大祓百鬼夜行③〜塔を狙う輪入道
●百霊鎮守塔 付近の草原
それは一種異様な光景であった。そこに集まっているのは、車輪の中央に顔が付いた異形。ときおり炎を纏い、草むらに焦げ跡を残しながら駆け抜ける。中には空中を滑るように走るもの、浮かび留まるものもいた。彼らが向かうは、百霊鎮守塔。そこに設置された百霊灯籠を破壊するために。骸魂に冒された思考は既に言葉を無くし、衝動のままに身体は進む。それでもそれが、竜神親分を守ることだと信じて。
●グリモアベース
「大祓百鬼夜行に関する予知を行いました。参加希望者はご参集願います」
グリモアベースの一角でイリス・ノースウィンド(とある部隊の元副隊長・f21619)が声を張り上げる。
「場所は百霊鎮守塔。敵は輪入道という、燃える車輪に顔が付いたようなオブリビオンです。百霊鎮守塔を守るため、彼らを倒し骸魂から解放しなくてはいけません」
百霊鎮守塔には『百霊灯籠』と呼ばれる装置がある。この戦場を制圧すれば灯籠が点灯し、最深部への道を照らすと同時に、最深部に眠る竜神親分の力を抑えるといわれている。
「輪入道は百霊鎮守塔ごと百霊灯籠を破壊することを狙っているようで、猟兵だけでなく塔自体を積極的に狙ってくるようですね。大きな塔ですから、防衛に徹しても守り抜くのは難しいでしょう。そのため、みなさんにはある『霊的防衛装置』を起動して戦っていただきたいと思います」
百霊鎮守塔には、塔を守るための装置が多数設置されている。イリスが案内するのも、その装置の1つだ。
「この防衛装置を起動すると、みなさんとオブリビオンは仮想空間へと飛ばされます。仮想空間と言っても受けた攻撃は肉体に反映されますし、オブリビオンを倒し骸魂を破壊すれば妖怪が救出できます。塔が近くにないという以外は、現実と同じと考えて下さい」
とはいえ、塔を気にせず戦えるというだけでかなりの優位性を保てるだろう。
「空間の地形は、起動した人のイメージがある程度反映されるようです。得意なフィールドがある方はイメージしながら起動すると良いでしょう」
あるいは敵の苦手そうなフィールドを用意するというのも手かもしれない。
「戦争も終盤が近づきつつあります。まだ予断を許さない状況ではありますが、1つずつ確実に、勝利を積み重ねましょう。どうか、お気をつけて」
イリスが頭を下げ、グリモアが淡く輝いた。
鏡面反射
はじめまして。こんにちは。こんばんは。鏡面反射(きょうめんはんしゃ)と申します。当シナリオへ興味を持っていただき、ありがとうございます。
このシナリオは『戦争シナリオ』であり、1章で完結します。難易度は【普通】、オープニングでイリスからも説明している通り、『霊的防衛装置を駆使して塔を守る』ことでプレイングボーナスが発生し有利となりますので、積極的に狙ってみてください。もちろん、通常シナリオと同じ基準でもプレイングボーナスが発生します。
では、みなさまのプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『輪入道』
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POW : 燎原火炎陣
【激しく回転しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他の輪入道】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : 紅蓮疾走
自身に【燃え盛る炎】をまとい、高速移動と【回転する炎の輪】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : ファイアホイールスピニング
【回転速度】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
イラスト:伊原
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
藍沢・織姫
輪入道の得意技は炎、高速回転、突進。
こちらが活用すべき霊的防衛装置の効果は、地形を設定する…。
では、「燃えやすい建造物・草木・ゴミ等の無い、ものすごくデコボコした硬い岩場あるいは氷山」とかどうでしょう。
垂直に切り立った崖の上(40mぐらいがいいかな?)に陣取って、ユーベルコードで輪入道を攻撃!
