大祓百鬼夜行⑳〜雷獣親子帰還作戦(父親編)
●とある世界の夕闇亭にて
グリモア猟兵からの緊急要請が届き、夕闇亭の食堂に猟兵達が終結した。
「突然の緊急要請に応じていただきありがとうございます。先日から猟兵の皆さんにご協力いただいていた雷獣の親子の件について進展がありました」
そう話を切り出したのは鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)だ。
以前に雷獣と呼ばれる雷を纏った獣の妖怪がカクリヨからUDCアースへとやって来てしまった事件について、猟兵達に協力を仰いだ事があるのだ。救助したのは母親とその子供。離れ離れになっていた二人は猟兵達の尽力もあり無事に再会を果たす。二人がUDCアースにやって来た目的は行方不明となっていた父親の捜索だ。
二人から話を聞いた所、カクリヨを探し回ったが見つけられず、もしやUDCアースへ・・・?と一縷の望みをかけてやって来たというのだ。行方不明となったのはカクリヨで大祓百鬼夜行が発生した前後。タイミング的には戦争による余波で一時的にカクリヨとUDCアースが行き来が出来るようになっている今だからこそ、あり得る話である。
ひりょ及び協力してくれたグリモア猟兵。そして一時的に母子を保護してくれているUDCの尽力もあり父親らしき存在の目撃情報がやっと得られたのだ。
「先の雷獣の母子のようにやはり公衆電話を介して通信網の中にいるようです。なんとか彼を救助したい所なのですが・・・」
そういうひりょの表情は険しい。
「母子は幸いにして骸魂を取り込んでからすぐの対処が出来たので、会話をする事でなんとか骸魂の除去をする事が出来ましたが。ですが、恐らく父親の方は・・・」
長い時間経過している為、そう言う方法では除去は難しいかもしれない、との事。
「ひとまず現地へ向かってみましょう」
転送陣を準備したひりょは猟兵達と共に現地へ飛んだ。
●UDCのとある寂れた公園の脇の公衆電話の前で
「ここが件の場所になりますね。さて…無事になんとかなるなら幸いなのですが…」
ひりょは件の電話の受話器を取り電話を掛けている。この公衆電話で「メリーさんの電話番号」に掛けると苦し気な声のメリーさんに繋がるという噂があるのだ、と現地で協力体制にあったUDCの職員が説明する。
「お父さん、無事、なの?」
「大丈夫よ、大丈夫・・・」
この場には再会を待ちわびた雷獣の母子も同席している。無事に父親が救出出来たなら、その場でカクリヨへ3人で戻るつもりだという。だが・・・。
受話器を置いたひりょがゆっくりと公衆電話より離れる。その表情を見た猟兵達は身構える。彼の表情は険しいままだったからだ。
しばらくすると件の公衆電話の受話器より何かが立ち上り、姿を現した。
「お父さん!」
「あなた!」
雷獣達がその姿を見て思わず声をあげ、近寄ろうとする!だが、それをひりょが制した。
「・・・お前達、この世界に来ていたのか・・・。ダメだ・・・早く、この場を離れるんだ・・・。もう自我が保てない・・・」
苦しみだした雷獣の父親の体内より禍々しいオーラが湧き出て来て雷獣の父親を包み込んだ。
その場に姿を現したのは変わり果てた姿の存在。精霊獣『キュウラー』となった父親の姿だった。
「皆さん、話しかける事による骸魂の除去は不可能のようです。すみません、迎撃を!俺はUDCの職員と雷獣の母子を無事な所へ避難させますので!」
慌てて皆を避難させようとするが、雷獣の母子はその申し出を断った。
「私達はここに残ります。あの人を救い出したいのです」
「ボクもお父さんを救いたいんだ!」
2人の意志は固いと見たひりょ。戦いは猟兵と雷獣の母子に託すことにした。
「一つだけ注意してください。公衆電話ですが、これが破壊されると恐らく雷獣の父親が霊体に戻ってしまいます。そうなれば今度補足する事はかなり難しくなってしまうでしょう。公衆電話が破壊されるような事はくれぐれも避けて下さい!」
そう言い終えるとUDC職員を避難させる為移動を開始したひりょ。
その場に残ったのは精霊獣『キュウラー』と猟兵、そして雷獣母子だけだ。精霊獣『キュウラー』が猟兵に敵意を剥き出しにし、声なき声で威嚇する。理性らしきものは失われているようだ。
さぁ、なんとか、かのオブリビオンを倒し骸魂を除去せねば。猟兵達はそれぞれ武器を構え戦闘に備えるのだった。
