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大祓百鬼夜行㉑〜妖怪と信徒の小さな戦い

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行 #UDC-P #猫好き信徒のお話

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 遠くから悲鳴が聞こえる。あれはきっと、猫の写真を見せてくれた職員さんの声だ。
 お気に入りの部屋から何かが崩れる音がする。あの部屋は、この間勉強を教えてもらった部屋だ。
 一体何が起きたのだろう。
 居ても立っても居られず部屋を出れば――見えたのは、不気味な化物の姿だった。

「み つ け た」
「あ れ が い い」
「あ そ ぼ」

 化物は僕を見て、楽しげにニンマリと笑う。
 ああ、そうか。あの化物が皆を傷付けたんだ。
 けれど不思議な気配もする。あの化物の内側に、もう一人誰かが……。
 その誰かが、泣いている気がした。
 昔の僕みたいに、助けを呼んでいる気がした。
 だから――僕はもう二度と握らないと思っていた、無骨な武器を握りしめたんだ。


「集まってくれてありがとう。大祓百鬼夜行の影響で、UDC組織が大きな被害を受けているんだ。だから、皆の力を貸して欲しい」
 そう言いつつ、レン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)が猟兵達を出迎える。その表情にいつもの余裕は見えなかった。
「『UDC-Null』と呼ばれる、骸魂と合体した妖怪が組織に乗り込んでいるんだ。猟兵ではないエージェント達は妖怪の姿を視認することすら出来ず、ひたすら逃げ惑うことしか出来ていない。猟兵の皆が乗り込めばエージェント達も落ち着くはずだから、一緒に事態を解決して欲しいんだ」
 エージェント達は妖怪を視認することは出来ないが、組織の内部を案内したり防災のための設備を動かしたりしてくれる。
 更に、襲撃を受けている組織には他の設備も存在しているようだ。
「現在UDC組織は超常光線砲『U.D.C(アンリミテッド・ディヴァイン・キャリアー)』という装置を開発中なんだ。これが上手く完成すれば、大祓との最終決戦においても有利になると推測されているよ。この装置を開発完了させるためにも、妖怪の襲撃は終わらせないとね」
 最終決戦の時間は恐らく多くは残されていない。勝利に近付くための手段はきっと多い方がいいだろう。

「それから……この組織には嘗て保護した『UDC-P』も暮らしているんだ。妖怪の目的も、きっとこの子だと思う」
 UDC-Pはオブリビオンでありながら、『破壊の意志』を持たず人間に対して危害を加えることのない存在だ。妖怪は彼らを取り込み、より強力な存在になろうとしているらしい。
「この建物にいたのは『黄昏の信徒』と呼ばれるUDCだよ。仮面とフードをつけた小人のようなUDCで、必要があればモーニングスターで敵に立ち向かったりしてくれると思う」
 保護されていた『黄昏の信徒』は自分達が背負わされていた苦痛の教義に歯向かい、生贄の猫を助けようとしていた心優しい個体だ。
 彼は自分を保護してくれている猟兵や組織職員が傷付けられたと分かれば、勇気を出して立ち向かうに違いない。
「信徒くんもやる気は十分だ。彼と一緒に、どうにか妖怪と戦って欲しい」
 妖怪も倒すことが出来れば、骸魂から解放することが可能だ。
 信徒も妖怪を殺してしまうことは望まないだろう。共に立ち向かい、どうにか事態を解決して欲しいとレンは付け加えた。

「戦争の終わりまではあと少し。まさかの事態だけど、皆なら無事に解決出来ると思う。それじゃあよろしく頼んだよ」
 真剣な表情で頭を下げて、レンは転移の準備を進めていった。


