大祓百鬼夜行⑤〜カクリヨGP鳥居サーキット150cc~
●カクリヨだからって何でもありすぎんよ
「皆さん、お疲れ様です。手の空いている方は申し訳有りませんが、再度出撃準備を願います」
大祓百鬼夜行も佳境に差し掛かっている中、グリモア猟兵の一人である終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)が新たな予知に基づき猟兵を招集する。
「次なる戦場は「竜神の霊山」。カクリヨファンタズムの最深層に通じる迷いの山です。
ここは先に進むためには必ず数千本もの連ね鳥居をくぐらなければたどり着くことが不可能となっているのですが、オブリビオンに制圧されています」
必ず通らねばならぬ道をオブリビオンに制圧されているならば奪還の必要も出てくるが、今も尚大祓百鬼夜行の戦力は増加を続けている。
それは即ち、制圧戦力も時間が経過すれば比例して増加することに他ならない。故に、他の方法があるならばそれも試したいところであり……日明が予知したのはその「他の方法」だった。
「ですが、深夜1時から2時の間、オブリビオンにも知られていない「もうひとつの連ね鳥居」が出現……そこを通ることでもカクリヨファンタズムの最深層に進軍することが可能となっているそうです。
今オブリビオンが制圧している連ね鳥居と違い、青白く光っているので見分けは尽きやすいかと。ただ――」
このもうひとつの青白く光る連ね鳥居には別名がある。
――その名も「黄泉への道」。
深夜2時になる前にこの連ね鳥居をくぐり抜け切れなかった場合、文字通り黄泉へと旅立つことになる……それがどういうことを意味するかは説明するまでもないだろう。
「そしてこの連ね鳥居には「死神の如き霊気」が漂っており、あらゆる方法で皆さんの道を阻んでくるでしょう。例えばそうですね……」
何で例えが存在しているのか。そんな疑問を抱く猟兵もきっといたと思われる。
「「死神の如き霊気」は潜り抜けを阻害する為、"256万色に光るゲーミングはてなボックス"を鳥居の道中あちこちに設置しています」
今なんつった?????????????????????
猟兵が一同に口を開く。
「"256万色に光るゲーミングはてなボックス"です。開けるとあらゆるトラップが待っておりまして……例えば走る爆弾のような爆竹とか、確実に敵を狙撃する甲羅っぽいバスケットボールとか、小さくなる秘薬とか逆に巨大化する秘薬とか。
とにかくあらゆるトラップで皆さんをスリップさせてゴールを阻止してきます。しかもたちの悪いことに必ず通らざるを得ない位置に設置してやがります。その上死神の如き霊気そのものも捨て身タックルしてきます」
何かどっかで聞いたことあるようなないようなトラップ内容ばっかりなんだが???となる者はなるだろうし、ならない者はならない。
というか今若干口汚くなったなこのグリモア猟兵。
「ですので、あ ら ゆ る 手 を 使 っ て 1時間以内にゴールしてください。
いいですか、あ ら ゆ る 手 を 使 っ て で も です。
例え他から見たら外道の極みと呼ばれようが何であろうが、2つの世界の平和と皆さんの生命が何よりも最優先です。ゴールを抜けたら勝ちなんです。いいですね?」
めちゃくちゃ念押ししてくる日明である。
まあ言っていることはご尤もなのだが、このグリモア猟兵は勝負を申し込むと言っておきながらビットで不意打ち奇襲とかする程度には必要と感じたら冗談抜きに手段を選ばないのでマジ度の違い的にシャレにならないので逆に怖いまである。
【恐怖を与える】Lv30は伊達ではなかった。
「別にレースというワケではないですが、レースに見立てて優勝を狙った方がやる気が出るという人はそういった心構えでも良いかもしれませんね。
ともあれ、説明は以上です。皆さんの武運を祈っています」
御巫咲絢
※注意:このシナリオは割とトンチキ気味なシナリオです。
当時小学生だった頃はまだ3D酔いも酷くなく64とSFCしかなかったので狂ったようにやり込んでいた時期がありました。
こんにちはこんばんはあるいはおはようございます、初めましての方は初めまして御巫咲絢です。
当シナリオ閲覧ありがとうございます!御巫のシナリオが初めての方はお手数ですがMSページを一度ご一読頂けると幸いです。
戦争シナリオ6本目でございます。はい、元ネタはわかる人だけわかってください!!
