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大祓百鬼夜行③〜階段カイダン怪談

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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 恐怖だけで人は死んでしまうことがあるという。想像を絶する恐怖というのは時に研いだ刃物より鋭く人の心を突き刺すのだ。
 そして恐怖の対象というのは人それぞれ違うものだ。子供のころに夜中目覚めてうっかり見てしまった怖い映画。茂みから飛び出して噛んできた蛇。二十歳までに覚えていたら迎えに来ると噂された言葉。様々な恐怖に怯え、忘れ、克服して人は生きていく。
 しかし、ふいに思い出すのだ。ああ、これは自分が芯から恐怖していたあの――。
『お前の怖い物はな~ん~だ~?』

●「皆サン元気いっぱいカ!? 大祓百鬼夜行の攻略お疲れ様ヨ! 今日は灯籠磨きのお仕事をお報せするネ」
 集まった猟兵達を見回したロバート・ウォン(東方妖怪の猟奇探偵・f30564)は語りだした。
「カクリヨファンタズムの最深層に通じる道を示すという、呪われた『百霊鎮守塔』。この戦場を制圧すれば、塔の最上階にある『百霊灯籠』が点灯し、最深部への道を照らすと同時に、最深部に眠る『竜神親分』の力を抑えると言われているネ。ケドあまりにも放置されてたせいだろうネ。『百霊灯籠』、骸魂の影響を受けチャッテ、『カタストロフ』を起こそうとしているみたいなのヨ。だカラ、最上階まで登って『百霊灯籠』をピッカピカに磨いてそれを阻止する必要があるアル。ただ話はそんなに簡単じゃなくて、途中はトラップだらけになってしまってるアルヨ」
 ロバートは手持ちの端末で『百霊鎮守塔』の見取り図を見せながら話す。
「階段を登る途中で声をかけてくる妖怪が出るアル。曰く、『お前の怖いものはな~ん~だ~?』と。怖いものに化けるだけで基本的に答えれば通してくれるケド、恐怖は馬鹿にできないものだからネ。心にいくばくかダメージは負うかもしれないヨ。こいつらをやり過ごしていかないと最上階にはいけないようになっているネ。ちなみに、上階から入ろうとしても無駄ヨ。不思議な力で一階に戻される仕組みになってしまってるカラ、一から階段を登る以外に方法がないワケ。答えずに通ろうとしても通してくれないカラネ。相手しつつ自分の心を守りながら頑張って登って、灯籠をピッカピカにしてきチャイナ」
 そう言うと、ロバートは転移の準備を始める。
「恐怖を克服したときに人は成長するのかもしれないケド、恐怖を持ってることは別に恥ではないと思うヨ。ケド、それを克服することに意味があると思うナラ、今回はいい経験になるんじゃないかと思うアル」


星野ユキヒロ
 星野ユキヒロです。
 弱点つまびらかタイムとでも言いましょうか。苦手なものを前にしたキャラの反応を見ることができるシナリオです。

●変化の妖怪
『お前の怖いものはな~ん~だ~?』と聞いてきて、答えるとそれに化ける妖怪が出ます。気合で我慢する、目をそらして駆け抜ける、わざと怖くないものを答えるなどのプレイングで乗り切って灯籠を磨いてください。
 プレイングボーナスは「塔の中のトラップを解除する」となっております。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。執筆は来たものから書いていく感じですのでよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『変化ヶ丘』

POW   :    恐怖を気合いで乗り越える。

SPD   :    怖い物を見ないようにして一気に駆け抜ける。

WIZ   :    本当は怖くない物を答える。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 『百霊鎮守塔』。その最上階への階段の途中に、もやのような何かが蠢いていた。訪れた者に姿を与えてもらうまではその体は曖昧なままなのだ。だからそれは問いかける。
『お前の怖いものはな〜ん〜だ〜?』
パルピ・ペルポル
お掃除だけなら楽でいいのだけれどね(掃除道具をエプロンのポケットに入れつつ)

怖いものねぇ。
まぁいろいろあるっちゃあるんだけどね。
…ガラスの瓶、かしらね。わたしがすっぽり入っちゃうくらいの。
昔捕獲されたときのトラウマはいまだに消えないわね。結構長い間入れっぱなしにされてたから…。
ま、物が目の前にあるだけなら無視して通り過ぎるだけだけれど。
中に入れようとしてくるならタダではおかないわよ?もうあの頃とは違うわ。今なら叩き割って脱出することも出来る力があるんだから。

