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大祓百鬼夜行㉕〜愛を込めて介錯を〜

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#大祓百鬼夜行


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「繧医≧繧�¥縺薙%縺セ縺ァ蟶ー縺」縺ヲ縺薙l縺セ縺励◆」
 東京スカイツリーの最上部に設置された、アンテナやその周辺機器を収納するための構造物「ゲイン塔」。その先端に1人の少女は立っていた。
 彼女こそ今回の事態の引き金を引いた骸魂の元凶たる究極妖怪にしてUDCアースに伝わる大いなる邪神が一柱、大祓骸魂。
「ああ、愛しきUDCアース。あなたを思う私の愛は揺るがない。だから、私は帰って来たのです」
 ノイズ混じりだった声が鮮明となり、万感の思いを込めた言葉が聞き取れるようになる。
「この懐刀は鈍だけれど、時間をかければ誰でも、何でも、殺すことができる。殺したものは過去となり、骸の海で永遠となる」
 刀身に触れても肌すら切れる気配がない得物を愛おしそうに撫でた大祓骸魂は足元に広がる夜景に優しい眼差しを向けた。
「愛するUDCアース、あなたを永遠にしたい。あとひと刺しでそれが叶います……猟兵たちよ、止められますか。電波塔の頂上で、あなたたちを待っています……」
 彼女が欲するのはこの世界に無償の愛を捧げることだけ。だがそれは、この世界の崩壊を意味していた。

「ようやく大祓骸魂の居場所が割れました! 所在地はUDCアース、東京スカイツリー頂上です!」
 興奮した面持ちでルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)は集まった猟兵達に向け、大声で呼びかけた。
 塔の頂上といえば人によっては展望台を想像するが、今回は本当に塔の先端部である。
 しかし大祓骸魂の体に込められた膨大な虞によって、スカイツリー周辺、ひいては東京の上空はカクリヨファンタズムのような空間に変化している。そのため空を飛べなくとも地上と同じように行動することが出来、落下する心配をする必要はない。
 そして充満している虞はその範囲に踏み込んだ者達に様々な状況を提示してくるという。
「それはこれまでのオブリビオン・フォーミュラと対峙した時によく起こる『真の姿に戻る』現象も含まれてますが、それが起こらずに別の事象が発生することも確認されております」
 例えば「食べない限り戦場を埋め尽くす勢いで大量の料理を提供してくる屋台街」や「作ると武器になる大量の駄菓子が販売されるマヨイガ」、「張り巡らされた踏切と線路を疾走する妖怪列車」に「1時間以内に脱出しなければ命が刈られる重ね鳥居」などが本来あるはずがない物が空中に現れるのだ。
 そう、それらは全てここ1ヶ月の間に猟兵達が対峙してきたカクリヨファンタズムとUDCアースで起きた異変だ。
 百鬼夜行の長として全ての事件に関与していたのか、虞が猟兵達の記憶に反応して再現しているのか、原因は不明である。だがそれらを乗り越え、利用しなければ大祓骸魂を倒すことは叶わない。
「ですが、皆様の中には普段の戦場よりも戦いやすかった……って感想を抱く方もいらっしゃったりするのではないでしょうか?」
 ルウは右手を握り締めると、気合を入れるように左の掌を勢いよく殴りつけていい音を立たせた。
「それでは大祓百鬼夜行の最奥へ参りましょう、皆様よろしくお願いします!」


平岡祐樹
 オーバーキルな気もしますが……ここまで苦しめられてきた怒りを込めたラストラン、参ります! お疲れ様です、平岡祐樹です。

 このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。

 今案件にはシナリオボーナス「全ての戦場のプレイングボーナスから好きなものを選び、使用する」がございます。
 これまで出てきた「大祓百鬼夜行」シナリオ計35種類のプレイングボーナス発生項目のうち一つを選択し、それにあったプレイングを書いていただけると有利になることがあります。なお、行動のみでどのボーナスを使用するかの記述がない場合はボーナスは発生しません。
 もちろん、平岡の書いていない番号のシナリオボーナスにも対応いたします。

