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大祓百鬼夜行㉕〜愛ゆえに世界を滅ぼす

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#大祓百鬼夜行


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●大祓骸魂
「愛しきUDCアース。あなたを思う 私の愛は揺るがない。だから 私は帰って来たのです」
 東京スカイツリーの最上部にある、アンテナが収納された巨大構造物『ゲイン塔』から大祓骸魂が地上を見下ろす。
「この懐刀『生と死を繋ぐものヤマラージャ・アイビー』は、鈍なまくらだけれど、時間をかければ、誰でも、何でも、殺すことができる。殺したものは過去となり、骸の海で永遠となる」
 手にする抜身の刃は禍々しい邪気を漂わせ、世界すらも殺そうとしていた。
「愛するUDCアース。あなたを永遠にしたい。あとひと刺しで、それが叶います」
 優しく慈愛に満ちた微笑みを大祓骸魂が浮かべる。だが目には狂気が宿り、その深き愛は一方的で世界に破滅を呼ぶものだった。
「猟兵たちよ、止められますか。電波塔の頂上で、あなたたちを待っています」
 誰も居ない空間で語りかけるように、大祓骸魂は見ているであろう猟兵へとメッセージを送った。

●グリモアベース
「親分たちとの戦いを経て、とうとう大祓骸魂の居る東京スカイツリーへと続く雲の道が繋がった」
 バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が地図の端にある巨大な塔、東京スカイツリーを指さし任務の説明を始めた。
「大祓骸魂は東京スカイツリーの最上部、ゲイン塔で待ち構えている」
 ゲイン塔はアンテナが収納された高さ約140mの巨大構造物で、そこが最終決戦の舞台となる。
「強大な敵である大祓骸魂は東京上空を『カクリヨファンタズムが如き空間』に変え、大祓百鬼夜行の全ての戦場に存在した『あらゆる手段』を使って攻撃してくる」
 親分のような強力な攻撃をしたり、🔵が増えるごとに自己強化したり、カードで弾幕を張ったり、駄菓子兵器を使ったりと、さまざまな攻撃手段を用いる。
「今までの戦闘の経験を活かし、その攻撃に対抗する手段を用意しておけば、こちらが有利に戦えるだろう」
 真の姿を晒す、他の猟兵と連携する、カード弾幕をかわす、置いてある駄菓子兵器を使うなど、今回の戦争で体得したあらゆる手段を使って戦うことで対抗できる。

「大祓骸魂は戦争の元凶であり、他の妖怪のように救うことはできない。そして存在する限り世界を滅ぼそうとするだろう」
 作戦の説明を終えたバルモアが世界を繋ぐゲートを開き、最終決戦の場へと猟兵を送り出す。
「世界が滅ぼされる前に、究極妖怪にして大いなる邪神である大祓骸魂を打倒せよ! 諸君の働きに二つの世界の未来がかかっている!」


天木一
 こんにちは天木一です。大祓百鬼夜行でボスとの最終決戦です。
 元凶である大祓骸魂を倒し、戦争に決着をつけましょう!

 このシナリオは、1章だけで完結する戦争シナリオとなります。

 大祓骸魂は大祓百鬼夜行の戦場にあった『あらゆる手段』を行使してきます。どの手段が来るかを予想し、それに対して有利になる行動をするとプレイングボーナスが得られます。
 全ての戦場のプレイングボーナスから好きなものを選び、使用できます。
 戦場の番号を書いていただければ、敵の手段を詳しく書かなくても大丈夫です。

 複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページかタグにて。
 それでは最終決戦に勝利し、ふたつの世界を救ってください!
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第1章 ボス戦 『大祓骸魂』

POW   :    大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:菱伊

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●東京スカイツリー・ゲイン塔
 親分たちが命を懸けて生み出した雲の道を通り、猟兵達はスカイツリーの内部を上る。そして最上部にあるゲイン塔に辿り着くと、一人の少女の姿をした妖怪が地上を眺めていた。
「現れましたね、猟兵たちよ」
 見た目からは想像もできない莫大な力が溢れ、大祓骸魂が東京の上空をカクリヨファンタズムが如き空間に歪めながら振り向いた。
「私の愛はUDCアースを永遠にする。あなたたちに私の愛が止められますか」
 微笑む顔にはまったくの邪気が無く、純粋な愛によって満たされている。だがそれ故に怖ろしい。愛によって世界を滅ぼす事に躊躇いはないのだ。
「あなたたちも世界を愛しているのですね。ならばどちらの愛が世界を包むか、ここで決着をつけましょう」
 大祓骸魂が虞で世界を捻じ曲げ、あらゆる戦場の現象をこの場に再現して力を得る。

 そんなとんでもない力を持つ究極妖怪を前にしても、既に覚悟を決めた猟兵は一歩も引かずに足を踏み出す。
 滅びゆくふたつの世界を救おうと、大祓百鬼夜行の最終決戦に身を投じた――。
月夜・玲
さあて、ようやく親玉の登場か
UDCアースにはまだまだ興味深い邪神達が居るんでね、ここで壊される訳にはいかないんだ


真の姿、解放
圧縮空間より、外装解凍
四剣抜刀
私の持つ全ての技術をもって、君と相対しよう
さあ、やりあおうか

まずは『斬撃波』
4剣から4発『なぎ払い』気味に放ち、敵の複製刀を『吹き飛ばす』
一瞬でいい、一瞬隙が出来れば後は私のターン

【Code:C.S】起動
封印全解除
時間加速開始
自身の時間を加速させ近接戦闘を仕掛ける
私の1分は貴女の1秒
4剣で連続して斬りかかる
最後は『串刺し』にして、加速終了

その懐刀、凄く気になるし回収したいけどそうもいかないんだろうね
だから君との戦いでデータを取らせて貰うよ


岩永・勘十郎
【⑮真の姿を晒して戦う(🔴は不要)暴獣形態】

「ここが正念場だ。お前さんに恨みはないが斬らせてもらうぞ」

右手に刀、左手に槍の本気の姿として戦う。
その目には敵に【恐怖を与える】程の【殺気】が燃え上がる。

「同じ技でも練度が違う……だが一緒なのは変わりない」

敵の攻撃を【戦闘知識】を駆使し【見切り】回避する。勘十郎の【瞬間思考力】は敵の攻撃を様々なパターンで予測、その中から最適解を導き出し【残像】が残る程のスピードで回避しているのだ。

