大祓百鬼夜行⑦〜猟野ー月見しようぜー!!!!!~
●戦争中?んなこたァ知るか今夜は無礼講だァ!!!
「てなワケで月見だ!!!!!!!!!!!!」
半ばやけくそテンションの地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)。
というのもそれぐらいのテンションじゃないと今回の内容はやってられないのである。
カクリヨファンタズムの各地に一年中満月のすすき野があるのだが、そこの満月が骸魂の影響を受けて何と卵のようにぱかっと割れて超巨大な「カタストロフの幼生」が誕生しようとしているのだ!
「いいか、月から出ようとしてるカタストロフの幼生は無視しろ!!!!目に入れても見なかったことにしろ!!!!
そして月見を全力で盛り上げるんだ!!!気にするんじゃねえぞ!!!
気にしたらSAN値チェックで一時的狂気待ったなしだぞコラァ!!!!!!」
無 茶 を 言 う な !?
思わず猟兵の中にはそう返したものもきっといるだろうしいないかもしれない。
だがこの凌牙のやけくそテンションはもしかしたら予知でそれを見てしまったが故の一時的狂気だとするならば……相当冒涜的な様相をしているであろうに違いない。
だからこそ尚更無茶振りって言うんですけどねそれ!!!
少々脱線したが、とりあえずそれを消滅させる為の一番の方法は月見を楽しく賑やかに執り行うことらしい。
月が割れて何かめちゃくちゃ冒涜的神話生物っぽい何かが出ようとしているのを全力で無視してハジケた月見をすればカタストロフの幼生は消滅し、月もまるっと元通りになるそうで。
まあ、そう考えればこのテンションは間違いではないのだろう。
一時的狂気に陥ってそうなのは置いといて。
「ぜーはーぜーはー……ま、まあこれぐらいのテンションじゃねえとマジで無視すんのキツすぎっから、何かこう……こうだな、具体的に言うとボケ過多な混沌とした月見をしてもいいんじゃねえかなと、思うワケだよ……」
テンション上げすぎて息切れしている凌牙である。
「今回ばかりはどんなトンチキなことしようが構わん!!お前らの思う最高にハジケた月見で盛り上げてカタストロフの幼生を消滅させてこい!!成人は飲酒もOKだが未成年には飲ますなよ!」
凌牙はそう言って転移陣を展開する。
まあ、ある意味で戦争中の良い息抜きにはなる……のだろうか?冒涜的な奴が月から出ようとしているが。
気にせず楽しめるという肝の据わった猟兵たちはカクリヨファンタズムのすすき野へ向かうだろう――。
御巫咲絢
※注意:このシナリオはトンチキシナリオです。
3本目との温度差があまりにも酷すぎることをお詫び申し上げます。
こんにちはこんばんはあるいはおはようございます、初めましての方は初めまして御巫咲絢です。
シナリオご閲覧ありがとうございます!御巫のシナリオが初めての方はお手数ですがMSページを一度ご一読くださると幸いです。
戦争シナリオ4本目をお届けします。
カタストロフの幼生ガン無視で全力でトンチキな月見をしてください。
再度言います、このシナリオはトンチキシナリオです。能力値は気にせず、公序良俗に反しない範囲でフリーダムなプレイングを投げてください。
あなたが月見だと思えばそれが月見だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
●当シナリオについて
当シナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結する特殊なシナリオとなっており、以下のプレイングボーナスが存在します。
●プレイングボーナス
幼生の事を気にしないようにしつつ、全力でお月見を楽しむ。
カタストロフの幼生はOPにも書いた通り「冒涜的神話生物(SAN値チェック待ったなし)」な姿をしています。具体的な容姿は皆様のご想像にお任せします。
●プレイングについて
受付開始は『5/15(土)8:31~』、締切は『クリアに必要な🔵の数に到達するまで』とさせて頂きます。
最低でも3名様はご案内予定ですが日常シナリオでありかつ速度を重視させて頂きます為、全員をお受けすることはできかねますことを予めご了承ください。
上でも申しておりますが、能力値の選択肢は気にせず思うがままフリーダムなプレイングを投げてください。
ボケ過多上等!ツッコミ不在はいつものこと!!そんなノリでお届けさせて頂きます。
それでは皆様の最高にフリーダムなプレイングをお待ち致しております!
