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銀河帝国攻略戦⑥~裏切りの理由(わけ)

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●スペースシップワールド 宇宙船『スウェルス』
 宇宙センスウェルス内の評議会…そこでは参戦派と反戦派で激しく会議を行っているところであった。会議の方向として、昨日までは議長率いる参戦派が優勢派だったのだが…。
「やはり、ここは投降すべきなのかもしれない」
「議長!」
「銀河帝国を倒せるかもしれないと言う理由だけで市民を危険に晒す必要はないのではないかね?」
「何を言っているんですか議長!?この前までは参戦派ではなかったではないですか!」
「やはり考えを改めたのだよ。あやふやな未来のために今を犠牲にする必要はないと」
「この前までと言っていたことが逆じゃないですか!」
 議長の急な寝返りに困惑する参戦派議員。
「しつこいぞそこのお前!誰にだって自分の意見を変える権利はあるだろう。君はそれを侵害しようというのかね?」
「議長がこうおっしゃっているんだ!我々も従うべきだ!」
 反戦派の議員が議長に加勢する。
「今の安全を何とかしなければ、明日が来ようとそこには何もない」
(そう、明日に何もなければ…私に生きる意味などないのだ)
 そう言いながら、議長は胸ポケットの上から、家族の写真が入ったロケットを強く握りしめるのだった。

●グリモアベース
「……裏切り者を…何とかしてきて」
 そう言い放つのはグリモア猟兵の中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)だ。これだけ言われても、何だかわからないが。
「…銀河帝国打倒のために…戦力として…様々な宇宙船を集めてるの。…宇宙中の全勢力を集めれば…いけるはず」」
 だが、宇宙船の中には今回向かってもらう『スウェルス』のように反戦派の意見が強く、加勢に来てくれないところもある。
「…問題なのは…反戦派が…裏で帝国と…繋がっていること」
 地位や金品をちらつかされているものがほとんどだが、中には家族を人質に脅されているものもいるとのことだ。
「…戦争が終われば…相手はオブリビオン。…世界の時が止まるまで…破壊と侵略は続くわ」
 一旦そこまで喋り、一息ついてから裕美は言葉を続ける。
「…手段は問わない。…参戦派の数が増えるよう…呼びかけてほしいの」
 例えば、様々なイベントや反戦集会に乗り込み、参戦を呼びかけたり反戦派の政治家の主張を論破するなどして市民の味方を増やす方法だ。市民の大部分を押し切って戦争に参加しなければ、それはそれで今後の彼らの地位に影響が出る。そういったところから反戦派を減らすやり方だ。
「…もちろん…帝国軍との…密通の証拠を暴いてやるのもいいわ。…人質にされているであろう…家族の人達を助けることでも。…でも…得手不得手はある。……無茶は…しないでね?」
 うまく参戦派の勝利に持ち込めれば、同行してもらうフォースナイトにワープドライブを取り付けてもらい、すぐにでも戦場に駆けつけられるようにしてもらえるらしい。
「……頑張って…きて」
 そう言って彼女は猟兵達を送り出すのだった。


麦門冬
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================

 こんにちは、麦門冬(むぎとふゆ)です。
 今回は戦争シナリオ「⑥裏切者を暴け!」を行わせていただきます。④⑤⑥をある程度クリアできれば、銀河帝国を打倒するための艦隊を味方にし、次の段階に進めるとのことなので、詳しくは銀河帝国攻略戦(https://tw6.jp/html/world/event/002war/002_setumei.htm)を御覧ください。
 今回は皆様の得意な方法で市民を味方につけたり、議員の汚職の証拠を暴くなどして、宇宙船『スウェルス』が戦場に駆けつけていれるようにしてあげてください。
 なお、フラグメントの選択ですが、『銀河帝国派の政治家の事務所などを捜索し、汚職や銀河帝国との内通に関する証拠を見つけ出し、公開します』に沿う行動(もしくはふさわしそうなユーベルコードの使用判定)に成功できた場合は証拠の中に『救出された人質』がいるものとして人質が助かったものとして扱って構いません。また、そういった行動がされずに成功数が足りた場合、人質の安否は不明のままですが、ミッションの成否には特に関係ありません。

