大祓百鬼夜行㉑〜白魔、襲来
「なに? いったいなにがおこったの?」
さっきから、UDC組織の施設には耳障りな警報が鳴り続けている。ある職員は悲鳴を上げて逃げまどい、ある職員は武器を持って愕然とこう呟いた。
「どうして姿が映らないんだ……」
「ねえ、ここからだして! わたしもたたかう!」
「だめだ、お前はまだ自分の能力を使いこなすことができない。そこから出るなよ、力が暴走するぞ!」
「で、でも……このままじゃ……」
そこは施設の奥深くにある、まるで檻のような場所だった。
外は混乱している。
内にいる少女は、困ったように辺りを見回した。けれど、やっぱり何が起こっているのかわからない。
「どうしよ、どうしよ……どうしたらいいのかな……」
――UDC-Null。
すなわち、骸魂と合体した妖怪の呼称。それが、UDC組織への侵入を果たしたのだという情報がもたらされた。
「当然、UDCのエージェントには妖怪の姿が見えない。状況は大混乱だが、君たちが説明すればすぐに話を理解して協力を申し出てくれるだろう」
そして、無事にこの戦場を制圧した暁には彼らメカニックが超常光線砲「U.D.C(アンリミテッド・ディヴァイン・キャリアー)」を作成してくれるという。
麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)が言うには、その兵器を大祓最終決戦において使用すれば勝利時に獲得できる「祓」に+0.2点のボーナスが発生するのだとか。
「有り難いことだけど、手に入れるにはまずこの状況を何とかしないとね。UDC組織の施設に侵入した妖怪は現在、建物内を奥へと進んでいる最中だ。どうも、狙いはこの施設で保護されている『UDC-P』を取り込むことらしい」
『UDC-P』のPとはPeace。
人間の害にならないUDCを意味する。
施設で保護されたUDC-Pは制服を着た中学生くらいの長い髪の女の子。見た目は人間とほとんど変わらないが、非常に強い念動力のような異能力を発動できる。
「ただし、未だ制御できなくて敵味方問わず周囲にいる相手をぐっちゃぐちゃにすり潰しちゃうっていう状態。少なくとも、職員のいる場所じゃ戦力にはならないね。檻のような装置は彼女の能力が暴走しないための封印なんだ。襲来している妖怪の白魔が使う氷結魔術はとても強力だから、彼女の力もできれば借りたいところだけど。さて――」
いずれにしても、まずはUDC職員に事情を汲んでもらわねばなるまい。協力を仰ぐにしても、UDC-Pの能力を安全に使ってもらうにしても、彼らの協力は不可欠だ。
「それじゃ、いってらっしゃい。皆の作戦がうまくいくように願ってるよ」
ツヅキ
プレイング受付期間:常時受付中。
タイミングや内容によっては他の参加者とまとめて判定される場合があります。
青丸が成功数に到達した時点でシステム的に締め切られますので、共同プレイングをかけられる場合(お相手の呼び名とID、もしくは団体名をプレイング冒頭に記載)はできるだけ同時にプレイングをお送りください。
●第1章 ボス戦
UDC組織の施設に侵入したオブリビオンがUDC-Pを取り込む前に討伐してください。
エージェント達は事情を説明すればすぐに力を貸してくれます。
迎撃ではなく、先に突入したオブリビオンの後を追うように施設内へ向かうため、オブリビオンよりも先にUDC-Pの元へたどり着くためには工夫が必要です。
UDC-Pを戦闘に参加させる場合、先に職員を退避させる、あるいは能力制御に使えそうなユーベルコードを使用するなどの対策があると安全に戦わせることができます。
プレイングボーナス:UDC-Pやエージェント達と協力して戦う。
第1章 ボス戦
『白魔の災害・雪女』
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POW : 全てを呑み込む白銀
【巨大な雪の津波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 永遠の冬