全力であらゆる手を尽くして重ね鳥居をゴールしてくださいませ。
能力値の選択肢は気にせず思いついたプレイングを投げて頂ければ幸いです。
あとレースっぽいタイトルだけど別に順位づけとかはしませんが、して欲しいという方はプレイングに書いてくださればダイス目を基準に決めさせて頂きます。
●当シナリオについて
当シナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結する特殊なシナリオとなっています。
また、当シナリオには以下のプレイングボーナスが存在します。
●プレイングボーナス
連ね鳥居を最速で駆け抜ける。
尚駆け抜ける手段は何でもありです。
アイテムだろうがユーベルコードだろうが何でもOK!生命に勝るモノはありません!!
●プレイング受付について
受付開始は『5/20(木)8:31~』、締切は『同日23:59もしくはプレイング人数が6名を超過した時』とさせて頂きます。
MSから見て書きやすいと判断したプレイングを6名様分まとめて執筆させて頂く予定です。
その為採用は「先着順」とは限りませんことを予めご了承ください。
それでは皆様の最速を誇るプレイングお待ち致しております!
第1章 冒険
『もうひとつの連ね鳥居』
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POW : 体力を活かし、連ね鳥居を走り続ける!
SPD : スピードを活かして一気に走破する
WIZ : 工夫を凝らした走り方を編みだす
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
OK! 楽しくサーキットを駆け抜けマショー!
マイキャバリア『スコール』を操縦して突破しマース!
鳥居をくぐらねばなりマセンガ、スコールは獣化形態で四足走行が可能なので、たぶん高さ制限は大丈夫デース!
レッツゴー!
HAHAHA、障害物レースみたいデスネー!
前方からのトラップはガトリングで撃ち抜き、至近に来た霊気はフォースセイバーやフェンリルバイト(かみつく)で両断or粉砕デース!
サイズチェンジの秘薬は……逆に有効活用することができそうデスネー!
ラストスパートは《告風楼》の追い風でスピードアップと参りマース!
レースである以上は、狙うはもちろん優勝デース!
HAHAHA!
菫宮・理緒
そういう事なら全力でいっていいってことだね!
ならわたしは【リオ・セレステ】で参加させてもらおう。
六輪車モードなら、地上走行だってバッチリだしね。
今さら、サイバーなフォーミュラは犯則じゃね? とか言わないよね!
全プロセッサを接続して、
姿勢制御ファンや可変エアロ、ライン取りまで完璧に制御していくよ。
妨害はなるべく避けて走りたいけど、
ドライバーの腕が心許ないから、ここもAIに頼っちゃおう。
こちらの妨害もアイテム次第だけど、これなんだろ?
ダッシュタケノコ? これはブーストアイテムか!
翼がきたね。
なら加速も込みでレースとコースを再計算。
ゴールはダッシュタケノコで決めたいな!
「ブーストオン!」
なんてね!
草守・珂奈芽
150ccならイケるイケる!200ccだと急にむずくない?
さてカーブもうまーくドリフトして……連ね鳥居にそこまでのカーブなくない?
まーいいや兎に角全速力で飛ぶのさ!
飛行機のほうがレースカーとかホバークラフトより地形で有利って決まってるし!
タックルは上下方向も活かして避ける!
っちゅーか〈衝撃波〉でも吹っ飛ばす
あっ殴った反動使ったら加速してる?いいじゃんこれ!
