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銀河帝国攻略戦⑩~進むべき道は自らの手で

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 いつもは静かなグリモアベースが、今や多数の人が行き交い、騒めきに包まれていた。
 戦時の慌ただしさの中、ファイルを片手に抱えた少女が会議室へと入ってきた。
「皆さん、お集まりでしょうか?」
 室内に集まった人数を数えたプルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)は、全員がいることを確認すると、ファイルを開き説明を始めるのだった。

「今回、皆さんには帝国大要塞『エンペラーズマインド』にこっそりと侵入し、巨大隔壁を破壊してコアへ通じる道を切り開いて頂きます」
 エンペラーズマインドは、ワープドライブを妨害する機能を持っており、今後の作戦において邪魔になることが推測される。
 だから、この場で中枢を破壊しなければならないのだと彼女は言う。
「現在、帝国軍は解放軍との戦いで、周辺宙域の警戒が手薄になっていますので、潜入するなら今が好機です」
 投影された大要塞の内部映像を示し、詳しい説明を始めた。
 要塞内部には数多の通路と、それを封鎖する数百以上の巨大隔壁があり、エンペラーズマインド・コアを厳重に守っている。
 現状では、どの道がコアに通じているかは分からないため、猟兵達に出来るだけ重要そうな隔壁を破壊して欲しいとのことだ。

「ただし、内部には巡回する警備兵も当然ながらいます。 見つからないように隠密行動を心がけてください。 気付かれずに奥に行ければ、それだけ重要な隔壁が破壊できますので」
 出来るだけ見つからないように気を付けて、と念を押すように彼女は繰り返す。
 この作戦は、そこが最も肝要なのだ。
 早期に見つかってしまえば、何も成せずに終わってしまう可能性が高い。 上手くすれば、敵をかく乱することも可能かもしれないが……。
「帰りの心配はしなくても大丈夫です。 こちらで強制転移させますので、そこは安心して奥へと進んでください」

 皆さんの活躍を期待しています、そう彼女は告げ猟兵達を送り出すのだった。


神坂あずり
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 冒険 『⑩エンペラーズマインド突入戦』

POW   :    密かに潜入し、POWのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

SPD   :    密かに潜入し、SPDのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

WIZ   :    密かに潜入し、WIZのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリン・ラピス
旅団 雑貨店フラジールで参加
隔壁を破壊するのは火力の高い方々になるべく任せて私とルベ(マリン・ルベライト:f08954)はサポートに回りましょう
【クリスタライズ】で自身の姿を消してルベとラーゴ(ラーゴ・ラック:f08563)さんの少し前を歩きながら警戒します
もし敵が猟兵達の存在に気づいたなら私が敵を引きつけましょう
【武器受け】で【時間稼ぎ】をしながら他の方が隔壁にたどり着けるようにします
なんとしてでも隔壁を破壊しないと…


ラーゴ・ラック
旅団 雑貨店フラジールで参加
潜入か。隠密は得意ではないからここはラピス(f08555)とルベ(f08954)に任せて私は【第六感】で進む道を選ぼうかな。
見つかってしまったらラピスが注意を引いてくれている内にルベと協力して【早業】と【ロープワーク】で無力化しよう。騒がれたら面倒だからね。それでもダメなら後ろの通路に【強化繊維糸】を張ろう。ただこれ【拠点防御】にはもってこいだけど在庫が…
…まぁ失敗した時のことなんて考えてもしょうがない。隔壁に着いたら【ポゼッション】を使い【霊式半自律人形】にオブリビオンを憑依させて思い切りぶん殴らせる!【破壊工作】が得意なこいつなら十分なはずだ、粉々にしてやる!


マリン・ルベライト
旅団 雑貨店フラジールで参加
隠密なら任せて!
【クリスタライズ】で姿を消して潜入するよ
ラーゴ(ラーゴ・ラック:f08563)さんに背中から抱きついて一緒に見えなくするよ
お姉ちゃん(マリン・ラピス:f08555)に前を警戒してもらって…
もし私達や他の誰かが見つかってしまったらお姉ちゃんが前衛で敵を引きつけて私が【援護射撃】で助けるよ
【誘導弾】、【2回攻撃】も使ってね
みんなを無事に隔壁まで送り届けてみせる!




