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銀河帝国攻略戦⑧~第八宙域制圧作戦

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●グリモアベースにて
「集合に感謝する。任務の時間だ」
 口を開いたのは、グリモア猟兵。名前をベモリゼ・テモワン(アイアン・アーミー・f00062)という。彼のがっしりとした体格に、似合わない眼鏡がきらりと光る。視線の先には、エレクトリック・コンソールによって戦域図が示されている。

「諸君も知っての通り、『帝国軍』の大艦隊と『解放軍』の決戦が今執り行われている。先だっての戦いによって、『解放軍』ならびに我々猟兵の働きが功を奏し、帝国の『カイザー・レイ』の破壊に成功した。それを受け、帝国軍が防衛線を構築している」
 ここだ、とベモリゼが指で示す。

 帝国大要塞『エンペラーズマインド』と示された宇宙要塞と、それを防衛するように配置された艦隊、バイク部隊のアイコンが図上に表示される。

「今回、君たちには艦隊撃破を担当してもらいたい」
 ベモリゼは、その中心、艦隊のアイコンを指で示す。
「艦隊が脅威たりうる要素は三つある」

 ひとつめは、その巨大な主砲。
 ふたつめは、対空射撃を行う副砲群。
 みっつめは、戦艦内に積載された艦載機。

「君たちには、これらを無効化してもらいたい」
 ベモリゼは、ここまではいいかな?と猟兵たちを見回す。
「諸君らには宇宙服が支給されるので、それを着れば宇宙での戦闘は誰でも可能だ。ただし、単独で高速戦闘ができるようになるわけではない。宇宙空間でいかに自分の力を活かすか、それが作戦成功のカギになる」
「作戦成功条件は無効化。必ずしも撃破が必須ではないが、撃破するのが一番早いし確実だ。なお、艦の人員は皆オブリビオンで、遠慮する必要はない」
 そう付け加えて、グリモア猟兵は作戦参加する猟兵たちに質問を促す。

 ――解放軍の戦力はあてにならないのか?
「難しいだろう。『解放軍』は確かに数だけであれば帝国軍を圧倒しうる。しかし、その多くの民間人が居住する移民船団であり、大規模な艦隊戦の経験がない。そのため、『エンペラーズマインド』防衛艦隊との開戦直後は、混乱の為、充分な戦闘を行えずに、かなり大きな被害を出してしまう事が予測される。混乱が治まり、ある程度の秩序を持って戦えるようになれば、戦力差を生かして、戦線を押し上げる事が可能かもしれない。しかし、それまでに大損害を受ければ、逃げ出すスペースシップも現れ、戦線が崩壊する危険もありうる。……そうなっては、作戦は失敗したも同然だ」

 ――敵の弱点はないのか?
 そう問いかけた猟兵の前に、ディクタトル級巡洋戦艦の概要図が示される。
「主砲については、その充填……撃つまでに時間がかかるのが欠点だ。対応は可能だろう」
 艦首の主砲をポインタが強調するように、赤く明滅する。
「対空射撃については、なんとか躱してくれとしか言いようがない。一基一基をつぶしていくのも手かもしれない。それは、戦艦を沈める際に大いに役立つことだろう」
 艦ごとに差異があるとはいえ、対空砲を配置しうる位置が無数に示される。
「艦載機は、その操縦を帝国クローン兵が行っている。性能は必ずしも高くない。集団戦闘に長けているから、うまく孤立させて、1対1の状況を作れば撃墜は容易だろう」
 ディクタトル級に搭載された、艦載型デルタ・ファイターの図をベモリゼが見せた。

「もちろん、これはあくまで弱点を利用する方法だ。得意な方法を活かして戦ってくれるぶんには、何も問題はない。むしろ、それこそ俺は奨励する」
 当然だろう?とベモリゼは猟兵たちを眺める。
 その瞳は、参加者たちへの確かな信頼の色を湛えている。
「敵は決して侮れるものではない」
 そこで、グリモア猟兵は一度言葉を切る。
「しかし敢えて言おう。本番は後だ。死ぬな。無事に成功させて、生きて帰れ」
 それこそが君たちの任務だと彼は笑う。

「さあ、何をしている? 任務開始だ。健闘を祈る」
 弾かれたように猟兵たちが、各々の戦場へと向かった。


隰桑
 はじめまして、あるいはいつもお世話になっております。隰桑(しゅうそう)です。
 宇宙戦争、ようやくシナリオを出す機会に恵まれました。
 宿敵イラストを作ったことからお察しかと思いますが、出したくて仕方なかったです。へるにゃー絵師の手による、かっちょいいディクタトル級巡洋戦艦とデルタ・ファイターを、皆さんの手で粉みじんにしてください。

 基本的に純戦です。
 夕方以降、可能な限り即返却、本日中に返却したいと思っています。
 (無理だったらごめんなさい)
 どうぞ奮ってご参加くださいませ。

 アドリブが多く、猟兵同士を連携させることがあります。
 NGあれば、御記載くださいませ。
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『ディクタトル級巡洋戦艦』

POW   :    主砲発射用意!
予め【主砲にエネルギーを充填しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    航空各隊、邀撃に移れ!
【両舷カタパルト】から【直掩艦載機】を放ち、【対宙迎撃】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    オール・ウェポンズ・フリー
【兵装使用無制限状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ベモリゼ・テモワンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アンノット・リアルハート
私一人じゃ火力不足ね……じゃあ私と同等の仲間を沢山用意すればどうかしら?

自傷行為で条件を満たして【遥かなる夢よ、我らの前から消えたもうなかれ】を発動、続けて召喚された剣全員と同時に【流れる夢よ、正しき願いを守りたまえ】を発動して7000以上の流星で敵戦艦を砲撃します。

重点的に狙うのはカタパルト、敵航空隊の出撃を牽制します。
召喚される剣は元王国騎士団の成れの果て。寝てばかりいないで、少しは働いてもらうわよ!



