5
大祓百鬼夜行⑰〜懐かし玩具で敵を撃て

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#大祓百鬼夜行


0





「すっげー、なにこの玩具」
「見たこと無いよなぁ」

 広げられた立派なステージに、ビー玉がセッティングされた玩具。
 一時は誰もが知る伝説的な人気を博した玩具であっても、時代の流れは悲しいもの。
 もはやリアルアンダーティーンズの記憶からは消されてしまった玩具を目新しいものとしてはしゃぐ子供たちを眺め、その妖怪は自虐的な笑みを浮かべる。

 忘れ去られた存在――この玩具、ビーダマファイターそのものが、忘れ去られカクリヨファンタズムで過ごしてきた自分たちと、重なって見えたが故に。

「坊主、一緒に遊んでみるか?」
 被り物を被っているようにしか見えない風体をした男に対し、少年たちは嬉しそうに声を返す。
 その声を聴いて、その妖怪は嬉しそうに笑みを浮かべるのだ。

 子供たちと遊べるのが嬉しくて。
 打ち負かした子供たちを食べるのが楽しみで。

 良いじゃないか――どうせ忘れ去れるのだから……。


「皆、新たな戦いが始まったぞ」
 グリモアベースでそう猟兵たちに語り掛けるのは、全身が毛に覆われた巨漢――ゴリ・ゴリ(ミュータント・ゴリラーズ・f18193)だ。
 ゴリによればカクリヨファンタズムで始まった新たな戦い大祓百鬼夜行の片隅で、子供たちに危険が迫っているというのだ。
 その原因は本来であれば心優しき妖怪――だが骸魂によって「子供と遊びたい気持ち」を歪められた彼らは、今子供たちと遊ぶのを楽しむと共に、その勝利の証として子供たちを喰らおうとしているというのだ。

「本来であれば、子供たちを助け倒すだけですむ話だが……どうやら、その妖怪は相当に強力なようだ」
 ゴリによれば正面から敵と戦えば、苦戦するは必至――子供たちを守りながらというのは困難を極めるらしい。
 故に子供たちの代わりに遊びに参加することで、遊びの中で戦う必要があるだろう。
 その遊び――ビー玉を撃ち出しゴールへ入れたビー玉の数で勝敗を競うその玩具にUCを乗せれば、効果的に敵にダメージを与えることが可能だ。

「だが忘れないで欲しい……あくまでこの戦いは遊びを通して行なわれていることを。大事なのは、楽しむ心だ」
 もしも猟兵たちが楽しんでいない様子であれば、敵オブリビオンは遊び相手を子供たちに求めるだろう。
 故に大切なのは、全力で楽しみ、全力で打ち勝つことなのだ。

「子供たちの為にも……そしてこの妖怪を助ける為にも、皆――宜しく頼む」
 そう言いながらゴリは猟兵たちを送り出す。

 その手にバナナを握らせながら。


きみはる
●ご挨拶
 お世話になります、きみはるです。

 始まりました大祓百鬼夜行――頑張って参りましょう。

●依頼について
 ビー玉を撃ち出す玩具、ビーダマファイターで戦って頂きます。
 名前は大事です。間違えないようにお願いします。

 UCを乗せたビー玉をゴールさせることで、的確に相手にダメージを与えることが出来ます。細かい原理はあまり考えてはいけません。
 また、敵もその能力を活用しながらビー玉を放ってきます。

 補足ですが、オブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」です。飲み込まれた妖怪は、オブリビオンを倒せば救出できます。敵は大変強力な妖怪ですので、いくらボコボコにしても死ぬことはありません。安心して戦って下さい。

●プレイング募集について
 OP公開時からプレイングを募集させて頂きます。
 戦争依頼ですので、採用数は様子を見ながらとさせて頂きます。

 また、プレイング締切はタグでご連絡させて頂きます。

 それでは、皆様の楽しそうなプレイングをお待ちしております。
94




第1章 ボス戦 『ウェスタン・スケアリー・モンスターズ』

POW   :    フランケン『ラース・ヴァイオレンス・アタック』
【気に入らねえ奴らをぶっ潰すという憤怒】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    狼男『ルナティック・ムーン・ライト』
【精神を錯乱させる月の光】を降らせる事で、戦場全体が【満月の夜】と同じ環境に変化する。[満月の夜]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    ドラキュラ男『ブラッディ・ヴァンパイア・バット』
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【獰猛な吸血コウモリの群れ】で包囲攻撃する。

イラスト:草間たかと

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は仇死原・アンナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リック・ランドルフ
こりゃまた懐かしい玩具だ
昔よく遊んだっけな

よし、久しぶりに勝負してみるか。というわけでそこの少年達。悪いが先やらせて貰うぜ。というか遊び方知らないだろ?だから実習、俺達の試合を見て、覚えてくれよ。(コミュ力、言いくるめ)

じゃ、やろうぜ。

――バトルファイト!!


