「無限の果て」と「希望」の話
●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「さて、無事戦争も明けて数日。改めて、みなよく戦い抜いてくれた」
集まってくれた猟兵たちにねぎらいの言葉をかけたムルヘルベルは、柔らかく笑う。
「オヌシらのおかげで、妖怪たちには誰一人被害が出ることなく勝利できた。
もちろん、最初に身を擲ってくれた、妖怪親分たちも全員生きておる」
その親分からの「依頼」だと、彼は語る。
「依頼人は「碎輝」――最弱でありながら成長し続ける、竜神の親分であるな。
彼曰く、その成長は卑怯卑劣な敵への怒りに満ちた時もっとも加速するらしい。
……逆を言えば、あの時のように正々堂々と戦えば、成長はゆるいということだ」
かつての邪神どもに振るったであろう封印前の力は、想像するに恐ろしい。
しかし意味もなく無限に成長してしまえば、それは危険な事態を招きかねない。
だからこそ、碎輝は明日のために、自ら封印されることを選んだのだ。
依頼内容は、その成長に関してのことだという。
「まあ簡単に言うと、ガス抜きであるな。碎輝と戦ってほしいのだ。
全力で戦い彼を打倒し、しばらく成長しない形態に抑えてほしい。
そのために……なんでも「カッコいい談義」が必要らしいのだが……」
当人曰く、相手がカッコよく堂々としていればしているほど「イイ」らしい。
それが成長を抑えるための話なのか、彼の趣味なのかはまあさておいて。
何をもって「カッコイイ」とするかは、ノリノリで話してくれるそうだ。
「現地では、勝利を祝っていまだ妖怪たちの馬鹿騒ぎが続いているようである。
それに交わるもよし、碎輝と話してもよし……話の内容は偏りそうであるが」
小学生男子マインドを持っていれば、きっと話は合うはずである。
だって、倒された碎輝は小学生形態になるし。
「いずれこの世界にも猟書家、あるいはそれに類するものが現れるやもしれん。
彼らが自衛するためにも、今後も我々の力は必要になるであろうな」
そう言って、ムルヘルベルは本を閉じた。
「かつて、とある小説家はこんな言葉を遺したそうだ。
"生きて苦しみ戦うこと。苦しみと戦いと忍耐こそが、「人間」を生む"と。
……まあそれも見方のひとつでしかあるまい。人生は終わらぬ、ということさ」
その言葉が、転移の合図となった。
唐揚げ
カクリヨ戦後編、今回は碎輝との交流シナリオです。
1章では妖怪たちの宴に混じって楽しんでもいいですし、
猟兵たちを歓迎する碎輝と談義してもいいでしょう。
碎輝はカッコイイ必殺技とかシチュエーションとかに目がありません。
こちらがカッコよく堂々としていればしているほど成長は鈍くなるので、
1章で語り合った内容を2章の戦闘でどれだけ実現できるかが鍵です。
逆に悪者ぶったりすると、碎輝はめちゃくちゃ強くなります。
で、碎輝を倒すと彼はしばらく成長しない「小学生形態」になります。
なんなんですかね小学生形態って、よくわかりません。
まあこんな感じの、爽やかに殴り合うお話です。
プレイングはこのOPが承認されてから2日後の朝まで受け付ける予定です。
第1章 日常
『夜行』
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POW : 力いっぱい先頭で楽しむ
SPD : 賑やかな中ほどで楽しむ
WIZ : 最後尾でゆるゆると楽しむ
イラスト:葎
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●プレイング受付期間
6/5の朝08:30前後まで。
御狐・稲見之守
どの猟兵も大体持っている『決め台詞』
これはカッコいいを語る上でめちゃ大事じゃナ。
これを云うと運命の糸が1点もらえるし。
ワシの場合は『我為す一切是神事也』……
「己がやることは全て神事である」と云う宣言じゃナ。
生まれついてのカミ様ではないがゆえ
こういった見得切りが必要なんじゃ。
『天裂き地割る神業畏み畏み奉願祈るべし』も
「カミ様たる業を畏れよ」といった感じじゃナ。
碎輝殿も良い決め台詞、口上を持ってるじゃろ。
そういった口上を言い合うのも面白いものよ。
昨日より今日、今日より明日。
それでは、そうしてお前さんは何処へ行く?
…なんてナ。
●運命反転で一発逆転だぜ!
「決め台詞じゃナ」
御狐・稲見之守は開口一番、そう言った。
「決め台詞? それってつまり、必殺技とか登場したときに言う台詞ってことか?」
「そうじゃ。どの猟兵も大体持っている決め台詞、これがめちゃ大事なんじゃ。
然るべき時にビシッ! とキメたらカッコいいじゃろ。運命の糸ももらえるし」
「運命の糸???」
後半部分は何を言っているかよくわからない碎輝であったが、理解は出来た。
碎輝が食いついたのは、別のところである。
「猟兵って、みんな決め台詞持ってるのか!?」
「そうじゃヨ? 持っとらん猟兵なんかおらんじゃろ。全員持っとる」
稲見之守の発言もだいぶ偏見に満ちているような気がしないでもない。
しかし、碎輝はそんなことを知らない。気付きもしない。ので食いついた。
「すっげー! やっぱりお前たちがカッコいいのってそういうところなんだな!
ち、ちなみにあんたの決め台詞はなんなんだ? 俺、すっげー知りたいぜ!!」
「そうじゃな……ワシの場合は」
稲見之守はくいっとカメラ映りのよさげなポーズを作り、流し目をする。
「(よそ行きの時のお母さんみたいな気持ち高めの声で)我為す一切是神事也……」
「うおおお! かっけー!!」
碎輝は拳を握りしめ、目をキラキラさせる。
「すごいぜ……! 神っていうあたりがいいな、強そうで!」
「いやお前さんも神じゃろ一応」
「……!!!! そうだったぜ……!!!」
碎輝は世界の真実に気付いたようなシリアス顔で、愕然としていた。
「もしかして、他にも決め台詞ってあるのか?」
「もちろんじゃヨ。たとえば……」
稲見之守、またカッコいい感じのポーズを取る。
「天裂き地割る神業畏み畏み奉願祈るべし――」
「おおおお! やっぱいいな、神ってところが強そうだぜ!」
「いやだからお前さんも神じゃろ」
「……!! そうだったぜ……!!」
「このやりとり二回目なんじゃけど?」
稲見之守は呆れ果てた。成長してない段階の碎輝はこんなもんなのかもしれない。
「しかしだ、ワシを羨んでおるが、碎輝殿もあるじゃろ、いい決め台詞」
「ああ、よく気付いてくれたな! あれは俺が考えたとっておきの決め台詞なんだ」
碎輝、キリッといい顔でポーズを取った。
「うおおおお!! これが俺の最強最大の一撃! ウルトラヴォルテックスラーンス!!」
「ちょっと待てワシそんな台詞使ってるなんて聞いたことないんじゃけど???」
「え? うん、だって今朝考えたばっかだしな!」
「そっちじゃないんじゃけど???」
え? じゃあなんのことなの!? みたいなびっくり顔になる碎輝。
「ワシが……ツッコミをしておるじゃと……!?」
稲見之守は恐怖した。こ、これが天然の恐ろしさ……!
