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砕け、終焉の兆し

#ダークセイヴァー #地底都市 #第五の貴族

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#第五の貴族


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●偽典グリモア討滅ミッション
「御機嫌よう、皆。よく来てくれたね」
 グリモアベース作戦会議室にて、常通り招集に応じた猟兵たちに一礼したのはカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)。ダークセイヴァー、第五の貴族との戦いに関する予知……“緊急”等と大仰な連絡が飛ぶのはそうある事ではない。

「まず第五の貴族について簡単に確認しておこう。紋章と呼ばれる寄生虫型オブリビオンを介して地上世界を支配してきた黒幕にあたる存在なんだけど……今回は特にこの紋章が厄介でね。アタシたちの扱うようなグリモア、これの再現をしようとしているらしい」

 グリモア……オブリビオンの脅威を予知し、世界を渡る力の源。
 仮に第五の貴族がこの力を手にするような事があれば、猟兵とオブリビオンのパワーバランスさえ一変し得ると言っても過言では無い。
「言うなれば偽典グリモア……これまでの呼称に合わせるなら“予知の紋章”とでも呼ぼうか。これの完成を阻むのが今回の目的になるよ」
 そして肝心の攻略手順。第五の貴族討伐の為に、大きく分けて三度の戦闘に勝利する必要があるとカタリナは三本指を立てる。

「一つ。敵の拠点である屋敷を守る“番犬の紋章”を与えられたオブリビオンたちとは、本来まともにぶつかるべきじゃないんだけど……その屋敷も堅牢な結界に守られててね。タダで侵入は出来ないようになってると来た」
 最初に立ち塞がる敵は“闇に誓いし騎士”たち。結界を通り抜け屋敷へと侵入するには、この相手の装備または身体の一部を通行証代わりに奪い取らなくてはならない。騎士たちは紋章の効果により尋常でない耐久性を得ている為、一撃離脱が基本となるだろう。

「一つ。“朱殷の魔術師”ディアナの操る予知の紋章の攻略……敵は既にアタシたちの襲撃、そして攻撃手段を予知して対策を講じてきてる」
 効果としてはユーベルコード【ガジェットショータイム】に近いか。第五の貴族としての圧倒的な地力と紋章による予知、その組み合わせにより敵は猟兵の初手を“必ず攻略してくる”。
「どうやってこれを突破するのか……答えは単純。対策されると分かっているなら、それを凌いで更に反撃を決めてやればいい」
 敵の紋章は未だ不完全。それを差し引いても猟兵たちであれば、敵の予知を上回れない筈が無いと有翼の人狼は語る。

「最後の一つ。撃破されたディアナは真の姿……“吸血猟姫ディアナ”となって襲い掛かってくる。この時点で予知の紋章の力は失われるけど、代わりに“蹂躙の紋章”で能力を大幅に増幅させてくるから油断は禁物だね」
 蹂躙の紋章が持つ力は戦闘能力の超強化による疑似的な先制攻撃。
 オブリビオン・フォーミュラの類が備えた性質に近いが、それ故に相手取る事に慣れた猟兵も少なくないだろう。あくまで疑似的なものであるが故に、猟兵の力量やユーベルコードの相性次第では強引に先手を捥ぎ取れる可能性もある。

「今回も危険な戦いになるけれど、更なる脅威を防ぐ為にも力を貸してほしい。……どうか、無事の勝利と帰還を」
 祈るように締め括る言葉と共に、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。


ふーみー
 当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
 第一章は集団戦。同時に多数を相手取る事の無いよう気を付けながら敵の装備なり身体の一部なりを奪取・突破してください。
 第二章は偽典グリモアこと“予知の紋章”を持つ朱殷の魔術師とのボス戦。
 大まかな流れは、
  ●猟兵側のUC①の使用。技能や装備の駆使等、UCを使わない攻撃でも可。
  ●エネミー側の反撃。紋章の効果により猟兵側の攻撃は“必ず”破られます。
   なお反撃の内容はプレイングで指定があれば原則それに準じます。
  ●猟兵側のUC②の使用。UCを使用しない、またはUC①と同一でも可。
   何らかの工夫で敵の反撃を上回る逆襲を決めてください。
 といった感じになります。
 選択UCはUC②(UC②を使わない場合はUC①)を選ぶようお願いします。
 なお成功率、エネミーUCとの相性は選択UCのみが参照されます。
 第三章は“蹂躙の紋章”を解放した吸血猟姫ディアナとのボス戦。
 ユーベルコードによる先制を仕掛けてくる為、これを凌いで反撃してください。
 なお今回は猟兵側のユーベルコードによる対策も可能です。
 それでは皆様の健闘をお祈りしています。
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第1章 集団戦 『闇に誓いし騎士』

POW   :    生ける破城鎚
単純で重い【怪物じみた馬の脚力を載せたランスチャージ】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    屠殺旋風
自身の【兜の奥の邪悪なる瞳】が輝く間、【鈍器として振るわれる巨大な突撃槍】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    闇の恩寵
全身を【漆黒の霞】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●絶望の使徒
 “第五の貴族”ディアナの潜む屋敷……否、その威容はいっそ要塞と称する方が適切だろう。華やかさとはかけ離れた建造物は合理性を突き詰めた防衛理論の結晶であり、結界に守られた拠点の外部には統率の取れたヴァンパイアの精鋭部隊が襲撃者を迎え撃たんと警戒態勢を整えている。
「いいか、敵は必ず現れる。警戒を緩めるな」
「ハッ!」
「見つけ次第数で囲んで磨り潰せ。主の命令は猟兵の鹵獲だが、生きていれば状態は問わんとの事だ」
 予知の力を手中に収めつつあるディアナからすれば、騎士と結界を突破し得る可能性自体が獲物を狩る為の罠という事らしい。
 第一の障害を突破し、獲物の喉元へ迫れ。
空桐・清導
SPDで挑む
協力も大歓迎だ

さて、戦闘は出来るだけ避けて行かねえと
最小限で最大限の成果をあげるとなりゃ、この方法だな!

統率の取れた部隊を静かに観察する
乱れ―無し
油断―無し
見れば見る程、精鋭だ
勝負は一瞬だ、気を抜くなよオレ
[力を溜め]、機を待つ
…今だ―イグニッション!

刹那、騎士たちを一陣の暴風、否、台風が襲う
原因は単純明快
UCを発動させ、一瞬でギアをトップスピードまで上げたのだ
瞬間移動とさえ思える速度
それによって生じた風を騎士に叩き込んだのだ
油断も隙もねえんなら、こっちから作るまでよ!

そして、こいつはいただいていくぜ!
ブレイジング・レザーで一体のマントを斬って掴む
後は、[気合い]で撒いて逃げ切る!