●第八宙域
「アセベート艦長より乗組員すべてに告ぐ。帝国の栄誉を取り戻すまたとない機会だ。皇帝陛下を信じよ、俺たちがここで戦えば、陛下が必ず逆転の手を打ってくださる。『カイザー・レイ』なくとも、陛下の四肢たる我ら『帝国艦隊』は健在だ。踏ん張り時だ。各員一層――」
 星の見えない暗い海を浮かぶ、無数の黒色の船たち。帝国艦隊の一団が、帝国大要塞『エンペラーズマインド』を取り囲むように佇んでいた。星の灯りのかわりとばかりに、無数の兵員部署が灯す電気的な光が、ちかちかと瞬く。帝国艦隊所属、ディクタトル級巡洋戦艦の一隻『キンキナトゥス』の宙測員たちは、目を皿にして猟兵たちの到来を待ちわびる。その見た目は、現世の人間と変わりない。だが間違いなく彼らは過去の遺物であり、そしてまた過去になる存在でしかないのだ。

●開戦の号砲は流れ星
 やがて、クリスタリアンの兵士のきらきら光る目が明かりを捉えた。
「宙測長、本艦の11時方向下部より、接近する光ありっ!」
 その声を聞いて、上官らしきフェアリーの男性士官が示された方向を見て、笑う
「よくやった。馬鹿め、まっすぐ突っ込んできやがって」
 だが男の笑いが、やがて引き攣る。
「――ち、宙測長。あの数、100や200じゃありません。1000……い、いや、3000……もっと増えます!? 猟兵ってのは一体何人いるんだ!?」
「ただちに艦長に報告だ! 『我S領域ニ敵影認ム。数甚大ナリ』――」
 彼らはかつて熟練の兵士であったが、決定的に欠けていた。
 ――何が?
 常識の埒外にいる存在たちとの交戦経験が。あまりにも。

 流れ星は、たった一人の少女から発されていたのだから。

「さあ、あなたたち! 寝てばかりいないで、少しは働いてもらうわよ!」
 流れ星の源には、一人の少女がいた。銀の髪を結んだリボンが、爆発の余波エネルギーによって生じる、宇宙風ではためく。彼女こそ、かつて誉も高かりしリアルハート王国のお姫様。アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は、その臣民兵士のただ中に立って笑顔を見せていた。
 彼女の胸、心臓の位置には、影が突き立つ。それは、夢を呼び起こすための鍵。自らの身体を錠前として呼びだすユーベルコード【遥かなる夢よ、我らの前から消えたもうなかれ】。呼びだされたのは、かつてありしリアルハート王国の兵士たちのなれの果て。無数の剣が叩き起こされて、王女の下知を受けて戦に臨む。
「――これは流れる夢、降り注ぐ幻想、されど願いを導く篝火の星」
 アンノットがただそう念じれば、暗い宇宙空間に、温かな空間が広がる。それは夢を守る結界に相違ない。剣たちもそれに倣えば、無数の光が宇宙を満たす。快活な王女の視線の先には、無数の黒い船たち、帝国艦隊。
「さあ、あなたたちの夢を終わらせてあげる!」
 紫の瞳を少しだけ細めて、ペンダントをぎゅっと握る。彼女の言葉を合図にして、無数の流れ星が降る、降る、降る。まさしくそれは流星雨。その数は数えきれないほどに。宇宙空間を埋め尽くす黒い艦隊を狙うのであれば、遥か彼方から降り注ぐ流星に精密性など不要である。ただ流れるだけで、黒い過去たちの身体が爆炎をあげた。

「艦長、流星です。流星が降っています! すでに僚艦が何隻か沈められました!」
「わかっている、わかっているさ! さっさと迎撃しろ! 迎撃機体はスタンバイしとらんかったのか!」
「あの流星で一部のカタパルトがやられて、出られんのです」
「泣き言はいい、航空参謀。なんとかしろ。――おい、回頭面舵40°。躱せ、躱せ!」
 帝国艦隊の艦橋は大騒ぎである。なにせ開口一番に範囲攻撃が飛んできたのだから。
「主砲充填まだか、あの流星が飛んできてる方向に敵がおるのは間違いないんだ」
 彼らとて黙ってはいない。ただちに反撃の手管を整える。
 だが、心配はいらない。猟兵は、一人ではないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベール・ヌイ
「戦艦相手なら…駆逐艦を…呼ぼう」(「宇宙仕様になってましたっけ?」と書かれた紙を掲げるゴリラ)

護理雷と共に宇宙バイクにタンデムしながら突撃します。
狙いは主砲、セーラー服に着替えたヌイと共にゴリラがバイクで駆け抜けます
相手の攻撃に関しては『野生の勘』で来るタイミングを察知して避けるようにし、タイミングをあわせて錨を投げつけます
当たればUCの条件が揃い、駆逐艦AKATUKIによる砲撃を打ち込みます、ついでにゴリラサンダーを放っておきましょう
アドリブ等歓迎します



●流れ星の中で
 流れ星の中を、ひと際きらきらと輝いて進むかたまりがあった。
 あれは、星ではない。
 デブリでもない。

 ゴリラだ。電気を纏う、ゴリラだ。
 その横には、小さな女の子。
 宇宙バイクをタンデムする、奇妙なコンビだ。
「戦艦相手なら……駆逐艦を……呼ぼう」
 狐の耳がふわふわと揺れる。眠たげな声で、傍らのゴリラ――護理雷に話しかける。
 (「宇宙仕様になってましたっけ?」)
 護理雷が紙を掲げて、召喚主たるベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)に尋ねる。尋ねながらも、まわりの流星に当たらぬままの高速移動。護理雷の操縦は巧みである。ゴリラに運転ができるのか、なんて野暮なことを聞く者はここにいないだろう。目の前に、名ドライバー護理雷がいるのだから。
「ぬいぬい。……たぶん」
 たぶん宇宙仕様になってるらしい。じゃあいいですよと護理雷は納得したように、宇宙バイクのアクセルペダルを踏みこむ。護理雷の身体がばちばちと鳴る。サングラスの奥の瞳が、きらりと揺れる。一挙にハンドルを右に切る。その横を、砲弾が霞めた。
「……へぼ射撃」
(「そうですね」)
 その対宙砲を放った兵士は、流体の手足をびちゃびちゃと悔しそうに床に叩きつける。彼はかつて射撃の名手と呼ばれたような男で、護理雷の野生の勘がそれを凌駕した――のだが、彼ら互いにそれを知る由はない。
「アンカー……射出」
 狐の少女が錨を放つ。バイクによって加速したそれは、猟兵の投擲により一層速度を増し、手近な一隻の護衛艦に刺さる。

