6
大祓百鬼夜行㉕〜美しき終焉

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行 #血反吐 #挿絵

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#大祓百鬼夜行
#血反吐
#挿絵


0




 なんと美しく、なんと愛おしいのだろう。
 見下ろした世界には、煌めく光。かよわき命の群れが日々を繋ぐ、愛しき世界。

 ああ、ああ。
 これほど美しきものを前にして。
 そして、手を伸ばせば届くと知って。
 どうして、私のものにせずにいれるだろうか。
 ああ、美しき世界よ。愛おしき星よ。永遠なれ。永遠なれ。
 さあ――さあ。
「私の手で 永遠になりましょう 私とともに 骸の海で永遠に揺蕩い 永劫の安らぎの中に眠りましょう」

 ああ。
 今、世界が愛に犯される。

「決戦だ」
 グリモア猟兵、ロア・メギドレクス(f00398)は猟兵たちへと告げる。
「汝らの尽力により、遂に此度の戦乱の根源たる『大祓骸魂』への路が拓いた」
 ――曰く。
 これまでの猟兵たちの活躍の結果、遂に今回の戦争を引き起こした骸魂の首魁である、大祓骸魂のもとへと至る道筋が開かれた、という。
 そして。
「敵はUDCアース。東京スカイツリーの更にその上へと出現した『ゲイン塔』にいる。汝らは敵のもとへと殴り込みをかけ、これをぶちのめすのだ」
 話はたいへんにシンプルだ。
 行って、ぶっ飛ばせ。――言葉にしてみればたった二言で済む内容であるが、そう簡単な話ではない。
「……うむ。敵は最強の究極妖怪。そうであると同時に、かつてUDCアースに君臨せし大いなる邪神が一柱。そのユーベルコード出力、否、その存在がもつパワーそのものは計り知れぬ」
 そう――グリモア猟兵は告げる。
 “敵の戦闘力は、圧倒的である”と。
「……故に、決してサシで挑もうと思うな。一対一で勝負を挑むのであれば、そのユーベルコード出力に押し切られてしまうであろ。その上、奴は手下の骸魂妖怪共を呼び寄せるユーベルコードも用いる」
 単独で勝負を挑めば、勝機は薄いだろう。――ロアは眉根に皺を刻みながら、そのように告げた。
「よいか。……敵は、大祓骸魂の愛とかいう支配欲求と破滅願望は、どこまでいっても独りよがりな歪んだエゴに過ぎぬ。であるが故に――汝らは、協力して挑め。たった一人の妄執などで世界は崩せぬのだと、汝らの力をもって証明せよ」
 ――ロアは告げる。
 一人では勝てぬ。故に、チームを組み、連携して敵と戦え、と。
「たとえ力が強くても、一人きりでは戦えぬと教えてやれ。強く世界を求めようとも、一人きりでは届かぬということを教えてやれ!」
 ――そして、ロアは一度息を吸った。
「では、これより余が汝らを敵の喉元へと送り届けよう。心してかかれ。そして、汝らの持ち得る全ての力をもって骸魂を屠り、その妄執を断つのだ!」
 グリモア猟兵が叫ぶ。
「これより此度の戦乱における最終作戦を開始する!撃破目標、大祓骸魂!汝らの持てる力を残さず尽くし、ふたつの世界を脅かす悪辣なる邪神を屠るのだ!」
 行け、猟兵たちよ。
 ロアはその手にグリモアを掲げ、そして輝かせた。


無限宇宙人 カノー星人
 お世話になっております。カノー星人です。
 此度の戦乱における最終シナリオとなります。よろしくお願いします。

 このシナリオにはプレイングボーナス要項があります。ご確認ください。

 ☆プレイングボーナス……『他の猟兵と連携して戦う』

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「大祓百鬼夜行」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
225




第1章 ボス戦 『大祓骸魂』

POW   :    大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:菱伊

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「愛しています」

 少女にも見える姿をとったその邪悪なる神性――大祓骸魂は、呟いた。

「ああ、愛しています 私は この星を この世界を この大地を そして ここに生きるあまねく命を愛しています」

 そして――“膨れ上がった”。
 その身に宿した巨大な“虞”を、自らの領域として展開したのだ。
 かくして生じた彼女の世界はUDCアースの空間を侵し、そして穢れた虞に満ちた自己領域によって世界の色を染め上げてゆく。

「ですから―― 永遠に 永遠に ゆきましょう」

「ゆきましょう」

「逝きましょう 逝きましょう 逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう逝きましょう」

「ゆきましょう」

「いっしょに 逝きましょう」

 ――そうして、世界に滅びが迫る。
 それを止められるのは――猟兵だけだ。
黒川・闇慈
「残念ながら、UDCアースは今を生きる命のものです。あなたの永遠とやらに巻き込まれてはたまりませんよ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
他の猟兵と連携して戦いましょうか。私は足止めを担当させていただきましょう。
高速詠唱、全力魔法の技能を用いてUCを使用し、相手を水晶宮に隔離します。時空間干渉で流れる時間を遅くすれば、妖怪達が集まる速度も、複製された懐刀の操作速度も、ヒガンバナの展開速度も遅くなります。いざとなれば迷宮の壁を盾にしてもよい。他の猟兵のサポートにはもってこいでしょう。

「この術式は貴女のような存在の永劫を断つために作り上げたのですよ。クックック」

【アドリブ・連携歓迎】


天御鏡・百々
【他の猟兵と連携して戦闘を行う】

妖怪達の身を挺した献身のおかげで
遂に汝の姿も我らが前に明らかとなった
それに報いるべく、今こそ我ら猟兵の力を結集させる時ぞ!

相手が彼岸花の領域を作るのならば
我は『天神遍く世界を照らさん』を発動し
戦場を清浄なる神域へと上書きしてやろう(破魔117、浄化21、結界術20)
邪神ならば、この場での行動は苦しかろう?
これで皆も戦いやすくなったはずだ

そして前衛は他の者に任せ
我は後方から天之浄魔弓(武器:弓)から放つ光の矢で攻撃だ
(破魔117、誘導弾25、鎧無視攻撃15、スナイパー10、神罰5)
光よ! 悪しき虞を打ち祓え!!!

●神鏡のヤドリガミ
●本体の神鏡へのダメージ描写NG


岩永・勘十郎
「ワシの義父が言ってたな。優しさも、過ぎてしまえば狂気となる。
 殺意や憤怒より質が悪いと……お前さんに恨みはないが、斬らんといけないようだ」

そう呟き周囲の猟兵たちを確認。勘十郎はすぐさまUCを発動。
透明になった状態で【忍び足】で敵との間合いを取る。
敵の無数の攻撃も全て【瞬間思考力】で把握。今までに培った【戦闘知識】も相俟って、ほぼ確実に起こる事象を導き出せたはずだ。

「ワシが援護する! トドメは任せるぞ!」

そう言って矢を無数に放つ。もちろん曲射や連射などを組み合わせる事で位置を悟られないように、光の線もあってエイムをアシストしてくれる。外す事はきっと無いだろうし、爆発ダメージもデカいはずだ。


空亡・劔
連携希望
この最強の大妖怪を差し置いての大異変とは生意気よ!
【戦闘知識】で他の妖怪達の陣形と効率的に集まるのを妨害するポイントも把握して他参加猟兵に伝

【天候操作】で猛吹雪を起こして妖怪の分断を狙
【結界術】で結界を複数展開して集めさせない
神殺しの大妖怪発現
この力の高まりこそがあんたの恐ろしさよ
あたしは空亡劔…世界の脅威を止める大妖怪!
だからあんたを止める!
超高速で飛び回り
攻撃を【見切り】
【残像】を残して回避
【属性攻撃】で武器に氷属性を付与し氷の【弾幕】展開し他の猟兵の援護も兼ね
仲間とタイミングを合わせて二刀から【2回攻撃】による【切断】で切り裂く!

撃破後
【天候操作】で太陽を昇らせる
百鬼夜行の終焉よ


鳴上・冬季
【血反吐】

「成程、貴女は素晴らしき御仁のようだ…言葉遊びの好きな」
「私は貴女のような方が好きですよ。ゆえに逝かせ、逝かせません。貴女達も本望でしょう?」

UC【真・黄巾力士】で黄巾力士を40m級まで巨大化
自分は風火輪、黄巾力士は飛来椅で空中戦
黄巾力士はオーラ防御で仲間を庇わせながら無差別攻撃・鎧無視攻撃
集まってくる骸魂たちを蹂躙させ、仲間や自分が大祓骸魂を攻撃する機会を作る
自分は空中機動で攻撃避けつつ雷公鞭振り回し雷属性で攻撃
火傷や痛みによる麻痺を与え仲間のUCが当たる確率を上げるよう努める

仲間に当たりそうな攻撃は空中に浚って避けさせたりもする

「逝かせ生かせて…真の貴女に、お会いしたいのですよ」



「――ああ 愛しき世界 私の世界 かがやく海 まぶしき空 ひかる大地 いきとしいけるあまねくいのち」
 “領域”が広がる。
 大祓骸魂のもつ虞が更に力を増し、そして彼女の世界を拡大しているのだ。
 世界は赤く染まる。スカイツリーの頂上から、超常の光を宿して彼岸花が芽吹き、そして瞬く間に咲き乱れた。
「すべて すべて なにもかも なにもかも 美しい 愛おしい」
 恍惚。
 大祓骸魂は、やわらかな笑みをたたえて世界を見下ろした。

