あいすくりん親分
●カタストロフ幼生
「にゃあ~! なんなのにゃ、せっかく猟兵さんたちがカタストロフを止めてくだすっているのに、どういうことなんだにゃぁ!?」
東方親分『山本五郎左衛門』は、一年中真夜中で満月が昇るすすき野の一つに浮かぶ月が割れているのを見上げていた。
『大祓百鬼夜行』は猟兵たちの手によって無事食い止められ、二つの世界は救われた。
けれど、カクリヨファンタズムでは今も、こうしてカタストロフの気配がそこかしこに漂っているのだ。
彼女はこれまで、ずーっと骸魂に飲み込まれた妖怪たちを力ではなく、心のこもった言葉で妖怪を説得し、骸魂から分離させていたのだ。
無事に大きな戦いが終わって、やれやれこれで親分としてのお役もごめんだにゃぁ、なんて思っていたらところがどっこいである。
「なんでにゃ! もうもう、本当にもう! これはまた猟兵さんたちにお願いするしかないにゃ!」
そう、満月が割れ、そこから生まれようとしているのは『カタストロフの幼生』である。しかし、『山本五郎左衛門』はこれを力で解決することは良くないことだと知っている。
「今ならまだ『お月見』を敢行するだけで、あの幼生は消えるにゃ! なら、新し親分じゃあないけど、れっつぱーりぃないにゃ!」
あの新し親分『バズリトレンディ』は今は、ハンドスピナーとアメリカンクラッカーとハイパーヨーヨーとジャグリングを同時にやるという空前絶後の素早さで流行りに飛びついているし、西洋親分『幸せな王子さま』は、今も各地を渡り歩き、傷ついた妖怪たちを慰めている。
龍神親分『碎輝』は自身の成長を止めるために、『かっこいい』とは何かを追い求めている。
頼れるのは猟兵しかいないのだ――!
●山本親分の日常風景
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。『大祓百鬼夜行』の勝利により、カクリヨファンタズムとUDCアースは救われました。改めて、私からもお礼をさせて頂く機会があったこと、嬉しく思います」
集まった猟兵達はナイアルテが予知したなにかの事件についての説明を受けると思っていただけに、少し拍子抜けした様子であった。
その様子にナイアルテは微笑む。
確かに事件ではあるのだ。
「はい、東方親分『山本五郎左衛門』さんからの求めに応じさせていただきました。今現在、いくつかある『常に満月が昇るすすき野』において、満月が割れ、そこから『カタストロフの幼生』が生まれようとしています。これを消滅させるには、皆さんでにぎやかな『お月見』をするしかないのです」
ん? どこかで聞いたような話である。
『大祓百鬼夜行』に赴いた猟兵の中には、似たような事件の解決に向かった者だっているだろう。
関連性があるわけではないが、カクリヨファンタズムはもとより不安定な世界である。
こうした世界の滅亡に関する事件は頻繁に起こるのだ。
「確かにいつもは骸魂によるオブリビオン妖怪の事件ばかりですが、今回は『お月見』を楽しくするだけでカタストロフが消滅させることができるのです。ええ、全力で楽しんでいただければと思います」
この事件には『山本五郎左衛門』もまた同行するようだった。
基本的に猟兵達と一緒に『お月見』を楽しむようであるが、獣化すればそこそこ強いのだが、暴力を好まないので、獣化することはないだろう。
「割れた月を無視しつつ、美しい月だと思いながら、『お月見』を楽しんだ後は、どこからともなく謎の屋台を引いたオブリビオン妖怪『冷凍睡眠・アイスラヴァー』が現れるのです。彼女は、あいすくりん屋台を引いており、オブリビオン妖怪となった今でも屋台営業を続けているのです」
あいすくりんと言っても、普通にアイスクリームである。
乳固形分15.0%以上 (うち乳脂肪が8.0%以上) というやつである。アイスミルク、ラクトアイスではないやつである。
「彼女はオブリビオン化によって『もてなし衝動』が大暴走しているのです。それだけならばいいのですが、無理矢理に屋台に引き込み、凄まじい量のアイスクリームとフレーバーを試させようとしてくるのです」
このままでは、カクリヨファンタズムは大量のアイスクリームで埋まってしまうのだ。
むしろ、それはちょっと嬉しいですよね、とナイアルテは、はにかんでいた。
「あっ! いえ、その、そういうわけではありませんよ。食べたいなぁとか、そんなことは決して。いいなぁ……忘れてください」
これが転移を維持するための代償である。
ああ、愛しのアイスクリーム。何故貴方はアイスクリームなのでしょう。安い代償である。
「うぅ……チョコミントにはじけるホッピングシャワー……プレッチェルとカラメル、ラムレーズンにベリーストロベリー……バニラにチョコチップドチョコレート……パイナップルフレーバー……」
あの、そろそろ、転移いっすか?
ナイアルテの瞳はアイスクリーム色である。何色だそれ。
そんな彼女は目の色を変えながら、頭を振る。いけないいけない。このまでは己の責務を忘れてしまいそうであった。
「はい……その、屋台の主である『冷凍睡眠・アイスラヴァー』さんは、戦わずともアイスクリームを食べまくれば、なぜだかダメージがはいっていくのです。『山本五郎左衛門』さんもそうですが、できるならば平和的にオブリビオンを打倒することができる珍しい機会です」
どうか、戦いの後のささやかなお月見と合わせてどうぞ、とナイアルテは、ハンドパックをクォートで、と謎の呪文めいた言葉をつぶやきながら見送るのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※このシナリオは二章構成の戦後シナリオになります。
『大祓百鬼夜行』によって二つの世界が救われましたが、カクリヨファンタズムでは未だカタストロフの危険があります。
四人の親分たちの話し合いによって、猟兵たちにお手伝いを頼むことに決めたようです。
今回は東方親分『山本五郎左衛門』に同行し、すすき野で『お月見』を全力で楽しみ、屋台グルメを食べ尽くすシナリオになります。
●第一章
日常です。
カクリヨファンタズムの『一年中真夜中で満月のすすき野』に骸魂の影響を受けて凶暴化した『満月』が割れ、そこから超巨大な『カタストロフの幼生』が生まれようとしています。
ですが、これを消滅させるためには、全力で『お月見』を楽しまなければなりません。お月見が楽しく終われば幼生は自然と消滅します。
この割れた満月を無視しつつ、お団子を食べたり踊ったり歌を歌ったりと楽しむことが重要なのです。
●第二章
ボス戦です。
すすき野の事件を解決したら、何処からともなくやってくる『アイスクリーム屋台』を引いてオブリビオン妖怪『冷凍睡眠・アイスラヴァー』が現れ、皆さんを大量のアイスクリームと豊富なフレーバーを食べてもらおうとしてきます。
オブリビオン化に寄って『もてなし衝動』が大爆発しているのです。
次から次に屋台からアイスクリームが溢れて、このままではカクリヨファンタズムがアイスクリームだらけになってしまいます。
これを防ぐためにアイスクリームを片っ端から食べていきましょう。
そうすることでなんかわからないですが、『冷凍睡眠・アイスラヴァー』は『もてなし衝動』が薄れ、骸魂と妖怪が分離してしまいます。
そうなれば、戦わずして平和に皆さんは勝利を収めることができるでしょう。
それでは戦後のカクリヨファンタズムを、再び巻き起こる少しおかしな騒動から護るためにお月見楽しみつつ、アイスクリームを頬張る物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『月割れてるけどお月見しよう』
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POW : 全力で月の美しさを褒め称え、「立派な満月」だと思い込む。
SPD : 賑やかな歌や踊りでお祭り気分を盛り上げる。
WIZ : お月見にふさわしいお菓子やお酒を用意する。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カクリヨファンタズムには様々な土地があることは、すでに語られたとおりである。
一年中真夜中であり、満月が昇り続けるすすき野もまたその一つであり、此処だけがそうであるわけではない。あらゆる場所に、このような場所が点在しているのだ。此処はその一つに過ぎない。
けれど、東方親分『山本五郎左衛門』は何一つとして喪われてはならないと、暴力ではない別の手段を持ってこれまで多くの骸魂に飲み込まれてきた妖怪たちを説得し続けてきた。
「猟兵さん! みんなでたのしく『お月見』のはじまりにゃあ! 飲んで食べて踊ってくださいにゃあ!」
そう、此処には『カタストロフの幼生』なんていない。
そういう体で『お月見』を楽しむことによって、『カタストロフの幼生』は消滅する。
全て暴力と破壊だけで解決するのではなく、こういう事件の食い止め方もあるのだ。
「『お月見』を満喫すればするほど、『カタストロフの幼生』は力を喪っていくにゃあ! さあさ、美味しいお団子も、飲み物もあるにゃあ!」
時にはこんな戦いもあっていいだろう。
それが『大祓百鬼夜行』という大きな戦いを終えた猟兵たちに与えられた、細やかな労りとねぎらいであるのだから――。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
カクリヨは相変わらずですねー。
というわけで、団子とお茶を持参して、お月見にきましたー。
大きな月って、本当に見ごたえがありますよねー(幼生無視)
あ、陰海月。団子は最大三個までですよ。
あなた、戦争中は団子だけでも私たちの二倍(+サンドイッチ、チキンナゲット、月餅)食べてたんですから…。
※陰海月、ただいまダイエット中。団子大切に食べてる。渋めの温かいお茶(未成年)も飲んでる。
割れてる月は気にしない。大きくて綺麗。
時おり揺れるすすきが、とてもくすぐったい。ぷーきゅー。
『大祓骸魂』との決戦を終えた『大祓百鬼夜行』は猟兵たちの勝利で終わった。
通常の世界であれば、もはやオブリビオンは発生すること無く残党を駆逐する……もしくは猟書家に狙われるといった事件の発生が確認される。
しかし、カクリヨファンタズムはあまり変わっていないような雰囲気であった。
そこかしこでカタストロフの気配があり、些細な出来事でさえも世界の破滅が蠢いている。
此処、一年中夜中の満月が浮かぶすすき野もまた同様である。
「まったくもってなんでまた月が割れるにゃあ。まあ、でも細かいことは忘れて、猟兵さんたち、どうぞお団子とお飲み物を! たっぷりしっかり楽しんでにゃあ!」
東方親分『山本五郎左衛門』が山盛りの団子や飲み物をもって、あちこちに転移してきた猟兵達に配って回っている。
戦いが終わっても彼女の苦労性というか、暴力を介さない言葉とそれ以外に寄る説得でもってカタストロフを食い止めてきたこれまでの功績は凄まじいの一言であろう。
「カクリヨファンタズムはあいかわらずですねー」
複合型悪霊である馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の中の一柱である『疾き者』は『山本五郎左衛門』から団子を丁寧に断った。
そう、彼等の影に潜む『陰海月』は先の戦いにおいて、それはもうたくさんの団子を食べすぎて、重たいというより大きくなりすぎているのだ。
これ以上大きくなりすぎても身体にはよくないであろうと、今はダイエット中なのだ。
『ぷきゅ』
サンドイッチ、チキンナゲット、月餅。
団子以外にもあれやこれやと食べるままに食べていたツケが今此処にやってきているのだ。
「にゃあにゃあ。育ち盛りというもあるであろうし、少しばかりならば良いのではないかにゃあ」
『山本五郎左衛門』は快活に笑って、それならば三つほど、と月見団子を手渡す。
「これは丁寧にどうも。それにしても大きな月って見ごたえがありますよねー」
カタストロフの幼生を無視して、月見に興じる。
それはそれでなんというか、面白みがあるというものである。『陰海月』がお団子を大切に食べている様子もまた微笑ましいものである。
こういう静かな月見もまた穏やかなものであるし、心が癒やされるようであった。
ときおり揺れるすすきが『陰海月』の大きなお腹をくすぐる。
『ぷーきゅー』
「早くその大きなお腹を引っ込ませないといけませんねー」
ダイエットなんて彼等には関係のないことであったけれど、それでも健康のためにはと思えば『陰海月』には必要なことなのであろう。
割れている月なんて気にはしない。
大きくて綺麗だと言うようになく『陰海月』の様子に微笑む。
「のんびりのほほん。それが一番ですねー」
同じ体に読ん柱の悪霊。他の三柱も同感であったことだろう。
いつだってそうだけれど、月は不思議な魅力がある。
形を変える事もそうであるし、不思議な輝きを持っている。白い光、赤い光、青い光。
時々で変わる姿は不変というものを意識させてくれる。
同時に得難い見世物でもあった。
お団子時々温かいお茶。
つかの間の休息。
心と体に染み渡っていく甘味と渋みはゆっくりと、戦いに疲れたものたちを癒やしていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
幼生の存在は……
まぁ、類似の事象が起こるのがこの世界の常ではあるし
気にはしないでおこう
寧ろ、戦争中にここへは来れなかったから
来訪出来て少し嬉しい
月見を楽しむのに酒は必須だろう
本来なら日本酒も良いんだけれど
アイスクリームと戦うと聞いて、今日はこれを
(ブランデーの小瓶を掲げ)
バニラアイスに掛けて食べると美味しいという話を聞いたので
試してみるのもいい機会かと……
そう言えば、親分は飲酒可能なお年頃なんだろうか?