 それでは皆様のご活躍をお待ちしております。
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第1章 冒険 『⑥裏切者を暴け!』

POW   :    多くの市民の集まるイベントに乗り込み、情熱的な演説等で『解放軍』参加への機運を盛り上げます。

SPD   :    銀河帝国派の政治家の事務所などを捜索し、汚職や銀河帝国との内通に関する証拠を見つけ出し、公開します。

WIZ   :    反戦集会や公開討論等に乗り込み、銀河帝国の息を受けた反戦派政治家の意見を論破します。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

竹城・落葉
 家族を人質に取られている政治家もいるのか。元武将としての知見からしてみても、人質を取るというのは有効な作戦だろうな。ならば、その人質を解放し、作戦を崩壊させるまでだ。
 我は、人質にされている人々を救出すべく、活動をするぞ。【第六感】で怪しい場所を探る(もしくは、他の猟兵の方が調べた情報を活用する)事で、その場所を見つけ出し、乗り込むぞ。
 名物竹城を手に『支柱一閃』で壁などを切り取る事で秘密裏に侵入し、救出する。道中は冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情になる。見張りなどと出会った場合、ただ雇われているだけなら気絶させ、オブリビオンなどの悪意ある者なら切り伏せるぞ。


ウィンディ・アストレイ
【SPD】家族を人質に取られ、反戦論を唱えさせられているなら…
その人質を助けたら、帝国への反意は更に高まるでしょう
人道的見地からも、人質救出は望む所です

まず艦内システムに侵入して(ハッキング&メカニック&情報収集&追跡)
廃棄区画なのに酸素供給が再開された区域や
食糧類の供給が以前より僅かに増加している場所や誰かの家
艦内センサが唐突に働かなくなった箇所等を洗い出して
人質が囚われていそうな場所を絞り込んでいきます

その情報を艦内の猟兵達に送信して共有、人質救出を行う方の一助として
ボク自身は艦内センサや見張り等の妨害に専念します
(ハッキング&情報収集&メカニック&破壊工作&罠使い)

※アドリブ&絡み歓迎



●ハック&スラッシュ
(家族を人質に取られている政治家もいるのか。元武将としての知見からしてみても、人質を取るというのは有効な作戦だろうな)
 竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)はそう考えながら、暗い部屋を進んでゆく。今は業務用の冷酷な人格へと切り替わり済みだ。そして、壁の前に止まると、腰に挿していたバールのようなもの『名物竹城』を抜く。
「ならば、その人質を解放し、作戦を崩壊させるまでだ」
 ユーベルコード【支柱一閃】により、何故か壁がバターのように切断される。更に斬撃を加え、崩れ落ちた壁の向こうには、人質となっていた議員の家族達が集めれていた。
「情報通りだ。ここまでの案内、感謝する」
「お礼は要りませんよ。家族を人質に取られ、反戦論を唱えさせられているなら…その人質を助けたら、帝国への反意は更に高まるでしょう。人道的見地からも、人質救出は望む所ですから」
 落葉の言葉に通信機から返事が返ってくる。声の主はウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)だ。彼女が宇宙船の艦内システムにハッキングし、廃棄区画なのに酸素供給が再開された区域や艦内センサが唐突に働かなくなった箇所等を洗い出し、人質が取らわているであろう箇所をピックアップし、潜入後も監視カメラやセンサー類などを乗っ取って、落葉の案内をしていたのだ。
「しかし、ボクが割り出したのは何ヶ所かあったのに、一発であたりを引いちゃうなんて、何か根拠はあったの?」
「第六感…勘というやつだ」
「勘かぁ…まあ、とにかく、後は安全なところまでみんなを連れて行ってください。ボクは映像をごまかしたりでここからもサポートしますから」
「ああ、了解した」
 そのまま人質達を先導し、侵入してきたルートを逆戻りする落葉。ルート途中まで来た所で、ウィンディから通信が入る。
「すみません、やはり監視カメラの映像をごまかすだけでは限界があったようです。追手が来ます。全員クローン兵みたいですね。」
「そうか」
 人質だけを先に行かせ、落葉は通路に残る。
「侵入者を発見!今すぐ戦闘行動に入…」
 クローン兵が味方にそう通信した隙を突き、落葉は間合いを詰め、クローン兵達を両断する。
「おい、どうした!応答せよ!応答せよ!」
 これでまたしばらく時間は稼げるだろう。落葉は先に活かせた人質達に合流すべく、走り出すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