 該当するボーナスは以下URL (https://tw6.jp/html/world/event/020war/020_setumei.htm)の戦場説明に記載されております。

 無償の愛に対し、本気で立ち向かうのかコメディで立ち向かうのかは皆様次第です。最後までお付き合いよろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『大祓骸魂』

POW   :    大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:菱伊

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

豊原・フィリス
プレイングボーナス
⑩屋台グルメを食べまくる(戦わずともダメージを与えられます)

あらぁ屋台がいっぱいねぇ……美味しそう
でもわたし、あんまりたくさんは食べられないのよねぇ
だ・か・ら、〈美女騎士団出陣〉でみんなをめいっぱい呼んで一緒に食べましょう
この娘たち何といっても体が資本の騎士だから食べるわよぉ
それにこれだけ人数が居れば
食べる、休む、妨害を防ぐの役目をローテーションできるわねぇ
ふふっ、屋台の食材もつかしらぁ?



「あらぁ屋台がいっぱいねぇ……美味しそう」
 東京上空に突然現れた屋台街に豊原・フィリス(セクシー系バーチャルキャラクター・f15722)は思わず手を頬につける。
「ねぇちゃんどうだい、焼きそば出来立てだよ!」
「たこ焼き美味いよ、お姉さん美人だから2個サービスしちゃうよ?」
「食後のデザートにわたあめはいかがっすかー?」
 骸魂に取り憑かれた妖怪達は口々にフィリスへ呼びかけ、1人分では絶対に無い量の料理を作っては小分けにして手前の台に置き、次の分を作り出していく。このままでは本当に冗談抜きで戦場は料理に埋め尽くされ、大祓骸魂の元へ向かう以前の状態になってしまうだろう。
「でもわたし、あんまりたくさんは食べられないのよねぇ。だ・か・ら、みんなをめいっぱい呼んで一緒に食べましょう」
 そう言って手を叩くと、どこからともなく大勢の美女騎士達が現れた。
「『さあ、クッコロ騎士団出陣よ!』ここにある料理を全部平らげて、大祓骸魂への道筋を繋ぐわよ!」
「かしこまりました、フィリス様!」
 メンバーは全員女性であるが、何といっても体が資本の騎士。訓練後の消費量は一般の男性と負けず劣らず。もしお腹いっぱいになったとしてもこれだけ広い戦場、すぐに訓練をして腹を空かすことも可能だ。
 空から唐突に降ってきた妙に切れ味の悪い短刀をナイフ代わりに使いつつ、騎士達はイカ焼きや牛串などにも舌鼓を打った。
「これだけ人数が居れば、食べる、休む、妨害を防ぐの役目をローテーションできるわねぇ。ふふっ、屋台の食材もつかしらぁ?」
「もちろんでぇ!」
 そう威勢よく答えた妖怪の後ろには大量の食材が詰め込まれたダンボールと冷蔵庫の山が鎮座していた。
「嬢ちゃん達だけで完売するような、ヤワな商売はしてねぇんでね! 覚悟しろ!」
「さすがは総大将のお膝元、ってとこかしら? 簡単には会えそうに無いわね……」
 リンゴ飴を齧りつつ、フィリスは騎士達と増える減るの鍔迫り合いを繰り広げる屋台街を見つめるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎

PB
妖怪と電話で話す

もしもし?
妖怪は二声続けて呼び掛けられへん言うけど
大祓骸魂は大丈夫なん?
ん、聞きたいことあるんよ
愛について
記憶と一緒に忘れてもたんか
最初からどっか壊れてるんか知らんけど
どうもわからへんのんよ
その手で殺して壊して
標本作るように永遠に縫い留める
そんな感情って
なあ、どんな心地するもんなん?