●一陣の嵐の如く
 薄闇に閉ざされた地底世界、広がる庭園は番犬として放たれた騎士たちの為の狩場と言っていい。禍々しい黒鎧を纏う騎士たちが巡回する警戒網、そのギリギリ外側から空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は敵の様子を探っていた。
(乱れ――無し。油断――無し。見れば見る程、精鋭だ)
 巡回のパターンは読み取り難く、統率の取れた騎士たちの動きに隙は無い。
 ならば……清導の心には不退転の覚悟、呼吸を整え意識を集中。
(勝負は一瞬だ、気を抜くなよオレ)
 そう自分に言い聞かせ、内に練り上げた力は遂に臨界を迎えた。

「……今だ――イグニッション!」
「来たかッ!」

 刹那、一陣の台風が唸りを上げる。
 騎馬の動揺も最低限に抑えすぐさま反撃に移ろうとした騎士たちが捉えたのは“ブレイザイン”が残した真紅の軌跡のみ。
 【ブレイジング・アクセラレーション】の超加速は瞬間移動にさえ匹敵する速度を生み出し、生じた暴風は重武装の騎士たちをして体勢を崩すには十分。

「油断も隙もねえんなら、こっちから作るまでよ! そして――」
 奇襲の利を活かす上での最善手は敵が反応する前に最大級の損害を与える事だ。
 数を減らすか、それとも馬を狙って機動力を削ぐか。いずれにせよ多勢に無勢、番犬としての強化があればいずれ押し潰せる……その判断こそが騎士たちに生じた最大の隙。
「――こいつはいただいていくぜ!」
「なにっ……!?」
 邪悪なる瞳を輝かせた騎士たちの【屠殺旋風】は空を裂き、大地をも砕く程の打撃を掻い潜った清導の狙いはたなびくマント。
 腕部のブレードが閃き、宙に舞った切れ端を掴んで速度を落とす事無く駆け抜ける。
 今度こそ完全に意表を突かれた騎士たちが清導の目論見を悟るまでに一瞬。
 追撃が機械鎧を掠めるのを感じながら身を捻り、力強く地を蹴り……間合いの外へ逃れてしまえば、攻撃回数の増加も効果は薄い。

「チィッ、逃すな! 叩き潰せ!」
「馬の機動力はまだ健在。こっちも油断は無しだ、完全に撒くまで気は抜くもんか!」
 怒号を上げる騎士たちとの追走劇も流星の如く疾駆する清導に軍配が上がる。
 こうして彼は結界を乗り越え“第五の貴族”ディアナの潜む屋敷への突入を果たすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
防衛の備えは万全のようですね。
こちらを狩るための罠のつもりなのかもしれませんが……狩る側がどちらなのか、教えてあげましょう。

【氷雪の迷宮】を展開し、氷の壁で敵を分断します。
完全に個々に分断することはできないでしょうが、吹雪の中でもあの黒い鎧や敵が纏う黒い靄は目立つ。うまく分断することができ、本隊に合流できず孤立している敵を迷路で探します。

見つけたなら吹雪に身を隠し、「フィンブルヴェト」から氷の弾丸の射撃を。『スナイパー』の技術で頭部を狙い、戦闘力増強をされる前に仕留めます。
目が光っているのはいいですね、どこを狙えばいいのかか分かりやすい。

敵を倒したら鎧の小手など持ち運べる物を失敬します。



●白き氷雪の狩場
「……防衛の備えは万全のようですね」
 番犬たるオブリビオンがその力を発揮できるよう整えられた庭園の在り様、士気高く巡回に勤しむ黒鎧の騎士たち。
 数多の激戦を潜り抜けてきたからこそ、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)にも敵の実力とその周到さは痛いほど感じ取れた。
 その上で。
「こちらを狩るための罠のつもりなのかもしれませんが……狩る側がどちらなのか、教えてあげましょう」
 【氷雪の迷宮(ブリザード・ラビリンス)】――絶対零度の射手が呟くと同時、戦場が塗り替えられる。

「馬鹿な、この地底世界でこれ程の大規模干渉だと……!」
「態勢を整えろ、我らにはディアナ様の加護がある!」
 騎士たちを捕らえたのは氷で出来た迷宮、常に吹き荒れる吹雪は騎馬の機動力を封じ込め視界をも奪う。
 有利は不利へ、此処に狩場は黒き騎士たちのものから白き射手のものへと一変した。
 すぐさま【闇の恩寵】の黒霧を纏い立て直しを図る騎士たちの反応は高い練度に裏打ちされたものだが、状況は既にそうした対応で覆る域を超えている。
「ここは狩場、私は狩人、あなたは獲物……猟を始めましょう」
 ホワイト・アウトに近しい視界の中、シミのように影を落とすオブリビオンの姿はよく目立つ。
 敵の強みは紋章による強化、そして数の有利。故に狙いは本隊より分断され孤立した騎士――見つけた。
 吹き荒ぶ吹雪に身を隠し、愛用のマスケット銃フィンブルヴェトを構える。
「目が光っているのはいいですね。どこを狙えばいいのか分かりやすい」
「ガッ……!?」
 着弾音、そして兜の奥に灯っていた邪悪な赤光が揺らぎ消える。
 耐久力・再生力を格段に跳ね上げる番犬の紋章による強化と負傷に比例した強化を得る邪騎士のユーベルコードの組み合わせは強いシナジーを生み出す。
 それをただの一射でダメージを力に変える間も無く昏倒せしめたのはこの状況を作り上げたセルマの手腕、そして正確無比なヘッドショットを実現させた凄まじいまでの狙撃技術の成し得た業だろう。
 短く呻いた騎士はどさりと落馬して動きを止め、続く第二射で騎馬も沈黙。無力化を確認したセルマは騎士から手際よく小手を回収し次の標的を見据えた。
 再び吹雪に姿を紛れさせ……白き死が傲慢なる吸血鬼の元へと迫る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
警戒心の強い事だ。
“番犬の紋章”なら嫌って程知ってる。隠れて奇襲やカタリナが言ってたように一撃離脱ってのが基本だろう。…けど、生憎と隠れてコソコソは性に合わなくてね。

正面から行くぜ。…これだけの数の騎士、ああ、いや、番犬を相手に正面からなんざ、イカれてると思うかい?(手を広げて【悪目立ち】)
──奇遇だな。俺もそう思う。

見つけ次第、数で囲んでくれるそうだ。~♪モテる男ってのも大変だ。
狙いは連中同士のUCによる同士討ち。周辺が破壊される程のUCを囲いの中で放つとどうなるか…俺は地を蹴って空から様子見させて貰うぜ。
眼下に向けて二丁銃でUC。