「ってそうじゃなくてじゃナ。あれじゃヨほら、アレ」
稲見之守は言った。
「昨日より今日、今日より明日。あれも立派な口上じゃろ?」
「……あ! ほんとだ!!!」
「お前さん天然でやっとったんかアレ」
「いやあ、考えたことねえからさ! そうか、たしかに口上っぽいよなあ!
なら俺ももっと、いろんな口上とか決め台詞とか、考えてみないとだな……!」
さっそく自作の口上を考えだす碎輝。
そんな無邪気な様子に、稲見之守はふふんと笑みを浮かべた。
「人はそうして、昨日より今日、今日より明日を求めて進化し続けてきた。
それでは、成長するお前さんは、そうして何処へ行く? ……なんて、ナ」
「俺の行く先か……考えたこともなかったな。ずっと封印されてたから!」
「そういうことをあっけらかんと言えるお前さんは、やはり強いのう」
「なあに、そんな俺を倒してみせたお前たち猟兵のほうが、ずっとカッコいいぜ!」
などと言いつつ、しばしオリジナルの決め台詞大会に励むふたりだった。
大成功
🔵🔵🔵
尾守・夜野
「…ほぅ?つまり、喧嘩か祭りかそういうこったな?」
世界の命運かからねぇ
気楽なこった
…それはそれとて負ける気はねぇが
「…まぁよくわからんが、お前さんのいう卑怯って何だ?
俺的には煽るのも不意を打つのも毒でもブラフを張って罠に嵌めるのでも戦術の一つの気がすんだがな
人質も…やられりゃ腹たつがそれこそそいつの取った策の一つ
…無意味な事じゃなく少しでも勝率を上げる為…
対策とらねぇといけねぇ相手と認められてると思っちまうんだよな」
祭り楽しみつつ碎輝に会えたなら聞いてみてぇな
お、すげぇ首伸びた…
回りの妖怪達からのドッキリでちょいと注意力は散漫だが
「ふぅん?」
成る程?
そういう方向の正々堂々なんだな?
●卑怯卑劣の定義
あちこちから陽気な笑い声と、がなりたてるような酔漢の歌声が聞こえる。
音だけ聴けば花見か何かに思えるが、実際の光景はもっと奇妙だ。
ろくろ首がうねうね首を伸ばし、河童と赤鬼が相撲を取っている。
まさにこのカクリヨファンタズムの、ごくごくありふれた祭りの景色。
「どいつもこいつも湧いてるねぇ。まあ大きな戦いが終わったんだしな」
尾守・夜野は妖怪たちの大騒ぎを横目に、碎輝のほうを見やった。
「お前さんも、本当はああやって遊んで回りたいんじゃないか?」
「まあな! けど、せっかくお前たち猟兵が来てくれたんだ。話もしたいんだよ」
「話、ねえ……そんで、正々堂々戦おうってわけだ」
「そうさ。手間をかけて悪いけど、俺の成長を止めるにはそれが必要みたいでさ」
夜野は目を細める。
「いいさ。つまり、喧嘩も祭りも、そういうこったろう?
世界の命運のかからねえ気楽な戦いってのは、俺も大歓迎だぜ」
「へへっ、そうこなくちゃな! 今から腕が鳴るぜ……!」
めらめらと闘志を燃やす碎輝に、夜野は言った。
「……やるからにゃ負ける気はねぇがよ。そもそもひとつ聞きてえんだ」
「ん? なんだ?」
「お前さんの言う卑怯、ってなんだ?」
その言葉に、碎輝は意図を掴みかねた様子で顔をしかめる。夜野は続けた。
「俺敵には、煽るのも不意を打つのも毒でもブラフを張って罠に嵌めるのでも、
先述のひとつの気がすんだがな。人質も……やられりゃ腹立つが立派な策だ」
「それは……たしかにそうかもしれねえけど、もっとカッコいいほうがよくないか?」
「カッコいい、ねぇ」
いまいちよくわからん、と夜野は頭をかく。
「けどよ、こうも考えてみろよ。そういう手を使わなきゃいけねえってのは、
つまり何をしてでも勝利を上げなきゃいけねえほど、相手を認めてるってことだ」
「うーん……?」
「力量を認めあってる、ってのは、正々堂々と言えるんじゃねぇか?」
「うーん……」
碎輝は腕を組み、しばし考え……そして笑った。
「よくわかんなくなってきたな!」
「ははは、俺もだよ」
まわりの妖怪たちのドッキリ攻撃をいなしつつ、夜野は笑う。
「そう言われてみると、そんな気がしねえでもないけどさ。なんていうか……。
こう、自分の持てる手を出し尽くした上で、実力をぶつけあう、っつーかさ!
小手先に頼らず、それを勝つための手段の一つにするなら、大歓迎だぜ!」
「ふぅん? ……そういう方向の正々堂々、なんだな?」
夜野は、意味深に目を細めた。
大成功
🔵🔵🔵
クロム・エルフェルト
アドリブ他歓迎
妖怪さん達に揉みくちゃにされつつ、宴のご馳走を一緒に楽しむ
稲荷寿司を勧められれば、耳ピコピコ尻尾ブンブン
……これ、餌付けされてる?
お酒は、気持ちだけ受け取る。ね
この後も一仕事、しなきゃいけないから
竜神親分。怪我はもう平気?
余裕が無かったとは言え、刀で結構ざっくりとやってしまって申し訳無い
大事無いのなら、良かった……
カッコイイ、か――
明鏡止水
正々堂々、何と相対しても波立たず
在りの儘を映し対処する
それを、呼吸の様に自然に出来るのは
カッコイイと思う、ね
そういえば……
本気を出す時に口調が変わるのも、カッコイイらしい?
