディはアイデアは良かったが、自分には向いていないと溜息を吐いた。
「……そして、ここが目的地のようね」
 落ち着くと蒼い薔薇園を見渡し、ヴァンパイアの隠しもしない強大な力に気付きリーヴァルディはここが目的地だと悟った。
「この奥で我々を待っているようです。進みましょう」
 絶奈の言葉にリーヴァルディは頷き、庭園の道を真っ直ぐ中心に向かって歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『葬華卿』

POW   :    剪定は丁寧に
【美しく相手を仕留める情念】を籠めた【巨大化させた鋏】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【生命の根源】のみを攻撃する。
SPD   :    君よ永遠に
【柩から放たれる無数の蒼き花弁】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を麻痺毒の芳香で埋め尽くし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    蒐集の心得
自身が【好奇心】を感じると、レベル×1体の【生命力のみを啜る蒼き花々】が召喚される。生命力のみを啜る蒼き花々は好奇心を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:mahoro

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠黒蛇・宵蔭です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●第五の貴族『葬華卿』
 迷宮の最奥には、手入れされ貴族の庭園らしく蒼薔薇が咲き誇っている。
「私の自慢の蒼薔薇の迷宮を抜けるとは……だがこの気配は………『狂えるオブリビオン』ではない?」
 この地下都市を治める第五の貴族『葬華卿』は、己が庭である蒼薔薇迷宮の状況を感じ取り、当初の標的ではない存在が突破したのに気付いた。
「これは……別の侵入者の集団か。厄介事は重なるものだな」
 葬華卿は大きな溜息を吐き、手入れをしていた蒼薔薇の庭園を見渡す。
「だがどちらにせよ、ここで始末するのみだ。私の花園を踏み荒らしたのだ。その対価は命で支払ってもらおう」
 招かれざる客を出迎えようと、葬華卿は右頬の蒼薔薇の紋章を輝かせた。すると強大な魔力が放たれ、辺りの空気が震える。それは猟兵を凌駕する力を宿していた。
「美しき者がいるならば、柩に入れて蒼薔薇と共に飾ってやろう」
 背に浮かべた美術品のような柩から、蒼薔薇と同じ甘い香りが漂った――。

 紋章によって強化された強敵である葬華卿を、狂えるオブリビオンが到着する前に倒さなくてはならない。
 その蒼薔薇の由来を受ける紋章の弱点を突かなければ倒す事が難しいほどの強敵だ。だが到着した猟兵達は迷いなく庭園に足を踏み入れる。
 地下都市の支配者である第五の貴族を倒せば、従属させられている人々も解放しやすくなる。強大な敵を生み出させないだけでなく、多くの人々を救うためにも必ず勝ってみせると猟兵は戦いを挑む。
エウロペ・マリウス
悪いね
ボクはキミのようなオブリビオンが大っ嫌いだよ

行動 WIZ

【結界術】と【オーラ防御】で防御を固める
【空中浮遊】しつつ【空中戦】で、攻撃してくる花々を回避しつつ、自身のレベルm半径内の距離を保ち戦闘を行うよ

「廻る骸。潰滅へ向かう刻の輪唱。杜絶せし氷の抱擁。刻み、停滞する生を嘲笑え。『骸は刻の中で嘲笑う(スケレトゥス・テンプス)』」

氷の【属性攻撃】の【誘導弾】で、花々を迎撃とオブリビオンへの攻撃

一撃を加えてからの時間経過による、急所……紋章への凍傷によるダメージの両方で攻撃

ボクからの青薔薇の返礼、兼、手向けだよ
全ての生を停滞させる氷に蝕まれ、死へと時を刻む骸の嘲笑を聞きながら絶望するといい


クオン・キマヴィス
(アドリブ歓迎)

今回は腰に帯刀してる「高周波ブレード」をメインに立ち回る。銃は敵の攻撃の迎撃や仲間の援護に使用する。

……植物の生命力は侮れない。その性質を有しているのなら、恐らく生半可な攻撃じゃあ直ぐに再生してしまう気がする。
だから根幹になる部分、「コア」を突くしかない。

最初は牽制射撃である程度敵との距離を保ちつつ、
右眼のバイザーを使って最もエネルギーが集中している部分を探し出す。見つけることが出来たら、高速で斬り込んで近距離戦を仕掛けて、その「コア」にUCを叩き込む。鋏での攻撃は刀でいなす。最悪左手の義手で受け止める。

…悪いけど、貴方のコレクションになるつもりはない。ここで倒れてもらう


クラウン・アンダーウッド
アドリブ・連携何でも歓迎

青い薔薇の花言葉は「不可能」だったかな?いや「夢が叶う」だったような...まぁ、どちらでもいいか。所詮は受取手次第だしね♪

ではでは、みんな大好きパーティーの始まり始まり♪

10体のからくり人形が両手に投げナイフを握り締め、瞳が妖しげに紅く輝くと一斉にクラウンにナイフを突き立て引き抜く。
からくり人形達は炎が血のようにこびりついた投げナイフを手に、ケラケラと笑いながら踊るように敵に襲いかかる。



●蒼き薔薇の主
「来たか。美しい花に惹かれて集まったのだろうが、私の花園を踏みにじった罪をここで償ってもらう」
 蒼薔薇の花畑の中央で葬華卿が猟兵達を出迎える。
「しかし、よく私の薔薇の迷宮を抜けられたものだ。興味深い。君達を飾って楽しむのも良さそうだ」
 悪趣味にも葬華卿は美しい人を蒐集する趣味を持っていた。笑みを浮かべると蒼薔薇が辺りに満開に咲き誇り、生命力を吸い上げる無数の茨を伸ばした。

「悪いね。ボクはキミのようなオブリビオンが大っ嫌いだよ」
 そんな言葉を一番に到着したエウロペは真っ向から拒否し、蒐集品になるつもりはないとオーラを混ぜた結界を張って茨を押し留める。
「道中の薔薇ならばそれで止められたのだろうが、私自身が操る薔薇はその程度では止められない」
 葬華卿が右頬の紋章を輝かせると、茨が太く強くなり結界を抉じ開けて入り込み、鋭く伸びた棘を突き刺してエウロペを捕えようとする。
「紋章の力か、厄介だね」
 エウロペは空へと飛び上がり、浮遊して空中戦に持ち込む。地上から茨が追いかけて伸びるが、動き回って何とか回避していた。しかし次から次へと茨が襲い掛かり反撃に移れないでいた。


「……植物の生命力は侮れない。その性質を有しているのなら、恐らく生半可な攻撃じゃあ直ぐに再生してしまう気がする」
 その戦いの様子を見たクオンは、強力な薔薇の紋章の性質を考える。
「だから根幹になる部分、『コア』を突くしかない」
 その為には近づかなくてはと、蠢く茨を【高周波ブレード】で斬りつけて切断して道を切り拓く。
「私に接近戦を挑むつもりか、無謀な挑戦だな」
 葬華卿が視線をクオンに向ける。それは敵意や警戒ではなく、唯その対象がコレクションに足るかどうかの値踏みであった。
「何とも人形のような造形だ。君も私のコレクションに加えてもいい」
 二人ともコレクションに加えようと、葬華卿は手にする鋏を巨大化した。
「身体に傷はつけない。その生命のみを切断する」
 シャキンと鋏を開閉させて金属音を鳴らし、自ら接近するとその胴を両断しようとする。
「速い……」
 紋章によって強化された葬華卿の肉体は、想定以上の速度でクオンに迫り、胴を挟もうとする鋏を高周波ブレードで咄嗟に弾く。だが想定以上の衝撃に身体がよろめいた。
「私の攻撃に反応するか、一層君をコレクションに入れたくなったよ」
 楽しそうに微笑んだ葬華卿は、続けて鋏を振り回してクオンを防戦に追い込む。


「もう始まっているようだね」
 そこへ人形パレードと共に到着したクラウンが、仲間と敵が戦う光景を視界に入れた。
「青い薔薇の花言葉は『不可能』だったかな? いや『夢が叶う』だったような……まぁ、どちらでもいいか。所詮は受取手次第だしね♪」
 青い薔薇を見て花言葉を思い出しながら、クラウンは花言葉などは結局その時の受け取り手によって意味が変わると微笑む。
「ではでは、みんな大好きパーティーの始まり始まり♪」
 クラウンがリズムよく手を叩くと、10体のからくり人形が両手に投げナイフを握り締める。その瞳が狂気を宿し妖しげに紅く輝くと、一斉に敵ではなくクラウンに向かってナイフを深々と突き立て、躊躇いなく引き抜く。すると傷口から炎が噴き出し、ナイフに炎が血のようにこびりついた。
「何をしている?」
 その様子に困惑したのか、葬華卿が眉を寄せて手を止めて疑念の目を向けた。
「さあ、キミにとって青い薔薇の花言葉がどちらなのか、確かめてみよう♪」
 人形達はケラケラと笑い、踊るように飛び跳ねて燃える刃を振り下ろす。
「狂っているのか」
 狂気に呑まれまいと葬華卿は大鋏で弾くが、次々と人形が襲い掛かり、肩や腕に傷を負っていく。
「ならば美しき花に埋もれて、その身を朽ちさせるといい」
 葬華卿は背後にあった巨大な棺を開く。すると中から蒼薔薇の花びらが撒き散らされ、毒香と共に人形達を包み込む。
「人形には匂いがわからない。そして持つナイフにはボクの燃える血がついている。つまりキミの毒の花は、ただの燃える花吹雪にしかならないのさ♪」
 人形が燃えるナイフを連続で振るい花びらを燃え上がらせ、麻痺毒を気にせずに葬華卿への攻撃を続け、その身体のあちこちに傷を刻んでいった。


