4
あやかしまやかし大調査

#UDCアース

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


0




●戦いの爪痕は深く
「皆、大祓百鬼夜行での戦い、本当にお疲れ様。とてもスゴかったよ」
 猫塚・咲希(過去は人の間を往く・f24180)は肉球を備えた猫の手をぽふぽふと合わせて拍手しながら、グリモアベースで猟兵たちを出迎えた。
 カクリヨファンタズムとUDCアース、二つの世界を巻き込んで発生した大祓百鬼夜行。カタストロフの間際まで力を尽くした猟兵たちは見事に勝利を収め、妖怪たちを救い出すことができたが、これで事態は万事収束、とはいかないようで。
 咲希が複雑そうに頬をかきながら言った。
「うん、無事に二つの世界は守られたんだけど、ね。UDCアース……特にUDC組織は、かなり大変なことになってるんだ。何しろ今まで、荒唐無稽な妄言だと考えられていたUDC-Null、つまりカクリヨファンタズムの妖怪が実在していて、大挙して襲って来たんだもん」
 人々から忘れられたカクリヨファンタズムの妖怪たちを、UDCアースの人々は見ることができない。故にUDC組織も「存在しないもの」と扱っていたのだが、それが今回、存在したどころか大きな騒動を巻き起こした。
 世界から神秘や怪異を秘匿するUDC組織としては、たまったものではない。今は全支部が必死になって、情報の洗い直しをしているという。
「だから今回、皆にはUDC組織に行ってもらって、UDC-Nullについて調べ直す、そのお手伝いをしてきてもらいたいんだ。資料は古いものが多くて、殆どがデジタル化されていない。探すのは大変かもしれないけれど……きっと有力な情報があるはずだよ」
 咲希によると、UDC-Nullである妖怪を呼び出すための、何やかんやの儀式というものかあるらしい。さらにはその妖怪にまつわる伝承や噂話といったもの。
 その妖怪についての情報を見つけられれば見つけられるほど、件の妖怪の詳細を暴き、退治するための力となるだろう。
 UDC組織から提供してもらった資料をめくりながら、咲希が言う。
「で、えーとね。今回調査してもらいたいUDC-Nullは、さいたま市支部の管轄で、『COW』ってコードネームで呼ばれていたことがあるみたい。あとは……なんか、どこかの山の中、なのかな。そんな場所が視えたよ。でも、そのくらいしかボクも視えなかった」
 そう言いながら大きな耳をへにょんと下げるカラカル獣人の少女。グリモアの力を以てしても、見えないものを見るのは難しいのだ。大祓骸魂の件でも、そのことは明らかになっている。
 それでも、口角を持ち上げながら咲希は手元のグリモアを回転させた。
「分からないことがたくさんだし、そもそも手間のかかる仕事が最初にあるけれど、UDCアースの平和を守るためには、避けては通れない仕事だ。頑張って来てね、皆」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 先日の大祓百鬼夜行、お疲れさまでした。
 早速UDC組織での戦後処理と参りましょう。

●目標
 ・UDC-Null「コードネーム:COW」×1体の撃破。

●戦場・舞台
(第1章)
 UDCアース、埼玉県さいたま市にあるUDC組織さいたま市支部です。先日のUDC-Nullの襲撃で破壊された談話室は、既に修理済みです。
 この組織内に保管されているたくさんの資料(紙ベースとビデオテープ)の中から、「コードネーム:COW」と呼ばれるUDC-Nullについての情報を集めましょう。
 ここで集め、明らかになった情報は、第3章でUDC-Nullとの戦闘の際に関わってきます。

(第2章)
 UDCアースのどこかの山林です。詳細な場所はグリモア猟兵の予知でも不明ですが、何やら人工物の廃墟が存在する山のようです。
 この場所を特定し、「特定の儀式」を行うと、骸魂によって実体化したUDC-Nullの群れが出現します。

(第3章)
 第2章と同じく、どこかの山林です。
 骸魂と合体したUDC-Null「コードネーム:COW」が出現します。
 このUDC-Nullは皆さんの調べた噂話や都市伝説の影響を受けており、姿がいくらか変わると同時に戦闘力がパワーアップしています。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしております。
141




第1章 日常 『電子化されてない資料を漁る憂鬱な仕事』

POW   :    気合いで黙々と資料を漁る

SPD   :    速読などを活かして迅速に資料を漁る

WIZ   :    効率の良い調査方法を考える

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

村崎・ゆかり
さいたま市のUDC組織支部ねぇ。本当どこにでもあるんだから。あなたの家の隣にも♪

で、紙媒体の調査ね。修業時代に一杯やらされたわ。
それじゃ早速、調査資料を読み込んでいきましょう。アヤメもよろしくね。
「式神使い」で折紙から作った式たちに資料の出し納めを任せて、あたしとアヤメで資料を紐解いていく。羅睺は資料で遊び出しそうだから、今回は霊符の中でお留守番よ。

古いのは仏教説話の類かしら? 上人様が物の怪を祓った話も多いわね。
アヤメの方は、それらしいのありそう?

適度に休憩を挟みつつ、それらしい話をまとめていきましょ。
折紙の式に飲み物を持ってこさせて、少しずつ飲みながら。

候補は絞れた。後は現地調査かしら。



●入間川は、埼玉県を流れる荒川水系の一級河川である
 UDC組織さいたま市支部、セキュリティエリア内に存在する資料保管庫。
 そこに立ち入った村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は、エルフの式神アヤメと一緒に紙ベースで綴られた大量の資料を眺めていた。
「紙媒体の調査ね。修業時代に一杯やらされたわ」
 こうした古い資料からの洗い出しは、術士の修行としてはよくよくあることだ。古い文献や教本を読み解き、術の真髄に迫る。基本的な教習である。
 紐で綴じられた資料をぺらり、とめくりながら、嘆息するゆかりだ。
「それにしても、UDC組織支部って本当どこにでもあるんだから……あなたの家の隣にも♪ なーんて」
 あまりにもあちこちに支部があるものだから、ついついおかしくなって。鼻歌交じりに資料を棚に戻すと、真面目に資料の確認を行っていたアヤメが横目に見ながら告げてきた。
「ゆかり様、手が止まっておいでですよ」
「はいはい、ちゃんとやります」
 そう返したものの、逐一資料を取り出し、確認して、戻してとやっていてはしょうがない。
 用意されたテーブルに腰掛けたゆかりが折り紙を取り出して人形を折ると、仮初の命を与えられた式神たちが机の上からぴょん、と飛び降りた。
「それじゃ式たち、資料の出し納めはよろしく。アヤメとあたしで紐解いていきましょ」
「かしこまりました」
 式神に資料の運搬を頼み、自分とアヤメは資料の確認に集中する。これがゆかりの作戦だった。そうすればいちいち資料を取ったり戻したりで、立ち上がったり座ったりを繰り返す必要がない。
 それにしても、かなり古い文献までも残してあるものだ。UDC-Nullの調査にあたって、きっとかつての職員があちこちから文献を集めたのだろう。
「妖怪絡みの案件だし、かなり古い文献もあるわね。これとか、もしかして日本霊異記の写しかしら?」
「こちらもすごいですね、調伏妖怪図でしょうか? かなり鮮明な印刷物として残されているようです」
 平安時代の文献や、江戸時代の錦絵。考古学的にも貴重な文献の写しがごろごろ出てくる。そのいずれも、妖怪や化生に絡んだ品だ。
 そうして様々な資料を確認し、閲覧して、一時間半は経っただろうか。綴じられた資料をテーブルに置いたまま、ゆかりがぐっと背伸びをする。
「ちょっと休憩しましょうか」
「では、式に茶の用意を――」
 用意をさせましょうか、とアヤメが言おうとした時、資料保管庫の扉がこんこん、と叩かれた。扉を開けて入ってくるのはこのさいたま市支部の職員の一人だ。ペットボトルのお茶を二本、お盆に乗せている。
「あ、お茶でしたらちょうどご用意いたしましたので、こちらをどうぞ」
「ああ、ありがとう。気が利くわね」
 そのお茶を受け取り、礼を言いながらゆかりは小さく微笑んだ。
 喉を潤してもうひと頑張り。再び資料の閲覧を始めてしばし。ふと、アヤメの手が止まった。
「……あ。ゆかり様」
「アヤメ、なにか見つけた?」
 これまでとは違う様子の式神に、ゆかりがアヤメの方に目を向ける。対して、アヤメが開いたままの資料をゆかりの方に差し出しながら言った。
「はい。こちらです。昭和46年と、かなり新しい情報ですが……」
 そう言いながらアヤメが差し出したのは、まだ紙の黄ばみも酷くない、比較的新しい資料だ。そこには川の流域地図が描かれ、何箇所かに印がついている。
「川の中を動き回る獣のような影……水面からは角のようなもの?」
「入間川流域で目撃された記録があるようです。UDC組織の実地調査では、数日間観察を行ったが発見できなかったため、UDC-Nullと判定した、とのことですが……」
 資料によると、何やら大きな生き物の影が、川底を動き回るような様を、流域周辺で釣りをした釣り人が見たらしい。それも一度や二度ではない。
 UDC組織の人間がかつて確認し、存在を確認することが出来なかったとしてUDC-Nullとなった案件とのことだが、それ故に、怪しい。
 ゆかりは式神に資料を戻させながら立ち上がった。一緒にアヤメも席を立つ。
「入間川流域ね。行ってみましょうか」
「はい、ゆかり様」
 そうして二人は資料保管庫を後にした。次は、現地調査だ。