 人質となっていた議員の家族は無事開放された。これで犠牲者の心配はなくなった。あとは反戦派の牙城を崩すだけだ!
メイスン・ドットハック
【SPD】
人質とは有効な手段を取っておるのー
じゃけど、それは解決されたらどうとでもなるということじゃけー

最近反戦派に寝返った議員以外で、反戦派で力を持った議員の事務所に潜入
ユーベルコード「名前のない宝石」と忍び足を駆使して、気づかれずに動く
事務所の使われていないパソコンから、クラッキングを開始
帝国側の繋がりや参戦派議員への裏工作の証拠などの情報を中心に収集していく(ハッキング、情報収集、鍵開け)
中でも参戦派議員の家族の誘拐指示や場所などの情報は最優先で獲得

仲間へ渡すもよし、人手が足りないようなら自分で救出するもよし
問題解決をしたら、評議会のスクリーンに全暴露する



●もうひとつの潜入ミッション
「人質とは有効な手段を取っておるのー。じゃけど、それは解決されたらどうとでもなるということじゃけー」
 そう言いながら、反戦派議員の事務所に侵入するのはメイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)だ。反戦派議員…特に最近力をつけ、初めの方から反戦派としていた議員である。
(最初から反戦派っちゅーことは、帝国側から甘い汁をぎょーさん吸わせもろうたっちゅーことじゃけーの)
 ユーベルコード【名前のない宝石】で姿を隠し、職員に気付かれないようにパソコンへと近づいてゆく。議員が外出中でおらず、人員が手薄なのも幸いしたか。使われていないパソコンに手を伸ばしクラッキングを開始、そこからデータを抜き取ってゆく。その腕前はまさに魔術師級である。
(ほー、これは帝国側の繋がりや参戦派議員への裏工作の証拠も丸わかりじゃのー)
 瞬時に必要な情報を選り分けて解析してゆく。
「あ・と・は」
 ついでにコンピュータ上に残しておけないような紙媒体で保管してある書類も、戸棚からおやつを取っていくくらいの感覚で物色し、内容を記録してゆく。
(参戦派議員の家族の誘拐指示や場所の確保とか、大ぴらにできない情報も確保できたけーの)
 得られる情報を根こそぎかっぱらっていった彼女は、事務所から出てしばらくしてからユーベルコードを解除。
「透明能力は便利じゃけど、これって疲れるのー」
これだけの情報、人質が開放されているのなら、評議会のスクリーンにでも映してやろうか。そんな事も考えつつ、彼女は意気揚々と立ち去るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

河原崎・修羅雪姫
POW
多くの市民の集まるイベントに乗り込み、情熱的な演説等で『解放軍』参加への機運を盛り上げます。

「銀河帝国の圧制をひっくり返す音……。それはMUSIC(ミュージック)!」

ヘビーメタルの重低音ギグで、市民のハートをHOTにする。
【楽器演奏14】【誘惑14】【鼓舞15】で、
全世界サイボーグ連盟の戦旗をバックに、
熱く、情熱的にシャウトし、演奏し、観衆を魅惑する。

UCはヘビーメタル・シャウト。
【エレキギターの旋律】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強させ、
平凡な一般市民たちを、勇敢なる反逆者へと変貌させる。