第1章 日常
『月割れてるけどお月見しよう』
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POW : 全力で月の美しさを褒め称え、「立派な満月」だと思い込む。
SPD : 賑やかな歌や踊りでお祭り気分を盛り上げる。
WIZ : お月見にふさわしいお菓子やお酒を用意する。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
尾守・夜野
「…」
視界を埋める一面のすすき
少し視界をずらせば
「な ぁ に あ れ」
正直理解したくないが上を見ると強制で視界に入るわ
「真夏に炎天下に置いてた様に変容し何か…溶けた原色カラーの菓子類、砕かれたリコリスキャンディと混ざったチョコ、アイスの混合物みてぇ」
…いってて何だが糞甘そう
腹へった
正直今回妖怪助けるのメインだから飯(血)とかとってねぇから腹減ってんだよな
まぁ元々狂気にそれやすいってのも自分で理解してるから菓子()から目を反らして
チョコ餅を作ろう
持ってきた臼と杵もち米準備
周りもすすきで金色だし
餅をつけばすなわちここが月、つまりここの地面を見てれば月見(錯乱)
蟹でもいいが今は餅の気分
アドリブ歓迎
黒沼・藍亜
まあ全力で異常を誤魔化すのがボクらUDC組織の仕事っすけども、
そうして秘匿され誤魔化され続け忘れ去られたものの世界で、
同じ事するってのも何というか因果な事っすね
それはそれとして今はお月見っす
年がら年中満月って事はつまりお月見はここでは平凡な日常風景(強弁)
という訳でUC【はじまらないはじまらない、おわらない】
はい。これで「異常」は「いつもの」風景に塗りつぶされ見えない上に
「その世界のいつも通り」に振舞えばその行動成功率がガン上がりって訳っす
さーてそれじゃ今は日々の仕事も戦争も始末書も夜食のカロリーも忘れてのんびりお菓子でもつまみながらシート敷いて寝転がって月を眺めるっすよ
※アドリブ歓迎っすよー
天玲寺・夢彩
月見だけに集中して全力で楽しんでいいって事でしょ?
わーい、お月見行ってきまーす!
月見団子にみたらし団子に薩摩芋のお菓子に、兎に角たっくさん持ってきたんだよう♪
夢彩はまだお酒飲めないし緑茶。(団子に合いそう)
あ、あそこに(月より月みたいに真ん丸な雲?)立派な満月とキラキラ星?があるよ!
そういえばススキ飾らなくちゃいけないんだっけ?
その辺からちょっと貰ってこようかな。
でもお月見って何すればいいかな?キャンプファイヤー?バーベキュー?
…お団子あるからお団子焼こう!
一人だとつまらないから呼んだけど、アスモくんちょっと火を…どうしたの変な顔して??(何処からツッコメばいいか分らない様子)
※なんでもあり
●猟兵のみんなが月見って言ってるんだから月見です。いいね?