●入手した情報
 ・入間川流域で確認された現象。
 ・大きな生き物の影が川の底を動いていた。
 ・釣りをしている釣り人が発見したとの報告がある。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キング・ノーライフ
存在不定の物の情報を探る…まるで雲を掴むような話だな。
まあ人手は居て損はないかと【狸塚の呼び鈴】【鼬川の指輪】【王の天兵】で揃えるだけ揃える。天兵の元は寝返らせた邪教信者も多いからその手の話も調べやすいだろう。一応言っておくが流用は禁止だからな。

我も昔のビデオを再生機具等もこの人数で調べるには足りんだろうから買い漁って【運搬】したり、自らも【情報収集】していくか。

皆を【鼓舞】しつつ使えそうな物を見つけた者にはよくやったと頭を撫でたり抱きしめてやろう。…こんな事で皆が頑張ってくれるなら嬉しいがどうなるか。それに狸塚の視線が気にはなるな。

狗巻は居たら参加させるか。また襲われても困るだろうしな。



●上流部は名栗川とも呼ばれる
 他方、別の資料保管庫にて。キング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)は腰に手をやりながらため息をついていた。
「存在不定の物の情報を探る……まるで雲を掴むような話だな」
 見えないものを探る。存在しないものを明らかにする。厄介な話だが、こうした話があればこそのUDC-Nullだ。特に今回は妖怪が絡んでいると分かっている。探しようはなくもない。
 そう言いながら、指輪をはめた右手で呼び鈴を鳴らしつつキングは言う。
「とはいえ、人手は居て損はないか。来い、お前たち」
「お呼びですか、ご主人様」
「はいよー、なんだー?」
「「我らが神よ、なんなりとご命令下さい!」」
 呼び出されるのは狸塚・泰人、鼬川・瞬太の従者二人、それとキングの信者が合計95人。もうこれだけで100人近い人数がいる。人海戦術ここに極まれり。
「今からここにある資料を調べる。各自、妖怪と思しき痕跡を発見したら我に知らせよ」
「承知しました」
「めんどくせーな……まぁいいや、オッケー」
「「承知いたしました!」」
 そうして二人と95人は各々、手近な資料に飛びついた。誰か一人でも当たりを引いてくれれば御の字だ。天兵は邪教の信者を寝返らせたパターンも多いから、こういう話の下地が出来ている。探すコツも掴んでいるだろう。
「ああ、それと天兵に告ぐ。有用な情報を得たからと言って、流用は禁止だからな」
「「かしこまりましたっ!」」
 とはいえ見つけた情報を流用されてはUDC組織が困ってしまう。釘を差すことも忘れない。
 一気に資料が暴かれていく中で、キングはおもむろに資料保管庫から出た。別途、運び入れないとならないものがあるのだ。
 それを取って再び資料保管庫に行こう、というところで、ちょうどUDC-Pの狗巻・祐也がやってきた。これ幸いとキングが声をかける。
「さて……ああ、いたか。狗巻、運ぶのを手伝え」
「あ、分かりまし……なんですかこれ?」
 声をかけられ、体よく荷物を押し付けられた祐也が首をかしげる。それもその筈、現代っ子の祐也はVHSテープのビデオデッキなんて見たことがない。
「ビデオデッキとブラウン管テレビだ。昔のビデオを再生するには、これでないと映らん」
「はあ……そういうものなんですか」
 キングの言葉にそう返しながら、祐也がビデオデッキとケーブル類を抱えてキングと一緒に資料保管庫に入る。と、ちょうどいい情報を見つけたのだろう、泰人と瞬太と天兵の一人が揃ってキングに駆け寄ってきた。
「ご主人様、この情報などいかがでしょう! 高麗川の鉄砲水の際に怪しい音が聞こえたとか!」
「こっちにもなんかあったぜ、なんか、丸山? っつー山の展望台に夜中に行くと、すすり泣きの声が聞こえたらしいぜ」
「神よ! こちらの、川を遡上する巨大な蛇の話はいかがでしょうか!」
 突き出してくる様々な資料。なるほど、いずれも役に立ちそうな内容ではある。今回の案件に関係のあるものか、は別として。
「ふむ……どれも使えそうではあるな。よくやった、参考にしよう」
「えへへ……」
 三人にねぎらいの言葉をかけてやると、褒められた泰人が嬉しそうな表情をした。天兵など天にも昇りそうな顔をしている。
 そんな三人をさておいて、キングと祐也がテレビとビデオデッキのセッティングをしていると。天兵の一人がおずおずと近づいてきた。
「あ、あの、神様……」
「ん、どうした?」
 恐る恐る、と言った様子の声にキングが視線を向けると、天兵は一綴りの資料と一本のビデオテープを出してきた。
「その、こちらの資料とビデオテープを、ご確認いただけますでしょうか……」
 それを受け取り、キングが資料のページをめくる。と、すぐさまにその表情が変わった。
「……これは」
「どうしたんですか?」
 天兵の頭をなでながら様子が変わった主人に、泰人が不審げな目をして近づいてくる。彼に手招きをしたキングが、資料の一部分を指し示した。
「狸塚、これを見ろ。入間川に出現した不審な影の話だが、この影は決まって、黄昏時に釣り人が釣り糸を川に投げ込むと出現した、とあるらしい」
 その言葉に、瞬太と祐也も反応した。
 不審な影。その影が出現するのに必要な条件。どうにも、妖怪の関与している感じがする。だが資料をめくっていきながら、瞬太が眉根を寄せた。
「でも、UDC職員の人が同じ時間に実地調査して、影なんて見つけられなかった、って書いてるぜ?」
 その言葉に、祐也と泰人が視線を交わしあった。現地で調査がされている、そして存在しないことが確認されている。しかし、見えないものを確認しようとしても、無理なのが道理だ。
 キングがビデオデッキにテープを入れながら頷く。
「そこがキモなのだ。ただ観察するだけでは影は見えない……『釣り』が鍵なのではないか?」
 そう発しながらビデオの再生ボタンを押す。数回のノイズが走った後、白黒の記録映像が映し出された。冒頭に、UDC組織の職員のものと思しき日時の発声も入っている。
「この映像は、多分その実地調査の記録映像なのだと思います……日付も撮影者が発言されています」
 そうして定点観測しているらしい映像が流れていく。代わり映えのしない、川の流れる映像だ。と、数分流したところで祐也が画面を指差す。
「あ! あそこ。川の底に何かいます!」
「ほう、やはり狗巻には何かが見えるか」
 その声に感心した様子のキングだ。彼の目には何も見えなかったが、やはり生粋のUDC。そうしたものを見ることの出来る目を、彼は備えているらしい。
 そのまま影の様子が観察できるか、と思いきや。
「……あれ?」
 祐也が不意に声を上げて首を傾げた。泰人が不思議そうな顔をしながら声をかける。
「狗巻君、どうしましたか?」
「今……飛んできた石がちょうど影のところに飛び込んだんですが、そうしたら影が消えて……」
 そう言いながら、ビデオデッキの巻き戻しボタンを押す祐也だ。見ると、画面左側の土手を車が走り去っていったのが見えた。そのタイヤが石を跳ねさせたのだろうか。
 その石がちょうど影に飛び込んで、影が消えた。これはきっと、なにか理由がありそうだ。
「石か」
「何か理由がありそうですね」
「入間川だろ、行ってみようぜ! 釣り道具も持ってな!」
 キングの呟きに、泰人と瞬太も頷いた。ここで得られた情報は、きっとUDC-Nullの調査に役立つはずだ。

