帰り道やばいの見たんだけど:既読4
いつもの通学路を少し外れただけだった。空に広がる暗く重々しい雨雲を見て、彼女は普段通らない道を使い、早く家に帰ろうとしただけなのだ。
道順を示すスマートフォンを手に、それが示す通りに通学路から脇に入る路地の一つへ彼女は足を踏み入れる。
だがそこには、人型の先客があった。
『───────』
こちらを見ているのか見ていないのか。路地の暗がりでその姿はよく見えない。それでも、彼女はこれ以上その人型について詮索しようとは思わなかった。そうすべきではないと、彼女の直感が告げていたのだ。
早く帰りたいという当初の目的を投げ出して彼女は踵を返して来た道を戻る。それと同時に、反射的に学校の友人達とのグループチャットへ文字を打ち込んでいた。
>帰り道やばいの見たんだけど。
●
「こんな状況でもスマホを手放さないとはねえ」
苦笑と共にスカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)は集まった猟兵達へ依頼の説明を開始した。
「今回の目標は、人間の『噂』で増殖する『感染型UDC』の撃破だ」
感染型UDCは、それを見た人間、それを噂話やSNSで広めた人間、その広まった噂を知った人間全ての『精神エネルギー』を糧として、大量の配下を生み出す性質を持つ。それ故に大至急対処しないと、致命的なパンデミックを引き起こしかねない。
また噂を広めさせるため、感染型UDCは第一目撃者を生きて逃がすという。
「その第一目撃者の名前は佐条さやか。高校二年の女学生だ。学校からの帰り道、運悪く件のUDCに遭遇してしまった。そして残念ながら……UDCの噂は彼女の学友達へ既に広まってしまっている」
スカルの口調は危機感を感じさせる真剣なものだ。
「まず君たちには至急、佐条さやかの元へ向かってもらい、彼女の周囲で大量発生する敵配下の撃破に当たって欲しい」
配下が発生する時刻は放課後、佐条さやかが帰路に着こうと学校の教室から出て廊下を歩いている頃だ。当然ながら彼女に戦闘能力は無い。発生した配下から彼女を庇いながら戦うことになるだろう。
そして戦場は廊下や付近の教室内になる。不慮の損害は仕方ないが、学生達のためにも故意の破壊は控えるべきだろう。また戦場の人払いは完全には出来ない。放課後のため人はほぼいないと思われるが、注意するに越したことはない。
「ただし学校への進入については正門から堂々と入れるよう、こちらで手回しをしておく。変装して忍び込んだり、強引に突入するような事はしなくて良いから安心してくれ」
急ぎの要件ゆえ、可能な限り手間を減らす考えなのだろう。
さて、とスカルは一つ息をつく。
「配下を無事片付けた後は、UDCが目撃された場所へ直接向かってもらうことになるだろう。スピード勝負になるが、なに、君たちなら上手くやってくれると信じているとも。頼む、世界を救ってやってくれ」
激励と共に、スカルは猟兵達を送り出したのだった。
力水
こんにちは。力水です。それでは概要を。
●最終目標
感染型UDCの撃破。
●第一章の内容(集団戦)
UDCの第一目撃者、佐条さやかの周囲に大量発生する配下の撃破。
戦場は佐条さやかが通う学校の廊下、および付近の教室。時刻は放課後。
戦場に学生がいる可能性あり。学校への進入について対策の必要無し(戦場に到着後からの描写になります)。
●第二章の内容(冒険)
UDCを撃破するために目撃場所へ急行するが……?
●第三章の内容(ボス戦)
???
以上概要となります。それでは皆さんのご参加お待ちしております。
第1章 集団戦
『黄昏の救済・分霊体』
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POW : あの浜辺でみんなが待っている。痛みを得た君を。
【輪郭の内側から押し寄せる血色の波】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を亡者の這い出る黄昏の浜辺に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : その痛みが、君の生きている証。痛みこそ命の意味。
【子供のような笑い声と共に皆で踊り狂うこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【地形ごと黄昏の浜辺に取り込ん】で攻撃する。
WIZ : 苦痛に満ちたあの浜辺で。さぁ、一つになろう。
【激痛を呼び覚まし、法悦に変える赤い雨】を降らせる事で、戦場全体が【輪郭の内側と同じ、苦痛に満ちた黄昏の浜辺】と同じ環境に変化する。[輪郭の内側と同じ、苦痛に満ちた黄昏の浜辺]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
その日、佐条さやかはいつもより遅く教室を後にした。運悪く巡ってきた日直の仕事が少し残っていたためだ。校内に残っている生徒はすでにまばらで、廊下の窓から見える夕焼けも赤みを増し、夜の訪れが近いことを示している。
「はぁ、だる……」
愚痴を零しながらもスマホを見れば、同じクラスの友人からメッセージが入っている。いつもの溜まり場――どこにでもチェーン展開しているカフェだが――そこに集合する提案だった。雑にならないように、それでいて簡潔に了解の旨を打ち込むさやかの脳裏にふと、先日見た光景が蘇る。
路地で見た、あの人型。
話を伝えた友人達からは様々な反応があった。だが結局あれがなんだったのか、正体はわからず憶測が飛び交ったままだ。
どうせ目新しい話も無いし、今日もこの話で暇を潰してもいいかもしれない。それに今日の溜まり場にはまだこの話を聞いていない友人も来ているようだし、何か新しい話が飛び出す可能性も期待できる。
そう、彼女が思った時だった。
――あはは。
幼い子供のような笑い声が聞こえた。
廊下の真ん中で立ち止まり、思わず辺りを見回したさやかの視界の中、目に映るあらゆる場所から人の形に切り取られた紙のような何かが、ずるり、ずるり、と無数に這い出てきていた。
息を飲むさやかの周囲で紙人形はさらに数を増やしていく。
――あはは。あは、あはは。あはあああは。はははあはあああ。
あははははははははははははははははははははははははははは。
笑い声が輪唱のように木霊する。廊下はもはや、日常と切り離された異界と化した。
平穏な学び舎の姿を取り戻すため、急ぎ敵を殲滅しなければ!