いや、聞かない、聞かないぞ?
女性に年齢の話は禁忌だということくらいは知っているから
なので、年齢を訪ねる事無く酒を勧めてみよう
親分はイケるクチか?
何はともあれ、月はそこにあって風情もある
良い夜だな
カクリヨファンタズムが不安定な世界であることを猟兵達は知っている。
それゆえに常にカタストロフの危険にさらされているのだ。例えばそう、空に浮かぶ満月が割れ『カタストロフの幼生』が現れることだって、ある意味で日常茶飯事なのだ。
一年中夜中のすすき野もまた一つではない。
東方親分『山本五郎左衛門』に同行した猟兵たちが見たのもまた、同じ光景であった。
『大祓骸魂』との戦いであった『大祓百鬼夜行』の折にも似たような現象が起こっていたことを知ってはいたが、鈴久名・紡(境界・f27962)は終ぞ赴く機会に恵まれなかった。
「来訪できて少し嬉しいというのも不謹慎だろうか」
「いえいえ、こっちとしては猟兵さんが来てくれてありがたいにゃあ!」
『山本五郎左衛門』が、こっちですにゃあ、と案内してくれるままに紡はすすき野に足を運ぶのだ。
目の前には巨大な満月。
割れたそこから覗く『カタストロフの幼生』であったが、それを無視して『お月見』を楽しまなければならない。
「本来なら日本酒もいいんだけれど……」
お団子にも合うであろうが、今回はこの後にアイスクリーム屋台もあるのだ。ブランデーが合うはずだと持ってきていたのだ。
今日はこれで、と紡は『山本五郎左衛門』から月見団子を受け取って、この後に控えるアイスクリームパラダイスならぬアイスクリーム地獄を楽しみしているのだ
「そう言えば、親分は飲酒可能なお年頃なんだろうか?」
「にゃ?」
確かに見目は若々しい親分『山本五郎左衛門』である。
だが、年齢のことを女性に尋ねるのは些かマナー違反のような気がして紡は口を一端閉じた。
そう、聞いてはならない。
そういうのがとてもデリケートな問題であり、同時に人によっては地雷にしかならぬことを彼は知っているのだ。
慎重に言葉を選ばなければならない。
ここで『山本五郎左衛門』の機嫌を損ねることがあってはならないのだと紡はオブリビオンと戦うよりも慎重に、そして緊迫した雰囲気のまま言葉を紡ぐのだ。
「親分はイケるクチか?」
その言葉に『山本五郎左衛門』は快活に笑って、にゃあと返事をするのだ。
「どんちゃん騒ぎはいつだって良いものだにゃあ。羽目を外し過ぎなければ、そういうのもたまには必要にゃあ!」
酒は生命の洗濯。
別に浴びるように飲めというわけでもないのだ。
「では、一杯どうだろう?」
その言葉に『山本五郎左衛門』は頷いて酒坏を用意するのだ。
「それではお言葉に甘えて異国の酒にご相伴預からせて頂きたきますにゃあ!」
香るブランデーの香りを楽しみながら、割れた月を見やる。
見てはいるけれど、別に割れているなんて思わない。そうすることによって『カタストロフの幼生』は消滅していく。
其処に在ると思うからこそ、幼生は育っていくのだから。
周囲では他の猟兵たちも盛んに『お月見』を楽しんでいる。
騒々しかったり、愉快なものであったりと様々なものである。そんな彼等の歌声や、騒ぎ、そういったものを背中に受けながら紡はゆっくりと酒盃を傾けていくのだ。
「何はともあれ、月はそこにあって風情もある」
鼻腔をくすぐるブランデーの香りが芳しい。
ああ、本当に今日は、と紡は微笑むだろう。
「良い夜だな――」
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
よし、せっかくなのでライオンライドでライオンを召喚
一緒に楽しもう
【歌唱】【ダンス】で陽気なリズムを口ずさみながら踊ってみる
【動物と話す】事は可能なのでライオンと交流しながら目一杯楽しく過ごそう!
東方親分である山本さんもいるなら、楽しく過ごせそうだ
せっかくなので交流してみたいと思っていたんだよね
見た目凄く可愛らしい山本さんと交流出来たらテンション上がりまくるだろう
満月が割れていようが、カタストロフの幼生が生まれようとしていようが、そんなの全く気にならないくらいに!
最後は満月に向かって遠吠えだ!
え?本来は、遠吠えするのはオオカミやイヌ科だって?
…うちの子、付き合い良いね(苦笑
『お月見』と一言に言っても、様々な楽しみ方があるだろう。
見事な月……まあ、ここでは割れた満月から現れた『カタストロフの幼生』が存在しているが、それを見やり風情を感じることもできる。
もしくは、風景よりも食い気。
月見団子と酒の風味を楽しみ、五感で持って季節を感じることも何よりも楽しむこと。
そして、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)はユーベルコードによって召喚した黄金のライオンと共に一年中真夜中のすすき野にて歌を歌いながら、陽気なリズムで踊るのだ。
「おや、猟兵さん。お団子はよかったかにゃあ」
東方親分『山本五郎左衛門』がひりょたちの元にやってくる。
その手にあったのは月見団子やお茶といったものばかりであったが、ひりょとライオンが陽気に踊っているので、必要なかったかなと思ったのだろう。
「ああ、いやいや、そんなことはないよ! ありがとう!」
ライオンと共に『山本五郎左衛門』の元に駆けつけて、月見団子とお茶を受け取る。
せっかくの機会であるし、交流してみたいと思っていたのだ。お前もそうおもうだろう? と動物会話によってライオンと意思疎通ができるひりょは、黄金のライオンのたてがみを撫でるのだ。
「にゃあにゃあ。それはよかった。猟兵さんたちには本当に感謝してるにゃあ!」
『山本五郎左衛門』は、カクリヨファンタズムに猟兵たちが訪れるまで、ずっと言葉による説得で骸魂に飲み込まれた妖怪たちを説得してきたのだ。
それはつまりカタストロフの回避である。
どれだけの困難があっただろうか。どれだけの根気が必要であっただろうか。それでも彼女はやり遂げてきたからこそ、猟兵たちがたどり着くまでカクリヨファンタズムを守ってきたのだ。
「せっかくだ、親分も一緒に踊ろう。満月が割れていようが、カタストロフの幼生が生まれようとしていようが、そんなの全く気にならないくらいに!」
ひりょが『山本五郎左衛門』の手を引いて、黄金のライオンと共に詩を口ずさみながら、陽気に踊り続ける。
踊りの作法も、ステップも関係ない。
ただ楽しいと思う心ばかりで踊る二人と一匹の笑顔は、きっとカタストロフも関係ない。
「にゃあにゃあ、これが異世界のステップかにゃ!」
「わかんないけど!」
なんてやり取りがあったけれど、どれもが楽しいステップだった。
でたらめだったし、どれが正しいのかもわからない。
けれど、楽しと思った感情だけが正しいのだ。
それを受けて黄金のライオンが満月に向かって遠吠えする。
「にゃにゃにゃ、それは狼や犬科のやることだにゃ! けれど、そんなの関係ないにゃあ!」
楽しければ、どうだっていい。
そういうようにひりょと『山本五郎左衛門』は笑う。
「……うちの子、付き合い良いね」
なんて苦笑しながらも、今日という『お月見』は思い出に残るだろう。
奇妙なステップを踏みながら、ライオンらしからぬ遠吠え。
そして、割れた満月。
そのどれもが得難い経験となって、きっとひりょの背中をこれからも押していくだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
御狐・稲見之守
酒が呑めると聞いて馳せ参じた御狐稲見之守である。
いろいろとナニがソレでアレなため
[化術]にてオトナ姿になっておこう。
さあさあ呑むが良い東方の親分殿。
よもや、我の酒を断るなどとは云うまいな?
というか呑め!オラッッ!
