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銀河帝国攻略戦⑧~超頭脳戦艦撃破指令

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●迫り来る帝国艦隊
「銀河帝国との戦いが続いているけど、今のところは私達の方が優勢ね。『解放軍』の戦力も整って来たし、ここは攻め時ってやつかな?」
 敵の切り札の一つである『カイザー・レイ』も、猟兵による攻撃によって破壊された今こそ、攻めの手を休める時ではない。しかし、このまま一気に攻め込みたいところだが、帝国も甘くはないと、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は集まった猟兵達に次の作戦の概要を告げた。
「銀河帝国は、帝国大要塞『エンペラーズマインド』を最終防衛ラインにして、『解放軍』を迎え撃とうとしているみたいね。この『エンペラーズマインド』って、遺失技術の一つで、こっちのワープドライブを妨害する厄介な能力を持っているわ」
 そういうわけで、まずは『エンペラーズマインド』を守る帝国艦隊を倒さねばならない。『解放軍』のスペースシップを中心に『艦隊戦』を仕掛けるのが主な作戦だが、それでも彼らのスペースシップは本来であれば民間船。
 大規模な艦隊戦の経験などなく、戦闘に関しては素人も同然だ。いかに数の差で勝っているとはいえ、開戦直後は混乱により、無駄な犠牲を出してしまうこともあるだろう。
 場合によっては、大損害を受けたことで逃げ出すスペースシップも現れ、そうなると戦線が崩壊してしまう。それを阻止するためには、混乱する『解放軍』のスペースシップを撃破しようと迫りくる、帝国艦隊の前衛部隊を叩かねばならない。
「今回の敵は、戦艦だからね。バラバラに戦っても効率悪いし、なるべくチームを組んで戦って欲しいのよ」
 敵の戦艦は、その中枢に巨大な頭脳を据えている。ドクター・ジェミニィブレインと呼ばれるマッドサイエンティストのサイボーグで、船の中枢とリンクすることで、その指揮系統や火器管制などを一手に担っている。
「この脳みそサイボーグさえ倒せば、船は指揮系統を失って、戦力を大幅に削がれるはずよ。外部からの攻撃で沈めるより、内部に入り込んで沈めた方が効率いいわね」
 そのためには、まず敵の戦艦に取り付いて外壁を破壊し内部へ侵入。その後、艦内にいる帝国の兵士や防衛用アンドロイド等を薙ぎ倒し、ドクター・ジェミニィブレインを撃破することになる。
 重要なのは、やはりチームワークだろう。それぞれの得意分野をしっかりと見極め、互いに協力しながら戦うことが勝利の鍵だ。
 そう言って、パトリシアは猟兵達を、帝国の艦隊が迫る『解放軍』のスペースシップへと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 今回は、『解放軍』の艦隊に迫る帝国艦隊の戦艦を沈めてもらいます。
 艦内にいる防衛部隊は大した強さもないので、しっかりと作戦を立てて戦えば、余裕で蹴散らすことができるでしょう。
 宇宙空間で戦闘するための基本的な装備はスペースシップ側から貸し出されるので、いつも通りに戦っていただくことが可能です。
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第1章 ボス戦 『ドクター・ジェミニィブレイン』

POW   :    喰らえ!ブレインコントロール!
見えない【超強力な脳波】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    出でよ!ビッグブレインロボ!!
自身の身長の2倍の【戦闘用殺戮巨大ロボ】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    喰らいつけ!メカニカルバグズ!
レベル×1体の、【体】に1と刻印された戦闘用【昆虫型ロボ(昆虫の種類は毎回変わる)】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は暴星・メテオです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

春日・釉乃
【連携・アドリブ改変OK】
巨大な戦艦が相手なら、こっちも奥の手を使うしか!

鎧装騎兵姿で出撃し、背部に接続した『ヴァリアブル・エクシード・ブースター』の[ダッシュ]の力で一気に踊り出る

味方に後退指示を出してから、一撃離脱の戦法でユーベルコードの【蒼き清浄なるセカイのために】を使用
鎧装騎兵用のアトミックバズーカを発射して、[鎧無視攻撃]の破壊力で敵を一網打尽に追い込む!