立花・入
生き物?霊体?正体不明の化け物だけれど、倒せない事は無いはず。感染するのなら元から断たないとね。
どんなUDCか分からないけど、空間を作り変えるような力を持っているようだから距離を取って銃撃するよ。
アサルトライフルの弾倉に「除霊」の力を持つ銀弾頭弾と「鎧無視攻撃」のの徹甲弾を交互に弾込めをして撃ちまくるよ。
一体でも残るとまた増えちゃうだろうから徹底的に潰すよ。
…という以上の行動<プレイング>に対する結果<リプレイ>を指定のユーベルコードで読んでそれに対処することで攻撃力を強化した行動をします。
『生き物? 霊体? 正体不明の化け物だけれど、倒せない事は無いはず!』
戦場にひしめく人形の群れに次々と銃弾を叩き込み、道を作りつつ、入は立ち止まることなく駆けていく。
アサルトライフル「二兎」から放たれる銀製弾頭弾がその弾頭に宿した除霊の力で敵を吹き飛ばせば、いかな装甲だろうとその防御を破る徹甲弾が敵に容易く風穴を空けていく。
だがそれでも、彼我の数の差はまだまだ圧倒的だ。入の前に立ち塞がるように並んだ人形達の内側から、血の色をした波が押し寄せる。
『っ!』
決して、今の入に気持ちの面で十分な余裕があるわけではない。どちらかといえば、むしろ必死の部類に入る。
だから彼女は無我夢中で駆ける。駆けて――――、
「間に合えッ!」
追い付いた。
ここまでは立花・入(“編纂者”・f30480)が動き出す前に読んだ『結果』の通りだ。この後、入は駆けて敵の攻撃を避けるという『結果』を迎えた。
だがそれでは駄目だ。そんな『結果』じゃ満足できない。だから入は、先程追い付いた『結果』の自分を追い越すことにした。
駆ける足がさらに先を行き、廊下の壁を強く蹴り、自身の体を宙に舞わせる。舞って宙で逆さになった体の下を、敵が吐き出した血色の波が通り過ぎていく。
そして入の手に握られた「二兎」の銃口が自身を攻撃した人形達に向けられたのと同時に、彼らへ無数の弾丸が放たれた。
廊下に入が着地した時には、狙った人形達の姿は跡形もなく消えていた。
「この結果も悪くない、かな」
だが満足はしていない。さらに良い結果を得るため、彼女はまた動き出したのだった。
成功
🔵🔵🔴
猟兵の戦闘が開始された学舎の廊下。だがその光景は少しずつ、変容を見せ始めていた。
砂だ。
敵の能力が現実を侵食し、学舎を亡者這い出る寂寥たる浜辺へと変えつつあった。唯一、黄昏時の赤色だけは変わらず戦場を照らし続けている。
シホ・イオア
時間をかければ敵が有利になるしどんどん行くよ!
さやかちゃんや学生達の安全を確保するため
できるだけそばに居られるよう立ち回る。
聖者の光で落ち着かせてあげられるしね。
結界術での保護ができるのが理想かな。
敵と敵が生み出すものを指定してUC発動
「輝石解放、サファイア! 浄化の雨よ、降り注げ!」
浄化と亡者に対する祈りと除霊、いたずらに傷つけることへの神罰を付与
敵の攻撃は残像と空中戦で回避。
ただし救助対象が攻撃を受けるときはかばう。
アドリブ連携歓迎
「時間をかければ敵が有利になるし、どんどん行くよ!」
シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)が、手にした宝石剣エリクシアの周囲に青い輝石を生み出す。
彼女が突入した教室内には、すでにかなりの数の敵群が展開していた。さらに、シホの背後には彼女の結界術に守られた学生達の姿がある。彼らの中には情報にあった佐条さやかの姿も見受けられる。
シホが教室に突入後、教室の隅に隠れていたのを発見したのだ。
この異常事態に巻き込まれた彼らは当初、異邦の人の姿にも驚いた様子だったが、シホが放つ光や可憐なその容姿に少しの平常心を取り戻したようだった。
そんな彼らに、容赦なく敵群が襲いかかる。
そうはさせまいと敵群の前へと立ち塞がったシホは、剣を天へと突き上げた。
「輝石解放、サファイア!」
青い輝石の輝きが増し、浄化の力が込められた無数の水球が召喚される。そして間髪入れず、シホは剣を振り下ろす。
「浄化の雨よ、降り注げ!」
その動作を合図として敵群に水球の雨が降り注いだ。シホによって敵に有効であろう属性を付与されたそれは、敵群や亡者の消滅のみならず、彼らが立つ異界の浜辺をも元の正常な姿に返していく。
だが、まだ敵の数を十分に減らせたとは言えない。さらに騒ぎを聞きつけてか廊下側からも敵が入り込んでくるのが見えた。
「大丈夫、安心してシホに任せて!」
緊張を見せないよう心がけつつ、結界に守られた背後の学生達に声をかける。頷き返すその姿に天真爛漫な笑顔で返すと、シホは増えつつある敵群へと向き直る。
「もう少し、頑張らないとだね」
輝石に再び力強い輝きが宿った。
苦戦
🔵🔴🔴
ロバート・ブレイズ
何故、人が『筆』を留めないのか。何故、人が『呟き』を止めないのか。所以を暴き出す事は難しいだろうが、嗚呼、踊り狂う連中に【問う】事は容易い――子供のような笑い声と痛みという意味に『繋がり』は在るのか? 異厭、勿論だがな「如何様な答えでも己は満足成せない」
名状し難い神は『どこにでも』出現する。朝夜黄昏関係なく、ただ情念と想像に模られて往くのみだ――しかし。私を融合(と)かすと謂うのか。周囲の人間を栞(いと)で絡めて離脱、あとは他猟兵と神に任せよう
それでも分霊体が執拗い場合は『正気固定機』を押し付ける。さて、本当に痛みが悦と謳うならば奈落まで抱く自信が在るのだな
この状況で手放し燥ぐならば塗布もない
ロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)も落ち着いた足取りで教室に入った。状況によってはその姿は教鞭を取る老教師にも見えただろうが、彼もまた猟兵である。
加えて教室に居るのは将来有望な学生などではなく、無邪気に不気味に笑い踊り狂う得体の知れぬ何かの群れだ。
不意に、ロバートの足裏が砂の感触を得た。
敵の攻撃だ。彼を、自身の領域へと引き摺り込もうとしているのだ。
「私を融合(と)かすと謂うのか」
それでも、足元に広がりつつあるその領域に動じることなく、ロバートは笑い踊り続ける敵へと問いかける。
「子供のような笑い声と痛みという意味に『繋がり』は在るのか?」
その質問と共に、ロバートの隣に『綽泣�渇y泣腑』が現れる。敵の答えを待つように『それ』は動きを止めたままだ。
だが質問に敵が応じる様子はない。そもそも意志の疎通など不可能なのか、先ほどと変わらぬ笑いを上げるだけだ。
「答えは無し、か。とはいえ、そもそも“如何様な答えでも己は満足成せない”のだが」
直後、『それ』が敵群を■■■■■■■で攻撃した。笑いながら、敵群が無惨に散る。
その影響か、敵が広げつつあった領域が揺らいだ隙にロバートはそこから抜け出した。いつの間にか、彼が手にした銀糸の栞の先には教室に取り残されていた生徒達が絡め取られている。
生徒達を先に逃すと、ロバートが教室の扉に手をかける。背後では永遠に答えを得られることのない『それ』が、敵群を蹂躙していた。
「――虚空に墜ちよ」
そう言い残し、ロバートは教室の扉を閉めた。
成功
🔵🔵🔴
ヴィゼア・パズル
この不気味さ…どうにもスッキリ掃除したくなる陰気を感じますね。邪神らしくて…何よりです
しかし学舎に何があっては不味い。取り零し無く【範囲攻撃・2回攻撃】の【全力魔法】にて…魔滅福来を使用。一気に複数撃破を狙います!