竜神親分も、山本殿みたく『~ニャ!』って付けてみるとか
……ん、冗談。だよ
●妖怪たちの大歓迎
「さあさ猟兵さん、どんどん食べて! あんたたちが主賓なんだ!」
「え、ええ……ありがとう」
ニコニコ笑顔で飯や酒を勧めてくる妖怪たちと、圧され気味のクロム・エルフェルト。だが、悪い気分はしない。
彼らが猟兵に向けた感謝はひしひし伝わってくるし、飯はどれも絶品だ。
特にクロムがお気に入りなのは、やはり妖狐のサガか、いなり寿司である。
「これ……美味しい」
表情は普段のクールなものだが、耳と尻尾はピコピコブンブン揺れている。
本当であれば、あの美味そうな清酒もたっぷり呑みたいところだが……。
「お酒は、気持ちだけ……ね」
「ええ~!? 猟兵さんのために仕入れたとっときなんだがなあ」
「このあとも……一仕事、しなきゃいけないから」
酩酊して剣筋が鈍ったとあっては、碎輝にも自分にも失礼この上ない。
クロムは目を細め、「ありがとう」と妖怪たちに言った。
「仕方ないや、じゃあ猟兵さんこっちの油揚げ食べてよ!」
「うちの稲荷も! こいつは隠し味が効いてるぜ!」
「…………これ、餌付けされてる?」
首を傾げつつも、もらえるもんはしっかりいただくクロムであった。
そうこうしていると、同じように妖怪たちにもみくちゃにされる碎輝の姿が。
「お、いたいた! 楽しんでるかい? やっぱ大騒ぎって、最高だよな!」
「……ええ、ありがたくも。竜神親分こそ、怪我はもう平気?」
碎輝はニカッと健康的な笑みを浮かべ、力こぶを作ってみせた。
「余裕がなかったとはいえ……けっこう、ざっくりとやってしまったから」
「なあに、心配は要らないさ! あれは必要な戦いだったし、それに」
クロムとの戦い――一撃必殺を刀ひとつで凌いだ彼女の姿を思い返す。
「あれは本当に見事なもんだった。成長は戻っても、ばっちり覚えてるぜ!」
「……そう。ありがとう、よかった」
けろっとした碎輝の様子に、クロムは胸をなでおろす。
改めて彼を救うことが出来てよかった、という気持ちがふつふつ湧いた。
「ところでさ。あんたは、カッコイイ戦いってどんなのだと思う?」
「カッコイイ、か――」
碎輝の何気ない質問に、クロムはしばし考え込む。
「……明鏡止水」
「メイキョーシスイ? ああ、剣術の極意だな!」
「そう。……正々堂々、何と相対しても波立たず、ありのままを映し対処する。
それを、呼吸のように自然に出来るのは、カッコイイ……と、思う、ね」
「たしかにそうだな! どんな相手にも泰然自若と構えてるのは、映えるぜ……!」
クロムとの戦いを思い出したのか、碎輝はぶるぶると拳を震わせた。
「……そういえば、これは、聞いた話……だけれど」
「? まだ何かあるのか? ぜひ教えてくれ!」
「本気を出す時に口調が変わるのも、カッコイイ……らしい、とか」
「口調……? 喋り方ってことか?」
クロムはこくりと頷いた。
「そう……たとえば竜神親分も、山本殿みたく『~ニャ!』って付けてみるとか」
「ええっ!? べ、別にあいつの喋り方が悪いわけじゃねえけど、それは……!」
碎輝はしどろもどろになる。
「そ、そうだなあ……こ、こんな感じか、にゃ? どうだ……にゃ?」
「……冗談、だよ」
「……!!」
一気に顔が赤くなる碎輝。クロムは無表情でぷるぷる肩を震わせる。
「こ、こんな時に冗談いうことないだろーっ!?」
「ごめん、ね。でも、平和な雰囲気だったから、つい」
「せめて笑ってくれよ! 無表情で言われてもさあ!」
すっかりへそを曲げた碎輝をなだめるのに、しばし時間がかかったそうで。
大成功
🔵🔵🔵
五百崎・零
※戦闘前なので、ややおとなしい
こないだの戦争なぁ……。
正直な話、自分お花見とかお月見とか宴会しかしてない気がするんだよね。って今もじゃん?
自分、貢献できてたんかなぁ…?
って感じだから、碎輝さんと戦えるのちょっと楽しみなんだよね。
何がカッコいいかとかは、正直よくわからない。
自分は楽しく戦いたい。死にたくない。ただそれだけ。
死なないためなら全力で戦うし、死なないためならどんな手段も尽くすよ。
そう、死なないで済むなら自分は片腕だって犠牲にできる。
それがカッコいいのか悪いことなのかは、よくわからないけど。
……ねえ、そろそろいい?
はやく戦いたくなってきた。
楽しく、全力で、やろう。
●待ちきれない戦い
「……はやく戦いたいなあ」
もそもそと食事をしつつ、五百崎・零は呟いた。
これでもう10度目ぐらいだ。そのぐらい、零は戦いに飢えているらしい。
「おいおい、気が早くないか? まだ宴もたけなわってやつだぜ!」
そんな零に、碎輝は呆れた笑顔で言った。
「いやあ……碎輝さんと戦えるの、ちょっと楽しみなんだよね。それに……」
「それに?」
「こないだの戦争は、正直、お花見とお月見と宴会しかしてなくて……あれ?」
そこで零は気付いた。
「……って、今もじゃない?」
「そういえばそうだな。でも、戦うことのほうが好きなのか?」
「うん」
零は屈託なく頷いた。
それを聞くと、碎輝は呆れるのではなく楽しそうに笑う。
「俺と同じだな! 俺も、お前たち猟兵と戦うのは、すっごく楽しいんだ!」
「……いや、自分と碎輝さんは、似てるようだけど違うと思うよ」
零は首を横に振る。
「自分は楽しく戦いたいけど、同じぐらいに……いや、それ以上に死にたくない。
死さえも恐れず自分たちの前に立ちはだかってくれた碎輝さんとはそこが違うよ」
「楽しく戦いたいのに、死にたくない? それも不思議な話だな」
「そうかな? 自分の中では矛盾しないよ」
零は首をかしげる。
「死なないためなら全力で戦うし、そのためならどんな手段でも使うだけだよ。
死なないで済むなら、自分は片腕だって、他のところだって犠牲にできるし」
「なんだそれ、カッコイイな……! リスクつきの必殺技ってことだろ!?」
「え? うーん、そうなのかな……?」
カッコイイ、がピンとこない零は、首を逆方向に傾げた。
「それよりさ……話してたらもっと戦いたくなってきたんだけど」
「いや、それもいいけど、もっとカッコイイ戦い方について語り合おうぜ!」
「えー……? うーん、碎輝さんがそのつもりなら仕方ないか」
零は不満そうに唇を尖らせる。が、なんだかんだ、きちんと付き合ってはあげた。
大成功
🔵🔵🔵
ニィエン・バハムート
今回の戦争では竜神親分を1回殴っただけなので祝勝会的な宴に参加していいものか悩みましたが、また竜神親分をぶん殴れるチャンスなので参加させてもらいますの!
妖怪の皆さん!今日は私の奢りですの!皆さん好き放題飲み食いしてください!(増え続けるメガリスの金貨をバラ撒きながら)
さて、竜神親分さんとの「カッコいい談義」ですが…まあ、結論は決まっていますわね。
カッコいい=竜王、竜王=私。つまり、カッコいい=私。
私が私らしく竜王をやっていればそれが1番カッコいいのですわ!
特に地元で起きた戦争で活躍してた時の私とか!
というわけでシンプルに私の全てをぶつけさせてもらいますわよ!
私の次にカッコいい竜神様!(ド失礼)
●どんぐりの背比べ
「私のほうがカッコイイですわ!!」
「いーやっ、俺のほうがカッコイイね!!」
「私が!!」
「俺が!!」
ぐぬぬぬぬ……と額を突き合わせて睨み合う、碎輝とニィエン・バハムート。
どうやら、議題は「どちらがカッコイイか」らしい。
「竜神親分さん……あなたがカッコイイこと自体は、私も認めていますわ。
ええ、あの戦いの時、私の全力を受け止めきった力は見事なものでした……」
ニィエンは腕を組んで、ついこのあいだの戦いを思い返す。
無限の成長と竜王のぶつかりあい……それはたしかに凄まじかった。
というか、ニィエンの大祓百鬼夜行に関する思い出は、それしかなかった。
「ですが! それはあくまで、私の次にカッコイイということですわ!
一番カッコイイのは、この最強の竜王である私以外にはありえませんもの!!」
「くっ、そのはっきり言い切るところもカッコイイぜ……けどなあ!」
碎輝はビシッ! とニィエンを指差した。
「俺だってカッコイイんだぞ! 一番と言われたら聞き捨てならないからな!