「人形風情が私に傷をつけるか! 元より私は感情を持たぬ玩具には興味がない。消えよ」
 葬華卿は柩から蒼き花弁をさらに津波のように放ち、人形達を押し流して距離を取った。
「こちらから意識が逸れたね」
 敵の注意がクラウンに向かい、茨の攻勢が鈍ったのを好機とエウロペは反撃に移る。
「廻る骸。潰滅へ向かう刻の輪唱。杜絶せし氷の抱擁。刻み、停滞する生を嘲笑え。『骸は刻の中で嘲笑う(スケレトゥス・テンプス)』」
 ユーベルコード『骸は刻の中で嘲笑う』を発動し、氷柱の如き誘導弾を一斉に放つ。それは迫る茨を凍らせ、花々まで氷漬けにして、葬華卿の左脚を掠めた。
「この程度で私は倒せない。諦めて私のコレクションに入るといい。蒼薔薇の毒に侵されれば楽になる」
 凍らされた蒼薔薇の下から、新たな薔薇が湧き上がり、茨が宙に浮かぶエウロペを覆うように広がる。
 猟兵に意識を向ける葬華卿本人は気付いていなかったが、左脚の傷には奇妙な懐中時計を口にくわえた頭蓋骨の霊のようなものが浮かび、その時計の分針が一つ進んでいた。

「……右頬の紋章部分に最もエネルギーが集中している」
 クオンは右眼のバイザーで敵の情報を分析し、エネルギーが一番集まっている場所を発見した。
「コアを破壊する」
 クオンは高周波ブレードで邪魔な茨を切り裂き、道を切り拓いて前進する。
「自ら飛び込んできたか。その命だけを断ち、この棺に花と共に納めてあげよう」
 対して葬華卿は巨大鋏を広げ、クオンの首を断とうと振るう。ブレードを使ってそれを受け流すが、敵の方が動きが速く連続して今度は胴を狙ってくる。
「……あまりやりたくはないが」
 仕方がないと左手の義手で大鋏を受け止め、その間にユーベルコード『鏖殺閃』を発動し、蒼炎を纏わせたブレードを振り抜いた。
「……悪いけど、貴方のコレクションになるつもりはない。ここで倒れてもらう」
 刃が敵の顔、右頬に当たる。普通ならば容易く顔を切断する剣閃。しかしまるで金属の塊に当たったように、右頬で火花を散らした。そこにある紋章が輝き、刃とぶつかり合う。その衝突はクオンが全力で押し込むブレードのほうが僅かに勝り、少しずつ紋章を削るように食い込んでいく。

「私の紋章を、離れろ!」
 それに気づいた葬華卿はクオンを大鋏を振るってクオンを吹き飛ばす。そして傷ついた右頬に触れた。そこには刃で抉られた痕が残っている。
「よくもやってくれたな……罰としてその顔を恐怖に歪めてからコレクションに加えてあげよう」
 葬華卿は地面を転がるクオンを睨みつけ、そして巨大鋏を向けて歩き出す。「フィナーレには早過ぎる。まだまだパーティーは続くよ♪」
 しかしそれを妨害するように、クラウンの人形達が燃えるナイフを手に飛び掛かる。
「また玩具か!」
 葬華卿は巨大鋏でそれを追い払おうとするが、その動きが先ほどよりも鈍っていた。

「何だ?」
「どうやら、ようやく効いてきたみたいだね」
 エウロペが見下ろすと、左脚の傷付近に浮かぶ頭蓋骨に気付く。その懐中時計がさらに進み、それと同じくして傷口から凍傷が広がり脚の感覚を奪っていた。
「ボクからの青薔薇の返礼、兼、手向けだよ。全ての生を停滞させる氷に蝕まれ、死へと時を刻む骸の嘲笑を聞きながら絶望するといい」
「こんなもの!」
 葬華卿は鋏で頭蓋骨を切断しようとするが、その刃は素通りした。
「どうやらキミに贈られる花言葉は『不可能』の方だったみたいだね♪」
 楽しそうにクラウンが笑うと人形達も楽しそうに笑って、狂気じみた笑顔を浮かべたまま斬り掛かり、全身に刃の傷と燃える炎の火傷を負わせていった。
「花々よ私を守れ!」
 拙いと葬華卿は自らを守るように茨で覆う。
「かくれんぼかな? それじゃあ探してあげないとね♪」
 クラウンの人形達は嬉々として茨を刻み、燃やし炙り出そうとする。
「……隠れていても、そのエネルギーは隠せない。強さが徒になった」
 じっとバイザー越しに観察していたクオンは、紋章のエネルギーを追ってそこへブレードを突き入れる。すると茨を突き破った切っ先は、敵の右頬に突き刺さっていた。
「ぬぅ……コレクションに加えようと思っていたが、少々仕置きが必要なようだ……」
 右頬を押さえた葬華卿が鋭い殺気を放ち、蒼薔薇の花々と茨で周囲を覆い、猟兵達を覆い隠すようにして花びらに埋もれさせる。そして茨が触手のように薙ぎ払い辺りから人払いをした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ベリザリオ・ルナセルウス
【白と黒】
あの蒼薔薇は葬華卿の手によるものだったのか
美しい薔薇だったが、今を生きる者達を救うためにも卿と共に然るべき所に送らせてもらおう

●行動
先程の蒼薔薇が卿の力に関係があるならやはり有効なのは織久の炎だろう
私も浄化と破魔で抑え織久が戦いやすいようにサポートする
名乗りを上げて卿に堂々と戦いを挑んで注意を引こう
花々は弓の一斉掃射で払い祈りを込めてUCの力で味方に祝福を、敵には破魔と浄化を。毒のような厄介な力があると困るからな
織久への攻撃も盾と剣で叩き落とし、範囲攻撃からはオーラの結界で守る
卿に接近したらシールドバッシュで体勢を崩し、何人もの犠牲者が死後も辱しめられたであろう棺を破壊して隙を作る


西院鬼・織久
【白と黒】
あの花に血が染み着いていたせいか少々餓えてしまいました
この後に別の獲物も控えているのは僥倖です

我等が怨念は底なし故に、糧はいくらあっても足りぬ
悉くを喰らってくれよう

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘で周囲を把握、戦闘知識+瞬間思考力を活かして敵味方の行動や前兆を読む

先制攻撃+UCで本体を狙うと見せ掛け棺を捕縛、背後からの爆破で敵の体勢を崩させ影の腕の引き寄せ+ダッシュで距離を詰めなぎ払い+切断、怨念の炎を付与し継続して燃え続ける炎の熱と呪詛で蝕む

敵攻撃を見切って避けるか武器で受け流しカウンターを行いながら怨念の炎を本体、花、棺と延焼させ最も効果が高いか戦闘力を削げる物をUCで爆破



●燃える薔薇
「くっ、多少紋章の力が弱まったが、まだ問題はない」
 葬華卿は傷ついた右頬の紋章を触り、憎々しいと険しい顔になった。
「あの蒼薔薇は葬華卿の手によるものだったのか」
 ベリザリオは蒼き薔薇に包まれた吸血鬼を見て、その薔薇の攻撃性にも納得する。
「美しい薔薇だったが、今を生きる者達を救うためにも卿と共に然るべき所に送らせてもらおう」
 美しくとも、それが人を害するものならば必要ないと、ベリザリオは剣と盾を構える。
「あの花に血が染み着いていたせいか少々餓えてしまいました。この後に別の獲物も控えているのは僥倖です」
 その後ろから織久が獲物を狙う視線を葬華卿に向ける。
「私に不遜な目を向けるな。ここは我が領土。そこへ愚かにも足を踏み入れた意味をその身で味わわせてやろう」
 上から目線で葬華卿は言い放ち、蒼薔薇を周囲に繁殖させてその茨で侵入者を捕え生命力を吸い上げようとする。

