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大祓百鬼夜行⑪~鶴のお役目・世界を繕う

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#カクリヨファンタズム
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#大祓百鬼夜行


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 雨がしとしと降るバス停で。
 白い着物に身を包んだひとりの女性が待っていた。ところどころにあつらわれた朱色の刺繍が着物の白をより引き立てている。とても上品な仕立てだ。
 ここがカクリヨファンタズムである以上、彼女は妖怪なのだろう。その風貌からすれば東方妖怪だろうか。
 そんな彼女の前に、1台のバスが停まる。言うまでもなく、奇妙な形状の妖怪バスだ。

「おや、アサキさん。今日はお出かけで?」
「えぇ、運転手さん。今日は『鶴のお役目』を」

 バスに乗り込んだ『アサキ』と呼ばれた白い着物の女性が運転手と言葉を交わす。

「ははぁ……なるほど。それじゃ今日はアサキさんの貸し切りだ」
 運転手はそう笑って、バスの行き先を変更すべくボタンを押す。
 くるくるくる……とパネルが変わる中、変更を待たずしてバスが発車した。

 くるくるくる……いまだパネルは回り続けている。
 そんな中、鼻歌を歌いながらハンドルを握っている運転手さん。
「最近は全然無かったのに、また増えてきましたねぇ」
「えぇ。猟兵さんたちのおかげで楽できていたんですけど、最近は本当に」
 運転手さんの言葉にアサキは微苦笑してちょっと困った顔。彼女らも『大祓百鬼夜行』のことは知っている。知っていてなお、親分の言葉に従わず、妖怪でいることを世界から求められているのが彼女らであった。

 簡単にカタストロフが起こっちゃうカクリヨファンタズム。その切欠は様々なれど、そのひとつに『世界のほつれ』がある。色んな影響を受けた結果、幽世の世界が歪んでしまうのだ。
 しかし不思議なことに。『世界のほつれ』が出来ると、それを繕う役目の者が必ず現れる。
 それこそが『お裁縫妖怪』である。

(ほつれがあるならば、いかなる場所とて我らお裁縫妖怪が向かい、繕わねば)

 それは魂に刻まれた使命である。

 そしてお裁縫妖怪が妖怪バスに乗ると、バスは自然とそのほつれに向かうのだ。
「ところで運転手さん。今日は『どこ』に向かっていますか?」
 その時、ぱたん、と行き先パネルが止まる。
「ん~……あ。今日は湖の中ですねぇ~」
「え゛っ」
 ちょっと帰りたいと思っちゃったアサキさんでした。


「まぁカクリヨファンタズムだし、湖の中でも息できるんだけどね」
 アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)くんが『がう』って鳴きながら、集まってくれた猟兵たちにお礼を言った直後であった。
 大雑把な内容は先に言った予知の内容通り。

「アサキさんは鶴の妖怪で、普段は服を作る仕事をしているんだ」
 もちろん、反物とか布とかから作るお仕事で自分の羽根を使っているわけではない。作業場を見られても困らない。自室の中は聞いてはいけない。
 だがそれは『表のお仕事』。生きていくための生業。
「アサキさん、本当は針妙(しんみょう)さんなんだよ」
 彼女の使命は世界のほつれを縫うこと。その尾羽を針として、解れゆく世界を元のカタチに留めるのがお裁縫妖怪たるアサキの魂に刻まれた仕事なのだ。
「最近は皆のおかげでほつれることもほとんど無かったみたいなんだけど」
 さすがに激化する大祓百鬼夜行の影響が世界に及んでいるということだろう。お裁縫妖怪たちの出番が増えてきたようだ。
 普段であれば、彼女らと妖怪バスに任せておけば解決なのだが、これまた戦争の影響でほつれに辿り着くのもひと苦労な状態になっている。
「そこで、皆にも一緒に行ってもらって、手伝ってほしいんだ」


 同行する手段はお任せ。バスに乗り込んでもいいし、横を何かで並走してもいい。
「猟兵の皆が断られることはないよー。安心してね」
 それで同行することになったら、ばっちりフォローしてほしいのだ。
「やってほしいことはみっつだね」
 にゅっ、と猫の手が3本を示す。

 ひとつめ。アサキのフォロー。
 というのは、世界のお裁縫が久しぶりすぎて緊張しまくっているらしい。しかも場所は湖の中ときたもんだ。
「アサキさんを励ましてあげてほしいんだ」
 猟兵の皆が同行するだけでもアサキにとって心強い味方になるのだが、そこからもう一歩踏み込んで、彼女の精神を安定、あるいは高揚させると思ってほしい。
 応援するとかマッサージしてあげるとか。
「あ、裏情報だけど、彼女オタクらしいんだ」
 特に同性愛(男女問わず)が大好物らしいです。ノーマルも大好きです。
 そういうシーンを見ると滾るんじゃないでしょうか。

 ふたつめ。妖怪バスのフォロー。
「戦争の余波で、道がかなり荒れているんだよ」
 道が隆起していたり崩落していたり。または倒れた木や土砂崩れが道を塞いでいたり。おまけに目的地は湖の中ときた。妖怪バスに行けない場所はないのだが、『まともに行くと』と時間がかかりすぎる。このご時世にそれは危ない。
 走破するためにバスを改造したり、あるいは道側を整備したりして、スムーズに目的地に辿り着けるようフォローしてあげてほしい。なお、湖の中は安全なので湖に辿り着くまででオッケー。

 みっつめ。お裁縫の間の護衛。
「普通はほつれってもっと小さい間に対処できるんだけど」
 アルファ君がちょっと困った顔をする。
 これもまた戦争の影響なのだろう。ほつれが大きくなる速度が速いらしい。
「そのせいで、ほつれから骸魂の元というか、変な力が漏れ出しているんだよ」
 その力自体に何かを害する力はない。ただ、周辺のお魚に憑依して、お裁縫を邪魔してくる。せいぜい鯉くらいの大きさなのだが、それがぺちぺちぶつかってくるのだ。
「世界のほつれを直すのにはとっても集中力がいるんだ。それこそ『縫っている間は部屋の中を見ないでください』って言われるほどにね」
 そのため、ほつれを縫っている間、アサキの護衛をお願いしたい。近寄るモノは水以外何も許さないほどの勢いでお願いしたい。

「ちょっと変わったお願いになっちゃうんだけど、よろしくね」
 そういってアルファは猟兵たちをカクリヨファンタズムに送り出すのであった。


るちる
 まいどお世話になってます、るちるです。
 えっちゃん、推しだったのに宝具3までしか上げられなかったんだ! これも全部戦争のせいだー! という史実(?)に基づき、このシナリオは構成されております。
 ええ、お察しの通り、鶴の人のオタク度はあんな感じです。わかる人だけわかってください。ふへっ。

●全体
 1章構成の戦争シナリオです。
 リプレイはギャグ寄り、コメディ、ゆるふわなものになるとお考え下さい。
 アサキさん、運転手さん、妖怪バスに対して、攻撃する、怖がらせる、ケガをさせる行為、周辺の地形破壊行為は禁止します。アサキさんが鼻血出したり、尊死する分には全力でやってオッケーです。

 以下のプレイングボーナスがあります。活用してください。
『プレイングボーナス』
 (1)妖怪バスとお裁縫妖怪を、危険から守る。
 (2)OP内に記載した3つのフォローのいずれかを行う。
 (3)アサキさんを滾らせる。

●1章
 冒険『妖怪バスでほつれに向かえ』。
 戦闘は一切発生しません。護衛の場合も追い返すとか遮るとかで対処可能です(ユーベルコードを使って攻撃すること自体は問題ありません)
 シチュ的にリプレイ描写は、バスの中、走行している外、湖の中のいずれかになると思います。
 プレイングは以下の①~③を参照にして、1個選んでいただければ書きやすいかと思います。詳細はOPで確認してください。
 ①アサキさんのフォロー。
 ②妖怪バスと運転手さんのフォロー。
 ③お裁縫中の護衛。

 妖怪は猟兵たちに対して好意的なので、攻撃的あるいは敵意を見せない限り、バスにもあっさり乗れます。
 あ、アサキさんですが、尾羽を使うと寿命が縮むとかそういうことはありませんのでご安心ください。ただし羽根には限りがあり、失敗は世界の崩壊を招きます。ご本人もネタ寄りゆるふわですが、『お裁縫は命懸け』という点はご理解ください。


 採用人数については最低限+1~2人といったところを予定。
 プレの受付開始はシナリオ公開されたら。改めて状況の説明を行う文章は追加ありません。

 それでは皆さんの参加をお待ちしておりまーす。
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第1章 冒険 『妖怪バスでほつれに向かえ』

POW   :    肉体や気合いで苦難を乗り越える

SPD   :    速さや技量で苦難を乗り越える

WIZ   :    魔力や賢さで苦難を乗り越える

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ディグ・ドリラー
なるほど!
つまりドリルだな!

