6
テルマエネクロマンティック

#封神武侠界

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界


0




●夢の温泉郷阻止作戦
「よし、来てくれてありがとさん!早速やけど、説明を始めんで!」
 シャオロン・リー(Reckless Ride Riot・f16759)は、自らの呼びかけに応えて訪れた猟兵たちに礼を言うと、そうして説明に入った。
 事件が起きているのは封神武侠界。封神台から解放されたオブリビオンたちが暗躍する、絢爛豪華な中華世界だ。
「仙界でな、ものっそい昔に造られて……そんでもって危険すぎて誰の手にも負えへんて封印するしかなかった「宝貝(パオペエ)」がぎょうさんあんねんな。そんなかの一つが侵入したオブリビオンに強奪されてしもうてん」
 その宝貝の名は「土点鐘」。水脈を見つけ、そして見つけた水脈を仙気あふるる温泉へと変えてしまうものだという。これだけ聞いたならば緊急性は感じられないだろうが、勿論この宝貝が封印された理由として――そう、「副作用」があるのだとシャオロンは言う。
「確かにこの宝貝は水脈を仙人にとって効能豊かな仙気に満ちた温泉へ変える。せやけどな、その代わりに周囲の水脈が犠牲になってまうんやと。向こう千年草木も生えんほど水が枯れるか、もともと蓄えられとった霊脈の力を暴走さして呪われた水源になって、人やら動物やらに害を及ぼすか……そんな副作用があるシロモノやから封印されとったんやけどな、そんなもんは自分には関係あらへん言う奴は、どの世界にもおるっちゅー事や」
 オブリビオンの名は「邪仙黒道・梦蝶(モンディエ)」。仙人でありながら闇社会のマフィアの女ボスとして君臨していたという邪仙で、気に入った女性をキョンシーに改造して侍らせるのが趣味であるという。そんな彼女がパオペエを狙った動機とは、他でもない――。
「自分だけの温泉を作って、侍らかした女キョンシーのハーレムでゆったりバカンスっちゅーとこやな、まぁ」
 それにどれだけの犠牲が伴うのかは自分には知ったことではない、というわけだ。
 勿論、どのような目的のためであれ宝貝を使用されてしまえば副作用によって土地の水源はめちゃくちゃになってしまう。故に猟兵によって宝貝の強奪を阻止してほしかった、ところだが。
「今からやとなあ、どんなに急いでも奪われて持ち去られるのに間に合わへんねんな」
 今から駆けつけて、ようやく女邪仙が宝貝を封印し守っていた仙人とその弟子たちを圧倒している最中に駆けつけられるという。既に宝貝は女邪仙の配下である武装キョンシー軍団に持ち去られた後だ。
「それでも親玉を最初にぶっ潰せる大きいで。とは言え、宝貝は一度試しに使われてしもうたんかな、影響を受けて変質した水源が出来てしもうとるんやけど」
 副作用によって変質した水源は、落ちた人間を動物に変身させてしまう呪い的泉と相成った。正しくは落ちた人間・動物を問わずに、ランダムな「十二支の動物」に短時間だけ変身させてしまうものだ。
「幸い、変身してまう時間はごくごく短時間や。せやけど、この呪いの泉の周りには先行して宝貝を運んどるキョンシー部隊とは別に、道中の防衛として残された女キョンシーたちがおる。こいつらは呪いの泉に皆を落とそうとしてきよるから、どうにかこうにか工夫して攻略してほしいねんな」
 呪いの泉を無事抜けることができれば、宝貝を輸送中のキョンシー部隊に追いつくことが出来るだろう。彼らと交戦して撃破すれば、宝貝「土点鐘」を取り返すことが可能だ。
 最初の戦いで仙人たちを無事に助けられていれば、彼らは宝貝を再封印しようとするだろう。過去の仙人たちは「土点鐘」が頑丈すぎて破壊することさえも出来ずに封印することで落ち着いたが、あるいは猟兵のユーベルコードの中には上手く破壊可能なものが存在するかもしれない。その場合は、遠慮なく破壊してしまって構わないとシャオロンは告げた。
「現地……つまり邪仙と仙人たちの戦いの場までは俺が転移を請け負ったる、準備ができたら、俺に言うたってや」
 かぁん、と槍の石づきを地に突き鳴らして。
「ほんなら、頑張って行ってきたってや」
 シャオロンは猟兵たちを送り出すのだった。


遊津
 遊津です。封神武侠界のシナリオをお届けします。
 このシナリオは一章ボス戦・二章冒険・三章集団戦の三部構成となっております。
 第一章の仔細は以下のようになっております。

 「■宝貝・土点鐘について■」
 泉や川、水脈を仙人たちにとって非常に効能豊かな仙気に満ちた霊脈に変える宝貝ですが、代償に水源を枯らす、あるいは水脈の仙気を暴走させてしまうため封印されていました。

 「■邪仙黒道・梦蝶について■」
 モンディエという名の女邪仙であったオブリビオンです。
 どんなに急いでも、宝貝が奪われるのには間に合いません。
 武装キョンシーたちを侍らせており、指定したユーベルコード以外にも仙術、脚技主体の拳法、武装キョンシーたちの火力を使用して戦います。
 彼女は到着時点で宝貝を封印していた仙人とその弟子たちとの交戦中であり、戦況は彼女が圧倒的優位に立っています。

 「■河白真君とその弟子たちについて■」
 長年宝貝「土点鐘」の封印を守っていた仙人と、その弟子たちです。決して弱くはありませんが、オブリビオンである女邪仙梦蝶の前にはいま一歩及ばず、圧倒されています。
 彼らを助ける事ができれば、その先の冒険を楽に進める手助けをしてくれるでしょう。

 第二章・第三章の戦場・敵についてはそれぞれの章の追記をお待ち下さい。

 プレイングの受付開始は6/9(水)午前8:31からとなります。
 時間によってはページ上部のタグやマスターページにプレイング受付中の文字がない場合がありますが、時間を過ぎていればプレイングを送ってくださって構いません。
 注意事項がございますので、プレイングを送信下さる前に一度マスターページを一読下さいますようお願いいたします。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
71




第1章 ボス戦 『邪仙黒道・梦蝶』

POW   :    邪脚・睚眦
【仙術で強化した脚力による蹴りの乱舞】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪突・狴犴
【拳や脚による急所への鋭い突き】が命中した部位に【邪悪な仙術】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
WIZ   :    邪仙・贔屓
【武装した戦闘用女性キョンシー】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[武装した戦闘用女性キョンシー]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアリュース・アルディネです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御園・桜花
「愛する方だけとの楽園を作りたい気持ち、分からなくはありません。でも…それが許されるかは、別の話です」
「作り手、守り手…此の世界に存在するもの全ての願いを踏み躙る願いは、他者に尊重されず踏み躙られます。邪仙は他者を踏み躙るものだと仰るなら、邪仙とは踏み躙られるものだと返しましょう。廻る因果を、貴女にお返しします」
憐れみ煽って負の感情抱かせUC使用
邪仙達の浄化を試みる
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す
又高速・多重詠唱で銃弾に破魔と浄化の属性乗せ制圧射撃
仲間や河白真君の攻撃を補助

