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大祓百鬼夜行㉕〜愛しき世界を語らへば

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#カクリヨファンタズム
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#大祓百鬼夜行


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●グリモアベースにて
「みんなの活躍のおかげで、スカイツリー・ゲイン塔へと繋がる雲の道が現れたわ。これで大祓骸魂へと最終決戦を挑めるわね。ここに至るまでも厳しい戦いだったけれど、みんなが頑張ってくれたおかげよ。本当にありがとう!」
 数々の戦場を制圧し、あえて骸魂を喰らい敵の軍門に降った四人の妖怪親分たちを倒すことで解放し、見事雲の道を開けさせた猟兵たちを頼もし気に見つめたエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、誇らしそうに労うとにっこりと微笑んだ。
「と、いってもそんなに時間の猶予はないわ。二つの世界を守るために、もうひと頑張りといきましょうね」
 そうしてエリシャは次の戦場の説明を始める。
「大祓骸魂は、東京スカイツリーの最上部に設置された高さ約140mの巨大構造物……ゲイン塔に現れるの」
 東京上空は大祓骸魂の持つ、膨大な「虞」の影響で、カクリヨファンタズムが如き空間に変化している。そして大祓骸魂は猟兵たちが戦ってきた今までの戦場で存在したあらゆる手段を行使して襲い掛かることができるというのだ。
「みんなも大祓骸魂のUDCアースへの狂おしいまでの愛を垣間見たでしょう? 彼女は愛するUDCアースを過去にする前に、その愛しい世界をその胸に刻みつけておきたいのかもしれないわ……」
 信じられないかもしれないけどね、と前置きしてから、エリシャは説明を続ける。
「大祓骸魂はね、存在しないはずのテレビ番組を……UDCアースのおすすめスポットを紹介する番組の司会をしようとしているのよ」
 だからみんなにはその番組に参加して、全力で企画に乗っかって、そして大祓骸魂を倒してほしいのだと言う。
「ほら、街を紹介する番組ってあるでしょ? ああいう感じで、おすすめスポットとか、グルメとか。その土地独特の風習とか、あるあるとかでもいいみたい。そして今回特集されてる場所は、スカイツリーのある東京よ」
 東京は観光名所も多いし、流行発信の場でもある。魅力的な街がたくさんあるので、それを番組で紹介してきてほしいとエリシャは語る。番組をしっかり盛り上げれば、戦わずにダメージを与えて倒すことが出来るのだ。
「大祓骸魂を救うことはできないわ。けれど、彼女を倒すことが彼女が愛した世界を救うことになるから……」
 歪んだ愛が永遠を望んだとしても、それを見過ごすわけにはいかない。カクリヨファンタズムとUDCアース、二つの世界を守るため猟兵たちを信じた妖怪たちを救うためにも、絶対に負けられない戦い。
「ここまで戦い抜いてきたみんななら大丈夫。彼女が纏う膨大な虞さえも祓うことができるはずよ」
 信頼のまなざしで猟兵たちを見つめて大きく頷くと、エリシャは決戦の地、東京スカイツリー・ゲイン塔へと転送を開始した。


湊ゆうき
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「大祓百鬼夜行」における㉕スカイツリー・ゲイン塔のシナリオとなります。

 こんにちは。湊ゆうきです。
 何でもありの最終決戦ですね。⑯が楽しかったので、そんな感じでお届けします。

 『愛しき世界』という、存在しない街紹介番組です。今回のテーマは東京。
 東京のおすすめスポットやグルメ、地元の人しか知らない情報やあるあるなんかを出演者として紹介してください。
 スカイツリーのゲイン塔の頂上に番組セットが準備され、大祓骸魂が司会を務めます。事前に収録してきたVTRを流すのでも、写真やフリップ、実際に持ってきたお取り寄せグルメなどを使って紹介するのでも構いません。愛すべき東京をご紹介ください。
 実在のお店の名前や、一般的な名前でない商品名などは描写しません。場所なら一箇所に絞った方がいいかと思いますが、複数でも構いません。大祓骸魂がわくわくするような情報を届けてください。

 プレイングボーナスは「番組の企画に全力で乗っかる(戦わずともダメージを与えられます)」です。

 プレイングはOP公開後すぐに受付いたします。
 戦争終結までの完結は難しいと思いますが、その分できるだけ全員採用で執筆させていただく予定です。
 〆切は後日設定しますので、受付期間中であればいつプレイングを送っていただいても構いません。
 それでは、ご参加お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『大祓骸魂』

POW   :    大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:菱伊

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マデライン・アッシュリア
(暗めのスタジオに青白い照明)

都内某所のとある古いお屋敷をご存じでしょうか
私がそこへふらりと遊びに行ったときのこと
最初は楽しかったのですが
気づいてみると
一緒に来たお友達の数が一人増えているのです
しかし誰も見知らぬ顔の方などいません
皆さんお互いに知っている間柄
それなのになぜか人数が一人増えているのです
そう、そこは有名な幽霊屋敷だったのです

ああ、私がなぜそんな怖い所へ遊びに行ったかですか?
それは……
ふふっ、私自身も幽霊屋敷の主だからですよ!
(突然姿が消えてEND)