(※良い子は絶対にまねしないでください)
ま、戯れはさておき
親分殿は猫又かおさきの類であるならば化術の覚えもあろう。
今宵は化けるには良い月夜…うむ良い月夜であるがゆえ
余興に一つ化術比べと参ろうではないか。
化けるものはヒトモノ問わず、狐と猫の化かし合い。
どろんどろんと動物、車や飛行機、大仏様
果ては天突く龍にも化けて行く。
さてさてどうしてくれるか東方親分
負ければ割れた尻尾が泣くというものよ。
『お月見』とくれば団子に酒である。
酒が振る舞われるとなれば、何はなくとも駆けつける種類の者はいるものである。
兎角、酒が飲める理由を探すのが酒飲みであるというのならば、酒の香りを嗅ぎつける嗅覚というものは、他の何をさておいても鋭いものであったことだろう。
「酒が呑めると聞いて馳せ参じた御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)である」
普段の姿であれば、ナニがソレでアレなために化術でもって、大人の姿に変じたのである。
如何に実年齢が齢百を越えているのだとしても、見た目がよろしくないのである。
だからこそ、姿を大人のものに変えて一年中夜中のすすき野やってきたのだ。
目の前には巨大な割れた満月から生まれようとしている『カタストロフの幼生』の姿があったが、彼女は気にしていなかった。
そんなことよりも、やらねばならぬことがある。
そう、酒盛りである。
「さあさあ、呑むが良い東方の親分殿。よもや、我の酒を断るなどとは云うまいな? というか呑め! オラッッ!」
もはや絡み酒である。
この猟兵さん新し親分となんか似た匂いするにゃあと思いながらも、話を聞いてもらえない雰囲気を感じ取った『山本五郎左衛門』は、とりあえず酒盃を受け取って、駆け付け一杯ぐいっと飲み干すのだ。
良い子のみんなは真似してはいけない。絶対に。
お酒は節度を守って。正体をなくすまで飲んじゃだめである。人体的にも、お酒を作った人にも申し訳ないことである。
「よい飲みっぷりだな? さあ、もう一杯」
「にゃあにゃあ、ワシばかり注いでもらっては申し訳ないにゃあ。猟兵さんもどうぞうどうぞにゃ!」
そこからはもう酒と酒の応酬である。
互いの杯が空になったと見れば、即座に注ぎ合う。
飲み比べってそういう意味じゃないよなぁってなる飲みっぷりであったが、互いに一歩も譲らぬ飲みっぷりであった。
「ぷはー。良い気分だにゃあ!」
「戯れはさておき、親分殿は、猫又かオサキの類であるならば化術の覚えもあろう。今宵は化けるには良い月夜……」
うん、良い月夜であると彼女はうなずく。
割れとるけど、とは口にはしない。それをしないことがこの『お月見』の本来の目的であるからだ。
ならば、やることは一つである。
「なるほどにゃあ! 余興ってやつだにゃ!」
「そうとも、一つ化術比べとまいろうではないか」
変な所で意気投合した二人は、早速すすき野において化術合戦を繰り広げる。
最初は些細なものであったのだ。
言うなれば狐と猫の化かし合いであった。どろんどろんと音を立てながら変化していく様子は他の猟兵たちにとっても催し物であったし、よい余興となっていた。
けれど、徐々にアルコールのせいだろうか。
若干?化の規模が大きくなっていくのだ。動物や、車に飛行機、大仏様。果てには天衝く龍にすら化けて屏風絵巻のような様相をていしているのだ。
「さてさてどうしてくれるか東方親分。負ければ割れた尻尾が泣くというものよ」
「にゃあにゃあ、これは愉快だにゃあ! 尻尾を泣き枕にするのはまだはやいにゃあ! あ、そーれ!」
互いに化けて、化かしてを繰り返していく。
際限なく続いていく合戦はすすき野に楽しげな笑い声を届けることだろう。
うぇっぷ。
どこかで気持ち悪そうに酔いがまわりすぎたような声が聞こえてくるような気配があったけれど、まあ、それはそれである。
きっと明日は二日酔いだにゃあとなる『山本五郎左衛門』を見やりながら、稲見之守は愉快そうに笑うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
陽殿蘇・燐
カクリヨファンタズムって、本当に面白い世界なのね?
山本親分の苦労は察するわ。
さて、視聴者(大半は原作ファン)参加型生配信よ。
まずはお月見よ。これは大きな月で、普通なのよ。いいわね?
お団子とお茶をもらうわね。
…こうしてまったり食べていると、落ち着くわね。すすきも風情があっていいじゃない。
コメントにも、月と団子を楽しんでいるのが流れてくるわね。いいことよ。
で、今のうちに『オススメアイスクリームフレーバー』を募集しておくの。
私、まだアイスクリームを食べたことないからね。
一年中夜中のすすき野に動画撮影ドローンが飛ぶ。
それは陽殿蘇・燐(元悪女NPC・f33567)の放ったものであり、動画配信主としては、当たり前のことであった。
「カクリヨファンタズムって、本当に面白い世界なのね?」
目の前には巨大な満月が割れ、『カタストロフの幼生』が覗いている。
これらを猟兵たちがたどり着く前まで『山本五郎左衛門』が言葉を尽くして説得することに寄って骸魂と妖怪を分離させてきていたのだ。
その苦労は察するしかない。
けれど、今日の燐がやるべきことは戦うことではない。
ある意味で彼女の日常であると言ってもいいだろう。
「さて、視聴者参加型生配信よ。まずはお月見よ。これは大きな月で、普通なのよ。いいわね?」
そんな風に前置きしてから燐は配信をスタートさせる。
流石にそれは無理があるのではなかろうかと思わないでもなかったが、彼女の配信の視聴者たちはすでに訓練済みである。
ラスボスであった燐が白と言えば黒になるし、白も黒と言えば黒になるのである。
恐るべき説得力である。
すでにコメント欄は訓練された視聴者たちのコメントで溢れている。
末恐ろしい影響力である。
東方親分『山本五郎左衛門』は他の猟兵たちとすでにどんちゃん騒ぎである。月見団子とお茶をもらって、燐はその様子をまったりと見ながら『お月見配信』を続ける。
「こうしてまったり食べていると、落ち着くわね。すすきも風情があっていいじゃない」
こういった風情を理解することができるようになったのは、バーチャルキャラクターである彼女の成長と取っていいだろうか。
コメント欄も一緒に月見酒したい! とか、団子にはこういうアレンジもあるだとか、いろいろなコメントが流れてくるのだ。
それは視聴者たちが、この月見を楽しんでいることが伝わってくるには十分なものであった。
「いいことね」
平和なコメント欄だ。
それはバーチャルキャラクターである燐にとっても喜ばしいことであった。
けれど、燐は思いついたようにカメラに向かって言うのだ。
「今のうちに思いついたんだけれど、『オススメアイスクリームフレーバー』を募集しておくわ。私、まだアイスクリームを食べたことないからね」
どんなものがオススメかしらと尋ねると、コメント欄はこれまた大洪水である。
チョコミント、キャラメルナッツ、バナナベリー、ポーションベリー、とまあ、31日全部が毎日違ったフレーバーのアイスクリームが食べられそうなほどに多種多様なフレーバーが寄せられる。
この月見の後の予定を予知したことを聞いた燐にとっては、それはあまりにも情報過多であったことだろう。
もっとこうバニラとかチョコとか抹茶とかそういう手心があればいいのにと思わないでも無かったが、それはそれである。
「そう、いろんな種類があるのね。なら、次回予告は決まったわね。この『お月見配信』が終わった後は、すぐに始まるわ」
そう『アイスクリームフレーバー食べ尽くし配信』が!
団子を一口放り込んで、燐はお茶を流し込む。
嫋やかな所作で立ち上がった彼女は高らかに宣言するのだ。
「さあ、視聴者。準備はいいかしら? いいわね?」
いつものおなじみのフレーズを付け加え、燐は悪女としての笑顔をカメラに向けつつ、次回予告を打つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミアステラ・ティレスタム
ええ、『お月見』を心行くまで楽しませていただきましょう
親分さんも一緒でとても嬉しいです
まずは乾杯、ですね
お酒を嗜める年齢(102歳)ですが、親分さんと同じ飲み物をいただこうと思います
これが噂の『お団子』ですか
色々な種類があるのですね
こちらのお醤油の餡がかかったお団子が絶品です……!
一年中真夜中のここは不思議な気持ちになります
確か、UDCアースにも『極夜』と呼ばれる現象が起こる地域があるのだそうですね
……やはり、ふたつの素敵な世界が失われなくて良かったと、心から思うのです
ふふ、こうして親分さんとゆっくりお話することが出来ましたし
わたしの『お月見』はしっとり、しみじみと
静謐な夜を楽しむばかりです
猟兵とは生命の埒外に在る者である。
見た目と実年齢が噛み合わぬことが多々あるであろう。そもそも様々な種族がいる以上、見た目など当てにはならないものである。
ヤドリガミであるミアステラ・ティレスタム(Miaplacidus・f15616)もまたその一人である。
よろよろとさっきまで猟兵と化術合戦をしていた東方親分『山本五郎左衛門』が、歩いてくるのを見てミアステラは微笑んだ。
「にゃあ……飲みすぎたにゃあ」
お水お水と、『山本五郎左衛門』も流石に酔いを冷まさねばと思ったのだろう。そこへミアステラはグレープフルーツジュースのグラスを持って駆け寄って手渡す。
「猟兵さん、ありがたいにゃあ」
「いいえ。『お月見』を心ゆくまで楽しませてもらっていますから。親分さんも一緒でとても嬉しいです」
微笑んで、ミアステラは『山本五郎左衛門』の隣に座って、割れた満月を見上げる。
『カタストロフの幼生』を徹底的に無視して『お月見』を楽しむことこそが、此度の事件の要である。
無視し続けて『お月見』を楽しみ続ければ、『カタストロフの幼生』は自然と消えていくのだ。
「まずは乾杯、ですね」
互いにお酒が飲める年齢ではあるけれど、今は同じグレープフルーツジュースを傾けるのだ。
同じものを飲んでいるというのは、どこか親しみが持ちやすいというのもあるだろう。
ずらりと並べられている月見団子を前にミアステラの瞳が輝く。
「これが噂の『お団子』ですか。いろいろな種類があるのですね。ああ、こちらのお醤油の餡がかかったお団子が絶品です……!」
「にゃあにゃあ。こういうのが得意な妖怪がおるのですにゃあ。今日は猟兵さんたちと『お月見』と言ったら、張り切ってしまってにゃあ。こんなにたくさん作ってくれたのですにゃあ」
目の前にはたくさんの猟兵達に振る舞うために月見団子が、それはもう多くの種類と数でもって広げられていたのだ。
そんなお団子に舌鼓をうちながら二人は笑いあう。
穏やかな時間が流れていく。つい先日まで『大祓百鬼夜行』という大きな戦いがあったとは思えないほどであったけれど、こんな風に親分たちと過ごすことができるとは思ってもいなかっただろう。
「一年中真夜中のここは不思議な気持ちになります。確か、UDCアースにも『極夜』と呼ばれる現象が起こる地域があるのだそうですね」
ミアステラは守った二つの世界に思いを馳せる。
どちらも彼女にとっては護るべき世界であった。それはきっと親分たちも同じ気持ちであったことだろう。
そのどちらかが欠けては、今回の戦いの勝利は得られることはなかったことだろう。
「本当によかったにゃあ。こうしてワシらも猟兵さんたちとこんな風に過ごせるとは思っていなかったにゃあ」
「ふふ、こうして親分さんとゆっくりお話することが出来ました」
嬉しそうに微笑むミアステラと『山本五郎左衛門』は二つの素敵な世界が喪われることなかったことを心から喜び合っていた。
二人の『お月見』はゆっくりと。
そして、しっとりとしたものであった。しみじみと感じ入ることができる二つの世界を救ったという実感。
それは静謐な夜を楽しむという意味では、きっと最高のものであったことだろう。
にぎやかな『お月見』もいいけれど、こうした夜長に流れる静かな空間を楽しむのだって良いものである。
口にした月見団子の優しい甘さを感じながら、ミアステラは今よりも未来が良いものに為るようにと願わずには居られず。
けれど、それが親分達と妖怪達とならば為せることを確信するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
乱獅子・梓
【不死蝶】
お月見を楽しんで、妖怪のもてなす料理を食べまくる…
うん、どっちも割と最近聞いた話だな??
せっかくだから俺も団子を用意してきたぞ
餡、みたらし、三色、ずんだ、よもぎ、チョコ…
これでもかというくらい色んな味付けの団子を作ってみた
おねだりしてくる焔と零にも団子を振る舞う
団子は喉に詰まりやすいからしっかり噛んで食べろよ?
まだ沢山あるから取り合いするんじゃない!