「生きていれば状態は問わん」ねぇ…何をする気か興味尽きねぇな



●Crazy Game
「警戒心の強い事だ」
 “第五の貴族”ディアナが手ぐすねを引く伏魔殿、屋敷を守るオブリビオンの気配にカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は一人肩を竦めた。
 “番犬の紋章”なら嫌というほど知っている。隠れて奇襲、或いはグリモア猟兵が言っていたように一撃離脱が基本だろう。
「……けど、生憎と隠れてコソコソは性に合わなくてね」
 表情は常通りの余裕な笑み。敢えて正面から踏み込み、出くわした敵に馴れ馴れしく片手を上げてみせる。
 相手が呆気に取られたのは一瞬。合図らしい馬の嘶きが響き、集結したオブリビオンの包囲網が完成するのも瞬く間の事。
「出迎えご苦労。モテる男ってのも大変だ」
「抜かせ。捨て駒にでもなったつもりか?」
 ひゅぅ、と気楽に鳴らす口笛とは対照的に、苦々しく吐き捨てた番犬の声には警戒の色が濃い。

「……これだけの数の騎士、ああ、いや、番犬を相手に正面からなんざ、イカれてると思うかい?」
 大仰に手を広げてみせれば、その仕草は不思議と敵対者の意識を引き付ける。付近一帯を警戒していた番犬は今この時、例外なくカイム一人に戦力を集中させていた。
「馬鹿げているな。思いついたところで、まともな頭があれば実行になど移すものか」
「──奇遇だな。俺もそう思う」

 包囲を形成するオブリビオンに油断の色は無く、小手調べのように放つ二丁銃の弾丸は力任せに振るうランスに阻まれる。軽快なステップで細かく立ち位置を修正しながら、叩く軽口が弾丸に負けず劣らずの一手であると気付けた者が居ただろうか。
「油断が無いと言や聞こえはいいが、数が揃うまで悠長に足踏みとは間抜けな話だ。いや、今も雁首揃えて人間一人にビビって様子見か?」
「貴様ッ……!」
 その挑発もまた相手の精神を揺さぶる卓越した技巧であり、番犬たちが冷静さを欠くのも無理からぬ事。重ねる言葉に立ち振る舞いまでもが劇毒のように視野を狭め、遂に暴発するように【生ける破城鎚】の突撃が四方八方から繰り出される。
「さて、周辺が破壊される程のユーベルコードを囲いの中で放つとどうなるか……」
 標的を失えば勢いを緩めるだろう。かと言って避け損なえば如何に頑健なカイムの身体をして無事では済むまい。
 激昂と共に押し寄せる破壊を限界まで引き付け――跳躍。
 結果カイムの眼下では生身とは思えない激突音が響き、尋常の生命であれば幾度死んでもお釣りが来る程にその身を破壊された番犬たちが呻きを上げる。
「そら、オマケだ――Jack pot!」
 【魔弾の射手(デア・フライシュッツ)】の狙いは幸運にも負傷の少なかった生き残り、紫雷纏う銀の銃弾が残る戦力を的確に捉える。
「景気付けには上々。しかし「生きていれば状態は問わん」ねぇ……何をする気か興味尽きねぇな」
 無造作に拾い上げた籠手の一つを弄びながら、カイムは悠々と吸血鬼の根城へ歩みを進める。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「…予知の紋章か。
何ともふざけた話だが。
吸血鬼、中でも第五の貴族なんて
元々がふざけた力を持った奴らだ。
出来ないとする理由はない。」

騎士に見つからず先手を取る為
【地形の利用】をし、衣服には【迷彩】を施し。
【闇に紛れる】。
距離を取って観察しながら敵が此方を見つける前に
ファントムレギオンを発動。
「一つ知恵比べと行こうか。」
死霊を使い敵の注意を其方に向け、
その隙にディメンションカリバー発動。
スカイロッドに魔石を搭載し風の斬撃で
位置を悟られない様に遠距離から攻撃
敵の身体か武器を切り落とす。
首尾よく行ったら再び死霊で
その場から敵を離す様に誘導。
敵が離れたら自分はその場に行って
切り落とした敵の一部を拾う。



●惑わすは黄泉への導
「……予知の紋章か。何ともふざけた話だが」
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は事前に伝えられた情報を反芻し、ローブの下で顔を顰める。
「吸血鬼、中でも第五の貴族なんて元々がふざけた力を持った奴らだ。出来ないとする理由はない」
 故に何としてでもその目論見は阻む必要があるのだと、強固な意志を胸に吸血鬼の縄張りへと足を踏み込む。
 その衣服に施された迷彩は地底世界の薄闇にフォルクの存在を紛らわせ、慎重に進むと数分もしない内に番犬の巡回に突き当たった。
「さて……一つ知恵比べと行こうか。惑わせ、ファントムレギオン」
「むっ、出たな曲者め!」
 オブリビオンが侵入者に気付くより早く、実体化するはフォルクが操る死霊の集合体。
 元からして精鋭だけあって敵の反応もまた機敏。
 魂を捉える攻撃は番犬の紋章による強化で阻まれるが、肝心なのは陽動――そして敵に悟られるより早く次の一手を間に合わせる事。
 高速詠唱により工程を省略し更なる術式を展開、オブリビオンに感知される事なく魔力が急激に高められる。

「広大なる大空の力を内包せし魔なる欠片。この手に宿りてその力を示し。聖も魔も、絹も鋼も等しく断ち切れ――ディメンションカリバー」

 フォルクの手に現れた風杖スカイロッドに魔石が輝き、その超常の斬撃は距離を無視して空間ごと黒鎧の騎士たちを斬り刻む。
「グゥッ……!? 侮るな、闇の恩寵ぞ我らに在り!」
「……ふん。番犬らしい力技だが、問題は無い」
 低く呟く。
 紋章による耐久の強化で強引に耐え、欠損した部位を漆黒の霧で補う……受けたダメージが甚大であるが故に強化も著しく、或いは正面から戦うのであれば相性の不利は免れ得なかっただろう。
 そんな不利も今は――死霊の巧みな操作あっての事だが――有利に働いた。逆襲に燃える番犬は退くファントムレギオンに敵意を滾らせ追跡し、フォルクは斬り落とされた腕の一つを危なげなく回収する。
「流石に腕から本体が生えてくるような事は無いらしいな。それでは通行証として働いてもらおうか……」
 戦力を大幅に増強した番犬を相手に稼げる時間は限られているが、元より無数の手札を駆使する彼にとっては一度撒いてしまえば十分過ぎる猶予であるのもまた事実。
 最早その足取りを止めるものは無く、フォルクは“第五の貴族”ディアナの待ち構える屋敷へと乗り込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『朱殷の魔術師』

POW   :    その技、興味深いわ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【鮮血の石が煌く杖に記録し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
SPD   :    美しく踊って頂戴?
自身が装備する【硝子瓶から追尾能力を持つ鮮血の刃】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    朱く赤く紅く咲きましょう
全身を【薔薇が香る瘴気】で覆い、自身が敵から受けた【喜怒哀楽の感情の強さ】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:佐東敏生