敵の行動を阻害する事を呪いと定義するならば…呪詛返しも効果が出ますね?
廊下に降りしきる赤い雨の中、ヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)が滑るように宙を駆けていく。
「この不気味さ……どうにもスッキリ掃除したくなる陰気を感じますね。邪神らしくて……何よりです」
敵が降らせた赤い雨を浴びた事で呼び覚まされた過去の痛みが、魅惑的な喜びに変わる感覚に眉をひそめつつ、ヴィゼアは独りごちた。
さらに、その雨に降られた廊下は今や黄昏に染まる浜辺へと姿を変えつつある。
「しかし、学舎に手を出すのはよろしくないですね」
片目を閉じ、さて、と咳払いを一つ。続けて彼が発した言葉には、力が篭められていた。
「此処に至るは地の縁、八熱越える角の使徒、以て来るは火の車輪――」
唱えた言葉が引き起こした力の奔流に乗って顕れたのは、鬼だ。
荒々しさがカタチとして成ったそれは、戦場に蔓延る敵群を睨め付けると、巨木のような脚で戦場に広がる浜辺を強かに踏み締めた。
地面が、砕ける。
浜辺を引き裂くように走った亀裂は、あらゆる方向へ幾筋にも分かれて伸びていく。
そうして網目のように広がった亀裂へ叩きつけるように、
『――――――!!!』
鬼の咆哮が轟いた。
強烈な衝撃として届いたそれは、亀裂の走った浜辺をたやすく粉砕した。
またその直後、霧散するように敵群も消滅を始める。
敵の、対象の行動を阻害する動きを“呪い”と定義し、対策を講じたヴィゼアの作戦が上手く働いたためだ。
つまりは、呪詛返し。鬼が放ったのはその類の術だった。
咆哮の残響が薄れゆく頃には雨は上がり、戦場は元の学舎の姿を取り戻していた。
「魔滅福来――これにて仕上げです」
青い瞳を持つ静かなる猛獣は、不敵な笑みを浮かべたのだった。
成功
🔵🔵🔴
御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎
あふれる、すなはま…?
不要無用、がらんどうに如かず
先制リミッター解除
念動破魔闇空属性UCを以て敵の地形を破壊しつつ範囲を攻撃
重力の塊にてすべて吸い込んで消す
敵の攻撃は第六感見切り残像などで躱し
咄嗟にカウンター念動闇空属性UCを以て範囲の敵地形を破壊する
窮地の仲間は積極的にかばいUCにて援護射撃、救助活動
壊れた品に、痛みはない
いたまないから こわれてる
わたしをいれたらみんなしんじゃう
我等、品の屍なるが故に
がらんどうによるがくる
洛陽は終わり、宵闇の帳が下りる
おやすみなさい
永き眠りを
枯井戸・マックス
「あの空飛ぶフープは、謂わば自我を持つ異空への門か。収納には便利そうだが繋がる先がコレじゃ使う気にはなれないな」
侵食された校内を歩きながら敵ーコレクション候補の動きを観察
結論、
「ぶった斬ればただの紐だな」
◇UC
召喚ゲートから取り出したるは牙の大剣、グレートファング
血色の波を刀身で受け止め、振るい、跳ね返す
自分で生み出した血の海の上ならバフは俺にかかるよな?
「さて、地の利は互角だ。ここからはフェアにいこう」
自分の足場を見極め、湧き出る亡者に足を取られないよう注意しながら敵を両断
「ただの紐になっちまったが、一つくらい回収しておくかね」
ついでに残骸を召喚ゲートに放り込み遺物コレクションに加えておこう
戦場に広がりつつあった砂の領域と残る敵数は目に見えて減少している。
彼らに焦燥といった感情が存在するのかは不明だが、最後の足掻きとも呼べる敵群からの攻撃は激しさを増していた。
時計の時針と分針、そして秒針を思わせる刃で敵群を斬り払いつつ、御堂・伽藍(がらんどう・f33020)は戦場をいく。
「思ったより、しつこい」
斬り払ったそばから、また敵が追い縋り攻撃を仕掛けてくる。その軌道を読み、あるいは勘とも言える動きで躱しつつ、伽藍は機会を窺っていた。
自身の腹部に意識を向ける。少女の形を取ったからくりである彼女の腹部には、大口径の重力子砲が組み込まれている。
だが敵の攻撃が想定よりも激しく、発射の機会を得られずにいたのだ。
正面に迫った敵を伽藍が斬り払う。直後、彼女は何かを感じ取り背後へ振り向いた。そこには先程正面にいたものより距離を詰めた敵がいる。
奇襲だ。
「っ……!」
死角から行われたそれに反応は出来たものの、斬り払うには遅い。
敵の内側から押し寄せんとする血色の波に、伽藍が次の一手を絞り出そうとしたその時だった。
戦場に、轟音が鳴り響く。
ほぼ同時に、伽藍の眼前にいた敵が豪快に吹き飛んだ。
「あの空飛ぶフープは、謂わば自我を持つ異空への門か。収納には便利そうだが繋がる先がコレじゃ使う気にはなれないな」
敵をまじまじと観察しながら、丸サングラスの男が歩いてくる。指には拳銃を引っ掛けていた。恐らく、先程轟音を鳴らした張本人だろう。
男は自分が銃で吹き飛ばした敵の側へ屈み込むと、銃の先でそれを突く。そして、なるほどと頷き一つ。
「ぶった斬ればただの紐だな」
「ええと……猟兵の人、よね?」
伽藍の視線に気づいたその男――枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)は屈み込んだまま、どこか胡散臭さを感じる笑みを浮かべて応じた。
「おっと、驚かせてすまねえ。そうだぜ。助けが必要かい、お嬢ちゃん」
頷いて返す伽藍に、よしきたとマックスが勢い良く立ち上がる。