黄昏空
MSの黄昏空(たそがれ・そら)です。このシナリオは戦争シナリオ、1章で完結します。3作でお届けする雷獣の親子の物語、ついに最終章となる第3弾となります。
ここのシナリオのみ「戦闘」という形になります。ご注意ください。
母子と違い長い時間骸魂を体内に取り込んでしまっていた為、会話等による除去は無理な状況となってしまい、最終的にオブリビオン化してしまいました。
ですが、彼を救う手立ては残っています。カクリヨのオブリビオン達は「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」。飲み込まれた妖怪は、オブリビオンを倒せば救出できる為です。
ここは戦闘で倒し、骸魂を祓ってしまいましょう。
(尚、グリモア猟兵及びUDC職員への対処は不要です)
ただし、注意点があります。オブリビオンは公衆電話を媒体に今は一時的に顕現しています。媒体物である公衆電話が破壊されるような事があれば再び霊体となって情報網の中に潜り込んでしまいます。そうなってしまったら、オブリビオンとして覚醒してしまった今、彼を捕捉する事はかなり難しいものとなってしまう事でしょう。それは避けなくてはいけません。
戦闘で公衆電話が破壊されるような事は絶対に避けなければなりません。
プレイングボーナスは2つあります。
「公衆電話を壊さないように、受話器から出てくるオブリビオンと戦う」
「雷獣の母子と共に戦う(一緒に戦わなくても良い)」
の2点です。
この戦闘には上記に記載した通り、前話までに猟兵の皆さんに保護してもらった雷獣の母子も協力してくれます。
各自の攻撃手段は以下のようになっています。
雷獣(母):「雷撃」(指定の対象に対し自身の体から発した雷で攻撃を行う。また雨雲を呼んでの天からの落雷も操れる。命中した相手は感電による一時的な行動不能状態に陥る)
雷獣(子):「迅雷」(雷を纏った体での超高速の体当たりを仕掛ける。命中した相手に自身の纏った雷による追加ダメージを与える)
協力して雷獣の父親から骸魂を除去し一家をカクリヨへ帰還させてあげましょう!
OP公開と共にプレイングの受付は開始。4~6人程度の採用での完結となります。
プレイングの受付締切に関しては別途タグにてお知らせします。
それでは皆さんのご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『精霊獣『キュウラー』』
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POW : あの世からの暴れ馬
【蹄】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 気合いの入った精霊獣
【自由な発想による魔改造された精霊馬】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【怨霊を纒った炎】を放ち続ける。
WIZ : 集合せし悪しき願い
【この世に戻り災いを振り撒きたいと願う怨霊】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[この世に戻り災いを振り撒きたいと願う怨霊]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠鬼河原・桔華」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
(念の為の纏め)
今回のシナリオの戦場に存在する人(敵を含め)及び物
・猟兵達(参加者の皆さんの事です)
・雷獣の母親及び子供
・オブリビオンとなった雷獣の父親(今回の討伐対象の敵です)
・公衆電話(破壊を避けるべき対象物です)
以上の人・物となっています。
それ以外の人・物への対処はプレイングに盛り込む必要はありません。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし 質実剛健
武器:黒曜山(盾形態)、陰海月
一度でも関わったのだ。放っておくのは性に合わぬ。父親を助け再会させるというのは、四人総意でもあるしな。
すまぬが、子の方に助力願いたい。
わしがUCを使うと、無敵な代わりに一切動けぬでな。
