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あげます、ください、その為に

#アポカリプスヘル #【Q】 #ストレイト・ロード

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#アポカリプスヘル
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#【Q】
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#ストレイト・ロード


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●あるところにはあるのだけれど
 ある拠点は困っていた。
「工場長! もう食い物がありません!」
 またある拠点も困っていた。
「庄屋さん! また戦車がぶっ壊れたぞ!」
 それぞれの拠点は一つの事においては群を抜いた技術を持っているものの、また別のことについてはからきしであった。得意分野に関わるものは潤沢にあるのだが、それと関係ない物はたとえ必要でも常に枯渇している状態。故にそれぞれのリーダーは頭を悩ませていた。
「犬の面してても戦車なんて食えねぇしなぁ……」
「トウモロコシで戦車作れないかなぁ……」

●ないものはあるものと交換しよう
「皆様、大祓百鬼夜行お疲れ様でござりました! 皆様のおかげでカクリヨファンタズムは守られ申した!」
 シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)が集まった猟兵たちに一礼する。
「とはいえ他の世界の問題が片付いたわけではござりません。特にアポカリプスヘルなどはレイダーの勢力は未だ健在、対して世界の復興はまだ道半ば。故に皆様にはそのお手伝いをお願いしたく」
 そう言ってシャイニーは地図のようなものを取り出す。
「此度向かってもらうのはこの二つの拠点。この間に道を通していただきたく」
 アポカリプスヘルにおいて拠点のほとんどは孤立状態にある。それらを繋ぐことで交通網を復活させようという話は以前から進められており、これもまたその一環ということだ。
「この二つの拠点はそれなりに近い位置にあるのですが、お互いの存在を知りませぬ。この二つを繋ぐことで双方の人員や物資を交流させ、互いに支え合う関係に出来ればとも思います」
 二つの拠点はそれぞれ工業と農業を得意としているのだが、一方それ以外は物資も知識もなく万年困窮状態だという。こうした拠点同士の支え合いが増えて行けば、それはやがて物流の復活として復興の大きな力となるだろう。
「皆様はまずこの拠点の間を整地して、道を作るのにふさわしい状態を作っていただきたく思います。すでに大まかな候補地は出してありますので、差し当たってはそこの掃除と安全確保、そして正確なルート選定になりますな」
 アポカリプスヘルはその全土が無法の荒野だ。それ故まずは『何もない更地』を作るという、1からどころかマイナスを0にする作業から始めなければならないのだ。
「下準備が済みましたら本格的な掃除でござる。というのもこの候補地には『拳帝軍』なるレイダー集団の一派が駐留しており、工事のためにもそやつらを駆逐する必要があるのでござる」
 放っておけば二つの拠点に攻め込まれる可能性もある。そうさせないためにも、対処は必要だろう。
「敵は女拳士の一団で、『機拳流』なる流派の一団と『幻鏡拳』なる技を使うボスで構成されております。それぞれ特異な拳法を使いますが、拳士としての誇りなどはなく暴力として拳を振るう者どもにござります」
 彼女たちはより大きな集団の一派らしいが、とりあえずこの場に限れば援軍などが来ることはないらしい。
「こやつらを倒せば猟兵の力を持ってあっという間に工事は済みましょう。ただ、作れる道路は石を押し固めた砕石舗装の道路のみ。世界にそれ以上の技術と物資はまだ十全になく、そもそも一度レイダーを追い払ったとてここはアポカリプスヘル。どうせ道はいずれ壊されます。凝った道路を時間をかけて作る意味はあまりありませぬ」
 例え道を作っても人を配し道を守ることまではできないし、その必要もまだない。拠点を繋ぐ道が敷かれた、その事実こそが重要なのだ。
「昨日より今日、今日より明日……大祓百鬼夜行でもそう仰った御仁がおられましたな。アポカリプスヘルの明日を今日より少しでも良くするため、小さな一歩を踏み出せる道をどうかお願いいたします」
 そう言ってシャイニーはグリモアを起動し、猟兵をアポカリプスヘルへと送り出した。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。大祓百鬼夜行お疲れ様でした。
 今回はアポカリプスヘルでの街道建設シナリオです。

 第一章では二つの拠点の間にある荒野を整地していただきます。力尽くで障害物を退ける、多少曲がってでも安全そうなルートを選ぶ、先を見据えて大きな道路を作れそうな場所を確保するなど色々やってみてください。出発点は拠点のどちらかとなりますが、拠点の人々と交流する時間はありません。出来て挨拶くらいでしょう。

 第二章、第三章では道のちょうど真ん中あたりに巣食うレイダー集団との戦闘です。まずは『邪流拳法『機拳流』の武術家』との集団戦。機械化して強化した体で拳法を使って攻めてきます。弱者をいたぶることも強者と戦うことも好きな残虐な性格です。

 機拳流を倒したら彼女たちを纏める『『拳帝軍』幻鏡拳のミラ』との戦いです。彼女は高速移動や分身、相手の攻撃の反射というトリッキーなスタイルを得意としています。実力も高いので注意してください。

 彼女たちを倒せば道の敷設は完了、二つの拠点が繋がれることになります。ただし道は簡素なものしか作れませんし、どうせそのうちレイダーかオブリビオンストームに壊されます。それでもこうした活動を重ねることでアポカリプスヘルは復興に近づいていき、いつかより強靭な道を作る機会も訪れることになるでしょう。

 なお登場する拠点は拙作『魅惑の工場制圧ツアー』の工場と『農業は自然との闘い』の農村ですが、前述の通り拠点と交流する時間はありませんのであまり気にしなくて構いませんし、該当シナリオを読む必要もありません。道を作ることに全力を注いでください。

 それでは、繋がりゆくプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『荒野を切り開け』

POW   :    道路を敷く為、荒れた地面の整地を行う

SPD   :    鋭い調査や直感によって、周囲の危険を避ける

WIZ   :    知恵や知識によって、最適な交通ルートを割り出す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 アポカリプスヘルにある拠点。その入り口に立ち、猟兵は拠点外を見る。
 そこにあるのは荒れ果てた不毛の荒野。アポカリプスヘルではありふれた、どこにでもある死の光景。
 だがその向こうにはもう一つの拠点があり、そして同じようにこちらを見ている仲間がいるであろうことを猟兵は知っている。
 さあ、まずは荒れ果てたこの地を更地へと戻し、二つを繋ぐ道の土台をつくるのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、良い組み合わせの拠点ですねぇ。
頑張ってみましょう。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、上空から教わった『候補地となるルート』をチェックしますねぇ。
基本的には『輸送のし易さ』『安全性』等を重視した『最有力候補』と、其方が何らかの理由で使えなくなった場合の『予備候補』を決められれば最良、でしょうかぁ。

そして【玄傀】を使用、沢山の『使徒人形』を召喚しますねぇ。
この『人形』達でしたら、『建設する能力』に加え『重力操作』も可能ですから、其方を利用して圧力をかけて凹凸を均したり、必要な資材の[運搬]等にも使えますぅ。
私自身は『後の脅威』への備えを重視し警戒、着実に進めて参りましょう。


初志・貫鉄
即興共闘大歓迎

さて、相も変わらず大事なインフラ整備事業だな。
道無き…いや、道失いし場所を開拓するのも大事な事と。
身体の動かし方を思い出すにもちょうどいいかもしれねぇな。

パワーで力仕事を重点に。
地形の確認を大雑把にしてから、作業開始。
他の面子で指示をくれるメンバーがいるなら、その指示に従うぜ。
前線を進んで、瓦礫の除去や穴の埋め戻しをして基礎の基礎作りを重点的に。
危ない場所は、UCで見えない覇気の手を飛ばして確認。

周辺の確認もある程度はするが、一人でできる事なんぞたかが知れているな。周りに声をかけてキッチリ連携していくぜ。


迅雷・電子
【心情】まあ、あたしでも障害物を取り除いたりはできるよね…。さーて、働きますかね!

【作戦】【怪力】を用いて瓦礫やら障害物を【運搬】したり、張り手で【吹き飛ばし】たりするよ!あまり専門的な事はわからないけど壊したり運んだりはあたしに任せなよ!【絡み・アドリブOK】



