1
銀河帝国攻略戦⑩~スニーキング&ブラスト

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦争
🔒
#銀河帝国攻略戦


0




「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「銀河帝国攻略戦の事は、いまさら説明するまでもないよね。キミ達の活躍により解放軍の戦力は拡大、銀河帝国の第一次防衛ラインを突破する事が出来たよ!」
 これにより、解放軍は帝国の大要塞『エンペラーズマインド』への侵攻に成功した。これを攻略するのが、次の任務となる。
「キミ達には、エンペラーズマインドの突入作戦に参加してもらうよ。マインド周辺は、ボク達グリモア猟兵の転移も効かないみたいでね……だから、マインドの中枢、コアルームへの道は、キミ達に切り開いてもらう必要があるんだ」
 幸い、帝国軍の防衛戦力は、『解放軍』のスペースシップとの決戦に向かっており、『エンペラーズマインド』周辺宙域の警戒は疎かになっている。少人数でなら、容易に潜入が可能だろう。
「ただ、エンペラーズマインド内部には、数百以上の『巨大隔壁』が存在するんだ。この数百枚の隔壁の、どれがコアルームに通じてるかは、ボク達の予知でも分からないんだよね……」
 また当然、隔壁を攻撃すれば、警報が起動し、多数の警備兵が多数集まってくる。これを少人数で全て倒すのはまず不可能なので、破壊出来る隔壁は、1度の潜入で、数百枚の1枚だけしかない。
「ただまあ、予知では分からないとはいえ、普通に考えれば、警戒厳重な奥のエリアがコアルームに繋がってる、と考えるのが妥当だよね」
 よって、作戦としては、『警備兵の目を盗んでなるべく要塞の奥まで潜入』『重要そうな隔壁を見つけたら、1枚を選んでそれをユーベルコードで破壊』『破壊後は警備兵が集まってくる前に撤退』と言う形になる。

「大事なのは2つ。『どのようにして要塞の奥までこっそり潜入するか』と『隔壁をどうやって破壊するか』だよ。撤退に関しては、ボクの力でグリモアベースまで強制撤退させられるからね、そこは気にしないで大丈夫」
 隠密行動が緻密であればあるほど、奥の、重要な隔壁の元に辿り着ける。潜入の工夫が重要となるだろう。もちろん、隔壁を破壊出来なければ本末転倒だが。

「戦争はまだ続くんだ、ここで躓いてはいられないよね。マインドの破壊だけじゃなく、ドクター・オロチにも繋がる重要な作戦だよ」
 いつもどおりのわざとらしいほど可愛い仕草の中に、強い期待をもって、くるるは猟兵達を見渡す。
「だから、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」


一二三四五六
 さあ、銀河帝国攻略戦も第二段階に突入です。

 ごきげんよう。お互い、まだまだ頑張って攻略していきましょう。一二三四五六です。

 というわけで今回は『エンペラーズマインド』突入戦となります。フラグメントは、同作戦用の共通フラグメントとなっています。

 補足。
 今回は戦争シナリオですので、ちょっと早めの返却を目指します。とは言え、今日中にいきなり返すとかは流石に無理なので、そこまで焦ってプレイングを送らなくても大丈夫ですが。

 それでは、皆様のプレイングを、楽しみにお待ちしています。

=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
376




第1章 冒険 『⑩エンペラーズマインド突入戦』

POW   :    密かに潜入し、POWのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

SPD   :    密かに潜入し、SPDのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

WIZ   :    密かに潜入し、WIZのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蜂蜜院・紫髪
*アドリブ連携歓迎
心情:ふむ…迷路のような物かの?こういう時の勘は良いのじゃ。(【野生の勘】【第六感】)
奴らは儂の【陽炎の術】に気づけるじゃろうか?まぁ試してみればいいのぅ。
儂一人ではちと火力が足りないかの?もう一人なら連れ歩けるのじゃし声をかけてみるかの。