心霊スポットのご紹介でした
楽しんでいただけましたか骸魂さん?
あ、ちなみに実話です
そこの幽霊さんとは幽霊オフ会で知り合ったお友達ですので



●愛しき心霊スポット
 東京スカイツリー・ゲイン塔――大祓骸魂との最終決戦の地。
 そこが今、スタジオへと変わっていた。
 照明や音声、カメラを担当するのは百鬼夜行の妖怪たち。そして『愛しき世界』という街紹介番組の司会を担当するのは、UDCアースを狂おしいまでに愛している大祓骸魂だ。
『愛しきUDCアース……あなたを思う私の愛は揺るがない。だから私はこのような番組を作ったのです』
 ……そういうことだそうです。
 と、いうわけで今日の特集は東京。このスカイツリーのある日本の首都。
 愛すべき東京の素晴らしい場所やグルメを紹介してくれるゲストがこのスタジオに次々登場するという。
『さあ、愛しき世界を紹介してくださいな』
 大祓骸魂の言葉とともに、スタジオの照明がゆっくりと落とされ暗くなる。そうして青白い照明がゲスト席に座った少女を照らす。
「都内某所のとある古いお屋敷をご存じでしょうか」
 照明が照らし出したのは、まだ若い少女。雪のように白い肌に漆黒の髪の愛らしい乙女だ。
 マデライン・アッシュリア(死の花嫁・f32233)が身に纏っているのは無垢なる花嫁衣裳。歴史ある名家の最後の末裔にして、「死」そのものの花嫁となったマデラインがゆっくりと口を開く。
「今からお話しするのは、私がそこへふらりと遊びに行ったときのこと」
 スタジオの誰もが、大祓骸魂すらも彼女が何を語るのか興味津々に見守る中、マデラインはたっぷりと間を使ってから続ける。
「みんなで遊んでいて最初は楽しかったのですが、気づいてみると、一緒に来たお友達の数が一人増えているのです」
 それは後から別の友達が来たのではないのという大祓骸魂の言葉に、マデラインは首を横に振る。遊ぶのを約束したのは確かにその場所にいた友達だけのはず。
『けれど知らない人が増えていたらわかるのではなくて?』
 その言葉にも首を振る。
「誰も見知らぬ顔の方などいませんでした。皆さんお互いに知っている間柄ですので」
 ざわり、とスタジオ内に緊張が走り、急激に温度が下がった気がした。
「それなのになぜか人数が一人増えているのです……そう、そこは有名な幽霊屋敷だったのです」
『まあ、それは興味深いことね。あなたはそれを知っていたの? 知っていて遊びに行ったのかしら?』
 大祓骸魂が小首を傾げて訊ねると、マデラインも口元に微笑を浮かべると悪戯っぽく首をかしげる。
「気になりますよね? それは……ふふっ、私自身も幽霊屋敷の主だからですよ!」
 その瞬間、先ほどまでそこにあったマデラインの姿が突然跡形もなくその場から消えた。
 スタジオには、彼女が行ったらしき幽霊屋敷の写真の映像だけがぽつんと流れていた。
『あら、まあ、すごい演出ね……ふふ、曰く付きの幽霊屋敷も愛おしき場所』
 台本にはなかったのだろう。呆気にとられた大祓骸魂だが、やがてくすくすと笑いだした。
「楽しんでいただけましたか骸魂さん?」
 ひょこっとスタジオの端からマデラインが顔を覗かせる。
『あら、そこにいたの』
「あ、ちなみに実話です。そこの幽霊さんとは幽霊オフ会で知り合ったお友達ですので」
 死の花嫁である彼女は、静寂と安寧をもたらす死を深く愛している。その肉体は破壊されても瞬時に蘇るという。死を愛する彼女には幽霊友達もたくさんいるようだ。
『東京には他にも心霊スポットがあるわ。私のおすすめは新宿・戸山公園ね』
 江戸時代には日本最大の庭園「戸山荘」があった場所。その庭園内に、古の邪神を封印した祠があったという資料も残っているのだという。
『ふふふ、心霊スポットに目をつけるなんてあなたやるわね』
 大祓骸魂は嬉しそうに愛おしそうにそう告げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空亡・劔
この最強の大妖怪を差し置いての大百鬼夜行とは生意気よ!
それはそれとして東京の紹介ね

それじゃ東京駅!
色々な意味で中心と言える場所だけど
やっぱりお弁当がそろい踏みなのよ!

寧ろスカイツリーを紹介してないのはおかしいでしょ

スカイツリーはもうすごいんだから

上に上がれば下を見れる小窓あるけど
なんかもう…怖い!
でも引き込まれる
でも割れたらどうしようかすごく不安になっちゃう!

高尾山
言わずと知れた山登りのスポット!
山登りの初心者も安心な充実さ
何より…あそこの天狗拉麺美味しい!
麓のとろろ蕎麦も天ぷらそばも極上よ
あたしあんまりとろろ好きじゃないけどここはおいしく食べれるの(重要情報

最後には
【天候操作】で太陽を昇らせ



●愛しき観光名所
 存在しないはずの番組『愛しき世界』の進行を務める大祓骸魂は次なるゲストがスタジオに現れると、手にした懐刀「生と死を繋ぐもの」をひと撫ですると、うっとりとした表情で言葉をかける。
『さあ、愛しき世界を紹介してくださいな』
 ゲスト席に現れた空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)は、まずは司会席に収まっている大祓骸魂へと険しい一瞥を寄越す。
(「この最強の大妖怪を差し置いての大百鬼夜行とは生意気よ!」)
 自分こそが最強の大妖怪だと自負する劔が、究極妖怪と呼ばれる大祓骸魂へと対抗心を燃やしてしまうのは致し方ないこと。大祓骸魂も可憐な少女の姿をしているが、劔もまた見た目は若い凛とした美しい少女である。元々は魔剣のヤドリガミであったので、その姿はかつての持ち主の面影を宿している。カクリヨファンタズムに迷い込み、妖怪へと変じてしまった劔は、妖怪としては人々の恐怖、悪念を力とするらしいがその詳細は謎に包まれている。裏五行、文字魔術という遺失魔術と剣術による戦いを得意とし、この戦争においてもあらゆる戦場に出向き、八面六臂の大活躍を果たしていたのだ。
 二つの世界を巻き込んだこの戦争においては戦うだけが全てではないことは充分すぎるほど理解している。なので今日は東京の紹介だ。
「あたしは事前にロケしてきたから、その映像を流すわね」
『まあ、楽しみですわね』
 そうしてスタジオのスクリーンにVTRが流れる。
「それじゃ行ってみよう、まずは東京駅!」
 東京の表玄関とも呼ぶべきレンガ造りのレトロモダンな洗練されたデザインの駅舎。一度は戦火で焼け落ちたが、近年創建当初の姿に復元され、五年がかりで完成した。
 劔はその駅舎の前でカメラに向かって手を振ると、広い広い駅の中へと向かっていく。
「色々な意味で中心と言える場所だけど……やっぱりお弁当がそろい踏みなのよ!」
 多数の新幹線の起点駅となる東京駅で駅弁を買うのは旅行者のお楽しみだ。肉系駅弁に海鮮系駅弁。東京名物以外にも、ご当地感あふれるラインナップに、どれにするか考えるだけであっという間に時間が過ぎていく。
『まあ、素晴らしいわ。それにしてもこんなに種類があるのね……』
 画面には多種多様な駅弁が映され、さすがの大祓骸魂もその数に圧倒される。
「それじゃ、次はスカイツリー! 寧ろスカイツリーを紹介してないのはおかしいでしょ」
 このスタジオがある場所であり、東京の新ランドマークとなった東京スカイツリー。634メートルの高さを誇る電波塔は、東京都心部に立ち並ぶ超高層ビルの影響を受けずに人々へとクリアな放送を届ける。
「スカイツリーはもうすごいんだから!」
 劔が展望台へと昇っていくと、360度のパノラマの景色が出迎えてくれる。天気がいい日は絶景で、東京のみならず近隣県まで見渡すことができる。
「ここには、下を見れる小窓があるけど……」
 展望デッキにある2メートル四方ほどのガラスでできた床を覗き込むと、高所から地上を見下ろすことができる。
「なんかもう……怖い! でも引き込まれる」
 ガラスだとわかっていてなお高所から落ちるのではないかと錯覚してしまう臨場感。けれど覗かずにはいられなくて。
「でも割れたらどうしようかすごく不安になっちゃう!」
 日本一の高所からの眺めはぜひとも一度は体験しておきたいものだ。
「そしてそして……高尾山!」
 言わずと知れた山登りスポットであり、山登り初心者でも安心して挑戦できる充実ぶり。頂上を目指すにしても、様々なルートがある。目的や体力に合わせて選べるのも嬉しい。
 山の中腹までケーブルカーで駆け上がった劔は、しばらく行った場所にある店を指差す。
「何より……あそこの拉麺美味しい!」
 天狗をモチーフにしたというそのラーメンは、雑穀ととろろ芋が練られた棒状の具材が特徴的だ。麺は唐辛子を練り込んであり赤く、それが天狗をイメージさせる。
「うーん、やっぱり美味しいわね」
 すりつぶした胡麻をたっぷりかけて、劔は幸せそうにラーメンをすすった。
「あ、麓のとろろ蕎麦と天ぷらそばも極上よ」
 そこでVTRにインサートとしてとろろ蕎麦の写真が入る。
「あたしあんまりとろろ好きじゃないけど……ここのはおいしく食べれるの」
 高尾山の名物とろろ蕎麦は、参拝者の疲れを取るために自然薯をすって食べさせたことが始まりだと言われている。自然薯をすったとろろを滋養強壮に効果があるという蕎麦にいれたところ、美味しいという評判が広がり、すっかり名物になったのだという。
 劔のように普段はそれほどとろろが好きでないという者にとっても美味しいというのは、実は重要情報なのだ。
 最後の映像は高尾山の頂上から。ロケの日はあいにくの曇り空だったはずなのに、劔の身体が太陽の如きオーラを発するにつれ、雲も晴れ、眩い太陽が姿を見せる。
 ぱちぱちぱち、と大祓骸魂が拍手をしてはその瞳を輝かせる。
『ええ、ええ。素晴らしさが詰まっていましたわ。それで……駅弁やとろろ蕎麦はあるのかしら?』
 まるで恋する少女のように、可愛らしく小首を傾げて訊ねるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリロット・エカルネージュ
UCで羽根つき餃子怪人に変身して