雨や雪を降らせる事が出来ればなお良し!たとえ炎を消せなくても、高速回転すればするほど滑りますよね。
これらをかいくぐって近づいて来られても、鉄塊剣を構えて武器受け・怪力を利用してカウンター攻撃、空中浮遊・空中戦・滑空・ダッシュ等を駆使して避けて敵をあらぬ方向へ突進させる、といった方法で自滅を誘います。
藍沢・織姫(紺碧の歌姫・f03959)が霊的防衛装置に手を触れると、一瞬にして辺りは一面の銀世界に切り替わった。ひび割れた氷のような大地は起伏にとんだ地形となっている。
(上手くいったようですね)
近くに敵の姿は無いが、すぐに向かってくるだろう。織姫は近くにあったひときわ高い崖に目を付け、バサリと藍色の翼をはためかせる。少しふらつきながらもなんとか体勢を整え、崖の上へと登っていった。
高所へ上った織姫を狙い、輪入道が突進の構えを見せる。キュルキュルとタイヤ代わりの火の輪を鳴らすが、そこは氷の上。炎の熱はさらに氷をデコボコにし、表面を流れる水が摩擦力を減らす。結果、飛び出そうとした輪入道たちはあらぬ方向へすっ飛んでいき、氷の塊に激突した。さらにそこへ、上空からちらちらと雪が舞い始める。織姫のユーベルコード、『失われた記憶の奥底に眠る歌(ロストメモリーズソング)』。白い吐息と共に、その切ない歌声が天へと昇り、結晶となって降るかのように氷の大地へ雪を積もらせていった。空中を飛ぶ輪入道もその影響は避けられず、炎が小さく、弱くなっていく。それでもなお、向かってくる輪入道がいた。骸魂の影響か、その目に憎悪をみなぎらせ、織姫を轢き殺さんと迫り来る。だがそれすらも、織姫にとっては予想の範疇。全長2mもの鉄塊剣「einherjar」を構え、その腹を車輪へと押し当てる。鉄の刀身をジャンプ台の如く駆けあがった輪入道は加速のまま吹き飛び、どこかへと飛んで行ってしまった。続く攻撃も避け、いなし、遠くへと吹き飛ばす。かくして輪入道の第一波を退け、織姫は塔へと帰還したのであった。
大成功
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ランディス・ティンバーウルフ
ガウ、ナンダ、コイツ?
ツッコンデクル、エンバン、ミョウナモノ。
コイツ、タイショ…コレ、ツカウ?
ヨシ、ジャア、ヤル。
キドウ、スル。
ゲフェン、バキ、キミタチ、ナルベク、キヲツケル!
ハイン! キミ、トツゲキ!
この輪入道とかいう敵の特徴考えると、狼や豹では轢き逃げされそうなので、様子見て横から攻撃させるようにする。
対して、象は余裕で大きいから、逆に特攻させて敵を潰す。
ガウ、マッテロ!
モウイッタイ、ヨビダス!
テツダッテクレ!!
呼び出すは、アフリカゾウのオス、体長10m。
彼にも突撃させて輪入道をあらゆる手(牙で攻撃、鼻を使って丸太でぶん殴る、前足で潰す)を使って潰させる。
ガウ、ナントカナッタ
アドリブ歓迎
卯乃巫・八香
分かった。全部やっつける。
敵が仮想空間転移装置の範囲内まで来たら、装置を起動。仮想空間に入る。
転移先は遠浅の浜辺。周りに燃えるものは無いし、浅いとはいえ水場、寧ろ火が消えかねない。泥に足を取られて、高速移動も十分にはできない。
私はCavalierに乗って【空中浮遊】、上空から魔力の【誘導弾】を放って攻撃。敵が飛べるようなら「偉天」で斬り倒す。
纏まった数が集まってるなら、悪意の霊威で一掃を狙う。
往生際悪い。さっさとやられて、元に戻るといい。
「ミョウナモノ、キタ。エンバン、ハシル、トブ、イル。コレ、ツカウ?」
拙い片言で、敵の襲来を知らせるランディス・ティンバーウルフ(狼少年・f04939)。指さした先には、霊的防衛装置が淡い輝きを放っていた。
「そうね」
そっけなく同意を返し、卯乃巫・八香(夢中の狗・f29763)が霊的防衛装置を起動する。かくして2人は、侵攻を始めた輪入道と共に仮想空間へと飛ばされた。どこまでも続く遠浅の海岸。潮風がほほを撫で、波音が耳に心地良い。だがすぐに、輪入道が迫り来る。
「ゲフェン、バキ、キミタチ、ナルベク、キヲツケル!」
ランディスの声に狼のゲフェンと黒豹のバキは揃って警戒の体勢を取る。輪入道の形から、高速移動に適した相手とランディスは判断した。敵と体躯のほぼ変わらない2匹は、轢かれればただでは済まない。そのために出された様子見の指示を、2匹も良く理解しているのだろう。ランディスの近くに控え、身構えたまま戦況を見ている。
「ハイン!キミ、トツゲキ!」
続けて、象のハインに攻撃の指示を出す。全長5m、アジアゾウとしてはやや小柄な体躯だが、それでも輪入道よりは遥かに大きい。向かい来る輪入道へ海水を浴びせ、鼻の一撃で跳ね飛ばす。そうして輪入道を仕留めていく様子を、八香は上空から眺めていた。
(散った方が良さそうね)
慣れぬ連携で戦うより、別々に戦った方が効率が良い。そう判断し、乗っていた飛行機能付きスタンド式掃除機『Cavalier』を飛行させる。付近の輪入道が何体か、八香を追うように地上を走る。しかし砂に埋まった車輪は思うように速度が出せず、八香のもとへ着いたころには海水に浸かって火も消えていた。
「無惨ね」
