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来たるべき明日を目指して

#カクリヨファンタズム #戦後

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#カクリヨファンタズム
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#戦後


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●今日より明日を信じる者
「昨日より今日! 今日より明日! 迸れ、俺の体内を熱く流れる成長電流よ!」
「いきなり何やってるにゃ!? 成長したらダメに決まっとるにゃ!」
 威勢よく声を上げパリパリと電光をまとう竜神親分『碎輝(さいき)』に、東方親分『山本五郎左衛門』がしっぽをピンと立てて声を荒げた。
 もちろん碎輝としても、本当に成長するつもりではないのだが。
「そのことなんだが、どうやら俺は、卑怯な敵に怒りを感じた時、もっとも無限成長が早くなるらしい。それで、この間の猟兵たちみたいに正々堂々と来てくれたら、俺はほどほど最弱でいられるんじゃないかって。だから、ちょっと猟兵たちに試してもらおうと思ってるんだ」
「にゃ?」
 つまり。
「かっこよく! 正々堂々と! 戦う!」
 ぐっ! と拳を握りしめて力説する碎輝に、山本五郎左衛門は深く溜息をついた。
 だが、まあ、それが解決の糸口となるのなら。
「ここはひとつ、猟兵さんたちの力を借りるかにゃあ……」

●明日のための今日を生きる者
 苦い顔でスフォルツァンド・スケルツァンド(バーチャルキャラクターのバロックメイカー・f10365)が唸る。
「竜神親分『碎輝』が、遊んでくれと」
「いや説明がめっちゃ雑」
 思わずツッコミを入れてしまったが、スフォルツァンドは仕方ないだろと苦い顔のまま言い返した。
「先の戦争……「大祓百鬼夜行」で目覚めるまで、碎輝が封印されてきたのは知っているよな」
 それというのも、最弱の状態から無限に成長する碎輝自身が原因で、カタストロフを起こしてしまう危険があったからだ。
 だが、猟兵が現れたことで、その状況は変わった。
「碎輝は倒されることで「小学生形態」となり、しばらくの間、成長が止まる」
 それまで猟兵たちが見てきた上では、碎輝にはふたつの形態があった。戦争中に見せた、成長電流形態と超電竜撃滅形態がそれだ。
 そして新たに判明……というか紹介されたのが「小学生形態」である。
「もともとアイツは子供っぽいだろうに、まだ子供になるのか」
 自身も充分幼いと言えるのに、それを棚に上げるグリモア猟兵。
 猟兵たちはどっちもどっちといった表情だ。
「それで、遊んでくれってのは? 戦ってくれってことか?」
「それもあるが、その前段階があるんだ」
 実は碎輝は「自分がヒロイックな状況に追い込まれる」とよりパワーアップするらしく、しかし「敵がかっこよかったり正々堂々としていれば、そこまで成長しないはず!」とのこと。
 戦争中に見せた猟兵たちの戦いぶりに、彼らならばと信頼して依頼してきたのだ。
 かっこいい談義にはノリノリで応じてくるので、碎輝と一緒に「かっこいい必殺技」や「かっこいいシチュエーション」について語り合い、そしてその「かっこいい必殺技やシチュエーション」で戦うことで、それほど成長させずに倒せるだろう。
「場所は忘れ去られた懐かしいおもちゃが集まる玩具店、『追憶玩具店』。そこでいろいろ盛り上がってから戦うことになる」
 追憶玩具店には、昔自分や誰かがなくしたおもちゃや沢山遊んだ懐かしいおもちゃが店内に並んでいる。
 だから、なかにはかっこよく戦うヒントとなるおもちゃもあるかもしれない。
「おもちゃだから、実際に戦闘に使ったら壊れるからな。ユーベルコードで強化するとか、装飾品みたいなものならなんとかなるかもしれないけど」
 戦う時は店内ではやめてやってくれ。と言い添え、考えるように少しの間を置いた。
「……まあ、これもあいつの望む「今日より明日」のためなんだろうな。自分の成長の糧として世界を滅ぼすのは、本懐じゃないってことか」
 戦争を通して猟兵たちと碎輝の在り方を見ていたスフォルツァンドには、なにか思うところがあるようだ。
 わずかに唇を尖らせ、グリモア猟兵として猟兵たちへ告げる。
「俺には分からないけれど……共に迎える明日も、あるのかもしれない。どうであれ、任せた。楽しんでこい」


鈴木リョウジ
 こんにちは、鈴木です。
 今回お届けするのは、かっこいい戦い。

 第1章【日常】追憶玩具店で、竜神親分『碎輝』と一緒に、かっこよく戦うためのアイディアを考えてください。ただし、お店や他のお客さんの迷惑にならないようほどほどに。
 第2章【ボス戦】竜神親分『碎輝』との戦闘です。かっこよく戦いましょう。

●竜神親分『碎輝』と無限の成長
 「大祓百鬼夜行」で目覚めるまで、竜神親分『碎輝』は、カクリヨファンタズムの最奥で封印されてきました。
 最弱の状態から無限に成長する碎輝自身が原因で、カタストロフを起こしてしまう危険があったからです。
 ですが、猟兵が現れたことで、その状況は変わりました。
 碎輝は「自分がヒロイックな状況に追い込まれる」とより成長、つまりパワーアップし、「敵がかっこよかったり正々堂々としていれば、そこまで成長しないはず!」と考えました。
 碎輝は倒されることで「小学生形態」となり、しばらくの間、成長が止まります。
 そのため、ただ倒すのではなく「かっこよく」戦って倒すことが必要となります。