ボクは東京・蒲田発祥の
羽根つき餃子をテーマに実演踏まえて
誕生の秘密の小話を

羽根つき餃子は、餃子の聖地
東京・蒲田の某店の店長が
小麦粉の焼き目が美味しい
「焼き肉まん」のやり方を餃子で
やったのが誕生の切欠かな。

偶然綺麗な羽根が餃子に出来て
今の形になって……東京にはこう言う
魔改造から産まれたご当地グルメが
多いんだけど、ボクも親友のあの子も

東京のそー言う保守的じゃない
文化が以外に旺盛なのは好きだなぁ
……って思うんだよ

と語りながら羽根つき餃子(具を色々用意)とその大元の焼き肉まんを『料理&パフォーマンス』

大祓骸魂ちゃんとボクで
食べ比べて食レポも。

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



●愛しき羽根つき餃子
 ゲストたちが紹介する愛おしき場所たちに、大祓骸魂は興味津々。次なる情報は何かと楽し気な様子で次なるゲストが現れると、わくわくと言葉を発した。
『さあ、愛しき世界を紹介してくださいな』
 ゲスト席に現れたのは、餃子の着ぐるみ……ではなく、頭部を羽根つき餃子へと変化させ、餃子怪人となったエミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)だ。
『あらあら、どこかのご当地キャラだったかしら……?』
 思い起こそうとする大祓骸魂へとエミリロットは餃子頭を横に振る。
「ボクは餃子の大地の力を操る餃心拳の継承者エミリロット。この姿は餃子を愛し広めようとする思いが強すぎた怪人のもの。その意志を受け継ぎつつ、ボクは正しくこの力を使い、餃子を広めて護っていく者」
『あらまあ、そうですの。ということは……』
「そう、ボクが紹介するのは羽根つき餃子。これが東京・蒲田発祥だってことは大祓骸魂ちゃんなら知ってるよね?」
 察したような大祓骸魂へと大きく頷きを返すと、エミリロットは早速準備を始める。妖怪のADがスタジオへキッチンと調理器具を運んでくる。
「せっかくだから実演付きだよ。そしてこの今やおなじみとなった誰もが大好きな羽根つき餃子がいかにして生まれたかを話していくね」
 餃子の餡は既にエミリロットが料理し、事前に用意してある。この元祖と呼ばれた店の味に似るようにと、白菜を歯ごたえが残るサイズに切ってたっぷりの豚肉と合わせてある。
「羽根つき餃子は、餃子の聖地……東京・蒲田にある中華料理店の店長が小麦粉の焼き目が美味しい『焼き肉まん』のやり方を餃子でやったのが誕生の切欠かな」
 エミリロットはこちらも手作りの餃子の皮を取り出すと、先ほどの餡を手際よく包んでいく。この皮は厚めで食べるともちもちした食感になるのだ。
『あら、そうでしたの。けれどどうして突然そのような方法を思いついたのかしら?』
 エミリロットの手元をじっと観察しながら、大祓骸魂は不思議そうに小首を傾げる。
「うん、それはね……大祓骸魂ちゃんと同じだよ」
『私と同じ……?』
「そこには、愛があったんだよ」
 その店主は日本人でありながら、戦時下の中、中国で生まれた。生活は豊かではなく食べ物にも困っているような状況が続いていたという。それでもなんとか職を得て、生活が安定した頃に、生き別れた父からの日本に来てほしいという手紙。悩んだ末、店主は家族と一緒に日本へやってきた。けれどまだその時は中華料理屋を始めるつもりはなかった。
『どうして中華料理屋をすることになったの?』
「お世話になった人に恩返しのつもりで本場の中華料理を振舞ったことがあって、それを大絶賛されたから、これを仕事にするという道が開けたそうだよ」
 本場の中国では餃子は水餃子の方がメジャーだ。日本で定番の焼き餃子をもっと美味しく食べてもらうにはと考え、思い出したのが、本場中国で食べた焼き肉まん。鉄板で蒸し焼きにする焼き肉まんは皮の部分のかりかりとした焦げ目がとても美味しいと感じた。
「それを餃子でも再現しようと皮に使っていた小麦粉を熱湯で溶かして焼いてみると、偶然綺麗な羽根が餃子に出来たそうだよ」
 そう言ってエミリロットも作った餃子を次々にフライパンへと並べて焼いていく。
「せっかくならお客さんに美味しい餃子を食べてほしい……そこに愛があったから生まれたんだとボクは思うよ」
 じゅうじゅうといい音を立てて焼かれていく餃子に綺麗な薄い羽根を纏わせると、エミリロットはお皿に盛りつける。実は同時進行で進めていた焼き肉まんもすでに完成済みだ。
「そうしてこんな風に今の形になったんだ。……東京にはこう言う魔改造から産まれたご当地グルメが多いんだけど……」
 ボクも親友のあの子もね、と付け加え、なめろう布教を頑張っている蒼鉛色の親友を思い出す。
「東京のそー言う保守的じゃない文化が意外に旺盛なのは好きだなぁ……って思うんだよ」
『食べていいのかしら?』
「もちろん。一緒に食レポしようか? 同じに見えるけど中身も色々変えてあるんだよ」
 羽根つき餃子発祥の地にちなんだ具と、その他にもエミリのアイデアレシピでチーズを入れたり、紫蘇を入れてさっぱりしたものなどもある。
『……美味しい』
 羽根つき餃子を口に運び、パリッとした羽根がいい音をたて、もちもちした皮をかじると、肉汁がぎゅっとつまった餡が口に広がる。
「焼き肉まんも美味しいよ。これから羽根つき餃子が生まれるってすごいよね。ボクももっともっといろいろ試してみないと」
 二人でせっせと食べ比べては、もはや飯テロ状態。美味しくていくらでも食べることができてしまうのだ。
『愛しき世界には愛しき物語もあったのですね……』
 愛が生んだ物語。それを彼女は世界ごと破壊しようとしているのだ。
(「でも、そうはさせない。この世界を守り抜くために」)
 この戦争で、亡き師とも約束したのだ。自分の力を正しいことに使うのだと。
 エミリロットは大祓骸魂を見つめると、そっと決意した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏑木・桜子
UDCアースのトーキョーを自由に観光することってあまりなかったですしいい機会ですね…-、あくまで勝利のためですよ、当然!