【吹雪を吐き出す能力と、氷の刀】で武装した【雪女】の幽霊をレベル×5体乗せた【大寒波】を召喚する。
WIZ : 雪獄の烙印
攻撃が命中した対象に【雪の結晶】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【凍てつく吹雪の集中放射】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:ジョンハッピー
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠チリー・スティーリア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
御前・梨
いや〜、薄々予感はしてましたっすけど、やっぱ地球に来るなら狙ってきますよね〜
……あんまり表で戦うのは見せたくないんすが、……ま、組織が壊滅したら無職になっちゃいますしね、少し頑張りますか。
現場に到着したらこの施設全体に発信出来るアナウンス室の場所を教えて貰います
そして式神をアナウンス室に飛ばします
放送して欲しい内容は例の彼女の近くにいるエージェントの皆さんは避難するようにと
式神を飛ばしながら、それと同時にUCを発動しながら施設の奥へと
着いたら敵に速攻で攻撃して動きを封じる(不意打ち、忍び足)
例の彼女を解放して念動力で敵を吹っ飛ばして貰います
俺やもしその場に残ってたエージェントは結界術で守ります
ニクロム・チタノ
いたね、職員のヒトが危ない、こんな時は
無重力状態にしてオブリビオンを妨害
この無重力じゃあうまく動けないでしょ
ボクは反抗の加護があるからね
吹雪は護りの蒼焔で防いで職員のみんなを退避させるよ
UDC-Pのお姉さんボクに協力して、重力で相手の動きを止めるからアナタの念動力をくらわしてほしいの
行くよ反抗の竜チタノの加護と導きを
「いや~、薄々予感はしてましたっすけど、実際にやられると危機感この上ない展開ですよね~。よ、っと」
御前・梨(後方への再異動求むエージェント・f31839)は人目を忍び、UDC施設内へと足を踏み入れる。
できれば表だって戦うことが避けたいのだが――ささやかな希望も、氷獄のような冷気の前にはかなぐり捨てるより他なかった。
「……これはこれは、まるで雪山みたいっすね」
UDC-Nullこと『白魔の災害』が通り過ぎた後は全てが凍り付き、一面が真白い雪に染め上げられている。
「やれやれ、やってくれますね~。けど、こちとら組織が壊滅したら無職になっちゃいますしね、善処させてもらいますよ」
さて、と梨はきょろきょろと辺りを見回してまずは職員を捕まえるところからはじめた。
(「いたいた」)
他に敵が襲撃してこないか見張りについていた職員を呼び止め、簡単に事情を説明してからアナウンス室のような機材がある場所をたずねる。
「あるにはあるが……隔壁が凍り付いてしまっていて、ここからではたどり着けんぞ」
「大丈夫っすよ、俺にはこいつがいますんで」
人でなしに笑い、スーツの胸元から抜き出した名刺を式紙に変えて目的地まで飛ばす。
『……あ~、こちら応援に駆け付けた猟兵っす。UDC-Pの周辺にいるエージェントさんはいますぐに退避してくださいね~」
「いまのは……?」
吹雪を纏い、施設の奥へと向かっていた白魔は小首を傾げて天井を見上げた。正面には武装した職員が数人、連絡を取り合っている。こちらの存在に気が付く気配すらない彼らに向けて白魔は雪の津波を差し向けようとするが、すんでのところでニクロム・チタノ(反抗者・f32208)が間に合った。
「蒼い焔……?」
自分の吹雪をかき消すそれを、白魔は好戦的な眼差しでにらみつける。
「それ、あなたの?」
「その通りです」
職員を逃がす前に、ニクロムはUDC-Pの居場所をたずねた。
「ボクたちなら、UDC-Pのお姉さんと同等に渡り合えます」
「た、頼んだ……! 彼女ならこの先にいる」
こくりとニクロムは頷き、周辺の空間から重力を完全に奪い去る。悲鳴をあげて白魔が両足をばたつかせた。