愛を語って貰いつつ戦闘
相槌は剣戟

リミッター解除+先制攻撃でUC発動
敵UCはあえて避けず
自UCの攻撃軽減を利用し
見切り+武器受け+盾受け+オーラ防御+結界術で受けるダメージを最小限に

自UC衝撃波に
破魔+フェイント+毒使い+マヒ攻撃+鎧無視も入れ攻撃

この私の闘いも貴女への愛やろか?



 大祓骸魂の傍らにある黒電話が鳴り出す。まるでおままごと用の、電話線が繋がってないそれを持ち上げた大祓骸魂は普通に話し始めた。
「もし?」
「もしもし? ああ、妖怪は二声続けて呼び掛けられへん言うけど大祓骸魂もそうなんやな」
 受話器から本来聞こえるはずのない声が聞こえてくる。その反応は妖怪ではなく人間か、それに準ずる物だった。
「どなた様かしら、この番号が私と知ってかけているなんて、よっぽど困っているのでしょう?」
「ん、聞きたいことあるんよ。『愛について』や」
 通話相手は感情を面に出さないように努めているのか、淡々と話し続ける。
「記憶と一緒に忘れてもたんか最初からどっか壊れてるんか知らんけど、どうもわからへんのんよ」
「あら、可愛そうね」
「あなたのその手で殺して壊して、標本作るように永遠に縫い留めるそんな感情って。なあ、どんな心地するもんなん?」
「殺して壊して、標本作り? 新たな存在へと昇華させるという意味では同じかもしれません」
 大祓骸魂はうっとりとした面持ちで受話器を持っていない方の手を頬に当てた。
「全ては私の手の中で、永久に離れられないくらい依存して依存されて、お互いに無ければ生きていけない……それが、私の愛の形でしょうか? ですが、愛の形は人それぞれ。あなたにはあなたの愛の形があるでしょう」
 その時、空気を切る何かの音が聞こえた。大祓骸魂は黒電話を抱えながら跳んで避けると、衝撃波を発する薙刀が先程までいた所に叩きつけられた。
「じゃあ、この私の闘いも貴女への愛やろか?」
 神霊となった体を揺らめかせるクルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は冷めた目で大祓骸魂を見つめる。すると大祓骸魂は受話器を戻して笑みを浮かべた。
「あなたがそう想うなら」
 その瞬間、小さな体から神智を越えた虞が溢れ出し、空中にヒガンバナが咲き誇り出す。
「おいおい、マジかっ……!?」
 攻撃を軽減しているはずの体に削られるような激痛が走り、クルルは思わず目をひん剥かせる。
「やけど、私はあんたを止めなアカン! 覚悟せい!」
 だがそれに屈さずにその場で体ごと薙刀を振り回し、周囲のヒガンバナを枯らす毒と破魔の力が込められた衝撃波を放つ。赤い花が刎ねられた頭のように宙を舞う中、大祓骸魂の服の袖は激しく揺れ動いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・多摘
⑳妖怪と電話で話す

…まず電話で主張を聞いてみるか。
碌な事でないと思うが…ついでに驚かせてみるか。
化術で声を少年のものへと変えて電話…口調も注意。
まずは挨拶。適当に相槌打ちつつ愛するってどんなこと?
殺して永遠にする事が愛、ならキミは誰に愛されてるの?
今キミ永遠だよねと尋ねる(以上全部裏声)
一通り話したら元の声で、なら汝を我が永遠にしてやろう、と。

戦闘は空中浮遊と空中機動での空中戦。移動補助に念動力も活用。
龍符に式神を降霊、更にオーラを纏わせ即席の壁にしよう。
高速思考と見切りでオブリビオン化した妖怪の配置から敵の狙いを読んで回避。
妖怪達の間をすり抜け一気に接近しUCの一撃を。