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は玖・珂です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狡智の魔女
「よく此処まで辿り着いたものね。私を第五の貴族と知って挑んでくるだけの事はある、という事かしら」
 結界を破り根城へと踏み込んだ猟兵を悠然と出迎え、温度の通わぬ“朱殷の魔術師”ディアナの瞳が値踏みするように見下す。白い灰を思わせる長髪に隠れた片目そのものが偽典グリモア、未来を見通す予知の紋章に他ならない。
「まぁいいわ。猟兵、その小賢しい抵抗も無為に終わるのだと教えてあげる。精々私の研究に有意義なサンプルになってちょうだい」
 悪辣と狡猾を最大の武器としながら、構え一つ取らないのは勝利を視たが故の余裕の表れか。
 既に張り巡らされた幾多の罠を超え――その傲慢を食い破れ。
フォルク・リア
「サンプルに、ね。未来が見えているにしては
自分の希望を交えた言葉を吐く。
それは本当は見えていない。いや、変わる可能性が
ある事を知っているからか?」
敵の力を知りつつあくまで動じない態度を崩さずに。

初手、真羅天掌を発動。敵を焼き尽さんと
炎属性の竜巻を発生させる。
敵の防御術に阻まれ、魔術で反撃を受けても発動を継続し
敵の行動を【見切り】隙を見て真羅天掌の炎の竜巻を
フレイムテイルの炎とスカイロッドの風に切替て
見た目は同じ現象を起こしつつ闇討ちの法陣を発動。
炎で敵の視界、風で敵の聴覚を遮り此方の行動を悟らせず
詠唱時間を稼ぐ。
十分な攻撃力を得たら炎と風を中断し魔力を集中。
【全力魔法】で闇討ちの法陣を放つ。



●術理の極みにて
「サンプルに、ね。未来が見えているにしては自分の希望を交えた言葉を吐く」
 悠然と見下すディアナの力を知りながら、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)はあくまで冷静に対峙する。
「それは本当は見えていない。いや、変わる可能性がある事を知っているからか?」
「改善の余地があるからこそ、わざわざ貴方たちのような塵芥に拝謁を許したのよ。そも……紋章以前の問題。この“第五の貴族”を落とせる等と、何故勘違いできるのかしら?」
 先手を取ったのはフォルク――否、動いたのはほぼ同時。
 術士の手に風杖が実体化し、戦場となる大広間全体から底冷えするような冷気が滲み出す。

「大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯。人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ――真羅天掌」
「――朱く、赤く、紅く。咲き誇る尊きものの為に、その全てを捧げなさい」
 生まれ出づるは火炎の竜巻、全てを灰燼に帰さんとする灼熱の具現。制御に僅かな乱れでもあれば暴走し破壊を撒き散らすであろうそれを宥めるように極低温の赤霧が纏わりつく。
「矮小な身には余る力ね。けれどそれも弱めてしまえば取り込む事は造作も無い」
「笑えるな。大層な口を効きながら正面からでは押し負けると、早々に認める訳だ」
「思い上がる程度の技量はあると認めてあげる。その減らず口はいつまで続くかしら?」
 吸血鬼の身を守るのは甘ったるい薔薇の香を漂わせる瘴気の障壁。火炎の竜巻は瘴気に触れた部分から魔力へ分解され取り込まれ、嬲るように繰り出される数多の魔術・呪術がフォルクの心身を削り取っていく。
 燃え盛る炎、吹き荒れる風はもはや見掛けを保つだけの虚仮威し。徐々に衰えていく威力はそのまま尽き果てようとする猟兵の生命力の表れ。
 そう解釈したからこそ、“第五の貴族”は気付かない。

「――撃ち抜け、破魔の銀礫。その手管を包み封じよ静謐なる織布。邪なる赤き流れを食い荒らせ、呪いの鉄針――」
 猛る炎が所作を隠し、唸る風が詠唱を隠す。紅蓮に滾る竜巻は超常のそれに非ず、尋常の魔術にすり替えられたフェイク。
 その裏で紡がれるフレーズの一つ一つが長き研究の末に生み出された“吸血鬼殺し”の結晶。
 【真羅天掌】への対応から必要な威力は推察できる。後は……
(……どこまで欺けるか。どこまで保たせられるか、だが……)
 見切り、受け流し、耐える。結末は見えたとディアナが勝利を確信する状況、持てる技術の粋を凝らして秘めた切り札を研ぎ澄ます。
 そして。
「――暁の剣よ、終わりなき夜に終止符を」
 詠唱は成った。
 火炎の竜巻は霧散し、力尽きた獲物にトドメを刺そうとしたディアナはその段に至り漸く彼の隠し続けた奥の手を知る。
「全力をくれてやる。とくと味わえ」
「ありえない、そんな余力が――!?」
 瘴気を貫くは銀の弾丸、封魔の骸布が障壁を剥ぎ取れば血喰い釘が吸血鬼の力を封じ込める。
 【闇討ちの法陣(セイヴァークロス)】――無防備を晒した吸血鬼、その身を断つは白銀の剣。
 深く刻まれた斬線から血は迸らず、代わりに溢れ出す浄化の光輝と共に言葉にならぬ悲鳴が響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POWで挑む
協力も大歓迎だ

「アンタがディアナか!その悪行も此処までだ!」
UCを発動して突っ込む
未来を見ても拳を振るう以外のことはしていない
なんの裏もない正面突破
だからこそ難なく防御できるし、奪える
更に強化されるディアナ
それに応じて衰退するブレイザイン
明らかに勝負は着いた

―いや
「まだだ!」
さあ、その傲慢を覆そう

その一言と共に出力は[限界突破]
瞬く間に、天井知らずに跳ね上がる
借用?大昔の彼を真似たところで、
とっくにそれは超えている
意志、[勇気]、[気合い]
それによってUCの能力が決まるなら―彼に勝てる者はいない
「超必殺!ゴルディオン・スマッシャァアア!!」
光焔を纏った全力の右ストレートで魔女を倒す



●果てなき勇気
「アンタがディアナか!その悪行も此処までだ!」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の身を包むは黄金のオーラ。
 【スーパー・ジャスティス】……スーパーヒーローの代名詞たる能力を発動し、朱殷の魔術師ディアナへと正面から突っ込む。
「ヒーロー……人間の英雄……」
 ニィ、と魔術師の表情が嘲笑の形に歪む。
 緩やかに差し出した杖の先端が清導の拳に触れ、その一点を起点にベクトルそのものが外側へと逸らされる。
「滑稽なものね。その鎧、番犬に着せてやれば見せしめにはなるかしら」
「くっ……!」
 残像を残す程のスピード、怪力を込めたパワー。正面からの右ストレートはしかし“第五の貴族”の前に難なく阻まれ、彼女の身を清導のそれと似た……しかし比べるまでもなく掛け離れた禍々しい黄金の輝きが包む。
「その技は興味深いわね。私の瘴気を錬磨する糧となって貰いましょうか」
「アンタの思い通りになんか、させるかよ……!」
 清導は怯む事なく前に出て拳を振るうが、それがディアナに届く事は無い。元より圧倒的な力を更に強化するディアナ、対して戦う程に力を奪われ衰退していくブレイザイン。傍目から見ても、勝負は既に決したかのように思えた。