今週もこの時間がやって参りました。江戸から幕末、明治の史跡を巡るシリーズ、『愛しき世界〜ブシドー達の愛したトーキョー〜』。最終週の今日は…大御所政治の終わった江戸から激動の幕末までの中心にして現在の首都トーキョーの中心でもある江戸城を巡ります!

というわけで江戸城(皇居)の周りの史跡を江戸時代のエピソードを交えて紹介するレポート番組を行います。
ですが、その実隙あらば江戸城の周辺(千代田区、墨田区)のグルメ紹介と称して近くの桜餅店を漁ります。
やっぱり本場の長命寺桜餅は違いますね…



●愛しき桜餅
 着々と進行する番組をスタジオの袖から見ていた鏑木・桜子(キマイラの力持ち・f33029)は、猟兵たちが紹介する東京の名所やグルメに満足している大祓骸魂の様子を見て頷いた。次は桜子の番だ。
(「UDCアースのトーキョーを自由に観光することってあまりなかったですし、いい機会ですね」)
 既にロケを済ませてきた桜子はその時を思い出す。キマイラフューチャー出身のキマイラである桜子にとってUDCアースの観光は貴重な機会だった。とっても楽しかったのは事実だが、それはあくまで勝利のため。決して楽しんでいたわけではないのだ。
 見た目はとても愛らしい姿の桜子であるが、その腕力は強力で、その力を恐れた両親に物心つく前に剣豪に預けられ、育てられた過去がある。性格は気弱で控えめながら、育ての親の剣豪に習った立居合はユーベルコードの域まで極められたもの。キマイラフューチャー出身らしく、剣術のアーティストとして華麗に勇敢に戦う姿は、多くのキマイラの心を掴み、多数のいいねを獲得していることだろう。
 そうしてついに桜子の番がやってきた。
『さあ、愛しき世界を紹介してくださいな』
 大祓骸魂から呼ばれると、桜子はゲスト席へと座る。
「東京と言えば、江戸。江戸といえばブシドー」
 キマイラフューチャーでは失われて久しいブシドーなる精神を体現しようと頑張ってる桜子がこのテーマを選んだのは納得だ。だが、実は桜子、ブシドーがどういうものかは未だによく解っていなかったりする。
「それでは、VTRスタート!」
 自分の身長よりも大きな剣を持ち上げてそれを合図にV振りすると、瀟洒な和の音楽とともに、凝ったロゴのタイトルが現れる。
「今週もこの時間がやって参りました。江戸から幕末、明治の史跡を巡るシリーズ、『愛しき世界〜ブシドー達の愛したトーキョー〜』」
 なぜかシリーズ化していることを気にしてはいけない。そしてナレーションは桜子が担当している。そして大祓骸魂は興味津々でVTRに見入っているので何も問題はないのである。
「最終週の今日は……大御所政治の終わった江戸から激動の幕末までを中心にして現在の首都トーキョーの中心でもある江戸城を巡ります!」
 レポーターとなった桜子が江戸城を背景に現れる。
「江戸城は徳川家康が政権の中心とした城であり、三代将軍家光の時代に完成しました。現在は一部が皇居となっていますね」
 皇居は立ち入ることはできないが、本丸や二の丸などは一般公開されている。
「この周辺でも江戸城の歴史を感じることができます」
 市ヶ谷駅のコンコースでは、江戸城外堀の石垣が露出展示されている。竹橋駅の近所には天守閣跡の石垣が残ってる。
 また東京駅八重洲口前には南町奉行所跡の石碑もある。次々と史跡を巡り、歴史を語る傍ら、桜子はちょいちょい桜餅店へと入っていく。
「これは東京グルメの紹介も兼ねているんです!」
 と言いつつ、なぜか桜餅店ばかりなのが気になるところ。
「やっぱり本場は違いますね……」
 隅田川のほとりに店を構える老舗和菓子屋。当時、桜の名所である隅田堤にて花見の際に喜ばれたという桜餅。江戸における桜餅のはじまりともいうべき老舗の味を隅田川を背景に桜子が幸せそうに味わうシーンでVTRは終了した。
『武士道というか、桜餅の紹介でしたわよね?』
 不思議そうに大祓骸魂が首をかしげるが、桜子もブシドーはよくわかっていないので、そっとお土産の桜餅を差し出す。
「ブシドーは桜餅も愛したのです」
 なんだかよくわからないが、大祓骸魂は美味しそうと思っていた桜餅を食べることが出来て上機嫌。
『ええ、愛しき味ですこと』
 ふふふ、と楽し気に微笑んだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小雉子・吉備
キビは東京都文京区の
とあるお寺のこんにゃく閻魔像
についてー

幽世の閻魔王ちゃんと繋がりがあるかは解らないけど、それはさておいて

右目部分が割れて黄色くなっているのが一番の特徴で、この姿が『こんにゃく閻魔』の伝承の元らしいよ

眼病患ったお婆ちゃんが
閻魔像に治癒祈願の参拝をすると

夢枕に閻魔ちゃんが現れ

「満願成就となった暁に、片方の目をお前にやろう」と御告げ

21日間の祈願を終えた時
片方の目が治り、お礼参りの先で
閻魔像の右目が潰れてて

お礼に好物の蒟蒻を備えた
そんな話の流れかなっ?