行動:【陽炎の術】を使い奥へ進みます。道を選ぶ時は【勘】を使ったり。敵が重点的に見回っている方へ進みます。
隔壁の破壊には【フォックスファイア】を使います。破壊後は人形を盾にしつつ撤退まで戦います。


オリヴィア・ローゼンタール
帝国の大要塞……地方領主の館への侵入とは比べ物になりませんね

周囲を充分に警戒し(【視力】【見切り】)、気配を探り(【第六感】)、
警備兵の行動パターンを読み(【情報収集】【学習力】)、【目立たない】ように侵入します
その場にいなくても監視できる、「監視かめら」というものがあるらしいですね
レンズの付いた機械のようですので、それの視界にも入らないよう気をつけましょう
見つかった場合はバックチョーク、裸絞めで【気絶】させて静かに速やかに

隔壁を発見したら【紅炎灼滅砲】で破壊します
最短の時間で破壊できるよう、最大出力で的確に(【属性攻撃】【全力魔法】【破壊工作】)
魔力充填完了、照準良し――灼滅砲、撃ちます!


ボアネル・ゼブダイ
行動:POW
後に続く仲間達のためにも、この作戦は成功させなければな

潜入中は目立たないよう慎重に動く
零れ落ちる深淵を発動
不定形の粘液を先導させ、警備兵や監視カメラの死角を付いて潜入する
また、状況によっては床を叩くなど不自然な物音を発生させて敵をその場から遠ざけたり、視線をそらすなどしてルートを確保する
警備兵が会話をしていたら盗み聞きをして情報を得たり、第六感を使い重要な守りの隔壁を探し出す
目星を付けたならば人工血液セットから吸血し、血呪解放を発動
攻撃力を上げて素早く隔壁を破壊する

闇に潜むのは我が半身たる吸血鬼の得意分野だ
呪われた力といえど、人々を救えるのならば出し惜しみはせん

【アドリブOK】


白波・柾
ようやくお膝元というわけか
まだまだ油断はできないが……やっと、一段階進んだ実感があるな
潜入した以上は目立てない
隠密作戦である以上、いつも以上に慎重にかからねばならない

『目立たない』を利用して潜入
単体潜伏兵として行動
『ハッキング』を利用して近くのコンソールを操作、
重要そうな隔壁はどれか調査する
得た情報は全て他の猟兵と共有、協力
猟兵に有利な戦闘環境にできるように調整できたらいい
『ダッシュ』を使用して目的の隔壁まで迅速に移動し、
到着すれば仲間たちと協力して
隔壁の破壊を試みる

【正剣一閃】で隔壁を攻撃


日和見・カナタ
少しずつですが、確実に帝国を追い詰めることができてるみたいですねー。
宇宙の解放は決して夢物語ではありません。
銀河皇帝の討伐を目指してどんどん進撃していきましょう!

私は【SPD】で潜入しましょうか。
【ガジェットドローン】を先行させつつ【サイバーアイ】で視覚情報を同期して、警備兵の動きを確認しながら奥まで進んでいきます!
もし遭遇を避けられなさそうなら殴って気絶させることにしますね!

障壁まで辿り着いたら【属性攻撃】を乗せた【ヒートインパクト】で叩き割りましょう!
その後は警備兵がやってくる前にくるるちゃんにお願いして脱出です!


弥久・銀花
【POW】
今回は潜入任務、目標の隔壁に近付くまではばれない様にしなければいけません。

なので先ずは敵兵をちょっとぶっ倒します。

そして追い剥ぎです、服を奪って奥へと進みます。

怪しまれるとどうしようもないので、なるべく検問みたいな所は避けて方角頼りに進める所まで進みましょう。

行ける場所が無くなったらダクトとか壁の中の配線が通ってる所とか、人が通る事を想定していない所を通って奥へと行きます。
あ、ハッチとかはこじ開けました。


隔壁に付けたらユーベルコードの鋭刃線閃で隔壁を斜めに切断して隙間を作ってみせましょう。

既に誰か見付かって警備兵が一杯居たら強行突破も視野に入れます。


(大きな負傷・アドリブOKです)