「そんなら一丁、派手にやるか!」
彼が天に手を翳すと、空間を歪ませて一振りの大剣、獅子宮グレートファングが姿を現す。魔獣の牙を鍛え上げて作り出したというその剣を掴み取ると、マックスは敵群へと弾丸のように突撃した。
無論、敵群もそれを見ているだけではない。マックスへと血色の波が一斉に襲いかかる。
「今ここに無限の欲望を解き放つ!」
しかしマックスは怯まない。彼が獅子の如く吼えるのに応じてグレートファングが捕食形態へと変貌し、襲いくる波をもろとも飲み干した。
さらにはその飲み干した波を今度は敵群へと叩きつける。敵のユーベルコードを模倣したのだ。
波に飲まれる敵群を見つつ、マックスは大剣を肩に担ぐ。
「さぁて、仕上げと行こうか、お嬢ちゃん!」
「うん!」
獰猛な笑みを浮かべ、再び突撃したマックスが敵を両断する。伽藍もそれに続くと、這い回る亡者達へ貨幣や宝石を掃射した。
敵が次々と倒れるたび、戦場を侵食していた浜辺が消えていく。そして点在していた浜辺が残り一箇所となった時、伽藍は腹部の砲身を展開した。
「射線から退避して。これで終わりにするから」
慌ててマックスが離れたのと同時に発射体勢を取る。無防備にはなるが、先程二人で暴れ回ったためか、敵は未だ混乱の最中だ。
発射カウントダウンを省略し、残された敵群へ目標を定め――時が来た。
「偉大なる鉄人の名に於いて! ぐらびとーん」
衝撃と共に重力子塊が発射される。敵がようやく異変に気づくが、もう遅い。重力子塊は地形もろとも敵群を一飲みにすると自壊し、自身で自身を飲み込みつつ消失した。
「洛陽は終わり、宵闇の帳が下りる。おやすみなさい。永き眠りを」
弔うように伽藍が目を伏せる。着弾の跡には敵の姿はもちろん、砂の一粒すらも残っていない。何事も無い、学舎の姿がそこにはあった。
「こりゃすげえ。ともかく、これで一段落だな」
「でもまだ大本のUDCが残ってる。急がないと」
敵の残骸を回収し損ねて肩をすくめるマックスに、排熱を終えた伽藍が告げる。UDCが存在する限り、このような事態が世界各地で起こる可能性はゼロにはならないのだ。
猟兵達は急ぎ、次の目的地へと向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『永遠の今日はまた巡り』
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POW : 領域内を歩き回り、不自然な場所を探す。
SPD : 僅かな変化などから、原因を導き出す。
WIZ : 目の前の事象を整理し、法則を読み解く。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黄昏時は終わり、街には夜の帳が下りた。
第一目撃者である佐条さやかから、彼女のスマートフォンに残っていたUDC目撃場所の位置情報を得た猟兵達は、すぐさま現場に急行した。
到着したのは、先程配下との戦闘の舞台となった学校から程近い路地だ。路地の入り口から中を覗けば、別段おかしな様子は何も無い。
だが猟兵達は警戒を怠らず、位置情報が示す路地の奥へと進んでいく。
その時だった。
猟兵達の持つ情報端末上、彼らの現在位置を示すマーカーが突然全く別の場所へ移動したのだ。しかもそれは一度で止まる事なく、何度も出鱈目に動き続けた。
故障かと思いつつも周囲に目を向ければ、自分達が入ってきた路地の入り口が消えている。
まさかと思い、駆け出す。
路地の分かれ道を右に進む。次は左へ。次も左へ。一旦引き返す。
――行き止まりに当たった。
そんなはずはと引き返してさらに進む。だが進めば進むほど、路地の中に囚われていくような感覚に陥っていく。
端末の位置情報はもはや意味をなさない。どうにかしてこの迷宮を抜け出し、UDCの元へ辿り着かねばならない。
猟兵達は考えを巡らせ始めたのだった。
甘・エビ
ヒョーホー!
きっとこれは病だぜぃ。
オレっち達じゃなく、この空間にかけられた呪いっていう病だろうぜぃ。
未知の病気なら、まず症状の観察が必要だぜぃ。
診るのはスマホじゃなくて患者。
できるだけ歩き回ってデータをメモって法則性や要になる部分を探すぜぃ。
そしてもし病に侵された空間の要の場所を見つけたら
ギタギタ血まみれ外科手術でノコギリ治療して
少しでも元の健康な状態に戻してやりたいぜぃ
上書保存妖怪・レイヤーを全部結合
……レイちゃんはなんにもしてないですよー?
変わったことがあったら真っ先にレイちゃんを疑うのよくないですー
へんな状態で保存されちゃったなら
ちゃんとしたデータに書き直して上書き保存すれば解決ですー
みんなでおかしなデータを総当りしましょうー
こういう時は人海戦術ですー
バトルキャラクターズで
前にレイちゃんがデバッグして開発中止になったゲームのキャラを呼んで
手当たりしだいにおかしな空間のポイントを探しますー
戦闘用キャラだけど暗号作成1で逆算して要点を見つけてくれると思いますー
レイちゃんはこの迷宮のマップを上書きしたいです。
誰かメモってないでしょうかー。うずうず
ロバート・ブレイズ
ほんの僅かな変化にも『鍵』は見出せるもので、それを嗅ぎ分けるには獣の如き収集力が不可欠だ。繰り返される煉獄(ほのお)に一欠片、存在を垂らして道を弄ろう――向かえば向かうほどに正しさを得、その度に自我(ひと)が『神』へと化すが何の問題もない。そもそも我々は其処に在るべきなのか?