Cavalierから魔法弾が放たれる。搭載された魔術的AIにより誘導された弾は輪入道を穿ち、確実にその数を減らしていく。地上は不利と悟ったか、空中を走る輪入道が迫る。輪入道の限界を超えるような高速回転する炎の輪は、不安定な空中にあってもなお、八香を捉えんと一直線に向かってきた。
「無駄」
八香は凶刀『偉天』を振るう。ワイヤーで繋がれた刃は鞭のようにしなりながら伸び、輪入道を寄らせることなく切り伏せるのであった。一方ランディスの戦いは佳境を迎えていた。周囲の敵はハインの近くに群がり、いくら象といえどわずかに押されつつある。
「ガウ、マッテロ!モウイッタイ、ヨビダス!」
ランディスの言葉に応え、アフリカゾウが現れる。その体長は約10m。ハインの倍、アフリカゾウとしても飛びぬけて大きい。
「テツダッテクレ!!」
ランディスの言葉に頷くかのように前足を上げ、ズズンと音を立てて着地させる。本来衝撃を弱めるはずの砂浜においてさえ、その振動は輪入道のバランスを崩させた。動きの止まった所へアフリカゾウの足が容赦なくおそいかかる。ある輪入道は踏みつぶされ、ある輪入道はハインの体当たりによって、着々とその数を減らしていく。ゲフェンとバキも攻撃の輪に加わり、危なげなく敵を倒していった。
(決着、ね)
遠く、ランディスの戦いが終わりに差し掛かっているのを、八香は冷静に眺めていた。自身の周囲も輪入道が群がってきており、場は整ったといって良い。八香が手を差し伸べるかのように動かすと、周囲に大量の槍が現れた。その数に危機を覚えたか、輪入道の何体かがターンし逃れようとする。
「逃がさない。喰い尽くす」
八香のユーベルコード、『悪意の霊威(スピリット・オブ・スパイト)』がすべての敵を捉え、そのことごとくを貫いた。骸魂と分離した妖怪が、元の姿に戻っていく。一拍後、2人と3匹は塔の中へと戻された。
「タスカッタ、アリガトウ」
敵を引き付けてくれたおかげで動きやすかった、とのランディスの礼に、八香は「たまたまよ」と無表情で返す。こうして、輪入道の第二波も無事退けられたのであった。
大成功
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カーバンクル・スカルン
とりあえずまずは霊的防衛装置をハッキングして、仮想空間に一体一体別々に閉じ込めるように書き換えてしまいましょう。集団でどうにかしてこよう、って敵には各個撃破が一番なのよ。
で、設定するのは摩擦がかかりすぎて転がりにくい床! そこにポツンと1人にされた輪入道さんを周囲に配置した車輪から伸ばす鎖で一気に拘束。
拘束したらあとはこっちのもん。四方八方から引っ張って本体と骸魂をバラバラにさせてもらいましょう。……え? こっちも転がしにくいからキツいんじゃ、ないかって?
何言ってるの、拘束してるから相手動けないし……ジワジワと自分が終わりに向かっていることを感じさせながらやるってのもまた一興ってもんじゃないの
カツン、カツン……
真っ白な壁に仕切られた空間に、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)の足音がこだまする。
カツン、カツン……
本来、そこには多くの音が響くはずであった。高速回転し、炎を纏い、集団で襲い掛かる輪入道の音が。しかし今そこに響くのは硬質な足音と、じゃり、と鎖のこすれる音のみ。
カツン、カツッ。
遠く止まった足音に、輪入道は恐怖する。それが骸魂の感じるものか、骸魂と融合した妖怪の感じるものか。それは既にわからない。そして、どちらでも結果は変わらない。
ジャリリ、メリメリ、バキッ。カラン、カラン。
金属のこすれる音、木材が引き裂かれるような音。破片が硬質な床にぶつかる音。その音を聞く輪入道には、鎖によって引きちぎられバラバラになる仲間の姿がありありと浮かんでいた。
カツン、カツン……
再び足音が鳴る。車輪を模したガジェットから伸びた鎖は輪入道を捕らえ、逃げ出すことはおろか回転することすらできない。
カツン、カツン……
あるいは仲間がいれば、何か取りうる手段はあったのかもしれない。だが仕切りの内には己のみ。その状況が、霊的防衛装置をハッキングしてカーバンクルが作り出したものとは、輪入道には知る由もない。
カツン、カツン……
硬質な床はことさら滑りやすくできている。それゆえに、輪入道は成す術もなく捕らえられた。空中を駆けるという手段を思いついたときにはすでに手遅れ。他の輪入道もそうなのだろう、助けは望むべくもない。
カツン、カツン……
足音の主も滑ることを警戒してか、その歩みは慎重だ。それは捕らえられ何もできぬ輪入道にとって、ただ恐怖をあおる結果となっていた。
カツン、カツッ。
足音の主が、輪入道の前へ姿を見せる。その顔を見て、輪入道は理解した。1体ずつ殺す方法も、滑る床も、響く音も。全て、わざとやっていること。恐怖をあおり、絶望させ、その後に殺すための布石。
(――――)
カーバンクルの横に付き従う車輪。そこから伸びる鎖を見ながら、輪入道が何に祈ったか。意識を闇に落とした輪入道には、思い返すことは終ぞ叶わなかった。
大成功
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