「ミディア・スターゲイザーの理想を掲げる為に…! 銀河帝国攻略戦、成就の為に…! エンペラーズマインドよ!私は帰って来た!」

ある程度の損害を与えられたら、救済の炎を沈下させ…後続の友軍に残存戦力の掃討を任せて、この宙域から離脱するね



●地獄の宙域
 『解放軍』のスペースシップを迎え撃つべく、迫り来る帝国の大艦隊。数の上では劣っていても、しかし彼らの純粋な戦闘力は、『解放軍』のそれを上回る。
 まともに正面から戦っては、被害が増えるだけだろう。ならば、こちらも大火力の一撃で応戦してやろうと、春日・釉乃(”CHIPIE”・f00006)は宇宙を駆ける。
「ミディア・スターゲイザーの理想を掲げる為に……!  銀河帝国攻略戦、成就の為に……!」
 対空砲火を切り抜けながら、釉乃はバズーカを片手に敵艦との距離を詰めて行く。遠間から見た時は小さな点にしか見えなかったが、しかし近づいて行くにつれ、その巨大さは否が応でも見る者を圧倒する。
 だが、ここまで来て退くわけに行かないことは、釉乃自身もまた解っていた。これだけの巨体だ。狙いなど定めずとも、発射すれば確実に当たる。真横を掠めるレーザービームを物ともせず、彼女は躊躇うことなしに、戦略級の報復兵器を発射した。
「エンペラーズマインドよ! 私は帰って来た!」
 放たれる一撃は、地上であれば天を貫き、宇宙であれば全てを焼き払わんとする救済の炎。この、圧倒的な破壊力の前には、いかなる装甲とて意味を成さない。そう、思っていたのだが……。
「なっ……ば、馬鹿な!?」
 戦略級兵器の直撃を食らったにも関わらず、敵艦は未だ健在だった。装甲は剥がれ、直撃個所の砲塔は全て無力化されていたが、航行には何ら支障を来たしていない。ともすれば、残る砲塔を一斉に釉乃へと向け、集中砲火で反撃して来た。
「化け物め……なんてダメージコンロトール能力!?」
 このまま留まっては危ういと察し、釉乃は歯噛みしつつも後退する。敵は巨大なスペースシップ。全長数百メートル程度の強襲巡洋艦や、機動戦艦とはサイズが違う。小島にも匹敵する巨大さを誇るスペースシップにとっては、戦略級兵器の火力とて、表面の一部に火災を起こす程度の損傷しか与えることはできなかった。
「このままでは的にされるだけだね……。撤退する!」
 やはり、あの戦艦を外部から相手にするのは難しい。だが、それでも装甲の一部に損傷を与えられたのは儲けものだ。戦略級兵器に焼かれた個所は、対空火力を失っているはず。そこを中心に攻めて貰えれば、勝機はある。
 次弾を放っている暇はないと察し、釉乃は迫り来るレーザービームの雨を避けつつも、仲間達へと後を託して後退した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

カラコブ・ガラズィマ
傭兵時代はやってましたが正規軍との戦いは久しぶりですねぇ。

本当は皆さんで一気に突入したいところですが・・・
今は単身なので嫌がらせに専念しましょう、ここまでのデカブツなら取り付いてしまえば攻撃はそんなにこないでしょう。
あとは外壁伝いに移動してハッチや窓を【城壁崩し】で粉砕、戦艦を出入り口だらけにしてあげましょう。
おっといけない、次の穴を開ける前に榴弾で「範囲攻撃」何発か打ち込んでおきましょう!、打ち込んだ事実があれば艦内の防衛網もグッチャグチャでしょう、楽できる猟兵が増えれば私も楽できるのでがんばりましょうねぇ!