「終わりだ!」

そのままUCを発動した剣で敵を斬る、敵の必殺技の効果や事象、そして魂その物を斬り裂くべく。きっと【幸運】も味方するだろう。



●愛の強さ
「さあて、ようやく親玉の登場か」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は少女の姿をした大祓骸魂に視線を向ける。大祓骸魂は余裕を持った態度でただ立って待っていた。それだけだというのに、虞の力が場に満ちて空間を歪ませている。
「UDCアースにはまだまだ興味深い邪神達が居るんでね、ここで壊される訳にはいかないんだ」
 愛によってUDCアースを破壊しようする大祓骸魂を阻止しようと、玲は虞の力を利用して真の姿を解放する。圧縮空間より外装が解凍され、脚を覆い、背部ユニットから二本の機械仕掛けの腕を伸ばし、【《RE》Incarnation】【Blue Bird】【空の記憶】【Key of Chaos】の4剣を生身の腕と機械の腕で抜刀した。
「私の持つ全ての技術をもって、君と相対しよう。さあ、やりあおうか」
 4剣を構えた玲が大祓骸魂に向けて距離を詰める。
「ならば、邪神でもある私に滅ぼされるなら、あなたも本望でしょう」
 微笑む大祓骸魂が虞を全開で放って己を強化し、懐刀【生と死を繋ぐもの】を数え切れぬほど複製して宙に浮かべた。それが一斉に飛翔し雨が降るように玲に浴びせられる。
「これを凌がねば勝機はない」
 玲は4剣を振るい、4つの斬撃波を連続して放つ。近づく懐刀を薙ぎ払う。だがその数はあまりに多く、斬撃の衝撃を抜けて刃が迫る。
「全ては弾けないか、だが刃の雨は大雨から小雨になった。この程度なら突破できる」
 懐刀を4剣で弾きながら、多少の被弾を覚悟で玲は前に出てユーベルコード『Code:C.S』を起動する。
「封印解除、時間加速開始」
 模造神器の封印が解除され、時間加速が起こり自身の時間だけが早くなり、急加速で懐刀の隙間を抜けながら接近する。
「私の1分は貴女の1秒。この時間のずれが圧倒的な貴女との力の差を覆す」
 玲が4剣を振るって斬撃を浴びせる。玲にとっては普通の速さだが、周りから見れば目にも止まらぬスピード。しかし大祓骸魂はそれに反応し、幾つもの懐刀を浮かべて攻撃を受け止める。
「これについてくるなんて、流石は大いなる邪神と呼ばれるだけはあるね」
 その邪魔な懐刀を機械腕が振るう2剣で弾き、玲は懐に飛び込み己が手で2剣を叩き込む。
「だからこそ戦う価値がある」
 左の刃が腕を斬り裂き、右の刃が腹を貫く。そこで加速が終了して時間が元に戻った。


「嗚呼……この痛みがあなたの愛……なら次は私のUDCアースへの愛を知ってもらいましょう」
 口の端を血で汚しながらも笑みを浮かべ、大祓骸魂の体が影に覆われて変貌し、ふさふさの毛に覆われた黒き暴獣へと姿を変えて咆える。すると周囲に衝撃波が迸って玲の体を吹き飛ばした。
 その衝撃が止んだ凪の瞬間に、岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)が飛び込む。その目には見た者に恐怖を与える程の殺気が燃え上がっていた。
「ここが正念場だ。お前さんに恨みはないが斬らせてもらうぞ」
 右手に軍用刀剣【小銃兼正 (零號試作・改)】、左手に片鎌槍【轟天】を持った本気の姿で間合いを詰めると、黒き獣となった大祓骸魂が強い殺気を気にも留めずに飛び掛かる。
「速い……だが動きは直線的だ」
 動きを見切った勘十郎は刃物のような鋭い爪を屈んで躱しながら斬りつけ、刀が分厚く硬い毛に覆われた腹を浅く裂き、続けて着地した敵の背後から放つ槍の刺突が肉を抉る。
「獣のように、肉を裂き、骨を砕きましょう」
 振り向いた黒い獣が全身から虞を放つと再生力を高めて、傷を塞ぎながら駆け出す。
「同じ技でも練度が違う……だが一緒なのは変わりない」
 勘十郎は東方親分と戦った時の経験を活かし、黒い獣の動きを予測して、突進をすれ違うように躱しながら槍を振るって胴を薙いだ。
「終わりだ!」
 そして敵が反転するところへ踏み込み、ユーベルコード『六道・龕灯返しの太刀』を発動し、仙力を刀に籠めて振り下ろす。黒い獣の能力や事象、さらには魂そのものまでも斬り裂かんと、上段からの必殺の一撃を浴びせた。
 すると黒い獣が真っ二つに両断され、靄のように消え去る。
「鋭い愛の痛みを感じます、あなたにもお返ししましょう」
 少女の姿に戻った大祓骸魂が懐刀で何もない空間を切ると、骸魂によってオブリビオン化した妖怪達が召喚され集団で襲い掛かる。


「手応えはあったが、倒し切るには至らなかったか」
 勘十郎は刀と槍を振るって妖怪達を薙ぎ払うが、次々と妖怪は途切れずに金棒や舌や爪といった、多種多様な能力で勘十郎の体を傷つけていった。
「親玉だけあって厄介な能力ばかりだね」
 そこへ玲も斬り掛かり、4剣による斬撃で四方の敵を一気に薙ぎ倒した。
「私の愛は無限です。ゆえにこの力も無限に溢れ世界を包む」
 大祓骸魂が懐刀を振るい、新たな妖怪達を呼び出す。
「その懐刀、凄く気になるし回収したいけどそうもいかないんだろうね。だから君との戦いでデータを取らせて貰うよ」
 玲が跳躍して妖怪を飛び越え大祓骸魂に斬り掛かると、複製された懐刀が浮かんで斬撃を受け止める。
「一度の攻撃で仕留められないならば、何度でも攻撃すればいいだけだ」
 続けて勘十郎が妖怪達を吹き飛ばして大祓骸魂に接近し、槍を胸に突き入れる。しかし穂先が胸に浅く入ったところで、妖怪達が柄を掴んで食い止めた。
「あなたたちの愛、確かに感じました。ですが、私の愛の方が深く、強い」
 大祓骸魂は大量の妖怪による百鬼夜行によって、玲と勘十郎を押し流してしまった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィロメーラ・アステール
⑪のバスジャックのほう!
【空中浮遊】して【ダッシュ】で接近!
あと【念動力】でバスにひっつく!

てな感じでバスに突入するぞ!

車内の狭さは元が小柄だから気にならない!
と言いたい所だけど、機動力が封じられるのは困るな!
狭さを逆に利用したらどうだろう!?

【はじまりを刻む地の新星】を発動!
【全力魔法】の波動で、バスの座席とかガラスとかを魔力生命体にするぞ!
狭い車内が埋まるくらいの手勢を確保して物量で勝負!
無機物軍団、突撃だー!

あたしは後ろの方から、閃光で【目潰し】したり【オーラ防御】バリアを飛ばしたりして応援するぞ!


フィランサ・ロセウス

私のことを待っていてくれたの?
ああ!そんな嬉しい事を言われたら、“好き”にならずにはいられない!
それなら私も全力で、全霊で壊(あい)してあげなくちゃ!

そのためにバズトレ御殿の要領でナイフにハンマー、弓矢から銃火器まで、古今東西のあらゆる凶器を買って大祓骸魂に叩きつけるの!
貴女は串刺しと蜂の巣、どっちがいい?それとも丸焼きがいいかしら?
たまき私の気持ち、その身で受け止めて♥
向こうの攻撃は、大きな鉄板やトラックのようないい感じの障害物になりそうな物を呼び出して盾代わりにさせてもらうわね。
凶器が壊れたらまた新しいものを買って同じようにするの、私かあなたが壊れちゃうまでね♥



●愛の形
「やはり猟兵は、強き愛を持つ存在。ならばその愛がどれほどのものか、確かめましょう」
 大祓骸魂は空間を歪ませ、風景をバス停に変えると妖怪バスが走ってくる。そこに乗り込みバスジャックして出発させた。
「バスジャックなんてさせないぞ!」
 フェアリーのフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が翅を羽ばたかせてバスに飛びつき、念動力で振り落とされないようにひっついた。
「窓が開いてる! ここから入るぞ!」
 そして僅かに開いた窓からバスの中に飛び込んだ。
「小さなお客様ですね。歓迎しましょう、盛大に」
 そんなフィロメーラの姿を捉え、大祓骸魂は神智を越えた虞を放つ。
「狭くても小柄だから気にならない!」
 狭いバス内では避け難い攻撃を、フィロメーラは小さな体を活かして座席の上を飛んで躱した。すると血に染まったようなヒガンバナが咲き乱れる。
「小鳥のようですね、ですがいつまで躱せるでしょう」
 大祓骸魂はさらに虞を放ち、バス内の限りある空間で逃げ回るフィロメーラを追い詰めていく。
「機動力が封じられるのは困るな! それなら狭さを逆に利用したらどうだろう!?」
 フィロメーラはユーベルコード『はじまりを刻む地の新星』を発動し、バスの座席や窓ガラスを魔力生命体の群れに変換した。
「狭さを活用した物量で勝負! 無機物軍団、突撃だー!」
 狭い車内が埋まるくらいの手勢が一斉に大祓骸魂に襲い掛かる。
「可愛らしい兵隊さんですね」
 微笑む大祓骸魂は懐刀を振るい、無機物軍団を薙ぎ払う。
「がんばれー!」
 腕を振り上げて軍団を応援しながらフィロメーラは閃光を放ち、大祓骸魂の目を一瞬眩ませた。その隙に無機物軍団が突撃し、大祓骸魂を吹き飛ばしてフロントガラスにぶち当ててバスの外に追い出した。