 オブリビオンストームによって全てを破壊しつくされたアポカリプスヘルの地。そこはあらゆるライフラインがその根元から断ち切られた、まさに死の世界だ。
「さて、相も変わらず大事なインフラ整備事業だな」
 その世界に生命の巡る道を再び通すため、初志・貫鉄(拳食合一の功徳奉士・f26667)はその逞しい体をこの不毛の地に降り立たせた。
 今回の目的は、二つの拠点を道でつなぐこと。その為の道づくりと、さらにはその準備のための整地だ。
「成程、良い組み合わせの拠点ですねぇ。頑張ってみましょう」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の言う通り、食料に困窮する工場型の拠点と、武力の不足している農場型の拠点、余裕のあるものと足りないものがちょうど真逆のその二つが互いを支え合う関係となれれば、双方の環境は一気に改善されることとなるだろう。
 特にるこるはその片方がまだ拠点でなく、オブリビオンストームの影響下にあったころに来たこともある。その時生き残った人々がその場所を拠点として再生させ、さらには他の拠点と道を繋ぐ対象にまでなった。ある種始まりから知っているその拠点に道を作るべく、るこるは浮遊戦輪『FBS』を四肢にはめ浮遊、まずは候補となっている地帯を高空から見下ろした。
「基本的には『輸送のし易さ』『安全性』等を重視した『最有力候補』と、其方が何らかの理由で使えなくなった場合の『予備候補』を決められれば最良、でしょうかぁ」
 いずれ壊される道とはいえ、予備があれば復旧の間も多少なりと物資のやり取りは出来る。まず第一に取るべきメインの道を考えつつ、多少逸れた道も作れればと広い範囲を見渡するこる。
 見た目としてはどこもかしこも大差ない瓦礫だらけの不毛の荒野だ。とすれば、第一候補は最短距離の直線が手っ取り早いだろう。
 また貫鉄も地上からの目線で地形を確認したが、やはり出した答えはどこも変わらない、つまり一直線に作ってしまうのが一番早いということ。
「道無き……いや、道失いし場所を開拓するのも大事な事と。身体の動かし方を思い出すにもちょうどいいかもしれねぇな」
 そしてその荒野を均すのに最も必要なものは、障害物を粉砕する力。久しぶりの仕事に腕が成るとばかりに肩を回し、貫鉄は第一歩として目の前に聳える巨岩へと向かい合った。
「我が意、我が覇気、未熟なれど遠方へ差し出す掌と成らん」
 その巨岩の前で一度瞑目。そして【金剛夜叉明王尊掌】の拳形の明王尊への憧憬を、己の復活の号砲の如くその岩へと放った。
 巨岩が石くれとなって砕け、辺りに飛び散る。その凄まじい威力に触発されるかのように、また一人の猟兵が彼の隣に並んだ。
「まあ、あたしでも障害物を取り除いたりはできるよね……さーて、働きますかね!」
 迅雷・電子(女雷電・f23120)も腕まくりをし、その砕けた石を持ち上げる。砕けたとはいえ元が大きな岩だ、その大きさは人間の胴部くらいはある。それをひょいと持ち上げ、工事の邪魔にならない場所へと放り投げた。
 まるで小石でも投げたかのような軽い動作だったが、石は音を立ててそこに落ち、さらに細かい破片へと砕け散る。
 一見すれば巨大な岩を破壊したようにも見えるが、これと同等以上の岩や瓦礫、廃ビルの残骸が道の途中にはいくつも聳え立っているのだ。一つ程度で休んでなどいられない。今度は自分の番、とばかりに、元は巨大な建物の壁だったであろう反り立つ石壁に電子は向き合った。
「どすこぉい!」
 気合の声と共に張り手一発、壁はガラガラと細かい破片となって崩れ落ち、その場に散らばった。今度は貫鉄がそれを纏めて抱え上げ、その場から撤去すると同時に近くに開いていた大穴に放り込む。
「基礎の基礎から作らなきゃならないからな」
 荒野にあるのは聳え立つものだけではない。それと同様に、オブリビオンストームや様々な暴走兵器、レイダーたちによって開けられた大穴も点在しているのだ。壊れた瓦礫で底を埋めることで少ない資材を活用し、同時に道を作るための砕石工事と同様の作業に慣れていくということもできる。
 だが、いかに巨大なものを楽々壊せる力自慢とはいえ、たった二人では到底手が足りない。そこについては、るこるが受け持った
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、女神の加護を得し黒き星の人形達よ、私の下へ」
 上空から【豊乳女神の加護・玄傀】を使い、使途人形を大量に召喚するるこる。その人形たちに指示を出し、大量の残骸を運ばせつつそれを重力操作能力で押し固め狩りの道を作らせていく。
 放っておけば町を作りもするが、流石にそこまでの時間はないしそもそも壊されることを前提とした建設だ、それならばその時間を道の舗装に当ててしまった方がいいだろう。
 そう言った広範に及ぶ細かい作業は人形にやらせ、前線は猟兵が切り開いていく。
「あまり専門的な事はわからないけど壊したり運んだりはあたしに任せなよ!」
 電子は溢れるパワーでまたも大きな障害物を粉砕、それをうっちゃるように後方に投げ飛ばしては人形に渡して後ろの作業に回させていく。
「こいつは素手じゃ骨が折れるだろう……ふんっ!」
 特に危険のありそうなところは、貫鉄がユーベルコードを用いて念入りに破壊。今は猟兵が作業しているから多少の無茶は効くが、ここを使うことになるのは困窮した一般人たちなのだ。危険は少ない方が言いに決まっている。
「一人でできることなんざたかが知れてる、お互い協力して以降じゃないか」
「まかせときな、これくらい平気さ!」
 たがいに声をかけ合い大地を鳴らしていく貫鉄と電子。そしてるこるは上方からその様子を見つつ、彼らが今後切り開いていく先に注意を向ける。
「もう少し先にはなるでしょうがぁ」
 その先には、黙って壊されてはくれない障害が待ち構えているはずだ。まだ動かないそれを警戒しつつも、猟兵たちは不毛の地を開拓していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
※農場方面からスタート Pow
理由・心情:最近はドンパチしかやってねぇから、こういった生産性のある依頼も良いもんだな。
手段:道路候補の情報をゴーグル型HMDにインストール、装着したら馬力のある自前の軍用トラックに乗って出発だ。
煙草を咥えて【喫煙者】を発動、安全かつ効率的なルートを策定していくぜ。

進路上に邪魔な岩を発見したら手持ちのレーザーガンの出力を変更、照射モードで手榴弾が入る程度の穴を作る、出来たらプラズマグレネードのピンを抜き穴に投入、すぐに離脱する。
爆発処理って奴だ、予備のバッテリーもあるから交換も出来るぜ

戦闘糧食の干からびた肉缶詰とセメント板のようなクラッカーを噛りながら気長にやるさ


チェスカー・アーマライト
POW判定
連携、アドリブ歓迎
たまにはこーいう仕事もいいモンだ
コイツだって何もドンパチするだけが能じゃねーしな

ビッグタイガー、タンクモード
前面に展開した『ドーザー』を地面スレスレまで下げる
見た目は真っ平らな排土板(ドーザーブレード)って感じ
瓦礫や廃材程度なら
素の馬力だけで運び出せる
ちょいとデカい障害物だって
砲撃で崩しちまうか
ロックアンカーで粉砕して撤去だ
……そう言えば、正しい用途で使ったのは初めてかもしんねーな
思った以上に整地が楽しいんで
鼻歌(下手くそ)でも交じえながら
作業を進めて行くぜ

適当につけたハズの渾名が
まさかこんな所で活きるとはな



 工場から猟兵たちが道を作り進んでいる時、その遥か向かい側の農場からも猟兵たちが出発していた。
「最近はドンパチしかやってねぇから、こういった生産性のある依頼も良いもんだな」
 ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)の口調は、これから荒野に踏み出すとは思えないほどに清々しく、リラックスしたようにすら聞こえる。猟兵として、傭兵として戦う日々を重ねている彼にとって、先に明確な創造と生産のあるこの依頼のなんと気楽で、そして心の休まることか。
「たまにはこーいう仕事もいいモンだ。コイツだって何もドンパチするだけが能じゃねーしな」
 そしてチェスカー・アーマライト(錆鴉・f32456)も、全く同じ心持であった。愛機『ビッグタイガー』をタンクモードにし、眼前に広がる荒野に乗り出していく。破壊され尽くしたこの世界で建設の為に破壊の力を振るうのは、彼女もまた気の軽くなる話であった。
 まるでその心が乗り移ったかのような、軽い足取りにも見える動きのビッグタイガーで拠点を発つチェスカー。それと並び、ヴィリーも10t級の軍用大型トラックに乗り込んで出発だ。いかにもアポカリプスヘル然としたその様相は、武力の足りない農場拠点たちの期待を背負いながらこの荒野に息づける力強さをもって荒れ果てた地を均していく。
「一服しながら考えるとするか」
 ヴィリーは車内で煙草を加え、【喫煙者】ならではの落ち着いた頭と精神で最適なルートを割り出していく。その頭にゴーグル型HMDが乗り、そこには事前に示された道路候補地の情報がインストール済みだ。冴えた頭でその情報を読み解き、安全かつ効率的なルートを策定していくヴィリー。
「ま、結局こうだよな」
 その結果はじき出されたのは、基本的にまっすぐというルート。何しろどこを通ろうが荒れ果てた土地であることは変わらないのだ。
 そしてルートが決まれば、やることは一つ。
「見た目は真っ平らな排土板(ドーザーブレード)って感じか」
 チェスカーがビッグタイガーの前面に取り付けた脚部盾にして全面装甲、『ドーザー』を地面すれすれまで下げてから愛機を走らせる。その圧倒的な馬力は荒野に散らばる有象無象の瓦礫や廃材たちを、纏めて掻きだし脇へとどけていく。
 その力は多少形が残った建物の残骸や、剥き出しになった岩だろうと関係ない。そのパワーでドーザーを押し付け、砕き、全てを踏み越えて進んでいく。
 ちょっと身に余る大きさの障害物だって問題はない。何しろビッグタイガーはキャバリア飛び交う戦場、そしてオブリビオンとの激戦すら制してきたマシンなのだ。当然武装も搭載している。ほんの一発砲撃を叩き込めば、邪魔な障害物だってあっという間にただの瓦礫となって道を開ける。
 そしてヴィリーのトラックだってただルートを出して進んでいるだけではない。前面に小山の如き巨岩が現れれば、運転席からヴィリー自身が身を乗り出し、レーザーガンを照射モードにして撃って小さな穴をあける。そしてそこにプラズマグレネードのピンを抜いて放り込めば、離脱直後に岩は中から青白い爆炎を上げて大爆発。こちらも道を作るにちょうどいい更地の出来上がりだ。
「爆発処理って奴だ、予備のバッテリーもあるから交換も出来るぜ」
 そう言って見通しのよくなったそこを悠々通り抜けていくヴィリー。その隣では次なる大岩をチェスカーがパイルバンカー『ロックアンカー』を放って軽々砕いていく。
「……そう言えば、正しい用途で使ったのは初めてかもしんねーな」
 名前通り岩に打ち込まれた自分の武器によって目の前の障害が次々砕けていくその様に、チェスカーの心は軽く踊る。思った以上の整地の楽しさに、運転席の彼女は鼻歌交じり。それの上手下手は別の話だが、作戦遂行にはそこは関係ない所。
「適当につけたハズの渾名がまさかこんな所で活きるとはな」
 ドーザーにロックアンカー、名前だけ見ればまさに解体工事の重機のような名前。解体するのは敵機や敵国ばかりだったそれらの名前通りの活躍に、鼻歌もより弾む。
「ま、のんびりやろうぜ。お隣さんよ」
 ヴィリーもまた固く構えることはなく、戦闘糧食の干からびた肉缶詰とセメント板のようなクラッカーを噛りながらの気楽で気長に作業を続けていく。
 超ヘビー級の二台の行進はその機体の重さに反比例するような速いスピードと軽やかな心で荒野を進み続ける。
 だが、一つの大岩を吹き飛ばしたところでその進撃は一度止まることとなった。
「やれやれ、ここが中間地点か」
「ハッピータイムは終わりみたいだな」
 その大岩の向こうにいたのは、体に異形の機械を埋め込んだレイダーの集団、そしてその反対側からやって来た工場側の猟兵たちの姿――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『邪流拳法『機拳流』の武術家』