●弾幕突破!
 釉乃の一撃により、対空火力の一部を大きく減じた帝国戦艦。しかし、それでも他の稼働個所が生きている以上、未だ予断を許さぬ状況であることに変わりは無い。
「傭兵時代はやってましたが、正規軍との戦いは久しぶりですねぇ」
 火線の薄い個所を縫うようにして、カラコブ・ガラズィマ(快楽主義の蛮族・f09723)は敵艦へ肉薄すべく宙を舞った。
 本当であれば、仲間と連携を取って突入すべき戦場。しかし、単身で飛び込んでしまった以上、今は少しでも嫌がらせに専念する他にない。
 これだけの巨大な戦艦だ。火砲さえくぐり抜けてしまえば、外壁に取り付くまでは造作もなかった。後は、窓でも探して破壊すればと思ったが……しかし、肝心の窓が見当たらない。
「……おや、あれは?」
 周囲を見回し、厚いレンズに覆われた何かを持つ突起を見つけたカラコブだったが、次の瞬間、その先端から大口径の弾が放たれたことで、すかさず身を翻して回避した。
「機銃であのサイズですか……。おまけに、自艦の装甲を傷つけることも厭わずに撃って来るとは……」
 外壁すれすれを飛び交う砲弾の嵐に、カラコブは顔を顰めつつも、破壊しやすそうな場所を探して飛び回る。
 あれはファランクス。もしくは、CIWSというやつだ。本来であれば、艦に近づくミサイルなどを迎撃するための装備だが、帝国の戦艦はサイズが違う。火力としては最低クラスの機銃であっても小型の隕石やデブリを破壊するだけの威力を誇り、外壁に取り付いた敵の排除にも用いることのできる厄介な代物となっている。
 このまま戦っていてはジリ貧だ。対空火器を潰すにしても、あまりに数が多過ぎる。しかし、内部に突入するにしても、単身で飛び込むのは自殺行為。
 ならば、せめて他の者達が入り易くしてやろうと、カラコブは近くにあったハッチに狙いを定め、渾身の力を込めて破城槌を振り下ろした。
「エントリィィィイ!!!」
 轟音と共に、ハッチの入り口が大きく凹んで吹き飛んで行く。異常を察し、防衛用の艦載機を発進させようと艦が動いたが、その程度のことは想定済みだ。
「おっといけない、これはお土産です」
 離脱する瞬間、カラコブはハッチの中に、容赦なく榴弾を放り込む。炸裂する爆風に発進間際の艦載機が飲み込まれ、次々とハッチの中で誘爆し。
「さて、と……。そろそろ潮時ですね。ここから先は、後続の方に任せるとしましょう」
 戦艦をハチの巣にすることはできなかったが、それでも防衛網に穴を開けることは成功した。ここから先は、突入部隊の仕事になる。中枢の破壊を残る者達へと託し、カラコブは戦艦の外壁を蹴って離脱した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

雛菊・ひばり
あんまり長い時間眺めていたいタイプの敵じゃねーです。
皆で協力してちゃっちゃと敵艦を沈めるに限るのです。

私は大規模な破壊とかは苦手なので、鳥型UDCの機動力と小回りを活かして道中の露払いと、ボスの虫潰しに専念するです。
一匹見たらなんとやら。徹底的に駆除してやるですよ。


●戦闘方針
ユーべルコード【儔】を使用。
後列から鳥型UDCを操り、道中の敵防衛隊およびジェミニィブレインの昆虫型ロボを重点的に潰す方針。
自身は銃を使い、敵を足止めしつつ鳥型UDCで一体一体着実に仕留める。

アドリブおよび他の参加者との絡みは歓迎。


バレッタ・カノン
ベア―タと

運転は任せた

解放軍から宇宙バイクを借りベア―タと敵艦へ接近
艦橋の位置に目測をつけ対戦車徹甲弾を付近へ投擲、側壁を破壊

バイクからベア―タを隔壁に開けた穴へ投げ突入
私は艦外部から爆撃支援…のつもりだったが何だこの腰の紐は
投げたベア―タに繋がっている気がするぞ!?

こうなっては勢いだ
UCでバイクと合体
突入後ベルトリンクを使いベア―タと共に敵兵をなぎ倒し指揮官の元へ前進

気味の悪い脳みそだが雑魚ではなさそうだ
バイクの加速で一気に接近格闘戦に挑む
脳波攻撃を受けそうになったら合体解除しバイクを盾に回避
取りつけばこちらのものだ、怪力で抑え込む

追撃は任せたぞベア―タ、吸い尽くしてやれ

アドリブ大歓迎


ベアータ・ベルトット
バレッタと

サイドカーにバレッタを乗せ、宇宙バイクを駆り艦に接近
破壊した側壁にバイクで突…ちょ!?アンタ何のつもり…あ゛ああ!
…なんてね、そんなの想定済み。腰に紐巻いて繋いでたのよ!
旅は道連れでしょ同類さん―!