公衆電話から少し離れたところから、「さあ、こちらに来るがよいわ!」と挑発。
相手、対抗しようとすると近接UCになるからの…。その瞬間にわしもUC発動、弾いた瞬間に子に攻撃してもらおう。
影に潜んでいた陰海月はの、この隙に公衆電話とわしらの間に入って、公衆電話に結界はっとる。
※
陰海月「ぷきゅっ」。
「一度でも関わったのだ。放っておくのは性に合わぬ。父親を助け再会させるというのは、四人総意でもあるしな」
漆黒の盾を構え、敵を迎撃する準備を整える馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。
今、彼の表層に出て来ているのは第四『不動なる者』。四人で一人の複合型悪霊である義透の中でまとめ役の武士だ。
「すまぬが、子の方に助力願いたい。わしがUCを使うと、無敵な代わりに一切動けぬでな」
「うん、わかった!わかったけど…猟兵さん、この間ボクを助けに来てくれた猟兵さん…だよね?雰囲気が違うからびっくりしちゃった」
義透は雷獣の子供を保護しに行った任務に出向いており、その際に不安で一杯だった雷獣の子供の心を落ち着かせてくれたのだ。その時の声と同じながら雰囲気が違う…その為に少々驚いたようだ。
「それは、私の事ですかね-。今回は私より適任の者がいるから、そちらに託しているんですよー。あの時言いましたよねー?『私たちもついてますからねー』と」
「あ、うん!あの時の猟兵さんだ!そうかぁ…、あの時の言葉はそういう意味だったのか」
「…お喋りはそこまでにしておくのだ。状況はわかったかの?わしらは一心同体なのだ」
子供の疑問に一時的にその時に対応した第一『疾き者』が表層に出て来て応えたが、それも直ぐに『不動なる者』へと戻った。
「わかっておるな?おぬしの父親が変異したあのオブリビオン、決して油断のならぬ相手である事は。気を引き締めよ!」
「う、うん!」
「おぬしの行動にかかっておると言ってよい。では頼むぞ!」
義透は公衆電話から少し離れた位置へじりじりと移動を開始する。相手に背を向けぬよう気を配りながら。この戦いにおいて立ち位置はかなり重要になって来る。
戦闘に公衆電話を巻込まずに済む位置まで移動した義透は高らかに敵を挑発した。
「さあ、こちらに来るがよいわ!そなたの攻撃がどの程度のものか、わしが見極めてやろう!」
理性を失っているが故に挑発にも乗りやすいのだろう。突進するように間合いを詰めて来た敵が前脚の蹄を振り上げる!その瞬間を待っていた義透はUCを発動させた。
「待っておったぞ、その一撃を!不動なれ!」
UCを発動させた義透に敵の踵が直撃したが、びくともしない。今の義透はまさに山のごとき防御力を有しているのだ。巨大な山を相手にいくら強力だろうと馬の蹄の一撃など毛ほども痛みを感じない。だが、その代償に今の義透は一切動く事が出来ない。だからこそ!
「今だ、子よ!」
「うん、お父さんから出ていけぇぇっ!」
蹄での一撃を弾かれた敵は大きく体勢を崩していた。その隙を突き雷獣の子供が突進する! 雷のごとき高速の動きで体当たりを一撃喰らわせた後、直ぐに体勢を立て直し猛烈なラッシュを叩き込む!子が纏った雷が敵の表面を焦がしながら傷つけていく…。
「上手くいったようだの。陰海月よ、念の為に公衆電話の前に行き結界をはっておれ。戦闘の余波が万一にでも公衆電話に及べば元の木阿弥だからの!」
「ぷきゅっ」
義透の影に潜んでいたミズクラゲの陰海月に指示を出し、公衆電話の守りを固めさせる。
これで自身の打てる手は打った。雷獣の子の猛攻を眺めながらも全体の状況把握を忘れない義透であった。
大成功
🔵🔵🔵
ナーバ・キャンサ
大切なお父さんと戦うって判断を即座にできるあたり、肝が据わってるなぁ。戦って開放できると信じてくれているのかな。いずれにせよ母子の覚悟を無駄にするわけにはいかないね。
馬には馬、両手のひらを合わせてユーベルコード発動、大きな天馬に変化!
お母さんには待機してもらって、電話ボックスを守ってもらう。具体的には電話ボックスに向かって行ったときに雷撃で行動を止めてもらおう。
僕は翼で風を起こしキュウラーを牽制、その間に子供に迅雷を発動してもらうよ。
電話ボックスにキュウラー本人ではなく攻撃が飛ぶ場合もあるよね、そのときは僕が大きな体を活かして庇う。
暴れるキュウラーに併走して体当たり、体勢をどちらが崩すか勝負!