POW   :    機拳流奥義・戯岩斗拳(ギガントパンチ)
【機械化した右腕の一撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    機拳流禁忌・王刃悪狼怒(オーバーロード)
【体内に埋め込んだ加速装置を暴走させる】事で【オーバーロード状態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    機拳流秘伝・魔心眼(マシンガン)
【機械化した左眼で見た対象の動きを解析して】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 二つの拠点を繋ぐべく、障害物を破壊し、瓦礫を撤去し荒れ地を均してきた猟兵たち。だがその前に、この工程最大の障害が現れる。
「ひゃはは、なんだいあんたら、随分乱暴なパレードしてるじゃないか!」
 そう言って猟兵を睨むのは、チャイナドレス姿の女たち。だがその右腕は丸ごと機械化され、片目はカメラの様なものに取り換えられている。恐らくはその体内も、様々な機械が埋め込まれていることだろう。
「なるほどね、この辺に拠点があるって噂は本当みたいだ。食いもんのため武器を捨てた軟弱野郎共って話だ、いたぶりがいがありそうだぜ!」
「あたしが聞いたのはくたばりかけても戦車を作り続けるイカレ野郎共って話だけどね? 全部ぶっ壊すまで暴れられそうじゃん!」
 かなり歪んだ……あるいは悪意に満ちた解釈ではあるが、噂程度には拠点が近くにあることを知っていたのだろう。それに確証を得た今、彼女たちはすぐにでも拠点に攻めかかるつもりのようだ。
「まーその前に? 何してんだか知らないけどこのうるさいお客さんたちと遊んであげなきゃね?」
 道を作る、という建設的な発想など持ち合わせていないだろう女たちは、めいめいに機械の拳を構え、カメラの目で猟兵を睨みつける。
「我ら『機拳流』にて……ぶっ殺させてもらっちゃうよ!」
 それは拳法家としての矜持など持たず、何も生まぬ破壊しかせぬ邪流の拳。猟兵よ、この邪道に落ちた拳を砕き、荒野を平らげるのだ!
初志・貫鉄
即興共闘歓迎

パワーで真っ向勝負。

ったく、見目麗しい故の選択だったんだろうが、外道(ソコ)に墜ちちゃぁ駄目だろうよ。
ぼやきながら、不動尊への憧憬と陰我ー怨千鬼業ーの覇気を練り上げ力を溜め、肉体の限界突破し雰囲気で恐怖を与えて動揺を誘う。
第六感と野生の勘を駆使し敵に囲まれないように地形の利用した立ち回り。
覇気の残像を使い攻撃を誘導、同士討ちやお互いが邪魔といった状況を作る。
その一瞬の僅かな体勢崩れを突いてUCによる一撃必倒。
悪い足場は足場習熟でしっかりと地面を踏みしめるぜ。
敵の攻撃はオーラ防御と激痛耐性、継戦能力で受け耐える。

まったく、壊すだけじゃなくて生み守る楽しみもしっかりと思い出せよ?


迅雷・電子
【心情】なるほどね…なかなかいい性格した子達みたいだ…(着ていた服を脱ぎイェカの格好に)そんなにゲス共なら取り組み甲斐があるってもんさ!

【作戦】敵の攻撃は基本【見切り】や張り手での【受け流し】で回避だよ!食らっても【激痛耐性】で耐えてやる!敵の予測する目を潰す為に投げと見せかけてからのねこだましでひるませて連続つっぱりの【騙し討ち】をさせてもらうよ!「相撲ってのはねこういう騙しも戦略の内なんだよ!!」(絡み・アドリブOK)



 二方向からの整地工事の中間点、二つの拠点のちょうど真ん中にある場所に居座っていたチャイナ服にも似た姿の一団。いずれも豊満で健康的な体を持ってはいたが、その一部は生身ならぬ機械の体に取り換えられていた。
 そしてそれ以上に、拠点があることを確信すると同時にそこの襲撃を決めた彼女たちの精神が、すでに人ならぬ外道へと落ちていることがそこからは容易に見て取れた。
「ったく、見目麗しい故の選択だったんだろうが、外道(ソコ)に墜ちちゃぁ駄目だろうよ」
 初志・貫鉄(拳食合一の功徳奉士・f26667)は呆れたように、あるいは嘆くようにぼやきながら彼女たちを見た。
「手っ取り早く強くなって、雑魚狩りにもいい。改造しない理由がないだろ?」
 カメラになった目を光らせ、笑って答える女武術家。貫鉄が嘆くその部分こそが、彼女たちが自らの体を機械化した最大の理由なのだろう。そう答える彼女たちに、迅雷・電子(女雷電・f23120)も静かに言う。
「なるほどね……なかなかいい性格した子達みたいだ……」
 そう言いながら自分の服に手をかけ、脱ぎ去る電子。その下からは、サラシにまわしという相撲取りスタイル……彼女の格闘家としての正装とも言えるスタイルが現れる。
「そんなにゲス共なら取り組み甲斐があるってもんさ!」
 気合十分にそう言って、力強く四股を踏む。その動きに、武術家たちはやはり笑い顔を崩さず言った。
「はっ、お前も何かやってんのかい。だがそんな体だけの技で、あたしたちの『機拳流』に勝てるものかい!」
 そう言って太い足で地を蹴り、武術家たちは二人へと迫った。例え邪流に落ちていてもその肉体の強さは本物なのか、その動きは早く力強い。
 まず挨拶代わりと言わんばかりに突き出される左の拳を、電子は張り手を叩きつけ受け流し、また貫鉄は己の体に覇気を纏ってそれを待ち受ける。
 不動尊への憧憬と陰我ー怨千鬼業ー、正負二つの覇気は機拳流たちが捨てた心によって練り上げられたもの、その圧はただ待ち受けるだけで邪券を圧し、その精彩を鈍らせる。その一瞬を突き、貫鉄は覇気の揺らぎを残像として残し、ここだけ未だ平らげられぬ荒れ地の地形を利用して身を隠し相手の拳から身をかわした。
「わけわかんないもん使ってきやがって……ぶっ潰してやる!」
 その言葉と共に、武術家たちの右腕が駆動音を上げる。鉄の塊のような腕の中に詰め込まれた機械が作動し、並の筋肉以上の強さと速さで動き、破壊のエネルギーをそこに生み出していく。
「かかってきな!」
 それに対し、今度は電子が待ちの姿勢を取った。己の……機械の力によほど自信があるのか、武術家は真っ向からその守りを砕こうと機械の腕を振り上げる。
「くたばれ!」
 その拳が電子の顔面をとらえようとした瞬間、電子は素早く軸を外しながら一歩踏み込み、両手を相手の顔へ向けて突き出した。だがその動きも機械化された目が捕らえ、一瞬で生身の方の手が防御に回る。
「させるか!」
 掴むようなその動きを腕を払うことで撃ち落とそうとする武術家。だが、電子の両手は相手の顔や首まで伸びることはなく、その眼前……カメラの目の前で勢いよく叩き合わされた。
「相撲ってのはねこういう騙しも戦略の内なんだよ!!」
 ねこだましをかけ、相手の勢いを崩した電子。例え精密な目を持っていても、処理する脳は人の部分が多いのか、反射的に顔をのけぞらせ対応に迷う武術家。だが崩れたとはいえ機械の拳はやはり重く、急所に当たらずとも電子の体を穿って揺るがせる。
 両者体勢が崩れたところに、強烈な震脚と共に放つ覇気を纏った貫鉄の拳撃が突き出された。
「倶利伽羅の剣撃、調伏の慈悲、我が身を通し、我と立ち塞がる者に教えを賜らん」
 地を揺るがせながら放たれる【不動明王尊火焔撃】が、ねこだましによって体制の崩れていた武術家を一撃のもとに粉砕した。右腕は砕け、左目のカメラも割れて吹き飛ばされその武術家は消えていく。だが、仲間が倒れたことも意に介さず、後続の拳士たちは次々と機械音を上げて貫鉄へと詰め寄って来た。
「挟んで殺してやれ!」
 両側から鉄の拳が振るわれ、貫鉄を挟み撃ちにする。
「連携……というには乱暴すぎるかな」
 その動きを、やはり覇気を揺らがせ乱す貫鉄。本来拳を極めていれば覇気を感覚で理解できただろう女たちの拳は、しかしカメラに頼った死角故か残像に引き寄せられ互いの機械の拳を打ち付け合う結果となる。
「邪魔なんだよ!」
「お前がな!」
 交通事故のようにも聞こえる衝突音と共に罵り合う二人の拳士。だが衝突の余波、その衝撃だけで近くにいた貫鉄の体は揺らぎ、そこから追撃する機を一瞬逃してしまう。そのまま壊れかけた機械の腕を軸に体を回し二人同時の蹴りが貫鉄に当たるが、これも連携というよりは同門ゆえ同じ技を選んだというだけだろう。それを示すように、二人は機械の腕を押し付け合い相手を押しのけようとしている。
「どすこいどすこいどすこい!!」
 ダメージと痛みを何とかオーラと肉体で耐える貫鉄の前に出るように、電子が【連続つっぱり】で張り手からのつっぱりを押し込んだ。さっきは自分の作った隙を仲間が活かした。ならば今度はその逆をとばかりに、言わずにとった連携で無駄な仲間割れをする二人を纏めて押し返していく。
「どすこぉい!」
 そのまま最後に一発、強烈な張り手を二人それぞれの腹に叩き込んだ。肉や骨、臓腑とも違う何かが潰れる感覚が手に伝わり、拳士二人が不規則に痙攣を始める。
「あぎゃ、が、あががががが……」
「ぎゃぴいっ!?」
 女たちの全身がスパークし、そのまま二人纏めて爆発を起こした。恐らく体内に埋め込まれていた機械が壊れ、爆発したのだろう。血肉の代わりに焦げ付いた鉄屑を撒き散らせ、跡形もなく消えた女たち。決まり手は、相手の爆死という相撲にあるまじきものとなった。
「まったく、壊すだけじゃなくて生み守る楽しみもしっかりと思い出せよ?」
 貫鉄の言葉は骸の海に還った女たちに届いただろうか。それは、誰にも分からない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
皆さんの行き先は、『拠点』では無く『骸の海』ですよぉ?

