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大祓百鬼夜行⑮〜その願いの先に

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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「ツバメさん、黄金を持っていっておくれ」

 ぺらり、ぺらりと剝がれていく。
 一枚、また一枚と煌びやかな黄金が剥がされる度、その下地から顔を覗かせるのは押し固められた土のような……酷く寂しく粗雑な下地。
 そうして黄金が減るほどに――膨大な虞が周囲へと溢れかえり、空気をヒリつかせる。
 しかしそのようなことは些事だとばかりに、身動き一つ取らなかった黄金の少年――西洋親分『しあわせな王子さま』は、その視線を前に向けた。
 何故ならば時が来たから――大切な、役目を果たす時が。

「さぁ始めなきゃ……僕のたいせつな役目を」

 宝石輝く右目は希望に満ち――。
 ――空洞と化した左目の眼窩は闇に染まっていた。


「なんともやり辛いものだが……やらねばならんようだな」
 グリモアベースにて額に皺を寄せ猟兵たちへと語り掛けるは、赤毛のグリモア猟兵――テオ・イェラキ(雄々しき蛮族・f00426)だ。
 テオによれば今度の敵は西洋親分と呼ばれる妖怪――しあわせな王子さま。
 親分である彼はあえて骸魂の影響を喰らっている。
 その上で討伐されることにより、大祓骸魂が放つ圧倒的な虞を和らげることが出来るというのだ。
 だがそのためには手加減は不可能――全力で殺し合うことが、必要不可欠なのだ。

「西洋親分が放つ強力な虞により、どうやら俺たちは本能的に危機感を感じるようだな……であればこそ、出来ることもあろう」
 周囲を覆いつく虞は猟兵たちに本能的な恐怖を感じさせる。
 故に猟兵たちは窮地へと陥った時と同様に、真の姿を取り全力で戦うことが可能となるだろう。

「戦わずに済めば良いがそうもいくまい……皆、気合を入れてくれ。そして西洋親分のことも……頼む」
 テオは猟兵たちを戦場へと送り出す。

 優しき親分を頼むと……言葉を残しながら。


きみはる
●ご挨拶
 お世話になります、きみはるです。
 ついに来ました一人目の親分、頑張りましょう。

●依頼について
 全力で戦う必要が御座いますが、殺しさえしなければ討伐後西洋親分を助け出すことが可能となります。
 是非是非この優しい親分と戦うことに葛藤を感じながら、心を揺れ動かされながら全力で戦っていただければと思います。

 また、今回の依頼は1章構成ではありますが、真の姿で戦うことが可能となります。また、プレイングボーナスは下記の通りです。

 プレイングボーナス……真の姿を晒して戦う(🔴は不要)。

 真の姿はイラストがあれば参考とさせて頂きますが、複数存在する方やイラストをお持ちで無い方は一言外観について言及頂けますと助かります。

●プレイングについて
 5/12(水)8:31~プレイングを募集させて頂きます。
 少な目人数での進行を検討しております。募集締切はタグにてご連絡させて頂きます。
 必ずしも先着順では無い旨、ご了承ください。
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第1章 ボス戦 『西洋親分『しあわせな王子さま』黄金形態』

POW   :    あたたかな光
【黄金の光】が命中した部位に【「理性を破壊する程の幸福」】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    しあわせな光
【黄金の輝き】を解放し、戦場の敵全員の【「不幸を感じる心」】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ   :    黄金をささげる
自身の装備武器を無数の【黄金】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シキ・ジルモント
自らの身を削ってまで役割に徹する、か
二つの世界と、そこに住む存在が大切だという事か
…こちらも全力を以て戦おう、彼の覚悟に報いる為にもな
真の姿を解放する(月光に似た淡い光を纏い、犬歯が牙のように変化し瞳が輝く)

流し込まれる幸福には抵抗
抵抗せず屈すれば、彼との戦いから逃れる事もできるだろうが…
…しかし幸福に溺れてしまえば「役目」を果たさせてやる事が出来ないと、自身の内に言い聞かせて
抵抗に手間取り狙いが定まらないなら相手の懐へ飛び込み、狙いをつける必要の無い零距離射撃の距離からユーベルコードで反撃を試みる