(先程の蒼薔薇が卿の力に関係があるなら、やはり有効なのは織久の炎だろう)
 ならばとベリザリオはその茨を盾で受け止め敵と視線を合わせる。
「私の名はベリザリオ・ルナセルウス。この美しき花園で卿を討つ」
 堂々と名乗りながら剣を振るい、茨を切り払って敵の正面に姿を晒す。
「ほう、なかなか美しい佇まいの騎士だな。私のコレクションに加えてもいい」
 ベリザリオの態度が葬華卿の目に留まり、命を奪いその姿を棺の納めようと考える。
「勝てば好きにするといい。私も勝って好きにするつもりだ」
 自分に意識が向けられたところで、挑発して鋭い視線を敵に向けた。
「ふふ、なら圧倒的な敗北を与えてやろう」
 機嫌よく葬華卿は蒼き薔薇をさらに呼び出し、ベリザリオを包み込み生命力を奪おうとする。
「それはこちらの台詞だ」
 ベリザリオはもっと自分に注視させようと言い返し、竪琴でもある弓【Misericordia musica】を引いてユーベルコード『Sanctuarium benediction』を発動し、薔薇にも負けぬ美しい音色と共に旋律の矢を一斉に放って迫る蒼薔薇の群れを吹き飛ばした。
 しかし右頬の紋章が輝くと蒼薔薇が次々と召喚され、絶えずベリザリオに迫って徐々に距離を詰めていた。

「道中よりも花の匂いが強い」
 織久はむっと広がる薔薇の甘い香りに咽そうになる。それは軽い毒を含んだ香りで普通の人ならば容易く動けなくなるだろう。
「我等が怨念は底なし故に、糧はいくらあっても足りぬ。悉くを喰らってくれよう」
 殺気に身を任せればすぐに匂いなど気にならなくなり、織久の目はギラギラと燃えるように敵しか映らなくなる。
「まずはその甘く香りづけられた糧を喰らい尽くす」
 織久は敵に向けてユーベルコード『影面』を放ち、黒い影がするりと花々を抜けて襲い掛かる。
「影か?」
 それに気づいた葬華卿は巨大鋏を盾にして防ごうとする。しかし影はそのまま素通りし、背後の棺に当たって爆発を起こした。
「なに!?」
 驚く葬華卿は予期せぬ背中への衝撃を受けて体勢を崩す。
「隙を見せたなら、我等が怨念がすぐにでも喰らいつくぞ」
 影の腕が棺に繋がり、それを引き寄せるように織久は加速して疾走し、邪魔な薔薇を薙ぎ払って接近する。そして胴を薙ぐ大鎌の一撃を葬華卿に見舞う。
「貴様!」
 葬華卿はその一撃を大鋏で受け止める。しかし押し込まれ、刃が脇腹に食い込んだ。
「ぐっ」
 大鎌が燃え上がり、傷口を呪詛の炎で焼いて激痛を与えた。
「貴様のような暗い眼をしたコレクションはいらん! 消えよ!」
 力を増して葬華卿は大鋏で押し返し、逆に織久の胴を両断しようとする。

「織久には手出しさせない」
 そこへ突っ込んだベリザリオがシールドバッシュで葬華卿を吹き飛ばした。
「忌々しい、私の花園で炎を使うとは!」
 葬華卿は燃え続ける脇腹の火に茨を巻き付けて、強引に消火した。甘い香りの中に肉の焼けた臭いが漂う。
「貴様は必ずここで仕留める」
 忌々しそうに葬華卿の視線が織久に向けられ、巨大鋏を手に突っ込んで来る。その刃は霊体のように存在が薄くなり、肉体ではなく生命の根源のみを断ち切る刃となった。
「命のみを刈る死神の刃か」
 その異質さを悟り、織久は斬撃を身を低くして躱し、横薙ぎに大鎌を一閃する。すると敵は跳躍して足が断たれるのを避けた。
「避けるならば、この地を満たす花々を燃やし尽くす」
 振り抜かれた大鎌から放たれた怨念の炎が、周囲の蒼薔薇を燃やして炎が広がっていく。
「貴様ァ!」
 薔薇を燃やされ激昂した葬華卿が、降下しながら大鋏を頭上から振り下ろす。しかし身体を焼かれた影響か、紋章の輝きが少し弱まり速度が落ちていた。
「織久、隙を作るから任せたよ」
 その一撃をベリザリオが盾にオーラを纏わせ、上に掲げて受け止めた。
「騎士よ、汝の相手は後だ!」
 葬華卿が地面から蒼薔薇を生やし、茨によってベリザリオを拘束する。そして織久に向けて大鋏を突き入れようとする。
「先ほどまでならば受け止めるのも危ういが、弱った今ならば弾ける」
 織久は今度は鋏を大鎌で弾き上げ、反撃に大鎌を振り下ろす。
「私の一撃を受け止めた? 紋章の力が減衰したのか!」
 葬華卿は咄嗟に茨を割り込ませて大鎌を防ぐ。しかし刃が茨を切り裂き、葬華卿の頭部にまで達した。頭から血が垂れて顔を流れる。
「下郎っ! 私にこれだけの傷をつけるとは、許さん!」
 顔にやった手につく鮮血を見ると、葬華卿は怒りと共に大量の花を生み出した。
「卿は今まで何人もの犠牲者を、その棺で死後も辱めたのだろう。次は卿の番というだけだ」
 葬華卿が織久に執着している間に、ベリザリオが棺に向けて剣を叩き込む。するとひびが入り、穴が開くと中から蒼い花びらが撒き散らされた。
「何をする!」
 慌てて葬華卿がベリザリオに向けて花を放つと、それを刈り取り燃やしながら織久が接近した。
「花と共に燃え尽き糧となれ」
 振り抜かれる大鎌が葬華卿の首を切り裂く。しかし骨を断つには至らず、血が大量に噴き出した。
「がほっ…………許さん。貴様等はコレクションに不要だ。蒼薔薇に覆われて朽ち果てろ」
 血を吐き首の傷を塞ぐと、大量の花が辺りを満たし、オーラの結界を張って織久を守るベリザリオを、薔薇と茨が地面ごと押し流して薔薇園から遠ざけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
◆心情
蒼薔薇由来、ですか
草花に限らず命とは枯れ落ちる循環の中に生きるモノ
その特性をも取り込んでいるならば、卿もまた滅ぶ存在であると言うわけです

◆行動
【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別するサーモバリック爆薬」を複数設置
熱と衝撃波、どちらも花には天敵でしょう?

更に『涅槃寂静』にて「死」属性の「劫火」を行使し【範囲攻撃】
世界すら灼き盡す焔と、循環の一つの節目たる死の属性です
紋章によって強さと引き換えに明確な弱点をも得てしまったのは迂闊でしたね
文字通り、灰燼に帰させて頂きましょう

更に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


リーヴァルディ・カーライル
…生憎だけどお前が対価を受け取る未来は存在しない
お前は今、此処で私達に討ち果たされるのだから

…せめてもの慈悲よ。その柩にはお前自身の骸を納めてあげるわ

UCを発動して全ての魔刃に氷の魔力を溜める武器改造を施し、
空中機動を行う魔刃を連携させて集団戦術による防御結界を展開
氷属性のカウンターオーラで防御しつつ花を凍てつかせ、
第六感が好機を捉えたら魔刃を乱れ撃ちする早業の氷属性攻撃を行う

…刃に満ちよ、氷雪の理。我に叛く諸悪を悉く静止めん

…無駄よ。この極低温の結界の前でまともに動ける植物など存在しない

…蒼薔薇の弱点までも写しとる紋章の特性が仇になったわね
凍てついた薔薇と共に、花と散りなさい葬華卿


愛久山・清綱
植物特有の弱点。一つ思いつくとすれば金剋木……
意味は『金属でできた刃物は、植物を傷つける』。
此の刀が勝敗のカギを握るやもしれぬな。
■闘
先程とほぼ同じになるが、敵の放つ技を斬って妨害しよう。
花弁が来たら刀に【オーラ防御】を宿し、【武器受け】する
ように受け止めるぞ。可能な限り敵を強化させないように。
止めきれないものは【斬撃波】を放ってでも斬ってやれ。

凌ぎきったら【奇刀・烈】を発動し一瞬にして間合いへ。
無数の【残像】による【フェイント】をかけて隙を伺いつつ、
好機が来たら素早い連斬を仕掛けばっさりと斬り伏せる!