綺麗な月夜、風にそよぐ視界を埋める一面のすすき。
これだけならまさに十五夜の月見にうってつけである。今5月だけど。
「……」
しかし、ふと尾守・夜野(墓守・f05352)が視線をずらせばそれは卵のようにぱかっと割れつつあるお月様から顔を見せていた。
冒 涜 的 神 話 生 物 的 な 何 か。
「な ぁ に あ れ ?」
夜野、硬直。しかし正気度ロールでクリティカルを出したのでSAN値は削れずに済んだ。
「正直理解したくないが上を見ると強制で視界に入るわ!!!!!」
仕方ないね。オブリビオンの幼生が生まれようとしているからね。
「あ!あそこに立派な満月とキラキラ星?があるよ!」
しかし何てこった、天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)はSAN値チェックに失敗してしまった!月より大きくて丸めの雲を指差して満月だと言い始める。
「おいしっかりしろ、お前が見てるのは雲だ雲」
「えー?アレハオツキサマデショ?メイモオツキサマトソウデナイノグライミワケツクヨウ」
「カタコト無感情発音で言っても説得力ゼロだよ!!!?しっかりしろ!!!!」
「あちゃー一時的狂気入っちゃってるっすねー」
そこに駆けつけた黒沼・藍亜(人間のUDCエージェント・f26067)。UDCエージェントから見ても狂気入っているのはヤバい。
「そういえばススキ飾らなくちゃいけないんだっけーあははーソノヘンカラチョットモラッテコヨウカナ」
「そっちはすすきの生えてるところじゃねえしそもすすきはもうここに腐る程あるから!!!」
「うーむ、恐るべしオブリビオン幼生。とりあえず見えないようにしたら何とかなるっしょ」
全力で異常をごまかすのはUDCのお仕事、一時的狂気から人を元に戻すのもUDCのお仕事である。
オブリビオンの幼生の存在がその場にいるだけで常時SAN値チェックを持ち込むなら、見えなくすれば万事解決というワケだ(?)
「年がら年中満月ってことはつまりお月見はここでは平凡な日常風景っすからね」
ある意味自分に言い聞かせているようにも聞こえるが、それが藍亜のユーベルコード【はじまらないはじまらない、おわらない(カタルマデモナイモノガタリ)】の効果である。
どんなトンチキ事象も怪奇現象も塗りつぶし、全部まるっと"いつも通りに変えてしまう"のだ。
「そっちは川!川だから!!すすきはここに腐る程あるっつってん……んん!?」
この効果により勝手に走り出そうとする夢彩を必死に止めようとしている夜野の視界にちらついていた、冒涜的神話生物的オブリビオン幼生がぱっと姿を消す。
あくまで隠しただけなので今も出ようとしてるけど見えなきゃいいんだよ見えなきゃ。
「はい、これで「異常」は「いつも」の風景に塗りつぶされて見えなくなったっすよ。その上で「この世界(カクリヨファンタズム)のいつも通り」に振る舞えば行動の成功率もガン上がりってワケっす。
つまり一時的狂気からも確実に回復っす」
「いや、流石に隠しただけで元に戻るようなもんなのか?」
「??あれ、夢彩何かしてた??」
「戻ってる……」
あくまで冒涜的神話生物"的"であって本物じゃないからなのもあるかもしれないが夢彩の一時的狂気が回復した。
「何かよくわかんないけど迷惑かけちゃったかな、ごめんなさい」
「いや、あんなもん見たら発狂するから仕方ねえよ。うん」
「そうそう。とりあえず仕事も戦争も始末書も夜食のカロリーも忘れてお菓子でもつまみながらシート敷いて寝っ転がって月を眺めるとしようじゃないっすか」
「わーい、お月見ー!月見団子にみたらし団子にさつまいものお菓子に、とにかくたっくさん持ってきたんだよう♪緑茶もあるよう!」
藍亜、どこからともなくレジャーシートを取り出し早速寝転がる!それに続いて夢彩がレジャーシートに展開する大量の団子とお菓子!
完全にくつろぎモード前回の女子2名!!