 ――しかし。
「クックック……戯言はそこまでです」
 ぱき、ッ。
 ガラスのひび割れるような、あるいは、石英をこすり合わせるような音が鳴った。
「永遠に 永久に」
「――否定します。私はそれを許しません。我は久遠を拒む者。我は永遠を断じる者。我は永劫を唾棄する者」
 スカイツリー塔の周囲を囲むように、アスファルトを砕きながら水晶塊が生えたのだ。それは爆発的な速度で急激に成長し――そして、スカイツリーからゲイン塔までもを包み込む巨大な『檻』を形作った。
「無限は儚く、悠久は今朽ち果てる。汝、乱界時流の宮にて安息を得るがいい」
 極大範囲の大型結界術――【開帳・永劫否定水晶宮/カーテンアップ・アンチエターナルメイズ】。
「残念ながら、UDCアースは今を生きる命のものです。あなたの永遠とやらに巻き込まれてはたまりませんよ。クックック」
 結界の主、黒川・闇慈(f00672)は、彼岸花を踏み躙りながら敵の姿を仰いだ。
「うむ。どのような思いがあったとて、そのような妄執、許しておくことはできぬ」
 そして、光が満ちる。
 ゲイン塔に降り立った猟兵は、闇慈だけではない。
「そして、妖怪達の身を挺した献身のおかげで遂に汝の姿も我らが前に明らかとなった。今こそそれに報いる時ぞ!」
 光を降らせたのは、天御鏡・百々(f01640)であった。
「これよりこの地を神域と化す。悪しき者よ、その罪を悔い改めるがよい」
 ――【天神遍く世界を照らさん】。
 百々は神体として祀られていた神鏡の化身である。――であるが故に、彼女は一定の神格を備えていた。
 闇慈の構築した水晶結界の中に、百々の降らせた光が満ちる。それは虞を打ち払う破魔の力の発露である。
「ふふ」
 だが――その破魔の光を受けながらも、大祓骸魂は哂った。
「永劫をのぞむのは 私だけではありません きこえるでしょう きこえるでしょう 彼らの声が」
 そして、影が落ちる。
 影の中から腕が伸びた。影の中から瞳が覗いた。影の中から声が唸った。
「あああああああああああああああああああああああ」
「かえりいいいいいいいいいたいいいいいいいいい」
「ふるさと、ふるさと、ふるさと、ふるさと!」
「おおおおううううちいいいいいにいいいいい」
「かあああああえるううううううううううううううう」
 ――骸魂とは、カクリヨの妖怪とは。
 その多くは、UDCアースに生まれ、そして、忘れ去られたことで生まれた世界を追われた者たちである。
 そして――それが変質した骸魂の中には、UDCアースへの帰還と、そして故郷である地での永久の安らぎを求めるものたちも在った。
 それらが大祓骸魂の願いへと呼応することでここに寄り集まり、その傘下へと下っていたのである。
「皆 哀しいのです 還りたいのです だから私は 彼らを招きました」
 それは――彼女なりの“優しさ”か。同胞として迎えた骸魂の軍勢を、慈しむように見下ろして大祓骸魂は微笑んだ。
「……ワシの義父が言ってたな。優しさも、過ぎてしまえば狂気となる」
 だが、それは狂妄に過ぎない。
 岩永・勘十郎(f23816)は静かにその姿を仰ぎ、そして目を細めた。
「殺意や憤怒より質が悪いと……」
 想いが純粋であればあるほど、本人たちは自らの過ちに気づけない。
「だからなんだっていうのよ!結局、自分たちのワガママで大騒ぎしようってだけでしょ!」
 だからこそ、空亡・劔(f28419)のように、物事をシンプルに捉える猟兵もまた必要であった。
「そもそも、この最強の大妖怪を差し置いての大異変とは生意気よ!」
 そして、自称大妖怪空亡・劔は――別の理由で憤慨する。
「たとえお天道様が許しても、この空亡・劔が許さないわ!というわけで、あんたはあたしが叩っ切る!」
「……そうだな。奴さんに恨みはないが、斬らんといけないようだ」
 勘十郎は頷き、染み出した骸魂妖怪の群れを仰ぎ見た。
「だが、それにはまずこの連中を躱していかねばならんか」
「躱さなくたって、蹴散らしてけばいいのよ!」
 劔は剣を抜き放つ。凍気を纏うその刃を掲げ、そして展開する敵軍の姿へと対峙した。
「クックック……では、私の手を貸しましょう。いえ、既に手は打っているのですがね?」
 闇慈は体内で魔力を練り上げ、そして展開した水晶結界へと供給する。――空間を満たす魔力は時空間干渉力となって骸魂たちを戒めていた。
「うむ。我も汝らを援護しよう。進め!今こそ我ら猟兵の力を結集させる時ぞ!」
 そして、光が迸った。天之浄魔弓。百々が構えた神弓から光の矢を放ったのだ。矢を突き立てられ、骸魂がひとつ消滅した。
「ふふ――」
 しかし――再び、闇が蠢く!大祓骸魂が微笑みをたたえたその瞬間、新手の骸魂妖怪がその数を増したのだ!
「まだ増やしてきた……けど、行くしかないわね!」
 更に数を増す骸魂妖怪の群れ。劔は剣を掲げて対峙する。
「うむ。ワシも援護する。なんとかあれを突破して、奴にトドメを――」
 そして猟兵たちはゲイン塔の頂上――蠢く骸魂妖怪の群れの先、そこに君臨する大祓骸魂の姿を仰いだ。
 その瞬間である。
「――ならばその道を拓く役目、我が黄巾力士が受け持ちましょう」
 轟、ッ!
 唸る駆動音と共に戦場に現れたのは、鳴上・冬季(f32734)とその宝貝、人型機動兵器たる黄巾力士である!
「皆さん。我が黄巾力士で敵の群れを叩き、突破します。力を合わせ、戦いましょう――それでは、失敬!」
 冬季は猟兵たちへと短く言葉を投げかけると、宙を蹴立てて飛び出した。その足元で風火輪が廻る。宝貝で加速した身体が、ゲイン塔の頂上を目指す!
「任せましたよ、黄巾力士!」
《任務受諾。現時刻を以て対オブリビオン戦闘へ移行します》
 それと同時、マシンが駆け上がる!黄巾力士はその躯体に内蔵した武装を展開しながら推進剤の火を噴かす。そして、その砲身が火を噴いた!
「……ちょっと!?なにいきなり来て目立ってるわけ!?あたしも行くから!!」
 憤慨!見せ場をひとつ掻っ攫われたと劔が声をあげながら、素早く鉄骨を蹴って走りだす。――黄巾力士の砲火によって、敵の集団に穴が開いていた。劔はそこ目掛けて塔を駆け上がる!
「大妖怪・空亡劔の力を見せてやるわよ!」
 そして、劔は抜き放った凍剣の刃を振り抜いた。刃が放つ氷獄の凍気が、ゲイン塔を駆け巡る!
「あああ――」
 ――凍結!放たれた凍気は骸魂妖怪の群れを包み込み、その動きを完全に封じ込めた!
「皆、今よ!でっかいのもやんなさい!」
《承諾》
「うむ!蹴散らして進むぞ!」
「わかった。……喉元だな!」
「クックック……では、行きましょうか」
 砲撃が炸裂した。光の矢が無数に飛び交い、そして呪撃が爆ぜる。――放たれた猟兵たちの力は、現れた骸魂妖怪の群れを蹴散らし、そして道を拓く。
 かくて猟兵たちは、頂上を目指した。