●入手した情報
 ・川に釣り糸を投げ込むと、影が現れる。
 ・夕方、日が沈みかけた時に発生する。
 ・影に向かって石を投げつけると消える。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーネスト・シートン
UDC−Nullですか…

しかし、「COW」だけだと、どうしても、雌牛しか思いつかないんですよね。

さて、この施設の資料、調べるだけで1日以上は掛かりそうなものですね。
なら…(空薬莢をばら撒いて)小動物大騒乱。紙ベースの資料を探していただきましょう。あ、バナーくんもお願いね『えーーーーー!!、ぼくもなんですかーー!!』

一気に数体も動かしてると、辛いものがありますが…あ、ありましたか。
バナーくんも、いいの見つかりましたか??『な…なんとかですよー!』

ビデオテープは、VHSやβならまだしも、それ以前のフィルムもあって、それが面倒ですね。
とりあえずは、このぐらいかな。



●荒川の支流としては最長である
 そして、アーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)もまたさいたま市支部の資料保管庫で膨大な紙ベースの資料を前に腕をくんでいた。
「UDC-Nullですか……しかし、「COW」だけだと、どうしても、雌牛しか思いつかないんですよね」
 存在しないものとされたもの、UDC-Null。しかし先日の戦争で大いにその存在が明らかになってしまった以上、UDC組織としても看過は出来ないわけで。
 アーネストとしても放置できる問題ではない。とはいえこんな大量の資料を一人で調査しようなんて、無茶なことは出来なかった。
「さて、この施設の資料……調べるだけで1日以上は掛かりそうなものですね」
 何しろ、部屋中のラックに見上げるほどの資料がずらりと並んでいるのだ。これを一つ一つ、一人で確認していくのは骨が折れる。
 これは手助けが必要だ。アーネストは床に空薬莢をばらまいた。
「なら……大自然の精霊よ、力を与え給え」
 と、その薬莢の一つ一つが小動物へと……具体的にはネズミやリスへと姿を変えていく。その小動物たちが部屋のあちこちに散らばって、棚に登っては資料を確認し始めた。
「こうして皆さんに紙ベースの資料を探していただきましょう。あ、バナーくんもお願いね」
「えーーーーー!! ぼくもなんですかーー!!」
 ハイイロリスのバナーテイルにも声をかけると、当の本人はものすごく不服そうな声を上げた。その鼻先をちょんとつつきながら、アーネストが優しく言う。
「文句言わない。さ、やりますよ」
「ひえー!」
 その声に追い立てられて、バナーテイルは駆け出していった。とはいえアーネストもぼんやりとはしていられない。ネズミやリスたちは、アーネストが操作しないと動けないのだ。
「うーん、一気に数体も動かしてると、辛いものがありますが……」
 あまりにもあちらこちらに意識が向いて、少々頭がくらくらしてくるところだったが、ふと。棚の一つを確認していたネズミがアーネストに向かって鳴いた。
「チチッ」
「あ、ありましたか。ありがとうございます」
 その案内を受けて、アーネストが問題の資料を取り出す。そうして一つ、また一つ。テーブルの上に資料が積み上げられていく。
「バナーくんも、いいの見つかりましたか?」
「な……なんとかですよー!」
 その資料を確認しながらバナーテイルにも声をかけると、彼もどうやら何かを見つけたらしい。アーネストに返事を返してきた。
 あとは資料を確認する段階だ。一つ一つ、つぶさにその内容に目を通していく。
「やはり埼玉県、内陸の県だけあって川にまつわる逸話が多いですね……む?」
 そう言いながら一つの資料を読み終わり、次のものに手を付けたアーネスト。その内容の違いに目を見張りながら声を上げた。これは確か、バナーテイルの見つけたものだ。
「バナーくん」
「はいっ!?」
 その当人に声をかけると、尻尾をぴーんと立てながらバナーテイルが返事を返す。彼の頭をなでてやりながら、アーネストが席を立った。
「この資料のあった場所に案内してもらえますか?」
「え、は、はいー!」
 声をかけられたバナーテイルがテーブルから飛び降りて駆け出していく。そのまま棚を駆け上り、彼が足を止めたのはある一つの資料の前だ。一冊分空きがあるその棚、そこにまとめられていた資料の表題を見て、アーネストが唸った。
「……ふむ、『牛鬼』ですか」
 牛鬼。主に海岸や川、淵に現れる妖怪で、人間を襲う妖怪だ。主に西日本に伝わっている存在だが、この近隣にもいたのだろうか。
 その「牛鬼」に関する資料を確認しながら、アーネストが眉間にしわを寄せた。
「かつて川や淵に住み、そこから上がってくる怪異はすべて『牛鬼』だった……そして弓矢で退治されたという逸話が多いですね」
 そう呟きながら、彼はふとページをめくる手を止めた。
「牛……Cow……もしかして?」
 かのUDC-NullはコードネームとしてCOWを与えられていた。これが文字通り、「牛」を表すものだとしたら。
 何かしら、確信を得た表情でアーネストが資料を棚に戻した。ネズミたちの探してきた資料も棚に戻し、薬莢を片付けて息を吐く。
「とりあえずは、このぐらいかな。行きますよ」
「は、はいっ! 待ってくださいーー!」
 そうして彼はバナーテイルと一緒に資料保管庫を後にした。川に向かって、かのUDC-Nullの存在を暴かねばならない。

●入手した情報
 ・川に出現し、川から上がってくる怪異は、昔は「牛鬼」と呼ばれていた。
 ・牛鬼は弓矢で退治された。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『アングラーフィッシュ・レイダース』