正気固定機(狂気耐性)で自身を『定め』思考を別次元、ある種の完全に投下する。そのうちに神意は見つかるだろう、彼方(あの)砂浜が痛みだと言うならば、成程、全ては人間(おれ)にも理解出来る現象だ
自絶願望は諸刃の剣だが、確実性はより高くへ至るだろう。さあ、真実を。本当の『口(もん)』を晒し給え
存在が足りなければ前借りだ。クカカッ
時刻は夜を迎えてから少し過ぎた頃。
猟兵達が迷い込んだ路地の迷宮に街灯などは見当たらないものの、最低限の明るさは保たれている。
その仄暗い光の元で、彼らは各々の方法で脱出を試みていた。
「……レイちゃんはなんにもしてないですよー? 変わったことがあったら真っ先にレイちゃんを疑うのよくないですー」
「なんにもしてないって言う時は大体何かしてるものだとオレっちは思うぜぃ」
可愛らしく頬を膨らませる上書保存妖怪・レイヤーを全部結合(72dpi・f28603)ことレイちゃんに、甘・エビ(甲殻類祈祷隊・f27126)ことエヴィが鼻眼鏡をかけた顔を向ける。彼の言葉にどこか実感がこもっていたのは、気のせいではないのかもしれない。
彼らのそばでは、ロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)が延々と続く路地の深淵に静かに目を向けている。
「ほんの僅かな変化にも『鍵』は見出せるもので、それを嗅ぎ分けるには獣の如き収集力が不可欠だ」
囁くように言ったその呟きに気づいた者は果たしていたのだろうか。
ともあれ、三人は探索を開始した。
「こういう時は人海戦術ですー」
はいっ、と手を挙げたレイちゃんの周囲に、彼女が以前デバッグを担当し、何故か開発中止になったゲームのキャラクター達が続々と召喚されていく。
あっという間に70体以上も登場した彼らは一度恨めしそうな目でレイちゃんを見た後、方々へと散り、この路地裏空間の要となっていそうな場所を探し始めた。
「ヒョーホー! きっとこれは病だぜぃ。この空間にかけられた、呪いっていう病だろうぜぃ」
またエヴィはと言えば路地の異常を病と定義することで、自身の(闇)医者としての経験を生かそうと思い至ったようだ。早速彼はカルテを手に、レイちゃんが呼び出したキャラクター達と共にこの症状の原因を探る診察という名の調査へと向かって行った。
「そうか、呪い――痛みと言うならば、成程、全ては人間(おれ)にも理解出来る現象だ」
エヴィの方針に得るものがあったのか、ロバートは閃いたように目を見開くと手にした正気固定機を握り締める。瞬間、ロバートの思考は別次元へと跳んだ。全てを俯瞰する神のような視点を得た彼はこの不可思議な路地の構造を紐解いていく。
だがもし、ロバートの位置情報を追っていた者がいたならば気づいたのかもしれない。彼の位置を示すマーカーが、まるでその存在が薄れゆくかのように明滅を繰り返していたことに――。
そうして三人が探索を行ったところ、以下の三つの事柄が判明した。結果から言えば、彼らはこの迷宮の攻略とよほど相性が良かったのか、大きな収穫を得る事が出来たのだ。
一つ、迷宮内に点在する『ある地点』を通過すると全く別の地点にランダムに飛ばされてしまう。必ずしも決まった地点に飛ばされるわけではない。
一つ、『ある地点』に特に目印のようなものは無い。飛ばされて初めて『ある地点』がそこにあったと認識できる。
一つ、『ある地点』は何らかの力場のようなものであるらしく、攻撃などでその力場を乱すことで破壊が可能である。破壊後は『ある地点』を通ったとしても別の地点に飛ばされることなく通過できる。
以上が探索で判明した内容である。
「むむっ! ここもそうみたいだぜぃ」
レイちゃんの召喚したゲームキャラクターがエヴィの目の前で唐突に消失した。すると、彼は何もないその空間で医療ノコギリを器用に振り回し始める。
出鱈目な動きにも見えるそれは、しかし確実にその地点の力場を破壊、もとい治療したようだ。エヴィがその地点を通ってみても、もはや何も起こらない。
「よぉし、ここも健康になったぜぃ」
やりきった爽快感を感じさせる表情のエヴィは、額の汗をレイちゃんに拭かせていた。
「わたし助手さんじゃないんですけどー……」
その隣では顔色を悪くしたロバートが効力を失ったその地点を見つめ、独りごちた。
「――さあ、真実を。本当の『口(もん)』を晒し給え」
一見正気を保っているかのような彼の表情は、ある種の狂気を孕んでいるようにも感じられる。その証拠に、彼の口元だけが笑みの形に歪んでいたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シホ・イオア
一応試してみるけど、上空への脱出もできないのかな?
脱出できたとしても路地の先に行けなそう。
先に進むためには踏んではいけない場所か
踏まなければいけない場所があるってパターンもあるし
結界で範囲を丸ごと覆い隠してるパターンもあるよね。
とりあえず、さやかちゃんの行動を再現して
目撃した場所じゃなく目的地を目指すつもりで進んでみよう。
コール・シー・フレンズ、たいやきさん先行よろしく!
視界も借りるね。
異常を発見したら破魔とかで解除を試してみるよ。
枯井戸・マックス
【双児宮コピーキャット】に俺の姿を模倣させ、狼型バイク【ゼノシリウス】を追加召喚
「俺より先にこの迷宮を抜けだせたら臨時ボーナスだ。3日間俺に成りすましていいぜ」
『マジデ!?』
魔道遺物の距離と方角は常に感じられる
それを利用して、ゼノシリウスに乗ったコピーキャットに迷宮内を爆走させ、その位置を第六感センサーで追跡
特定の位置でワープしているなら、その地点を覚えて自分は回避しながら迷宮の奥地を目指す
「完全ランダムなら面倒だが、意図的に飛ばしているならむしろ好都合。意図があればそこに隙は生まれるものさ」
特にワープさせられる頻度が高い場所があれば、そこがUDCが潜む最奥部の筈
あとはその地点の【封印を解く】
空と地上に、それぞれ動きがあった。
空のそれはシホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)、地上のそれは枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)のものだ。
空を色鮮やかな魚が優雅に泳いでいく。シホによって召喚された彼――たいやきがある地点を通り過ぎた途端、不意にその姿が掻き消えた。
通ったものを飛ばす『力場』に触れたのだ。
「先に進むためには踏んではいけない場所がある、ってパターンだね」
シホがたいやきと共有していた視界を一旦解除する。
「ああ、しかも飛ぶ先は完全ランダムと来た。全く面倒だぜ」
地上を走らせていた【双児宮コピーキャット】の位置が飛んだのを第六感で感じ取ったマックスが、シホの隣で肩をすくめる。
彼はと言えば、自身の姿を模倣させたコピーキャットを狼型バイク【ゼノシリウス】に乗せて地上を駆けずり回らせている。
手当たり次第とも言える方法だが、力場の場所の洗い出しは順調に進んでいるようだ。
「そういや、上はどうだったんだ?」
マックスが上空を指差す。この迷宮からの脱出方法の一つとして、シホが上空からの脱出を試みたのだ。だがマックスの言葉に彼女は首を横に振って応じる。
「ううん、ダメ。飛んでも飛んでも路地から抜け出せないの」
路地の左右には無機質な建造物の壁が反り立っているのだが、どこまで飛んでも壁の高さに終わりが無い、むしろ自分が飛ぶ高さに応じて壁が伸縮している――シホはそう感じたという。
「なら後は足で稼ぐだけってわけだ。とくれば……」
「競争だね!」
互いに笑みを見せたのがスタートの合図だった。
マックスはコピーキャットが飛ばされた場所を避けて進んでいく。すると、爆音と共に遠方からバイクで駆けるコピーキャットの姿が見えた。
『臨時ボーナス忘レルナヨオォォォ!!』
すれ違いざまに声を浴びせつつ、あっという間に駆け抜けていく。
コピーキャットは、先にこの迷宮を抜けだせたら臨時ボーナスとして3日間マックスに成りすましていい、という条件で契約を交わしていた。
「滅茶苦茶気合入ってんなアイツ……」
遅れて巻き起こった突風に煽られつつ、マックスがバイクを見送る。とはいえ、コピーキャットの望みを考えれば仕方がないことかもしれなかった。