このような事を言うのも何だが、同族に討たれないだけ
有難く思うのだな。

※アドリブ歓迎・不採用可



●棺の中に眠る
「はぁはぁ……まさか私が息を荒げることになるとは……」
 紋章の力が万全ならば、猟兵など容易く蹴散らせるのにと、疲労した顔で悪態を吐く。あちこちが傷つき満身創痍の状態だった。
「蒼薔薇由来、ですか」
 蒼薔薇の花園に踏み込みながら、絶奈は強力な紋章の力を推察していた。
「草花に限らず命とは枯れ落ちる循環の中に生きるモノ。その特性をも取り込んでいるならば、卿もまた滅ぶ存在であると言うわけです」
 敵に近付きながら絶奈はサーモバリック爆薬を設置していく。
「まだ侵入者がいたか、蒼薔薇の迷宮を抜けてくる者がこれほどいるとは、今後は対策を考えねばならんか」
 葬華卿は険しい顔で新たな猟兵に視線を向ける。
「だが今はこの庭園を踏み荒らす者を排除せねばならない」
 蒼薔薇が大量に出現し、絶奈の行く手を阻み周囲を囲もうとする。それと同時に罠が起爆し、爆発と炎を撒き散らして薔薇を吹き飛ばした。
「熱と衝撃波、どちらも花には天敵でしょう?」
 絶奈はさらに爆発範囲を広げ、花園の被害を増やしていく。
「貴様も私の庭園を焼き払うつもりか!」
 葬華卿は水気に満ちた茨で炎から花を守り、少しでも延焼を留める。


「この美しき庭園の貴重さを理解できないとは……ならばその身を手に入れ、彫像にして薔薇園に飾りその身に素晴らしさを教えてあげよう」
 絶奈に向けて蒼薔薇を侵食させていくと、途中でリーヴァルディの大鎌が一振りされて薙ぎ払われた。
「……生憎だけどお前が対価を受け取る未来は存在しない。お前は今、此処で私達に討ち果たされるのだから」
 そしてリーヴァルディはユーベルコード『吸血鬼狩りの業・魔刃の型』を発動する。
「……刃に満ちよ、氷雪の理。我に叛く諸悪を悉く静止せん」
 冷気を纏うように改造した魔力結晶刃を100以上も召喚し、隙なく周囲に浮かべた。
「幾ら数が多かろうと、この私の庭園の中では無意味」
 こちらの方が数は勝っていると、葬華卿が生み出す咲き乱れる蒼薔薇の群れが押し寄せる。呑み込まれれば容易く生命力を奪い取る貪欲な花々が囲む。
「……無駄よ。この極低温の結界の前でまともに動ける植物など存在しない」
 リーヴァルディは魔刃を連携させ防御結界を展開し、冷気の障壁で近づく花々を凍てつかせていた。
「馬鹿な、私の薔薇を止めたというのか……」
 あっさりと蒼薔薇の津波が止められ、さらに広がる冷気の影響を受けた葬華卿の動きが一瞬止まる。
「……蒼薔薇の弱点までも写しとる紋章の特性が仇になったわね。凍てついた薔薇と共に、花と散りなさい葬華卿」
 その隙をつき、リーヴァルディは魔刃を乱れ撃ちして凍った花々を砕き、葬華卿の体を幾つも貫いて腹に穴を開けた。


「がはっ……私が……血を吐くほどに追い詰められるなど……!」
 口元を自らの血で汚し、在り得ない事態に困惑しながらも葬華卿は力を振り絞るように紋章を輝かせ、何とか自らの周囲の青薔薇を凍らせないように強化して身を守った。
「薔薇よ咲け……必ず我が棺に閉じ込めて、コレクションにしてくれる」
 そして少しずつ己が支配域を広げようと、蒼薔薇を増やし厚い層を作って表面が凍っても底の花が冷気に耐える。
「植物特有の弱点。一つ思いつくとすれば金剋木……意味は『金属でできた刃物は、植物を傷つける』」
 清綱は五行相克の理を思い出し、己が手に在る大太刀【空薙・剛】に視線を落とした。
「此の刀が勝敗のカギを握るやもしれぬな」
 一閃して凍った花々を砕き、その下に埋もれる薔薇もまた斬り裂いた。
「ここは私の薔薇園。無法者が好き勝手に踏み入ることは許さん!」
 薔薇の領域が広がり、清綱の足元にまで茨が到達する。
「迷宮の入り口を開けていたのは其方であろう。不利になった途端に怖気付くなど貴族の名折れ」
 清綱は巻き付こうとする茨を刀で受け流し、逆に斬撃波を放って花々を斬り捨て道を拓く。
「この地下都市の支配者である私を侮辱する気か!」
 葬華卿の元よりさらに花が放たれるがそれも切り払われ、金属の刀で斬られた花は容易く裂かれ萎れていく。


「まさか私の能力に対抗する手段を用意しているとは!」
 葬華卿は猟兵を圧倒できるだけの力を持っているのに、それを十全に発揮できない状況に歯噛みする。
「しかし、ここを凌ぎ地下都市の領土に籠もれば仕切り直せる」
 このままでは不利と考え、一旦退くことにしようと後ろに下がる。だがそこへ劫火の炎が壁を作り上げ、花々を燃やしていった。
「逃げ道はありません。迷宮の罠に我々を陥れたつもりだったのでしょうが、迷宮という逃げ道のない場所に陥ったのは貴方だったようです」
 そこには回り込んだ絶奈の姿があり、ユーベルコード『涅槃寂静』によって死の劫火を起こし、猛る炎によって逃げ道を閉ざしていた。
「紋章によって強さと引き換えに明確な弱点をも得てしまったのは迂闊でしたね。文字通り、灰燼に帰させて頂きましょう」
 絶奈はそのまま敵を炎に包み込もうとする。
「ならば貴様等を薔薇に包み込んで、この花園に飾り立ててから去るとしよう」
 追い詰められると開き直り、葬華卿は絶奈に向かって巨大鋏を手に突っ込む。炎は茨で一時的に凌ぎ、真っ直ぐに刃を突き立てようとする。

「……お前の悪趣味な薔薇園の一部になる気はない」
 そこへリーヴァルディが横から大鎌を振るって敵の首を狙う。咄嗟に葬華卿は大鋏を引き戻して刃を受け止めた。
「この美しさがわからないとは。だが自分がその一部となれば素晴らしさが理解できるだろう」
 一方的に己の趣味を押し付け、葬華卿は大鋏で胴を両断しリーヴァルディの生命力を刈り取ろうとする。
「……独り善がりの美なんて、誰にも共感を得られないわ」
 リーヴァルディの周囲に浮かぶ魔刃が鋏を防ぎ、放つ冷気が葬華卿の全身を凍らせていく。
「凍るのは拙い!」
 霜の付いた紋章の輝きが弱まり、葬華卿は大きく跳び退く。

「薔薇の園よ、視界を埋めるほどに咲き誇れ!」
 葬華卿が棺を開け、目晦ましにするように大量の青薔薇の花びらを散らした。
「これで一先ずは時間を稼げる。その間に態勢を立て直す」
「戦場では一瞬の油断が命取りとなる――」
 無数の花びらで猟兵との間を遮断し、間合いを開けようとした葬華卿の目の前に人影があった。清綱がユーベルコード『奇刀・烈』によって瞬間移動して接近し、無数の残像を生み出して踏み込んでいた。
「な!?」
 僅かな思考の空白、そこへ清綱は残像に紛れて斬撃を放つ。幾重にも剣閃を走らせ、敵の身体に刀傷を刻んでいく。紋章が弱まったとはいえ、まだ肉体の強化が残り断ち切るに至らない。
「貴様! 人間如きが私の体にこのような傷を!」
 怒りに憎悪を燃やしながら、葬華卿は目の前の清綱を大鋏で両断する。だがそれは残像で消滅した。
「このような事を言うのも何だが、同族に討たれないだけ有難く思うのだな」
 背後からの清綱の声と共に、背中を深々と切り裂かれ血が噴き出す。
「黙れ!」
 振り向きながら背後の清綱を大鋏を薙ぐと、それもまた残像で消え去った。
「蒼薔薇よ!」
 周囲全てを吹き飛ばすように蒼薔薇を棺から放つ。だがその蒼薔薇を燃やし尽くす炎が駆け抜けた。
「此の青薔薇も危険なもの。一輪も残すつもりはありません。貴方と共に荼毘に付しましょう」
 絶奈が炎の向こうから白槍と黒剣を振るって衝撃波を飛ばし、炎を纏った衝撃波が葬華卿を襲い全身を燃え上がらせた。
「ああああっ! 燃える、体がァ!!」
 火は葬華卿の右頬の紋章を焼き、刻印を歪ませると輝きを失わせた。
「薔薇よ、美しき薔薇よ、私を守れ……」
 棺を全開で開き、蒼薔薇を浴びて炎を消し去ろうとする。
「……せめてもの慈悲よ。その柩にはお前自身の骸を納めてあげるわ」
 リーヴァルディが一斉に魔刃を飛ばして全身を貫いて動きを封じ、そこへ大鎌を振るって紋章の力を失った首を刎ねた。開けたままの棺が倒れると、そこに首と共に身体が崩れ落ちる。炎が包んで棺ごと葬華卿の遺体を焼き、永久の眠りに誘った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『傀儡卿』ジェーン・ドウ』