手を抜かず戦って倒すつもりだが、殺そうとは思わない
生きて、滅びを回避した世界を見てもらわなければ




 ひりひりと肌に感じる感覚。
 虞――肌を刺すこの感覚は戦場で感じる濃密な殺気にも近い威圧感に、本能的な恐怖と共に開放される己が真の姿。
 本来であればこの姿は好ましいものでは無かったと、人狼――シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は想いを馳せる。

 全身を覆う毛並みは月光にも似た淡い光を纏い、犬歯は牙のように鋭く、そして長く姿を変える。
 闇夜に光り輝く瞳は狩人のそれ。
 己が獣性の象徴たるその姿をさらすことは、シキにとっても避けたいこと。
 だが今日はそのようなことは些事であると感じるほどに、彼は己がその姿を受け入れていた。

「自らの身を削ってまで役割に徹する、か。それほどまでに二つの世界と、そこに住む存在が大切だという事か……ならばこちらも全力を以て戦おう、彼の覚悟に報いる為にもな」
 彼ほどに、献身という言葉が似合う者が存在するだろうか。
 眉を顰めるほどの、みすぼらしいとすら感じさせかねないそのボロボロの姿……しかしそれでも尚己が使命を果たさんと、役目に準じるその姿にシキは尊敬の念を抱かずにはいられないのだ。
 今日だけは……己が真の姿の嫌悪感など――些事であると思えるほどに。

「さぁ始めようか……」
 西洋親分――しあわせな王子さまは決して多くは語らない。
 だがひと際肌を刺すこの威圧感が強まるその様から、彼が全力でこちらを殺しにかかっているのが理解できた。

 彼がその手に握る剣を向けた瞬間――辺りを暖かな光が覆いつくす。
 その瞬間脳裏を埋め尽くすほどの濃密な幸福感に……思わずシキはたたらを踏んだ。

(抵抗せず屈すれば、彼との戦いから逃れる事もできるだろうが……)
 思わずそう試行してしまうほどに、この濃密な幸福感は――垂れ流される快感は甘美なもの。
 それに甘えてしまえば……この優しい彼を討たずにすむとも、思わずにはいられない。

「だが……」
 それでもやらねばらなぬと、シキは想う。
 ぎちりと牙を鳴らし、口内に流れる鉄の味を感じながら。
 尊い彼の覚悟を無駄にはしてはいけないと――彼の役目を果たさせてやらねばなるまいと。
 だからこそ、その幸福に抗い――その身を懐へと飛び込ませるのだ。

「俺は――手を抜かん」
 人狼は引き金を引く――覚悟を以って。
 その姿を――優しい微笑みに見守られながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミルフィ・クロノラヴィット
アドリブや連携等も歓迎

『しあわせな王子さま』とは
遂に西洋妖怪親分が
御目見えですわね…

…貴方様の『覚悟』
わたくし達も
受け止めますわ…!

決意する様に
UC発動
禍々しい【漆黒の旋風】に
覆われ
全身は見えないが
真の姿となり戦闘に

手にした
『ジャバウォックの爪牙』を
状況により
剣・蛇腹剣形態や
大鎌形態等にも
変形させつつ
虚無の【属性攻撃】【なぎ払い】等の剣戟等や
剣の【斬撃波】や
身体を覆う【漆黒の旋風】等の遠距離攻撃等で攻撃

『全力で以て…貴方様の御相手、つかまつりますわ…!』

敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】【オーラ防御】等で
防御・回避

『骸魂さえ剥がせれば…!王子様…何としても、貴方様を…お救い致しますわ…!』


杼糸・絡新婦
真の姿開放
さてさて、真の姿をさらけさすのはどちらの幸運かいな。
お役目果たすお手伝いさせてもらいましょうか。

鋼糸で【フェイント】を入れ攻撃、
絡みつき【捕縛】するように行動阻害し他猟兵へのすきを作ったり、
こちらへの攻撃を誘発。
動きを観察し、【情報収集】
【見切り】でタイミングを図り脱力、または
他の猟兵への攻撃を【かばう】ことで受け止め、
オペラツィオンマカブル発動
排し、返せサイギョウ
不幸を感じるからこその幸不幸
で、どっちを感じたかな?




