13
こぱんだだいぴんち

#封神武侠界

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界


0




●こぱんだだいぴんち
 その幼い生き物は、人々によって大切に育てられていた。
 ふあふあの毛並みは白黒柄、よく見ればくりっとつぶらな瞳。よちよち歩きかと思えば、ころころ転がってきょとん顔。

 そんな愛らしい彼らと飼育係達の、あたたかい生活を脅かす存在が現れる。

「は~~かわいい仔パンダ? 妾のほうが圧倒的にかわいいじゃろ」

 邪悪な彩の羽衣を纏い、ひらりと彼らの前に舞い降りた少女は飼育係に話しかける。

「な、そうじゃろ」
「えっ」
「なんじゃ! そんな簡単なこともすぐに答えられぬ愚か者しか居らぬのか!?」

 怒りだした少女から立ち昇る、人ならざるオーラに震えあがるも、仔パンダを守るように彼女の前に立ちはだかる飼育係達。
 その背後で、きゃう、と鳴いた仔パンダを少女はじっと見つめた。

「……」

 きょとん顔の仔パンダ達が一斉に小首を傾げる。中にはバランスを支えきれずに、前転したままぽてりと遊具から落ちたものも居る。

「………妾が一番かわいいのは自明の理なんじゃが、つまり最高にかわいい妾がこやつらを侍らせれば皆文句なしじゃの」
「えっ!!」
「安心するのじゃ、妾は大きな虎共も平等にかわいがっておるからの!」
「えっ!!!」

 驚きの声を出さずには居られない飼育係達の耳に、がおおんと大きな咆哮が聴こえてくる。
 かくしてとある桃源郷のぱんだようちえんに、危機が迫っていた。

●とらとらおおあばれ
「仔パンダ達がピンチなのです」
 グリモアベースに集った猟兵達の前で、鎹・たから(雪氣硝・f01148)はいつもにもまして真剣な顔をしてそう言った。
「封神武侠界には、桃の花咲き乱れる『桃源郷』と呼ばれる土地があります。美しいだけでなく、滞在した者の霊力も高めてくれる土地なのだそうです。その桃源郷には、様々な事情で人の手で育てられているこどものパンダの養育施設があるのですが、オブリビオンによってその施設が乗っ取られてしまったのです」
 そんな素敵な場所を乗っ取るなんて許せません。羅刹の娘はふるふると静かな怒りに震えていた。そんなに怒ることかな。いや、かわいい仔パンダが危ないなら仕方ない。多分。
「皆さん、そのオブリビオンをほろぼし、施設をすくってください。ですが桃源郷に行く道中に、オブリビオンによって大きな障害が待ち受けています」
 と、いうと。
「オブリビオンが従えている、とても大きな虎がたくさん出ます。人喰い虎です」
 虎か~。なんとなく封神界っぽくなってきたな、と猟兵の誰かは思ったとかいないとか。
「一人につき、必ず一匹は相手にすることになるでしょう。非常に狂暴な上に強靭な肉体をしているため、ユーベルコードを使っても、一気に倒すのは難しいかもしれません。ですがずっとお腹が空いているらしく、長時間暴れると飢餓状態になって消耗します。そこがチャンスです」
 人喰い虎退治のあと、元凶となったオブリビオンを倒すことになる。その特徴を問われて、たからは真面目な顔のまま答えた。
「語尾が『なのじゃ』の、十二歳くらいの女の子の姿をした悪の仙人です」
 のじゃロリか~。ある意味封神界っぽい、猟兵の誰かは思った。かもしれない。
「こどもの姿をしていますが、仙術や宝貝を悪用して、さまざまな事件を起こしています。実年齢は百歳以上ですから、相当の実力者だと思っていてください」
 無事に悪の仙人を倒し、養育施設を解放できれば仔パンダ達と遊ぶことができるという。
「ふあふあのもふもふです。猟兵なら、彼らとじゃれあっても怪我をすることはありません。赤ちゃんパンダもちょっと大きなパンダも居ます。たくさん遊んであげましょう。ふあふあのもふもふですよ」
 あ、パンダと遊びたいんだな。二回言ったのでよくわかった。
 さぁはやく、と、どこか猟兵達を急かすように、雪彩のグリモアが瞬く。


遅咲
 こんにちは、遅咲です。
 オープニングをご覧頂きありがとうございます。

●成功条件
 オブリビオンを撃破し、仔パンダ達と遊ぶ。

●3章『もふもふパンダほいくえん』
 おひとり、カップル、家族、友人同士と、ご自由にお過ごしください。
 仔パンダが皆さんを待っています。

 合わせでご参加の場合は3名様がぎりぎり。
 お声がけ頂ければ、鎹・たからがお邪魔します。
 この章のみのご参加も歓迎しております。

 どの章からのご参加もお気軽にどうぞ。
 皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
145




第1章 冒険 『巨大人喰い虎、現る!』

POW   :    全力の攻撃をぶつけ、敵の注意を引き付けて襲撃を食い止める

SPD   :    防御と回避に徹し、敵に攻撃させ続けて疲弊を誘う

WIZ   :    策を巡らせ、地形や物資を利用した罠に敵を誘い込む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ティファーナ・テイル
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「仔パンダちゃんを狙うなんて、なって卑劣なんだ!正義が許さない!」
巨大虎の攻撃を速さと攪乱を活かして避けながら髪の毛で刺したり蛇尾脚の先で刺したりと繰り返して地形や石も投げつつ『スカイステッパー』で陽動と攪乱を繰り返して疲弊が見えたら『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群を召喚して『ジェットストリーム・ラヴハート』を使いながら『神代世界の天空神』で縦横無尽に空間飛翔を繰り返し『天空神ノ威光・黄昏』で敵のUCを封印/弱体化させて『ガディスプリンセス・セイクリッド』『ガディス・ブースト・マキシマム』で♥ビーム/弾攻撃を繰り返しながら全力を尽くします!



 桃源郷に迫る危機を、無視などできるだろうか。いいやできない、正義を宿す蛇神娘はぐっと拳を握って道をゆく。
「仔パンダちゃんを狙うなんて、なんて卑劣なんだ!正義が許さない!」
 ティファーナ・テイルの胸に秘めた熱い想いが燃える。そう、だってかわいい仔パンダちゃんにはなんの罪もないのだから。その決意を試すかのように、がおおんと大きな咆哮が響く。立ちはだかる巨大な人喰い虎は、幼くちいさな少女へと勢いよく襲いかかった。
「………がお」
 襲いかかった筈だったが、立ち止まる。失礼、彼の獲物はちいさくなかった。長い尾を伸ばし、やる気満々のティファーナの全長は三百二十七センチと少し。虎と大体同じくらいだった。気を取り直して虎は再び疾駆、自慢の爪を彼女めがけて振るう。
 脚のない下半身では不利かと思いきや、蛇神はとんでもない跳躍で虎の攻撃を躱す。虎の頭上を飛び越え背後にまわると、鋭い髪で敵の毛並みをぶすりと刺し穿つ。さらに風を切る音がして、尾の一撃が虎の胴体に直撃した。
「まだまだ行くよ!」
 牙を剥く虎の攻撃を避けながら、身軽な肢体は自由自在に宙を舞う。その細腕からは想像もつかない大きさの岩石を抱えていて、えーいと虎の頭上から投げ落とした。危うく頭蓋を潰されるところだった虎は、誰の眼にもわかるくらい怯えている。
 もう十分ではないだろうか、この光景を見た人々の殆どがそう思うかもしれない。けれどティファーナの曇りのない目は、この程度では虎を追っ払えないと信じている。消耗はまだまだ先、そう見定めた主の呼びかけに応じた従属神の群れが現れた。
「レディース、出番だよ!」
 きらきら輝くマスコットサイズの従属神達を従える女神は、その身に勇気の闘魂を宿らせる。神の威光と後光、そして天空神の護光を浴びせれば、虎は仔猫ちゃんのように尻尾を脚の間に挟ませている。あの、もう少し手加減を。
「これでトドメ! 神様は寵愛と懲罰を!!」
 従属神と共に両手で生み出したハートいっぱいのダブル神様ビームが岩壁をぶち抜く。それはもうティファーナの全力だった。
 人喰い虎は間一髪で避けたものの、毛並みの半分がビーム照射によって禿げてしまっている。か細い鳴き声をあげて洞窟へと逃げていった。
「ふぅ、強敵だったね!」
 そうかな。虎くん泣いてなかったかな。誰もそれを彼女に問う者はおらず、正義は無事に遂行された。

大成功 🔵​🔵​🔵​

張・西嘉
確かにこぱんだは可愛い(力強く頷き)
桃源郷にこどもぱんだの養育施設なんてものがあるというのは初耳だったが。
困っている幼い生き物を保護したくなる気持ちはよくわかる。

件の仙人も外見だけなら守るべきものに含まれそうなのだが…齢が100を越えると言うのならいつまでも子供のような我儘を言うのはどうかと思うぞ?

まずは配下の虎が相手か…UC【乱戦遊戯】で手直にある物を使いながら時間稼ぎをしつつ疲弊したところで青龍偃月刀による【なぎ払い】といこうか。

アドリブ歓迎



「確かにこぱんだは可愛い」
 グリモア猟兵のやたら熱のこもった説明を思い出し、張・西嘉は力強く頷いた。
 桃源郷に、こどもぱんだの養育施設というものが存在するとは初耳だった。しかし困っている幼い生き物を保護したくなる気持ちはよくわかる。よちよちぽてぽてと動くふあふあの丸い毛玉を想像すれば、精悍な顔つきもどことなく緩んでしまうというもの。
 幼いといえば、件ののじゃロリオブリビオンも外見だけなら含まれそうな気もするが、実年齢は百を越えるとなると話は違ってくる。
「いつまでも子供のような我儘を言うのはどうかと思うぞ?」
 正論だけどそれ本人に言ったらめちゃくちゃ怒ると思う。しかし相手は悪の仙人である。仔パンダを守る西嘉には、彼女にそれくらい言える権利があった。
 ふんわりと思いを巡らせている男の耳に、ぐるるると獣の唸り声が届く。姿を現したのは、オブリビオンの配下である人喰い虎。かなりの長身の西嘉を超える大きさの虎は、迷うことなく男へ飛びかかる。
「早速お出ましか」
 ちらり、戦場となる道中を見渡す。何気なく落ちている竹の棒を得物代わりに手にとる。噛みつかれる寸前、竹を支えに棒高跳びの要領で跳び越え躱す。すぐさま流れるような動作で虎の口に竹を捻じ込み後退。がぶがぶばりばり。音を立てて硬い竹を噛み砕いた虎の丈夫さに感心しつつ、今度は手近な壁を蹴って跳躍、強烈な蹴りを食らわせる。
 胴体に強い衝撃を与えられて呻くものの、虎は数秒でむくりと起き上がる。流石は人喰い虎か、と呟きつつも、西嘉に焦りはひとつも見えない。
 ふと、手近に落ちていた長机の上にある薄汚れた皿の群れを投擲すれば、全てを躱しきれない虎が視界を阻害される。さらに長机そのものを自慢の力持ちで担いで投げ飛ばす! 直撃を逃れた虎に迫る偶然落ちていた椅子による頭部への打撃!
「悪いが、手加減はしてやれん。こどもぱんだが待っているのでな」
 ちなみに先程から男がぶん投げては虎にぶつけて破壊している家財道具系は全部偶然何気なく落ちていたものなので、誰かの所有物とかではない。封神武侠界もゴミ問題に直面しているのかもしれない、多分そう。悲しむ人は居ないので大丈夫です。
 前述の通り偶然タイミングよく落ちていた古い料理屋の看板を振り回せば、虎の肉体に痛烈な連打が叩き込まれた。明らかに人喰い虎が疲弊しているのを確かめて、偃月刀の長い柄を利用して、凄まじい風を巻き込み虎を薙ぎ払う。
 宿星武侠が使いこなす刀の衝撃波は、刃の痛みはなくとも一介の獣にすぎない虎には致命的。その場にばたりと倒れた虎の安否を確かめれば、気絶しているだけで命に別状はない。
「丈夫で何よりだ。通らせてもらうぞ」
 暫くは起きない虎を置いて、西嘉は先へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
パンダを狙うとは良いね、その度胸
踏みにじってやりたい

どう足掻いても虎の素早さには勝てそうにもないので、ユーベルコードを発動して、虎と遊ぶことにする
見切り、第六感を利用して避けれるものは避ける
あったら…当たる予定はないだけど、えー、どうしよう

虎が疲れたらこっちの番だ
そのままひき逃げ
許せ虎、今の俺はパンダを守る使者なのだ
という事でダイナミックひき逃げして虎にダメージを与えよう

この工程を虎が居なくなるまで続ける
デカい虎もかわいいとは思うんだがなぁ
残念だなパンダにはかなわないと思うんだよなぁ

という事で許せ…

だってパンダのほうがかわいいんだもーん♪(ゆるふわ)
だいなみっくひきにげあたーっく♪(ゆるふわ)



 青年の鋭い眼差しがまだ見ぬのじゃロリの方角を睨む。オブリビオンにどんな事情があるかは知らないが、恐らく死ぬほどどうでもいい事情だとは思うが。
「パンダを狙うとは良いね、その度胸」
 そう、よりにもよって標的はパンダ。しかもふあふあころころの仔パンダ。雪・兼光は明確な怒りを露わにしていた。
「踏みにじってやりたい」
 結構怖いことを言っているけれど、それもかわいい仔パンダを想えばのこと。致し方ないでしょう。そんな彼の前に現れた巨大人喰い虎は、鼓膜がびりびりするほどの咆哮をあげている。地形に詳しい肉食獣ならではの俊敏さには、どう足掻いても勝てそうにない。
「じゃあ遊んでやるよ」
 拾って以来すっかり馴染んだ、ハンドガンサイズの光線銃を宙に放る。光と共に巨大化したそれが変形すれば、あっという間に彼専用のバイクへと早変わり。兼光が乗り込んだと同時、一気に疾駆してバイクそのものへ体当たりを狙う虎に、青年も多少は驚いてしまう。とはいえその操縦に狂いはなく、五感のむっつめを駆使して躱しきる。休む間もなく鋭い爪が全開の前脚がひゅっと振るわれて、兼光は上半身を倒す。間一髪で避けたものの、逆立てた髪が数本はらりと落ちた。
 もしも当たったら……いや当たる予定はないけど、えー、どうしよう。爪の威力を考えれば、がぶりとひと噛みされてはひとたまりもない。血だらけで悪ののじゃロリと戦うのは嫌だなぁ、パンダを怖がらせたくないし……などと考えつつ、攻撃を見切り続けてはや十数分。
 いつまで経っても獲物を仕留められない虎が疲労を見せ始めたなら、こっちの番。星々のパワーエンジンを噴かせてアクセルを踏んで、ブラスターバイクが一直線に虎へと走る!
「おりゃっ」
「ぎゃうん!!」
 まごうことなき轢き逃げである。暴走族よろしくぶんぶん爆音を慣らしながら、兼光は迷わず虎を轢いた。虎もびっくりである。そんなことする子じゃないと思ってたのに。
「許せ虎、今の俺はパンダを守る使者なのだ」
 沈痛な面持ちで謝罪の言葉を口にするわりに、アクセルを緩める気配は一切ない。一度轢いたらUターン、更にはバックで轢き倒す。何度も執拗に繰り返されるこの工程。すべてはかわいい仔パンダを守るため、多少の犠牲は致し方ないでしょう。これさっきも言ったな。
「デカい虎もかわいいとは思うんだがなぁ」
「がお!?」
 青年のぽつりと溢した言葉に一抹の希望を抱いたのか、虎の瞳が煌めく。
「でも残念だな、パンダにはかなわないと思うんだよなぁ。ということで許せ……」
「がおお!?」
 非情な結論だった。だってパンダのほうがかわいいんだもーん。
「だいなみっくひきにげあたーっく」
 鋭い眼差しからは想像もつかぬ、ほんわかとした声色で必殺技名が叫ばれる。今この瞬間、やってることは外道ではあったが兼光くんもかわいかった。
 そして散々意図的な轢き逃げに遭った虎くんは、ぼろぼろになって帰っていった。かわいそう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

歌獣・苺
わぁ~~~!!!虎さんだ!かーわい~~~!!!(説明しよう!どんなに凶悪そうな顔面の動物も、動物大好きビーストマスターの彼女には可愛い存在に見えるのだ!)