POW   :    狂い哭け我が麗しの人形ジェーン・ドウ
自身の【身体を護る防具として機能する吸血鬼の幻霊】が輝く間、【射程と遮蔽を無視して飛ぶ不可視の斬撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    妄執弄び踊れ我が愛しの魔剣ジェーン・ドウ
【魔剣を見たモノの理性と自制心】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【強烈な独占欲と執着を抱かせる魅了の魔剣】に変化させ、殺傷力を増す。
WIZ   :    己が主の名を讃えよ我が永久の隷属者ジェーン・ドウ
【かつての主“傀儡卿”コッペリア】の霊を召喚する。これは【ダークセイヴァー由来の武器】や【全ユーベルコードの連続使用】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:なみはる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレナ・ヴァレンタインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狂えるオブリビオン
 この地下迷宮の支配者である第五の貴族『葬華卿』を打ち破った。だが安堵する暇もなく、空気が震えるような強大な力をびりびりと肌に感じ、庭園の入り口付近の蒼き薔薇が吹き飛ぶ。
「ああ、あガァアアアアアア!!!!」
 獣のような咆哮が迷宮に轟く。舞い散る蒼き花びらの中に姿を現したのは軽装の女戦士。刀のような禍々しい力を宿した魔剣を振るうと、斬撃波が辺りの蒼薔薇を薙ぎ払う。
「う、うゥア、アアアア!!」
 その目に理性はない。ただ全てを破壊しようという狂った闘争本能のみが身体を突き動かしていた。
 異端の神々が憑依した狂えるオブリビオン『傀儡卿』ジェーン・ドウは、視界に入った猟兵を皆殺しにしようと躊躇なく襲い掛かる。
 その足は強引に迷宮を突き進んだ為に、蒼薔薇の茨によって傷だらけになって赤く染まっていた――。

 狂えるオブリビオンはこのまま地下都市を蹂躙し、さらに他の第五の貴族を狙って嵐のように被害を広めるだろう。そうなればどれほどの人々が犠牲になるか数えることもできない。
 その悲劇を阻止しダークセイヴァーに少しでも平穏を取り戻そうと、猟兵達は連戦で恐るべき狂戦士に挑む。
ベリザリオ・ルナセルウス
オブリビオンすら狂わせる異端の神々と対峙する時もいずれ来るだろう
だが今は、ジェーン・ドゥ…名もなき貴女の安らかな眠りのために、人々の未来のために、貴女を倒す

●行動
いくら傷付いても躊躇わず戦い続ける様は織久を見ているようだ
生半可な事では攻撃を緩める事さえできないだろう
だがどれだけ攻撃してこようとも、私の盾とオーラの結界を越えて織久を傷付ける事は許さない
何度攻撃してこようとも全て防ぎ、剣と盾で叩き落とす
そして祈りを込めたUC全力で放って霊にまつわる物を浄化して織久が戦いやすいように露払いだ
味方には恩恵を与える祝福された大地も霊や狂えるオブリビオンには辛いだろう
私の光が護る闇はただ一つ、織久だけだ


西院鬼・織久
【白と黒】
異端の神々とやらは彼奴等を狂わせ何を為そうと言うのか
考えるのは後回しですね

我等が獲物を前に為すべきはただ狩るのみ
如何なる狂気も諸共喰らってくれよう

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ敵行動の前兆を察知し戦闘知識+瞬間思考力で敵の隙を逃さず突く

先制攻撃+UC+怨念の炎の範囲攻撃に夜砥を忍ばせ敵と周囲に炎を付与
UCが命中したら早業+夜砥で捕縛し迷宮の蒼薔薇の毒にも触れ続けた体に麻痺毒を加える
捕縛したまま怪力で引き寄せ、幻霊の防具を鎧無視の貫通攻撃で串刺し+怨念の炎を流し込み傷口を抉る

周囲で燃える炎の揺らぎで不可視の刃を見切りカウンター
敵が怨念の炎と毒で弱って来た所になぎ払い+切断



●狂気と狂気
「オブリビオンすら狂わせる異端の神々と対峙する時もいずれ来るだろう」
 ベリザリオは狂って理性を失ったオブリビオンの姿を見て、異端の神々の恐ろしさを感じ取る。
「だが今は、ジェーン・ドゥ……名もなき貴女の安らかな眠りのために、人々の未来のために、貴女を倒す」
 暴力の化身と化したオブリビオンを倒さなくては、この地下都市が滅ぼされてしまうと剣と盾を構える。

「異端の神々とやらは彼奴等を狂わせ何を為そうと言うのか、考えるのは後回しですね」
 織久もまた異端の神々について想像したが、今は目の前の戦いに集中しなくては危険だと、肌が粟立つような殺気を感じていた。
「うぅ、うアァアアアアア!!」
 強烈な殺気がジェーン・ドゥから放たれる。その向かう先は離れていても本能で危険な臭いを感じた織久の元。突風のような気を当てられ、織久も強き殺気を放って対抗する。
「織久が目を付けられたようだ」
 その殺気を遮るように、ベリザリオが割って入り盾で防ぐ。
「ガァアアッ」
 咆えるジェーン・ドゥが獣のように前傾体制となって薔薇の花びらを撒き散らしながら突撃すると、ベリザリオの盾に衝突する直前に横にステップしてすり抜け、織久に向かって魔剣を突き出す。だがその攻撃を察知した織久は横に跳んで躱した。
「我等が獲物を前に為すべきはただ狩るのみ。如何なる狂気も諸共喰らってくれよう」
 振り向いた織久がジェーン・ドゥの背中に向けてユーベルコード『殺意の炎』を放った。しかしジェーン・ドゥは吸血鬼の幻霊を宿して振り向きざまに魔剣を連続で振るい、不可視の斬撃が飛んで黒い炎を幾重にも斬り払った。

「織久の炎を斬るなんて、先ほどの葬華卿にも劣らぬ敵のようだ」
 今度は抜かれないと、敵の動きに警戒しながらベリザリオが前に立って盾を向ける。
「あ、あああぅアアア!!!」
 また突進するジェーン・ドゥが先と同じにベリザリオを躱し織久を狙おうとする。
「織久の元には向かわせない」
 しかし今度は反応したベリザリオも横に跳び、盾で行く手を塞いだ。
「ゥガァア!!」
 邪魔だと振り抜く魔剣が盾に叩き込まれる。その衝撃にベリザリオの体が後ろによろめく。
「ガアアッ!」
 隙を見せた胴を狙い魔剣が振り抜かれる。しかしその一撃は周囲から襲う黒い炎によって絡み取られた。
「斬った程度で我等が怨念が消えると思うたか。我等が炎は獲物を喰らい尽くすまで消えぬ」
 織久の怨念の炎はバラバラになっても消えず、火種が集まって炎となりもう一度敵に襲い掛かっていた。
「ああああああアっ!!」
 炎に包まれ苦しそうな声を放ちながらも、ジェーン・ドゥはすぐに立て直し斬撃を放ってベリザリオの胴を真っ二つにしようとする。しかしその僅かな間に同じく体勢を立て直したベリザリオは、腰を落として盾でがっつりと重い一撃を受け止めた。

(いくら傷付いても躊躇わず戦い続ける様は織久を見ているようだ)
 炎に包まれて体を焼かれても、剣を止めずに戦い続ける敵に織久の姿を重ねる。
(生半可な事では攻撃を緩める事さえできないだろう)
 これを止めるには命を絶つしかない。だがそれも強敵相手では簡単ではない。盾だけでは間に合わず剣でも受け止めるが、それでも押され続けている。
「だがどれだけ攻撃してこようとも、私の盾とオーラの結界を越えて織久を傷付ける事は許さない」
 重い一撃が連続し、受けるベリザリオの両腕の感覚がなくなっていく。僅かな時間だというのに汗が大量に流れ、何時間も過ぎたような疲労を覚える。
 それでも必死に防御を続け、腕がもがれようともこの凶刃を織久に届かせないという意思だけで耐えた。すると先に斬撃の嵐が止まる。見れば体に細い糸が巻き付き動きを阻害していた。
「理性を失いこの程度の罠にも気付かぬか」
 織久は炎と共に【夜砥】を胴に巻き付け、敵の攻撃の間にそれを四肢にまで伸ばして拘束していた。
「元より狂気を宿して戦う我等と、狂気に飲まれたお前では根底が違う」
 狂気によって動こうとも、織久の戦闘技術は衰えずに敵を屠る為に十全に働く。霊に守られた体に糸が浅く食い込みジェーン・ドゥの体中から血が溢れ出す。その傷口からは麻痺毒が仕込まれ、迷宮の蒼薔薇の毒を受けていた体の動きを鈍らせた。
「があああああぁアアアアアッ!!!」
 ジェーン・ドゥが咆えるとかつての主たる“傀儡卿”コッペリアの霊が召喚され、黒剣を振るってぶちぶちと糸を切り裂き拘束を解こうとした。

