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大祓百鬼夜行④~笑顔の向こうにある殺意

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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●カクリヨファンタズム
「どうも、猟兵さん。ここに来たという事は、覚悟が出来ているという事ですよね? だから恨みっこなしですよ? だって、何の覚悟もなく、ここに来る訳なんてないんですから……。だから、お互い、悔いのないに戦いましょう。後で、もっと頑張っておけばよかったと言わないようにッ! それでは、猟兵さん。遠慮なく殺らせていただきます!」
 東方妖怪の大親分『山本五郎左衛門』にとって、猟兵は単なる障害でしかなかった。
 邪魔をするのであれば、倒す。
 自分達に害を及ぼすのであれば、排除する。
 ただ、それだけの存在。
 今まで彼女は強大な虞(おそれ)を纏う大妖怪として、東方妖怪達を率いて来た。
 それ故に、骸魂の影響を完全に抑え込んでいるものの、大祓骸魂を倒す礎となるべく暴力特化型の暴獣形態『黒き暴獣』となって、猟兵達に戦いを挑もうとしていた。

 その戦いが、始まる数時間前。
「……マズイ事になったんだよ」
 ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)が、困った様子で溜息を洩らした。
 そんな気持ちになってしまう程、山本五郎左衛門の存在は無視する事が出来ない存在であった。
 黒き暴獣と化した山本五郎左衛門は、パワーだけで見れば、『大いなる邪神』をも凌駕しうる程の強さ。
 その身体から放たれる虞の影響で、窮地になくても猟兵達に『真の姿』に変身してしまうレベルであった。
「今回の戦い……生きるか、死ぬか。それだけだよ」
 故に、和解はあり得ない。
 そのため、気の迷いは命取り。
 どちらか片方が倒れるまで、戦いは終わらない。
 その覚悟がある者だけが、戦場に立つ事を許されていた。
 その事が分かっているためか、ガジルが心配した様子で、猟兵達を見送るのであった。


ゆうきつかさ
 どうも、ゆうきつかさです。
 今回の目的は、戦って勝つ事です。
 それ以外の事を考える必要はありません。
 キャラクターらしく行動する事が、勝利のカギです。
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第1章 ボス戦 『東方親分『山本五郎左衛門』暴獣形態』

POW   :    暴獣形態
自身の【理性】を捨て【毛むくじゃらの「黒き暴獣」】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。
SPD   :    四尾暴獣撃
【棘状の毛に覆われた尻尾】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    山本火焔塊
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【獣】属性の【火の玉】を、レベル×5mの直線上に放つ。

イラスト:乙川

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

岩永・勘十郎
「こっちもそのつもりだ」

そう言ってゆっくりと刀を抜く。敵は黒き暴獣となり襲い掛かってくる。もちろん素直に受けるつもりはない。豊富な【戦闘知識】を駆使し【瞬間思考力】で数え切れないほどの様々なパターンを予測、その中から最適解を導き出し【残像】が残る程のスピードで【見切り】、回避していく。

「そろそろ終わりにしよう」

と呟きUCを発動。敵の攻撃に合わせ【闇に紛れる】ような異質な回避方法で【カウンター】気味に敵の背後に回りこむと、暴獣形態の効果その物に、そして敵の存在する空間諸共叩き斬る。空間を斬った故に“肉体”は斬ってない。だが物凄いダメージになるはずだ。

「来世でまた会おう」

ゆっくりと刀を鞘に戻して。


ブラッドルファン・ディラィトゥオクア
“西の“所もタイガイやったけど、やっぱ“東の“もゴッツいもんやわぁ、親分衆が引き受けとる大祓骸魂の虞の量は
…ああ、遍く妖怪どもを騒めかせよる因果なもんや
過去の堕とし子たるおぶりびおん…人の子に忘れられたウチら妖怪…境目はどこなんやろなぁ
忘れられたウチらは過去のモンか
…ハハッ、虞にアテられてウチの境も靄掛うてよう判らへん
西洋妖怪なんてアイマイなモン、内から内からもう姿も保たれへん
形失った白いモヤ、オノレの境界が曖昧模糊な西洋…ウチちゅう形を失うた何か
山本火焔で霧が雲散霧消するのが先か、白炎の中真っ白に燃やされるのが先か
最後の一片まで燃え合おうやないか、なぁ東方の親分さんよ!