一方のシホは、先行したたいやきが突然消えたのを確認するとその付近へと手をかざす。彼女は力場を避けるのではなく、破魔の力で解除しながら進んでいた。
掌から暖かな光が溢れると、小さく砕ける音と共に力場が散っていく。
力場があった場所を通過しても何も起きないのを確認しつつ、シホは迷宮を行く。
「とりあえず、目撃した場所じゃなく目的地を目指すつもりで進んでみよう」
第一目撃者の行動を再現すれば、UDCと再会する近道となるかもしれない。そう睨んだシホは方針を定め、先を急いだのだった。
やがて、二人は同じ場所に辿り着いた。そこは見た目には今までに見てきた路地と何も変わらず、やはり何か目印があるわけでもない。
それにも関わらず二人がその場所に着目したのは、
「……スマホ?」
そこには、一台のスマートフォンが落ちていた。
不意に画面が灯る。
映し出されたのは一つの検索窓。
>検索ワードを入力して下さい。
――直後、視界が暗転した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『三二一『デビルズナンバーさがし』』
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POW : 悪魔の武術(デビルバリツ)
【悪魔探偵流格闘武術】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【情報を検索し、行動パターン】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD : 悪魔の探求(デビルクエスト)
自身が【探究心や知的好奇心】を感じると、レベル×1体の【分身】が召喚される。分身は探究心や知的好奇心を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : 悪魔の検索(デビルサーチ)
【自身がUDCアースに存在していた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「六六六・たかし」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
暗転した視界に思わず目を閉じた猟兵達が次に見たものは、時折流れ星のように白い光が走る黒染めの空間と、そこに浮かぶいくつもの検索窓だった。
そして検索窓に囲まれるように一つの人型がある。探偵らしき格好をしたそれは、探していた感染型UDCに違いない。ということは正確な場所はわからないものの、ここはUDCの棲家なのだろう。
『───────』
何も語ることなく、品定めをするようにUDCは猟兵達を観察している。
こちらの出方を待っているのか……何にせよ、学校で起きたようなパンデミックを世界規模で起こさせないためにも、彼を撃破しなければならない!
上書保存妖怪・レイヤーを全部結合
探偵なら、ちゃんとホームにステイするのがいいと思いますー
これ以上脅威を広めないためにも、ここで平穏に上書きしちゃいましょー
バトルキャラクターズでまたみんなに出てきてもらって
分身の始末とか本体を囲んで叩いてもらいますー
あと分析対策に、一度攻撃されたら近くの仲間と融合して
限凸モードに変化してパターン崩して攻撃ですー
レイちゃんもハッキングで検索窓を上書きして
たくさん広告を流して興味を持ったら自分で自分の配下に殴られてもらいますー
甘・エビ
ヒョーホー!
この探偵さんにも治療が必要……じゃなさそうだぜぃ。
むしろ腫瘍の類、転移する前に切除するのがオレっちの努めだぜぃ。
ゴースト・リボーンで
仲間が出してやられた配下をマンゴー人間に変えて
ゾンビアタックで一気に押しつぶすぜぃ。
何回も使える方法じゃないから、できるだけ味方の配下がたくさん死んでて
敵が油断してる隙をついて一気にマンゴー人間に変えて
一斉に攻撃させるぜぃ。
オレっちは仲間の邪魔にならないタイミングで
衝撃波・医術・部位破壊の組み合わせて
この腫瘍探偵の中でも一番悪質そうな検索窓を
医療ノコギリの遠隔攻撃で切除したいぜぃ。
異空間にいくつもの音が響く。
それは敵と猟兵達との戦いの音だ。
探偵の姿をした感染型UDC、三二一『デビルズナンバーさがし』が掴み掛かろうと伸ばした手を払い、上書保存妖怪・レイヤーを全部結合(72dpi・f28603)が跳ねるように飛び下がる。
「ほう──」
軽やかな身のこなしで動いた彼女、レイちゃんに好奇心を抱いたのか、探偵は感嘆を含んだ声を漏らす。それと同時に、彼の周囲に彼と同じ姿をした分身が視界を埋め尽くす程に並び立った。
その光景に一瞬困惑した表情を浮かべたレイちゃんだったが、すぐさま表情を引き締め、探偵へ指先を突き付ける。
「探偵なら、ちゃんとホームにステイするのがいいと思いますー。これ以上脅威を広めないためにも、ここで平穏に上書きしちゃいましょー」
そう告げると共に、彼女の周囲にもゲームキャラクター達が戦闘態勢を取って並び立つ。
「────!!」
双方に並び立った両軍は一呼吸の睨み合いの後、勢いを伴って衝突した。
「ヒョーホー!」
その様子を、甘・エビ(甲殻類祈祷隊・f27126)は遠巻きに眺めていた。
合戦のような光景に思わずあげた歓声を押し込めるように口を押さえると、気づかれていないことを確認し行動を開始する。
「あの探偵さんにも治療が必要……じゃなさそうだぜぃ。むしろ腫瘍の類、転移する前に切除するのがオレっちの努めだぜぃ」
その間にも戦場は刻々と様相を変えている。ゲームキャラクターが探偵の分身を投げ飛ばせば、分身がゲームキャラクターを拳で吹き飛ばす。戦場には次々と戦闘不能になった者達が積み上がっていった。
だが甘・エビことエヴィはその時を狙っていたのだ。積み上がったそれらにそろりそろりと近づくとおもむろに手術用メスを取り出し、洗練された手つきで素早く施術を始めた。
「ここをこうして、ちょいちょいちょめちょめと……」
続々と量産されるのはシャーマンズゴーストの面を縫い付けられたゲームキャラクター達や探偵の分身達だ。
「よし、終わったぜぃ……!」
あっという間に施術を終えたエヴィが伸びをする隣で、シャーマンズゴーストの面を付けられた者達──シャーマンズゴースト人間(マンゴー人間)達がすっくと立ち上がっていく。その光景はある意味では壮観だ。
「ものどもいくぜぃ!」
「「「ヒョーホー!」」」
そしてエヴィの掛け声を受け、マンゴー人間達が両手を上げて探偵の下へと突撃を敢行した。
「むうっ!?」
「えっ、えっ、なんですかあー」
探偵以上に驚いているレイちゃんを尻目に、マンゴー人間達は探偵を押し倒すとその上に次々と覆い被さっていく。
「ゾンビアタックで一気に押しつぶすぜぃ!」
勢いづいたエヴィが拳を突き上げる。
だが探偵も押されてばかりではない。幾重にも覆い被さったマンゴー人間達を、探偵らしからぬ力技で弾き飛ばして立ち上がる。トリッキーな攻撃に隙を突かれたものの、その力は未だ健在だ。
「なんのまだまだ──!?」
反撃のために再び分身を生み出そうとした探偵の眼前に浮かび流れてきたものがある。広告だ。
それはレイちゃんが探偵の周囲に浮かぶ検索窓をハッキングし、上書きして生み出したものだったが、その魅力的な広告に探偵は思わず好奇心を抱いてしまったのだ。
気づいた時にはもう遅い。その好奇心によって生み出された分身達は一斉にその広告へと殺到した。
「なっ、お前達……!」
止める事もできず、探偵は自分の分身に殴り飛ばされる。
「チャンスですー。おまけでもうひとつー」
さらに合体したレイちゃんのゲームキャラクターが追撃とばかりに探偵を蹴り飛ばす。
「オレっちもいくぜぃ!」
加えてエヴィが医療ノコギリを振り回すことで発生した衝撃波が、レイちゃんの広告を巻き込みつつ探偵に強く打ち付けられ、彼をさらに叩きのめした。
頭から勢いよく地面に落ちる探偵。
しかしその頃すでに、レイちゃんとエヴィは別のことに注意を向けていた。
「あーっ、わたしの広告がー」
「ついやっちゃったぜぃ」
砕け散った広告を手にしたレイちゃんの隣で、申し訳なさそうに頭を掻くエヴィだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シホ・イオア
こちらを分析する時間なんて与えないよ!