「ゆきましょう ゆきましょう ああ なんて美しく愛おしい世界 星光る空 命満ちる海 光あふれる大地」
 しかして、喉元に迫る猟兵たちの気配を感じながらも、大祓骸魂はその表情を崩さない。
 確信しているのだ。自分は――愛は、正しいと。愛は揺るがぬと。愛は滅びぬと。
「成程、貴女は素晴らしき御仁のようだ…言葉遊びの好きな」
 ――その一方。冬季は一足先にここへたどり着いていた。風火輪の機動力で、敵の群れを躱してきたのだ。
「私は貴女のような方が好きですよ。ゆえに逝かせ、逝かせません。貴女達も本望でしょう?」
「いいえ いいえ 逝きます この世界は 私と 私たちとともに逝くのです」
 夢見るように微笑んで、大祓骸魂はゆっくりと冬季に視線を向ける。
 そして、刃を放った。
「づッ!」
 ばぢ、ッ!爆ぜる電光!冬季が咄嗟に雷公鞭を放ったのだ。電撃が短刀を打ち払う!
「あなたもともに ゆきましょう」
 だが――追撃!冬季が瞬きひとつしたその刹那。眼前の空間には無数の刃が浮かび上がっていた。
 ざっと数えて五百はくだらないか。その全てにを突き立てられては、如何な猟兵であっても無事では済むまい。
「ゆきましょう」
 ふわりと花咲くように緩く微笑んで、大祓骸魂は刃を放った。
「いいえ。私は逝きません。そして、逝かせません……この世界も」
 冬季は雷公鞭で迎撃する、奔る稲妻が押し寄せる刃を打ち払うが――幾本かが、すり抜ける。
「く、ッ!」
 ざッ!咄嗟に身体を捻り冬季は致命傷を避ける。頬を掠めて血が流れた。続く刃が足に突き立つ。焼けるような痛み。虞の力が毒のように冬季の存在を脅かす。
「呼ッ!」
 ――だが、冬季は自らの体内へと氣を巡らせ、虞による浸食を止めた。これでなんとか致命傷は免れる。
「ゆきましょう」
「させぬ!」
 大祓骸魂が更なる追撃をかけようとしたその瞬間――光の矢が、夜の闇を裂いて駆け抜ける!
「これ以上、お前さんに好きにやらせるわけにはいかんのでな!」
 続けて連射!隅田川を彩る夏の花火大会めいて、大祓骸魂めがけ無数の矢が天を翔ける!
 百々と勘十郎による弓矢の援護であった。大祓骸魂は襲い来る矢に対し、展開した刃の群れをぶつけて打ち払う。
「……ふふ」
 大祓骸魂は、微笑みながら見下ろした。猟兵たちの姿を捉え、そして浮かべた刃の群れに再びその意思を載せる――
「だあああッ!」
 しかして、その瞬間であった!
「……!」
 剛撃!ゲイン塔の鉄骨を蹴り、飛び出した劔が大祓骸魂に仕掛けたのである!
「ふふ――」
「くう、ッ!」
 だが、大祓骸魂は強力なオブリビオンフォーミュラである。微笑みと共に、その剣を受け止め、そして押し返してみせたのだ。
「とても とても楽しいですね」
「何よ、『まだ余裕』みたいな顔しちゃって……!」
「……実際、まだ余力があるのでしょう。彼女は、強い」
 そして、猟兵たちは再び敵の姿を仰いだ。
「……でもこっちに余裕はないわ。一気に攻め落とすわよ!あんたもまだやれるでしょ!」
「ええ……。当然」
 劔は冬季を叱咤する。冬季は傷口を抑え、一度大きく息を吐き出して笑った。
「ふふ」
「……ハハ」
 冬季は再び風火輪に火を灯す。そして、もう一度鉄骨を蹴立てて、宙を舞った。
「いきましょう」
「……ええ、そうですね。逝かせましょう。貴女を。そして、この世界を生かしましょう」
 冬季は大祓骸魂にもう一度対峙する。交錯する視線の中、二人は戦場には不似合いなほどの笑みを交わし合った。
「逝かせ生かせて……真の貴女に、お会いしたいのですよ」
 電光が迸る。
 それに対応するように、大祓骸魂が刃を展開した――その時であった。
「――?」
 その腕が、鈍る。
「クックック……」
 そして、闇慈が嗤った。
「この領域を包んだ水晶宮は、時空間干渉の術を織り込んだ結界です――」
 術式展開。闇慈は更に己が身に残る魔力を展開した結界へと供給する。
「この術式は貴女のような存在の永劫を断つために作り上げたのですよ。クックック」
 黒川・闇慈は、魔道の求道者である。
 その道を往くにあたって、彼はこう考えていた。――UDCアースに潜む邪神。永劫の時を生き、永遠に君臨するその神性。それに対峙し、それを弑さねばならぬ時は必ず来る、と。
 まさに今この瞬間が、その時であった。
 その様子を、猟兵たちは誰一人として見逃さない。
「クックック……では、任せましたよ」
「よくやった、魔術師!ならば我も出し惜しみはない!」
 そして、百々がその手の中に光を束ねた。
 ――敵が邪神であるならば、それを屠るのは自らも神格である自分の役目のひとつだろう。
「随分と大きな話だが――とにかく、奴さんを斬ればいいのだろう」
 勘十郎もまた、矢をつがえる。
 その中で、彼は素早く思考していた。空中には敵の刃が無数に展開している。ならば、これを射落とし道を開くことが、今最も必要とされている援護の手であろう。
「ワシが援護する!トドメは任せるぞ!」
 そして、再び矢の雨が降る。
 【追跡光/ターゲットトラッカー】。――勘十郎が矢に込めたユーベルコード出力が、刃に触れて爆発した。
 勘十郎は立て続けに矢をつがえ、そして放つ。その目は浮かぶ刃群の位置を的確に見極めていた。放つ矢の群れでそれを次々に射ち落としてゆく!
「光よ!悪しき虞を打ち祓え!!」
 その最中、百々の矢は放たれた。
 光の矢はまっすぐに飛び――そして、大祓骸魂を捉え、そして貫く!
「あ」
 躱せない。躱すには、この身体が重すぎる。闇慈の結界の干渉力によって、その動きは大きく制限されていたが故だ。否、それだけではない。百々が降らせて空間に満たした光もまた、邪神たる大祓骸魂の存在を戒めていた。
「はああああああああああああああッ!!」
 そして――劔が翔んだ。
 その身体は赤く光を湛えている。――【神殺しの魔王「空亡剱」】。その力を解放した姿であった。
「だあッ!」
「あ――あ」
 咄嗟に掲げた短刀で刃を止めた大祓骸魂であったが、劔はそれを押し切った。そして刃を高く掲げる!
「あなた きれいね」
「……感じるかしら。この力の高まりこそがあんたの恐ろしさよ」
 劔のユーベルコードは、対峙する者が世界にもたらす脅威度に応じてその力を増す特質をもつ。
 即ち、世界を滅ぼすオブリビオンフォーミュラを相手取った今この瞬間こそが、彼女が最大の力を発揮するときであった。
「あたしは空亡劔……世界の脅威を止める大妖怪!」
「そう」
「だから……あたしが、あんたを止める!」
「いっしょには いってくれないのですね」
「ええ――残念ですが」
 刃を振り上げる劔。そして、大祓骸魂を挟んだその反対側。そこに冬季が立った。
「やああああッ!!」
 閃光。斬撃。そして電光。
 爆ぜる雷公鞭の雷と、劔の抜き放った二刀の刃が交差するように大祓骸魂を貫いた。

「あ あ あは は ふ ふふ あはは あはは うふふ」
 しかし――大祓骸魂は、笑う。
「ああ うつくしい なんてきれい なんて素敵 なんて素晴らしいでしょう」
 その身に決して無視できぬ傷を刻みこまれながらも、大祓骸魂は立っていた。
「でも 駄目です 私は 止まりません 止められません」
 虞が広がる。彼女の領域が再び拡大し始める。
 ――猟兵たちの戦いぶりは見事であった。だが――大祓骸魂に刻まれた傷は、まだ致命に達していなかったのだ。フォーミュラであるが故に、内包した虞の力があまりにも膨大だったのである。
 しかし――間違いなく、傷は刻まれた。
 その存在核へと猟兵たちの刃が届くのも、そう遠くはないはずだ。――戦いは、続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
狂愛に溺れた奴が、最後のターゲットってか
オーオー、すげえ感情の波だ……おぞましいドロドロとしたモンを感じるぜ
カクリヨもアースも、終わらせるわけにはいかねえ
その愛を否定してやる、かかってこい

出し惜しみはしねえ──Void Link Start
【第六感】と【見切り】で恐れが振りまく死の気配を察知し、回避
よし、ここからだな…愛の花が咲き誇るってか?
だったら雨を降らせて枯らしてしまえばいい──『Genociders』
さぁ野郎ども、この空間なら奴の力は大きく落ちる
加えて地形は大きく変化し、花に塗れたこの場を上書きする

どんなに強い愛でも、お前は過去だ
故にこうして、黒の底に消えるしかない
さぁ、反撃といこうか


ミスト・ペルメオス
・POW
・連携希望

――標的確認。排除開始……!

愛機たる機械鎧を駆って参戦。
ヘルム等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
出力最大で飛翔――そして念動力を全力解放、【ミューテーション・アンスピーカブル】。
自身と愛機をサイキック・エナジーとの融合体に変異させ、戦域に念動力の嵐を巻き起こす。

大祓骸魂に念動力の嵐による弱体化を与え続けながら超高速戦闘を仕掛ける。
ヘルファイア・デバイスのエネルギー散弾連射、取り巻きの骸魂を蹴散らし。
ドレッドノート・デバイスの大威力砲撃、突貫からのビームブレードでの一閃。
こちらに意識を向けて他の猟兵への注意が疎かになれば良し。大祓骸魂を仕留められればなお良し……!


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ただ全員の力をぶつけるだけが「連携」じゃない
みんなの力をより有効にぶつけられるようにする事だって立派な連携なんだよ!

【エクストリームミッション】を発動させて飛行してボスが呼び寄せた骸魂妖怪をウィーリィくんと一緒に食い止めて他の猟兵の攻撃のスキを作る!
【弾幕】+【クイックドロウ】+【制圧射撃】でボスとの合流を邪魔してUCによる強化を防ぐ
さすがに全部とはいかないけど、それでもウィーリィくんと手分けすればかなりの数を押さえ込める!…ハズ
「ここはボクたちに任せて!」


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
(戦場を見回して)
これだけの猟兵が集まってるんなら負ける道理はないな。
もちろん、大祓骸魂はただ力押しで勝てる相手じゃない。
けど、隙を作ってそこにみんなの攻撃を集中させれば!

シャーリーに協力し「敵のUCを妨害する」事でみんなの攻撃のチャンスを作る。
奴が妖怪を召喚したら、シャーリーと手分けして【飢龍炎牙】で集まってきた妖怪を迎撃する。
たとえ全部撃破できなくても、合流を阻止出来ればそれで十分だ。

頼んだぜ、みんな!
この機を作るために自分の身を捧げて骸魂と一体化した妖怪達の決意と覚悟のために!