 こつり、こつりと規則正しく床を叩く硬質な音が、ゆっくりと目の前を横切り、遠ざかっていく。
 壁際に身を寄せていた瑠璃色の少女は、詰めていた息をそっとため息と共に吐きだす。
 瑠璃色の少女、マリン・ラピス(禁忌に生み出されし姉妹・f08555)は通路の角から頭を覗かせ、周囲に敵影がないことを確認するしてから後方に手招きをすと、二人の男女が身を寄せ合ったままひっそりと足音を忍ばせ、近付いてくる。
「さっきは冷や冷やしたね、お姉ちゃん。 見えてないって分かってても、こそこそ動くのってなんだか緊張するよね」
「ルベ、あまりはしゃぐと声で気付かれてしまうよ」
 マリン・ラピスとは正反対の色を持つ少女マリン・ルベライト(禁忌に生み出されし姉妹・f08954)が楽しげな声音で言うのを、黒玉の肌を持つ小柄な青年ラーゴ・ラック(記憶をなくしたブラックタール・f08563)がたしなめる。
「ラーゴさんの言う通りよ。 姿は消せるといっても、音や体温は隠せないんだから」
 ラピスの言う通り、三人はここまで<クリスタライズ>を用いて、警備兵の目を誤魔化しながら進んできていたのだ。
 先ほどまでは順調に来られたが、徐々に巡回の人数が増えているようであった。
「む~、ラーゴさんもそういうなら、仕方ないですね……あれ?」
 ぷくぷくとふくれっ面をしていたルベライトが、通路の先に置いてある物に気付き声を上げた。
 言ったそばから……と、お小言を始める姉に待ったをかけて、視線の先にある立札を指さした。
 指の先を辿ったラーゴは、目を細め、じっと立札を注視し口を開く。
「あれは……看板のようだね。 この先、工事中につき通行止めと書いてある。 あちらは通れないようだから、迂回路を探そう」
 彼の指示に素直に頷いた姉妹は、連れ立って脇道へと入っていくのだった。

 姿を消したまま巡回をやり過ごしたりしながらしばらく進むと、やがて広い一本道に突き当たった。
 道行く先にあるのは袋小路……いや、これは巨大な隔壁が降ろされた通路だ。
「敵は……近くにはいないようです」
「そのようです。 注意しながら近付きましょう」
 告げるラピスの言葉に、感覚を研ぎ澄ましていたラーゴが首肯すると、三人は隔壁へと近付き。
 ――その時、小さくも耳障りな電子音が頭上から響く。
 慌てて見上げた先には、一台の監視カメラ。
 そのレンズは、姿を消しているはずの三人の姿をしっかりと追っていた。
 それだけで何が起こったかなど、火を見るよりも明らかだ。
「FLIR、熱を感知されたか!」
「うそっ、ここまでなかったのに!?」
 バタバタと無数の足音が近付いてくる。 恐らくは監視カメラが呼び出した警備兵であろう。
 時間がないと悟ったラーゴは、通路に強化繊維糸を張り巡らせ、簡易的な防衛陣地を作り出す。
「ラピス、ルベ。 敵の足止めを頼んだ!」
 姉妹それぞれの肯定の言葉を背に、ラーゴはユーベルコードの準備を整えながら、防壁に向かって駆け出した。

 ラーゴを送り出すと同時に、複数の巡回兵が流れ込んでくる。
「いくよ、ルベ」
「援護は任せてよ、お姉ちゃん!」
 通路の角を曲がり、姿を現した巡回兵の膝に、引き絞られた紅電弓から放たれた矢が突き刺さるく
 それでもなお、仲間の犠牲を物ともせずに兵は突き進み、強化繊維糸を切断しようと、張り巡らされた糸に取りつく。
 だがそれを許すラピスではない。 彼女の振るう薙刀、瑠璃月が兵士達を薙ぎ払っていく。
 多勢に無勢だが、こちらは陣地を敷いている分だけ有利だ。 なにより、倒しきる必要はないのだ。
 それはさほどの時間もかからずになされた。
 青と赤の姉妹の背後から、轟音と共に、金属が瓦解して崩れ落ちる音が響き渡る。
「撤退だ。 ラピス、ルベ!」
「「はい、ラーゴさん」」
 姉妹二人、仲良く声を合わせて答えると共に、グリモアベースへと強制転移されるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
なるべく奥へ、か