バレッタバイクに跨り、雑魚の群れに突入
あ、紐は切っとく
機腕に内蔵した銃火器で攻撃。一斉発射・スナイパーを併用し確実に大量に仕留める
そのまま勢いでボスの元まで

餓獣機関活性―!
アンタの脳波と私の飢餓…どっちが勝るのかしら?
銃弾と誘導弾を巻きつつ接近
あくまでこれは敵の脳波を引き付ける陽動
接近したらバイクからジャンプ
機餓獣爪で殴りかかり、続けてBEA発動!
ダメ押しで生命力吸収を試みるわ

アドリブ歓迎


霧城・ちさ
『解放軍』を狙う帝国の戦艦から守り逆に攻めて落としていきますわね
敵はロボットを利用して強さを発揮するようですわね
遠距離攻撃も持っているようですが攻撃する機械は作っていきますわね
呼び出された昆虫ロボは放置せず早めに叩き落としたいですの
猟兵の皆様と協力して接近戦で強い攻撃が出来るような隙も作っていきますわね。みなさまを守るのに前に立ち怪我が大きくなってきたら順次ユーベルコードで回復していきますの
動きは素早く、時には戦艦内の物資を利用して高い所から攻撃してみてもよさそうですわね


花盛・乙女
組み合っての戦闘が有効か…
ふむ、同様に単騎で乗り込んでいる者もあろう。
他の猟兵と協力し当たるとしようか。

しかし見た目も技も面妖な輩よな。
黒椿と乙女の二振りを構え挑むとしよう。
何匹巨木偶や虫を出したところで当たらなければ意味はない。
【残像】を駆使して回避、然るのちに斬撃で払うとしよう。

狙いは本丸。
だが見えない攻撃は厄介だ。
仕方ない、試してみるか。
【黒椿・乱形果】を刀身を舐めて起こし、『ジャンプ』力を利用し水平に一直線に首魁に突っ込む。
然るのちに見えない攻撃を繰り出してくれば【暖簾返し】を試みる。『鎧砕き』が通れば良いがな。
頼むぞ、黒椿。

一か八かだからな、周りの猟兵との連携を見て行動は考えよう。



●疾走、宇宙バイクと危険な二人!?
 釉乃やカラコブの活躍によって、帝国の戦艦は防衛ラインに大きな穴を開けられていた。
 だが、それでも中枢が無事である以上、未だ帝国の優位は揺らがない。やはり、内部に突入して中枢を破壊することでしか、この艦を止める手立ては存在しない。
「運転は任せた。行くぞ」
 ベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)に宇宙バイクの操縦を任せ、バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)はサイドカーから対戦車徹甲弾をばら撒いて行く。
 だが、それでも敵は、圧倒的巨体を誇る宇宙戦艦。戦車の装甲さえも貫く徹甲弾でさえ、敵艦にとっては豆鉄砲。
「やはり、この程度では揺るがないか。ならば……!」
 こうなれば、奥の手を使うまで。目の前に、カラコブの破壊したハッチを見つけ、バレッタは何の躊躇いもなくベアータを掴み上げ。
「ちょ!? アンタ何のつもり……あ゛ああ!」
 そのままベアータを穴の中へ放り込んだが、しかし直ぐに、妙なことに気が付いた。
「さて、後は外部からの撹乱を……ん、何だこの腰の紐は? 投げたベア―タに繋がっている気が……おわぁっ!?」
 腰に巻き付いた紐に引っ張られ、バレッタもまた穴の中へと落ちて行く。ハッチを抜けて、冷たい金属質の床に降り立つと、そこで待っていたのはベアータだった。 
「まったく……何を考えている」
「固いことは言いっこなし。旅は道連れでしょ同類さん。それに……」
 途中でぶつけた頭に手をやりながら呟くバレッタだったが、ベアータは気にせず正面を指差した。
「侵入者、発見!」
「排除セヨ! 排除セヨ!」
 レーザー銃を持ったアンドロイド兵士が、続々と廊下の奥からやって来る。進むにしても退くにしても、あれを倒さねば先はない。
「こうなっては勢いだ。一気に突破するぞ」
「そう来なくっちゃね! 援護は任せてもらうわよ」
 迫り来る機械兵の軍団へ、ベアータは機腕に内蔵した銃火器で迎え撃つ。それに敵が怯んだ隙を狙って、バレッタは宇宙バイクと合体し、力任せに敵を薙ぎ倒して行く。
「道を開けな! 雑魚に用はない!」
 宇宙バイクと合体したバレッタの剛腕が、アンドロイド兵の頭を吹き飛ばした。敵艦は広いが、この程度の相手であれば、蹴散らして進むのは造作もない。艦の中枢を担う脳みそサイボーグとの距離は、もはや目と鼻の先だった。