POW   :    丸呑み攻撃
【頭部の誘因突起から放つ催眠光】が命中した対象に対し、高威力高命中の【丸呑み攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    祭儀場の召喚
【口から吐く霧状の催眠ガス】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を邪神復活の儀式空間に変える霧で満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    胃袋空間
小さな【体躯】で【丸呑みした口】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【広大な胃袋空間】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●標高1,294 mの大持山の南東斜面に源を発し、飯能市、入間市、狭山市、川越市を流れる
 猟兵たちはUDC組織さいたま市支部を出て川越市に入り、入間川へとやってきた。
 記録によれば、この川で黄昏時に、釣り糸を川に投げ込むことで、怪異である謎の影が出現するらしい。
 その儀式を行えば、きっと骸魂に飲み込まれたUDCが実体化するはずだ。
 事前に釣具店で釣り竿を買ってきた猟兵の一人が、夕日が沈みかけている事を確認してから川に釣り糸を投げ込む。
 ぽちゃん、という音とともに錘が水面に飛び込んだ、その時だ。
 川の様子が一変した。たくさんのアンコウのような魚影とともに、巨大な影が水面に浮かび上がったのだ。
 その影から、二本の角がにゅうっと伸びてくる。
「ブルルル……」
 牛だ。巨大な牛の怪異が、水面から猟兵たちを睨みつけている。
 と、水面に浮かんでいたアンコウの魚影が次々に飛び出してきた。ただのアンコウ、ではない、頭の後ろから首が伸び、まるで幼児のような矮躯を作り出している。
 アングラーフィッシュ・レイダーズ。彼らが鋭い歯の生え揃った口をカチカチと打ち鳴らしている。姿が見えなければ、きっとラップ音のようにも聞こえただろう。
 しかし今は、姿を捉えられている。猟兵たちはすぐさまに武器を構えた。
村崎・ゆかり
あー、釣り糸垂らすのやってみたかったな。まあいいや。
出てきたわね、UDC。誰かに被害が及ぶ前に討滅する。

「結界術」「全力魔法」斬の「属性攻撃」「範囲攻撃」「破魔」「道術」「仙術」で、風吼陣展開!
アンコウは全部この陣に取り込んで、荒れ狂う刃の嵐で切り刻む!

催眠光は「呪詛耐性」でこらえましょう。アンコウに丸呑みされるほど間抜けじゃないわ。

陣から抜け出した個体は、アヤメに相手してもらいましょ。基本結界で抜けられないはずだけど、念には念をね。
アヤメ、防御は任せたわよ。

さあ、UDC-Nullは、無駄な抵抗を止めてカクリヨへ帰りなさい。

前座は片付いた。次はいよいよ牛鬼ね。気を引き締めていきましょ。



●豊水橋から初雁橋間の左岸、および初雁橋から入間大橋間の右岸に自転車道が整備されている
 橋の上から川を見下ろしながら、ゆかりは小さく肩をすくめた。
「あー、釣り糸垂らすのやってみたかったな。けどまあ、いいや。さて……」
 希望を言うなら、水面に錘を落とすのを自分でやってみたかった。そうすれば、UDC-Nullの出現を自分でコントロールできたかもしれないのに。
 とはいえ、このUDC-Nullの出現は「儀式」が必要だ。それを行わないとUDCが出てこない以上、戦闘に持ち込むには誰かしらがやらないとならない。
 そんな事を考え、ちょっとの羨望を胸のうちに留めながら、ゆかりの紫の瞳が醜悪なアンコウの頭を見つめる。
「出てきたわね、UDC。誰かに被害が及ぶ前に討滅する」
 手には何枚もの符。戦闘の意思を感じ取ったか、アンコウが次々に歯を鳴らし始めた。
「ギキキキ!」
「カカカッ!」
 威嚇のつもりか、それとも攻撃準備か。いずれにせよ、やる気はあるようだ。
 向かってくるのに備えながら、ゆかりは傍らに控えてクナイを握るアヤメに声をかけた。
「アヤメ、いい? 今から風吼陣を展開するけど、もしかしたら漏れ出てくるやつがいるかもしれない。そうなったら、あなたに任せるからね」
「承知しました、ゆかり様」
 そう返事をするや、アヤメがその場から姿を消す。ゆかりの風吼陣は攻撃範囲がとにかく広い。そこの外で漏れ出てきた敵を捉えるには、相応に距離を離していないとならないのだ。
 かくして、川一帯のアングラーフィッシュを一網打尽にする勢いで、ゆかりが符を天に掲げる。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ。その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ!」
 風が吹き始めて足元で渦を巻く。スカートがはたはたとはためいた。風の音が甲高く鳴った、次の瞬間だ。
「疾!」
 発する文句。それと同時にゆかりの周囲535メートルを暴風が覆い尽くした。
 無数の刃を孕んだ、風速にして秒速50メートルにも達する暴風結界。それこそがこの風吼陣である。風は結界にもなっているため、易易と抜けられないこととは思うが、アヤメを配置したのは万一のためだ。
「ガッ!?」
「キカカッ!」
 そしてその風が刃となってアングラーフィッシュに襲いかかる。切り刻まれて困惑する彼らは東武の誘引突起からめちゃくちゃに光を放つが、呪詛に強い耐性を持つゆかりには響かない。
「おっと。さすがにアンコウに丸呑みされるほど間抜けじゃないわ」
 飛び出してくるアングラーフィッシュをひょいと避けたゆかりが、符の一枚をその身体に押し付ける。と、突き飛ばされたアングラーフィッシュが風の刃に寸断されて消えていった。
 呼び出した部下が次々に切り刻まれて消え去っていくのを、牛鬼は水中からじっと見つめている。ふと、ゆかりと視線がぶつかった。
「ブルル……」
「さあ、UDC-Nullは、無駄な抵抗を止めてカクリヨへ帰りなさい」
 口角を下げつつ、符を持った手を牛鬼に向ける。あれを叩きのめすのは、もう少し後だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アーネスト・シートン
おそらくは、UDCでしょう存在が出てきましたね。
あなた達はお呼びではないので、即刻お帰り願いますね。
アンコウをモチーフとしたように見えますが、胴体が人型…魚人とも言うべき存在ですかね。
さすがに、そんなキモい存在には、お近づきたくないので、早速夢の世界へお送りいたしますね。
喰っても不味そうな予感しかしませんし。
奴らが地上に上がり次第UC使用致します。

貘さん、彼らを眠らせていただきたい。
奴らは地上にいますし、魚類が入っているからには、眠るでしょうし。
寝たら、遠距離からM.S.L.で【スナイパー】【破魔】で、頭部を狙撃して骸の海に帰っていただきますよ。

あとは、川底の牛鬼が残っておりますからね。



●飯能河原の先、岩根橋より上流の旧名栗村の地域では名栗川と呼ばれているが、埼玉県では入間川としている
 アングラーフィッシュが次から次へと、水中から水面に、はたまた川岸に姿を現している。そんな様をみやりながら、アーネストはM.S.L.を構えながら嘆息した。
「UDCでしょう存在が出てきましたね。ですが、あなた達はお呼びではないので、即刻お帰り願いますね」
 自分たちの目的は牛鬼の方。アングラーフィッシュはおまけでしかないのだ。そんな連中にわらわら出てこられても、こちらが困る。
 しかし、それにしても。その醜悪な外見に、眉間にしわを寄せるアーネストだ。
「胴体が人型……魚人とも言うべき存在ですかね。さすがに、そんなキモい存在には、お近づきたくないので」
 哺乳類ではないし、もふもふしていないし、なにより気持ち悪い。だから近づかないうちに、近づかれないうちに倒したい。それ故の、スナイパーライフルである。
 そんなことなどお構いなしに次々川岸のコンクリートの上に上がってくるアングラーフィッシュたち。それを見ながら、アーネストがそっと声をかけた。
「早速夢の世界へお送りいたしますね。貘さん、よろしくお願いします」
 声をかけられた相手はバクだ。召喚されたバクが川岸に降り立ち、睡眠の波動を放ち始める。
 謎の生き物が現れたことよりも、遅いくる強烈な眠気に、アングラーフィッシュたちは困惑した。
「ギギ……!?」
「キ……」
 困惑しながらも眠りに落ちていくアングラーフィッシュ。それを見ながらアーネストが照準を合わせた。
「魚類が入っているからには、眠るでしょうしね」
 狙いは頭。頭を吹き飛ばせば大概の生き物は死ぬだろう。故に。
「では、おやすみなさい」
 無慈悲に彼は引き金を引いた。何度も、何度も。その度にアングラーフィッシュの頭部が吹き飛ばされ、その身体が骸の海に還っていく。
「ブルル……!」
 次々に鳴り響く銃声に反応したのか、水中で様子を見ていた牛鬼が鳴いた。そちらをチラと見つつ、アーネストがライフルのリロードを行う。
「あとは川底の牛鬼ですか。まあ、地上に姿を表すまで待つとしましょうか……」
 まだ、相手は姿を地上に現さない様子。それまでは、配下を排除する時間だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