「……」
何かツッコミする気も失せてきた夜野である。視界から(一時的に)隠れたとはいえ、あの冒涜的な様相はそう簡単には頭から離れてくれなかった。
そう、例えるなら――
「(あの月から出てきてるアレ……真夏に炎天下に置いてた時のように変容した原色カラー菓子類と砕かれたリコリスキャンディと混ざったチョコとアイスの混合物みてえだったな……)」
めちゃくちゃ甘そうだし仮にリコリスキャンディがサルミアッキ(※サルミアッキはリコリスキャンディの一種である)だったらアンモニア臭も漂って色々ヤバそうな図である。
「……自分で言ってて何だがクソ甘そうだな。腹減った……チョコ餅作るか……」
実は今回、オブリビオンから骸魂を剥がして妖怪を救出する戦いがメインなおかげで夜野はあまり食事にありつけていなかったりする。主食が血だからなのもあるかもしれない。
頭の中でやったらクソ甘そうなお菓子の集合体みたいな冒涜的神話生物的オブリビオン幼生の姿がしつこく主張しているが、元々狂気に逸れやすいのを理解しているので全力で脳裏の光景から目を反らしながら夜野は臼と杵、もち米を用意する。
「周りもすすきで金色だし、餅をつけば即ちここが月、つまりここの地面を見てれば月見……!」
言い聞かせながら夜野はもち米を洗って蒸す準備を開始。
「わ!何々、餅つきするの!?」
「ああ、蟹でもいいが今は餅の気分でな」
「お、風流っすね~~できたらボクも食べていいっす?つきたてのお餅はおいしいっすから~」
「いいぜ。どうせ俺一人じゃ食いきれねえ量になるだろうし」
「あ、じゃあ火がいるよね?アスモくーん!ちょっと火つけてー!」
さらっと獄炎の悪魔アスモデウスを呼び出す夢彩。そう、彼女はこう見えても悪魔召喚士なのである!
悪魔の方がよほど真っ当な姿をしているからきっとさっき幼生を見た時に咄嗟の反応が遅れて一時的狂気に陥ったに違いないのだろう、多分ね。
そしてそんなお手伝い感覚で呼び出されたアスモデウスは早速クソデカため息をついていた。
「??どうしたのアスモくん、変な顔して」
『………………いや、いい。火を起こせばいいのだろう、火を起こせば』
「うん!もち米を蒸さないといけないし……あっそうだお団子も焼きたいな!お月見って何したらいいかわかんないけど、キャンプファイヤーとかもしたらきっと楽しいよう!」
『…………』
アスモデウス、二回目のクソデカため息。
夜野とそっと察して何も言わず、夢彩の厚意に甘えてもち米を蒸した。
藍亜は何も気にも留めず鼻歌を歌って持ってきたするめいかを炙って食べていた。スルー力が高い!
「んー、いい感じに香ばしいっすねえ~。もち米のいい匂いもしてきたっす」
「お手伝いするよう!」
「ああ、悪いな」
お湯(※もちろんアスモデウスの力を借りて水を温めた)を用意しいざ餅つき。
夜野は非常に手慣れた手つきで蒸したてほやほやのもち米を温めた臼の中に投入。杵で潰していく。
一通り潰し終えたら時折合いの手役を買って出てくれた夢彩に折りたたんだりひっくり返したりしてもらいながらぺったんぺったんついていく。
そして一通りつき終えたら熱々の内に溶かしたチョコレートを水と牛乳と一緒に餅に混ぜ込み、片栗粉をまぶして練り込むようにこね、丸めたら仕上げにココアパウダーをふりかけてチョコ餅の完成である!
「よし、こんなもんか?」
「わあ~っ、すごくおいしそう!」
「おおー見事なもんっすねー!」
「餅ついて作ったし結構な量あるから好きな分食えばいいと思うぜ」
「わーい、いただきまーす!アスモくんもいっしょに食べよ~!」
悪魔もご同伴に預かりまして、何気ない日常(ここ超重要)の月見風景が過ぎていくのでありました。
日常風景です。誰が何と言っても日常風景です。いいね?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
南六条・ヴィクトリア三世
【株式会社UAI】
社員の皆様ァーッ! 社員旅行の時間ですわよー!!
今回の社員旅行はカクリヨファンタズム!