●海空両用駆逐艦AKATUKI
『さぁсестра……ベール・ヌイの敵は……ここにいるよ!』
 ベール・ヌイの合図にあわせて現れたのは、海空両用駆逐艦AKATUKI。宇宙対応しているのかは評価が別れるところだが、少なくとも、大砲は撃てた。
 火炎が見える。砲音が轟く。
 たちまち眼前の護衛艦は火をあげて船体が折れる。
「……次、行こう」
(「かしこまりました」)
 眠たげな目をした銀の狐は、護理雷と背をとんとんと叩き、移動を促す。
 彼女に忠実な雷獣は、宇宙バイクを吹かせて次の標的へと走り出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
アドリブ歓迎

そういや宇宙は行ったこと無かったな
まああれだ、こう言うのは勢いだな
【望みを叶える呪い歌】を歌い
靴に魔力を送る
足元に生成した圧縮した風を床がわりにダッシュ
これなら結構動けるか
艦載機の攻撃を見切り
同様に風を使ってアクロバティックに避け
数が多いのがめんどくせえな
1対1に持ち込めば…だったか?
なら…
艦載機に向かって走り込み大きく跳ねその上に着地
と同時に剣を機体に突き立てる
味方にくっついてりゃ撃てねえだろ?
まあ撃ってくるなら撃ってくるで避けるけど
これである意味1対1だ

やっぱ固い足元の方が落ち着くなッ!
剣を深く押し込み同時に雷の属性攻撃
爆発する前に機体を蹴り離脱
爆風があがればそれを追い風に次へ



●巡洋戦艦キンナトゥスの反撃
「護衛艦アンノナエ撃沈! どうやら流れ星の中に、そうでない奴らが混ざってるようです! 噂の、猟兵ってやつらかもしれません!」
 艦橋のオペレータの一人が、悲鳴にも似た報告をする。
「御託はいい! こっちの防衛戦力は増せんのか。数個編隊でいい。防空戦闘をさせろ」
 それを聞いて、苛立たった声で艦長が航空参謀に水を向ける。尖った耳をした『キンナトゥス』艦長アセベート=ウィラ大佐は、整ったクローン・エルフの外見とは裏腹に、往時その獰猛な戦いぶりで名の知れた艦長であったという。それを聞いた航空参謀が、決まりきった答えしかできない身を恨むように口を開きかけて、従兵から手渡された紙を見て僅かに顔を緩める。
「右舷カタパルトより報告、応急修理完了。ただちに防衛隊発艦を命じます」
「いいぞ、でかした!」
 それはすなわち、猟兵たちに対し反撃が加えられることを意味していた。

●黒い鳥は、宇宙をも飛ぶ
「宇宙に来るのは初めてだな。……ま、勢いでなんとかなるか」
 美声の黒い鳥は、暗い宇宙空間にあってもなお燦然としていた。
「――歌声に応えろ、力を貸せ。俺の望みのままに」
 ユーベルコード【望みを叶える呪い歌】の歌声は、無重力空間にあってもよく響く。それは、歌声が魔力を纏うからだろうか。それとも、彼の周りを進む流れ星たちが、聞きほれていたからだろうか。セリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)の靴に、魔力が満ちる。乗っていた流星の熱をちりちりと受けながら、エールスーリエと名付けられたブーツの魔道蒸気機構が白い空気を吐く。眼前には、発艦したばかりの艦載機がちらほらと見える。
「1対1に持ち込めば……だったか?」
 グリモア猟兵のヤツがそんなことを言っていたなと思い起こし、編隊飛行する三機のデルタ・ファイターの部隊に目をつける。空気のない宇宙空間に、ブーツが風を起こす。流星から一挙に跳躍し、編隊の戦闘を飛行する機に乗り移る。
「おらぁ!」
 剣を突き立て、ぴったりと随伴していた後続の二機のコクピットを見て、嘲笑う。
「味方にくっついてりゃ撃てねえだろ?」
 コクピット越し、クローン兵のヘルメットの奥で、悔しそうな目をしているのが見えて、セリオスは一層それを愉快に笑う。結局のところ、戦いを決定づけるのは自らの力なのだと確信している。
「――現代産の雷だ。たっぷり味わえよな」
 デルタ・ファイターの姿勢制御翼が高圧電流を受けて燃え、爆ぜる。この機体はもう駄目だ。それを確信して、後に続いていた戦闘機へと黒い鳥は飛び移る。枝から枝へ、花蜜や果実を求めて、小鳥が動くように。黒い髪が、宇宙空間でも揺れる。
 セリオス・アリスは、宇宙空間でもまた、優雅であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒐集院・閉
純粋な破壊であれば、お任せ下さい。とじは壊すのは得意ですので。

「念動力」で自らを弾き飛ばして、宇宙空間を移動します。上下の無い空間など、初めてです。
主砲は「見切り」躱します。対空射撃や艦載機による射撃は「武器受け」鉄塊、縛霊手で防ぎつつ、無理にでも突っ込みます。「激痛耐性」
邪魔となる艦載機は「念動力」で動きを制限し、大型の縛霊手で「グラップル」「怪力」で握り潰します。

戦艦に辿り着きましたら、狙いますは副砲群。ユーベルコードも使用しまして、可能な限り「怪力」「なぎ払い」を駆使して破壊していきます。

(※好きにお任せします)


ゼルド・シュバイツァー
ふーむ。あまり戦艦落としとか得意ではないのですが。

【サイコキネシス】でそこら辺に浮きまくっているであろうスペースデブリをぶつけます。むしろ主砲の発射口に詰まらせます。
撃たれそうならば味方に警告。
艦載機への妨害支援も必要そうならばスペースデブリぶつけでいきます。
私自身は光学迷彩の【迷彩】で隠密。機動は【空中戦】の技術を生かして隙あらば死角から【暗殺】の要領でフォースセイバーで強襲します。

………コクピットに直接乱入出来れば楽なんですがね



●主砲が動く
「艦長、我が方防衛隊次々と発艦。被害も相応に受けていますが、流星の迎撃に成功しています」
 白色のクローン兵から報告書を受け取った航空参謀が、アセベート艦長に報告する。彼は黙って頷いて、砲兵参謀へと水を向ける。
「主砲準備、まだか。あの忌々しい流星をなんとかしなくては、反撃もままならんぞ」
「充填は八割ってところです。あと30秒ほどで発射できるかと」
「わかった、急げよ」
 牽制射を加えようにも、ああまで離れられては届きすらせんと悪態づいて、艦長は流星の源を見る。それ以上の具体策、猟兵に対する防衛策を講じられなかったことが、今戦での彼の敗因の一つだったと言えよう。もっとも、それはどだい現実的とは言えないのだが。