水鏡・多摘
強大な相手に単騎で勝つのは難しい。
だが力を合わせたなら強大な怪物も…我らが勝つ、力を貸すぞ。

可能な限り連携意識し支援重視で行動。
空中浮遊と機動、念動力で飛行を疑似再現。
龍符に式神を降霊し背に乗せ結界術の補助を行わせる。
上空から戦況を俯瞰し攻撃を受けそうな猟兵をオーラと破魔の力で結界を構築しガード。
余裕あれば氷属性のブレスを上空から吹き付けるか祟り縄を大祓骸魂に絡みつかせ行動妨害しつつダメージを狙う。
ダメージが通ればUC起動、不幸の連鎖…つまり他の猟兵の攻撃の直撃を受けやすい状態にしてしまおう。
そうなったなら無効化される程の距離を取られぬよう結界張って食い下がる。

※アドリブ絡み【血反吐】等お任せ



「ああ ああ あは あはは ああ 美しい この世界は なんて」
 揺蕩うように。唄うように。ゲイン塔の上で、大祓骸魂は笑った。
 そして――その声とともに、虞が広がる。“領域”は拡大する。それは、愛する世界を求める彼女の願いであり、希望であり、そうであると同時に、この世界のあまねく命を脅かす究極の絶望たる邪神の狂気でもあった。
「狂愛に溺れた奴が、最後のターゲット……ってか」
 ヴィクティム・ウィンターミュート(f01172)の眉根に皺が寄せられる。
 UDCアースの世界を侵食しながら咲き乱れてゆく赤い彼岸花。花が塔を満たしてゆくその光景を目の当たりにしながら、ヴィクティムは塔の頂点を仰いだ。

 うたがきこえる。
 狂気が世界を侵す。

「オーオー、すげえ感情の波だ……おぞましいドロドロとしたモンを感じるぜ」
「……何故、あのように歪んでしまったのじゃろうな」
 水鏡・多摘(f28349)はそこに並び、そして同じく塔頂を見上げた。
 多摘は竜神である。――かつてUDCアースに在り、そして邪神たちを滅ぼすために力を振るった神格の一柱。
「私はただ この世界が愛おしい この世界にかえりたい この世界とともに在りたい それだけなのです 私の願いは たったそれだけのささやかなものなのです」
 言葉が響く。その言葉には、一片の曇りも偽りもない。であるが故に、それは狂気であった。
「……」
 多摘は胸の内を抉られる思いであった。
 かつて護ったもの。失った後悔。望郷に近い想い。――ほんの僅かであったが、多摘にも理解できるのだ。その想いは。
 しかし。
「戯れるな。邪神」
 多摘の胸中には、それ以上に燃え上がる想いがある。
 ――今はもう存在しない、帰るべき場所のために。護るべきだった、護れなかった者たちのために。
「……落ち着きな、おっさん」
 しかして、その思考を遮るようにヴィクティムが多摘の胸を叩く。
「俺らは今から運命共同体。いわばチューマだ。わかるかい」
「ああ――すまんのう。我としたことが、つい昂ってしまったわ」
「でも気持ちはわかるよ。あいつの言ってること……ムチャクチャだもんね!」
「ああ。あんな奴にこの世界を好きにさせるわけにはいかない!」
 ここで口を挟んだシャーリー・ネィド(f02673)とウィーリィ・チゥシャン(f04298)が頷きあう。
「なんだ、お前らも来てたのか。あーっと……たしか、ウィーリィとシャーリー、だったな?」
 ヴィクティムは2人を横目で見ながら声をかけた。――彼らは既に多くの戦場を経験した猟兵だ。そのため、同じ戦場で戦ったこともある。ヴィクティムは電脳に残る記憶から2人のことを思い出し、声をかけたのだ。
「ああ。一緒に戦うのは……グリードオーシャンでアビ星人とやり合った時以来だっけ?」
「あの時は大変だったね。……よし!それじゃヴィクティムさん、今回もよろしくね!」
「いいとも」
 ヴィクティムは頷いた。――同じ戦場で戦った経験のある仲間であれば、その実力は保証済みだ。安心して仕事ができる。
 そう思った、次の瞬間である。
《――聞こえますか。こちらブラックバード》
 夜の闇を裂くように迸る推進剤の燃える軌跡――。漆黒の鎧装、ブラックバード。ミスト・ペルメオス(f05377)が駆る機動兵器だ。翼を開いて宙に舞う鉄の翼は高速で戦闘空域へと到達し、そして敵本体である大祓骸魂と友軍である猟兵たちの反応をセンサーに捉えた。
「聞こえてるぜ。そっちも相変わらずゴキゲンじゃねえか」
 ミストからの通信へ、ヴィクティムが声を返す。――ミストもまた、ヴィクティムやウィーリィ、そしてシャーリーと共に戦った経験のある猟兵だ。
《状況は把握しています。協力して対処しましょう》
「うん、頼りにしてるよ、ブラックバード!」
 夜の闇の中に描かれる推進剤の軌跡にシャーリーが手を振った。
「フゥム……。顔が広いんじゃな、汝らは」
 ――まあ、仲良きことは良き事哉。多摘は小さく息を吐き、夜空を翔けるブラックバードの躯体を仰いだ。
「ここで巡り合ったのもなんかの縁さ。おっちゃんだって仲間だよ。あんたも頼りにさせてもらうぜ!」
 ウィーリィが多摘の背中をぱしんと叩く。――そして、そこからあらためて表情を引き締めた。
「……よし。これだけの猟兵が集まってるんなら負ける道理はないな」
「おいおい、甘く見てると足元掬われるぜ」
「わかってるって!……もちろん、大祓骸魂はただ力押しで勝てる相手じゃない」
「うん。ただ全員の力をぶつけるだけが『連携』じゃない……そうだよね」
「そうじゃな。強大な敵に、それぞれが力をぶつけるだけでは勝つのは難しい……。だが、我々が力を“合わせた”なら、いかな強大な怪物が相手でも……我らが勝つ」
 力を貸すぞ、と多摘が頷く。
「うん!みんなの力を、より有効にぶつけられるように助け合うこと。それだって立派な連携ってことだね!」
「なら行くぞ。……カクリヨもアースも、終わらせるわけにはいかねえ」
 ――そして、ヴィクティムが再び塔を仰ぐ。
「あなたたちも 素敵ですね」
 猟兵たちを見下ろす大祓骸魂は、ただそこに佇みながら微笑んでいた。
「あなたたちも ともに ゆきましょう 愛します 私がすべてを投げ打って 愛します」
「……フザけやがって」
 その笑みに、ヴィクティムは不快感を欠片も隠すことなく吐き捨てる。
「その愛を否定してやる。かかってこい」
 そして、その手の中に刃を握った。