紅砂・釈似
アドリブ・連携歓迎
(真の姿開放)
良いな。まっすぐ、正面からの、荒れた暴力。それでこそ腕でも刀でも、割いて斬って捌いていく甲斐があるというものだ。

UC【無厭足】を始めから発動し、攻撃回数を増加。相手の攻撃は【見切り】つつ、負傷したなら【激痛耐性】で耐えておく。戦闘の姿勢はとにかく多く深く疾く、【切断】することだけを考えながら踏み込もう。

大丈夫。どうなろうと悔いは残らんよ、山本。それが、本気の殺り合いだけが、俺の出張る意味なのだから。


六道銭・千里
流石は大将さんや、骸魂を抑え込むとは…
覚悟は出来とる…ただそれは殺すとちゃう、救う覚悟や
アンタを倒して助けたる

六道銭家、六道銭・千里…参る!(真の姿になり)


硬貨の霊符【破魔】を『投擲』【乱れ撃ち】し『体勢を崩し』て接近
木の笏へと変化した銭貫文棒で斬り、『結界術』で作った小盾で攻撃を『盾受け』
千里眼で相手の動きを『見切る』

『読心術』で相手のUCのタイミングを読み、他に近くにおったら警告
UCで敵UCの封印・威力の軽減を
軽減時は結界で上手く『受け流し』ダメージを最小限に


言うの忘れとったわ…二つの世界の為に身を呈して…おおきにな

※真の姿
紫色の軍服に罪と書かれた軍帽に外套
軍刀の様に木の笏を腰に刺した姿


董・白
※アドリブや他猟兵との連携OKです。

【心境】
「こんどは東方親分さん。貴方の覚悟。私達の覚悟。その二つがあればきっと全部解決できます。」
全力で勝って、貴方たちの覚悟に応えて見せます!!

【行動】
結界術で攻撃を受け止めつつ、雷公鞭による雷撃属性で攻撃します。
流石親分さん。凄い攻撃です。でも言ったはずです。貴方たちの覚悟に応えて見せます。
お師様使わせてもらいます。宝貝「霧露乾坤網」を発動します。
ダメージを回復しつつ、戦闘力を強化しました。
雷公鞭の攻撃で生命力を吸収しつつ、破魔の霊符による必殺の一撃をお見舞いします。
これが私たちの応えです!!


エィミー・ロストリンク
【WIZ】
サンモトの親分、わかりました!
その覚悟には全力で応えるけど、わたしも絶対に助けるつもりでいくからねー!

絶対の決意を元に真の姿:セイレーンの力が溢れ、大人に成長した姿に変身
メガリス海嘯拳で津波を巻き起こしながら、波に乗るように移動して親分を攪乱
その間に右拳にてUC「メガリス海嘯拳奥義・百斂穿孔波」を発動させて水の圧縮を始める
親分が火焔塊を放ったら、圧縮した水球を一点突破を狙うように放出し、貫通させる
直線上の先にあるのは親分、そのまま貫通させ、火と親分を斬り裂くように横に薙ぎ払う

その骸魂を砕くよー、我慢してね!

向かってくる火焔塊は斬り裂いた箇所から水を纏って回避し、圧縮水をもう一発撃つ



●カクリヨファンタズム
「“西の“所もタイガイやったけど、やっぱ“東の“もゴッツいもんやわぁ、親分衆が引き受けとる大祓骸魂の虞の量は……」
 ブラッドルファン・ディラィトゥオクア(西洋妖怪のレトロウィザード・f28496)が、仲間達と共に、東方妖怪の大親分『山本五郎左衛門』の屋敷にやってきた。
 屋敷の前には山本五郎左衛門が立ったまま、猟兵達が来るのを待っていた。
「……随分と余裕ですね。この状況で、そんな言葉が吐けるなんて……。それとも、既に死ぬ覚悟が出来ているという事でしょうか? それなら、問題ありませんね」
 山本五郎左衛門が普段とは違った口調で、荒れ狂う感情を抑え込みながら、含みのある笑みを浮かべた。
 その間も心の中で渦巻く感情が、今にも爆発しそうな勢いで膨れ上がっているようだった。
 それでも、抑え込むに成功しているのか、苦しんでいる様子はなかった。
「まあ、覚悟は出来とる。……ただそれは殺すとちゃう、救う覚悟や。アンタを倒して助けたる」
 六道銭・千里(あの世への水先案内人・f05038)が、キッパリと言い放った。
 その言葉には迷いがなく、まっすぐ山本五郎左衛門の心に向けられていた。
「救う覚悟……ですか? 果たして、本当にそんな事が出来ますかね? この状況で……。死ぬかも知れないのに……」
 その途端、山本五郎左衛門が拍子抜けした様子で、一瞬驚いたような素振りを見せた。
 おそらく、予想もしていなかった言葉なのだろう。
 これだけ挑発しておけば、絶対に攻撃を仕掛けてくるものだと思い込んでいたのか、少し戸惑っているようだった。
「その覚悟には全力で応えるけど、わたしも絶対に助けるつもりでいくからねー!」
 そんな中、エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)が、絶対の決意を元に真の姿になった。
 次の瞬間、セイレーンの力が溢れ出し、みるみるうちに大人びた姿になった。
「そんな事を言っても、儂だって本気ですからね。そう簡単にやられるつもりはありませんよ」
 山本五郎左衛門が期待半分、諦め半分な様子で、猟兵達に答えを返した。
 もしかしたら、猟兵達なら何とかしてくれる。
 自分が想像していた未来とは、違った未来を見せてくれるかも。
 そう言った気持ちが心の中に渦巻いているのか、ここで本音を口にすべきか、それとも偽るべきなのか、迷っているようにも見えた。
「……貴方の覚悟。私達の覚悟。その二つがあれば、きっと全部解決できます。 ……ですから、全力で勝って、貴方達の覚悟に応えて見せます!!」
 董・白(尸解仙・f33242)が、躊躇う事なく答えを返した。
 ここで山本五郎左衛門を倒すのは、正しい事ではない。
 例え、本人がその事を望んでいたとしても、間違った選択であると言えた。
 そんな気持ちを抱いているためか、山本五郎左衛門を救う事しか頭になかった。
「まあ、出来るものなら、やってみるといいでしょう……って、そろそろこの口調も限界にゃッ! だって、ガラじゃないし! 今回は本気の勝負にゃから、気合を入れてみたんにゃが、真面目な口調は疲れるにゃ! でも、儂を救うのは無理にゃ。だって、これは殺し合い……命を懸けた真剣勝負。生きるか、死ぬかの戦いなんだから、両方が生き残って、仲良しこよしになる未来なんて、ありえないにゃ!」
 山本五郎左衛門が複雑な気持ちになりながら、猟兵達に対して答えを返した。
「そう言いつつも、少し嬉しそうじゃないか。本心では、戦いを望んでいない……という事か。まあ、そんな事は、どうでもいい。こちらに向けられた真っ直ぐな感情。それが殺意であれ、何であれ、売られた喧嘩は買うだけだ」
 紅砂・釈似(流殺煙刃・f27761)が真の力を解放し、山本五郎左衛門の前に陣取った。
「それでイイにゃ。手加減は無用。もちろん、情けも無用にゃ」
 その気持ちに応えるようにして、山本五郎左衛門が殺気を爆発させて獣形態になると、グルルと唸り声を響かせながら、何度も地面を蹴った。
「こっちも最初から、そのつもりだ」
 岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)が、ゆっくりと小銃兼正 (零號試作・改)を抜いた。
 それと同時に、山本五郎左衛門が勢いをつけて地面を蹴って、勘十郎に飛び掛かった。
 すぐさま、勘十郎が豊富な戦闘知識を駆使し、瞬間思考力で数え切れないほど様々なパターンを予測すると、その中から最適解を導き出し、残像が残る程のスピードで回避した。
「さすがに、真正面からぶつかってくる事はなかったようにゃね。でも、最初の一撃で決めておいた方が、後々良かったかも知れないにゃよ?」
 山本五郎左衛門が少し残念そうにしながら、棘状の毛に覆われた尻尾を巨大化させた。
 それを力任せに振り回すと、地面を削り取って、大量の土煙を上げた。
「六道銭家、六道銭・千里……参る!」
 その土煙の中を突っ切るようにして千里が真の姿になると、硬貨の霊符【破魔】を乱れ撃ち、山本五郎左衛門の体勢を崩した。
「足りる事無く、厭きること無く、生かすことも、無い」
 それに合わせて、釈似が【無厭足(ムエンソク)】で瞳を輝かせ、刀剣の攻撃回数を増加させた。
「うぐぐぐぐっ! ま、負けないにゃ! ここで負ける訳には行かないのにゃ!」