と、いうことでSSW本社の社員全員で現場に乗り込みますわ!
ベルゼ、ジェイミィ、貴方達もですわよ!
月見と言えばそう、盗んだバイクで走り出す十五歳の夜!
ベルゼ! バイクの用意を! できるだけたくさん!
ほらDo it, now!
忘れ去られた世界なんですから廃車になったバイクとかたくさんあるでしょう!
ジェイミィは全力で修理、はい急ぐ!
第1回お月見記念チキチキ★オートレース大会を開催致しますわ!!
出場者はこちら! オッズはこれ!
さぁ張った張ったァ!!
それと優勝したら昇給と昇進をお約束しますわよ!!
ベルゼ・アール
【株式会社UAI】
なんか社員旅行始まったァァァ!!
いやなんで社員旅行わざわざカクリヨでやるんですか!?
しかもGW明けのこのクソ忙しい時期に!
え?
案件の納期、謎の力が働いて2ヶ月延びた?
営業先のアポが謎の後ろ倒し?
開発プロジェクトが謎の高速進行で連休前に終わっていた?
ウチの会社わけわかんないわ…
十五夜ちゃうんかいィィィィ!
「十五」と「夜」の間にへんな平仮名入れちゃったよこの社長!
はい、社長命令なんでバイク拾ってきます…
しかも社員募ってオートレース大会始めた!
え、車券あるのこれ!?
私未成年だから参加できないけどそもそも開催自体良いの!?
月見るまでもなくSAN値削れそうなんだけど誰か助けて!!!
ジェイミィ・ブラッディバック
【株式会社UAI】
なんで退社済みの私まで呼び出されているんでしょう
あ、製品開発部の皆さんお久しぶりです
いやー、元部下の顔が見れて嬉しいです
…いやまぁ商談とか武装のメンテとかで結構な頻度で古巣に出向してるんでよく顔合わせるんですが
1週間ぶりくらいですかね
で、なんで私はカクリヨくんだりまで来てバイク修理してるんでしょう
あぁオートレースですか
UDCアースにおいては競馬競輪競艇に並ぶ公営競技ですな
え、車両の規格ものの見事にバラバラなんですけどそれは良いんですか?
あ、はい、修理ついでに統一しろと、頑張ります
セラフィム・リッパーにも手伝わせますか
ベルゼさん大丈夫ですか?
なんかすごい疲れ切った顔してますけど
●第云十々回株式会社UAI社員旅行~お月見オートレース編~
時は少しだけ遡り、スペースシップワールドの株式会社U(ユニバーサル)A(アーマメンツ)I(インダストリー)本社。
ベルゼ・アール(怪盗"R"・f32590)は疲労困憊の局地にあった。
ある時は大祓百鬼夜行を猟兵の勝利で終わらせる為にグリモア猟兵の一人としてあちらこちらへと指示を出し、またある時は株式会社UAIの社長秘書として社長のスケジュール管理や来客対応、またまたある時は稀代の大怪盗としてUDCアースの裏社会を騒がせて……
お察しですね?こんだけ仕事がぎゅうぎゅうだったら当然休みなんてないんだよなあ!!!
「ふふっ、今日は3時間も寝れたから気力に溢れているわ!!!今日で残りを片付けて1日だけでも丸々寝る日を作るんだから……ッ!!!」
3時間はヤバい。ひっきりなしにスケジュール詰め込んだおかげで休む時間がなくて1日の睡眠時間が2時間の人ぐらいヤバい。
しかし3時間"も"という表現が彼女がどれだけ過労死待ったなしのハイパーハードワークを行っているかお察し頂けることだろう。
気力に溢れていると言っているがそのおめめはぐるぐるしていた。いやこれマジでヤバいんちゃうか???
「はい、株式会社UAI社長秘書のアールがお受け致します……お世話になっております……はい……え、はい?左様でございますか、かしこまりました。また確認し次第ご連絡を差し上げる形に致しましょうか?