「狂気に関しては織久の方が一枚上手だったようだね」
 素直に喜んでいいのか微妙な顔をしながらベリザリオは痺れる手から剣と盾を取り落とし、代わりに竪琴を構える。
「貴女の闇を祓おう。祝福あれ!」
 祈り奏でるように弓を引き、ユーベルコード『Sanctuarium benediction』によって放たれた旋律の矢が大地に祝福を与える。すると霊が苦しむように存在が薄くなる。
「が、ああぎぃっ」
 そしてジェーン・ドゥも歯軋りして苦悶の表情を浮かべた。
「私の光が護る闇はただ一つ、織久だけだ」
 ベリザリオが美しき旋律と共に祝福の大地を広げていく。
「ぅアアアアアッ!」
 それでもジェーン・ドゥは戦う事を止めず、足を踏み出してこの苦痛な空間を生み出しているベリザリオに不可視の斬撃を飛ばそうとした。
「その霊も共に我等が糧となれ」
 そこへ恐れ知らずに突っ込んだ織久が、敵が剣を振り抜く前に赤黒い槍【百貌】を突き入れ、弱まった霊の守りを貫き胸のど真ん中を串刺しにした。
「がばっ」
 口から血を吐きながらもジェーン・ドゥが織久を斬ろうとする。
「燃え尽きろ」
 織久は槍に炎を宿し、体の内側から燃え上がらせる。
「がああああああ!!!!!」
 獣のように叫びながら、それでもジェーン・ドゥは剣を振り抜いた。その一撃を織久は身を反らして躱し、槍を捻じりながら引き抜く。だが剣は止まらずに怒涛の勢いで織久を襲う。体を侵す毒も燃え上がる炎も、狂戦士として命を削って暴れるジェーン・ドゥを止めきれない。その一刀が織久の胴を薙ぐ。それに構わず織久も槍を振るって敵の首を薙いだ。
「織久!」
 そこへベリザリオが盾を拾い上げ、身を低くして飛び込み敵の斬撃を受け止める。それと同時に織久の槍は敵の首に当たり骨に達するまで食い込む。
「がっ、ああ、あああうガアアア!!!」
 普通ならば致命傷のダメージを受けながら、ジェーン・ドゥは不可視の斬撃を乱れ撃ち迷宮を崩す。オーラの結界で守るベリザリオと織久の居る天井も足場を粉砕して、瓦礫によって辺りを自分もろとも埋めてしまった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

霧島・絶奈
◆心情
『身元不明』ですか…
オブリビオンとなり、異端の神々に憑依され、闘争本能に染まった狂気の破壊者
まさに己と言うモノを喪った名無しの傀儡ですね

せめて末期までの此の一幕を、共に愉しみましょう
闘争を愛する獣として、お相手致しますよ

◆行動
多彩な攻撃手段の霊と、狂気と引き換えの戦闘力の連携は一見強力無比ですが…
多元宇宙を股に掛ける猟兵の相手には聊か役不足です

【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別する指向性散弾」を複数設置

設置後は『涅槃寂静』にて「死」属性の「濃霧」を行使し【範囲攻撃】

更に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


リーヴァルディ・カーライル
…第五の貴族を討ち、当初の目的は既に果たした
このまま離脱しても問題無いけれど…行き掛けの駄賃よ

…此処をお前の墓場にしてあげるわ、狂えるオブリビオン

この世界で積み上げてきた戦闘知識と経験から召喚された霊の攻撃を見切り、
"呪宝珠弾"を銃撃するカウンターで迎撃し同士討ち出来ないか試みる

魔剣の誘惑は元々の狂気耐性で精神を浄化して軽減し、
限界突破した怒りにより闘争心を賦活して受け流しUCを発動

…っ、その魔剣。私の心に干渉している…?

…私の心は私のものよ。それを弄ぶというならば容赦はしない

吸血鬼化した自身の影に魔力を溜め戦場全体に広げ、
足元の傷を回復阻害の呪詛を宿す無数の影槍で乱れ撃ちする闇属性攻撃を放つ


愛久山・清綱
完全に理性を失ってしまっているようだな……
彼等を狂わせたものは、一体何なのか?

■闘
しかしあのコッペリアとやら、オブリビオンの身でありながら
連続コードをやらかすとは……基本がなってない事よ。
【剣宿】で変身し、キツイ御灸を据えてやろう。

先ずは霊の放つ攻撃を【見切り】つつ、【武器受け】で弾きながら
攻撃の機を伺うぞ。
奴は一つの技に集中できていない故、必ず隙が生まれる筈。
また防御の際は狙いを定めにくくするため、【残像】を見せる。

して、俺は中距離から距離の概念を無視する【斬撃波】を
本体目掛けて放ち、傷口に一太刀入れて大ダメージを狙う。
手応えがあったら、周囲の味方に好機を伝えるのだ。

※アドリブ歓迎・不採用可



●手負いの獣
「うぅ、うあああっ! ヴアアアアア!!」
 獣じみた唸り声と共に瓦礫が巻き込まれた蒼薔薇と共に吹き飛び、姿を見せた傷だらけのジェーン・ドゥの傷口が塞がって出血を止める。その目は獣のように爛々と輝き、ただ破壊衝動のみによって突き動かされていた。
「『身元不明』ですか……オブリビオンとなり、異端の神々に憑依され、闘争本能に染まった狂気の破壊者」
 戦いの準備を終えた絶奈は狂気に憑りつかれたオブリビオンの狂戦士を見やる。
「まさに己と言うモノを喪った名無しの傀儡ですね」
 名も心も失った操り人形だと、その狂える姿に憐れみを覚える。
「せめて末期までの此の一幕を、共に愉しみましょう。闘争を愛する獣として、お相手致しますよ」
 ならば最後の手向けに猛る戦いを繰り広げようと、白槍と黒剣を構えた。
「あ、あががガアアアァッ!!」
 咆えるジェーン・ドゥはかつての主“傀儡卿”コッペリアの霊を召喚し、同時に絶奈へと襲い掛かる。ジェーン・ドゥが真っ直ぐに魔剣を振り下ろし、霊はユーベルコードの連続使用して襲い掛かる。
「多彩な攻撃手段の霊と、狂気と引き換えの戦闘力の連携は一見強力無比ですが……多元宇宙を股に掛ける猟兵の相手には聊か役不足です」
 その凶刃が届く前に、絶奈が設置しておいたトラップを発動させ、次々と指向性散弾が飛び散って敵に命中した。僅かに剣筋が乱れると、後退しながら絶奈は二剣を槍と剣で受け流す。そして反撃に斬撃と共に衝撃波を飛ばし、ジェーン・ドゥと霊を押し戻した。


「うぅ、ガォアアア!!!」
 苛立つ獣のように咆えたジェーン・ドゥが魔剣を振るい、絶奈の飛ばす追撃の衝撃波を斬り飛ばした。
「……第五の貴族を討ち、当初の目的は既に果たした。このまま離脱しても問題無いけれど……行き掛けの駄賃よ」
 ここまで来たのなら最後まで付き合おうと、リーヴァルディは狂戦士に向かって踏み出す。するとそれに気づいた霊が飛び掛かり黒剣を振るった。
「……此処をお前の墓場にしてあげるわ、狂えるオブリビオン」
 リーヴァルディは冷静に二連装マスケット銃【吸血鬼狩りの銃・改】の銃口を向けて引鉄を引く。放たれた【呪宝珠弾】が霊に命中し、その思考を狂わせる。狂った霊は大きく口を開け、反転すると己を召喚したジェーン・ドゥへと狙いを変えて剣を振るう。その刃が肩を切り裂くが、同時にジェーン・ドゥの魔剣が霊を一刀両断に掻き消した。
「ふぅふぅ、アアアッ!!」
 興奮したようにジェーン・ドゥが荒ぶると、その手に持つ魔剣が禍々しく輝く。封印が解かれ魅了の魔力を放ちリーヴァルディの視線を引き付ける。
「……っ、その魔剣。私の心に干渉している……?」
 その妖しい光に魅入られようとしているのに気付いたリーヴァルディは、精神を浄化して強烈な誘惑に耐える。だがその視線は魔剣から外す事ができない。既に心の一部に魅了の力が侵食しているのだ――。
「……私の心は私のものよ。それを弄ぶというならば容赦はしない」
 心を操ろうとする敵に怒りが燃え上がり限界を超え、内を満たす闘争心によって精神を賦活して魅了を受け流した。
「……限定解放。影より来たれ、呪われし槍」
 そして怒りを具現化するようにユーベルコード『限定解放・血の影槍』を使い、その身を吸血鬼化すると大地に広がる自身の影から、影を物質化した無数の呪槍が飛び出しジェーン・ドゥの左脚を貫いた。