「ふふ」
 ――影が、蠢く。
「あああああああああああああああああああ」
「かああああああああああええええええええるうううううううううううううう」
「ふるうううううさああああとおおおおおおおおおお」
「かえしてええええええええええええええええ」
「かあああえええええええりいいいいいいいたああああいいいいいいい」
「おおおかあああああああさあああああああんんんんんん」
 そこから染み出すように、骸魂妖怪が群をなして現れた。膨れ上がる影が爆ぜ、そこから爆発的に異形が這い出す!
「……哀れな」
 聞こえる骸魂妖怪の悲鳴めいた唸りに、多摘はほんの一瞬、瞑目した。
「じゃが、奴らをいちいち相手取っていては奴に勝つことはできん。どうにか突破して――」
「それなら……俺とシャーリーに任せてくれ!」
 だ、ッ!そこで鉄骨を蹴って駆け出したのはウィーリィであった!前進とともにウィーリィは刃を抜き放ち、そしてそこに炎を纏う!
「うん!行くよ、ウィーリィくん!」
 続けざま!シャーリーはその手を掲げながら端末へと触れ、そして開いた空間ゲートから愛機ハイメガシャークを呼び出した。マシンはシャーリーの入力したコードに反応して細かな無数のパーツへと分かれ、そして再構築!シャーリーを包み込むマシンアーマーとなって顕現する!【エクストリームミッション】!
「乗って、ウィーリィくん!」
「ああ!行くぞ、シャーリー!」
 ブースト!機体を加速させたシャーリーがその速度を上げながら骸魂妖怪の群れへと飛び込んでゆく!ウィーリィは素早くアーマーに据え付けられた取っ掛かりに手をかけると、機動するアーマーの上へ位置取った!
「ヴィクティム!おっちゃん!こっちの雑魚どもは俺が引き受ける!」
「こっちは大丈夫!ウィーリィくんと手分けすれば、かなりの数を抑え込める!……ハズ、だから!」
「ああ!」
 ウィーリィの振り上げる刃から迸る紅蓮!燃える刃は闇から生まれた骸魂妖怪の群れを切り裂きながら、そして無へと還す!それと同時に、シャーリーが引き金を引いた。シューティングスター!奔る閃光が骸魂妖怪を灼いてゆく!
「ここはボクたちに任せて!」
「頼んだぜ、みんな!」
 ――【飢龍炎牙/グリード・ブレイズ】!閃く刃が炎と共に奔る!燃ゆる斬撃が蠢く骸魂妖怪たちの群れを裂き、そして爆ぜた!
「ああああああああああああああああ」
「いいいいいいいいいいいやあああああああああああああだああああああああああ」
「あああああああああああああついあついあついあついあつい」
 悲鳴めいた絶叫。だが、その悲痛な声と裏腹に動き出した骸魂妖怪たちは黒い身体を引きずりながらウィーリィとシャーリーめがけて這ってゆく。
「行け!」
「あとでボクたちも行くから!」
「……わかった。耐えろよ!」
 ――かくして2人は展開した敵群を引きつけることとなる。爆ぜる炎。奔る閃光。ウィーリィとシャーリーは、持ちうる力の全てで襲い来る敵群に立ち向かい、そして――“囮”としての仕事を果たした。
「いくぞ、おっさん!」
「……やれやれ、年寄遣いが荒いのう」
 一方、ヴィクティムは多摘の背に飛び乗った。多摘はそこから竜神の神力を用いて空を舞う――多摘はヴィクティムを乗せながら加速上昇し、塔頂に佇む大祓骸魂を目指した。
「ブラックバード!そっちはどうだ!」
《――標的確認。ターゲットサイトに捉えました。……排除、開始します……!》
 電脳を通してヴィクティムはブラックバードへと通信を繋ぐ。――コクピットブロックでその声を聞いたミストは、静かに頷きながら操縦桿を押し込んだ。
 ミストはブラックバードのリアクター出力を上昇させながら、マシンヘルムを通して自らの精神を拡散する。
 ――ミスト・ペルメオスは、鎧装を駆るパイロットであると同時に、強力な念動力を行使するサイキッカーである。
 その精神力――サイキックエナジーは、ブラックバードに搭載された機関や兵装によって拡張される。――ミストは、ここでその機構を利用して自身の念動力を増幅し、そして戦域への投射を開始していたのである。
 【ミューテーション・アンスピーカブル】。
 高まったサイキックの力は、ミストに自身の身体が融けたかのような錯覚を起こさせる。
 コクピットは心臓。その電脳は彼の頭脳。そして脊椎。マニピュレーターは彼の指先となり、その感覚はミストの神経系を通して共有される。
 今や、ブラックバードの躯体そのものがミスト自身の身体の延長線上にあった。
『……いくぞ、ブラックバード!』
 強念――ッ!機体を通して戦域に拡散するサイキックエナジーが、嵐となって吹き荒れる!
「――まあ」
 放射された強烈な思念波は、敵性体の精神へと干渉し、その思考をかき乱す強力なサイキックだ。――その威力の前に、骸魂妖怪たちがその動きを鈍らせる。大祓骸魂もまた、その影響を無視することができない。――その動きは、たしかに鈍らされていた。
 それと同時、加速したブラックバードの躯体は高速で空を翔ける。そして、敵の姿をその視界に捉えた。
『FCSリンケージ。ヘルファイア・デバイス、アクティベート――ファイア!』
 炸裂ッ!掲げた砲口が火を噴き、エネルギー弾頭がばら撒かれる。降り注ぐ光の雨がゲイン塔のそこかしこにふれて爆ぜ、骸魂妖怪たちを吹き飛ばした。
「綺麗」
 だが――その瞬間である。
 ブラックバードめがけて、無数の刃が襲った。
『……!』
 大祓骸魂は、ブラックバードを見上げながら微笑んでいた。
 遊ぶように手を振り、そして笑いながら刃を飛ばす。――生と死を繋ぐもの。ざっと数えて500は下らない。
「遊びましょう」
『く……ッ!』
 ブラックバードは咄嗟にスラスターを吹かし、反転軌道をとった。向かい来る刃の群れから逃れながら、ヘルファイア・デバイスで迎撃する。
「あは」
 だが――迎撃の火を掻い潜り、いくらかの刃は更に加速度を上げた!ブラックバードの躯体に刃が突き立つ!
 しかし、その時であった!
「――随分と緊張感がないようじゃな」
「こっちは切羽詰まってるっていうのにな。――出し惜しみはしねえ」
 閃光!そこに組み上げられた術式は結界術!ブラックバードの装甲に短刀が突き立てられるその寸前で、展開された術式防壁がそれを止めたのだ。
 その一方で、漆黒が宙を翔ける。──Void Link Started.ヴィクティムである。彼はその身に宿した黒き虚無の力を解放しながら、大祓骸魂へと迫ったのだ。
「はッ!」
「まあ」
 斬閃!エクス・マキナの刃が大祓骸魂を捉える。しかし、大祓骸魂は振り上げた短刀でそれを弾いた。
「あなたは 綺麗じゃないけど 素敵ね」
 空間が歪んだのは次の瞬間であった。――不可視の巨大なエネルギー塊。神智を越えた虞。大祓骸魂はそれを放ったのである。
 その瞬間、ヴィクティムの電脳はありとあらゆる計測器が異常値を訴えた。あらゆるデータがヴィクティムへと警告を告げる――『触れたら死ぬぞ』と。
「ドレック!ムチャクチャなパワーじゃねえか!」
 刹那。ヴィクティムの神経系に埋め込まれた神経系ブースターは素早くアドレナリン物質を分泌した。応じてクリアになる思考。ヴィクティムは咄嗟に飛び退いて、不可視の虞を躱す――ヴィクティムが1秒前まで立っていた鉄骨に、彼岸花が咲いていた。
「ふふふ 鬼ごっこですね」
 だが、大祓骸魂はすぐに“次弾”を構える。再び歪む空間――!
「ならば、鬼は我の役目じゃ」
 しかしその時、上から伸ばされた縄が大祓骸魂を絡め取ったのである!
「捉えたぞ、邪神。――汝らはあまねく根絶やしにされねばならん」
 ――祟り縄!多摘が神力を通したそれは、強い力で大祓骸魂へと結びつき、そして縛り上げたのだ!
「まあ まあ ふふふ 怖い怖い」
 だが――大祓骸魂の微笑みは崩れない。
「おっさん、避けろ!後ろだ!」
 不意に、ヴィクティムが声を投げかけた。風切りの音。多摘は咄嗟で横へ飛び退いた。その空間を、短刀が突き抜けてゆく。
「あはは」
「むッ……!」
 駆け抜ける刃は縄を裂き、大祓骸魂が自由を取り戻す。
「楽しいですね」
 そして――再び、その力が膨れ上がった。膨大な虞が再び空間を満たし、世界の色を染め上げてゆく。
 ゲイン塔からスカイツリーに至るまで、咲き乱れる彼岸花。世界に満ちる緋色の色彩。展開する自己領域で、大祓骸魂は世界を自らの支配下に置こうとしている。
「……愛の花が咲き誇るってか?くだらねえ」
 だが、ヴィクティムは吐き捨てる。
「だったら雨を降らせて枯らしてしまえばいい──俺の“黒い雨”でな」
 【『Genociders』】。
 ――ヴィクティムが自らの領域を展開する。それは彼の身に宿る虚無の力を、『オブリビオンを屠る』という意志によって指向性を持たせた滅びの領域だ。
 黒い雨が降り注いだ。
 それは咲き乱れる彼岸花の赤を塗り潰し、世界を黒く変えてゆく。
「あ」
 その時、大祓骸魂から笑みが消えた。
「私の 愛を」
「どんなに強い愛でも、お前は過去だ」
 雨にその身を濡らしながら、ヴィクティムは大祓骸魂を睨む。
「故にこうして、黒の底に消えるしかない――いくぞ野郎ども。反撃の時間だ!」
『ブラックバード了解……攻勢に加わります』
「……うむ」
「――ああ!いくぜ!」
「これで終わりにしよう!」
 応じるように、猟兵たちが声をあげる。
 ブラックバードはターゲット・サイトの先に大祓骸魂を捉えた。
 多摘はその身に神力を高める。
 ゲイン塔に配されていた骸魂妖怪の群をあらかた払い終えたウィーリィとシャーリーも、ここへ合流した。
「どうして」
 大祓骸魂が悲痛な声を漏らす。
「汝が邪神である故じゃ」
 零度。――多摘は全霊の力を以て氷の吐息を吹き付ける。『黒い雨』によってその力を削がれた大祓骸魂は、対応が間に合わない。極大の凍気を正面から浴びせられる!
「汝はここに在ってはならぬ者……せめて迷いなく滅ぶがよい」
「あ あ あ ああああああああ」
 そして――呪縛!多摘がそこに込めていた【連鎖する呪い】が、大祓骸魂の身体を更に戒める!
「この機を作るために、たくさんの妖怪たちが自分の身を捧げたんだ。その決意と覚悟のために……」
「いくよ、ウィーリィくん!」
「ああ、いくぞ野郎ども!」
 続けざまに奔る閃光。――シューティングスター!シャーリーが引き金を引く。放たれた光は大祓骸魂に命中して爆ぜ、怯ませた。
 同時にヴィクティムとウィーリィが奔る。振りかざす刃。大包丁とエクス・マキナ!2人は得物を手に、大祓骸魂へ迫る!
「どうして どうして 私はただ 愛しているだけなのに」
「認めるか、そんなもん」
「ああ。……そんなの、愛じゃない!」
 交差する剣筋。ふたつの刃が、大祓骸魂へと深く傷を刻みこむ!
『――標的確認。ターゲット・インサイト。……標的を、排除します』
 そして。
 光が、迸った。
 ――ブラックバードである。その躯体に搭載した最大火力である、ドレッドノート・デバイスによる砲撃であった。
 膨大な熱量をもって放たれた光の奔流が、大祓骸魂を呑み込んでゆく。

 だが――光が晴れた、その時。
「ああ ああ ああ」
 悲痛に涙する声が、猟兵たちへと届く。
「私は悲しい」
 そう。
 ――大祓骸魂は、未だ健在であった。
 その身に宿す虞の力は、猟兵たちのユーベルコード出力によって着実に削り取られてこそいるものの――それでも尚、滅びには至っていないのだ。
「ですが それでも」
 そして大祓骸魂は顔を上げる。
「それでも 愛します」
 再び、彼女は微笑んだ。
 ――戦いは、未だ終わらない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

マヒロ・ゾスティック
【ぺたん娘同盟】

愛が1人よがりなのはちゃんと愛されてないからだよねぇ
なら、例え救えなくてもしっかり愛してあげなくちゃね?