キング・ノーライフ
ようやく影を掴んだか、ならば後は一気に仕留めるのみよ。
とはいえ石等が川面に入って影に触れると怪異が消えるかもしれん、
気を付けて戦うとしよう。

という訳で水面に影響が少なさそうな攻撃をするかと【神は神を呼ぶ】を使用。邪神には水面に触れぬように触手で薙ぎ刺しして貰えばその辺の心配は薄いか。催眠ガスも触手には触れても邪神本人に効果は薄いし、邪神復活の儀式空間は邪神にとってはむしろホームだからな。

我も【誘導弾】で当てていけば水面に影響を及ぼす確率は低いので遠距離攻撃で倒していくか。

流石にメインに戦わせるから礼代わりの埼玉のCMでやってた饅頭でも渡しとく。古い資料やテレビ映像を見過ぎた影響かもしれんな。



●さらに名栗の「名郷」集落より上流の源流域では、横倉入と呼ばれている
 アングラーフィッシュが次々に水面から湧き出してくる中、キングはノーライフを手にしながら水中の影を睨みつけた。
「ようやく影を掴んだか、ならば後は一気に仕留めるのみよ……とはいえ。あまり派手に戦って石等が川面に入って影に触れると、怪異が消えるかもしれんな」
 そう、この怪異は伝承の通りなら、石が飛び込んでくるのに弱い。石がなにかの拍子に川に飛び込んできて、それが影に当たったりして取り逃がしたら目も当てられない。
 何かしら、大々的に暴れなくても済むような攻撃方法が必要だ。
「となれば。あいつの出番だな。来い、邪神よ」
 そう言いながらキングがさっと手を伸ばす。そこに異界の門が開かれ、中から姿を表すのは少年の姿をした邪神だ。どうも、眠たげな目つきをしている。昼寝でもしていたのだろう、キングに批判的な視線を向けてきた。
「あぁー……」
「そう言うな、あとで礼はちゃんとしてやる。先日埼玉のCMで、美味そうな饅頭を見つけたのでな、買ってあるぞ」
 邪神の少年の頭をなでてやりながら、キングが取り出すのは埼玉県のとある銘菓だ。うますぎる白いあいつである。
 それを目にした邪神がぱっと目を輝かせた。それを見て頷いたキングが、指を川の方に向ける。
「そういうわけだ。水面に触れぬようにあれらを倒せ」
「あぁぁー……!」
 彼の言葉を受けた邪神が川と、そこにうごめくアングラーフィッシュをにらみつける。と、少年の背中から何本もの触手が現れた。それがぶんと振るわれ、水面上のアングラーフィッシュをなぎ倒す。
「ギャッ……!」
「ギキ……!」
 ふっとばされていったアングラーフィッシュが消えていった。しかしまた次から次へと湧いてくる。それを見やり、キングも改めてノーライフを握った。
「ふむ、思った通り。では我も少し仕事をしようか」
 銃口を向けて引き金を引く。発射された弾丸が一直線に向かう、かと思いきや、水面ギリギリでぐいと曲がった。水面の上を這うように走った弾丸が、アングラーフィッシュの誘引突起を吹き飛ばす。
「ギギ……!」
 それに怒りを覚えたか、アングラーフィッシュが催眠ガスを口から放った。とはいえ、邪神がいるのは川岸の上。ガスは到底届かない。どころか、ガスがその場にとどまるにつれて邪神の表情がみるみる明るくなった。
「あぁぁぁ……!」
「調子が良いか? そうだろう、邪神復活の儀式空間とのことだからな。お前にとってはホームグラウンドだ」
 キングが召喚したのはUDCアースの邪神そのものだ。それが邪神の召喚儀式のバにいたら、力を増さない筈がない。
 元気になっていく邪神の少年に、水中の牛鬼が視線を向けた。
「ブルル……」
「あー……」
 邪神も、そちらに顔を向けてじーっと見つめ合っている。UDCアースの外側に由来を持つ者同士、惹かれ合うものがあるのだろうか。
「ふん。もう少ししたら相手をしてやる。それまで静かに待っていろ」
 キングはそう言葉を吐きながら、改めてアングラーフィッシュの身体をノーライフで撃ち抜いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロット・クリスティア(サポート)
集団戦ですか。良いでしょう、人手が要るのであれば、お任せください。

指定ユーベルコードの中から、極力一網打尽にできるようなものを優先して使用。
正面切っての戦いはそこまで得意でもないですが、こちとら射撃や罠が得意分野。ゲリラ戦はお手の物です。
待ち伏せ、誘い出し、相手の裏をかいて警戒の外から攻め立てていきますよ。
存分に敵陣を引っ掻き回してやりましょう。

戦いは試合じゃない。フェアプレイなどはする気はありません。
人道からは外れずとも、卑怯と言われそうな手も……まぁ、場の空気が許すのなら、躊躇なく。
最小の労力で最大の戦果を。スマートに進めていきましょう。



●狭山市の流域には1954年まで埼玉県入間郡入間川町が存在していた
 水面から這い出てくるアングラーフィッシュの数が、まだ減らない中。戦場に駆けつけたシャルロット・クリスティア(弾痕・f00330)はその敵の数を見ながら、肩にかけていたマギテック・マシンガンのベルトを外した。
「集団戦ですか。良いでしょう、人手が要るのであれば、お任せください」
 これだけの数だ。人手はあればあるほどいいだろう。そう告げながら、彼女はマシンガンを土手の上で構えた。
「カカカ……!」
「ギガ、ガ……!」
 銃を構える彼女の姿を認めて、アングラーフィッシュが歯を鳴らし始める。その姿をちらと見ながらも、シャルロットに動揺はない。
「相手は水生生物ですか。ですが関係ありません、私には」
 水中にいる生き物だろうと、遠距離攻撃を得手とする彼女には関係のないことだ。それに。
「ギギーッ!」
「ああ、それと」
 勇んで飛び出し、土手を駆け上がろうとするアングラーフィッシュに、シャルロットは冷たく言い放った。
「迂闊に動くと、危ない『かもしれない』ですよ」
 「仕込み」は既に済ませてある。土手だから下草も多く、隠すには実に都合が良かった。結果として。
「ギィッ!?」
「ガ!?」
 アングラーフィッシュが土手の中腹で次々足を止める。その足は、トラバサミによってがっちり食いつかれ、身動きが取れなくなっていた。
 シャルロットは先んじて、土手に罠を大量に仕掛けておいたのだ。
「ほら、言ったとおりだったでしょう? 戦いは試合じゃない。フェアプレイなどはする気はありません」
 命と命の取り合い、生き残ったほうが正義なれば。打てる手は何でも打つのが戦いというものだ。正々堂々など、自分の性には合わない。
 そして引かれるトリガー。放たれた銃弾が、身動きの取れない的と化したアングラーフィッシュの頭蓋を砕き、骸の海へと還していく。
「ギ……!」
「ギィ……」
 断末魔を上げながら消えていくアングラーフィッシュ。彼らを見ながらシャルロットはマシンガンを構え直した。
「最小の労力で最大の戦果を。敵の頭数が多いときこそ、スマートに進めていきましょう」
 次に敵が控えているからこそ、多数の敵は最小限の労力で仕留める。その重要性を説きながら、次の敵の頭にシャルロットは狙いを定めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

朧百合・祈來璃(サポート)
幽世に住まう東方の白蛇妖怪。
元は東洋の白蛇の怪談や逸話等の集りから生まれ、後に蝶化身などが融合している。 

外見年齢20代前半/実年齢100歳以上

通常口調『静かにゆったりと(わたくし、~様、ございます、ございましょう、ございますか?)』
真剣な時は『信念のある(我、あなた、呼び捨て、まし、ませ、ましょう、ますわね?)』