わ!じゃれてきた!
ほぉら!捕まえてごらん!
こっちこっち~♪
(襲われていると思っていない)

ふふ!こっちだ、よーー!!!(UCによるハイパーボイスをお見舞いしつつ、軽々攻撃を回避)

…あれ?虎さん?大丈夫?
疲れちゃった?

ーーぐぅうう。(虎と兎のお腹が鳴る)

あはは!お腹すいてたんだ!
よしよし。私の持ってきた、特大爆弾おにぎり仲良く半分こしようね!

可哀想に。
あんまりご飯貰えてなかったの?
…ねぇ、よかったら私と一緒に来ない?
一緒に楽しいこと沢山しようよ♪



 がるがると飢えた人喰い虎は、自分の腹におさまる獲物を今か今かと待ち構えている。冴えわたる野生の勘が、何者かの気配を感じた。できれば肉のたっぷりついた奴が、いやでもこの際なんでもいい、なにせ己は常に空腹だ。
 テリトリーに姿を見せたのは、ふわふわした長い兎の耳ともふもふの手足。食べごたえのあるやわらかそうな肢体の女は、目を見開いて悲鳴をあげ――
「わぁ~!!! 虎さんだ! かーわい~~~!!!」
 悲鳴じゃなくて歓声だった。ストロベリーピンクの瞳を輝かせて、歌獣・苺はぱぁあと笑顔で虎を出迎える。
 説明しよう! どんな凶悪顔面の動物も、動物だいすきビーストマスターの苺ちゃんさんにはとってもかわいいキュートな存在に見えるのだ!!
 それは彼女の身長の二倍はあろうかという人喰い虎とて同じ。歓声を浴びた虎さんは少しばかり面食らったものの、歓迎されているなら遠慮なく、という勢いで牙を剥く。鋭利な爪が出しっぱなしの前脚が、苺の身体を引き裂こうと奔る。
「わ! じゃれてきた!」
 じゃれてないよ、きみを食べるために襲いかかってきたんだよ。女は甘えん坊の仔猫を見るような眼差しで、ふわりと軽やかなステップで身を翻す。
「ほぉら、捕まえてごらん!」
 手招きする彼女に、虎は全力で疾駆し突撃。踊り跳ねて回避を続ける苺は終始楽しそうで、実際彼女はこの出会いを楽しんでいた。
「残念、こっちこっち~♪」
 しびれを切らした虎が全力の跳躍をお見舞いする。がぶりと兎の膚に噛みつく寸前、無邪気に苺は笑みをこぼして。
「ふふ! こっちだ、よーッ!!!」
 やわらかな歌声は、その彩とは裏腹にとんでもない音量で戦場に響き渡る。衝撃波によって吹き飛ばされた虎は、何が起きたのかわからない。こんなはずでは、という気持ちでいっぱいだと思う。
「……あれ、虎さん? 大丈夫? 疲れちゃった?」
 よろよろと起き上がる虎を心配して、苺が気遣いの言葉を掛ける。ぐるぐる唸りながら、久々の食事を諦めない虎さんが口を開けた時、
 ――ぐぅうう。
 虎と兎のお腹が同時に鳴った。ぴったりおんなじタイミングだったから、思わず兎は吹きだしてしまう。
「あはは! お腹すいてたんだ!」
 勝てないと悟った人喰い虎は身を縮こませる。よしよし、と兎が懐から取り出したのは超特大爆弾おにぎり。それどこに入ってたの。
 半分こした中身は、炒り卵に肉そぼろに高菜と具沢山。さあどうぞ、と与えられた物の匂いを嗅いで、虎はひと口齧る。次の瞬間、がつがつとおにぎりを夢中になって食べ始めた。
「可哀想に、あんまりご飯貰えてなかったの?」
 優しく虎の背を撫でて、この子の環境を想うと胸が痛む。だから、苺は問うてみた。
「……ねぇ、よかったら私と一緒に来ない?」
 きょとんとした虎に、兎は安心させる笑顔で手を伸ばす。
「あなたの知らない素敵な世界を見に行こ。一緒に、楽しいこと沢山しようよ♪」
「……がお!」
 虎の喉が嬉しそうにごろごろ鳴る。飢えた獣が少しだけ満たされた瞬間だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天王寺・吾郎
ほほーい、人食いとは、穏やかでないあるよ。
こんなそんなで、子供狙うとは。
まぁ、生物である以上、お腹空くのは仕方ないあるが、パンダ狙うのは止めるあるよ。
あ、ウチもパンダだけど。
だから、吹き飛ばすアル。
まぁ、人食いの時点で、オブリビオンじゃなくても討伐対象アルし。
んじゃあ、十二支獣使令法で龍×1体召喚でいいかな。
虎に龍をけしかけてる間に、虎に【功夫】で叩いておくでアルヨ。

毛皮はみんなのために使うアルよ。
肉はマズイから、料理には使わないあるよ。

アドリブ歓迎



「ほほーい、人食いとは、穏やかでないアルヨ」
 なんだかまったりとした口調で、瑞獣はグリモア猟兵の説明を思いだす。天王寺・吾郎の満腹満足ぼでぃは、のしのしと桃源郷への道中をゆく。いや全く穏やかではないですよね。
「こんなそんなで、子供狙うとは」
 悪の仙人娘の考えは、吾郎にはよくわからない。しかし同じ獣として虎の考えなら大体わかる。
「まぁ、生物である以上、お腹空くのは仕方ないアルが。パンダ狙うのは止めるアルヨ」
 解釈が少しばかり違った。人喰い虎は仔パンダを食べようとはしていないけれど、確かにかわいい仔パンダは虎にも狙われると思うのでオッケーアルヨ。
 そう、今この瞬間、確かにパンダは人喰い虎に狙われていた。縁起の良い黄色のカンフーコック服に身を包み、むちむちふわふわの白と黒。抱きつきたくなるような、さぞしっかり肉の詰まったパンダがそこに居た。
「あ、ウチもパンダだけど」
 狙われていたのは吾郎。空腹の虎にとって最高の御馳走に違いない。けれどこちらも、食べられる訳にはいかないのだ。美味しいものでいっぱいになったみなぎる生命力のひとかけらを代償に、晴天の空から龍が舞い降りる。
「まぁ、人喰いの時点でオブリビオンじゃなくても討伐対象アルし」
 討伐? なんか嫌な気配がする。とはいえがうがうと吼えた人喰い虎。吾郎に飛びかかる直前、龍が間に割り込んだ。優雅な動作で虎の頭部を尻尾ではたくと、その衝撃で地面すら揺れる。一瞬視界に星が飛んで見えたものの、ふらつく頭をぶんぶんと振ると、虎は龍へと標的を変える。
 龍の口が開いて、轟々と燃え滾る火球が生まれると、おっと、とパンダはしもべに呼びかける。
「毛皮はみんなのために使うアルから、焦がしちゃ駄目ヨー」
「がお!?」
 この瑞獣今怖いこと言ったかもしれない。主の命令に従い、口を閉じた龍がごくりと火球を飲みこむ。ならばと龍が尻尾でひと薙ぎすれば、風圧ひとつで虎が吹き飛ばされる。虎が岩肌に激突した瞬間、吾郎は素敵なふくよかさからは想像もつかない俊敏な動きを見せる。
「そぉれ!」
 目では捉えきれない無数に叩き込まれる拳と脚による連撃は、虎の全身を打ち砕く。それでもウチはただの料理人アルと言いきる吾郎。あらゆる骨を折りかねない打撃の威力は、ぐったりとした虎の様子からもよくわかった。
「がう……」
「んじゃあ、トドメヨ――あの世できちんと今まで食べてきた人間に詫びるネ」
「ぎゃうん!?」
「毛皮はこれから寒くなるし、ちょうどいいアルナ。肉はマズイから料理には使わないアル」
 非情かもしれないが、人喰いは人喰いである。罪は巡り廻って罰となる。
 巨大な肉切り包丁がひかって、虎くんの断末魔が響いた。南無。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千思・万考
仔パンダのかわいさは奇跡に等しいよね。わかる。
でも虎とパンダを一緒に可愛がるのは一抹の不安しかないなあ。
どちらにしろ悪仙人の狼藉は見逃せないしね。

それじゃあ、虎をどうにかしようか。
飢餓状態の獣を放つのは理にかなった作戦だけど、その状態を利用させて貰うか。
さあ、おいで。
まずは芭蕉扇の強風で虎の動きを鈍らせつつ回避に専念。
捕まりそうになったら咄嗟に肩布を槍化させて不意打ち攻撃、UC徒花連鎖を発動。
美味しそうな獲物でも追いかける幻惑でも見るといい。
最後のひと押しは雷公鞭で喚んだ雷攻撃。
動き足りないならいくらでも相手をしてあげるよ?



 ふあふあの毛並み、いたいけなよちよち歩き。全身全てがまんまるの、ころころとした動き。ぬいぐるみよりも愛らしい、そんな仔パンダのかわいさは奇跡に等しい。わかる。
「でも虎とパンダを一緒に可愛がるのは一抹の不安しかないなあ」
 千思・万考は、最悪のパターンを想定していた。大人のパンダならまだしも、無防備な仔パンダが人喰い虎と同じ環境に放り込まれてしまったら。どちらにしろ、守護者たる仙人としては悪仙人の狼藉を見逃すことなどできない。
「それじゃあ、まずは君をどうにかしようか」
 涼やかな声で呼びかけた先には、万考を睨みつけて唸る三メートル近い体躯の人喰い虎。なるほど、飢餓状態の獣を放つのは理にかなっている。とはいえ、この作戦を逆手に取ることだって、彼には簡単だった。
「さあ、おいで」
 穏やかな声色を合図に、春色の羽根の連なった扇が風を吹かせた。やわらかなそよ風を感じた虎が、万考の誘いに乗るように咆哮と共に突進を繰り出した途端――轟々、とんでもない爆風が吹き荒れる。
「がお!?」
 一瞬で遠くに吹き飛ばされた虎は驚きを隠せない様子で、両目をぱちくり瞬かせている。そんな虎の様子に微笑んで、どうしたの、と青年は問う。
「ほら、もう少し頑張ってみなよ。僕は此処だ」
 やわい手招きを挑発と受け取ったのか、再び飛びかかる虎だったが、万考はあえて避ける素振りを見せない。ほそい肩に鋭い爪が食い込む寸前、術力が流し込まれた布槍が素早く獣の前脚を叩き落す。不意の一撃を与えたのをきっかけに、蛇結茨の種が虎の毛並みの間にひと粒埋まる。
「……がお?」
 はたりと動きを止めた虎に、エメラルドの瞳が弓なりにしなる。仙人、なにをなさったんですか。
 すると突然、青年を追いかけるのをやめた人喰い虎が、あちらへダッシュしたかと思えば、そちらへ一目散に駆け回る。まるで雪の日にはしゃぐ仔犬ちゃんである。けれどその表情は真剣そのもので、さっきまで万考を追いかけていた時と変わらない。
「美味しそうな獲物を見つけたのかな? あと少し頑張れば捕まえられるかもしれないね」
 がんばれがんばれ。まるまる太った素敵なごはんの幻惑との追いかけっこに忙しい虎くんを、にこにこと見守りながら高みの見物といく仙人。ちょっぴり可哀想かもしれないが、此方が無理せず相手を消耗させるにはこれが一番楽ちんであった。
 何故なのか、いつまで経っても獲物を捕まえられない。その理由に気付けぬまま、ぜぇぜぇと息を荒くする虎の様子を確かめ、万考は最後のひと押しを天から喚び寄せる。白鋼の雷公鞭が、その名の通り春の雷を墜とす。全身にばちばちと電撃を浴びせられた獣は、情けない鳴き声と共に地面に倒れ込んだ。
「まだ動きたりない? それなら、いくらでも相手をしてあげるよ?」
「あおお……」
 もう十分です。虎くんの悲しそうなひと鳴きは、そんな風に聞こえたかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葬・祝
【彼岸花】

くふふ、触ってみたかったんです?
でもね、カフカ、あれは今回は倒すものですよ
確かに手触りは良さそうですけど、人を喰らった獣は元には戻れませんから、仕方ありませんね

【誘惑、おびき寄せ】で敵を惹き付け、【恐怖を与える、精神攻撃】で恐慌状態を引き起こして連携を断ち切りましょうか
敵の攻撃に合わせて【カウンター、斬撃波】+UCを使用
傷口から腐蝕させ、急激な飢餓状態を引き起こすことで長時間戦闘後の状態を擬似的に作り出しましょうか
くふふ、ほら、お腹が空いたでしょう?