「バスの中では、私の愛には狭すぎるようです」
 ふわりと大地に着地した大祓骸魂はまた空間を歪め、バスの景色が一瞬にして煌びやかなバズリトレンディ御殿へと変わる。
「どちらの愛がよりゴージャスかで競うとしましょう」
 辺りには無尽蔵にお金が噴出し、山積みとなっていく。そこへフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)が飛び込んで大祓骸魂と対峙した。
「次のお客様のようです」
 大祓骸魂は穏やかな調子を崩さずに猟兵を迎え入れる。
「私のことを待っていてくれたの?」
「ええ、あなたの愛を見せてください」
 フィランサの狂気が混じった言葉を、大祓骸魂が微笑んで肯定する。
「ああ! そんな嬉しい事を言われたら、“好き”にならずにはいられない!」
 強い感情を全て『好き』と認識してしまうフィランサは嬉しそうに笑い、大祓骸魂と視線と共に心を交わす。互いに狂った者同士、通じるものがあるように楽しそうに見つめ合った。
「それなら私も全力で、全霊で壊(あい)してあげなくちゃ!」
 フィランサは辺りのお金を使って、購入したいものをイメージする。するとお金が減ってナイフにハンマー、弓矢から銃火器まで、古今東西のあらゆる凶器が現実に並ぶ。
「貴女は串刺しと蜂の巣、どっちがいい?それとも丸焼きがいいかしら? 高まる私の気持ち、その身で受け止めて♥」
 満面の笑みを浮かべたフィランサは、想いをぶつけるように購入した武器を手にしてユーベルコード『激しく楽しく遊びましょ♪』を発動し、道具を上手く利用して次々と攻撃を浴びせた。ナイフで体を切り裂き、銃で体を穴だらけにする。
「嗚呼……あなたの愛を感じます。では、これは私からの返答です」
 傷付いても全く動じずに、大祓骸魂もお金を消費して栄養ドリンクを飲んで傷を癒すと、活力を増して懐刀を複製して浮かべ、一斉にフィランサ目掛けて放った。
「それがあなたの気持ちなのね♥」
 噛み合っているようで噛み合っていない言葉を交わしながら、フィランサはお金を消費して大きな鉄板やトラックを召喚し、盾代わりにして刃の雨を防ぐ。しかし守りを切り裂き貫いた懐刀がフィランサの手足に突き刺さる。
「すごい! あなたの壊(あい)を感じちゃう!」
 血を流しながらもフィランサは笑みを浮かべて、銃を撃ちまくって弾幕を張って刃を防いだ。


「バスの次はお金だらけの空間だぞ! ここなら無機物軍団を作り放題だな!」
 フィロメーラがお金を魔力生命体に変え、大軍で大祓骸魂を包囲する。
「全軍突撃ー! ボスをやっつけるぞ!」
 命令を出して指さすと、無機物軍団が一斉に突っ込んで覆いかぶさり、大祓骸魂を押し潰すように山を作る。
「あなたの重い愛、確かに感じました」
 無機物軍団の隙間を縫うようにヒガンバナが咲き乱れ、軍団の山を吹き飛ばした。しかし大祓骸魂の目の前にはフィランサが立っていた。
「ほら、新しい凶器を買っておいたわ。もっと壊(あい)し合いましょう! 私かあなたが壊れちゃうまでね♥」
 武器を新しく買って補充したフィランサが、連続で攻撃を繰り返す。
「それぞれ違う愛の形が見えます。壊れるほどの愛。押し潰すような愛。どれも激しくも強い愛です。では、私の世界も滅ぼす愛も感じてください」
 対して大祓骸魂も懐刀の数を増やし、雨のように刃を降らせてお金の山すらも覆い隠すように、猟兵もろともバズリトレンディ御殿を吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メイスン・ドットハック
【SPD】
愛しておるのはわかるがのー
それで破壊していい理由にはならんからのー。ということで阻止じゃて

PB:連ね鳥居を最速で駆け抜ける
キャバリアKIYOMORIに搭乗し、オブリビオンマシン形態「清盛」に変形
突如現れた鳥居と懐刀を避けるべく、ジェットウィングで高速飛翔を開始
狭い空間を疾駆し、いよいよ危なくなったらUC「帝竜を纏いし機竜よ、稲妻となれ」を発動して、さらに追加加速
機体が少し破壊されようとも、最速で一気に駆け抜けて鳥居を脱出
その先にいるであろう、大祓骸魂にジェットクローで高速斬撃を叩き込む

これが百鬼夜行を駆け抜けてきた猟兵の底力よのー!

置き土産とばかりに肩のミサイルや榴弾もばら撒いていく


杓原・潤
⑥-2
今までの戦場で、かぁ……じゃあこんなのもアリ?

と思ったけど、虞の攻撃だけはかわさないとね!
箒に乗って【空中浮遊】して【空中機動】で逃げ回って【時間稼ぎ】するぞ!
【オーラ防御】があれば少しかすっても身は守れるかな?
ヒガンバナが咲いたらあえてそこに下りる!
きっとこの子は戦いを仕掛けてくるんだろうけど、怖がっちゃダメだ。
持って来たお弁当とかお菓子を差し出して、目をうるうるさせて上目遣い!
ユーベルコードも使いつつ、ヒガンバナも咲いたし一緒にお花見しようってお誘いしちゃう。
効果は1分半くらいだけど、一度お花見を始めたらそのまま何とかなんないかな?
ならなかったら?テルビューチェ呼んでやっつける!



●美しき愛
「私の愛は誰よりも深く広い。死を超越するほどに」
 大祓骸魂が懐刀を振るうと、空間が切り替わるように紅く染まり、巨大な連ね鳥居が現れて猟兵との間に長い道を作る。
「この鳥居も私の愛で満たされています。死を恐れぬならこちらに来なさい」
 死神の如き霊気が漂い、その場に居続ければ猟兵といえども死んでしまうだろう。

「愛しておるのはわかるがのー。それで破壊していい理由にはならんからのー。ということで阻止じゃて」
 愛を理由に世界を滅ぼそうとする大祓骸魂を止めようと、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は死の濃厚な気配がする戦場に二足歩行戦車型キャバリア【KIYOMORI】に搭乗して足を踏み入れる。
「時間はかけられん。速攻でいくとするかのー」
 キャバリアをオブリビオンマシン【清盛】に変形させ、ジェットウィングで飛行して鳥居を抜けて大祓骸魂を目指す。
「あなたの愛が死を越えられるか、見せてもらいましょう」
 大祓骸魂の持つ懐刀が無数に複製され、宙に浮かんで次々と矢のように放たれる。
「仕掛けてきたのー。だが戻るわけにはいかん、加速あるのみじゃ」
 刃の雨に突っ込むように、メイスンはジェットウィングの出力を上げた。無数の刃の隙間をすり抜けるように軌道修正を繰り返しながら疾駆し、前へ前へと進む。
「命を賭して愛を示す覚悟があなたにもあるようです」
 大祓骸魂はさらに懐刀を集中させ、清盛の装甲に当たって傷を刻み始めた。
「避けきれなくなってきたのー、では奥の手を使うとするかのー」
 メイスンはユーベルコード『帝雷を纏いし機竜よ、稲妻となれ』を発動し、ジェットウィングの出力を限界を超えて高め、多少の被弾も構わずに最大速度で一気に刃の雨を突破し、鳥居を潜り抜けて霊気の霊気が漂う空間を脱出した。
「これが百鬼夜行を駆け抜けてきた猟兵の底力よのー!」
 その勢いのまま、鳥居の向こうに立っていた大祓骸魂に肉薄し、竜雷を纏ったレーザークローを叩き込み、左肩をざっくりと斬り裂いた。
「素晴らしい、死を越えた愛を感じます。ですが私の愛もまた、死を超越したものです」
 ダメージを受けても大祓骸魂は笑みを崩さず、懐刀を振るい斬撃波を放って左ジェットウィングを切り裂いて清盛の推進力を狂わせ地面に突っ込ませた。