界識を先行させて警備状況を把握しつつ身を隠せる場を探し回廊で転移
以後繰り返して奥へ侵攻
警備の目が多すぎ安全確保できる場がない場合、その付近で最奥と思しき隔壁の側へ転移し魔眼・掃滅で消去
すぐには見咎められないなど複数消せそうなら同様に繰り返し実行

退路を無くす前に回廊で撤退


雪華・グレイシア
潜入任務か、怪盗の得意分野だね
さ、ショウタイムと行こうか……カーテンコールまでは静かにね

警備兵に見つからないように【忍び足】で【目立たない】行動を心掛けるね
監視カメラなんかもあるだろうし、壁なんかの影に隠れて死角に潜り込むことを意識するよ
情報端末か何かあれば、ロジカルダイヤルを接続
【ハッキング】して【情報収集】だ
目当てのルートの検索や監視カメラの映像を弄ったりできないか試すよ

障壁の前まで来たら後は派手にいこうか
【破壊工作】で障壁に壊しやすいよう細工をしたら、マスカレイドビークルを巨大ロボに変形
警備兵が集まってくるまでロボのパワーで障壁を破壊していくよ

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】




 隔壁が盛大な音を立て、瓦解し崩れ落ちるのを背に、大柄な青年が嘆息すると、隣に立つ小柄な少年を見下ろし、苦言を呈した。
「これは少しやりすぎではないか。 すぐに警備兵が来るかもしれん」
「どうせバレるなら、派手にやった方がいいじゃないですか」。
 対する小柄な少年、アルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)は、瓦礫を乗り越えて先へと進みながら肩を竦めた。
 彼の言う通り、この辺りにある隔壁は、異常動作や破損が検知された場合、即座に巡回する警備兵に連絡が回るようになっているようであった。
 これでは潜入も何もあったものではない。
「だったらこの後することは、二択ですよね」
「潔く撤退か、ギリギリまで隔壁を破壊しに向かうか。 集まってくる敵が邪魔そうだが」
 さりとて、無為に止まって時間を浪費しているわけにもいかない。
 二人が選んだ道は、後者であった。

 巨大ロボに変形したマスカレイドビークルが、駆動音をたてながら駆け抜ける。
 騒々しく乱れた足音、幾重にも連なる銃声、口汚い怒声が響き渡る中、それらすべてを掻き消すように投げ込まれた隔壁の残骸が蹂躙していく。
「コイツら、どんだけ湧いてくるんだ、蟻か! 次の隔壁は、もう少しですね」
「なんとかたどり着けそうだが……間引かないと追い込まれそうだな」
 <回廊>で視界内を繋ぎ合わせて、短距離転移を繰り返すことでビークルに追従していたアルトリウスは、交差する通路から現れた敵の増援目掛けて、青く輝く魔弾を放つ。
 ここに来るまで何度も敵を轢いていたせいか、人間の姿は見かけなくなっていたが、その代わりとばかりに無人兵器の数が増している。
 機械は恐怖で立ち止まることも、死を厭うこともないので兎に角厄介だ。
 通路を曲がると、前方に隔壁が姿を現した。 ならば、ここで必要なことは……。
「軽く足止めしておきますから、さくっと隔壁を壊してきてください」
 通路の中央に陣取ったグレイシアは、霜の巨人を呼び出すと、次々と集結する敵兵へと向き直るのだった。

 背後で氷雪が吹き荒れる中、アルトリウスは隔壁の前へと踏み出した。
 後ろからは、極低温により動作不良を起こした無人兵器が頽れる、重たい音が聞こえてくる。
 眼前にそびえる隔壁は巨大だが、所詮はただの物体だ。
 全力魔法を併用して放たれた<魔眼・掃滅>の力により、隔壁はまるで存在しなかったかのように異間へと放逐された。
 ……が。
「な……っ!?」
 隔壁のあった場所、その先。 数多の銃口が、アルトリウスを覗き込んでいた。
 銃口が火を噴く刹那、咄嗟に<回廊>に逃げ込み、グレイシアの元まで引くことで、事なきを得た。
 奥には銃口を向けた兵士達、手前には氷雪を抜けんと同型機の残骸を乗り越える無人兵器群。
 進むも地獄、退くも地獄とはこのことだろう。
「これ以上は無理をして進むのも拙そうですね、撤退しましょう」
 グレイシアのその言葉を合図に、グリモアの転移の光に包まれ、二人は敵の真っただ中からふっと消え失せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【鳴宮・匡(f01612)と共闘】