※アドリブ絡み等お任せ



 再び黒電話が鳴り出す。現在進行形で狙われているにも関わらず、大祓骸魂は平然と受話器を取った。
「もし?」
「繋がってる? 聞こえてる?」
 通話口から不安げに聞こえてくる少年の声に大祓骸魂が優しく微笑む。
「ええ、大丈夫ですよ。聞こえております」
「ねぇ、大祓骸魂さん。愛するってどんなこと?」
 電話の主は唐突に、大祓骸魂に問いかけると大祓骸魂はクルルに話したことを一言一句違わずに伝える。すると子供故の残酷さか無邪気さ故か、少年は思った疑問を口に出した。
「殺して永遠にする事が愛、ならキミは誰に愛されてるの? 今キミ永遠だよね」
「私は私が愛しております故」
「キミ以外には?」
 大祓骸魂の言葉が途切れ、曖昧な笑みが漏れる。考えているのではない、話せる内容が無いのだ。
 どれだけ待っても答えは返ってこないことを察した少年は、深呼吸をしてから再び話しかけた。
「なら汝を我が永遠にしてやろう」
 突然の地を這うような声に大祓骸魂は反射的に受話器を放り投げた。
「たまには悪霊のような所業をするのも悪くはないの。それにしても相変わらず碌でもない事を考えておったか」
 金属の床を転がる音にほくそ笑みながら水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)は電話を切り、頭を上げる。
 視線の先には骸魂によってオブリビオンと化した妖怪達。スカイツリーまでの道を塞ぐ彼らの動きは決して操り人形の様には見えなかった。
「しかしこれだけおるのに、誰一人として首領に心から付き従う者がいないとは……何たる皮肉か」
 式神を降霊し更にオーラを纏わせることで即席の壁となった龍符を纏いながら、多摘は高速で思考することで大勢いる妖怪たちの動きを全て見切り、その僅かな合間をすり抜けていく。
 背中に当てられる視線と怒声を感じながら、拾い上げた受話器を戻す大祓骸魂の姿は目前に。
「久しいな、大いなる邪神よ」
「あなたは……!」
 多摘の姿を認めた大祓骸魂の目が揺れる。どうやらあの時の大戦のことを忘れてはいないようだ。
「今一度『彼岸に還るがいい』!」
 突っ込むように回転した多摘の尾がゲイン塔を整備するための足場を粉々に破壊する。その破片と共に大祓骸魂は落ちず、空中へ転がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リステル・クローズエデン
お前の道はここで閉ざす。


プレイングボーナス…… 真の姿を晒して戦う


真の姿
青白い肌と青い仮面の姿。

戦闘
視力、聞き耳で得た情報を高速思考で処理し
第六感もあわせて攻撃を見切り、
軽業、足場習熟、ダッシュや
迷彩、残像を組み合わせ、
受け流し、盾受け、武器落としで
かわし、弾きながら間合いをつめます。