「悪足掻きね。勝ち目が無い事が理解できない?」
 吸血鬼の余裕は崩れる事無く、次第に呆れと苛立ちが混ざりだす。攻撃は大振りになり、だがその程度の変化は隙にもならない程に偽典グリモアの未来予知は正確だ。
「そろそろ幕引きとしましょうか。自分の力でやられるなんて、木っ端には贅沢な末路でしょう?」
「――いや」
 傷だらけになったブレイザインを破壊すべくトドメの一撃が迫る。
 だが、清導の目はまだ諦めてはいない。

「まだだ!」

 ――さぁ、その傲慢を覆そう。

 黄金が目も眩むばかりに輝きを増す。
 ディアナの一撃は受け止められ、返すカウンターが遂に魔術師を捉える。
「ッ……嘘、そんな……!?」
 吸血鬼が目を見開いたのはダメージ以上に驚愕が大きい。咄嗟に追撃を迎え撃とうと、奪った邪悪な黄金により強く意思を込める。
「借用? 俺の力を真似たところで……とっくにそれは超えている!」
「なんですって……!?」
 黄金の輝きが偽りの黄金を打ち砕く。
 力を生み出すは意志、勇気、気合。
 ――如何な第五の貴族と言えども。否、邪悪な吸血鬼であるが故に、ヒーローがその心で後れを取る事は有り得ない。

「これでケリを付ける! 超必殺! ゴルディオン・スマッシャァアア!!」
「く、っ……あぁぁぁぁああアアアアアっ!!」
 光焔を纏った全力の右ストレート、一条の流星にも似たそれは魔杖の防御をも抜き去り。そして、魔女を貫く……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
なるほど。研究の為に『生かしたまま連れて来い』って訳か。ああ、研究の中身は別に知りたいとも思わないんでね。どうせ聞いても理解出来なさそうだ。

鮮血の刃ってのをUC『銃撃の協奏曲』で撃ち抜くぜ。紫雷を纏った銃弾で血を【焼却】しながら言葉通り美しく踊ろうか。
アンタは踊らねぇのか?それとも──俺のダンスにはついてこられねぇか?【挑発】を掛けながら、ディアナには笑みを見せ。
アンタがこの舞踏会の主人なんだ。主賓だけが踊って楽しむなんざ、主人に失礼だろ?
幾度かの血を撃ち抜いた後に幸運を呼ぶ金貨を指で弾いて左手でキャッチ。血の刃を潜り右手の魔剣で突き崩す。
情熱的で刺激的で──痺れるようなエスコートは嫌いかい?



●息も止まるような餞別を
「なるほど。研究の為に『生かしたまま連れて来い』って訳か」
 カツンと硬い足音を鳴らし、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は眼前のディアナへと気の無い風に片手を振る。
「ああ、研究の中身は別に知りたいとも思わないんでね。どうせ聞いても理解出来なさそうだ」
「理解される必要も無いわ。欲しいのは有用なサンプルだけ」
 片やこのダークセイヴァーを影より牛耳る第五の貴族、片やそんな世界に生まれ育った一人の猟兵。無関心めいた上辺のやり取りとは裏腹に、敵意は肌を刺すように張り詰める。

「まぁ、こうして態々手間を取ったのだもの。精々美しく踊って頂戴?」
「誘いは断らねぇ主義でな。言葉通り、美しく踊ってやろうか!」
 魔女が硝子瓶より振り撒いた鮮血は刃となり、迎え撃つはカイムの【銃撃の狂詩曲(ガンズ・ラプソディ)】。
 優に百を超える鮮血の刃が自在機動で襲い掛かれば、全方位に惜しみなく放たれる銃弾の嵐に纏わせた紫雷が血刃を焼き払う。
 瘴気に染まった血が蒸発さえ通り越し消し飛ぶのは紫雷もまた尋常の技でないが故の現象か。ディアナが淀みない動きで新たな硝子瓶の栓を開ければ、紅血の魔刃はたちまち勢いを取り返す。

「躾のなっていない野良犬にしても耳障りな吠え声ね。果たしていつまで続くものかしら?」
「そう言うアンタはまるで給仕だな。踊らねぇのか? それとも──俺のダンスにはついてこられねぇか?」
「……意図の見え透いた軽口ほど不格好なものは無いわね」
 挑発を受け流そうとした、その僅かな揺らぎを見逃さず捉える。

 弾丸を撃ち尽くす程の銃撃で強力な広域制圧を為すカイムのユーベルコードを予期したディアナの判断は物量を更に増しての圧殺、故に魔女が描いた絵図を破る一手はこの攻防が保つ内に打つ必要があった。
「アンタがこの舞踏会の主人なんだ。主賓だけが踊って楽しむなんざ、主人に失礼だろ?」
 手品にも似て鮮やかな早業、瞬きにも満たぬ間に指で弾いた幸運を呼ぶ金貨を左手で捕まえる。
「混ざりもの風情が、この私に近づこうだなんて――!」
 【表か裏か(オール・イン)】、手の中に隠れた結果を見る事は叶わない。
 見えたのは一つの結末だけ。

「情熱的で刺激的で──痺れるようなエスコートは嫌いかい?」

 不可能が覆る。
 カイム自身が紫雷と化したように、その疾駆は瘴気に染まった血刃の軍勢を掻い潜り……黒銀の炎を従える魔剣は、深々と獲物を刺し貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
随分と余裕ですね……いつだってその傲慢があなた達の命取りです。
ここで終わるのはあなただけです。

UC1:【コールドスペル】を使用し、凍てつく冷気で敵を包みます。
戦場全体を包む冷気、どう対策を取ってくるかは分かりませんが、事前に予知をしているのであれば何かしらの方法で破ってくるでしょう。

敵が杖にUCを記録し使ってくるかもしれませんが、氷や冷気の技であれば私には大した効果はありません(『氷結耐性』)。この程度で参る人間が、吹雪や冷気を操る技を使えるはずがないでしょう。

敵の反撃を凌いだらコールドスペルの冷気により威力が強化された【砕氷弾】を。
さて、冷気は防げたようですがこれはどうでしょうか?