ラスベルト・ロスローリエン
千丈の堤も螻蟻の穴を以て潰いゆ、とね。
大要塞すら崩す蟻の穴を穿つとしようか。

◇自由描写・連携歓迎◇
“界境の銀糸”を使い【地形の利用】で通風孔に潜り込む。
ある程度進んだ所で警備兵を【念動力】の不意打ちで昏倒させ装備を拝借しよう。
他の兵は【コミュ力】で切り抜け【情報収集】で厳戒エリアの情報を引き出す。

隔壁を見つけたら《万色の箭》で四大の矢をつがえる。
確か鋼は冷気に弱いのだったかな。
『僕の魔法が星界の技術に届くか否か……一つ試してみよう』
【全力魔法】と【属性攻撃】で[氷柱]の矢を立て続けに射掛け隔壁を凍てつかせる。
隔壁が脆くなったら[巨岩]の矢を叩きつけ[烈風]の矢で引き剥がし[業火]の矢で止めだ。


黒玻璃・ミコ
◆心情
ふむふむ、中々に難しいミッションですね
ですが、文字通りにこの『壁』を破らねば先が見えないのですから
ミコさん、ちょっと本気を出しますよー

◆行動
【黒竜の恩寵】で攻撃力UP
ふむ、幸い私は不定形なブラックタールです
【第六感】による閃きに従い
警備の薄い要塞の通気孔と言う【地形の利用】をして
可能な限り内部に侵入しましょう
暗くとも【暗視】出来ますし
要塞内部の構造は【世界知識】による【戦闘知識】と
【拠点防御】でおおよそ見当がつきそうですからね
其っぽい所に着いたら
【気合い】を入れて【怪力】を込めて
【毒使い】に拠る腐食毒を塗った飛槍で外壁と言う【鎧を砕き】ますよー