アリスちゃんが派手に動いてる間にボクはさりげなくUCでアルラウネに変身して根を戦場に広げてく
鉄だろうと植物は張れるもんね
相手が妖怪たちを周りに集めたら巡らせた根から、◆マヒ毒の花粉を固まったところに撒き散らす
弱った妖怪からボクや根から伸ばした蔦で◆捕縛
スカイツリーから放り出して
数を減らしていって能力を弱めていっちゃお

大祓ちゃんも蔦や花粉で牽制かけて、アリスちゃんが決められるようにサポートするね♪

じゃあ後はアリスちゃんを手伝って大祓ちゃんをたっぷり愛してキモチよくしてあげるね♪


アリス・セカンドカラー
【ぺたん娘同盟】
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

大祓骸魂ちゃんとは気が愛そうな気がしたけど、ヤンデレちゃんだったかー。せっかくの玩具箱(世界)を壊されたくはないので、私達【ぺたん娘同盟】がたっぷりと愛を注いで骸の海におかえり願いましょ。
ワンダーテクニックで想造したネオタントラの技能で気持ちよーく逝かせてあげるわ♡淫魔的な意味で料理して、淫魔的な意味で捕食して、腰を密着させる情熱的ダンスでたっぷりと愛してあげる♡集団戦術で【ぺたん娘同盟】メンバーと式神使いで召喚した眷属達で協力して御奉仕するわ☆
救えないのなら私の中で『一つになって』“永遠”にしてあげる♪


二色・ありす
【ぺたん娘同盟】
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

本体(アリス・セカンドカラー)と一緒に大祓骸魂を天国に導きますよ。
大祓骸魂のウサギの穴に干渉して気持ちよくなっていただきましょう。
愛故に殺して永遠にする、気持ちは分からなくはないですがね?その方法だともう二度と遊べなくなっちゃうじゃないですか。ああ、オブリビオン化すればとかそういうお話?ま、猟兵である以上は認めるわけにはいきません。
それはそれとして、ボク達でたっぷりと愛して天国に逝かせてあげましょう♡
快楽を伴う継続ダメージのエナジードレインでエネルギー充填してますから、何度果ててもすぐに立ち上がる継戦能力維持できますよ♪



「あの子とは気が愛そうな気がしたけど、ヤンデレちゃんだったかー」
「愛が1人よがりなのはちゃんと愛されてないからだよねぇ」
「うーん。愛故に殺して永遠にする、気持ちは分からなくはないですがね?」
 【ぺたん娘同盟】であった。
 やや緊張感に欠けるやり取りをしながら、この彼岸花の領域へと3人の猟兵が踏み込む。
 マヒロ・ゾスティック(f31759)。きもちいいことが好きなタイプのえっちな猟兵である。
 アリス・セカンドカラー(f05202)。きもちいいことが好きなタイプのえっちな猟兵である。
 二色・ありす(f23683)。アリスの分体ともいうべき存在である。多分これもえっちな猟兵である。
「あら。ありすちゃんはあーいうの理解できる系?」
 大祓骸魂のいう愛の形に理解を示したありすへと、アリスは問うた。
 ありすは一度頷いてから講釈する。
「わかりますよ。ほら、『死がふたりを分かつまで』って言うじゃないですか。生きてる間の情愛は死んだ時がエンドラインになっちゃいますよね?」
 ありすは一度頷いてから講釈する。
「ふんふん」
「でも殺してからの永遠だと、死ぬところがスタートラインなんですよ。だから理屈としてはわからなくもないです」
「じゃあありすちゃんはそういうふうにするのもいいって思う?」
「まさか。その方法だともう二度と遊べなくなっちゃうじゃないですか」
「しかも殺される方のことは考えてないからねぇ」
 独りよがりの極致だよねぇ、とマヒロが口を挟む。
「……ああ、でも。ああ、オブリビオン化すればとかそういうお話?」
 ここでありすがはたと気づいた。
 ――UDCアースそのものを骸の海に引きずり込む、ということは、『世界そのものをオブリビオン化する』という意味合いなのでは?
「大それたお話ね」
「ま、猟兵である以上は認めるわけにはいきません」
「そうね。せっかくの玩具箱、壊させてあげるわけにもいかないし」
 そう。彼女たちは世界のことを玩具箱と扱うタイプの存在であり、きわめて特殊な性質を持ってこそいるものの、猟兵としての在り方を外れてはいないのだ。私欲であっても世界を護る意志がある。
「じゃ、作戦開始よ♡ 私達でたっぷり愛を注いで骸の海におかえり願いましょ」
「うんうん。救えない子だっていっても、しっかり愛してあげなくちゃね?」
「ええ、ええ。ボク達でたっぷりと愛して天国に逝かせてあげましょう♡」
 かくして――彼女たちの戦いが始まる。

「まあ すてき」
「ンンンーーッ♡♡♡」
「あっ……♡ すごい……♡」
 悶絶!
 真正面から大祓骸魂へと挑みかかったアリスとありすであったが、敵もオブリビオンフォーミュラ。その身に蓄えた虞とユーベルコード出力たるや絶倫であった。
 アリス・セカンドカラーという猟兵の戦闘技術は、高度な結界構築能力によって自己領域を展開し、その内側に取り込んだ者へと強力な干渉を行うことで“遊ぶ”ことが特筆される。
 しかし、大祓骸魂のもつ特質もまた膨大な虞によって構成された自己領域の拡大である。アリスは猟兵としては非常に高レベルの――それは即ちあらゆる世界における術者として最高位という意味である――術者であったが、オブリビオンフォーミュラである大祓骸魂はそれに比肩する領域支配能力をもつ。
 それを見抜いて同じ土俵での直接対決を避けたアリスであったが――大祓骸魂は、“こちら”の意味でもフォーミュラ級であった。
「たのしい遊びなら 私も得意です」
「あっ♡」
 大祓骸魂は、(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)した。堪らずありすは(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)する。
「はあ……はあ……」
 ありすは大祓骸魂からの苛烈な構成で既に2度(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)していた。だが、ありすもただ押されているわけではない。他者のエネルギーを吸収する特質をもつアリスの分体であるありすもまた同様にエナジードレイン能力を扱うことができるのだ。ありすは(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)での接触によって大祓骸魂からエネルギーを補充し、継戦能力を高めていたのである。
「ふふ……♡ まさかこれほどまでとはね……♡」
 一方、アリスは術式によって呼び寄せた眷属であるワンダーラビットの群れを率いて大祓骸魂へと攻め寄せていた。
 だが、大祓骸魂の指先は巧みにアリスとその眷属たちの技巧を捌き、イニシアチブを奪いながら攻守の逆転を許さない。
「たのしいですね」
「あっ……♡」
 バリタチ!凄まじい(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)によって、また一人ワンダーラビットが消滅した。

 その一方。
「アリスちゃんたちは巧くやってますかねぇ」
 マヒロはゲイン塔の足元へと陣取りながら、その身体を植物状の異形に変異させてその根を伸ばしていた。
 【淫魔忍法・変化植物人間の術】である。植物魔獣アルラウネへと変身したマヒロは、そうして根ざしたゲイン塔全体に自らの影響力を伸ばしていったのである。
「あああああああああああああ」
「かああああああああああええええええええええりいいいいいいいいいたああああああいいいいいいいいいい」
「お。出え来た出て来た」
 そして、塔の影から蠢く骸魂妖怪の群れが姿を見せる。
 マヒロは妖怪たちへと向けて這わせた蔦に花を咲かせ、麻痺毒の効果を持つ花粉を撒き散らした。
「あああああああああ」
「はい、さよならさよならー」
 突如麻痺毒を浴びせられて怯む妖怪たち。マヒロはそれらを一つ一つ伸ばした蔦で捉えて、塔のそとへぽいぽい捨ててゆく。
「ああああああああああああああああ」
「よしよし。じゃ、ボクもアリスちゃんのとこいこっかな」
 かくして塔の全域を支配下に置きながら、マヒロは塔頂へと動き出す。