●吹雪と冷気の支配者
「随分と余裕ですね……いつだってその傲慢があなた達の命取りです」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)の所作には僅かな乱れも無く、策の万全を確信して見下す吸血鬼に向ける視線は静謐。
「ここで終わるのはあなただけです。さぁ……これが冬の始まり」
 彼女の手にしたマスケット銃から解き放たれた冷気は戦場全体に溢れ、捕らえた敵の身動きをも縛り封じる。対多数に絶大な力を発揮する【コールドスペル】は、相手が単独であっても変わらず猛威を振るう。

「冬の訪れを拒む事能わず。小娘風情が節理の威を借るような不遜、見るに堪えないわね……けれど」
 不快感も露わに眉を顰め、凍り付いた硝子瓶を片手で握り砕く。サラサラと砂のように振り撒かれた氷血から溢れ出すは薔薇の香気、濃密な瘴気は一種の障壁となって吸血鬼を冷気の縛めから守る。
「世界の巡り、自然の理など。この第五の貴族に扱えない道理は無いわ」
 戦場全域を満たす冷気を統べるが故に、セルマには感じ取れる。
 如何程の備えを以て為したのか、ディアナの取った防御手段は己の瘴気を冷気に馴染ませ合一させる事による掌握。魔杖に煌めく鮮血の石が不吉に脈打ち、毒の染み込むように瘴気を孕んだ冷気の一部は返礼となってセルマに牙を剥く。

「……この程度で参る人間が、吹雪や冷気を操る技を使えるはずがないでしょう。私の冷気を自らの手札とする。その対策は誤りです」
「勘違いされては困るわね。こんなものは手慰み。ここから貴女を屠る手など幾らでもあるわ」
 吸血鬼の驕りは薄れる事無く、それどころか勝利を確信したようでさえある。
 対策が成った以上、冷気がディアナへの有効打となる事は無い。後は第五の貴族たる地力で以て猟兵を叩き潰すだけなのだと。

「では、その前に――撃ち砕きます」
 淡々と、しかし一切の無駄の無い動きで弾を込める。即座に狙いを定め、放つ。
 【砕氷弾】……その弾丸は、体勢を崩していない魔女に放ったところで致命点を捉えるには至らない。この瞬間に関しては、その必要も無い。
 この弾丸のもう一つの特性、それは周囲の気温が低いほど威力が上がるという事。
 【コールドスペル】の極低温に満たされた戦場にその効果は最大限の成果を発揮し、吸血鬼の上半身には大砲の直撃でも受けたかのような風穴が開く。

「っ……こんな、筈が……!?」
「さて。冷気は防げてもこちらは防げなかったようですね」

 ただ冷気を力として振るうのみならず、熟知し、己がものとし、あらゆる面で使いこなす。第五の貴族たる力を以てさえ、冷気の扱いではセルマが上を行ったという話。
 ……仕上げもまた確実に。
 躊躇も容赦も無い追撃は、偽典グリモア……“予知の紋章”を吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『吸血猟姫ディアナ』

POW   :    インビジブルハッピー
【銃口】を向けた対象に、【見えない弾丸】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    バレットパーティー
【血から無数の猟銃を生み弾丸】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    ドレスフォーハンティング
全身を【これまでに狩った獲物の血】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:蛭野摩耶

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイ・ノイナイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暴虐の蹂躙者
「ッ……成程。実に度し難いけれど……些か見誤っていたようね」
 致命傷を受けたディアナは片膝をつき、屈辱と憤怒に顔を歪め吐き捨てた。
 骸の海へ還るには十分過ぎる深手を負いながら、しかしその身から放たれるプレッシャーは寧ろ強さを増していく。
 正確に表すならば“朱殷の魔術師”は此処に再び滅び去った。
 だが、その魂は衣装を一つ脱ぎ去るように本性を露わにする。
「ククッ……あーっはっはっは! あァ、インテリごっこは終いにしよう。木っ端の分際でよくやってくれたよ……!」
 シックなドレスは毛皮のコートに、血塗られた杖は呪わしい猟銃に。纏う気配を一変させた“吸血猟姫ディアナ”が哄笑する。
「あと少しで他の世界にも手が届くとこだったってのに、このアタシにお預け食わせたツケはでかいよ? ――差し当たってはアンタら、一人残さず狩り尽くすとしようかァ!」
 底無しの愉悦と狂気を撒き散らし、血濡れた悪鬼が襲い来る。
 決戦の火蓋は切られた。
空桐・清導
POWで挑む
協力も大歓迎だ

そいつがアンタの本性か
他の世界に、手は出させねえ!

ディアナに[ダッシュ]で接近
銃口を向けられたら、[オーラ防御]を展開
照準が合う前に動きの軌道を変える
これで出来るだけ撃たれる数を減らす
当たったときは[気合]で耐え、突っ切る
そして、懐に入り込む
猟銃なのが仇になったな
此処はオレの距離だ!

光焔を解放して拳を連続で叩き込む
隙は見せねえ、見せれば食い破られる!

ちっ!
猟銃を振り回してきたがった!
取られる距離、向けられる銃口
上等…勝負だ、吸血猟姫ディアナ!
その紋章、砕かせてもらう!!
拳に[力を溜め]、UCを発動
全身に纏うはずのオーラを右手に収束
銃を粉砕しながら、全力の一撃を叩き込む



●決して折れぬ勇気
「そいつがアンタの本性か。他の世界に、手は出させねえ!」
「ハッ、活きの良い獲物は歓迎だよ。その頭、吹ッ飛ばしてあげようか!」
 迷いなく駆け出した空桐・清導(ブレイザイン・f28542)、その拳の間合いに潜り込む疾走をディアナの照準速度は更に上回る。【インビジブルハッピー】、視認叶わぬ必殺の凶弾。
「避けるのが難しいなら、撃たれる前に!」
「あン?」
 真っ直ぐに突っ込んでいた清導の軌道が僅かに変化し、吸血猟姫の照準を掻い潜る。
 急所を狙った射撃、自らの腕に絶対の自負があったからこそ意表を突いた回避によって不可視の弾丸は標的を逸れる。
 展開したオーラの障壁を弾丸への防御ではなく、突進の勢いを殺さぬまま自身の位置を“ずらす”のに使ったのだとオブリビオンが看破するまでに一瞬。必殺を外された怒りと共に再び照準を合わせるのに一瞬。
「ハハハハハッ! 安い小細工だ、くだらな過ぎて呆気に取られちまったよ、なァ!」
「ぐっ……!」
 ディアナが態勢を立て直し適応するまでに僅か二秒。
 だが、命中を重視したが故に急所を外れた一射では清導を仕留めるには至らない。
 三度目の弾丸を撃ち出す前に、遂に清導はディアナの至近まで迫る!

