大祓百鬼夜行⑰〜不殺の契り、懐かしき遊び
「皆!カクリヨファンタズムで戦争が始まったよ!」
トレードマークである赤いポニーテールと狐耳をピコピコと動かしながら、レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)はグリモアベースにて集まった猟兵たちに告げる。
「……本来、この戦争では私達は負けていた。戦いの場に立つことさえできなかった筈なの。それはこの戦争を仕組んだカクリヨファンタズムのオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』の特性……『全ての知的生命体から忘却されることによる存在の認識不能』……それはグリモアすら例外じゃなかった。私達は戦争が始まったことすら知らないまま、UDCアースとカクリヨファンタズムが滅びるさまを見るしかなかった筈……だけど、そうはならなかった」
そうして、予兆――『東方親分『山本五郎左衛門』』の決意をレーヴァは虚空に灯した狐火で投影し、その命がけの策を伝える。
「カクリヨファンタズムの一部の妖怪たち、彼らは『大祓骸魂』の事を覚えていたの。だけど、猟兵ではない彼らではオブリビオン・フォーミュラには勝てない……だから、命がけの策として自らを大祓骸魂の軍門に降らせたの」
その行進に彼らの配下も含めた妖怪たちが募っていき、やがて命懸けかつ世界を救う百鬼夜行を作り上げた。
「そうして、私達は骸魂妖怪の軍団……百鬼夜行を認識することが出来た。そこから私達はオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』の足取りを掴むことが出来るの」
無論の事、骸魂妖怪となった妖怪達は無事を約束されない。
撃破した際にそのまま骸魂ごと骸の海へと還ることもあり得てしまう。
大切な二つの故郷を守るために、命を懸けた者達が無常に消えゆく。
君達は、それを許せるか。
「……答えは決まっているよね!助けちゃおう!救っちゃおう!全てを抱いて勝とうよ!」
そうレーヴァは激励を駆ける。
「妖怪達(みんな)は猟兵達(みんな)を救う為に命を懸けた。なら、こちらも同じく命を救ってあげようよ!」
そうして、レーヴァは業火のゲートを作り上げると同時に今回の戦場の概要を映し出す。
「今回の戦場はUDCアース……そこに帰還した強い妖怪との闘いだよ。ただ、この妖怪は本来心優しくて「子供と遊びたい気持ち」があったんだ。だけど、それを歪められて『超芸術トマソン』と呼ばれる巨大な建築物に子供たちを誘拐しちゃったんだ」
そうなると、かの妖怪と子供たちの救出という事になる。
「ただ、ものすごく実力があるからね。真っ向勝負より「子供たちと遊びたい気持ち」を活かして浄化してほしいんだ」
懐かしい遊び、ベーゴマや竹馬、通信ケーブルのようなレトロゲーム等を一緒に遊び、歪められた「子供たちと遊びたい気持ち」を満たして、浄化する。
「そうして救ってあげて。今回の戦争は誰も殺させはしない。少なくとも、私はそう決めたから」
そうしてレーヴァは業火のゲートを起動させ、猟兵たちを『超芸術トマソン』へと転移させる。
黒代朝希
今回の戦争は中々泣けますね。
相手に想いを施されたなら、こちらも施さない義理はないですよね。
プレイングボーナス……子供を救出し、代わりに懐かし遊びを受けて立つ。
第1章 ボス戦
『無邪気』
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POW : あ そ ぶ
レベル×1tまでの対象の【身体や建造物など】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD : ど こ か な
【生物を見つけること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【恐怖を与え動きを封じる視線】で攻撃する。
WIZ : あ れ が い い
攻撃が命中した対象に【強い興味】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【自身から発生した複数体の分身】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:カス
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「霞末・遵」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器(一応):漆黒風
思いは私も一緒ですよ。このまま散らせて、たまるものですかー。
ね、死なせないために。私たちは戦いますよー。
懐かしい遊びねぇ。そうですね、ベーゴマでもしましょうか。
あれ、意外と難しくて楽しいんですよね。
上手く回す、コマ同士を戦わせたり。
結界術を応用して、コマを回す場を区切ることくらいはしましょう。ほら、関係のないところに跳んでいくと、悲しいですからねー?