てっぺんついたら灯籠を綺麗にしなきゃね。
いろいろ大詰めだし気合入れていくわよー。



「お掃除だけなら楽でいいのだけれどね」
 掃除道具をエプロンのポケットに複数用意したパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)は長い長い階段を見上げてそう言った。聳え立つ塔の中の長い階段は螺旋を描き、ぐるぐると来たものをいかにも惑わしそうだった。
「いろいろ大詰めだし気合入れていくわよー」
 パン、と自らの両頬を掌で叩き、パルピは階段を登りだす。
 三回ほどぐるぐるまわって登ったあたりだろうか。目の前にもやのような存在が現れた。
「おいでなすったわねぇ……これが変化の妖怪ね」
『お前の怖いものはな〜ん〜だ〜?』
 事前に聞いていた通り、妖怪は怖い物を尋ねてくる。とにかく答えることはしなければならないのだ。
「怖いものねぇ。まぁいろいろあるっちゃあるんだけどね。……ガラスの瓶、かしらね。わたしがすっぽり入っちゃうくらいの。昔捕獲されたときのトラウマはいまだに消えないわね。結構長い間入れっぱなしにされてたから……」
『お前の怖い物、確かにき~い~た~』
 思案ののちに答えたパルピの周りに白いもやが回り込む。そのもやはぐにゃぐにゃと形を変え、大きなガラスの瓶になって彼女を閉じ込めた。
「うっ……」
 妖怪のいたずらだとわかっていても心がざらつく。
「見せてくるだけだったら無視して通り過ぎようと思ったのに……。こんなことするならタダじゃおかないわよ? もうあの頃とは違うわ」
 両の腕を瓶の壁に当て、ぐっと力をいれると火事場のなんとやら。分厚いガラスの瓶がまるで砂糖細工のようにパリパリとひび割れ、パァンと大きな音を立てて粉砕する。
 こぶしを握った腕を両側に突き出したパルピの姿を粉々のガラスがきらきらと光を反射し、ダイヤモンドダストのように舞い散り彩る。
「見た目だけで判断するのは……ね」
『もうお前はこれは怖くな~い~……』
 飛び散ったガラスは、再び白いもやに戻って四散した。
「さてと、てっぺんついたら灯籠を綺麗にしなきゃね」
 パルピは再びまっすぐ最上階を見据え、階段を登り始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
人間が生きる上で様々なものを克服していかなくてはならない。恐怖も乗り越えなければならないものの一つなんだろう
だが、怖いものに化けると言うが、概念的な何かしらが怖いって言ったら、化けられないだろうし何が起きるんだろうな?
なんて事を考えながら進んで行くが、とはいえ真面目に相手をするつもりはない

何が怖いか?と聞かれたならば、動揺を悟られる事がないように敢えて堂々と答えてみよう
使い古された古典落語の話ではあるが――「饅頭怖い」

……そうか、本当に変身するのか。落語通りなら此処で饅頭を食べるべきだが、妖怪が化けたものだし流石にそれは嫌なので「ああ怖い怖い」などと言いながら最上階へと向かうとしよう



(人間は生きる上で様々なものを克服していかなくてはならない。恐怖も乗り越えなければならないものの一つなんだろう。だが、怖いものに化けると言うが、概念的な何かしらが怖いって言ったら、化けられないだろうし何が起きるんだろうな?)
 軍服を纏った黒髪の青年、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はそんな疑問を頭に浮かべながら階段を登っていた。例えば死の恐怖。貧困。別離。概念的な恐怖とは誰もが心に持つ不安の種だ。だが、今回そんなものを馬鹿正直に答えるという選択肢はない。自分はただ最上階にたどり着き、灯籠を磨くために来ているのだ。
『お前の怖いものはな〜ん〜だ〜?』
 白い靄が立ちふさがり、鏡介に問いかける。あらためて問われると、脳裏に様々な恐怖が行き過ぎ、去来する。あえてこの動揺を悟られないように、堂々と――。
「俺は、饅頭が怖い」
 それはあまりにも有名で使い古された古典落語。この場にはおあつらえ向きと言えるかもしれない。
「……そうか、本当に変身するのか」
 鏡介の足元には和皿に鎮座した饅頭がコトリと置かれていた。落語通りならここで食べるべきだが、わけのわからない妖怪が化けた饅頭など食べるのは嫌だった。
「ああ、怖い怖い」
 一応怖がる素振りを見せながら、鏡介は最上階に向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

土御門・泰花
お掃除をやりきる為にも、戦争の終息の為にも、まずはこれを何とかしなければなりませんね。

そうですね。怖いもの、ですか……爆ぜる雷、でしょうか。
でも、この妖怪に雷を再現できるのでしょうか?