「んっ……♡」
「あっ♡」
「あは」
 ――アリスは苦戦していた。大祓骸魂の(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)は、想像以上にハイレベルだったのだ。
 アリスが【不可思議なる超絶技巧/ワンダーテクニック】で攻め寄せれば、大祓骸魂はその身に宿した膨大な虞の力を込めながら強力なエネルギー逆流を起こしアリスと眷属たちへと虞の力を流し込む。そしてその力の余波によって周囲には彼岸花が赤く咲き乱れていた。花びら大回転!大祓骸魂は更にその攻勢を強めてゆく!
「うっ……ふう……♡」
 一方、ありすもまた果敢に大祓骸魂へと挑み続けていた。既に幾度となく(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)させられていたが、ありすは不屈の精神でそれに対抗してみせる。
 状況は大祓骸魂が押していた。このままではアリスたちは2人まとめて(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)されてしまうだろう。
 だが――その時である!
「あれ、アリスちゃん大丈夫?珍しいね」
 しゅる――ッ!青々と延びた蔦が、大祓骸魂を絡め取ったのだ!マヒロが戦場へと到着したのである!
「ふふ……先に終わらせてたらかわいそうだと思って、マヒロちゃんを待ってたのよ♡」
 強がるアリス!そしてアリスはそのままマヒロへと流し目を送り、手招きする!
「さ、一緒に気持ちよくなりましょう♡」
「わぁい。じゃあボクも混ぜてね。たっぷり愛してキモチよくしてあげるね♪」
「まあ まあ いいでしょう 何人増えても同じことです」
 ――決戦!
 かくしてここに集った3人の猟兵は、これより一転攻勢へと移り大祓骸魂との筆舌に尽くしがたい戦いを繰り広げるのである。
 だが――それでも、大祓骸魂の虞は膨大で、強力だ。これを滅ぼすことは容易ではない。
「私の中で『一つになって』“永遠”にしてあげる♪」
「いいえ いいえ 永遠をもたらすのは 私です 私が この愛しき世界を」
「そういうのはいいから♡」
 ――戦いは、続く!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

月夜・玲
流石は大ボス、大層な強さで
でも究極妖怪ってネーミングは何かこう…あれじゃない?
良いけどさ
さてと、ガチンコ…といきたいけど今回は援護に回ろうかな
大祓骸魂の様子も観察して私のUDC研究に役立てたいしね


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【断章・不死鳥召喚】を起動
不死鳥に他の猟兵の助けとなるよう、戦場を撹乱するように懐刀の注意を引いたり
大祓骸魂に突っ込んで足止めさせたりしよう
私も遠距離から『念動力』で拡張した『斬撃波』を払い、懐刀達を『吹き飛ばし』たり
大祓骸魂に直接当てるように放って注意を此方に向けるように立ち回ろう
飛んできた攻撃は『武器受け』して切り払ってガード!

アドリブ歓迎


白斑・物九郎
【エル・クーゴー(f04770)と連携】
●POW


ワイルドハント、白斑物九郎――
究極妖怪を狩りに来た!

・『砂嵐の王・死霊大隊Ⅱ』発動
・ゲイン塔目掛け、空を駆ける幽霊狩猟船で乗り付ける
・コードによる船体の維持(力溜め)と、敵群を搔い潜り大祓骸魂へと距離を詰めに掛かる【野生の勘】による先読みを踏まえた操舵に専心

・敵群を掻い潜る為【天候操作】によって招来した嵐に乗っての急加速や【念動力】による船体の急回頭といった荒技の使用も織り込む

・船に同乗しているエルのことを、コードによる強化対象――「このドールもまた艦載武装である」と定義
・エルに強化を込め、満を持して船よりカタパルト射出、大祓骸魂の許へと送り込む


エル・クーゴー
【白斑・物九郎(f04631と連携)】
●POW


躯体番号L-95
これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します


・物九郎の船に同乗
・船を構築するコード組成に電脳魔術で干渉(ハッキング)、己を「艦載武装」として接続

・船体に己のアームドフォート同様の武装を適宜生やし(メカニック+武器改造)、敵妖怪達の集合を阻害する全方位攻撃を敢行(砲撃+弾幕)

・物九郎からの強化とカタパルト射出を得て、大祓骸魂へ突貫ざま『嵐の王・蹂躙円舞』解禁(空中機動+推力移動+空中戦)
・敵妖怪達を【誘導弾】の【一斉発射】による【範囲攻撃】で【蹂躙】ざま、【瞬間思考力】で割り出した射線をなぞりライフル狙撃(スナイパー)


エルナリア・アリルゼノン
【アリエル】
その思想は理解に苦しみますが、そういう愛の形もあるかもしれません。
ですがその為に世界すら滅ぼすのは明らかに行き過ぎと言えるでしょう。
行きましょうアリル、永遠に逝くのは彼女ひとりで充分です。

UCで複製したソーシャルレーザーを展開。
SNS上の繋がりから電力を分けてもらい必要な[エネルギー充填]及び[リミッター解除]を行います。
チャージの間、アリルが出来る限りの時間を稼いでくれるはずです。彼女を信じ、エルナは自分の仕事に専念します。
そして残存する全てのレーザーのチャージが完了した所で、一斉に発射します。
目標はもちろん大祓骸魂です。巻き込まれない様に注意してください。


アリルティリア・アリルアノン
【アリエル】
うわっ、この人ちょっと感情重過ぎ…(ドン引き)
ともかく!身勝手な愛の為にこの世界を滅ぼすなんてノーサンキューです!
愛の使者、バーチャル魔法少女アリルちゃんが成敗してやります!

さあエルナちゃん、準備はいいですか!
まずはアリルがこの空間に本物の猟兵そっくりな立体映像を展開([アート][残像])、攻撃を[おびき寄せ][時間稼ぎ]をします!
それでもこちらに向かって来る攻撃はUCで撃ち落としたり、電脳バリア[オーラ防御]を展開して出来る限り被害を抑えるので安心してください!
準備が整ったら、エルナちゃんの一撃をお見舞いしちゃってください!
それに合わせてこっちも[全力魔法]でダメ押しです!



「愛します」
「愛しています」
「愛しき世界」
「愛しき星」
「ああ ああ」
「なんて 美しい」

 ――スカイツリー塔頂。更にその上方。
 ゲイン塔。

「私の愛は揺るがない 私の愛は傷つかない 私の愛は尽き果てない」

 そこに、大祓骸魂は立つ。
 その手に持った刃、ヤマラージャ・アイビー。『生と死を繋ぐもの』は、今や膨大な虞の力をため込んだ強大な呪具と化していた。
「永遠に 永久に 逝きましょう 私と共に 永遠に」
 そして――大祓骸魂が、その刃を掲ぐ。
 しかし。
「全隊、攻撃開始!」
 砲撃。
 放たれる閃光が、鉛の弾丸が、そして炎の翼が大祓骸魂の座すゲイン塔へと一気に押し寄せ、激しく爆ぜた。
「あは」
 だが――大祓骸魂は、その爆炎を薙ぎ払う。
 そして、その口の端に緩く微笑みを湛えながら、空を仰いだ。
「まあ 素敵」
 その双眸の向けた先に――彼女は、浮かぶ船を見る。
「猟団長及び猟団員へ通達。敵性、こちらを捕捉しました」
 エル・クーゴー(f04770)は向けられた気配を鋭敏な感覚センサーによって察知し、状況をアナウンスする。
「あれだけ撃ち込んでやったっていうのに、まるで効いてないみたいね。流石は大ボス、大層な強さで」
 血振りの仕草。ふた振りの剣を手にしながら、月夜・玲(f01605)はそこから塔を見下ろした。
「えーっ!今のでダメなんですか!?もう勝ったと思ったのに!」
「それは早計ですアリル。今のはエルナの計算でも、撃破は不可能な数値でした」
 声を上げるのは、アリルティリア・アリルアノン(f00639)とエルナリア・アリルゼノン(f25355)。2人は電脳を介した網膜であらためて敵の姿を捉え、そして状況を再確認。戦闘用データを更新する。
「そンなら、倒れるまでブチこんでやりゃアいんすよ!」
 ごう、ッ。――風を切って、狩猟船が空を翔ける。その操舵を握るのは、猟兵団ワイルドハント猟団長こと白斑・物九郎(f04631)であった。
 物九郎はこの戦いに決着をつけるべく、猟団員と合流し、この戦場へと参じたのだ。【砂嵐の王・死霊大隊Ⅱ/ワイルドハント・ネクロトライブ】――ユーベルコードによって形成した、この『空飛ぶ幽霊船』を駆って!
「エル!戦闘態勢!手筈通りでよ!」
「了解しました、猟団長。当機はこれより機体登録情報を再定義、及びユーベルコード組成へと介入し、情報の更新を行います」
 叫ぶ物九郎。その声に応じて、エルは自身のマシン躯体に登録された情報を書き換える。――再定義。躯体番号L-95は、『艦載武装』である、と。
 ――ここに白斑・物九郎が展開したユーベルコードは、自身の召喚した狩猟船の『艦載武装の戦闘力を増強する』という性質をもつものだ。エルは自身を艦載武装であると定義することによって、物九郎のユーベルコードによる強化支援の恩恵を得る作戦を展開していたのである。
「また、現在の戦場においては同様の適性を持つ猟団員が確認されています。データリンクを推奨しますが」
「やっとけ!アリル!エルナ!玲!お前さんらも文句ねぇすな!」
「いいですね、みんなの共同作業じゃないですか!」
「エルナも異論ありません」
 電脳世界に根差すバーチャルキャラクターであるアリルとエルナは、この作戦に対して相性がいい。2人はエルとのデータリンクを行い、一時的にエルの指揮系統下へと組み込むことで艦載武装の一部であるという定義を得た。
「了解。それじゃ、接続受け入れしとくわね」
 そして玲の備えた戦闘装備は電子制御部を備えたガジェットだ。これもまた、エルとデータリンクを行うことで一時的に物九郎繰る狩猟船の艦載装備として定義される。
「猟団長。当機以下4名、戦闘準備が完了しました。いつでも出撃可能です」
「おう」
 操舵!――エルたちが戦闘準備を整えてゆく裏で、物九郎は激しく舵輪を回していた。
 敵の迎撃は既に始まっており、閃く無数の刃であるとか、不可視の虞であるとか、あるいは影から染み出した骸魂妖怪の群だとかが狩猟船に攻勢をかけていたのである。物九郎はその間操舵に専心し、回避機動に努めていたのだ。
「ンじゃア、準備できましたわな。――そんなら、始めやしょっかや!」
 だン、ッ!
 物九郎は甲板を強く踏みしめながら、猟団員たちへと振り返り、そしてその腕を掲げる!
「猟兵団ワイルドハント!――俺めらは、今から究極妖怪を狩る!」
「究極妖怪、ねぇ……強いのはわかるんだけど、ネーミングは何かこう……あれじゃない?」
「いいじゃないですか!それだけわかりやすく強いってことです!それをやっつけるアリルちゃんたちはもっと究極ってことじゃないですか!?」
「二人とも、ここ、決めのとこですよ」
「はい。“キメのとこ”です」
 そして、エルが頷いた。
「躯体番号L-95。及び猟兵団ワイルドハントは、これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します」