ユーベルコードを少数動員して、通路の見通しが悪い部分を先行偵察。巡回する兵士を予め察知しながら隠密行動をする。
障壁は【ハッキング】【毒使い】【早業】を用いて素早く掌握、ウイルスを送り込んで突破して回る。物理的手段が必要ならドローンの装備を静かに使用する。
移動は【ダッシュ】と【忍び足】で素早く、静かに。
進路上片付けなきゃいけない敵には【先制攻撃】からの【暗殺】も可能だ。
仮にバレても【早業】と【ハッキング】で通信と武器の使用だけでも咎めておくぜ。

さーて、プロフェッショナル2人でスニーキングミッションだ。
頼りにさせてもらうぜ、チューマ(相棒やダチの意)

アドリブ歓迎


鳴宮・匡
◆同行:ヴィクティム(f01172)
◆アドリブOK

ま、信用の分だけは働いてみせるさ
そっちの腕も信用してる、しっかり頼むぜ

道中はヴィクティムのドローン偵察と合わせ
【聞き耳】【追跡】を用いて敵の位置を此方でも確認
向こうの情報と擦り合わせながら見咎められないルートを選定して進行

出来るだけ敵は避けて通るけど
進路上避け得ない時や重要と思しき地点周辺で必要があれば戦闘
ナイフを用いての格闘戦、【先制攻撃】で騒がれる前に倒そう

障壁の解除・突破は任せ
掌握作業中の周囲警戒、索敵を担う
敵の接近等は逐次共有しておく

物理的に処理が必要なら【破壊工作】だな
ま、さすがに気付かれるだろうし
その時は精々派手にやろうぜ




 巨大な隔壁の前で一人の少年が、周囲に電脳空間を展開しながら作業を行っていた。
 中空に映し出されたキーボードの上を、素早く、そして正確に指先が躍る。
 投影されたディスプレイ上に流れる数多の文字列が形無き刃となり、敵が行動を開始する前に迅速に沈黙させていく。
 ――ガコン。
 眼前にそびえたつ巨大な隔壁が、重たい音を発し、微細な砂埃を振り落としながら開かれる。
 それはあたかも開いているのが当然のように、厳戒態勢が敷かれていることを忘れたかのような振る舞いであった。
「終わったみたいだな。 相変わらずのすげー手際で助かる」
 そう声を掛けたのは、周囲を警戒していた鳴宮・匡(凪の海・f01612)だ。
 元来、作ったり解いたりするのが苦手な自分一人では、こうも静かに隔壁を開放することはできなかっただろうと。
 その言葉に、電脳空間を閉じたヴィクティム・ウィンターミュート(ストリートランナー・f01172)は肩を竦める。
「俺だって、一人じゃ安心してハッキングなんてしてらんねえよ。 頼りにしてるぜ、チューマー(相棒)。
「ま、信用の分だけは働いてみせるさ」
 二人は、互いの不足を補いながら、順調に破壊工作を進めていく。