まあ、私は所詮、霊体でしかないので
彼らは神の肉がご所望だそうですよ、カフカ
あら、当然駄目ですよ、お前は一片まで私のものですもの
あげません


神狩・カフカ
【彼岸花】

パンダも可愛いが虎も可愛くねェか?
パンダだって熊なのになァ
どっちももふったら気持ちよさそうだぜ?
そうか、虎は倒しちまうのか…そっか…
――ま、人に害を為すなら仕方ねェか
綺麗さっぱり切り替えて天狗の羽団扇を構える

ほう、中々手強い相手みてェだな
そンじゃ各個撃破と洒落込もうか
持久戦ならこいつだな
はふりのお陰で一匹になった虎に風を吹かせて
天狗火を着けてやろう
これァ普通の火じゃねェのサ
その身を以て知るといい

攻撃が届きそうならはふりを連れて
一時的に空へと逃げようか

おいおい、おれは餌か何かか?
お前さんはおれが喰われてもいいのかよ?なんてな
虎ごときがおれを喰おうなんざ罰当たりなこって
身の程を知るんだな



 桃源郷への道はまだ遠く。ふあふあもふもふの仔パンダに逢う前に、悪ののじゃロリ仙人と人喰い虎を退治しなくてはならない。しかし、神狩・カフカは思うのだ。
「パンダも可愛いが虎も可愛くねェか?」
 のじゃロリはともかく、虎だってふあふあもふもふの毛並みな訳で。パンダだって熊なのになァ、とぼやいたカフカに、くふふ、と葬・祝が袖で口を隠して微笑む。
「触ってみたかったんです?」
「どっちももふったら気持ちよさそうだぜ?」
 口をとがらせるカフカに、でもね、と祝は諭す。
「あれは今回は倒すものですよ」
 ほら、と銀の眼で示した先。二匹の人喰い虎は、静かに此方との距離をはかりながら向かって来ている。
「確かに手触りは良さそうですけど、人を喰らった獣は元には戻れませんから、仕方ありませんね」
「そうか、虎は倒しちまうのか……そっか……」
 少しばかり残念そうに二匹の虎を見つめて、カフカはしょんぼりと悲しむかと思いきや、ふむ、とあっさり頷く。
「――ま、人に害を為すなら仕方ねェか」
 うーん切り替えが早い! 虎くん達は残念ながら死にます! 綺麗さっぱり虎討伐に納得した愛し子を見て、おやおやと祝は笑みを深くする。カフカが元気であるなら、悪霊はそれでいいのであった。虎くん達は人喰ってますしね。
 同時に二人へと駆けだした獣達は、上手く連携を取る為に二手に分かれてカフカを狙う。そうはさせぬと、祝はふっと手足を揺らす。
 ちりん、ちりん。どこか不穏な鈴の音に気付いてしまえば、おいでと手招くうつくしい少年へと惹きつけられてしまう。その眼差しとわらう唇に、研ぎ澄まされた野生の勘は仇となって獣達は恐怖する。
 恐慌状態に陥った片方を、自在に動く荒縄が勝手に縛りあげて祝の前へ引き摺りだす。目の前に現れた虞の存在に震えながらも、虎は果敢に攻撃を仕掛けた。
「そうそう、怯えてばかりじゃあ、あっという間に死んでしまいますからね」
 ああ、でも。食べられてはあげません。うっそりと微笑んだまま、悪霊は突撃の瞬間を狙って烏羽根の扇を振るう。放たれた斬撃波に肉体をずたずたに裂かれて、虎は悲鳴にも似た鳴き声をあげる。
「ぎゃうう……!」
 無数の傷口から、虎の体内は腐っていく。それでも祝めがけて駆ける虎の姿は、一生懸命すぎて健気にすら見えたかもしれない。とはいえ、祝は特になんとも思わないが。
 人喰い虎の身に起きた異常はそれだけではなかった。腹をすかせてはいたものの、急激に飢餓の具合が増している。何故、と疑問に思う虎に、くふふ、と悪霊が笑んだ。
「――ほら、お腹が空いたでしょう?」
 なかなか手強い相手とみて、各個撃破と洒落込もう。示し合わせることなく二人の意志は通じ合っているから、カフカは祝の分断によって残った一匹を相手にする。
 恐怖から解かれたらしい虎が飛びかかってきたと同時、ふわりと紅葉色の翼が羽ばたいて青年は攻撃を躱す。
「持久戦ならこいつだな」
 ふ、と手にした煙管を口にして、吐いた煙が虎の顔を覆い尽くす。それはもうもうと立ち込めて、ただの煙のわりに、獣は苦しみながらぶんぶんと顔を横に振っている。ようやく煙がかき消えたと思えば、カフカは天狗の羽団扇をふわりとひと扇ぎ。ぱちりと火花の散る音がした。
「ぎゃうん!?」
 途端、虎の全身が朱い炎に包まれる。決して強い勢いではないものの、天狗の焔はあかあかと、確実に虎のふあふあの毛並みを燃やしていく。
「これァ普通の火じゃねェのサ」
 その身を以て知るといい。だってもふれないのは仕方ないのだし、ならば潔く燃えてもらおう。ちらりと祝の様子を見れば、腐敗の痛みにのたうち回りながら彼に襲いかかる獣が見えた。
「よっと」
「おや」
 ひらり、少年を抱えて紅葉色の翼は空へと逃げる。噛みつき損ねた虎ががうがうと吼えるのを、カフカに抱かれたまま祝は見下ろす。
「ったく、危ねェな。もう少し避けようとしてくれよ」
「ちゃあんと避けますよ。まあ、それに。私は所詮、霊体でしかないので」
 天狗に悪霊がくすくすと微笑む。
「むしろ彼らは神の肉が御所望かもしれませんよ、カフカ」
「おいおい、おれは餌か何かか? お前さんはおれが喰われてもいいのかよ?」
 なんて青年が返してみれば、あら、と祝は瞬きして。
「当然駄目ですよ、お前は一片まで私のものですもの――あげません」
 そうっとカフカの頬に、透けるほどにしろい手が愛しげに触れる。ああっそれ以上のいちゃいちゃは! 虎くん達もまだ暴れてますよ!!
 外野の声は恐らく聞こえていないが、二人同時に空から振るう扇の突風。飢餓状態で身動き取れぬ一匹は岩壁に激突し絶命すると、もう一匹は火だるまとなって次第に塵に変わる。
「虎ごときが、おれを喰おうなんざ罰当たりなこって――身の程を知るんだな」
「くふふ、こわいこわい」
 なんだか、のじゃロリ仙人の身を案じてしまう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
熊猫の仔…。
未だに『かわいい』がよく分からない僕ですが。
理性失うほど好きそうな方が…
写真すごく撮りたそうな方が、いるのですよね…。
…なので。

相手にもされてないのに『自分の方が圧倒的にかわいい』とか言い出す方はちょっと…ねぇ?
しかも毎日慈しんで育ててる方にまで同意を求めるとか、更に…ねぇ?
貴方のご主人、頭ゆる過ぎなのでは?

虎に挑発が通じるかは判りませんが。
周囲の竹や障害物等に鋼糸を巡らせ、空中も足場に。
虎…ネコ科…。
登られたり切られる前に(触られれば逆に斬りそうですが…)跳び移動、鬼ごっこ。
疲労を誘い
――拾式

それに…
そんなゆるゆるなご主人ですよ?
熊猫に立場を取られて棄てられるのも時間の問題では?



 猟兵達の虎退治はもうちょっとだけ続きます。四十手前とは思えぬ眼鏡美男子は、桃源郷で助けを求める仔パンダ達のことを考えていた。
「熊猫の仔……」
 未だに『かわいい』がよくわかっていないクロト・ラトキエ。巷の女子は多少不細工でもかわいい、グロテスクでもかわいい、イケメンでもかわいい、一体かわいいの正解とはなんなのか――それはそれとして。
「理性失うほど好きそうな方が……写真すごく撮りたそうな方が、いるのですよね……」
 仔パンダが愛しすぎて狂いかねない人物について、思いあたるふしがあるらしい。ほわんと頭に浮かべつつ、ならばその人の為にも桃源郷への道を切り拓こう。なので。
 ぐるる、と唸り声をあげる人喰い虎に対し、なるほど、と少しばかり作戦を練りあげる。
「相手にもされてないのに『自分の方が圧倒的にかわいい』とか言い出す方はちょっと……ねぇ?」
 ちら。怪訝な表情で虎に語りかければ、彼もクロトが誰のことを話しているのか見当がついたらしい。この虎くんは賢いのでなんとなく人語を解すのである、封神武侠界なので。
「しかも毎日慈しんで育ててる方にまで同意を求めるとか、更に……ねぇ?」
 ちら、ちら。どうかと思いますよ、という気持ちを言外に滲ませて訝しげな表情を深くする。
「貴方の御主人、頭ゆる過ぎなのでは?」
「がうがうがうー!!!」
 あ、怒った。虎にも一応、飼い主の威厳を保ちたいという感情があったらしい。思いつきの挑発は上手くいって、人喰い虎はクロトへと襲いかかる。既にしゅるりと極細の鋼糸が、周囲の竹や障害物に張り巡らされていることにも気付かず。
 とん、とん。階段に足をかけるような気軽さで、空に巡った糸の上を男は足場に虎を躱す。虎といえばネコ科である。
「ほら、こっちこっち」
 ひょい、と糸の上を跳ねて移動を繰り返すクロトと、鬼となった虎の追いかけっこが始まった。すかっと空を切る前脚は、空腹の中必死に獲物を捕らえようと踏ん張っている。糸をうっかり登られては困るのだけど、と男が思った瞬間。
「あ」
「がおっ」
 前脚が引っかかって、虎の鋭い爪が鋼糸をぷつり! と、なる筈だった。
「きゃうん!!」
 虎の爪が折れた。そんなことある? 虎くんもびっくりだろうが、相手が猟兵の武器なんだからそんなこともある。不意のダメージをきっかけに、クロトが全ての鋼糸を操作すれば、四方八方からの斬撃が獣を無惨に切り裂いた。
 ご安心ください、今回切り裂いたのは肉と骨全てではありません。動けないほどの傷は与えたものの、命にかかわる傷では……いやわかんない。クロトさんそういうのきっちりしてるしな。
 ぐったりとした虎に近付き、クロトはしゃがみこんで話しかける。
「もう十分、遊び疲れたでしょう? それに……そんなゆるゆるなご主人ですよ?」
 熊猫に立場を取られて棄てられるのも時間の問題では?
「……あおぉ」
 虎くんが泣いた。流石にちょっと言い過ぎたかもしれない。男はそう思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『🌗紫黒娘娘』

POW   :    宝貝「三星簪」
自身が装備する【三星簪】から【大火球、または無数の氷刃、または雷槍】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【攻撃に対応して火傷、凍傷、感電のどれか】の状態異常を与える。
SPD   :    宝貝「操心の笛子」
【宝貝から奏でられた音色】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
WIZ   :    仙術「地砕崩拳」
自身に【仙術のオーラ】をまとい、高速移動と【岩をも砕く衝撃破】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達がそれぞれのやり方で人喰い虎という障害を抜ければ、そこは桃源郷であった。
 桃花美しき世界につくられたぱんだようちえんの運動場に、件の仙人娘が仁王立ちしている。

 ――よちよちかわいい仔パンダ達を侍らせて。

「ふっふっふー、これで妾の愛らしさが余計に引き立ってしまうの!」
「お願いですからパンダ達を返してください!」
「僕達が身代わりになりますから!」
「は~~なーに言っとるのか全然わからんのじゃが~~?」

 飼育係達の悲痛な訴えに耳を傾けることもなく、悪ののじゃロリ仙人『紫黒娘娘』は足元にぽてりと座り込む仔パンダの頭をぺちぺち叩く。
 特に痛がる素振りを見せず、きょとんとした表情の仔パンダ達。

 猟兵はとっても強いので、特に意識せずとも仔パンダ達を傷つけずに紫黒娘娘のみを攻撃できる!
 つまり自由にやっていい! さっくりようちえんを取り戻そう!
張・西嘉
こぱんだも心配だが飼育係もなんとか助けてやらないとな。

(仙女の傍若無人な振る舞いに眉を寄せ)
貴殿は見た目こそ子供だが100を軽く超えると聞いた…つまりは俺より年上なわけなんだが。
相応の振る舞いを身につけてはいかがか?

あと、こぱんだをそのように雑に扱ってはいかん。怪我でもしてしまったらどうするんだ。

衝撃波を【功夫】と【仙術】で受け流しつつ。
【氷蒼の加護】を込めた【なぎ払い】
傷を蝕む氷を付与。

アドリブ歓迎



 仔パンダをわりと雑に扱う紫黒娘娘に対し、必死に仔パンダと自分達の人質交換を交渉する飼育係。その一生懸命さに、張・西嘉の宿星武侠としての義侠心が動かされる。こぱんだも心配だけれど、飼育係もなんとか助けてやりたいところ。
 それに、彼女の傍若無人な振る舞いはいくらなんでも目に余る。失礼、と声をかければ、少女の見目をした仙女はようやく西嘉へと振り返った。
「なんじゃお主。その見た目と覇気からして、用心棒かなにかかの」
「そう受け取ってもらって構わん。しかし貴殿、見た目こそ子供だが、齢は百を軽く超えると聞いた……」
「初対面のレディにいきなり年齢の話するとか、お主失礼極まりないの!? まぁ妾寛大じゃし、その通りなのじゃ。美仙女と褒めて構わぬのじゃよ?」
 確かに、これが何の罪もない善良な仙人相手ならそこそこ失礼である。しかし相手はオブリビオン。男は眉をひそめながら、問いを続ける。
「つまりは俺より年上なわけなんだが――相応の振る舞いを身につけてはいかがか?」
「ほう、お主ただの人間か……ってなんじゃと!?」
「あと、こぱんだをそのように雑に扱ってはいかん。怪我でもしてしまったらどうするんだ」
 突然ブチギレるのじゃロリ。淡々と仔パンダの扱いについて注意する西嘉。激昂した彼女が戦闘状態に入ったのはすぐあとのことだった。
 ふわりと闇彩のオーラを纏い、見た目だけは幼い少女は仔パンダから離れて地を蹴る。目にも止まらぬ速さで宙を駆ければ、西嘉めがけて掌をかざす。
「いきなり妾を侮辱した罪、許せぬわ! 潔く罰を受けるのじゃ!!」
 それはこっちの台詞だ、と思いつつ。放たれた衝撃波を功夫による足取りで素早く受け流す。背後に居る飼育係達に当たることのないよう、すぐさま気を練りあげ掌に集めた。軽く薙ぐように衝撃波の勢いを殺いで射線をずらせば、少しばかり遠くの岩壁が破壊される。
「すまない、もうしばらく耐えてもらいたい。こぱんだは勿論、貴殿らも必ず助けよう」
 ひぃ、とちいさく悲鳴をあげる飼育係達も、西嘉の底知れぬ力量と頼もしさを感じとっていた。よろしくお願いしますと頭を下げて、なるべく彼の邪魔にならないよう大人しくしてくれている。
「むきーなんじゃたかだか人間のくせに! さっさと砕け散るがよい!」
 のじゃロリ仙人は、あっさり衝撃波を避け、自分を無視して飼育員達と会話している武侠のことが癇に障るらしい。まぁいきなり正論で指摘されたらそうなりますよね。
 みずから仙術によって強化された蹴りをお見舞いしようと男へ急接近。西嘉が主の加護を纏わせた偃月刀を振るうと、氷蒼の刃が仙女の脚を切り裂く。みるみるうちに氷が浸食すると同時に、その全身を一気に薙ぎ払った。
「にゃわー!?」
 若干まぬけな悲鳴をあげて吹っ飛んだのじゃロリが体勢を整えようとして、がくりと膝をつく。
「お、お主! 妾に何を、」
「なに、見ればわかるだろう」
 仙人の脚には、傷口をじくじくと蝕む氷が宿る。
「我が主の力、そう簡単には貴殿にも解けぬ」
 見事な技を見て一斉に拍手する飼育係達に、武侠は軽く手を上げて応じた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エリナ・アンブレラ(サポート)
 手に持った唐傘が依り代のヤドリガミですが、武器にし、盾にし、時には人にも貸し与え、割とぞんざいに扱います。(壊れる=重症なのでそこはわきまえているのでしょうが)
 基本温厚ですが、“人の笑顔を奪うような行為”にはマジ切れします。

 どのUCを使っていただいても問題ありませんが、いくつかのUCは事前に【さぁ、たくさん笑顔を咲かせてみせますわ!】で傘を増やすことを想定したUC(手に持つ1本の傘だけでも発動は可能)になっており、一方で【風の囁き】は必ずアイテムの“加護する風”を消費しないといけないのでかなり扱いにくいとは思います。