ここでそんな閻魔ちゃんの心境になってみよう……と事前に【料理】した『こんにゃく団子』を二人で食べよう

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]



●愛しきこんにゃく閻魔
 次々と紹介される大祓骸魂が愛したUDCアース――その中でも東京の観光地やグルメに関する様々な情報。有名なものから聞いたことはあるけれど、詳しくは知らなかったものまで様々だ。
『それでは、次はどんな愛しき世界を紹介してくれるのかしら?』
 情報ももちろんだが、一緒に出てくるグルメを喜んでいるようにも思える大祓骸魂は、次なるゲストへと視線を向けた。
「キビは東京都文京区の、とあるお寺のこんにゃく閻魔像についてー」
 はーいと元気に手を挙げた小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)が笑顔で告げると、大祓骸魂は早速興味を示す。
『まあ、閻魔像ですの?』
「そうだよ。幽世の閻魔王ちゃんと繋がりがあるかは解らないけど……大祓骸魂ちゃんのその懐刀も閻魔ちゃんに縁があるものみたいだよね?」
 生と死を繋ぐもの――ヤマラージャ・アイビーという名を持つその刀は、詳しいことはわからないが閻魔王に縁があるように思われる。
 それには応えず、大祓骸魂はその懐刀を愛おしそうにひと撫ですると、吉備に続きを促した。
『それで、閻魔王とこんにゃくにどういった関係があるのかしら』
 ひょっとしたら大祓骸魂はそのエピソードを知っていたのかもしれないが、これが番組であることを踏まえてそう説明を促したのかもしれない。
「これがその閻魔像なんだけど……右目部分が割れて黄色くなっているのがわかるかな? これが一番の特徴で、この姿が『こんにゃく閻魔』の伝承の元らしいよ」
 スタジオのスクリーンに、閻魔像が映し出される。死者の生前の罪を裁くという閻魔王は帽子を被り、手に笏を持ち、眉を吊り上げた怒りの表情をしている。左目はきちんとあるのに、その右目が確かに潰れて黄色く変化していた。
「江戸時代に、眼病を患ったお婆ちゃんが閻魔像に治癒祈願の参拝をしていたところ、ある日夢枕に閻魔ちゃんが現れてこう言ったんだって」
 ――満願成就となった暁に、片方の目をお前にやろう。
「お婆ちゃんが21日間の祈願を終えた時、突然片方の目が見えるようになったんだよ」
 閻魔大王のお告げ通りだと、お礼参りに訪れた老婆は閻魔像の右目が潰れていることに気付く。言葉通り自分の目を差し出して治癒してくれたことに感謝し、老婆は自分の好物だったこんにゃくを以後口にすることなく、閻魔像に供え続けたという。
「閻魔ちゃんは舌を抜いたり、地獄に堕としたり怖いイメージもあるけど、善い行いには善い結果を、悪い行いには悪い結果があるっていうことを体現している存在なんだよね」
『ふふ、よく調べましたのね……』
 大祓骸魂はどこか嬉しそうにそう告げた。彼女が愛したこの世界には善も悪も生も死も存在する。彼女は死をもって愛するものを過去とし、永遠にしようと願う。それが彼女にとっての愛だとしても、それを許すわけにはいかない。
「大祓骸魂ちゃんもちょっと閻魔ちゃんの心境になってみる?」
 吉備がそういって取り出したのは、事前に料理してきたこんにゃく団子。一口大の玉こんにゃくを茹で、しょうゆと砂糖を煮詰めてつくったあまからタレをかければ、まるでみたらし団子のようになる。串に刺してタレをかけたそれを、赤い猿の【ひいろ】がお盆に乗せて運んでいく。
『あら、お団子に見えるけれど……これがこんにゃくなの?』
「そうだよ。お団子よりカロリーが少なくて食物繊維もたくさんでヘルシーなんだよっ」
 吉備も自分用に持ってきたものを一口。欲しそうにしている青い狛犬【なまり】とひいろにも分け与えて、その美味しさににっこり。
「そのお寺には今でもたくさんのこんにゃくが供えられているんだって」
 こんにゃくには裏表がないので、閻魔大王が好むという俗説もあるが、老婆がこんにゃくを断ったことが、「困厄を断つ」ことに通じるといったこともこの信仰に繋がったとも言われている。
(「キビが辿り着いた幽世……そして現世から流れてきた桃太郎の物語……キビにとって大切な二つの世界を必ず守ってみせるから!」)
 人の善意にひたむきな雉鶏精の正義の味方は、そう強く誓うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビスマス・テルマール
東京と言えば
てりやきバーガー発祥の地だと
言う事をご存知です?