ちょっ、みたらしでベタベタ状態で肩に乗るな!(焔をふきふき
…仔竜たちの世話に大忙し
ああ、それと、団子ばっかりだと口の中が甘くなるだろう
取り出すのは魔法瓶に入れた野菜たっぷりスープ
野菜だけじゃなく肉団子も入っているぞ(団子繋がり
灰神楽・綾
【不死蝶】
あはは、何だか良くも悪くも
いつものこの世界に戻ったって感じだよねー
気楽に訪れるカタストロフの危機
うーんこの実家のような安心感(感覚が麻痺
お月見といえばやっぱりお団子だよね
親分の用意してくれた月見団子をありがたくいただく
もちもち食感と優しい味わいに顔がほころぶ
えっ、梓のお手製団子もあるの?やったぁ
色とりどりのお団子が並べられてわぁと感嘆の声
今夜はお団子パーティーだね
みたらし団子を味わいながら
梓と仔竜たちのやりとりを微笑ましく眺める
その光景はまるで子供たちとお母さんだなって
味と栄養のバランスを考えて
スープまで用意してくれていたとは…
まさにどこに出しても恥ずかしくない梓お母さん
今日は『お月見』をしてアイスクリームを食べまくる。
その言葉は聞けば聞くほどになんだそれ、となるものであったことだろう。けれど、『大祓百鬼夜行』を戦い抜いた猟兵たちにとって、それはどこかで聞いたような話である。
「お月見を楽しんで、妖怪のもてなす料理を食べまくる……うん、どっちも割と最近聞いた話だな?」
乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)と共に一年中真夜中のすすき野に浮かぶ割れた満月を見上げてつぶやいた。
若干呆れているというか、荒唐無稽な出来事のようにしか思えない。
何故巨大な満月が割れているのか。
そして、何故それが『カタストロフの幼生』に繋がるのか。まるで接点がないし、言っていることもやっていることもでたらめそのものであった。
呆れを通り越している。
「あはは、なんだか良くも悪くも、いつものこの世界に戻ったって感じだよねー」
綾は笑っているが気軽に気楽に訪れるカタストロフの危機というのは、他世界を知る猟兵からすれば割ととんでもないことである。
うーんこの実家のような安心感。
綾は確実に感覚が麻痺している。しかし、この危機を救うためには『お月見』を全力で楽しまなければならない。
「お月見と言えばやっぱりお団子だよね。親分が持ってきてくれていたお団子をいただこうかな」
『お月見』会場に用意されたお団子は東方親分『山本五郎左衛門』が持ってきたものだ。お茶も用意してくれているところがありがたい。
一口頬張れば優しい味わいともちもちの食感に思わず綾の頬が緩む。
しかし、お団子、即ち料理とくれば梓も黙ってはいられない。
「せっかくだから俺も団子を用意してきたぞ。餡、みたらし、三色、ずんだ、よもぎ、チョコ……ふっ、興が乗りすぎたな」
梓の用意してきたお団子の種類は気合の入りようが違った。
二匹の子竜たちがねだるようにじゃれてくるものだから、口に運んであげると喜んだように空を飛ぶのだ。
「わっ、梓のお手製団子だ。やったぁ」
綾は団子パーティとなった眼の前の光景に頬が緩みっぱなしである。
梓は梓で大変である。
あまりの美味しさに子竜たちが喉に引っ掛けないかどうか心配しているし、その様子がどこか子供とお母さんのやり取りのように思えてならないのだ。
もう、割れた満月なんてふたりとも気にも止めていなかった。
月より団子というやつである。
「ああ、それと団子ばかりだと口の中が甘くなるだろう。こっちもちゃんとな」
梓が魔法瓶を取り出し、カップを綾に手渡す。
ごろっとした肉団子がはいった野菜スープは、これまた優しい匂いと味をもたらしてくれる。
いたれりつくせりである。
まさにお母さん。いや、お父さんと呼んだ方がいいのかもしれないが、敢えてお母さんと呼ばせて頂こう。
ありがとう、お母さん。
「誰がお母さんだ。まったく」
「いや、これはどこに出しても恥ずかしくない梓お母さんだよ……」
綾は味と栄養のバランスを考えてくれている梓に感服する。
ほんのりとスープの湯気が立ち上り、一年中真夜中のすすき野の空に溶けて消えていく。
割れた満月はそのままであったけれど、そんなことはもう考えることもない。
だって、此処には色とりどりの満月に見立てた団子があるし、二匹の子竜が楽しげに飛び、梓お母さんの栄養満点のスープがある。
他の猟兵たちも、『山本五郎左衛門』も楽しげに月見に興じている。
「いつもどおりのカタストロフ、なんて。笑い事じゃあないけれど、こんなカタストロフなら、いつだって解決したいよね」
「そう何度もあってたまるか」
なんて二人のやり取りは、きっと夜長に吸いこまれていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐伯・晶
不安定なのは相変わらずなんだね
骨休めも兼ねて楽しませて貰おうかな
UDCアースでお酒と
朝市で買った刺身や珍味を持って参加しよう
邪神の聖域に置いておいたから
程よく冷えてるし新鮮だよ
聖域は冷蔵庫ではないと
何度も言わせないで欲しいですの
保存の権能でも良いんだけど
持ち運びを考えると一番楽なんだよね
お酒に月を映してお酒を飲んでのんびりしようか
大祓百鬼夜行お疲れ様でした
親分さんも一献いかがかな?
私はお団子をつまみつつ
お茶を頂いていますの
親分様は素敵ですけれど今日は何かしたりはしませんの
ええ、とても残念ですけれど
昔のUDCアースの事
今のUDCアースの事
これからのカクリヨファンタズムの事
色々話をできたら楽しいな
カクリヨファンタズムに迫るカタストロフ。
それはこの世界にとっては日常的なものであったことだろう。些細なことが世界の破滅に繋がるこの世界にとって、これまで猟兵が訪れるまで食い止めていたのが親分達である。
東方親分『山本五郎左衛門』は言葉によって骸魂に飲み込まれた妖怪たちを説得してきた存在である。
そんな彼女だって、時には休息が必要である。
そういう意味では今回の『お月見』は良い機会であったのではないだろうか。
どんちゃん騒ぎの向こう側で『山本五郎左衛門』は楽しげに笑っている。これも『大祓百鬼夜行』の戦いが終わったからに他ならない。
「不安定なのはあいかわらずなんだね。骨休めも兼ねて楽しませてもらおうかな」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はゆっくりと一年中真夜中のすすき野に腰を下ろし、UDCアースで購入してきたお酒と朝市で買った刺し身や珍味に舌鼓を打つ。
しっかりと邪神の聖域(トランキル・サンクチュアリ)と呼ばれる空間の穴で冷やしていたおかげで鮮度は抜群だし、冷にしたお酒は舌に溶けていくようでも在った。
「聖域は冷蔵庫ではないと何度も言わせないでほしいですの」
邪神の分霊がぷんすこしているが、晶は取り合わなかった。
だって、保存の権能でも良いのだけれど、持ち運びを考えると、この方法が一番楽なのだ。
「まあまあ、お酒飲んでお月見してのんびりしよう」
なんて宥めるのも慣れたものである。
邪神との付き合いも長くはなっているが、時にはおだやかに過ごすのも悪くはない。酒盃に浮かぶ月は、愛も変わらず割れているけれど、気にしたら負けである。
月が割れているなんて気にすること無く『お月見』を楽しむことが、『カタストロフの幼生』を消滅させるに必要なことなのだ。
そんな風にちびちびと楽しんでいると、ふらふらっと東方親分『山本五郎左衛門』がやってくる。
おおかた酔い冷ましで散歩でもしているのだろう。
「『大祓百鬼夜行』お疲れさまでした。親分さんも一献いかがかな?」
なんて、晶が声を懸けると『山本五郎左衛門』はにゃあにゃあ言いながら近寄ってきて、改めて頭を下げるのだ。
「こちらこそにゃあ。猟兵さん、ありがとうにゃあ。それではお言葉に甘えて」
なんてへべれけ状態である。
そんな様子を邪神の分霊は団子をつまみつつ、お茶を飲んでいる。その瞳が若干『山本五郎左衛門』に対する邪念があるのはわかるが、今日は何もしようとはしていない。
晶に釘を差されているのか、それとも今夜ばかりはそういうことは無粋であるとわかっているのか。
どちらにせよ、穏やかな時間が流れていく。
晶と『山本五郎左衛門』はいろいろな話をするだろう。昔のUDCアースの事、今のUDCアースの事。
温故知新とは言わないまでも、それは互いに取って思い出の話に花が咲くようなものであったし、これからのカクリヨファンタズムのことを考える上では重要なことであった。
「ともあれ、これからもよろしくにゃあ、猟兵さん!」
楽しげな時間はあっという間である。
楽しい『お月見』もあと僅かである証拠に『カタストロフの幼生』の姿は薄れてきている。
後もう少し。
それを名残惜しいと思えることは幸せなことであったことだろう。晶は、酒盃を傾け、静かな思い出話に浸るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
UC即起動
「わーい☆お花見だー♪」
一時はどうなるかと思いましたがこうして楽しめるのは良い事です
とりあえずお団子食べますか(もぐもぐ
取り合えず五郎左衛門の膝枕堪能しながらお団子食べます
うん、こういうらぶらぶは良いものです
「メルシーは五郎左衛門ちゃん吸いするぞ☆すーはーすーはー!」(髪を堪能する悪い機神
そういえば妖怪達って弾幕ごっこで遊んでると聞いたんですが弾幕ごっこってなんです?