普段は罰当たりだけど今日ばっかりは霊も鳥居も殴って蹴って進むのさ
あ、ボックスから走る爆弾
……直ぐ爆発しないんなら〈念動力〉で〈グラップル〉しちゃお
衝撃波で爆発させれば加速がさらにはかどるのさ!
ふふふー、今日ばっかはドラゴニアンより速ーいのさ!
アスカ・ユークレース
これ、どう見ても髭の配管工が出てくるレースゲームにしか見えないのですが?ほら、あれです、マリ【良心】的なやつ。
キャバリア騎乗
初手にUCの逆噴射で一気に距離を稼ぐ
地形変化系トラップはキャバリアの悪路走破性と空中機動を駆使し対処
邪魔者は構わずはね飛ばす
危険、って分かってて出てくるんだから文句は言えないわよね?グリモア猟兵もどんな手を使ってもいいって言ってたし。
私が道交法。
トラップも逆に利用し妨害(巨大化する奴を自分とキャバリアに使い全て薙ぎ倒して走行したり爆破時に巻き込み自分はその一瞬前にしれっと離脱したり)
その隙にゴールを目指す
アドリブ絡み歓迎
オーガスト・メルト
ゴールさえすれば何しても良い、ねぇ?
『うにゃー?』
あぁ、もちろんお前に頼らせてもらうとも、ナイツ
ナイツをバイク形態にして【騎乗】する。デイズは前方を見通せるようにしておけ
コースの流れは俺が【見切り】、【ダッシュ】で駆け抜けさせてもらう
飛行モードと走行モードを切り替えれば【悪路走破】も可能だしな
トラップのボックスは…デイズ、【万炎陣】で消し去ってしまえ
逐一付き合ってられるか
『うきゅー!』
ついでに敵も巻き添えにしていいぞ。むしろ狙え
周囲からの妨害やタックルはグロームが【属性攻撃】を乗せた鋼糸で迎撃しろ
『チチッ』
何でもあり(TAS)にした時点で俺たちの勝ちは決まってたな
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※アドリブ絡み連携歓迎
※順位表示可
※『リリー先生』等別称を好む
なんだって『ゲーミングなんちゃら』は光るのかねえ
集中したいなら変に光らない方がイイと思うんだけど…
で、時間内にゴールできればなんだってイイの?
なら当然アタシはコレ、愛機『ナインス・ライン』♪
…しかもっ
背後のコンテナ『ディヴィエイト・アームズ』が展開して
中身がキャバリアの躯体を覆い隠せば…顕れたのは、巨大三輪バイク♡
しかもロケットの様な排気筒を幾つも背負った超加速仕様さ
DA00号【プライマル】によるトライクモードへの大変形だね♪
(移動力5倍、攻撃頻度半減)
もちろんレースとして勝つつもりでヤるよ
アタシ自身がレースクイーンになってやるさ♡
【MSより】
順位表示希望の方が一名様のみだった為、順位の方は記載なしとさせて頂きます。ご了承くださいませ。
●Jaegar Assisted Speedrun 略してJAS
――あらゆる手を使ってでもゴールせよ。
その言葉の意味は猟兵によって捉え方は様々であるが、例え仮にどのような外道畜生の行為をしようが「勝てばよかろうなのだァァァァ!!!!!」という理論で片付けて良いというのは確かにそうである。
つまりどういうことか?
今から猟兵たちによる全力のTASが始まるんだよ!!!!!!!!!!!!!
◆
さあ始まるカクリヨグランプリ重ね鳥居サーキット150ccコース、参加されるのはこちらの猟兵の皆さんである。
「OK!楽しくサーキットを駆け抜けマショー!」
エントリーNo.1、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)!
キャバリア『スコール』に搭乗し重ね鳥居の走破に挑む!
因みにこの重ね鳥居はとんでもねえでかさなのでキャバリアの1機や2機は余裕のよっちゃんで潜り抜けられるが獣化形態による四足走行で全力ダッシュする試みのようだ!
「今更サイバーなフォーミュラは反則じゃね?とか言わないよね!」
エントリーNo.2、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)!
六輪車モードを備えた愛用の宇宙バイク『リオ・セレステ』を駆りやる気は十分だ!
もちろんサイバーなフォーミュラ大歓迎でございます、キャバリアOKなのに宇宙バイクはダメなんて道理が通るワケがないじゃないですかー。思い切り全力出しちゃってください!
「150ccならイケるイケる!200ccだと急にむずくない?」
エントリーNo.3、草守・珂奈芽(意志のカケラが抱く夢・f24296)!
彼女はユーベルコード【草化竜為・蛍舞】を使い、生身での走破を目指しているようだ。その飛翔速度はなんと460km/hのトンデモ速度!
果たして彼女はリアルTASを生身で再現してしまうのか!?クリスタリアンの本気に乞うご期待ッ!!
「これ、どう見ても髭の配管工が出てくるレースゲームにしか見えないのですが?ほら、アレです。マリ(※彼女の良心による自主規制音)的なやつ……」
エントリーNo.4、アスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)!
良心により自主規制をかけてくれたご配慮に心より感謝致します。バーチャルキャラクターだから余計わかっちゃうよねわかるよ。
彼女も自前のRXS-F軽量起動型キャバリア【グレムリン】に搭乗して走破に挑むぞ!風の抵抗を極限まで減らした走りはどこまで加速するのか!!
「ゴールさえすれば何しても良い、ねぇ?」
『うにゃー?』
「ああ、もちろんお前に頼らせてもらうとも。ナイツ」
エントリーNo.5、オーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)!
古の竜『ナイツ』が変化した空陸対応型宇宙バイクを駆り走破に挑む!こんな可愛いまるっこい大福形態の古竜がバイクに変化するなんて熱いですねえ!!
肝心のナイツさんも『うにゃー!』とやる気満々の竜の咆哮も上げていることからコンディションはパーフェクトですね!
「時間内にゴールできればなんだってイイの?なら当然アタシはコレ」
エントリーNo.6、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)!
愛機『ナインス・ライン』に嬉々として搭乗!レースとして勝つつもりで連ね鳥居を駆け抜けるようだ!
果たして彼女は今GPにおけるレースクイーンの座を手にすることができるのかッ!!
◆
ところでスタートの合図は誰が出すのかって?
おや?連ね鳥居の様子が……
\テレテテン♪テンッテンッテンッテンテンッテーン……/
\ピーン……♪ピーン……♪/
なんと、一瞬その光を消したと思ったら少しずつ赤く染まり――
\ポーン♪/
青く光る。
察しの良い猟兵の皆さんはお気づきですね?鳥居がスタートシグナルだよ!!!!
「いや今何か別のモンスター育成ゲームの音混じってませんでしたかね!?」
はっはっは何のことかなアスカさん。とりあえずスタートしたことに変わりなく各走者綺麗にスタートを切るッ!!
その中でも先手必勝と言わんばかりに先陣を切ったのはリーゼロッテとオーガストの2名、特にこの時点で特筆すべきはリーゼロッテの動きだろう。
何と『ナインス・ライン』の背部に搭載されたコンテナ『ディヴェイト・アームズ』が変形し合体!ロケット並の排気筒をいくつも背負った巨大三輪バイク――ストライクモードと化し、一気に移動力を5倍に加速!
初っ端からクライマックスレベルの全力疾走で宣言通りレースクイーンの座を狙いにかかるッ!!
オーガストはもう一人の相棒の白竜饅頭『デイズ』に前方の見通しを任せて『ナイツ』の飛行モードと走行モードを早くも使い分けて詰まることなく快走!リーゼロッテのスピードに遅れることなく迫っているぞ!
その後ろに続くバルタン、そして差がなく理緒。戦闘から後方までおよそ某ゲームの単位を借りるならば14バ身程だろうか。
「うーん、ちょっと心許ないからAIに頼っちゃおう」
自身の操縦の腕に自身がないならAIの力を借りれば良い、非常に正しく適切な判断である。
本来のレースだったらもしかしたらワンチャンルール違反かもしれないがこのカクリヨGPは何でもあり!そう、何でもあり!!
理緒自身のユーベルコードによる機体のメンテナンス速度の極限加速も相まって常に最高のポテンシャルを『リオ・セレステ』は発揮している模様。
「カーブもうまくドリフトして……連ね鳥居にそこまでのカーブなくない?まーいいやとにかく全速力で飛ぶのさっ!」
カーブないのは確かにそう。むしろ直線の方が多いまである。だが今の珂奈芽にそんなことは知ったこっちゃない!
飛行機の方がレースカーやホバークラフトより地形で有利なのは森羅万象に定められし覆せぬ摂理なれば、空を飛ぶクリスタリアンが全速力で駆け抜けるキャバリアや宇宙バイクを追い越せないワケがない!!
大分無茶な理論だって言われそうだがそれをやってのけるのが猟兵、先行組にあっという間に追いつくのもそう時間がかからなかった。
一方アスカ、最初に思わずツッコミを入れてしまったせいかアクセルブーストに少々時間がかかった様子だがユーベルコード【フレシェット・ノヴァ】を応用してのレーザー逆噴射で一気に距離を詰め同じように先行集団に加わる。
だが同時にこの連ね鳥居に256万色に光るクソがつく程目に痛いゲーミングはてなボックスを顕現させた張本人――人という表現が適切かはわからない!――『死神の如き霊気』が迫るのだ!
それはまるで唐突に、奇襲をかけるかのようにアスカの眼前に現れたが――
\ドゴォ/
めちゃくちゃ鈍い音が響く。
なんとアスカ、んなもん知ったこっちゃねえと言わんばかりに『死神の如き霊気』を跳ね飛ばしたではないかッ!!!
跳ね飛ばされた『死神の如き霊気』、ぴゅーんひゅるひゅる~と前方に勢いよく吹っ飛んでバルタンと理緒のところまで吹っ飛んでくるッ!!
「えっ?えっ?ええ……?」
まさか霊気を物理的に跳ね飛ばす猟兵がいるなんて思うまい、いやそういうことをやってのけるから猟兵なんですけど!
理緒はわかっていても隠せぬ多少の困惑を感じながらもAIの力を借りて霊気の着地点を計算。落ちてくるまでにエンジンの加速力を向上させてまっすぐ突き抜け最先頭のリーゼロッテ・オーガスト組へと一気に肉薄した!
しかしバルタンはこのままでは霊気が丁度真上から落っこちてきてしまう!だがこういう時に一番簡単かつ頭を使わないシンプルな解決法が存在することも猟兵の皆さんはご存知だろう。
「HAHAHA!まさに障害物レースみたいですねー!」
『スコール』に内蔵されたフォースセイバーが唸りを上げる!!一刀両断!!
『死神の如き霊気』は真っ二つに切り裂かれてふっと姿を消すと思いきやそんなことなかった!!二つになったらなったで何とそのまま分かれた状態で再び先行組の比較的後方に位置する珂奈芽とアスカに迫り出す!
しつこく後方ばかり狙うのは恐らくまだ進みが浅い方を阻害することで各個撃破を試みているのだろうか、この霊気非常に賢しいぞ!!
「私 が 道 交 法 よ ッ !!!!」
アスカ、再び容赦なく霊気を跳ね飛ばしたーッ!!容赦ない、実に容赦ないぞ!
でもグリモア猟兵がどんな手を使ってもいいと言ったからなので全部グリモア猟兵が悪いと言っても過言ではない為、全ての責任は今回のグリモア猟兵が負います!
「危険、ってわかってて出てくるんだから文句は言えないわよね?」
仰る通りのド正論である。ただでさえ今このレースはどんな暴論も正論として正当化して良いレースとなっているので暴論などというものは存在しません!!
珂奈芽も回避しようと試みたがあまりにも霊気がしつこく追いかけてくるのでいっそのことと思い切りぶん殴り衝撃で霊気をふっ飛ばすが……?
「あっ反動で加速してる?いいじゃんこれ!」
何とその勢いが丁度良いブースターエンジンになった!味を占めた珂奈芽、急に斜め方向に進路を変更、そして何と連ね鳥居を思いっきりぶん殴ってバネにしたァーッ!!
発生する衝撃波が珂奈芽の体を勢いよく前方へと押し上げて対角線上前方の鳥居の一つへと一直線に向かう――!
「普段は罰当たりだけど今日ばっかりは霊も鳥居も殴って蹴って進むのさーっ!」
ドゴーンドゴーンと連ね鳥居に次々繰り出されるCRITICAL HIT!これが知られざる連ね鳥居でなければ今頃大惨事だが何をやってもいいTAS、もといJASだからこういった手段だって当然許されて然るべきである。
そうして三人は先を征く三人に一気に肉薄していくのだ――!
◆
ではここで真っ先に逃げの一手を繰り広げたリーゼロッテとオーガストの2名にカメラを移すとしよう。
二人の眼前には予知でも語られたゲーミングはてなボックスがついにその姿を現していた。文字通り256万色に光って実に目に痛い!痛すぎる!
これが朝であればそんなに大したことはないが今の時間は深夜、あと数十分で草木も眠る丑三つ時が訪れるどっぷり更けた真っ暗闇の連ね鳥居。目にドギツいったらありゃしない。
「なんだって『ゲーミングなんちゃら』は光るのかねえ……集中したいなら変に光らない方がイイと思うんだけど……」
と言いながらリーゼロッテはゲーミングはてなボックスをキャバリアの両肩に内蔵した小型多弾頭ミサイル『シリウス・マイン』を発射!ぼこんぼこんと吹き飛ばしてから進んでいく!
現在ユーベルコード【DA-00:PRIMAL(プライマル)】の効果により移動力は従来の『ナインス・ライン』の5倍に引き上げられているが、その分攻撃性能は半減している。
少ない攻撃でどれだけゲーミングはてなボックスを中のアイテムごとふっ飛ばして進んでいくかが非常に肝要であり、医者でもありアンサーヒューマンである彼女はもちろんのことその優れた頭脳を生かして高速回転しているワケだ。
「デイズ、消し去ってしまえ。逐一付き合ってられるか」
『うきゅー!』
「ついでに敵も巻き添えにしていいぞ。むしろ狙え」
『うっきゅ――――!』
ユーベルコード【万炎陣・呑竜咆哮(ミリオンブレイズ・ドンリュウホウコウ)】で事象すらをも焼却する炎の嵐を発生させてはてなボックスを完全焼却ッ!
鳥居も大分焼け焦げたがまあ知られざる連ね鳥居で黄泉への道ともいわれている場所なので恐らくまた出現した時には綺麗さっぱり元通りになっていると思われる為気にしないでも良いだろう。
そんな感じで現れるはてなボックスを次々とデイズの視線が焼き尽くす中、真横から『死神の如き霊気』の片割れ(以下霊気1号)が迫るが……
「グローム、迎撃しろ!」
『チチッ!』
8属性の鋼糸を生成する蜘蛛ロボ『グローム』が光属性の鋼糸をまるで網のように展開し霊気1号を阻む!
死神の如き、とついているだけあってどうやら闇属性の様子、効果は抜群だ!
「TAS(何でもあり)にした時点で俺たちの勝ちは決まってたな。このまま行くぞ!」
「やるじゃない。でも負けないよ、アタシ自身がレースクイーンになってやるんだからね!」
◆
では先頭2人の後を追う4人に再びカメラを戻すとしよう。
彼女らの眼前にも同じように出現するゲーミングはてなボックス。
バルタンはこれまたキャバリア搭載のマシンガンでずがんと撃ち抜くが、運悪くトラップが起動し甲羅のようなバスケットボールが襲いかかる。
まあそれも撃ち抜けば終わりなので結果として被害がなかったが、甲羅のようなバスケットボールの中から謎の秘薬が出現したのだ。
その秘薬は何故かツボに入っていてしかもなんてこった、蓋がされてないではないか!
もの凄い速度で飛んできたものを撃ち抜いたことによりその秘薬の中身が一気にばしゃーんと『スコール』に降りかかると―――
\ポゥポゥポゥ/
何と、どっかで聞き覚えのある効果音と共にスコールごとバルタンが小さくなってしまった!
どうやらサイズ可変の秘薬だったようだ。バルタンの身長の5倍ぐらいあったキャバリア『スコール』はすっかり大型犬と変わらないサイズに!そしてバルタン自身もそのコクピットに収まるレベルのミニマム化!
「Wow、これはマンマミーア!な効果の秘薬デスネー!でも逆に有効活用できそうデース!」
しかしそれも前向きにとらえてバルタンは引き続き鳥居を駆け抜ける!ミニマムになってもスピードは変わらないようで逆に小さくなったことから空気抵抗が著しく軽減されて加速度が向上している為敵が「マンマミーア!」と叫びたくなる奴だ!
そんなバルタンの後ろ、とてつもない速度で追いすがるのはアスカ――何とこっちはバルタンとは逆に巨大化する方のサイズチェンジの秘薬を手にしたようだ!
鳥居に頭がぶつかりそうな程に巨大化したアスカ駆る『グレムリン』、他のはてなボックスから出てくるトラップも起動させてしまうがそれすら諸共になぎ倒して爆発を容赦なく起こしていくッ!!
その上ちゃっかり自分は完全に爆発する前に抜け出して丁度起動された他のトラップや襲いかかるもう一つの『死神の如き霊気』(以下霊気2号)だけ爆発に巻き込んだ!敵はもはやマンマミーアどころか「OH NO!」としか言えないぞ!
霊気だから喋りはしないが!!
「相手が危険ってわかってて出てくるんだから文句は言えないわよ。どんな手を使ってもいいって言ってたし」
そう、全ての責任はグリモア猟兵の双肩にのしかかるので依頼を受けた猟兵たちはただゴールをすれば良いのだ。生命あっての何とやら。
どかんどかんと爆発すればする程はてなボックスの中のアイテムも何でもかんでもどごーんどごーんと炸裂しているのだが、爆発する前に一つのアイテムが珂奈芽の方に飛んできた!
「あ、走る爆弾」
足のついた爆弾――ぜんまいネジはついていない――だ。今のところ点火もされておらず爆発する気配はない。
爆弾なんて手にしたところでどう活用すれば、と一瞬考えた珂奈芽であったがすぐに脳内の電球に明かりがついた為杞憂に終わる。わくわくとした顔で念動力で丁寧に包むように持ち上げて引き続き鳥居をぶん殴ってブーストしていく。
「わあ、派手だけど逆に避けやすくて助かるなあ……?」
理緒はAIの手を借りつつ僅か前方のサイズチェンジな二人が蹴散らしていく中妨害を避けて進んでいた。
巨大化したアスカがある意味他の猟兵たちの被害も抑える結果に偶然にもなったのは本人が意図せずしてもたらした結果だろう。
しかしそれでも直前に目の前で出てきたゲーミングはてなボックスを回避することはできずにぶつかるのだが――
「……これなんだろ?ダッシュタケノコ……?」
何とゲットしたのはトラップでも何でもなく可愛らしい縦に細長い目のついたタケノコ。
ダッシュ、ダッシュとは走るの英語、つまり――
「これはブーストアイテムか!翼がきたね……よし、レースとコースを再計算しなきゃ」
AIに操縦を任せながら理緒は再計算に入る。さあ、ここからがラストスパートだ――!!
◆
様々なハプニングが発生したカクリヨグランプリ鳥居サーキット150ccもついに最後のコーナー(?)を潜り抜け、ゴールまであと僅か!