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 今日は素敵なお月見日和。

●プレイングボーナス
 UDC-Pやエージェント達と協力して戦う。

 下記のUDC-Pや組織内部のエージェントと共闘することで有利に戦うことが出来るでしょう。

●UDC-P
 かつて保護された『黄昏の信徒』と呼ばれるUDCです。
 仮面とフードをつけた小人のような姿をしており、モーニングスターを振り回して戦います。また、必要になれば囮にもなるでしょう。
 言葉を話すことは出来ませんが、人間の言葉は理解しています。猟兵の指示には素直に従います。
 心優しい性格をしており、骸魂に取り込まれた妖怪にかつての自分を重ねているようです。

 ※登場シナリオ(読まなくても問題ありません)
 「猫と信徒と小さなしあわせ」
 (https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=16592)


 オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。断章の追加はありません。

 シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
 また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。

 それでは今回もよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『無邪気』

POW   :    あ そ ぶ
レベル×1tまでの対象の【身体や建造物など】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    ど こ か な
【生物を見つけること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【恐怖を与え動きを封じる視線】で攻撃する。
WIZ   :    あ れ が い い
攻撃が命中した対象に【強い興味】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【自身から発生した複数体の分身】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は霞末・遵です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フェイルシア・インパーサ
無垢なる魂、必ず助け出してみせますわ
エージェントの方々にはUDC-Pを戦えるぐらい広い部屋に案内して頂きます
その後はその部屋以外の通路を防火シャッター等で塞いて頂くようにお願いしますわ

そしてUDC-Pには1つだけお願いをします
一瞬だけでいいから相手の注意を引いてほしい
武器で相手を傷つけろとはいいません
オブビリオンを止めるのは私達の役目です
少しだけ怖い想いをさせますが、すぐに終わらせますから……!

●SPDで対抗
視線がUDC-Pに集中したら紅貴舞で切りつけます
相手の視線を「見切り」で躱し
「残像」と無数の炎の刃で目くらましをしつつ
憑りついた邪気を全て祓って差し上げましょう




 襲撃を受けた組織支部は、混乱の最中にあった。
 退避した怪我人や壊された物の残骸。それらを痛ましそうに見遣りつつ、フェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)は近くの職員へと声をかけた。
「私はフェイルシア・インパーサ、援軍に来た猟兵です。エージェントの方々にお願いしたいことがあるのですが……」
「助かった、ありがとう。俺達に出来ることなら何でも言ってくれ!」
 職員はフェイルシアの顔を見て安堵の息を零していた。彼らもここまで精一杯戦ってきたのだろう。
 そして――支部の奥では、UDC-Pが今も戦っている。
(無垢なる魂、必ず助け出してみせますわ)
 胸に静かな決意を宿し、見据えるのは進むべき道。ここから先に行くのは猟兵の役割だ。
「まず、UDC-Pを戦えるぐらい広い部屋に案内して頂けますか? 私達もそちらへ向かいますから、その後はその部屋以外の通路を塞いで頂きたいのです」
「分かった。戦いを猟兵さんとあの子に任せるのは心苦しいが……すまない、頼む」
 戦闘場所はこの支部で一番広い部屋。UDC-Pも既にそちらへと向かっている。
 フェイルシアも戦装束を翻しつつ、その部屋まで駆けていく。

「UDC-Pさん、助けに参りましたわ!」
 目的の部屋に飛び込んだフェイルシアを出迎えたのは、懸命に戦うUDC-Pと不気味な妖怪だ。
 フェイルシアはUDC-Pを庇うように躍りでて、彼の顔をじっと見つめた。
「ここまで戦ってきたあなたに頼むのは心苦しいのですが……1つだけお願いをしてもよろしいでしょうか?」
 その問いかけに、UDC-Pはこくりと頷く。その様子は子供らしいが、けれどしっかりとしたものだった。
「ありがとうございます。それでは……一瞬だけでいいから相手の注意を引いてほしいのです。武器で相手を傷つけろとはいいません、オブビリオンを止めるのは私達の役目ですから」
 再び返ってくるのは確かな頷き。
 勇気を奮い立たせる彼に敬意を払うべく、フェイルシアもルーンソードを握りしめた。
「少しだけ怖い想いをさせますが、すぐに終わらせますから……!」
 三度、頷き。
 同時にUDC-Pは妖怪の前へと姿を晒し、両腕らしきパーツを振って敵の注意を引きつけてくれた。
 妖怪のどろりとした視線が、UDC-Pを射抜く。今がチャンスだ。
「紅く染まれ、春蘭よ! 我は汝と共に舞う者なり! その身の理、太陽の紅炎の如く!!」
 フェイルシアが高く剣を掲げれば、紅く燃える春蘭の花びらが彼女の身体を包んでいく。
 そのまま無数の炎の刃を妖怪に当てて気を引いて、けれど相手の視線が向くより早く距離を詰めた。
 フェイルシアの方を向いた妖怪が見たのは――赤く輝く、花弁と炎だ。
「邪気を全て祓って差し上げましょう……!」
 次の瞬間振るわれた斬撃は、妖怪に取り憑いた悪しきものだけを見事に切り裂く!
 フェイルシアはUDC-Pを信じ、彼もまた彼女を信じた。互いの確かな決意が、妖怪を救う一手となったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
UDCーPと呼ばれる方々とはまだ何も接点を持たない私ですが、手助けになれるのならば。

青月を構え雷公天絶陣で攻撃します。相手が一体ですのでなるべく雷は収束させます。うまく感電とマヒが入れば相手の攻撃の手段もそれなりに潰せるでしょう。
エージェントさんにはなるべく離れてもらう事、UDC-Pの、ええと信徒さんには雷には注意して貰うようにして、隙を見て攻撃して貰います。私ももちろん巻き添えにしないように気を付けます。私は遠距離攻撃が主体となるので、感電やマヒしてる間に殴って貰えれば。
敵の複数体の分身はなるべく私の雷での制圧・援護射撃で動きは抑えましょう。私に近づいてきたものは青月で応戦します。




 猟兵になってから比較的日が浅い夜鳥・藍(kyanos・f32891)にとって、UDC-Pは馴染みのない存在だった。
 しかし、接点のない相手といえど戦いに挑んでいるなら手助けしたい。
 そう考えた藍もまた、襲撃を受けている支部へと足を踏み入れていた。
 忙しなく駆け回るエージェント達へと声をかけるのは少し勇気が必要だったが、彼らも快く藍を出迎えてくれている。
「すまない、私達には援護しか出来ないが……」
「いいえ、構いません。むしろ……皆様には戦場まで案内をしていただければと。その後は隠れていて下さい、私達で何とかしますから」
 藍が得意としているのは雷を使った戦いだ。
 エージェント達が敵を視認出来ないことも相まって、彼らと一緒に戦場にいては巻き込む可能性の方が高いだろう。
「分かった。UDC-Pはこの奥の部屋にいる……頼んだ」
 頭を下げるエージェントに藍もまた頭を下げて、教えてもらった部屋へと駆けていく。
 行く先からは――激しい戦闘音が聞こえていた。

 現場ではUDC-Pが懸命にモーニングスターを振り回し、それに対して妖怪とその分身体がにじり寄っているようだ。。
 まずは敵の数を減らそう。そう決心して、藍はUDC-Pの側へと駆け寄った。
「ええと、信徒さん。敵の動きは私が抑えます。その隙に攻撃していただけますか?」
 藍の言葉にUDC-Pはこくりと頷き、少し敵との距離を取る。
 これで巻き添えにする心配はないだろう。藍は打刀『青月』を構え、仙人としての力を高めていく。
 次の瞬間、室内に炸裂したのは凄まじい雷だ。
 降り注ぐ雷は妖怪の分身体を打ちのめし、彼らの身体をその場へと押さえ付けていく。
「信徒さん、今です……!」
 藍の言葉を受け、信徒が一気に前へと躍りでた。降り注ぐ雷の合間を縫って、彼が振るうモーニングスターは次々に敵をかき消しているようだ。
 これで残ったのは本体だけ。大柄な妖怪は、どろりとした視線を藍とUDC-Pに向けている。
『あ れ が い い』
「いいえ、信徒さんは渡せません。あなたの骸魂を消させて頂きます」
 藍が再び青月を構えれば、先程よりも強い雷が刀身へと集まっていく。
 敵は一体。それなら出来る限り収束した雷を撃つ方がいいだろう。
 勢いよく刃を振り下ろせば――その青白い輝きは見事に敵を切り裂いていく。
 UDC-Pの追撃も相まって、骸魂の気配は大きく削り取ることが出来たようだ。
 その様子に安堵しているUDC-Pを見遣り、どこか暖かな気持ちを抱く藍だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

こんなことになるなんてねー。
ですから、私たちはここに来たのですよー。

基本はUDC-Pの信徒と共闘ですねー。
即座に【四悪霊・『界』】を使用。
視線遮りのために結界術を。この結界術、相手からの視線だけ遮りますのでー。ええ、こちらからは見えてます。

で、そこへ漆黒風を投擲しますねー。骸魂を剥がすために、攻撃するんですよー。
なので、信徒さんにも攻撃要請しますー。

そう、一度倒せば、妖怪さんは解放されますからねー。




 妖怪との戦いは続いているが、支部の様子は未だに騒然としているようだ。
 そんな様子を見遣りつつ、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)を構成する悪霊の一人・『疾き者』は真っ直ぐに戦場を目指していた。
「こんなことになるなんてねー」
 妖怪がUDCアースに出現するだけならまだしも、UDC組織そのものに被害が来るとは誰が思っていただろうか。
 けれど、だからこそ。
「ですから、私たちはここに来たのですよー」
 緩い笑顔を浮かべたまま、義透は戦場の扉を開く。
 中で懸命に戦っていたUDC-Pの振り向く様子が、どこか希望に溢れているように見えた。

 しかし、義透の登場に気がついたのはUDC-Pだけではない。
 大きな妖怪もまた、どろりとした視線をこちらへ投げかけようとしているようだ。
 その呪力の流れを感じ、即座に義透は印を結ぶ。
「……ここは悪霊のあるところ」
 展開したのは特殊な結界だ。その流れは妖怪の呪いを打ち消し、そして視界を遮っていく。
 義透達の姿を見失った妖怪は不気味な声をあげながら手当たり次第に暴れだすが、上手く見切れば問題ない。
 その隙に、義透はUDC-Pの側まで駆け寄った。
「この結界については心配なさらずー。この結界術、相手からの視線だけ遮りますのでー。ええ、こちらからは見えてます」
 その説明を聞き、コクコク頷くUDC-P。言葉は問題なく通じるようだ。
 それなら、心置きなく共闘だって出来るだろう。
「あなたは戦うのを好んでいないようですが……ですが、力を貸して頂きたいのですよー。あの妖怪から、共に骸魂を剥がしましょうー」
 再び頷き。UDC-Pはモーニングスターをびしっと構え、妖怪の方をじっと見つめる。
 彼が向かう隙を作るべく――義透が取り出したのは棒手裏剣『漆黒風』だ。

「それでは呼吸を合わせていきましょうー。せーので……」
 UDC-Pが身を低くしたのに合わせ、義透は勢いよく漆黒風を投げつけていく。
 その刃が妖怪の身体を切り刻めば、相手の意識はこちらへ向かう。しかし、結界が有効な以上は妖怪もこちらの姿を視認出来ないのだ。
『ど こ だ』
 混乱するまま、とにかく攻撃が向けられた方を殴り始める妖怪。今なら狙いを定めることも簡単だろう。
 義透が更に漆黒風を投げれば、こっそりとUDC-Pが裏手へ回る。
 そして相手が腕を振りかぶった瞬間――。
「そう、一度倒せば、妖怪さんは解放されますからねー」
 重い衝撃が室内へと響き渡る。UDC-Pの振るうモーニングスターが見事に妖怪を打ち据えたのだ。
 そしてその一撃が骸魂を削ったのを実感し、義透もUDC-Pも安堵の息を零すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オスカー・ローレスト
み、見えない敵が襲ってくる状況、か……俺なんかの想像してるよりも、組織の人達は怖いだろう、な……

でも、UDC-Pのあの子は、戦おうとしてるん、だね……自分が、狙われてるかもしれない、のに……やっぱり、君は凄い、ね。

な、なら……本当は、無茶な事はして欲しくない、けど……俺にも、組織の人達を守るのを、手伝わせておくれ……!

UDC-Pには、前衛で戦ってもらって……俺は後衛から、【暴風纏いし矢羽の乱舞】を使う、よ。【スナイパー】技術でよく狙って、敵の武器や体を撃って妨害することに徹する、ね……(【部位破壊】【武器落とし】併用
ぜ、絶対、この子には、当てさせない……!




「み、見えない敵が襲ってくる状況、か……俺なんかの想像してるよりも、組織の人達は怖いだろう、な……」
 UDC組織が置かれている状況を認識し、オスカー・ローレスト(小さくとも奮う者・f19434)は静かに目を伏せる。
 エージェント達も心配だけれど、それ以上に気になるのは――黄昏の信徒のことだ。
 嘗て恐ろしい目に遭い、自分達によって救われたUDC-P。彼は勇気を奮い立たせ、今も妖怪に立ち向かっている。
 それなら、行かなくては。
 組織職員達に戦場となる部屋の位置を聞いて、オスカーはすぐに駆けていく。
 こんな形での再会は残念だな、と心の隅でこっそりと呟きながら。

「た、助けに来たよ……!」
 部屋に飛び込み、オスカーはすぐにUDC-Pへと視線を向ける。
 彼と戦っている妖怪はかなり大きく、不気味だ。あんな化物に狙われながらも、UDC-Pはここまで懸命に戦ってきたのだろう。
「……やっぱり、君は凄い、ね。でも、本当は、無茶な事はして欲しくない、けど……」
 UDC-Pがどうしてここまで懸命に戦うかは、痛いほど理解出来た。
 彼は自分達を救ってくれた組織の人々に、そして猟兵に報いたいのだろう。
「……俺にも、組織の人達を守るのを、手伝わせておくれ……!」
 オスカーのその言葉に、UDC-Pは力強く頷いた。
 今度は救う者と救われる者でなく、共に戦う者として。二人は巨大な妖怪へと向かい合った。

『あ れ が い い』
 妖怪はオスカーとUDC-Pの双方にどろりとした視線を投げかける。
 思わず背筋が寒くなるが――それ以上に気になるのは、視線に含まれた呪詛だ。
「これ以上、見られていると……まずい、かも。だから……」
 相手の視界を塞ぎ動きを止めるべく、オスカーが発動したのは『暴風纏いし矢羽の乱舞』だ。
 舞い散る羽根の刃は見事に敵をその場に縫い止め、そして邪悪な視線もしっかりと遮ってくれている。
 その隙にUDC-Pは前へと飛び出し、モーニングスターで牽制を行ってくれているようだ。
「お、俺は……後ろから、しか……攻撃、出来ないけど……」
 だからこそ、しっかりと役割を果たそう。
 オスカーは『洋弓銃』を構え、羽根の合間から敵の姿を視認する。
 怖いけれど、絶対に目を逸らすものか。
 UDC-Pが再び敵を殴りつけ、隙も生み出してくれている。チャンスは今だ。
「ぜ、絶対、この子には、当てさせない……!」
 勇気と共に放たれた一撃は妖怪の身体を揺らめかせ、骸魂を削っていく。
 二人の連携による一撃は、見事に妖怪を救う手立てとなったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

インディゴ・クロワッサン
にゃにゃーん!?あの子が居るトコにまで来たの!?
「流石に黙ってられないから僕、参上!」
P君を撫でたら、UC:藍薔薇の加護 を使って
「助けてあげよう。ね?」
同意してくれたエージェントさんや周囲の猟兵、更にはP君も支援しちゃうぞー!(団体行動
ちょっとは恐怖を和らげられるといいなー(狂気耐性
攻撃は可能な限り第六感とかで見切ったり、残像で回避したりして
避けきれなかったら覚悟を決めて、オーラ防御と激痛耐性で歯を食いしばってでも耐えて、力溜めとか怪力とか鎧無視とか鎧砕きとかめっちゃ諸々込めてカウンターのお返しだー!
「言っとくけど、僕は慣れてるからやってるだけだからね!」
P君は真似しちゃダメだよー!


鬼桐・相馬
●POW
久しぶりだな
これから一緒に鬼ごっこをして貰いたいんだができるか

そう信徒に声をかけ、モーニングスターに〈冥府の槍〉から炎を継いでおこう
事前にエージェント達から組織内で最終的に袋小路となる構造をした地点を聞き彼にも話を

敵の攻撃を擦れ擦れで[見切り]回避しながら戦闘
信徒にも注目が行くだろうが障害物に身を隠したり俺が[かばい]守る
どちらかが興味をひいている状態を維持できればいい

袋小路へ到達したら敵へ[怪力]による一撃を入れ怒らせたい
敵が持ち上げたものを俺も掴みUC発動
膠着したところに信徒の武器で渾身の一撃を入れて貰い、灯らせていた炎で一気に[焼却]する
骸魂を追い出す程度の火力ってどれ位かな




「にゃにゃーん!? あの子が居るトコにまで来たの!?」
 異常事態の報せを受けて、そう叫んだのはインディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)だ。
 嘗て救ったUDC-Pが妖怪に狙われて、今も戦っている。そうと聞いては黙っていられない。
「……と、いう訳で。流石に黙ってられないから僕、参上!」
 案内役のエージェントと共に戦場と化した部屋に飛び込めば、ぱっと信徒が振り向いたのが見えた。
 大変そうだけど、元気そうでも安心した。なんというか、不思議な気持ちだ。
 インディゴに続いて部屋に飛び込んだ鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)も、信徒の姿を見遣り不思議な安堵感を抱いていた。
 二人は信徒の側まで駆け寄ると、互いの様子を確認していく。
「久しぶりだな。ここまで戦ってくれてありがとう。けれどあと少し……一緒に鬼ごっこをして貰いたいんだができるか」
「君はあの妖怪のこと、気にしてるんだよね。それなら助けてあげよう。ね?」
 二人の言葉に信徒はコクコクと頷いて、モーニングスターをぐっと構える。
 彼に戦う気持ちがあるのなら大丈夫だろう。相馬は信徒のモーニングスターに、インディゴは信徒自身にそっと触れ、埒外の力を高めだした。
 相馬が施したのは『冥府の槍』と同じ紺青の炎で、インディゴが施したのは鮮やかな藍薔薇の加護だ。
 二つの青色に囲まれて、信徒はグッと気合を入れる。
「それじゃ、戦おっか!」
「向かうべき方向は既にエージェントから聞いている。ここは……皆で乗り切ろう」
 猟兵達もそれぞれの武器を構え、迫る妖怪の姿を見遣る。
 あの子を救い出すまで、あと少しだ。

 そこからの戦いは激しいものだった。
 相馬がエージェント達に頼んでいたのは袋小路の作成だ。シャッターは既に動いているため、あとはそれを利用して道を作ってもらうだけだ。
 そちらの方向に妖怪を引きつけるべく、三人は組織内部を駆けていく。
「全員で引きつけていけばいいよね?」
「ああ。俺かインディゴ、或いは信徒の誰かが常に敵の注意を引けば大丈夫だ」
 幸いなことに妖怪は猟兵達にも信徒にも興味津々のようだった。
 『あ そ ぶ』『あ れ が い い』と不気味な声をあげつつ、妖怪も組織の中を走っていく。
 その最中に壊れた物品やドアを掴み、投げつけてもきていたが――。
「っとと、そんな攻撃当たらないよ!」
 インディゴは信徒を庇いつつ、手早く敵の攻撃を回避していく。
 その隙に相馬が敵との距離を詰め、勢いよく槍を振るった。けれどこれはあくまで牽制の一撃、今は薙ぎ払い程度でいいだろう。
「その程度か? もっと本気で追いかけてこい」
 猟兵達の様子が気に食わなかったのか、妖怪が返したのは憤怒の咆哮だ。
 けれど相手が怒れば怒るほど、注意はこちらへ引きつけられる。挑発は有効のようだ。
「ゴールまであとどのくらいー?」
「あと少しだ、一気に駆け抜けよう」
 二人の言葉に信徒も頷き、懸命に付いてきている。
 そして――見えてきたのは、防火シャッターが作り上げた袋小路だった。

 妖怪も周囲の様子に気がついて、追い詰められたことには気付いたようだ。
 怒りの限界は振り切ってしまったようで、妖怪はひたすら周囲の物品や壁に床、ありとあらゆるものを掴んでは投げてきている。
 これら全てを回避するのは難しいだろう。
「ええい……しょうがない!」
 インディゴは敢えて攻撃へと身を晒し、全身をあらゆる防御術で守り抜く。
 痛い、痛い、けれど耐えられない程ではない!
「これはお返しだよ!!」
 カウンターとして返したのは直剣『Vergessen』による斬撃だ。
 細身の青年から繰り出されたとは思えない一撃が敵の身体を切り裂けば、邪悪な気配だけが確かに薄れて消えていく。
 けれどインディゴも無傷という訳にはいかなかった。身体のところどころから血が流れ、床を赤く染めている。
 そんな様子を信徒は勿論心配しているようだ。
「あ、ごめんね。言っとくけど、僕は慣れてるからやってるだけだからね! P君は真似しちゃダメだよー!」
 大丈夫だ、と言わんばかりに笑顔で手を振れば、信徒も少しは安心したようだ。
 しかし、骸魂はまだ倒しきっていない。
 妖怪は残りの力を振り絞り、一際大きな残骸を抱えて狙いを定めているようだ。
 けれど――その残骸は、決して投げ込まれることはない。
「……俺の事を忘れてもらっては困るな」
 気がつくと相馬が妖怪の握る残骸を抑え、相手ごと押さえ付けていたからだ。
 インディゴが派手に動いている最中に、相馬は妖怪の後方に回っていた。
 そのまま鬼の怪力を発動すれば、大柄な妖怪と力で膠着することだって難しくない。
 その隙を活かし、信徒が走る。その勢いでモーニングスターを振るえば――その一撃は、妖怪の胴を見事に打ち据えた。
「さて……骸魂を追い出す程度の火力って、どれ位かな」
 ぽつりと零れた相馬の呟きに合わせ、燃え広がるのは紺青の炎だ。
 モーニングスターに灯されていた炎が妖怪を包み込めば、相馬と共鳴してどんどん炎の勢いは上がっていく。
 地獄の炎が燃やすのは、冥府へ導くべき存在――骸魂だけ。
 炎が消え去る頃に残ったのは、助け出された妖怪だけだ。

 信徒は妖怪の方へ駆け寄ると、嬉しそうにその身を抱きしめる。
 その様子が元気な子供のようで、嘗ての彼を知っている猟兵達からすると何となく嬉しいものかもしれない。
 ここに小さな戦いは収束し、そして一人の妖怪が無事に救い出されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月28日


挿絵イラスト