「許すな帝国の圧制! つかみ取れ銀河の自由! 銀河皇帝を倒せ!!」



●唸れ!シャウト!
 人々が集まるイベント会…復活した銀河帝国と、ついに姿を見せた銀河皇帝。彼らと戦うべきか、戦いを避けるべきか、それらに関して市民達が討論するイベント…これが現在一番ホットなイベントだろう。
「銀河帝国の圧制をひっくり返す音……」
 そんな中に参加するのは河原崎・修羅雪姫(スノーブラッド・f00298)。彼女は自身のエレキギターを出すと高らかに叫ぶ!
「それはMUSIC(ミュージック)!」
 そして巻き起こる重低音。そこから彼女の旅団である『全世界サイボーグ連盟』の戦旗をバックに、熱く、情熱的にシャウトし、演奏を始める。
「お?」
「おおおおおおおおおおおお」
 最初は訳もわからず見ていた観衆も、そのギターのノリに次第に歓声を上げて、手拍子してゆく。
「許すな帝国の圧制!」
「おおおおおおおおおおおお!」
「つかみ取れ銀河の自由!」
「おおおおおおおおおおおお!!」
「銀河皇帝を倒せ!!」
「おおおおおおおおおおおお!!!」
 修羅雪姫のシャウトに観衆が呼応する!そして、演奏しながらヘッドバンギングしていると、エレキギターがさらに火を吹き、盛り上がる。
 実はこの演奏、彼女のユーベルコード【ヘビーメタル・シャウト】の力がこもっており、彼女に虚雲している戦闘力…というかノリがかなり増強されている。そしてその勢いは会場全体に伝播してゆき、こころは一つになったように見える。
「行くぞお前ら!」
「おおおおおおおおおおおお!!!!」
 勇敢なる反逆者へと変貌した彼らを止めることはできないだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

メンカル・プルモーサ
(救出作戦と同刻)
……公開討論んで……時間稼ぎをしないと…
…今頃…仲間が議員達の人質を解放している筈……
だけどその前に優勢になると切り捨てに入って人質が危ないかも……

…公開討論に参加して……議長と一進一退の論戦を繰り広げる……
その中で『安全』を『人質』に見立てて、議長達に「救出作戦が行われている」「議論を引き延ばして」と言うサインを送ってみる……
(例:帝国により『安全』が脅かされても猟兵がそれの原因を取り除く等)

……上手く全員救出成功の通信がはいったら…人質の解放や情報を出して……「このようなことをする帝国に従う謂われはあるのか」
「もし何かあってもこのように猟兵が守る」と言うアピールをする……


久世浦・穗積
そういえば最近カレーカレーばかり言っていて、称号のこと忘れてたわ
そもそも私は戦争について蘊蓄垂れる厨二病キャラだったはず…
という設定を思い出したので[WIZ]による反戦派の論破を試みる

戦争とは、敵を強制してわれわれの意志を遂行させるために用いられる暴力行為である
しかしながら、現実世界のあらゆる戦争において暴力が極限的に行使されていると考えることはできない
敵に対して要求する犠牲を小さくすれば、敵の抵抗は小さくなり、したがって支出すべき努力も小さくなる

つまり何が言いたいかというと
帝国の奴らは被害を減らしたいのさ。でも結果は同じ
明日の安全なんて保障されていない
それなのに戦わずして負けるというのかい?