●追憶玩具店
 忘れ去られた懐かしいおもちゃが集まる玩具店です。
 昔自分や誰かがなくしたおもちゃや沢山遊んだ懐かしいおもちゃが、店内に並んでいます。
 結構な広さがあるので多少騒いでも問題ありませんが、店内に損害を与えたり他のお客さんの迷惑になるようなことはご遠慮ください。
 碎輝との戦闘はお店の外のシーンになります。
 また、扱うおもちゃは基本的に普通のおもちゃですので、たいていは戦闘にそのまま使うと壊れます。

●お願い
 第2章から参加される方は、『第1章では登場しなかったがその場にいた』として扱います。
 一緒に行動される方がいる場合【○○(ID)と一緒】と分かるようにお願いします。お名前は呼び方で構いません。
 グループでの場合はグループ名をお願いします。
 複数名で行動される場合、リプレイ執筆のタイミングがずれてしまうのを避けるために、プレイングの送信タイミングを可能な限り同日中に揃えてください。
 また、著作権や商標に関わる描写は行えません。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『追憶玩具店』

POW   :    店内を走り回っておもちゃを探す

SPD   :    色々あるなと視線を泳がせながらおもちゃを探す

WIZ   :    注意深くおもちゃを探す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鏑木・桜子
碎輝さんは主人公っぽくてで格好いいですが、ブシドーはただ勝つべくして勝ち、そうでなければ負けるだけのちょっと格好良さとは程遠い戦い方ですね。
とはいえわたしたち猟兵は人々を励ましたりできるようになるためにも…今のうちに格好いい戦い方を身につけるべきですね!
というわけで玩具店で格好良く戦うためのヒントを探しましょう。
特撮ヒーローの武器や変身グッズを模した玩具を参考にしてみましょう。
なるほど、必殺技を使うに技や奥義の名前を叫ぶんですね!
そうすれば気合も入って威力も上がりますし、気迫で相手を圧倒できそうです!……あ、後なんか格好良さそうですね!納刀する瞬間奥義の名前を言うとかが格好いいんでしょうか…?



 追憶玩具店で、猟兵たちを今や遅しと待ち構えていた竜神親分『碎輝』に挨拶すると、鏑木・桜子(キマイラの力持ち・f33029)は失礼のないように注意しながら彼を眺めた。
「碎輝さんは主人公っぽくて格好いいですが、ブシドーはただ勝つべくして勝ち、そうでなければ負けるだけのちょっと格好良さとは程遠い戦い方ですね」
「ブシドー?」
 聞いたことのない単語に碎輝が首を傾げる。ついでに、彼らについてくれる店員たちも不思議そうな顔。
 ブシドーというのはですね、これこれこういう。なるほど分かったような分からないような。
 キマイラフューチャーでは失われて久しいブシドーなる精神。しかしブシドーがどういうものか桜子も分かっていない。
「とはいえわたしたち猟兵は人々を励ましたりできるようになるためにも……今のうちに格好いい戦い方を身につけるべきですね!」
 勝つか負けるかのみの極限まで削ぎ落とした戦いも、時には人々を鼓舞することがあるだろう。
 しかし、格好よく戦う姿はそれだけで励ましとなる。
「というわけで玩具店で格好良く戦うためのヒントを探しましょう」
「おー!」
 さてどこから探そうか。
 特撮ヒーローの武器や変身グッズを模した玩具を参考にしてみましょう。とそれらしい玩具の並ぶ棚を眺める。あれはどうだこれはどうかと選んだ、いくつかのパッケージに収められた武器を、店員の許可を得て開けて。
 電池は……テスト用のものがあらかじめ入っているようだ。
 試しにボタンを押してみると、派手な効果音とともに技の名前が比較的大音量で流れた。
「なるほど、必殺技を使うに技や奥義の名前を叫ぶんですね!」
 分かりやすいしかっこいい!
「そうすれば気合も入って威力も上がりますし、気迫で相手を圧倒できそうです! ……あ、後なんか格好良さそうですね!納刀する瞬間奥義の名前を言うとかが格好いいんでしょうか……?」
 言われた碎輝は、剣型のおもちゃを納刀する動作をしてみせ、あれ? といった様子で首を傾げる。いいタイミングのとり方が分からないようだ。
「えーっと……納刀する瞬間だから……」
「こんな感じでやってみたらどうでしょう?」
 桜子が自身の携える刀を一度鞘から抜き、攻撃を終えた姿勢から納刀の所作を行う。
 切っ先が鞘に完全に収められる瞬間、かすかな音が立つ。
「――序の太刀「桜花一閃」」
 しん、と。
 乱すもののない水面の如く、静寂が場を打った。
 数瞬の間をおいて、わあっ……! と歓声が広がる。
「す……げぇ!! かっこいい!!」
 盛大に目を輝かせて感嘆する碎輝のその姿は、かっこいいものに憧れる少年そのもので。
 いつもは内気で気弱な桜子も、ちょっぴり誇らしいなような恥ずかしいような。
 ともあれ、彼女が示した格好いい戦い方……ひいては彼が格好よく倒されるための提案は、大歓迎されたようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

御狐・稲見之守
玩具屋前の道を荒野の風が吹きすさぶ
銀玉鉄砲を腰にさして相対するは竜神親分碎輝
これから生死を賭けた早撃ち勝負が始まる。

……さあ、決闘と参ろうではないか。
コインを放り地面に落ちた時に銃を抜き
勝負は一瞬、死ぬか生きるかそれはコインの裏表
こういうの、男の子は好きじゃろう?