俺の得意な戦闘スタイル。それは今も昔も変わらねえ。相手のビーダマファイターのタイプとステージの確認。そして相手の動きを観察しながら相手の弾を相殺。(情報収集、戦闘知識)

全部が把握出来たら――反撃開始だ!
的確に相手が対応出来ない隙へと打ち込む!(クイックドロウ、スナイパー)

そしてこれが俺の必殺技!地形を利用した、跳弾ショット!(地形の利用)




「こりゃまた懐かしい玩具だ……昔よく遊んだっけな」
 妖怪――狼男と少年たちの間にさりげなくその身を滑り込ませながら、リック・ランドルフ(刑事で猟兵・f00168)はその懐かし玩具――ビーダマファイターを手にした。

「よし、久しぶりに勝負してみるか……というわけでそこの少年達。悪いが先やらせて貰うぜ。というか遊び方知らないだろ? だから実習、俺達の試合を見て、覚えてくれよ」
「う、うん……分かったよ。おじちゃん」
 突然現れた巨漢の男に、少年たちは気圧されたように後ずさる。
 おそるおそる見上げるものの、しかしその会話から剣呑な色を感じなかった子供たちは、素直に数歩下がりその戦いを見守ることとしたのだ。
 果たしてどういった玩具なのか――その様子をキラキラとした瞳でこちらを見つめる子供たちを見つめ、リックは負けられないと改めて気を引き締める。

「おいおい、割り込みは良くないぜ……ってまぁ、見て覚えた方が良いってのは、その通りだからしょうがねぇか」
「まっ、そういうことだ……じゃ、やろうぜ」

 互いの視線を絡ませ――リックと狼男は互いのビーダマファイターを構える。
 準備は万端……ならば、四の五の言わずに戦うのみだ。


――バトルファイト!!


 勝負に立ち会うフランケンシュタインの声と共に、二人は互いのビーダマファイターのトリガーを押し込む。
 しかしそのビー玉がはじき出される前に、戦場を闇が覆うのであった。

「いくぜっ! ルナティック・ムーン・ライト」
 突如として辺りが闇夜に覆われる――空に輝く月明りだけが頼りとなったその薄暗い戦場の中で、狼男は的確にゴールを狙うのだ。
 それはまるでアニメにおける主人公の必殺技――演出かのようなその変化に、少年たちは興奮した声をあげる。

 しかしその逆境に焦ることなく、リックは飛来するビー玉をビーダマファイターで的確にはじくとそのトリガーに力を籠める。

「さぁ――反撃開始だ!」
 それはまるでガンマンによる早打ち。
 敵がビー玉を撃ち出したその瞬間にカウンターを決めるかのように、敵ビーダマファイターの隣をすり抜けるかのようにビー玉をぶち込むのだ。

「そしてこれが俺の必殺技! 跳弾ショット!」
 さらなる追撃として放たれた一撃は、近くに置かれていたジュース缶で跳ねたと思えばそのままゴールへと吸い込まれるでは無いか。

 二発のビー玉が熱光線を纏い――ゴールへと突撃したかと思えば人狼は後方へと吹き飛ばされる。
 辺りに――少年たちの歓声が響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
■心境
俺に昔の記憶はないが
これを見てると懐かしいような気持ちにはなるな
どの人格によるものなのかはわからないけど

…俺は忘れてる側のニンゲンだ
忘れている事をよしとし、例え過去に繋がる何かがあろうと関係ないと切り捨てると決めてる側だ

だから何も彼らには言えない
けど今のガキどもに新しいおもちゃとしてこれが認識されてるように…
新しく始めるのはできるんだろう

だからガキも妖怪も助ける為動こうか

■行動
操作は第六感で
相手も体を強化して戦ってくるらしい
フィジカルで負けてたまるか!