「大切なお父さんと戦うって判断を即座にできるあたり、肝が据わってるなぁ」
必至にオブリビオン化した父親と対峙する雷獣の子供の姿を見て、その覚悟に感心するナーバ・キャンサ(猫又もどき・f33334)。
(そうか、そういえばカクリヨを渡り歩いて必死に父親を捜したり、UDCアースへ辿り着けるという確証もないのにほつれに飛び込んだり…。この母子はかなりの覚悟を持ってこの地に来ていると見ていいのかもしれないね)
戦って開放できると信じているのかもしれない、ともナーバは感じた。自身の家族と対峙する母と子、その表情は決して絶望から来たものではない。父親を取り戻すんだという強い意志を感じる。
(いずれにせよ母子の覚悟を無駄にするわけにはいかないね)
雷獣の母子と共に戦線に加わると手のひらを合わせたナーバ。
「馬には馬を。こんなこともできるのさ!」
みるみるうちにナーバの姿が変化していく。元々ブラックタールであるナーバはその姿を変幻自裁に変える事が出来る。その中でもこの戦いに適した姿へと変身したのだ。そう、翼ある馬、ペガサスに!
「すみませんが、お母さんの方は公衆電話の方の守りを固めてもらえますか?敵が電話の方へ行ったら雷撃で動きを止めて欲しいんです」
「ええ、わかったわ。貴方にはお世話になったものね。恩返しをさせてもらうわね」
雷獣の母親保護の際、ナーバは彼女の不安を和らげるため、尽力した。その際の誠意ある対応に母親は心から感謝していたのだろう。
「僕はそうしたかったからそうしたまでです。それでは、お願いします。君の方には別のお願いをしたいんだ。頼めるかな?」
「うん、ボクは何をすればいいの?」
公衆電話の方へ向かった雷獣の母親とは別に子供の方へも協力要請を行ったナーバ。素早く用件を伝えると、元気良い返事が返って来た。
打ち合わせをしている内に敵が疾走しこちらに向かってくる!
「じゃあ頼むよ!まずは僕が動きを止める!」
ペガサスとなったナーバはその巨大な翼を羽ばたかせた。巻き起こる突風が敵を襲い、その突進を妨げる。強風により前進どころかやや後退させられ不快気な雄たけびをあげる。
「よし、今だよ!」
「うん、いっくぞぉぉぉ!」
ほぼ動きを止められた敵へ雷獣の子が体当たりを仕掛ける。まさにその速度は雷の如し。
ナーバの作り出した突風、そして雷獣の子の雷、その相乗効果だろう。敵の全身を包み込むようにバチバチと激しい音がした。全身を雷が駆け巡ったのか敵の足元がふらついた。
「追撃行くよっ!やぁぁっ!」
「っ!まずい、引くんだ!」
さらなる追撃を入れようと接近を試みた雷獣の子。だが、それを煩そうに跳ねのけようと蹄を振りかざしたのが見えたのだ。慌てて雷獣の子の前に割り込み翼で子供を包み込む。
「ぐっ…」
ナーバの翼を激しい痛みが襲う。幸いにして子供へのダメージは防ぐことが出来た。回避するという選択肢もあったのだが、その後ろにはちょうど公衆電話があったのだ。
(まずいな、片翼が動かせない。これでは風を起こす事が…)
子供と公衆電話、両方を守る為に身を挺し庇ったナーバ。自らが傷付いたが、まだ勝機はある!ナーバは公衆電話の前にいる雷獣の母へ呼びかけた。
「雷撃を!」
「ええ。これを喰らいなさいっ!」
轟音と共に敵を落雷が襲った。感電し敵の動きが一瞬止まる。
「今だ!」
「ボクも行くよっ!」
ナーバはその体で敵に体当たりを仕掛ける。雷獣の子もそれに続き、2人で敵へ連撃を浴びせ続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
東雲・深耶
公衆電話を破壊せずに戦うのだな
この刀、【単一元剣・『無壊』】の出番か
この刀は刀身が拡大変容し、変形した金属部分が防御を行う。これを用いて公衆電話が破壊されないよう陣形を組ませる
攻撃用の刀は【蒼凍魔剣・『蒼氷』】を用いる
この刀は時間を凍結させるとあるオブリビオンの力を宿す
故に、その力を引き出すことで時間停止を僅かながらでも行える!
更に叡智をも司るため、最適な行動を自動で割り出すことも出来る
子よ、父上殿を救う為だ。共に来てくれるな?