モノノ怪神、御狐稲見之守
竜神親分碎輝、いざ尋常に勝負。

――痛っ。(撃ち負けた)
ええい、もっかいじゃもっかい!!!



「ん……?」
 どこからともなく流れてくる風にいざなわれ、何かあったかと碎輝が店の外に出ると、玩具屋前の道を荒野の風が吹きすさぶ。
 ここ荒野だったっけと思った人には砂煙の目潰し攻撃だ。
 長い黒髪を風になびかせ、御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)が、銀玉鉄砲を腰にさして相対するは竜神親分碎輝。
 これから生死を賭けた早撃ち勝負が始まる。
「え、俺!?」
 突然のことに思わず自分を指差す碎輝に、いつの間にか現れた店員が、稲見之守の持つものによく似た銀玉鉄砲を彼へと渡した。
 一見本物の銃にそっくり(?)な外見だが、その威力はほとんどなく、射程距離もそんなにない。使う銀玉も金属製ではなく粘土などを丸めたものをそれっぽく塗装しただけなので、当たってもそんなに痛くない。
 しかしそれでもかっこいいのだ。
「……さあ、決闘と参ろうではないか」
「決闘?」
 コインを放り地面に落ちた時に銃を抜き。
 勝負は一瞬、死ぬか生きるかそれはコインの裏表。
「こういうの、男の子は好きじゃろう?」
 はい、男の子じゃなくてもみんな好きですね。いくつになっても、心はいつでも少年時代。
 それならばと碎輝も、彼女と同じように銀玉鉄砲を腰にさして、抜いたり構えて撃つ動作を何度か繰り返す。
 感覚を掴んだので練習はもう不要と告げると、稲見之守は頷いてコインを取り出す。
「モノノ怪神、御狐稲見之守」
 指に乗せたコインをピンっと弾き、高く跳ねたが一同の視線はふたりの決闘者に注がれていた。
「竜神親分碎輝、いざ尋常に勝負」
 …………コッ。
 地面にコインが落ちる。
 それと同時に両者とも素早く腰に手をやり、銀玉鉄砲を抜くとトリガーを引き――。
「――痛っ」
 ぺちーんと稲見之守のおでこに一発当たった。
 撃ち負けたのだ。
 この銀玉鉄砲、本当に威力がないので至近距離で撃たれても「なんか当たったかな?」くらいのダメージである。ちょっと離れると紙一枚も射抜けない。
 でもなんでか当たると悔しいし、当てると嬉しいのだ。
「俺の――勝ちだ」
 銃口からたゆたう硝煙を吹き消し(※イメージです)勝利宣言をする碎輝。心なしか、その竜の尾が嬉しそうに揺れている。
「ええい、もっかいじゃもっかい!!!」
「いいぜ、次も俺が勝つけどな!!」
 本気で悔しがり再戦を求める稲見之守に、碎輝も勝者の余裕で承諾する。
 別に勝負は一度きりなんて言っていないし決まっていないので、もちろんもう一度勝負だ! ちなみに銀玉鉄砲は複数装填できるので一発勝負以外もできるぞ。
「ふふふ……玉ならいくらでもあるからの」
「ああ……気が済むまで戦おうぜ」
 両者ともに笑みを浮かべて銃を腰に戻す。
 この後めちゃくちゃ早撃ち勝負をしまくりました。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘルガ・リープフラウ
どこか郷愁を感じさせるたくさんの玩具たち
故郷のダークセイヴァーにはないものばかりだけど、どれも素敵ね
懐かしさに心がほっこり温まるよう

見つけたのは「魔法のコンパクト」
魔法少女が呪文を唱えて開くと、強く美しい大人の女性に変身するの
表面は星を象った宝石(プラスチックビーズ)で飾られ
内側のミラー部分には好きな写真を入れられるようになっているのね

大切な人たちを守るためなら
女の子だって戦える
時には勇敢な王子様のように
時には慈悲深き聖母のように
望む自分になることが出来る
それはきっと気高き魂を映し形作るもの