 アドリブ、絡みなどご自由になさってください。むしろお願いします。



「きぃー! 妾、これくらいへっちゃらじゃしー!」
 魔氷の浸食で痛む足を気合で奮い立たせると、紫黒娘娘はなんともこどもっぽい強がりを見せる。そんな仙女の姿に、手にした唐傘をくるりと回して女が怪訝な表情を浮かべた。
「ご丈夫なのはいいことだとは思いますけれど、無茶はしない方がよろしくてよ?」
「お主、ヒトではないのぅ……それはいいとして、余計なお世話じゃ! 妾にはこやつらを侍らせるという大切な仕事があるのじゃ!」
 ぺちぺち、のじゃロリ仙人は手近に居た仔パンダをまた叩く。やめてくださいと半泣きの飼育員達、相変わらず事の重大さに気付いていないきょとんとした仔パンダ達。この惨状を見た女が、ぽつりと静かに仙女に問う。
「……もし、お伺いしたいのですが」
「ん~? なんじゃ、妾寛大じゃから答えてやらんこともないのじゃ」
「あなたはこの愛らしい仔パンダさん達を、強引に彼らから奪おうとしていらっしゃるのですか?」
「人聞きが悪いの~。最高にかわいい妾の下で、こやつらを引き立て役として飼ってやるというのに! お主らもその方がはっぴーじゃろ」
 全然はっぴーじゃないです!!! 声を合わせて飼育係達が訴えた時。ぷち、と何かが切れる音がした。
「見目愛らしい仙女のあなた、その心は私欲にまみれてどす黒く汚れていますのね」
「な、なんじゃお主……!」
 切れたのは、エリナ・アンブレラの堪忍袋の緒。それまで淑やかな令嬢の表情は一変し、怒りのオーラがぶわりと満ちる。察した仙人がちょっぴりびくびくし始めた。
 七彩の唐傘をくるりと回せば、ぽんぽんっと全く同じ見た目の唐傘の群れが現れる。八十本以上の傘は、エリナの力で自由自在に宙を泳ぐ。唐傘達が目くらましとなって、仙人の視界を覆う。
「奇怪な術じゃが、この程度燃やし尽くしてしまうわ!」
 仙女の黒髪を飾る三彩の簪がきらきらと輝いて、巨大な火球を喚びだす。こんなものをぶつけられれば、ぱんだようちえんはひとたまりもない。
「火の玉程度、私の傘達にはなんの障害にもなりませんわ!」
 ぱん、と。エリナは突然手にした唐傘を閉じる。それを合図に、ふわふわと浮いていた全ての唐傘達が一斉に閉じられた。ヤドリガミが指揮棒のように自分の依代を揮えば、複製された唐傘達の鋭い切っ先が火球へと奔る。八百キロメートル以上の速度で突き刺さる傘の群れの鋭利さが、大きな火の玉をかき消した。
「ななななんじゃとー!?」
「あなたのような邪悪な方が、純粋な仔パンダさん達に触らないでくださいまし!」
 温厚なエリナであったけれど、人の笑顔を奪う行為だけは決して許さない。仔パンダ達を奪われ悲しむ飼育係達の想いを、ヤドリガミは確かに受け取って。
 燃えカスひとつ残らず消えた火球に目を丸くするのじゃロリに、唐傘の群れはそのまま激突。抉るように吹き飛ばす!
「ふぎゃん!」
 また間抜けな叫び声をあげる仙人を、ふたいろの瞳は完全に怒りを宿したまま見つめている。それがあんまり怖かったので、のじゃロリはちょっと泣いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪・兼光
先ず旅行鞄の中身を全部いったん出して飼育員にあづける
日用使いできる飾らないパンダグッズたくさん

ユーベルコードで、紫黒娘娘(以降のじゃロリ)に近づく
仔パンダには本当に申し訳ないけどひったくりの要領で仔パンダを奪う

こわかったね
もうだいじょうぶだよ
ちょっとせまいけどがまんしてねー

自身の旅行鞄に仔パンダを入れます、締めません
仔パンダがかわいそうなので
そのまま飼育員の元へ行き仔パンダを預けます
仔パンダにストレスを掛けない様に運転、悪路走破

いくら運搬のスキルを使おうとも助け出せる仔パンダには限界があります

なので…のじゃロリを

天使の様に愛らしい仔パンダを独占する邪魔者をブラスターと全技能を使って消す

ゆるふわ



 続けざまに現れた猟兵達に、紫黒娘娘は痛む身体をさすりながら喚く。
「なんなんじゃお主らいきなりー! 妾、特に悪いことしとらんじゃろー!」
「めちゃくちゃしてますけど!?」
 飼育係達からの文句を適当に聞き流し、仙女はよちよちの仔パンダを一頭ひょいっと抱える。その雑な扱いに、再び悲鳴があがって。
「そんなにこのふわふわが大事というなら、みずから取り返してみせよ! ま、ただの飼育係ごときが妾を倒せる訳ないんじゃけどー!」
 高笑いするのじゃロリを悔しそうに睨む飼育係達の前に、そっと雪・兼光が現れた。からからと引いていた旅行鞄のチャックを突然開け始めたので、流石に飼育係さん達も困惑している。
「え、あの……」
「悪い、仔パンダを助ける準備なんだ」
 ぽこぽこと出てくるのは髪飾り、モバイルバッテリー、歯磨きセット、ミニタオルにイヤホン……そのどれもが、普段使い出来る飾らないパンダデザイン。少し預かっててくれ、と言われ、素直に受け取った彼らは思った。――この青年は信頼できる。
 ひょいっと放り投げた熱線銃が、人喰い虎を轢いた時と同じようにバイクへと変形する。すかさず愛車に跨れば、エンジンをふかして一気にアクセルを踏み込む。
「なんじゃ、今度は訳のわからん乗り物でってふぎゃぁあああ!!」
 兼光が一切の迷いなくのじゃろりを轢いた! これは再放送ではありません。その証拠に、仙人を轢き倒す寸前にひったくりの要領で仔パンダを見事に奪ってげっと。
「こわかったね、もうだいじょうぶだよ」
「きゃう?」
 青年の腕に優しく抱かれた仔パンダは、何が起きたのかよくわかっていないらしい。わからなくていいんだよ。
「ちょっとせまいけどがまんしてねー」
 仔パンダに対してふわふわと優しいひらがなで語りかける兼光は、空っぽになった旅行鞄に仔パンダをイン。ストレスを与えぬよう入口は締めず、そのまま飼育係の元へ。
「どうぞ」
「わぁあありがとうございます! おかえり~!」
 泣いて喜ぶ飼育係に一頭を預けると、すぐさまバイクは他の仔パンダ救出へ。のじゃロリがふらついている間に、青年は黙々と仔パンダ達を飼育係達の元へと運び続ける。とはいえ、いくら彼の運転技術が卓越していても、全ての仔パンダを救出するには限界があった。
「しょ、初対面の者を轢くとは……お主どんな教育受けてきたんじゃ!?」
「パンダを傷つける奴に言われたくねえ」
 仙女が手にした笛を奏でれば、心を揺らがせる音色が響く。けれど、星の加護を宿したオーラの膜が誘惑の音を跳ね返す。再び疾走するバイクに乗って、青年はとあるボタンをぽちっと押した。気付けば、何処に格納されていたかもわからぬメカメカしい光線砲がバイクに乗っかっていた。
「反則じゃろそれ!」
「うるせえ」
 天使の様に愛らしい仔パンダを独占する邪魔者は排除すべし。再びぽちっと押されたボタンを合図に、弾幕のごときビームの乱れ撃ちが仙人を襲う。トドメとばかりにバイクが突撃すると、
「えーい」
 兼光は超強化されている旅行鞄を振り回し、鞄のカドが思いっきりのじゃロリの頭を強打した。
「痛ったー!?!?」
 今のは痛い。飼育係達も思った。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロト・ラトキエ
・ゆるふわ
・のりのり
・じゃあく

はい。かわいいに続き、おじさんには難解なお話がー!
『のじゃロリ』
「のじゃ」はアレより、こう…
…和む優しい22歳男子の方が…
はっ!
そんな特定の誰かじゃないのじゃよ?
本当じゃよ!?

(閑話休題

おやおや、これはまたかわいらしい(やや棒
紫黒娘娘さま。
ここは一つこのわたくしめも、このかわいい(※のか解らない)空間に
世話人として混ぜてはいただけないでしょうか?
礼を尽くし娘娘に取り入り――

おや?
娘娘様の御前に被ってしまう熊猫が…
(熊猫、しまっちゃう人にパス
おやおや。
娘娘様に気軽に触れんとする不埒者が…
(熊猫、安全地帯へパスパス

赤は、似合いませんから。
熊猫が減った所で、
敵へとUCを



 それは悪の仙女が旅行鞄のカドでぶん殴られて痛がっている間のこと。クロト・ラトキエは言いました。
「はい。かわいいに続き、おじさんには難解なお話がー!」
 のじゃロリって何? グリモアベースで説明を受けていた猟兵達が、なるほどなぁと頷いていた横で、三十九歳男性は首を傾げていた。語尾が『のじゃ』で幼い見た目の女の子のことを指すのだとわかったのは、つい先ほどのことで。果たしてそれが紫黒娘娘に似合っているのかというと、やはり首を傾げざるを得ない。
「のじゃはアレより、こう……和む優しい二十二歳男子の方が……はっ!」
 クロトさんがなんか口走った、珍しい。おっとりした陽光彩のやわらかい姿が思い出されますね。
「そんな特定の誰かのことじゃないのじゃよ? 本当じゃよ!?」
 閑話休題。
「おやおや、これはまたかわいらしい」
「お、おぉ? お主は妾の魅力をきちんと理解しているようじゃな!」
 男がやや棒読みの台詞で語りかけると、傷心の仙女はあっさり食いついた。
「やっぱり違うな……」
「なんじゃって?」
 いえなんでも。零れた独り言を素敵な笑顔で流しきる。
「ここはひとつこのわたくしめも、このかわいい空間に世話人として混ぜてはいただけないでしょうか?」
「ふむ、確かに妾も新しい使用人が欲しかったところじゃし、こやつらの世話係は必要じゃの!」
 ちなみにクロトは『かわいい』がひとつも理解できていないままである。随分と気をよくした様子の仙人は、そんなこと知る由もなく。顔のいい男が自分の世話をしたいと言い出したことを、素直に喜んでいる。
「さ、まずは娘娘様がもっと愛らしくなるよう……おや? 娘娘様の御前に被ってしまう熊猫が……」
 クロトと仙女の間でぽてぽてとしている仔パンダを抱きあげて、クロトはそっと先程の旅行鞄の彼へとパス。これは猟兵達の連携のシーンです。
「うむうむ、被るのはいかんの。妾、永久センターじゃもの」
 頷く仙女の足元で、よちよちと歩こうとする仔パンダ。おやおやと男は仔パンダを抱きあげて、安全地帯へナイスパス。
「娘娘様に気軽に触れんとする不埒者が……」
「こやつらなら別に良いと思うがの~」
「いえいえ、娘娘様のように気高く頂点に立つ貴人には、そう簡単に触れていいものではありません」
 それもそうか、と再び頷くのじゃロリ。これでよく今まで悪の仙人とかできてたなぁとクロトは思った。しかし、次々に運び出されていく仔パンダ達の数の減り方に、流石の彼女も気付いた。
「のう、ちょっと減りすぎではないかの? 妾を輝かせるならもちょっと数が多くても」
「いえ、これでいいんです」
 ――赤は、彼らに似合いませんから。
 そうこぼした男の眼差しが、ひやりと冴える。かわいい、のじゃロリ――彼には理解できない不可視の外的要因は、クロトの理解しうる範疇をこえていた。要するにめちゃくちゃストレスだった。身代わりとして喚ばれた水晶群が、一気に仙女の体を串刺しにせんと襲いかかる。
「あぁああお主裏切ったのじゃな!? こんなにかわいい妾を裏切ったんじゃな!?」
「え……すみません。僕、そのかわいさがこれっぽっちもわからないんですよ」
 口だけは申し訳なさそうに言いながら、男は水晶の光が赤く血塗られるのを雑に眺めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

歌獣・苺
(【満彩の苺虎『てとら』】に騎乗)

こらぁーーーーーー!!!!!!!!(クソデカUCボイス)
こぱんだちゃんを叩くのはやめて!
可哀想だよ

ぐるるるる………!

?てとら?わっ!ちょっ、てとら!?
(突然走り出す苺虎)

ーーはくり。(こぱんだの首根っこを咥えてひょいと背中の苺へと投げつけていく)

わぶっ、もしかしてこぱんだちゃんを助けようとしてる……?

がう!(フン、俺に少ねぇ飯でこき使わせたあのオンナにひと泡吹かせてやる!)

ひゅう~かっこい~!
実はてとらも後でこぱんだちゃんもふもふしたいんでしょ!

グォン!!!(う、うるせぇ!!!いくぞ!)

ふふ、うん!みんなが戦ってくれてるうちにこぱんだちゃんたちを助けよう!!!



「なんなんじゃ~妾がどうしてこんなに遭わんといかんのじゃ~!」
 真っ赤に染まったぼろぼろの服を着たまま、どんどんと地団駄を踏む紫黒娘娘。うーん流石オブリビオン、ゆるふわ依頼だからまだまだ余裕があるぞ!
「んもーそれもこれもこやつのせいじゃ! 妾の次くらいにかわいいからって、そんなにこやつらが大事かの!?」
 視線に入った仔パンダの一頭の頭をぺちぺちぺちぺち。きょとんとしている仔パンダ。ああほらまたそんなことすると。
 ドドドドド……グリモアの光と共に一目散にこちらへ爆走する者が居る。ほら来た。
「なんじゃ?」
「こらぁーーーー!!!」
「びゃんっ!?」
 すさまじいクソデカボイスの衝撃波が仙女の鼓膜を破く勢いで桃源郷に響き渡る。その正体は歌獣・苺のユーベルコードなのだが、飼育係の皆さんと仔パンダ達には美しい歌声としか聴こえておりません。ご安心ください。
「こぱんだちゃんを叩くのはやめて! 可哀想だよ!」
「いや妾も可哀想じゃろ!」
 吹っ飛んで岩壁に激突したのじゃロリが反論するものの、正義は完全に苺ちゃんだ。仔パンダを虐待していたのは向こうである。ふんすと頬を膨らませる苺が騎乗する獣が、ぐるると激しく唸る。
「てとら? わっ! ちょっ、てとら!?」
 巨大な虎は、主を乗せたまま猛ダッシュ。このまま仙人へと攻撃を仕掛けるのかと思いきや――はくり。
 仔パンダの首根っこを咥えると、ひょいっと背中に乗る苺へとちいさきいのちを放り投げた。わぶ、と慌てて抱きとめた苺の顔を、不思議そうに見つめる仔パンダ。兎が瞬きしている間にも、仔パンダは次々と彼女の懐へ。
「もしかして、こぱんだちゃんを助けようとしてる……?」
『フン、俺に少ねぇ飯でこき使わせたあのオンナにひと泡吹かせてやる!』
 がう、とひと吼えする彼の言葉がきこえるのは彼女だけ。昏い瞳の飢えた人喰い虎はもう居ない、彼は眩い彩に満ちている。
 ひゅう~かっこい~! なんて、からかい混じりに苺が優しい笑顔を見せた。
「実はてとらも後でこぱんだちゃんもふもふしたいんでしょ!」
『う、うるせぇ!!! いくぞ!』
「ふふ、うん! こぱんだちゃんたちを助けよう!!!」
 てとらの元主は、猟兵達からの度重なるダメージを受けたまま、クソデカボイスの前にぶっ倒れている。今のうちにと、可能な限り抱きかかえた仔パンダ達を飼育係の元へ。
「ああっよかった、この子も無事だ!」
 半泣きで安心する飼育係達の姿に、虎の気持ちが揺れる。本当の愛情は、きっと彼らや苺が見せてくれたものだから。
「てとら?」
『なんでもねえ、まだまだいるぞ!』
 再びせっせと仔パンダ達を保護していると、ようやく仙人が起きあがった。何事かを喚きながら仙術を集中させているのを見た苺は、迷わず息を大きく吸う。
「邪魔させないんだからーーー!!!」
「そのくそでかい声、絶対そやつらにも悪影響じゃろ!!」
 今度こそ鼓膜が死んだ気がしながら、のじゃロリは仔パンダと飼育係達を指差す。しかし当の本人達は不思議そうな顔をしていて。
「え、すごく綺麗な歌だよね」
「心が浄化されて癒されますけど……」
「のじゃ!?」
 どや、と得意げな兎と虎。疾駆する二匹の世界は、これからもっと広がっていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティファーナ・テイル
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「仔パンダちゃんはキミだけのじゃない!キミは“悪”だ!」
『スカイステッパー』で縦横無尽に動き回り子パンダちゃんを避けて『神代世界の天空神』で空間飛翔して敵の隙を狙って『天空神ノ威光・黄昏』で敵のUCを封印/弱体化させます!
『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群を召喚して『ガディス・ブースト・マキシマム』『ガディスプリンセス・セイクリッド』で♥ビーム/♥弾で攻撃をして必要なら『ジェットストリーム・ラヴハート』でSPDを強化して『ゴッド・クリエイション』で“母神パンダ”を創造して子パンダを導き保護を頼みます!
状況で必要なら『ヴァイストン・ヴァビロン』で成功率を上る。