東京の某チェーン店で誕生した
てりやきバーガーですが
二度の魔改造を経て誕生したとか

てりやきソースと言えば日本発祥の
ソースですけど

これがアメリカに渡りテリヤキハンバーグと言う料理になったのが一回目の(味噌入り)魔改造

てりやきバーガーの産みの親が
アメリカでそれを食べ
それをヒントに日本で二回目の
魔改造を経て

てりやきバーガーが東京の某店で誕生した流れになりますね……確か

本当なら東京になめろうに近いのが
あれば、それを紹介していましたが

それはそうと

折角ですしテリヤキハンバーグと
てりやきバーガー『料理』してご馳走しましょう

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



●愛しきてりやきバーガー
『さあ、愛しき世界を紹介してくださいな』
 スタジオでゲストによって次々に紹介される愛しき東京情報。猟兵たちが持ってきた深い愛と知識に裏打ちされた情報に、大祓骸魂はすっかり上機嫌だった。
「では、次はわたしが」
 そう言ってゲスト席に現れたのは、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)だ。彼女の登場とともに、妖怪ADがキッチンを準備し始める。また何か食べられるのだと気づいた大祓骸魂は花のかんばせをほころばせた。
『次はグルメ情報かしら』
「はい。東京と言えば、てりやきバーガー発祥の地だと言う事をご存知です?」
 てりやきバーガー。甘辛く濃厚なしょうゆベースのタレをまとったパテをたっぷりのレタスとともに挟んだ日本で大人気のハンバーガーの一種だ。
『ハンバーガーチェーンの1号店は東京だったわね』
 ドイツで広まったハンバーグステーキとイギリスで流行っていたサンドイッチ。この二つが結びついてアメリカでハンバーガーが生まれた。アメリカで根付き、ファストフードとして日常食となったハンバーガーが日本にやってきたのは戦後である。
「はい、当時は今もわたしたちが目にするチェーン店が多数東京でオープンしたそうです。けれどこのてりやきバーガーは、二度の魔改造を経て誕生したとか」
 そう言いながら、ビスマスは同時に料理の方も進めていく。新鮮なレタスを一口大に切り、玉ねぎをみじん切りしていく。
『てりやき味と言えば、日本独特のものよね』
 しょうゆにみりんに砂糖といった和食に定番の調味料。鰤や鶏肉のてりやきも定番だ。
「そうなんです。てりやきソースと言えば日本発祥のソースですけど、これがアメリカに渡り、そこでテリヤキハンバーグという料理になったのが一回目の魔改造なんです」
 この甘辛いこってりした味は海外でも人気があったのだ。そうして日本のてりやきソースにさらに味噌が入ったものが海外では提供されていた。
「てりやきバーガーの産みの親がアメリカでそれを食べ、その味に衝撃を受け、それをヒントに日本でのてりやきバーガーレシピが開発されました」
 アメリカで食べたもののように、しょうゆに味噌を合わせた和風のこってりしたソースに仕上げ、新鮮なレタスとマヨネーズを乗せ、てりやきバーガーは完成したのだ。
 合いびき肉とみじん切りにした玉ねぎをしっかりこねて、いくつかの薄い楕円形に成型すると、ビスマスはそれをフライパンで焼いていく。
『海外でテリヤキハンバーグに出会わなかったら、今のてりやきバーガーはなかったかもしれないってことね』
「そうかもしれません。日本で発祥したのに、海外からの逆輸入だというのが、意外ですね」
 ハンバーグを焼いている間にてりやきソース作り。味噌も含めた調味料を別のフライパンでとろみがつくまで弱火で熱していく。
 スタジオ内にいい香りが漂う。甘辛いあの独特の香りは否応にも食欲をそそる。
「本当なら東京になめろうに近いのがあれば、それを紹介していましたが……」
 なめろう猟兵を自称し、布教に勤しむビスマスとしては、せっかくならなめろうを紹介したかったところだが、今回は東京がテーマということで、こちらになったのだ。もとより料理好きで研究熱心な彼女なので、その他の料理ももちろんそつなくこなす。
「さあ、できましたよ。折角ですから、テリヤキハンバーグとてりやきバーガー、両方食べてみてくださいね」
 ひとつはハンバーグ状にして皿に盛り、もう一つはバンズで挟み、レタスとマヨネーズをかけててりやきバーガーにした。
『海を渡った味ね……いただくわ』
「この味噌を入れたところがアイデアなんですよね」
 味噌はなめろうにとっても大切な調味料。奥の深い味わいが出る和風調味料の存在が、てりやきバーガーがここまで日本人に愛されるようになった影の立役者だったのかもしれない。
『そうね、本当に愛おしき味……』
 そっと目を閉じてその味をしっかり焼き付けるように、大祓骸魂はうっとりと呟いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
大祓骸魂が眠っている間も
目まぐるしく変わっていったであろうUDCアース
番組を通じてあの子が今のこの世界を知りたいんだろうね
愛するものをより深く知りたいと思うのは自然なこと

俺たちが紹介するのは表参道・原宿エリア
ここはずばり……パンケーキの激戦区だ
実際に訪れた美味しいパンケーキのお店を紹介していくよ
VTRスタートっ

絵本に出てくるような分厚いパンケーキ
口の中でとろけるふわっふわパンケーキ
フルーツや生クリームがてんこ盛りだったり
目玉焼きやベーコンが添えられて食事として食べられたり
一口にパンケーキと言っても種類豊富で奥が深い

ふふふ、梓が真面目に考え込んでる
これは近いうちに作ってくれるはず


乱獅子・梓
【不死蝶】
まさか最終決戦が表参道・原宿まで行って
パンケーキを食べ回ることになるとは誰が想像しただろうか??

VTRは零に自撮り棒を持ってもらいながら撮影したもの
…撮影中ずっと零がジト目でこちらを睨んできたが
お菓子を与えて何とか機嫌を保ってもらい

ひたすらパンケーキばかり食べたら
飽きるんじゃないかと心配していたが
綾の言う通り種類豊富で食べ応えがある
女子たちの間で大流行したのも頷けるな

それにしてもこの分厚さ、このふわふわ感
一体どうやったら出せるのか…
何か特別な材料を使っているのか
はたまた生地の混ぜ方や焼き方にもコツが…(ブツブツ
カメラが回っていることも忘れて料理人目線で考え込んだり



●愛しきパンケーキ
 東京スカイツリーの頂上で存在しないはずの番組『愛しき世界』の収録が行われている。司会は親分たちの活躍で猟兵たちも見ることができるようになった忘れ去られし究極妖怪――大祓骸魂だ。
「大祓骸魂が眠っている間もUDCアースは目まぐるしく変わっていったんだろうね」
 出番を待ちながら、スタジオの袖から番組の進行を見守っていた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、ぽつりとそう呟いた。UDCアースを愛するあまり破壊しようとする彼女に対して怒りがあるわけではない。綾もまた「殺し合い」を愛する戦闘狂の一面を持つからだ。
「番組を通じてあの子が今のこの世界を知りたいんだろうね」
 骸魂の元凶であり、UDCアースの大いなる邪神が一柱でもある大祓骸魂は、全ての知的生命体から忘れられた存在。今までは誰かから教えてもらうこともできなかったのだろう。愛するものをより深く知りたいと思うのは自然なことだと綾は思うのだ。
「そうだな。俺たちの故郷と違ってこの世界は変化が激しい。だから、俺たちが教えてやらないとな」
 綾の言葉に頷くと、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は不敵に笑う。それで大祓骸魂が満足し、世界の危機を救うことができるならやるしかない。
『さあ、愛しき世界を紹介してくださいな』
 妖怪ADに呼ばれ、二人はスタジオのゲスト席に座る。大祓骸魂はわくわくとした様子で二人を見ては、愛する世界の情報をねだる。
「俺たちが紹介するのは表参道・原宿エリア。ここはずばり……パンケーキの激戦区だ」
『まあ、パンケーキ』
 綾の言葉に、きらきらと瞳を輝かせる大祓骸魂。今までもグルメ情報に食いつきがよかったのだ。
「実際に訪れた美味しいパンケーキのお店を紹介していくよ。ほら、梓も一緒に……VTRスタートっ」
「ス、スタートっ」
 急に振られ、慌てて言葉を合わせてV振りをする梓。どうして綾はこんなに慣れているんだと思いつつ……スタジオ内のスクリーンには二人が事前に収録してきた映像が流れる。