『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FMS』のバリアを戦域を包囲する様に展開し離脱を防ぎますねぇ。
そして【秤濤】を発動、『乳白色の波動』による[範囲攻撃]を仕掛けましょう。
最初の『魅了』が効けば最良ですが、メインは『超重力波』による[重量攻撃]ですねぇ。
『超重力』で押え込んでしまえば、彼女達の『拳』で上空に居る此方は狙えませんし、他の方法で狙ってくるなら『FSS』による[カウンター]で撃ち落としましょう。
後は、彼女達に『FCS』で炸裂弾に換装した『FRS』の[爆撃]と『FSS』の[砲撃]を降らせ、確実に叩いて参りますねぇ。



 一度叩き伏せられても、機拳流の武術家たちはなお多い。仲間たちが破壊されたことなど意に介さず、豊満かつ練り上げられた肉体を動かし、そこに着けられた異形の機械をうならせて猟兵へとにじり寄る。
「皆さんの行き先は、『拠点』では無く『骸の海』ですよぉ?」
 その機拳流たちに、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は宙に浮いたまま怖じることなく言った。
 そしてるこるはそのまま上昇し、拳の間合いの外まで逃れていく。
「威勢よく言った割には即逃げかい!」
 馬鹿にしたように言うが、それには取り合わずるこるは高空で【豊乳女神の加護・秤濤】を発動する。
「大いなる豊饒の女神、その御力の欠片による裁きをお与え下さい」
 【豊乳女神の加護・秤濤】の乳白色のオーラが戦場一体を包み、武術家たちを取り巻く。そのオーラは魂を魅了し抵抗の意思を失くさせるもの……のはずだが、武術家たちは残虐な笑みを崩さないままだ。
「何のつもりだ? 痛くも痒くもないぞ?」
 武術家としての魂など持たぬからか、あるいは精神に関わるような部分にも機械が組み込まれているのか、魅了の効きはどうやら悪いようだ。だが、それ自体は予想していたこと。そのままオーラのもう一つの力、超重力を発生させるこるは武術家たちを抑え込みにかかる。
「うおっ!? なんだこれ……!?」
「体が……重い……!」
 突如増した重力に、一気に体を崩し膝をつく武術家たち。あとはこのまま砲撃で一方的に倒してしまえば……そう考え、るこるは浮遊砲台を高空に配置、広範囲を覆うように一気に発射した。
「うがぁぁぁぁ!?」
 動けないままにその砲撃を受け、次々倒れていく武術家たち。元より拳法家としての誇りを捨てたような者たちだ。相手のやり方を無視するような一方的な展開に持ち込んだとて文句を言われる筋合いはあるまい。
 しばしそのまま無慈悲な爆撃を振らせたのち、砲撃を止める。そこには生身を焼かれ、機械を壊された拳法家たちが何人も横たわっていた。
「終わりで……」
 確認のためやや高度を下げるるこる。その瞬間、武術家たちの骸のいくつかがごろりと転がった。
「甘いんだよ!」
 その下から出てくるのは別の武術家。どうやら先に倒れた仲間の骸を盾に砲撃を耐えきったらしい。そのまま複数人が機械の手で一人の仲間を掴み、彼女をるこるにむけて投げつける。
「ぶっ壊れな、機拳流奥義・戯岩斗拳(ギガントパンチ)!」
 弾丸のようになったその拳士を、るこるは砲撃して叩き落とそうとする。だが飛び道具程度なら撃ち落とせるそれも、来るまいと思っていた乾坤一擲の拳そのものを撃ち落とすには勢いが足りず、巨大な拳がるこるの豊かな体にめり込んだ。
「ぐっ……!」
 超重力さえ強引に突破する勢いの拳を叩きつけられ、るこるの体が揺らぐ。そのまま拳士はるこるにしがみつき、崩れた相手にとどめの一撃を入れようと機械の拳を再度振り上げた。
 だが、そこまでであった。効きが悪かった魅了だが、効いていないわけではない。そして無慈悲な砲撃を『好ましい』と感じ、るこるに魅力を感じてしまった瞬間その魅了は増幅され、しがみついた拳士の動きは大きく鈍ることになった。
 動きの鈍った拳士を振りほどいて投げ落とし、地面へと落下させるるこる。
「何やってんだ、ドアホ!」
 落ちてきたその拳士を容赦なく蹴り飛ばす別の拳士。だが、そんな小さな仲間割れもるこるの知ったことではなかった。
「確実に、対処させていただきますぅ」
 こう言うのが好きならばと、換装システム『FCS』で弾頭を炸裂弾に換装、より一層強烈な爆撃を、るこるは眼下の機拳流に見舞った。
 さすがに二度は避けられず今度こそ纏めて倒れていく拳士たち。何とか重力の中這いずって逃げようとする者たちも、敷かれたバリア『FMS』の壁にぶち当たって絶望の表情となるばかり。
 強者との戦いも弱者の虐殺も好む彼女たち。だがそれは好き嫌いなどない任務としての淡々とした爆撃の前に、一顧だにされることなく消し飛ばされるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
WIZ

こちらの攻撃を予測する機械の眼か……
なら、読んでいても避けられない攻撃を見せてあげる。
すきゅりんサンダートルネード!!

守護霊の【ドーピング】で戦闘力と【戦闘知識】を高め
『融霊』で雷属性の竜巻による【範囲攻撃・マヒ攻撃】
彼女達の機械はショートし、肉体も脱力。
私は【電撃耐性】で平気

貴女達、強者との戦いも弱い者イジメも好きなのよね?
強者にイジメられるのも好きかしら♥

【属性攻撃】の炎で彼女達の服だけを焼き払い
微弱な雷を纏わせた指で胸の先端や局部を刺激♥

この先は……
機械に頼らなくても分かるわよね♥

【化術】で生やした肉棒を見せつけ
乳をしゃぶりながら【串刺し・慰め・生命力吸収・大食い】よ♥



 ここまでの戦いを経てなお残る機拳流の拳士たちの数は多く、その繊維も失われてはいない。そして彼女たちは普通の拳法家が肩を回したり腱を伸ばすのと同じように、機械の腕に駆動音をあげさせ、左目に着けたカメラの照準を絞り込む。
 その目がぎらりと光った時、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)はそれが自分に向けられたことを察した。
 そしてそれはただ見ただけではない。そのカメラに移すことで、脳にまで埋め込まれた機械が対象の動きを分析、先の予測まで立てているのだ。
 その予測に従い、ドゥルールを取り囲む拳士たち。その動きは一見ただ囲んでいるだけのようにも見えるが、機械の腕は力比べを抑え込み、一見生身の脚はどんな早い動きにも先回りできるよう力を蓄えられていた。
「こちらの攻撃を予測する機械の眼か……なら、読んでいても避けられない攻撃を見せてあげる」
 その囲みにも、ドゥルールは不敵な態度を崩さない。そして得意とする守護霊の召喚、憑依を行うが、拳士たちはそれすらも読んでいたとばかりに一斉にドゥルールに詰め寄った。一斉に鉄の拳や太い脚が叩きつけられ、ガードの上からでも憑依によって強化された肉体を大きく削る。
「愛の力は無限大なのよ……すきゅりんサンダートルネード!!」
 相手の攻撃を押し付けられたままドゥルールは【融霊】を発動、己の体の内部から『雷属性の竜巻』を放出させた。
「あびゃばばばばばばば!?」
 それに巻かれ、特に拳を叩きつけていた者が奇声を上げて痙攣する。羅針盤戦争では各地の海に出没して雷竜巻を起こし、戦争終結後は偽猟書家への大抜擢を受けたコンキスタドールすきゅりん、彼女の持つメガリス『電光の羽衣』を模した力が荒れ狂い、アポカリプスヘルの荒野にオブリビオンストームではない別の竜巻が呼ばれていた。
 さすがにメガリスまでが霊化しているわけではなく現地調達……というか巻き込まれただけであった鮫もないため本家のような天災級とまではいかないが、その威力は広範を飲み込む無差別攻撃としては十二分。制御の難しい力は放出元であるドゥルールさえ痺れさせるが、彼女自身は耐性を持つ霊を体に憑依させそれを多少なりとも抑え込んで耐えた。
「あぎぎぎぎ、ぎっ!」
 電流が分かりやすく機械をショートさせ、敵の右手からは火花が上がり左目のカメラレンズはひびが入る。内部の機械まで不具合を起こしたか全身を痙攣させ残った右目も裏返らせる拳士の一人、その胸の先端をドゥルールは自身を痺れさせる電撃を纏う指でつついた。
「貴女達、強者との戦いも弱い者イジメも好きなのよね?
強者にイジメられるのも好きかしら♥」
 そのまま電撃がスパークし、これはただの布だった彼女の服を焼き捨てる。
「ずぎなわげ、ひぎっ! あるがっ、あびゃっ!」
 ぱちぱちと胸の先端にスパークを起こされながら、拳士は痙攣して答える。彼女たちは強さを求め邪道に落ちたが、それは相手を蹂躙するための道理なき強さ。最後は勝って相手をねじ伏せる、その前提あればこその戦闘狂であり、敗北は決して許容できるものではなかった。
「あらそう。でもこの先は……機械に頼らなくても分かるわよね♥」
 そしてそんな彼女たちなればこそ、自分でやるつもりがあるかは別として、状況に応じた敵の嬲り方は知っている。機械ではなく脳でその予想を立てさせつつ、ドゥルールは機械でなく化術で自らの体に追加した『槍』を見せつけた。
 戦闘に使わない故に改造していないのか生身のままの部分にそれを突き刺し、そこからも電流を流しこむドゥルール。もちろん自分にも強烈な逆流は来るが、その感覚がより体に生命力の渇望を覚えさせる。
「あぎゃっ、ぴぎっ、ぎゃあああ!?」
 がくがくと体が揺れるたびに大ぶりな胸が振り回され、そこからも生命力を啜るドゥルール。周囲の他の拳士たちもショートで動けない中、まず最初の一人として捕らわれたその拳士が上げる奇声は果たして機械の故障と感電の苦痛のみからくるものか。文字通り壊れた機械のように体を揺すり、小刻みに体の内外を締め付けるよう痙攣させその残る右目だけを細める姿からは想像は難しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケイ・エルビス
アドリブ連携歓迎
WIZ

多機能トランシーバーによる遠隔操作で空から輸送機の兵装を向けた対象に命中率が高いロックオンした複数の誘導ミサイル一斉発射で
ダメージを与える

「いくら分析したって
回避できない事が
よく分かっただろ?」

それでも抜けてくるヤツがいるかもしれないから
ライフルスコープを取り付けたアサルトライフルを構えて遠くの狙撃に適した場所に地形の利用でギリースーツ被ってカモフラージュして隠れておいて