 鼓膜をぶち破られようと、紫黒娘娘は耳から血を流しつつ猟兵達を睨みつける。しかしその表情はどちらかというと困惑と恐怖がほんのり浮かんでいた。
「妾はただ妾のかわいさを引き立たせたいだけなんじゃが……何も悪いことしとらんのに……お主らが妾にここまでする必要性とか一切感じられんのじゃが!?」
 反省の色は全くなかった。百年以上やらかしてる上にオブリビオン、もはや改善の余地が見られない。
「キミ、全っ然反省してないんだね!」
 ティファーナ・テイルが長い尾でとぐろを巻いて、もう、と何処か妹を叱る姉のような口ぶりで仙女に話しかける。彼女に捕まってしまえば終わりなのだが、のじゃロリは自分の虎に何があったかなど知らないのである。
「妾これまでこんな酷い目に遭ったことないんじゃが!? お主らそんなにこぱんだがすきとか頭おかしいじゃろ!」
「おかしいのはキミだよ! 仔パンダちゃんはキミだけのじゃない! キミは“悪”だ!」
 びしっと指差した少女は、たんっと勢いよく宙へ跳躍。縦横無尽に動き回るティファーナの周囲を神々しい光が包む。光りすぎて見えない神々の皆さんと空中を泳げば、のじゃロリは眩しそうにぎゃっと目を瞑る。
「なんじゃお主ぎらっぎらし過ぎじゃろ! もう少し光量を落とさぬか!!」
 仙女も負けじと手にした笛に唇を落とす。心をあまく惑わす軽やかな音色が奏でられるのと同時、女神は更に迸る威光を放つ。
「ふっふっふー愚か者め! 目を閉じとっても妾は笛を吹けるのじゃ!」
「じゃあこれはどうかな、レディース!」
 輝くマスコット従属神達は、はーいと元気よくご挨拶。ちいさな部下達と共に、溢れる正義の心は止まらない。聡い読者の皆様ならお分かりの通り、つまりハート型ビームの乱射が始まるのである。
「その前に、仔パンダちゃん達を守らないとね!」
 ぐっと女神は両の掌に創造力を込める。生まれた黄金に輝く超巨大パンダ、その名は――!
「母神パンダさんっ、仔パンダちゃん達を守ってあげて!」
「そんな神知らんのじゃが!? ぎゃっ眩しっ」
 思わず目を開けてツッコむのじゃロリ。多分皆初耳だと思う。母神はその名の如く母性を全開にすると、仔パンダ達をひしっと抱えて飼育係達の元へ。それにしてもいまだぽこぽこと捕まっている仔パンダですが、その数は気にしないでください。
 そこからはもう怒涛のティファーナ大進撃であった。放たれるハートの弾幕から泣きながら逃げ回るのじゃロリ、追う従属神と弾幕。しかしまだまだ幼い女神の正義は止まらない!
「神様は寵愛と懲罰を!」
 両手を広げて愛を高らかにうたいながら、女神はハートの砲撃を仙女めがけて撃ち込む。従属神達に取り囲まれたのじゃロリは言った。
「こやつ頭おかしいのでは!?」
 失礼なこと言うな、愛と正義に満ちたかわいいティファーナちゃんだぞ! ただちょっと手加減しないだけで!!
「あの、保護施設は壊さないでください……」
 流石に不安になったのか、か細く呼びかけた飼育係にティファーナがウィンクひとつ。ようちえんには、壁のヒビひとつ入ってはいなかった。えらい。

成功 🔵​🔵​🔴​

天王寺・吾郎
同輩の危機は見過ごせないのである…ほいっとぉっ!!

独占禁止アルよ!
さてぇ、どうお仕置きするアルか考え中アルよ。

なら、変化球行ってみるでアルヨ。

呼び出す十二支:鼠1、牛1、虎1、兎1、馬1、羊1、犬1…全て白黒ぶち模様でお送りするアル。

まず、ウチが近づいてパンダマウスにウチの右手に登って「チュー!」って鳴いてもらう。
可愛いもの好きでも、鼠にドアップされれば悲鳴あげたくなるものであるよ。
次は兎で、邪仙の気を引き付けてもらいたい。
その後は、兎に逃げてもらって、、邪仙に突進してくる頭の黒い羊。
その後で乳牛とシマウマに轢き逃げアタックしてもらって、最後にダルメシアンとホワイトタイガーが襲撃する。



「な、なんじゃあの小娘……少しは手加減とか考えんのか……?」
 ぐったり。そんな言葉が似合う状態にもかかわらず、紫黒娘娘は諦めない。実際まだ猟兵の皆さんがスタンバっているので諦められても困る。ぜぇぜぇ息を切らしつつ、まだ四肢が無事なのを確かめる。そしてもちもち転がる仔パンダ達を見た。
「なんかもうこやつらのこととかどうでもよくなって……いや、妾まだ負けておらぬし! 一度欲しいと思ったものは必ず手に入れるのが妾のポリシーじゃし!」
 流石のじゃロリ、自我が強い。そしてそんな同輩の危機を見過ごすことなど、一匹の瑞獣には出来ない。
「ほいっとぉ!!」
「ぎゃん!?!?」
 上空からでかいパンダが墜ちてきた。否、天王寺・吾郎は見事に仙女の真上に着地した。その重量は察するに余りある。
「パンダは皆に愛されてしかるべきもの、独占禁止アルよ!」
「お主が言うな! というかぐえっ、降りるのじゃ! 無礼にもほどがぐええっ!!」
 これは失敬、とわざと勢いをつけて仙女からジャンプ。ささっと戦闘に入りやすい距離をつくる。その身軽さに、飼育係達は自然と拍手を送った。
「さてぇ、どうお仕置きするアルか考え中アルヨ」
 勿論さっきのはお仕置きに入らない。ただ着地した地点に偶然のじゃロリが居ただけなので。内心ぶるっと震えあがりながらも、仙女は生意気な顔を崩さないように笑ってみせた。
「ふ、ふーん! でかいだけのパンダが妾に勝てる訳がなかろ! 仔パンダと同じく引き立て役のマスコットにしてやるのじゃ!!」
 ほう、と、つぶらな瞳が仙女を見る。これは随分きつくわからせてやる必要があるようだ。
「なら、変化球行ってみるでアルヨ」
 まんぷくボディが宿す生命力を分け与え、七匹の動物を呼び寄せる。その見た目は全て白黒ブチ模様の、素敵な動物園状態でお送りしております。
「よいしょっと」
「な、なんじゃ!?」
「マスコットにするんじゃなかったアル? ほれ、触りたくなる魅惑のボディアルヨ」
 いきなり接近した巨大パンダにビビる仙女。しかし、そのふあふあな毛並みと愛らしさは、百九十センチ近いとはいえ魅力的。差し出された右手の、普段隠された肉球の感触を確かめられずにはいられない。思わずふらふらと近付いた矢先、
「チュー!」
「ぎゃわー!?」
 突然視界いっぱいを埋め尽くす、ドアップの鼠。ちうちうかわいく鳴いていても、流石に悲鳴をあげてしまう。お次にぴょん、と跳ねた兎が仙女の懐へ。
「のじゃ!?」
 思わずしっかりと抱きとめれば、うるうるとした赤い眼で見つめられてしまう。
「もうこやつだけ持ち帰ればいいような……って痛ったー!?!?」
 その愛らしさに一発でオトされた仙女の懐から、兎が跳びだした途端。頭の黒い羊が彼女をどついた。角が間違いなく刺さったなぁと飼育係が見つめていれば、今度は乳牛の爆走。
「ふっふー、そう何度も同じ手は喰らわな」
 シマウマが反対側から爆走していた。絶妙なタイミングですれ違う二頭は、のじゃロリを見事に轢き逃げる。
「トドメアル。ほーらあのお嬢さんが遊んでくれるアルヨー」
 吾郎の掛け声を合図に、巨大ダルメシアンとホワイトタイガーが大の字の仙女に襲いかかる。
「やっやめ、のじゃあああ!?」
 悲鳴が、桃源郷中に響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​

千思・万考
紫黒娘娘に拱手一礼
可愛らしい娘娘に愛らしい仔パンダを同時に見られるなんて
今日は人生で一番素晴らしい日かもしれないなあ

褒めて敵の気が緩んだ瞬間、鏢を投擲
仔パンダをぺちぺちしようとした腕を巻き取って阻止するよ

…なんてね
その態度だと、仔パンダが大人パンダになったら
「可愛くないから妾いらないのじゃ」とか言いそうで
とてもじゃないけど任せられないな

敵挙動を良く見ての回避や武器を用いての防御をしつつ
雷喚びの種をひそかに撒いていく
囲みを作れたら、敵がその中に入る立ち位置につき
入った瞬間にUC発動

仔パンダだって主人を選びたいんじゃない?


ちなみに…行動中余裕があれば
仔パンダを筋斗雲に乗せて安全圏に移動しておきたい



「やぁ、娘娘。ご機嫌麗しく」
 ぼろぼろで大の字になっている紫黒娘娘に、千思・万考は丁寧に拱手一礼。仙女はというと、殆ど死んだ目で青年のほうに視線を向けて、なんじゃ、とやる気ない返事を投げつける。
「可愛らしい娘娘に愛らしい仔パンダを同時に見られるなんて、今日は人生で一番素晴らしい日かもしれないなあと思ってね」
「もう三回目じゃぞ。妾賢いからの、どうせお主も裏切るんじゃろ……」
 まずい、流石に気付いている。けれど万考は一切焦ることなく端正な貌に笑みを乗せたまま。そっと諦めモードののじゃロリを抱き起こす。
「随分とお召し物が汚れてしまったようだね、可哀想に。こんなに愛らしいあなたを傷つけるなんて……」
「な!?」
 慈しむような表情の美青年に、傷ついた頬をする、と手の甲で撫でられる。荒みきった心に染みわたる優しさに、仙女の心がときめいた。うーんちょろい。
「お、お主は妾をボコボコにしたりせんのか? クソデカボイスで吼えたり切り刻んだり獣に襲わせたり弾幕撃ったりせんのか?」
 僕が来る前、皆容赦なかったんだなぁ。万考はぼんやり思いつつ、とんでもない、と驚いた顔をしてみせる。
「こんなに幼気で可愛らしいお姫様を、傷つけようなんて信じられないよ。さぁ、ゆっくり立ち上がって」
「おぉぉ……妾信じとったのじゃ、妾に対する言いがかりを払拭してくれる者が現れるのを……!」
 どの口が言うんだ。飼育係達の心を代弁したように、棒手裏剣がそうっと腕に巻きつく。紐のくくりつけられたそれがぎゅっと仙女の腕を縛ると、彼女は不思議そうに首を傾げる。
「のじゃ?」
「なんてね。その態度だと、仔パンダが大人パンダになったら『可愛くないから妾いらないのじゃ』とか言いそうで」
「しっ失礼な! 妾ちゃんと世話係に世話させるし!!」
「ほら、やっぱり自分で世話しないんじゃないか。だからこの子達は連れていくよ」
 いつの間にか、ふわふわの筋斗雲に乗せられている仔パンダ達。あ、と声をあげたのじゃロリが辺りを見渡せば、人質状態の仔パンダ達は一匹も居ない。これで憂いはなくなった、と青年は微笑んで。
 とてもじゃないけど任せられないなぁ、と人差し指を口元にあてる万考の言葉に、さっと血の気が引いたのじゃロリが素早く距離を置こうとする。
「おっと」
「びゃん!!」
 腕を引っ張られてびたんとその場に倒れる仙女。もはや正常な判断が出来ていないのだと思う、元々出来てなかったけど。むくりと起きあがると、その身に怒りが詰まった仙術の気を集める。
「おのれおのれ! もう絶対許さんのじゃ!!」
 のじゃロリが練った気でぶちりと紐を千切る。そのまま放たれた衝撃波を躱しながら、青年はひそかに雷術を仕込んでいく。撒かれていく雷喚びの種によって、確実にサークルが完成しつつあった。
「ほら、僕はこっちだよ。おいで、」
 手招く彼の仕草を挑発と受け取ったのか、仙女は一気に地を蹴り円環の中へ。途端、万考の雷公鞭がまぶしく輝いた。
 輝きをきっかけに、空に暗雲が立ち込める。仙女の入ったサークル内に迸る裁きの雷は、極大の電撃をばちばちと繰り出す。
「のじゃあああ!?」
 ぷすぷすと丸焦げになった仙女からは、大変香ばしすぎる匂いがしたという。仙人としての実力は、万考のほうが圧倒的に上であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葬・祝
【彼岸花】

本当に私が近くに来ても逃げないんですねぇ
カフカ、カフカ、この仔パンダたち逃げませんよ
危機感がないんでしょうか

いえ、仔パンダは確かに愛らしいですけど君は全く
確かに、私たちから見れば幼子の所業に等しいですが、ねぇ……人間相手にそれをやるのは児戯を通り越して、逸そ痛いですね

くふふ、昔のカフカはそれこそ幼子でしたから、可愛らしいと眺めていましたよ?
それに、反抗期でも君は無差別に人に迷惑を掛けたりはしませんでしたからねぇ
ええ、手は焼きましたけど

君はその見目がご自慢でしたっけ
なら、腐り落ちるが宜しいかと
UC+【呪詛、恐怖を与える、斬撃波】
ふふ、私が無価値な君に優しくして差し上げる理由が何処に?