万一の防御は、オーラ防御で。
攻撃も指定UCで、綺麗なうちにね?骸魂も、綺麗な光景見てもいいじゃないですかー。
「思いは私も一緒ですよ。このまま散らせて、たまるものですかー」
そうのほほんとした雰囲気の中、確かに不殺の決意を湛えながら『複合型悪霊』の猟兵たる馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)を構成する人格の内の一人、『疾き者』はベーゴマを手にする。
「ね、誰一人死なせないために。私たちは貴方と戦いますよー」
そう言って同じくベーゴマを握りしめている『無邪気』を見つめ、『疾き者』はベーゴマを構える。
その動きに『無邪気』もベーゴマを構えると同時、両者はベーゴマを解き放つ準備に入る。
「これ、意外と難しくて楽しいんですよね。上手く回すのを工夫したり、コマ同士を戦わせたりするのがね」
そう呟きながら『疾き者』はユーベルコード『四天境地・風』をベーゴマと共に解き放つ。
その鬼蓮の花びらが周囲を舞う状況に『無邪気』は困惑するものの
「骸魂も、綺麗な光景見てもいいじゃないですかー」
という『疾き者』の言葉に納得し、ベーゴマを解き放つ。
「(……結界術を応用して、コマを回す場を区切ることくらいはしましょう)」
当然、強力な骸魂である『無邪気』もその工夫に気が付くのだが、
「ほら、関係のないところに跳んでいくと、悲しいですからねー?」
その『疾き者』の言葉を聞くと『気を利かせたな』と言わんばかりに納得の様子を見せる。
やがて『疾き者』のベーゴマが『無邪気』のベーゴマを弾いて勝利すると、『無邪気』は悔しそうにするも懐かし遊びを楽しめたからか直ぐに嬉しそうな顔をして浄化されていく。
「はは、こちらも楽しかったですよー」
『疾き者』もそんな『無邪気』の様子を見て笑い返し、素体となった妖怪に戻っていくのを見つめていた。
大成功
🔵🔵🔵
七那原・望
いいですね。不殺の戦争。
あなたを満足させたら浄化出来るのです?
内容は目隠し鬼。どちらも目が見えないからフェアでしょう?
納得してくれれば敵のユーベルコードを封殺できるので楽なのですけど。
勝負に乗ってもらえたら正々堂々勝負なのです。
意図的に非戦闘時のように気を緩めて第六感や野生の勘を封じます。
楽しく遊ぶのにそんな優位性は要らないのですから。
捕まったとしても、捕まえられなかったとしても構わないのです。
楽しいのが一番なのです。
子供達は保護しますけど、もし危険性がなくて子供達が望んだら彼らも遊びに混ぜましょう。
捕まったら鬼、時間無制限!
疲れたらりんごでおやつ休憩もあるのです。
さぁ、遊びましょう!
「いいですね。不殺の戦争。あなたを満足させたら浄化出来るのです?」
そう言って七那原・望(封印されし果実・f04836)は『無邪気』と向かい合って懐かし遊びの内、己と言う猟兵の性質を活かしたある遊びを提案する。
「内容は『目隠し鬼』。どちらも目が見えないからフェアでしょう?」
望の眼を隠す封印の目隠しは何があっても取れることはない。それは真の姿に変貌しても更に全身の拘束度合いが増すという形で現れることからも伺える。
「(……納得してくれれば敵のユーベルコードを封殺できるので楽なのですけど)」
そう言った打算も含めて提案した『目隠し鬼』。それについて『無邪気』は謹んで了承の意を示した。
「勝負に乗ってもらえたら正々堂々勝負なのです」
そう言って望は意図的に非戦闘時のように気を緩め、第六感や野生の勘を自ら封じて懐かし遊びに挑戦していく。
ここは世界の運命を賭けた猟兵とオブリビオンとの最後の戦い、『戦争』の戦場だ。
故に、実力に蓋をして臨むのは自殺行為と言える。
「けれど、楽しく遊ぶのにそんな優位性を語る必要は要らないのですから」
だが、事ここに至って『大祓百鬼夜行』と言う戦争についてはその限りではない。
今回の戦争はカクリヨファンタズムに住む妖怪たちが『大祓骸魂』と言うオブリビオン・フォーミュラの陰謀を阻止するべく、あえてオブリビオン化して『大祓骸魂』の傘下に下る事で猟兵たちに『大祓骸魂』の座標を示そうとしたことが発端だ。
その妖怪達が命懸けで『大祓骸魂』の座標を猟兵たちに示そうとした以上、猟兵達は彼らに対して不殺を示すことが今回の戦争について重要となる。
「はい、私の勝ちなのです!」
故に――望が今回の戦場にいる骸魂へと変化した妖怪の『子供たちと遊びたい気持ち』に訴えかけるという手段は、非常に理にかなったアプローチだと言えるだろう。
「疲れたらりんごでおやつ休憩もあるのです。さぁ、遊びましょう!」
十分に『子供たちと遊びたい気持ち』を満たしたと判断した望は先に保護していた子供たちも招き、素体となった妖怪が救出されるまで『目隠し鬼』を遊んでいった――
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
OK! 遊びに来ました、エブリワン!