よく番傘をさしてるどこか憂いを帯びた物静な女性。
落ち着いていて戦闘も苦戦しても余り動じない。

必要ならば多少の怪我は致し方ないと思っている。
他の猟兵に迷惑をかける行為や公序良俗に反する行動はしない。

連携:お好きにどうぞ



●古くは荒川は東寄りの現在の元荒川を流れ当時の利根川に合流しており、入間川は単独で下流の隅田川へと流れていた
 番傘をさしながら、朧百合・祈來璃(ある古神の神使・f28847)が入間川の川岸に立っている。川にうごめくアングラーフィッシュを見やりながら、彼女は小さく目を細めた。
「なるほど……醜悪でございますね。こんなものが氾濫しては、川のためになりませんわ」
 アングラーフィッシュの醜い姿を見ながら、祈來璃が番傘をたたむ。彼女の動きを目にしたか、川からアングラーフィッシュが次々に飛び出しては、川岸で彼女を睨みつけた。
「ギキキッ!」
「キキキ……」
 カチカチと歯を鳴らすアングラーフィッシュ。それを真正面に見ながら、祈來璃はさっと手を伸ばした。
「殲滅して差し上げますわ。おいでなさい、我が神器」
 呼び出されるのは丸い鏡だ。それがいくつも複製されて、ひとりでに光を放つ。
 破魔の光に照らされたアングラーフィッシュが、次々に悲鳴を上げた。
「ギッ!?」
「キキーッ!」
 体の力を奪われているのだろう、その場に転がって悶え苦しみ始めるアングラーフィッシュ。その様を冷静に見ながら、祈來璃はさらに鏡を増やしていった。
「照らしなさい、照らしなさい。そして骸の海への道を作るのですわ」
 四方八方に展開する鏡。それがアングラーフィッシュを次々に倒れさせ、骸の海へと還していった。
「ギ……」
 小さな悲鳴を上げて倒れ込んだアングラーフィッシュの姿が、光に溶けて消えていく。
「ふふ、そう。いい子ですわね……おやすみなさい」
 祈來璃はそう言って笑いながら、展開した鏡を戻した。光が収まる中、何体かのアングラーフィッシュと牛鬼が、忌々しそうにこちらを見ている。
「さて……残すはあと僅か。後は次の方にお任せいたしますわ」
 そう言い残して、祈來璃は再び番傘を開く。そして静かに、流れる川を見つめるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神薙・焔(サポート)
●一言でいうと
元気なセーラー服ガジェッティア(帝都桜學府に編入) with ガトリングガン

●外見
燃えるような赤毛、猫っぽいよく動く緑の目、自身ありげ
クセのある髪を飾り気のないカチューシャで纏めている
セーラー服、スカートの下はスパッツ
小柄でスポーティ。ふとももが健康的、胸は巨

●性格
強気で自信家、理系女子。普段は見せないが寂しがり屋
動物好き、大食い。またゲーム好きで腕前もなかなか

一人称:二人称:三人称=あたし:あなた:〇〇ちゃん/くん/さん

●戦闘
ガトリングガンでの拠点防衛や仲間の援護、キーパーソンをかばう等、接近戦では焔を纏ったバルディッシュで戦う、また時にガジェットを使って状況をひっくり返す



●最寄の西武新宿線狭山市駅の旧称も「入間川駅」であった
 残るアングラーフィッシュはあと数匹、というところ。ここでガトリングガンを携えた神薙・焔(ガトリングガンスリンガー・f01122)が、川岸に飛び込んできた。
「もう一息ってところね。いいわ、ここで決めてやろうじゃない!」
 やる気満々、気合も十分。そしてガトリングガンを構えたところで、水面からアングラーフィッシュが上がってきた。
「キキギギ……!」
 焔を見上げながら、鋭い歯をカチカチ鳴らすチョウチンアンコウの魚人。その姿は醜悪と言うより他にない。
「うわっ、やっぱりキモい。あんまりあたしにそんな姿を見せないでよね!」
 一般的な女子らしい感性を持つ焔も、これをキモいと感じたらしい。すぐさま、ガトリングガンから弾丸を放ってアングラーフィッシュを片付けにかかる。
「ギィッ!」
 対してアングラーフィッシュも口から催眠ガスを放ってきた。ガスを吸い込まないように息を止め、位置取りを変える。川岸から川べりまで滑り降りながら、焔は思案した。
「ここは川岸、周囲に人影はいない……なら、これで行ける!」
 この位置なら、誰かを巻き込む心配はない。心臓に宿した焔の封印を一気に解いた。
「はぁぁぁーっ!」
 裂帛の気合とともに、彼女の周囲を炎が覆い尽くす。その炎は川の水面をも焼き、アングラーフィッシュを灼熱の只中に叩き込んだ。
「ギ……!」
 声を上げる暇もなく、焼き尽くされていくアングラーフィッシュ。そして炎が収まった時、そこには焔ただ一人だけがいた。
「っく、よしっ。これで片付いたかな……!」
 安堵の息を吐きながら、焔が周囲に視線を向ける。と。
「ブモ……!」
 ちょうど、もう我慢ならぬと川から上がってくるところだったのだろう。牛の頭部に見える瞳が、焔を捉えた。
「いや、まだか……あいつがいるね!」
 いよいよ、本体のUDC-Nullの登場だ。焔は川岸を昇って一旦退きながら、小さく口角を持ち上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『人造邪神・タィラヌス』

POW   :    鏖殺砲撃
自身が装備する【キャノン砲】から【無数の砲弾】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【部位損傷またはスタン】の状態異常を与える。
SPD   :    殺戮斬撃
自身の【胸の紋章】が輝く間、【鉤爪】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    破滅招来
召喚したレベル×1体の【異界の悪魔達】に【翼】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアマリア・ヴァシレスクです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●江戸時代の1629年に荒川の付替えが行われ、熊谷市久下から現在の荒川合流点まで開削し、現在の流れが形作られた
「ブルルル……!」
 川の水面が大きく揺らめく。そしてざばぁっ、と大きな音を立てながら、巨体が水中から現れた。
 牛の頭部を持ち、鋭い爪と巨大な砲を携えた獣人だ。人造邪神・タィラヌス。しかしその性質は数々の噂話によって歪められ、妖怪「牛鬼」としての性質を強く有しているようだ。
 つまり、水にまつわる怪異である、との性質。人間を水中に引きずり込み、姿を見たものに呪いを与える怪異へと変貌を遂げていた。
 しかしそれは、その怪異の弱点を同時に有していることでもある。
 「影に石を投げ込んだら消えた」という謂れが、意味するものは何か。「弓矢で退治された」という逸話が多いのは何故か。
 猟兵たちはタィラヌスと相対しながら、その存在を骸の海に還すための戦い方を思案するのだった。

●特記事項
 ・タィラヌスのユーベルコードに一部変化があります。
  [POW]ではキャノン砲から【水の砲弾】を放ってくる攻撃に変化しています。
  [WIS]では召喚してくるものが【鋭い牙を備えた魚】になっています。

●第一章で入手した情報
 ・入間川流域で確認された現象。
 ・大きな生き物の影が川の底を動いていた。
 ・釣りをしている釣り人が発見したとの報告がある。
 ・川に釣り糸を投げ込むと、影が現れる。
 ・夕方、日が沈みかけた時に発生する。
 ・影に向かって石を投げつけると消える。
 ・川に出現し、川から上がってくる怪異は、昔は「牛鬼」と呼ばれていた。
 ・牛鬼は弓矢で退治された。
アーネスト・シートン
ついに、牛鬼が登場したかと思えば、実は別物でありましたか。
ううむ、獣人型ではあるものの、所々に機械が埋め込まれていますか。
コレを倒して、事件を解決させておきますか。