それに、カッコイイ=竜王=自分って、その理屈はめちゃくちゃだろーがっ!」
「そんなことありませんわ。だって、私が一番カッコイイんですもの(ドヤァ)」
「な、なんて自負だ、ちょっと認めてしまいそうになるぜ……!!」
だが、ここは引き下がれない。「カッコイイ」と「一番カッコイイ」は大違いだ。
「私が私らしく竜王をやっていれば、それが一番カッコイイんですの!」
「カッコイイのは否定しねえ、いやむしろ認める! でも一番は譲れねえ!!」
「「ぐぬぬぬぬ……!!」」
……とまあこのように、もう何時間も睨み合っているのだ。
「ま、まあまあおふたりとも、ここは少し食事をして一休みしては……」
「いただきますわ!」
「もらっとくぜ!!」
妖怪が差し出したお寿司をもりもり食べるふたり。睨み合いながら。
「もぐもぐ……妖怪の皆さんも、どんどんお食べください! 私の奢りですわ!」
「くっ、気前いいな! なら俺は、もっといろんな料理を用意しちゃうぜ!」
「この私に対抗するつもりですの? 面白いですわね、二番目の竜神様!」
「違うもんねー! 二番目の竜王なのはお前のほうだもんねー!」
「なんですってー!?」
「なんだとぉー!?」
まるで悪ガキのようにいがみあうふたりに、妖怪たちは呆れ返った。
それも、お互いに相手をリスペクトしているからこそのものなのだが。
どうやらこの決着は、続く戦いに持ち込まれることになりそうだ。
大成功
🔵🔵🔵
エルス・クロウディス
いやー、まさか碎輝とこんな談義をすることになるとは。
予想だにして居らなんだわ、このままさよならは残念だったから嬉しいんだけどさ。
しかし、カッコいいとは何ぞや。堂々としているほどいいと。
お互い雷使うわけだし、やること出来ることとしては共通点が多い気がするわけですが。
必殺技……俺たちで言うとUCが明確にそれだよな。
碎輝とやりあったときは高速連撃貰ったね、ありゃ中々凄かった。
今回はそっちのエネルギー利用して特大火力ぶちまけたけど、噛み合わせて高速戦闘とか、強力な一撃のぶつかり合いとか、そういうのいいと思う。
戦闘後にやるじゃねーかお前もなは鉄板ですよ。
あれ、この場合相討ち?
碎輝さんどう思います?
●カッコイイとはなんぞや
「いやー、まさか碎輝とこんな談義をすることになるとはなあ」
エルス・クロウディスは、しみじみと趣深い顔を浮かべた。
「あのままさよならは残念だったから、嬉しいんだけどさ。予想してなかった」
「へへっ、俺もまさか生き残れるとは思ってなかったからな。嬉しいぜ」
碎輝の屈託ない笑顔を見ていると、エルスも口元がほころんだ。
「で、カッコイイとはなんぞや、だって? 堂々としているほどいいと?」
「ああ、そうだな。お前はカッコイイってなんだと思う?」
「そうだなあ……」
エルスは顎に手を当てて考えた。
「お互い雷使うわけだし、やること出来ることとしては共通点が多いよな。
だから戦い方っていうより……必殺技、かな? ユーベルコードがそれだよな」
「ああ! 俺も一撃必殺の戦い方が一番得意なんだ。よく知ってるだろ?」
「まあな。……色んな意味で」
エルスは曖昧に笑う。脳裏によぎるのは先の戦争での立ち会いだ。
「あの時の高速連撃はなかなかすごかった。一瞬負けたかと思ったよ」
「でも、お前たちは俺に勝ってみせた。だからこそ、大祓骸魂を倒せたんだ。
俺、そんなお前たちのことをリスペクトしてるんだぜ。だから知りたいんだ」
碎輝は目を輝かせた。
「戦争とか、そんなの関係ない、お前たちの純粋なカッコイイ戦い方を!」
「ははは……うーん、そうだなあ……高速には高速で、激しくぶつかりあうとか?
あとは、強力な一撃のぶつかり合いとか……同じ力で戦うのはカッコイイよな」
「おおっ、いいな! 俺たちなら雷属性同士でぴったりじゃんか!」
「で、戦ったあとは「やるじゃねーかお前もな」ですよ。鉄板だろ?」
「うんうん! 死力を尽くしてお互いを認め合う……カッコイイぜ!!」
碎輝に犬の尻尾があったら、ブンブンと振っていることだろう。
「……あれ? でもこの場合相討ちになってね?」
「それはそれでカッコイイな! でもこう、お互いに背中を向け合う形ですれ違って……」
「ああ、片方が先にどさりと倒れるみたいな? それも王道だなー」
「だろ!? だろ!?」
男たちはしばし、カッコイイ戦いのあるあるで盛り上がった。
大成功
🔵🔵🔵
セツナ・フィアネーヴ
【WIZ】
戦争中一度戦ったが……こうして話ができるとは
『今まで実際敵として戦った相手とまた会う機会なかったですもんね…』
宴はほどほどにして砕輝と話をするぞ
主観が入りがちだから「どういうものが卑怯卑劣と思うか」は確かめておきたい
『後は雷使いとしてのお話も聞きたいところです』
後私ができる事は……正直「衰退の短剣」「舌禍の笛槌(ピコハン)」「忘却の大鎌」のような
災禍の武器を出して見せるか、あるいは武器談義ぐらい……か?