戦闘技術も勿論大事だけれど
正義のため、平和のために、正々堂々と戦うには
何よりも志が大切なんじゃないかしら



 気が済むまで早撃ち勝負をした碎輝が店内に戻ると、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は見ていた棚から顔を離した。
 優しく視線を投げかけていたのは、どこか郷愁を感じさせるたくさんの玩具たち。
「故郷のダークセイヴァーにはないものばかりだけど、どれも素敵ね」
 誰かの忘れられた記憶が刻まれた玩具たちは、知らぬはずの誰かにも、あたたかな気持ちを与えてくれる。
 懐かしさに心がほっこり温まるよう。
 ひとつずつ心に留めるように目を移し、見つけたのは「魔法のコンパクト」。
「それは何だ?」
 彼女の手元を興味深そうに覗き込む碎輝に、幼い弟へとそうするように微笑む。
「魔法少女が呪文を唱えて開くと、強く美しい大人の女性に変身するの」
 それは、誰かに守られる脆く儚い少女の殻を破り、誰かを守るために。
 表面は星を象った宝石(プラスチックビーズ)で飾られ、秘めた想いのきらめきのよう。
「内側のミラー部分には好きな写真を入れられるようになっているのね」
 そっと開けて、映った自分へも微笑んだ。
 碎輝は、写真なんか入れてどうするんだと言わんばかりの視線を向けてから、似たような玩具を何となしに見つめる。
 それから、気付いた。
「ああ、そうか。護符とか、そういう類いのものなんだな」
 これは傍に置くもの。
 これは力となるもの。
 そのものが重要なのではない。
 込められたものが重要なのだ。
 彼女自身が想いをそうするように、ヘルガはコンパクトを胸にやさしく押し抱く。
「大切な人たちを守るためなら、女の子だって戦える」
 時には勇敢な王子様のように。
 時には慈悲深き聖母のように。
 望む自分になることが出来る。
 それはきっと気高き魂を映し形作るもの。
 竜神親分にとって男も女も、種族すら関係ないだろう。しかし、だからこそ彼女の言葉の意味をよく理解し噛みしめる。
 思案しうつむく彼へ、戦闘技術も勿論大事だけれど、と笑いかけた。
「正義のため、平和のために、正々堂々と戦うには、何よりも志が大切なんじゃないかしら」
 穏やかな言葉に、碎輝も顔をあげてコンパクトを見つめる。
 願い、祈り、志す。人はそうして強く在ってきた。ただ戦うだけではなく、その心があればこそ。
 志、と口にする碎輝を、ヘルガは慈しむ。
 繊細な花の如く愛され大切にされてきた彼女が、守られる存在から守る存在へと変わり、戦い続けてこられた理由。
 まさにそれこそが。
「ただ戦うのでなく、志をもって……なるほど、それは確かに正々堂々としてかっこいいな!」
 カクリヨファンタズムを守る親分のひとりとして、猟兵たちと武器を交えた碎輝にも、感じ入るものがあるのだろう。
 少しだけ表情の意味を変えて、ヘルガへと笑い返した。

成功 🔵​🔵​🔴​

メリー・ブラックマンデー
(アドリブ連携歓迎)
いつものカクリヨを取り戻せたというのに、
貢献した親分がその日常を体感することができないなんてもったいないわ。
彼の力を抑える方法があるというなら、私も協力するわ!
さあ何をすればいい…待ちなさい、かっこいい談義って何よ。

かっこいいに繋がるかはともかく…
戦うなら、やっぱり武器が相手の印象に残るんじゃない?
見た目の他にも、変わった機能とか能力があると目を惹くし…
そうね、武器の玩具でも見ながら話し合ってみましょうか。

…嘘!?これボタンで光って鳴るだけじゃなくて変形するの!?
こっちは二刀に分離可能な剣で…
こっちは…初期装備と合体させて最強装備に…?
…やるじゃない…人の発想力と技術…!



「いつものカクリヨを取り戻せたというのに、貢献した親分がその日常を体感することができないなんてもったいないわ」
 スカートの裾を翻し、メリー・ブラックマンデー("月曜日"がやって来る・f27975)が長い髪をなびかせて佇立する。
 おおよその話は聞いている。なるほどそれは一大事。
 彼の力を抑える方法があるというなら、私も協力するわ!
 戦闘? 儀式? よく分からないけど何でも来い。
「さあ何をすればいい……待ちなさい、かっこいい談義って何よ」
「俺の無限成長を抑えて倒すために、正々堂々とかっこよく戦う! そのための作戦会議だ!」
 胸を張る碎輝に、お前もこっちへ来い来いと手招きされて、メリーも仕方なく作戦会議に加わった。
 とりあえず今出ている案はこんな感じとの説明に、うーん、と考える。棚に並んだ玩具はさまざまで、眺めていくうちにぼんやりとしたイメージを捉えられるようで捉えそこねてしまう。
「かっこいいに繋がるかはともかく……戦うなら、やっぱり武器が相手の印象に残るんじゃない?」
 見た目の他にも、変わった機能とか能力があると目を惹くし……。
 猟兵たちのなかには、変身したり輝いたり増えたりなんやかんやな者もいる。
 じっくりとひとつずつに目を留めていき、うん。と頷いた。
 そうね、武器の玩具でも見ながら話し合ってみましょうか。
 方針を決めると、それらの玩具が並ぶ棚へと近づいて、いくつか箱をあけてみる。
「こういうのはどうかしら?」
「デザインは派手だけどな……」
 もうひと押し何かほしい。
 別の玩具を取り出して、ついでに取扱説明書に目を通す。
「じゃあこれは? ……ええと」
「ちょっと地味じゃないか?」
 装飾パーツに見せたボタンを押せば、攻撃エフェクトと思しき音がしてチカチカ光った。
 普通だなあ。思いながらなんとなくポチポチ触っていると。
 突然、軽妙な効果音とともにかしゃんかしゃんと音を立てて形を変えていく。変形が完了すると、ひときわ大きい音とともに光が奔った。
「……嘘!? これボタンで光って鳴るだけじゃなくて変形するの!?」
「えええええ!?」
 なんか今すごいこと起きてた。
 しげしげと眺めながらいじっていたら元の形に戻せなくなった碎輝の隣で、メリーは他の玩具も調べていく。
「こっちは二刀に分離可能な剣で……」
 しかも別の武器と合わせれば、複数パターンの合体も可能。
「こっちは……初期装備と合体させて最強装備に……?」
 早い段階でスルーされがちな初期装備が、追加要素でパワーアップして最強装備になるのは王道パターンのひとつだが、それもそれで胸が熱くなる展開だ。
「……やるじゃない……人の発想力と技術……!」
 圧倒されながらも片っ端から試していくメリーに、竜神親分が苦笑する。
 そして、ふとその笑みの意味を変えた。
「それもまた『成長』だ。これが限界だと思っても、その先を超えていく。……ああ、だから俺は――」
 唇だけで続けた言葉は何だったのか。
 振り払うようにぱんっと手を叩いて、猟兵たちへ向き直った。
「よし、これならいい感じに戦えそうだ」
 言って強気に笑った碎輝の身体を、一条の雷光が這う。
 さあ、戦おう。
 成長し続ける彼を、ほどほどに弱らせるために。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『竜神親分『碎輝』成長電流形態』