ガトリング砲で面状に弾幕をはり、
空飛ぶハートの銃で制圧射撃、
光輪を誘導弾として射出。
検索窓を出したままならその後ろから攻撃してもいいかも。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、舞い踊れ!」
敵を包み込んで一つの炎になるよう展開。
感染型っていうし念のため浄化と破魔の力も籠める。
倒すのは決定事項だけど……
この人何しに来たのかな?
何か探してる?
シホで答えられることなら答えてもいいんだけど。
アドリブ連携歓迎
枯井戸・マックス
「あの姿は探偵か?」
容姿から推理力と分析力に長けた個体と想像し、長期戦は危険と判断
「くたびれるからあまり使いたくなかったが、ここは一気呵成に攻めるか」
◇POW
「サモンアーマー・カプリコーン!」
呼び出すのは自身と最も相性がいい山羊座の鎧
仮面の瞳に埋め込んだ【磨羯宮サモンズアイ】を超過駆動させ、短距離ワープと風属性を纏ったキックでヒット&アウェイで攻撃
更に【ゼノキオン】の誘導弾の一斉発射で、敵が自分や仲間に近づけさせないよう牽制
サポートと遊撃を同時に努めるぜ
「遅いんだよ。最初の殺人が無ければ活躍できないような名探偵じゃ、俺達猟兵に速さで勝る道理はねえのさ」
悲劇を未然に防ぐ、それが猟兵の務めだからな
猟兵達の攻撃を凌ぎつつ異空間を駆けるUDCを、シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)と枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)の二人が追跡していた。
「あの姿は、探偵か?」
UDCの容姿を確認したマックスが訝しげな表情でシホに問いかける。
「んー、見た目はそう見えるけど……」
シホもまだ正体を判別しかねているのか、改めてUDCへと視線を送る。
その視線の先では、周囲の猟兵達の行動を分析しているのか、UDCが攻撃を引き付けて躱すという行動を繰り返している。その足は止まりそうには無い。
故に、シホは行動に出た。
「ともかく、動きを止めるよ!」
「任せた!」
マックスの声を背に、シホは上空へと飛んだ。
UDCの棲家たるこの異空間に果てという概念は感じられない。シホはUDCを俯瞰出来る位置に着くと、足に履いたブーツの踵をUDCへと向ける。同時に、その踵から唸るような回転の音が鳴った。
「いっけーっ!」
直後、弾丸の雨がUDCを巻き込んで広範囲に叩き付けられた。踵に仕込まれたガトリング砲が火を吹いたのだ。
流石のUDCもこれは躱しきれなかったのか、検索窓を天に翳して防ぎ、動きを鈍らせる。
さらにはシホの空飛ぶハートの銃【Light My Fire】が隙を見て動き出そうとするUDCの邪な心を見抜き、確実な射撃でその動きを抑え込んだ。
「一つ、聞きたいんだけど!」
攻撃の手を緩めることなくシホが問う。存在感を感じさせるその声は、銃撃の最中でもよく通って聞こえた。
「ほう、何かな」
意外と律儀に応じるUDCに、続けてシホは問う。
「あなたは、何をしに来たのかな? 何か探してるの?」
それは彼女の優しさか、あるいは子供らしい好奇心から来た問いかけだったか。
なるほど、と言ってUDCは少しの間考えた後、こう答えた。
「それはまだ、語るべき時じゃない」
「えーっ、教えてくれないの!?」
シホが不満げに頬を膨らませる。少なくとも彼女は返答に幾らかの期待を抱いていたはずだ。
「もうっ、そういう勿体ぶった言い方をするなら!」
「こうだ! サモンアーマー・カプリコーン!」
突如、弾丸の雨の中に現れたのはマックスの姿だ。相性の良い山羊座の鎧を瞬きのうちに装着した彼は、【磨羯宮サモンズアイ】の超過駆動による短距離ワープで一気に距離を詰め、戦いを近接戦へと持ち込んだ。
「くたびれるからあまり使いたくなかったが、ここは一気呵成に攻めるか!」
吹き荒ぶ風を纏った蹴撃がUDCの胴に打ち込まれる。苦悶の声を漏らすUDCが咄嗟に拳を振るうが、マックスはそれを再びの短距離ワープで回避した。
「追いつけるかよ!」
ワープと蹴撃の連続がUDCを翻弄し、UDCは十分な反撃が出来ない。しかし、
「捉えた!」
不意に、マックスの蹴撃をUDCが受け止めた。UDCが彼の行動パターンを学習し始めたのだ。破裂音のような打撃同士の衝突音が戦場に響き、徐々にマックスの攻撃が通らなくなる。
「バリツ!」
UDCの掌打を受けてマックスが後ずさる。ならばと攻撃の速度を上げたマックスに遅れまいとUDCが追い縋る。
だがマックスの速度はUDCの学習能力の速度を越え始めていた。
「遅いんだよ。最初の殺人が無ければ活躍できないような名探偵じゃ、俺達猟兵に速さで勝る道理はねえのさ」
迅速に悲劇を未然に防ぐ務めを果たさんとするマックスの姿勢は、まさしく猟兵に相応しいものだろう。
「こ、の……! 検索結果と違う!?」
気付けばUDCは、加速の果てに分身の域にまで達した5人のマックスに取り囲まれていた。異なる狙い、異なる蹴撃にほぼ同時に襲われたUDCは堪らず、離脱に専念することを選択した。
「逃がさないよ!」
そこへ、シホが誘導弾として射出した光輪がUDCの足元を掬う。そして体勢を崩したUDCが見たものは、自身の周囲に展開された無数の炎弾だった。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、舞い踊れ!」
一つに戻ろうとするかのように、無数の炎はUDCを目掛けて飛来した。浄化と破魔の力を込められた炎が、UDCの体を激しく焼き払う。
「コイツも持っていけ! ゼノキオンッ!!」
さらにマックスが放った子犬型追尾弾が遊ぶように無軌道に飛んだかと思うと、じゃれつくようにUDCに殺到し、爆発を伴って看過できない損傷を与えていく。
「こちらを分析する時間なんて与えないよ!」
猛攻の締めくくりであるかのように、シホがそう高らかに告げたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