「封神台のない今なら、骸の海へ還れるでしょう?心残りがあるなら、何度でもお戻りになって、何時か共存出来る願いをお持ち下さい」



●世界を越えて咲き誇る
 ひび割れた台地の上に、男が転がった。傍らには似たような装束の男たちが同じ様に地に倒れ伏し、そこら中でうめき声を上げている。――宝貝「土点鐘」を封印していた仙人・河白真君、その弟子たちだった。
「ああ、弱い弱い。狭苦しい封神台に閉じ込められていた間、外の仙人たちがどれだけ功夫を培っているのかと思っていたら!私一人にこうも簡単にのされてしまうなんてお笑い草。衰えたな河白真君、お前も、お前の弟子たちも!」
 そう言って笑うのは豊満な肉体を扇情的な衣装に包んだ女邪仙、梦蝶。対する仙人、河白真君と呼ばれた男は壮年に見えながら筋骨逞しいその体を幾体もの武装キョンシーたちに群がられ、彼女たちからの攻撃をいなしながらも、荒い息をついていた。
「その弱さ、醜い。見苦しい。死ね河白、お前の千年は無駄に終わった。お前の愛する弟子たちは、後で同じ場所に送ってやろう!」
 女邪仙、梦蝶の美脚から繰り出される命を抉り取るが如き蹴りが、河白真君の胸へと吸い込まれていく。その蹴りを防ごうとする河白真君であったが、キョンシーたちにその嫋やかな見かけよりもずっと強い力で四肢に絡みつかれて動けずにいた。
 千年を生きた仙人の命が刈り取られようとした、その時であった。
「――いいえ、送られるのはあなたの方!」
「……何っ!」
 戦場に降り立った御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)が河白真君の前に立ち、その手にした銀の盆で、山をも穿ち抜く梦蝶の蹴りを受け止めていた。
「私の蹴りを受け止めた……!? 小娘、その盆、普通の代物ではないな」
「ええ、特別製ですから!」
 桜花はそう言うと銀の盆から軽機関銃に持ち替え、河白真君に纏わりつく武装キョンシーたちに発砲する。真君は何も言わずとも桜花の意図を読み撃ち出される弾丸を躱し、破魔と浄化の加護を与えられた弾丸に翻弄されるキョンシーたちを引き剥がして空へと飛んだ。
「礼を言うぞ、少女よ!」
「ご武運を!」
「応ともよ……破ァッ!」
 河白真君が貫手で梦蝶へと迫る。それを躱そうとした梦蝶だったが、一歩遅く。白い肌に血が一筋流れた。
「老いぼれが……!」
 忌々しげに罵る梦蝶。破魔と浄化、二重の加護を与えた弾丸が装填された軽機関銃を掃射し、キョンシーたちをひとところに集めぬように立ち回っていた桜花が、梦蝶を憐れみの目で見ながら言う。
「……愛する方だけとの楽園を作りたい気持ち、分からなくはありません。でも……それが許されるかは、別の話です」
「何を、聞いたような口を……」
「作り手、守り手……此の世界に存在するもの全ての願いを踏み躙る願いは、他者に尊重されず踏み躙られます。邪仙が他者を踏み躙るものだと仰るなら、邪仙とは踏み躙られるものだと返しましょう!」
「抜かせ、小娘!その口だけで何年生きた!その命脈、此処で断ち切ってくれようか!」
 梦蝶が扇を桜花に向かって指し示す。それを合図として、武装した女キョンシーたちが一斉に桜花へと襲いかかってきた。爪と拳とを第六感で察知し、その動きを見切って躱して、桜花は逆に彼女ら一体一体の腹に二重の加護を与えた弾丸をたっぷりと叩き込んでいく。梦蝶から十分に怒りの感情を引き出せたことを確認した桜花は、くるりとその場で裾を翻した。
「――廻る因果を、貴女にお返しします」
 薄紅色が世界を覆った。
――幻朧桜。桜の精である桜花を生み出した、この封神武侠界には存在しない桜の樹が、乾きひび割れた大地を物ともせずに根付き、薄紅色の花びらを満開に花開かせる。
「封神台のない今なら、骸の海に還れるでしょう? 心残りがあるなら、何度でもお戻りになって、何時か共存できる願いをお持ち下さい。“貴女の怒りも嘆きも……此の地で得た全ての痛みと想いを、此処に置いて逝かれませ!”」
 影朧となって、いつか人々と共存できる願いでもって転生できると良い――幻朧桜咲き誇る世界で生まれ育った、幻朧桜の申し子たる桜花は、そんな願いを持って桜を異郷の地に咲かせる。彼女へと攻撃を仕掛けるキョンシーたちへ弾丸をぶち込む音が、薄紅色の花咲いた地へと響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

金宮・燦斗
はぁ??(心底理解できないという顔)
うちの弟が来てたら絶対「私にも春が!?」とか言い出しそう。
弟が来る前にぶっ潰しておかないと、弟が穢れそうですね。

UC【影の弾丸】を発動。攻撃回数重視で。
影から呼び出した二挺拳銃に加え、新しく準備した二挺拳銃「漆黒&白磁」の4つの拳銃を交えて敵に連射。
仙人やその弟子達を弾幕で守りましょう。
彼らと合流出来るようであれば、黒鉄刀と拳銃4つを駆使して敵が近づけないようにします。

それにしても温泉を作ってハーレム、か……。
温泉以外にもハーレムはできるでしょうに……。
いや、逆に温泉じゃないと出来ないことをやる……?

……何考えてるんだ俺!!(自分の指をがぶっと噛んで自制)



●ここにいない彼への甚だしい風評被害
 ――ここへ到るまでにグリモア猟兵から聞かされた、親玉の計画、思惑。
即ち、仙気たっぷり温泉を作り出して。選りすぐりの美女たちからなる女キョンシーたちを侍らせての。夢の温泉郷ハーレム計画だ。ちなみに、親玉たる邪仙・梦蝶もまた豊満で蠱惑的な肉体を扇情的な衣装に包んだ美女である。
「……はぁ……はぁ? はぁ??」
 心底理解できないという顔で金宮・燦斗(《奈落を好む医者》[Dr.アビス]・f29268)はそう言った。幸いにも彼にそっちの方面の趣味はない。なくてよかった。
(ああ、弟を連れてこなくてよかった……だってうちの弟が来てたら絶対「私にも春が!?」とか言い出しそう)
 春に無いと書いて何とやら。弟に対する認識がなかなかにひどい兄、それが燦斗であった。ところで美女(邪仙)の作り上げた美女(キョンシー)たちのハーレムって、それ百合では。百合の間に挟まるのは一般的に重罪と言われていますよ弟さん。
「ああ、こうしちゃいられない。弟が来る前にこの阿婆擦れをぶっ潰しておかないと、弟が穢れそうですね」
 過保護なのか何なのか、戦場に降り立った燦斗は女邪仙・梦蝶の前に立ってそう言った。
ぶっちゃけ梦蝶は頭の上にはてなマークを浮かべていたが、アバズレ呼ばわりされた事で煽られたと感じたのか蹴撃の乱舞を繰り出してきた。大地に転がる仙人の弟子たちはともかく、今まさに梦蝶と拳を交えていた筋骨逞しい壮年――仙人・河白真君は半眼になって燦斗を見ていた。おそらく幾百年もの間修行を積んだ仙人である、燦斗の頭の中を読んだのであろう。何も言わないのが真君なりの優しさであった。
 一撃一撃が重たい梦蝶の蹴りを身を捻って躱し、燦斗は己のユーベルコード【影の弾丸(ソンブラ・バラ)】を発動させる。己の影の中から二挺拳銃を呼び出し。梦蝶の脚を狙って弾丸を発射する。影の拳銃は己の影でもって操り、さらに自身の新たな武器である二挺拳銃「漆黒」と「白磁」――彼の“息子”の髪の色を思わせる、黒一色と白一色で一対の拳銃を――両の手に構えて、計四丁の拳銃で以て梦蝶へと弾丸を発射した。
「お前、香で隠しても誤魔化せぬ血の匂い……殺し屋か」
「いいえ? 不正解です。私は闇医者にして――殺人鬼なもので!“拳銃で出来た傷って、どうしても治癒しにくいんですよねぇ”!」
 頭に闇とはつけど、否、闇医者であるからこそか。銃創の厄介さを知り尽くした男は、それ故に殺人の技をそれでもって駆使する。燦斗は倒れた弟子たちの前に立ち、彼らを梦蝶からかばうように弾幕を展開させた。梦蝶に拳で立ち向かう河白真君へは影の二挺拳銃が援護射撃を務める。
「すまんのう、若いの!」
 梦蝶の足から繰り出される蹴りは燦斗の発射した弾丸によって制され、逆に河白真君の丸太のように太い腕が梦蝶の頸を極める。
「ぐ……っ、老いぼれが……!」
「梦蝶よ!儂らとてこの千年、功夫を積んできた身!それを無駄とは言わせぬぞ!」
「抜かせ、それで今動けているのが貴様だけだというのが千年の実態よ!貴様らは千年を無駄にした!封神台より抜け出て、私はそれを思い知ったわ!」
 梦蝶が反撃に出た。素早く鎌のように鋭利な蹴りが河白真君の胴を捕らえんとする、そしてそこから黒き仙術を仕掛けようとする腕の動き――しかしそれは、途中で中断せざるを得なくなった。燦斗によって投擲された黒鉄刀が、梦蝶の腕を斬り落とさんばかりの勢いでその動きを封じたからである。
「くっ、邪魔をしてくれるっ!」
 くるりくるりと弧を描き、手元に戻ってきた黒き刃を手にして、それと四挺の拳銃を駆使し、燦斗は梦蝶の動きを封じていく。その隙を縫って梦蝶に着実なダメージを入れていく河白真君とは、即席ながらも良いコンビネーションであった。
(――それにしても……温泉を作って、ハーレム……か……)
 燦斗の銃撃と刃、そして仙人の技に翻弄されながらも、梦蝶は足技を繰り出してくる。そのたびに翻るチャイナドレスの裾から白い太腿がちらちらと見えた。
(温泉以外にも、ハーレムはできるでしょうに……)
 梦蝶が身を翻すたび、豊満な胸が揺れる。
(いや、逆に温泉じゃないと出来ないことをやる……?)
 温泉じゃないと できないこと とは――。
「……いやいやいやいや、何考えてるんだ俺!!」
 横っ面を引っ叩きたくなるところだが、両の手に拳銃を握っていてはそうもいかない。自らの親指をがぶりと噛んで自制する燦斗。
「そのー……じゃなぁ。助けてもらっておいてこう言うのも申し訳ないが……お前さん、情緒不安定かの」
 河白真君の気遣うような言葉がちょっと、いやとても耳に痛い。
「申し訳ありません、今、ちょっと気持ちを切り替えますので……」
 そう言って燦斗は痛み血の滲む指を戒めとして、引き金に指をかけるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジョン・フラワー
【花簪】
はーれむじゃなくて紅茶が湧き出てくる温泉にしないかい!
隣にお菓子が湧いてくる温泉作ってさ! お茶会し放題だよ!