雷など、一瞬で跡形もなく天へ戻るもの。そして、大抵の場合は屋内や車内にいれば安全が確保できるもの。
【達人の智慧】でそうした「雷の弱点」を指摘し、妖怪に構わずさっさと上の階へ登って参りましょう。



「お掃除をやりきる為にも、戦争の終息の為にも、まずはこれを何とかしなければなりませんね」
 次に階段に足をかけたのは土御門・泰花(風待月の菫・f10833)だ。サムライエンパイアの陰陽師としてはこういった高い建物の頂上を怪異をあしらいながら目指すという案件は聞かない話ではないだろう。
(怖い物を聞いてくるという話でしたね……。脅かしてくるくらいなら可愛いものですが)
 そんなことを考えながら階段を登り続けていると、白いもやのようなものが現れた。
『お前の怖いものはな~ん~だ~?』
 聞いていた通り、問答が始まる。
「そうですね。怖いもの、ですか……爆ぜる雷、でしょうか」
 この妖怪に雷を再現できるのでしょうか? と一瞬疑問を覚えるがもやはそのまま浮き上がり、水分を含んだ黒い雲に変わった。
 ゴロゴロゴロ……という音と共に雲はビリビリと電気を帯び始める。泰花は若干ひるむが、落ち着いて達人の智慧を行使した。
「雷など、一瞬で跡形もなく天へ戻るもの。そして、大抵の場合は屋内や車内にいれば安全が確保できるもの。そして近くに逃げ込めるものがないときは高い建物のてっぺんを45度以上の角度で見上げながら四メートル以上離れればいいのです!」
 泰花は口にした通り頂上を見上げながらさっさと上の階へ登る。守護明神が止めてくれているのか、はたまた対策が的確だったからか、雷は泰花を撃つことはなかった。

 

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィッダ・ヨクセム
手入れ布なら、持ッてるがそれでいいか?
階段を四足で走るのは正直効率が悪いから、半獣くらいで留めておく
(獣要素しか無い人型ッて辺りだ)
ハイエナな獣耳を後ろに倒して、主に警戒が目的だ

……怖いもの?トーゼン本体(歪んだバス停)が折れる事だが
これでもヤドリガミ、自分のそれが折れたときには死んでるはずだが
……うーわ、律儀に変身してくれてアリガトウ
(嘘ではない。が、俺が同様に怖いと思うモノにお前には化けられまい)
(『人との絆』。そんなの形はないだろう?)

貴重な体験ではあるな、そう簡単に折れるつもりはねェけど
バス停が折れたらバス待ちの奴が困るだろ
さあバス停に用事がないなら、俺様はもう行くぜ?
最上階まで走るわ



「手入れ布なら、持ッてるがそれで足りるかな。まァいいか」
 バス停のヤドリガミ、フィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)は階段を効率よく登るため、半獣化した姿で足を踏み入れた。取り出して眺めた手入れ布を無造作にポケットに突っ込んでハイエナの耳を後ろに倒し、警戒を怠らないように歩を進める。
 やがて、彼の眼前にも白いもやが立ちはだかった。
『お前の怖いものはな~ん~だ~?』
「……怖いもの? トーゼン本体が折れる事だがこれでもヤドリガミ、自分のそれが折れたときには死んでるはずだぜ」
 その答えを聞くと、もやは古いバス停に変化する。様々な世界を漂流したバス停は古びて、途中からぼっきりと折れてしまっており、それはまるで墓標のようだった。
「……うーわ、律儀に変身してくれてアリガトウ。これが死んだ俺様か。変な気持ちだねェ」
 嘘ではない。が、俺が同様に怖いと思うモノには化けられまい――。
 フィッダが本当に怖いもの、それは『人との絆』。そんなものに形はない。故に誰にも化けられないのだ。
「貴重な体験ではあるな、そう簡単に折れるつもりはねェけど。バス停が折れたらバス待ちの奴が困るだろ。さあバス停に用事がないなら、俺様はもう行くぜ? 最上階まで走るわ」
 折れ朽ちた己の写しに別れを告げると、フィッダは再び階段を駆け上がり始めた。

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 最上階まで登りつめた猟兵たちは、煤けた灯籠を磨いて磨いて磨きまくった。長らく放置されたそれを綺麗にするのに空が明らむまでかかったが、彼らが額の汗を拭い昇る朝日を拝むころには灯籠も窓から射す光のなかでキラキラと輝いていた。
 恐怖を克服した猟兵たちに磨かれた灯籠はもうカタストロフは起こさないだろう。
 彼らはだるい腕を抑えながら、お疲れ様と言い合ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月28日


挿絵イラスト