神狩・カフカ
【彼岸花】

ははっ
はふりは本当にもふっとしてる動物が好きだなァ
でかいパンダも可愛いが
小さいのはよりいっそうってとこかねェ

ああ、そういえばまだ片付けるもンがあったか
完全にパンダと遊ぶ頭になってたな
えーとなんだその…
お前さんの振る舞い見ているとだな…
昔の意気がってた頃の自分を思い出して
正直むず痒さを感じると言うか…
見てて恥ずかしいんだよな

お、おれの黒歴史はどうでもいいだろ!
だから言いたくなかったンだ
絶対蒸し返されると思ったからな…

羽団扇を振るって旋風を起こしたなら
目眩ましで視界を阻害して
そのまま斬り刻んでやろう
はふりは相変わらずえげつねェことすんなァ…
まあ、これに懲りたら振る舞いを改めるこった



「本当に私が近くに来ても逃げないんですねぇ」
 もちもち、ころころ。沢山の仔パンダ達が不思議そうに自分の顔を見上げるものだから、葬・祝はおやまぁと驚いた。
「カフカ、カフカ、この仔パンダたち逃げませんよ。危機感がないんでしょうか」
 大抵の生き物というものは、彼が現れた途端何かしらを察知して逃げ出すことがほとんど。ところが、足元でころころしている白黒の仔らは、悪霊を恐れる素振りすら見せない。なんとか読める限りの表情も、いまいちよくわからない。小首を傾げた祝に、名を呼ばれた烏天狗がははっと笑う。
「はふりは本当にもふっとしてる動物が好きだなァ。でかいパンダも可愛いが、小さいのはよりいっそうってとこかねェ」
 抱っこのひとつもしてやっていいんじゃねェか、と、神狩・カフカが提案すれば、飼育係達がおずおずと話しかける。
「ええと、それは全然構わないんですが……」
「できればアレを追い払って頂いてからだと助かります……」
 紫黒娘娘らしきぼろぼろの何かを指差す。そういえばそうだった。カフカも祝も、ああ、と思い出したように頷きあう。
「お主ら……妾と対峙しに来たのではないのか……!? 仔パンダ目当てのみなのか……!?」
 ふらつく足取りで、なんだかんだまだ立ち上がるのじゃロリ仙女。ガッツがあるなぁと飼育係達は口にはしないものの、ちょっぴり感動すらしていた。
「そういえばまだ片付けるもンがあったか」
 既に二人は完全にパンダと遊ぶ頭になっていたので、足にぎゅっとしがみついてくるいのちを、ひとまず飼育係達に引き剥がしてもらう。
「一瞬ですけど、ふわふわでしたね」
「はやく遊んでやりてェし、さっさと終わらせるかァ」
 どこか嬉しそうな祝の姿に、カフカもやる気を出して少しばかり伸びをする。あまりにも雑な後始末的な感じで締めようとする気でいる二人に、仙女が噛みついた。
「おおお主らっ! 妾相手にそのような余裕ぶってるつもりか!? かわいい上に超強い妾の本気を受けてしまえば、こんな桃源郷のひとつやふたつ、ひとたまりもないのじゃぞ!!」
「いえ、仔パンダは確かに愛らしいですけど君は全く」
 ずばっ。祝はばっさりと言い捨てる。
「確かに、私たちから見れば幼子の所業に等しいですが、ねぇ……人間相手にそれをやるのは児戯を通り越して、逸そ痛いですね」
「あー……」
 齢百年ぽっちの彼女に対し、それ以上の年月を重ねている二人。口を開けてふるふると震える仙女を見て、カフカの表情が引き攣る。そうして大変言いづらそうに、ぽりぽりと頭を掻いた。
「えーとなんだその……お前さんの振る舞い見ているとだな……」
「なんじゃ、言いたいことがあるならそこのなんかやばそうな小童のように言ってみるのじゃ! わっ妾これくらいでは傷つかんし!?」
 きゃんきゃん喚く彼女の姿に、ますます言いづらそうに目をそらす。それでも口に出すのが優しさというもの。
「なンつうか、昔の意気がってた頃の自分を思い出して正直むず痒さを感じると言うか……見てて恥ずかしいんだよな」
「はずっななななんじゃと!?」
 くふふ、と着物の袖で口元を隠し、祝が笑みをこぼす。
「昔のカフカはそれこそ幼子でしたから、可愛らしいと眺めていましたよ? それに、反抗期でも君は無差別に人に迷惑を掛けたりはしませんでしたからねぇ」
 ええ、手は焼きましたけど。育てた本人が懐かしそうに眼を細めて愛し子を見つめれば、うぐ、とカフカが顔をしかめる。
「お、おれの黒歴史はどうでもいいだろ! だから言いたくなかったンだ」
 だって絶対蒸し返されると思ったのだ。結局こうして恥ずかしい思いをしているものの、祝が自分をからかってはいないことも理解している。
「お前は今も昔も可愛らしいですよ」
「やめてくれよ……」
 美少年と美丈夫が見た目とは正反対な関係性をにおわせてくるので、飼育係達はちょっと混乱した。けれど親しげな二人の会話によって、なんだかぽかぽか幸せな空気が辺りを包みはじめている。
「妾を差し置いていちゃつくでなーい!!」
 ブチギレたのじゃロリが仙術のオーラを身に纏い、凄まじい勢いで跳躍。高速移動と共に二人めがけて衝撃波を放射する。そりゃそうだ。
「っと、それ以上のオイタはいけねェな」
 振るわれた羽団扇によって、旋風が巻き起こった。舞いあがった土埃が仙女の視界を奪ったと同時、何度も膚を裂き続ける傷が無数に刻まれる。既に十分なダメージを受けている仙女にはほとんど致命的な傷ではあったけれど、彼女は見えないなりにカフカへと突進した。
「おや、私のカフカに手を出そうとしてるんですか?」
 なんて愚かな。淡々と唇を動かした少年の鈴音が響く。投げつけられた五寸釘が仙女の脚を穿てば、彼女はその場で倒れ込む。
「ぎゃんっ」
「君はその見目がご自慢でしたっけ――なら、腐り落ちるが宜しいかと」
 にこり、そんな音がするようなこわい笑顔がのじゃロリの眼に映って、ぞっとした彼女の顔が猛烈な勢いで腐っていく。
「わ、妾の顔、妾の顔がァアア!!」
 これはゆるふわシナリオなのでその描写は最小限に留めます。仔パンダ達の視界は飼育係達が塞ぎ、彼らも目を閉じているのでご安心ください。悲鳴をあげて悶え苦しむ小娘に、カフカはやれやれとため息をついて。
「はふりは相変わらずえげつねェことすんなァ……」
「ふふ、私が無価値なアレに優しくして差し上げる理由が何処に?」
「それもそうか」
 さっくり。虎くんと全く同じテンションで、カフカは最期を迎える紫黒娘娘に呼びかける。
「まあ、これに懲りたら振る舞いを改めるこった」
 のじゃロリが消える直前、ちいさく鳴き声のように『のじゃ』と聴こえたとか、そうでないとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『もふもふパンダほいくえん』

POW   :    だっこしたりつかまえたり

SPD   :    おいかけっこしてみたり

WIZ   :    すやすやいっしょにおひるねも

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 圧倒的力量で悪ののじゃロリ仙人を倒した猟兵達に、飼育係達は溢れんばかりの感謝を述べる。

「この子達も喜んでます!」

 ふあふあもちもちの仔パンダを抱きあげて、猟兵の元へ。その表情からはいまいち何も読み取れないものの、きゅっと猟兵の腕やら足やらにくっついている。

「ふふ、遊んでほしそうですね」
「赤ちゃんは抱っこしてあげたり、少し大きい子は追いかけっこも喜びます」
「あ、ごはんあげますか? 特製のお団子や、リンゴやサツマイモも食べますよ」

 あえてお昼寝することで、浴びるほど仔パンダ達を堪能するのもいいだろう。
 自由に仔パンダ達と過ごせる権利が、ようちえんから猟兵達へのプレゼントだ。
ティファーナ・テイル
SPDで判定
※アドリブ歓迎
「パンダさんの行進だぁ!♪」「かわいぃ!☆」
と飛び付こうとして止まってパンダさんの円らな瞳を見て冷静になって、寝ている子たちを起こさない様に気を付けながら蛇尾脚の先でじゃれたりしているのを見て微笑んだりしながら鞄を上に籠を置いて子パンダちゃんやパンダさんを乗せてゆっくりと進んで楽しませてあげます♪
『エデンズ・アップル』で子パンダちゃんでも食べれる柔らかな果物やパンダさんの好きな笹や果実を創造してパクパクカジカジ食べさせてあげます☆
『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群も出て来て一緒に楽しみます☆

周りの人や猟兵とも一緒に楽しみながら遊んだり寝たりします♪



 もちもち、よちよち。とことこと歩く仔パンダ中パンダ大パンダ――これを我慢できる者が存在するというのだろうか。
「パンダさんの行進だぁ♪」
 かわいい☆ と星を振りまく勢いで飛びこむティファーナ・テイルの瞳が、パンダ達のつぶらな瞳とぶつかり合う。ぴた、と大蛇の尾をした下半身と地面に戻し、大きな音が出なかったか周囲をぐるりと見渡す。
 すやすや眠るパンダ達は相変わらずすこやかな寝息を立てていて、セーフ、と一安心。ふいに自分の蛇尾脚に重みを感じて振り返れば、珍しいものを見つけた仔パンダ達がよいしょよいしょとのっかっている。
 人間一人分以上の長さはありそうな金色の尾は、仔パンダの絶好の遊び場になったらしい。そうだ、と何か思いついた少女は、自分の蛇尾脚の上へ、器用に大きな籠をひょいっと二つ載せていく。
「飼育係さん、乗せてあげてほしいな☆」
「えっきみ、動けるの? 流石にこの子達を乗せるのは重くないかな?」
 大丈夫大丈夫、と笑ったティファーナを信じて、飼育係達は数頭の仔パンダと一頭の少し成長したパンダをセット。ふあふあのいのち達は不思議そうにしつつ、大人しく籠の中で周囲をきょろきょろ。
 ぺとぺとするする、パンダ達の重さを一切感じさせぬ余裕を見せながら、幼い女神はその場を行進。きゃうと鳴いたパンダ達は、ゆっくり変わっていく景色を楽しんだり、心地よく揺られ揺られてうとうとと眠りの海へ招かれるものも。順番に籠からパンダ達を降ろしたあと、ティファーナはくぅうとパンダ達のお腹が鳴る音を察知!
「笹だけじゃなくて果物も食べるんだよね」
「ええ、持ってきましょうか?」
「ううん、ここでつくっちゃう!」
 つくる? 果物を? 宇宙パンダ顔の飼育係達をよそに、またもティファーナちゃんの全力女神パワーが本気を出した。甘い香りにみずみずしい果実を生みだせば、さらにやわらかな笹が出現。女神すごい、なんでもできちゃう。ふあふあの手に笹を持たせてやったり、口元へと果実を差し出してやると、はぐはぐと白黒の獣達は美味を堪能している。
「レディース達もおいで♪ 一緒に遊んじゃお☆」
 戦闘でがんばったのは従属神達も同じ。きゃあきゃあとはしゃぐちいさな彼女達は、仔パンダのお腹や肩に乗ってもふもふを楽しませてもらっている。
「ふふ、みーんな楽しいのが一番だよね☆」
 いくらすごい神様として、八歳の女の子は遊び疲れて眠くなるのも仕方ない。きゅう、と優しく抱きしめた仔パンダやパンダ達と一緒に、ティファーナは夢の国へとお昼寝旅行に入っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葬・祝
【逸環】

あら、クロウ。また奇遇ですねぇ
ふたりがまた仔猫と仔犬のように戯れている
が、それよりもふい生き物が気になる

ほらカフカ、クロウ、仔パンダですよ
鈍感なんですかね、全然逃げないんです

わ、もふもふだ……
擦り寄って来た一頭にぬいぐるみのように抱き着いてぽつり
生きている熱
鼓動
冷えて固まる前の柔らかな生き物
……あったかいんですねぇ、動物って……

わ、群がらないでください重いんですよ君たち
重さのない身体が簡単に仔パンダたちに転ばされて、そのまま埋もれる
カフカ、出られません
あら、君まで埋もれちゃいましたね
クロウに救出され、抱っこされて笑う

……クロウ、そんな趣味がおありで……?
勿論、冗談です
ふふっ、かわいい


杜鬼・クロウ
【逸環】
赤ちゃんパンダを見に来た

…アレ?また会ったなァご両人
お邪魔だったか?
祝を見ても逃げねェ動物は珍しいな

頬つんしたり手握ったりパンダもふもふ
癒される
自分の膝に乗せ餌やり

凄ェ食べるな
ホント可愛いぜ
…コイツらも、生きてるからよ(眠った仔パンダ見て微笑

ハハッ祝、大丈夫かー
ひ弱なカフカじゃミイラ取りになるンじゃね?
言わんこっちゃねェ(肩竦め
…記念に撮っとこ(スマホで撮影
二人とも力使ったらぱんだが泣くもんな

祝をパンダの群れから救う
カフカを引き上げようとして手離す

おっと手が滑ったー(棒読み
ざまァねェなァ、大天狗サマ(舌出し
助けて下さいクロウ様って言ったら助けてヤんよ
…てんめェ
エッ祝、違!

ちゃんと助ける


神狩・カフカ
【逸環】

クロウの兄さんも仔パンダに釣られた口か
へェ、意外と可愛いもンが好きなんだなァ
なんて、からかう顔でにやり

抱っこして団子をやろうか
おっ、よく食べてらァ
可愛いもンだ

はふりは随分と好かれちまったなァ
助けてやろうと立ち上がって
さすがに仔パンダに負けるほどひ弱じゃ
お、わわわわ!
一緒に埋もれてしまった
おい!兄さん!何してやがる!
写真撮ってねェで助けとくれよ!
さすがに風で吹き飛ばすわけにもいかねェからな…

はぁ…助かった…って
お前なァ~~???
いつもの仕返しのつもりか?
人の足元見やがって…
仕方ねェなァ

格好良くて男前なお兄様クロウ様~
可愛い弟分を助けてくれませんか?
媚びっ媚びの声でキラキラ

これで満足かい?