「私の美しき愛を御見せしましょう」
 大祓骸魂の足元から桜が広がり、辺り一面が淡い紅色に染まって幻朧桜の丘が生み出される。魂と肉体を癒やす桜が大祓骸魂の傷を癒していく。
「桜といえばお花見! ならお花見を楽しむのもアリだよね!」
 そんな美しき桜舞う幻想的な場所に、魔法の箒【ウィザードブルーム】に乗って飛ぶ杓原・潤(星と鮫の魔法使い・f28476)がお花見をしようと姿をみせる。
「ええ、まさに。お花見を楽しんでくださいな」
 大祓骸魂が空に向けて虞を放ち、その波動で桜の花びらが巻き上げられ、花吹雪が潤を包み込もうとする。
「と思ったけど、虞の攻撃だけはかわさないとね!」
 花見の前にこれを凌がなくてはと、近づいてくる虞を箒の速度を上げて躱し、空を逃げ回って攻撃が途切れるのを待つ。周囲を囲もうとするのをオーラの障壁でガードし、侵食される前に素早く包囲から抜け出した。すると虞は散って大地に吸い込まれるように消え、あちこちに血のように紅いヒガンバナを咲かせた。
「桜も綺麗ですが、彼岸花もまた綺麗でしょう」
 大祓骸魂が歩き出すと、ヒガンバナに宿った狂おしい程の愛の力が場を満たす。
「この子はこっちを斬るつもりだろうけど、怖がっちゃダメだ!」
 恐れを抑え込んだ潤は地上に降下し、ヒガンバナの咲いた場所に敢えて着地する。そして持ってきたお弁当とお菓子などのお花見セットを差し出して声を掛けた。
「ヒガンバナも咲いたし一緒にお花見しようっ!」
 ユーベルコード『For Me,Please!』を使い、目をうるうるさせて上目遣いで大祓骸魂におねだりした。
「お花見ですか、楽しそうですね。いいでしょう。一緒にお花見をしましょう」
 ユーベルコードの効果を受け、友好的になった大祓骸魂は頷いて桜の花びらで埋め尽くされた大地にしずしずと座った。
「お弁当美味しいね!」
「ええ、よくできています」
 二人が咲き誇る桜の下でお弁当に舌鼓を打つと、幻朧桜の力が強まり大祓骸魂の支配を抜けて力を阻害した。


「これは……なるほど。これがあなたの愛の力ですか」
 幻朧桜が己に敵対したと同時に大祓骸魂が正気に戻り、箸を置いて立ち上がる。すると桜が消し飛び、ヒガンバナだけが残った。
「お花見してれば何とかなるかと思ったけど、ならなかった! テルビューチェ!」
 潤も立ち上がってキャバリアの名前を呼ぶと、すぐさま【テルビューチェ】が召喚されてそこに乗り込む。そして至近距離から木材と魔獣の牙で作られた近接武器【ヌイ・ロア・レイ・オ・マノ】を振り下ろす。しかしその一撃は小さな懐刀に受け止められ、逆に衝撃波で押し戻されテルビューチェの巨体が後退した。
「お花見の時間は終わりです。私の花のごとく美しい愛であなたの愛を断ち切りましょう」
 ヒガンバナが狂い咲き、懐刀に虞を纏わせると大祓骸魂はテルビューチェを両断しようとする。
「見た目からは想像もできん戦闘力じゃのー」
 そこへ態勢を立て直したメイスンが清盛の肩の誘導ミサイル弾と多目的榴弾を撃ち込み、爆発を起こして攻撃を止めた。
「あなたたちの愛はなんとも熱く激しいものです」
 爆風が切り裂かれ、晴れた場所には薄汚れ血を流す大祓骸魂の姿がある。そこへテルビューチェが近接武器を叩き込む。しかしどれほど傷つこうとも態度を変えず、ただその身に満ちた愛のままに刃を振るい、斬撃波が花を散らせ、二機のキャバリアをサイズ差も問題にせずに吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メナオン・グレイダスト


恐るべき悪、であるな。
だが、その悪を認める訳にはゆかぬ。故にお前を打ち倒す。

灰色の魔王を阻むこと能わず、である……!

大祓骸魂の「虞」の影響を受け、「真の姿」らしきもの――溢れる灰色砂塵を渦巻かせ、所々が異形化した姿を晒しつつ。
【グレイダスト・オーバーロード】。
全力での灰色砂塵の散布・変形・制御を絶えず行い、自身を核として形成するは――さながら空中に浮かぶ巨大な突撃槍。
その実、数多の重火器と追加装甲と推進器の塊。
全力での射撃を大祓骸魂に投射しつつ、突貫!

“突撃槍”は大質量の兵器となるが、あくまで奴に迫るための手段。
本命は我輩自身。捉えて全力での貫手を放ち、その身を、魂を抉り抜いてやる……!


メリー・ブラックマンデー
【⑦】
(アドリブ連携歓迎)
いいえ、時は移り変わり、共に生きる者らもまた変わりゆくもの!
変わらぬ日々を永遠だと、愛だと賛美するのなら…
私はそれを否定する!

高く伸びたすすき野の空間。<空中浮遊>で高く飛び上がったら、
すすきに隠れた妖怪達の上空から奇襲をかける!
『アルテミス』、隠れる妖怪達を<追跡>できるよう照らして!
<リミッター解除>、【絶対不変の原理原則】!
実体から解き放った『アトポロス』の<斬撃波>で、
すすきも妖怪の肉体も傷つけることなく一薙ぎで骸魂のみを切り裂いてみせるわ!
骸魂を倒し、オブリビオン化を解けば大祓骸魂の力も削ぐことができる。
<残像>伴う斬撃を大祓骸魂に届かせ、終わらせましょう。


水鏡・多摘
㉓バズる事でより多くのハートを集める。
龍神として邪神は必ず滅ぼさねばならぬ。
その為にはあらゆる力を使ってでも…

…ばずる?…やってやるわ!(自棄)
とりあえず御殿のカメラの前で雨乞いの舞と称し空中浮遊しつつ舞い、天候操作で雨を降らせてみる。
何か受けが悪い気がする…なら再生するだけで邪悪を祓う、浄化する舞を踊ると言い威厳たっぷりに舞う。
この異常状況を認識できている者にはその宣伝文句は効くはず。
大祓骸魂配下が舞の邪魔をするなら天候操作で雷降らせ排除、これが神罰とカメラにアピール。
強化されたら妖怪達を氷のブレスで足元凍らせ空中機動で大祓骸魂へと飛び込みUCで一撃食らわせてくれよう。

※アドリブ絡み等お任せ



●永遠の愛
「私の愛は時を超越します。時代に関係なく、私の愛は『ばずり』続けるでしょう」
 深く傷付きながらも大祓骸魂が虞で空間を満たし、バズリトレンディ御殿へと変貌させ、無数のビデオカメラやスマートフォンが並び、その映像をオーディエンス(観客)が視聴する。この空間では『バズる』者が飛び交うハートによってパワーアップするのだ。