「な、なにこれは? あ、足がつかない! ちょっと、待って!」
「待てと言われて、待つ馬鹿はいないっすよ?」
――クラスS級UDCを身にまとった梨の高速移動は、まるで人間とは思えない代物だった。
「な……ッ」
それが剣による衝撃波だと知ったのは、身体の自由が奪われてからのことだった。
「いまなら、こいつは動けません。さあ、どうぞ」
梨は結界を張りめぐらせつつ、道を空ける。その直後、ひしゃげた音がして凍り付いて動かせないはずの隔壁が圧し潰されながら吹っ飛んだ。
「こ、こわせた……!」
「その調子です、お姉さん」
彼女を檻から出して連れてきたニクロムが安心させるように言った。
「で、でも、だいじょうぶかな? わたし、ちからをつかっちゃだめだって――」
ニクロムは無言で親指を立てる。
白魔ははっとして、それから勇気を振り絞るように頷いた。
「う、うん……!」
「それじゃ、行くよ。反抗の竜チタノの加護と導きを……ッ」
暴れ狂う見えない力が反抗の加護を砕こうと暴れ狂い、梨の結界を引き裂こうと吼え猛る。
「さすが、暴れん坊っすね~」
「な、なにこれ……ッ!?」
余裕綽々の梨の台詞に白魔の悲鳴が被った。
「こ、こんなの、聞いてない――!!」
圧倒的な念動力によって殴り飛ばされた白魔は数十メートル以上離れていた通路の突き当たりに背中から叩きつけられ、呻きながら赤い血を吐いた。
大成功
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フィッダ・ヨクセム
寒いのは嫌いだ、その感情自体を投げ捨てておく。
人の姿でいるよりは、幾分かはマシなはず
肉球と鼻面だけは完全にダメだが
見つけたエージェントに即座に聞こう
どの道が近い?
影があるなら、深々と妖怪能力をフル活用で影に潜り込み疾走る
無いなら、足の裏で炎の魔力を爆発させて加速するかないな
此処は室内、光の入る隙間はねえ!
間に合うか否かは俺の脚か、敵の速度次第
間に体を滑り込ませるように踊り込んでやる
爪と牙で対抗できない吹雪には、全力の火炎ブレスだ
誰かが傍にいるなら身を挺するぜ?基本は防衛に徹する
機敏に場を駆けて
噛みつき又は爪で抉り誰かの助けになれたらいいと願うわ
隙は作る、いい感じにうまくやれよ(にんまり笑う)
水衛・巽
無差別にすりつぶす程度の能力、とはまた穏やかではないですね
しかし助力を願わない理由もありません
職員に協力願えるようコミュ力を活用しつつ
このたびの経緯を手短に説明します
同時に施設の見取り図も所望しましょう
彼女と職員の間にはある程度信頼関係があるようなので
これから白魔を誘導することと
白魔は遠慮なくすり潰して問題ないと
事前に職員から彼女に伝えておいてもらいます
白魔を追跡し、発見しだい施設全体を迷宮化
職員を隔離し出口を檻の場所とします
制御不可能だそうですし
以降は結界術で自身の安全を確保しつつ共闘しましょう
ヴィクティム・ウィンターミュート
ほう、面白い能力を持ってるみたいだな
不安定なその力、上手く扱えれば状況を有利に運べそうだ
要は他人を巻き込まないように…そうだな、リングを作ってやればいい
心おきなく力を振るえる、お前だけの特設リングをな
力の範囲はどんなもんだい?オーケー、把握した
射程ギリギリを囲むように、ステージを作ろう──『Alcatraz』
入るのはUDC-Pのおたくと、敵だけだ
この壁はどうやっても壊れねえ…思い切り能力を使いやがれ
安心しな、敵の攻撃は壁でインターセプトしといてやる
これだけで仕留められればいいんだが…まだ倒れてないなら、壁を一斉に解除して高速接近
弱ってるだろうから、反応も鈍いだろ
首を落として、終わりにしてやる
フィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)の突き出した鼻面を覆うマスクの隙間から白く曇った息が漏れる。
彼は駆けていた。
早く、速く、疾く。
「どの道が近い?」
「北東の隅にエレベーターが」
言われた通り、北、北、東の順に目指した。影から影へ、迸る影絵のような疾走だった。
