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輸送車はツンドラを征く

#クロムキャバリア #グラン=ルベレア戦争

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#クロムキャバリア
#グラン=ルベレア戦争


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●グラン=ルベレア戦争
 クロムキャバリア北部の小国、グランドールとルベレア。
 ルベレアの将校ロアルームによるグランドール国境線侵攻に端を発した二国間の緊張は高まり、表向きの平穏を保っていた両国は一触即発の関係性へと悪化していった。
 グランドールに捕縛されたロアルームは、尋問でルベレアの真意を問われるも黙秘を続けていた。業を煮やしたグランドールは、ルベレアに侵略の意志ありと判断し、尋問を続けながらも軍備を整え始めていた。
 一方、ルベレアではグランドールの報復に備えながらも、ロアルーム奪還に向け、極秘裏の作戦が展開されようとしていた。実行者として任命された流れ者のディジードはロアルームを兄と称し、その任務を引き受ける。
 ロアルーム奪還の目的は? ディジードの真意は?
 すべては様々な思惑に隠されて闇の中。その闇に響くオブリビオンマシンの唸り声は再び、二国を翻弄しようとしていた。

●輸送車はツンドラを征く
 グランドールの春は遅い。もうじき暦の上では夏が来るというのに、いまだ溶け残った雪が荒涼とした大地にちらほらと残っていた。
 その大地に、数台のトレーラーが走る。それらはプラントの資源を各都市へと輸送するキャラバンであり、その先頭をゆく車両を運転する若いドライバーは、助手席に座る年配の男に話しかけた。
「キャバリアのパーツが多いですね。やっぱ戦争になんのかな……」
 自身のトレーラーに積まれた荷物は勿論、その後をついてくるトレーラーも、ほとんどがキャバリア用のパーツで満載だった。
 国境侵攻事件以来、特にキャバリアに関連するプラントの稼働率はぐんと上昇した。それに伴い、輸送車の往来も激しくなっていた。
「そうだろうな」
 年配の作業員が貨物の納品リストを眺めながら短く呟いた。
 そこで言葉は詰まる。少し気まずい空気が流れてから、再び若いドライバーが口を開いた。
「ところで、あの一番後ろの……あれは何なんです?」
「さぁな。一緒に連れてけって上からのお達しだ」
 興味なさげに、年輩の男は言う。どうにも居心地が悪い気分に陥ったドライバーは、窓を開けツンドラの大地の向こうを眺めた。
「……なんだ、あれ?」
「どうした」
 地平線からチカチカと煌めくものが、キャラバン目掛けて接近してきていた。
「……ミサイル!!」
 年配の男が叫ぶ。だが、時既に遅し。飛来した数々のミサイルはキャラバンのトレーラーをことごとく吹き飛ばした。
 炎の中で横たわるトレーラーを囲むように、数々のキャバリアが現れる。
『ははは、はははは。奪って、強くなって、次はグランドールを全部吹き飛ばしてやろう』
 黒い細身のキャバリアから、狂ったような笑い声が響き渡るのであった。

●ツンドラに潜むもの
「クロムキャバリア、グランドール国内の輸送キャラバンがオブリビオンマシンに襲われる事件を予知しましたわ!」
 エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)が集まった猟兵達にそう告げた。
「グランドールは現在戦争準備の為に各地のプラントの稼働率が高まっていて、それだけ輸送車の数も多くなっているようですわね」
 エリルは言う。隣国ルベレアとの戦いに備え、キャバリアとそれに伴うパーツの増産、配備を行っているのだろう。
「そこをオブリビオンマシンに襲われた……といったところかしら」
 エリルは口元に手を当てて、考え込むような仕草をしてみせた。そして、猟兵達に向き直り、言葉を続ける。
「皆様には、その輸送キャラバンを護衛していただきますわ」
 キャラバンを襲う悲劇はまだ確定した未来ではない。今すぐに向かえば、敵の攻撃からキャラバンを護ることが出来るというのだ。
「頼まれたわけではないけれど、オブリビオンマシンによる悲劇は避けなくてはなりません」
 エリルは毅然とした表情で、猟兵達へと語り掛けた。

「現場に到着してまもなく、遠方からオブリビオンマシンの集団が襲い掛かってきますわ。まずはこれを対処してくださいまし」
 エリルは猟兵達に告げた。多くの敵はミサイルポッドやライフルなどで武装しているという。遠方からの遠慮ない攻撃に晒されれば、キャラバンはひとたまりもない。
「キャラバンとは一言二言、軽く語り掛けるくらいの時間はありそうだけれど、逆に言えばそのくらいしかありませんわ。皆様の突然の出現に戸惑う可能性はあるけれど、オブリビオンマシンへ対抗する姿を見せれば、キャラバンの人達も協力的な態度を示してくれるはずですわよ」
 言葉でなく行動で示せば、あまり説得をする必要はないということだ。そして、とエリルは言葉を続ける。
「すべての量産機を倒せば、指揮官機が現れるはず。指揮官機は他のキャバリアよりも手強いから、皆様ご注意くださいまし」
 そこまで説明してから、エリルは改まって再度猟兵達を見つめなおした。
「敵の軍団は、オブリビオンマシンの影響によって狂気的な思想に侵された一団ですわ。詳しいことはわからないけれど、オブリビオンマシンの影響を強く受けてしまっていることだけは予知できましたの」
 つまり、今回起きようとしている事件は、オブリビオンマシンによって引き起こされた、搭乗者の本意からかけ離れたものであると言えそうだ。
「ですから、輸送キャラバンの方々は勿論、パイロットの皆様も是非救ってあげてくださいまし」
 エリルが猟兵達に告げる。倒すべきはあくまでもオブリビオンマシンなのだ。
「さぁ皆様! それではいってらっしゃいませ!」
 そう言い、エリルのグリモアが輝き始めた。

 荒涼なる大地の風の中に、鉄と硝煙のにおいが混じる。
 クロムキャバリアの大地に、猟兵達は降り立つ。


G.Y.
 こんにちは。G.Y.です。
 今回はクロムキャバリアの小国、グランドールが舞台の物語です。
 過去のシナリオと一部リンクする部分もありますが、過去シナリオを把握する必要はありません。
 本シナリオ単独でも楽しめる内容となるよう努めますので、初参加の方も興味があれば是非ご参加ください。

 第1章は集団戦となります。
 遠方から急接近してきますので、キャラバンを護衛しながらそれを撃退してください。
 敵はトレーラーを優先的に狙いますが、猟兵達の迎撃を受ければ狙いを変えざるを得なくなるでしょう。

 第2章はボス戦です。
 基本的な戦闘は1章と変わりませんが、1章の集団敵に比べて圧倒的に強力ですのでご注意ください。

 また、オブリビオンマシンに搭乗しているパイロット達は暴走状態ですが、機体を破壊すれば正気に戻ります。
 殺さないよう救出してあげてください。

 第3章では、助けた方達から歓待を受けることが出来ます。
 プレイングで呼びかけて頂ければエリルも参加しますので、もし興味があればお呼び頂けますと幸いです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『マガフMk1』

POW   :    我々の理想は破滅だ!
【理想を共にする仲間 】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[理想を共にする仲間 ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    旧式だからと侮るなよ!
【かつての戦場で培ってきた勘や経験で 】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    怯むな!弾幕を貼り続けろ!
【RSキャバリアライフルやミサイルポッド 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アス・ブリューゲルト
なるほど……そういうことなら、先手を打って前に出るとしよう。
説得だの交渉だの、得意ではないからな。

UCを発動させて、自機を強化したら、フォースセイバーで切り込み、引きつけた後に、腰だめにあるブラスターで一気に殲滅を図る。
ただ、キャラバンがやられてしまっては元も子もない。
ある程度、蹴散らしたら、一度戻るというのを繰り返して、キャラバンを守っていきたい。

「コード:ドライブ・ザ・ヒドゥンパワー、起動! これより、敵の殲滅に向かう!」
「大丈夫か!! あまり前には出ないでくれ!!」

また、一緒に参加する者がいれば、彼らとも協力して(相手にタイミング等を合わせる形で)作戦成功へと導きたい。


我原・介司
【心情】国同士のいざこざってのも絶えねえもんだな…まあ、依頼なら守るだけだ。
(吸ってた煙草を灰皿に入れつつ)

【作戦】「安心してくれ、味方だ。これより援護させてもらう。」とキャラバンには一言言ってから戦闘に入るぜ。敵のライフルやミサイルはシルバーレイズの装備での【武器受け】で防ぐかブレードでキャラバンに当たらない場所へ【受け流す】ぜ。ミサイルが大量なら【弾幕】でできる限り相殺する。そしてこっちはガトリングランチャー掃射でたくさんの敵を一網打尽だ。もちろんパイロットの命は奪わねぇようにするがな(絡み・アドリブOK)



 荒涼とした大地に鈍い色の空が寒々しい。
 雪が残るツンドラを吹く冷たい風の向こうで、いくつもの光が瞬いた。
「……なんだ、あれ?」
「どうした」
 トレーラーに乗る若いドライバーと年配の作業員。二人が目を向けた先にあったもの。
「……爆発?」
 地平線の向こうで上がる火柱であった。
 彼らは知らない。惨劇の未来を猟兵達が塗り替えたことを。

「コード:ドライブ・ザ・ヒドゥンパワー、起動!」
 アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)は既に戦場にいた。敵の攻撃を迎え撃つのではなく、先手を打って敵軍のミサイル発射を防いだのだ。
 説得や交渉などは得意ではない。ならばやるべきは、安全の確保を第一にすること。
 アスの駆るアクアブループラチナⅡはフォースセイバーを構えると、襲撃者達を切り裂いてゆく。
「こ、攻撃だ! 攻撃しろ!」
「敵はたった1体だ! 俺達は先行する!」
 襲撃者達は突然の攻撃に戸惑いつつも、その数にものをいわせ、アスの脇を突破してゆく。だがアスもそれを黙って見ているつもりはない。
 腰だめのブラスターを放ち、眼前のキャバリアを殲滅すると、アスは敵集団を追うのだった。

「一体、どうなってるんだ?」
「キャバリア? こっちを狙ってるんじゃないのか!?」
 キャラバンは、突然始まった戦闘に混乱していた。旧式キャバリアのマガフMk1で構成された軍勢は、自分達を目指して接近してきているように見えた。
 対して、白と青のキャバリアは、それらの接近を阻むように戦っている。
 その時、キャバリアを突破したマガフMK1の手にしたライフルがトレーラーへと向けられた。
「……狙われてる!!」
 ドライバーが身構えた直後、マガフMK1が爆発した。目を向けると、そこには、トレーラーの盾になるように立ち向かう銀のキャバリアの姿があった。
『安心してくれ、味方だ。これより援護させてもらう』
 銀のキャバリアは手にしたガトリングランチャーが武器を構えたマガフMk1に向き、無数の弾丸で迎え撃つ。
 そのキャバリアの名はシルバーレイズ。そしてそれを駆る我原・介司(フリーキャバリアパイロット・f30102)は、キャラバンを守るように彼らに背を向けた。

「大丈夫か!! あまり前には出ないでくれ!!」
 マガフへと追いつき、ブラスターを放ったアスが叫ぶ。
「あ、あぁ……!」
 キャラバンは、2機の戦いに徐々に状況を理解し始めていた。キャバリアの軍団は、キャラバンを狙う軍勢であり、たった数機で立ち向かう者達は、自身達を守る者である、と。
「たった2機にやられてたまるかよ!!」
 マガフMK1の銃口がシルバーレイズに向けられる。だが、シルバーレイズは冷静に腰を落とし、アームブレードでライフルの銃身を切り裂き無力化する。
「う、うわああっ!!」
 武器を失ったマガフMK1の頭部にブレードを突き立てる。小さな爆発と共に、マガフMK1は膝をつき、動きを止めた。
 命は奪わないように。ハッチを開き、外へと逃げ出したパイロットを見送ってから、介司は次の敵へと目を向ける。
「これなら、接近した敵は任せられるな」
 アスは介司の戦いぶりに安心すると再び前線へと舞い戻る。
 フォースセイバーを構えて敵陣を抜けると、キャバリアが次々と爆発してゆく。
 こうして、第一波の襲撃は、たちまちのうちに退けられたのであった。

 一時的に静かになった戦場で、介司は煙草に火をつけた。
(「国同士のいざこざってのも絶えねえもんだな……」)
 ふぅ……と大きく息を吐いて、敵の現れる方向を見やる。
「まあ、依頼なら守るだけだ」
 煙草を灰皿に入れて、再びキャバリアが武器を構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アダム・レイン
【POW】

まずはキャラバンをゲドン・ザウラーで庇い、敵の遠距離攻撃は【オーラ防御】。そして、キャラバンの人々に「こいつはオブリビオンマシンですが僕は猟兵なので安心してください。皆さんはなるべく避難を!」と呼びかける

最初は【レーザー射撃】で牽制し、敵に意識をこちらに向ける。続いて敵が強化目的で集まり出したらそれを狙って密集した場所目掛けてQuake strike。周辺の地形を破壊しつつ攻撃。次に敵達が崩れた地面に足を取られたり、空いた穴にはまったりたらTyrannusによる【投擲】の攻撃やスピアテイルによる【貫通攻撃】で積極的に攻める

「敵群に突っ込むのは怖いけど、皆を守るためならやらなきゃ…!」


アリス・フォーサイス
どちらかの国につくつもりはないけど、オブリビオンマシンが出たら対処する。さながら死神だね。ぼくたちは。

ブライダルベールに乗った状態でキャラバンの側に出現。大釜でミサイルをなぎはらうよ。
「幸福の死神参上っと。」

あそこか。ビットで牽制しながら素早く近づき、なぎはらうよ。中のパイロットに当てないよう、気をつけてまっぷたつだよ。


ノーウォー・ノーライフ
オブリビオンマシンに襲われて運が悪かったのか、
猟兵の助けが入って運が良かったのか……
まあいいか、どうでも
俺はただ戦うだけだ
"Patchwork"、出撃するぞ

弾幕を貼る程度の頭はあるようだが、どうにも雑だな
まあ、俺も人のことを言えるほど上手いわけではないが
こちらも『弾幕』を貼りつつ、撃ち漏らしたミサイルを『推力移動』で避けつつ敵部隊に接近
間合いに入り次第【強制排離】で敵キャバリアのパーツをめちゃくちゃにする
いくら寄って集まって能力を高めようが、機体をチグハグにされればまともに動けやしないだろう
動いたところで大した腕じゃあないからな、同士討ちが関の山だ
後は適当にトリガーを引けば終わりだな



 土と炎のにおいがツンドラの大地に舞い上がる。
 突如現れ、キャラバンを襲い始めたオブリビオンマシン達と、それに対抗する猟兵達。
 数は未だ圧倒的に敵の方が多く、わずかな隙がキャラバンへの被害へと繋がる状況だ。
「我々の理想の為に!」
「奪え! 奪え! 奪え!」
 オブリビオンマシン『マガフMK1』を駆るパイロット達が叫ぶ。オブリビオンマシンの与えた狂気のもとに、彼らの意志は一つであった。
「うおおお!!」
 マガフMK1のアサルトライフルが火を噴いた。狙うはキャラバン。トレーラー目掛けて狙いもそこそこに乱射する。
 それに合わせるように、後続の軍団もミサイルポッドを発射した。
 銃弾、ミサイルが雨のようにトレーラーへと降り注ぐ。逃げ場は、ない。
「うわあぁっ!!」
 トレーラーの運転手が叫ぶ。直後、ミサイル群が空中で爆散した。その煙を突き抜けてさらに迫るミサイル達も次々と真っ二つに切り裂かれてゆく。
 爆風がトレーラーをがたがたと揺らすが、傷は無い。呆然とするキャラバンの前に、気が付けば3機のキャバリアが立ちはだかっていた。
「弾幕を貼る程度の頭はあるようだが、どうにも雑だな……まあ、俺も人のことを言えるほど上手いわけではないが」
 そう言うのはノーウォー・ノーライフ(生き損ない・f30111)。彼はつぎはぎのように組み上げられたキャバリアを駆り、ミサイル群を迎撃していた。
「幸福の死神参上っと」
 そう言うのは大鎌を携えたキャバリア、ブライダルベールに乗るアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)である。
 どちらの国にもつく気は無い。だが、オブリビオンマシンが現れればどちらであろうと対処する。
(「さながら死神だね。ぼくたちは」)
 手にした巨大な大鎌を死神らしく構えなおし、アリスは迫るオブリビオンマシンへと意識を向けた。
「皆さん、大丈夫ですか!」
 そう通信を送るのは黒き獣……恐竜を思わせるキャバリア、ゲドン・ザウラー。それに乗るアダム・レイン(ダイナソーライダー・f30865)は、運転手がこくこくと頷く様子を見て頷き返した。
 アダムは敵へと向き直りつつ、トレーラーへ再び声をかける。
「こいつはオブリビオンマシンですが僕は猟兵なので安心してください。皆さんはなるべく避難を!」
 立ち向かうゲドン・ザウラーから怪しいオーラが溢れ始める。猟兵だけが感じ取れるオブリビオンマシンの気配だ。だが、アダムの乗るキャバリアからは世界への敵意は感じられない。
「敵群に突っ込むのは怖いけど、皆を守るためならやらなきゃ……!」
 代わりに感じられるのは、使命感。彼元来の臆病な心を奮い立たせ、キャラバンを守るべく大地を蹴る。
「まずは、牽制だ!」
 アダムはレーザーを放ちながら敵軍団へと向かって走り出した。

 アダムの姿を見送ったノーウォーは、トレーラーを見て気怠げに呟く。
「オブリビオンマシンに襲われて運が悪かったのか、猟兵の助けが入って運が良かったのか……」
 ノーウォーの希薄な感情は、その問いに答えを出す意味を見い出すことなく、ふぅと息をついた。
「まあいいか、どうでも。俺はただ戦うだけだ」
 そう言ってつぎはぎのキャバリアを敵軍へと向け、エンジンの出力を上げる。
「"Patchwork"、出撃するぞ」
 どぅ、と放たれたスラスターの勢いのまま、ノーウォーは敵のミサイルの雨を避けつつ急接近する。
「き、来た……!! 速い!?」
「集まれ! 我ら、集団の力を見せるときだ!」
 その号令に従い、オブリビオンマシン達が集結する。
 だが、それは猟兵達の狙い通り。
「叩き潰す……Quake strike!」
 集団に向かって、ゲドン・ザウラーが凄まじい勢いでぶつかった。それは大地の地形すらも変形させるほどで、量産型のオブリビオンマシン達の装甲やパーツは砕けて吹き飛んで行く。
「な、なんて威力だっ……!」
 難を逃れたマガフMK1のパイロットが驚愕の声を上げた。そこに、ノーウォーのPatchworkが迫る。
「そのパーツはこの角度からの衝撃に弱いんだ」
「なっ!?」
 ほんの僅かな時間でしかなかった。気が付けばマガフMK1に備えられた武装は見る影もなくひしゃげ、ぼろりとパーツが分解する。
 ある者は足が、ある者は腕が。マガフMK1達はそれぞれ各部のパーツを不可思議な形状に変えられた。
「そうなればまともに動けないだろう」
 ノーウォーはライフルを構え、キャバリアの頭部に銃口を押し当てた。

「くっ! 今度こそ我らの力を……!?」
 残るマガフMK1達は密集しないように努めながらも猟兵達へと対峙する。だが、形状を変えた地形は、マガフMK1達の行動の自由を知らず知らずのうちに奪っていたようだ。
「そこだ!」
 アダムはスピア・テイルで機体を貫き、オブリビオンマシンを機能不全に陥れた。
「ま、まだまだ!」
 いまだ健在な機体はなお戦意を失っていない。だが、数の優位は失われつつあった。
「……はっ!?」
 マガフMK1は気配を感じ取り背後を向く。だがそこに敵の姿は無く。
「ぐぁっ!!」
 代わりに肩に衝撃を受け、続けざまに小さな爆発が起こる。
 直後、大鎌を持った白い影がキャバリアのモニターを覆った。アリスのブライダルベールだ。周囲には彼女の放ったビットが浮いてる。
「まっぷたつだよ」
 大鎌が機体を薙ぎ払う。コックピットを傷つけないよう、オーバーフレームだけが焼き切れて、がくりと膝をつく。

「これで終わりだな」
 ノーウォーがぽつりと呟き、どん、とキャバリアの頭を吹き飛ばす。第二陣はこれですべて片がついたようだ。
 それでも、猟兵達はさらなる敵軍を感知する。
「護る為に、もっと頑張らないと……!」
 アダムは自分に気合を入れて、敵群へと突っ込んでゆく。
「死神のお通りだよ」
 アリスも、そしてノーウォーもまた彼の後を追い、再び戦場へと向かうのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

呉・深
まずはキャラバンの護衛か
国同士の争いには然程興味はないが、オブリビオンマシンが好き勝手やるってんなら話は別だ
止めにいくぞ、ダオツァオレン

ユーベルコードを発動しつつトレーラーの元へ
相手はまずトレーラーを狙うようだし、こっちから突っ込んでいく
『焦がすもの』で炎を撒いて敵が分断されるように周囲を焼却
敵の足並みが少しでも崩せたら更に突っ込んでいこう

敵と接近できたなら『穿つもの』の出番だ
こちらでもなぎ払いで敵の動きを制限しつつ、狙いやすい相手からどんどん串刺しに
狙うは敵の動力や重要なパーツだけだ
乗ってるやつまで殺しはしない

奪うだけで強くなれりゃ誰も苦労しないんだよ
……奪うのをやめられないのが人間だけどな


キリジ・グッドウィン
GW『(ここに今回のキャバリア名)』で
機体とのレゾナンス値は…んー、今日はちょっとご機嫌ななめか?

キャラバンには敵機ではない事を一言申してから。なんか知らねぇけど第三勢力とかと勘違いされたりすんだよな

ま、搭乗者を生かしつつ抵抗できなくなる程度に痛めつければって事で
推力移動での急接近、あからさまな挑発をしてこちらに目を引いてからの【使用UC】ある程度戦力の分断に使わせてもらう
RX-Aランブルビーストで腕か足を【グラップル】握りこんで、爪先から電撃を流した【マヒ攻撃】。コイツで痺れちまいなァ!


戦い方が悪役っぽい?うるせぇ!気にしてねェけど仕事でやってんだこっちは!



「まずはキャラバンの護衛か」
 戦の風が吹きすさぶツンドラの大地に立ち、呉・深(星星之火・f30169)は呟いた。
 敵は旧式のキャバリア。だが、どこから調達したのか数が多い。このキャラバンの物資を奪われれば、この軍勢もさらに強化されてしまうだろう。
「国同士の争いには然程興味はないが、オブリビオンマシンが好き勝手やるってんなら話は別だ」
 そう呟き、深は自身のキャバリアに告げる。
「止めにいくぞ、ダオツァオレン」
 その口調は、まるで兄弟のよう。深く繋がった二人が今、戦場へ駆ける。

「機体とのレゾナンス値は……んー、今日はちょっとご機嫌ななめか?」
 キリジ・グッドウィン(proscenium alexis・f31149)は、キャバリアのコックピット内で、髪に感じる感覚を確かめながら、僅かに首を傾げた。
 彼の乗り込むキャバリアは、毎回違う名で呼ばれている。操縦もまるで女性を扱うかのように、キリジはキャバリアの出力を上げてキャラバンの前へと躍り出る。
「俺達は敵じゃねぇ、あいつらを片付けてやる」
 キャラバンから聞かれる前に、キリジはキャラバンへと告げた。曰く、こうしないと第三勢力等に勘違いされることが多いのだとか。
 そんなキリジより一足早く、深が敵の前へと突っ込んでゆく。
「来たぞ! これ以上同胞を失うな!」
「我らの理想の為に!!」
 オブリビオンマシン『マガフMK1』に乗るパイロット達がともに叫び、士気を高めてゆく。
「オブリビオンマシン同士の結束は厄介だな」
 深は冷静に、火炎放射器『焦がすもの』を構えると、一気に炎を放射した。
「う、うぉっ!?」
 炎がキャバリア同士を分断する。足並みが崩れる。その隙を突いて、深はさらに敵の懐へと潜り込んでゆく。
「くっ、囲め! 敵は一体だぞ!」
 マガフMK1のパイロット達は、戸惑いながらも体勢を整えなおそうと必死で叫ぶ。だがそこに通信が舞い込んでくる。
『てめぇらは集まってねぇと何にもできねぇのかぁ?』
 その声はキリジのものであった。
『おら、どうした、かかってこいや!』
 明かな挑発である。だが、興奮気味のパイロット達は、キリジへと向き直り武器を向けた。
「……その言葉、後悔させてやる!!」
『やってみろや!』
 売り言葉に買い言葉。キリジは跳躍すると、その拳をキャバリアごと巻き込んで、大地へと叩きつける。
「ぶっ潰れちまいなァ!!」
「うわぁああっ!!」
 吹き飛ばされるマガフMK1達。武器や関節が砕け、次々と無力化されてゆく。
「こちらも忘れるな」
 深がキャバリアグレイブ『穿つもの』を構え、残るマガフMK1達を串刺しにしてゆく。
 狙うは動力源や重要なパーツ類。動けなくなればそれで良い。命まで奪う必要はない。それはキリジも同じ考えだ。ただし。
「おらぁっ!!」
 彼の場合は抵抗できなくなるまで痛めつける、という方針だ。
 キリジのキャバリアが敵の腕を掴むと、指先から爪がせり出して、装甲を抉り込む。
「コイツで痺れちまいなァ!」
「ぎゃあああっ!!」
 キャバリア全体に電撃が走る。各部からぼふんと黒い煙が噴きあがり、マガフMK1が起動停止する。
「まるで悪役みたい……」
 トレーラーの誰かがそう呟いたのを、耳ざとく聞いて叫ぶ。
「うるせぇ! 気にしてねェけど仕事でやってんだこっちは!」

「俺達の、理想が……」
「その理想は、機体から降りれば解放される」
 深は静かに言って、キャバリアの頭部に『穿つもの』を突き立てた。
 首を失ったマガフMK1は力なく大地に倒れると、深は穿つものに刺さった頭部を抜いて呟いた。
「奪うだけで強くなれりゃ誰も苦労しないんだよ」
 敵の軍勢はまだ尽きない。奪う為。そして強くなる為。
「……奪うのをやめられないのが人間だけどな」
 ふぅとため息を一つ吐いて、再び二人は戦場へと駆けてゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天城原・陽
【特務一課】 第三極都市管理局戦術作戦部特務一課、これより護衛任務を開始するわ
前衛はグウェンドリン、あんたに任せた そのヤバイ機体、ちゃんと制御してよね。都市の看板背負ってんだから

(ティオの戦術飛晶の機動を当機にリンクさせるよう赤雷号に指示。黄昏号以外にも『目』が増えるのは結構な事だ)ふぅん…ティオのはこういうタイプか。だったら私がやる事がシンプルね

グウェンドリン!正面宜しく!
赤雷号!横からブッ込むわよ! (高機動推進ユニット最大稼働。全火器使用承認。ブースト、高速戦闘開始。リンクした『目』で複数の敵機を捕捉。ジャイアントアサルトで蹴散らし、狙撃砲で撃ち抜き、短刀で辻斬りを敢行する)


初月・夕
【特務一課】
『黄昏号』搭乗
トワイライト…ナノマシンによる独自通信網を展開しUC【黄昏陣】発動
戦術ドローンや特務一課の僚機とリンク・情報共有する事による効率的な連携を仕掛けるわよ
今回は『フェラスティア』…ブリューネさんも索敵を受持ってくれるからタスクを他に裂けるわね…此方の戦術ドローンでの索敵は程々に、その分彼女の戦術飛晶とトワイライトで同期…分析や戦術予測、情報共有の方は『黄昏号』で引受ける…特に陽に合わせるのは慣れてないと中々厄介でしょうし、ね
勿論支援だけに留まらず、黄昏号も装甲を生かしつつミサイルでの弾幕や戦術ドローンでの多方向からの機銃攻撃で牽制…敵に密集・連携させないよう引掻き回すわよ


ティオ・ブリューネ
【特務一課】
対複数キャバリア戦かつ搭乗者は非殺傷…うん、割と難易度高そうだけど
今回は単機じゃないし、何とかなるかな
皆、よろしくね

フェラスティアに搭乗して参戦
交戦の前に上空へと戦術飛晶S型を3~4機程念動力展開し、サテライト・ヴィジョンを使用、俯瞰視点での広範囲視野を取得(以下戦術飛晶操作時:念動力+瞬間思考力)
護衛対象と敵機、僚機の動きをある程度補足できるようにしてピックアップしたものを皆に転送(索敵+偵察+情報収集)
接敵後は戦術飛晶O型を7~8機の複数展開して其々を操作
視覚情報から動きを測りつつ、3人の攻守の援護や複数レンジから敵機への狙撃をしていこう(スナイパー+援護射撃+制圧射撃)


グウェンドリン・グレンジャー
【特務一課】
(陽の言葉にこくこくと頷き)
だいじょーぶ。この子(黒玉姫)、大人しいとき、は、とっても良い子
前衛、任せてー
ティオ、も、夕も、よろしく、ねー

(女性の歌声のような音を立てて起動するHerodias Noctiluca。黒玉姫、正式名称Mórrígan、状況開始)
まずは、一番近い、敵、目掛けて、Scáthachを、投擲
命中後、念動力で、回収
そのまま、空中戦、と、先制攻撃、組み合わせて、接近戦
貫通攻撃、は、コクピット、避けて、破壊
遠距離メインの、仲間、の方には、行かせない

近くに一杯、集まって、きたら、Arianrhod、発動
(ていっと蹴って敵の方向へ飛ばす)
よーし、この隙、皆、チャンスー



 キャラバンのトレーラーを襲うオブリビオンマシンの軍団は猟兵達の迎撃を受けてもなおその手を緩めずにいた。
 近くで激しく光が明滅し、轟音とともに衝撃が響く。すぐ近くで戦闘が行われている現実に、トレーラーに乗る者を戦慄させる。
 そんな彼らを守るかのように、4体のキャバリアが並び立った。
「第三極都市管理局戦術作戦部特務一課、現着。作戦指示に移るわ」
 そう告げたのは中央に立つ赤いキャバリア『赤雷号』に乗る天城原・陽(陽光・f31019)であった。彼女を中心として、初月・夕(夕月・f31197)、ティオ・ブリューネ(舞い射す光条・f31200)、グウェンドリン・グレンジャー(Blue Heaven・f00712)の4名は、第三極都市管理局戦術作戦部特務一課……通称『特務一課』。キャラバン護衛任務の為、この地に派遣されたのだ。
 陽は、一人一人の顔を画面に映し出す。
「前衛はグウェンドリン、あんたに任せた そのヤバイ機体、ちゃんと制御してよね。都市の看板背負ってんだから」
「だいじょーぶ。この子、大人しいとき、は、とっても良い子」
 グウェンドリンはぽんやりとした口調でこくこくと頷き返す。黒のドレスを纏ったかのようなジャイアントキャバリア『黒玉姫』を操りながら、一歩前に出る。
「続けて夕、ティオ」
「えぇ」
 名前を呼ばれ、夕は短く返す。
「トワイライトシステム……リンク確認、連携中継開始」
 彼女の乗る『黄昏号』がナノマシンを周囲に展開する。それは独自の通信網を築き上げ、特務一課の目となり、頭脳ともなる。
「ブリューネさん。分析や戦術予測、情報共有の方は『黄昏号』で引受ける……特に陽に合わせるのは慣れてないと中々厄介でしょうし、ね」
 夕は隣に立つ薄紫のキャバリアへと告げた。薄紫のキャバリア『フェラスティア』に乗り込んだティオは夕の言葉に小さく頷き、戦術飛晶を上空へと飛ばす。そして念を込め、脳の処理機能を加速させると、空から見下ろすような俯瞰視点を得、視界が大きく広がってゆく。
「同期」
 そうして得た視界は黄昏号によって同期され、特務一課全体に共有されてゆく。
 護衛対象、敵機体群、そして仲間達。それらの情報を共有しながら、ティオは作戦目的を反芻した。
(「対複数キャバリア戦かつ搭乗者は非殺傷……」)
 オブリビオンマシンの数はどこから集められたのか、という程に多い。それも、パイロット達の救出までもオーダーされたのだ。
「うん、割と難易度高そうだけど、今回は単機じゃないし、何とかなるかな」
 仲間達を一瞥しながら、ティオは戦術飛晶から得た情報を皆に告げる。
「敵機群接近中……皆、よろしくね」
「ティオ、も、夕も、よろしく、ねー」
 緊張感のないほんわりとした口調で、グウェンドリンが返す。そして、陽は高らかに宣言する。
「では……第三極都市管理局戦術作戦部特務一課、これより護衛任務を開始するわ!」

(「ふぅん…ティオのはこういうタイプか」)
 陽は赤雷号に映る視界を見渡しながら考えた。ティオの目、夕の目、どちらの情報も彼女にとっては非常に有用だ。
(「だったら私がやる事がシンプルね」)
 そう考えると同時に陽が叫ぶ。
「グウェンドリン! 正面宜しく!」
「前衛、任せてー」
 直後、黒玉姫に搭載された女神の心臓――Herodias Noctilucaが『歌い』始めた。

 ――黒玉姫、正式名称Mórrígan、状況開始。

 手にした巨大槍を接近する敵目掛けて投擲すると共に、黒玉姫も駆ける。
「コックピットは、避けて、ねー」
 その言葉に従うように槍はマガフMk1の頭部を貫き通し、ひとりでに引き抜かれて黒玉姫の手元に戻る。
「仲間の、方には、行かせない、よー」
 そう言い、空に浮かびながらグウェンドリンは槍を構えた。
「赤雷号!横からブッ込むわよ!」
 そうして出来た隙に、陽は推進ユニットを最大限に稼働し、スラスターが唸りを上げる。
『全火器使用承認、ブースト』
 どぅ、と弾けるように飛び出した赤い巨体は、敵機群へと躍り出ると手にしたジャイアントアサルトをぶっ放す。
『敵の連携を乱せ! 我らこそ一つ!』
『我らこそ一つ!』
 猟兵達の攻撃に浮足立ったかに思えた敵機群であったが、リーダー格の男によってその体勢は急速に立て直されつつあった。しかし。
「連携はさせないわ」
 夕はそれを見逃さない。集結した敵にミサイルの弾幕を浴びせ、ドローンを周囲に飛ばして機銃を放つ。
 連鎖的に爆発が起こり、キャバリアが吹き飛ばされる。
「逃げたのがそっち行ったよ」
 ティオは戦術飛晶O型を展開して敵機を狙撃しながら、陽へと情報を送る。
「了解!!」
 陽はたったそれだけで全てを理解したかのように短刀を抜き、敵の死角から関節へと刃を突き立てた。

 いくら敵に結束力があったとしても、特務一課の連携に及ぶものではない。
 敵がそう知るのは、壊滅的な被害を受けた後だった。
 未だ稼働可能な機体を集めようとしたところで、その動きは完全に筒抜け。
 グウェンドリンはここぞとばかりに、銀のパンジャンドラム『Arianrhod』を呼び出した。
「とつげーき、ゴー」
 ていっとArianrhodを蹴りつけると、ごろんごろんと勢いを上げてArianrhodが突進してゆく。
「ぎゃーっ!!」
 まるでボーリングのピンのようにマガフMK1がなぎ倒される。その様子をグウェンドリンが仲間へと声をかけた。
「よーし、この隙、皆、チャンスー」
「了解! 特務一課、一斉攻撃!」
 陽が狙撃砲を構え、トリガーを引きながら叫ぶ。同時にティオの戦術飛晶が、夕のミサイルが敵群へと向かって放たれた。
 直後、一際大きな爆発が、戦場を激しく揺さぶるのであった。

「これで最後、残りは1機だよ」
 ティオが戦術飛晶で見渡す景色にマガフMK1がいないこと、そして、これまでの敵とは比べ物にならないオーラを放つ敵の姿を確認した。
「指揮官機ね、この速度……高速戦闘特化型と推測出来るわ」
 夕が続ける。これまでの重火器を搭載した量産型とはまるで違う、黒いキャバリア。
 それこそが今回の襲撃事件の首謀者であろう。戦いは新たな局面を迎えようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ジャック・ザ・スラッシャー』

POW   :    チェーンソースラッシュ
【片腕に装備したチェーンソー】が命中した対象を切断する。
SPD   :    スラッシュビット
【回転する刃付きのビット】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    リミッター解除
【動作すべてが10倍速くなるリミッター解除】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は我原・介司です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『ははは、ははは。まさか全員やられるなんて』
 その黒いキャバリアから発せられた声は、思いのほか若かった。
 少年か少女か、くぐもった通信から聞こえる声にそれを判別することは出来ないが、いずれにせよ狂気とともに、猟兵達に対する強い敵意が感じられた。
『せっかく貰ったものを壊すなんて勿体ない。仕方ないなあ。そいつらはボクだけの者にしよう』
 トレーラー群を指さして、キャバリアが笑う。
 キャバリアの名はジャック・ザ・スラッシャー。手にした巨大なチェーンソーがぶぅんと激しく回り出し、猟兵達を威嚇するかのように唸りを上げた。
アス・ブリューゲルト
いよいよ、黒幕のお出ましか……。
ならば、こちらも全力で相手するのみ。

可能であれば、チェーンソーの付け根を狙って打ちまくり、破壊しておきたい所だが、まずは、敵を、キャバリアを動けなくして、パイロットを救出するのが先決。
「貴様を倒して、全てを終わらせる!」
強くセイバーでチェーンソーとの鍔迫り合いをして、距離を取ったら、UCで敵を斬るとしよう。
「中にいるパイロットを開放しろ!! 魔のキャバリアめ!!」

必要であれば、イーグルショットで武器と敵の関節部分を撃ち貫き、キャバリアの破壊を少しでも進めておきたい。
また、共に戦う者達とも息を合わせて、戦いたい。



「いよいよ、黒幕のお出ましか……」
 アスはアクアブループラチナⅡのコクピットから、黒い細身のキャバリア『ジャック・ザ・スラッシャー』を見る。
 予知によれば、あの機体こそが元凶であるという。
「ならば、こちらも全力で相手するのみ」
 そう言い、アスはフォースセイバーを振り上げた。

『へぇ、その機体もなかなか良さそうじゃないか』
 キャバリアから声が響く。若々しく自信ありげで、しかし何か熱に浮かされたような危うさを感じさせる。
 キャバリアがそう言わせているのだろうか。ならばやるべきことはパイロットの救出だ。
「貴様を倒して、全てを終わらせる!」
 叫び、アクアブループラチナⅡはスラスターを噴かし、ジャック・ザ・スラッシャーへと肉薄した。互いに得意とする間合いだ。振り下ろすアスのフォースセイバーに対し、ジャックもチェーンソーを唸らせて振り上げれば、エネルギーのぶつかり合いでバチバチと火花が散る。
「中にいるパイロットを解放しろ!! 魔のキャバリアめ!!」
『何を言ってるんだ? 戦っているのばボクだろう?』
 今、機体にいる者は、その意志が自分のものであると疑っていないのだろう。チェーンソーがアスのセイバーを打ち返し、二機は互いに距離を取る。
「まだだ!」
 アスは即座に体勢を立て直し、流れるような所作で左腰のライフルを抜き、撃ち放つ。
『うわっ!?』
 銃弾がジャックの関節を的確に撃ち貫いた。破壊するには至らない。だが、がくりとバランスを崩したその瞬間は、アスの一撃を叩き込むには十分な時間であった。
「魔に惑わされたその心! 破邪の刃で断ってみせる!」
 振り上げたフォースセイバーがアスの念動力に共振する。激しく発光する刀身が、一気に振り下ろされた。
「退魔念導破邪斬!!」
 一刀両断。その刃はパイロットごと一太刀にて斬り伏せた……かに思えたが、オブリビオンマシンに目立った傷は見られない。
『ぐ、あ、あああっ……!!』
 しかし、その刃を通して、確かにそれは斬られていた。オブリビオンマシンによって増幅された、パイロットの『邪心』であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
キミが最後の一体かな。
猟兵(天敵)に出会った不幸を嘆くべきだね。
いや、幸運かな。

回転刃付きビットはすべてビットで打ち落とすよ。

おっと、これは手ごわいね。
パイロットの技術がいいのか、それだけ同調が進んでるのか。
でも、負けないよ。
全力魔法で回路、フルオープンン。
一般的な操作では実現できない動きを披露して翻弄するよ。



「キミが最後の一体かな」
 アリスとブライダルベールは、距離をとりながらジャック・ザ・スラッシャーへと語り掛けた。
「天敵に出会った不幸を嘆くべきだね……いや、幸運かな」
 猟兵という名の天敵は、すべからくオブリビオンを討ち滅ぼす。マシンであるオブリビオンマシンとて例外ではない。
 だが、オブリビオンマシンの最大の特徴は、パイロットがオブリビオンでは無いといことだ。それは、オブリビオンマシンの狂気に侵された人間にとっては幸運とも言えよう。
『あぁそうさ、幸運さ』
 ジャック・ザ・スラッシャーは笑って答える。
『心の中で、奪え、奪えと言ってくる。そして、グランドールを吹き飛ばせ……って』
 ジャック・ザ・スラッシャーはそう言いながら、アダムのゲドン・ザウラーへとゆらりゆらりと歩き出した。
『それだけ強いキャバリアがあればグランドールを吹き飛ばすのが、もっと簡単になるよねぇ!』
 そう叫ぶとともに、ジャック・ザ・スラッシャーからスラッシュビットが放たれた。
 装着された刃が高速回転し、ブライダルベールを切り刻むべく、一気に加速する。
「ぼくも応戦だよ」
 ブライダルベールの周囲に舞う花のような意匠のビットがそれを迎え撃つ。ビームが的確にスラッシュビットの動力部を撃ち抜くと、小さな爆発とともに軌道を逸れてゆく。
 だが、数が多い。迎撃の手が間に合わず、徐々にアリスの周囲がスラッシュビットに囲まれてゆく。
「おっと、これは手強いね」
 アリスは興味深げに考察をする。パイロットの技術が良いのか、それともオブリビオンマシンとの同調が進んでいるのか。
 今はそれを考えても仕方がないが、情報を食べる妖精にとってはごちそうのようなもの。それに。
「でも、負けないよ」
 余裕な様子で、アリスは告げた。
「回路、フルオープン」
 アリスの操作と共に、ブライダルベールの出力がぐんぐんと上がってゆく。同時に、機体自身とビットの動きが、先ほどまでとは比べ物にならない程緻密で高速機動を始める。
『当たらない?』
 ほんのわずかな動きでスラッシュビットの軌道を躱し、まるで罠に誘い込んだようにビットがそれを撃墜する。
 人間の出来る技ではない、とジャック・ザ・スラッシャーは思った。だが、それも当然だろう。彼女は情報を食べる妖精なのだ。
 気が付けば、スラッシュビットは全て撃ち落とされ、ブライダルベールのビットの発射口は全てジャック・ザ・スラッシャーを向いていた。
 身動きが取れない。どのように動いても、即座に狙撃されるだろう。
 今、この中で唯一動けるのはブライダルベールだけとなった。
「幸福を届けに来たよ」
 アリスはそう笑い、大鎌を振り下ろした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アダム・レイン
【WIZ】
まずは敵のリミッター解除を誘うため挑発。「ぼ、僕のキャバリアは一国の将軍専用機だ。お前のキャバリアと格が違うぞ…」(恐怖を抑えこんでいるため少したどたどしい)

敵がリミッター解除したらジャンプ力で勝負しようと跳躍…するフリの【フェイント】を行う。行動が中止できない事を利用し、敵が飛び上がった後の落下するタイミングを狙ってアドバンテージ・アンサーを使用し、【レーザー射撃】やブーメランアックスの【投擲】を組み合わせた【対空攻撃】を敵に見舞う

「お前は空は飛べないんだろう?だったら、跳躍して落下する瞬間は身動きが取れないはずだ…!」

※アドリブ&連携OK



 猟兵達より数々の攻撃を受けていながらも、いまだジャック・ザ・スラッシャーの動きに鈍りは見えなかった。オブリビオンマシンとなり、高い耐久性を得たためであろう。
 さらに、パイロットはオブリビオンマシンの影響で興奮状態にある。戦意の低下も見られない。
『さぁ、どいつが相手してくれる?』
 そんなジャック・ザ・スラッシャーの言葉に、アダムとゲドン・ザウラーが一歩前に出た。
「ぼ、僕のキャバリアは一国の将軍専用機だ。お前のキャバリアと格が違うぞ……!」
 湧き上がる恐怖心に、声が上擦るが、精いっぱい胸を張って見せると、ジャック・ザ・スラッシャーはアダムへと向き直る。
『へぇ、じゃあ、貰っちゃおうかな』
 表情は見えない。だがまるで舌なめずりでもするかのようなじめっとした口調で笑いながら、ジャック・ザ・スラッシャーの装甲がばくんと開く。高熱の蒸気が噴き出し、機体が高熱を帯びてゆく。
「きた……!」
 リミッター解除。すべての能力が10倍に引き上げられる代わりに、著しく柔軟性を失ってしまう。
「こ、こっちだ!」
 ゲドンザウラーが跳躍する。
『待ちなよ!!』
 それを追うように、ジャック・ザ・スラッシャーも跳ねた。リミッターを解除したその脚力であれば、ゲドン・ザウラーなどたちまち自分の間合いに収まるはずであった。
『……何!?』
 だが、空には何もなかった。
 跳躍したはずのゲドン・ザウラーは、遥か下方、地上でジャック・ザ・スラッシャーに銃口を向け、狙いを定めているではないか。
 ゲドン・ザウラーの跳躍はフェイントだった。それにまんまと釣られたジャック・ザ・スラッシャーはその出力のまま、何もない空間へと飛び出してしまったのだ。
「お前は空は飛べないんだろう? ……だったら、その瞬間は身動きが取れないはずだ……!」
『しまった!』
 ジャック・ザ・スラッシャーが目標を失い落下する。完全に無防備。そしてアダムは、そんな相手に有効な一打を与える術を知っている。
「行け!!」
 電撃弾が撃ち込まれ、装甲の表面で炸裂する。激しい発光とともに、機体が制御を失ってしまう。
「そこだぁっ!」
 アダムはゲドン・ザウラーが手にしたブーメランアックスを大きく振りかぶり、投げつける。
 激しく回転しながら速度を上げる斧が、ジャック・ザ・スラッシャーに深々と突き刺さる。
『うわああっ!!』
 着地すらままならず、ジャック・ザ・スラッシャーは大地に激しく叩きつけられるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノーウォー・ノーライフ
勿体ない、か
まったくその通りだ
こいつらはまだまだ使える、戦える……
だから、利用させてもらおう

他猟兵が戦っている間に戦場を横断して【幽鬼覚醒】を発動
動けるキャバリアは突っ込ませる、動けないキャバリアは固定砲台に使う
勿論それだけで仕留められるとは思っていない
隙を作れればそれで良い
俺か、あるいは他の猟兵が致命打を与えられるだけの隙を作れればな

どいつもこいつもチェーンソーで簡単に両断出来る雑魚だろう?
だがその雑魚に苦しめられ、そしてお前はこうなっている
下手くそだったな、雑魚の使い方が


呉・深
あの機体、乗っているのは子供か?
どんな者が乗っていようと殺さず片付けるつもりではあるんだがな
……決して愉快なものではない
早く終わらせよう

注意すべき武装はあのチェーンソーか
受け止めるより回避に専念するほうが良さそうだ
『焦がすもの』で周囲に炎を展開
相手の視界を阻みつつ、ダッシュで少しずつ接近していこう

接近してきたら、向こうは馬鹿正直にチェーンソーを振るうだろうか?
ギリギリまで引きつけて、タイミングを見計らい『穿つもの』で相手の身体をぶん殴る
少しでも体勢を崩したなら……ダオツァオレン、喰らえ

UCの効果でダオツァオレンの腕がチェーンソーと化せば、すかさず相手に向けてなぎ払い
そのまま崩れ落ちろ



『ははは。はは、強いな。けど、まだまだボクらは終わっちゃいない』
 猟兵からの攻撃を受けたジャック・ザ・スラッシャーであったが、ゆっくりと立ち上がりながらそう告げた。
 いまだに余裕の姿勢を崩さないのは全員を倒せる自信があるのか、攻撃を受けても倒れない確信があるのか、それともただ、狂気に突き動かされているだけなのか。
「あの機体……乗っているのは子供か?」
 深は通信から聞こえる声に、眉間の皺を寄せた。
 彼にはどんな相手であろうと殺さずに片付ける心づもりがあった。とはいえ。
「……決して愉快なものではない」
 ふぅー……と息を吐き、深とダオツァオレンが身構えた。
「早く終わらせよう」

 ダオツァオレンがジャック・ザ・スラッシャーへと駆ける。
「注意すべき武装はあのチェーンソーか」
 高速で回転するその刃には、半可な武器では力負けし切断されてしまうだろう。
 受け止めるよりは回避に専念するべきだと判断した深は、キャバリア用火炎放射器『焦がすもの』を手に、激しい炎を放った。
 炎の渦に呑み込まれるジャック・ザ・スラッシャー。しかし、焦りは見せず、チェーンソーの回転によって生まれた風が炎をも切り裂いて道を作る。
『そんなの!』
 炎を抜け、ジャック・ザ・スラッシャーがダオツァオレンを威嚇するようにチェーンソーを振り上げる。
 その時。突如死角外から砲弾がジャック・ザ・スラッシャー目掛けて放たれた。
『……援軍!?』
 咄嗟に砲弾を避けたジャック・ザ・スラッシャー。砲撃の発射元へと目を向けると、そこには、ゆらりと立つ『マガフMK1』の姿があった。

 時間は少々遡る。ノーウォーは戦闘中に一人、この戦場を走り回っていた。
 ほんの僅かな範囲でも、猟兵達によって破壊されたキャバリアの数は相当数に上っている。パイロットを救出するために戦っただけあり、大破、スクラップになったような機体は数えるほどだ。
 そのキャバリア達に対し、ジャック・ザ・スラッシャーはこう言った。
『せっかく貰ったものを壊すなんて勿体ない』
 それを思い出しながら、ノーウォーは言う。
「まったくその通りだ」
 ノーウォーは、倒れたキャバリアへと接続する。
「こいつらはまだまだ使える、戦える……」
 無人のはずのキャバリア達の瞳に火が灯る。次々と起動を始め、ゆらりと立ち上がる。それはまるで戦場に立つ亡霊のようであった。

「戦争は数だ。そしてその数はここで揃えられる」
 ジャック・ザ・スラッシャーを襲った砲弾は、そうしてノーウォーの手によって蘇ったキャバリアによるものであった。
 砲撃だけではない。深が放った炎の中をかきわけ、頭や腕を失ったキャバリアが四方八方からジャック・ザ・スラッシャーへと襲い掛かったのだ。
 その全ては自律機動。ジャック・ザ・スラッシャーめがけ、機体の限界を越えた速度で突っ込んでゆく。
『邪魔だよ!!』
 ジャック・ザ・スラッシャーはチェーンソーを振り回し、近付くキャバリアを一刀両断に斬り伏せる。
『雑魚が何体集まったって!』
「どいつもこいつもチェーンソーで簡単に両断出来る雑魚だろう?」
 ノーウォーは至極当然といった風に頷いた。
「だがその雑魚に苦しめられ、そしてお前はこうなっている」
『……!!』
 気が付けば、無数のキャバリアに紛れ、ダオツァオレンが間合いに潜り込んでいた。
『甘いよ!!』
 咄嗟に、ダオツァオレン目掛けチェーンソーが振り下ろされる。だが所詮は及び腰の一振り。
「今だ」
 チェーンソーよりも早く、ダオツァオレンの『穿つもの』が脇腹へと打ち付けられてていた。
『うぐっ……!!』
「ダオツァオレン、喰らえ」
 ダオツァオレンの腕が形を変えてゆく。
 その形はジャック・ザ・スラッシャーが持っていたチェーンソーと瓜二つであった。ダオツァオレンは、相手のチェーンソーをコピーし、腕を変形させたのだ。
「そのまま崩れ落ちろ」
 チェーンソーがジャック・ザ・スラッシャーへ向けて薙ぎ払われた。
『う、うわあああっ!!』
 咄嗟に身を引いて致命傷を免れるも、その装甲は大きく削られてバチバチと火花を上げていた。
 その姿を見て、ノーウォーは静かに告げた。
「下手くそだったな、雑魚の使い方が」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天城原・陽
【特務一課】
おいでなすったわね…全機、情報リンク継続。
ウイ、考えがあるなら好きにやんなさい。合わせるわ。
ティオ、情報リンクの精度とレスポンス上げられる?あ、そう。それは結構。
グウェンドリン、私達で出来る事なんてブチ抜くとかブッ込むとかたかが知れてるわ。だったらそれを生かす。

全機プランAに移行。やるべき事はさっき言った通り。じゃ、よろしく!
(ブースト開始。狙撃砲に徹甲榴散弾装填。飛翔、偏差爆撃開始。空中からの面での攻撃で相手の機動力を削ぎ、行動範囲を狭めんとする)
プランAの「A」はね…アドリヴのAよ!! (狙撃砲モード切替、加粒子放射。足を止めた敵機を撃ち抜かんとする)


初月・夕
【特務一課】
引続き【黄昏陣】によるチーム連携の仲介役を
って陽、全機アドリヴってまた適当な…その動き処理して連携調整するの私の身にもなりなさいよね全く
…ってグレンジャーさんも了解じゃなくて!?

とは言え先程の戦闘で流石に手の内はある程度割れてる…自慢の高機動で連携を崩しに来る…私が狙われれば黄昏号の装甲でもあのチェーンソーは拙い、か
…なら、届く前に切り離すまで
肩部コンテナで切断を受けに行きタイミングを併せコンテナ内兵装を起動させながらパージ&脚部キャタピラで急速後退・離脱
不意のパージによる離脱、更に眼前で切断されたコンテナ内武装の誘爆を受ければ高速戦闘特化型とは言え隙は出来る筈…皆、後は任せるわよ


グウェンドリン・グレンジャー
【特務一課】
(Scáthachを手に、陽の言葉に頷いて)
そう、私……の、特技は、ぶっ壊して、ぶっ飛ばす……
(発動、Butterfly kiss。コックピット内に舞い飛ぶ蝶が強化するのは攻撃力)
プランA、了解

黒玉姫、は、装甲硬くない、けど……当たらなければ、どーってこと、ない
(前衛、空中戦と残像で撹乱しつつ槍を先制で投擲し貫通攻撃、念動力で回収を繰り返す)
隙、作った。今、だよー

中後衛、狙う、攻撃、槍で、いなしたり、念動力、で、減衰、させる
えーと、Aは……Aggressiveの、A
(遠距離攻撃が雨霰と降り注ぐ敵機体へ槍で串刺しにするように接近し、怪力を乗せての最大攻撃。コクピットは避ける)


ティオ・ブリューネ
【特務一課】
高機動型かー、なるほどね
りょーかい、陽さん
多角的に観測して行動予測まで立てればいけそうだし…
よっし、夕さん、ちょっと情報の量増えるかもしれないけどよろしくっ

先と同様に戦術飛晶S型を展開しサテライト・ヴィジョン使用
情報密度を増すため展開数を8機に

交戦用に戦術飛晶O型を10機展開
僚機、敵機の位置情報、挙動、兵装の予測射程を基に軌道予測を複数案構築(情報収集+瞬間思考力)
それを基にして僚機に有利に進むよう予測機動のいくつかを妨害する様に制圧射撃を行い、対象の挙動の選択肢を削ぐ
また、敵射出兵装はビット型の為、観測次第狙撃での確固撃墜を試みる
軌道予測外の動作を観測した際はそれを踏まえて再演算



「おいでなすったわね……全機、情報リンク継続」
 陽が特務一課全機に指示を出す。その言葉に特務一課の面々の顔が引き締まる。
 対するはジャック・ザ・スラッシャー。高機動型で近接戦に長けた機体であることは、そのシルエットや手にした巨大なチェーンソーから見て取れる。
 猟兵達との戦闘が始まってからも、夕は黄昏陣を継続させながらじっと考える。
(「先程の戦闘で流石に手の内はある程度割れてる……なら、あの高機動で連携を崩しに来る」)
 となれば、真っ先に狙われるのは黄昏号であろう。
(「黄昏号の装甲でもあのチェーンソーは拙い、か」)
 万が一黄昏号が撃墜され情報リンクが途切れれば、連携は崩れ、特務一課全体が危機に陥ってしまう。
(「なら……」)
「ウイ、考えがあるなら好きにやんなさい。合わせるわ」
 考え込む夕に、陽が声をかける。夕が頷くのを確認すると、続けて陽はティオへと目を向ける。
「ティオ、情報リンクの精度とレスポンス上げられる?」
「りょーかい、陽さん」
 言われて、ティオが展開した戦術飛晶から得られる情報へと目を落とす。
「多角的に観測して行動予測まで立てればいけそうだし……」
 僚機、敵機の位置、挙動。都度得られる情報は、特務一課の全機に伝えられている。その数を8機にまで増やせば、陽の求める情報リンクの精度向上と共に、行動、軌道予測にも効果を発揮する。
「よっし、夕さん、ちょっと情報の量増えるかもしれないけどよろしくっ」
「わかったわ」
 ティオの得た情報が夕の黄昏号を通じて各機にもたらされた。その結果に『結構』と呟いた陽は、最後にグウェンドリンへと通信を送る。
「グウェンドリン、私達で出来る事なんてブチ抜くとかブッ込むとか……たかが知れてるわ」
 無骨な陽の赤雷号と華奢ながらどこか禍々しさをたたえた黒玉姫が並び立つ。
 姿はまったく違う。乗っているパイロットの性格も違う。そんな二人の共通点が、それだ。
「だったらそれを生かす」
 グウェンドリンは手にScáthachを携えながら、こくりと頷いた。
「そう、私……の、特技は」
 その言葉と共に、グウェンドリンのコックピット内に蝶が飛んだ。ひらりと舞う蝶は、羽ばたくたびに黒玉姫の力を増幅させてゆく。
「ぶっ壊して、ぶっ飛ばす……」
 そして、特務一課、全員の準備が整った。
「全機プランAに以降。やるべき事はさっき言った通り」
 陽の言葉に夕がはぁ、とため息をついた。
「……また適当な。そのその動き処理して連携調整する私の身にもなりなさいよね全く」
「プランA、了解」
 そうぼやく横で頷いたグウェンドリンに、思わず夕が目を見開く。
「って、グレンジャーさんも了解じゃなくて!?」
「じゃ、よろしく!」
 そこで陽は強引に会話を打ち切った。全員がジャック・ザ・スラッシャーを見据える。特務一課の戦いが始まった。

「……やっぱり来たわね」
 夕が呟く。狙い通り、敵は4機の分断を狙うべく、最初に夕を狙ったのだ。
「軌道予測構築! 制圧射撃!」
 ティオの戦術飛晶が空を飛び交う。戦闘用に特化したO型が、ジャック・ザ・スラッシャーの軌道に向けて射撃を行い、行動の選択肢を狭めてゆく。
 さらに陽の鉄鋼榴弾による爆発は、敵の機動力を削ぐには十分であった。
『邪魔だね』
 ジャック・ザ・スラッシャーは走りながら、空中の戦術飛晶めがけてスラッシュビットを飛ばす。
「速い……!」
 ティオが呟きながら、スラッシュビットを狙う。戦術飛晶が破壊されては戦場のアドバンテージが失われてしまう以上、死守しなくてはならない。
 だが、その分制圧射撃の密度が落ちる。その隙を縫ってジャック・ザ・スラッシャーは夕へと肉薄する。
『まず一機』
 チェーンソーが唸り声をあげ、黄昏号へと振り下ろされる。
「なら……」
 黄昏号は肩部に備えられたコンテナを盾にするようにチェーンソーを受け止めた。
「届く前に切り離すまで」
 それが、夕の考えた対処法であった。コンテナが黄昏号の装甲から切り離されると同時に、内部の兵装が起動する。
『うわっ!?』
 ジャック・ザ・スラッシャーが爆発に巻き込まれる。コンテナをパージした黄昏号は、爆発に巻き込まれないように一気に離脱する。
「皆、後は任せるわよ」
 不意の誘爆に巻き込まれたならば、ダメージこそ軽いものだったとしても、そこに隙が出来た筈である。
「任せてー」
 そう返し突っ込むのは、グウェンドリンと黒玉姫であった。地面スレスレを飛翔しながら、槍を投擲する。
『甘いよ!』
 体勢を立て直したジャック・ザ・スラッシャーが槍を避けるとともに、黒玉姫へと距離を詰める。即座にチェーンソーが振り上げられ、黒玉姫を捉えるが。
「黒玉姫、は、装甲硬くない、けど……当たらなければ、どーってこと、ない」
 チェーンソーの捉えた黒玉姫の姿がブレて消えた。残像である。
『何ッ……!』
「今、だよー」
 グウェンドリンの言葉に、陽とティオが頷いた。
 陽はそう叫び、手にした狙撃砲のモードを切り替える。
「プランAの『A』はね……アドリヴのAよ!!」
 ティオの狙撃と共に、陽の加粒子砲がジャック・ザ・スラッシャーへと撃ち込まれた。
「えーと、Aは……Aggressiveの、A」
 銃撃を受ける機体めがけ、その言葉通りグウェンドリンと黒玉姫が加速する。
 そしてその勢いを乗せ、槍が力いっぱい突き立てられた。
『くっ、ああああっ!!』
 攻撃はどれも、コックピットを避けた攻撃であった。だが、それでも、特務一課の見事な連携は、機体に致命的なダメージを与えることに成功するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

我原・介司
【心情】あのチェーンソーに黒いボディ…まさか軍にいた頃に戦った機体と出くわすとはな…あの時は手足も出ずに切り裂かれたが今回は違う…!あの時と同じだと思うなよ…!

【作戦】基本的にチェーンソーの攻撃はブレードで【受け流し】てビットはスラスターでの【推力移動】を利用した【見切り】で回避か【弾幕】で打ち落とすぜ。10倍早くなったら【落ち着き】つつミサイルの【弾幕】を張ったり【受け流し】や【推力移動】の【見切り】で耐える。そして止まった所をガトリングランチャーで撃ちまくるぜ!「誰だか知らねえが俺が前に戦ったその機体に乗った奴よりも劣るなお前…速いだけで全然だ…」【絡み・アドリブOK】



「あのチェーンソーに黒いボディ……」
 キャラバンを襲ったオブリビオンマシンの一団。そのリーダー格の姿に、介司は見覚えがあった。
「……まさか軍にいた頃に戦った機体と出くわすとはな……」
 介司の脳裏に嫌な記憶が蘇る。手も足も出なかったこと、そして成す術もなく切り裂かれてしまったこと。
「だが、今回は違う……」
 シルバーレイズの中で、介司は静かに操縦桿を握る。
「あの時と同じだと思うなよ……!」
 スラスターの出力を上げ、シルバーレイズはジャック・ザ・スラッシャーへ向かって飛び立つのであった。

『近付かせないよ!』
 ジャック・ザ・スラッシャーからスラッシュビットが展開される。回転ノコギリのように回転する刃が機体を切り刻むべく宙を舞うが、介司は落ち着き、機体の姿勢を制御してそれを受け流す。
 振り向きざまにレーザーを放てば、小さな爆発とともに、ビットは吹き飛んでしまう。
『な、何っ!?』
 ジャック・ザ・スラッシャーは驚きを隠せないまま、シルバーレイズを追う。それは最新鋭機ではあるが、極端に速いわけでも、特殊な武装があるわけでもない。それでも、翻弄されていると感じられたのは、介司のこれまでの経験と、苦渋を舐めされられた過去によるものであった。
『これならっ!!』
 ジャック・ザ・スラッシャーの出力が上がってゆく。リミッターを解除したのだ。
 チェーンソーを手に、シルバーレイズへと一気に加速すると、その勢いのままチェーンソーを振いあげる。
『うっ……!?』
 だが、それよりも早く、既に介司はミサイルを展開していた。弾幕がジャック・ザ・スラッシャーの動きを止め、爆発が装甲の表面を砕く。
「誰だか知らねえが、俺が前に戦ったその機体に乗った奴よりも劣るなお前……」
 介司はさらに、もう一手先にいた。ガトリングガンの銃口が、足を止めたジャック・ザ・スラッシャーへと向けられていたのだ。
「速いだけで全然だ……」
 その言葉には、少し寂し気で、残念そうな感情が籠められていた。
『う、うわあああっ!!』
 放たれた弾丸はジャック・ザ・スラッシャーの装甲を砕き、機動力を奪い、そして、とうとう、その機能をも停止させたのであった。

 オブリビオンマシンと化した過去の忌まわしき敵。
 介司は停止し、倒れ伏したそのキャバリアを見下ろし、咥えた煙草をふっと吹く。
 今、ここに因縁は断ち切られた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『熱情の旋律』

POW   :    魂を込めた歌声を響かせる

SPD   :    巧みな演奏テクニックを披露する

WIZ   :    他のアーティストを応援し、盛り上げる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●オブリビオンマシンの少年
 オブリビオンマシンのコックピットから救出されたのは、まだ若い少年であった。
 幸い大きな傷は無く、オブリビオンマシンによって歪められた精神も徐々に安定を取り戻しつつあった。
「皆さんにはなんてお詫びをしたらいいか……」
 操られていたとはいえ大変なことをしてしまったと、少年は自身の行いを酷く悔いたが、キャラバンは荷物にも人員にも被害が及ばなかったとして、彼を許すことにしたようだ。

●キャラバン隊のもてなし
「どこの誰だか知らないけど、本当にありがとう!」
 キャラバンの若い運転手が、猟兵達にぺこりと頭を下げた。隣に立つ年配の男は、静かにツンドラの向こうに指をさす。
「次の町で礼をさせてくれ。あの少年の住む町だそうだ」
 聞けば、他のオブリビオンマシンに乗っていた面子も、同じ町にする者達であるのだという。彼らが感謝を込めて、宴会をすると張り切っているようだ。
「あの町はプラントを結ぶキャラバンの中継地点でな。俺達みたいな連中をもてなす為に音楽の町としても有名になった場所なんだ」
 となれば、きっと歌と踊りの大宴会となるだろう。

●そしてキャラバンは征く
「いやぁ、強いな君達は」
 オブリビオンマシンのパイロット達と猟兵達を連ねて、キャラバンは町へ向かう。
 その最後尾のトレーラーから、若い男が猟兵達に向かって顔を出した。引き締まった身体に柔らかな笑顔。しかし、どこか掴みどころの無い雰囲気があった。
「僕からもお礼をさせてくれよ。声が枯れるまで歌って楽しもう」
 そう言って手を振り、男はトレーラーの中へと身体をひっこめた。

 町はもうすぐ。猟兵達をもてなす宴会は間もなく始まる。
アス・ブリューゲルト
……こういう宴とかは、正直、どうしたらいいのやら。
だが、歓迎してくれる気持ちを無下にすることも出来ない。
腹をくくって、参加するか。

美味いご馳走を一人分受け取ったら、そのまま、一人でいるだろう、あの救出された少年の所へ。
「無事でなによりだ。まあ、今回の事件はキャバリアの暴走(ということにしておく)が引き起こした悲劇に過ぎない。あまり気に病むな。それこそ、悪意に飲まれるからな」
そういって、激励しつつ、彼の隣でご馳走を食べながら、何か話すのであれば聞き手に回ろう。
そうでなければ……まあ、何も出ないだろうが、姉や妹の事でも尋ねておくか。
食べ終えたら、美味いご馳走に感謝を。
「美味い料理だった」
と伝える。


我原・介司
【心情】あんな坊主が乗ってたのか…命取らなくて良かったぜ…。まあ、もてなしてくれるっていうならご相伴にあずかるかね…タダ飯、タダ酒のチャンスだ

【行動】さっきの戦いでかなり疲れちまったんで踊りは勘弁してもらうがな…「まあ、みんな守れて誰も死ななくてよかった…」と酒飲みつつ感じてこの宴会を楽しもうか(絡み・アドリブOK)


呉・深
これにて仕事は完了だな
キャラバンが無事で何よりだ
あの少年も、な

宴会には足を運ぶが……音楽は全く分からん
いや、これが良いものなのは分かるんだが
どこが良いものかとか、きちんと考えたことはなかったな
それを知るためにも、暫し奏でられる音楽に耳を傾けよう

このリズムが心地いいんだろうか
それとも歌詞や歌声が?
いや、その全てだろうか
何よりも宴会に加わっている人々の笑顔が喜ばしい
そういうものだと、俺は思う

……手拍子くらいなら、出来るだろうか
リズムに合わせて少しずつ手を叩く
なるほど、これも結構楽しい
物理的な報酬以外にも良い勉強になったな

いつでもこんな風に歌って踊れるくらい、この世界も平和になればいいんだがな……


アリス・フォーサイス
歓待してくれるなら、お言葉に甘えようかな。死神にも休息は必要だしね。

オブリビオンマシンに乗ってたあの子、態度からするに、グランドールの人なのかな?腕前からすると、民間人ではなさそうだけど。どんな経緯で乗ることになったのか、覚えてる範囲でいいから、聞いてもいいかもね。

キャラバンの人からも話を聞こっと。いろんなところを旅してるなら、楽しい話が聞けそうだしね。



 キャラバンは、オブリビオンマシンに囚われていたパイロット達と猟兵達を連れて街へ入った。
 街では突如行方不明になった者達の話題で持ちきりとなっており、その行方不明者達を連れて現れた猟兵達には、驚きと共に感謝の意によって迎えられることとなった。
「キャラバンが無事で何よりだ。あの少年も、な」
 深は住人達に迎えられたリーダーの少年を見て、呟いた。
「あんな坊主が乗っていたのか……命取らなくて良かったぜ」
 介司も煙草に火をつけながら、先の戦闘を思い出しながら言う。
 激しい戦闘だった。それだけに、全員を救出出来たことは奇跡のようにすら思えた。
 ふぅー、と長く煙を吐いたところで、猟兵達を呼ぶ声がした。きっと宴の準備が出来たのであろう。
「まあ、もてなしてくれるっていうならご相伴にあずかるかね。タダ飯、タダ酒のチャンスだ」
「歓待してくれるなら、お言葉に甘えようかな。死神にも休息は必要だしね」
 介司に続いて、アリスもそう言い、準備された宴席へと歩き出した。

「……こういう宴とかは、正直、どうしたらいいのやら」
 宴会場でアスはどうにも居心地が悪そうに周囲を見渡していた。
 ステージではすでにステージが始まっており、軽快なリズムと軽やかな旋律が会場を包み込んでいる。そう言う場に馴染みがないのか、アスはどうにも所在なさげだ。
 それでも折角の歓迎だと腹を括ると、アスはご馳走を受け取って会場内を見渡した。
「……彼は」
 会場の端にいたのは、オブリビオンマシンに乗っていた少年であった。

「隣良いか」
 アスはご馳走を乗せた皿をテーブルに乗せ、少年の隣に腰掛けた。
「無事でなによりだ」
「あ、ありがとうございます」
 少年は小さく返事をすると、申し訳なさそうに目を逸らす。その様子に、アスは励ますように言葉を続けた。
「まあ、今回の事件はキャバリアの暴走が引き起こした悲劇に過ぎない」
 一般人にオブリビオンマシンの認識は出来ない。今回の事件も、キャバリアの暴走によるものとして扱われていた。
「そう、ですね……」
「あまり気に病むな。それこそ、悪意に飲まれるからな」
 そう言い、盛り付けられた料理を一口、口に運ぶ。
「あ、いたいた」
 そんな二人に、アリスが駆け寄ってきた。
「無事でよかったね」
 同じように、アリスは少年の無事を喜びながら、席につく。
「あのキャバリア凄かったねえ」
 アリス何の気なしに少年に聞く。情報の妖精は様々なことに興味を持つ。
「それに凄い腕前だったよ」
「いえ、そんな……」
 実際、先の戦いで猟兵達と互角に渡り合うことが出来た多くの要因は、オブリビオンマシンによるものである。
「どんな経緯で乗ることになったの?」
 興味津々なアリスに、少年はゆっくりと口を開いた。
「……僕はこの中継地点で荷物の仕分けを行っているんです」
 この街には、グランドール各地のプラントから、様々な荷物が集まってくる。それを仕分けし、再び各地へ出荷する仕事を少年は担っていたようだ。
「最近はキャバリアの数が多くて、その日も入ってきたキャバリアの仕分けをしていたんですが……」
「そこで、あの黒いキャバリアに乗ってしまったわけか」
 アスの言葉に、少年はこくりと頷いた。
 プラントから出荷されたキャバリアにオブリビオンマシンが混ざっていたのだろうか。なんにせよ、少年は不幸にもこの事件に巻き込まれてしまったのだろう。
「僕は親がいないから、一人で稼がないといけなくて……」
 少し気を許したのか、少年は自分のことを語り始めた。
 アスとアリスは、そんな少年の話をしばらく聞き続けていた。

「……音楽は全くわからん」
 会場に流れる音楽を聴きながら、深は首を捻った。
「いや、これが良いものなのは分かるんが……」
 深は、音楽のどこが良いか等考えたことがなかったということを思い返す。
「それを知る為にも、暫し奏でられる音楽に耳を傾けよう」
「そんな深く考えなくていいと思うけどな」
 深の様子に、介司は酒を飲みながら言う。
「ねえ、あなたも踊らない?」
 ステージの前に出来た広場で、音楽に合わせて踊る参加者の一人が、介司に声をかける。
「いや、さっきの戦いでかなり疲れちまったんだ。踊りは勘弁してくれ」
 介司はそう言って丁重に断りつつ、再び酒をあおる。酒を飲み、美味しい料理をつつきながら、賑やかな様子を楽しむ。それだけでも、十分価値はあると言えよう。
「まぁ、みんな守れて、誰も死ななくて良かった……」
 こうして宴が開かれているという結果こそが、自分が戦い、護った証なのだ。介司はそう実感しつつ、宴会を楽しむのであった。

(「このリズムが心地いいんだろうか」)
 深は曲に耳を傾けながら、じっと彼が感じている『良さ』の正体を探っていた。
(「それとも歌詞や歌声が? いや……」)
 ステージの上に立つ演奏者は、入れ替わり立ち代わりで、その都度違った雰囲気である。
「その全てだろうか」
 深が会場を見渡す。誰もが笑いあっていて、その表情をとても喜ばしいと感じた。
 つまり、会場を包み込む全てが『良さ』を生み出しているのだ、と深は結論付けた。
 ならば。
「……手拍子くらいなら、出来るだろうか」
 周囲の人々が、リズムにあわせて手を叩いている。それを見習うように深も少しずつ手を叩く。
「なるほど。これも結構楽しい」
 周囲の人達と一体になって、世界に一つだけの音楽を作り上げてゆく。その一体感に深は身を委ね、手拍子を続ける。
「物理的な報酬以外にも、良い勉強になったな」
そして、深は想いを馳せる。
「いつでもこんな風に歌って踊れるくらい、この世界も平和になればいいんだがな……」

「美味い料理だった」
 空になった皿を手に、アスが立ち上がる。
「楽しい時間を過ごせたよ」
 アリスが笑顔でその場を離れようとした時、アスはふと思い立ち、少年に向き直る。
「……そうだ、一つ聞きたい。生き別れになった姉と妹を探している」
 少年はアスの問いに、申し訳なさそうに首を振った。
「……すみません、お役に立てず」
「いや、いい」
 わかっていたことだ。手掛かりとなるものも何もないのだから。だが、こうしていくことでいつか巡り合える、とアスは信じ、今度こそその場から歩き出す。
「またね」
 アリスが手を振り、少年はまた一人になる。だが、彼の元にはこの街の仲間達が再び集まってくるだろう。
 そして今度は、平和に、歌を歌い、楽器を演奏するような日々を過ごすことになるはずだ。

「今度はキャラバンの人にも話を聞きにいこっと」
 アリスはるんるんとステップを踏むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アダム・レイン
【SPD】

祭りではドラムを演奏してみる。最初に誰かの演奏を鑑賞し、その後にドラマーと交渉する
「すみません、少しドラムを貸していただけませんか?僕も演奏してみたいです。え?ドラムの経験?ありませんが今、見て覚えたので…」

ついでにエリルが近くにいたら声をかける
「エリルさんも良かったら見ていってくださいね。」

アンサーヒューマンの特徴である【瞬間思考力】と記憶力を利用して前の人の演奏を再現する。決まったらちょっと得意げになる

(戦闘はゲドン・ザウラーがもてはやされるけど、たまには僕が目立ってもいいよね)

「僕の演奏どうでしたか、エリルさん?」

※アドリブ&他の方との絡みOK



 歌と楽器と料理と。キャラバンの無事とオブリビオンマシンに囚われた人々の救出を祝した宴会は、大いに盛り上がっていた。
 その中でも会場の中央に設置されたステージで演奏される様々な楽曲は、人々を大いに楽しませ、笑顔にさせていた。
 そんな中。
「あの、すみません。少しドラムを貸していただけませんか? 僕も演奏してみたいです」
 アダムは演奏の合間、ステージのドラマーの元へと交渉を持ちかけた。
「あぁ、いいが……君はドラム出来るのか?」
「ありませんが今、見て覚えたので……」
「ははは、そうか。実際やると難しいぜ?」
 笑うドラマーからスティックを受け取ったアダムは、ステージの下に立つエリルを見つけて声をかけた。
「エリルさんも良かったら見ていってくださいね」
「えぇ、楽しみにしていますわよ」
 そうエリルに見送られ、アダムは椅子に腰かけた。すぅ、と息を吸い、スティックを振る。
 そして、軽快で身体を震わせるようなリズムが刻まれ始めた。
「……へっ?」
 ドラマーが素っ頓狂な声を上げた。上手い下手ではない。アダムの演奏は、ドラマーが今演奏したものをそっくり再生したようだったからだ。
 これがアンサーヒューマンの瞬間思考力と、記憶力だ。アダムはまさしく今『見て覚えた』動きをそのまま再現しているのだ。
 じゃん……とシンバルの派手な音で演奏を終え、アダムが顔を上げると、ドラマーはもちろん、多くの観客が目を丸くしてアダムを見つめていた。
 少しの間の後、会場中からわっと歓声が上がり、アダムは少し得意げに胸を張った。
「おぉおっ、君、本当に初心者かい!?」
 ドラマーがアダムに駆け寄る。彼だけじゃない、次の演奏を控えていた演奏者等、色々な人が突然現れた期待のルーキーをよく知ろうと、たちまちアダムの周囲には人だかりができてしまう。
「あれが見様見真似だなんて、こりゃ磨けば光るぞ!」
 そんな風に言いながら、勧誘だったり、腕前の評価だったり様々だ。
 そして、ひとしきり演奏者達とのやりとりを終えてアダムがステージから降りると、そこで手を叩くエリルを見やった。
「僕の演奏どうでしたか、エリルさん?」
「ふふ、なかなかでしたわよっ!」
 笑顔で返すエリル。あまりこういう場に慣れていないせいか、少し興奮気味で、音楽に合わせて常に小刻みに揺れている。
「なぁなぁ、少年、凄かったじゃないか!」
 そんな二人に、今度は演奏を聞いた客からの質問攻めだ。
(「戦闘はゲドン・ザウラーがもてはやされるけど、たまには僕が目立ってもいいよね」)
 そう思いつつ、アダムはこの宴会を楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオ・ブリューネ
【特務一課】待機、りょーかい。みんなお疲れさまー。

…さてと、護衛対象の人たちパーティしてくれるらしいけど
その前にやること済ませてからじゃないと素直に楽しめなそうっすから
「殿下」、戦闘ログの数値化と記憶媒体への出力頼むっす
成果提示用の報告書にしないといけないっすから
や、お説教とかいいんで……観測の処理落ちのことは反省してるっす
ええと、ここをこう……よっし、これで報告は大丈夫そうっすね。
それじゃ、ちょっと行ってくるっす

(機体から降りてきて背伸びをする)
んー…っと、
さて、やることやったし自由時間だー!
わ、グウェンドリンさんありがとうっ、食べたらあたしも見に行ってみようかな?


初月・夕
【特務一課】
音楽の街の宴会、か
…先輩なら願ってもないぜ…だなんて張り切って混ざってっちゃうんだろうなぁ、ちゃっかり自前のギター持込んでたり
(なんてふと首に掛けた『形見の』ギターピック見遣り)

えっちょっ陽…何…?(幼馴染に発破掛けられ)
でも私流石に楽器とか持って来てな…借りられる!?(※街の人に借すぞ的な事言われる体)

ああもぉ…分かった、覚悟決めた
そうね、いつまでも一人で練習だけしても意味はない…か
陽、煽ったからにはあんたも聴きなさいよ?

アコースティックギターを借り…ピックは自前で宴会へ飛入りし演奏披露
落ち着いたバラード調の曲…参加者や陽達だけじゃなく、もうここにいない『誰か』にも届くかのように


グウェンドリン・グレンジャー
【特務一課】
待機モード、了解
黒玉姫ー、おとなしく、してるんだよー
(機体から降りながら、機体の頭のあたりまでふよふよ浮かんで彼女の頭を撫でる)

クロムキャバリア……の、街、うろうろするの、初めて、かも
んー……ご当地グルメ、とか、ある、かな?
あのー、お肉、とか、お魚……の、料理、名物、ある?
(ちゃっかりがっつり食べてしまう。もぐもぐ)

んー、仲間、あっちで、待ってる、から、タッパーで、貰って、良い?
四人で、シェアする、から、なんか色々、詰めてー
(ちゃっかりと自分の分も貰っていく。はらぺこ)

おーい、美味しそうなもの、貰って、きたー
みんな、食べよー
(貰ってきたお箸と紙皿を配る)

(演奏を聴きながら目を閉じ)


天城原・陽
【特務一課】
(町に到着次第、赤雷号を待機モードにして各機通信)
各機、待機モードへ移行。山場は越えたって所かしら
あとは好きにしていいわよ。一旦お疲れ様
私は…歌って踊ってとかあんま柄じゃないのでパス。テキトーに町を観て回るわ
(見て回ってから赤雷号の足元で携帯食料とか貰った食べ物を食べつつ、喧噪を横目に)
ウイの奴、大丈夫かしら
(音楽とか楽器とかそういうのにちょっとした因縁がある幼馴染を心配しつつ…)
ま、あんまウジウジしてるようならケツでも引っ叩くか
ほらウイ、折角だし弾いたら?

(演奏する幼馴染に少し安堵したように)
…何よ、結構弾けんじゃないの
(良かった…と目を閉じて幼馴染の演奏に耳を傾ける)



●しばしの休息へ
「各機、待機モードへ移行。山場は越えたって所かしら」
 陽が通達する。キャラバンと共に街へと到着した特務一課の面々は、指定されたスペースにキャバリアを止めると、それぞれ機体をアイドリングさせ始めた。
「山場は越えたって所かしら。あとは好きにしていいわよ。一旦お疲れ様」
「待機、りょーかい。みんなお疲れさまー」
「待機モード、了解」
 陽の言葉に、ティオ、グウェンドリンが返す。
 こうして、ようやく特務一課の仕事は終わりを告げようとしていた。

「黒玉姫ー、おとなしく、してるんだよー」
 グウェンドリンはコックピットから顔を出すと、そのまま浮かび上がり、黒玉姫の頭を撫でる。
 その上空から、グウェンドリンは陽と夕の姿を見つけると、キョロキョロと辺りを見渡した。
「あれー、ティオはー?」
 グウェンドリンの問いに、陽はティオのフェラスティアを指さした。
 フェラスティアのコックピット内では、ティオが様々なデータの整理を行っているようだった。
「護衛対象の人たちパーティしてくれるらしいけど、その前にやること済ませてからじゃないと素直に楽しめなそうっすから……」
 そう思い、ティオはフェラスティアのAIへと指示を出した。
「『殿下』、戦闘ログの数値化と記憶媒体への出力頼むっす」
 その言葉に応じて、フェラスティアのAIはこれまでの戦闘データを変換してゆく。
 そうして上がってきたデータを成果提示用の報告書へと書き換える。
「や、お説教とかいいんで……観測の処理落ちのことは反省してるっす……えぇと……」
 AIとそんなやりとりをしながら、ティオは作業を続けるのであった。

「ま、私達は先にいってましょ」
 陽の言葉にグウェンドリンがこくりと頷いた。
「クロムキャバリア……の、街、うろうろするの、初めて、かも」
 あまり顔には出ていないが、うきうきとした様子でグウェンドリンを先頭に、3人は町へと歩き出した。

●音楽溢れる宴会へ
 猟兵達をもてなす宴会場は、既に賑わいを見せていた。
 ステージでは様々なバンドの演奏や歌手によるライブ等が入れ替わり立ち代わりで行われており、それぞれが違った雰囲気の音楽で観客を楽しませていた。
 ステージの下では、音楽に合わせて観客達がダンスを踊っており、活気と熱気に満ち溢れた会場に、グウェンドリンはほぅと息をついた。
「わー、凄い、ね。陽は、どうする?」
「私は……歌って踊ってとかあんま柄じゃないのでパス。テキトーに町を観て回るわ」
 そう言って、陽は料理が振る舞われる屋台などへと向かってゆく。
「あ、私も、うろうろする。クロムキャバリア……の、街、うろうろするの、初めて、かも」
 グウェンドリンはそういえば、という風で街をキョロキョロ眺める。けれど、やっぱり気になるのは。
「んー……ご当地グルメ、とか、ある、かな?」
 はらぺこなグウェンドリンは、並べられた料理の数々に興味津々だ。
 そんなわけで、思い思いに街へと歩き出す二人。その二人の脇で、ステージをぼっと見つめる夕の浮かない顔を、陽は見逃さなかった。
「……」

「あのー、お肉、とか、お魚……の、料理、名物、ある?」
 グウェンドリンが訪ねると、おかみさん風の女性が笑って皿を差し出した。
「いらっしゃい、それならこの魚のパイ包みはどうだい」
「わ……っ」
 切り分けられたパイを受け取るや、グウェンドリンはそれをぱくりと一口。さっくりしたパイ生地、間に挟まるほろりと柔らかい魚のさっぱりした味わいと、そこに濃厚なソースが絡まって、いくらでも食べれてしまいそうだ。
 グウェンドリンは皿に盛られたパイをぺろりと平らげると、おかわりを求めて皿を差し出した。
 おかみさんは笑ってパイを乗せてやると、並べられた料理をいくつもグウェンドリンに紹介してゆく。
 串焼き、小籠包のような蒸し料理……。
「牛肉のスープもあるよ」
 器によそえば、濃い色合いのスープにころりとした肉厚の牛肉が浮いている。それを受け取りながら、宴会用に並べられた料理にも目移りしてしまう。
 そこでぴんと思い立ったグウェンドリンは、おかみさんに尋ねる。
「仲間、あっちで、待ってる、から、タッパーで、貰って、良い?」
 宴会場の外、キャバリアの下に集まる仲間達の為にという、グウェンドリンの計らいだ。
「四人で、シェアする、から、なんか色々、詰めてー」
「あぁ、ちょっと待ってなよ」
 そう言うとおかみさんは保存容器を出し、料理を色々と詰め始めた。

「よっし、これで報告は大丈夫そうっすね」
 ティオは報告書を見返すと、うんうんと頷いた。
「それじゃ、ちょっと行ってくるっす」
 コックピットのハッチを開けて、ティオが機体から降り立つ。
「んーっ……と」
 ティオは大きくぐぅっと背伸びをする。
「さぁ、やることやったし自由時間だー!」
 解放感に満ちた顔で叫んだティオ。その時、会場からグウェンドリンが駆け寄ってきた。
「おーい、美味しそうなもの、貰って、きたー」
 いくつにも重ねられたタッパーを抱えて、用意されていたテーブルの上に仲間達の前に並べ始める。
「わ、グウェンドリンさんありがとうっ」
 ティオはずらりと並べられた料理にぱぁっと顔を明るくし、受け取った紙皿に料理を盛り付け始める。
「食べたらあたしも見に行ってみようかな?」
 そう言って盛り上がる会場を見つめ、ティオは料理を頬張った。

 そんな二人の前に戻ってきた陽は、グウェンドリンから受け取った料理や自前の携帯食料を口にしながら、宴会場の様子を眺めていた。
(「ウイの奴、大丈夫かしら)」
 その視線の先に、仲間の姿を捉える。一人佇む夕であった。

(「音楽の街の宴会、か」)
 夕はステージを眺めながら、かつていた人物を思い出していた。
(「先輩なら『願ってもないぜ』……だなんて張り切って混ざってっちゃうんだろうなぁ。ちゃっかり自前のギター持ち込んでたり」)
 そう思い、ふと首元に下げたギターピックを見下ろした。
 照明にきらりと反射する、三日月があしらわれたギターピック。それを手に取ると、様々なことが思い浮かんでくる。
 音楽、楽器。夕にとっては、因縁のある手合いなのだ。
 だからこそ、それを知る陽は歩み寄り、ぽんと背中を叩く。
「ほらウイ」
 背中を突然叩かれて、夕は狼狽しながら振り返る。そこには、事情を知る幼馴染の顔。
「えっ、ちょっ、陽……何?」
「折角だし弾いたら?」
 にやりと笑って言う陽に、夕は戸惑いを隠せずにいた。
「でも私流石に楽器とか持って来てな……」
 そんなやりとりをしているところで、町の人が首を突っ込んでくる。
「借してあげるよ」
「借りられる!?」
 愕然とする夕に、陽が小突く。
「ほら、ウイ」
「……」
 ギターを手渡され、目が泳ぐ夕。どうするべきか、どうしたいのか、ごちゃごちゃと考えが纏まらずに立ち尽くしてしまう。
 もう一度、幼馴染である陽の顔を見返した。
(「そうね、いつまでも一人で練習だけしても意味は無い……か」)
 ぐぐっと拳に力を込めて、夕は口を開く。
「……ああもぉ、分かった。覚悟決めた」
 アコースティックギターを借りた夕はベルトを肩にかけ、陽へと向き直る。
「陽、煽ったからにはあんたも聴きなさいよ?」
「当たり前でしょ」
 そう言う陽に見送られながら、夕はステージへと歩き出す。
「……」
 ステージに立った夕に注目が集まった。
 賑やかな宴会場が、一瞬静まり返る。
 そして、三日月のピックを手に、ポロン、と弦を鳴らし始める。

 ――……♪

 おぉ、と感嘆の息が漏れた。
 静かで、少したどたどしくもはっきりとした音色に、会場内が包まれる。
 聞こえてくる音に、グウェンドリンは静かに目を閉じた。夕の演奏に食べる手を止め、聞き入っているようだ。
「……何よ、結構弾けんじゃないの」
 安堵した様子で陽も瞳を閉じる。
 夕の音色は、静かに響き続ける。参加者や陽達だけじゃない……もうここにいない『誰か』へと届けと願いを籠めて――。

 こうしてキャラバンの護衛、そしてオブリビオンマシンパイロットの救出劇は幕を閉じた。
 この事件は死者が出なかったということもあってか、輸送中のキャバリアの暴走ということで片付けられた。
 しかし、グランドールとルベレアの二国の中で潜むオブリビオンマシンは、未だにこの二国を混乱に陥れようとするだろう。
 しかし、その度に猟兵達は現れる。オブリビオンマシンによる悲劇を止める為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月05日
宿敵 『ジャック・ザ・スラッシャー』 を撃破!


挿絵イラスト