ビー玉が、ビーダマファイターが壊れないギリギリを攻めるチキンレースになるだろう

相手の弾を弾きゴールに力ずくで押しとおる!




「俺に昔の記憶はないが……」
 何故こんなにも懐かしい気持ちになるのだろうか。
 見たことすらないはずにも関わらず、尾守・夜野(墓守・f05352)は心の内から湧き上がるノスタルジックな感傷が、果たしてどこから来ているのか疑問を感じる。
 己の内に存在するどれかの人格によるものだろうが――しかし不思議と、その感傷は決して他人事などでは無く、確かに自分の心を突き動かす何かが存在した。

「……俺は忘れてる側のニンゲンだ」
 妖怪たちの葛藤を、苦しみを理解した上で、夜野はそう断言する。
 忘却を是とし――例え過去に繋がる何かが今更出てきたとて、最早関係無きものとして切手捨てると決めている。
 だからこそ、骸魂に飲み込まれた彼らの悲しみを理解出来るなどとは言えない――寄り添うことも、つまらん干渉だと切って捨てることも出来ない。

 だが――と同時に夜野は想う。

 だが――今この忘れ去れた玩具が、少年たちに新しいものと認識されているように……新しく始めることは、やり直すことはきっとまだ出来るのだろうと。
 だから……。

「だからガキも妖怪も助ける為動こうか」
 そう静かに、夜野は決意するのだ。

「次はお前か……」
 無言で静かにその場に現れた夜野に対し、新たな挑戦者もまた受けて立つと、フランケンはビーダマファイターを手にステージに向かう。
 互いに握るは――連射性よりも一発の威力を重視したビーダマファイター。
 互いの心の内を見透かしたかのように……だがそれでも真正面からぶつかり合おうと、フランケンは多くを語らずにやりと笑うのだ。

「ラァース! ヴァイオレンス! アタックッ!」
 掛け声と共に、巨漢は二回りも三回りも肥大化して見せたではないか。
 そしてその見るからに向上された筋力が、ただ一発――ただ一発のビー玉を放つことだけに注がれる。
 それは射出孔を狭め圧力をかけることで威力を増大させる技術――いわゆる締め打ち。
 その圧力を極限まで高めるその一撃は、間違いなく強大な一撃を放つことだろう。

 だが――だがそれを見ても、夜野は決して焦らない。

 力には力を。

 ならば真正面からぶつけ合い、打ち勝って見せるのだと、そう言いたげに無言でビーダマファイターを構えるのだ。

「……一気に決める!」
 夜野が放つは強化式【累】――己が刻印に刻まれた強化術式を暴走させる事で通常以上に己が力を籠める、一撃必殺の……そして己の身すら蝕みかねない諸刃の剣にして乾坤一擲の一撃だ。
 びきり、びきりと……手中のビーダマファイターがきしみ、ひび割れる音が聞こえる。
 ビーダマファイターが壊れるか否かの瀬戸際を見極め――夜野は全力を籠める。

「負けて、たまるかっ!」
「くらえーいっ!」
 奇しくも打ち出されたタイミングは同時――互いを避けることなく正面から撃ち込まれた一撃は、真正面からぶつかり合うのだ。

 荒々しくも素早く打ち出されたそのガラスの玉は、大きな音と共にはじけ飛ぶ。
 そうして残ったのは……刻印の力を込められた夜野が放ったビー玉だけだ。

「やる……じゃねぇ、か……」
 ビー玉がゴールに飛び込むと共にその衝撃でコンクリートへとその身を打ち据えられたフランケンは、ずりずりと力なく大地に腰を下ろす。

 その顔には――真正面から力と力をぶつけ合ったが故の満足そうな笑みが浮かんでいたという。
 そして静かに……彼は脱力したのだ。

「フ、フランケーン!!」
 辺りに狼男とドラキュラ男の慟哭が木霊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

臥龍岡・群青
あー、こういう玩具あったなぁ
わしはあんまりやったことないが、興味はあったぞ
子供達を救うためにも、一つ遊んで見るとしよう
バナナは子供達に渡しておくぞ。きっと美味いぞ

こう、ビー玉に埒外パワーを籠めればいいのだな?
それならわしは『水船』の力を借りよう
シャボン玉の弾力でビー玉の威力を増したり、弾力で軌道をコントロールしたりするのだ
水船ならば相手のゴールを防ぐということも出来るが、それはやらない
こういう遊び、妨害に必死になっては楽しくないからな

ユーベルコードを使えば余裕かと思ったが、意外と難しいぞこれ……!
けれど楽しい!
ビーダマファイターとやらもこう、かわいいしな!
それにゴールすると気持ちいい!最高だ!