ジャマなものがあればドリルでふっ飛ばせばいい、落ちてるものの下側からドリルを勢いよく生やせばその勢いで脇に寄るだろ
ん?
なんだ、おかしいか?
昔から良く言うだろ、馬鹿とドリルは使いようって

ああアレか、バスにもドリル生やせば良いのか
まあ小さいのはそれでカタが付きそうだしな!
土掘れるドリルとかタイヤからドリル生やしてスパイクにもなると思うぜ!

あとは護衛だな!
鶴の考えてることは俺には分からねえし。
近付く魚がいたら全身からドリル生やして水の中に沈めるぜ。
重さには耐えられねえだろ。
…でも鯉ってでけえだろ?
あとで食えないのか?


アイ・リスパー
理緒さんと

「お裁縫妖怪さんですかー。
私、お裁縫できないので、お裁縫できる人はすごいと思います」

べ、別に不器用でお裁縫ができないとか、そういうわけじゃないですからねっ!

さて、妖怪バスに乗り込んで、アサキさんのフォローをしましょう。
……と、バスに乗ろうとした瞬間。
ビリッ、ていう嫌な音が……

「ああっ、スカートが引っかかって破けちゃってます!?」

ど、どうしましょう、大事なお仕事の前のアサキさんに縫ってもらうわけにも……

「え、理緒さんが縫ってくれるんですか?
わぁっ、助かります」

お裁縫してくれる理緒さんの家庭的な姿に、思わず心拍が上がってしまい……
理緒さん手縫いのスカート、宝物にしようと心に誓うのでした。


菫宮・理緒
アイさんと

お手伝いのことを考えていたら、
アイさんのスカートが!

あ、そういえばアイさんさっき、
『お裁縫ができる人すごい』って言ってたよね。
ここはアピールチャンス!

「アイさん、わたしが縫うよ!」

アイさんには【偽装錬金】で作ったタオルを巻いていてもらおう。
……スカート作れよ、ってツッコミは野暮だよ!

道具は【キャンプセット】にあるから、それを使うね。

うん、できた!

完成したスカートは、
タコ糸で縫ったの? というくらいへたっぴぃ。
「ごめんね。上手にできなくて」

でもアイさんは、微笑んでスカートを履いてくれて……。
(あんな笑顔反則だよー!)

嬉しくなって、頭をコテンと、
アイさんの肩に預けたりしちゃうのでした。



●ドリルだ、ドリルは全てを解決する
「なるほど! つまりドリルだな!」
「ええ、ドリルです」
 現場に駆けつけたディグ・ドリラー(ドリル仁義・f31701)の解決策に、妖怪バスの運転手さんは強く頷いた。ちょっと目がキラキラしていた。

 そうだ。ジャマなものがあればドリルでふっ飛ばせばいい。
 落ちてるものも下側からドリルを勢いよく生やせばその勢いで道は開かれる。
 ドリルだ、ドリルの回転はあらゆる困難を砕く!

 そんな感じの理論を展開するディグは、無言になっている運転手に気付き、首を傾げる。
「ん? なんだ、おかしいか?」
「いえ、何も。むしろ、清々しいまでの感動を今感じております」
 運転手さん、むしろ信望者だった。ドリル大好きだった。
 否、ドリルが全ての困難を砕く様を嫌いな漢がいるだろうか? いや、いない、居ようはずもない!!

「ああアレか、バスにもドリル生やせば良いのか」
「なんと……! できるのですか!?」
 何気ないディグの提案に、ものっそい勢いで食いついてくる運転手さん。 
 運転手さん、仕事忘れてない? 大丈夫? アサキさん送り届けられる?
「まあ小さいのはそれでカタが付きそうだしな!」
 ドリルの悪魔は悪魔で、ドリルで全て解決しようとしていた。
 実際、それが一番有能だったりするから誰も止めないし、止める気もない。

 そんなわけでディグの【呪いのドリル】で、バスがステキな感じのドリル仕様に変形する。というか、世界観間違ってる可能性ありますけど大丈夫ですか? 大丈夫ですね。
「土掘れるドリルとかタイヤからドリル生やしてスパイクにもなると思うぜ!」
 これで土砂崩れも突き進めるし、坂道だって完璧だ!

 イイ笑顔でサムズアップするディグ。ちなみにディグのユーベルコード制御下にあるので、ドリルの回転速度から大きさまでディグの自由だ!
 これでもう障害なんて怖くない!

 そんな感じで妖怪バスは地中をドリルで突き進みながら道を整えていくディグの先導で発車するのであった。

 なお、この後めちゃくちゃ順調だった。

●アサキさん、事件(?)です
 そんな感じで妖怪バスが発車……する直前に。
 慌てて乗り込んできたのはアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)と菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)であった。
「ま、間に合いましたー」
「よかったー」
 入り口付近の座席に滑り込みセーフする二人。窓側に理緒、通路側にアイが座って呼吸を整える。
「……!」
 その二人を視認して、後ろの座席でアサキが居住まいを正す。
(あーやだなー、かえりたいなー。いくら鶴でも水中はダメですよぅ)
 とか思いながら、座席でぐでーんとしていたのだが、さすがに人様に見せる状態ではないと思ったようだ。
 そんな様子を確認しつつ、ひそひそ話をする理緒とアイ。

「お裁縫妖怪さんですかー。私、お裁縫できないので、お裁縫できる人はすごいと思います」
「えっ」
 通路側からこそっとアサキを見るアイの尊敬の眼差し。それを横から見ていた理緒がアイをじーっと見る。
 その視線を誤解したアイは慌てて手を振って弁明。
「べ、別に不器用でお裁縫ができないとか、そういうわけじゃないですからねっ!」
 そう言って慌てて座席から立ち上がろうとしたのがマズかった。

 ビリィィィッ!

「ああっ、スカートが引っかかって破けちゃってます!?」
 大慌てでスカートの破れた部分を押さえるアイ。口元を押さえて視線を逸らす理緒。ちょっと鼻血出そうとか思ったのは秘密だ!
 しかし、その時理緒は閃いた! きっと血の流れが良くなった(?)せいだ。

(ここはアピールチャンス!)
 なんで? ねぇなんで?(素)
 アサキさんが聞いていたら即ツッコミだったが、さすがに心の声は聞こえない。というか、座席の影からはぁはぁ言いながら見つめているだけです。怪しい人じゃありません、たぶん、うんたぶん。

 さて、説明しよう。
(あ、そういえばアイさんさっき、『お裁縫ができる人すごい』って言ってたよね)
 こんな思考が理緒の脳裏に稲妻のようによぎったのだ。
 そんなわけで。
「ど、どうしましょう、大事なお仕事の前のアサキさんに縫ってもらうわけにも……」
「アイさん、わたしが縫うよ!」
 あわあわしているアイの前にすっと立つ(回り込みました)理緒。
「え、理緒さんが縫ってくれるんですか? わぁっ、助かります」
 理緒の思惑(?)など気付かず、アイは諸手を挙げて喜ぶ……。
「あっ!?」
「「こふっ?!」」
 手を離したのであやうく致死事件(誰の?)になるところでした。

 そんなわけでアイからスカートを預かる理緒。
「アイさん、待っている間はこれを巻いてて」
 と手渡すのは【偽装錬金】で作ったタオル。……え? タオル?
(……スカート作れよ、ってツッコミは野暮だよ!)
 アッハイ。

 『まったりキャンプセット』から裁縫道具を取り出して、アイのスカートを縫い始める理緒。
 ちくちくちく、と。
(…………)
 お裁縫してくれる理緒の姿をじーっと見入ってしまうアイ。
(……あれ?)
 なんか頬が熱い気がする。心拍数も上がっているような? な?
 ちょっとそわそわし始めたアイの視線に熱がこもっていることに、繕いに一生懸命な理緒は気付いていないのでした。

「うん、できた!」
 じゃーん、とスカートを掲げてアイに披露する理緒。
「おお……!」
 その様子に思わず拍手するアイ。
(理緒さん手縫いのスカート、宝物にしよう)
 と心に誓った瞬間である。