「……アレ?」
 一人でのほほんと赤ちゃんパンダを見に来たつもりの杜鬼・クロウは、ものすごく見覚えのある二人とばったり出くわした。
「あら、クロウ。また奇遇ですねぇ」
「クロウの兄さんも仔パンダに釣られた口か」
 葬・祝と神狩・カフカは、もちふあの仔パンダ達へと歩を進めるのを止めて、友人の顔に声をかける。
「へェ、意外と可愛いもンが好きなんだなァ」
 どこかからかう様子でにやりと笑ってみせたカフカに対し、クロウはあまり気にも留めずににやりと返す。
「いやあまた会ったなァご両人。ん、ああ悪ィ、お邪魔だったか?」
「んだとぉ!」
 なんかあっさり負けているカフカと、彼を軽くいなすクロウをまったりと見守る祝。ほらまた二人が仔猫と子犬のようにきゃんきゃん戯れている。けれど祝には、もふい存在の方が気になるのであった。
「ほらカフカ、クロウ、仔パンダですよ」
 よちよち、とことこ。飼育係から離れて此方へと近付いていくる仔パンダ達。鈍感なんですかね、と全然逃げようとしないもふ達をじいっと観察し実況している祝につられて、二人も仔パンダへと意識を向ける。
「祝を見ても逃げねェ動物は珍しいな」
 間近に迫った仔パンダの頬を、クロウはつんとつついてみた。特に嫌がる素振りも見せないから、手を握ってまだやわこい肉球の感触を確かめたり、抱きあげてそっと自分の膝に乗せてやる。
「きゃう」
「……なるほどなァ」
 ひと鳴きして、きゅっと青年の鍛えられたガタイにぽてぽてとしたものがくっついた。これは癒される。じぃんと染みいるぬくもりを確かめている隣、カフカも抱っこして特製のお団子を仔パンダに。
 もちもちもち……黙ってお団子を食べながら、仔パンダは細い胸板に全ての重力を預けている。
「おっよく食べてらァ。相当美味いンだな、この団子」
 可愛いもンだ、と頭をこちょこちょ撫でてやると、ふあふあのいのちは気持ちよさそうにカフカにすり寄る。毛玉そのものよりもやわらかいそれを、ついよしよしと堪能してしまう。お団子を満喫する姿が羨ましいのか、じっとそちらを見つめる仔パンダに、クロウもお団子を口元へ持っていってやる。あっという間に勢いよく食べ始めたのに対して、俺様クールもちょっとびっくりした。
「凄ェ食べるな、お前」
「きゅ」
 うーんホント可愛い。二人の抱っこを、仲の良い者ならわかる程度に、普段よりそわそわとした様子で見ていた祝。抱っこしてあげてください、と飼育係に促され、すり寄ってきた一頭をぬいぐるみのように抱きかかえる。
「わ、もふもふだ……」
 やわらかな毛並み、つぶらな瞳、たしかな呼吸。こどもとはいえ、自分とは違うしっかりした重み。生きている熱、はっきりした鼓動、冷えてかたまる前の、柔らかな生き物。
 それは普段の悪霊の周囲には、決して近付いてはこない類のいのちだった。ましろの腕でそうっと抱き続けると、ふわりやわい声が自然にもれる。
「……あったかいんですねぇ、動物って……」
「そうさ。コイツらも、生きてるからよ」
 ちいさな呟きに、いつのまにか眠ってしまった仔パンダを見てクロウが微笑む。このために今日一日、虎やらのじゃロリやらを倒してきた祝のうれしそうな姿に、カフカも良かったと心があたたまって。
 そんなふわふわほんわかした雰囲気で、うまいこと締められそうだなぁと思っていたところ。一頭を大切そうに抱いていた祝の足元に、よちよちと仔パンダ達が集まり始める。
「わ、群がらないでください重いんですよ君たち」
 エクトプラズムで出来た身体は、あっという間に仔パンダ達の餌食に。ひょいっと転がされると、もっさりと白黒のふあふあの山に埋もれた。
「カフカ、出られません」
 ちょっと暫くはこのままでもいいけれど、いやよくない。頭までは埋もれずに済んだから、かわいいあの子に助けを求めてみた。
「ハハッ祝、大丈夫かー」
「はふりは随分と好かれちまったなァ」
 眠る仔パンダを起こさぬ程度の声量で笑ったクロウの隣、救援を求められたカフカが抱っこしていた仔パンダを降ろして立ち上がる。
「ひ弱なカフカじゃミイラ取りになるンじゃね?」
「はっさすがに仔パンダに負けるほどひ弱じゃお、わわわわ!」
 カフカくんは普通に雪崩れこむように引っ張られて埋もれた。文豪はかよわいからね。言わんこっちゃねェ、と肩を竦めたクロウが、すぐさま何か思い立ったようにスマホを立ち上げる。
「記念に撮っとこ」
「おい兄さん何してやがる!」
「祝ー、折角だしピースしとけ」
「ぴぃす……こんな感じですかね?」
 そうそれいい感じ。ぱしゃぱしゃ、とシャッター音が鳴る。仔パンダに影響を及ぼさないようにフラッシュは焚いておりません。クロウ兄さんは常識があるなぁ。
「いや祝も乗るンじゃねえ! 撮ってねェで助けとくれよ!」
 さすがにカフカが風で吹き飛ばすわけにもいかないし、祝の力では仔パンダ達が泣いてしまうかもしれない。クロウはまず、祝をそっと引っ張り上げて、弟のように抱きあげた。
「くふふ、ありがとうございます」
「祝はやっぱ軽いなァ」
「兄さん、俺のことも早く助けろって」
「へぇへぇ。しょうがねえなァ」
 途中まで引き上げて、助けを求める側の態度がなんとなく癪に障った。よいしょっと引っ張る手を離すと、カフカくんが再び仔パンダの山に埋もれた。
「おっと手が滑ったー」
「お前なァ~~???」
 クロウの台詞は心の底からの棒読みだった。ふあふあのいのちは丈夫なので、むしろカフカのほそい身体が気になるところ。もう一度もふもふと群がられていく姿がかわいくて、これには祝くんさんもおやおやにっこり。
「ざまァねェなァ大天狗サマ!」
「このやろ……いつもの仕返しのつもりか?」
 舌を出して煽っていくスタイルのクロウ。今日はいつも以上にやる気っぽい。
「助けて下さいクロウ様って言ったら助けてヤんよ」
「人の足元見やがって……」
 仕方ねェなァ、と仔パンダに埋もれたままため息をつくカフカ。途中顔面を仔パンダに横断されていたが、なんとかその子が通り過ぎるのを待って、んん、と喉を整える。
「格好良くて男前なお兄様クロウ様~可愛い弟分を助けてくれませんか?」
 青年は媚びっ媚びのかわいい声にきらきらの眼差しを添えた。異様に甲高い裏声のあと、いつもの声音に戻して。
「これで満足かい?」
「……てんめェ」
 全然ダメージ受けてないのが、クロウはなんとなく癪に障った。二回目である。
「……クロウ、そんな趣味がおありで……?」
「エッ違!」
 だいぶヒいた表情を見せる祝が、クロウの腕の中で身をよじる。あわわ、と焦ったクロウを見て、祝がすぐに冗談だとにこにこ笑む。
 ちぇっとつまらなさそうにしつつ、今度こそカフカを助けてやると、仔パンダ達が名残惜しそうに三人を見る。
「まだまだ遊んでやるって」
「そう悲しそうな顔すンじゃねェよ」
 かわいい二人がかわいい生き物達と戯れる。それだけでも、笑みがこぼれてしまうけど。仔パンダ達が求めている遊び相手に、自分も含まれていることが、祝はうれしかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
せんのすけー(f00454)、そうだよー。
まだまだきれいな黒白だよー。
歩くのにがてでころころだよー。
ほら。あの仔とか、こっち見てるよー。

気分はかわいいの大好きっ子を引率するお父さん。
だって僕に『kawaii』はまだ難しいし…
こんな稼業。生き物からは好かれない、殆ど近寄っては来ないもので。
なので、全力で目で愛でます!
ほわっほわになってる千之助を!!

楽しそうにしてると嬉しい。
嬉しそうにしてると和む。
蹲ってたり悶えてたり泣きそうだったりすると、
本当良かったな、と思うし――
あれ?
もしかして…これが、『かわいい』…?

見てるだけで十分だけど…
ちょっと近いのもいる…?
危機感無さ過ぎでは??
…助けたから、かな


佐那・千之助
クロト(f00472)、
ちいさいぱんだ、こどものぱんだ…!!

見ているだけで涙が滲む愛おしさ
桃源郷まじ桃源郷なのじゃ…あのこ?どのこ?
!…め、目が合っ…!

感激によろけながらクロトの手を引いて
こぱんだの前に膝をついてめちゃ間近で眺める
可愛…っ
クロトももっと近う、千載一遇の好機じゃぞ
おなかかわいい…!(熱弁

ふわ、ふわ、ぽて、ぽて
っ好き…

湧いてやまぬ愛。蹲ってふるふる身悶えていたら
お膝によじ登るこぱんだの姿!
あ、ああ、あわーわーわー…!(心の声
そっ…と大切に抱いて
ほどよい重み、いとしい柔さ、ふわもふの手触り
おさまりがよくて温かい
ああ~…
彼とこぱんだの距離が近いのも嬉しく思いながら
時間の限り幸せに浸る



 よちよちふあふあの生き物は、存在しているというだけで素晴らしいものだと言える。もっふもふの仔パンダ達を見つめる佐那・千之助の表情が、完全にそう物語っていた。
「クロト、ちいさいぱんだ、こどものぱんだ……!!」
「そうだよせんのすけー、まだまだきれいな黒白だよー。歩くのがにがてでころころだよー」
 わなわなと感激に打ち震える千之助の隣で、のほほんと仔パンダ達を指差すクロト・ラトキエ。ふと仔パンダからの視線に気付いて、ほら、と青年の肩に軽く触れる。
「あの仔とか、こっち見てるよー」
「あのこ? どのこ……ッ!?」
 つぶらな黒い瞳と二藍の瞳がかち合った。ずきゅん。今そういう音がしたな、とクロトが思った途端、その場に崩れ落ちそうになった身体を素早く支える。既に仔パンダへの愛おしさでめろめろになっている千之助の目には涙が滲み始めていた。
「大丈夫ですか?」
「桃源郷まじ桃源郷なのじゃ……」
 全然大丈夫ではない。極度にかわいいものを直視すると人はこうなるのかぁ、とクロトはひとつ学んだ。もはや引率するお父さん気分である。だって僕に“kawaii”はまだ難しいし、こんな稼業の人間は生き物に好かれず、殆ど近寄ってなど来る訳もない。
「なので全力で目で愛でます! ほわっほわになってる千之助を!!」
「クロト、なんか言ったかの」
「いえ別に」
 こっちも全然大丈夫ではなかった。穏やかなパパの微笑に、そうか、と千之助が頷く。どうぞもっと近くに、と飼育係に勧められ、よろけつつもクロトの手をひいて仔パンダの前に。
 驚かせぬよう静かに膝をつき、間近でそのふあふあを堪能してみる。
「んきゃ」
「可愛……っ」
 丸だけで形成されたようなころんとしたフォルムがひと鳴きすれば、両手で口を押さえてこの感情をなるべく押し込める。千之助はばっと振り返ると、クロトへとわたわた手招き。
「クロトももっと近う、千載一遇の好機じゃぞ! おなか、おなかかわいい……!」
「いや、僕はいいですよ」
「そんなこと言わず! 折角なんじゃぞ! おててとかあんよとかほら……!」
 ふわ、ふわ、ぽて、ぽて。一頭がでんぐり返しした。
「っ好き……」
 そのまま蹲り、ふあふあのいのちのかわいさに身悶えている千之助。彼が楽しそうにしているとぽかぽか嬉しい。嬉しそうにしているとほっこり和む。蹲ってたり悶えてたり泣きそうだったりしていると、ああ連れてきて本当良かったな、と思うし――あれ?
「もしかして……これが、“かわいい”……?」
 何か衝撃的な真実に辿り着いたクロトさんが、雷に打たれたような顔をした。お気付きになられましたか。
 一方千之助くんはというと。この感動をどうしたものかと涙目で喜んでいたところ、やわらかな感触に気付く。彼の膝をよいしょよいしょとよじ登るふあふあちゃんだ!!
 あ、ああ、あわーわーわー……! と内心どったんばったんお祭り騒ぎの状態。しかしここは驚かさぬよう、そうっと大切に仔パンダを抱きあげる。ほどよい重みにいとしい柔さ、ふわもふの手触り。なんじゃこれぬいぐるみよりかわいい。
「ああ~……」
「よかったですねぇ……ん」
 クロトとしては、千之助と仔パンダの交流を見ているだけで十分だったのだけれど、何やら彼の脚にきゅっとくっつくものがある。
「危機感無さ過ぎでは??」
 しゃがんで頭をぎこちなく撫でてやると、仔パンダはしがみつく力を強くした。困ったな、と千之助に助けを求める視線を向けると、彼はなんだか嬉しそうにこちらを見ている。
「その子も、クロトのことを気に入っておるようじゃの」
「……助けたから、かな」
 もしそうだとしたら。千之助からだけでなく、彼らからも何かあたたかいものを得られた気がする。男の笑みがもう少しだけ深くなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天王寺・吾郎
お、可愛いお子様でアル。
まぁ、ここは思いっきり遊ぶのもいいと思うであるよ。
UDCアースとかにあるタイヤは持っていけないから、木とかで遊ぶでアルヨ。
大丈夫、うちが遊んでいくアルヨ。

アドリブ歓迎



 今日のぱんだようちえんはいつもと違って客人が多い。仔パンダ達がそれを喜ばしく思っているかは不明だが、普段遊び足りないであろう彼らを愛でてくれる猟兵のおかげで、飼育係達も自然と笑みがこぼれる。
 ふと、よちよちのふあふあがとことこと歩き出し、一頭の大きなパンダにくっついた。この施設にこの子の母親は居ないのだが……と見た先。
「お、可愛いお子様でアル」
「ああっ僕らを助けてくれた喋るパンダさん!」
「確かにパンダは喋らないから、正解アル。うちが遊んでいくアルヨ」
 自分としては喋っていても普通なのだけど。天王寺・吾郎は、ひょいっと軽々仔パンダを二頭抱きあげる。ぎゅっと抱きつき愛らしく鳴いた仔パンダを優しく揺する吾郎の姿は、まるで仔パンダ達のパパのよう。
 様々な事情で親と共には居られなくなった幼子の気持ちは、察するにあまりある。それでも、この施設の飼育係達の愛情も、育てられている仔パンダ達の健康状態から瑞獣にはよく伝わってきていた。
「まぁ、ここは思いっきり遊ぶのもいいと思うでアルヨ」
 いつか自分と同じように大人になるまでは、楽しく遊んですごすと良い。そして今は、自分も手本として一緒に遊んであげるのが良いだろう。
 とことこと歩き回る仔パンダ達を追いかけて、二足歩行でゆっくり進む。あえて大の字になって転がれば、仔パンダ達も真似をした。休日のお父さんかな?
 UDCアースのタイヤを持ってくるのは難しいと思っていたため、手近な短めの木の前に座る。それを興味深そうに見つめた仔パンダ達を抱えて、一頭一頭を次々と木の枝に乗せていく。そう、これは、
「こぱんだの木だ……」
 ふあふあした木の実の完成である。めちゃくちゃかわいい。さらに吾郎は乗せきれなかった仔パンダ達を、自分の魅惑のおなかに抱いてゆーらゆら。
「皆ゆっくり眠るアル。起きたらきっと美味しい夕飯アルヨ」
 きゃう、と鳴いてこてんと寝ついた仔パンダ達を、パンダさんは暫しのんびり見守っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千思・万考
(足元にきゅっとしているパンダに対し)
(尊い可愛さに胸が詰まって言葉が中々出ない)
…………はぁ、もう本当に君たちといったら…
あの娘娘が侍らせたくなるのも理解できるよね

しゃがんで、指を出してみて仔パンダの反応を見て
きゅっとされたら思わず胸に抱いてしまうかもしれない
両手がいっぱいで一匹しか相手に出来ないのが心苦しいな…
(足元にもう一匹いたら)
元気いっぱいな君も遊びたいのかい?