●超頭脳ジェミニィブレイン
 数多の機械兵を薙ぎ倒し、艦の中枢を目指して進む猟兵達。外装の破壊された個所から侵入した雛菊・ひばり(The Daisy・f05236)は、やがて大きく開けた場所に出て顔を上げた。
 見れば、他の通路からも、それぞれに別の猟兵達が辿り着いていたようだ。霧城・ちさ(夢見るお嬢様・f05540)と花盛・乙女(誇り咲き舞う乙女花・f00399)の二人もまた、同じく部屋の中へと足を踏み入れると、その中枢に据えられた物を見上げていた。
「なんとか、ここまで辿り着けましたわね。敵の抵抗が激しくなかったのは幸いでしたけど……」
 怪訝そうにしながらも、ちさは部屋の中央に座する奇妙な物体を前に、油断なく様子を窺いながら言った。ここまで来るのに、殆ど敵に出会わなかったのは、内部でバレッタとベレータの二人が盛大に暴れていることが原因だったが、ちさ達がそれを知る由もなく。
 そこにあったのは、巨大な頭脳。それも、一つではなく二つの頭脳が、カプセル状の物体の中に納められた代物だ。
「我々の前に辿り着いたこと、誉めてやろう! だが、それもここまでだ! 我らは天才! 我らは究極! 故に、敵う者など存在しない!」
 脳みそを納めていたカプセルが、4本の腕を使って立ち上がる。それに合わせ、部屋の中にアラートのようなものが鳴り響くと同時に、金属パイプの穴から無数の機械昆虫が飛び出して来た。
「さあ、喰らいつけ! メカニカルバグズ! やつらを残さず肉の塊に変えるのだ!」
 バッタともトンボともつかない奇妙な金属製の昆虫達が、歯を鳴らしながら猟兵達に迫る。遺伝子レベルに刻まれた生理的嫌悪感を催して、ひばりと乙女が思わず顔を顰めた。
「あんまり、長い時間眺めていたいタイプの敵じゃねーです」
「確かに……見た目も技も面妖な輩よな」
 迫り来る虫の群れを前に、乙女は二振りの刃を抜いて、ひばりもまた銃を抜きつつ自らの駆るUDCを召喚する。相手が虫なら、こちらは鳥だ。機械の身体であろうと関係ない。こちらが喰らい尽くされる前に、敵を喰らい尽くさせるのみ。
「吾心啄ばみ貌(かたち)を成しやがれ、です」
 放たれた鳥型のUDCが、機械の虫を次々と嘴で仕留めて行く。それに続けて、ひばりも愛銃で虫を撃ち落とし、その隙間を縫って乙女が駆ける。
「後ろは、わたくしにお任せ下さい。その間に、皆様は敵の中枢を!」
 迫り来る虫を叩き落としながら、ちさは聖なる光を放ち、乙女を後方からフォローしつつ叫んだ。
 この脳みそさえ倒せば、艦は沈む。狂った科学者の成れの果てになど負けられない。
「……頼むぞ、黒椿」
 高々と跳躍しつつ放たれた乙女の斬撃が、ドクター・ジェミニィブレインの装甲とぶつかり、激しい火花を飛び散らせた。