「あー、こういう玩具あったなぁ……」
 慟哭する妖怪たちを尻目に、臥龍岡・群青(狂瀾怒濤・f30803)はその場に並ぶ様々なビーダマファイターを見つめる。
 経験は無いが、どこか興味をそそられる玩具。
 懐かしさを感じながらも、群青は一つのビーダマファイターをその手にとった。

「さて、子供達を救うためにも、一つ遊んで見るとしよう」
 グリモア猟兵に握らされたバナナを子供たちにくれてやり、群青は静かにステージへと立つ。
 相対するように立つのは、怪し気なマントにその身を包んだ男――ドラキュラ男だ。
 打ち倒された仲間の仇をとらんと、ドラキュラ男は鋭い瞳で群青に相対した。

「ほれほれ、これは玩具なのだろう? であれば楽しまねばな」
「くっ……確かに貴方の言う通りでしょう。ならば、楽しんだ上で勝たせて頂きます!」

 狼男の号令と共に、互いのビー玉を放つ二人。
 二人が選択したビーダマファイターは精度やパワーよりも連射性に特化したもの。
 雨のようにはじき出されるビー玉が、互いのゴールに打ち込まれる度に細かい傷を負っていく。
 だが二人の表情に、苦痛の色は浮かんでいなかった。
 単純に……ただただ単純に、この叩きを遊び、楽しみ――その上で勝つのだとそう心に誓っているのだから。

「来なさい我が眷属よ……ブラッディ・ヴァンパイア・バット!」
 ドラキュラ男の掛け声と共に次々と飛来したのは、幾何学模様を描き複雑に飛来する吸血コウモリの群れ。
 空を覆いつくすほどの無数のコウモリが、無数に撃ち出されるビー玉を弾きガードするかのような挙動を見せる。
 そのような手管に対し群青は眉を細める……しかしその表情は、決して勝利を諦めたものでは無かった。

「意外と難しいぞこれ……! けれど楽しい!」
 勝利をその手に掴む為に、群青が用いたUCの名は水船。
 虚空から生まれたシャボン玉が、己が放ったビー玉を弾きその弾道を複雑なものへと変化させる。
 しかし次々と打ち出されるその複雑怪奇な跳弾が、ゴールさせまいと飛び交うコウモリたちの隙間を的確に抜けるような軌道を取り、鋭い勢いにてゴールへと飛び込むのだ。

「これでわしの勝利だな!」
 吹き飛ぶドラキュラ男を尻目に、群青は喜びの声をあげる。
 そこに敗者に対する嘲りの色は無く――唯々玩具を楽しんだ少女の笑みがそこにはあった。

「ビーダマファイターとやらもこう、かわいいしな! それにゴールすると気持ちいい! 最高だ!」
 その天真爛漫な笑顔に、敗者であるはずのドラキュラ男もまた笑みを浮かべる。

 バトルが終わればみんな友達――群青は笑顔と共に大地に伏すその手を握るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白鳥・深菜
「なるほど。ビーダマファイトという事ね。
では遠慮なく全力で遊ばせてもらいましょうか!
そこの色白マント、来い!」

『ゴールへ入れたビー玉の数で勝敗を競う』
初心者である私がこの競技で勝つために、
まず基本方針として「確実に一つずつ入れていく」事にするわ。
慣れない領域では、下手な奇策は打たないで安定をとるのが肝要よね。

奇策を打つのは「コード」の使い方。
ドラキュラ男が放つ獰猛な蝙蝠の群れの如き
射撃を返すための現象を編み、込める――

「希うは「音」の「爆発」、望むは必殺の音速の轟射(ソニックブラスト)!』

【全力魔法】でその群れをまとめて跳ね返し、オウンゴール狙いで吹き飛ばす!