「龍神として邪神は必ず滅ぼさねばならぬ。その為にはあらゆる力を使ってでも……」
 龍神である水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)は、愛によって世界を滅ぼさんとする邪神を逆に滅ぼそうと派手派手なバズリトレンディ御殿へと足を踏み入れた。己とは明らかに場違いな空間に思わず硬直してしまう。
「……ばずる? ……やってやるわ!」
 郷に入っては郷に従えと、バズリトレンディ御殿のバズるルールに則って行動しようと、自棄気味になって堂々とずらっとカメラが向けられる前に出た。
「雨乞いの舞をお披露目しよう……」
 多摘は空中に浮かびながら舞を披露し、雨雲を呼んでぽつりぽつりと雨を降らせ始めた。それはとんでもなくスゴイ事なのだが、周囲に飛ぶハートは余り増えない。絵面が地味でオーディエンスに受けずバズらないのだ。
「何か受けが悪い気がする……ならば浄化する舞を披露しようか、この舞は再生するだけで邪悪を祓う!」
 ハートの数から受けが悪い事に気付いた多摘は、舞を変えて威厳たっぷりな再生するだけで邪悪を祓う舞を踊り始めた。その踊りは力強く、そして再生するだけで邪気を祓うという宣伝文句に釣られてバズり始め、辺りに飛ぶハートが増えだした。
「面白い芸ですね。こちらもばずる出し物をしましょう。百鬼夜行による大道芸を楽しんでください」
 大祓骸魂が骸魂の付いた妖怪達を召喚し、舞に乱入するように突っ込ませた。
「他者のアピールタイムに乱入とは、神罰が下る覚悟は出来ておろうな」
 多摘が画面映えするように宣言してから、残っている雨雲を操って雷光を迸らせ、ハートによって強化した雷を落として妖怪達を吹き飛ばした。するとさらにバズってハートが増える。
「ばずる勝負は我の勝ちだ」
 多摘は氷のブレスを放って妖怪達の足元を凍らせて動きを止め、その間に空中を飛んで大祓骸魂の目の前に飛び込む。そしてユーベルコード『龍尾撃』を使い、ハートによる強化を込めて尾を鞭のように振るい強烈な一撃を叩きつけた。大祓骸魂は軽々と吹き飛び、カメラを粉砕し壁にぶつかると、硝子のようにバズリトレンディ御殿が崩壊して元のゲイン塔へと景色が戻った。


「あなたの強くばずる愛を感じました。しかし私の愛を受け止められるのは、愛しきUDCアースのみ。私の愛で全てを永遠にしましょう」
 骨が砕け内臓が破裂するようなダメージを受けても顔色を変えず、うっとりするように大祓骸魂は地上を見下ろし、愛で全てを包み込むように優しく微笑む。
「いいえ、時は移り変わり、共に生きる者らもまた変わりゆくもの! 変わらぬ日々を永遠だと、愛だと賛美するのなら……私はそれを否定する!」
 正面からその愛をメリー・ブラックマンデー("月曜日"がやって来る・f27975)は否定する。
「どちらの愛が正しいか、月の下で明らかにしましょう」
 大祓骸魂が懐刀を掲げると、周囲が暗く闇夜に包まれ、空に爛々と輝く満月が輝く。そして月光に照らされる大地にはすすき野が現れていた。
「すすき野に妖怪が隠れてるわね! 気配を感じるわよ!」
 メリーは視界の悪いススキの群れの中に、邪気を放つ狂暴な妖怪達が潜んで、獲物を待ち構えているのを察知した。
「それならこっちから奇襲をかける!」
 メリーはふわりと月夜に浮かび上がり、すすき野にちらほらと見える影を見つけた。
「アルテミス、隠れる妖怪達を追跡できるよう照らして!」
 【月光珠『アルテミス』】に呼びかけ、宝珠から放たれる光で潜む妖怪達を照らしながら急降下すると、リミッターを解除してユーベルコード『絶対不変の原理原則』を発動する。手に現れた【秒針剣『アトポロス』】が実体の枷から解き放たれ、すすき野を薙ぎ払うように一閃して時を正す神威を放つ。するとすすき野も妖怪にも傷一つ付いていない。だが正常な時の流れに反する妖怪に憑りついた骸魂のみを切り裂いて、妖怪達を元の穏やかで友好的な姿に戻した。
「あとはあなただけよ!」
 メリーは動きを止めずに、すすき野を飛翔してすれ違いながら実体化させた秒針剣を振るう。その斬撃は大祓骸魂の左腕を深く斬り裂いて切断した。


「あなたの愛は他者を救うのですね。ですが私の愛は深く沈み深淵に至ります。ゆえに受け止めるものが小さければ潰れてしまう。その一端を御見せしましょう」
 大祓骸魂から強烈な虞が噴き出し、落下した腕が巻き戻るように繋がって傷を塞ぎ自己を強化していく。あまりにも強大な虞は漏れ出て周囲に撒き散らされた。
「恐るべき悪、であるな。だが、その悪を認める訳にはゆかぬ。故にお前を打ち倒す」
 メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)は世界を滅ぼすほどの悪に対し、断じて認められぬと戦いを挑む。
「灰色の魔王を阻むこと能わず、である……!」
 虞の影響を受け真の姿らしきものへと変貌を始める。メナオンはその身から溢れる灰色砂塵を渦巻かせ、砂嵐の中から身体の所々が異形化した姿を晒した。
「私の愛は止められません」
 大祓骸魂は懐刀を複製し、無数の刃を宙に浮かせて両者の間に棘の壁を気付いた。
「止めてみせるッ!」
 メナオンはユーベルコード『グレイダスト・オーバーロード』を発動し、全力で灰色砂塵の散布・変形・制御を絶えず行い、自身を核として形成されたそれは、さながら空中に浮かぶ巨大な突撃槍のようだった。
「それがあなたの愛の形ですか、その愛の大きさを確かめましょう」
 大祓骸魂は無数の懐刀を飛ばしメナオンに衝突させた。ただの砂塵ならば容易く突破されただろう。しかし、砂塵に見えるそれはその実、数多の重火器と追加装甲と推進器の塊だった。
「突貫!」
 重火器が火を噴き、迫る懐刀を弾きながら突撃槍のように突進して刃物の壁を突破する。
「大きな愛を感じます。ならば、それを破ってわたしの愛を証明しましょう」
 微笑む大祓骸魂が懐刀の勢いを増し、重火器を粉砕していく。そうして突撃槍の形状が崩れ始めた。
「“突撃槍”は大質量の兵器となるが、あくまで奴に迫るための手段――」
 構わずメナオンは前進を続けて大祓骸魂との距離を詰めた。そこで四方八方から懐刀が突き刺さり灰色砂塵が削り取られていく。ここだと、間合いに入るとメナオンは突撃槍から飛び出し、大祓骸魂の目の前に着地した。
「本命は我輩自身。その身を、魂を抉り抜いてやる……!」
 放つ刃のような貫手が胸を貫き、背中へと抜けた。
「嗚呼、これがあなたの愛。とても熱くわたしの胸に伝わる。あなたなら少しはわたしの愛に耐えられるかもしれません」
 腕が体内に吸い寄せられるように押さえ込まれ、手にした懐刀がメナオンの脇腹に突き入れられる。
「これは……!」
 その傷口から大量の虞が注ぎ込まれ、メナオンの力が暴走して異形化が進行して体の自由を蝕んでいく。