「この辺りのICE(侵入対抗電子機器)は寝かしつけておいたから、暫くはぐっすりおねんねしてるぜ」
「問題は人間と、スタンドアローンで動いてる無人兵器とかかな」
 先行する偵察ドローンから送られくる情報を確認しながら、声を潜めて言葉を交わした二人は、柱の影から抜け出し先を急ぐ。
 しばし道なりに進んでいると、ヴィクティムの視界に警告が表示された。
 素早く相方に停止の合図を送り内容を確認すると、どうやらドローンが動体を感知したようだった。
「角の向こうにゾーニーズ(見張り)が2、確認してくれ」
 停止すると同時に、注意深く聞き耳を立てていた匡は首肯し、結果を口にする。
「……オーケー、確認した。 楽しそうに会話してる、暢気なもんだな」
 呆れたように小さく呟き、戦闘用のナイフを引き抜くと、ヴィクティムに目配せをした後、ナイフの柄頭で壁を殴りつけた。
 ごつりと響いた音に見張りが気付く。 誰何の声と共に、注意深く銃を構えた見張りの一人が近付いてくる。
 ――残り2歩。 匡が身を低くして構え。
 ――1歩。 ヴィクティムの機械化された腕が伸ばされる。
 曲がり角から顔を出した見張りの兵の襟首を、伸ばされたヴィクティムの腕が掴み、引きずり込む。
 その瞬間、匡が通路へと躍り出た。 慌てて銃を構えるもう一人の兵士だったが……遅い。
 疾駆した匡が瞬時に敵兵へと迫り、持ち上がった銃口を押さえつけ、閃く刃が喉笛を切り裂く。
 言葉を発する暇もなく崩れ落ち、血だまりを広げながら痙攣する兵士を確認した匡は、血糊を払いナイフを収めた。
「さーすが、超一流のフェリーマンは仕事が早いぜ」
 ヒューと口笛で囃しながら何事もなかったかのようにやってくるヴィクティムに、どの口が言うんだと匡は肩を竦め。
「これを手早く隠すのは難しいな。 バレてない内に急いで次に向かおう」
 『これ』を指差しながらそう告げると、二人は静かに、されど迅速に次の隔壁へと向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハル・パイアー
「隠密で捜索し、隔壁を破壊せよ。任務了解。腕に覚えのあるはぐれ者が居れば尚良いが……。」

小官は潜入のサポート及び破壊工作を開始します。
潜入には[迷彩][忍び足]を使用。警備兵から発見され難くした上で[暗視]を作動し侵入。この際、破壊力はあれど隠密が不得手な者の案内役も担います。
そして《サイバーナビ=サポートシステム》にて[ハッキング]し、カメラやセンサー類を[情報収集]。入手した情報を友軍と共有しつつ、回避しながら可能な限り深部へ。
深部にて隔壁を発見したら、隔壁のロック機構にAIナビを送り込み解放しロック破壊。
もしくは物理的なストッパー位置を把握して熱ブレードの[破壊工作]にて破壊します。


絡繰・ビリー
つまり、スニーキングミッションだね
芸術的に破壊してやろう!
・POW行動
コアは最奥…中央付近かな?
どうやって行こうか
【メカニック】としての知識と経験から、空気を通すダクトを探して潜るよ
効率的な配置をされてるなら、多少は行き先も絞れるはず
これで警備兵をやり過ごす
【迷彩】して見え難くもしておこう
小さな隔壁やドアくらいなら、端末を開閉用の端末を【ハッキング】して、閉めて開かなくできるかな?余裕があればやろう
出来るだけ奥へ入ったら、巨大隔壁をどう壊すか
【メカニック】として構造を調べ、要点に細工して、オーバーチャージ・バスター!
点を壊せば勝手に崩れる…解体の基本
でも上手くいってよかった!
アドリブ、協力歓迎


ハルピュイア・フォスター
【SPD】
アドリブや絡みはOK
基本、迷彩と目立たないを常時発動

普通に考えて警備兵が沢山いる所が重要な場所…だよね……今日は疲れそう…。
もしも侵入途中の部屋に見取り図があったらこっそりと拝借して最短ルートへ
Last memoryとダッシュで巨大隔壁を破壊して奥へ奥へ…あと何個だろう?

隠れる場所があれば隠れながら殺気と恐怖を与えるで悪寒を誘い……ここからさっさと立ち去れ!
隠れる場所がなければ仕方ないのでフック付きワイヤーでわたしは天井に張り付きましょう…念のため事前に用意した『清掃中 足元に注意して通過してください』と書いてある立札を置いて足元に集中させ……早く立ち去れ!

見つかった際は逃げ足で逃走




 どこか遠くから微かな戦闘音が届くさなか、広い通路を足音もなく、小さな影が横切る。
 小さな影、ハル・パイアー(スペースノイドのブラスターガンナー・f00443)は、するりと柱の裏へと滑り込み、通りがかった巡回兵をやり過ごす。
 <サイバーナビ=サポートシステム>を用いたハッキングで得た情報を元に、ここまで進んできた彼だったが、そろそろ手詰まりになってきているのを感じていた。
「やはり、他の猟兵達に遭遇できなかったのが痛いな……」
 彼は不運にも、ここに至るまで一人の猟兵とも会うことができていなかったのだ。
 巡回する兵や監視システムの数が増えてきた現状では、人一人が持てる知識や情報では、切り抜けるのが厳しくなっていた。
 どうしたものかと悩み、巡らせた視線の先に奇妙な物が映る。
 それが何であるか理解した瞬間、ハルは自らの目を疑い、思わず足元を確認した。
 そこには、敵が侵入し厳戒態勢にも係わらず『清掃中 足元に注意して通過してください』と書かれた立札が置かれていた。