●合体! 究極頭脳と機械蟲!
 迫り来る虫の群れを薙ぎ払い、猟兵達はドクター・ジェミニブレインを追い詰める。どれだけ数が多くとも、所詮は雑魚に過ぎない機械蟲。一匹、また一匹と落とされて行ったことで、ジェミニブレインも考えを改めたのだろう。
「ほう……我々の推定戦闘力を上回るとは、なかなか面白い連中だ」
 しかし、それもここまでだ。そう結んで、ジェミニブレインは新たなアラートを部屋の中へと鳴り響かせる。
「ハーッハッハッハァッ! 出でよ! ビッグブレインロボ!!」
 その言葉と共に、部屋を襲う凄まじい振動。パイプの塊が音を立てて崩れ落ち、その奥にある何かが姿を見せる。
「くっ……なんだ、これは!?」
「なんか知らねーですが……ちっとばかり、やべー感じですね」
 揺れる床に足を取られまいと踏ん張りつつ、乙女とひばりはパイプの塊の奥から現れた物体に目をやった。
「あれは……」
 思わず言葉を失い、ちさが目を丸くする。彼女達の前に現れたのは、ジェミニブレインの2倍近い大きさを誇る巨大ロボ。強靭な鋼のボディを誇り、しかし頭部が存在しない。なぜならば、その頭部こそが、ジェミニブレイン自身に他ならなかったのだから。
「見よ! この鋼の身体こそ、全宇宙最高を誇る究極ボディ! そこに我らの頭脳が加われば、正に無敵の究極城塞!」
 存在しない頭部の代わりに、ジェミニブレインが巨大ロボへとドッキング。しかも、それだけでなく周囲にいた機械蟲の生き残り達もまた、一斉に一ヶ所へと集結し。
「キシャァァァァッ!!」
 ガラスを引っ掻いたような咆哮を上げ、猟兵達を威嚇する。その身体に刻まれた数字は20。単体の時とは異なり、猟兵達に勝るとも劣らない強さを誇る存在へと進化していた。
「ふむ……これが敵の本気ということか。どうやら、覚悟を決めねばならんようだ」
 雑魚の群れを相手にする戦いとは違い、一瞬の油断が命取り。強敵を前にして乙女が刀を握り締めつつ呟いたが……その静寂と緊迫を打ち破るかのように、突如として部屋の扉が吹き飛んだ。
「ようやく辿り着けたわ。後は、あの脳みそロボを倒すだけね」
「だが、油断するな。気味の悪い脳みそだが、雑魚ではなさそうだ」
 防衛用のアンドロイド部隊を蹴散らしたバレッタとベレータの二人が、ついに中枢部へ辿り着いたのだ。
 これで、戦力的には互角以上。勝機を見出し、猟兵達は一気呵成に、敵を殲滅すべく駆け出した。

●百舌の一刺し
 巨大戦艦の中枢にて、激突する猟兵と機械の怪物。その内の一体、巨大化した機械の昆虫を相手取るのは、鳥型のUDCを従えたひばりだった。
「ギィィィィッ」
 不快な叫び声を放つ機械蟲の爪と牙が、ひばりを捉えんと襲い掛かる。ぎりぎりの間合いで避けつつ銃弾を叩き込むも、先程のように一撃で叩き落とすことは難しく。
「やれやれ……合体した分、殻も厚くなってやがりますね」
 まともに正面から撃っても効果は無い。ならば、装甲の薄い個所をピンポイントで狙ってやろう。そう考えつつ、次弾を装填しようとした時だった。
「……ッ!?」
 一瞬の硬直を狙い、機械蟲がひばりの動きを封じんと襲い掛かって来た。巨大な6本の腕に掴まれて、ひばりは宙へと持ち上げられる。堪らず、顔面に銃弾をお見舞いしようと構えたが、その腕に機械蟲の鋭い牙が突き刺さった。
「ひばりさん! 今、お助けいたしますわ!」
 ちさの放つ聖なる光が、ひばりの傷を瞬く間に癒して行く。未だ動きこそ封じられていたが、それでも腕の痛みが消えたのは幸いだ。
「感謝するですよ。さあ、さっさと私を放すです」
 大きく開かれた機械蟲の口内目掛け、ひばりはありったけの銃弾を叩き込んだ。それに合わせ、鳥型のUDCが敵の翅の付け根を狙い、抉るようにして翅をむしり取った。
「ギィェェェッ!!」
 つんざくような悲鳴を上げて、機械の虫がひばりを高々と放り投げる。さすがに、内部から破壊されては、強固な外殻を誇る機械蟲とて一溜まりもない。
 翅を失った敵は飛ぶことさえできないまま、力無く真下へと落下して行く。そこにあったのは、先程までの戦いの余波で破壊されたパイプ。床から突き出した槍のような形状のそれに刺さり、敵はしばらく蠢いていたが、やがて力尽き果て動きを止めた。
「どれだけ大きくなっても、虫は所詮、鳥の餌でしかねーんですよ」
 鳥型UDCに掴まったまま、空中から敵を見据えるひばり。物言わぬ塊と化した巨大な虫の姿は、百舌鳥に速贄された獲物のようにも見えていた。