ワタシたちがお相手いたしマース!「バルルー♪」
ミニ・バルタンたちを引き連れて、建築物へ突入デース!
まずはかくれんぼ! 誘拐された子どもたちを探して、外に連れ出しマショー!
ハーイ、見つけマシタ! お外へ連行しデース!
その後は一人一人、おうちに帰るまでミニ・バルタンを一体ずつ同伴させマース。
救助が完了すれば、残ったバルタンズ&ワタシで、骸塊にされた方とおにごっこと参りマショー! そちらがおにデスネ!
縦横無尽に走り回って、飛び回って逃げマース!
満足するまでお付き合い致しマスヨー、おにさんこちらデース!
「バルル、バルルー♪」
「OK!遊びに来ました、エブリワン!ワタシたちがお相手いたしマース!」
「バルルー♪」
そうハイテンションにバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は召喚した105体のミニ・バルタンを引き連れ、『超芸術トマソン』へと赴いていた。
「まずはかくれんぼ! 誘拐された子どもたちを探して、外に連れ出しマショー!」
ミニ・バルタンに『超芸術トマソン』に隠れている子供たちを探すよう指示を出したバルタン。ミニ・バルタンのデフォルメされた愛らしい姿ならば子供たちの警戒心も解けるというものだろう。
「ハーイ、ワタシも一人見つけマシタ! お外へ連行しデース!」
「え、え……あの」
「怯えなくて大丈夫デース!お腹すきましたか?クッキーをどうぞー!」
発見した怯える子供に対してバルタンは奉公人としての高い【奉仕】と【料理】の技能を用いて作ったクッキーを手渡す。
「ミニ・バルタンも他の子供たちを発見したようデスネ。おうちにはミニ・バルタンズを一体ずつ同伴させてあげマース。子供たちの避難が終わったならば、残ったバルタンズとワタシで骸塊にされた方とおにごっこと参りマショー!」
そうやって保護した子供たちを『超芸術トマソン』の外へと避難させたバルタンは、残った『無邪気』とも決着をつけるべく奥へと進んでいった。
「見つけマシタ!鬼ごっこをシマショー!アナタが鬼デース!」
『無邪気』を見つけたバルタンは、出合い頭に鬼ごっこを宣言して懐かし遊びへの参戦を申し出る。
懐かし遊びをしたいという欲求に働きかけられた『無邪気』はこれを断らず、鬼ごっこを始める。
「HAHAHA!捕まえられるものなら捕まえてみなサーイ!」
『超芸術トマソン』の内部をサイボーグとしての機能も用いて縦横無尽に駆けまわるバルタン。それを追いかける『無邪気』を力いっぱい走っていく。
「鬼ごっこは楽しいデスネー!走るという事にスリルがありマース!」
鬼に捕まるか捕まらないか、鬼は捕まえられるか捕まえられないか。
それを脚力と走力で決める鬼ごっことは成程、単純だが奥が深い遊びだと言えるだろう。
「満足するまでお付き合い致しマスヨー、おにさんこちらデース!」
「バルル、バルルー♪」
そんなバルタンとミニ・バルタンの声を聞いて、『無邪気』はさらに足に力を籠めると同時に浄化されていくのであった。
大成功
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シャロン・アイテール
「君たち、子供と遊びたいなら僕と遊ぼうよ」
と、子供たちと遊びたがっているオブリビオンに対して提案します。
僕も一応子供だからね。
普段はデジタルゲームを遊ぶことが多いけど、アナログゲームも好きなんだ。
なので懐かしの遊びといえば、すごろくを遊びたいな。
ゲームスタート!と同時にUCを発動して遊ぶ様子を配信するよ。
すごろくが盛り上がってきたら防御力が上がって敵の攻撃を防げるんじゃないかな。
服に仕込んだ光学迷彩も駆使して敵の攻撃をよけつつゲームします。
「直接攻撃なんてすごろくのルールにないよ! どちらが先にゴールするかで勝負なんだから」
と時間稼ぎをしつつ子供たちを逃がしたいと思います。
「君たち、子供と遊びたいなら僕と遊ぼうよ」
『超芸術トマソン』内を徘徊する『無邪気』に語り掛けるセーラールックを着た少年がいる。
彼の名はシャロン・アイテール(電脳忍者配信者・f28974)。バーチャルドールの猟兵だ。
「普段はデジタルゲームを遊ぶことが多いけど、アナログゲームも好きなんだ。なので懐かしの遊びといえば、すごろくを遊びたいな」
そのシャロンの言葉を聞いた『無邪気』は、自身を構成する影の中から双六を取り出す。