POW   :    成長電流
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD   :    黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【麻痺】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御狐・稲見之守
決闘の続きと行こうじゃァないか。
勝負は一瞬――その刹那に全てを賭ける。
小細工も逃げ隠れもなし、力と力のぶつけ合いよ。

[UC狐火]己が呼び出した狐炎を
すべて1つにまとめ巨大な火球を作り上げる。
そのままそれを維持して彼奴に相対しよう。

勝者には…ふふ。
アイスキャンデー1本というのは如何かナ?

さあ来い、お前さんの雷竜でこのワシを喰らうてみるが良い。



 追憶玩具店の前で再び、稲見之守が相対するは竜神親分碎輝。
 今このたびは銀玉鉄砲を放し、狐炎を従えていた。
「決闘の続きと行こうじゃァないか」
 雷をまとう碎輝に告げる。竜神は、それまでのどこか幼い様子を潜め、ぴりと張り詰めた顔だ。
 その紅い瞳に見据えられ、猟兵も表情を引き締めた。
 勝負は一瞬――その刹那に全てを賭ける。
「小細工も逃げ隠れもなし、力と力のぶつけ合いよ」
 実にシンプル。
 己が呼び出した狐炎を、すべて1つにまとめ巨大な火球を作り上げる。
 そのままそれを維持して相対し、雷光と炎光が周囲を照らすなか、稲見之守が笑った。
「勝者には……ふふ」
 薄笑みに碎輝はかすかに目を眇める。どのような要求かと図りながら。
 果たして決闘者の口にしたのは。
「アイスキャンデー1本というのは如何かナ?」
 いたずらっぽく笑って言う彼女に一瞬面食らって、それから笑う。
「何なら全員分だって出してやるさ」
「二言はないな?」
「当然」
 言って手にする槍を構えた。破裂に似た音を伴い、雷条がその全長を覆っていく。
「さあ来い、お前さんの雷竜でこのワシを喰らうてみるが良い」
 挑発めいた言葉とともに、狐炎がひときわ激しく滾る。
 すべては一瞬で決まるのだ。
「俺は常に全力、手加減もしなければ、油断もしない!」
 咆哮一呵。地面を蹴って高く跳び上がる碎輝の振るう槍から雷電が迸った。それは巨大な竜の形となり、またたく間になお大きく『成長』していく。
 全力がそちらの専売特許と思われては困る。
 稲見之守が両の手を差し伸べると、迎え撃つべく放たれた狐炎もまた加速度的に勢いを増して雷竜目掛けて衝突する。
 幾条もの雷光が地面を灼き、飛散する炎光が空気を焼く。そして激しい光の塊となり、高熱と突風が吹き荒れた。
 限界点を超えて爆発する光熱を、竜神は槍を振るって発散させる。
 しかして、決着はいまだつかず。
「ああ……だから俺はお前たちを認めた!」
 嬉々としてさえ聞こえる声を張り上げる碎輝。その技こそは瞬間的に成長したものの、彼と彼の力自身はさほど成長していないように見えた。
 稲見之守の決闘は、功を奏したようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

鏑木・桜子
いよいよ実戦ですね!
先程見せた居合術は序の太刀…つまりわたしの剣技の中で最も基礎的ですが全ての剣技のベースになっているものです。
そして、わたしの剣技は108の太刀までありま…すみません勢いで言いました。多分そんなありません…。
そして今回お見せするのは…二の太刀!
といって飛翔するが如き高速で空を駆け無数の斬撃を刻みます。
そして鞘を収めて先程の如く、技の名前「桜花春雷」を呟きます。
我が剣術の基本は剣心一体。
鞘に刀を納め心と剣を一体にして大幅に戦闘力を高めます。
序の太刀は威力を中心に総合力を高めますが、これは「疾さ」に特化した奥義です。
そして音を置き去りにする速度から放たれる一撃は全てを切り裂きます