「しあわせな王子さま、とは……遂に西洋妖怪親分が御目見えですわね」
 肌を刺すような威圧感に、ミルフィ・クロノラヴィット(メイドオブホワイトラビット・f20031)はついに相対したのだと、そう本能から理解した。
 グリモアベースで予知を聞きかじっただけの段階とは、間違いなく違う……相対したからこそ分かるその気迫が――その覚悟が、間違い無く眼前の少年が本物なのだと、そう心の底から理解できたと、今ならばそう言えるのだ。

 だからこそ――

「……貴方様の『覚悟』、わたくし達も受け止めますわ!」
 だからこそ正面から彼の覚悟を受け止め、そして打ち倒すのだと――そう決意を新たに戦場に立つのだ。

「お役目果たすお手伝いさせてもらいましょうか」
 ひらり、ひらりとその袖を揺らしながら、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は戦場を歩く。
 気合十分といった様子のミルフィとは対照的に、絡新婦はいつも通りのはんなりとした様子。
 しかしそれは、決してしあわせな王子さまを甘く見ているというわけでは無い。
 その覚悟を、その実力を十二分に理解した上で――己が自然体こそが、最も己の実力を発揮できるものだと理解しているが故に、決してその態度を崩さないのだ。

「さてさて、真の姿をさらけさすのはどちらの幸運かいな」
 びきり、びきりと異音を響かせながら絡新婦はその姿を変える。
 脱ぎ捨てた上着の下から覗くは黄色と黒の縞模様。
 衣服から顔を覗かせるその肌は、明確な警告色を示している。
 しかしその肌以上に視線を集めるのは、その額に浮かぶ蜘蛛のような複眼であろう。

 それこそが、操るもの――杼糸・絡新婦の真の姿なのである。

「ほな、行きましょか」
 絡新婦が鋭く変化したその指先を操れば、呼応するかのように伸ばされた鋼糸が宙を舞う。
 きらりきらりと光りを反射させるその細き刃は、動きと共に色味を変える。
 そうして複雑怪奇な軌道を描けば、まるで生き物かのようにするりと忍び寄り、しあわせな王子さまの四肢を絡めとるのだ。

「その程度、かい?」
 しかしその窮地に、西洋親分――しあわせな王子さまは決して焦らない。
 彼が放つは黄金の輝き――その輝きを受けた瞬間、鋼すら切り裂くはずの鋼糸がぷつり、ぷつりと引きちぎられるでは無いか。
 それは本来であれば起こり得ぬ問題――不幸な出来事。
 しかしそれこそが、幸不幸を操る彼の異能によるものなのだ。

「ほら、いまや」
「任せて下さいませ!」
 しかし絡新婦もまた、その様子に焦る様子は無い。
 何故ならばそれはあくまで隙を生み出す為の――仲間の猟兵の為の布石。
 そうした彼の投じた一石に応じるかのように、敵側面から接敵していたミルフィがその刃を抜くのだ。

「全力で以て……貴方様の御相手、つかまつりますわ……!」
 ミルフィが身に纏うは漆黒の旋風。
 禍々しい風を渦巻く黒風鎧装の隙間からその真の姿を覗かせながら、彼女は鎌首をもたげた竜のような刀身の大剣――ジャバウォックの爪牙を振るう。

 鎌首をもたげ大鎌と化し。
 蛇のようにその身を伸ばし蛇腹剣と化し。
 するりと戻れば強固な大剣と化す。

 その戦いぶりは正しく変幻自在。
 痛々しい姿と化したしあわせな王子さまを傷つけることに心を痛めながらも、しかしそれこそが唯一救う道なのだと知るが故に剣を振るい続ける。

「骸魂さえ剥がせれば……! 王子様、何としても貴方様を……お救い致しますわ!」
 漆黒の旋風を荒ぶらせ戦い続けるその姿に一片の油断も手加減も悔いも無く。
 唯々その剣を振るい続けるのだ。
 それは優しさゆえの――苛烈さであった。

「僕に救いはいらない――これこそが、僕の役目だから」
 しかし傷を負って尚しあわせな王子さまの微笑は曇らず、その空洞と化した眼窩にのぞき込まれたミルフィは思わず漏れ出そうになった声を嚙み殺す。
 圧倒的な虞に身震いしながらも、しかしあふれ出るあたたかな光に流されまいと、その歯を食いしばるのだ。

「排し、返せサイギョウ」
 しかしその間に、割って入る者がいた。
 ぎらりと緑の複眼を光らせながら、絡新婦は己がからくり人形――サイギョウを操る。
 絡繰り機構によって開けられたその口に吸いこまれた光は脳髄を溶かしそうな幸福から猟兵を守り、そしてその力を跳ね返すのだ。