「が、があっぐぐぎぃッ!」
 ジェーン・ドゥは魔剣を振るって呪槍を叩き斬る。そして歩き出そうとするとよろめいた。槍の呪いは回復を阻害し、傷口が塞がらずに血が流れ続ける。それでも殺意だけで体を動かし、足元の蒼薔薇を踏みにじりながらまたも主の霊を召喚してリーヴァルディを狙う。
「完全に理性を失ってしまっているようだな……彼等を狂わせたものは、一体何なのか?」
 清綱はオブリビオンをここまで狂わせる存在に興味を覚える。
「しかしあのコッペリアとやら、オブリビオンの身でありながら連続コードをやらかすとは……基本がなってない事よ」
 そう言いながらユーベルコード『剣宿』を発動し、天空舞う剣神を宿した神霊体に変身する。命を削りながらも強大な力が身に宿った。
「キツイ御灸を据えてやろう」
 間に割り込むと刀で黒剣を振るう霊の一撃を弾き返した。すると狙いを変えた霊が清綱へと連続で剣を振るうが、守りに専念して残像を使い受け流していく。
「一つの技に集中できていない故、必ず隙が生まれる筈」
 霊の攻撃を避けながら攻撃の機を伺っていた清綱は、ジェーン・ドゥがリーヴァルディに向けて魔剣を掲げてまた魅了しようとする姿を見た。それと同時に霊の攻撃を紙一重で躱す。
「そこは剣神の間合いだ」
 ここが好機と霊を無視してリーヴァルディと切り結ぶ本体のジェーン・ドゥに向けて清綱が剣閃を放つ。中距離から距離の概念を無視する斬撃波が貫かれた脚の傷口に一太刀入れ、ジェーン・ドゥの左脚が太腿から断ち切られた。
「手応えあり。今が好機だ」
 清綱は片足を奪った今が攻め時だと仲間に伝え、霊の攻撃を受け止めた。


「狂気に侵され思考もまた衰えています。此の死の霧に包まれ迷い果てるといいでしょう」
 絶奈はユーベルコード『涅槃寂静』を発動し、黒い死の濃霧を発生させて片足となり動きを鈍らせる敵を包み込んだ。視界が塞がれてジェーン・ドゥは霧を切り払う。しかし一瞬だけ吹き飛んでもすぐに濃霧に満たされ視界は通らない。その間にも霧はジェーン・ドゥの体を蝕み、皮膚が黒く侵食されていく。
「あ、ああぐぎぎアアアアアア!!」
 痛みにジェーン・ドゥは暴れるように剣を振るい、地面を転がるようにして死の霧から脱出した。

「……逃げ場はありませんよ。ここがお前の行き着く場所。どこにも進む道は存在しないわ」
 冷たく見下ろしたリーヴァルディが大鎌を振り下ろす。それをジェーン・ドゥは魔剣で受け止めるが、倒れたままでは力が入りきらずに右肩を切り裂いた。
「うぅアアッ!!」
 全身をばねにしたように飛び起き、ジェーン・ドゥは魔剣をリーヴァルディの胸に突き出す。
「……狂って身体能力が上がっても、剥き出しの殺気では簡単に動きが読めるわ」
 リーヴァルディはそれを見切って横に動いて躱し、勢いよく通り過ぎる敵の背中に大鎌を振るって深く斬り裂いた。

「ぅううううガッ!!」
 倒れ込みながらジェーン・ドゥは魔剣を横薙ぎに振るい、リーヴァルディの脚を刈ろうとする。しかしその一撃は清綱の地面に立てた刀によって止められた。
「随分と力が弱ったようだな。コッペリアとやらも弱体化していたぞ」
 霊圧が薄くなった敵を斬り捨て、清綱はジェーン・ドゥの元へと駆け寄っていた。
「此のまま斬り捨ててやろう」
 下から掬い上げるように刀を振り抜き、ジェーン・ドゥの胴を斬り裂く。

「うガァアアッ!!!」
 傷だらけでもジェーン・ドゥは魔剣を振るい、清綱の胴を断つように薙ぎ払う。それを受け止めた清綱は衝撃で後退する。
「狂気によって痛みも感じなくなったようですね。ですが其れこそが貴女の敗因となるのです」
 絶奈は黒い霧を敵の背後から忍び寄らせていた。背中が腐敗するように皮膚が崩れ落ちていく。
「ああぁあアアアアア!!」
 足元の蒼薔薇に流れる落ちる血によって背後の霧に気付き、ジェーン・ドゥは絶奈に向けてがむしゃらに突進する。
「……心を弄ぶような魔剣を持っているから、自らも心を乗っ取られるのよ」
 リーヴァルディは大鎌を振り抜き、残った右脚の脛を切り裂いて倒れ込ませた。
「……死によって心を蝕む狂気から解放してあげるわ」
 留めた大鎌が頭に振り下ろされる。しかしその一撃は左手で受け止められた。刃が食い込み指が落ちる。
「があああああアア!!!!!」
 しかしジェーン・ドゥは致命傷を防ぐと負傷など気にせず右手で魔剣を振り抜く。
「どれだけ傷つこうとも戦いを止めぬか。否、止められないというのが正解か」
 その刃が届く前に清綱が刀を振り下ろし右腕を深く斬り裂く。ぽろりと魔剣が握力を失った手からこぼれ落ちた。
「ならば我々が止めてやろう」
 清綱が首に向けて刃を走らせる。しかしジェーン・ドゥは指を再生した左手で魔剣を掴むと、抱きかかえるようにして必殺の一閃が肉に食い込んだところで止めた。
「うぅうう、アガァあああああ!!!!」
 ジェーン・ドゥは無茶苦茶に暴れ回り、手の付けられぬ手負いの獣のごとく辺りの迷宮を蒼薔薇ごと薙ぎ払う。
 手が付けられなくなると防御に徹して猟兵達は一時的に後退した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クオン・キマヴィス
……見るに堪えない。被害が大きくなる前にここで食い止める。…安らかに眠らせてあげる事は出来なさそう。

敵は手負い。異端の神々が憑依しているとしても、付け入る隙は必ずあるはず。…出し惜しみはしない。 〈リミッターを解除〉して【真の姿(義肢の隙間から蒼い炎が吹き出す)】を解放。主に敵の足に対して銃による制圧射撃を行う。

体勢を崩す事に成功したら、身体のバーニアの出力を全開にして一瞬で距離を詰めてから敵に組み付き、心臓目掛けてUCを発動して仕留める。

…反撃も視野のうち。むしろ避けずに多少受けてあげる。痛みなんてこの身体になってから忘れた。確実に敵を倒せる機会を作れるんだったらどんな無茶だってしてあげる。


エウロペ・マリウス
(Bee絵師様の真の姿に変化)
オブリビオンとはいえ、意思を奪われ傀儡と化してしまった姿は見るに堪えないですね

行動 WIZ

氷の【属性攻撃】で攻撃力を強化
【誘導弾】で命中率を、【高速詠唱】で手数を増やします

「闇穿つ射手。無窮に連なる氷葬の魔弾。白き薔薇を持たぬ愚者を射貫く顎となれ。『射殺す白銀の魔弾(ホワイト・フライクーゲル)』」

敵は手負いの獣。接近させれば危険が増すでしょうから
万物を凍てつかせる概念を内包した魔弾の弾幕を用いての【制圧射撃】
理性が残っていれば、万全の状態での戦闘になっていたかも知れません
ですが、その足では素早い回避行動をとることは難しいでしょう


クラウン・アンダーウッド
アドリブ・連携何でも歓迎

元気がいいねぇ。何かいいことでもあったのかな♪そんな貴女に敬意を評して、ボクも死力を尽くそうじゃないか!