「はい、やってきたのは表参道・原宿エリア。ファッショナブルな若者が行き交うこの場所は、たくさんのパンケーキのお店がひしめく激戦区だよ」
 レポーターとなった綾が街の景色を眺めながら解説し、梓と一緒にまずは一店目のパンケーキ屋に入っていく。
「さあ、ここではどんなパンケーキが食べれるかな?」
(「まさか最終決戦が表参道・原宿まで行って、パンケーキを食べ回ることになるとは誰が想像しただろうか??」)
 カメラはうきうきとした綾の様子を捉える。一緒にいる梓がそんな複雑な胸中であることは視聴者は到底知りえないわけだが。
 思えば今回の戦争は屋台グルメに月見に花見に……およそ戦闘とはかけ離れているものが多い。それでもそれが妖怪たちを解放することに繋がるならそれでいい。……そう思うことにする。
「うわあ、絵本に出てくるような分厚いパンケーキだね」
 まず登場したのはふかふかの分厚いパンケーキ。塔のようにそびえたつそれにナイフを入れて一口パクリ。口にふくんでもふわふわでとろけていく。
「見た目は大きく見えるが、軽くていくらでもいけそうだな」
 梓も頷き、甘さ控えめのホイップクリームをつけてもう一口。
 さて、視聴者の皆さんは疑問に思わなかっただろうか。この映像を一体誰が撮っているかということを。
 綾と梓がパンケーキを口にしている間、ジト目で梓を睨む仔ドラゴンがいた。器用に自撮り棒を持って二人を撮影する氷竜【零】へと、時折梓がお菓子を与えつつ、なんとかご機嫌をとっているのだ。
 バズリ対決では、可愛い仔竜の動画が途方もないいいねを稼ぎ出したのだ。そんな花形が裏方に回るのは納得できないのだろう。
 そんな調子で二人は次々と原宿で大人気のパンケーキ店を訪れる。
「パンケーキは甘いイメージだけど、食事系もいけるね」
 今綾が食べているのは薄いパンケーキに目玉焼きやベーコンが添えられたもの。こちらの生地はしょっぱく、添えられた具材ともよく合う。
「一口にパンケーキと言っても種類豊富で奥が深いよね」
「ひたすらパンケーキばかり食べたら飽きるんじゃないかと心配していたが……確かに綾の言う通りで、種類豊富で食べ応えがあるな」
 店それぞれに特徴があって、全く同じというものがない。ふわふわ系に生地のしょっぱいアメリカ系、おなじみのハワイアン系に、フルーツやクリームがたっぷりなもの。
「これは絶対バズるやつだね」
 別の店でホイップクリームが山となったパンケーキを前に綾はうきうき。もうバズる必要はないかもしれないが、バズリのプロとして見逃せない。
「食べるだけじゃなくて見てるだけでも楽しいもんな。女子たちの間で大流行したのも頷けるな」
 そうして二人が次々パンケーキを食べていく映像に、大祓骸魂は釘付けだ。カクリヨにあるのはレトロ喫茶にあるホットケーキぐらいなのかもしれない。パンケーキと呼ばれ進化したそれはとても興味深いのだろう。
「それにしても口の中でとろけてふわっふわだよね」
 やはり流行はふわふわ系なのか、この店ではリコッタチーズを使ったパンケーキが出てきた。
「そうか、リコッタチーズか……それだけでこの分厚さ、このふわふわ感がでるのか? 他に特別な材料を使っているのか?」
 美味しく食べながらも、梓は料理上手の性か、カメラが回っていることも忘れて考えに耽る。
「はたまた生地の混ぜ方や焼き方にもコツが……」
 真面目に考え込む梓を見て、綾はふふふと笑う。
(「これは近いうちに作ってくれるはず」)
 今日食べたどのパンケーキにも負けない見栄えも味も一級品の愛情たっぷりのパンケーキを。
 最後に今日紹介したパンケーキの店の情報をまとめて紹介して。VTRは終了した。
『UDCアースのパンケーキの種類の豊富さ、大変素晴らしかったですわ』
 ぱちぱちと大祓骸魂が感激して手を叩く。
『それで、そのパンケーキはあるのかしら?』
 これまでの流れで、もはやVTRに登場したものは食べられると思っている大祓骸魂は恋する少女のように目を輝かせる。
 綾と梓は目を見合わせ、本当は仔竜たちへのお土産用に買ったお持ち帰りパンケーキを差し出すことを決意する。
 彼女が知りたかった愛する世界の、ほんのひとかけらでも、ひととき、楽しんでもらえるように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雷陣・通
御桜・八重(f23090)とアベック参加!
「東京出身、雷陣・通13歳!」
「鎌倉出身、御桜・八重13歳!」

八重に合わせて、俺も解説を入れていく

そう、親父が子供の頃に入り浸ってて、俺も世話になってる
駄菓子以外にもんじゃもあるから腹が減った時はいっつもここ!

えっ、中継繋がってるの?
待って!

「通ちゃん、彼女出来たんだって?」
「うわおっ!」
(おばあちゃんの言葉にびっくり)

俺達を見て永遠を示唆する大祓骸魂
ずっとこの時が続けばいいと思わない?

それに対して俺達は成長を選ぶ
この先、どんなことが待ち受けようとなんだろうと八重と一緒に歩む道を選ぶよ
それに食わしてやらねえとならねえからな!
……だろ、おばちゃん!


御桜・八重
通くん(f03680)とカップル参加ー♪

わたしたちが紹介する愛すべき東京は…
昭和の香り漂う駄菓子屋さん!
お小遣いに優しい価格が嬉しいんだよね♪

店主はとても元気なお婆ちゃん。
通くんのお父さんの子供の頃も知ってるんだって!

それではお話を聞いてみましょう!
お婆ちゃーん!(中継)

店で遊ぶ子供たちとお婆ちゃんの映像。
狼狽える通くんと笑い声に満ちた店内。


司会の大祓骸魂がわたしたちに問う。
「ずっとこの時が続けばいいと思わない?」

ううんと被りを振って。
「そうだね。でも、このまま大人にならなかったら」
お嫁さんになれないし、と小声で。

わたしも通くんと未来を歩みたい。
…お婆ちゃん? 式には呼んでって、気が早いよー!