●明日の安全
「議長!民衆は参戦を!自らの手で明日を勝ち取ることを望んでいます!」
「むぅ…」
 先程のイベントで市民の銀河帝国攻略戦への参戦の意思は強まっており、その一報は評議会にも届いていた。参戦派の若い議員は勢いづくが、議長は苦しい顔をしている。
「市民の意向に背いた決定をしてしまうと、戦争後の我々の立場も…」
「うろたえるな。そのようなものも、直に文句は言えなくなる」
 などと反戦派陣営からの会話も聞こえた所で。
「…ちょっと…まってください」
 そう言って入ってきたのはメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)と久世浦・穗積(戦争論・f01538)だ。
(…今頃…仲間が議員達の人質を解放している筈……だけどその前に優勢になると切り捨てに入って人質が危ないかも)
 そう思い、彼女らは人質救出の一報が来るまで、時間稼ぎに出たのだ。
「誰なんだね、君達は!」
「…猟兵」
 その一言に議会がざわつく。
「猟兵だと!解放軍の再来か!」
「彼らは我々を助けに来てくれたのか!」
 だが、それを制する声が出る。
「諸君、狼狽えてはいけない。部外者が入ってこようが、我々の決定には何ら変わりないことだ。大方我々を戦争に引き入れるか、その為の資金をせびりに来たんだろうが、まともに取り合う必要などありませんぞ」
 反対派のリーダー格とも言える議員がそう話し、場を静める。
「あー、ちょっといいか?」
 だが、そこに割って入ったのは穂積。ヒーローマスクの女性ということだが、本体はあの眼鏡だろうか?
「戦争とは、敵を強制してわれわれの意志を遂行させるために用いられる暴力行為である」
「何?」
 突然語り始めた彼女の言葉に面食らう議員達。
「しかしながら、現実世界のあらゆる戦争において暴力が極限的に行使されていると考えることはできない」
「当たり前だ。暴力…戦力を動かすのにどれだけの資金と労力が必要か。そういったものは必要最低限であるべきだ」
 穂積の言葉に議員の一人が反応する。
「そう。敵に対して要求する犠牲を小さくすれば、敵の抵抗は小さくなり、したがって支出すべき努力も小さくなる」
「で、何が言いたいんだね?」
 今度は議長が彼女に言葉を促す。
「つまり何が言いたいかというと、帝国の奴らは被害を減らしたいのさ」
「帝国は自身の被害を減らすために、こちらへの要求を小さくしようとしていると?」
「ああ。例えば降伏するなら、その宇宙船を滅ぼすのはやめる、とかな」
「バカバカしい話だ!」
 反戦派の一人が感情的に反論するが、穂積はどこ吹く風。
「でも結果は同じ。助けてやるなんてのは所詮向こうの胸先三寸、明日の安全なんて保障されていない。それなのに戦わずして負けるというのかい?」
 穂積の言葉にざわつく議会。当の本人は
(最近カレーカレーばかり言っていて、称号のこと忘れてたわ。そもそも私は戦争について蘊蓄垂れる厨二病キャラだったはずなんだよな…)
 などと考えて、自分の戦争論を思い切り出せたことを噛み締めているのは誰も気づかないだろう。
「だが、明日の安全が保証されていないのは参戦した場合も同じではないかね?」
 ざわつく議会の中で一番最初に反論してきたのは議長だった。
「明日が…明日がなければ私…いや、我々は行きていけないのだよ」
 スーツの胸ポケットを握りしめ、議長は身を切るかのような思いで言葉を吐き出す。
「…議長さん」
 そんな議長の顔を見て、メンカルは語りかける。
「…安心して。…私達猟兵は…その安全のために…今も戦っている。…結論は急がなくていい。…だから…信じて」
 彼女の言う『安全』が何を示しているのか、議長は気づいたようだ。
「と、とりあえず、予想外の来客にみんなも動揺しているようだから、ここは一旦休憩を挟もう。会議の流れは見えている、どうなるにせよ結論は今日中には決まるだろう。君達もそれでいいかい?」
「…構わない」
 今日中に結論を決めることにメンカルは了承する。つまり、今日中には安全を確保できるということだろう。
(頼んだぞ、猟兵)
 議長は休憩で一息つきながら、祈るように彼女達を見つめるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御倉・ウカノ
アドリブ歓迎
判定:POW
人質は解放され、裏切りの証拠も出揃ってる。ならあとは一発真正面からかましてやるだけだね。
「もっとも、モノを語るのは得意ってわけじゃあないんだが…」
『評議会が開催されている会議室にわざと大きい音がなるように扉を蹴破って入室し、人質が全員無事解放されたこと、反戦派議員に帝国に内通しているものがいることを宣言し、【鼓舞】技能を用いて降伏したところで今回のように大切な人々が人質に取られ自由など許されないこと、明日を生きるためには帝国を打倒するしかないと議員たちを鼓舞します』
「明日を大切な人と迎えるためには、武器を手に取らにゃあいかんのだ!」


レナ・ヴァレンタイン
※他猟兵との絡み歓迎

――なるほど、なるほど。この場の意見は概ね議長の一声で変わると、そう思ってもよいということかな?