鞄より取り出したバンシーを手に取り、煤けた懐中時計(器物)が過去の輝きを取り戻して時を刻み始めるとクラウンの姿が嘗ての持ち主の姿に変わる。

獲物の準備はいいかい、お嬢さん?
僕は元々モノを作るのは得意なのだけど、モノを解体するのも得意なのさ
さぁ、存分に殺り合おうじゃないか

ギャァァァと悲鳴のような駆動音をあげるバンシーを手に相手をバラバラにせんと攻撃を始める。



●狂気の果て
「はぁはぁ……がはっ、あああああっ!」
 暴れ回っていたジェーン・ドゥが息を切らし、血を吐いて動きを緩める。辺りの蒼薔薇は刈り尽くされて踏みにじられ、庭園の面影を残さぬ見るも無残な惨状となっていた。
 左脚を失い這いつくばるようにジェーン・ドゥは周囲を睨みつける。もはや知性のない獣と化し、ただ殺気を放って殺す対象を探していた。
「……見るに堪えない。被害が大きくなる前にここで食い止める。……安らかに眠らせてあげる事は出来なさそう」
 そんな姿にクオンは憐れみを覚え、ここでその凶行を止めようと真の姿を解放する。
「敵は手負い。異端の神々が憑依しているとしても、付け入る隙は必ずあるはず。……出し惜しみはしない」
 義肢の隙間から猛々しく蒼い炎が噴き出し全身の能力が強化されると、自動小銃の銃口を残った右脚に向けて発砲する。腕が固定されたように一切のブレなく集弾され、右脚を穴だらけにした。
「がああああああアアッ!!」
 咆えるジェーン・ドゥはクオンを睨みつけ、被弾も気にせずに突進してくる。魔剣を咥え、両手と右脚で本物の獣のように駆けて間合いを詰める。

「オブリビオンとはいえ、意思を奪われ傀儡と化してしまった姿は見るに堪えないですね」
 同じようにエウロペも狂気に操られる痛ましい敵の姿に、その身を滅ぼし傀儡の糸を解き放とうと真の姿へ変身する。
 露出の少なかった純白の衣装は背中や左脚が剥き出しになったものに変わり、背中からは氷の翼が生えた。そして顔には冷たい笑みを浮かべる。
「闇穿つ射手。無窮に連なる氷葬の魔弾。白き薔薇を持たぬ愚者を射貫く顎となれ。『射殺す白銀の魔弾(ホワイト・フライクーゲル)』」
 突っ込んで来るジェーン・ドゥに向けて、ユーベルコード『射殺す白銀の魔弾』が放たれた。周囲の気温が下がり、万物を凍てつかせる概念を内包した氷の魔弾が無数に飛翔し、敵の全身を凍りつかせる。
「あ、ぅうううううあああ!!」
 避ける素振りも無く突っ込んだジェーン・ドゥの体が凍り、体の動きが鈍り氷像のようになっていく。
「理性が残っていれば、万全の状態での戦闘になっていたかも知れません。ですが、その足では素早い回避行動をとることは難しいでしょう」
 ここに現れた時点でもう詰んでいると、エウロペは容赦なく氷の魔弾を命中させていく。

「が、がぅアアアアア!!」
 ジェーン・ドゥは凍った体を強引に動かし、バキバキと身体を覆う氷を割って前に進む。もはや自分の身体のことなど頭の片隅にもなく、ただ目の前の敵を殺すことしか考えていなかった。
「元気がいいねぇ。何かいいことでもあったのかな♪ そんな貴女に敬意を評して、ボクも死力を尽くそうじゃないか!」
 そんな狂った相手を揶揄うようにクラウンは言葉を投げかけ、笑みを以って突撃してくる敵を鞄より取り出したのはチェーンソー剣【バンシー】を持って出迎える。
「いつも貴方はボクの心に……」
 煤けて止まっていた懐中時計を左手に持ったクラウンがユーベルコード『心象人形師』を発動し、懐中時計は過去の輝きを取り戻しカチカチと時を刻み始めると、クラウンの姿が嘗ての持ち主の姿へと変わった。
「獲物の準備はいいかい、お嬢さん?」
 笑みを消した冷たい視線を丸眼鏡越しに向け、バンシーの刃が超高速で回転すると、駆動音がギャァァァと悲鳴のように響く。
「僕は元々モノを作るのは得意なのだけど、モノを解体するのも得意なのさ。さぁ、存分に殺り合おうじゃないか」
 構わず突進してくる敵に、クラウンはチェーンソー剣を無造作に振り下ろした。
「あぎ、あぎああアア!!」
 悲鳴に応じるようにジェーン・ドゥが下から魔剣をぶつける。火花が散ってガリガリと互いが一歩も引かずに押し合う。だが片足となりさらにその脚も負傷しているジェーン・ドゥが踏ん張り切れずに拮抗が崩れる。チェーンソーの刃がジェーン・ドゥの左肩を抉り、肉を引き千切り骨を断った。ぼとりと腕が地面に落ちる。

「ぅうう……ガアアあああああ!!」
 左腕を失ってもジェーン・ドゥは咆えながら右腕を振り抜く。低く薙ぎ払われる一撃をクラウンは跳躍して躱した。
「ゥアアアアアッ!!!」
 そこへジェーン・ドゥは執拗に斬撃を放ち、チェーンソー剣で受け止めるクラウンを弾き飛ばす。しかし無理な大振りで姿勢を崩したジェーン・ドゥは顔から地面に突っ込んだ。
「……もう人ではなく獣そのもの。この一撃で楽にしてあげよう」
 クオンが身体のバーニアの出力を全開にして飛び出し、一瞬にして距離を詰めると起き上がろうとしていたジェーン・ドゥに乗り掛かるように押し倒し、心臓に【膝部回転式パイルバンカー】を突き付ける。
「アアア!!」
 ジェーン・ドゥが暴れて剣を振るうが、避けずにクオンは義手で受け止めた。
「……痛みなんてこの身体になってから忘れた。確実に敵を倒せる機会を作れるんだったらどんな無茶だってしてあげる」
 一歩も引かずにパイルバンカーを撃ち出した。強烈な一撃が心臓を貫き、背中から先端が飛び出し地面に突き刺さる。
「ぐあっ」
 大量の血を吐いてジェーン・ドゥの顔が血に染まる。だが血塗れになりながらもその眼は爛々と輝き殺気を放っていた。
「……心臓を破壊されてもまだ――」
 それに気づいたクオンが高周波ブレードを抜くと同時に、ジェーン・ドゥが魔剣を振り抜いて首を落とそうとした。刃がぶつかり合い甲高い音を立てた。ジェーン・ドゥが魔剣を振り抜き、クオンを薙ぎ倒して胸の杭を抜く。そして胸に風穴を空けたまま立ち上がる。血が噴き出し全身が赤く塗りたくられる。
「あ、アアアがガァ!!」
 血を吐き出しながら咆え、ジェーン・ドゥはもはや動くのすら不思議な状態でも、狂気に突き動かされて剣を振るった。
「まさに狂戦士。完全に体を破壊するまで止まらないようです」
 そこへエウロペが魔弾を撃ち込み、腕を凍らせて斬撃を緩めた。その間にクオンは飛び退いて躱す。
「その狂気の熱を、私の冷気で凍てつかせましょう」
 さらに魔弾を撃ち続け、ジェーン・ドゥの体に穴を穿ち内側から凍らせていく。
「ぅ……ぅうぎぎぎぃ……」
 錆びた機械のように身体が軋み、冷たくなった青白い顔をしたジェーン・ドゥの動きがゆっくりになる。
「完全に壊れてしまったようだねお嬢さん。ならバラバラに解体するとしよう」
 クラウンが悲鳴を上げるチェーンソー剣を低く振るい、残っている右脚を斬り飛ばした。
「が、があぁああアアア!」
 悲鳴のような甲高い声で叫んだジェーン・ドゥは、残った右腕だけでクラウンの首を狙う。
「そうだ、どちらかが死ぬまで終わらない。それが殺し合いというものさ」
 対してクラウンはそれを上回る速度でチェーンソー剣を走らせ、刃が届く前に右腕も切断した。
「ぎぃ!」
 すると落下する腕からジェーン・ドゥは口で魔剣を奪い、狂戦士に相応しい獰猛さで頭から突っ込む。
「両手両足を失ってもまだ戦うとは、恐るべき闘争心ですが、ここまでです」
 エウロペが容赦なく魔弾を叩き込み、全身を分厚い氷で覆った。
「……あなたは少し私と似ているのかもしれない。だからこそここで止めてあげる」
 蒼い炎を噴出するクオンが跳躍し、敵の胴体にパイルバンカーを撃ち込み、今度は腹に大穴を作って全身にひびを入れる。
「さぁ、解体ショーも終わりにしようじゃないか」
 続けてクラウンがチェーンソー剣を叩き込み、ジェーン・ドゥの氷像を粉々に砕いた。
「ああ……あ、………」
 狂気が消えた顔で何事かを呟きながら顔まで砕け、バラバラになった氷の破片が消えていくと、ジェーン・ドゥの姿は跡形もなくこの世界から消え去った――。


 激しい連戦によって、戦場となった庭園は廃墟となり、一面に咲き誇っていた蒼薔薇は散ってしまっていた。
 美しくも恐ろしい死に満ちていた迷宮は解放され、地下都市への道は拓かれた。これから地下都市の解放は進んでいくだろう。
 だが今は一先ず、連戦の疲れを癒そうと猟兵達は帰途につく。

 手入れをする者の居なくなった薔薇園は、自然の淘汰に晒され朽ちていくだろう。
 しかしそんな荒れ果てた剥き出しの大地の中であっても、美しい蒼薔薇が一輪だけ、生きようと逞しく咲いていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年07月11日


挿絵イラスト