『無壊』の変容した刀身が子を守りながら私と子の双撃を支援し、子の一撃を喰らわせた後、UCを起動
あらゆる『影響』を断つ魔剣。骸魂の憑依も例外ではない
「公衆電話を破壊せずに戦うのだな。この刀、【単一元剣・『無壊』】の出番か」
絶対物質ブラキオンで構成された日本刀を構えた東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)。
(この刀は刀身が拡大変容し、変形した金属部分が防御を行う。これを用いて公衆電話が破壊されないよう陣形を組ませる!)
敵が特攻してきたが、その突撃を『無壊』が防ぎきる。刀身がまるで生きているかのように変形し敵を受け止めたのだ!
「その程度の攻撃、この『無壊』の前には効きはしない!」
そこへ牽制するように雷獣の母親が雷撃を放った!
「感謝する、母上殿。私は貴方の子と共に攻勢に出ようと思う。この場の守りを頼めるだろうか?」
「ええ、任されたわ。うちの子をお願い」
防御姿勢を解いた深耶、今度は魔剣を手に取った。
「子よ、子よ、父上殿を救う為だ。共に来てくれるな?」
「うん!ボク頑張るよ!」
「よし、いい子だ。では、行くぞっ!」
雷獣の子と共に一気に切り込む深耶!
(この刀は時間を凍結させるとあるオブリビオンの力を宿す。故に!)
時間を凍結させる力を刀身に集中する!そして放たれる一撃!
敵は辛くも直撃を免れたが…。掠っただけのはずなのにその体が硬直したかのように一瞬だけ動きを止めた。
「そう、その力を引き出すことで時間停止を僅かながらでも行えるのだ!続け、子よ!」
「うん、えぇぇぇぃっ!」
深耶の作り出した隙を雷獣の子供が疾走し体当たりを仕掛ける。雷を纏った高速の一撃が叩き込まれ敵が声なき声をあげる!
「っ!反撃が来るぞっ!右に回避だ!」
「えっ、うんっ!…、あ、危なかったぁ…。ありがとう」
敵の蹄の一撃をいち早く察知した深耶によって、雷獣の子供はその一撃を回避に成功する。
「今の一撃、よくわかったね。ボク言われるまで気が付かなかったよ…」
「この魔剣のおかげだ。この魔剣は叡智をも司る。最適な行動を自動で割り出すことも出来るのだ」
「凄いや!これなら敵なしだね!」
「油断せずに行くぞ!」
「うん!」
雷獣の子と深耶は連携し敵を追い詰めていく。流石に雷獣の子は経験不足と若さゆえ、動きが危なっかしい。だが、そこは深耶がさりげなくフォローする。『無壊』に持ち替え雷獣の子に迫った一撃を防ぎきるのだ。
さらに畳み掛けるため、深耶は二刀流の構えを取る。剣豪であるが故に出来る芸当であろう。
『無壊』で敵の攻撃を捌きつつ、魔剣で切り刻む。そして雷獣の子が体当たりを喰らわせる。その猛攻に敵も思わず体勢を崩した。
「今だ!第二魔剣・それは星を喰らう闇を光輪にて砕く!喰らうがいい!」
魔剣による時空さえも切り裂く一撃が敵に叩き込まれる。その一撃はしかし…その体に傷一つない。だが…。
敵からは苦しみ藻掻くようなうめき声が発せられた。
「あらゆる『影響』を断つ魔剣。骸魂の憑依も例外ではない」
深耶の一撃は雷獣の父親を取り込んだ骸魂そのものを切り裂いたのだ!
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
雷獣おかあさん達、大丈夫
おとうさんは強い
理性は失われてる?そんな事ない
貴女達の声ならきっと聞こえる
おかあさん、後方から落雷を操りながらおとうさんに声を掛けて?