――間に合え。
敵が近いのだろう、雪と氷に凍てついた区画を跳ぶように通り過ぎる。寒いのは嫌いだ。そんな感情自体を投げ捨て、今は光の差し込まぬ闇の領域をひたすらに駆けた。
「いま、何か――!?」
驚いて振り返る職員の肩を掴み、水衛・巽(鬼祓・f01428)は言い聞かせるように事態を説明する。
「時間がありません、白魔がUDC-Pの居場所にたどり着く前に2つお願いがあります」
「は、はい」
「ひとつは、施設の見取り図をください。ふたつめはUDC-Pの子に伝言をお願いします。これから白魔を誘導するので、遠慮なくすり潰して問題ないと」
ごくりと、職員は喉を鳴らして頷いた。
「わかりました。……うまくいくでしょうか?」
「いかせてみせますよ」
譲り受けた見取り図はかなり詳細な情報が記載されている。UDC-Pを隔離する檻は最下層の厚い隔壁の向こう側にあるようだ。
「そこにいるのね……?」
長い舌でうっとりと唇を舐めるようにして、白魔はついにそのフロアにまで足を踏み入れる。
「さ・せ・る・かよォッ!!」
「――え!?」
バスは急には停まれない――体を滑り込ませるように踊り込んだフィッダの体が盾となって最後の隔壁から白魔を引き離した。
「邪魔しないで!」
「こっちだって手加減なしだ!」
吹き荒ぶ雪嵐を上回る量の火炎が白魔を包み込む。その間に追いついた巽が術を行使し、空間ごと組成を作り変えてしまう。
「天空、やれ」
闇だった。
なんとか火炎を振り払った白魔の前に広がるのは、闇でできた迷宮。複雑に入り組んだその出口の繋がる先にヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は立っていた。
「さて、もうすぐこの迷路の先から敵がやってくる。お前のその面白い能力を試す時だ」
「で……できるかな?」
UDC-Pは不安そうに言った。
ヴィクティムは不敵な仕草で両腕を胸の前で組み合わせる。
「できる。なぜなら、俺がお膳立てしてやるからだ」
「お膳立て?」
「作ってやるのさ。心おきなく力を振るえる、お前だけの特設リングをな」
ゴーグルに指を添えると、各種デバイスが超高速で演算を開始。出力、射程、範囲。ありとあらゆる角度から分析された結果が点滅を繰り返す。オーケー、とヴィクティムは笑った。
背後から冷気が漂う。
敵が出口に近づいている。
「だが――──『Alcatraz』。“舞台”は整った」
「ッ……」
白魔が迷宮を抜けた直後、半端ない力が猛威を振るった。とっさに結界を結んだ巽はUDC-Pが力を発動してもなお、施設には傷一つないのを目の当たりにする。
「なるほど、これなら心置きなく戦えますね」
指先に挟んだ霊符を口元に寄せ、くすりと微笑む。
それは、相対する白魔とUDC-Pを他から隔離する障壁プログラム。ふたりが戦うために存在する、まさにリングだ。
「檻の中に入ってるって聞いていたのに……!?」
「これなら、あなたなんてこわくない!!」
「ちッ――」
念動力によって拘束された状態で、白魔は指先だけを動かして雪獄の烙印をUDC-Pに刻みつけようと足掻いた。
だが、そんなのは許さない。
「残念、お前はここで終わりだよ」
「!?」
目の前に鋭い仕込みナイフの刃があった。逃げなきゃ。けれど体が動かない。重い? 何かが圧し掛かっている。肩を噛み付かれ、鋭い爪が白魔の背中に食い込んだ。
「いい感じにうまくやれよ」
フィッダが喉を鳴らすようにして笑い、
「それはもう、絶対に逃しませんよ」
巽の符が白魔の両腕に絡みついて磔にするような格好で白魔の首を突き出させる。あとはそれを落とすだけだ。
す、とんっ。
ナイフを素早く走らせたヴィクティムは無感動に転がる頭を眺めた後で「任務完了」と呟いた。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2021年05月24日
宿敵
『白魔の災害・雪女』
を撃破!
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