「なるほど。ビーダマファイトという事ね。では遠慮なく全力で遊ばせてもらいましょうか! そこの色白マント、来い!」
 猟兵たちとの戦いにより膝をついていたドラキュラ男に対し、白鳥・深菜(知る人ぞ知るエレファン芸人・f04881)は高らかに声をかける。

 玩具での戦いなど――遊びなど、一度勝ち負けがついたからといって終わるものでは無いのだから。
 ならば互いの満足がいくまで、遊びつくすのみだ。

 その言葉に込められた色に、負の色が無いことをドラキュラ男もまた理解したのだろう。
 先の戦いの傷による負傷など関係無いとばかりに、笑みを浮かべたまま立ち上がりステージへと向かうのだ。

「いくわよっ!」
 深菜は種々様々なギミックパーツがついたビーダマファイターが並ぶ中、あえて初期モデルと思われるシンプルなビーダマファイターを手に取る。
 深菜は彼女自身がこの玩具において初心者であることを理解している――故に複雑なギミックなど使いこなすことは困難。
 であれば下手な小手先に頼ることなく……下手な奇策に頼ることなく、確実に一つずつビー玉にゴールさせることに集中するのだ。

「くっ、中々にやりますね……ならば、こちらは――ブラッディ・ヴァンパイア・バット!」
 的確な射撃により次々とゴールへと吸い込まれるビー玉に押されながらも、ドラキュラ男は眷属である吸血コウモリを召喚する。
 そしてそのコウモリたち一匹、一匹が個別にビー玉を放つのだ。
 無数に降り注ぐビー玉たちを見つめ――しかし深菜は焦らない。
 獰猛な狩人の群れの如き散弾を、冷静に見切るのだ。

「希うは「音」の「爆発」、望むは必殺の音速の轟射(ソニックブラスト)!」
 深菜がビーダマファイターに込めるは、森羅万象を――あらゆる自然現象を生み出し操るUC――災厄と希望の開放器。
 そうして放つは――音を圧縮し開放することによる音の爆破だ。
 轟音と共に解放された空気の壁は、数多に降り注ぐその全てのビー玉を弾き返すのだ。

「オウンゴール狙いで吹き飛ばす!」
 そうして放たれたビー玉の弾幕は、さらなる加速によりゴールへと突き刺さる。

 圧倒的弾幕による面制圧が行われた後――そこに立つ者は存在しなかった。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

八重咲・科戸
(バナナをもぐもぐしながら)
遊びとは即ち戦い、成る程相手もなかなか粋というものをわかっているではないか

ゴールに入れるビーダマが多ければ勝ちなのだろう?
ならば一度に撃ち出されるビーダマの数と速さを増やせば良いのだ!
敵を倒すための道具というならそれは即ち武器だ!
UCを発動し、ビーダマファイターを大量増殖させ風で空中に滞空させる
そして風の妖力をビーダマに纏わせて一斉発射だ!
放たれた無数のビーダマは幾何学模様を描き縦横無尽に敵のゴールへと襲いかかるのだ!

おっとヘタに防ごうとすると纏わせた風が弾けて吹っ飛ばされるから気をつけろよー(悪い顔)




「遊びとは即ち戦い、成る程相手もなかなか粋というものをわかっているではないか」
 その手に金色の果物――バナナを頬張りながら、八重咲・科戸(一人一組の鎌鼬・f28254)はその戦場を見つめる。

 遊びとは――即ち戦い。

 心の底からこの玩具を楽しみ、そして全力で戦う。
 それはもはや遊戯でありながらも……否、遊戯であるからこそ、それは真剣勝負。
 それが敵も味方も分かっているからこそ、科戸の心が躍っていた。
 今宵の戦場は気持ちが良いものになりそうだと。
 そう期待しながら、歩を進めるのだ。

「おっと、今度は俺が相手だぜ」
 新たなる参戦者――科戸の登場を目にした狼男は、己が相手になるとフィールドに立つ。
 そんな相手――度重なる猟兵との戦いにより傷を負う妖怪を目にしても、科戸は決して侮りの色を見せることは無かった。
 ならばこの遊戯は――この戦いは真剣勝負なのだから。
 同じ妖怪として引導を渡してやろうと、そう決意しビーダマファイターを手にするのだ。

「さぁ、今一度思いださせてやろう! 風が吹く度我らが来たると!!」
 勝負には全力――故の先手必勝。

 そうした科戸が放つのは陸式・浚太刀風――UCにより大量に増殖させたビーダマファイターを虚空に浮かべたかと思えば、その全てに風の妖力を纏わりつかせ、一斉に放つのだ。