……はい、はい。ではまた改めてご連絡の程お待ち致しておりますね。はい……はい、失礼致します」
おめめぐるぐるでも電話対応は完璧、流石社長秘書である。
「このタイミングでアポ後ろ倒しなんて何があったのかしら……あっ内線。はい、社長秘書のアールです。社長でしたら今席を外しておられ……え、納期延びたんですか!?わかりました、社長に報告しておきます。はい、よろしくお願いしますね。では……
…………納期2ヶ月延びとかマジ?しかも開発プロジェクトは連休明けに終了して今日結果が出たから報告書くるとか……ウチの会社ワケわかんない……」
どうしよう、仕事が一気になくなった。こんなことってある?
今日張り切って消化して、明日は丸一日爆睡して、明後日からグリモア猟兵としての報告書の方を仕上げようと思っていたスケジュールが1日前倒しになるなんて、ベルゼにとってはまさしく青天の霹靂である。
流石に仕事する気できたのに仕事がなくなったらすぐに何しようかという発想には疲れておらずとも至らないものでどうしようかと悩んでいるそこに――
\ピーンポーンパーンポーン/
社内放送のチャイムが鳴り出したのでベルゼはめちゃくちゃクソデカいため息をついた。
ま――――――――たうちの社長が何か無茶なこと言い出そうとしてるよ――――――――って顔しながら頬杖を突く。
『社員の皆様ァーッ!!今日も一日精出しておられて私は非常に喜んでおりますわ!!私、株式会社UAI社長南六条・ヴィクトリア三世(株式会社UAI最高経営責任者(現職)・f30664)から社員の皆様にお知らせ致します!』
「は―――――――――」
ベルゼ、二回目のクソデカため息。半分聞き流そうって顔で放送を聞こうとしたのだが。
『ただいまより、第云十々回、株式会社UAI社員旅行を開始しますわ!!!!』
「あーはいはい社員旅行n………社員旅行ォォォォォォ―――――――――――ッ!?!?!?」
『今回の旅行先はカクリヨファンタズム!SSW本社の社員全員で現場に乗り込みますわ!各位今から帰宅して身支度なさい!20時に集合、カクリヨファンタズムに出発致しましてよ!!」
「しかもカクリヨォォォォォォォォォォォォ――――――――――――ッッ!?!?!?!!?!?」
「ベルゼ!!聞きましたわね!今から早速準備しますわよ!!!!ジェイミィに連絡なさい!!!!!」
「放送室から戻ってくるの早ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!
いや待ってください社長何でわざわざカクリヨでやるんですかしかもGW明けだし戦争中ですよ!?!?!?!」
「戦争中だからこそですわ!!!!!!!!!!!!!!!!」
丁度社員旅行向けの戦場があるのでそこで社員旅行をして満喫したらオブリビオンも弱まるし社員もリフレッシュ!まさに一石二鳥!!何て素晴らしいことか!!!!
そんな勢いでヴィクトリアは月見旅行をすることに決めたそうだ。
ベルゼは三度目のクソデカため息をついた。こう言い出したらこの社長は梃子でも動かないことをスカウトされた自分は嫌という程知っている。
「というワケで、よろしいですわね?」
「はぁい……わかりましたよぉ……」
ツッコミ疲労が溜まった顔でベルゼは馴染みある元社員の経営するメカニックガレージへ連絡を入れたのであった……
◆
と、いうワケでカクリヨファンタズムまでやってきました。
「……何で退社済の私まで呼び出されているんでしょう」
ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)は首を傾げた。
某SNSツールで言うと:thinking:と入力したら出てくる顔文字のようなポーズである。
「ごめんなさいジェイミィさん、ホントすいませんうちの社長が」
「ああいえいえ、別に嫌というワケではありませんのでお気になさらず。社長ってそういう人ですからね……あ、製品開発部の皆さんお久しぶりです。
いやー元部下の顔が見れて嬉しいですよ、といってもまあ商談とか武装のメンテとかで会ってますから一週間ぶりくらいですかね?」
この適応力の早さ、流石元株式会社UAI社員。
稀代の大怪盗として処世術にはそれなりに長けている自覚はあるが、ジェイミィの柔軟な対応とスルー力には流石に負けるとベルゼは思った。
彼の対応を見習わなければ……もしかして自分、過労死するのでは?そう直感したからに他ならない。
……いやあの、そこはもうちょっと早く気づいてもよかったんちゃうか?