とりあえず慣れないながら五郎左衛門と弾幕ごっこで遊びます
何度もぴちゅりますが頑張って覚えましす
中々楽しいですが苦手な人には厳しそうですね
でも楽しむ気があるなら皆にも教えるのもよいかもしれません
あれです
選択は自由だってやつ
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は己のキャバリアである『メルクリウス』が銀髪の少女へと姿を変えたのを見て仕方ないなとかぶりをふった。
「わーい☆お花見だー♪」
そんな彼女の天真爛漫な笑顔を見ると、カシムは一時はどうなるかと思われた『大祓百鬼夜行』が無事に勝利という形で終えられたことに胸をなでおろすのだ。
「とりあえずお団子食べますか」
用意されているお団子の種類は様々なものがあった。
東方親分『山本五郎左衛門』が用意してくれていたものであろう。
そんな東方親分『山本五郎左衛門』は他の猟兵たちとの飲み比べや化かし合いなどなどをしており、割れた満月を徹底的に無視して『カタストロフの幼生』を消滅させるための『お月見』を終えた後であった。
「にゃあにゃあ。これは猟兵さん。どうも楽しんでいただけておりますかにゃあ」
まだ酔いが冷めてはいないのだろう。
少し酔いどれ風味な彼女は終始上機嫌である。
猟兵たちが訪れるまでカクリヨファンタズムは彼女たち親分によってカタストロフから守られてきていたのだ。
今日くらいはゆっくりとしてもらってもいいのではないかというのが猟兵たちの総意であったが、とりあえずカシムは『山本五郎左衛門』の膝枕を堪能しながらお団子を食べるのだ。
「こんなんでいいのかにゃあ」
世界を救ってくれた猟兵からのお願いとあれば断ることも無碍にはできない。
「うん、こういうらぶらぶは良いものです」
「あっ、この猟兵さんも人のお話聞いてくれない感じ、かにゃあ!?」
かと思えば、銀髪少女の姿となった『メルクリウス』が『山本五郎左衛門』の髪に頭を埋めてすーはすーはしている。
「メルシーは五郎左衛門ちゃん吸いするぞ☆ すーはーすーはー!」
もう正直シッチャカメッチャカである。
混沌ってそういうことなのかなって思う光景であるが、カシムは思い出したように言う。
「そういえば妖怪たちって弾幕ごっこで遊んでると聞いたんですが弾幕ごっこってなんです?」
「なんですかにゃ、弾幕ごっこって!?」
もしかして、新し親分が最近ハマっている流行りのものであるのだろうか。よくわからないまでも、カシムが言う『弾幕ごっこ』に興じる。
ぴちゅるってなんだろう。
死んで覚える系ゲームのことかなと思いつつも、カシムも『山本五郎左衛門』も慣れないなりにがんばって遊んでいく。
弾幕というくらいであるから、ものすごく躱すのが難しそうな、自機判定が辛かったりするのだろうか。
「なかなか楽しいですが、苦手な人には厳しそうですね」
「そうですにゃあ……っていう、動き回ったのでうぷ」
あーあー。
背中をさすりさすりする『メルクリウス』と共に虹色がすすき野にかかる。
これは確実に明日は二日酔いコースだろうナとカシムは可哀想なものを見る目で『山本五郎左衛門』を見やるのだ。
きっと楽しいから飲みすぎてしまうのだろう。
それは仕方のないことである。
けれど、飲みすぎ注意なのは言うまでもない。それもまた選択の自由だってやつだな、とカシムは思いつつ、空に浮かんでいた満月を見やる。
そこにはもう『カタストロフの幼生』の姿はなく。
すすき野の夜空に浮かぶ満月は、元のまんまるな形を取り戻していた。
そう、これでカタストロフは防がれたのだ。
あとは『お月見』の片付けを終えるだけであるが……そう、まだ事件は終わっていない。
予知によって猟兵たちが得たのは、これより訪れるオブリビオン妖怪による『おもてなし』の猛威であった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『冷凍睡眠・アイスラヴァー』
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POW : 凍眠への誘い
【眠たさ】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【雪だるまの大群】から、高命中力の【睡眠毒と冷凍ガス】を飛ばす。
SPD : 凍てつく体
【凍てつく冷気】を籠めた【氷の杖】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【凍結耐性】のみを攻撃する。
WIZ : 凍眠する世界
【自らも朦朧とするほど、睡眠毒と冷気の力】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
イラスト:ミムミリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠チリー・スティーリア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちが『お月見』を全力で楽しんだことにより、割れた満月より生まれようとしていた『カタストロフの幼生』は消滅した。
一年中真夜中のすすき野の夜空に浮かぶ満月は、普段の姿を取り戻し、これでカタストロフの危険性は回避されたのだ。
けれど、事件がこれで終わらぬのを猟兵達は知っている。
それを示すように何処からともなく屋台が飛んでやってくる。
土煙を上げて着地した屋台。
それは一見するとファンシーなカラーリングを施された屋台であったが、いうなればキッチンカーと呼ばれるたぐいのものであった。
「やあやあ、私は東方親分、西洋親分、新し親分、龍神親分に並ぶ『あいすくりん親分』!」
ばたん! とキッチンカーから飛び出した少女の姿をしたオブリビオン妖怪、『睡眠冷凍アイスラヴァー』が大見得を切るように名乗りを上げる。
だが、二日酔い待ったなしの東方親分『山本五郎左衛門』は呻くようにして、なにそれ知らない親分にゃ、とつぶやいてがくりと膝をついて、虹色の滝を生み出していた。
ちょっとヤバイな。
「私のおもてなしを受けなさい! この溢れる衝動! 溢れるアイスクリーム! 私は、叫ぶ! あい! すくりーむ!」
もうごっちゃになってるが、彼女の言葉とともに屋台もといキッチンカーから溢れるのは様々なフレーバーのアイスクリームたち。
これらをすべて食べ尽くせば、オブリビオン妖怪はおもてなし衝動を喪って、勝手に分離して消え去るだろう。
もしも食べ尽くさなければ、カクリヨファンタズムにアイスクリームが満ち溢れ、埋まってしまう。
それこそカタストロフである。
「さあさあ! どんどん食べて! そして、美味しいって気持ちハッピーな気持ちで凍りついてしまいなさい――!」
鈴久名・紡
なるほど、凄いな?
いや、しかし……挑まれたなら応えなくてはなるまい
そして、戦争で貢献しなかった者を親分と、俺は認めない
そう想う事は自由……だよな?
滝を作成してる親分も作成し尽くせば落ち着くだろう……
そうしたら、まぁ、助力願うのも良いだろうか
折角だし片っ端から堪能するとしよう
あぁ、でも最初はバニラ(ノーマル)で
ついでにスプーンに変えた禮火に生命力吸収を乗せて
覚悟を持って、いざ……!
これは苺の果肉も入っているのか
程良い甘さと果肉の酸味がとてもいいな
目が覚める冷たさに逆に目が冴えてきた
さて、そろそろシメの逸品?一品?を頂こうか
バニラのブランデー掛け(もぐもぐ)
※
分かり難いけれど甘味を堪能出来てご満悦
屋台ならぬキッチンカーから溢れ出るアイスクリームの数々を前に猟兵達は、これがカタストロフの片鱗であることを知るだろう。
そう、これこそが『冷凍睡眠・アイスラヴァー』の『おもてなし衝動』が爆発した結果である。
凄まじい量のアイスクリームはたちまちの内にカクリヨファンタズムを埋め尽くしてしまうだろう。
そうなってしまえば、せっかく『大祓百鬼夜行』に勝利したのも水泡に帰すことになってしまう。
「なるほど、すごいな? いや、しかし……挑まれたなら答えなくてはなるまい」
鈴久名・紡(境界・f27962)は今や虹色の滝を生成している東方親分『山本五郎左衛門』の前に立ち、波のように襲いかかるアイスクリームから護る防波堤となるのだ。
「そして、戦争で貢献しなかった者を親分と、俺は認めない。そう想うこと事態は自由……だよな?」
後ろで音が加工されつつ、虹色の滝を生み出している『山本五郎左衛門』を少し心配するが、滝を出し尽くせばまあ、後は落ち着くだろうと紡はアイスクリームの波へと果敢に立ち向かうのだ。
「片っ端から食べていけばいいんだろう。あぁ、でも最初はバニラからだ」
そう、やはり最初は牛乳とバニラビーンズの風味が香る基本中のバニラからである。
当然、硬すぎてスプーンが折れてしまわぬようにと己の力をスプーンに変え、生命吸収の力を乗せた覚悟をもって、紡ぐは飛ぶのだ。
「いざ……!」
なんか戦いに赴くような雰囲気を纏っているが、アイスクリーム食べるだけだからね。集中線はいっている気がしないでもないが、気のせいだ!
口に運べばバニラの甘い香りが鼻腔を突き抜けていく。
舌に溶ける感触も甘やかでねっとりとしている。だというのに口に残らないところが、とても高級なバニラアイスであることを伝えている。
「どう! これが私のおもてなし! 最高級の素材と牛乳を使ったバニラ! 至高のバニラよ!」
『睡眠冷凍・アイスラヴァー』は次々とにアイスクリームをサーブしてくる。
ぺろっと食べられてしまうことから、紡はこれが確かに高級なアイスクリームであることを知る。
口溶けが良いというのは、こういうことを言うのかと思うほどにするすると口に運ばれていくのだ。
「お次はこちら!」
「これは……いちごの果肉もはいっているのか。程よい甘さと果肉の酸味がとてもいいな」
紡はさらりとアイスクリームフレーバーの感想を言いながら、ぺろりと食べ尽くしてしまう。
「目が覚める冷たさに逆に目が冴えてきた。もっといただこうか」
「そうこなくっちゃ! こっちはクッキーが入っているから食感も変わって楽しいわ! 甘さと甘さのコラボレーション! さあ、召し上がれ!」
もうこれが戦いであるとは第三者からはわからないであろう。
どっちかというと、イケメンがアイスクリームを試食しているだけに過ぎない映像であるが、残念ながら番組ではない。
次々とサーブされるアイスクリームを食べ尽くし、紡は頷いた。
そう、この事件を知ったときから用意していたものがあるのだ。キッチンカーのテーブルにどん! と置かれるのはブランデーのボトルである。
『お月見』のときから楽しみにしていたのだ。
こういう食べ方もあると知ったときから、きっとこうするんだと夢に描いたように、紡はここに来て初めて『おもてなし』からリクエストを飛ばすのだ。
「さて、そろそろシメの逸品? 一品? をいただこうか」
最高級のバニラアイスを所望する!
ここで退いては『冷凍睡眠・アイスラヴァー』の名が廃るというものである。キッチンカーの奥から出されたのは、ドラム一杯のバニラアイス。
業務用!
「これでどう! 見た目は無骨だけれど、ブランデーをかけるなら、こっちのほうがきっと合うはず!」
そう、こういう時は素材の良さだとか、高級品だとかは関係ないのである。
かえって安く感じる大量のアイスクリームを抱えながらブランデーをくぼみに注ぎ、救って食べるのがジャスティスである。
ジャンキーなどと罵られようが、関係ない。
バニラの風味が、ブランデーの風味を高めるように。
ブランデーの風味が、バニラの風味を引き上げるように。
どちらが欠けても成り立たぬ圧倒的マリアージュ! もうマリアージュって言いたいだけじゃないかと思われたっていい。
これで良い! いやさ、これが良い!
「おそまつさまでした!」
凄まじい完食具合を見せつけた紡に『睡眠冷凍・アイスラヴァー』は卒倒する。わたし、幸せ。イケメンが私のおもてなしで分かりづらいけれど、甘味を堪能してご満悦な様子を間近で見られて幸せなの。
そんなことなどいざしらず、紡はあまり変わらぬ表情のまま、ドラムの中のバニラアイスをブランデーと共に完食するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
御狐・稲見之守
では我は狐親分な。
そういうことになった。した。
なんだ、誰ぞ文句あるか。
しかしさて、我らではアレは食べ尽くすことなど叶わぬ。
[UC自在鬼門]おいでませ幽世の妖怪達
アイスクリームパーティの始まりである。
親分殿もリバースしてる場合ではないぞ?
宴は頭数が多いほど良いもの、妖怪衆を呼ぶがよい。
さあさあ再び襲う幽世の危機、皆々一層奮励努力せよ。
――ふふ、それではこの狐親分も
あいすくりん親分におもてなしをしてやろう。
呑め。
おい、呑め。
『あいすくりん親分』――それはオブリビオン妖怪『冷凍睡眠・アイスラヴァー』が勝手に名乗っているものであって、別に四人の親分たちと同じような意味合いを含んでいるものではない。
けれど、名乗ったもの勝ちということだってある。
彼女にとって、その大きすぎる『おもてなし衝動』は尽きることはなかった。例え、イケメンが涼しい顔してアイスクリームをわずかに頬を緩ませながらご満悦な雰囲気を放っていたとしても。
「今、卒倒している場合なんかじゃないのだわ!」
がばりこ、と卒倒から回復した『冷凍睡眠・アイスラヴァー』はキッチンカーから飛び出し、溢れるアイスクリームを猟兵達に振る舞おうとした。
次の瞬間、輝くユーベルコードが彼女の視界を埋め尽くしていく。
え。
「てけててん、どこでも鬼門ー!」
なんか著作権的にまずいサウンドエフェクトが聞こえたような気がする
それは、自在鬼門(ドコデモドア)と呼ばれるユーベルコードであり、鳥居の描かれた呪符より現れる百鬼夜行によって、溢れるアイスクリームを片っ端から平らげていく幽世の妖怪たちであった。
それを為したのは、御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)もとい、『狐親分』である。
勝手に名乗ることになった。いや、したのだ。
なんだ誰か文句でもあるのかと赤ら顔でいう彼女の目は若干すわっておられる。やべーぞ!