「猟銃なのが仇になったな。此処はオレの距離だ――燃え上がれ! アンリミテッド ウィルッ!」
(隙は見せねえ、見せれば食い破られる!)
 解き放つ光焔は不屈の意思の具現。
 限界など無いと出力を引き上げ、敵に攻撃の機会を与える事の無いよう絶え間なく連打を叩き込む。
「く、ッハ……そんなんじゃあアタシは狩れないねェ!」
「ちっ!」
 射手であれば詰みに等しい状況、凶悪に牙を剥いた笑みを浮かべ覆したのは猟銃による力尽くの殴打。
 猟兵の宿敵、世界の敵たるオブリビオンの中に在って猶“怪物”と称するに相応しい第五の貴族。その怪力は超鋼真紅の防御の上からさえ身が軋む程の衝撃を与え、立て続けの前蹴りで強引に間合いを取り戻す。
 すぐさま反撃へ移る動きに停滞は無い。このまま連射を許せば、先と同じような突破法も通じるかどうか。

「そろそろ終いだ。蜂の巣にしてやらァ!」
「上等……勝負だ、吸血猟姫ディアナ! その紋章、砕かせてもらう!!」

 清導の意思は挫けない。
 迫り来る死の気配にも怯む事無く、発動した【スーパー・ジャスティス】のオーラは彼の右手に収束する。
 敵の攻撃は苛烈、連撃で崩す事もまた困難……ならば答えは一つ。
「蛮勇だね。格の違いって奴を――」
「違うな。これは……勇気だ!!」
「ッ――――!?」
 止まらない。
 捨て身の突撃は不可視の弾丸に貫かれても倒れるどころか、寧ろその勢いを更に増してディアナに迫る。
 咄嗟に防ごうとした猟銃をも粉砕し、金色に輝く一撃は宣言通り“蹂躙の紋章”を打ち砕いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「それが本性か。
まあ、どちらでも変わりはない。
黄泉に送る分には。」
先制攻撃に対し動作を【見切り】。
【オーラ防御】やファントムレギオンで死霊を盾とし
防御を固め一撃耐え反撃する事に集中。

その後【カウンター】、【高速詠唱】で
表の呪い裏の呪詛を発動。
ダメージを【呪詛】で敵に肩代わりさせる。
「ツケを払わせるのは此方の方だ。
勿論、その血(獲物の血)の分も。」

更に死の呪詛で攻撃。
生命力吸収は死を司る冥府へと繋がる闇を纏い封じる。
ダメージを負い回復を封じられ。攻撃も自分の身に返る。
なら次は一撃で命を取りに来る筈と読み、
敵が予備動作に入ったら
自らを炎を纏うフレイムテイルで突き、
ダメージを肩代わりさせ攻撃を遮る。



●怨嗟の応報
「それが本性か」
 豹変したディアナ、突き刺すような威圧感を肌に感じながらもフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は瑣末事とばかりに受け流す。
「……まあ、どちらでも変わりはない。黄泉に送る分には」
「言ってくれるじゃないか! けどアタシは寛容だ、アンタの血にも自慢のドレスを彩らせてあげるよ!」
 【ドレスフォーハンティング】――怨嗟に穢れた犠牲者の血が溢れ出し、吸血猟姫の全身を紅に染める新たな装束となる。
 ベースとなる“第五の貴族”のスペック、それを更に引き上げる“蹂躙の紋章”、更にユーベルコードを重ねての強化。発揮する力は絶大であり、それを阻む事も至難を極めるが……故に攻撃へ移る前には僅かな時間差が生じる。
「阻め、ファントムレギオン。存在を重ね、我が身を隔てる盾となれ」
「健気な努力だ、泣かせるねぇ! さぁ――纏めてブチ抜こうか!」
 その一撃はまさに不条理の具現。防御能力を最大限に発揮した死霊の集合体さえ正面から吹き飛ばされ、大きく威力を減衰した弾丸ですらオーラの障壁を貫いてフォルクを撃ち抜く。
 純白のローブが鮮血に汚れ、術士の身体が揺らぐ。踏み止まる。
「……その一撃で仕留め損ねたのが敗因だ」
 計算通り、まだ身体は動く。初めからこの反撃を見据え備えていた、高速詠唱が結実する。

「冥府の果てにある忌わしき呪詛。我が手に来たりてその死の力と転変の呪い、現世のものに存分に振るえ――其名、【表の呪い裏の呪詛】」

「ガッ……!?」
 畳みかける追撃、自身のそれを跳ね返されたように今度はディアナの身体が揺らぐ。
 紅を纏う吸血猟姫とは対照的に、フォルクの身に纏わりつくは冥府へ繋がる闇の暗黒。
 ある意味では死そのものが彼と外界を隔て、故に命啜るディアナの力もフォルクには届かない。
「ツケを払わせるのは此方の方だ。勿論、その血の分も」
「ハ、このアタシを誰だと思って……!」
 ごぼり、と溢れた血が言葉を遮る。
 それはフォルクの掌握領域に於いて逃げ場を与えぬ、獲物の内側より心身を蝕む死の呪詛の力。

(ダメージを負い回復を封じられ。攻撃も自分の身に返る。なら次は……)
 盤面は定まった。
 故にこそ、それを覆させない為に意識を張り詰めさせる。
「この血はアタシの戦果だ! 勲章だ! 誰であろうと、邪魔なんざ――」
「――いいや、此処で終わりだ」
 魔炎を封じた黒手袋の貫手で自らを突き、そのダメージは呪詛によりディアナへと直接送り込まれる。
 見せたのは二度目。三度目は与えない。
「“黄泉への導”の名を以て。報いを与える――!」
 叩きつける呪詛は最大限、加速した侵蝕にオブリビオンの存在が朽ち果てていく。
 恨みがましく紅の瞳がフォルクを睨み、突きつけた猟銃も崩れ落ちて……ディアナは此処に、再びの滅びを迎えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
こんなイケメン捕まえて、木っ端は傷付くね。『顔だけ』はマトモな連中が多いアンタらから見ても端正の取れた色男だと思うんだが。(顎に手を当てふむ、と)

血から無数の猟銃を生むそうだ。銃ならご期待には添わないとなぁ。
二丁銃で飛んできた弾丸を【見切り】、【クイックドロウ】で撃ち落とす。
ワザと撃ち落とさずに射線を見切ってギリギリで躱すとか、要するに――魅せるぜ。当然だろ?
【挑発】も兼ねてるぜ。おいおい、銃弾費用お構いなしとか。羨ましいね。
俺なんざこうしてるだけで報酬から費用が引かれてるってのに。
充分に踊った後は踏み込み、至近距離からのUC。今度はアンタが踊る番だぜ?

どうよ?今日も俺はサマになってるだろ?