●人の頭脳、人の意地
 ひばりとちさが、巨大な機械蟲と戦っている頃。
 同じ戦場では残る猟兵達が、巨大ロボと合体したジェミニブレインを相手にしていた。
「どうした? 大きくなれば、その分だけ動きが鈍くなるのも道理よな?」
 繰り出される鋼の剛腕を避けながら、乙女は挑発するようにしてジェミニブレインを翻弄する。
 鋼の肉体に、人の頭脳。確かに、合わされば脅威であろう。だが、それだけでは未だ完全とは言えないことを、剣技に長けた乙女は知っている。
 心と身体、そして技。それら全てが揃って、初めて人は究極となる。いかに最高の身体と最高の頭脳を備えたとて、技が伴わねば意味は無い。
「えぇい、小癪な! 喰らえ! ブレインコントロール!」
 肉弾戦では不利と察してか、ジェミニブレインは強力な脳波を念力に変えて、乙女を始めとした猟兵達に放って来た。
 しかし、それでも乙女は動じない。敢えて無防備に身体を晒し、愛刀である黒椿・乱形果に全てを託す。
「マタ失敗シテ大怪我シテモ知ラネェゾ」
「ほざけ、悪刀」
 どこからか聞こえた声に、乙女は悪態で返しつつも苦笑していた。
 流れに逆らって戦えば、その分だけ己の身体も傷付いてしまう。しかし、流れに身を任せ、流れの中に道を見つければ、その先に必ず勝機は見える。
 花盛流剣技、暖簾返し。明鏡止水。もしくは、無我の境地とも言うべきか。乙女へと収束させられた強大な念波は、しかし彼女の身体を駆け抜けて、全て刀身から排出され。
「真横が留守だぞ? もらった!」
「ぬぅっ! させん!!」
 乙女に気を取られた隙を突いて仕掛けるバレッタ。それに気が付き、念力で攻撃するジェミニブレインだったが、それでのバレッタは止まらない。
「うぉぉぉぉっ!!」
 爆発の中から現れたのは、傷一つないバレッタの姿。纏っていた宇宙バイクを瞬間的にパージして犠牲にすることで、自らの身代わりとして用いたのだ。
「追撃は任せたぞベアータ、吸い尽くしてやれ!」
「了解したわ。……さあ、餌食と為れ」
 バレッタの怪力で羽交い締めにされた巨大ロボに、ベアータは機腕に仕込まれた特殊鉄爪を突き立てる。そのまま眼帯を外し、右眼の特殊義眼から伸ばした舌で、ジェミニブレインの入っているカプセルを突き刺した。
「……ギェェェッ!! き、貴様、よくも『私』の半身を!」
 下の脳髄を潰されたことで、統御されていた人格が分裂したのだろう。
 一人称が『私』と化し、もはや知性さえも半減したジェミニブレインは、ロボットの身体を捨てて逃走を試みる。が、射出されたカプセルが床に辿り着くよりも速く、高々と跳躍したのは乙女だった。
「逃がさん! 相方共々、貴様も地獄へ落ちるがいい!!」
 真上から突き立てられる二振りの刃。カプセルが砕け、不快な臭いを放つ培養液が周囲に溢れ出す。刃を引き抜き、軽く振るったところで、脳髄だけのマッドサイエンティストは、完全に抵抗する力を失い絶命した。
「終わりましたわね。さあ、後は艦のコアマシンさえ壊せば、わたくし達の勝利ですわ」
 戦いの終わった部屋の中、ちさが指差す先は、巨大ロボの現れたパイプの山。その、更に奥底に見えるコアマシンへと、猟兵達はそれぞれの武器を手に狙いを定める。
 やがて、程なくして帝国軍の戦艦は、巨大な爆発と共に宇宙の藻屑となり消え去った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日


挿絵イラスト