ちなみに私は慣れているのは槍(ランス)で、他もそこそこ扱えるが
格好いい思うのはやはり大剣だな
『……それ、あの人(師匠の事)の武器が大剣だったからですよね?』
※アドリブ歓迎です
●数多の武器
「……碎輝よ、君はどんなものを卑怯卑劣と感じるんだ?」
「え? どんなものを、かあ……」
セツナ・フィアネーヴの質問に、碎輝はうーん、と腕を組んで考え込む。
「……言われてみると難しいな! なんというか、こう、アレだよ。
純粋な戦い以外で決着をつけようとするっつーか、なんというか……」
「ふむ……つまり脅しをかけたり、言葉で力を奪ったり、だろうか」
「ああ、そういうのはスッキリしないな。多分俺は成長を続けると思う。
お前たちの事情を看破してみせたように、俺は頭(こっち)も成長するんだ」
碎輝はこめかみをとんとん、と叩いた。
「だからそういう奴は、その場で成長を続けて打開策を編み出しちまうぜ。
邪神と戦ってた頃はそれでよかったんだけどなー、成長し続けるとまずいんだ」
「カタストロフ……というやつか。なかなか難儀なものだな……」
同じ災厄の力を武器とするセツナとしては、複雑な心境のようだ。
「しかし、だということは……搦手のたぐいはアリ、ということだろうか?」
「やり方によるから、なんとも言えないぜ。付け焼き刃なら、むしろぶっ倒しちまうしな!」
「ふふ……なんとも不敵な言葉だ。だが、そうだな」
セツナは、碎輝との激しい戦いを思い返した。
「成長を続けた君なら、たしかにそうして道理を無理でねじ伏せてしまうだろう。
私としても、騙し討ちや奇襲よりは、正面切った戦いのほうが得意なのでな」
「やっぱりそれが一番わかりやすいよな! ところで……」
碎輝はセツナをじろじろと見る。
「なあ、あの時使った以外にも、どんな武器や戦い方を使うのか教えてくれよ。
猟兵ってのは、いろんな戦い方があるからな。お前もそうなんじゃないか?」
「私か? そうだな、私はこのように災禍の武器を扱えるが……」
セツナが取り出した様々な武器を見て、碎輝は目を輝かせた。
「うおおお! どれもカッコイイじゃないか! もっとよく見せてくれ!」
『すごい食いつきですねー。やっぱりロマンなんでしょうか?』
「私としてはピンとこないな……」
アリシアの言葉に、セツナは苦笑する。
「私としては、大剣が一番カッコイイと思うのだが……」
『……それ、あの人の武器が大剣だったからですよね?』
「あの人!? あの人って誰のことだ? もしかして師匠とかか!?」
「ああ、まあ……この話、長くなるぞ?」
「いやいや、ぜひ聞かせてくれ! お前の使う武器と、お前自身の話を!」
碎輝はぐっと拳を握りしめた。
「一度は俺を倒したお前たちなんだ、その過去もきっとカッコイイぜ!」
「……褒められているのだろうかな、これは」
『そう考えておいたほうがいいんじゃないですか? 悪気はなさそうですし』
セツナは呆れたような、くすぐったそうな、複雑な表情で笑った。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『竜神親分『碎輝』成長電流形態』
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POW : 成長電流放射
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD : 黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【感電】の状態異常を与える。
イラスト:108
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「……さて、そろそろ始めるとするか」
宴もたけなわといったところで、碎輝は立ち上がった。
愛用の槍を構えると、全身からバチバチと成長電流が溢れ出す。
「お前たちのカッコイイ戦いを、今度は言葉じゃなく力で俺に見せてくれ。
そしてまたあの時みたいに、俺の無限の成長を乗り越えてくれよ!
昨日より今日、今日より明日……俺たちの戦いは、終わらないんだからな!」
倒すべき悪のための試練でも、憎悪や利害からくるものでもない。
明日を迎えるために、純粋に彼我の力をぶつけ、比べ合う。
まさしく宴のクライマックス。さあ、派手に戦ろうじゃないか!
●プレイング受付期間
6/10 08:30前後まで。
御狐・稲見之守
我為す一切是神事也。
天裂き地割る神業畏み畏み奉願祈るべし。
(化術、符を掲げ横に一閃)――変身。
――モノノ怪『神、降臨』である。
ふふ、こういうやんちゃ坊主相手では『血が騒ぐ』というもの。
昨日より今日、今日より明日……
その成長を乗り越え『行こう無限の果ての向こう側へ』と。
電撃を[結界術]で耐えながら
槍はあえて受けることで彼奴を掴まえてやる。
『そいつを待っていた』――[生命力吸収]にてその力を喰らい
[UC魂喰らい]にて彼奴の成長を糧に、さらにその先へ。
それでは向こう側を『教えてやろう』
喰らうた力を爆砕符へと注ぎ、彼奴に叩き込んでくれる。
『これで終わりだ』
●いざ、戦いに点火(イグニッション)せよ
「――我為す一切是神事也」
童女姿の御狐・稲見之守は、符を扇のように構え、口元を隠した。
そして狐めいてすっと目を細め、対峙する碎輝を見据える。
「天裂き地割る神業、畏み畏み奉願祈るべし……」
「……!」
碎輝は身構えた。すると稲見之守は符を天高く、カードのように掲げ……一閃。
「――変身」
「!!」
稲見之守を包み込むように妖しの炎がイグニッションした。燃え尽きた符だ。
そして稲見之守は、もう片方の手で幕を払うようにして炎を吹き飛ばした!
「そ、それは……!」
「――モノノ怪神、降臨である」
稲見之守は神々しくも禍々しいオーラを纏う。その姿は大人のもの!
「それは……ずるいだろそれ!!!!!」
「ふふふ。お前も同じことは出来るだろう? 楽しいぞこれ」
「うおおおやってやる! 変……身ィンッ!!」
碎輝がポーズを取ると、ドガァン!! と稲妻が彼に落ちた。
すると碎輝の姿が巨大な黄金龍と化し、全身から成長電流が迸る!
「こういうやんちゃ坊主相手は血が騒ぐというもの。そうこなくてはな」
カミと神が睨み合う。
「昨日より今日、今日より明日、その成長を乗り越え―行こうではないか、無限の果ての向こう側へとなッ!」
『ウオオオオオオッ!!』
"点火"された戦いの炎が燃え上がり、両雄……激突!
ちなみにここまでで、稲見之守が得られた運命の糸は1点のみだ!(?)
ドドウッ!! と濁流めいて迸る電撃を、稲見之守は結界で受け流す。
続けざまに振るわれた槍――否、爪。龍の爪を、稲見之守はあえて受けた。
爪が稲見之守の腹を串刺しにするが、これはあくまで幻が見せたもの。
土手っ腹を貫かれた稲見之守の姿が陽炎めいて消え、代わりに炎が絡みつく。
それはまるで妖狐の持つ尾のようにして、ぎゅるりと爪を縛り付けた!
『クッ! わざと受け止めたのか……!』
「そういうことだ。いわば、"そいつを待っていた"というところか」
離れた場所に「出現」した稲見之守がくすりと笑い、収奪の力を強める。
バチバチと荒れ狂う成長電流が、なんと逆に稲見之守に吸い込まれていく!?
『こ、これが……大祓骸魂を倒した、お前たちの力……!!』
「然様。ま、我の場合は鈍ら刀が手柄を持っていったし、それに――」
『きっと、あの邪神をやっつけるぐらいカッコいい戦いをしたんだよなッ!?』
戦いの最中だというのに、碎輝は思わず食いついた。
「え。あ、いや……ああ、うん。そうだな、そうそう。マジそれだ」
『なんで急に適当になったんだ!?』
「いやもうね、我超カッコよかったから。いや見せられないの残念だなー」
クラッシュした。だってあんなギャグみたいなことやってたら仕方ないじゃんね!
因果応報というやつである。ラスボス相手にネタかますからそうなんだよ!
「あー、おほん。それはさておきだ、教えてやろう向こう側というものを」
稲見之守はだいぶ強引にシリアスモードに戻り(戻りきれているとは言っていない)、炎を使って吸い上げた魂の力を爆砕符へと注ぎ込む。
危険なまでの妖力に、符は発電機関めいて激しく燃え上がった!
『お、俺の力をそこまで取り込んでみせるなんてな……!!』
「――これで終わりだ」
KRAAAAAAAAAAAAACK!!
成長電流は稲見之守の妖力によって「成長」し、本体へと叩き返された。
まさしく、クリティカルアタック。いわばダメージは二倍!
真昼を思わせる光のなか、碎輝は吹き飛ばされ変身を解かれた。
なお、ここまでで稲見之守が稼げた運命の糸は、やっぱり1点である(?)
大成功
🔵🔵🔵
五百崎・零
※戦闘中はハイテンション
ああ、やっと戦える。
さあ、楽しく戦おう!!ひひ、ひゃははは
中距離から銃による射撃
一定の距離を保ちつつ、相手の出方を伺う
どんどん強くなっていく碎輝に興奮。笑いがとまらない
このままじゃオレ負けるんじゃない?