●閉じ、壊す
「あれは……少しまずいですね」
「止める必要があります。私がやりますから、支援をお願いできますか?」
 主砲が、流星を起こすアンノットの方へ向けられていることに目ざとく気づいたのは、蒐集院・閉(最後の蒐集院・f02941)とゼルド・シュバイツァー(陽炎の仇刃・f12297)の二人である。特に帝国と縁の深いゼルドは、主砲の動きの意図を正確に理解できた。
「と、いいますと。具体的には?」
「私が主砲をデブリで止めます。その際、邪魔になりそうな副砲を止めて欲しいのです」
「純粋な破壊であれば、お任せ下さい。とじは壊すのは得意ですので」
 ゼルドの白い仮面の下は見えない。しかし、その言動は信用に足る。そう判断した閉は頷いて、返事を待たずに駆けだした。いや、飛び出した。流星を足場にし、念動力を籠めた跳躍は、さながら一個の弾丸のように。
 その様子を見た防衛航宙隊が、迎撃せんと飛来する。白い髪、赤い和装。そんな存在が、敵でないはずがない。デルタ・ファイターの編隊は迷うことなく、閉に向けて機銃を放つ。
「邪魔を、しないでください。とじは確かに、頼まれたのですから」
 デルタ・ファイターの銃弾が曲がる。念動力の障壁が、彼女を守るように展開される。
「――げ、激突する!?」
 戦闘機のパイロットの一人が、操縦を誤った。その軌道では、閉と激突してしまう。
 すわ。猟兵はここで果ててしまうのか。
 いや、そんなことはない。
「邪魔をしないでと、申し上げました」
 その手には、その手は、巨大で歪な祭壇であった。蒐集院式捕縛用御霊手甲は戦闘機のコクピットをギシリと音を立てて握りつぶす。赤い液体が、零れて無重力の中で浮かぶ。閉は無感動にそれを離し、足場の替わりにと再び跳ねる。たどり着くのは、巡洋戦艦の船体。
「地獄の悪鬼、鉄火の具足。死者を責め苛み、滅ぼしましょう」
 ユーベルコード【武装開放・獄卒態】が解放されて、灼熱纏う獄卒態と化した閉は船上の砲門火門構造物あらゆるものを薙ぎ払い、焼き尽くしていく。次はお前の仕事だと、姿の見えぬ猟兵騎士をちらりと目線で探しながら。見えなくてもいい。自分の支援が有効な位置に、きっと彼はいるだろうから。

●塞ぎ、止める
「戦艦落としとか、得意ではないのですが」
 閉の目線はゼルドを捉えられなかった。当然である。光学迷彩マントは、敵も味方も関係なく隠れるために用いられる。無貌の陽炎は、宙の中でゆらゆら揺れる。ただし、彼の信頼はきちんと応えられていた。閉の支援が有効な位置を確保して、ゼルドはデブリの一つに立っていたのだ。
 さて、どう攻めるかと思案するように、コンコンと仮面を叩く。急いては事を仕損じる。ゼルド・シュヴァイツァーは、周囲のデブリの位置を冷静に確かめる。主砲が緩やかに動いているのが見える。あれを止めなくては。
「主砲の発射口を塞ごうと思いましたが、少し厳しそうです」
 ディクタトル級巡洋戦艦の主砲は巨大であり、その熱量は多大なエネルギーを孕む。多少のデブリを用いたとこで、一瞬で焼き尽くされたのちに、味方に届いてしまうだろう。ならば、代替案を考えなくてはならない。

「……あれ、良さそうですね―――――――」
 それは、護衛艦の残骸だった。さきほど、ベール・ヌイによって沈められたもの。音もなく、腕が掲げられる。仮面の奥で、目を閉じる。意思もなく、もはや過去へ沈むのみのオブリビオンの船が動き出す。陽剣の守護者が集中するにつれ、かつて護衛艦アンナノエと呼ばれた船が彼の仮初の剣となり、振るわれる。
 主砲が発射される寸前、アンナノエが動く、迫る、激突する。それでも、放たれた熱エネルギーはそうそう押しとどめられるものではない。たちどころに廃船が溶けていく。ただし、その目的は果たされた。熱線の軌道は大きく歪み、外れた。

「――見つかる前に、移動しましょう」
 サイキックの使い方を、帝国軍人が知らないはずがないのだ。あたりを付けられる危険性を鑑みて、白き叛逆の騎士は音を立てずに宙を跳ねた。
 帝国への反逆は、未だ終わらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
破壊に励むか

主砲を第一目標とし魔眼・掃滅で消去
可能なら完全に消し飛ばし、最低限使用不能に
格納状態なら付近を消去し露出させてから実行
その後は他の目標を順次対象に

移動は回廊で
見えていれば移動可能なはず

効果なし、或いは主砲の位置を特定不能などであれば破天で爆撃
各種技能を活用し兵装部を狙った面制圧飽和攻撃で機能不全を狙う



●主砲が止まった、今ならば
「ふむ、およそ目標地点といったところか」
 巡洋戦艦「キンナトゥス」の主砲が見える場所に、淡青色の粒子が舞う。その中に、彼はいた。無機質な声で、護衛艦の残骸が打ち抜かれる様を藍色の瞳が見ていた。その爆発の余波か、エネルギーが宇宙の風となって、銀の髪を揺らす。知るという言葉は、元来支配するという言葉と同義であった。ならば、彼は空間を支配しているといえよう。アルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)は、原理を支配する者なのだから。

 そして、彼はやってきた。彼の力を存分に振るえる戦場に。

「――足元は見えているか」

 それは、ユーベルコード【魔眼・掃滅】の光。藍色の瞳が、常人には理解しえぬ魔力を帯びる。仲間たちの働きのおかげで、彼には十分な時間があった。そして、彼は十分に『見た』。すなわち、魔眼が発動する条件が整ったということ。『原理』の使い手が一たび『見た』のだから、もはや回避できようはずがない。
 くしゃり、と空間が歪む。主砲が歪む。虚空へと巻き込むように。

 巡洋戦艦「キンナトゥス」の前部主砲は、異なる空へと消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロクガツ・クロッカス
【POWを使用】
【アドリブ、連携歓迎】
【UC、アイテム、技能は〈〉で囲む】

うーん、これはかなりのデカブツが相手だね
外から殴ってダメージを与えるのは骨が折れそう
それなら……

狙いは敵主砲の砲身の中!
エネルギーを充填しきる直前を狙って、〈面制圧戦術〉の〈六連装ミサイルポッド〉を〈一斉発射〉!
充填中のエネルギーが内側で暴走爆散したら、きっとタダじゃ済まないよ!