 空気中の帯電に髪を煽られながら、桜子は怖じ気づくことなく胸を張る。
「いよいよ実戦ですね!」
 声を上げ、携えた太刀を押し抱いた。
「先程見せた居合術は序の太刀……つまりわたしの剣技の中で最も基礎的ですが全ての剣技のベースになっているものです」
 すっと腰を低く落として攻撃体勢を構える。
 基礎をおろそかにしては応用ができない。そして、基礎を究めてこそ応用へとつながる。
「そして、わたしの剣技は108の太刀までありま……」
 言いかけ、少しだけトーンを落とした。
「すみません勢いで言いました。多分そんなありません……」
 もうちょっとはあるんですけど、と言い添える彼女にふっと笑う。
「でも、ひとつだけじゃないんだろう?」
 ならば見せてみろ。言外に告げ、紫電と突風をまとい碎輝がその姿を黄金竜へと変えていく。
 桜子は大きな瞳を細め、それでも相手から視線をそらさない。
 ええ、もちろん。
「そして今回お見せするのは……二の太刀!」
 跳躍し、飛翔するが如き高速で空を駆け、雷の如き疾さの居合抜きを放って竜神目掛け無数の斬撃を刻む!
 疾く! 疾く! 我が体は雷になりてその剣は冬を切り裂き春を招く春雷の如く更に疾く!
「…………ッ!!」
 自身も速度を高めたはずの碎輝が遅れをとるほどの捷さで、その太刀筋は奔った。
 刃が風を切る音よりも速く。
「ニの太刀――桜花春雷」
 そして鞘を収めて先程の如く、技の名を口にした。
 最前までの速さ烈しさから一転し、春霜の如く静穏となった猟兵に、黄金竜の姿を解いた碎輝は大きく息を吐く。
 先程見せた序の太刀は、納刀のまま明鏡止水と至る静の技。そこからは想像もつかない斬撃だった。
 控えめに微笑んで、我が剣術の基本は剣心一体、と桜子が口を開く。
 鞘に刀を納め心と剣を一体にして大幅に戦闘力を高める。
「序の太刀は威力を中心に総合力を高めますが、これは「疾さ」に特化した奥義です。そして音を置き去りにする速度から放たれる一撃は全てを切り裂きます」
 故に、春雷。
 竜神はなるほどと笑い、自身のまとう雷電が鳴った。
「お前は……お前たちの『成長』は、どこまでも続くんだろうな」
 可能性を自ら摘まなければ、それは果てのない可能性となる。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘルガ・リープフラウ
アドリブ歓迎

先刻の魔法のコンパクトと共に携え胸に抱くは
最愛の夫、蒼き人狼騎士と交わした誓い

彼に出会う前のわたくしはただ周囲に守られるだけ
吸血鬼に故郷を焼かれても、ただ己の無力に嘆くことしか出来なかった

彼に救われ、共に旅立ってからも暫くは
彼の背に守られながら癒しの歌を歌うことが自分の役目と信じていた
でもそれだけでは駄目
彼の犠牲を埋め合わせるだけでは、いずれ限界が来ると知った

だからわたくしは……僕は自ら立って戦うよ
真の姿、なりたい自分、
大切な人を…みんなを守る【白鳥の騎士】として

麻痺ダメージに激痛耐性とオーラ防御で耐え
覚悟を決め限界突破の一撃
守りたい、その願いがあれば
限界だって超えられる……!



 紫電が風を裂くなか、ヘルガが先刻の魔法のコンパクトと共に携え胸に抱くは、最愛の夫、蒼き人狼騎士と交わした誓い。
「彼に出会う前のわたくしはただ周囲に守られるだけ」
 吸血鬼に故郷を焼かれても、ただ己の無力に嘆くことしか出来なかった。
 胸中を吐露する彼女を、碎輝は遮ることなく打ち守る。
 強くならなくて済むならそれでいい。けれど、現実は彼女を無力なままでいさせなかった。
 いや、無力なままでいることもできただろう。
 それまでと同じように、彼を含めた数多の犠牲に甘んじられたなら。
 彼に救われ、共に旅立ってからも暫くは、彼の背に守られながら癒しの歌を歌うことが自分の役目と信じていた。
「でもそれだけでは駄目」
 彼の犠牲を埋め合わせるだけでは、いずれ限界が来ると知った。
 彼女があるべきは彼の背ではなく、彼の隣だとも。
「だからわたくしは……僕は自ら立って戦うよ」
 不意にヘルガの口ぶりが変わった。
 いや、それは覚悟。
 愛される乙女としてあるだけではないという。
「真の姿、なりたい自分、大切な人を……みんなを守る白鳥の騎士として」
 どこからか、ざあっと羽根が舞い、その下から現れたのは、騎士礼装に身を包み白い翼を持つ男装の王子。
 優美な細身の剣をしっかりと握りしめ、大音声をあげた。
「僕の名は『白鳥の騎士』!  この剣は、弱きを助け邪悪を挫く正義の証。この僕がいる限り、奴らの非道を許しはしない!」
「それが! お前の志か! ならば見せてみろ、お前の魂の輝きを!」
 応えて咆哮した碎輝が鋭く踏み込み、槍を繰り出し雷電の巨竜を奔らせる。
 激しい雷撃をオーラ防御で防ぐが完全にはかなわず、ヘルガはビリビリと打ち据えてくる刺激にかすか顔をしかめて耐えきった。
 覚悟を決め、渾身をもって雷竜を討ち退けて、天使の翼を羽ばたかせて飛翔し竜神へと肉薄し。
「守りたい、その願いがあれば」
 剣に刻まれた翼の意匠が雷光を弾いて輝く。
 碎輝は槍を構えて受け止めようとするが、それでは足りない。
「限界だって超えられる……!」
 力強く振り抜かれた刃は雷鳴ごと槍を弾き、竜神へと斬りかかる。
 ばっと血がしぶき、猟兵が剣を引くよりも早く距離を取った。
 見事、と小さく口にして。
 猟兵もまた騎士礼装から白いドレスに戻ると、気遣って声をかける。
「わたくしの志、受け止めていただけたかしら?」
「ああ。……ちょっと強烈だったけどな」
 息を吐きながら笑う碎輝に、ヘルガははっとして、それから微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

メリー・ブラックマンデー
(アドリブ連携歓迎)
より良いものを望む意志、飽くなき希求心。
人はそれらを原動力に、見る者に驚きと興奮を与える物を生み出してきたのかしらね。
…よし、準備万端。私が掴めたもの、全力でぶつけてやるわ!