「不幸を感じるからこその幸不幸……で、どっちを感じたかな?」

 からくり人形がその口を再び開いたその時――辺りを閃光が覆いつくした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ハロ・シエラ
手加減せずに全力で戦えと。
普段なら躊躇する所ですが……この身も竦むような圧力。
死力を尽くして漸く一矢、と言った所でしょうか。
逆に安心して真の姿で戦える、と言うものです。

まずはエッジ・オブ・サンクチュアリを足元に突き立てて発動する【結界術】と【オーラ防御】で身を守りましょう。
それを抜けて傷付いても【激痛耐性】で涼しい顔をしておきます。
防御自体よりも結界とオーラで花びらの勢いを削ぎ、こちらのユーベルコードの風で吹き飛ばしてしまう事が目的です。
風は黄金の花びらを舞わせながら荒れ狂い、威力を増すでしょう。
それにさらに【破魔】の力を帯びた炎の【属性攻撃】を乗せ、骸魂を【焼却】してしまえればいいのですが。




「手加減せずに全力で戦えと」
 いくら傷を負おうとも、いくらその身の輝きを失おうとも……消して引かぬ少年――しあわせの王子さまを見つめ、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)はそう一人言葉を零す。

「普段なら躊躇する所ですが……この身も竦むような圧力。死力を尽くして漸く一矢、と言った所でしょうか。逆に安心して真の姿で戦える、と言うものです」
 この世界の為に己が命すら捧げんと言う尊き少年を前に、それを全身で打ち倒せと聞いたその時には耳を疑ったもの。
 どうしたものかと葛藤を続けこの場に挑んだものの、しかし眼前の存在から感じる圧倒的なプレッシャーは、彼女の悩みを些事だとばかりに吹き飛ばしていく。
 己程度の実力で、手加減などとおこがましい。
 この圧倒的存在感から……敬意を以って、全力で挑むことに何ら配慮など不要なのだと、ただ胸を借りれば良いのだと、そう思えたのだ。

「黄金を捧げよう」
 その身に握る剣の刀身を黄金の花びらへと変え、しあわせな王子さまはその腕を振るう。
 空気を切り裂き舞い散る黄金の刃が迫りくる様子を見つめ、ハロはその手に握る短剣を大地へと突き刺すのだ。

「エッジ・オブ・サンクチュアリ!」
 聖なる刃によって生み出された聖域が――不可視の盾が黄金の刃を防ぐ。
 しかし相手は西洋親分――しあわせな王子さま。
 一軍の長たるものの全力の一撃は、不可視の盾にヒビを入れ、打ち砕きハロへと迫りくる。
 鋭き黄金の刃は少女の全身を切り刻む。
 しかし全身を紅に染められようとも、覚悟を以って戦場に挑む少女は顔色一つ変えることは無かった。
 己の実力が至らぬことなど承知の上。
 であるならばこの尊敬すべき格上の敵に打ち勝つ為には、根性で以って死力を尽くすしかとり得る手段が無いのだと良く理解しているが故に。

「この風に乗り、音速を超えて……!」
 不可視の盾が乾いた音を立て完全に崩壊したその瞬間――ハロが放つは空すら切り裂く強力な暴風。
 音速すら超えかねない速度で爆発した空気の塊は黄金の花びらを吹き飛ばし――そして黄金の刃をその身に巻き込んだ上で敵を穿つのだ。

「これが……私の全力です!」
 少女の尊き祈りと共に撃ち込まれた黄金の暴風は、気高き少年を飲み込んでいく。
 己が全力が足りずとも一矢報いることを祈り――この尊き少年を救う一助になることを祈りながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱鷺透・小枝子
真の姿、白髪赤眼の悪霊(自覚無し)

全力で破壊/救助します!

駆けだしながら、UC発動。2丁の散弾銃を手に、光の中を駆け抜ける己から恐怖心を、不幸を感じる心を、戦いに不要な心を削ぎ落し代わりに闘争心が詰め込まれる。

散弾銃から、オーラ弾、霊障念動力の重量攻撃。吹き飛ばし、増大した思考反応速度とスラスターのスピードで最接近、零距離射撃を行う。

これまでに出会った妖怪も、これから会う事になる妖怪達も、そして、貴方も!その献身と覚悟、見事!
だからこそ、報いるのだ。敵を破壊し、その身を救うことで!