そうだ、
UC四季爛漫で花の精(大きさは子供程度)を一体召喚
追いかけっこにはぴったりの相手だろう?
仔パンダに怪我をさせずに楽しませるよう、花精に言い含め

精気を削っても余りある仔パンダ充
愛らしさは世界を平和にするね
元気に育つんだよ



 見渡す限りの白黒ふあふあまんまるちゃん。それだけでも心が震えるというのに、千思・万考の足元にはきゅっと彼にしがみつく仔パンダ。尊いかわいさに胸が詰まって、青年はうまい言葉が全く出てこない。
「…………はぁ、もう本当に君たちといったら……」
 ようやく出たのは呆れたような、何かを噛みしめているような。この愛らしさ、あの娘娘が侍らせたくなるのも理解できる。そっとしゃがみこんで、しろい人差し指を仔パンダの前に差し出してみると。
「きゃう」
 ――きゅ。こちらの期待通りの反応で、やわらかい肉球と毛並みが万考の指を包む。そんなことをされてはもう我慢できなかった。思わず胸に抱いてそのふあふあを堪能すると、仔パンダも万考にしがみつく力を強くする。ちいさいほわほわのいのちが、一生懸命抱きついているのである。
「君、こんなに可愛くてどうするんだい……!」
 別に仔パンダはどうもしない。万考のほそい身体に抱かれて、気持ちよさそうにもちもちとくっついたまま。ふと、再び足にしがみつく感触に見下ろせば、元気に青年の身体をよじ登ろうとする仔パンダが一頭。
「君も遊びたいのかい?」
「きゃ!」
 前脚で器用につかまり立ちを見せた仔パンダ。元気いっぱいなお返事が可愛いね、と思いつつ、この子の相手もしてあげたいけれど、既に両手はいっぱい。心苦しさに再び胸が詰まったところで、青年はぴこんと閃いた。
「そうだ、」
 ふぅ、と万考の吐いた息吹に花の魔力が練られていく。幼子程度のサイズの花の精霊が一人、とん、と地面に舞い降りる。
「きゅ?」
「追いかけっこにはぴったりの相手だろう?」
 この子に怪我させないようにね、と精霊に言い含めると、花の幼子は頷いて仔パンダに触れる。さあこっち、とばかりに飛び回れば、仔パンダはよちよちと精霊を追いかけ始める。つかず離れずの距離でぽてぽて走る仔パンダに、万考もきゅうんと胸がいっぱいになってしまう。
「尊い……」
 桃源郷の名にふさわしい光景に、思わずもれる独り言。これはときめいてもしょうがない。あっちへとてとて、こっちへころん。勢いあまってでんぐり返しを決める姿に心で拍手しつつ、抱きかかえたままの仔パンダを優しく揺らす。
 うとうとし始めた胸元の仔パンダに、よしよしと声をかけて眠りの国へ送り届ける。精霊を呼びだす代償として精気を削ることになろうとも、十分に余りある仔パンダ充。
「愛らしさは世界を平和にするね」
 ついに誰もが認める名言が飛び出した。元気に育つんだよ、と仔パンダの海に呼びかけて、万考はゆるむ口元をそのままにしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

張・西嘉
うむ、飼育係も無事なようで一安心だ。
こぱんだも怪我はないようだし…ん。
少しだけ撫でてもかわないか?
(そろりと撫でれば表情を緩め)
可愛らしいものはやはり癒しになるな。
本当は主も連れてきたかったが仕事が忙しいとの事だしなぁ…だからこそ連れてきたかったのだが…
まぁ、帰ったら土産話とともに主の好きな甘味でも用意をしてやろう。



「本当にありがとうございました!」
「このご恩をどう返したらいいか……」
「うむ、無事なようで一安心だ。それだけで十分だとも」
 何度も礼を言う飼育係達に、張・西嘉は笑顔で応対する。猟兵のオーバーキルによって仔パンダ達にも怪我はなく、ふあふあのいのち達は元気にぽてぽて転がっていた。
 何処となく平和すぎる光景が、この施設の日常なのだろう。いまだかつてあのような危機が訪れたことがなかったらしく、飼育係達もようやく動揺が収まった様子。確かに突如のじゃロリがパンダ目当てに襲撃することはまずないですね。
「……ん」
 じぃっとこちらを見上げる熱い視線に気がついて、西嘉は飼育係の抱く仔パンダに目を遣る。
「少しだけ撫でても構わないか?」
「勿論、是非撫でてあげてください!」
 きちんと許可を取ったうえで、男は仔パンダの頭をそろりと優しく撫でる。きゅあ、と不思議な鳴き声を挨拶代わりに、仔パンダは気持ちよさそうにつぶらな瞳をうっとりさせた。思わず緩む表情に、おやつもあげてみませんか、と飼育係が提案する。
 西嘉が手作りのお団子を渡してやれば、ちいさな丸いやわらかな前脚が男の無骨な手に触れて、夢中でおやつを食べ始めた。この愛らしさ、護衛として主を危険から守る日々の疲れも一気に吹き飛ぶというもの。
「可愛らしいものはやはり癒しになるな」
「僕達も、このかわいさがあるから施設の仕事を頑張れちゃうんです」
 ぐっと力強く同意する若い飼育係の熱量に、なるほど、と男は笑う。本当なら、自身が仕える主もこの場に連れてきたかったものの、仕事の多忙さで彼はお留守番。
「だからこそ連れてきたかったのだがなぁ……」
 この子達を見てほしかった、と飼育係も残念そうに言う。すると、お団子を食べきった仔パンダが再び西嘉の指を握る。
「きゃう」
「どうもあなたに抱っこしてもらいたいみたいです」
 そう促されては、男も断る理由はない。鍛えあげられた腕に場違いなふあふあがふんわり抱かれると、仔パンダは西嘉の服を引っ張って遊び放題。
「わ! こらこら、いたずらは駄目だって」
「はは、元気だな」
 これだけ触れあえるなら、土産話には事欠かないに違いない。帰ったら、かの麗人のすきな甘味でも用意しようと、男は再び笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

歌獣・苺
*たからちゃんと一緒に

わぁ~~!たからちゃん、たからちゃん!こぱんだちゃんだよ!!!こーんなにいっぱい!!!えへへ、もふもふだ~っ♪

わ!てとらも
こぱんだちゃんに大人気!
埋もれそうになってる…!

ふふ!たからちゃんみてみて!
じゃじゃーんと取り出したのは
たからちゃんから誕生日にもらった
こぱんだちゃん抱き枕!
そっとこぱんだちゃんの横に置いて

……可愛い~~~!!!!
どっちが抱き枕かわかんない~!!!
うう、連れて帰りたいけど…
流石にあうとだよね?

なら、みんなで記念写真を撮ろう!
飼育員さんにおねがいして
てとらも、たからちゃんも
こぱんだちゃんと一緒に

はい、うさ……いや、ここは…

ーーはい、ぱんだーっ♪



「わぁ~~! たからちゃん、たからちゃん! こぱんだちゃんだよ!!! こーんなにいっぱい!!!」
「なんと……全てこぱんだです……」
 それは天国、いやこれこそが桃源郷。ふあふあのもふもふの仔パンダの海である。歌獣・苺が両手を広げて歓声をあげる隣、鎹・たからは静かにうち震えていた。
 はしゃぐ苺に、どうぞ抱っこしてあげてください、と飼育係が促す。それではお言葉に甘えて、とふあっふあの黒い手が仔パンダを抱きかかえると、そのふかふかさに仔パンダも喜んでいるらしい。きゅうっと苺にくっついて離れないその姿に、兎娘の笑みがますます広がった。
「えへへ、もふもふだ~っ♪ たからちゃんも抱っこしよ!!」
 幸せそうな苺につられるように、羅刹の娘もそうっと仔パンダを抱っこ。ちいさいです、ふあふあです、と何やらぽつぽつ呟いては、無表情のままその瞳を輝かせている。
 こんなにかわいい生き物が先程まで大変な目に遭っていたのだ。無事に助けられてよかった……と、思った時、ふと一緒に居るはずの虎の姿が見えない。
「あれ、てとらどこに……って、わ! こぱんだちゃんに大人気!」
『おいなんだこれ、助けろ』
 てとらは仔パンダの海に溺れていた。わらわらと纏わりつくかよわいいのちを引っぺがす訳にもいかず、ただされるがまま、ふあふあの山に埋もれかけている。とはいえ、その声色がまんざらではないのは、苺にはとっくにお見通しだったりする。
 折角だからと、虎の埋もれている仔パンダの海へ、娘二人はダイブ。
「ふふ! たからちゃんみてみて!」
「……はい、なんでしょう?」
 抱っこしていた仔パンダをてとらに乗せて、じゃじゃーんと苺が取り出したのは、たからが彼女の誕生日に贈ったこぱんだちゃん抱き枕。おもむろに本物の仔パンダの隣に置いた時、二人の間に沈黙が奔る。
「……」
「……」
「……可愛い~~~!!!! どっちが抱き枕かわかんない~!!!」
「はい、どちらもぬいぐるみです……いえどちらも本物……?」
 きゃっきゃはしゃぎまくる二人をジト目で見るてとら。しかし仔パンダのかわいさはありとあらゆる知性ある種族を魅了するので仕方がない。
「うう、連れて帰りたいけど……」
 流石にあうとだよね、と自分に言い聞かせてから、かしこい苺ちゃんは閃くのです――なら、みんなで記念写真を撮ろう!
 カメラの撮り方を説明すると、飼育係は快く撮影係を引き受けてくれた。こぱんだに埋もれるてとら、苺、たからで並び、はい、うさ……いや、ここは。
「――はい、ぱんだーっ♪」
 揃ってキュートなぱんだポーズをキメた姿を、飼育係はしっかりとカメラに収めた。
 このあと、どうしても自分から離れたがらない一頭の仔パンダを苺がどうしたのかは、また別のお話。

大成功 🔵​🔵​🔵​

安都姫・いちご
「パンダの赤ちゃん、すごく可愛い」

でも人見知りだから、抱っこしたいって飼育係さんにお願いするの恥ずかしいな…

よちよち歩いたり、ころりと転がったりする愛らしい姿をちょっと遠くから眺めているが、我慢出来なくなり一大決心。

「あっ、あのっ、ぱっ、パンダちゃん、抱っこしてもいいっ、ですか?」
噛み噛みで裏返った声ながらもお願いして。

「ふあふあもふもふだよ~」
小さい身体で、愛らしいパンダの赤ちゃんをぎゅっと抱きしめて。
「可愛いね~」

「りんご食べるかな?」
赤ちゃんパンダに小さく切ったりんごをそっと差し出して。

可愛いパンダさん達に大満足。



 この世の何処にも、自分達を襲う悪者は居ない。そんな風に思っているかはさておき、それぞれ自由に過ごすふあふあもふもふの無防備な仔パンダ達。彼らに魅了された者が此処にも一人。
「パンダの赤ちゃん、すごく可愛い」
 安都姫・いちごはちいさな声で呟く。本当は他の猟兵達のように触ったりおやつをあげたり、抱っこしてみたい気持ちでいっぱいだけど。人見知りは、飼育係にお願いするのも恥ずかしくて難易度が高すぎる。
 もじもじしつつ仔パンダ達を少し遠巻きに見つめていると、よちよちぽてぽて歩きまわったり、ころんと転がりでんぐりがえし。ぬいぐるみと区別のつかないかわいさに、いちごの我慢は限界だった。今こそ一大決心、がんばれいちごちゃん!
「あっ、あのっ、ぱっ、パンダちゃん、抱っこしてもいいっ、ですか?」
 噛みっ噛みに裏返った声。けれど、一生懸命な姿と必死な想いは飼育係達にもしっかり伝わっている。もちろんどうぞ、と笑顔で一頭の仔パンダを抱きあげると、そっと少女に受け渡す。
「きゅあ」
 おずおず仔パンダを抱っこすると、愛らしいけものはひと鳴きしていちごにくっつく。わぁ、と歓声をあげた少女は、そのふわふわを直に感じる。
「ふあふあもふもふだよ~」
 ちいさくてかわいい女の子がちいさくてかわいい仔パンダをだっこしている。カワイイ。
「可愛いね~」
 ふふ、と微笑む少女の幸せそうな表情に、本当にかわいいね、と飼育係達は心から同意した。きゅ、きゅ、と鳴く仔パンダに、いちごが不思議そうな顔をすれば、飼育係がああ、と頷く。
「この子、お腹がすいたんだと思いますよ」
「……りんご、食べるかな?」
 用意された小さく角切りになった林檎をお皿から受け取って、少女はかけらを掌に乗せる。くんくんと匂いを嗅いで、仔パンダはいそいそとふあふあの前脚で林檎をゲット。器用に両手で持つと、しゃくしゃくと景気のよい咀嚼音。
「おいしい?」
「きゃ!」
 いちごの問いに元気よくお返事して、仔パンダは引き続き林檎をもきゅもきゅ。その姿もとってもキュートで、少女もふわふわ笑顔がとまらない。折角だからお昼寝もいかがですかと飼育係に促され、ふわふわの毛布の上に寝っ転がる仔パンダ数頭の傍に座ってみる。
「みんな、たくさん食べて遊んで、お昼寝して、かわいいね」
 えへへ、とかわいいパンダさんに大満足のいちごちゃんに、飼育係達も更に癒されるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
邪魔者は消えたな。
ようやく撮影できる。俺の撮影8の技能が火をふくぜ!
という事でUSBカメラで撮影開始…したいのだが。

その前に飼育員さんに撮影しても良いか確認しなければ。
すみませーん仔パンダを撮影しても良いですか?
OKもらえたら撮影開始だ。
リンゴやサツマイモを食べているあの仔や特製お団子を食べているあの仔のベストショットを撮って見せるぜ
視線はこっちに向けなくていい
狙うはナチュラルな仕草と雰囲気だ

あーいいなぁかわいいなぁ
俺の心が癒されていくぜェ…

最後に仔パンダを抱きかかえて写真を撮ってもらおう
あ、俺の顔はフレームに入れなくて良いです仔パンダを撮りたいので。

スマフォの壁紙にしよう(ゆるふわ)



「邪魔者は消えたな」
 人喰い虎だののじゃロリだの、此処まで長い道のりであった。青年はUSBカメラを手に、少しばかり目つきの悪い顔に真剣さが帯びる。
「ようやく撮影できる……俺の撮影8の技能が火をふくぜ!」
 何度ステータスを確かめても、雪・兼光の撮影スキルは8である。これが高いのか低いのか、そんなことは今問題ではない。大事なのはふあふあもふもふの仔パンダを写真に収めまくる真のミッションが始まるということ――!
 が、その前に。
「すみませーん、撮影しても良いですか?」
「ああ、写真という奴ですね。勿論! いっぱいこの子達を撮ってあげてください!」
 動物は繊細。大抵はフラッシュを焚いてはいけないし、訳のわからない機械を構えただけで怯える子も居るはず。動物園や水族館でも、看板がない時はきちんと飼育係に許可を取るべき。兼光くんは大事なことを教えてくれるね。
 快諾してくれた飼育係に礼を言い、早速おやつタイムの仔パンダ達へと絶妙な距離感で近付く。そう、自然なベストショットを撮るためには、此方に注意を惹く必要はない。兼光が狙うのはナチュラルな仕草と雰囲気なのだから。
 カメラを向けても仔パンダ達は特に気にする様子もなく、与えられたおやつを夢中で頬張っている。この子は角切りされた林檎をもしゃもしゃ、あの子はふかしたさつま芋をはぐはぐ。向こうの子は特製お団子をもきゅもきゅ。
「あ~……」
 思わずもれるため息。ぱしゃぱしゃ連写のシャッター音。ふあふあのよちよちフォルムが、一生懸命美味しそうにおやつを食べている姿は世界の宝ではなかろうか。多分これが本当の宝貝。
「いいなぁかわいいなぁ」
 俺の心が癒されていくぜェ……。兼光の心身に染みていく仔パンダ達の愛らしさは、この為に今日一日頑張った彼への最高のご褒美。この子本当にパンダがすきなんだな、と察した飼育係が声をかける。
「よかったら抱っこしてあげてください」
 さぁどうぞ、と飼育係の胸に抱かれた仔パンダを預けられて、兼光は少し緊張した手つきでちいさないのちを抱きかかえる。
「抱き方ってこれで合ってます?」
「はい、とってもお上手ですよ」
 その証拠とも言うように、仔パンダは気持ちよさそうに兼光の身体にすり寄って、じいっと青年を見上げる。
「……」
「……」
「きゃう」
「うっ」
 かわいい。本当に今日来てよかった。そう感じ入っているところで、飼育係が記念撮影はどうかと尋ねたから。
「あ、俺の顔はフレームに入れなくて良いです仔パンダを撮りたいので」
「そうですか? わかりました」
 青年は早口だった。人間って折角すきなものと記念撮影する時こういうところある。気持ちはめちゃくちゃわかる。
 初めてとは思えぬ腕前で、見事に仔パンダの愛らしさを写真に収めてくれた飼育係に感謝を述べる。
「スマフォの壁紙にしよう」
 クールな仏頂面は、心なしかふわふわとした嬉しそうな雰囲気を醸し出していた。


 こぱんだようちえんの平和は守られ、猟兵達はふあふあのもふもふを堪能し尽くした。
 また是非遊びに来てくださいね、と見送る飼育係達と一緒に、仔パンダ達は名残惜しそうに猟兵を見つめている。

 ――また絶対来よう。君達はそう誓ったかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月13日


挿絵イラスト