「やれやれ、暇だなぁ。俺も防衛艦隊の任務に行きたかったぜ」
「そうかぁ? あっちは激戦だって聞くぜ?」
 エンペラーズマインド内部。外では解放軍と帝国軍の艦隊が激戦を繰り広げているが、こちらは静かなものだ。
 雑談しながら、大きく欠伸をした帝国兵……が、突然、その場に崩れ落ちた。
「っ!? お、おい、どうし……」
「失礼しますね?」
 もう一人の帝国兵の首に、腕がしっかりと巻き付いた。呼吸ができず、助けを呼ぶ事も出来ない帝国兵は、そのまま意識を落とされる。
「さあ、早く片付けましょうか」
「ふぅ……帝国の最新技術とやらに、わしの術が効いて何よりじゃ」
 ゆらり、と何も無い空間に、狐火が揺らめいた。そして姿を現すのは、帝国兵を後ろから殴り飛ばした銀花。そして、彼女に術をかけていた紫髪だ。
「さすが帝国の大要塞……地方領主の館への侵入とは、比べ物になりませんね」
 もう一人の帝国兵を絞め落としたオリヴィアが、周囲に目を配る。幸い哨戒兵は大分油断しているようだが、それでも監視カメラを始めとし、施設の警戒は厳重だ。
「とりあえず、これは貰っていきましょう」
 気絶した帝国兵を物陰に隠すと、その服を剥ぎ取って着替えていく銀花。完全な変装とはいかないが、しないよりはマシだろう。
「……やはり、コアルームのデータはないか」
 近くのコンソールにハッキングツールを押し付け、データを吸い上げていた柾が残念そうに漏らす。コアルームの情報は最高機密、一般兵士がアクセス出来るような端末から引き出すのは無理なようだ。
「さすがお膝元と言う訳だ。厳重だな」
「まあ、その分帝国を追い詰めてる、って実感も湧きますけどね」
 幸い、機密エリアを除くマップデータを始めとした、潜入に有用なデータは引き出せた。その情報を、カナタがサイバーアイにダウンロードしていく。
「そうだな。やっと、一段階進んだ実感はある」
「この調子で行けば、宇宙の解放は決して夢物語ではありません……ボアネルさん!」
 ダウンロードを終えると、目の前に映る情報を確認すると、カナタはボアネルに呼びかける。
「そこの通路の奥……右側です、一緒に確認してもらえますか?」
「心得た。深淵を渡りし異相の精霊よ……」
 言われたボアネルは、右手を前に翳した。少々の集中と共に、呪文を紡ぎ出す。
「――盟約により我が名の元にその力を示せ」
 どろり、と手から零れ落ちる粘液。それは地面に落ち、形を為した。
「後に続く仲間達のためにも、この作戦は成功させなければな」
「はい、どんどん進撃していきましょう!」
 目立たぬように形を変えると、地面を這い進ませた。合わせてカナタも監視用のドローンを送り、先行偵察させる。
「ふむ、これは……こちら、白波だ。今、大丈夫か?」
 その間に情報を再確認していた柾は、通信機に呼びかけた。しばらくの後、声が帰ってくる。
『こちら黒玻璃です。はいはい、大丈夫ですよ』
 通信機の向こうにいるのは、通気孔に潜入しているミコだ。ブラックタールである彼女は、スライム状の姿でその狭い場所に潜り込んでいる。
「こちらで見つけたマップデータに、不完全だがダクト内の物も有った。共有させてくれ」
『おお、それは有り難いですねぇ、是非とも』
 通信でデータを送り、確認している間に、精霊とドローンも先行偵察を終えた。精霊はボアネルと五感を共有してダイレクトに多彩な情報を伝え、ドローンもカナタのサイバーアイと同期して、視覚データを先程ダウンロードしたデータとリアルタイムに照らし合わせている。二人の先行偵察能力は極めて高い。
「ふむ……やはりこのルートは、警備が薄そうだな。だが、全く合わんと言う訳にもいかないか……」
「そうですね……でも、ここを通るのが一番リスクが少なそうです」
 得た情報を元に話し合い、結論を出す2人。
「なら、またわしらの出番じゃな」
 紫髪が再び、陽炎を呼ぶ狐火を生み出す。偵察力が高いのが先の2人なら、自身と仲間一人の姿を消せる紫髪は、先行しての制圧力が高い。
『おや……?』
「どうした?」
 受け取った情報を確認していたミコが、疑問の声を上げた。消えようとする紫髪を手を上げて留め、確認する柾。
『ええ、マップデータを確認していたのですがね。ラスベルトさんからお借りした蔦の伸び方と、違和感が……』
「ほう?」
 横で聞いていたラズベルトが、興味深げに会話に割り込んだ。彼もまた、念動力で昏倒させた兵士から、その装備を奪っている。
「あれが、何か役に立ちそうかね?」
 彼が持ち込んだ界境の銀糸は、いかなる場所にも茂る銀の蔦の種子。芽吹けば即座に伸び、地を埋め尽くすものだ。
『ええ。マップで行き止まりの方に、やけに伸びが良く。今確認して……おやおや』
 暗所も見通すミコの目が発見したのは、マップデータにないダクトと、そちらに伸びていく蔦だ。
 セキュリティレベルの低いデータにない場所となれば、それはつまり機密レベルが高いと言う事。その先に重要な施設がある可能性は高い。
「ふむ。待ってくれ。そちらの方向だと……」
 通常のマップデータとも照らし合わせ、方向を確認する柾。他の猟兵も、その周囲に集まってくる。
「おっと、いけませんよ?」
「っ……!?」
 長く話している間、近くに来ていた帝国兵は、接近を警戒していたオリヴィアがまた締め落として、物陰に引きずり込む。増援を呼ばれないようにするには確かにこれが最適だが、優しげな笑顔をして、この退魔のシスターは実に容赦ない。
「……やっぱりさっきの方向で合ってますねー」
「ただ、その後は、さっきの予定とは逆方向に進んだ方が良さそうだな」
 柾の手元のデータを、カナタやボアネルとも話し合って分析。その結果、目的地が確定する。
「それじゃあ、もう変更はないな? 言ってくるのじゃ」
「あ、では私も行きましょう」
 それを聞き、紫髪は今度こそ、銀花と共に姿を消す。……しばらくして、帝国兵の昏倒する声が響くと、残りの猟兵達も奥へと駆け出した。