神器拳銃から引き出した力で、散弾銃から放電。属性攻撃。
王子の身に巣食う虞を電撃で焼却する。

壊れろ、オブリビオン!!




「全力で破壊/救助します!」
 高らかな宣言と共に、白髪赤眼の少女――朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は駆ける。
 それは人工的に作られたアンサーフューマンである彼女の取り得る真の姿の一つ。
 空気中を漂う濃密な虞が――空気を張り詰めさせる濃密な殺気に呼応することでその身体が取った、戦闘に適した姿。
 本能的な反射によって変えた姿に本人は気付くことは無い。
 何故なら彼女の思考は、如何に全力で眼前の存在――しあわせな王子さまを破壊するのか、救助するのかに割かれているのだから。

 常人以上の思考力――瞬間思考力(フォーアンサー)を生み出す為に常人離れした速度で脳内を駆け巡るシナプスが、戦闘の為だけにつぎ込まれる。
 彼女へと向けられるしあわせな光が「不幸を感じる心」を奪い去っていることもまた、彼女のその症状に拍車をかけているだろう。
 戦いに不要な感情を廃したことで生まれた隙間に、闘争心が注ぎ込まれる。
 極限まで活性化した交感神経がアドレナリンを垂れ流すのだ。

「これまでに出会った妖怪も、これから会う事になる妖怪達も、そして、貴方も! その献身と覚悟、見事!」
 両手に散弾銃を握り、敵の懐へと飛び込む。
 散弾銃から放たれた弾幕を以って視界を奪いさり、スラスターから吐き出される推進力が増大された思考反応速度によって瞬時かつ緻密に計算した軌道を正確になぞる。

「だからこそ、報いるのだ。敵を破壊し、その身を救うことで!」

 はじけ飛ぶ跳弾。
 崩れ落ちる瓦礫。

 与えられた不幸によって起こり得るトラブルすらも瞬間思考力によって修正され、その全ての挙動を都度最適なものへとアップデートする。
 そうして全ての攻撃を避けきった上で、小枝子は無傷で零距離までたどり着き、その両手に握った散弾銃の銃口を向けるのだ。

「壊れろ、オブリビオン!!」

 少女の叫びと共に引き金が引かれたその時――辺りを閃光が覆いつくした。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜
(真の姿:希望の悪夢という矛盾した姿を表す半仮面、漆黒の六枚翼を纏い、紅い闇の中に半ば体が溶け出している。物理存在というより半ば概念存在)

王子よ、あなたの願いは確かに美しい
されど一つだけ間違っています
あなた自身の幸せもまたあなたが救うべき幸せだと
忘れてしまっていることですよ

黄金の花弁、逆に利用させてもらいましょう
「結界」を展開し花弁を防ぎつつ周囲に弾き
「オーラ」を放ってその無数の黄金に無限反射させ
閃光の目くらましとします
その一瞬の隙に輝きの中から我が鮮血の胡蝶たちが舞い
骸魂を侵食し崩壊させるでしょう

御覧なさい、ひとときの夢を
あなたの希望通り、この世界が救われた夢をね
その夢は私たちがかなえます




「王子よ、あなたの願いは確かに美しい……されど一つだけ間違っています」
 薄暗い戦場に、美しき声が響く。
 漆黒の六翼を纏い、紅の闇へとその身を浸す。
 半仮面を身に着けた少女――黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、ゆっくりと歩を進めながら、眼前の少年――幸せな王子さまへと声をかけるのだ。

「あなた自身の幸せもまたあなたが救うべき幸せだと、忘れてしまっていることですよ」

 尊き王子さま。
 世界の為にその身を捧げた少年。

 この優しくも儚い彼を、どうして捨て置けようか。
 彼もまた――否、彼こそが幸せになるべきだと、魅夜はそう断言する。

「僕は……この黄金をささげるだけ」
 対し、眼前の少年――しあわせの王子さまは決してその身を顧みることは無い。
 それこそが彼の矜持であり、彼の存在価値なのだと言わんばかりに。

 彼が突き出した剣はその刀身を黄金の花びらへと姿を変える。
 ゆらゆらと宙を舞ったかと思えば竜巻の如き勢いで荒れ狂うその黄金の刃を、魅夜は不可視の盾を周囲に張り巡らせることで、冷静に受け止めるのだ。