戦闘は未だにリーゼロッテとオーガストが接戦を繰り広げ、霊気1号と2号は先程から完膚なきまでに叩きのめされてもはや泣きそうな雰囲気を纏っていた(?)!
「悪いが勝利は俺たちがもらう!」
「それはどうかな?勝つのはアタシだよ!」
初っ端から全速力で駆け抜ける二人は未だ疲れる様子を見せない!スタミナSSのパワーSSかと言わんばかりのフルブーストダッシュ、今から追いつける猟兵はいるのか――!?
「ふふふー!今日ばっかはドラゴニアンよりはやーいのさ!!」
いた――!!
真っ先に追いかけてきたのは珂奈芽、先程手にした走る爆弾を衝撃波で爆発させて極限まで己を加速!最前線にあっという間に肉薄ッ!!戦闘3人で鍔迫り合い開始となるか!?
「仮にレースなら最後まで勝利を諦めないのがキマフュ流の礼儀というものですから!」
最初手に使ったユーベルコード逆噴射をもう一度、しかもビッグサイズでかますアスカが並ぶッ!
巨躯と化した補正も入り気にも留めぬ恐るべき速度は差しで一気に3人抜いた時に速度がすごく上がるレベルだ!!
「(ゴールはこれで決めたいから、あとはタイミング……!)」
理緒駆る『リオ・セレステ』、未だアイテムを使用せず現在できる最大限にして極限のチューンナップを施した加速で接近!
計算によればゴールまでまだ400を切ったばかり、ここで使っては狙った意図の通りにならないと未だ脚を溜め続けている!
現在何と先頭5人による鍔迫り合い!先程まで上位を保っていたバルタンはこのまま最後にゴールすることとなるのか!?否!!
「"六式武装展開、風の番"!レースである以上は狙うはもちろん優勝デース!!」
バルタン、ここでユーベルコード【告風楼(コンプレスド・エアー・アームド)】で一気に加速!一気に先頭5人をも抜きかねない速度でミニマムな姿でミニマムなキャバリアを駆る!!
「デイズ!いくぞ!」
『うっきゅ―――――っ!!』
オーガストもデイズと共に再び【万炎陣・呑竜咆哮】を発動!炎嵐を利用した逆噴射ブースターでさらに加速ッ!!
飛行形態と化したナイツはそれにより加速の頂点に達し、ゴールをいの一番に駆け抜けようとする!!
「おー流行ってるのかな逆噴射ブースター。そんじゃアタシもあやかりますかっ!」
リーゼロッテも負けじとブーストに出たーッ!
キャバリアに搭載した多連装拡散パルスキャノン『ドゥームズ・レイ』と今回はしまっておいた伝家の宝刀と言わんばかりに特殊ブースターつきの装備『アーリー・バード』のブースターを起動し再び先頭をもぎ取らんとする!
さあ残り200を切るというところまで迫った、ここでついに理緒が動く!!
「ブーストオン!」
なんてね、と付け加えながらついにダッシュタケノコを使用して超絶加速、他5人に負けぬ速度で迫る!!
全員が全員勝利を狙い限界まで加速、スピードの向こう側という連ね鳥居の先、生者が立つべき世界を目指し6人の猟兵は限界まで鍔迫り合いが続く続くッ!!
その残り数メートルを全員が刹那の瞬きの如く駆け抜け――
……ゴ――――――ルッ!!!
全走者、たった今もつれるようにゴールインしたァーッ!!!
何と全員ほぼほぼ同時のゴール、再度映像を確認した上で1位の発表となりますが不正無き審議とする為時間がかかることでしょう!
走者の皆さんはひとまずグリモアベースに帰投し、各自疲れを癒して次の戦場に臨めるようコンディションを整えて頂きたく思います!今しばしお待ちくださいますようお願い申し上げます!
繰り返します、不正なき審議とする為――……
大成功
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