問題はミサイルを当てるための誘導マーカー弾をどう当てるかだね
砲身内部に直接打ち込むならある程度近く必要がある
〈深宇宙航行駆動機・汎型〉に〈騎乗〉して近づくつもりだけど、他の人から支援が受けられたら嬉しいな


レッグ・ワート
普段乗ってる船もいつ来るかわかったもんじゃないし。世界の危機だろうがやめときゃいいのに声掛けに乗る連中ほんと多いし。墜とさせる訳にはいかないだろ。

足が要る仲間がいるなら先にゴッドスピードライドで戦艦後部まで送るとして。装備は自機の範囲、猟兵を例外指定してブレードエピダミスを使う。見た目はかわらねえけど、二重装甲になってない部分に軽くでも触りゃスパッと切れるぜ。この状態で俺は宇宙バイクで宙域回っての主砲や対空砲対応に動くわ。見切りや逃げ足で砲撃潜り寄って、手薄なトコから砲身や砲台を使い物にならないよう触れ切り落としに行く。艦載機が来たら翼根落とすか、範囲攻撃持ちのトコまでいって巻き添えさせるわ。


ヴォルフガング・ディーツェ
【SPD】
【アドリブ・他参加者様との連携歓迎】

戦艦に生身で挑む日が来ようとはね…死ぬな、と言って貰った事もあるしね、精々足掻いてみようか

先ずは相手の動向…特に主砲と直掩艦載機に注意しつつ迅速な接近を図ろう
接近したら【グラップル】で振り落されない様に注意

【ガジェットショータイム】で装甲を破壊
ドリルかビームレーザーか…破壊する為の最適解を導き出し、ショウの開催を華やかに飾ろう!

併せて持ち込み品の「ヘルメス」「トート」を起動
内部を透視し脆い地点に爪のガジェットを突き立て【ハッキング】
「トート」の高速演算を用い自壊、構造書き換えのウィルスを精製し叩き込む
壊れなくても良い、挙動不審になれば儲けものさ…!



●キンナトゥスの窮状
「馬鹿な、あのサイキック・ムーブメントは帝国の技術だぞ。帝国の裏切者がいるとでもいうのか!」
 忌々し気に、白いセラミックの床を巡洋戦艦「キンナトゥス」艦長が踏む。本当に帝国の技術かはともかく、アセベート艦長はそう受け取ったようで、悔しさを隠すなど考えられぬ様子だった。
「艦長!」
「この衝撃はなんだ!」
「しゅ、主砲が、消滅しました――文字通り!」
 彼は慌てて主砲の様子を窓から眺める。
 次々に、船体が虚空に飲まれているのが見えた。
「――俺の知っている戦争は、こんなものではない。なんだこれは、なんだ猟兵と言うやつらは!」
 誰一人、その声に答えられる帝国軍人はいなかった。

●後部主砲の存在
「ベモリゼさんの話だと、確か後部にも主砲がある可能性がある――んだったっけ」
 キンナトゥスに近づく少し前のこと。猟兵たちの出撃基地で、軽装甲に身を包んだ黒色の少女がいた。腰には火器と短刀が油断なく下がり、動きやすい近未来的な戦闘服を見れば、戦場傭兵であると一目でわかる。ロクガツ・クロッカス(スペースベトコン・f06933)はその琥珀色の瞳をくるりと動かして、傍らの猟兵たちに水を向ける。
「ああ、軍艦なんてのは戦況によって改修することがほとんどだ。当然、『どの時期』の戦艦が蘇ったかによって同じ船でも武装は異なる。まして艦隊を組むほどの数がいれば、特定なんて不可能だ」
 そう答えるのは、機械的な電子音声。WR-T2783改め、奪還支援型3LGと称される帝国の量産型マシンだったもの。一般に、ウォーマシンはその口調を上品にプログラミングされることが多く、またそれが好まれるとされる。だが、3LG――レッグ・ワート(其は脚・f02517)はそうではない。彼自身が認めるかどうかはともかく、周囲の猟兵たちと同じ戦う者の言葉を使っていた。総稼働年数が一体どれだけの年月になるかは測りようもないが、重ねた年月は彼に言葉の重みを与えている。
「一つ潰しても、安全でない可能性がある……ってことか」
「その通りだよ、ヴォルフさん」「その通りだ、ヴォルフ」
「うん」
 即座にロクガツとレッグに肯定されて、満足そうに頷いた黒い狼は、ヴォルフガング・ディーツェ(咎狼・f09192)。狼といっても、その身体は人間形態を保っている。しかし、彼の引き締まったからだを見て、その鋭い赤い目を見て、くしゃくしゃの獣ごとき髪を見て、誰が彼を人狼でないと疑うだろうか。かしゃかしゃとガジェットを弄りながら、ヴォルフは思考を纏める。
「じゃあ、オレたちは、前部主砲をつぶしても、まだ残っていたときの第二次攻撃隊――ってことだね」
「ええ、そう! レグさんの操縦でヴォルフさんを至近距離まで運んでもらって、ハッキングで戦艦の動きを一時的に麻痺させてもらう」
「そのあとは、ロクガツの手で主砲にありったけの弾を撃ち込んで、潰してもらう」
 提示された大目的とそれを遂行する手段を話し合えば、やるべきことは見えたと三人は頷き合った。

●戦場に戻る
「レグ、良い切れ味……だね!」
 飛来する迎撃ミサイルを、表情を変えることなく――変えられるかという問題を考えなければ――切り捨てた、レッグの外殻を見て、尻尾を振る人懐っこい狼。レッグの宇宙バイクの後ろに乗って、ヴォルフは大はしゃぎである。当然だろう。暗い宇宙空間を色とりどりに染め上げる、爆発やビームの応酬のただ中を、絶好の観戦席で眺められるのだから。
「物見遊山じゃないぞ、ヴォルフ。お前には、このあと戦艦を止める大仕事が待ってるんだ」
「わかってるよ、任せて」
 俺は真面目だぞと語るレッグの言葉に、ヴォルフはマイペースに答えた。