 風に乗り飛来するその玉の軌道は正しく複雑怪奇――縦横無尽に幾何学模様をえがけば、しかし不思議と的確にゴール目掛けて飛来する。
 その玉を少しでもはじかねばならんと、狼男もまた己が玉で、己がビーダマファイター用いブロックを試みる。

「おっとヘタに防ごうとすると纏わせた風が弾けて吹っ飛ばされるから気をつけろよー」
 しかしそれは下手と――科戸はにやりと笑うのだ。

 狼男がブロックを試みたその瞬間――ビー玉に纏わりついていた風が弾ける。
 それは弾丸のように鋭く、そして機雷のように触れるものを許さない一撃。
 弾けた風は触れようとしていた狼男を切り裂き――そして吹き飛ばすのだ。

「だ~から言ったのにさー」
 けらけらと笑う科戸を尻目に狼男は大地に伏す。
 そこには一切の嘲りの色も――侮りの色も無かった。

 唯全力で戦い――そして勝利を喜ぶ。

 何故ならそれは真剣勝負――遊戯なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
…機構としてはマッチロック式のマスケット銃のようなものか?いや、火種は要らんのか。
うむ、大体わかった。遊び尽くしてくれよう、ビーダマファイター。

UC【其の名が示し無数の身製】、百数十の複製鎧と仮初の身体で各自ビーダマファイターを構えて一斉射撃しステージ中を【蹂躙】してくれよう。
敵の数も多いがそこは【集団戦術】、隊列を組み【弾幕】を張って迎撃すればいい。そもそもコウモリが撃てるのか、これ。

ビーダマファイターが行き渡らなかった複製鎧は地べたに転がったビー玉を回収。事が終われば【掃除】片付け、マナーだ。

…ふむ、中々楽しいじゃないか。
UDCアースの、TVゲーム?のとは別にこういうのも好きだぞ、当方。




「……機構としてはマッチロック式のマスケット銃のようなものか? いや、火種は要らんのか」
 熱気あふれる戦いが繰り広げられる中、しげしげとビーダマファイターの一つを手にとり、見つめる男の姿があった。
 彼の名はルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)――騎士の鎧のヤドリガミである彼は興味深げにビーダマファイターの構造を理解すると、納得いったとばかりに握りしめ、そしてフィールドに立つのだ。

「うむ、大体わかった。遊び尽くしてくれよう、ビーダマファイター」
「ビーダマファイターの奥は深い……そう簡単に深淵をのぞき込んだと錯覚しないことです」
 そう語るルパートに対し、妖怪の一人――ドラキュラ男は苦言を呈しながら相対する。
 シンプルな構造故に、これまで数多の進化を繰り広げてきたビーダマファイター。
 もはや忘れ去れれた玩具とは言え、そう簡単に極められぬとそう自信満々に答えるのだ。

「ならばこの猛攻を防げますかな? ブラッディ・ヴァンパイア・バット!」
 ドラキュラ男は眷属たる数多の吸血コウモリを召喚する。
 当然のごとく彼らが構えるのはビーダマファイター。
 何をどうやってコウモリが打ち出すのかと怪訝そうに見上げるルパートを尻目に、しかしコウモリたちは難なく打ち出して見せる。
 さすがは妖怪吸血コウモリ――そう関心するルパートもまた、甘んじてそのビー玉の雨を受けるわけにはいかないと、戦いに向け構えを取るのだ。

「唯一の我が身は過去に潰え……されど、無数の我が身は此処に在り!」
 ルパートが召喚するは、ヤドリガミとしての本体である黒騎士の鎧たち。
 二百近い黒騎士の集団は、当然のごとくそれぞれがルパート本人が握るビーダマファイターと同じ機体を手に握りしめていた。

「……蹂躙してくれよう」
 ルパートの静かな言葉に応じ、黒の騎士団はビーダマファイターのトリガーを押す。
 そうしてはじき出されたビー玉の弾幕は、コウモリたちが放つビー玉の雨とぶつかり、弾け、飛来する。

 ビー玉とビー玉が縦横無人にぶつかり合う戦場。
 しかし決して乱れることなく、的確な隊列と連携を以って、ルパートはコウモリ軍団を弾幕で、数の暴力で押し込んでいく。
 そうしてなだれ込むように敵のゴールへとビー玉をねじ込めば、吹き飛ばされたドラキュラ男を尻目に仮初の身体でそっと笑みを浮かべるのだ。

「……ふむ、中々楽しいじゃないか。UDCアースの、TVゲーム? のとは別にこういうのも好きだぞ、当方」
 そう笑う彼の笑顔は、心の底から遊戯を楽しんだ朗らかなものであったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉浜・ほしの
(子供たちの背後からひょっこり)
やあ、これはまた懐かしい!
ん?私?おねーさんの事は気にしないで!
でも気になるなら…ししょー、って呼んでもいいよ?