「え……やー……そのぉ」
『あいすくりん親分』こと『冷凍睡眠・アイスラヴァー』はたじろいだ。
ちょっと怖い。
稲見之守は自分でアイスクリームが食べ尽くすことは叶わないと冷静にユーベルコードに寄って呼び寄せた妖怪たちに号令をかけたのだ。
「今宵はアイスクリームパーティの始まりである。親分殿もリバースしている場合ではないぞ?」
虹色の滝をまだ作ってる東方親分『山本五郎左衛門』を見やりながら、稲見之守は告げるのだ。
号令と共に次々と妖怪たちが自在鬼門から飛び出して、溢れるアイスクリームを頬張っていく。
正直に言えば、とめどなく溢れてくる『おもてなし衝動』さえ満たしてしまえば、オブリビオン妖怪である『冷凍睡眠・アイスラヴァー』は打倒できるのだ。
これが正しい戦い方であるのだが、稲見之守は良いお酒と良い甘味、そして飲み友に囲まれてご満悦である。
「宴は頭数が多いほど良いもの。妖怪衆、お友達をお誘い合わせの上、疾く駆け付けよ。さあさあ再び襲う幽世の危機、皆々一層奮励努力せよ」
自分がお酒をぐびり。
まさに女王様の貫禄である。
狐親分と名乗るだけはある。そこにシビれるあこがれるゥ! とはまあ、なるのかなぁという疑問はありつつ。
けれど、まだ音姫に頼りっぱなしの虹色のキラキラを創り出している『山本五郎左衛門』は恐ろしいにゃあと思わずには居られなかった。
だって、彼女がここまで、こう、えーと、滝を作る理由となったのは、他ならぬ『狐親分』こと稲見之守であるからだ。
「――ふふ、それではこの狐親分も、あいすくりん親分におもてなしをしてやろう」
なんか流し目が光った気がした。
というか、実際に身の危険を感じた『冷凍睡眠・アイスラヴァー』は後ずさりをしたが、神速の勢いで回り込んだ稲見之守にがっしりと肩を掴まれる。
「ヒッ――!?」
「呑め」
単純明快であった。
それは確認でもなければ、おもてなしでもなかった。
それ以外の選択肢は与えられて居らず、ついでにいうと答えも必要としてない。
あるのは行動で示すのみ。
突きつけられた酒盃は、まんまるであったけれど、剣の切っ先を突きつけられているような剣呑ささえあったのだ。
断ったらどうなるかなんて言うまでもない。
「おい、呑め」
完全に絡み酒である。
あ、もしかして酔っていらっしゃる? なら仕方ない。こっちでお休みしましょうねぇとは行かないのである。
「ひ、えぇぇぇ――!?」
『冷凍睡眠・アイスラヴァー』の悲鳴が響き渡り、真っ赤な顔で倒れ伏す姿が、数刻後に見ることが出来たが、『狐親分』は『山本五郎左衛門』に再び酒を勧め、どんちゃん騒ぎというか、乱痴気騒ぎに興じるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミアステラ・ティレスタム
あらあらまあまあ、山本の親分さんが乙女にあるまじき姿に……!
これは宜しくありません、さあ冷たいものを口にしてくださいませ
気分が良くなるはずです
そこの貴女
ミントアイスをこちらの親分さんに差し上げてくださいな
さっぱりしたところで、一緒に他のアイスもいただきましょう
可愛らしい見た目のアイスもあって、とても素晴らしいです
山本の親分さんはどのフレーバーがお好きかしら?
わたしは王道のバニラ、と言いたいところですが、美味しいものがたくさんあって選べません
えっと、『あいすくりん親分』さん?
貴女は召し上がらないのです?
まあ、そんなつれないことをおっしゃらずに、貴女も一緒にいただきましょう(魅惑のウインク飛ばし)
東方親分『山本五郎左衛門』はちょっぷり後悔していた。
『大祓百鬼夜行』を猟兵たちのおかげで乗り切って、少しばかり気が緩んでいたのかもしれない。
いや、猟兵たちとの『お月見』が楽しすぎた。そう、楽しすぎたのだ。
楽しい時間ともなれば、お酒だってぐぐいっと進むものである。
『カタストロフの幼生』を消滅させるために集まってくれた猟兵たちが勧めるままに飲みすぎたのが原因である。
「あ~……まだ頭がぐらぐらするにゃあ、うぷっ」
謎のサウンドエフェクトでプライバシー的なというか、倫理コード的なというか、TPOをわきまえたというか、そんな配慮在る虹色のキラキラをだばだばしながら『山本五郎左衛門』は、明日の二日酔いを考えると今からげんなりしてしまう。
さらには『あいすくりん親分』名乗るオブリビオン妖怪だってやってきている。
アイスクリームの屋台、もといキッチンカーが横付けされておりアイスクリームが波のように溢れてくるのだ。
「あらあらまあまあ、山本の親分さんが乙女にあるまじき姿に……! これは宜しくありません、さあ冷たいものを口にしてくださいませ」
ミアステラ・ティレスタム(Miaplacidus・f15616)は未だ虹色をキラキラさせている『山本五郎左衛門』の背中をさすりながら、何か冷たいものをと周囲に視線を巡らせる。
あるではないか。
お酒を飲んだ後に口元の気持ち悪さをさっぱりさせるのにちょうどよいものが、それも大量に。
「あ~……私もなんかこう、明日はないはずだけど、明日の二日酔いが心配なのだわ」
オブリビオン妖怪『睡眠冷凍・アイスラヴァー』こと『あいすくりん親分』もまた虹色っていた。
なんだ虹色っていたって。言わせるな恥ずかしい。キラキラしてるってことだよ!
そんな彼女も猟兵の絡み酒で大変にぐらぐら来ていたし、猟兵たちがばくばくアイスクリームを消費してくれるおかげで『おもてなし衝動』がだいぶ解消されつつあったのだ。
そんな彼女にミアステラは言う。
「そこの貴女。ミントアイスをこちらの親分さんい差し上げてくださいな」
彼女の要望通り、ミントアイスがぽこんと出てくるのがキッチンカーのすごいところである。爽やかなミントグリーンの猫さんアイスがミアステラの手元にやってくる。
ああ、これはいけない。
食べてしまうのがもったいないくらいの可愛らしさ。
ミアステラはちょっとためらったけれど、今もなおキラキラしている親分を捨て置くことはできない。
「さあさあ、親分さん。こちらを」
そう言って手ずから『山本五郎左衛門』の口元に運ぶミアステラ。
「ふにゃあ。ありがたいありがたいにゃあ、猟兵さん……」
もう涙出てきそうである。
優しさが胃酸であれくるった喉元に効くのである。
「いい。山本の親分さんはどのフレーバーがお好きかしら? わたしは王道のバニラ、と言いたいところですが、美味しいものがたくさんあって選べません」
ミアステラは先程の猫さんタイプの可愛らしいデコレートを見て、ちょっぴり悩み過ぎていた。
それ以前にフレーバーを選んでも果たして、あの可愛い猫さんたちにスプーンを入れることができるだろうか、いやできない。
「またたびフレーバーにゃあ」
あ、それはまずいやつである。これ以上酔ってどうすうつもりなのか。
「まあ、それは流石にないかもしれませんから、ここでお口直しにミントアイスを召し上がっていてくださいね」
ミアステラはぐでんぐでんになっている『睡眠冷凍・アイスラヴァー』の元へと駆け寄って、微笑むのだ。
「えっと、『あいすくりん親分』さん? 貴女は召し上がらないので?」
「今はちょっと何も口に入れたくないっていうか……」
「まあ、そんなつれないことをおっしゃらずに、貴女も一緒に頂きましょう」
にこり、魅惑のウィンクが飛ぶ。
それは、誘奏視(プリマヴィスタ)。彼女のユーベルコードであり、ミアステラの魅惑の視線が飛ぶだけで、『冷凍睡眠・アイスラヴァー』はミアステラに友好的な行動をとってしまうのだ。
「は、はいぃ……!」
もてなす側が何故かもてなされる側に堕ちた瞬間であった。
ミアステラはほほえみながら、『山本五郎左衛門』を介助しつつ、アイスクリームを消費させ、しかして自身は微笑むだけで事態を沈静化させていくのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
陽殿蘇・燐
『悪女NPC(ラスボス)だったけど、猟兵になってみた~アイスクリームフレーバー食べ尽くし編~』
さて、引き続きの生配信よ。
皆、思い思いのフレーバーを教えてくれたわね。ならば、それをすべていくわよ…!
温かい紅茶(ストレート)を供に、もぐもぐと。
紅茶持ってるのは、寒さ対策の他に、舌のリセットのためよ。
せっかく教えてくれたのに、前のアイスで味がボケては勿体ないでしょう?
はじめてのフレーバーなんだし。
……アイスって冷たくて美味しいのね。私は『炎術士』で『炎を纏ったクロアゲハ』が象徴のとおり、火属性なのだけれど。
それでも、この冷たさは好きだわ。
これからの季節によさそう。
『悪女NPC(ラスボス)だったけど、猟兵になってみた~アイスクリームフレーバー食べ尽くし編~』
そんなテロップがフレームインしてきてからのワクワクドキドキの動画配信が始まる。
それは陽殿蘇・燐(元悪女NPC・f33567)が配信主となっている動画のタイトルである。
カクリヨファンタズム世界においてカタストロフとは常に隣り合わせである。スナック感覚で世界が滅びる可能性があるのだ。
例えば、言葉一つであってもカタストロフは引き起こされるし、割れた満月からも生まれる。そして、『おもてなし衝動』が大爆発を起こしたオブリビオン妖怪が引く屋台……今回に限って言えばキッチンカーから溢れ出る大量のアイスクリームでだって世界は埋め尽くされて滅んでしまう可能性を秘めている。
ならばこそ、燐は立ち向かうのだ。
元ラスボスだから別にいいんだ。世界を救ったって。
「さて、引き続きの生配信ょ。皆、思い思いのフレーバーを教えてくれたわね。ならば、それを全て行くわよ……!」
スプーンの準備は大丈夫か。
燐は手のひらの温度を伝えることによって硬いアイスクリームさえもバターのようにすくえるというスプーンを視聴者から教えてもらってKakuzomから取り寄せていた。
湯気立つ紅茶はお供である。
冷たいアイスクリームを食べるのであれば体が冷えてしまわぬための配慮であったし、舌のリセットのためである。
「さあ、まずは王道と呼ばれるバニラから頂くわ。基本中の基本って言っていたわね、どれ……」
スプーンで救ってアイスクリームを頬張る燐。
舌に溶けていく甘さと冷たさ。解けていくように香りが鼻腔をくすぐる。甘さの中になんと言っていいかわからない初めての体験に燐は思わず♪マークが飛び出すほどであった。
「……アイスって冷たくて美味しいのね」
彼女は炎術士で炎をまとったクロアゲハが象徴とされるように、いうなれば火属性である。
だからこそであろう。
アイスクリームの冷たさは彼女にとってちょうどよいし、この冷たさを好きだと言えるのだ。
「次はチョコミントを是非? へぇ、爽やかな見た目ね」
コメント欄を確認しながら燐は次々と提案されるフレーバーを片っ端から試していくのだ。
どれもこれもが彼女の舌にとって初体験のものばかりであった。
ストロベリーの酸味と甘さ。
クッキーチップのさくさくした感触。
抹茶の馴染みがあるようで新しい味。
そのどれもが燐にとっては心をはずませるものであったことだろう。その様子に視聴者の心はアイスクリーム一色に染まっていく。
もしも、彼等がカクリヨファンタズムに住まう妖怪たちであったのならば、きっと噂を聞きつけてやってきたことだろう。
「それにしてもアイスクリームを食べているだけでダメージが入るオブリビオン妖怪って一体どういう理屈なのかしらね」
燐は首をかしげる。
けれど、現にカメラの端でびくんびくんしている『睡眠冷凍・アイスラヴァー』の姿が見切れている。
いや、別にアレはダメージとかではなく、確実に絡み酒からのアイスクリームを食べ過ぎたことによるダメージな気がしないでもない。
「まあ、どっちだっていいわ。さあ、次々にフレーバーを試していくわ。もしよかったら、オススメの食べ方も教えて頂戴ね」
燐はカメラに向かって手を振りながら、暖かな紅茶と共に舌をリセットし、冷えた体を温めていく。
それからというものの、燐は数十のフレーバーを試しきってご満悦で大盛況の内に配信を終えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『疾き者』で。
アイスねぇ。いつもだと、四つ(バニラ、抹茶、オレンジ、チョコ)をローテーションしてるんですよ。
ほら、私たち、四人ですから(好みバラバラ)
今日は気になったものをいきましょうかー。…なんで満場一致で桃果肉入りアイス気になるんでしょうかね、私たち。
陰海月も決めました?
ああ、すみません。アイスを挟めるクッキーか最中の皮ありません?
陰海月、そうでないと食べづらいんですよ。
※
陰海月、元からアイスは一つしか食べられない(身体が超冷える)ため、ぷきゅぷきゅ(真剣)悩んで『苺果肉入りアイス』に。苺食べたことない。
もらったやつでアイス挟んで、食べて、美味しくて感動する。
そして冷える。
人の好みとはそれぞれなるものである。
けれど甘味の趣味というものは、甘いものというカテゴリーの中で行われるのならば、大体の好みが重なっているものである。
同じ甘いものであるから、嫌いだと思うフレーバーがあること事態が稀である。
けれど、たしかに人の嗜好はこだわりとなって、その人の中に息づく個性となるのだ。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は言うまでもなく複合悪霊である。
四柱の悪霊それぞれに個性があるとおり、彼等の好みもまた異なっている。
「アイスねぇ」
そうつぶやいたのは『疾き者』であった。
いつもであれば、四つのフレーバーでローテーションを汲んでいる。単純にバニラ、抹茶、オレンジ、チョコといった具合である。
四柱それぞれに好きな味というのがある。
とは言え、今回は『睡眠冷凍・アイスラヴァー』の引くキッチンカーからアイスクリームがカクリヨファンタズムを埋め尽くさんほどの勢いで溢れ出しているから、普段とは違う味を開拓しようと思えば、いくらでもできるのである。
なればこそ、と四柱会議が行われる。
そう、先ず初手はどうするのか。
珍しく満場一致で可決されたのは――。
「なんで満場一致で桃果肉入りアイス気になるんでしょうかね、私達」
そう、桃の果肉が入ったアイスクリームである。
もしかしたのならば、何か理由があるのかもしれないが、ともかくフレーバーが決まれば後は簡単である。
食べればいいのだ。
「うぅ……えらい目にあったのだわ」
絡み酒にアイスクリーム。
正直『冷凍睡眠・アイスラヴァー』はやられたい放題であった。猟兵達は滅ぼさなければならない存在であるが、今の彼女は『おもてなし衝動』が大爆発している状態である。
猟兵たちがアイスクリームを食べれば食べるほどに勝手にダメージを受けていくのだ。なんてお手軽なオブリビオン妖怪であろうか。
毎回こうであって欲しいと思うのは贅沢であろうけれど、そう願わずにはいられない。
「『陰海月』も決めました?」
「ぷきゅぷきゅ」
隣で陰海月が真剣に迷っている。
他の食べ物であれば、あれもこれもと欲張るところであろうが、今回は違う。アイスクリームであれば身体が冷えてしまうから一つしか食べられないのだ。
ならばこそ、その一つは慎重に選ばなければならない。
真剣な眼差しに『冷凍睡眠・アイスラヴァー』も下手にオススメできないでいる。
「ぷきゅ!」
これ! と指差したのはいちごの果肉入りのアイスクリームであった。いちごを食べたことがないからであるが、『疾き者』は付け加えるように『冷凍睡眠・アイスラヴァー』に告げるのだ。
「ああ、すみません。アイスに挟めるクッキーかモナカ有りません? 陰海月、そういうのでないと食べづらいんですよ」
「ありますとも! お客様のニーズに応えるのが私こと『あいすくりん親分』なのだから! クッキーにサンドしてお食べになって!」
だいぶ消耗しているはずであるが、彼女の『おもてなし衝動』はとどまるところを知らない。
二人にそれぞれのフレーバーのアイスクリームを提供して、がくりと倒れる姿は、ちょっと本末転倒だなぁと思わないでもないが、『疾き者』と陰海月はそれぞれのアイスクリームを頬張る。
美味しくて感動するとはこのことである。
誰かと食べていることも加味しても、ほっぺたが落ちるようである。
そんな陰海月を見やり、微笑ましく思いながら爽やかな桃の香りを感じ、『疾き者』はアイスクリームの新たな味を開拓するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ
山本さんは…、あぁ、ちょっと無理っぽいね
これ以上無理はさせられないな
戦争中で物凄く頑張ってくれたんだもの、それに応えるのが俺なりの流儀
とはいえ…う~ん…これはまた、多いなぁ…(唖然
1人じゃちょっと、いや、結構厳しそうだ…うぅん
しかしここを乗り切らないと…その後が(ぶるぶる
嫌な結末を思い浮かべ、その恐怖感からUC【防衛衝動】を発動
1人じゃきついけど、皆で対応すれば怖くない!
【大食い】&【氷結耐性】でアイスクリームの冷たさもものともせず、食べまくる!
1人1人が食べまくればいずれアイスクリームも底が尽きるはずだ!
後は気力のみ!
【継戦能力】を維持しながら最後まで戦い抜く!
東方親分『山本五郎左衛門』は未だグロッキー状態であった。
原因は『お月見』である。
言うまでもなく飲みすぎだ。猟兵達に進められるままにパカパカ杯を開けすぎた結果である。自業自得であるが、それでも虹色のキラキラを、キラキラっと吐き出している時点でお察しである。
他の猟兵たちが介抱してくれているが、戦いとなればあまり戦力として数えられそうにない。
「山本さんは……あぁ、まだ無理っぽいね」
鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は未だ虹を作っている『山本五郎左衛門』のうずくまった背中に苦笑いを浮かべる。
これ以上は無理はさせられない。
『大祓百鬼夜行』の折にはものすごく頑張ってくれたのだから、それに応えるのが己の流儀であるとひりょは、キッチンカーから溢れ出るアイスクリームの山を目の当たりにする。
「とはいえ……う~ん……これはまた、多いなぁ……」
ちょっと想像していない量であった。
世界を埋め尽くすほどのアイスクリームというのも想像し難かったけれど、目の前で山になっていれば本当に世界を埋め尽くすかもしれないと思うには十分であった。
一人でこれを処理するのはちょっと、いやかなり難しい。
「うぅん……しかし、ここを乗り切らないと……その後が」
「いえすいえす! 世界はアイスクリームに埋め尽くされてしまうのだわ! そうなれば、『あいすくりん親分』こと私の点火って寸法よ!」
そういってキッチンカーから顔を出すのはオブリビオン妖怪『睡眠冷凍・アイスラヴァー』であった。
彼女はこれまで猟兵に絡み酒を飲まされたり、アイスクリーム食べたり、まあ、色々とひどい目にあっていたが、他の猟兵たちがアイスクリームを食べていくおかげで順調に弱っていた。
けれど、増大した『おもてなし衝動』は逆に高まっていくのだから皮肉であえる。
「しかたない! 一人じゃきついけど、みんなで対応すれば怖くない!」
防衛衝動(ボウエイショウドウ)のままにひりょ自身の分身たちが召喚される。
非常に残念であるが世界の危機である。
本当はアイスクリームのフレーバーの味をしっかりと味わって欲しいところであるが、この際仕方ないことである。
「俺はフードファイターではないけれど、やれるはずだ! 一人ひとりが食べまくれば、いずれアイスクリームも底をつくはずだ!」
手にしたスプーンでひりょの分身たちがキッチンカーから溢れるアイスクリームを次から次へと頬張っていく。
その速度はあまりにも凄まじいものであった。
あー絶対後でお腹壊しそうだとか、そんなことは最早頭にないのである。地獄の苦しみを味わうことになるかもしれないが、お口の中は幸せである。
見事な食べっぷりに『冷凍睡眠・アイスラヴァー』は徐々に弱っていく。
「で、でも、流石に全部は……」
「後は気力のみ!」
まさかの根性論である。
これがひりょという猟兵である。
確かに現実的ではない量が彼の目の前に広がっている。
けれど、関係ない。世界を救わんとする時、最大限の力を発揮するのが彼であるというのならば。
「最後まで食べ抜く! 山本さんの分まで!」
その言葉に遠くからまだキラキラしている口元を抑えて『山本五郎左衛門』がファイトにゃーと弱々しく声援を送ってくれる。
その声援を受けてさらにひりょの分身たちはスピードアップし、キッチンカーから溢れるアイスクリームと平らげていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
乱獅子・梓
【不死蝶】
親分って名乗ったモン勝ちなんだろうか…
アイスの親分ってニッチ過ぎないだろうか…
親分と言うからにはちゃんと子分も居るのだろうか…
色んな疑問(ツッコミ)が浮かぶ
これほどの量を俺たちだけで食べ尽くすのは難しいな
UC発動し、助っ人としてミニドラゴンたちを召喚
喜べお前たち、アイス食べ放題だ!
お行儀よく一列に並ぶミニドラゴンたちにアイスを配給
コーンを両手で持ってアイスを食べる姿が実に愛らしい
たまに頭にキーンと来ている子もいる、それもまた可愛い
アイスばかり食べていたら腹が冷えるだろう
今回取り出すのは魔法瓶に入れたコーヒー
このまま飲んでもいいし、この中にアイスを浸ければ
コーヒーフロートも楽しめるぞ
灰神楽・綾
【不死蝶】
わぁ、お団子パーティーの次はアイスパーティーだね
楽しいデザートタイムだ
それじゃあ、ストロベリー、バニラ、抹茶の3段重ねくださいな
一度やってみたかったんだよね~トリプル
三色団子の色合いを意識してみたよ
受け取ったアイスを落とさないように気を付けつつ
まずはスマホでパシャリ
満足したら、溶けないうちにいただきまーす
甘酸っぱいストロベリー、濃厚なバニラ、ほろ苦い抹茶
一粒で三度美味しい
これは色んなフレーバーを試したくなるね
次はあいすくりん親分のイチオシを聞いてみようっと
野菜スープに続いてコーヒーまで用意していたとは梓恐るべし…
クールな顔して、実は内心めちゃくちゃ楽しみしていたのかもね
カクリヨファンタズムに住まう妖怪たちには四人の親分がいる。
西洋親分、新し親分、龍神親分、そして東方親分である。この場には今、東方親分『山本五郎左衛門』がいるが、ちょっと虹色のキラキラする滝を作るのに忙しいので、正直オブリビオン妖怪をどうにかするにはちょっと頼りない状況であった。
しかし、今回のオブリビオン妖怪は『おもてなし衝動』が爆発しているだけであり、直接的に戦わなくても良いという点においては、非常に助かるものであったことだろう。
「ああ、もっとたくさん食べてくださっていいのよ! たくさんフレーバーがあるから! 皆大好きチョコチップ! ストロベリーは贅沢に果肉入り! ぱちぱちっと弾ける感触が楽しいホッピングキャラメル! どれもこれも自信作よ!」
オブリビオン妖怪『睡眠冷凍・アイスラヴァー』がキッチンカーで元気よく声を張り上げている。
いや、アイスクリームを食べれば食べるほどに消滅に近づいているのだが、『おもてなし衝動』を満たすためにアイスクリームを振る舞う姿は、本当にカタストロフが起きるのかと見紛うほどであった。
「私こそが『あいすくりん親分』! どうぞ召し上がっていってちょうだい!」
「わぁ、お団子パーティの次はアイスパーティだね。楽しいデザートタイムだ」
灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は今まさにキッチンカーから溢れるアイスクリームの山を見上げてつぶやいた。
『お月見』から流れるようにキッチンカーが登場し、アイスクリームを食べ尽くさなければならない戦いに移行してもなお、今回の事件は食い気に塗れたものであったことだろう。
「親分って名乗ったモン勝ちなんだろうか……アイスの親分ってニッチすぎないだろうか……」
乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は世界を埋め尽くさんばかりのアイスクリームの山を見て少し呆れていたようであった。
確かに親分って名乗ってなれるものなのだろうかという疑問はある。
けれど、現に今世界を埋め尽くさんとしているアイスクリームの波があるのならば、これをなんとかするのが猟兵である。
綾なんかはもう早速三段重ねのコーンを手に取っている。
早い、早すぎる。
「一度やってみたかったんだよね~トリプル」
彼の手に在るのはストロベリー、バニラ、抹茶の三段重ね。
いわゆる三色団子の色合いだ。トリプルゆえにバランスの悪いものであるが、それを器用に片手で持って、もう片方の手でスマホでぱしゃり。
猟兵もまたイェーガーグラム的ななんかそういうSNSに写真をアップロードする時代である。
いえいいえいと梓と綾、そしてトリプルのアイスクリームと一緒に写真を取りつつ、ひとしきり満足したのかアイスを頬張る綾。
そんな彼を前に梓はまだまだ疑問という名のツッコミを意識する程度にははしゃげてはいなかった。
親分って言うからにはちゃんと子分もいるんだろうか、とか。まあ、氷雪系の妖怪たちが多分、子分になるんじゃないかなぁとかなんとかそんなことを考えながら梓はユーベルコードによってミニドラゴンたちを召喚する。
「喜べお前達、アイス食べ放題だ!」
そう、目の前のアイスクリームの山を片付けるには、綾と梓では些か難しい。
だから助っ人としてミニドラゴンたちを召喚したのだ。いつも戦いでは世話になっているし、こういう息抜きの機会があるのならば、これを利用しない手はなかった。
「よしよし。行儀よく並んでいるな」
両手でコーンを取ってキッチンカーに並んでいるドラゴンたち。なんというか、すごい光景である。
『睡眠冷凍・アイスラヴァー』は大喜びである。
「まあまあ、たくさんのお客様たち! どうぞどうぞ、お好きなフレーバーを言ってちょうだい! どんなアイスクリームだって用意してみせるわ!」
もうとっくに戦うとか戦わないとかの次元ではない。
彼女にとって一番の関心事はアイスクリームを楽しんでもらうという『おもてなし衝動』を解消するということだけだ。
たまにがっついて頭キーンってなっているミニドラゴンがいる。
それもまた可愛いものだなと梓は微笑ましく思いつつ、魔法瓶に入れたコーヒーを手渡す。
「アイスばかり食べていたら腹が冷えるだろう。これで温まりな。綾もほら」
そう言って梓は綾にもコーヒーを手渡す。
トリプルのアイスクリームを食べ終わった綾は流石に冷えたかなと思っていた頃合いゆえに、コーヒーが絶妙なタイミングで出てくることに驚く。
だって、こんなにも用意万端だとは思っても居なかったのだ。
お月見の時の野菜スープだってそうだ。
なんだかんだクールな顔をしておいて、梓ったら内心はめちゃくちゃに楽しみにしていたのかも知れないな、と綾はまた微笑むのだ。
「なんだよ、おかしいか? あ、このアイスをコーヒーに浮かべてコーヒーフロートにしてもいいな」
なんてやり取りをしている二人を見て、『冷凍睡眠・アイスラヴァー』は失神寸前であった。
なんで?
と思わないでもないが、わかる。わかるぞ。
イケメンが二人仲睦まじくほほえみ合っているのだ。
それも自分が用意したアイスクリームを挟んでだ。
間に挟まりたいと思ったことはあれど、挟まりに行くことはしない。自分が天井のシミか壁の汚れにでもなっていたいと思ったのだ。
「尊い」
そんな一言をつぶやいて、『冷凍睡眠・アイスラヴァー』は昇天しかかるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐伯・晶
親分さん、お疲れ様
ペットボトルの水があるから
落ち着いてきたら飲むと良いよ
これはあまり美しくないですの
私は介抱していますの
僕はアイスクリームを食べようか
…背後から期待の視線を感じる気もするけど
キニシナイコトニシヨウ
まずは基本のバニラから
うん甘くて美味しいね
次はストロベリーにしようか
ほのかな酸っぱさが爽やかで良いね
とまあ次々食べてる訳だけど
猟兵でなければ腹痛起こしそうだよ
というか冷気と合わせて物理的に体が冷えてきた
…邪神の体だから命に別状はないけど
あら、体がカチカチになってますの
これ以上は食べられなそうですし
応援を呼ぶとしますの
アイスクリーム食べ放題?
やったのですよー
介抱は期待できないんだろうなぁ
結局、最後の最後まで東方親分『山本五郎左衛門』は、キラキラした虹の滝をダバダバすることを止められなかった。
それはもうしこたま飲み過ぎたせいであるが、彼女を誰も攻められはしないだろう。
大きな戦いが終わって、感謝する猟兵達にお酒を進められれば断る理由なんて無いし。それに一日くらいハメを外したっていいでしょうという気持ちのゆるみもあったのだ。慢心である。
己の酒量を見誤るほど楽しい『お月見』であったと言えば、それまでであるが、それにしたって明日は後悔しまくる二日酔いによって動けないだろうことを思えば、どうなのかなぁっていう気持ちになるのも無理なからぬ。
「親分さん、お疲れ様。ペットボトルの水があるから、落ち着いてきたら飲むと良いよ」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は多くの猟兵達によって介抱されてきて、なんとか調子を取り戻しつつ在った『山本五郎左衛門』にペットボトルのミネラルウォーターを手渡す。
「ありがとうございますにゃあ……かたじけないにゃあ」
弱々しい青ざめた顔のまま『山本五郎左衛門』がへにゃへにゃしているのをみて、邪神の分霊が近くによる。
「これはあまり美しくないですの。私は介抱していますの」
晶はその言葉に頷いて、目の前のキッチンカーから溢れるアイスクリームの山を見上げる。
多くの猟兵たちが消費してもなおまだ量がある。
「さて、僕はアイスクリームを食べようか」
なんだか背後から期待の視線を感じる気がするけれど、キニシナイコトニシヨウ。
なんか念を送られているような気がしないでもない。
けれど、今は目の前の山、否、アイスクリームに集中しなければならない。
甘味とは即ち、生きるための滋味である。
その甘味を前に半端な気持ちで相対してはならぬ。お酒の席の後のアイスクリームってなんか妙に爽やかで美味しいよね。
「まずは基本のバニラから」
「はいどうぞ~! こちらバニラの香りが強く香る一品! トッピングと合わせてもいいけれど、まずは何も着けずにどうぞ!」
『冷凍睡眠・アイスラヴァー』はもう昇天しかかっている。
『おもてなし衝動』が満たされ始めているのだろう。戦わずして事件が解決するのはありがたいが、食べ物を提供するだけでオブリビオンが消滅するのなら、毎回こうであって欲しいと思わないでもない。
「うん、甘くて美味しいね。次はストロベリーにしようか」
「ではでは、果肉入りもいいですけど、時には滑らかさも重要かと! ミルクとの配合が天下一品だと自負してるわ!」
次々とフレーバーを手渡してくれるが、流石に晶も物理的に身体が冷えてくる。邪神と融合した身体であるから、生命に別状はないけれど、流石に自分一人でアイスクリームの山を処理するのは限界があった。
「あら、身体がカチコチになってますの。これ以上は食べられなさそうですし、応援を呼ぶとしますの」
ひょっこり『山本五郎左衛門』の介抱を終えた邪神の分霊が顔を出し、ユーベルコードを輝かせる。
式神白金竜複製模造体(ファミリア・プラチナコピー・レプリカ)の使い魔たちが現れ、アイスクリームの山を見上げる。
「アイスクリーム食べ放題? やったのですよー」
喜びを身体で表現するように使い魔たちが次々とアイスクリームの山を消費していく。
その速度は凄まじいものであり、他の猟兵たちと合わせて見る見る間にキッチンカーの中のアイスクリームは在庫切れになってしま。
「介抱は期待できないって思っていたけど、想像以上に働いてくれたね……君もこれで満足かい?」
晶は冷えたお腹をさすりながら、『冷凍睡眠・アイスラヴァー』もとい『あいすくりん親分』を見やる。
そこにあったのは満足げな顔をして『おもてなし衝動』を解消したオブリビオン妖怪の晴れやかな顔であった。
「ええ、とても! ありがとう、ありがとう! 私のアイスクリームを食べてくれて! これで思い残すことなんて無いわ! けれど、忘れないで。いつの日にかまた 『あいすくりん親分』を襲名するものが現れる。その時はまた今日のようにアイスクリームを食べて頂戴ね――!」
いや、もうしばらくアイスクリームはいいよ……と晶は若干呆れながら、しかして平和的に骸魂と妖怪が分離し、事件の解決に至ったことを、グロッキーから若干回復した『山本五郎左衛門』に報告するのだった。
くるっと一年中真夜中のすすき野の空に満月が浮かび、そこに『山本五郎左衛門』がもうお酒はこりごりにゃぁという叫びが木霊し、今回の事件は無事に解決されるのだった――!
大成功
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最終結果:成功
完成日:2021年06月08日
宿敵
『冷凍睡眠・アイスラヴァー』
を撃破!
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