「やっぱり、あったねー。後部砲塔だ。隠してたのかな。なんでだろ」
 空中で幾らかの直掩機を堕としたあとで、眼前の戦艦『キンナトゥス』の前部が激しい攻撃にさらされているのが見えた。これで戦が終わりかと思えば、その後部で動くものを、彼らは見逃さない。
「大方、砲塔が小さいからエネルギーをケチってたんだろ。俺たちの出番だ」
 緑色の電子光が、まるで感動したかのように強く光る。
「今から一挙に距離を詰める。振り落とされるなよ――演算開始」
 宇宙バイクが、一層速度をあげて、進む。進む。飛来する銃弾が、砲弾が、ミサイルが、すべて無感動に切り捨てられる。ユーベルコード【見境つくうちはいいんだ(ブレードエピダミス)】。レッグの外鎧に触れたものは一切例外なく切り捨てられて、暗い海に沈んでいく。今、直掩のデルタ・ファイターのパイロットと目があった。機を切り裂かれる恐怖を覚えて、一気に軌道を逸らしていった。馬鹿め、いやあるいは賢いのか。あちらさんの人間のなりそこないごときが、今の俺に勝てるわけがないのだから。逸れて行ったデルタ・ファイターが、他の猟兵に撃ち落とされるのが見えた。――俺に斬られる方が、苦しまずに済んだろうにな。

 宇宙バイクは飛んでいく。
 そして今や、蠢く後部砲塔は目と鼻の先だ。
「俺ができるのはここまでだ。終わったら迎えに来る。誰かさんの言葉を借りるなら、――死ぬなよ」
 飛び降りたあとで、その声を確かに聞いた。

「うん、ありがとう。レグ」
 レッグが飛んでいくのを確かに見送って、ヴォルフは自分の仕事に取り掛かる。
 戦艦表面の構造物の、おそらくは整備用に拵えられた手すりを狼の手で掴んで、ヴォルフは少し離れた場所にある砲塔を眺める。前部砲塔より一回り小さいが、決して馬鹿にできるものではない。撃たれたら、少なからぬ人命が損なわれる。
「入り口は、ちょっと遠い。――じゃあ、ショータイムといこう」
 手すりの先にある、船内に入るためのハッチはだいぶ遠い。宇宙空間では距離感が狂うというのはよく聞く話である。ベテランの宇宙飛行士であってもおのが身を過信して危機に陥りうることを思えば、ヴォルフはこの鉄火場でも冷静であった。ヘルメスと名付けられたモノクルごしに、戦艦の腹をじっと眺める。
「……ここ、かな」
 何かを見つけたらしく、ごそごそとポケットを漁る。取り出した手にはドリル。それを先ほどの場所にあてれば、激しい音が鳴る。火花が散る。黒い船体に大きな穴が開く。その穴から、黒狼はするりと船内に乗り込んだ。
「短時間だと、壊すことまではできないけど……挙動不審になれば儲けものさ……!」
 迷うことなく、船内を制御するコンピュータ・パネルにトートの叡帯を作用させて、支配を奪う。砲塔の制御を奪った。これ以上残っていては、戦艦の爆発に巻き込まれかねない。グリモア猟兵の人も、戦艦内部には迎えに来れないって言ってたっけ。
「ならあとは、別の人の仕事だね」
 魔術靴が、黒曜石のようにキラキラと光る。一挙に跳躍し、暗い宙へと舞い戻る。向こうに、戦友が見える。おーいおーいと手を振れば、宇宙バイクがやってきた。
「さあ、逃げるぞ」
 なんて笑いあって、一足先に二人は離脱した。

●クロッカスの花
(「うーん……これはちょっと、近づけないなぁ」)
 イオンエンジンを吹かせて、宇宙船に乗った黒髪の少女は、その対空砲撃に辟易した顔を見せる。離れた場所ならともかくとして、近づけば近づくほど、その迎撃の焦点は合い、激しさを増す。うかつに近づけば、丸焼けになる。
(「うぉっと! 今のはちょっと危なかったな」)
 笑いながらも、回避行動に淀みはない。彼女ほど宇宙戦闘に慣れた猟兵は決して多くないだろう。それゆえに、敵の砲撃の中にあっても慌てない。反撃の時がいつか来ることを彼女は知っていた。そして、その時が来ていた。

(「――今だ!」)
 艦体右舷主砲の近くで、宇宙バイクがきらきら光る。去り行くと同時に、火砲の動きが鈍る。彼らは義務を果たしたのだ。なら、次は自分の番。狙うは、敵主砲の砲身の中。かしゅと柔らかな音を立てて、マーカー弾が飛ぶ。
(「一発命中、さすがだね。私!」)
 高速で移動しながら小さな的に命中させる困難さを、いちいち語る必要はないだろう。まして、物理法則の狂う宇宙空間ともなれば。快活に笑って、次弾の準備に入る。次はちょっとスペシャルだ。異変に気付いたらしい、迎撃隊、直掩機の一群が彼女を狙うも、それを高機動で振り切って。ぴたりと機首を主砲へ向けた。
「鬼ごっこは終わりだよ! まとめて吹き飛ばす!」
 ユーベルコード【面制圧戦術】の発射音は、空気のない空間に響かない。ただ、機に乗るロクガツだけが聞いていた。音は六つ。六連装のミサイルが、次々に放たれて、マーカーの当たった砲塔へと吸い込まれていく。続く音は、嫌でも周りの耳に届いた。
 轟音は六つ。反物質ミサイルによって、砲塔が閃光を放つ。まるで6つの花弁を持つ花のように、鮮やかに咲く。その中で物質と反物質が対消滅を起こし、熱線が迸る。あとに残ったのは、焼けただれた黒い鉄だったなにか。戦場傭兵はその戦果を満足げに確認した。
「任務完了。――よし、補給に戻るよ」
 戦争は終わっていない。彼女の任務はまだまだ続く。
 だが、この場でのそれは、完遂された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

甲斐・ツカサ
【華麗なる西風】コンビで参加

対艦戦闘!これぞ星の海での決戦だね!
それに、それならこっちには切り札があるのさ!
今回はマリアが本命、頼んだよ!
それじゃあ…3・2・1・Launchi!

後ろに乗せたマリアと自分をワイヤーで強く固定し、二人の拠点である小型宇宙船【華麗なる西風号】のカタパルトからRay-GuSTAR射出!

対宙迎撃は覚悟の上、でも宇宙バイクの小回りについてこれるかな?
電脳ゴーグルでホログラムを出してデコイにしながら、戦艦に近付く!

相手の主砲がチャージされたら、こっちも変形!
蒼い残光を発しながら更に加速!
ブラスターの射程まで近づいたら、マリアの出番!