双六の内容としては日本をデフォルメした地図にて、沖縄から北海道までを競う形式のもの。古めかしくもどこか懐かしさを思い出させる代物だ。
「あ、ちょっと待っててね。この双六を動画配信……あ、そうそう。ネットが分かるから話がスムーズに伝わるな」
ユーベルコードを起動させて部屋の中に展開させた動画撮影ドローン。そのカメラには部屋の中を俯瞰するようシャロンと『無邪気』、そして双六が映し出されている。
「(万が一の時、この動画配信で強化させた僕の力で何とかするしかないけど……)」
その可能性は低そうだ。と、楽し気に先手としてサイコロを振って双六を楽しもうとしている『無邪気』の姿を見てシャロンは結論づける。
やがて、シャロンが勝利する形で双六を終えた猟兵と骸魂の二名。
「ねぇ、最新式の双六とか興味ない?」
そこにシャロンは最新式のゲーム機を取り出し、コントローラーの一つを『無邪気』に手渡す。
『無邪気』も、その素体となった妖怪も遊びが好きな存在。最新式のゲーム機もすぐに扱いに慣れて操作を進めていく。
やがて、ゲームを起動させると画面に表示されたのはゲームのオープニング映像。
「これはね、双六の形で勝負を決めるゲームなんだ。シナリオも面白いしちゃんと双六としても面白い」
シャロンの言葉に『無邪気』はゲームを始め、チュートリアルを受ける。
その際体験した双六のゲームは、『無邪気』を喜ばせるに十分な出来であった。
「ね?面白いでしょう?」
やがてゲームを進めていくうちに『無邪気』は浄化され、素体となった妖怪は自分が助かったことにも気が付かずゲームの双六を楽しんでいた。
大成功
🔵🔵🔵
百鬼・智夢
そう、ですね…
お手玉、いかがですか?
それなら私もわかりますよ、ルール
振り技でも拾い技でもお好きな方で…
小さい頃は外で遊ぶ事もあったけど
虐められ始めてからは、1人遊びに慣れてしまって…
お手玉やまりつきも、その名残りで
まりつきは私の服的に難しいので、今回はごめんなさい…ですけど
必要ならお教えしますよ
シンプルに見えて…技も沢山あるんです
そうそう、お上手ですね…
いかにも人慣れしていない口調で辿々しく
それでも精一杯に話しかけ
絶対に危害を加えない前提で…もしまだ残された子がいるなら
一緒に遊びましょうか
その代わりに私が勝ったら、この子を自由にしてください
終わったら【指定UC】で
肉体は傷つけないよう【浄化】を
「そう、ですね……お手玉、いかがですか?」
『無邪気』にそう提案するのは亜麻色のウェーブヘアがチャームポイントのアリス適合者、百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)。
「それなら私もわかりますよ、ルール。振り技でも拾い技でもお好きな方で……」
その言葉を聞きながら『無邪気』はお手玉を用意していく。
「小さい頃は外で遊ぶ事もあったけど……虐められ始めてからは、1人遊びに慣れてしまって……」
そんな言葉を、『無邪気』はお手玉を取り出す時に聞いた。
「お手玉やまりつきも、その名残りで……まりつきは私の服的に難しいので、今回はごめんなさい……ですけど」
彼女はUDCアース生まれだが、元来の霊感体質が災いして学校で酷いイジメを受けていた。
「必要ならお教えしますよ。シンプルに見えて……技も沢山あるんです」
しかし、そんな境遇でも本来の他者を気遣える心の優しさは残っている。
そんな智夢の姿を見て、『無邪気』――その素体となった心優しき子供好きな妖怪は、その心を疼かせた。
「そうそう、お上手ですね……次はこの技なんかどうでしょう……」
そうして智夢と『無邪気』はそれぞれお手玉の技を披露し合い、披露した技を相手が知らなかったら教えるというルールの元で遊んでいた。
やがて、一通り技を披露し終えると智夢は『無邪気』に語り掛ける。
「あの……私の他にも、この建物に子供はいるのでしょうか……」
人慣れしていない辿々しい口調で、しかし芯の強い意志を秘めながら。
「……もしまだ残された子がいるなら……一緒に遊びましょうか」
その代わり、私が勝ったらその子を自由にしてください。と、智夢は告げた。
智夢の真摯で健気な姿は、『無邪気』の素体となった子供好きな心優しき妖怪の心へと深く届き――
――『無邪気』のオブリビオンとしての核となる部分を浄化した。
やがて、心優しき妖怪が『無邪気』がいた場所に現れ、智夢を優しく抱き寄せたのであった。
大成功
🔵🔵🔵