何のつもりか?
そりゃあもちろん……
子供たちに楽しんでもらうために決まってるじゃない!
(鞄から古ぼけた同じ玩具を取り出し

ルールはOK?それじゃお手本を見せましょう
羽ばたけ、私のシャインイーグル!

…私にはよく分かる
熱中していた遊びが見向きもされなくなる
でもそれは忘れたわけじゃない
確かに、熱く、笑い、楽しんだ記憶が刻まれているんだよ

【指定UC】を駆使し相手と玉を撃ち合い一喜一憂
敵が盛り上がりに反応してくれたなら…【見切り】【力溜め】した渾身の一発を叩き込む!




 繰り広げられる数多の戦い。
 玩具によるものとは思えないその迫力に、少年たちは唖然とした表情を浮かべる。

「やあ、これはまた懐かしい! ん? 私? おねーさんの事は気にしないで!」 
 突然頭上からかけられた声を不思議そうな顔で見上げる少年たちに対し、吉浜・ほしの(天衣無縫の陽月喰らい ~魔縁・星天狗~・f32796)はにかりと天真爛漫な笑顔を見せる。

「でも気になるなら……ししょー、って呼んでもいいよ?」
 不思議なお姉さまに見とれる少年たちにウィンクを残しながら、ほしのは戦場へと足を進めるのだ。

「余計なちょっかいをかけるなど余裕ですね……何を考えているんですか?」
「そりゃあもちろん……子供たちに楽しんでもらうために決まってるじゃない!」
 満身創痍といった様相でこちらを睨むドラキュラ男に対し、ほしのは何を聞いているのだと笑い飛ばす。
 この戦いは子供たちのもの。
 この戦いは玩具によるもの。
 であるならば、オーディエンスにして主役である子供たちを楽しませんとて、一体どうすると言うのか。

「ルールはOK? それじゃお手本を見せましょう」
 そう自信満々に取り出すのは、細かい傷の残る年季の入ったビーダマファイター。
 見るからに使い込まれたそれは、間違いなく誰かに愛用された一品。
 そう――ほしのもまた、この遊戯に精通したもの。
 故に彼女には子供たちに忘れ去られた悲しみ、切なさも理解が出来るのだ。

(分かる……私には、よく分かるよ)
 熱中していた遊びが見向きもされなくなること。
 時が過ぎていくことの残酷さを――辛さを理解している。

 しかし――と同時に想う。
 それは本当に、終わりなのだろうか、と。

「でもそれは忘れたわけじゃない……確かに、熱く、笑い、楽しんだ記憶が刻まれているんだよ」
 互いにビー玉を打ち込みながら、ほしのはそう語り掛ける。
 この遊戯は決して、消し去られたものでは無いのだと。
 妖怪たちだって、誰かの記憶に刻まれているのだと。

 そう伝えたくて――この気持ちを、理解してほしくて。
 だからこの玩具を通して……真剣に遊んで。
 楽しんで、笑って、負けたら本心から悔しがって。
 そうして言葉以上のものを交わすからこそ――相手もまた通じ合い……共に、真剣に遊ぶことが出来るのだ。

「さぁ、いっくよ! 羽ばたけ、私のシャインイーグル!」
 フィナーレとばかりに、ほしのは己がビーダマファイターへと魔力を籠める。
 光を纏いて放たれたビー玉は、数えきれないほどに増えたかと思えば幾何学模様を描き複雑に飛翔する。
 とっさに放たれるドラキュラ男の眷属の間を縫うように――意思を持つが如く複雑怪奇な軌道を描きゴールへと突き刺さるのだ。

「さぁ、まだまだいくよ!」
 猟兵は笑う――朗らかに。
 遊戯は未だ、始まったばかりなのだと。
 楽しい時間は、まだまだ終わらないのだと。

 少年たちも笑う――すごいものを見たと、楽しそうに。
 そしてその歓声を聞く妖怪たちも……静かに、笑うのだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月04日


挿絵イラスト