月が何か冒涜的神話生物的な様相を醸し出しつつあることをそっと見なかったことにしながら、ベルゼは肝心の言い出しっぺの社長の姿を探す。
何せここにきてから姿が見えないのである。
「いったいどこへ行ったのかしら……ん?」
ふと耳をすませば、すすきが風にそよぐ音以外にブロロロロロロとエンジンの音……な、何と!ヴィクトリアがどっからか見つけたバイクに扇子を広げた状態で仁王立ちして乗ってやってきたではないか!!
「社 長 ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ ッ ッ ッ !?!?!?!?!!?!?!?!?」
なんて乗り方してやってきてんだというかそのバイクどっから仕入れたんだというかどうやって運転してんだとかそういった諸々のツッコミの感情が籠ったベルゼ渾身の社長シャウトがすすき野にHowling Now!
ジェイミィはまーた社長何か企んだなーって顔、最早完全に手慣れていた。これが新人と元社員の差というものであろうか……?
「月見と言えば!そうッ!!!盗んだバイクで走り出す十五歳の夜!!!」
「十五夜ちゃうんかいィィィィィッ!!!!十五と夜の間に変な平仮名入れちゃったよこの社長!!!いや何でバイクなんですか!!!?」
「まあベルゼ、何てことを!歌手に失礼なことを言うんじゃありませんわ!!」
「そうじゃないんですよねェェェェ!!!!!!!!!!!!!!!!!!それ大分スレッスレなラインの話なんですよねェェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!!?????」
これ以上は危ないのでこの話題は断ち切っておきましょう。察せる人だけ察してください。
「それよりもベルゼ、バイクの用意を!できるだけたくさん!」
「はい!?バイクなんてどこにあるんですか!!」
「忘れ去られた世界なんですから廃車になったバイクとかたくさんあるでしょう!!ほらDo it,NOW!!!!!!!!」
「ええ――――――!!!?」
「DO IT,N O W ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「……ふぁい、社長命令なんでバイク拾ってきます……」
「ジェイミィは片っ端から全力で修理ですわよ!」
「ええー私がやるんですか?いいですけど……」
「はい急ぐ!二人共キリキリ動きなさいな!!」
「はいはいわかってますよ。何で私カクリヨくんだりまできて修理してるんでしょう……」
しおしおとした表情でベルゼは山へバイク探しに、ジェイミィはため息をついて川ならぬすすき野でバイク修理に。
社員旅行という名目はどこへいったのやらである。
◆
「それでは、第1回お月見記念チキチキ★オートレース大会を開催致しますわ!!」
そしてベルゼが片っ端から仕入れてきた廃車バイクをジェイミィが修理している一方、ヴィクトリアは社員全員に対し冒涜的神話生物的何かが出ようとしている満月をバックに高らかに宣言した。
もちろん、扇子には「開催」の二文字がきちんと書かれている。
「なんか社員募ってオートレース始めたッ!?!?」
「ああ、オートレースですか。UDCアースにおいては競馬競輪競艇に並ぶ公営競技ですな」
「いや、あの、何で社員旅行にきてやることがわざわざオートレースなの……?」
最早月を見るまでもなくSAN値が削れそう、いや削れまくっているベルゼである。
「ベルゼさん大丈夫ですか?なんか凄い疲れ切った顔してますけど」
「あはは……ちょっとここ数日……忙しかったですからね……」
さらにここに社長の無茶振りによる追い打ちがかかっているもんだからHPは既に風前の灯、LPも残り僅かのような状態のベルゼ(※気力的な意味であり実際のLPではありません)。
その目には例え化粧をしていても目立つであろうひどいくまがあり、ジェイミィは流石にいたたまれずそっと栄養ドリンクを手渡しそれを受け取ったベルゼは秒速で一気飲みした。
そしてそんな二人のことは露知らずヴィクトリアは社員たちに向けて車券を売り出し始める!!