●“死に果てるまで踊り狂え”
「こんなイケメン捕まえて、木っ端は傷付くね」
 様変わりしたディアナの様子も意に介さず、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は肩を竦める。
「『顔だけ』はマトモな連中が多いアンタらから見ても端正の取れた色男だと思うんだが」
「浅いねェ。存在そのもの、前提からして格が違うのさ」
「成程。やっぱりアンタらとの趣味は合わないらしい」
 叩き合う軽口さえ互いの精神を逆撫でするように、敵意の高まりはそのまま相手を屠る為の行動に変わる。

「なァに、今度はアンタ一人に踊れとは言わないさ! ハデに楽しもうじゃないか!」
 哄笑と共にばら撒かれた鮮血は新たな猟銃へと形を変え、さながら無数の狩人から取り囲まれているように銃弾の雨が降り注ぐ。
「へぇ? 銃ならご期待には添わないとなぁ」
 “蹂躙の紋章”により増強された初動、真っ当なユーベルコードでは間に合わない。間に合わないが――。
「“人間”の身でアンタらみてぇな怪物とやり合うのは中々に難儀でな。芸は身を助ける、なんて言うらしいが……」
 双魔の二丁銃が吼える。異能に依らず、しかしそれに匹敵する域にまで磨き上げられた凄絶の技巧が血弾の嵐を迎え撃つ。
 手応えで分かる。体勢を崩せば押し切られる、どころの話でさえ無い。惜しみなく放たれる弾丸の一つ一つが災厄に等しい破壊力を秘め、一度の被弾でもゲーム・オーバーには十分だろう。
 戦場となった大広間は見る影も無い程の破壊に晒され、その只中にあってカイムは皮肉るように笑ってみせる。
「おいおい、銃弾費用お構いなしとか。羨ましいね。俺なんざこうしてるだけで報酬から費用が引かれてるってのに」
「ここで死ねば無用の心配だろう? そんなに羨ましいなら出血大サービスだ、盛大にブチ殺してやるよ!」
 たった一人の獲物を狩りきれない状況が吸血猟姫のプライドを傷つけたか、自らその身を切り裂き振り撒く血はそれまでの3倍。威力は衰える事も無い儘に、生み出される猟銃の数も3倍。降り注ぐ弾丸の数も当然3倍。

(で。生じる隙も3倍ってワケだ)
 それは絶大な力を備えるが故の短慮であり、反撃を受けたところで耐えて圧殺すれば済むという傲慢の発露。
 無論、その隙を逃す筈が無い。
「貴族なんて名乗るだけあって冥途の土産も気前がいい。だが、ダンスの方はちょっとばかり物足りねぇな!」
 手には二丁銃を握ったまま、最短距離で踏み込む。
 ディアナは“朱殷の魔術師”を滅ぼした魔剣の方を警戒したか、それ故に銃に対する警戒は薄い。至近まで間合いが縮まる。

「It's Show Time! ――今度はアンタが踊る番だぜ?」

 秒間111発もの速射を可能とする【銃撃の協奏曲(ガンズ・コンチェルト)】。一発一発の銃声を聞き分ける事は不可能に近く、爆音にも雄叫びにも似た轟音が空気をビリビリと震わせる。
 目を見開いた吸血鬼は毒づき、膨大な魔血の猟銃が溶け消える。これだけ連続で痛打を受けて、能力の制御を維持できる筈が無い。
 自身が繰り出していたような弾丸の嵐を受けながら、オブリビオンは強引に反撃を見舞おうと動き……その無茶に身体が先に耐えられなくなったように弾け飛ぶ。
 僅か数秒と取るか、数秒も要したと取るか。少なくとも出費は甚大、蓄積した疲労やダメージも散々だが……
「……どうよ? 今日も俺はサマになってるだろ?」
 余裕の笑みと共に口にした勝利宣言は、静寂を取り戻した大広間に得意げに響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
果たして見誤っていたのは「些か」で済むでしょうか?
では、試してみましょうか。
私たちとあなた、どちらが狩る側で、どちらが狩られる側なのか……!

弾丸が見えていようがいまいが、関係はありません。
元より見るべきは銃口の向きと指の動き、それだけが見えれば発射される弾丸の軌道を『見切り』回避することは可能です。

吸血猟姫ディアナの指の動きと猟銃の角度から見えない弾丸を予測し、回避していながら距離を詰めます。
言ったはずです。自身の力を疑わない、その傲慢が命取りだと……!

距離を詰め切ったなら【アイシクル・エンド】を。銃剣で『串刺し』にしたのちに、氷の弾丸の『零距離射撃』を撃ち込みます。



●a Critical Mistake
「果たして見誤っていたのは「些か」で済むでしょうか?」
 獣のような身のこなしで距離を取ったディアナを前にマスケット銃を構え直すセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)。平坦な口ぶりとは裏腹に戦意は鋭く、しかし突き刺さるようなそれを受けながらも吸血猟姫は愉悦するように嗤う。
「では、試してみましょうか。私たちとあなた、どちらが狩る側で、どちらが狩られる側なのか……!」
「こっからは手加減ナシだ。吠え面かくヒマくらいはあればいいねぇ!」

 【インビジブルハッピー】――必殺の破壊力を秘めた不可視の弾丸。
 視認できないというのは確かに厄介だが、そこに第五の貴族の単純にして不条理なまでのポテンシャルが合わさる事で脅威は跳ね上がる。
 荒々しくも俊敏な立ち回り、並の相手では反応さえ叶わないであろう照準と発砲の速度。
 ただでさえ圧倒的な身体能力と技量から放たれた弾丸は正確にセルマの急所を狙い……彼女はまるで、不可視のそれが初めから見えていたかのように躱してみせる。
「弾丸が見えていようがいまいが、関係はありません」
「チッ……!」
 即座に狙いを補正し追撃を仕掛けるディアナ。
 まだ、驕りが残っている。
 故に、切り抜ける事は容易い。
 弾丸の掠めた余波に皮膚が裂けて鮮血が散り、構わずセルマは更に踏み込む。

 相対する吸血猟姫と絶対零度の射手、いずれもトップクラスの技量を誇る狩手である。
 如何に有利な位置を取り、どのように狙いを定め、どこを撃つのか。僅かな視線の向きや筋肉の動きから読み取れる次の動作は何か。
 類似した戦闘スタイルを持つからこそ互いに感じ取れる情報は膨大であり、故にこそ両者の差異こそが明暗を分ける。
 即ち――過信と警戒。
 侮り故に相手の動きを測り損なう。必殺の弾丸が標的を捉える事は無く、両者の距離は銃剣の間合いにまで縮まる。

「言ったはずです。自身の力を疑わない、その傲慢が命取りだと……!」
「はン、笑わせる! 意表を突いたつもりで良い気になってるんじゃ――」
「――二度目。これで終わりです」
 マスケット銃の先端に煌めく銃剣の刃が、軽い手応えと共にディアナに突き立つ。

 己が力を過信するが故に、この距離までの接近をむざむざ許した事が一度目の失敗。
 そして……たかが銃剣の一刺しと侮った事が二度目の失敗。
 【アイシクル・エンド】――吸血猟姫が反撃に移るより、絶対零度の引鉄が引かれる方が速い。
 轟音。
「が、ァッ……!?」
 本命たる二撃目、零距離より放たれた氷の弾丸こそがセルマの選んだ“必殺”。
 再び身体の中央に風穴を開けられたディアナは憎悪と憤怒に燃える瞳で絶対零度の射手を睨み……それが最後。
 崩れ落ちた身体の傷が癒える事は最早無く、偽典グリモアの脅威は此処に断たれたのだった。


―― “第五の貴族” 朱殷の魔術師/吸血猟姫ディアナ、撃破 ――

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月25日


挿絵イラスト