「それがわたしの愛です。押し潰されるほどの愛を与えましょう」
 懐刀を抜いた大祓骸魂が、無数の刃を身体の動かぬメナオンの頭上に浮かべた。
「そんな押し付けるような愛なんて、誰も欲しがらないわ!」
 そこへメリーが秒針剣を振るい、斬撃波で雨のように降ろうとする刃を打ち払った。
「愛とはもっとお互いを大切に、共に育てていくものよ!」
 さらに返す斬撃で大祓骸魂の体を横一閃に切り裂いた。
「私の愛は既に大きく育っています。永遠に果てぬほどに――」
 大きな傷を負いながらも、大祓骸魂が空に手を伸ばすと弾かれた懐刀を空中で回転させ、刃の雨を降らせてメリーを貫く。だがその姿が薄れて消え、残像で目晦ましをしたメリーは敵の背後に回っていた。
「あなたの愛は永遠なんかじゃないわ! ここで終わらせる!」
 メリーが背後から斬りつける。だが甲高い音と共に秒針剣は浮かぶ懐刀達に防がれた。
「終わりません。私の愛は永遠に、UDCアースと共に続くのです」
「その身勝手な愛を、我輩は認めぬ……!」
 メナオンは体が上手く動かぬならと、灰色砂塵を纏って突撃槍となって突進し、無数の懐刀の守りを強引に突っ切って体当たりをぶちかました。
 大祓骸魂の体が大きく吹き飛び、渦巻いていた虞が薄れてメナオンの体が元に戻った。
「いいえ、私の愛が世界を包めば、永遠の幸せが訪れるのです」
 傷だらけで起き上がった大祓骸魂は迷いなく愛を語り、それが世界にとっても幸せなのだと信じていた。
「邪神とは身勝手なものだ。ここで滅ぼしておかねば世界に厄災を撒き散らすこととなる」
 そんな邪神の妄言を断つように、多摘が氷のブレスを放って大祓骸魂を凍らせる。
「愛とは、互いの想いをぶつけ合うこと……その結果、傷付くこともあるでしょう」
 愛の為なら何でもない事だと、大祓骸魂は懐刀で氷を砕き世界そのものすらも愛で殺そうとしていた。
「やはり邪神は世界に存在してよい存在ではない」
 敵が自由になる前に、多摘は尻尾を振り抜き、胴に叩き込んで吹っ飛ばした。大祓骸魂の体が壁をぶち抜き、瓦礫と共に地面を転がっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
《華恋》②

狂愛は認める
アタシもシホと離れたくねーもん
究極妖怪なのに人間臭いね

慈悲と赦しの稲荷巫女たる真の姿を顕す

シホの咎人姿が何だっての
大好きは変わらず、ずっと一緒だ
地味な服の事ならウェディングドレスを着せるよとドサクサ紛れにプロポーズ

シホの存在を勇気に変えて虞を祓うぜ
彼岸花は符術の火属性攻撃の火球で焼却

好きは殺させねえ
『UDCアースの過去』がある躯の海に還すんだ
稲荷巫女の慈悲さ

攻撃を神鳴で捌きながら詠唱に入るぜ

比翼連理の恋人・シホと共に願い奉る
虞を、狂気を、骸の理を砕く嵐となれ
彼の者に過ちを犯させず、骸の海へと還さん!

シホと手を繋ぎ乖崩を放つよ

最期に骸魂でない名を教えてよ
忘却のままは寂しいや


シホ・エーデルワイス
《華組》②


そうね…元は人間だったのかもしれませんね

!何って力…!?

虞の影響で咎人である真の姿を暴かれ
羞恥に表情が曇る

ごめん…燦…
こんな姿を晒して一緒に戦うなんて…

燦の言葉に勇気と屈辱に耐える覚悟が奮い立つ
燦…ありがとう
もう大丈夫!

プロポーズされたとは気付かず


枷の鎖は通常幻で必要な時だけ実体化し
自動的に虞を弾いたり
敵に絡みついて周囲の構造物と繋がり時間稼ぎ

私はダンスの様な動きで攻撃を躱しつつ
聖銃で虞を追跡誘導弾でカウンターし浄化

UCの台詞に以下の詞を混ぜて歌唱する様に詠唱
最後は燦と手を繋いで発動


別たれし地球の記憶

比翼連理の恋人燦と共に願い奉る

今ここにその扉を開き
其を狂愛せし大祓骸魂を迎え入れ給え



●二人の愛
「嗚呼、もうすぐ愛しいあなたが、私のものになるのです……」
 着物を血で真っ赤に染めた大祓骸魂は、待ち遠しいと愛おしい地上を見下ろす。そこへ猟兵達が近づく。
「狂愛は認める。アタシもシホと離れたくねーもん」
 愛するものと離れたくない気持ちに共感し、四王天・燦(月夜の翼・f04448)は隣に立つ愛する人に視線を向けた。
「究極妖怪なのに人間臭いね」
 愛にこだわる大祓骸魂を見て、燦は人間のような心の在り方を感じていた。
「そうね……元は人間だったのかもしれませんね」
 その考えに同意して、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)も大祓骸魂が元は見た目通りの人間だったのかもしれないと想像する。

「あなたたちの愛は、私の愛を磨きさらに強くする。これが強大になった私の愛です」
 振り向いた大祓骸魂から膨大な虞が放たれ、それを纏うようにして自身の力を高める。その場に居るだけで大気が震え、突風が吹いたように衝撃が迸り、世界が蠢くような感覚に陥った。
「! 何って力……!?」
 その圧倒的な力に驚愕したシホが目を見開く。空間すらも捻じ曲げる虞が広がってゲイン塔を包み込んだ。その影響を受けてシホは手と首を幻の鎖で繋がれた咎人である真の姿を暴かれてしまい、顔を伏せて羞恥に表情を曇らせる。
「ごめん……燦……こんな姿を晒して一緒に戦うなんて……」
 枷を隠すようにシホは燦に背を向ける。
「シホの咎人姿が何だっての。大好きは変わらず、ずっと一緒だ」
 同じように虞の影響を受けて慈悲と赦しの稲荷巫女たる真の姿を顕した燦は、ただ真っ直ぐに視線を向けて真摯な言葉を紡ぐ。
「地味な服の事ならウェディングドレスを着せるよ」
 そしてドサクサ紛れにプロポーズの言葉を続けた。
「燦……ありがとう………もう大丈夫!」
 燦の優しい気持ちが伝わり、暗い顔をしていたシホが振り返り、僅かに笑顔を見せた。
「あー……意味が伝わらなかったかな……」
 プロポーズだと気付いてもらえずに燦は肩透かしを食らった気分になったが、大切なシホの憂いを晴らせたのでまあいいかと気を取り直した。

「愛し合うあなたたちの愛も、私の糧としましょう」
 そんな二人に向け、大祓骸魂が神智を越えた虞を放つ。それが周囲に血のような色のヒガンバナを咲かせ、包囲して迫って来る。
「アタシたちの気持ちを簡単に奪えると思うな!」
「燦と一緒なら負けません!」
 燦とシホが息を合わせ、符術による火球で燃やし、幻の鎖を実体化させて薙ぎ払う。
「ではどちらの愛が強いのか、決めるとしましょう。破れた方が愛を失うのです」
 大祓骸魂がさらに虞の圧を強め、ヒガンバナが狂い咲いて守りを突破し侵食してくる。
「好きは殺させねえ」
 燦は雷様が鍛えた刀【神鳴】を抜くと、一閃して紅の電撃を放ち、ヒガンバナを押し留める。
「虞を浄化します!」
 その間にシホがダンスの様な華麗な動きで浮かぶ虞を躱し、聖銃を連射して虞に撃ち込み浄化する。すると虞の勢いが弱まり、辺りに吸い込まれてヒガンバナで埋め尽くすように満開に花咲かせた。
「私の愛を防ぐほどの愛、あなたたちから素晴らしい愛の高鳴りを感じました」
 大祓骸魂は二人の気持ちを讃えながら、懐刀を手に歩いてくる。それを愛も命も刈り取る死神のようだった。
 そんな強敵を前にする不安を払拭するように燦とシホは手を繋ぎ、ユーベルコードの詠唱に入る。

 ――其は別たれし地球の記憶。
 ――捧げるものシホ、比翼連理の恋人燦と共に願い奉る。
 ――二人の力重なりて、森羅万象を覆し、世界の敵を撃ち滅ぼさん!