声を揃えて
「華麗なる西風号・主砲発射!!」


マリア・アリス
【華麗なる西風】で参加
戦艦落としなんて、腕が鳴るわ!私達の奥の手、喰らいなさい!

今回の私はブラスターの間合いに入るまではツカサが向こうの迎撃を回避しやすいように、ツカサの死角の索敵や、ブラスターでの対空射撃でサポートするわ!ツカサ、よろしくね!

向こうが主砲をチャージしたら私の仕事よ!ツカサが間合いを詰めてくれたら、向こうの主砲にマーカーを打ち込むわ!向こうの主砲の発射寸前に、同じ宙域域で待機している私達の宇宙船、華麗なる西風号の主砲を打ち込んでやるわ!私達の船は小型だから、主砲の威力が足りないかもしれないけれど、自分達の主砲のエネルギーまで暴発したらひとたまりもないはずよ!



●西風は華麗に吹く
「対艦戦闘! これぞ星の海での決戦だね!」
 小型宇宙船【華麗なる西風号】の操縦室で、甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)は快活に笑う。黒い瞳は、流星と、戦闘機と、爆炎が舞う空間を駆ける喜びに満ちていた。しかしすでに船はオート・パイロットで航行中。ならば、彼らは何をするのか。決まっている、出撃だ。
「ええ、ツカサ。戦艦落としなんて、腕が鳴るわ!」
 それは、宇宙バイク。甲斐・ツカサの持つRay-GuSTARという名の秘密兵器。ツカサの後ろにぎゅっと捕まって、わくわくした声で応じるのは、黒い髪をポニーテールにまとめた少女。マリア・アリス(歩き出したアリス・f04782)は、ツカサの手でワイヤーで身体を括られるのに黙って従った。それはもちろん、信頼の証。
「それじゃあ……3・2・1・Launch!」
 【華麗なる西風号】のカタパルトから、光のように鋭い一条が、風のように軽やかに、星のように輝いて流れていく。Ray-GuSTARの上で、ツカサの正義を示すマフラーが宇宙風――厳密には風ではないが、俗にこう呼ばれる――を受けて、ひらひらと舞う。深淵を見せる電脳ゴーグルが、戦場の閃光を受けてきらりと光る。彼こそが正義のスターライダーなのだと、あまねく戦場に知らしめる。
「ちょっと揺れるけど、我慢してね!」
 冒険者の少年がそう言った一瞬後には、宇宙バイクがぐらりと揺れる。元いた軌道には、銃弾の雨が降る。宇宙バイクの小回りを活かして悠々と躱し、Aby-STerraのスイッチを入れる。彼らを撃った敵機の前に、ホログラムのバイクが現れる。たちまち敵は体勢を崩し、互いに衝突。爆炎をあげて崩れていく。

「見て、あの主砲! 充填されてるチャンスよ!」
 それは、生き残った最後の主砲。左後部砲塔。スペースノイドの元お嬢様は、ブラスターで近寄ってきた敵のスターライダー……帝国バイク兵に容赦ない銃撃を浴びせながら、相棒に目標を伝える。
「ありがとう、マリア! それじゃ、一気に距離を詰める!」
 青い光を残して、Ray-GuSTARが変形、一層の加速を見せる。赤いマフラーが翻る。緑のエルフ製外套が翻る。まるで爽やかな風のように、流星のように鮮やかに、冒険者たちは進んでいく。若き二人に、迷いなんてものはない。
「射程に入った!」
「準備はいい!?」
「ええ、もちろん! マーカーセット!! 主砲、行くわよ!」
 獲物を捉えた二人の声は合致する。

「「華麗なる西風号・主砲発射!!」」
 その一撃は、遥か上宙から。華麗なる西風号の主砲によるもの。
 マリアがブラスターで撃ち込んだマーカーめがけて、"彼女" の主砲が火を噴いた。
 黒煙が見える。主砲はもはや、その機能を喪っていた。

「やったね!」「ええ!」
 二人は手を打ち合わせて、青い流星が母艦へと戻っていく。
 その清々しさは、まさしく西風のようであ

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●巡洋戦艦「キンナトゥス」
「やられたい放題だったな、我々は」
「艦長……」
 巡洋戦艦『キンナトゥス』艦長アセベート=ウィラ大佐は、自嘲する以外にその気持ちを表す術を持たなかった。猟兵という名の異常存在に対応することは、過去より《蘇った》存在には、もとより不可能なことであるのかもしれないと感じていた。だが、すべては後の祭り。そして、その気持ちと感慨を持ち帰ることはできない。彼は所詮、過去の影絵にすぎないのだ。
「退艦命令を出しますか」
 参謀団の一人が艦長に尋ねる。彼は航空参謀だっただろうか。すでに、キンナトゥス所属の艦載機のほとんどが撃たれ、斬られ、撃墜されたあとである。もはや彼にできることはない。参謀として、副官としての役割以外には。ゆえに、常識的な意見を持ち出した。
「馬鹿を言え。この現世のどこに、俺たちの逃げ場があるというのだ」
 アセベート艦長はくしゃくしゃと髪を掻きむしる。
「総員、衝撃に備えろ。敵の方向へ突っ込む。幸い、向こうには棒立ちしている艦隊がいる。奴らを一隻でも多く潰すこと。それは皇帝陛下のためになる。違うか」
 我ながら無理のある意見だと内心嗤いながら、艦長は言った。
「了解です、閣下」
 そうですとは誰も言わなかった。
 だが、艦長の気持ちを解したのだろう参謀団の面々は、誰一人反対を漏らさなかった。
春日・釉乃
【連携・アドリブ改変OK】
巨大な戦艦が相手なら、こっちも奥の手を使うしか!

鎧装騎兵姿で出撃して、背部に接続した『ヴァリアブル・エクシード・ブースター』の[ダッシュ]の力で一気に踊り出るよ

味方に後退指示を出してから、一撃離脱の戦法でユーベルコードの【蒼き清浄なるセカイのために】を使用
機械鎧用の核バズーカを発射して、[鎧無視攻撃]の破壊力で敵を一網打尽に追い込む!

