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大祓百鬼夜行③~ウルトラ猟兵カオスライト~

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行 #トンチキシナリオ #プレイング受付〆、再送は本日23:59で締め切ります

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●穢れを喰らう黒竜による汚れ落としの予知
「幻朧桜の力で戦力が減った今がチャンスだ!どんどん制圧目指していくぞ!」

 地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)は猟兵たちに発破をかけ、グリモアが入り込んだ白紙の本に新たに記された予知内容を読み上げる。

「「百霊鎮守塔」っていうところがあってな。カクリヨファンタズムの最深層に通じる道を示すと言われている呪われた塔らしい。
 この塔の最上階にある「百霊灯籠」って言う物が最深部への道を照らし、そこに眠っている「竜神親分」の力を抑えることができる――と、言われてるそうだ。
 もしかしたらここを制圧できたら戦況をもっと猟兵側の有利に傾けることができるかもしれねえ。みんなにはここの制圧に向かってもらいたい」

 確かにもしその伝えが本当であれば、竜神親分の戦力をある程度削いだ上で挑むことが可能になるかもしれない。
 それならば確かに制圧の優先度を高める理由にはなり得るし、良い選択肢ではないだろうか。
 とはいえもちろん簡単に行くような場所ではなく、かつさらに用意しなければならないものがあるらしい。

「――で、だ!ここに一通り人数分高圧洗浄機と雑巾、それからゴム手袋に長靴にエプロンにマスクと用意してある。
 これを持っていって「百霊灯籠」の汚れを完膚なきまでに叩きのめして欲しいッ!!」

 ……掃除用具??
 猟兵たち全員が首を傾げ、みなまで言うなと言いたげに凌牙は首を振った。今から説明するからと。

「実はその「百霊灯籠」がこれまた長い年月放置されちまってるみたいでよ……さらに今回の大祓百鬼夜行による虞の充満もあって骸魂の影響を受けちまってやがる。
 ただ単純に登って照らすだけだとカクリヨファンタズム全土を焼き払うカタスロトフの発生だ。で、それを防ぐ方法が至ってシンプル。磨いて綺麗にするだけ」

 こびりついた汚れじゃねえんだから!!!!と凌牙のノリツッコミが炸裂。
 まあうん、言いたいことはわかる。掃除だけで綺麗にできるとか確かに簡単だもんね?でもそんな重装備する必要ある?
 という疑問に答えるならば、この塔は決して空を飛んでいきなり頂上に――ということは不可能なのだ。必ず入り口のある最下層から階段で登っていかなければたどり着くことができない。
 その途中に色々とトラップが待ち構えているのだが、これがまた酷い。
 具体的にはめっちゃぬめぬめしたヘドロっぽい何かをばら撒くらしく潔癖な猟兵諸君には非常に厳しいモノだそうで想像するだけで鼻がひん曲がりそうな思いだ。
 トラップの仕掛け元はあるのだが、その仕掛け元もとんでもない汚れで開けることすらままならないらしい。
 しかもなんかもう全体的に臭いが酷いし汚れもベトベトで掃除しねえとやってらんねえ!!!!って叫びたくなるレベルらしい。何で????

「まあともかく、そういうワケだからこうして掃除用具を揃えたワケだよ。まあ、掃除慣れてる奴はもしかしたらいらねえかもだけど……いやわかるよ、何で戦争中まで掃除しなきゃなんねえんだよって思うよ!?
 でも仕方ねえじゃん汚れには最強なんだぞ高圧洗浄機!!汚れを取り除かれることに弱い骸魂みたいだしさあ!!!!!!掃除するだけで戦争有利になるなら儲けもんだと思って取り掛かってくれ!頼む!」

 両手をあわせて頼み込む凌牙。
 まあ戦うよりは随分と気が楽になるかもしれない……のは、猟兵たち次第だが、ともかくこれは中々の体力勝負になりそうだ。

 ――いざ、「百霊鎮守塔」へ!


御巫咲絢
 タイトルの元ネタはわかる人だけわかってください、またもしつこくトンチキシナリオです。
 こんにちはこんばんはあるいはおはようございます、初めましての方は初めまして御巫咲絢です。
 当シナリオの閲覧ありがとうございます!御巫のシナリオが初めての方はお手数ですがMSページを一度ご一読頂けますと幸いです。

 皆さんのおかげで幻朧桜制圧!戦力10低下!やったー!
 残り少なくなってきましたが戦争勝利目指して頑張りましょう!
 というワケで戦争シナリオ7本目をお届け致します。
 お掃除のお時間です!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 塔の中を最下層から頂上の百霊灯籠までぴっかぴっかにしちゃってください。
 能力値は気にせず皆さんの思うお掃除駆け抜けプレイング(何だそれ)を投げて頂ければと存じます。
 断章の投下はありません。
 必ず「一番下から登っていかないと頂上には辿り着けません」ので、上空から頂上に侵入する系統のプレイングは全て弾かせて頂きます。あしからずご了承ください。

 尚、MSはお掃除の知識がありませんのでその場で必死こいてお掃除知識を検索しながら執筆予定です。
 もしご存知の知識があったらプレイングに盛り込んで頂けると執筆しやすいかと思われます。ご検討ください。

●当シナリオについて
 当シナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結する特殊なシナリオとなっており、以下のプレイングボーナスが存在します。

●プレイングボーナス
 塔の中のトラップを解除する。
 さらに当シナリオ限定で「塔の中を徹底的にお掃除する」もプレイングボーナスとして追加させて頂きます。
 綺麗好きの猟兵さんもたくさんいますからね!

●プレイングについて
 受付開始は『5/21(金)8:31~』、締切は『クリアに必要な🔵の数に到達するまで』とさせて頂きます。
 最低でも3名様はご案内予定ですが日常シナリオでありかつ速度を重視させて頂きます為、全員をお受けすることはできかねますことを予めご了承ください。
 戦況を鑑みて追加で同系統のシナリオを出すことも検討しておりますので、お気軽に投げて頂ければなと思います。

 それでは皆様のお掃除プレイングをお待ち致しております!
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第1章 冒険 『ハプニングは突然に』

POW   :    ハプニングを気合いで対応して攻略を目指す

SPD   :    ハプニングが起きる前に速く攻略を目指す

WIZ   :    ハプニングを事前に予想して攻略を目指す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

宙夢・拓未
ヘドロっぽい何かか……うーん、何性汚れかな
アルカリ性や中性ではなさそうだし、多分、酸性か

だとするなら、アルカリの出番だな!
中和して汚れを溶かしちまおう
具体的には、重曹とセスキ炭酸ソーダを使うぜ

こびりついて固くなった汚れは、重曹でこすり洗いだ
粒子で物理的に研磨する
重曹をバサッと汚れにぶっ掛けた後、濡らした雑巾で磨くぜ

セスキの方は、水に溶かしてスプレー容器に入れる
これを汚れにシュッシュッとやって、数分待ってから拭き取るんだ
消臭にもなるんだぜ

セスキは特に強力なアルカリだから、気をつけて扱おう
マスクとゴム手袋は必須だな

ま、バイクの油汚れと一緒なはずだ
あとは根気だな。頑張るぜ


ベルベナ・ラウンドディー
掃除の基本は火力です
ここを焼却炉にする


高圧洗浄機、改造します
【仙術・武器改造・焼却】…ベルベナ式宝貝…火炎放射k…
…げふげふ、高圧洗浄機・改!

我々は戦争中、もう時間が無い
チマチマやってたら負けてしまいます
それにピンポイントで掃除なんてカクリヨすぎて発想が古すぎますよ
時代はバックドラフト。
全体的に高圧洗浄、これだね
洗浄液?ああ揮発性を利用して火力を高める燃料のことです
【結界術】でして空間を閉鎖し炎を流し込む
結界内の酸素を奪いつくしてから結界解除、酸素を流し込む
そうして発生する【衝撃波】で大正義劇場
炎の本流で洗い流す、世はまさに空間的高圧洗浄機時代…!


掃除王に私はなる

※なお素人にはお勧めできない


藤崎・美雪
アドリブ連携トンチキ巻き込み大歓迎

あー…こりゃ酷いわ
どれだけ放っておいたらこんなに汚れがたまるのかナー?

とりあえず高圧洗浄機で一網打尽…といきたいが
コレ、下手に脆い箇所に当てると壊れるんだよな
ま、トラップは壊れてもらう方が逆に好都合なので
遠慮なく最高設定で発射してぶっ壊すが

他のところなんだが
油っぽい汚れにはアルカリ性洗剤が有効
つまりアルカリ性の重曹水が有効なはず
というわけでUDCアースからどっさり重曹を持ってきた
バケツに重曹と水入れて重曹水作って
汚れにぶっかけてある程度緩めてから拭き取r…雑巾ではキリがないな
これは持ってきたデッキブラシでこするのが早そうだな(ごーしごし)

…あー疲れた


黒木・摩那
百霊灯籠お掃除隊に志願します。
ゴム手袋、長靴、エプロンにマスク、そして高圧洗浄機を背中に背負うと、幽霊退治しに行く気分になりますね。

ともかくトラップにかかると大変なことになるそうなので、これは全力回避せねば。
具体的にはスマートグラスのセンサーで探査して、怪しげな壁や床の段差や動作痕を見つけ出します。
さらに【第六感】も駆使します。勘大事です。

お掃除は高圧洗浄機でバーンと洗い出します。
加えてUC【トリニティ・エンハンス】で【水の魔力】も付与して、流量アップ。
上から下まで洗い流してしまいましょうか。

本当は上から掃除すべきなんですけど、そうも言ってられそうもないですね。


バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!

お掃除とあらばお任せくだサーイ!
戦場お掃除サービス、雇われバトルサイボーグメイド!
バルタン・ノーヴェ、参上デース!
(しっかり布巾でマスクして、ゴム手袋に長靴装備)

「六式武装展開、風の番!」
この『格納型吸吹両用掃除機』は、ゴミの吸い取り・汚れの吹き散らしは当然ながら、風を圧縮させて手のように用いることができるのデース!
ヘドロも臭いも、問題なく排除可能であります!
もちろん、細部は雑巾やモップでしっかり拭き取りマース。手抜きはダメデスネー!

本当は上から汚れを落として行きたいところデスガ、道順ならば仕方ないデスネー。
頂上に着いてから、復路で仕上げるといたしマショー!



●掃除に必要なのは根気と体力、そして火力
 ――百霊鎮守塔、入り口の間。
 そこはとてつもなく汚れきっていた。具体的に言うと足を踏み入れたら\ぐちょっ/て言う程には酷い。
 匂いも非常に強烈であり、マスクがなければ鼻がひん曲がること間違いなしだろう。まるで下水道を煮詰めたような凄惨たる有様だ。

「うわあ……こりゃ酷いわ……」

 最早何かの掃き溜めのような光景に藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)はげんなりとした声を上げた。

「どれだけ放っておいたらこんなに汚れが溜まるのかナー?」
「足を踏み入れるまでは装備的に幽霊退治しに行く気分になっていたのですが、幽霊よりヘドロモンスターが出てきそうですね。ほら、ベt」
「おっとそれ以上は言っちゃダメな気がするなあ!」
「そうですね、私も自分で言っててそんな気がしたのでこれ以上はやめておきます。ともかくトラップにかかると大変なことになるそうなので全力回避せねば」

 黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)はさらっと気持ちを切り替えてスマートグラス『ガリレオ』のセンサーで探査するが……

「うわ、汚れが酷すぎて探査もロクにできませんね。まずはお掃除しろということのようです」
「いや本当、どんだけ放っておいたらこんなに汚れが溜まるのかな……?とりあえず高圧洗浄機用意してもらえてよかったけどこの汚れっぷりだと骨が折れそう……やるしかないかー」

 早速高圧洗浄機のスイッチを入れ、まずは自分たちの足元からぶわーっと洗い流していく。
 流石の出力といったところか、一吹きが命中するだけであっという間にヘドロまみれで床すら見えなかったのが当てたところだけぴっかぴかだ。

「おお、流石高圧洗浄機……このまま一網打尽といきたいがコレ、下手に脆い箇所に当てると壊れるんだよな……ま、トラップはこわれてもらう方が逆に好都合だけど……
 壁まで掃除してる時間はなさそうだから、ひとまず床や階段を優先的に掃除して進んでいくか……?」
「そうですね……本当は上から掃除すべきなんですけど、そうも言ってられそうもないですね。今の所洗った箇所にトラップはないみたいです」

 そう、本当なら上から掃除していくのが安泰である。それは何故かはもちろん皆さんご存知だろう。
 何事も上流から下流へと流れていく、下に落とした汚れが集まってくるのだから上から綺麗にしていけば後処理の手間も大きく省けるのだがこの百霊鎮守塔はいきなり頂上から入ることができないのでそれが不可能。
 掃除好き、綺麗好きにはどうしても気になってしまうつくりなのだが、そこに文句を言ったところで変わらない。地道にこつこつ洗って道を切り拓いていくしかない……

「お待ちください」

 と、そこに新たに姿を現したのはベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)。
 神妙な面持ちできっちりと掃除用具一式を装備、もちろん高圧洗浄機もである。

「我々は今戦争中。もう残る猶予も限られてきました。ちまちまやってたら負けてしまいます」
「それは確かにそうだけど、どうするっていうんだ?」
「簡単ですよ。掃除の基本は火力です」
「えっ??????????」

 美雪は耳を疑った。今火力って言わなかったか彼?
 摩那も首を傾げるが、すぐに思い当たる節があったのか電球を浮かべる。

「火力……なる程、より高圧洗浄機の出力を全体的に向上させ全方位に広げられたら良いということでしょうか?
「ああ、それならある意味火力か……」
「微妙に違いますが、全方位は確かにそうですね。ピンポイントで掃除なんてカクリヨすぎて発想が古すぎますから。時代はバックドラフト!!全体的に高圧洗浄、これに限ります」
「なるほdちょっと待て!!バックドラフトって意味が違うくないか!?」
「まあ見ていてください。高圧洗浄機、改造します」

 バックドラフトとは火災の現場で起きる爆発現象、それを掃除に結びつけることに美雪はとても理解が追いつかない!
 摩那も首を傾げて訝しんでいるが、ベルベナは気にせずユーベルコードを発動!
 高圧洗浄機に仙術を用いての武器改造と焼却能力を付与し、マ改造のマ改造を施していく――!

「……完成です。ベルベナ式宝具……火炎放射k……げふげふ、高圧洗浄機・改!」
「今火炎放射器って言おうとしただろ!?!?!?!」
「気の所為ですよ気の所為。さ、一気に汚れを落としますのでひとまず外に出ましょうか」
「待て本当に何をする気だ!!!!?」

 ベルベナに押され外へ出る美雪と摩那。
 いったい何をしようと言うのかと戦慄する二人をよそにベルベナは入り口に火炎放射k……もとい、高圧洗浄機・改を向け、結界術で塔の内部を封鎖してからスイッチオン!
 炎を一気に流し込み始めた!!

「やっぱり火炎放射器じゃないか!!!!!!!!!!!?洗浄機要素はどこにいったんだ!!!!!!?」
「洗浄液?ああ、揮発性を利用して火力を高める燃料のことですね」
「洗浄機っつてんだろうがァ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ははーなる程、確かにヘドロの類はこれでごっそりと削ぎ落としてあとは細やかな部分だけになりそうですから掃除やトラップ探知は楽になりそうです。流石ですねー」
「摩那さん!!摩那さんしっかりして!!!戻ってくるんだ!!!!!凄く棒読みだぞ!!!!!」

 最早摩那は考えるのをやめたレベルで遠い目をしながら感心したようなコメントを述べているが完全に棒読みである。
 その間にもベルベナは勢い良く炎を流し込み、結界内の酸素濃度を極限まで薄めていく。酸素がなくなりきるまで炎を注ぎ込むのをやめない!

「よし、これぐらいでしょうか。皆さん一旦離れましょう」

 全員が距離を取ったのを確認して、ベルベナは構えを取る。

「炎の本流で洗い流す、世はまだに空間敵高圧洗浄時代……!掃除王に私はなるッ!!!」

 拳をぐ、と握った刹那けたたましい爆音!!!
 結界が解除されたと同時に酸素が入り込み、衝撃波となって百霊鎮守塔内のあらゆる汚れを焼き尽くすッ!!
 これぞベルベナが編み出した究極の掃除法『バックドラフトクレンジング』だ――!!!

「いやこれ掃除王って言うより爆発王だろ―――――――――!!!!?」
「わあ、これ中大丈夫なんでしょうかね?いや、大丈夫だからやっているんですよね、うんうん……」

 実際、爆発を終えた中に入ってみるととっても綺麗になっていた。
 恐るべしバックドラフトクレンジング、しかし素人には到底おすすめできるものではないことを留意の上でご使用ください。

「さあ、これでほとんど汚れは取り除けているハズです。あとは百霊灯籠を磨きさえすればミッションコンプリートですよ」
「ああ、うん、そうだね……トラップだけ一応気をつけて進もうか……」

 確かに大分綺麗になったけど、なったんだけどと思いつつも美雪はツッコミ疲れを感じてきたので何も言わずに前に進んだ――。


 して、辿り着いた頂上部であるが……

「「「な……っ!?」」」

 三人は驚いた。
 なんと、百霊灯籠そのものからとんでもねえ量のヘドロがどっぷどっぷと生み出されているではないか!

「く、バックドラフトクレンジングでは骸魂までは剥がせませんでしたか……」
「なる程……『ガリレオ』の分析によると骸魂の影響を受けたことにより百霊灯籠の光がヘドロと化して、最下層まで流れていったようですね……」
「虞の影響もあればあれだけ汚れもするか……あいたっ」

 突如頭に何かが流れ込んでくるような頭痛を3人は感じるだろう。
 そう、まるでそれは、怒っているような感じである。

「これは……百霊灯籠に取り憑いた骸魂の思念、でしょうか……?」

 サイキッカーである摩那がいち早く頭痛の正体に気づく。
 これはいわゆるテレパシーの類のようであるが、相当怒っているようで頭痛がする程の強さになっているようだ。
 しかし怒っているっていったい何に怒っているのだろう……と思ったら、次に流れ込んできた百霊灯籠(の骸魂)の思念はこう言った。

『熱いのは熱いでもちゃんとお湯かけてくれなきゃやだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
「「「………」」」

 まるで駄々をこねたような言い方である。

「えーと、さっきの爆発痛かったのかな?」
『痛いに決まってるじゃん!!!!!!ぼく丁寧に雑巾とかブラシでごしごししてくれるの楽しみにしてたのに!!!!!!!!!!!!おこだよ!!!!!!!!』
「掃除されたくてヘドロ出してたのッ!?!?!?」

 美雪、再び思考が追いつかない。別に邪魔しにきたとかそういうのではなくずっと手入れをして欲しかったってどういうこっちゃ。
 とりあえずもう一度バックドラフトクレンジングとかは勘弁!!!と言っているらしく、百霊灯籠からは今もヘドロがどっぷどっぷと流れて頂上部をヘドロ色に染め上げている。

「むう、バックドラフトクレンジングは実に効率的なのですが……仕方有りませんか」
「まあ、こう言っている以上はちゃんと掃除してあげましょう。未練なくなれば骸魂は剥がれるでしょうし……」
「とはいえ延々と出てくるこの量、三人じゃキリがなさそうだけど……?」

 もうそれは最初に足を踏み入れたのと同じ、もしくはそれ以上の量を百霊灯籠が流し続けるもんだから早くも階段を経由して下層へと流れ始めている始末。
 高圧洗浄機の力を用いたとしてもそう簡単には――そんな時。

「お掃除とあらばお任せくだサーイ!」

 元気な女性の声が響く。それはとうっ、と階段を抜けてヘドロが跳ねない程度にふわぺちゃっと着地。

「戦場お掃除サービス、雇われバトルサイボーグメイド!バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)、ただいま参上デース!!」

 どや、とポーズを決めるバルタンの姿はしっかり布巾でマスクし、ゴム手袋に長靴完備。まさに全力お掃除モードと言うにふさわしいメイドの姿である。

「お、頂上部はまだ終わってなかったみたいだな。でも驚いたぜ?酷く汚れてるって聞いてたからな」

 続いて姿を現したのは宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)。同じくマスクにエプロン、ゴム手袋に長靴装備で雑巾と洗剤を揃えて突っ込んだバケツを手にしている。

「とはいえこの量は確かに骨が折れるな……どうしたもんか」
「百霊灯籠とその周辺から綺麗にするのが良いと思いマース!水の流れ的にはまた洗い直しになりますが、ヘドロの発生を止めてから綺麗に仕上げる方が間違いなくぴっかぴかになりマスヨー!
 ヘドロは私の方で取り除きマスネー!」

 そう言うとバルタンはお手製の『格納型吸吹両用掃除機』を取り出し、スイッチを入れると共にユーベルコード【告風楼(コンプレスド・エアー・アームド)を発動。
 掃除機から発せられる風を手のように圧縮し、まるでゴミを拾うようにヘドロを次々と片付けていく!

「わ、凄いなその掃除機……!」
「これはゴミの吸い取り、汚れの吹き散らしは当然ながら、風を圧縮させて手のように用いることができるのデース!ヘドロも匂いも問題なく排除可能であります!」

 宣言通り、バルタンによりヘドロと匂いは綺麗さっぱり片付き、少なくとも床は見えるようになった。あとは床や百霊灯籠にこびりついた汚れを綺麗にするだけである。



「ではまず、百霊灯籠の汚れから流してしまいましょうか」

 摩那が【トリニティ・エンハンス】の水の魔力でドーピングした高圧洗浄機で百霊灯籠の汚れを流していく。
 高圧洗浄機を当てていくだけであっという間に百霊灯籠はヘドロの発生を止め、仄かに光り始めた。
 ついでに台座の周辺も高圧洗浄機で軽く流してしまい、水分だけ雑巾で拭き取る。

「磨くのは少し待ってくださいね。まずは他を綺麗に片付けてからになりますから」

 摩那がそう語りかけると、百霊灯籠はこころなしか嬉しそうにほんのりと光った。

「うーん、何性汚れかな……アルカリ性や中性ではなさそうだし、多分酸性か?だとするならアルカリの出番だな!」
「奇遇だね拓未さん、私もそう思って持ってきたんだよ重曹。どっさりと」
「そっちもか。ついでに俺はセスキ炭酸ソーダ持ってきたぜ。灯籠周辺の台は最後に綺麗にしておいた方がいいだろうし、これを水に溶かしてスプレー容器でシュッシュッとしてしばらく置いておこう」

 手慣れた手付きで美雪は重曹を、拓未はセスキ炭酸ソーダを水に溶かす。
 重曹とは違い、セスキ炭酸ソーダは非常に強力なアルカリの為マスクとゴム手袋は必須である。気をつけて扱わなければいけない。
 拓未は完成したセスキ炭酸ソーダ水をスプレー容器に詰め、主に灯籠自身や灯籠の台座にシュッシュッと吹きかけた。
 数分置いて雑巾で拭き取れば、細部に残ったヘドロの臭いの残り香ごと跡形もなく消し去るのである。
 そしてバケツいっぱいに作った重曹水は床にどばっとかけてある程度汚れを緩めた後拭き取るのだが……

「流石に雑巾ではキリがないな……これでこするのが早そうだ」

 美雪は持ってきたデッキブラシで床をごーしごーしと磨いていく。ブラシが床をこする音はいつ聞いても存外心地よい音であり、汚れが落ちているという実感をも感じさせる。
 重曹水が床にこびりついた汚れを次々絡め取り、隙間には高圧洗浄機を当てて確実に汚れを払っていく。

「うーん、念の為二度洗いした方が良さそうな気がするな……」
「なら追い重曹とするか。バイクの油汚れと一緒なハズだし、根気強く頑張ればもうヘドロまみれにはならないだろ」
「ああ、お願いするよ」

 拓未の持ってきた重曹がばっさばっさと床にかけられ、それを水で濡らした雑巾やブラシで再びごーしごーし。
 重曹は水に溶けにくく粒子が細かいこともあってクレンザー剤としても優秀な効果を持つ。
 それで根気強く磨き続ければ研磨効果によりよりぴっかぴかになるのである。
 美雪がデッキブラシで広範囲を、拓未が雑巾で溝などの細かい部分を拭き取っていけば完璧に仕上がる。

「細かいところは歯ブラシも使って磨いていきマショー!手抜きはダメデスネー!」

 特にデリケートな部分を高圧洗浄機でも掃除機でもデッキブラシでもなく、歯ブラシを使って磨いていくバルタン。
 使い終えた歯ブラシを掃除用に再利用するのは恐らく誰しもがやっていることではないだろうか?歯ブラシで磨いては雑巾で綺麗に拭き取り、掃除機で吸い込めそうな汚れはぴゅーっと吸い込んでいく。

「……灯籠に当てず結界術で局地的にすれば効率が見込めるハズ」

 ベルベナは結界術で汚れが残っている壁部分をいくつか見繕い、結界術で閉じ込めた上で炎を流し込むことで再びバックドラフトクレンジングを試みていた。
 結界術を解除せず針が糸を通す程度の細かな穴で酸素を流し込めば被害は結界内のみに留まり、解除すれば臭いも何もかもが吹っ飛んだ綺麗な姿に元通り。

「うむ、完璧ですね」

 満足げな顔をしてベルベナは仕上げの為に壁を乾拭きしていった。


「……よし、これで完璧ですね」

 最後に摩那が丁寧に百霊灯籠を磨き終えると、百霊灯籠は完全に元の光を取り戻した。
 その光は真っ直ぐに伸び、カクリヨファンタズムの最深層を照らし出している――。

『はふ……とても気持ちよかったから思い残すことはないよ……』

 百霊灯籠に取り憑いていた骸魂は満足げな顔をしてその姿を消しつつあった。
 骸魂はかつてとある灯台に宿った付喪神らしく、その灯台では船の守り神様として崇められていたらしい。
 時が現代に近づくに連れてそれを知る者もほとんどいなくなってしまったが、当時を生きていた元船乗りの老人男性が病気で亡くなるまでは掃除をしてくれていたが、
 老人が亡くなったことにより付喪神の存在は忘れ去られてしまい、狭間を通りカクリヨに渡る過程で骸魂と化してしまったそうだ。
 もう一度あのおじいさんがしてくれたみたいに掃除してもらいたいなあ……と思っていた矢先、虞の影響で百霊灯籠にひっついたとのことだ。

『凄く熱かったりとかしたけど、一生懸命掃除してくれておじいさんを思い出せて嬉しかったよ。ありがとう』

 そう言い残して骸魂は完全に消え去り、骸の海へと帰っていった。
 これでミッションコンプリートである。

「あー……疲れたー……」

 最後にいい話を聞けたとはいえ、それはそれとしてやっぱりツッコミで体力を持っていかれた美雪が一番ぐったりしていたとグリモア猟兵は後に語っていた。
 後に彼女に胃薬を配送したそうです。
 それと百霊鎮守塔ですが、皆の丁寧な掃除とバックドラフトクレンジングの後、バルタンが帰る際に上から仕上げ磨きをして回ったからあと100年ぐらいは汚れのよの字とは無縁になりそうです。
 めでたし、めでたし……?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月25日


挿絵イラスト