 シホはユーベルコード『【乖崩】華弧連葬・天地乖離の領域』を発動し、燦と触れ合うことで力を共鳴させ、力の根源ごと隔離する結界領域を敵に向けて真っ直ぐ創り出した。するとその内部だけ色が失われたように、咲き誇っていたヒガンバナが白黒となり、大祓骸魂が世界から切り離されたように閉じ込められる。

 ――比翼連理の恋人・シホと共に願い奉る。
 ――虞を、狂気を、骸の理を砕く嵐となれ。
 ――彼の者に過ちを犯させず、骸の海へと還さん!

 続けて燦が『【乖崩】華狐連葬・時空崩壊の震動』を発動し、しっかりと手を繋ぐシホと共鳴して、因果や根源さえ時空ごと崩壊させる魔力災害を放つ。
「『UDCアースの過去』がある躯の海に還すんだ。稲荷巫女の慈悲さ」
 その凄まじいエネルギーの奔流が結界内を満たし、大祓骸魂を呑み込んだ。
 結界が無ければゲイン塔を崩壊させてしまうだけの魔力が荒れ狂い、その空間だけが天変地異のように激震する。
「これが燦と私の力を合わせた全力です!」
「愛ってのは互いに心交わして強くなるものだぜ!」
 何もかもを消し飛ばすような魔力の嵐が収まると、ヒガンバナが床や壁もろとも抉り取られたように消滅し、ぽつんと人影だけが残っていた。ふらりと立つのも覚束ない全身が赤く染まって傷だらけ、瀕死となった大祓骸魂だけが残っていた。
「嗚呼、嗚呼……なんという愛……お二人の想い合う気持ちが私を満たしています。私もUDCアースとそんな愛を交わしたい……もう少しでそれが叶うのです。邪魔はさせません」
 大祓骸魂が懐刀を振るって周囲の壁や天井に地面まで切り裂き、バラバラに崩してその場から逃れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
【Ahnenerbe】で連携
⑮の戦場
真の姿を晒す。(上位魔神形態。JC参照)

ハハハ、他人の愛をどうこう言う気はねーが、命を狙われるUDCアースさんの意見も聞いてみたいもんだな。

『魔神降臨』の発動でさらに巨大化して戦闘能力マシマシへ。

絶奈と合わせて衝撃波(×範囲攻撃)を放って、敵POWUC、百鬼夜行の妖怪達を吹き飛ばして集結を阻害。
そのまま大祓骸魂との間合いを詰めて渾身の一撃を。
(怪力×貫通攻撃×功夫)

俺等が勝ったところでお前さんの愛が偽りとは言わねーよ。
だが、成就はさせてやれねえ。
まあ、骸の海でゆっくり待ってな。その内、UDCアースも行くだろう。
(何十億年か後)


霧島・絶奈
【Ahnenerbe】で連携

⑮の戦場

◆心情
一合の刃は千の睦言にも勝るもの
愉しみましょう、この『逢瀬』を

◆行動
<真の姿を開放>

『二つの三日月』を召喚
バジルさんが変身する様ですし…
私も変身した様に見せかけつつ【目立たない】様に潜伏

敵は軍勢を束ね意思を統一し、ある種「個」としての強さを得る存在…
それ故に群の強さを活かせず、数を活かそうとすれば個の強さを発揮出来なくなります

バジルさんの攻撃に呼応し【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し奇襲
更に【罠使い】として持ち込んだ「サーモバリック爆薬」を【衝撃波】で打ち込み【範囲攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


アルテミシア・アガメムノン
『フリズスキャルヴ』に搭乗して戦場へ。

究極妖怪にして大いなる邪神。
欲張りな称号ですわね。ですが、それだけの力はあるようです。
それにしても永遠の愛ですか。素敵ですわね。
でも、UDCアースさんの気持ちも尊重しないと。あまり独りよがりだと引かれてしまいますわよ!

戦場⑮:真の姿を晒します。(今回は『機神降臨』の効果も相まって搭乗したキャバリアが6対12枚の翼を生やした大魔王モードへ)

増えたフギン&ムニンの魔力連弾により百鬼夜行を蹴散らして、大祓骸魂への集結を防ぎます。その上で全力魔法。太陽の様な一撃を大祓骸魂へと放ちます。


ハルア・ガーラント
●WIZ ⑮
王子さまのこころを継いで未来に繋げると約束したんです
黒い真の姿で最後の戦いに挑みます

他の猟兵さんの攻撃・防御の隙を埋めるように〈パニッシャー〉による[援護射撃]をメインに立ち回ります
敵の攻撃も飛翔することで迅速な回避を

放たれた虞は[第六感]で感知と回避を試みます
[狂気耐性と浄化]を宿す[オーラを纏い防御]しつつ[滑空]し大祓骸魂の目の前へ

わたし、過去で永遠になるより未来に向かって歩きたい
時の止まった世界が美しいとは思えないもの
怖いけれど目を見てはっきり否定
王子様にも聞こえているといいな

彼岸花の花畑に忍ばせていた〈咎人の鎖〉で彼女の足を[捕縛]
UCを発動し花の焼却と彼女を怯ませたい



●愛ゆえに
「私のUDCアースへの愛は永遠となる。その時が迫っています」
 もはや立っているのも不思議な深手を負った大祓骸魂が黄金の輝きを放ち、最後に燃え上がる蝋燭の炎のように虞を放ち、強化された妖怪オブリビオン達を呼び出して猟兵に百鬼夜行を差し向けた。
「ハハハ、他人の愛をどうこう言う気はねーが、命を狙われるUDCアースさんの意見も聞いてみたいもんだな」
 笑うアレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は虞の力をその身に受け止め、禍々しい魔力を纏って体を悪魔のようなものに変えながら膨れ上がらせて翼を生やし、真の姿である上位魔神へと変貌する。
「愛ゆえに刃物で襲って来るなんて、ストーカーだと思われてるかもな!」
 挑発しながらユーベルコード『魔神降臨』を発動し、さらに巨大化して翼の数を倍にして戦闘力を高める。
「一合の刃は千の睦言にも勝るもの。愉しみましょう、この『逢瀬』を」
 霧島・絶奈(暗き獣・f20096)もまた真の姿である神々の姿となり、ユーベルコード『二つの三日月』によって二つの三日月の如き光の巨人を呼び出した。
「目立つバジルさんと二つの三日月に前衛を任せ、私は潜伏するとしましょう」
 絶奈は巨大なアレクサンドルの背に身を隠すようにして潜み、百鬼夜行の視界から消えて罠を仕掛け始めた。

「私の愛を邪魔するものを、全て排除しなさい」
 命を受けて一斉に百鬼夜行が巨大な魔神と光の巨人に襲い掛かった。
「数を揃えたところで、今の俺には意味がねーぜ」
 アレクサンドルは大きな足で憑りつこうとする妖怪を蹴り飛ばし、踏み込んで空中を飛ぶ妖怪を肩から体当たりするように吹き飛ばす。
 同じように光の巨人も隣で妖怪を吹き飛ばし、無数の小さな二つの三日月を放って妖怪達を退けていく。しかし無尽蔵に妖怪は数を補充し、攻勢を続けて押し切ろうと突撃してくる。
「纏めて薙ぎ払わねーときりがないな」
 アレクサンドルは思い切り地面を踏みつけ衝撃波を放つ。それに合わせて潜んでいた絶奈も奇襲するように側面から黒剣と白槍を振るい衝撃波を飛ばした。吹き飛んで百鬼夜行が崩れ、混乱したように妖怪達は個々で動き出す。
「敵は軍勢を束ね意思を統一し、ある種『個』としての強さを得る存在……それ故に群の強さを活かせず、数を活かそうとすれば個の強さを発揮出来なくなります」
 その隙に絶奈は罠を作動させ、サーモバリック爆薬を爆発させて混乱を助長させた。
「道が開けたぜ」
 アレクサンドルが右往左往する妖怪の群れを抜け、大祓骸魂に向かって勢いのまま跳躍して飛び蹴りを放った。
「排除されるのはお前さんの方だぜ」
 超重量級の飛び蹴りが直撃する。大祓骸魂は懐刀で受け止めようとするが、堪え切れずに吹き飛び壁にぶつかって大穴を開けた。