ヤバいな。ハハ、死んじゃうかな?
ヒヒッ、あー死にたくない死にたくない
だって…死んだら戦えなくなっちゃうもんなぁ?
クク、アハハハハハハハ!
じゃあ、こっちも全力見せてやんねぇと!
碎輝との距離を一気に詰める。攻撃されても気にしない
自分の片腕が吹っ飛ぶのと同時にUC【魂式「終ノ雷」】を発動
目には目を、歯には歯を、雷には雷を
あー、いってぇ
でも、お互い死んでなかったらまだ戦えるよな?
●戦場の愉悦
五百崎・零という少年は、破綻している。
死にたくない、だから全力で戦う――そして全力で戦いを楽しむ。
矛盾した論理をねじ伏せるのは、デッドマンとして持ち得た戦闘能力がゆえ。
それはある意味で、一切の因果因業から解き放たれていることでもある。
だから零も碎輝も、まるでスポーツを楽しむかのように爽やかに笑っていた。
そこに、憎悪だとか憤懣だとか、余計なものは一切なかったから。
「――ヤバいな」
言いながらも、零は眼を見開き、極限のスリルを堪能していた。
迫りくる黄金竜と、降り注ぐ電撃。それは撃とうが斬ろうが消せやしない。
無限の成長とは、下手な様子見は逆に火に油を注ぐということ。
そしていま、碎輝の成長は零を超えつつあった。
「このままだとオレ、負けるんじゃないか? ひひ、ひゃははは」
『だってのに、楽しそうに笑うんじゃねえかッ!』
稲妻を纏う爪が空気を焦がした。零は、かろうじてジャンプ回避する。
だがそこに、尾の一撃! これは避けきれず、受け身をとるしかない。
別れを告げたばかりの地面に、再び強烈な抱擁をかますハメになった。
「ヒヒッ、ハハハ! ああ、死にたくない死にたくない!」
零は破綻している――戦いを楽しみたいのに死にたくないという。
だが、その死にたくないという理由も、ある意味で矛盾していないもの。
「だって、死んだら戦えなくなっちゃうもんなァ!」
零はどこまでも、純粋に、戦いを楽しみたいだけの「子ども」だ。
次の攻撃が来る前に、零は逆に碎輝へ一気に距離を詰めた。
『来るか? そうこなくちゃなッ!!』
黄金竜は稲妻を口蓋に集め、超高温のレーザーを吐き出した。
零は片腕を盾めいてかざし攻撃を防ぐ――というか、差し出す。
「目には目を」
腕が吹き飛んだ。だがエネルギーは彼の全身を駆け巡っていた。
「歯には歯を――雷には、雷だァッ!!」
零はもう片方の腕にエネルギーを集め……槌の如く、叩きつけた!
すさまじい閃光と轟音が、あたりを満たした。
『がは……ッ!!』
捨て身の一撃を食らった碎輝は、砕かれた鱗から血を流してたたらを踏む。
零は満身創痍だ。だが、笑みを浮かべている。
「あー、いってぇ……でもお互い死んでないな。なら」
鮫のように。
「――まだ戦えるよな。碎輝!」
少年は破綻していた。
だが、それゆえに、彼はどうしようもなく……強いのだ。
大成功
🔵🔵🔵
エルス・クロウディス
うん……そうだな、それじゃ
「全部で行こう!」
こうも真っ直ぐ来られるとなー、こっちも全力で応えたくなる。
たとえそれが、こちらに厳しいことであっても……!
黒髪青眼の真の姿になり、骸装:真頼を二刀へと変成。
黄金竜神にはUC落袈勢で対応。
それも短距離・短間隔での離脱と急速接近によるH&Aを繰り返す。
その過程でUC燐導による下地の整え。
補助を受けて骸装:壊態による雷を纏った球状範囲攻撃で、超電竜撃滅衝を相殺して散らす。
最後に二刀の片方を地面と水平にして手放し、帯電した大地と振り抜いたほう片方の剣で疑似的なレールガン。
を、囮にして、それの勢いを利用した落袈勢で、真正面から全力の一閃。
体、持つといいなー。
●まっすぐな心に応えて
戦術的に考えれば、もっと合理的で効果的な判断はあるように思える。
だが、エルス・クロウディスはあえて、そうすることにした。
「――全部で行こう」
『骸装:真頼』を二刀に変え、黄金竜と化した碎輝と壮絶な攻防を続ける。
碎輝が稲妻で範囲攻撃をしようとすれば、エルスは距離を詰めて斬撃を撃つ。
龍の爪が応じれば、それが届く前にギリギリの反応で後ろへ飛び退る。
そして攻撃が空を切った瞬間、またあえて距離を詰め、黄金の鱗を切り裂く。
獲物を狙う猛禽のような、付かず離れず、だが逃さずのヒットアンドアウェイ。
常に意識を張り巡らせ、神経を尖らせ、あらゆる行動を読み、先んずる。
それはエルスの全身と心身に、極限の緊張状態を強いるもの。
言うなれば、深海で酸素ボンベもなしに無呼吸で泳ぎ続けるているも同然。
もっと楽で、かつ確実に仕留めるならば、やりようはいくらでもあった。
――しかし。
『そのスピード、そして判断力! さすがだな……そうこなくちゃ!』
碎輝はエルスの技量と精神の強さ、そして心意気を察し、感服した。
無限の成長に、一切の搦手なしに全力で応ずる。
まさしく戦士としての敬意。それが、たまらなく嬉しく、心地よい。
『吹き飛ばさせてもらうぜ――この俺の、一撃必殺の力で!!』
バチバチと稲妻が碎輝に集まる。その一瞬の隙を、エルスは逃さない。
『骸装:壊態』が雷を纏い、球状と化した攻撃が――成長電流と、激突し相殺!
「身体、持つといいな……ッ!」
エルスは二刀のうち片方を、擬似的なレールガンとして撃ち出した。
碎輝はこれを読んでいる。超音速の刃を、爪で弾く!
そこまでが、エルスの仕込みだ。
「悪いね。囮だよ」
エルスは、時間差で斬撃を繰り出していた。
流星のようにまっすぐと、一切のてらいなく、全力の一閃を。
碎輝の黄金の鱗がばっくりと裂け、すさまじい量の血が噴き出す。
『……ッハハ……!』
碎輝は笑った。打ち負けたものだけが見せる、爽やかな笑みだ。
これこそが猟兵――大祓骸魂を討ち、ふたつの世界を救った勇者の力。
無限の成長を続ける竜神をすら超える力に、碎輝は未来への希望を感じた。
彼らならばどんな敵をも打ち倒せる――それが言葉ではなく、心でわかったから。
大成功
🔵🔵🔵
尾守・夜野
「ははっ!愉しいなぁ!全く!」
破壊大好きな俺様が人格としては表に出てるぞ
裏で考えたのは腹黒なボクだが
自由帳に書いてあるんだが?
まぁ俺様が戦えるなら文句はねぇけどさ
先の会話で奴さんの考える卑怯ってのはわかった
わかった上でUCを使う
成長しようと攻撃その物は変わらん
耐性つけとけば強くなろうと受ける事自体は可能だろう
いつまで持つかは不明だが
「見てただろ?