湊川・亮一(サポート)
基本的に屋外では宇宙バイクに搭乗。屋内では十分な広さが確保されている場合のみ宇宙バイクを使用。
センサーゴーグルで【索敵】しつつ行動し、情報を元に【戦闘知識】で有利な位置取りを取る様に移動。
敵を確認出来る位置まで来たらブラスターカービンの【スナイパー】で【先制攻撃】する。
状況に応じて味方を【援護射撃】で支援するが、基本的にはガトリングブラスターの【弾幕】と複合兵装ユニットの【誘導弾】の【一斉発射】で【制圧射撃】を行いながら宇宙バイクで突撃し、車体による【吹き飛ばし】と【衝撃波】で追加ダメージを与える。
突撃に合わせて状況に応じたUCを使用する。
敵の攻撃は【地形の利用】【見切り】【ジャンプ】で回避
ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
人間のマジックナイト×電脳魔術士、女の子です。
普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
尚も立ち上がるUDCの肩口を、宇宙バイクに搭乗した湊川・亮一(スペースノイドの鎧装騎兵・f06481)のブラスターカービンが的確に撃ち抜いた。
遮蔽物のないこの空間で射撃から逃れるには動くしかない。それゆえ戦場を駆け出したUDCだったが、亮一の射撃はそれを許さない。
「オレの狙いから逃れられるか!」
センサーゴーグルの索敵から得た情報を元に宇宙バイクを駆りつつ、常に敵に対して有利な位置を取る亮一にとって今のUDCは良い的だろう。
「よろしい、ならば!」
それをUDCも悟ったのか足を止め、飛来した熱線をバリツで弾くと、迎え撃つ態勢を取った。
「お待ちを。私もお邪魔させていただこうかしら」
そこへ、UDCに声を掛ける女性の姿があった。彼女、ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)は悠々とした足取りでUDCの前に立ちはだかる。
「二対一、ですが十分太刀打ち出来ますでしょう?」
ああでも、と何か思いついたかのようにローズが言葉を続ける。
「もし不安があると言うのなら──先程のように沢山分身を出して下さっても、よくってよ?」
「面白い。では試してみたまえ!」
その彼女の言葉に、UDCは激情と共にローズを取り囲むように無数の分身達を出現させる。
「随分と張り切って、お可愛いこと。では、参りますわ!」
ルーンソードを手にローズは敵群の中で歩みを進める。向かい来る分身達に怯むことなく剣を振えば、その度に一体、また一体と確実に敵が倒れていく。
それでも、分身の数はかなりのものだ。敵群の只中にいるローズは全方向から狙われる事になる。
当然の如く、背後からの襲撃が彼女へ行われた。
だが、その襲撃が成功することはない。鳴り響く射撃音とほぼ同時に分身達が次々と吹き飛んでいく。亮一の援護射撃だ。
敵群の外側で築いた分身達の屍の山を駆け上がり、亮一の駆る宇宙バイクがローズの隣へと飛び込んできた。
「援護、感謝いたします」
ローズの礼に亮一は、ああ、と手短に応じると、迫る分身を撃ち抜きつつ言葉を続けた。
「それにしても、さっきは冷や汗をかいたぜ」
「あら、それはごめんあそばせ」
ふふ、と口元に手を当て笑みを見せるローズが、手にした精霊銃で飛びかかってきた分身の頭部を撃ち抜いた。
「それにしても、数が多くて面倒ですわね」
「…………そうだな。まるでゾンビ映画みたいだ。何か案は?」
「UDC本体ごと纏めて吹き飛ばすのはいかがかしら」
「良い案だ、それで行こう」
言い終わらぬうちに亮一は宇宙バイクを急発進させ、背部の複合兵装ユニットを展開すると同時にガトリングブラスターを起動した。
「撃ち尽くす! 全弾持っていけ!」
搭載された全ての火器からばら撒かれた弾が敵群を爆発と赤い炎で包み込んでいく中を、亮一は駆け抜けていく。
勇敢にも車体の前に飛び出しバリツを繰り出す分身もいたが、彼らはもれなくガトリングの掃射と宇宙バイクの突撃により藻屑と散った。
「くっ、何の推理も無く、こんな出鱈目な手で……!」
本体のUDCが歯噛みする。彼は分身達の中に紛れて様子を窺っていたのだ。
「ええ、私も気持ちは分かりますわ」
そこへやってきたのはローズ。UDCは分身達を差し向けるが、彼女はそれをルーンソードで斬って捨てる。
「ですが、こちらの方が『楽しい』と判断したものですから。さあ、お覚悟を」
ルーンソードが強い魔力の輝きを放つ。ローズとUDCの間合いは剣が届く範囲では無い。UDCが攻撃のため接近しようと前傾姿勢になるが、
「いいえ。そこも間合いの内ですわよ」
ローズがルーンソードを水平に振り抜くのに合わせて、その切先から魔力の刃が伸びる。
自らが間合いにいないと油断していたUDCの胴を、刃が一閃した。
「少し、推理が足りなかったようですわね」
そう言い残し、ローズは崩れ落ちるUDCに背を向けて立ち去る。直後、亮一が放った無数の弾頭が頭上からUDCに降り注いだ。
「────!!」
声を上げ、迎撃するようにUDCはバリツの拳を振り上げる。
だがその拳もろとも、UDCは爆炎に飲み込まれたのだった。
UDCの消滅に応じて、再び視界が暗転した。
暗転した視界に思わず目を閉じた猟兵達が次に見たものは、電灯の光が差し込む夜の路地だった。路地には、入口も出口も当然のように存在する。元の世界に戻ってきたのだ。
ふと、一人の猟兵がある物を拾い上げる。それは一台のスマートフォンだ。
画面には検索窓が一つ表示されている。まさか、UDCの棲家とはこのスマートフォンの中だったのだろうか。
次の瞬間、画面に大きく一筋の亀裂が走った。
……画面からは光が消え、検索窓ももう映ってはいない。
かくして、一連の感染型UDC事件は幕を閉じた。
そして報告を終えた猟兵達は、今も起こり続けている様々な事件を解決するため、すぐさま別の世界へと向かうのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