ぼく、うさみん☆と一緒に、公衆電話まで駆け寄り、公衆電話の更なる守りと、おとうさんへの声掛けを
うさみん☆、念の為ぼくに跳返の符を貼って拠点防御
おとうさん、聞こえるでしょ?おかあさん達の声
悪しき願いに負けちゃダメ
集まる怨霊なんて打ち払って
貴方が叶えるべきは、貴方の大事なふたりの願いのはず
おかあさんの雷撃に合わせて【華灯の舞】
キュウラーの行動不能の隙に地を駆け一気に近接
幅広の大剣にした灯る陽光で、その胴体を叩き斬る
おとうさん、返してもらう
木元・杏(シャー・オブ・グローリー・f16565)は雷獣の母子に語り掛ける。
「雷獣おかあさん達、大丈夫。理性は失われてる?そんな事ない」
「そう…なのかしら?先程からあの人の行動から見ても理性が失われているようにしか…」
「大丈夫。貴女達の声ならきっと聞こえる。おかあさん、後方から落雷を操りながらおとうさんに声を掛けて?」
杏は後方にある公衆電話を指さしながら母子へ移動を促した。
「わかったわ。出来る限り声を掛け続けてみるわね」
「おかあさんたちの絆の力、きっとおとうさんの心に届くから」
杏は雷獣の母子、両方の救出に携わった。その中で色々な話をした。お互いを思いあう、家族の絆をその話の節々で感じたのだ。だから、その絆はきっとこの戦いで重要な鍵になる。雷獣の母子が移動を開始すると共に、杏も手元に持っていたうさみん☆を操り始めた。うさ耳メイドの人形のうさみん☆を杏が糸で操る事でダンスを踊ったりも出来る。うさみん☆も公衆電話に移動させ、拠点防衛をさせようというのだ。念のため、攻撃を跳ね返す跳返の符をうさみん☆に貼り付け送り出した。これで万一敵が公衆電話の方へ向かったとしても、うさみんが前に出る事で防波堤となりそれ以上の侵攻を防ぐ事が出来るだろう。
杏が巧みにうさみん☆を操っていると、先に公衆電話の元へ辿りついた雷獣の母子が杏の言った通りにオブリビオンと化した父親に向けて呼びかけ始めた。
「あなた!あなた!しっかりして!」
「お父さん、そんな奴に負けないで!骸魂なんかに負けちゃやだよっ!」
その二人の声を振り払うかのように放たれた炎は、立ち塞がったうさみん☆とその体に貼られた護符の力によって弾かれる。
「あなた!全てを忘れてしまったというの?私とこの世界で出会った頃の事、そしてカクリヨで再会した時の事。この子との思い出も、全て!」
「そんなの、そんなの嫌だよ、お父さんっ」
悲痛な母子の叫びが戦場に響き渡る。そんな声を聴き、わずかに、オブリビオンが動きを止めたような…、そんな気がした杏。
やはり、希望はあるのだ!その希望の火を消させない。
「おとうさん、聞こえるでしょ?おかあさん達の声。悪しき願いに負けちゃダメ。
集まる怨霊なんて打ち払って」
静かに、しかしはっきりとした口調で杏はオブリビオンへと語り掛ける。
「貴方が叶えるべきは、貴方の大事なふたりの願いのはず…。それを思い出して」
杏の言葉が届いたのかはわからない。だが、怨霊たちを集め力を増幅させようとしていたオブリビオンは、その行動に集中出来ないようだ。気持ちが乱される、それは…紛れもなく雷獣の父親の心の証、なのだろう。
「おかあさん、今!雷撃を」
「っ!ええ!」
雷獣の母が雨雲を呼び出し轟音がオブリビオンを襲った。それに合わせて杏も力を指先に集中しオブリビオンへ白銀の光を放った!
雷撃によって感電し身動きが取れなくなった所へ、杏の白銀の光が撃ち込まれる。ダメージと共に眩いまでの光が辺りを照らす。その一瞬の隙に杏は走り出した!
そして白銀の光を凝縮し大剣となした杏はオブリビオンに肉薄し、その胴を一閃する。
「おとうさん、返してもらう」
怨霊である骸魂が苦し藻掻くような…、そんな声が辺りに木霊した。
大成功
🔵🔵🔵
地籠・陵也
【アドリブ連携歓迎】
いくら元に戻す為とはいえ、実の家族と戦わせるなんてことはしたくない。
俺が父親の相手を引き受けるよ。
雷獣の母親には子供と一緒に公衆電話の護りを固めてもらう。
【結界術】と【オーラ防御】を二人と公衆電話にかけておいて、少しでもダメージを防げるようにしておく。
攻撃は【拠点防御】の要領でその場で【武器受け】で受け止める。
【激痛耐性】と【継戦能力】でどれだけダメージを受けても踏ん張ってみせるよ。
その後【カウンター】で【高速詠唱・多重詠唱】、【浄化・破魔】の術式を絡めて【指定UC】、父親に取り憑いた骸魂だけ攻撃する!
家族を引き裂くなんて真似は絶対にさせない!!彼の体から出て行け!!