「ミディア・スターゲイザーの理想を掲げる為に…! 銀河帝国攻略戦、成就の為に…! エンペラーズマインドよ!私は帰って来た!」

ある程度の損害を与えられたら、救済の炎を沈下させ…後続の友軍に残存戦力の掃討を任せて、この宙域から離脱するね


フランチェスカ・ヴァレンタイン
わたしはテールバインダーを全速稼働、最大噴射で肉薄して高機動戦を仕掛けましょうか

主砲発射の兆候があればタイミングを見切り、バレルロールの機動で前進しながら回避を

接近したら通過のすれ違いざまに船体へ鎧砕きの一撃を斧槍の戦鎚で見舞い、そのまま連続交差機動で鎧砕きを叩き込み続けましょう
頃合いを見て上方へのループ機動で敵機の直上へ、上から機関部に目星を付けて全速噴射で急降下、運動エネルギーも上乗せした鎧無視攻撃で【UC】を叩き込みますわね
船体に大穴が空きましたらその中にありったけの砲撃を叩き込み、直掩機に囲まれる前に急速離脱致しましょう

※詠唱セリフのアレンジ・アドリブ・他の方との絡み歓迎



●キンナトゥス、動く
「あの光――!」
 その異変に真っ先に気づいたのは、直掩機との空"宙" 戦を繰り広げていた鎧装騎兵たちであった。手近な敵を一刀のもとに切り捨てると、ロケットエンジンを重ねた背部ブースタの出力を調整、宙域旋回し、虫の息のはずの巡洋戦艦の背部を観察する。あの色は、炎は、加速の光。春日・釉乃(”CHIPIE”・f00006)は、その艶やかな灰髪ごしに覗く茶色の瞳で、敵の意図を即座に見抜いた。
「釉乃さん、敵が動いています」
 背面に設えた一対のテールバインダー型加速砲の噴射を調整し、相対速度をあわせて止まる。同じく、その意図と危険性に気づいた猟兵の一人、フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)は、戦友の目を見て、言外に阻止を提案する。
「手はあるけんだけど、――今この状況だと、敵を巻き込む」
「なら、私が時間を稼ぎます。可能なら撃沈を狙いますが――よろしくて?」
 迂闊にも寄ってきた帝国バイク兵の銃撃を、シールドガントレットで逸らして防ぐ。淀みなく、最低限の動きでそれを為す。フランチェスカに銃撃が軽々と防がれたことに驚愕した敵兵の首が落ちる。彩杉肌の刀身が、どこかの爆炎できらきら波打つ
「りょーかい。フラニィ、任せて!」
「はい、よろしくお願いしますね」
 気軽い口調で釉乃が笑うと、本当に大丈夫かと少し心配そうな顔を浮かべるフランチェスカ。アンニュイな表情の彼女だが、それでもそれを口にすることはなかった。暗い海の中を進む、黒い戦艦のまわりを、鎧装騎兵たちが舞う。

●白い翼の鎧装騎兵
「――戦況的に仕方ないとはいえ、こんな巨大な戦艦の足止めなんて、ずいぶんと骨の折れる仕事ですねぇ」
 ため息をつく。口ではぼやきつつも、その仕事に手を抜いたりはしないのが、戦淑女たるフランチェスカ・ヴァレンタインだろう。対宙迎撃を担う戦艦の速射砲の銃弾を、旋回しては悠々躱す。多数の猟兵の働きで、多くの直掩機が墜とされた今、彼女の接近を阻める者はいない。黒い船体へ、大型の戦斧を叩きつける。機動によって加速エネルギーを帯びた戦斧の連撃が爆ぜ砕く。斧が当たるたびに、紫翡翠のピアスが揺れる。
「――こんなものでしょうか」
 何度となく、撃ち付けられ、往時その洗練されたフォルムこそ帝国技術の粋極まれりと評された、巡洋戦艦の船体にはすっかり大きな穴が開いていた。そしてその先には、機関室への通り道がぽっかりと作られていた。
「セーフティ、解除――」
 それを見て満足そうに呟きながら、背部に下げていた重エーテル加速砲を肩へと回す。それは、鎧装騎兵の発射体勢。
「対反動スラスター、噴射待機――」
 外殻強化機構が展開され、戦艦との相対速度を合致させる。
「術式炸薬、フルチャージ……!」
 小型動力炉が回転し、その砲にエネルギーが満たされる。
「たぁっぷり、召しあがれ? ――痛撃、爆砕っ……!!」
 砲が火を噴いて、轟音が反響する。それはまるでカノンのように、幾重にも。キンナトゥスと呼ばれた船を楽器と為して、フランチェスカが奏でる戦場音楽は、壮大であった。しかし彼女は、緑の瞳を曇らせる。
「これでもう加速しない……でもやはり、これではいけない。止まりませんわ」
 宇宙空間において、物体は永遠に動き続ける。空気抵抗や摩擦が存在しないからだ。多少のデブリが衝突しても、巨大な質量が持つ運動エネルギーを押しとどめることは容易ではない。あわよくばと思ったが、やはり仲間にあとは託す他ない。
「なら、後は――お任せしますわね」
 スラスタが再展開し、迷うことなくフランチェスカは崩壊しかかった巡洋戦艦から飛び去って行く。うかうか自分が留まっていては、止められなくなるのだから。

●核の炎
「フラニィのおかげで、加速はない――退避は間に合う。奥の手を使うとき!」
 背部のエクシード・ブースタが火を噴く。鎧装騎兵は、盾に格納していた機械鎧用のバズーカを肩にかつぐ。バレルが回転し、発射機構のロックが解除される。周囲の宙域を眺め、味方の退避を確認してから、慎重に照準をあわせる。ピピピと機械的な電子音が鳴る。ロック・オン。もはや、賽は投げられた。
「ミディア・スターゲイザーの理想を掲げる為に……!」
 一挙に宇宙を駆け上がる。
 迎撃せんと追ってきた、デルタ・ファイターを容易く振り切って。
「 銀河帝国攻略戦、成就の為に……!」
 戦場の後方を航行する、『解放軍』艦隊を守らなければならない。
 背にするように、釉乃は仁王立つ。
「 エンペラーズマインドよ!私は帰って来た!」
 それは、ユーベルコード【蒼き清浄なるセカイのために(ヌカファイア)】の輝き。
 それは、軍艦も、デブリも、敵味方すべての兵士をも、一瞬で蒸発させる輝き。
 無慈悲で、残酷な輝き。

「……救済の炎、いつ見ても美しい」
 自らの産んだ核の炎を見つめる瞳は、恍惚としていた。

 猟兵たちのブースターの輝きが、戦場に流星を降らせる。
 巡洋戦艦キンナトゥスの最期は、所詮一局面に過ぎず、戦いは続く。
 猟兵たちは、次なる義務へと赴くのだ。
 オブリビオンを倒しつくす、その日まで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト