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銀河帝国攻略戦④～環境管理システムの破壊者～

作者：あまみつ

「未だ銀河帝国の妨害工作は続いているようだ。解放軍の一員となりうる宇宙船のコアマシンの破壊を狙ってテロが発生するらしい」
　グリモア猟兵、錬金天使・サバティエル（賢者の石・f00805）が予知したのは、善良な市民が暮らす宇宙船がオブリビオンに蹂躙され、崩壊するといった光景。まだ明確な敵対行動を取っていない者たちであっても、銀河帝国による非常な攻撃に晒されうるということだ。
「銀河帝国は国際法もお構いなしだな。厄介なことだ。……もちろん、無視するわけにはいかないだろう？皆には、これを阻止してもらいたい」
　説明を続けながら、サバティエルは猟兵たちに今回の事件の資料を配っていく。

「さて、今回デウスエクスが現れるのは宇宙船内の環境管理システムを管理するコンピュータールーム付近の広場、資料3ページにある地図の赤丸で囲ってあるところだね。そこから動き出すらしい」
　資料に目を向ければ、デウスエクスは広場からコンピュータールームに向かった後、"→セキュリティルーム→コアマシンのある最深部"といったように進んでいくようだ。
　そのデウスエクスはハッキングが得意らしく、まず環境管理システムを乗っ取ることで宇宙船内の人々を一網打尽にするつもりのようだ。
「気圧や気温、重力を好き勝手いじられてしまえば、住民はもちろん、私たち猟兵も戦うどころではないな。これは確実に阻止せねばならない」
「つまりだ。デウスエクスがコンピュータールームに到達する前に勝負を決めてくれ。頼んだよ、皆。」

第1章 ボス戦 『餓狼無道』

POW   :    ライクアヒュドラ 自身の身体部位ひとつを【ドラゴン】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。 SPD   :    キリングイカロス 【高速演算による正確な未来予測】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【急所を撃ち抜くレーザー】で攻撃する。 WIZ   :    デウス・エクス・マキナ 見えない【遠隔操作型ナノマシン】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　ここは、とある宇宙船。数百人の人々が暮らす言わば一つの町のようなそこは、此度の「解放軍」蜂起に沸き立ちはしたものの、現状はただ静観しているといった立場であった。
　されど、銀河帝国からすれば、最優先で狙うほどではないにしろ見逃す道理はどこにもない。かねてより住民に紛して潜り込んでいた銀河帝国の工作員、デウスエクス"餓狼無道"に与えられた指令は住民の殲滅およびコアマシンの破壊であった。
　餓狼無道がまず狙ったのは船内環境管理システム。ここさえ乗っ取ってしまえば簡単に住民全ての命を奪い、悠々とコアマシンの破壊に向かうことができる。

「よーし、キミが悪い奴だね！軟体魔忍の正義の拳を喰らえー！」
　だが、それを阻むものがいた。餓狼無道を待ち構えていた明石・真多子（軟体魔忍マダコ・f00079）の二本の腕と四本の触手によるパンチの連打を放った。
「あれっ？あれれっ？」
　しかし、真多子の拳と触手は次々と空を切る。高速演算により真多子の動きは正確に読みきられていた。そして餓狼無道は回避運動の中で真多子の胸にレーザー発射工である人差し指をつきつけ──、

「……！？」
　殺人レーザーは不発に終わる。ユーベルコードを封じる七星の護符がいつの間にやら餓狼無道の背に貼り付けられていた。餓狼無道は辺りを探るが術者の姿はどこにもない。
　二之式・水舞転身環。芦屋・晴久（謎に包まれた怪しき医師・f00321）は姿を消す護符の力で身を隠し、餓狼無道の力を封じる機をうかがっていたのだ。そして、姿を消せる対象は晴久自身だけではない。
「甘いです」
　なおも爪で真多子を狙う餓狼無道の脇腹に大根が刺さる。晴久の護符で姿を消していた満月・双葉（星のカケラ・f01681）による不意打ちだ。
　餓狼無道が突如現れた大根とそのダメージに困惑する隙に真多子は一旦距離を取る。双葉はそれを確認すると、かつて兄が使っていた銃を抜き、餓狼無道のこめかみを狙い引き金を引いた。

　床を転がった餓狼無道が体勢を立て直せば、真多子の姿が消えている。自身の力を封じている者、先程の攻撃を加えた者も姿は見えない。こいつらは姿を消すことができる──ここまでくれば、餓狼無道もその答えに至っていた。
　ならば、取るべき手は一つ。神経を集中させ、猟兵が動いたところを叩く、待ちの一手だ。ユーベルコードを封じられたとはいえ、身体能力は健在。カウンターならば十分に猟兵を仕留められる。
　ここで場が硬直すれば困るのは猟兵たちである。特に晴久は二つの護符の力を行使する代償として体力と命を削り続けている。

　ただ、それはこのまま硬直が続けばの話。束の間の静寂を破り、陽気な行進曲が戦場を包む。
　響き渡るのはオリガ・ホーリエル（生きる意味を探す者・f12132）の歌声。戦闘は不得手であり、また不意を討つ作戦であった関係上後方で待機していた彼女だったが、戦況が動いた今こそあたしの出番ですわ！とばかりに堂々と歌い続ける。
　その歌は聴く仲間達を勇気付け力を漲らせるだけでなく、音による探知を難しくしていた。

　餓狼無道は当然、オリガの歌声を止めようと襲い掛かるが、
「おっと、そちらに気を取られていていいんですか？」
　突然道を塞ぐように晴久の護符がばら撒かれ、餓狼無道の視界を阻む。そこへ双葉が大鎌へと変形させた桜姫を振るい、餓狼無道の左の肘から先を刈り取った。船内に汚い悲鳴が木霊する。
　依然として足を止めず──というよりは双葉の攻撃から逃げるように、餓狼無道はオリガの元へ走る。残った右腕を振り回し、歌を止めようとあがいている。だがオリガの目的は、倒れることなく援護を続けること。闇雲な攻撃が、逃げに徹している彼女に届くはずもない。
　そうこうしている内に、猟兵たちは餓狼無道を倒す算段を立てていた。餓狼無道とオリガの間を阻むように姿隠しの術を解いた真多子が現れ、
「これでとどめだー！」
　両手と触手を広げ高速回転。餓狼無道は他の猟兵たちのように避難が間に合わず軟体忍法旋風大タコ巻きの術により竜巻に飲み込まれていき、最後にはバラバラに砕け散っていった。

　かくして、宇宙船と住民達の平和は猟兵たちの手によって守られた。
　幸いなことに、猟兵たちの活躍が船内の監視カメラに残っていたこともあり感銘を受けた住人達は「解放軍」の一員として共に戦う決意を決めてくれたようだ。
　確かな手応えを胸に感じながら、猟兵たちは元の世界へと帰還したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月05日 宿敵 『餓狼無道』 を撃破！