みんなを助けるんだったっけ? じゃあお茶会はおあずけかあ
でもこんなに賑やかならお祭りくらいしてもいいよね!
お嬢さんキョンシーたちみんなにちょっとずつ木槌や爪を当てていくよ
かすりでもすればいいのさ。そうすればたのしい! みんなたのしい!
どうだい! 心がひとつになってきただろう!

心がひとつになるとつよくなる?
それは大変だ! でも簪のアリスならきっと何とかしてくれるさ!
キミがつよいって僕知ってるんだから!
お嬢さんたちをもっとたのしくしていくから、お姉さんの方はよろしく頼むよ!


月舘・夜彦
【花簪】
アリスラビリンスのようにお菓子の家や紅茶の泉という訳にはいきませんね
入ると動物になってしまうとは、つくづく不思議な温泉です
仮に紅茶の温泉を作るとしても終わってからにしましょうね、オオカミ殿

キョンシー達はオオカミ殿に任せて梦蝶を狙います
彼が暴れてくだされば、キョンシー達も無視は出来ないでしょう
その間に大元を断つのみ

足技に警戒し、視力と見切りにて相手の動きを読んで対処
威力・命中率・攻撃回数どれを重視しているか
此方も手段に併せて抜刀術『風斬』にて反撃

攻撃は直撃を避け、威力の大きいものは残像にて回避
手数の多いものには武器受けにて防御

敵と心が一つになっては困りますが
そうなる前に片付けましょう



●素敵な素敵なお茶会のお話
 女邪仙・梦蝶は苛烈な足技を舞うようにして仙人・河白真君に繰り出していく。しかし猟兵によって窮地から救われた河白真君は壮年ながらも逞しい腕でその蹴りを受け止め、一歩脚を踏み出す――震脚。ひび割れた大地が大きく揺れる、されど梦蝶もまた足技の達人だ。それだけで体勢を崩したりはしない。真君の貫手が梦蝶の豊満な胸に吸い込まれようとする刹那、梦蝶は大地を蹴って空中に飛び上がる。
「ヌゥっ!」
「私ばかりに構っていて良いのか河白よ!」
 びしりと取り出された扇があちこちに倒れうめき声を上げている装束を同じくする者たち――河白真君の弟子たちに向けられる。動けない彼らに群がっていく、武装した女キョンシーたち。
「ぬぅぅっ!梦蝶ぇ!」
「愛弟子たちの命が惜しくば動くなよ、河白!もはや嬲り殺すのにも飽いたわ、このまま一撃で仕留めてくれる!」
 そうして上空から梦蝶は河白真君へとめがけて落下する。その蹴りは一撃で真君の心臓を貫かんとする――その、寸前。
 きぃん、と。鋼が鳴った。
「……貴様っ!」
 梦蝶の脚は止められていた。間一髪、河白真君の前に躍り出た月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)の刃が止めていた。
「ねえ!ねえねえねえ!“はーれむ”じゃなくて、紅茶が湧き出てくる温泉にしないかい!」
 木槌を振り回し、ジョン・フラワー(夢見るおおかみ・f19496)が武装女キョンシーたちを打ち据えていく、否、ジョンに攻撃しているという意思はあまりない。しかし結果、動くことの出来ない真君の弟子たちがキョンシーたちに殺されるのを阻止することには成功していた。
「隣にお菓子が湧いてくる温泉作ってさ!お茶会し放題だよ!」
「ふふ、アリスラビリンスのようにお菓子の家や紅茶の泉という訳にはいきませんね。入ると動物になってしまうとは、つくづく不思議な温泉ですが……仮に紅茶の温泉を作るとしても、終わってからにしましょうね、オオカミ殿」
「みんなをたすける、んだったっけ? じゃあ、お茶会はおあずけかあ……でもこんなに賑やかなんだからさぁ!お祭りくらい、してもいいよねっ!」
「おまかせしましたよ、オオカミ殿!」
「はぁい、まかせて!」
 夜彦の言葉にそう返すと、ジョンは再び木槌を振るっていく。弟子たちを包囲していたキョンシーたちを退けたなら、もはやその木槌が掠りさえすればいい。木槌でなくても、ジョン自身の爪であっても――そう、それが「攻撃」と見做される行為であれば、ほんの僅かでも当たりさえすれば、ジョンの楽しい仕掛けは発動するのだから!
『……?』
『……!』
「――ねえねえ、ねえねえ、たのしくなってきたかい?」
 キョンシーの硬化した魂、心に呼び起こされるさざめき、ざわめき。ざわざわとしたそれ。踊りだしたくてたまらなくなるような。死んで以来一向に感じることがなかった魂が、ふわふわそわそわふらふらと浮ついた感覚に囚われる――。それこそがジョンのユーベルコード、【連鎖するたのしい】。攻撃を当てた対象に、「すごく楽しくなる状態」を与えるもの!
「ほおら、たのしい!みんなたのしい!どうだい!心がひとつになってきただろう!」
 耐えきれずにふらふらしてしまうキョンシーたち。もはや弟子たちを殺すという梦蝶から受けた命令は遠くどこかにいってしまい、冷たい屍の体となってなお、固くなった腕を伸ばしてぴょこんぴょこんと跳ね回り……裾を踏みつけて転んでしまうもの多数。楽しすぎるあまりうっかりな状態になってしまっている。けれどそんなことよりたのしい!がキョンシーたちの硬い表情の下、目の輝きから読み取れる感情だった。
「……んっと、あれ、心がひとつになるとつよくなる……んだったっけ? ――いけないいけない、それは大変だ!……でも、大丈夫さ、だよね、簪のアリス!」
 キミなら何とかしてくれる。
 ――キミがとってもつよいって、僕知ってるんだから!
「お嬢さんたちをもっともっとたのしくしていくから、お姉さんの方はよろしく頼んだよ!」

「呵呵ッ、これは愉快な小狼じゃわい。のう、梦蝶? おぬしの僵尸たちも揃って骨抜きよ」
 豪快な笑い声を上げる河白真君、しかしその目は笑ってはいない。貫手を構え、再び地面を踏みしめる。
 夜彦はジョンの声に頷いて、刀を一度鞘に収める。いつでも抜刀できるように手は柄に。
(さて……どう来るか……!)
 事前の情報で梦蝶の脚技に種類があるのは調べてある。破壊力を重視した蹴撃か、それとも命中率の高いものか、あるいは手数に訴えてくるのか――調べた上で、対策も勿論講じていた。
「おのれ、小童ども!余計な邪魔立てをしてくれた……!」
 怒りに歯を軋ませた梦蝶が飛ぶ。黒く妖しい光が竜巻のように渦を巻いて彼女の白い脚を覆った。女邪仙の着地地点から、夜彦は大きく身を反らして後ずさる。彼のいた場所をまるで刃のような蹴撃が掠め、そしてすぐに機関銃のような怒涛の蹴りの連打が飛んでくる。外法の仙術によって強化されたそれらの技の全てを見て躱し、夜彦は刀を抜いた。鞘を滑らせ、鞘から抜いた勢いのまま斬りつける。【抜刀術『風斬』】――女邪仙の白い胸が切り裂かれ、血飛沫が噴き上がった。
「――今!」
「応よ!」
 夜彦が声を上げた時、河白真君は既に梦蝶の背後に回っていた。貫手が女の背中から胸へと貫かれる。
「おのれ、ぇっ……!」
 女邪仙が血を吐いた。邪な仙術、呪詛が唇の中で編まれているのを夜彦は目にする。それが形になる前に――彼は、刀を閃かせる。
「我が刃……風の如く!!」
 一閃。
女邪仙の首と胴が泣き別れ、形の良い頭がひび割れた大地に転がった。
首を落とした胴体はふらふらとふらついたあとで地面にどうと倒れ、末端から黒い灰となってゆく。そうして、首も胴体もが真っ黒な灰の塊となる前に、風にさらわれて消えていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『不思議な泉』

POW   :    邪魔な敵を泉の中に蹴り落とす

SPD   :    泉を迂回したり、飛び越えながら移動する

WIZ   :    いい効果が出ることに期待して、あえて泉の中に入る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


========================================
 女邪仙・梦蝶は斃れた。彼女に抗っていた仙人・河白真君も猟兵によって守られ、無事である。しかし猟兵がたどり着くまでの間に女邪仙と対峙した真君の弟子たちは命こそ無事であったものの、誰も彼もが多かれ少なかれの傷を負っている。
「これは儂自らが宝貝を追おうと言うには多すぎる怪我人じゃの」
 河白真君はため息をつくと、猟兵たちに代わりを務めてくれないかと頼んできた。
グリモア猟兵からの説明では最初からその予定であったが故に、これを受諾した猟兵たちは、真君によって隠されていた「仙気溜まり」と呼ばれる場所へ案内される。
「ここは自然の霊脈によって仙気が溜まった場所。梦蝶すらも知らなかった場所じゃ。ここからならば目当ての場所に一飛びすることが出来るでの、是非使ってくれい」
 「仙気溜まり」に足を踏み入れ、腹に力を込めて地を蹴ると摩訶不思議、軽く飛んだだけのつもりが大きく山を越えて飛翔していた。雲の中を飛ぶ体験は初めてした者も多いだろう。そうであるというのに寒くない、苦しくもない。まことに一飛びの刹那の時間のことであった。

 ――猟兵たちは、泉の前に辿り着いていた。
宝貝の副作用によって人工的に作られた、大小様々な大きさの泉が複合した呪いの泉である。
泉には突き立った棒による足場があるものの、それは人二人がぎりぎり乗れる程度の広さだ。
そしてそこには、梦蝶の残した女キョンシーたちが待ち構えていた。
彼女たちは猟兵を見るやいなや、彼らを泉に落とそうと襲いかかってきたのである――!
========================================
 二章 冒険「不思議な泉」が開始されました。

 おめでとうございます。猟兵の活躍によって邪仙黒道・梦蝶は討たれ、後は配下のキョンシー軍団を掃討するのみになりました。
 第二章では落ちると動物の姿に変身してしまう呪いの泉を攻略していただきます。
 
 以下に仔細を表記いたします。
 
 ■呪いの泉について■
 特に大昔に何かが溺れたわけではない宝貝「土点鐘:の副作用で水脈の霊気が暴走して生まれた呪い的泉です。
 落ちる、あるいは意図的に浸かるなどすると、鼠・牛・虎・兎・龍・蛇・馬・羊・猿・鶏・犬・猪の十二種、十二支の動物に変身してしまいます。ただし、変身しているのはごくごく短時間・数分程度であり、後に引きずることもありません。
 同量の水の量であっても泉の水を「浴びる」では変身には至らず、泉の中に体を浸らせる必要があるようです。
 サイズは実際の動物サイズ(龍のサイズはそこそこに巨大です)に大きく・あるいは小さくなり、また牙や爪などの攻撃可能な部位も存在しますので、鼠対虎のような組み合わせになると非常に危険です。
 立て続けに二回浸かることでキメラ状態になる、などということはなく、新しい方に上書きされます。
 プレイングに「何の動物になるか」予め明記してあれば、その動物になります。
 
 ■梦蝶配下のキョンシーたちについて■
  エネミーデータ的なものは存在しない、POWの行動での「邪魔な敵」になります。
  よって、ユーベルコードなどは特に使って来ず、爪と牙のみの攻撃を仕掛けてきますが、動きは俊敏で対策をしていないと泉に落とされる可能性があります。
  二章の目的はあくまでも彼女らを倒すことではなく泉の地帯を抜けることであるため、倒しきらなくとも問題はありません。
 
 第二章のプレイングは6/16(水)午前8:31~の受付となります。
 第二章からでも問題なく参加可能です。その場合は、泉についた時点からのスタートとなります(仙気溜まりを飛び越えてくるプレイングは必要ありません)
 時間によってはページ上部のタグやマスターページにプレイング受付中の文字がない場合がありますが、時間を過ぎていればプレイングを送ってくださって構いません。
 
 それでは、宝貝奪還の道を急ぐため、呪われし泉を抜けて下さい。
========================================
金宮・燦斗
こんな……こんな楽しいところがあったなんて!!
あの子と弟が来てたらどんな姿になったのか……見たかったッ!!
(本人達来ないから言いたい放題)

なんて言ってる場合じゃないですね。
キョンシー共が私に気づいたようです。

UC【影の弾丸】で影の二挺拳銃を呼び出して、と。
今回は命中ミスったらまずいので、確実に仕留めるように調整。
1体ずつ的確に泉に叩き落として差し上げます。

とは言え相手もこちらを攻撃してくるでしょう。
その場合は上手く敵の足を狙ってその場に打ち止めます。

……でも、頑張っても無理な時は叩き落されちゃうでしょうね。
動物になったら、アヴァールに引き上げてもらいますか……。
(その場合は赤い目の蛇に変身)



●ハードラックとシャル・ウィ・ダンス
 落ちるとランダムに十二支の動物になってしまう呪い的泉――それを前にして、燦斗はかたかたと震えていた。右手で左腕を押さえつけ、そして喉から声を絞り出す。
「こんな……っ、こんな楽しいところがあったなんて!!」
 こころなしか背後には点描がきらめき、糸目の下から覗く瞳はきらきらと少年の様に輝いている。気がする。
「“あの子”と弟が来てたらどんな姿になったのか……見たかったッ!!」
 だんと足を踏み鳴らす。息子と弟が泉に落ちることを信じて疑わないその心。本人たちがここにいないからって言いたい放題である。こういう男なんですよ金宮燦斗って奴は。
「……なんて、言ってる場合じゃないですね」
 ハイテンションになって騒いだのが裏目に出たのか、女キョンシーたちが燦斗に向かって駆けてくる――正確にはキョンシーは膝の関節が硬化している為に生者のようには走れず、ぴょんぴょんと跳ねてくるのが正しいのだが。
「それでは、処置をはじめましょうか――」
 【影の弾丸(ソンブラ・バラ)】。己の影から二挺の影の拳銃を呼び出し、その命中精度を限りなく正確に調整していく。今回は一発一発が勝負になるだろうと踏んでのことだ。
 そして、今回は敵の殲滅が目的ではない。更に言うなら、倒すのすら目的ではないのだ。今回の目的は――この呪われた泉の地帯を抜けること。その為の手段として、敵を一掃することをさんとは選んだのだ。
 少ない地面と岩場、泉に設えられた僅かな足場を飛んでくるキョンシーたちの脳天を影の二挺拳銃が撃ち抜いていく。僵尸、生ける屍であるキョンシーは頭をぶち抜かれた程度では死なない。しかし、その場で動きを止めるには十分だ。それが、泉の足場を移動するために「跳躍している」最中だとしたらなおさら、頭蓋をぶち抜いてその動きを止めることは、着地を失敗させる効果としてならば覿面だ。
バシャンバシャンと、弾丸を頭部に食らって着地をミスったキョンシーたちが泉の中に落ちていく。そのキョンシーがいた場所へ向かって入れ替わるように燦斗は跳躍し、泉を抜けていく。泉に落ちたキョンシーたちも動物の姿に変身したまま燦斗を追いかけてくるが、運悪く小動物となってしまったものは移動にも苦心している有様だ。もとより脳の硬化しているキョンシーたちである、策もなく泉から新たな泉へと足を踏み入れ、また別の動物へと変わっていく。
そんな眼下の光景に目をやっている暇は燦斗にはなかった。燦斗のいる足場に飛び移ってきたキョンシーが、あるいは燦斗を泉に叩き落さんとするキョンシーが攻撃を仕掛けてくる。彼女たちの足を影の弾丸で縫い止めて、そのままその長い足で足場から蹴落として。空中から強襲してきたキョンシーは先程同様に自ら着地を違えて落ちていくままにする。
そうして泉地帯も半ばとなった頃だ。次に降り立つべき足場は泉にほど近く、濡れていた。万が一にも滑って落ちないよう慎重にそこへ右足を乗せた燦斗のふくらはぎに痛みが走る。ぎゅっと痛いほど脚を掴まれる感覚。見れば猿の両手が泉の中から燦斗の右足を掴み、泉へと引きずり込んでいた。燦斗は咄嗟に叫ぶ。
「アヴァール!!」
 バサバサという羽音と、バシャンという高い水音が立ったのはほぼ同時だった。
泉の中で、手足というものの感覚がなくなっていくのがわかった。体が縮み、視覚ではなく熱で世界が「見える」。身を捩り、水面から身を躍らせる。どんな姿に変わろうとも、アヴァールが主人を見間違えることなど無いとを信じたのか――。
(……ふぅ。とりあえずは、水の中からは抜けられましたね……)
 アヴァールの爪に掴まれて、燦斗はちろりと舌を出す。かれの姿は泉に落ち、赤い瞳の蛇の姿に変わっていた。
「間抜ケダナ燦斗!!落チヤガッタ、落チヤガッタ!!」
(相変わらず口が悪いですねぇ)
 さて、ごくごく短時間とは言われたが、泉の呪いの力が解けるのは一体どの程度後になるものか。それまでしばらくはと、燦斗はアヴァールに掴まれたままの空中飛行を楽しむことにしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジョン・フラワー
【花簪】
やや! これは面白いアトラクションだ!
ねえアリス! どっちが先に抜けられるか競争しないかい!
おおかみはこういう遊びだって強いんだからね!

こういうのはパワーなのさ!
待ち構えるお嬢さんを吹き飛ばす勢いで体当たりジャンプだ!
可愛いだけじゃないお嬢さんだからおおかみだって全力だぞ!
泉に落ちてより可愛くなっていくといい! あーははは!

あっ避けられると困る

アリスー! アリス助けてー! 僕今何ー!?
うさぎ? うさぎ!? うさぎって泳げる!?
うわーん! 沈んじゃうよー!
せめておいしい丸焼きになりたかった……あれっ浮いてる
やったあ! うさぎって飛べたんだね!
しかもなんか速い! よーしこのままゴールだー!


月舘・夜彦
【花簪】
岩から岩へ跳べば追ってくるキョンシー達からも逃げられそうです
競争ですか、勝負をするならばより早く突破できそうですね

視力で位置を確認、乗っても問題のない岩を選んで移動します
攻撃は残像にて回避、その後反撃して速やかに移動

なるほど、キョンシー達も泉に落ちれば変わるかもしれませんね
泉目掛けて刀の鞘による打撃で落とすようにしましょう
……龍に変わる泉だけは避けたい所ですが

オオカミ殿!?なんとオオカミ殿が桃色の兎に
気が逸れた隙に敵の攻撃を防ぐも泉へと落ちて藍鬣の赤毛の馬へと変わる
これは……馬?ですが幸い、馬ならばより速く移動できます
口でオオカミ殿を咥え、そのまま駆け出します

逃げるが勝ち、です!



●たのしいはわりとスリリング!
「やや!これは面白いアトラクションだ!」
 眼前に広がる大小さまざまな泉を見て、ジョンはわぁっと歓声を上げる。その隣で夜彦は、冷静に周囲の地形を観測していた。
(岩から岩へ跳んでいけば追ってくるキョンシーたちからも逃げられそうですね……いずれにせよ、着地の際は足元に気をつけた方がよさそうです)
「ねぇ、ねえねえアリス!どっちが先に抜けられるか競争しないかい!」
「競争ですか。勝負をするならばより早く突破できそうですね」
「そうだろうそうだろう!おおかみはこういう遊びだって強いんだからね!」
 両手を頭の上にあげて朗らかに笑うジョン。既に泉の周りの女キョンシーたちは夜彦たちの存在に気づき、彼らを捕縛しようと動き出している。夜彦はそれを怜悧な瞳で一瞥すると、ジョンに向かってほほえみ返した。
「よーい、スタート!」
 ジョンの声と同時に彼らは走り出す。泉の周囲にある岩場となった地を駆け、後ろに群がってくるキョンシーたちから逃げる、だけではない。
「どーん!」
 体当たりジャンプを仕掛けてキョンシーを眼下の泉に吹き飛ばすジョン。
「こういうのはパワーなのさ!キミたちは可愛いだけじゃないお嬢さんだからね、おおかみだって全力だぞー!」
 ばしゃん、ばしゃん、下の泉から大きな水飛沫が上がる。犬や羊といった動物の姿に変わったキョンシーたちは懸命に水をかいて泉から上がろうと藻掻いていたが、短時間とは言え当分その姿では追ってくることも難しいだろう。
 踊るようにキョンシーを泉へ落としながら駆けていくジョン。対して夜彦は超高速の動きで残像を生み出し、キョンシーの攻撃を躱しては刀で鋭利な爪先を持つ腕を斬り落とし、そうして先へ先へと進んでいたが、ジョンの挙動を見てそうかと頷いた。
「なるほど。生ける屍であるキョンシーたちであっても泉に落ちれば動物に変わるのは同じというわけですか。……ならば!」
 関節が硬化し、両手両足を伸ばして跳びながら襲いかかってくるキョンシーの爪を紙一重でひらりと躱し、その体を泉へ目掛けて刀の鞘によって叩き落とす。
「――龍にだけは変わってほしくないところではありますが……!」
 眼下では子犬がぱしゃぱしゃと泉の水を掻いて岸へと泳いでいる。夜彦はほっと胸をなでおろし、ジョンと競いながら先へと進んでいく。
「そーら!泉に落ちてより可愛くなっていくといい!あーははは!」
 満面の笑顔で笑い声を上げながら、次なる女キョンシーに体当たりを仕掛けるジョン。しかしその女キョンシーは、ジョンの体当たりをするりと躱した――実際には、ジョンの体当たりのタイミングと同時にキョンシー側も爪による攻撃を繰り出そうとしたのであるが。するりと女キョンシーの体は横に動き、ジョンの体当たりは空振ってしまう。空振ってしまうとどうなるか――。
「あっ避けられると困る」
 小さな声を一言、残して。ジョンの体は空中を数秒漂うと、そのまま真下に広がる泉の中にばしゃああんと大きな水しぶきを上げて落下する。
体が縮む。ただでさえ鋭敏な聴覚が更に鋭敏になる。自らの体の変化に、ジョンは混乱する。
(アリスー!アリス助けてー!僕今何ー!?)
 水を掻く手足は短くて、きゅうきゅうという声が口から漏れる。自らの動きで歪んだ水面に映った姿は、桃色の兎だ。
(僕うさぎ? ……うさぎ!? うさぎって泳げる!? うわーん!!沈んじゃうよー!!)
「――オオカミ殿!?」
 水面でぱちゃぱちゃと暴れる桃色の兎に、夜彦は声を上げる。溺れているのやもしれない、助けなければ。けれどそれは自らも泉にこの身を浸すことに相違ない。一瞬の逡巡の末に追い縋っていたキョンシーの爪を受け止めるも、一歩踏み出した先にあるべき足場は存在しなかった。相棒のピンチに目測を誤ったのである。数秒後、泉から一際大きな水飛沫が上がった。
(くっ……不覚!ですが、これは……)
 運良く泉よりも体高の高い動物に変身したようで、溺れることはなかった。水面に写った己の姿を見れば、其処にいたのは藍の鬣を持った赤毛の馬。傍らで桃色の兎がぱちゃぱちゃと水を掻いて暴れている。ジョンだ。
(うぅ……せめておいしい丸焼きになりたかった……)
(これは、幸い!馬であれば人の身よりも早く移動することが出来ます――!)
 口で兎となったジョンを咥えて泉の中から掬い出し、そのまま駆け出す夜彦。
(……あれっ、浮いてる!やったぁ!うさぎって飛べたんだね!)
 きゅいきゅいと兎になったジョンが喜ぶ素振りを見せる。声帯までもが動物のそれに変化しているため、ジョンの勘違いの混じった言葉は夜彦の耳には届かない。
(しかもなんか速い! よーし、このままゴールだー!)
(……ここは、逃げるが勝ち、です!)
 変身が解けるまでの時間に、どれだけ先へ進めるか――。桃色兎を咥えた赤毛の馬は、泉から出ると、全速力で大地を駆けていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「落ちないように、飛んでしまっても宜しいです?」
首傾げ

「貴女達の主人は倒されました。貴女達も骸の海にお還りになって…次は貴女達自身の望みを持ってお戻り下さい」
UC「精霊覚醒・桜」使用
盾構え吶喊
見切りや第六感で敵の攻撃に合わせてカウンターやシールドバッシュして敵を泉に叩き落としながら飛行し進む
可能なら、泉に落ちかけた仲間を高速で拾い上げ近くの安全な柱に戻したりもする
「もしかして、浸かりたかったですか?…すみません」
目を逸らす

泉の変化に興味はあるので敵が全滅したらこっそり浸かってみたい願望はある

干支:卯又は戌
「…まあ」
「モフッと感が美味しそうに可愛いです」
「何で干支に猫はないのでしょう…あ」



●爛漫メイドは空をゆく
 桜花の眼前に広がるは、大小様々な泉が組み合わさった巨大な複合水源。そのすべてが宝貝の副作用がため暴走した霊脈によって汚染された「呪われた泉」である。
桜花は彼女を認識して迫りくるキョンシーたちにも構わずのんびりと下唇を人差し指で撫で、そして言った。
「――落ちないように、飛んでいってしまっても宜しいです?」
 【精霊覚醒・桜】。渦巻く薄紅色の桜吹雪が舞い、桜花の全身を覆う。
「“我は精霊、桜花精”。“呼び覚まされし力もて、我らが敵を討ち滅ぼさん”――」
 とん、と地面を蹴る、それだけで桜花の体は雲の上にいた。
さもありなん、今の彼女は全速力を出せば時速一万九百キロメートル、およそマッハ8程度以上で飛翔することが可能だ。当然音速の壁は優に超える速さだ。それだけの速さを出せば全身がずたずたに切り裂かれかねないが、これはユーベルコードの効果であるために桜花の体に傷一つつくことはない。この速さであれば、これだけの水源など本当に一飛びで越えられるだろう。この呪われた水源地帯を越えるという目的だけならば、簡単に達せられる速さである……が。
「……とと。これは、加減しなければなりませんね」
 桜花はそれをせず、走る程度の速さで飛んでいく。彼女には、泉の踏破以外にもやりたい事、それをやらねば後悔するであろうことがあったからだ。
関節が死後硬直によって固まっているため走ることが出来ず、ぴょんぴょんと跳ねながら岩場や足場を利用して桜花を追ってくる女キョンシーたち。ぶんと大気ごと薙ぐように繰り出される鋭い爪の攻撃を巧みに躱しながら、桜花は声を上げる。
「貴女達の主人は倒されました!貴女達も骸の海にお還りになって……次は、貴女達自身の望みを持ってお戻り下さい……っ!」
 桜色の手袋から発せられるビームシールド、光の盾によって攻撃を仕掛けてきた女キョンシーたちを泉へと叩き落とす。
されど、女キョンシーたちが桜花の言葉を聞いて動きを止めることはない。さもありなん、彼女たちは僵尸、生ける屍。動いてはいるが死体なのだ。それもここに残されているのは、戦闘力も低く愛玩用でもない、梦蝶配下の中でも非常に低コストな部類の存在である。主人が死んだからと言って生み出されたキョンシーが動かぬ死体に戻ることはないが、主人が死んだからと言って主従関係から開放されることが可能なほど高機能ではないのだ。これが女邪仙が愛玩する為に飽きぬように、ある程度の自我のようなものを残された存在であったなら、或いは主人を喪くして桜花の言葉を聞き入れたかもしれないが――ここにいるのは、そうではない。ただ最初に命令された道中を守り、邪魔者を排除するという入力(インプット)された命令(コマンド)だけを忠実に繰り返すだけの存在だ。
それを桜花は悲しく思いながらも、次々と泉に突き落としてゆく。既に他の猟兵たちによって多くのキョンシーたちが泉に落とされ、動物に変身していく。今の所竜や虎のような危険な動物に変身したキョンシーはいないようで、また偶然か体の大きな動物の姿も泉には見えない。
目に見える範囲全てに存在したキョンシーたちを泉に落とし終わって、後は彼女らがタイムリミットで元の姿に戻り、また襲いかかってくるまでは危機がなくなった水源地帯で、桜花はそわそわとしながら泉を前にする。
「い、今なら……時間もありますし……」
 ちゃぷん。桜花は自ら浅い泉に足を踏み入れる。水の冷たさに耐えながらも肩まで浸かると、自身の体が変じていくのがわかった。手足が縮み、体中が体毛に覆われ、視力が低下し、代わりに特に嗅覚が鋭敏になっていく。体が小さくなって溺れてしまう前に泉から出る。無意識にプルプルと体を震わせて、全身の水をはらう。水面に写ったのは、桜色の食パンのような――コーギーであったが、生憎今の桜花には色を識別する能力が低下していて、桜色を見ることは出来なかったのだが。
(……まあ)
 言葉を発したつもりが、くうん、と鳴き声が口からこぼれる。
(モフッと感が美味しそうに可愛いです)
 きゅうん。くぅん。桜花が変じたコーギーは断尾されておらず、もふもふとしたしっぽがゆさゆさと揺れる。
(犬も可愛らしいですが、猫も見たかったです)
 わふっ。
(たしかこの泉は十二支の動物に変身するとか……何で干支に猫は居ないのでしょう……あ)
 猫がいない理由――鼠が猫を騙した事に端を発する十二支にまつわる物語を思い出し、きゃふぅ、と悲壮な鳴き声が上がり、しっぽがたらりと垂れる。
(……と、こうしてはいられません。時間切れになる前に、少しでも先に進んでおきましょう)
 幸いユーベルコードの効果は変身しても続いている。花びらをまといながら、桜色のコーギー……桜花は風のように水源地帯を飛んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『キョンシーモドキ』

POW   :    連撃
【分銅鎖】が命中した対象に対し、高威力高命中の【斬撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    分銅鎖
レベル分の1秒で【分銅鎖】を発射できる。
WIZ   :    地の利
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【剣や分銅鎖】の威力と攻撃回数が3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


========================================
 呪い的泉の連なる水源地帯を抜けた猟兵たちは、前方に集団を発見する。
「土点鐘」――大きな銅鑼のような形をした宝貝、それを運ぶ女キョンシー達の集団だ。
彼女たちの主人である女邪仙は既に亡きものとなったが、彼女たちはそれで消えたり動きを止めたりするようには出来ていない。ただただ、主が目的地と定めた場所へと宝貝を運搬するのが彼女たちの役割だ。無論。その途中で宝貝を奪われそうになれば、その武装にて応戦するのも役目の一つである。
恐らく放っておけばどこまでか宝貝を運び終えた末に彼女たちの行進は終わるだろう、が。
元々は封印されていたこの宝貝を、いつまでも野放しにしておくわけにはいかないのだ。
亡き女主人が目的地と定めた場所、彼女たちの夢の温泉郷は今となっては唯の夢物語。
猟兵たちは女キョンシーたちを追いかける。
どうしようもない夢物語に、止めを刺すために。
========================================
 第三章 集団戦 「キョンシーモドキ」が現れました。
 
 おめでとうございます。
 呪われた水源地帯を抜け、宝貝を運搬する女邪仙配下の女キョンシーたちに追いつくことに成功しました。
 以下に、戦闘の仔細を記します。
 
 ■戦場について■
 乾いた大地が広がる、草木もほとんど生えていないだだっ広い荒野です。戦闘の邪魔になるものはありませんが、逆に利用できそうなものもありません。
 屋外のため、空中戦を行うことが可能です。
 種族体格差による有利不利は発生しません。(体格差を利用するようなユーベルコードを使った場合はこの限りではありません)
 二章で泉に落ちた・浸かったことによる動物への変身は全て時間の経過によって解け、元の姿に戻っています。変身していたことが戦闘に影響を及ぼす事はありません。
 
 ■集団的「キョンシーモドキ」について■
 梦蝶配下の戦闘用キョンシーです。
 梦蝶の外法仙術によってキョンシーとなった生ける屍であり、主人なき今は最後に与えられた「目的地まで宝貝を運ぶ」という命令と、それを邪魔するものを排除するという命令だけを与えられ、それを実行するために行動しています。
 よって、梦蝶が既に死亡しているなどの説得は一切心に響かず、理解も出来ません。
 彼女たちは既に死んでいるため、知性や精神に影響するようなユーベルコードは効果が薄いようです
 ユーベルコードの他にも分銅鎖や剣によっての攻撃を行ってきます。キョンシー「モドキ」というだけあり、死後硬直による独特の動きがなく、四肢は滑らかに動きます。
 
 ■宝貝「土点鐘」について■
 最後にお返しするリプレイまでに、宝貝に対して特にアクションがなければ、
 弟子たちの治療を終えた河白真君が猟兵たちに追いつき、宝貝を再封印します。
 土点鐘は頑丈すぎるがゆえに破壊ができず、封印せざるを得なかった宝貝ですが、もしも猟兵のユーベルコードを用いて破壊することが可能ならば、破壊してしまって構いません。(過去に破壊は試された上で無理として封印されたので、弾丸や刀剣、単純な攻撃では壊れない程度には頑丈です)
 なお、土点鐘は大きめの銅鑼のような形状をしています。
 
 第三章のプレイング受付開始日時は6/23(水)午前8:31~となっております。
 時間によってはページ上部のタグやマスターページにプレイング受付中の文字がない場合がありますが、時間を過ぎていればプレイングを送ってくださって構いません。
 第三章からの参加も歓迎しております。
 
 それでは、夢物語にとどめを刺すために。
 宝貝を運搬するキョンシーたちの集団を斃して下さい。
========================================
金宮・燦斗
【夕焼け】
荒野なら、バイクで追いかけるに限る。
おや、エーミール。一緒に乗りますか?
2人乗り用ではないので、無理矢理の乗車ですけど。

エーミールに敵を打ち落としてもらうので、私はバイク運転に集中。
近づいてくるようであればUC【影の弾丸】で拳銃を呼び出し、重い一撃を与えますよ。
ただ私は運転に集中力を割いているので、撃ったとしても致命的な一撃にはならないでしょう。
運転中はよそ見厳禁、ですからねえ。

あのなぁ、エーミール。
女性がたくさんいる中にお前が混ざっても、お前がモテるとは限らないんだぞ?
というかむしろ、一部から非難轟々だと思う。

いや、まあ、私も混ざりたいとは思うが……。
んんっ、いや、なんでもない。


エーミール・アーベントロート
【夕焼け】
や、やっと追いついた……!(ぜーはー言ってる)
あっ、兄さんバイク乗るんですか! 私も乗せてください!
大丈夫、バランス感覚はバッチリです!

UC【【執行】終わりなき殺戮】を発動して、追いついた敵から全部ぶち抜きます。
この力、兄さんも狙いかねないのでバイクに乗っておけば兄さんを狙わないワケです。一緒に動くわけだし。
とは言え足よりバイクのほうが早いので、兄さんに調整してもらいながら敵を倒していきます。
フェイントも交えつつ、どんどん倒しましょう!

ところであの中に混ざったら1人ぐらい私が好きっていう人いませんかね?
……あ、はい。兄さんの言うとおりです。

……えっ、兄さん?? 今なんて??



●チェイス/ザ・スリル
 標的、前方にあり、されど両者の位置はまだ遠い。
「荒野なら、バイクで追いかけるに限る」
 燦斗は真っ赤な機体を持つオフロードバイク「クリムゾンウィッチーズ号」に跨り、エンジンを蒸かす。その時だ。よく聞き慣れた声が彼の耳朶を打った。
「はぁ……ぜぇ……はぁ……はぁ…や、やっと追いついた……!」
「おや、エーミール」
 第一章からその存在を燦斗によって示唆されながら姿を表さずにいたエーミール・アーベントロート(《夕焼けに立つもう一人の殺人鬼》・f33551)はぜいぜいと喉を鳴らしながら燦斗の前に現れた。
 そう、春に無いと書いてエーミールと呼ぶそのエーミールである。かわいい女の子いっぱいハーレムの話に釣られて兄の後を追って来たはいいものの、ここまで悉く戦闘だの呪いの泉攻略だのに間に合わなかったらしい。本来、出遅れた場合はグリモア猟兵が現時点にまで転送させてくれる。時にグリモア猟兵の転送を使わず自らの乗騎や車・徒歩で現場へ現れるものもいるというが……今回の場合は本当に間が悪くことごとく間に合わなかったらしい。うっそだろお前。
 さて、そうしてここへ来てようやく兄に追いついたエーミールは三つ編みをぴょこんぴょこん揺らしながら喜んだ。
「あっ、兄さんバイク乗るんですか!私も乗せて下さい!」
「おや、お前も乗るんですか? 二人用ではないので、無理矢理の乗車になりますけど」
「大丈夫任せて下さい、バランス感覚はバッチリです!」
「それじゃあ、敵の撃墜はお前に任せましたよ」
 エーミールを後ろに無理矢理立ち乗りさせ、クリムゾンウィッチーズ号は荒野を駆ける。
やがて、真紅のオフロードバイクは宝貝を運ぶ女キョンシーたちの一団の後方へと接敵した。
分銅鎖と剣で武装した女キョンシーたちが高速で走るバイクに並走し、搭乗者の首を落とさんと刃を振るう。その頭部を影から呼び出した二挺拳銃によって次々とぶち抜き、その弾丸の勢いでもってはるか後方へと吹き飛ばしてゆく。とはいえ、燦斗は運転に集中せざるを得ない。脳味噌をぶちまけてもさしたる損傷にはならない生ける屍の女キョンシーたちは時間が立つと後方からクリムゾンウィッチーズ号を追いかけてくる。
「くっ……この、運転中はよそ見厳禁、だというのに……!」
「ではここは私にお任せを、兄さん!」
 蛇行するクリムゾンウィッチーズ号の後ろに無理矢理乗車しているエーミールが両手に複数のグラスナイフを構える。
「おうおうおう、こちとら一流のドライバーに三流の投擲手が揃ってるんですよ!“さぁ、さぁ、さぁ、私に仇なす者は全て、丁寧に、お礼参りしてさしあげましょうか”!」
 【【執行】終わりなき殺戮(エンドレス・キリング)】――それは彼をナイフ投げに特化した殺人鬼へと変貌させるユーベルコード。理性を失い速く動く物を無差別攻撃するという代償は燦斗をも攻撃対象と見做しかねないが、それは今彼の運転するバイクに同乗することで自身と彼とのスピードを同じにしているため作用しない。そして疾走するバイクの前にあっては、近づいてくる何もかもが高速で動いているのと同じだろう。放たれたグラスナイフが次々と女キョンシーたちの四肢を切り裂いていく。
「兄さん、スピードの調整はよろしくお願いしますね!」
「お前に言われるまでもありませんよ」
 果てなき荒野を、真紅のオフロードバイクは兄弟を乗せて疾走する。三流などとは彼の自虐、エーミールの放ったナイフは正確に女キョンシーたちの関節を、眼球を、彼女たち生ける屍が活動する上での急所を貫いていく。尚ここに「合わせて四流」と言ってくれる優しい兄はいない。いないったらいない。
「……ところで、今から突撃するわけなんですが」
「なんですか」
「あの中に混ざったら、一人くらい私が好きっていう人いませんかね?」
「……あのなぁ、エーミール。女性がたくさんいる中にお前が混ざっても、お前がモテるとは限らないんだぞ?」
「うっ」
「というかむしろ、一部から非難轟々だと思う」
「……あ、はい……兄さんの言うとおりです……」
 百合の間に挟まる男は以下略。三つ編みをしょぼんと垂らしてあからさまに落胆するエーミールを余所に、燦斗はぼそりと呟いた。
「――いや、まあ、私も混ざりたいとは思うが……」
「……えっ、兄さん??」
「んんっ、いや、なんでもない」
「今なんて言いました?? なんて??」
「なんでもない!!」
 ――兄弟二人は仲良く言い合いながら、女キョンシーの一団の中央へと切り込もうとしていた。
 ところでおふたりとも、彼女たちはもう死んじゃってるわけなんですが、本当に混ざりたいとお思いなんでしょうか?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「形代…なのでしょうね、貴女達は」

「物陰に隠れようが、魔力弾は貴女達を追いかけます。それで遮蔽が取れたと思わない方が良いですよ」
「死体から作成した形代なら、破魔と浄化は良く効くでしょう?」
UC「召喚・精霊乱舞」
光の精霊召喚し破魔と浄化の属性与えた魔力弾作成
物陰に隠れようが追尾させ敵を攻撃する
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す

「邪仙同士で手を組むことがあっても、邪仙に交流はないと聞いたことがあります。梦蝶さんの愛は、形代でしか満たせなかったのですね…お可哀想に」
「只の道具として、自我もなく使役されるオブリビオン…次に目覚める時は、望み持つ存在になられますよう」
戦闘後、梦蝶と僵尸のために鎮魂歌を歌う



●鎮魂はいつか来る転生の為に
「形代……なのでしょうね、貴女達は」
 桜花は悲しげに女キョンシーたちを見遣る。女邪仙・梦蝶によって偽りの生命を与えられた、生ける屍の女キョンシー達。生前より梦蝶は気に入った娘を外法によってキョンシーに作り変え、己の傍に侍らせていたという。ならば彼女たちは女邪仙が愛でる為だけに命を奪われ屍に作り変えられた人形なのだろう。
 既に桜花の姿を捉え、宝貝運搬の邪魔者として認識した女キョンシーたちは分銅鎖と刃を持って桜花に襲いかかってきていた。
「“おいで精霊、数多の精霊、お前の力を貸しておくれ”……」
 【召喚・精霊乱舞】。ましろき光の精霊が桜花の呼び声に応え、破魔と浄化の加護を付与した魔力の弾丸を生成する。桜花の手の上に現れた白き精霊はぱっと散り、キョンシーたちに向けて魔力の弾丸が一斉掃射され始める。
ひとりのキョンシーが魔力弾に脳天を穿たれる。本来であれば、彼女たちは既に屍であるがゆえ、人間であった頃の急所を破壊されようとも構わず、痛みも障害とすることなく動き続けるのだが。
「――死体から作成した形代なら、破魔と浄化は良く効くでしょう?」
 悲鳴も、断末魔の絶叫も上げることなく、頭を撃ち抜かれたキョンシーはその動きを止め、更にその体に弾丸を撃ち込まれて四散する。その有様に放たれる弾丸を危険視したキョンシーたちが各々に回避の行動を取り始める。
「物陰に隠れようが、魔力弾は貴女達を追いかけます。それで遮蔽が取れたと思わないほうがいいですよ」
 もとより隠れられるような樹々すら無い見晴らしの良い荒野だ。仲間の体を盾代わりにしたキョンシーたちもいるにはいたが、背後から追尾されて盾役になった者諸共全身に破魔と浄化の弾丸を食らって斃れる。そう言う意味では、逆に桜花本人を仕留めようと向かってきたキョンシーたちの方が頭の血の巡りは良かったかもしれない。
 鎖を桜花の腕にでも括り付けてしまえばこちらのものと、じゃらり、次々と宙を舞う分銅鎖を見切って躱し、ふと危険を感じてくるりと身を翻せば放たれる魔力弾の雨霰の中を掻い潜って女キョンシーの突きこまれた剣が桜花が先程まで居た場所を貫いていた。されど彼女たちもまた、光の精霊によって破魔と浄化の二重の加護を与えられた魔力の弾丸を全身の至るところに受け、荒野に斃れて消滅していく。桜花の召喚した光の精霊が生成した魔力弾の数、五百四十五。一発でも当たりどころが悪ければ十分に彼女たちを消失させるに十分な魔力弾が、かりに一体に五発使ったとしても百九体ぶんあった、白い弾丸が遮るものなき荒野を一瞬埋め尽くす。視界が戻った頃には、宝貝の運搬を行っていた女キョンシーたちの半数以上が消失していた。
「……邪仙同士で手を組むことがあっても、邪仙に交流はないと聞いたことがあります。梦蝶さんの愛は、形代でしか満たせなかったのですね……お可哀そうに」
 今は亡き女邪仙の面影を思い出し、桜花がその身の上を憐れんだ。けれどまだ彼女には、やることが残っているから――光の精霊を、再び手の中に召喚する。
「只の道具として、自我もなく使役されるオブリビオン……次に目覚める時は、望み持つ存在になられますよう」
 この戦いが終わったなら、彼女たちと、そして梦蝶のためにも鎮魂の歌を歌おうと思う桜花の手の中から、ましろき光の精霊によって破魔と浄化の加護を与えられた魔力の弾丸が、再び女キョンシーに向けて放たれた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジョン・フラワー
【花簪】
あのお嬢さんたちは楽しくならないのかい?
それはなんだかとってもあれだね! 楽しいではないね!