弱い電流は『クロト』の<斬撃波>で相殺、
相殺しきれない電流は『ラケシス』で私自身のスピードを加速させて回避。
無限に成長する碎輝のもとに辿り着くまでの時間の勝負ね…!
<空中浮遊>と<残像>伴う速さで一気に距離を詰めるわ!

地球を守った竜神の力、神をも超える神器の力。
より良い世界を望む意志の元、一つに束ね剣と成す!
【始原にして終焉の一閃】!大剣と化した『アトポロス』で、電流すら切り裂いてみせるわ!


アニタ・エヴァーフィールド
どんどん成長していく、のよね?
じゃあ…遅くすればいいのよね?

紅茶の時間で、ちょっと速度を落としてもらうの
せっかくの戦いに水をさしてごめんなさい
でも、時には立ち止まって、かえりみることも大切だと思うのよ
そしてそれは、成長につながる…んじゃないかしら
ほら、総集編回ってあるじゃない?

鎧砕きで防御力を削ぎながら、属性を与えた魔法剣で2回攻撃をして、確実にダメージを与えられるよう頑張るわ
でも私は強くないから、他の人のお手伝いね
攻撃は時計を盾のようにして受け止めたり、避けられないようなら覚悟を決めて、オーラ防御で身を守りながらランスチャージで突破を試みるの

…親分さん、アイス代なら私も少し出すのよ?



「より良いものを望む意志、飽くなき希求心。人はそれらを原動力に、見る者に驚きと興奮を与える物を生み出してきたのかしらね」
 時を刻み人々を嘱目してきた月曜日の竜神は、口元に笑みを浮かべた。
「……よし、準備万端。私が掴めたもの、全力でぶつけてやるわ!」
「いいぜ。全力で来い!」
 風雷が渦巻き碎輝を包み、瞬きの間に四散すると黄金竜が現れる。
 ばつばつと弾けのたうちながら襲いかかる電流を、メリーは神力寄す時針剣クロトの斬撃波で相殺し、相殺しきれない電流は刻司る分針剣ラケシスで彼女自身のスピードを加速させて回避する。
 電流を打ち払い接近を狙うが、対処していく隙で電流は次第に勢いと強さを増していき、近づくどころか距離を離されてしまいかねない。
「無限に成長する碎輝のもとに辿り着くまでの時間の勝負ね……!」
 余裕ぶった様子で翼を羽ばたかせる黄金竜を睨んできりと唇を引き結び、短針と長針の剣を握り直す。
 その時。
「どんどん成長していく、のよね?」
 ほつりと、やや早口の小さな声が聞こえた。
「じゃあ……遅くすればいいのよね?」
 しゃらりと金属の触れ合う音がして、獲物を絡めとろうとする蜘蛛の糸のごとく紅い雫が尾を引いていく。
 飛び跳ねるような足取りのアニタ・エヴァーフィールド(さまよいゆくこころ・f26832)が両手で持ったティーカップからこぼれた紅茶だ。
 ユーベルコードの影響を受け、紅茶に落とした角砂糖が溶けていくように、そろりと碎輝の動きが鈍くなる。
「せっかくの戦いに水をさしてごめんなさい」
 カップが消えて、代わりに首から下げた時計ごと胸元で手を重ねる。
「でも、時には立ち止まって、かえりみることも大切だと思うのよ」
 お茶を飲んで、ゆっくりと時間をかけて。
 けれど立ち止まってはいけない。回顧と停滞は別のものだ。
「そしてそれは、成長につながる……んじゃないかしら」
 ほら、総集編回ってあるじゃない?
 そう主張するアニタに、碎輝はほころび笑うように雷電を奔らせる。
 動きを遅くできたのはほんのわずかな時間で、しかし猟兵たちには充分な時間だった。
 雷光を足場にするようにメリーが宙に浮いて空を駆け、襲いかかる紫電が射抜いたのは残像。武器を振るい、アニタは確実にダメージを与えられるよう幾度も攻撃を繰り出すが、わずかにも届かない。
 力量の足りない彼女は主力となりえない。故に攻撃手を譲り、迸る雷撃をウサギ時計を盾のようにして受け止めた。
 極大の雷流を前に避けられないと判断し、覚悟を決めてオーラ防御で身を守りながら突破を試みる彼女の後ろから、高く飛躍したメリーがその手に掴むのは第3の剣。神力極まれば万物を断つと云う、刻の終わりを定める神器、その神器統合形態。
 一瞬で碎輝との距離を詰め、封じられた力を解き大剣と化した秒針剣アトポロスに渾身の力を込める。
「地球を守った竜神の力、神をも超える神器の力。より良い世界を望む意志の元、一つに束ね剣と成す!」
 これこそは――。
 始原にして終焉の一閃!
 力強く振り上げ、迷うことなく振り下ろす。
「電流すら切り裂いてみせるわ!」
 宣言どおり、剣閃が電流を切り裂きメリーの周囲に光の奔流を生み出す。
 輝きをまとった竜神は、雷をまとう竜神を一刀のもとに斬り伏せた。
「…………ッ!!」
 悲鳴じみた咆哮を上げ、碎輝が翼を震わせる。次いでぶるりと身動ぎして雷光が跳ね、再び人の姿となる。
 呻くように喉をうごめかせ、吐き出したのは血と感嘆。
 傷を重ねた上に強大な一撃を受けてしたたか血に濡れた碎輝は、槍を持つ手が滑りかけて持ち直す。
「世界を合し、世界を分かつ――これが、邪神を滅した竜の力よ」
 口にして剣を収めるメリーをなかば驚歎を含んだ目で見て、眦を下げた。
 と。
「……親分さん、アイス代なら私も少し出すのよ?」
「……自分もアイス食う気まんまんだな?」
 身が灼かれそうなほどの雷電を警戒しながら控えめに伝えたアニタへ、苦笑して応えた。
 周囲を灼く雷光はいまだ激しくも弱りつつあり、風震わす雷鳴はいまだ荒ぶるも収まりつつある。
 決着は、近い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クレア・フォースフェンサー
次はわしが参るとしよう。