オーラ防御で
かわせないものは受けるしかないか。

途中でユーベルコードを発動し加速。
【氷結呪縛の吹雪】を目潰しと武器落としを目的として放ち。

刀で鎧無視攻撃の斬撃をうちこみます。

攻撃後も即座にダッシュで離脱。

ついでに【氷結呪縛の吹雪】をもう一度、放つ。


そして、僕の道を切り開く。



 リステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)はペンキを被ったように青くなった肌を隠すように、同じ色の仮面をはめる。しかし遮られてもなお目から溢れる赤い光は煌々と輝いていた。
 息を吐き、集中力を高めるように目を閉じる。
 なぜか持っていたタグに刻まれていた、仮の名前として用いていた女性の怒りと意地を知った今、その道を潰すことが彼女の進もうとしている道だと言うのであれば。
「お前の道はここで閉ざす」
 弾き飛ばされ、何もない虚空を転がる大祓骸魂に向けてリステルは体を前に傾けながら走り出す。
 周囲に壁となる妖怪がいないからか、空からは大量の短刀が降り注いでくる。だがリステルは右に左に最低限のステップで踊るように避けていった。この程度ならわざわざ足を緩めて腕を振るう必要はない。
『この身は刃……凍てつく青き呪いの刃……』
 ろくに磨がれていない刃が刺さることもなく、地面に跳ねて転がっていく。反対に冷たく鋭敏な刃の如き、青き呪いのオーラを身に宿らせたリステルの動きはさらにその凄みを増す。
 満開のヒガンバナが霜で冷やされ、枯れていく。それを容赦なく踏み潰しながら刀を抜き払えば、周囲は季節外れの猛吹雪に見舞われた。
 突然の寒さと暴風に大祓骸魂は反射的に防御の体勢を取ってしまう。避ける選択肢を諦めてしまった大祓骸魂に肉薄したリステルは赤い光を細めながら叫んだ。
「そして、僕は僕の道を切り開く!」
 記憶も名前も失ってからは当てもなく彷徨い歩く日々だった。
 でも今は違う。
 自分を生み出し、自分の多くを形成するルーツを知ったからこそ、その想いを継承しつつその先の未来を切り開き、駆け出していくのだ。
『呪力……解放! アクセルモード!』
 一瞬ですれ違った大祓骸魂の防御の体勢が崩れると同時に、大きな傷口が開き、そこから血のように大量の虞と骸魂が溢れ出る。
 急旋回したリステルは新たな吹雪を当てると、空中で凍らされた骸魂は先程の短刀と同じように地面へ転がり、新たな犠牲者を出すことはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

岩永・勘十郎
【⑮真の姿を晒して戦う(🔴は不要)】

「無償の愛、言葉は良いかもしれんが。ワシの義父が言ってたな。
 愛というのは過ぎてしまえば、ただの狂気になる、と」

狂気と化した愛を振りかざす敵を野放しには出来ない。
勘十郎はマントを脱ぎ棄て、本気の姿として戦う。
その瞳には敵に【恐怖を与える】【殺気】が燃え上がり。

「お前さんに恨みはないが、斬らせてもらうぞ」

敵の無数の攻撃を【第六感】を駆使し、まるで先読みしたかのように【見切り】【受け流し】ていく。そしてUCを発動し、敵の魂や存在その物を斬り裂く効果を纏った剣で、【残像】が残る程の速度で【串刺し】にする。

きっと【幸運】も味方してくれるはずだ。



 大量の妖怪達が岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)を取り囲む。
「無償の愛、言葉は良いかもしれんが。ワシの義父が言ってたな。愛というのは過ぎてしまえば、ただの狂気になる、と」
 そんな窮地にいるにも関わらず、勘十郎は靴底についた雪を、踵で地面を叩くことで落としながら思い出し笑いを浮かべていた。
「随分と余裕そうだな。ここまでたどり着いたとはいえ、一対多ではそうもいきまいて!」
 強気に粋がる鬼が棍棒で自分の手を叩きながら笑い出す。しかし勘十郎の顔を見た瞬間に呼吸の仕方を忘れてしまったかのようにその声は唐突に途切れた。
 その瞳には、恐怖を与える殺気が燃え上がっていたからだ。
「お前さんに恨みはないが、どうしても止めると言うならば斬らせてもらうぞ」
「やってみやがれ、人間風情が!」
 勘十郎が脱ぎ捨てたマントが風に乗り、空へ舞っていく。それが戦いの合図だった。
 妖怪達の無数の攻撃をまるで先読みしたかのように見切り、受け流し、残像へ空振らせ、勘十郎は報復とばかりにガラ空きとなった腹部へ刃を叩き込む。
 仙力を籠めた太刀は妖怪自身の魂と骸魂の接続のみを断ち切り、立ちはだかった者達の意識は次々に飛ばされていった。
 そうして空いた隙をつき、勘十郎は戦場を血の代わりに赤く彩るヒガンバナの間を駆けて行く。
「ああ、私の愛の結晶が」
 自分からも他人からも抜け落ちていく骸魂を追うように大祓骸魂は天に手を伸ばしていた。
「愛の結晶? 人妖に押し付けるだけのそれを愛と宣うな!」
 勘十郎からの叱責に大祓骸魂は優しげに微笑むだけで反論しない。
 その目はまるで聞き分けの悪い子を温かく見守っているかのようで、勘十郎の苛立ちを逆立てるには十分すぎた。
『万有を返す!』
 歯を食いしばりながら防御の姿勢を取ろうともしない大祓骸魂の心の臓付近に刃を突き立てる。
 するとリステルがこじ開けた傷口から溢れる骸魂の量はさらに増し、勘十郎は実体の無い虞の勢いに耐え切れず突き飛ばされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空亡・劔
あたしは何度だっていうわ
この最強の大妖怪である空亡劔鵜を差し置いての大異変とは生意気よ!