しかし、コレをどうにかしないと事件は終わりませんし、何より、調査も終わりませんからね。
ならば…鼬にでもなって、小柄な身体で、接近して、コレの攻撃から逃れ、そして、近付けたら、人間に戻ってM.S.L.を至近距離から撃ちますよ。
弓が弱点なら、銃も効くはずですからね。



●また現在の入間川が荒川に合流するあたりから下流の旧入間川は現在の流路より北部を蛇行して流れていた
 遂に姿を現したタィラヌスに、アーネストは眉根を寄せながらおのれの銃を握った。
「ついに、牛鬼が登場したかと思えば、実は別物でありましたか。ううむ……」
 もっと古くからの怪異らしい牛鬼かと思ったら、思っていたのとは少々違った様子。とはいえ牛鬼と一口に言っても様々な姿をしているらしいので、一概には言えないが。
 アーネストが自分を見てくるのを、挑発と受け取ったか。タィラヌスが荒い息を鼻から吹き出しながら、左腕の砲を構える。
「ブフルルル……!」
「獣人型ではあるものの、所々に機械が埋め込まれていますか。しかし、コレをどうにかしないと事件は終わりませんし、何より、調査も終わりませんからね」
 かつてカクリヨファンタズムから流れ着いてきた妖怪だろうと、今がどういう位置づけにある生き物であろうと、これが実体を持ってしまってはこの川の流域に住む人々のためにはならないだろう。撃破しなくてはならない。
「コレを倒して、事件を解決させておきますか」
 そう呟くと、アーネストの姿が一瞬にしてかき消えた。タィラヌスの目にはそう映っただろう。実際はアーネストはそこにいて、小さなイタチの姿に変じただけなのだが。
「ブモッ!?」
「小さいけど、実は凶暴なんですけどね」
 誰に言うでもなくそう言うと、アーネストはタィラヌスに接近を開始した。混乱したタィラヌスが荒れ狂いながら、左腕のキャノン砲から多数の砲弾を放つ中を。
「ブモォーッ!」
 咆哮を上げるタィラヌス。左腕が絶えず炎を放っている。そして砲弾が雨あられと飛ぶ中を、するりするりとすり抜けながらアーネストは進んだ。
 そして、彼がタィラヌスの目の前まで来た時。彼は再び人間に戻って銃を構える。
「よし。これでもくらいなさい!」
 遠距離狙撃用の武器であるM.S.L.による至近距離からの射撃だ。威力は当然のように高い。その弾丸が眉間に吸い込まれるように叩き込まれて、タィラヌスの身体を後方に振れさせた。
「グゥッ……!」
「弓が弱点なら、銃も効くはずですからね」
 再び後方に離脱しながら、アーネストが呟く。眉間から血を流す人造邪神を見やり、彼はもう一度目を細めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
ああ、ここの牛鬼はこういうなりをしてるのね。妖怪よりはUDCに近いのかしら?
弓矢は魔除けの象徴。破魔矢がいい例ね。

弓矢を使えばいいのなら――式神十二天将召喚儀。
弓矢を携える彼夷羅大将を本命として、他の式たちは「式神使い」と「集団戦術」で牛鬼を包囲させて、逃がさないように近接戦闘に持ち込ませる。
特に川へ逃げ込まれないよう足止めをしっかり。

アヤメはあたしの護衛を頼むわ。
もっとも、十二天将のほとんどに攻めかかられてる状態で、こっちを狙うとも思えないけど。

彼夷羅大将はよくよく状況を見定め、他の式が隙を作らせたところで弓を射て。
「破魔」の矢が急所に刺されば儲けもの。

これで妖怪から骸魂を分離出来たかしら?



●今より浦和市街に近い形で、大宮台地を避けて蛇行していた
 両の足で地面を踏みしめるタィラヌスを、ゆかりは興味深そうに目を開きながら見ていた。
「ああ、ここの牛鬼はこういうなりをしてるのね。妖怪よりはUDCに近いのかしら?」
 カクリヨファンタズムの妖怪のような超自然的な存在というよりは、UDCの歪で不気味な感じを受ける。もしかしたら、UDCだったものが骸魂の影響を受けてUDC-Nullとなったのかもしれない。
「ブルル……」
 瞳を爛々と輝かせながらこちらを睨み、右手の爪を光らせるタィラヌス。自分を守るように立ちながらクナイを握るアヤメに、ゆかりはちらと視線を向けた。
「アヤメはあたしの傍に。護衛を頼むわね」
「承知しました、ゆかり様」
 端的に伝えれば、アヤメはこくりと頷いてくる。それを確認してゆかりは自身の呪符を握った。霊符『白一色』、それを12枚。
「弓矢は魔除けの象徴。破魔矢がいい例よね。弓矢を使えばいいのなら――」
 こういう時、適した式神が自分の手元にはある。『白一色』を空中へと投じながら、唱える。
「急急如律令! 六壬式盤の導きによりお招き申す! 天の十二方位を支配する十二天将よ、我が言葉に応え顕現せよ!」
 陰陽道の文句を唱えれば、『白一色』の一枚一枚が解けて塵になり、その塵が再び像を結んで形を成す。唐風の戦装束で武装した、薬師如来に属する護法の十二神。
 ゆかりがまず目を向けたのは、弓矢を携えた彼夷羅大将だ。
「彼夷羅大将、よくよく状況を見定め、他の式が隙を作らせたところであれに弓を射て。残る者はあれを包囲し、川に逃れられないよう抑え込んでちょうだい」
 自律行動を行える式神たちに命じれば、すぐさまに彼らは動き出した。彼夷羅大将だけがその場に残り弓に矢を番え、残りの十一神はタィラヌスを取り囲むようにして接近戦に持ち込む。
 タィラヌスも右手の爪を縦横無尽に振るって応戦するが、人数差は大きい。徐々に動きを封じられつつあった。
 そんな様を油断なく見ながら、アヤメがゆかりに声をかける。
「ゆかり様、はたして私が護衛に付く必要はあったでしょうか」
「万一、こちらを狙って来ることがあったら、とは思っていたけれど。そこまで器用なことが出来る相手じゃなさそうね」
 ここで向こうがキャノン砲を乱射してくるなら話も違っただろうが、どうやらそこまで気の回る敵ではないようだ。そのことに内心で安堵する。
 と、十二天将の連携攻撃を大きく爪を振るっていなしたタィラヌスが大きく吼えた。
「ブモォォォ!」
 その瞬間だ。タィラヌスの額と胸が顕になった。
「っ!」
 その機を逃さず、彼夷羅大将が番えた矢を放った。一直線に飛んだ矢が、タィラヌスの眉間に深々と突き刺さる。
「ッ、ブ、モォォォ!!」
「よし! 急所は、射抜けたかしら」
 苦悶の声を上げながら悶え苦しむタィラヌス。かなりのダメージが入ったようだが、まだ倒れる気配はなさそうだ。
「川に向かって投げつけられる石は、矢の隠喩だったのでしょうか」
「そうかも知れないわね、もしかしたら釣り糸と、その錘も」
 アヤメがそう言葉をこぼすのに頷きながら、ゆかりは小さく口角を持ち上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・クロセ(サポート)
真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!
正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!
スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、それがステラです。

一人称は「アタシ」ですが殆どの猟兵は先輩に相当するので話すときは「わたし、あなた」といった礼儀正しい振舞いとなります。
探索系はストレートな解決法を選び、
戦闘では正々堂々と敵の正面に立って攻撃を引き受け味方にチャンスを作る方が好みです。なお、近接戦闘派です。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
正義を大事にするので、他の猟兵の意図を阻害したり公序良俗に反する行動はしません。