「肉も鋼も魂までも朽ち果てよ、終焉の赤き闇夜今来たれり」
 対し、魅夜が放つのは真紅の胡蝶。
 黄金の花びらの隙間を縫うように羽ばたく蝶が放つ紅の鱗粉が放つ光は黄金の花びらと花びらの間で反射し、無限に広がってゆく。

 それはまるで空を紅に染めるよう。

 それは正しく悪夢――虞を侵食し打ち払い、希望をもたらす為の悪夢そのものだ。

「御覧なさい、ひとときの夢を……あなたの希望通り、この世界が救われた夢をね」
 安心して眠れと、少女は語る。
 そうして起きた時、そこは必ず優しい世界であると。

「その夢は私たちがかなえます」
 猟兵たる自分たちが、必ずかなえると――そう誓いながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

白斑・物九郎
●POW



しあわせな王子……
おたくもおたくで『忘れ去られて』オチが付いた物語なんでしたっけか?
その箔、大物ってだけのコトはあるみたいっスね

安心しなさいや
取り分け俺めは、今この瞬間のおたくの挺身を忘れやしねえ

おたくが王子なら俺めは王だ
ワイルドハントの狩りの魔王が、直々に相手してやりまさァ!


・【野生の勘】を滾らせ攻撃を搔い潜りながら王子へ【ダッシュ】で最接近、コード発動

・理性をヤラれようと問題無い
・何故ならこれは、理性を手放し戦う技である(限界突破+暴力)

・敵コードによる部位爆破等には、真の姿の構造にて対抗

・己の真の姿、それは、身体を爆破されようとも支障ない――体をモザイク状の靄で構築した異形である




「しあわせな王子……おたくもおたくで『忘れ去られて』オチが付いた物語なんでしたっけか?」
 その様子は正しく満身創痍。
 黄金の肌の隙間から覗かせる痛々しい素地は、明確に面積が増えていた。
 そうしてどんどんと輝きを失っている様が――妖怪として認知されるしあわせな王子さまの物語と重なるようで。
 その様子を見つめる白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)はなんとも言えず唇を噛む。

「その箔、大物ってだけのコトはあるみたいっスね」
 だが……彼を憐れむ余裕も、手加減をする余裕も無い。
 あふれ出る強大な虞が、空気を張り詰めさせる――肌を刺すようなその気迫に、どうして相手を軽く見ることが出来ようか。

「安心しなさいや……取り分け俺めは、今この瞬間のおたくの挺身を忘れやしねえ」
 だから自分は、全力でも以ってこの尊敬すべき敵を打ち倒す。
 彼の挺身を忘れず、彼の覚悟を無駄にしない為にも、全力で戦うのだ。

「おたくが王子なら俺めは王だ、ワイルドハントの狩りの魔王が、直々に相手してやりまさァ!」
 雄たけびと共に、物九郎の全身に白き紋様が浮かび上がる。
 それは禍々しき呪紋――理性を代償に身体能力を向上させる諸刃の剣だ。

「僕は……役目を……」
 その身がいくら輝きを失おうと、しあわせな王子さまはその身を顧みることなど無い。
 正面から接敵する物九郎へと向けられた剣先から迸るあたたかな光は、返り討ちにせんと理性を破壊するほどの幸福を流し込む。
 それは思考を鈍らせ、通常であれば足を止めざるをえないほどの感情の奔流。
 しかし己が理性すら手放した物九郎にとっては――障害とは成り得ないのだ。

「ガ、アァ!」
 あたたかな光が集光したかと思えば、物九郎の片腕を吹き飛ばす。
 しかしそれでも尚、彼の足は止まらない。
 弾けた腕は血潮を零すことなく、モザイクがかかったかのようにチラチラと揺れ動きながら異形へと姿を変える。
 それは物九郎の真なる姿――巨大化した異形のかぎ爪で以って、眼前の敵を貫くのだ。

 衝撃と共に――鋼と鋼がぶつかり合ったかのような轟音が響き渡る。

 そうして立ち上った土煙が晴れた後――辺りを覆いつくしていた虞が……張り詰めていた空気が、静かに……そっと和らいでいくのであった。

 意識を失い――しかし呼吸を続ける尊き少年を横たわらせたまま。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月15日


挿絵イラスト