「よい……しょっと」
 開かない扉を強引にこじ開ける。隙間を押し広げ、銀花を先頭に入ってきた猟兵達は、思わず驚嘆の息を漏らした。
「これは……大きいですね。領主の館どころか、ヴァンパイアの城の城壁ですら、ここまでのものは早々ありません」
 オリヴィアがそう漏らすのも当然だ。見上げれば首が痛くなるような、巨大隔壁。無論、大きいだけではない、おそらくは分厚いのだろうと推測出来る。猟兵達でも、簡単に打ち破れはすまい。
「けど、これだけ大きければ、奥に大事な施設が有りそうですねぇ」
 無論、だからと言って諦める者など、ここにいるはずもない。ダクトから出て来て合流したミコの言葉に、頷きを返す猟兵たち。
「千丈の堤も螻蟻の穴を以て潰いゆ、と言う」
 各自、ユーベルコードを用意しながら、隔壁と対峙する。攻撃を開始すれば、流石に音で気づかれる。好機は、長くはない。
「ならば、我らで大要塞すら崩す蟻の穴を穿つとしよう!」
 ラスベルトの高らかな宣言を合図とし、猟兵達は攻撃を開始する。
「さて、まずは私から。さあ、目覚めなさい、鏖竜飛槍」
 ミコのタールの身体から、黒い混沌が滲み出す。形を為したそれは漆黒のワイバーン、かつて魔女たるミコが喰らいし竜の一体。
「いあいあはすたあ……拘束制御術式、解放」
 そこへ、別の竜の残滓を呼び起こし。爪で、鱗で、そして毒で、飛竜を覆い、武装する。
「さあ、ミコさん、ちょっと本気を出しますよー」
 命に応じ羽ばたく竜は、空中で姿を変える。一本の槍となったそれは、隔壁にぶつかると同時に、その槍頭から黒竜の毒をぶちまけた。表面を腐らせ、隔壁の耐久力を減少させる。
「さて、次は……」
「私達、ですね。タイミングは、そちらに合わせますよ」
 続くは二人の剣客、柾と銀花だ。
「ああ、頼む……」
 柾が手にする大太刀は、銘を星砕丸。名の通り、かつて、隕石を砕いたという逸話すら残る妖刀だ。
 だが、その逸話通りの破壊力を齎すためには、持ち手が最大限に力を引き出す必要がある。邪魔な装束を脱ぎ捨て、極限まで集中を高めていく。
「頼みましたよ、白嵐玉椿」
 自身の愛刀に呼びかけ、銀花も静かに構えを取る。常に傍らにあった、自らの守り刀。左眼の視力を、かつての技量を失った後も、この刀を頼りに戦場に舞い戻った。そして、今も。銀花の怯える心を、常に奮い立たせ、力を与えてくれる。
「――正剣一閃!」
「――鋭刃線閃!」
 刹那の狂いなく同時に放たれる、二つの秘剣。それはXを描くように交差し、深い刀傷を隔壁に刻みつけた。
「はーい、いきますよー!」
 次はカナタ。両手両足のガジェットに、生体エネルギーを送り込む。
「銀河皇帝討伐のためにも……ここで、立ち止まる訳には、いかないんです!」
 軽い虚脱感さえ感じるほどに、力を込める。蒸気機関が高熱のスチームを発する。生身の部分が火傷しそうなほどで、止め処なく汗が流れ出す。
 それにも構わず、カナタは、真っ直ぐに拳を前に向けた。
「超熱――発勁、用意!」
 轟音が響くほどの速度で、地面を蹴り、真っ直ぐに壁へ突き進む。狙いは、刀傷の交差する部分。Xの中心を、赤熱する拳で違わず殴り抜く事で、巨大なクレーターを作り上げた。
「さて。私だな」
 アルミパックの口を噛みちぎり、中の人工血液を飲み干していく。励起されるのは、忌み嫌うヴァンパイアの力。かつて自分に、怒りと絶望を与えたモノ。