 時は少し遡る。
 物音を聞きつけ駆け付けた兵士が、警戒した様子で銃を構えながら部屋の中を見渡していた。
 視界に不審なものはない……バイザーを通常状態から暗視へと切り替えようとしたその時。
「にゃー」
 どこからともなく猫の声が聞こえてきた。
 なんだ猫か……兵士は安堵しため息を零しながら巡回へと戻っていった。

「いやいやいや、猫がこんなところにいるわけないよね!」
「誤魔化せたから結果オーライ……です」
 天井の通期ダクトから飛び降りた絡繰・ビリー(スクラップギア・f04341)は、思わず突っ込みを入れた。
 彼に続いて降りてきたハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)が、そこはかとなく自信ありげな雰囲気で言葉を返すと、迷彩を纏いながら部屋を出て通路を進み始めた。
 二人は『警備兵が多い方向が重要な場所に繋がっているであろう』というハルピュイアの推測を元に、奥へ奥へと進んできていた。
 兵士や監視の数は順調に増えており推測は当たっているような気もするのだが、見取り図の見つからない現状では確証が持てず、闇雲に探すのは難しい状況になっていた。
「変な増築とかされてないなら、この上のダクトが中枢に通じてるはずなんだけど……」
「待って。 何か気配がする」
 足を止めたビリーはハルピュイアに、さっきのように敵をやり過ごそうと頭上のダクトを示すと、ダクト口の留め具を熱線で静かに破壊すると素早く身体を滑り込ませた。
 僅かに遅れてハルピュイアもダクトに身を潜めると、元のようにダクト口を閉じると、二人はスリットの隙間から廊下を見下ろした。
 ……と、そこでビリーの視界におかしなものが映りこんだ。
 先ほどまではなかったはずの、掃除中と書かれた立札が、何故か置いてあった。
 嘘でしょ!? と正面に潜む少女に顔を見やるとそこには、完璧な作戦だとでもいう雰囲気をかもす少女の無表情な顔があった。


 どこかに潜む何者かに、自身が猟兵であることを明かしたハルに釣られる形で姿を現したビリーとハルピュイア。
 こうして、三人の猟兵達が合流するに至った。
 あれはない、少し前は成功した、などと言葉を交わしながら進む道程は順調だった。
 ハルがカメラやセンサー類を誤魔化し進路を示し、ビリーが迂回路を見つけ出し、どうしようもなくなればハルピュイアが手早く始末する。
 途中、警備兵に発見され逃走しながら、やがて巨大な隔壁へと辿り着く。
「恐らくは、ここが最も怪しい場所だ。 なにせどうやってもアクセスすることができない、完全に独立したネットワークが敷かれているようだからな」
 隔壁を調べ、構造的な弱点に細工を施したハルとビリーが下がると、代わりに刃を手にしたハルピュイアが前へと歩み出し。
「じゃあ、斬る……ね?」
 言い終わるや否や、踏み込むと共に閃いた銀線が隔壁の表面を幾重にも撫でていく。
 物理的な支えを失った金属製の壁は、自身を支えきれずに崩れ落ちていき……けたたましい警報が鳴り響く!
 侵入警報に反応し、隔壁の残骸の向こうから、わらわらと無人兵器が湧きだしてきた。
「うわ、たくさん来た! 千客万来? って言うんだっけ。 これはもう……」
「袋の鼠だな。 逃げるしかないようだ」
 後退すると間もなく三人は光に包まれ、グリモアベースへと強制転移させられる。
 後に残ったのは、先ほどまで侵入者の反応があった場所をうろうろと彷徨う無人兵器の群れだけだった。

 こうして突入作戦は無事に完了した。
 果たして、どれがコアへと通じる道だったのかは今はまだ分からない。
 だが、猟兵達の尽力により、エンペラーズマインド・コアへと通じる複数の道が切り開かれたことは確かであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日


挿絵イラスト