 山本五郎左衛門が悔しそうな表情を浮かべ、半ばヤケになりながら、棘状の毛に覆われた尻尾を振り回した。
「……クッ!」
 即座に、千里が結界術で作った小盾で攻撃を防ぎ、木の笏に変化した銭貫文棒で斬りつけた。
 釈似も見切りと激痛耐性を駆使して、山本五郎左衛門と戦いを繰り広げた。
「思ったよりもやるようにゃね。でも、無理にゃ! 絶対に負けないにゃ!」
 山本五郎左衛門が唸り声を響かせ、再び棘状の毛に覆われた尻尾を振り回した。
「その力、縛らせて貰おうか……」
 次の瞬間、千里が【六道銭流結界術『縛緊』(ケッカイジュツ・バッキン)】で対象を閉じ込めて弱体化させる結界を作り出す硬貨を放ち、山本五郎左衛門を閉じ込めた。
「こ、これは……マズイ事になったにゃ。ち、力が……出にゃい」
 その途端、棘状の毛に覆われた尻尾が縮み、山本五郎左衛門がグッタリとした。
 それでも。必死に身体を動かそうとしていたが、その気持ちに反して、まったく力が入らないようである。
「……油断したな、山本。だが、本気の殺し合いである以上、ここで手加減はしない」
 その間に、釈似が一気に間合いを詰め、棘状の毛に覆われた尻尾を斬り落とした。
「ひぎゃああああああああああ! 大事な尻尾があああああああああ! た、確かに、本気の殺し合いって言ったけど……。まさか、ここまでやるとは……。でも、儂だって負けないにゃ! みんな纏めて、ボッコボコにゃ!」
 山本五郎左衛門が涙目になりつつ、獣属性の火の玉をブワッと吐いた。
 それがまわりにあるモノを炎に包み、猟兵達に襲いかかってきた。
「流石、親分さん。凄い攻撃です。でも言ったはずです。貴方達の覚悟に応えて見せます」
 すぐさま、白が結界術を展開し、自らの身を守った。
「これって真正面から受け止めた方が、絵面的にはいいのかも知れんけど……。ウチらしくやるとしたら、これしかないやろ」
 それと同時に、ブラッドルファンが【アルカナ・ブラスター】で白炎属性の破壊光線を放って、獣属性の火の玉を相殺した。
「……えっ?」
 それを目の当たりにした山本五郎左衛門が、驚いた様子で目を丸くさせた。
 山本五郎左衛門が、想像していた光景とは、まったく異なる光景が広がっていたため、現実を受け入れる事が出来なくなっていた。
「まぐれだと思うんやったら、もう一度試してもらっても構わへん。こっちも、まだ本気を出しとらんし……。最後の一片まで燃え合おうやないか、なぁ東方の親分さんよ!」
 その隙をつくようにして、ブラッドルファンが再び【アルカナ・ブラスター】を発動させ、先程よりも強力な破壊光線を放ってきた。
「ちょっ! 待っ、待つにゃ! ひ、ひぎゃああああああああああ!」
 その途端、山本五郎左衛門が慌てた様子で、火の玉を吐き出そうとしたものの、詠唱が間に合わず、破壊光線をモロに食らって宙を舞った。
「それじゃ、行くよー!」
 そこに追い打ちをかけるようにして、エィミーが【メガリス海嘯拳奥義・百斂穿孔波(セイレーン・オブ・ジェット)】で津波を巻き起こし、それに乗るようにして距離を縮め、【メガリス海嘯拳奥義・百斂穿孔波(セイレーン・オブ・ジェット)】で限界まで水を圧縮させた。
「お師様、使わせてもらいます」
 それに合わせて、白が【宝貝「霧露乾坤網」(パオペエムロケンコンモウ)】を発動させ、全身を清らかな水の結界で覆い、戦闘力増強し、生命力吸収能力を得た。
「その骸魂を砕くから、ほんの少しだけ我慢してね!」
 次の瞬間、エィミーが圧縮した水を勢いよく放出し、獣属性の火の玉を貫通させて、山本五郎左衛門を薙ぎ払った。
「い、いや、これだと骸魂じゃなくて、儂の心が砕けちゃうにゃ~」
 山本五郎左衛門がツッコミを入れつつ、再び身体が宙を舞った。
「……そろそろ終わりにしよう」
 勘十郎が山本五郎左衛門に語り掛けながら、【六道・龕灯返しの太刀(リクドウ・ガンドウガエシノタチ)】を発動させ、上書き的に干渉する仙力を籠めた太刀による鋭い一撃で、肉体を傷つけず暴獣形態の効果そのものを斬りつけた。
「にゃにゃ、これは一体!? 何だか力が入らなくなっている気が……。まさか、斬ったのは儂ではなく、別のモノ? だとしたら、マズイにゃ、最悪にゃ!」
 その事に危機感を覚えた山本五郎左衛門が、自らの理性を捨て、毛むくじゃらの黒き暴獣になった。
 その影響で傷ついた身体が再生し、切断された尻尾が生えた。
「……」
 だが、勘十郎はまったく怯んでおらず、山本五郎左衛門の動きに合わせて、闇に紛れるようにして背後に回り、再び【六道・龕灯返しの太刀(リクドウ・ガンドウガエシノタチ)】を繰り出した。
「うく……く……駄目にゃ。やっぱり、力が出にゃい! うきゅう~……」
 そのため、暴獣形態が解除され、山本五郎左衛門が辛そうにしながら、ガックリと崩れ落ちた。
「これでしばらく動く事は出来ないだろう。運よく目覚めるか、このまま滅びるかは、お前さん次第だが……」
 勘十郎が深い溜息をもらし、ゆっくりと刀を鞘に戻した。
 しかし、山本五郎左衛門は全く動く事が出来ず、のびたままだった。
「言うの忘れとったわ。……二つの世界の為に身を呈して……おおきにな」
 そんな中、千里が御礼の言葉を言った後、山本五郎左衛門に背を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月20日


挿絵イラスト