もっとも、わしが碎輝殿と立ち合えるのは最初の一合のみ。
この身が持つユーベルコードはオブリビオン相手にしか役に立たぬからのう。
この一合で届かぬのであれば、より成長した碎輝殿に勝てるはずもない。

身体や衣服に光紋を発現させ、完全戦闘形態へと変身。
光剣を最大長に伸ばした後に元の長さに戻し、正眼に構えよう。

さて、何のひねりもない真剣勝負じゃ。
わしが碎輝殿の動きを捉えるのが早いか、碎輝殿が成長するのが早いか――

いざ、参る。

しかし、自身の力を抑えねばならぬとは何とももったいないことじゃな。
わしらの世界に来てくれれば、その力でいくらでも倒して欲しい輩がおるというのに。



「次はわしが参るとしよう」
 光剣を携えて、クレア・フォースフェンサー(UDCのエージェント・f09175)が告げた。
「もっとも、わしが碎輝殿と立ち合えるのは最初の一合のみ」
 この身が持つユーベルコードはオブリビオン相手にしか役に立たぬからのう。
 どこか飄々とした口ぶりに、碎輝は手にした槍を持ち直す。であればどうかかってくるのか。目の前の猟兵を推し測りながら。
(「この一合で届かぬのであれば、より成長した碎輝殿に勝てるはずもない」)
 相手は時間をかければかけるほど成長していく。そして勝機が失われていく。
 身体や衣服に光紋を発現させ、ナノマシンで構築された身体を完全戦闘形態へと変身するクレア。
 光剣を最大長に伸ばした後に元の長さに戻し、正眼に構えた。
 お前を捉えるに充分な間合いはこちらにあるぞと示し。
「さて、何のひねりもない真剣勝負じゃ」
 しかし、だからこそ業が光る。
 碎輝は深く息を吐き、咆哮とともに黄金竜へと姿を変えた。
 彼に残る最後の力か。それまでよりも太く枝分かれする電流が、幾筋もうねって彼をぐるりと包む。
 彼にとっても、立ち合うのはただ一度きり。二度繰り出す余力はない。
「わしが碎輝殿の動きを捉えるのが早いか、碎輝殿が成長するのが早いか――」
 いざ、参る。
 地を踏みしめる音がかすかに立ち、両者の姿が掻き消えた。
 先手を取ったのは碎輝。荒ぶり猛る雷電をまとい、全身ごとの一撃を繰り出す。眩いなかでも目をそらさず、クレアはただひとつ極めた見切りを以て攻撃をかわすと光剣を振るい、竜神目掛けて一閃を放つ!
「…………ッ!!」
 ばつばつとのたくる雷光が周囲の空気を震わせ、彼らを見守る者たちの目を数瞬灼いた。
 どっ。
 さほど重くない音がして人影が倒れ、少し遅れて槍が落ちる。
 地面に突っ伏す碎輝の上で、一筋残った雷光がぱちっと弾ける。それは命の最後の輝き……ではない。ちゃんと生きているし意識もある。
「大事ないか」
「あ、ああ……ありがとう」
 声をかけながら槍を拾い差し出すと、碎輝はのろのろと体を起こしながら礼を言って受け取った。
 少しだけ得物を支えにして立ち上がり、ふるふると頭を振る彼の姿は、心なしか、ひと回りかふた回りほど小さく……正確には幼く見えた。これが『小学生形態』というやつだろうか。
「しかし、自身の力を抑えねばならぬとは何とももったいないことじゃな」
 だが、強すぎる力は破滅をもたらす。
 無限に成長する碎輝の力は、カクリヨファンタズムにカタストロフを起こしてしまう危険があるのだ。
 こうして戦うことで一時的に抑え込むことはできるが、しかしあまりにも危うい。
「わしらの世界に来てくれれば、その力でいくらでも倒して欲しい輩がおるというのに」
「そうはいかない。俺には俺の役割がある。お前たちがそうであるように、だ」
 ふはっと息を吐いてから、ぐるりと頭を巡らせて猟兵たちの顔を見回す。
 浮かべているのは、実に晴れ晴れとした笑み。
「それよりまずは……アイスでも食うか。いや、アイスキャンデーだったか? 俺の負けだから、俺のおごりでだな!」
 軽快に笑う竜神親分に、猟兵たちも笑顔で応えた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年07月13日


挿絵イラスト