●また昭和期の航空写真では旧流路に人家が少なく、岸に沿って集落があったため、くっきりと流路が確認できる
 タィラヌスが苦悶の声を上げる中、川岸に駆けつけたステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)は、額からダラダラと血を流すタィラヌスを見て目を大きく見開いた。
「うわ、見るからに強そうな敵だね。でもこういう力押しで来る相手なら、アタシの得意分野だよ!」
 ああいう、物理攻撃に特化したような敵ならお手の物だ。直情正義、単純明快。真正面からぶつかりに行くのが基本スタイルのステラとは相性がいい。
 ステラの姿を認めたタィラヌスも、右手の爪を構えた。どうやらあちらも突っ込んでくる心算らしい。
「ブルルル!」
「正々堂々、真正面から! さあ、おいでよ!」
 炎のサイキックエナジーで出来たNow or Neverを構えながら、ステラがタィラヌスを待ち構える。まっすぐに一直線にステラに向かってきたタィラヌスが、思い切り右手の爪を前に突き出した。
「ブモォォォ!」
「くっ……!」
 その爪をNow or Neverの刀身で受け止めるステラだ。サイキックエナジーと爪がぶつかって激しく火花が飛ぶ。そこからタィラヌスの胸の紋章が輝いた。爪が縦横無尽に振るわれる。
「ウモォォッ!!」
「つぅっ、なんて激しい攻撃……! だけど、甘いね!」
 その爪の一撃ずつを、ステラは刀を振るって捌いていく。激しい攻撃だ、だが防げないほどではない。全ての爪を捌き切ったステラが、お返しにとNow or Neverを突き出した。
「この光を、戦場の隅々まで漂わせます!!」
 刹那、猛烈な勢いで刀による突きが繰り出された。その攻撃の勢いはまさに流星雨、間断ない連続攻撃がタィラヌスの身体に殺到する。
「モ……!?」
 一瞬のうちに何百と貫かれたタィラヌスが目を大きく見開いた。その瞬間、タィラヌスの額に刀が突き刺さる。
 そのまま、その巨体が勢いよく後方に吹き飛ばされた。川岸に身体を叩きつけるタィラヌスを見て、ステラがにやりと笑う。
「ふっ、アタシに近接戦闘を挑もうなんて、十年早いのよ!」
 自信満々にそう発しながら、ステラはぴ、とNow or Neverを振った。

成功 🔵​🔵​🔴​

キング・ノーライフ
妖怪からサイボーグ化というオチに繋がるとはな。
だがただ機械化した獣人が機械の神に勝てると思うなよ。

察するに紋章が高速連続攻撃のブーストか。
ならばそこを突けば人工邪神の力に影響があるだろう。

さて、ここまで矢弾を撃ちまくられたら奴が狙うのは接近戦、なのでこちらに来るだろうなぁ。ただ素直に斬り合う気はない、前哨戦から続けて邪神と二人で立ち向かう。

【見切り】と【誘導弾】による牽制で片方に的を絞らせんように戦い、AI運転の【ヴァーハナ】が来たら反撃。【運転】で攻撃をかわしつつ触手で四肢の一個でも封じてもらい、紋章に【弾幕】を【内臓ガトリング】で叩き込む。

機械化獣人か…従者を連れてこなくて正解だったな。



●江戸では火災が多発し木材が足りなくなると、入間川を使い、名栗村から大量の木材を運び入れた
 全身から血を流しながらも、未だ両の足で立ち続けるタィラヌス。その姿を見ながら、キングと邪神は揃って目を細めていた。
「妖怪からサイボーグ化というオチに繋がるとはな。だがただ機械化した獣人が機械の神に勝てると思うなよ」
 傲慢にキングが言い放てば、タィラヌスの耳がピクリと動いた。神、という言葉に反応したのだろう、両腕を広げながら天を見上げて吼える。
「ブモ……!」
「あ……」
 胸元の紋章を光らせるタィラヌスの姿に、少年の姿をした邪神が金の目を見開いた。キングによく似た顔立ちの、少年らしいあどけなさを残した邪神の肩に、キングが優しく手を置く。
「どうだ、感じるか? 人工物とは言えあやつも邪神、近しいものを感じるだろう」
 キングの言葉に、邪神が金の瞳をキングへと向ける。そしてギザギザの歯を開きながら、短く不服そうに言った。
「あぁぁ!」
「一緒にするな、と? ふっ、その通りだな。本物の邪神の力を見せてやれ」
 邪神の言葉は一般には意味ある音として聞こえない、しかしキングには、その意図が伝わるようだ。そこは、契約を結んでいる故もあるのだろう。
 と、タィラヌスの胸元の紋章が一層輝く。その光を強めながら、右手の爪を掲げてタィラヌスが地を蹴った。
「ブモォォォ!」
 向かってくる。それを見た邪神も背中から触手を這い出でさせて構えた。ノーライフを構えるキングにちらと視線を向ける。
「あぁぁ!」
「よし、そちらは任せる。いい具合に触手を叩き込んでやれ」
 言葉を交わし合うと、邪神とキングはそれぞれ別の方向に回避した。二人の間を割るようにして飛び込んだタィラヌスの爪が、コンクリートの地面に穴をうがつ。
 憎らしそうな声を上げながら、タィラヌスがキングを睨みつけた。
「ブルル……!」
「腹立たしいか? そうだろうなぁ。真正面からぶつかり合おうとしないのだから」
 それに対して、回避しながらノーライフの引き金を引き、誘導弾を放ちながら言い放つキングだ。邪神も触手を伸ばして打とうとしているが、その攻撃は相手を倒そうと言うより、行動の邪魔をしようという意図のほうが強い。
 そのまま二人に攻撃を加えようというタィラヌスと、その攻撃の回避に専念する二人が、何度目かの回避を行った時。遠方から高らかなエンジン音が聞こえてきた。
「あ……」
「ブモッ?」
 エンジン音はまっすぐこちらに向かってくる。一般的な乗用車のエンジン音ではない。タィラヌスが不思議そうな表情をしてその音の方を見た時だ。
 キングがうっすらと笑みを浮かべた。
「来たか」
 そう声を発した次の瞬間、川岸に飛び込んできたのは鳥のような外観をした巨大な装甲車だった。UDCアースの一般道を走行するならギリギリの車幅を持つ装甲車が、乗り手のいない運転席をひとりでに開く。
 キングはその運転席にひらりと飛び乗った。シートベルトを締めつつ、邪神に声を飛ばす。
「よし、反撃するぞ」
「あぁぁ……!」
 頷いた邪神も一転して攻勢に出る。一気に飛び出した無数の触手が、タィラヌスの四肢を絡め取った。空中に磔にされたタィラヌスが目を見開く。
「ブ……ッ!?」
「よくやった。さあ、全弾叩き込んでやる」
 それを確認したキングが一気にアクセルを踏んだ。猛スピードで突っ込んだヴァーハナの車体から内蔵ガトリングが飛び出す。そのガトリング砲から放たれた無数の弾丸は、むき出しになったタィラヌスの胸の紋章に、一気に叩き込まれた。
「モ……モーゥ……」
 それが止めとなったのだろう。胸に大きな穴を穿たれたタィラヌスの身体が崩れ去っていく。そうして姿を失い、左腕に取り付けられていたキャノン砲が地面に落下した。
 そのキャノン砲を、ヴァーハナから降りて拾い上げたキングが、悲しげに目を細める。
「機械化獣人か……従者を連れてこなくて正解だったな」
「あー?」
 もしかしたら、タィラヌスの大元になった獣人は一般のUDCだったかもしれない。
 そう思うと、元々は獣人な自分の従者たちがどう思うか。
 キングはそうして、キャノン砲の表面をそっと撫でるのだった。

 その後、UDC-Null「コードネーム:COW」についての情報は、猟兵たちによって詳細にまとめられ、正式な資料としてUDC組織さいたま市支部に保管されることになった。
 UDC-Nullとなった妖怪たちの動きはまだ全てが収まったわけではないが、この情報がきっといつか、何かの役に立つこともあるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月26日


挿絵イラスト