んなものは効かねぇよ!
…こっちで決着つけようぜ」
タイマンでの殴りあいをジェスチャーで示そうか
喧嘩にゃ必要ねぇし黒纏や身代わりの宝珠とか卑怯に引っ掛かりそうなのはこの段階で外し、近くの妖怪にでも預かって貰う
刻印とか内蔵するのは流石にやらんがな
アドリブ歓迎
●喰らい尽くす
空から降り注ぐ稲妻が、尾守・夜野の身体を鞭のように打ち据えた。
弱い状態から強くなり続ける電撃は、最初こそ耐えられるがいまは違う。
並のオブリビオンであれば、この一撃で吹き飛ばされかねない熱量だ。
――しかし、夜野は耐えていた。
無効化したわけではない。ダメージはたしかに通っている。
"その上でダメージを回復させ、そして立っている"のだ。
「……ハッ。ハハハ!」
夜野であり夜野でない人格(モノ)は、楽しそうに笑った。
「愉しいなぁ、まったく! 腹黒なボクにゃもったいねえや!」
破壊欲求に染まった双眸をぎらぎらと輝かせ、夜野はどんっ!! と接近した。
踏みしめた大地が砕け、土埃が舞う。迎え撃つは黄金の龍。
『俺の電撃を真正面から受けて倒れないか――いや、違うな』
碎輝の口元に、にやりと笑みが浮かんだ。
『俺の電流を、「食った」な。お前!』
「そういうことだ、さあこちらの番――」
『そうはいくかよッ!』
碎輝はバチバチと稲妻を帯電した爪で、大地ごと夜野を薙ぎ払った。
たくましい身体がばっさりと斬り裂かれ、血が噴き出す。やはり直撃。
近づこうとしたぶんの力が反発力に変わり、夜野はごろごろと地面を転がる。
……そして、立ち上がる。
「これも抗体完了だ……なあ、見てただろ?」
受けたエネルギーを回復力に転換した夜野は、くいくいと手を曲げた。
「んなもんは効かねえよ。こっちで決着、つけようぜ!」
ダメージから生成した邪魔なアイテムを、重りめいて振り払う。
碎輝はその言葉に目を細め、人間態へ戻り……自ら、まっすぐ挑んだ!
『なら教えてやるぜ、俺のほうが強いってことを!』
「抜かせよ。その成長をも超えるのが、俺様だッ!!」
なんの策も異能もない、純粋な殴り合い。
互いに拳をぶつけ、防御し、弾き――そしてクロスカウンター!
「「がは……ッ」」
顔面にいいのを食らったふたりはよろけ、後退り……夜野が先に復帰する。
「おらァッ!!」
「ッッ!?」
追い打ちの右ストレートが、碎輝の顔面に叩き込まれた!
「俺様が強いのは、装備があるからとか、ユーベルコードがあるからじゃねえ」
鼻血を親指で拭い、夜野は笑う。
「俺様が、俺様だからだよ」
竜神を前にしてなお揺るがぬエゴイズム。
地面をバウンドした碎輝は、感服の笑みを浮かべ……ファイティングポーズを構えた。
「だったらやろうぜ。まだまだだ! まだ俺は倒れてないからなッ!」
夜野はぎしりと笑い、そして今度は彼の方から踏み込んだ。
世界を救い、かつて守った者同士のものとは思えない、泥臭い戦い。
けれどもそこには、怒りも憎しみも、因果も所以も一切ない。
男たちはただ純粋に力をぶつけ合い、そして――笑っていたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
セツナ・フィアネーヴ
ああ、戦ろうか
最初は短剣、大鎌、笛槌(ア『いやピコハンですよね?』)等
『災禍の武器』を複数出すぞ…今回はUCではなく単純に武器としてだ
……流石に扱いの難しい力を「自分で扱えない武器」の形にはしないぞ…?
ただ個々に対しての対応は早い筈だから深追いはせず潔く切り替える
そして相手UCにはケラヴノスを呼び、その力で勢いづく前に抑え込む
『そこにわたしの光での目潰しです!』
隙を作り、ケラヴノスを飛び降り『断絶の大太刀』を構えUC
君のおかげで使う踏ん切りはついた
今は師の技に届かずとも、いつか届かせてみせる
……行くぞ。これが、今の私の【模倣・一刀両断】だ……!
(当然殺さない様にはするぞ)
※アドリブ他歓迎です
●今はまだ届かずとも
短剣を突き出す。黄金の鱗とぶつかり、火花を散らし、そして弾かれる。
追い打ちの電流を短剣で切り払い、セツナ・フィアネーヴは大鎌を構えた。
リーチの長さを活かし、電撃を刃に集めて熱量に変え、さらに一閃。
龍の爪と歪曲した大鎌とがぶつかりあい、また斥力を生み、両者を突き放す。
セツナは反発力を両足でこらえ、次の武器を取り出す。災禍の武器の数々を。
普段ならユーベルコードとして力の焦点具に活用するが、今日は違う。
純粋な武器として、その力を具象化させ、振るうのだ。
一合ごとに、碎輝は物珍しい「災禍の武器」への適応力を増していた。
これこそ無限の成長――成長とは力や身体の物理的成長だけを意味しない。
精神や知性も成長し、あらゆる攻撃への対応力を獲得していくのだ。
『次から次へと、面白いな! その武器の力は!』
碎輝は楽しそうに言いつつも、成長電流を己の身体に集めた。
『けど――こいつで終わりだ。その武器ごと、全部吹き飛ばしてやるッ!!』
成長とともに高まった熱量が、膨大な破壊力に変換され、放たれる。
セツナはこの一瞬を待っていた。竜神機ケラヴノスを召喚!
「受け止めろ、ケラヴノスッ!!」
機神は稲妻を受けながらも、碎輝の巨大な身体を膂力で抑え込んだ。
『ここで、わたしの出番です……!』
さらにアリシアが閃光を放ち、碎輝の視界を一瞬だけ奪う。
一瞬。ほんの一瞬だけ、碎輝に隙が生まれた。
「――君のおかげで、使う踏ん切りはついた」
飛び降りるセツナが構えるは、『断絶の大太刀"ラズルーカ"』。
かつて師が振るっていた漆黒の大剣を、セツナは決意とともに握りしめる。
「今はまだ届かずとも、いつか届かせてみせる――師の技へ!」
『……そういうことか……!』
碎輝は防御姿勢を取ろうとするが、ケラヴノスがそれを許さない。
だが、彼は笑っていた。セツナの決意と覚悟が、ひしひしと感じられたからだ。
「剣として振るうだけならば、今の私でも――これが! 今の私の一撃だッ!」
師の技を真似ただけの「模倣」。
しかしてそれは、あらゆるものを「切断」する超絶の一撃となる。
ゆえにその技の銘は――「一刀両断」!
空間を、あらゆる物体を切断せしめる斬撃が、黄金の龍を叩き斬った。
セツナの信念と決意を乗せた一撃は、成長した竜神をすら打ち据えたのである!
大成功
🔵🔵🔵
ニィエン・バハムート
そっちがどんどん成長していくならこっちは端っからMAXですの!!
アンドヴァリ起動でメガリスパワー3倍!そして私の中の「何か」の【封印を解く】ことで最強の【怪力】を獲得!