「私の愛は……長き時を経て、今、成就するのです。それを、邪魔させはしません」
 よろよろと大祓骸魂が立ち上がり、ただただ愛の為にと懐刀を握って世界を滅ぼそうとする。そんな大祓骸魂を守るように散らされていた妖怪達が集まる。そして数の力を活かして百鬼夜行として動き出し、猟兵をこの場から排除しようと進行を開始した。
「究極妖怪にして大いなる邪神。欲張りな称号ですわね。ですが、それだけの力はあるようです」
 黄金に輝くクロムキャバリア【フリズスキャルヴ】に搭乗したアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は、瀕死といえるほど傷ついていても衰えぬ、大祓骸魂の暴風のような虞を感じ取る。
「それにしても永遠の愛ですか。素敵ですわね。でも、UDCアースさんの気持ちも尊重しないと。あまり独りよがりだと引かれてしまいますわよ!」
 忠告しながらアルテミシアは真の姿を晒し、さらにユーベルコード『機神降臨』も発動してフリズスキャルヴが眩く黄金に輝き、巨大化して6対12枚の翼を生やした大魔王モードへと進化する。
「まずは百鬼夜行を蹴散らす必要がありますわね!」
 アルテミシアは浮遊する二個の球体【フギン&ムニン】を起動する。それがUCの効果によって倍増し、一斉に高圧縮魔力弾を連射して妖怪達を吹き飛ばした。

「私さえも傷つける。これが猟兵の愛。ですがUDCアースへの愛は決して絶えません。世界を殺して私のものにしてみせます」
 大祓骸魂から放たれる虞の量が減少する。それでも強い意思を以って大祓骸魂は虞をばら撒き、猟兵達を近づかせないように結界を張った。
「王子さまのこころを継いで未来に繋げると約束したんです。その願いを必ず叶えます」
 ハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)は真の姿を開放し、純白の翼を先端から中ほどまで黒く染め、衣装も黒いドレスを纏った姿となった。
「世界を滅ぼすあなたの愛をここで止めます!」
 天獄製の狙撃銃【パニッシャー】を構えて魔弾を放つ。狙い澄ました一撃は他の猟兵に意識を向けている大祓骸魂の左目を撃ち抜いた。
「私の愛は止まらない。どれだけ傷つこうとも、愛は無限です」
 大祓骸魂が荒々しい虞を放ち、ハルアを包み込もうとする。しかしハルアは既にその場から消え、翼を羽ばたかせて空を飛翔していた。それを追い駆けようと残った妖怪達が動き出す。

「射線が開きましたわ!」
 百鬼夜行が乱れた隙を突いてアルテミシアはフリズスキャルヴの翼を輝かせ、全力で魔力を集めて太陽の如く全身を黄金に煌かせると閃光のような魔法を放った。
「なんて眩い……」
 目の眩む光が大祓骸魂を貫き、防ごうとした左腕が吹き飛ばされた。
「この身滅ぼうとも、私は愛を貫いてみせましょう」
 残った右腕で懐刀を強く握った大祓骸魂は、満身創痍の状態であっても諦めずに、愛を貫こうとアルテミシアに虞を放つ。
「一方的な愛なんて、決して相手に受け入れてもらえません。愛とはお互いを尊重し想い合うことで生まれるんです」
 ハルアが狙撃銃を向けて魔弾を撃ち込み、大祓骸魂の胸を貫いた。


「いいえ、いいえ、私の愛は必ずUDCアースに届く。愛しきあなた、もうすぐ永遠の刻を共に過ごせます……」
 血を流しふらふらと大祓骸魂は今にも倒れそうな体で歩き出す。諦めずに最後の一刺しで世界を滅ぼそうとしていた。
「世界が滅ぶ運命なんて、決してUDCアースさんは望んでいませんわ!」
 アルテミシアが球体から連続して魔力弾を発射し、雨のように浴びせて大祓骸魂の足を止めた。
「長き、長き時間を、私は愛の為に過ごした。それも永遠の愛が結ばれると信じればこそ。愛しきUDCアースだけが、私の愛を受け止められるのです……」
 体のあちこちに被弾しながらも、大祓骸魂は周囲にヒガンバナを乱れ咲かせて身を守り足を前に踏み出す。だがその行く手を塞ぐように滑空したハルアが着地して無数の花びらを舞わせた。
「わたし、過去で永遠になるより未来に向かって歩きたい。時の止まった世界が美しいとは思えないもの」
 ハルアは着地と同時に花畑に忍ばせた【咎人の鎖】で大祓骸魂の足を捕縛し、動きを止めたところでユーベルコード『フラッド・リージョン』を発動した。鎖から冥府の炎が噴き出し、その炎が黒き翼に燃え移り、炎の翼を羽ばたかせる。大熱波が花々を覆い尽くし、あっという間に焼却して大祓骸魂をも燃え上がらせる。

「私の愛が消えてしまう……愛しきあなたを永遠の中で抱きしめるまで、私は滅びない」
 炎の中で存在が薄れていく大祓骸魂は、懐刀を一閃して炎を薙ぎ払う。しかし炎の浸蝕によって体は弱り切っていた。
「永遠に変わらぬものなど、死んでいるも同じ……心とは変化し続けるから愛おしいのです」
 絶奈が光の巨人によって大祓骸魂を踏み潰す。ズシンッと地震のような振動が起こり地面が陥没した。だが次の瞬間巨人の足が吹き飛ぶ。
「あなたたちの愛は強い。私も愛が欲しいのです。UDCアースとの永遠の愛が……」
 幽鬼めいた大祓骸魂がゆらりと立ち上がり、足を引き摺って歩き出す。
「俺等が勝ったところでお前さんの愛が偽りとは言わねーよ」
 それ以上進ませないとアレクサンドルが目の前に着地する。
「だが、成就はさせてやれねえ。まあ、骸の海でゆっくり待ってな。その内、UDCアースも行くだろう」
 何十億年か後だろうがと呟きながら、アレクサンドルが巨大な拳を上から打ち込む。大祓骸魂ごと地面を打ち砕くようにめり込み、床が割れて大祓骸魂は落下していく。
 そこへ絶奈の光の巨人が小さな二つの三日月を飛ばして全身を切り裂き、ハルアとアルテミシアが大熱波と太陽の如き光線を放ち大祓骸魂を貫いた。
「嗚呼……愛しきUDCアース……あなたへの愛は、ここに…………」
 目の前に恋しい相手がいるように大祓骸魂は虚空に手を伸ばし、そのまま光に呑まれて消え去った。

 元凶である大祓骸魂を打ち破りスカイツリーを覆っていた虞が消滅すると、猟兵達はふたつの世界を救えたのだと緊張を解き、長い戦いの勝利に喝采を上げて喜ぶ。
「王子さま、あなたの繋げた希望が、世界を救いました……」
 自らを犠牲にして希望を繋げてくれた王子の事を想い、ハルアはこの声が聞こえているといいなと空に向けて言葉を紡ぐ。砕けた壁の外に見える空を、一羽のツバメが飛んでいく――。

 羽根の舞う空は晴れやかに青に染まっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月03日


挿絵イラスト