ということで議場に乗り込ませてもらおう
別に演説をぶつ気もないし、煽動などできるスキルもない
端的に事実を述べる、と人質にされていたご家族に繋がった通信端末を議長に投げ渡す
貴方の口を勝手に使おうなどと無粋をやる輩からご家族は救助した
今の安全は確保した
さあ明日を決めたまえ

此処が千載一遇の好機だ
暗い海を漂い、いつ来るかわからぬ敵におびえながら日々を過ごすか
恐ろしくも強大な敵に立ち向かい、故郷を、家族を、己を取り戻すか

たがまあ出来ることなら手助けが欲しい
我々猟兵も人手が大幅に足りないのでな


若月・揚羽
人質を取られているなら私の出る幕は無いけど、内通や汚職なら証拠を見つけ出すのが議長を解任させる決定打ね。私は【SPD】の行動するわ。仮に金品で買われている人間なら、あの家族に未来はあるのかしら。
今回はわざわざユーベルコードを使う必要はないわね。無意味に脱ぐこともないし、斧で粉砕する者もいない。バレないようにこそこそ議長の事務所で証拠探しするわ。コンピューターの媒体に隠されてることもあるけど、パスワードやアカウントをデスクに貼ってる迂闊者もいる。議長がそんな迂闊じゃなかったら、本人が使ってるのを盗み見るしかないわね。
万が一、人質を取られてて下手人が近くに居れば速攻で向かい、その首を討ち取り潰す。