その獲得した怪力まかせに地を蹴り加速し【先制攻撃】を竜神親分にぶち込みますわ!スピードはパワーで代用できるんですのよ!!
相手の攻撃はメガリスの試練を幾度も越えた私の【激痛耐性】で耐え、とにかく防御なんて考えず【蹂躙】します。
相手の成長が私のMAXを超えそうになったら、私の「真なる竜王になる」という夢にかけた【情熱】で私も【限界突破】し、私だって戦いの中で成長するぐらいはできるのだと2番目にカッコいい人に叩きつけてやりますわよ!
●ナンバー・ワン
二番では意味がない。
一番カッコいい竜王でなければ、ニィエン・バハムートは納得できない。
だから、彼女は意地を見せた。戦う理由はそれだけだ。
認められたいとか、純粋に戦いを楽しむだなんてものですらない。
ひどく子どもじみた、15歳の少女らしい――それにしては随分過激な戦いぶり。
「そっちがどんどん成長していくなら、こっちは端っからMAXですの!!」
『おもしれぇ、ならその限界を俺は超えてやるぜッ!!』
大地をも碎く怪力と、韋駄天をも超えるスピード。
相反するふたつの竜の力がぶつかりあい、ぐわんぐわんと空間を揺らした。
パワーではニィエンに分がある。しかし、スピードなら碎輝が上だ。
ニィエンの一撃に対し、碎輝は十の攻撃を繰り出し、拮抗させる!
「スピードなんて、パワーで代用できるんですのよ!!」
『だったら、パワーだってスピードで補えるぜ!!』
力任せに大地を踏み砕くという至極単純な方法で、ニィエンは加速した。
対する碎輝はスピードをさらに増大させることで一撃に対して十を返す。
爪と爪、尾と尾、角と角、稲妻と王気――ぶつかり合うたびに空間が揺らいだ。
このあやふやなカクリヨという空間が歪み吹き飛びそうなレベルの激突。
もしも妖怪たちが不用意に近づけば、バラバラに吹き飛ばされているだろう。
攻撃が直撃せずとも、その余波だけで常人は耐えられない。
そういう域の戦いを、かたや楽しげに、かたや涼しげにこなしていた。
『さあ、どうした竜王! 俺の成長にも追いつけないのかッ!?』
徐々に激突は拮抗から優勢へ傾いていく……ニィエンは奥歯を噛み締めた。
碎輝のように爽やかとはいかないが、それはたしかな笑みだ。
「誰に向かってものを言っていますの、二番目にカッコいい竜神様!!」
それは強がりであり、鼓舞であり、
「私だって、真の竜王になる女――戦いの中で成長ぐらい、してみますわッ!!」
そして、世界で……いや、あらゆる世界で一番カッコいい竜王!
『なッ!?』
パワーもスピードも、どちらもニィエンが上回った。
「おりゃああああああッ!!」
裂帛の気合とともに繰り出された一撃が、碎輝の鱗を砕き吹き飛ばす!
『が……はッ!! は、はは……こりゃあ、認めるしかねえな……!』
「……当然ですわ。最初から結果は、変わっていませんことよ」
流れ落ちる血を拭い、ニィエンはなおも不敵に笑う。
たとえそれが強がりであれ、なんであれ。
立ち続けたのが彼女であり、上回ったのが彼女であることは変わらない。
大成功
🔵🔵🔵
クロム・エルフェルト
接地のつもりで鋼糸を刀に巻いたけれど
……無粋、だね
小細工は興ざめというもの
解き袂へしまう
轟雷を恐れず、▲戦闘知識で攻撃を紙一重で躱し
擦違い様の▲カウンターを主軸に戦う
冷静さは欠かずとも手は痺れ、旗色は劣勢
そろそろ。見せる、ね
もう一つの"カッコイイ"
UC発動
往日より現下
現下より彼方
明鏡止水を一足飛びに
遥か世ノ涯テまで
――無念無想。紛い物で佳ければ、成長の果てをご覧になって。
突進の始動、その拍に差込む縮地(▲ダッシュ)で肉薄
▲先制攻撃で先手を頂きましょう。
御免なさいね。貴方の反応速度は尋常ではないけれど
"待ち切れなかった"ものだから。
成長を凌駕する▲早業の一閃で四肢を
返しの一閃で翼を▲切断するわ。
●「無限の果て」と「希望」の話
紙一重に攻撃を躱し、轟雷さえも斬り捨て、一撃必殺を避けて攻撃を返す。
まるで薄氷の上を踏み渡るような攻防は、クロム・エルフェルトを疲弊させる。
当然だ。奇跡の力を使う猟兵とて、この世の存在であることに変わりはない。
打ち合うたびに身体は疲労し、ギリギリで躱した攻撃のダメージは骨を軋ませ、
極限の集中を続ける精神は徐々に磨り減り、集中力は秒単位で削れていく。
手は痺れ、呼吸は乱れ、技は鈍くなり、精彩を欠き、それがさらなるダメージを生む。
冷静さを失っていないだけ、クロムは一流の戦士と言えよう。
――旗色は劣勢。
そんな中で、クロムはしかし、あえて正眼に剣を構えた。
それだけで空気が張り詰めて、誰もこの戦いには手出しできなくなる。
「……そろそろ。見せる、ね」
――もうひとつの"カッコイイ"を。
この上でなお、出し物があるという。
碎輝は嬉しそうに目を細め、ぐるぐると喉から唸り声を漏らした。
クロムの雰囲気が、一変した。
『なるほど……そいつが、"明鏡止水"か……!』
クロム自身にしてみれば、"それ"はまだ頂きの途中、まがい物でしかない。
真の無念無想に到達した達人ならば、こんな雑念など抱かないだろうから。
けれどもそれは紛れもなく、常人では垣間見ることさえ不可能な一つの道標。
あらゆる攻撃を見切り、あらゆる動きに対処し、そして躱し、叩き込む。
往日より現下、
現下より彼方、
明鏡止水を一足飛びに……。
遥か、世ノ涯テまで。
「今、開こう。極致の天(ソラ)を――!」
碎輝は飛び込もうとした。だが、クロムがその眼前に立っている。
『!』
後の先である。まさしく縮地。その速度は稲妻をも超えた。
「――ごめんなさいね」
クロムが目を細める。その藍色の奥に浮かぶのは……喜悦。
「"待ちきれなかった"ものだから」
韋駄天を超える稲妻の黄金を前にして、この不敵。
されどクロムの言葉は強がりでも不遜でもない、事実を述べたまで。
碎輝が稲妻を収束させるよりもなお疾く、迅雷を超えた一閃が四肢を裂いた。
『――は、ハハッ!』
笑うしかない、とはまさにこのこと。
天を見た。
無限に飛翔する竜をして、いまだ届かぬ域を。
『ああ、やっぱ――』
返しの剣が翼を両断し、黄金の成長を終わらせる。
「どこまでもカッコいいな、お前たちは……!!」
地に伏せるのは竜であり、伏せさせたのは女であり、そして剣である。
無限の果てにあるのは終わりだ。
だから碎輝は自らを封印し、終局を招かぬように眠りについた。
猟兵は、クロムは、それをすらも踏み越えてみせるのだろう。
――天に煌めくその光の名を、希望と言った。
大成功
🔵🔵🔵