 かくして、5人の猟兵が飛び出した。
「ふふ ふふふ」
 空中戦闘用ブースターユニットの火を吹かし、船より射出されたエルが加速しながらゲイン塔へと迫る。
「広域殲滅空戦モードに移行。FCSリンケージ。ターゲット捕捉……攻撃開始」
 閃光。電離パルスの光が走り、電脳空間ストレージよりエルが武装を展開する。【嵐の王・蹂躙円舞/ワイルドハント・ジェノサイドサーカス】。起動するそのユーベルコードは、その名に違わずエルの戦闘機動能力を大幅に向上させる。エルはゲイン塔を中心に旋回するような軌道をとりながら、兵装コンテナからミサイルハッチを開く。
 斉射。見下ろした先、塔のそこかしこは大祓骸魂によって呼び出された無数の骸魂妖怪がひしめいている。エルはこれの排除を優先したのだ。
 そして――それに続き、物九郎たちの姿が飛び込んだ。
「あなたたちも ともに逝きましょう 愛します 私が愛します」
 それを仰ぎ見て、大祓骸魂が動き出す。
「私は愛しています この世界を 輝く海を 眩しい空を あまねく命を愛しています あなたたちも」
「うわっ、この人ちょっと感情重過ぎ……!」
 大祓骸魂の物言いに、アリルがヒいた。
「その思想は理解に苦しみますが、そういう愛の形もあるかもしれません」
「えっ!?エルナちゃん的にはアリなんです!?」
「いえ、ナシです。その為に世界すら滅ぼすのは明らかに行き過ぎと言えるでしょう」
 アリルとエルナの姿は素早くゲイン塔を走り、骸魂妖怪の群を掻い潜りながら大祓骸魂へと距離を詰めてゆく。
「ですよね!とゆーわけで、身勝手な愛の為にこの世界を滅ぼすなんてノーサンキューです!いきますよおおはらい……えっと、悪いやつ!愛の使者、バーチャル魔法少女アリルちゃんが成敗してやります!」
「いいえ いいえ 私の愛は すべて包みましょう」
「ハ――戯言も大概にしとけっつの!」
「ええ、これ以上好き勝手はさせないわ」
 更に物九郎と玲の姿も大祓骸魂へ距離を詰めてゆく。包囲するように迫る猟兵たち――しかし。
「大丈夫 私がつれてゆきます」
 その瞬間、大祓骸魂は手にした刃を放った。
 放たれた刃は無数に複製増殖し、そして凄まじい速度と曲芸飛行めいた奇怪な三次元軌道を描いて猟兵たちへと襲い掛かる。その総数は五百をくだらない。
「あなたたちのことも 私が愛します」
 それらすべてが、猟兵たちへと一斉に襲い掛かった。
 刃が突き立つ。アリルの、エルナの、玲の、エルの、物九郎の――姿が、その刃の餌食となった。猟兵たちの姿は無数の刃によって貫かれ、その身体が――“砕け散って、消える”!
「今ですよ、エルナちゃん!準備はいいですか!」
 そして――今しがた刃に貫かれ、砕けて消えたはずのアリルの声が響いた。
「まあ 不思議」
 そう――ここまで大祓骸魂が見ていた猟兵たちの姿は、全てアリルが電脳魔術によって構成した虚像!
 実際にゲイン塔へと降りていたのは、射撃攻撃のため接近したエルとこの虚像展開のために降りたアリルの2人だけだ。大祓骸魂は、時間稼ぎに付き合わされていたのである。
「はい。お陰様で。……いい仕事でした、アリル」
 大祓骸魂が仰いだその空には、無数の砲身が展開していた。
 【パラレル・シューティング】。――自身の保有する射撃兵装を複製展開するエルナのユーベルコードである。
「大祓骸魂……永遠に逝くのは、あなたひとりで充分です」
 ばち、ッ。浮かび上がる砲口へと、光が満ちる。ソーシャルレーザー。携行型荷電粒子砲!その威力は物九郎のユーベルコードによる強化を受け、通常時の倍近くまでその出力を高めている!
「まあ まあ ふふ 綺麗ね」
 だが――それを仰いだ大祓骸魂が、素早く手を打つ!風切りの音!同時に空を翔ける無数の刃!大祓骸魂は、複製増殖させた刃でエルナの展開した武装の撃ち落としを狙ったのである!
「――綺麗なものが見たいなら、ぜひこちらにも注目してもらいたいね」
 しかしその瞬間、蒼く燃ゆる炎が翼となって飛翔した!
「まあ」
 【断章・不死鳥召喚/フラグメント・フェニックスドライブ】――玲のユーベルコードである。模造神器を通して発露したユーベルコード出力は、蒼炎で形作られた不死鳥の姿となって夜の闇を燃やす。駆ける翼は大祓骸魂の放った刃の群の中へと飛び込み、攪乱したのだ。
「可愛いアリルちゃんのことも忘れないでくださいね!!」
 更に迸る閃光!【タキオンシュート】だ!ゲイン塔から上空の状況をたしかめたアリルもまた、その手から光を放って大祓骸魂の刃を迎撃したのである。
 かくして、路は開く。
 上空に広がるソーシャルレーザーの群は、遂にその砲口より光の雨を降らせた。――それはまるで荒れ狂う暴風雨。降り注ぐ光が大祓骸魂へと収束し、そして光で満たす。
「あ あは あ ああ あ」
 だが――光が世界を染め上げてゆくその中にあっても、大祓骸魂は微笑んでいた。
 抗うように手を伸ばし、その身に宿した虞の力を更に解放してゆく。
 愛は尽きない。愛は折れない。愛は朽ちない。愛は負けない。愛は死なない。
「うつく しい」
 恍惚とした輝きが、大祓骸魂の双眸に満ちる。
 ソーシャルレーザーの光が晴れても尚、敵は健在――そして、大祓骸魂は再びその力を広げ始める。膨れ上がる虞の力。空間を満たしてゆく巨大なプレッシャー――。
「まだ、届きませんか……」
 敵の存在力の計り知れぬ強さと大きさに、ぎり、とエルナが歯噛みする。
「ちょ、ちょっとこれ以上はまずくないです!?」
 アリルが慌てる。
「だけど、きっとあと一押しのはずよ。……諦めず、行きましょう」
 玲が剣の柄に手をかける。
「……エル!」
 ――その時、物九郎が鋭く叫んだ。
「了解」
 エルが短く応え、その腕の中に物干し竿めいた長銃身の兵装を展開する。
 L95式アンチマテリアルライフル。
 エルは素早く射線をなぞり、照星の先に敵性の姿を捉えた。
 そして、引き金を引く。
「あ」
 だん、ッ。
 重たい砲声とともに銃口から放たれた大口径弾頭が、秒速800メートル超の加速度でもって奔り抜け、大祓骸魂の胸を貫く。
「ごぼっ」
 その胸に握り拳ほどの穴を穿たれ、大祓骸魂は赤黒く血を吐いた。
「あ あ ああ あは は ふ ふふ」
 それは、決着の瞬間であった。
 これまでの戦いにおいて多くの猟兵たちが叩き込んだユーベルコードの数々は、十分に大祓骸魂の存在力を削っていたのだ。
 そうしてここで撃ち込まれた一撃が最後のとどめとなり――かくして、遂に大祓骸魂の存在核を穿つに至ったのである。
「あ……」
 スカイツリー塔を包んでいた大祓骸魂の領域が、急激にその影響範囲を狭める。狂い咲く彼岸花が一斉に散り、そして無へと還っていった。
 花は、空を仰ぐようにして倒れた大祓骸魂の周りに幾本かが咲くのみとなり――だが、それも散ってゆく。
「ねえ」
 そして、掠れる声で骸魂は声を漏らした。
「さっきの とり もう いちど」
「……わかったわ」
 その声に応じるように、玲がもう一度ユーベルコードを起動させる。
 広がる蒼い炎の翼。浄めの火によって構成された不死鳥が、再び空を舞う。
「きれい」
 そして手向けられる花のように、燃ゆる翼は骸魂のもとへと降り立った。その身体を、浄化の蒼炎が包む。
「かがやく うみ まぶ しい そら ひか る だいち か がやく いのち」
「なん て うつく しい なんて いとお しい」
「あい して います わた しは あい し て」
 ――かくして、その躯体は灰となり、消え果てる。
 カクリヨとUDCアース。ふたつの世界を脅かした根源である邪神、大祓骸魂は、ここに滅びたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年05月31日


挿絵イラスト