ボーナス
真の姿を晒
赤き太陽を背にした姿
それは百鬼夜行の…

神殺しの魔王発現
ああ…物凄い力
だからこそ世界を滅ぼすあんたを人類の皆は恐れ…死にたくないと願うの
【戦闘知識】で他の妖怪達の陣形も把握
【天候操作】で猛吹雪を引き起こし妖怪達の集合分断を狙い
更に【結界術】による結界で閉じ込めて行動不能に

攻撃を【見切り】
無数の【残像】を残して攻撃を分散させ幻惑
【属性攻撃】で氷属性を魔剣に付与
氷の弾丸の【弾幕】で蹂躙
超高速で飛び回り高まった力を以て挑
神殺しの魔剣による【二回攻撃】からの【切断】

撃破後
【天候操作】で太陽を昇らせる



「何度だっていうわ。この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変とは生意気よ!」
 雪が激しい風に吹かれて乱れ飛ぶ中、空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)の背中を照らすように赤い光輪が浮かび上がる。
 そのあまりの光量に、近くにいた妖怪達の目は潰れてその場に蹲った。
「ああ……物凄い力。だからこそ世界を滅ぼすあんたを人類の皆は恐れ……死にたくないと願うの。今はまだ気づいてないだろうけど」
 先程までの怒り様から一転して冷静になった劔はゆっくりと、大祓骸魂に歩み寄る。
 妖怪達はその威圧感に一瞬怯んだが、猟兵を取り押さえねばならないという使命感から動き出す。しかし躊躇した時点でもう手遅れだった。
「吹き荒れろ」
 無差別に吹いていた風が妖怪達の間を縫う様に向きを変え、その動きに沿うように結界が発現し、吹雪の中を突っ切ることすら不可能にしたのだ。
 妖怪達が結界を叩きながら見つめる中を悠々と進む劔は大祓骸魂の元へ辿り着く。自らの胸に深々と突き刺さった太刀を引き抜いた大祓骸魂は苦しそうに傷口を抑えながら喘いでいた。
「ああ、私の愛が、無くなってしまう。永遠が、この世界を、UDCアースを、私は」
『……お前を脅威と認定する』
 大祓骸魂から噴き出す虞を避けるたびに劔の姿は一つ二つと増える。
『我が根源……我が原初……人が恐れこそ我が力であり……我が在り方』
 光輪によって溶かされて硬い氷に再形成された雪は弾丸のようになって大祓骸魂を撃ち抜く。
『我が名は空亡劔……神殺しの大妖怪なり!』
 そして超高速で飛び回り高まった力を以って、氷の力を纏いし神殺しの魔剣による十字斬りが大祓骸魂を斬り裂いた。
「私は」
 口から小さな断末魔を漏らし、大祓骸魂の姿風にさらわれた塵山のように崩れていった。
「さあて……」
 全てを終えた劔は剣を納め、空を見上げる。
 かの有名な百鬼夜行絵巻には「夜が明け太陽が昇ると共に妖怪が去って行く」という場面が存在する。
 この太陽を「百鬼夜行の終わりに現れる強大な妖怪」と見なしたゲームがいくつも登場したことが「妖怪・空亡」の起源である。つまり、妖怪としての歴史が非常に浅い「新しい妖怪」の一体であることはどうやろう覆せない。
 だがどれだけ新参者であろうと、生まれながらに任された役目を捨てることは出来ない。
「あんた達、帰るわよ!」
 暗闇と虞を切り裂く朝焼けを背に、劔は笑顔で妖怪達に呼びかけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月02日


挿絵イラスト