戦闘知識、野性の勘で
抜けてくるルートを予測
し誘い込み

狙い撃ち、
クイックドロウで
UCと二回攻撃だぜ

ピンチの仲間がいたら
ブラスターで援護射撃

距離を詰められたら
オーラ防御から
カウンターでナイフによる斬撃



 猟兵たちは道を作るため、荒野を切り開いてここまでやって来た。その道はまだ出来てはいないが、荒れ放題で障害物だらけだった元の姿に比べればずっと開け、進みやすい血となっているのは間違いない。そんなこれから道になる何もない地を通り、ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)はこの戦場へとやって来た。
「元気にしてたかい? お届け物に来たぜ」
 ケイはトランシーバー片手に軽い調子で機拳流の拳士たちに挨拶する。だが、それが宣戦布告の言葉であるということは彼女たちにも十分に分かっていた。
「何持ってきたんだか知らないけど……今までのわけわかんない連中よりは分かり易そうだね!」
 そう言ってカメラの目が捕らえるのは、彼が手に持つトランシーバー。荒廃したとはいえ多少の科学技術は残っているこの世界。むしろ荒廃ゆえに進んだ技術すらあり、その恩恵を肉体を改造してまで受ける彼女たちにとっては機械を手に持った相手なら多少なりと与しやすそうと見ることすらできた。
 そしてそのカメラの目はただ映像を映すだけでなく、そのトランシーバーが発する電波やその種類、送信先さえも感知し機械とつながった脳で処理をする。
 しばし余裕の表情の彼女たちだったが、脳が解析を終えると同時に表情を変え一斉に空を見上げる。そしてケイ自身は解析されていることが分かっていながらそれを気にかけることもなく、トランシーバーに口を開けて声を吹き込んだ。
「カードは揃った。「アトラス」、ショータイムだぜ!」
 その声に応えるように、遥か高空から巨大な輸送機『アトラス』が舞い降りてきた。指示があるまでずっと敵の感知範囲外の航空に待機していたそれが持ってきたのは、大量の誘導ミサイル。
「いくら分析したって回避できない事がよく分かっただろ?」
 雨あられとばらまかれるミサイルの中、逃げ惑う拳士たちにケイはトランシーバーをしまいながら言った。
 整地前の荒れ地に大量のミサイルが落ち、一度破壊されたそこを再度破壊しつくしていく。
 基本は機械技術であるそれは体を機械化した機拳流にとっては手の内の分かる相手。だが、分かった所でその広さと多さは逃げきれるものではない。爆炎の中、生身も機械も関係なくその体は壊され、消し飛ばされていく。
「……ざけんな!」
 だが、彼女たちは純粋な人間ではないと同時に単純な機械でもない。プログラムに寄らない柔軟な思考こそが改造人間の本領とばかりに、その身体能力を活かしギリギリで直撃を免れ致命傷を避け、その鍛えられた肉体で爆炎の中を突っ切ってケイへと攻めかかった。
「来ると思ったぜ!」
 だがケイもまた、そうやって抜けてくる者がいるということも予想していた。相手はミサイルに追い立てられているのだ、悠長にルートを選んでいる余裕などない。それ故にどう来るか予想を立てることも難しいことではなく、ケイは真っ直ぐ突っ込んできた拳士の前に置くようにしてブラスターの狙いをつけていた。
 その狙いは過たず、自ら突っ込んでくるような形となって拳士は撃ち倒される。
 さらにケイは逃れる者、他の誰かの所へ行くものが出ないように周囲への警戒も怠らず、いつでも援護に入る姿勢も崩さない。
 そうして何重にも相手を封じ込める策を巡らせたケイだが、ついに一人の拳士がその全てを抜け、彼の元へと辿り着いた。
「死ねぇっ!」
 まさに機械的な鋭い動きで繰り出される、鋼の剛拳。狙うはアトラスのコントローラーでもあるトランシーバーだ。
「お生憎様だ!」
 それを持った手を下げ、体にオーラを纏わせて拳を受けるケイ。そうしてなお拳は重くダメージはあるが、ここまでたどり着くのに命懸けだったその拳は十全に放たれたとはいえず、耐え切れないものではない。そしてもう片方の手に握りしめたナイフで、すれ違うようにしてその生身の肉を切り裂いた。
 拳を振り切った体制のまま拳士は前のめりに倒れていき、機械の腕を地面に叩きつけられて壊しながら消滅していく。
「こりゃ、後で工事しないと怒られるかな」
 それ以上抜けてくる者がいないことを確認しつつ、ケイはミサイルで破壊された他の拳士たちのいた場所を見るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
心情・理由:威勢の良いデカチチねーちゃん達だ、残念だがこの先工事中につき、オブリビオンは通行止めでな。
とっととケツ捲って帰りやがれ!

手段:車両から降りたら煙草に火を着けて精神統一、銃剣を着けたブルパップ小銃による【複数射撃】を実行する。
奴は駆動部をオーバーロードする事で距離を詰めてくるだろうが、その前に何れだけ正確無比な射撃で頭数を減らせるかが最大の勝負だな。
接近されたら射撃に手榴弾は封印、味方を誤射して巻き込んじまう。
こっちも銃剣による刺突や斬撃、銃床での打撃や防御による白兵戦で対応する、格闘家相手に分が悪いが、他の猟兵と共闘する事でカバーだ、挟み撃ちの状態だからどうとでもなるだろう


チェスカー・アーマライト
連携アドリブ歓迎
苦戦描写OK

工事現場で遊んだら危ねーぞってママに教わんなかったか?
余裕かましてる風だが内心はガチ焦り
(ちょこまか動くんじゃねー! 的がちっせーから狙いにくいんだよコノヤロー!)

引き続き戦車形態のタンクモード
距離を取りながら
副砲に装備したパルスマシンガンで制圧射撃
射程は短いが連射速度を生かして高密度の弾幕を張る
対キャバリア用の口径だぜ
当たりさえすりゃ撃ち負けねーよ
もし至近距離まで寄られても
砲塔左側面に付いた擲弾発射機から榴散弾をブッ放して防御だ
せっかく綺麗に整地したってのに
派手に散らかしやがって(半分くらい自分の弾幕のせい)



 すでにそのほとんどを倒された機拳流拳士たち。だが、生き残った者たちは未だ構えを解かず徹底抗戦の姿勢だ。
「お前らが来た方に拠点があるんだろ? だったらお前らをぶっ殺すしか道はないってわけだ!」
 道を作る、奇しくも猟兵が本来目的としていたのと同じことを言う姿勢に、ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は乗っていたトラックから降りて答える。
「威勢の良いデカチチねーちゃん達だ、残念だがこの先工事中につき、オブリビオンは通行止めでな。とっととケツ捲って帰りやがれ!」
 道を作るために道を阻む、その真意は恐らく相手には伝わらないだろうが、開戦前の言い合いとしてはこれで十分。その隣で、チェスカー・アーマライト(錆鴉・f32456)もまたここまで乗って来た車両から身を乗り出し後に続いた。
「工事現場で遊んだら危ねーぞってママに教わんなかったか?」
 余裕綽々のその口調に、拳士たちも機械と生身の拳を突き合わせていきり立つ。
「とっくに忘れちまったねそんなもん! じゃあその工事とやらを止めて貰おうか!」
 そう言って踏み込み殴り掛かってくる拳士に、チェスカーは慌てて車内に引っ込み搭乗口を閉めた。その一瞬後、閉じたハッチにがんと音を立てて拳が当たる。
(ちょこまか動くんじゃねー! 的がちっせーから狙いにくいんだよコノヤロー!)
 自分の姿が誰からも見えなくなったところでようやく焦っていた内心を顔に出す。戦場に置いて自分の不安や焦りを表に出すのは、それだけで相手に付け入る隙を与えるのと同じ。だからこそ敵の前では常に余裕の姿勢を保ち、心の中の焦りは己の内だけに留めておく。
 そしてその内心を悟られぬまま終わらせるため、チェスカーはタンクモードの『ビッグタイガー』を距離を取るよう後退させた。
 そしてヴィリーは、車両から降りたままで煙草に火をつけ精神を統一させつつ、ブルバップ小銃で敵の群れに狙いをつける。幸い最初に詰め寄ってきた相手はチェスカーを追っていった。ならば自分の方を受け持つだろう相手に向け、その銃を乱れ撃つ。
「一、二、三、四(ひふみよ)……数は多いが対応可能だ、いくぜ! どうせ近づかれたら使えないだろうしな」
 正確無比な【複数射撃】が視認している敵を次々と撃ちぬいていく。さらには今しか使いどころがないだろうと手榴弾もおまけだ。それで進軍が一瞬遅れた拳士たちは、その隙をつかれ余計二重の餌食となっていく。
「そんなガラクタ銃で……機拳流禁忌・王刃悪狼怒(オーバーロード)!」
 その射撃に倒れなかった拳士は己の体内に或加速装置を起動、機械と筋肉に同時にエネルギーと電流を送り込み、それらを過剰なまでに活性化させた。オーバーロード状態となって爆発的な勢いで地を蹴り、狙いをつけることすらままならぬスピードで一瞬にしてヴィリーに詰め寄る拳士。
 拘束で繰り出されたその拳を、ヴィリーは銃剣によって受け止めた。あまりの重さに一瞬足が沈むが、それを耐えながら押し返す。
「近接で勝てると思ってんのかい!」
「さあな」
 あくまで冷静に返すヴィリー。無論彼とて格闘家相手のインファイトが有利とは思っていない。だが、こちらには相手にない武器がある。それは。
「対キャバリア用の口径だぜ、当たりさえすりゃ撃ち負けねーよ」
 後方に下がっていったチェスカーの操るビッグタイガー。それはヴィリーを抜け自分を追ってきた拳士たちにたいして大量の弾幕をばらまくことで押し返しを放った。それは射程が極めて短い超大口径のパルスマシンガン。前方で戦う仲間を巻き込むことはなく、自分から間合いに入ってきてくれる相手をいともたやすく粉砕していく。
 電動ノコギリのような音と共に消し飛んでいく拳士たち。だが、彼女たちとて機械の体を持つ達人級の格闘家、それを乗り越え鋼の剛腕をビッグタイガーに叩きつける者もいる。
「当たらなきゃいいんだろ!」
「自分から当たりに来といて何言ってんだ!」
 がぎんと金属音を立ててビッグタイガーの装甲が僅かに歪むが、お構いなしに横に据え付けられた砲塔左側面に付いた擲弾発射機から榴散弾をブッ放す。機拳と対人兵器の異種格闘技戦だが、ビッグタイガーは決して揺らがない。
 チェスカーの【絶対防衛戦線】を支えるもの。それは拠点に続く道のため前方で敵を相手取る仲間。それがユーベルコードとしてビッグタイガーに力を与え、無暗に破壊の拳を振るうだけの機拳流を押し返す。内心の焦りは、機体と仲間という二つの強靭な防具と武器によって敵に立ち向かう勢いへと塗り替えられつつあった。
 そしてその仲間であるヴィリーにとっても、後ろでここまで開いてきた道を塞ぐ仲間は頼もしい。接敵前に前面を制圧し、詰め寄ってきた相手は銃剣で戦い、そして抜けていった敵は仲間に任せる。数はいれどほとんど連携を取らない機拳流とはちがう、真の協力、連携がそこにあった。
「この後ろは立ち入り禁止だ、行く先なんてないよ」
「それと言っとくが……あっちも通行止めだぜ」
 進むことは決して許さないとチェスカーが言い、戻る場所もないとヴィリーが告げる。農村から来た二人の逆側には、工場からの道を拓いてきた猟兵たちが何人もいるのだ。
 戦闘開始時からの挟み撃ち。最初から、彼女たちに行ける場所などどこにもなかったのである。
 そして二人の攻撃が、機拳流最後の一人までもをただ一つの行く先、骸の海へと返していく。
「せっかく綺麗に整地したってのに派手に散らかしやがって」
「構わない。どうせまだ特大のゴミが残ってるからな」
 半分くらいは自分の攻撃で抉れた地面を見ながらのチェスカー言葉。それにヴィリーはどうせもっと荒れることになるだろうと答えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『拳帝軍』幻鏡拳のミラ』