 ちなみに傍目から見ると、完成したスカートは『タコ糸で縫ったの?』というくらいへたっぴぃだったりする。
 なので。
「ごめんね。上手にできなくて」
 理緒は申し訳なさげにスカートを差し出す。
「いえ! さっそく……!」
 しかし、アイはその理緒の手からスカートをしゅばっと受け取り、いそいそと履いてみる。
「おお……!!」
 アイ、感動したかのように、満面の笑顔である。そりゃ家宝ですからね。笑顔も家宝級にもなります。
 そんな笑顔は理緒に向けられているわけである。
(あんな笑顔反則だよー!)
 アイに当てられて、今度は理緒の方が火照ってきた頬を両手を押さえて、小さく頭を振る振る。そのまま、ぷしゅーっとなりながら、前にいるアイの左肩にぽすっと頭を預ける。
「り、理緒さん?」
 突然の急接近に、どぎまぎしながらお互いが硬直しているのでした。

「ん゛ッッ!」
 そして後ろの座席で、口元を押さえてそれでも指の間から鼻血を出しながら悶えているアサキさんがいました。
(頑張ろう、この尊い世界の為に)
 不純な動機でアサキさん奮起(フルパワー)した瞬間でした。

●世界のほつれ、直しましょう
「よっしゃ! これで終わりだ!」
 ごがん、とディグのドリルが道を塞いでいた大岩を一撃のもと、砕く。
 その先に見えてきたのは目的地の湖である。

 亀裂の入った道はディグのドリルが新たな道を作り出したし、道中にあった倒れた木やら土砂崩れやらは全てバスに生えたドリルが解決した。
 やっぱりドリルすごいなドリル!!

 そんなわけで、バスがゆるゆるっと湖の側まで辿り着いて停車。
「アサキさん、着きました。それではこれからバスは湖の中に……」
「いえ、運転手さんありがとう。今日の私はここから一人でも行けます」
「お、おお?」
 猟兵たちの活躍(?)により、力(?)が漲っているアサキは、バスを出て湖の側に立つ。
「それでは……あと少しお願いできますか?」
 肌襦袢のみとなったアサキが猟兵たちを振り返る。
「おお、護衛だな!」
 アサキの申し出を快諾するディグ。正直、『鶴の考えてることは俺には分からねえし』とは思っていたが、やることはシンプルだ。
「近付く魚がいたら全身からドリル生やして水の中に沈めるぜ」
 再び【呪いのドリル】の出番である。魚の身ではドリルの重さには耐えられまいという作戦だ。

「理緒さん、私たちも」
「うん」
 バスから降りてきたアイと理緒も湖の中で護衛をする態勢。慣れない水中で離れすぎないようにと手を繋いでいる。
「ん゛ん゛ん゛ッッッ!!」
 それを見たアサキさんが萌え死にかけているような、力が漲っているような。

 改めて。

 アサキと猟兵たちは湖の中に入り、世界のほつれを見つけ出す。
「さぁ……鶴のお役目、とくとご覧あれ」
 尾羽を針、妖力を糸として見つけたほつれをひと針ひと針丁寧に縫い付けていくアサキ。
 そんなアサキをディグ、アイ、理緒が守り続けるのであった。


 全てを繕い終えた頃には朝になっていた。

 湖面に顔出した4人の上に朝日が降ってくる。
「ああ、よかった。また『朝が来ました』ね」
 自身の名の由来をまた見ることが出来て、朝来(アサキ)は微笑む。

 此度も鶴のお役目は無事終えることができた。

「ディグさん、アイさん、理緒さん、ありがとう。貴方たちのおかげです」
 お礼をいうアサキに
「いえ、お気になさらず」
「お力になれて嬉しいよ!」
 アイと理緒は笑顔を返す。
 そして。
「……で、鯉ってでけえだろ? 食えないのか?」
 ほつれの影響が抜けた、活きのいい鯉を数匹抱えているディグ。
「えっと……」
 さすがにこいつは予想外だったぜ! 困った様子で運転手さんを振り返るアサキさん。
「鯉は骨がすごく多いのでそこが難点ですね」
「ドリルで砕けば問題ないんじゃね?」
「なるほど。やっぱりドリルですね」
「なるほど、じゃないです」
 この後なんかよくわからないが、焼いた鯉を食することになった一同でした。
 ちなみに、とっても美味しかったそうです。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月20日


挿絵イラスト