「はい出場者はこちら!オッズはこれ!さぁ張った張ったァ!!」
「車券あるのこれェ!?!?!私未成年だから参加できないけどそもそも開催自体良いの!?!?」
「もーさっきから何ですのベルゼ、ここはカクリヨファンタズム、UDCアースの常識が通用するとは思わない方がよろしくてよ?」
「そうなんだけどそうじゃなくてェ!!!!!!!!!!!!」
「え、社長。車両の規格ものの見事にバラバラなんですけどそれは良いんですか?」
「何言ってるんですのジェイミィ、そこも貴方の仕事でしょう?」
「あっはい修理ついでに統一しろと。頑張ります。セラフィム・リッパーにも手伝わせたら時間はかかりませんか……」
「急いでくださいましね、レースの出場者は今決まりましたので!」
ヴィクトリアの無茶振りにも動じず、ジェイミィはユーベルコードでAI制御のセラフィム・リッパー一個中隊を召喚し的確な指示で廃車一台一台を確実に修理していく。
ああ、きっと退社前はめちゃくちゃ彼女に振り回されてたんだろうなとベルゼは思った。対応が、あまりにも、慣れすぎている。
「ベルゼ、貴女は参加しませんの?」
「いや社長、私未成年だから参加できないんですけど」
「選手で出場すればいいじゃないですの。せっかく旅行にきたんですから貴女も少しは羽目を外しなさいな、ほらほら」
「いやだからあの社長お願いだから話を聞いtあ゛――――――私の名前最初っから選手の中に入ってるんじゃないですかァ―――――――!!!!!!!!」
もうやだSAN値チェック待ったなしすぎるよ助けて、と涙目のベルゼであったが。
「さあ選手の皆様、バイクが用意でき次第スタンバイしてくださいまし!優勝したら 昇 給 と 昇 進 をお約束しますわよ!!」
「……………… 昇給?????」
昇給。
昇給。
昇給……
脳でその2文字が木霊する。
「…………………上ッ等じゃないやってやろうじゃないのこん畜生ォ!!!」
こんなん昇給なきゃ割に合ったもんじゃねえよ!!!!という強い決意の元、ベルゼはあらゆる手を尽くしてでも優勝を決意した。
何故なら株式会社UAIは皆【斜め45度で叩けばあらゆるものを修復できる】というユーベルコードが社員としての必須技能!
つまり猟兵程でなくても多少のユーベルコードが使用可能な社員たちが相手なら、手加減したら逆に待っているのは己が敗北の運命なのだッ!!!
「絶対に優勝してやるんだからぁ―――――――――――――ッッ!!!!!!」
睡眠時間3時間とそれまでの過労とSAN値チェックが入った上に昇給をちらつかせられたベルゼは振り切れすぎたテンションで株式会社UAI・第一回お月見記念チキチキ★オートレースのスタートを切ったのであった――。
優勝できたかどうかまでは流石にその場にいたベルゼ本人とヴィクトリア、ジェイミィ、そして株式会社UAIの社員たちしか知らないのだが、とりあえずグリモア猟兵は後ほど彼女の自宅宛にKokozona通販で見つけた効き目の良い胃薬の配送を手配したそうな。
え、それって月元に戻ってなくない?大丈夫かって?
戻っていなければこの騒動が報告書に認められることはなかっただろう。なのでそういうことです、ご安心ください。
大成功
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