POW   :    幻鏡双神拳(ミラージュ・ダブル)
【左右が反転した自分の幻影】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    幻鏡円舞陣(ミラージュ・ロンド)
【相手の周囲を高速で旋回しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【自分の幻影】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ   :    幻鏡反鏡殺(ミラージュ・リフレクター)
【円舞陣の圏内】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、円舞陣の圏内から何度でも発動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフローラ・ソイレントです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ここまで均されてきた二つの道の中間点。そこに居座っていたレイダーたちは猟兵によって駆逐され、僅かな機械の屑だけが散らばる無人の荒野となった。
 だが、その中心の空間が揺らぎ、誰もいないはずの場所からゆらりと一人の女が現れる。その姿は整ったスーツ姿に小さな帽子と、およそこの無法の荒野には似合わぬ小綺麗なものだ。
「派手にやってくれたわね。所詮機械頼みの惰弱な拳とはいえ、それなりの使い手ではあったはずなのに」
 そう言った女の姿がまた揺らぐ。その揺らぎの中を揺蕩うように、はっきりとどこにいるか捉えられぬか動きで少しずつ猟兵に迫ってくる女。ある程度距離を詰めたところで今度は横に動き、回り込むようにゆっくり円を描くように移動していく。一定のスピードで動いているはずなのにその揺らぎ故に緩急があるようにも見える。恐らく彼女は突然ここに現れたのではなく、この光を扱う能力で姿を消していたのだろう。
「しかし不確かな情報が確定したと言うのは僥倖。これで次の行く先をはっきり決められる。あとは邪魔な貴方たちに消えてもらうだけ」
 見た目はそれらしくなくともやはり彼女もレイダー、拠点の強襲へと向かうつもりなのだろう。揺らいでいた姿がはっきりと整い、代わりのようにその手から光る玉を発生させる女。
「それではお相手致しましょう。拳帝軍が旗下、幻鏡拳のミラ、参る」
 静かに構えるのその姿からは、しかし肉体一つで機拳流を上回る力を持つことが如実ににじみ出ている。
 猟兵よ、道を遮るこの悪しき幻を払い、二つの道を真っ直ぐに繋げるのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、確かに強そうですが、お相手致しますぅ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FMS』によるバリアを全方位に展開し守りを固めますねぇ。
そして【酷郭】を発動、戦場全体に『律』を流し込みましょう。
彼女や『分身』の位置は『隠蔽』されても『律への抵抗』で把握出来可能ですし、本人ではなく『その周囲の大気』を『爆破』して巻込めば、問題無く攻撃可能ですぅ。
そこに『FRS』『FSS』の[砲撃]も重ねて叩きますねぇ。
相手の攻撃は『バリア』に加えて『周辺の空間』の『操作』や『爆破』による反発力を利用しての[カウンター]等で対応しましょう。

爆破後は『大地』も操作、後の工事用に均しておきますねぇ。


チェスカー・アーマライト
連携アドリブ歓迎

けっ、企業の連中みてーな格好しやがって
腕っぷしでのお話し合いも得意ですってか

とは言え流石に良い動きしやがる
だが、どんだけ動き回ろーが
あたしの射程圏内に入ってくれるんなら関係無ぇ
スタンディングモードでUC発動
ロックアンカーで機体固定
右肩の戦車砲と両手に構えた銃器達で一斉掃射だ
重量機の強みは安定性と積載量
それらにモノを言わせて満載した榴弾や弾薬を
撃ち尽くす勢いでブッ放す
点じゃなく面への攻撃だ
鏡像も本体も全部纏めて制圧してやんよ
もしすり抜けられたとしても
迎撃要塞と化したビッグタイガーをブチ抜くのは
なかなか骨だぜ
何よりこっちでヘイト稼げれば
味方も動き易くなるだろ



 無法の荒野に立った女、その姿は小綺麗に整い、まるで平穏無事の地から迷い込んできた哀れな来訪者にも見える。だが、その正体はむしろその逆、この荒野の唯一の法である暴力を躊躇なく行使し、常に奪う側に回り続ける悪逆非道の徒であることを猟兵たちは知っていた。
「けっ、企業の連中みてーな格好しやがって。腕っぷしでのお話し合いも得意ですってか」
 チェスカー・アーマライト(錆鴉・f32456)はその姿を見て、嫌悪の感情を隠さずそう言った。彼女の故郷たるクロムキャバリアは戦乱が続く世界。そこでは武力とは財産であり、売られ、買われるものである。彼女にとっては余りにも身近で、そしていけ好かない存在を思い出させるその格好にどうしたってその心は苛立ってくる。
 だが、ある種決定的に違うのは、彼女の振るう力は『買った』ものではなく、『鍛え上げた』己自身のものだということ。拳帝なる者の下に多数の武術の達人が集った軍団『拳帝軍』。その中に置いて一団を預かるほどの実力者である『幻鏡拳のミラ』、それが彼女の名であった。
「成程、確かに強そうですが、お相手致しますぅ」
 隙のないその所作を見ながら、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は早々に高空へ飛翔、相手の間合いを外し一方的に攻めていく構えを取った。
「一人なら追いつけない、とでも?」
 先の機拳流との戦いでもそうしたのを見ていたのだろう、ミラは一見動きにくそうなスーツ姿の脚で地を蹴り跳躍、一瞬のうちにるこるの高さまで飛翔し、その拳を彼女に叩きつけんとした。だが、その拳はるこるの肉に届くことはなく、周囲に配置された円盤『FMS』に弾かれる。
「なるほど、対策はしていると」
 先の戦いでは強引な飛翔で取りつかれ引き下ろされかけた。ならば自分に触れなくするための盾を張り同じ轍は踏まぬようにする。同じ手が通じないのはるこるもまた同様であった。
「とは言え流石に良い動きしやがる」
 その動きを見たチェスカーも相手の実力を侮れぬと推し量る。単純な攻めかかりではお互い倒せない。やはり己の持ち味たる『技』を出す必要がある相手だと、この場の双方が相手を認めていた。
「では、二対二と行きましょう」
 その言葉と共に、ミラの体が揺らぎ、その姿が二つに分かれた。一見すれば全く同じように見えるが、よく見ればネクタイの結び目や服の合わせが正反対になっている。
「「幻鏡双神拳」」
 二人の身らが同時に技名を言い、一人は跳躍しるこるへ、もう一人は地を蹴りチェスカーへと向かった。その動きはチェスカーが経った今評したように、鋭く、早い。
 その相手を、チェスカーは二脚形態へと変形させた『ビッグタイガー』の中で待ち受けた。
「だが、どんだけ動き回ろーがあたしの射程圏内に入ってくれるんなら関係無ぇ。真っ向からの削り合いならビッグタイガーに分がある。根比べと行こうじゃねーか!」
 チェスカーはビッグタイガーを【人力パトリオット】形態に変え、その場に自らを固定した。要塞の如き鋼のボディにミラの拳が打ち付けられ大きな金属音が成るが、その装甲にはかすり傷一つついていない。
「なるほど、そういう技。ならいいわ、相手にしないだけ」
 その圧倒的な装甲はいかにミラが達人であろうと打ちぬくことは不可能だろう。だが、その装甲の代償として今のビッグタイガーは自ら動くことができない。それを無視し、るこるへと飛んだもう一人のミラの加勢へ向かうべく宙を舞った。
 そして当のそちらは、円盤の軌道を読みつつ時に足場にすることで空中に留まり、るこるに纏わりついている。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その刑場の理をここに」
 それに対しるこるは、【豊乳女神の加護・酷郭】で空間を支配下に置き、相手を封殺せんとした。戦場全体が『律』によって把握され、相手がどこにいようが逃げられない爆発攻撃と、円盤から大きく広げたバリアがミラにカウンターをかけて押し返していく。
「そちらはそういう……なら交代して」
 爆破で吹き飛ばされ地に落ちるミラ。それに入れ替わるよう爆破の合間を縫いもう一人のミラが上に上がり、円盤を撃ちぬこうと拳を放つ。位置を把握し、爆破する、そのツーステップを圧倒的な速さで越えることで爆破から逃れるという動き方。早く重いその拳の位置を律で把握しつつ、砲撃能力のある兵装を撃ちかけることで叩き落とそうとするるこる。
 その弾幕の前にまたも地に落ちていくミラだが、結局はまた下の者と交代するだけ……
「点じゃなく面への攻撃だ、鏡像も本体も全部纏めて制圧してやんよ!」
 だがその下にいた者に、チェスカーの銃撃が襲い掛かっていた。防御を解いたのではない。ビッグタイガーは依然要塞と化して動けないままだ。だが、中のチェスカーは無理矢理武器の引き金を引くくらいは出来る。
 当然狙いなど付けられないのだから撃つ方向は滅茶苦茶だ。だが重量機の強みは安定性と積載量。それらにモノを言わせて満載した榴弾や弾薬を撃ち尽くす勢いでブッ放す。右肩の戦車砲と両手に構えた銃器がめったやたらに乱れ撃ちにされ、戦場を混迷極まる弾の渦へと変えた。
「この程度かわすのなど造作も……」
「だろうな、分かってるよ! だが迎撃要塞と化したビッグタイガーをブチ抜くのは
なかなか骨だぜ」
 まともに狙いをつけていない乱れ撃ちなど拳法の達人たるミラにとって躱すのは容易いが、躱して抜けたところでビッグタイガーは破壊できない。さりとて無視するにはこの弾幕は余りにうっとおしく、そして狙っていない故に次の軌道が読めない。
 そしてそれをかわしている所に、またしてもるこるが頭上から砲の雨と律の爆破をかける。今度も認識と爆破の一瞬のラグをついて躱そうとしても、今はまるで狙いの付けられていない……つまりどこから飛んでくるか予想もつかない弾幕に気を割かねばならぬ故にそれもままならない。
 そこからもたつけば動きは空間を支配するるこるの把握しきるところとなり、正確な爆破が二人のミラを吹き飛ばす。
 ついに膝をついたところで、とどめとばかりにその上の大気全てが爆破され、ミラ諸共の『整地』がその場に行われた。
「いい爆発してるな!」
「お陰様でやりやすかったですぅ」
 動かず狙わぬ弾幕と全てを把握して狙いすました爆破。二つが合わさることで戦場を不可避の破壊が支配し、虚像実像関係なくそこにある敵を吹き飛ばした。
 あとには幻影が消え再び一人となったミラが、破壊の終わった更地に一人膝をついていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

初志・貫鉄
即興歓迎
SPD勝負

相手を観察し出した結論は、俺と同じ覇気を使う感じ…だな。

覇気を練り力を溜め、限界突破をすると同時に詠唱し真っ赤なスカーフを外しリミッター解除、褌残してクロスアウトッ(脱衣)!
爆発的に膨れ上がった覇気で褌と残像を揺らめかせ、第六感と野生の勘を研ぎ澄ます。
敵の動きに騙されたように見せかけて、カウンターの騙し討ち。高めに高めた戦闘力での鋭い一撃をお見舞いしてやろう。薄くなった理性じゃ手加減出来ねえがな、
攻撃を当てられても、念動力で減衰させオーラ防御、激痛耐性、継戦能力で耐える。

戦闘後は理性が戻るまで素早く身を隠すぜ。(性的に襲われる)猟兵仲間の犠牲者は出来るだけ出したくないしな。


ヴィリー・フランツ
・SPD※連携OK
心情・理由:小綺麗な顔してなんつー物言いだ、生前の時点で根性がひん曲がったと見た。
という訳で強制送還だ、骸の海で反省してこい。

手段:機拳のねぇちゃん達よりも重い一撃だ、なるべく回避か小銃を使って受け止めにゃならん、フレームは曲がるが一撃食らってノックアウトよりはマシだ、後は隙を見て銃剣や小銃の銃床による打撃で反撃を狙おう。
奴のミラージュ・ロンドは幻影を囮に使い、本命が手痛い一撃を与える技…
こちらもUC【クイックドロウ】で対抗、奴の拳より先に腰のレーザーガンを抜いて射撃、囮を撃ったとしてもその場で左右へ飛び退いて本命の攻撃の回避、間髪入れずレーザーガンでの反撃を試みるぜ。



 一度更地に沈められたミラだが、その地を蹴って起き上がる。
「少し油断したかしら。仕方ない、醜態は土地の献上で帳消しにしましょう」
 服をはたき土汚れを払うミラ。その仕草に、ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は眉を顰める。
「小綺麗な顔してなんつー物言いだ、生前の時点で根性がひん曲がったと見た。という訳で強制送還だ、骸の海で反省してこい」
 しくじった部下を平然と使い捨て、また他者、他流への敬意など微塵もない彼女の態度。己の拳も暴力としてしか用いないその姿勢は、その筋の者ではないヴィリーをして不快にさせるもの。だが魂は籠らねどその実力が本物であることは、その仕草と動きを見れば一目でわかる。
 一度揺らぐように横にずれ、そのまま円を描くような動きを取るミラ。その姿は早さによる捕らえづらさ以上にぶれて見え、自身のスピードと光を操る幻術でその動きを読み辛くしているのが分かる。
「俺と同じ覇気を使う感じ……だな」
 その様子を観察し、初志・貫鉄(拳食合一の功徳奉士・f26667)は彼女の能力をそのような性質のものと踏んだ。機拳流に対する発言とアポカリプスヘルという世界の特性、そして彼女の動きからして、あの光を扱う力はは機械仕掛けの光学迷彩や魔法的な力ではない。彼女自身が何と呼んでいるかは分からないが、拳法の鍛錬によって扱える気やオーラを現実の力に変えるもの、即ち覇気の類と貫鉄は判断していた。
「幻鏡円舞陣(ミラージュ・ロンド)……躱せるかしら?」
 その揺らぐ動きの中から、一瞬にして踏み出しミラはまずヴィリーへと拳を叩きつけた。とっさに小銃を持ち上げそれを防ぐが、その一撃は鉄製のフレームを軽々捻じ曲げその勢いでヴィリーの足も大きく後退る。
「機拳のねぇちゃん達よりも重い一撃だ……ノックアウトよりはマシだが」
 彼女の言ったことに嘘はない。機械の力を借りた拳よりその一撃はなお重く、直撃すれば相当なダメージは免れまい。ヴィリーは銃としては用をなさなくなった小銃の銃床を振り上げてミラを押し返し、インファイトの構えを一旦とかせる。
「ならばこちらも覇気で勝負よ。クロスアウトッ(脱衣)!」
 貫鉄がその隣で赤いスカーフを外し、自身の体に溜めた覇気を限界以上に開放した。その余波で服ははじけ飛び、褌一丁の筋骨たくましい体が露になる。
 だがその脱衣行為にも、ミラは特に慌てた様子は見せない。
「なるほど、戦場格闘技と、何がしかの拳法……いずれも我が幻鏡拳の相手ではない」
 アポカリプスヘルでは本気を出した時に服を脱ぐ拳法家など珍しくもないということか。次は貫鉄の方に狙いを定め、揺らぐような動きから瞬時に踏み込んで拳を突き出すミラ。
「太極廻りて動輪と化せ。廻る因果に古今隔ては無く、故に祖の凶行は此処に我が身で再現される」
 詠唱と共に覚悟と気魄を込め、その一撃を受け止める貫鉄。だが、その為に突き出した拳はミラの体を何の抵抗もなく貫き、掻き消えたそれが幻影だと分かる瞬間今度は本物のミラが踏み込んで開いた胴に光纏う掌打を撃ち込んだ。
「ぬぅん!」
 その掌打とすれ違うように、貫鉄の太い脚が跳ね上がった。それはミラの顎を下から思い切り打ち上げ、その体を大きくのけ反らせる。最初の幻影に打ち込んだ拳は躱されること前提のフェイント。大きな隙を曝すことで相手に本命の一打を撃たせ、そこにカウンターを取るという戦法でミラに大きな一撃を与えることに成功した。
「奴のミラージュ・ロンドは幻影を囮に使い、本命が手痛い一撃を与える技……」
「あんたが先に見せてくれたおかげさ」
 最初にヴィリーにミラージュ・ロンドを打った時、その動きを見ていた貫鉄はその動きを覚え相手の真の本命に対してカウンターを取った。大きく姿勢を崩すミラに貫鉄はさらに踏み込んでいき、強靭な拳によるさらなる追撃をかけていく。
「う、ぐっ……!」
 カウンターを取ったとはいえ本命打を当てられているのは同じ。だがそのダメージを肉体の耐性と、【阿頼耶式輪廻狂現】の代償で薄くなっていく理性で強引に無視して貫鉄は連撃を続けていく。加減ない攻撃はミラの体力を見る間に奪っていくが、理性が消えていく故に荒くなった攻撃の一瞬のスキを突き、ミラは幻影を纏いながらその場を脱した。
「く……ならばもう一度、幻影……」
「させねぇよ」
 一度距離を取り、再び幻影を出して旋回しようとするミラ。だが、その動きに入る前に100分の1秒の速さで抜き打ちされた熱線銃がその動きを制した。幻影を出し、幻惑の上で打つ。その技法自体は恐るべき精度だが、言い換えれば攻撃の前に余計な動作が挟まるということだし、その技もこう何度も見せられれば見慣れてくる。
 それでも一度止められ崩れた体を幻影で包み、そして横へと動いていくミラ。だがその先にもヴィリーの【クイックドロウ】が待ち受けており、さらには逆側へ動いていったものにはさらに理性の薄れた貫鉄が躍りかかっていく。
「……貫く!」
 結果的に貫鉄が襲い掛かったのは幻影、結果その横を抜けミラ本人がヴィリーの方へ詰め寄っていくが、その動きをヴィリーもまた横に動いて回避、代わりの様にその銃口の筒先がそちらを向いていた。
「光は直進する……こういう意味じゃないだろうけどな」
 ヴィリーとてこちらが本物だと読み切っていたわけではない。双方が自分に本物が来るという前提で全力の対処をかけただけ。そうして三度拳以上の速さで放たれたブラスターが、ミラの体を的確に撃ちぬいた。
「ぐっ……!」
 思わずよろけるミラ。そこに幻影を破壊し戻って来た貫鉄の大ぶりの拳が、頭上から思い切り振り下ろされた。
「うおぉぉぉぉ!」
 獣の如き咆哮と共に叩きつけられる拳が、ミラを再び何もない地面にめり込ませた。
「後は……任せる……」
 これ以上やれば敵味方の区別さえなくなってしまう。最後に残った理性を動員してその場から離れていく貫鉄。ヴィリーはそれに小さく手を振って答え、完全にこの場を抑えたと確信できるまでいつでも銃を抜ける構えを崩さず警戒を続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW

なかなか面白い流派ね。
私も良い物を見せてアゲル♥

裸になり、守護霊の【ドーピング】で戦闘力と【第六感】を高め
子豚・蝶白のように乳で【索敵】
ミラの攻撃を【見切り・怪力】で受け止め
『豚房流基礎の型・崩握乳制』による【捕縛】の抱擁と
媚毒の【呪詛】を含んだ乳を飲ませる【マヒ攻撃】

あぁん♥
敏感になってるからいっぱい出ちゃう♥
でも、お楽しみはここからよ♥

脱力したミラを【盗み・早業】で裸にして
包帯で両腕を縛り、目も塞ぐ。
媚毒体液と目隠しで彼女は全身敏感♥
【誘惑・催眠術】で愛を囁きながら
【化術】で肉棒を生やし
立ちバックで【串刺し・乱れ撃ち】しつつ
両乳の先端を手で【慰め・生命力吸収・大食い】よ♥



 ミラの用いる幻鏡拳、それは高度な体術に光を用いた幻術を組み合わせることで自身の動きを見切りづらくし、攻守に置いて相手を惑わす奇抜なる拳法である。
 その動きを見たドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は、揺らめく彼女の姿を眺め笑みを浮かべる。
「なかなか面白い流派ね。私も良い物を見せてアゲル♥」
 その言葉にミラはドゥルールを値踏みするように見るが、彼女の姿を見て眉を顰める。
「良い物? 拳を使う体には見えないけれど……」
 彼女自身大分細身な方だが、おおよそ拳法とは無縁そうなドゥルールの肉体に違和感を覚えるミラ。あるいは機拳流のように何かしら体を改造しているのか、それとも別の能力か……そう値踏みするように見るミラの前で、ドゥルールはなんと自分の服に手をかけ、ためらいなくそれを脱ぎ去った。
「な……?」
 さすがの事にあっけにとられるミラの前で、ドゥルールは己の体にオブリビオンの守護霊を宿す得意の構えを取る。その霊の影響か僅かにドゥルールの体の筋肉が膨らんだように見え、さらには何か別の感覚で周囲を探るかのように彼女は目を閉じた。
「あぁ……なるほど、わかったわ。奇怪な動きで脅かし、視覚を閉ざして光を遮断する。種が割れれば簡単な話ね」
 あえて視覚を閉ざすことで光を使う自分への対抗策とし、奇妙な動きで脅しをかけることで拳法の動き自体を誤らせる。それが狙いだと判断したミラは、気を取り直し幻影を連れて二人掛かりの鋭い動きで踏み込み、拳を放った。
 まず最初に一人の拳がドゥルールを直撃するが、それは何の影響もなく体を通り抜ける。幻影の拳に惑わされなかったその姿を見て自身の考えに確信を持ったミラは、それから一瞬遅れて自身の拳をドゥルールの胸目がけ突き出した。
 その拳は過たず胸部を貫く、そう思われた瞬間、その拳はがしっとドゥルールの手に掴み取られた。
「な……!?」
 驚愕するミラが拳を引こうとするが、万力の如き力で捉えられ手を戻すこともできない。ならばとその状態から足を上げて蹴りにかかるが、それもドゥルールは見えているように自分の足を上げて止めた。
「腕で崩し乳で制す、この動きこそ全ての基礎!」
 そのまま掴んだ腕に力を込めミラの耐性を崩し、自身の裸の胸をその顔に押し付けるドゥルール。ミラは顔を背けそれをかわそうとするが、一見してただ奇抜なだけのその動きは妙に鋭く、その先端で強引に口を塞がれてしまう。
「むぐっ……うっ……!?」
 動きの正体を測り兼ねるミラ。その疑問を察してか、ドゥルールは彼女に語り掛けた。
「これも武術の一つよ。豚房流って知ってる?」
 複数世界をまたぎ存在する流派。アポカリプスヘルにも存在はするが、とりわけ武術らしからぬ動きをする一派なので彼女が知らないのも無理はない。封神武侠界の使い手の霊の力を借り、彼女の如く乳の感覚を鋭敏化させ周囲を探って幻惑をかわし、その基礎の動きである【豚房流基礎の型・崩握乳制】で相手を制した。その説明をしながら、含ませた胸から媚毒と麻痺毒の液体を流し込み相手の自由を完全に奪っていく。
「あぁん♥敏感になってるからいっぱい出ちゃう♥でも、お楽しみはここからよ♥」
 そのまま動きの鈍ったミラの服をはぎ取り、持っていた包帯で目と腕を縛る。無論ミラとて達人級の武術家、視覚以外の感覚も十分に鍛えてはあるが、それ自体が今はドゥルールにとって好都合。その敏感な感覚となった体に化術の槍を刺しこみ、聴覚には催眠の魔力を乗せた囁き声を送り込む。びくびくと痙攣するミラの体を抱き寄せ、それを乱れ突くドゥルール。
 乳房を武器とする流派の霊を宿したのだ、その扱いはお手の物。最後に自分の使った流派を改めて知らしめるかのごとく両胸を捻りあげそこからミラの生命力を思い切り搾り上げ、その体を折らせた。光と乳、常ならぬものを操る流派同士の戦いは、今は乳に軍配が上がるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

迅雷・電子
【心情】拳帝軍って聞いてもしやって思ったけどやっぱりいたかいこの女…前に別の依頼で戦ったけど相変わらず嫌な感じだね…でも二回目でもこいつは油断できない!本気で行くよ!八卦よい!

【作戦】攻撃は基本【見切り】と張り手での【受け流し】を基本に回避していくよ!敵が攻撃してきたら【カウンター】からの雷電張り手だ!分身したら連続つっぱりだよ!「あんた、嫌な奴だけど相撲の才能はあるね!」【絡み・アドリブOK】



「馬鹿な……私の幻鏡拳は無敵……拳帝様以外に破れる者などないはず……!」
 まるで軸の違う戦い方や別の拳法など、己の誇る幻鏡拳を様々な形で打ち破られて来たミラ。己の拳に絶対の自信を持つ彼女にとっては信じられないことだが、それが疑いようもない現実だと言うのはすでに骸の海の不知まで追い込まれた自身の体が何より雄弁に物語っていた。
 そしてそこに最後の押しだしをかけるべく、一人の猟兵が彼女の前に立つ。
「拳帝軍って聞いてもしやって思ったけどやっぱりいたかいこの女……前に別の依頼で戦ったけど相変わらず嫌な感じだね……」
 迅雷・電子(女雷電・f23120)は以前にも一度別の場所でミラと戦ったことがあった。その際も彼女は己の強さを誇り、一方で他者や他流を省みない傲慢な性格を露としていた。ミラの方はオブリビオンの常として以前の戦いの事は覚えていなかろうし、一度戦った経験がある分電子の方が有利と言えるかもしれない。
「でも二回目でもこいつは油断できない! 本気で行くよ! 八卦よい!」
 だが、戦ったからこそ相手の強さも知っている。拳を地に着け構えを取り、最後の大一番とばかりに突進をかけた。
「拳帝軍に後退は許されない……ミラージュ・ダブル!」
 その突進を、幻影との二人がかりで正面から跳ね飛ばしに行くミラ。一人は上半身を狙った打撃の型、もう一人は低く構えて足元を狩るような動き。どちらが本物か惑わしつつ相手に隙を作る幻鏡拳の必殺技が、電子の猛進を潰さんと襲い掛かった。
「……こっちだ!」
 自身も突っ込んでいきながら、構えを高くし張り手を繰り出す電子。その豪快な手は顔を狙っていた上側のミラの拳を音を立てて跳ね飛ばした。同時に下側のミラは電子の下半身をすり抜け消えていく。
「勘……というわけでは」
「左右が違うんだろ、知ってるんだよ!」
 以前の戦いで一度見た技。同じように繰り出して来るのならば、見切るためにどこに注目すればいいかは知っている。ミラ自身それは理解しているのか元々よく見ないと分かりづらい服を着ているが、一方でそれを戦術に組み込む場合も考えてか完全な左右対称にはしていない。
 そのまま幻影を完全に封じるかのように連続でつっぱりをかけて相手を押し返していく電子。ミラは押されるまま後退していくが、それでも抵抗の意思は途絶えぬとばかりにその手に組み付き、そこを軸に回転して電子を蹴りつけ無理矢理距離を取る。
「あんた、嫌な奴だけど相撲の才能はあるね!」
 組んでからの打ち込みや引きなど、使ったのは相撲では禁じ手のハイキックとはいえ相撲に使える動きにも向いたセンスがあると、電子はその部分においてのみ相手を認める。
「それはどうも。だが私が頼むのは幻鏡拳のみ。他流の技など必要なし」
 そして己のスタイルへの自信と執着。最後までその拳と共に戦わんと、ミラはもう一度構えを取った。
「力任せと見せ存外観察力もある。だが私の幻鏡拳は決して見切れない!」
 そしてもう一度分身を出し、今度はそれと重なっていくことで自分の動きをブレさせどのように攻めているかを見えづらくさせるミラ。二重の体が対称に動き、今度はどちらが本物か判別できぬ位置から左右の拳を繰り出す。
「どすこぉぉぉい!!」
 そのど真ん中、ミラの胸の中心を、電子は【雷電張り手】でぶち抜いた。光の揺らぎとは対照的にしっかりしているはずの体幹をぶち抜き、ミラは大きくのけ反りながら後方に吹っ飛んでいく。
「ばかな……私の、幻鏡拳が……!」
 そのまま後方に残っていた人間大の大岩に衝突、それを粉々に砕きながらミラの体は光になって飛び散り消えた。
 電子は最後、この土地を均すかのように大きく一度四股を踏み、アポカリプスヘルの大地を踏み固めるのであった。

 こうして全ての障害は破壊され、荒野を均す大規模工事はひとまず終わりとなった。後は猟兵の力を持って、道の敷設自体はあっという間に終わるだろう。
 次にすべきことはその道を通って二つの拠点へ行き、それぞれに足りているものを持ってこの道の先へ行き足りないものと交換してくるよう促すこと。
 死した大地に物流という血が通い、再び人の生きる世界として蘇る。二つの拠点を繋いだ道は、きっとさらにその先の未来へと続いているはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月20日


挿絵イラスト