「忌まわしき血、悍ましき半身。だが、今はその力が必要だ」
 血液が、身体に行き渡るのを感じる。背中の聖痕が熱い。
「我が正義を為すため、人々を救うため。出し惜しみは、せん!」
 地を蹴り、手にした剣を、荒々しく、何度も、隔壁に叩きつける。破壊の力を受けて、隔壁のクレーターはさらに深く、さらに巨大に広がった。
「さあ……そろそろ、道を徹すとしようか」
 構えるは大弓。言霊を弦とし、四大の魔力を箭とする。練り上げた水を弓に番える。
「これでは、足りないな。もっとだ」
 さらに、水を凝縮する。熱を極限まで奪い、氷柱を造り上げると、弦をグッと引き絞った。
「さあ、僕の魔法が星界の技術に届くか否か……一つ試してみようか!」
 放たれる、無数の氷柱。鋼の温度を奪い、霜を降ろしていく。
「まだだ!」
 続けざまに、地を凝縮して巨岩を。風を凝縮して烈風を。四大の魔力を、続く限りに解き放つ。
「そしてこれで……」
 最後は、火。残る魔力の全てを、この一矢に込めんとする。
「さぁて、それではわしも、最後の一働きと行くかのう」
「ええ。必ずや、打ち砕いてみせましょう」
 それに合わせて歩み出たのは、紫髪とオリヴィエだ。
「さっさと片付けねばな」
 紫髪は潜入時に陽炎の術を多用し、大分疲労している。そこでさらに狐火を呼び起こすのは、なかなかの苦労だ。長年を生きていると働くのはどうにも億劫になる。
 だが、長年を生きていると、人に、自然に、愛着も沸く。ここは自分の世界ではない。だが、失うのはどうにも寝覚めが悪い。
「魔力充填完了、照準良し――」
 オリヴィアにとって、邪悪を狩るのは生きる意味だ。
 物心がついた時から、ずっと都市の闇を駆けていた。自分の生まれも知らない、曖昧な生。だが、その身に宿り、その槍に宿る力だけは、確かな事実。
 そこに邪悪がいるならば、力を振るうに躊躇いなどない。
「これで――」
 ラスベルトの弦に、業火が番えられる。3人は、一瞬だけ視線を合わせた。
「貫き、穿つ!」
「そぉら、行くが良い!」
「灼滅砲、撃ちます!」
 解き放たれる、業火、狐火、紅炎。極限まで冷やされた壁を、大量の炎が、熱が穿つ。
「っ……!」
 大爆発と共に、破片が飛び散る。思わず目をそむけ身を庇う猟兵達。
 そして、その視線を隔壁に戻し、立ち込める煙が晴れた時……そこには、奥へと通じる巨大な穴が開いていた。
「やった、これで……っと!? 無粋な奴らめ!」
 喜びを口にする暇もない。音を聞きつけた帝国兵が、猟兵達を射撃する。咄嗟に人形を盾にし、身を庇う紫髪。
「ふむ、せっかく穴を穿ったのだ、奥が気になるが……」
 ちらりと視線を向けるラスベルト。だが、奥へ進む余裕はなさそうだ。
 だが、ここに大穴を開けた事は、確かな成果となる。もしこの奥にコアルームがあれば、グリモアの力が届くようになる――即ち、予知が通じる。場所さえ分かれば、再突入は難しくない。
「撤退、だな」
 ボアネルの言葉に、誰もが頷きを返す。カナタが通信機を取り出し、呼びかけた。
「くるるちゃん、お願いします!」
 直後、猟兵達は一瞬の浮遊感を感じ……グリモアベースに転移した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月06日


挿絵イラスト