オブリビオンの体は既に満身創痍。そろそろ決着の時も近い、とその場にいる誰もが感じ取っていた。
「やったよ!だいぶ効いているみたいだ!」
「もうじき、もうじき、なのね…」
互いの顔を見ながら言葉を交わす雷獣の母子の姿を眺めていた地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)。その中に違和感を感じた。
(あの二人…もしかして…)
度重なるダメージから身動きが緩慢になってきているオブリビオンから注意は逸らさず、だが、雷獣の母子に陵也は語り掛けた。
「もう…いいだろう?いくら元に戻す為とはいえ、実の家族と戦わせるなんてことはしたくない。後は俺が父親の相手を引き受けるよ」
「で、ですが…」
「ボク達、まだ頑張れるよ!だから…」
「無理、してるんじゃないのか?」
「っ!…、……」
陵也の言葉に最初は反論していた母子達だが、無理をしているのでは、という指摘に思わず口を閉ざした。
(やはり…か。俺達猟兵に助けられた。その恩返しがしたいと思ってくれてたり、家族の問題だから、とか色々な思いがあるんだろうが…)
自分達を必死に鼓舞して戦っていたように感じたのだ。猟兵達から「カクリヨのオブリビオンは倒せば妖怪に戻れる」という話を聞いているにしても、それが本当の事なのかどうかは、分からないはず。信じたい…、信じるしかないという気持ちがあるにしても、だ。
それに陵也はこれ以上家族がお互いを傷つけあう様を見たくないのだ。確実に救出できるという確信のない雷獣の母子は、最後の最後で躊躇いを感じる可能性もある。その隙をオブリビオンは逃さないだろう。そうなっては、本当に家族3人でのカクリヨ帰還が出来なくなってしまう…。だから、これより先は陵也が一人で戦うと決めた。
陵也の言葉が母子の本心を突いたのだろう、2人は公衆電話の守りに専念して欲しいという陵也の提案を受け入れる。2人と公衆電話を囲うようにオーラを纏った結界を張り巡らせた陵也。
「…あの人の事、お願いします」
「あぁ、絶対に3人で戻れるように俺がなんとかするから。決して二人の頑張りは無駄にしないさ」
雷獣の母子の願いを託され、陵也の戦いが始まる。
「…待たせたな。さぁ、決着付けよう」
度重なるダメージからやや復帰したオブリビオンが、陵也に最後の戦いを挑んできた!
相手の振り上げて打ち下ろされる蹄の一撃を陵也は必至に耐えた。打ち付けられた部分が、まるで穿たれたかのように感覚が無くなる。実際に骨が折れているかもしれない。だが、まだだ…。敵のラッシュを受け、激痛に顔を歪めながらも陵也は渾身の一撃を放つ為、力を集中させていく。
そして…、練り上げられた力がついに浄化の刃となって顕現する!
ちょうど振り上げられたオブリビオンの前足を回避し、その側面に回り込む。
その無防備な相手の側面へ陵也が浄化の刃を振り下ろした!
「この刃で父親に取り憑いた骸魂だけ攻撃する!家族を引き裂くなんて真似は絶対にさせない!!彼の体から出て行け!!」
陵也の渾身の一閃がオブリビオンを両断した。切り裂いたのはその内に宿る骸魂のみ!
一撃を受け断末魔の声をあげながらオブリビオンは地に倒れ伏した。その体より靄のようなものが這い出て消えていく…。
「おとうさん!」
「あなた!」
雷獣の母子が倒れたオブリビオンの元へ駆け寄って来る。戦闘を終えた猟兵達の視線の先には、雷獣の姿に戻った父親と、彼に抱きつき涙を流す母子の姿があった。
「皆さん、今回は本当にありがとうございました。俺はもうだめだと思っていたのに、こうして3人でカクリヨに戻る事が出来たのも。皆さんのおかげです」
「本当にありがとうございました、皆さん。」
「本当にありがとう!ボク、皆に助けられた事ずっと忘れないよ!」
雷獣の親子が仲良く光の中へ消えていく。無事にカクリヨに戻る事が出来ただろうか?
こうして一連の騒動は決着を迎えた。大祓百鬼夜行という大きな戦いの中のほんの一欠片の戦いであったが、一つの家族を救うという確かな戦果を持って猟兵達は帰還するのだった。
【完】
大成功
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