楽しくないなら遠慮はいらないね!
ところであれはなんだいアリス! なんとかデスマッチってやつかい!
不思議の国にもあったような、なかったような
僕と力比べをしようなんてよほど自信があるようだ!
その鎖、掴んで振り回しちゃうんだから!
斬撃なんてする暇がないくらいね!

お茶会の泉を作りたかったけどあれは壊さなきゃいけないのかあ
壊れないの? おおかみパンチでもだめなのかい!
じゃあその壊れない現実にちょっとだけ眠っていてもらおう!
今から一瞬ここは夢。壊れないものも壊せるさ!
くらえ夢のおおかみパンチ!!!

どうだい!


月舘・夜彦
【花簪】
キョンシーは生ける屍
彼女達は意思関係なく動かされているだけですので感情も無い
楽しいも感じないのでしょうね

ですまっち……つまり何でもありの戦いでしょうか
鈍器を扱う他、見かけよりも力はあるようですね

駆け出して接近、敵の数が多い所へ向かい
早業の抜刀術『陣風』
2回攻撃となぎ払いも併せてより多くの敵に攻撃を仕掛けましょう
その後は討ち漏らした敵を追撃
敵からの攻撃は基本武器落としにて鎖を弾き落とす
視力にて鎖の威力や大きさを見極め、刀で弾くには厳しいと判断したら残像にて回避
いずれも凌いだ後に反撃

お茶の泉は作れるとは思いますが
破壊も出来なかったとなれば強力な物なのでしょう
今度は奪われぬよう封じなくては



●うつしよはゆめ、よのゆめこそまこと
「むぅ、このお嬢さんたちは楽しくならないのかい?」
 突き込んできた女キョンシーの剣を躱しながら、ジョンはつまらない、とばかりに叫んだ。同様に自らを絡め取ろうと投げられた分銅鎖を刀で弾き落として、夜彦は応える。
「彼女たちキョンシーは生ける屍。意思など関係なく動かされているだけですので感情も無い……「楽しい」も感じないのでしょうね」
「ふぅん……――楽しくないなら、遠慮はいらないね!」
 ぶん、と頭を振って、頭の中のスイッチを切り替えたように女キョンシーにおおかみパンチを放つジョン。狼の渾身の力を込めた拳を受けた女キョンシーは仲間のキョンシーたちを巻き込んではるか後方に吹き飛ばされる。その腕にキョンシーが放った分銅鎖が巻き付いて、両者を繋ぐ。こてん、と首を傾げ、ジョンは夜彦に問いかけた。
「ところでこれはなんなんだい、アリス!なんとかデスマッチってやつかい!」
「ですまっち……つまり、何でもありの戦い、でしょうか」
 横文字に不慣れな夜彦もまた首を傾げて、しかしその刀握る腕はそうする間もキョンシーの腕を斬り落としている。
「不思議の国にもあったような、なかったような……」
「鈍器を扱う他にも、見かけよりも力はあるようですね」
 頭部を狙って放たれた分銅鎖は刀で弾かれ、それを放った女キョンシーはもう片方の手に握った刃を振るう間もなく脚を落とされて地面に転がった。
「ふっふーん、僕と力比べをしようなんてよほど自信があるようだ!」
 ジョンは大きく口を開けてあっはぁ、と笑い、自らの腕に巻き付いた鎖を掴んで振り回す。鎖を放ったキョンシーにしてみれば堪ったものではない。周囲に居た仲間たちを自身の体で殴打しながらぶんぶんと振り回されるのだ。剣で攻撃しようにも、己の位置が定まらぬ以上その暇もない。仲間たちをぶん殴る武器にされながら、その女キョンシーは四肢が耐えきれずばらばらになるまでジョンの力比べにつきあわされる羽目になったのだった。
 さて、ジョンが女キョンシーを振り回したことで周囲のキョンシーたちが一掃され、彼らの周囲から敵が居なくなる。夜彦は地を蹴り、また別のキョンシーたちの塊へと駆け出した。急接近し、神速で繰り出されるは無数の斬撃、これぞ【抜刀術『陣風』】である。
 ――既に死した屍であるキョンシーたちを斃すには、心臓を抉っても喉を裂いても効果は低い。四肢を動かなくするのが最適である。ジョンは力技でばらばらに壊していたが、夜彦には刃ががある。二回、四回、八回、十六、三十二、六十四、百二十八――陣風によって繰り出される夜彦の刃は次々と多数のキョンシーたちの四肢を奪っていく。或いは一撃で首を落とされたものはその場で倒れ伏し、荒野の風に吹かれていつの間にか消えていった。
四肢を斬り落とされたものは達磨のように転がるか、中途半端に腕やら脚やらが残ったものはそれでも武器を残った箇所に縛り付け、或いは口に咥えてでも這いずりながら彼らを追う。それに止めを刺すのはジョンによって打撃武器と化した仲間の体であったり、あるいは絶えず動き回る彼の脚に頭蓋を踏み割られて今度こそ本当に息絶える。夜彦を穿ったと思った刃は何も無い空を切り、知覚の外から現れた刃によって武器を持つ腕を落とされ、脚を落とされて地に果てる。
既に他の猟兵と交戦し、数を多く減らしていた女キョンシーたちがジョンと夜彦によって全て地に伏せるまで、そう長くはかからなかった。後には巨大な銅鑼のように見える宝貝「土点鐘」がぽつんと残されるだけである。
「うぅん、お茶会の泉を作りたかったけど……」
「お茶の泉は作れると思いますが……」
 作れるのだろうか。でも薬湯とかあるし。あれお茶みたいなものだし。その泉でお茶会ができるかはいざしらず、作れるのかもしれない。作っちゃいけないのだが。
「過去に破壊もできなかったとなれば、余程強力なものなのでしょう」
 今度は奪われぬよう、厳重に封じなくては。そう夜彦が口にした時、ジョンがこてりと首を傾げる。
「壊れないの? おおかみパンチでもだめなのかい!」
「ええ、その様に聞いていますが……?」
「じゃあその「壊れない現実」に、ちょっとだけ眠っていて貰おう!」
 ふるりとジョンが頭を振った。彼の頭に掛かった花かんむりから、キラキラとした何かが放出され、周囲をキラキラでいっぱいにしていく。
「今から一瞬ここは夢、“少しの間おやすみさ!”壊せないものも壊せるさ!……くらえ、夢の……おおかみパーンチ!」
 キラキラでいっぱいになった銅鑼、もとい宝貝がジョンのパンチでヒビが入る。夜彦もこれには目を疑った。そのままヒビの入った宝貝はパリパリとそのヒビを大きくしていき、遂には真っ二つに割れ、そして微塵に砕け散る。
「どうだい!」
「これは……」
「――ほほう、おヌシら、あの宝貝を壊したか」
 世界からキラキラを払いながら現れたのは、猟兵たちを追ってやってきた河白真君であった。
そう、世界に現実が戻る。壊れぬ宝貝は壊れた宝貝へ。壊された、という現実が戻ってくる。壊れた土点鐘を前に、河白真君は何度もうなずき、そして大笑した。
「呵呵、呵呵呵呵呵呵ッ!!壊したか、そうかそうか……これが壊れる日が遂に来たか!!うむ、良い!良くやった!形あるものはいつか全て壊れる、これが本来あるべき道理よ!」
 千年を封印された宝貝を守ることに尽くしてきた仙人は、粉微塵に砕けた宝貝を前に呵呵と笑う。それは千年分の重しを取り払われたような、爽快な笑い声だった。

 ――斯くして女邪仙の見た夢物語は此処に、守り手の笑みを残して潰えたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月27日


挿絵イラスト