●愛しき駄菓子屋
 たくさんの猟兵たちが愛すべき世界の素晴らしさを教えてくれた。
 初めて知ったことも、より深く知れたことも。その土地に根付いた美味しさも。
 番組が進行するにつれ、大祓骸魂の力は弱くなっていく。けれどそれでも。彼女は最後まで愛すべき世界を見つめようとその情熱のまま、番組を進めていく――。
『いよいよ最後のゲストになりました。さあ、愛しき世界を紹介してくださいな』
 大祓骸魂の言葉に合わせ、元気いっぱいの声を上げ、少年と少女がスタジオに登場する。
「東京出身、雷陣・通、13歳!」
「鎌倉出身、御桜・八重、13歳!」
『まあ、元気がいいのね。地元の人からの情報は楽しみだわ。何を紹介してくれるのかしら』
 その言葉に、御桜・八重(桜巫女・f23090)は笑顔で頷く。
「わたしたちが紹介する愛すべき東京は……昭和の香り漂う駄菓子屋さん!」
「そう、東京にはまだまだ駄菓子屋がたくさんあるんだぜ」
 雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)が得意げにサムズアップ。
「子供でもたくさん買える、お小遣いに優しい価格が嬉しいんだよね♪」
「そう、親父が子供の頃に入り浸ってて、俺も世話になってる。駄菓子以外にもんじゃもあるから腹が減った時はいっつもここ!」
 駄菓子だけではお腹が膨れない育ち盛りの子供のために、軽食を提供している駄菓子屋はたくさんある。しかも子供たちのためにと料金もとても安いのだ。実際に利用している生の声を聞けるとあって、大祓骸魂も興味津々。
『もんじゃも武器になるのかしら』
 駄菓子屋を武器庫と思っている大祓骸魂は首をかしげる、そんな様子に八重は優しく首を振って続ける。
「その駄菓子屋さんの店主はとても元気なお婆ちゃん。通くんのお父さんの子供の頃も知ってるんだって!」
 すごいでしょ? と八重は訊ねる。ずっとずっと子供の成長を駄菓子屋から見守ってきたおばあちゃん。大きくなったその子がまた自分の子供を連れて来てくれた時は、きっと嬉しかったに違いない。時が流れていくことは、そんな軌跡を紡ぐのだと伝えたくて。
「それではお話を聞いてみましょう! お婆ちゃーん!」
 八重が手を挙げると、スタジオの妖怪ADがスクリーンに中継画像を映し出す。そこには昭和のまま時が止まったような昔懐かしい駄菓子屋の佇まい。子供たちが店の中で店主であるおばあちゃんと語り、遊んでいる映像が目に飛び込んでくる。
「えっ、中継繋がってるの? 待って!」
 しかし通はひとり慌てたような声を上げる。その声が聞こえたのか聞こえていないのか、中継先のおばあちゃんはにこにことした笑顔でこちらに手を振っていた。
「お婆ちゃん、聞こえるー? 通くんもいるよー!」
 八重が言葉をかけると、まあとそのしわくちゃの顔をほころばせ、そうして挨拶抜きにこう言った。
「通ちゃん、彼女出来たんだって?」
「うわおっ!」
 突然のことに驚いた通は、素っ頓狂な声を上げてしまう。どうしてこう情報が早いのか。駄菓子屋に出入りする人の数を思えば不思議ではないのだけれど。
「う、うん、まあねっ……!」
 気恥ずかしくて鼻の頭をこすりながらそう応え、ちらりと八重の方へと視線を向ける。
「一緒にいる子だろ? ふふふ、あの通ちゃんがねえ……!」
 小さい頃から様々な通の所業を知っているおばあちゃんに言われると、ますます気恥ずかしくなる。誰だって若干痛々しい時期を通り過ぎて大人になっていくものなのだ。
「おばあちゃん、通くんはねすっごく頼りになるんだよ!」
「まあまあ、仲が良くていいねえ」
 おばあちゃんの言葉に八重と通は二人見つめあい、照れたように笑う。その様子を見ていた大祓骸魂は二人へと静かに問いかけた。
『……あなたたちは、ずっとこの時が続けばいいと思わない?』
 愛するものを永遠に留めておきたい。それがUDCアースを愛した大祓骸魂の願い。だから、目の前の二人もそうであるのではないかと、そう思ったのだ。
 八重はそんな大祓骸魂を優しく見つめると、ううんと被りを振った。
 永遠。それは魅力的な言葉。けれど大祓骸魂の言う永遠は時を止めてしまったもの。
「そうだね。ずっと一緒っていう意味なら。でも、時を止めてこのまま大人にならなかったら……」
 お嫁さんになれないし、という言葉は小声で聞き取れたかどうか。
「俺たちは成長を選ぶ。この先、どんなことが待ち受けようとなんだろうと、俺は八重と一緒に歩む道を選ぶよ」
 そっと八重の手を取って、通は力強く宣言した。
 今が楽しい。それは間違いない。けれど時を止めては成長はない。空手の師匠であり父に勝てるほど強くなれない。通には目指すべき未来が確かにあるのだから。
「わたしも通くんと未来を歩みたい」
 握られた手にもう片方の手を添えて。八重は青い瞳に未来への憧れを乗せて心から願う。
 大祓骸魂は戸惑っていた。自分の愛は揺るぎのないもののはず。けれど目の前の未来に焦がれる若者がどうして眩しく思えるのだろう。
「それに食わしてやらねえとならねえからな!」
「通くん、たくましくなったねえ。これは二人の式に呼んでもらうまで長生きしないとねえ」
「……お婆ちゃん? 式には呼んでって、気が早いよー!」
 頬を染める八重は、それでも純白の花嫁衣裳を着た自分を想像し、また照れてしまった。
「……そりゃばあちゃんが元気なうちには、な……」
 ぼそぼそと呟く通の言葉が聞こえたのか、中継先からは子供たちのはしゃぐ声と、おばあちゃんの優しい笑い声。愛すべき東京に根付く駄菓子を通じて共有されるこの優しい空間と時間。
『ああ、本当に愛しい世界……』
 愛したUDCアースのほんの一握りを紹介しただけかもしれなかったが、それでも大祓骸魂はその番組に満足したのだろう。
 その言葉を残し、彼女は消えた。永遠に焦がれながら、それを叶えられないまま。
 猟兵たちは未来へと進む。
 彼女の愛した世界でこの先も生き抜き、そして守るために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月06日


挿絵イラスト