●最後の一手
「…さて、会議を再開しよう」
 たっぷりと休憩をとった後、再び宇宙船『スウェルス』が参戦するか否かを決める会議が始まろうとしていて…
「ちょーっと待った!」
 会議室の扉を豪快に蹴破り入ってきたのは御倉・ウカノ(酔いどれ剣豪狐・f01251)だった。議員全てがウカノに注目する。
「もっとも、モノを語るのは得意ってわけじゃあないんだが…」
「では、私が引き継ごう」
 とにかく勢いで入ってきたウカノの後に続くのはレナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)だ。
(なるほど、なるほど。この場の意見は概ね議長の一声で変わると、そう思ってもよいということかな?)
 レナはぎちょうを見据え、
「会議の様子を今まで見ていたが…貴方がたの安全を、我々が確保できることを証明するば良いかな?」
 そう言うと、彼女がすっと手を上げて合図を送ると会議室備え付けの巨大モニターに映像が映し出される。その映像に映し出されたのは…
「パパ!」
「アリーシャ!」
 帝国軍に人質に取られていた議長の娘の姿だった。画面の奥には議長の妻を始めとして、他の脅されていた議員の家族の姿もある。
「貴方の口を勝手に使おうなどと無粋をやる輩からご家族は救助した。今の安全は確保した。さあ明日を決めたまえ」
「ありがとう…ありがとう!」
 議長の目から涙が溢れる。たとえ世界がすぐ終わってしまうことになろうとしても、少しでも長くいたいと願った家族。彼女達の無事が確認できたのだ。
「ぎ、議長!騙されてはなりませんぞ!奴ら、もしかするとこの小娘らは帝国軍のフリをして誘拐などと一芝居打っていたのかもしれませんぞ!」
 だが、そこで反戦派のリーダーは食い下がる。
「おーおー、ここまで来てそんなこと言っちゃうとか、よっぽど帝国から美味しい目を受けてきたんだろうねえ」
「な、何を根拠に!」
 うろたえるリーダーにウカノは言葉を続ける。
「お手元の資料をご覧くださ~い。この男がどれだけ美味しい目を受けていたかご覧になれま~す」
 おどけた感じで彼女が言うと、議員達の手元にある端末に、反戦派のリーダーが帝国に繋がりや、参戦派議員への裏工作の証拠、更には議長の家族を誘拐する手引きなどの計画書もあった。これらはすべて、猟兵のハッカーが彼の事務所に直接侵入して集めてきたものである。
「な、ななな」
「おや?そんなに顔を赤くして、仕事中なのに一杯やっちまったかい?」
 腰に下げた酒をちらつかせる彼女にリーダーは激昂する!
「貴様ら!自分たちのやっていることが分かっているのか!帝国を敵に回しのだ!この船に潜伏している帝国兵が暴れたらもうおしまいだ!その時は命乞いしても助けてやらんぞ!」
「あー、その帝国兵なんだけどさ…」
 ウカノが議会のシステムを掌握している猟兵に合図を送るとモニターの画面が分割され、新しい画面が映し出される?
「この建物、見覚えはないかい?」
「んなー!」
 そこは、人質達が囚われていた施設で、今は炎に包まれている。その様子を背景に報告をしているのは若月・揚羽(朱に射す女王蜂・f11250)だ。
「こちら揚羽。敵の殲滅は完了した」
(今回はわざわざユーベルコードを使う必要はなくて、無意味に脱ぐこともないし、斧で粉砕する者もいないって思っていたんだけどなあ)
 議長の事務所に忍び込んで内通や汚職の証拠を掴みに行こうと思っていた彼女だったが、すでに他の猟兵によって十分なまでの証拠が集まっていのに現地につくまで気づかなかったため、やるべきことを変更したのである。
 つまりは、議長を始めとする議員達の家族を誘拐した下手人…帝国軍の殲滅である。いきあたりばったりに近い方向転換では、あったが、結果的に潜伏している帝国兵という後顧の憂いを立つことに成功したのだ。
「あばばばば…」
 その映像を見てしまったリーダーは泡を吹いて倒れてしまった。裏切り者の今後は語るまでもないだろう。
 それまでの一部始終を見届け、レナは口を開く。
「此処が千載一遇の好機だ。暗い海を漂い、いつ来るかわからぬ敵におびえながら日々を過ごすか、恐ろしくも強大な敵に立ち向かい、故郷を、家族を、己を取り戻すか」
 今の状況を議員に端的に伝える。そして、最後にこう付け加える。
「たがまあ出来ることなら手助けが欲しい。我々猟兵も人手が大幅に足りないのでな」
「明日を大切な人と迎えるためには、武器を手に取らにゃあいかんのだ!今回のように大切な人々が人質に取られるなど許してはいけない!明日を生きるためには帝国を打倒するんだ!」
 さらにそこへウカノが熱く畳み掛け、議員達を鼓舞する。クールに端的に述べて想いを理性に伝えてゆくレナと、熱い気持ちで議員達の心を揺さぶるウカノ。息ピッタリのコンビネーションで議員達に言葉を届けてゆく。
「卑劣な帝国を許してはいけない!やはり、ここは戦うべきだ」
「ああ、おかげで目が覚めた。明日は自分で掴み取らなければ」
 議員達にも熱は伝わり、想いは届き、立ち上がることに心が一つにまとまってゆく。
「猟兵諸君」
 そして、議長が声を掛ける。
「ありがとう。危うく私はとんでもない過ちを犯してしまうところだった。感謝する。君達のおかげで我々『スウェルス』の民は解放軍に加勢することを決めた。これからの明日を掴み取るため、協力させてもらう」
 そう言って議長は猟兵達と固い握手をする。

 こうしてまた一つ、解放軍へ協力する宇宙船が増えたのだった。『スウェルス』にワープドライブが取り付けられ、戦場に駆けつけてくれる日もそう遠くはないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト