カクリヨ Be Cute!
●妖怪だって可愛くあれ
「酒も料理も極上! 最高の祭りだなぁ!」
恰幅の良い一つ目の妖怪が、赤らんだ顔で酒瓶を振るう。
ここは、突如としてカクリヨファンタズムに現れた宴会場。
集まった妖怪たちは皆、祭りの主催から提供された料理と酒を楽しんでいる。
「がはは、もっと飲めや騒げや!」
角の生えた妖怪も豪快に笑うと、大きな口で肉を貪った。
不思議なこともあるものだと首を捻りつつも、妖怪たちは宴会の空気に流されている。
気付けば、20を超える妖怪がこの場に集っていた。
皆、宴会好きの妖怪だ。
男気溢れるといえば聞こえは良いが、中年の妖怪ばかりが集まって、むさ苦しい空気になっていた。
少し離れた場所から、その様子を覗く影がひとつ────。
「うふ、ふふふ、獲物が集まってきたね。さぁーて、私がみんな可愛くしてあげる」
姿を隠したまま、両手で印を結ぶ影。
途端に、妖怪たちが豪気に騒ぐ宴会場に妖気が満ちていく。
すっかり顔を赤くした妖怪たちは、気付かないまま妖気に飲まれていった。
「えへへ、お酒美味しいですぅ~」
宴会場から聞こえる、少女のような甘い声。
先程までは、中年の男妖怪しかいなかったはずだ。
近くにいた鬼が、酒でのぼせた頭で尋ねる。
「ねえねえ、さっきまでそこにおじさんがいなかった?」
先程まで無かった髪を押さえて、首を傾げた。
酔っていなければ、すぐに自身の異変にも気付いただろう。
鬼たちは、自身が女の子になっていることに気付かなかった────。
「ほぇ……おかしいですねぇ、女の子なんて居なかったと思うんですけどぉ」
尋ねられた妖怪は、ぺたんと座ったまま酒瓶で口元を隠してはにかんだ。
────その上、さっきまで中年男妖怪だったとは思えないほど口調や仕草まで可愛くなっているのだ。
ほくそ笑むのは、近くに隠れていた影だ。
「ちゃんと可愛くなれたみたい。あとはそのまま、封じてあげるから」
大きな巻物を開いて、すっかり可愛くなった妖怪たちへと襲いかかるのだった。
●猟兵だって可愛く!?
「そんなわけで、事件なんだって」
集まった猟兵たちへと、如月・優那(あなたに見せたくて・f07061)は笑いかける。
「場所はカクリヨファンタズム。妖怪さんたちがたくさん住んでいるところだね」
標的になったのはオブリビオンの主催する宴会にやってきた妖怪たちだ。
彼らはただの酒好き・祭好きの妖怪で、宴会と聞いて集まってしまった。
「この妖怪たちがなんと、可愛い女の子になっちゃうんだって」
荒唐無稽な話ではあるが、カクリヨファンタズムでは不思議なことはたくさん起こる。
妖怪の性別が突然変わるくらいあるだろう。
問題はもう一つ、会場に満たされている妖気の方だ。
この妖気に包まれている者は、可愛い言動を強制される。
本人の意識に関わらず、言葉ひとつ、行動ひとつ、全てが少女的で可愛らしいものへと変換されてしまうのだ。
「あはは、こういう妖気だったら俺は好きだよ。けどまあ、放置するわけにもいかないから」
最初は、妖気はそれほど強力ではない。
猟兵であれば耐えられないことはないだろう。
だが、時間が経つにつれて妖気は濃くなり、いずれは猟兵たちにも影響が出る。
主催者やその手のものがやってくる頃には────。
「それじゃあ、いってらっしゃい。笑顔で帰ってきてね」
るーで
●ご挨拶
ごきげんよう、るーでです。
カクリヨでちょっとコメディテイストなもの書きたいなと思っていたところ楽しそうなシナリオフレームを見つけたのでオープニングを出してみました。
●概要
(一章)
⛺冒険です。
宴会が開かれています。
会場に立ち込める妖気により、妖怪たちは「少女のような可愛い言動」をしてしまいます。
猟兵たちは妖気に抵抗したり、思いがけない言動をしてしまって困惑したりしてもいいですし、妖怪たちが可愛い言動をしてしまっていることへのフォローに回っても構いません。
偶然にも会場の妖怪たちは全員が女の子になってしまう事件が発生していますので見た目は可愛いです。
安心(?)してください。
(二章)
👾集団戦です。
妖気もより一層強烈となり、猟兵でも大きく行動を阻害されます。
こうなってしまっては、可愛い言動をしたまま戦った方が有利になります。
誤魔化しながら戦っても良いかもしれませんが媚びっ媚びなポーズを無意識に取ったりします。
(三章)
👿ボス戦です。
二章同様、立ち込める妖気によって猟兵たちは可愛い言動を強要されます。
抵抗しても面白いかもしれませんが何が何でも可愛く戦わせます。
倒せば妖怪女体化事件もついでに解決します。
第1章 冒険
『一瞬女の子だった』
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POW : 手当たり次第に心当たりを探す
SPD : 聞き込みなどして原因を探る
WIZ : いっそ楽しんじゃう
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アニエス・アルカンシェル
◎(SPD)
キャバリアではなくこうして生身で任地に赴くのはなかなか新鮮ですね。
とはいえ、実質的にはこれが猟兵としての初仕事。卒なくこなしてみせましょう。
「少女のような可愛い言動」になる妖気とは面妖ですが、そもそも女である私には影響ないでしょう。
さあ、早速聞き込みと行きましょうか。
「ねぇねぇ、そこのキミ☆ あーちゃんにちょっとお話聞かせてほしいなぁ☆ 可愛くなっちゃった原因に心当たり、あるかなぁ?」
……以降、斬撃天使あーちゃんという異名(?)に相応しい可愛らしい言動しかできないわ、身体は勝手に媚び媚びでキャピキャピなポーズを取るわで黒歴史を大量生産することになるアニエスなのであった。
●斬撃天使あーちゃん、登場☆
(キャバリアではなく、こうして生身で任地に赴くのはなかなか新鮮ですね)
銀髪を風になびかせて、宴会の行われているという場所に向かうアニエス・アルカンシェル(虹のアニエス・f31989)。
猟兵としての仕事も、鉄錆と硝煙の香りのしない戦場も、これが初めてだ。
(少女のような可愛い言動になる妖気とは面妖ですが……)
事前に聞いていた事件のあらまし。
大人の男がそんな言動を強制されては大変だろうが、女であるアニエスにとっては、それほど影響の無いものだと考えられる。
早速酒の匂いと祭囃子に包まれる会場に入り、アニエスは早速情報収集をすることにした。
幸いにも、近くには酒を呷る妖怪たちがいる。
ちょこんと座り込んで可愛らしく飲んでいるところを見るに、おそらく妖気の影響を多大に受けているのだろう。
(元は男の妖怪だと聞いていますが……なるほど、このようになるのですね)
妖気の効果は、一目瞭然だ。
(ですが私なら────)
単純に要件だけを話せば済むはず。
そう考えて、アニエスは口を開いた。
「ねぇねぇ、そこのキミ☆ あーちゃんにちょっとお話聞かせてほしいなぁ☆ 可愛くなっちゃった原因に心当たり、あるかなぁ?」
座り込んで酒を飲む妖怪たちへと合わせるように、前かがみになって横ピースをしながら声をかける。
(…………!?!?)
一瞬、何が起きたのか理解できなかった。
アニエスはただ、この妖気に心当たりがないかいつもどおりの口調で尋ねようとしただけだ。
にもかかわらず、口からは頭で考えていた言葉ではないものが出て、身体は無意識に普段しないような動きをする。
「わたし、斬撃天使あーちゃんっ! みんなの悩み、あーちゃんが解決しちゃうねっ☆」
次いで出た言葉も、やはり普段のアニエスからは到底出えないものだった。
「えぇーっとぉ、最初に変な感じがしたのはあっちかなぁ」
そう言って酒を飲んでいたふたりは、一つの方向を指す。
背の低い木が何本も生えていて、視界の悪そうな森がある方角だ。
なにはともあれ、必要な情報は得られたのだから、あとは穏便に去るだけ────。
「わーい☆ あーちゃんうれしいっ!」
きゅるるんと身体を捻って、両手を顎の下で軽く握って片足を上げるアニエス。
ウインクまで付けて見事なぶりっ子ポーズである。
たとえ何もしようとしていなくても、頭のてっぺんから指先に至るまで全ての動きが、きちんと考えたはずの口から出る全ての言葉が、アニエスの意志に反して過剰に愛くるしいものになるのだ。
(…………ぁぁぁあああ誰か私を殺して!!!)
身体はどこまでも勝手に動いて、可愛さを振りまいてしまう。
アニエスは自分の心がどんどん死んでいくのを感じていた。
大成功
🔵🔵🔵
アルゼブ・アズモリィ
◎
【POW】
デビルキングを志す者、事件とあらば世界も越えるぜ!
オレの名を轟かせるチャンスだ!
って、こんなカワイイ女の子が妖怪!?
妖気ってもんに当てられたらこうなっちまうのか!?
『このような可愛気のある者が主であってほしかったものだ』
うるせえ!
誰かの仕業なら、何か痕跡が残ってるはず。
地面や壁に何か手がかりがないか《情報収集》、
光の届かないような物陰も《暗視》でよく観察だ。
小さい物でもいいから見つかりゃいいけど……
『そういえば……貴様自身は妖気を物ともせんのだな』
へへん! オレは悪魔だし平気平気!
妖怪たちにイイとこ見せるためにも、このまま悪カッコよく解決しちゃうんだから!
あれ?
*『』は喋る武器の声
●デビルキングだって可愛く
「オレの名を轟かせるチャンスだ!」
デビルキングワールドからやってきた角の悪魔、アルゼブ・アズモリィ(玉座を見据えし悪魔・f31513)は気合を入れて肩をぐるんと回す。
別世界でも功績をあげれば、きっとデビルキングへの近道になる。
そんなことを考えながら、アルゼブは宴会場へとやってきた。
宴会と聞いて、想像していたのは中年親父たちが騒いでいる様子だった。
だがそこに着いてみれば、お酒を飲んでいるのは可憐な女の子たち。
お酒を飲んで上機嫌そうに笑っている。
「って、こんなカワイイ女の子が妖怪!? 妖気ってもんに当てられたらこうなっちまうのか!?」
デビルキングワールドでも不思議なことは起こるが、こんな奇天烈なことは初めてだ。
『このような可愛気のある者が主であってほしかったものだ』
そんな持ち主の驚愕をからかうように、喋る魔剣が笑う。
デビルキングを目指すアルゼブにとって相応しい力とデザインを持つ武器だが、態度が悪いのが玉に瑕だ。
「うるせえ!」
柄を指先で小突いて、アルゼブは鼻から大きく息を吐いた。
『そういえば……貴様自身は妖気を物ともせんのだな』
「へへん! オレは悪魔だし平気平気! 妖怪たちにイイとこ見せるためにも、このまま悪カッコよく解決しちゃうんだから!」
胸の前で両手をぐっと握り、内股気味になるアルゼブ。
実に可愛らしいポーズだ。
『……』
「あれ?」
アルゼブが口元に人差し指を当てて首を傾げる。
それから、自分が何をしているのか急速に自覚した。
「ち、違うの、そんなつもりじゃなくて」
顔を赤くして、潤んだ瞳で剣を見つめる。
誤魔化そうとする言葉も仕草も、全てが自分の思い通りにはならない。
(なんだこれ、コエー!!)
こんな微妙なことを強制されても、別に弱くなるわけではない。
ただかっこいい行動が取れないというだけだ。
そんな奇妙な術に、アルゼブは言いようもない恐怖を感じた。
デビルキングダムでは体験したことのないものだ。
『主が可愛いものであってほしかったとは願ったが、主が可愛くなるのは想定外であったな』
皮肉屋な相棒の大きなため息が聞こえた気がした。
大成功
🔵🔵🔵
霧生・柊冬
◎
妖怪達の宴会、かぁ
こうしてお祭り事に足を運べるなんて思わなかったけど…なんだか思っていた以上に可愛らしい空気が流れてるというか
もっとこう、おどろおどろしいものかと思ってたけど、そうでもないのかな…?
周りを見渡すとすでに周囲には酔いに酔った妖怪の少女達に囲まれていて…
大丈夫かな?あまり飲み過ぎてはいけませんよ、と少し心配気味にフォローに回ってみよう
…此処の特有の空気のせいか、妙に甘ったるい香りがしてクラクラする…これが妖気ってものなのかな?
倒れこんでる少女を少し寝かせてあげると、妙に色っぽい視線が…
ちょ、一体何を…!その後の行動は慌てて止めたけど、あれ以上は危なかった気がする…!
●危機一髪
(妖怪達の宴会、かぁ)
並べられた酒と料理を見渡しながら、霧生・柊冬(frail・f04111)は会場を歩いていく。
ここに集まった妖怪たちは元々酒好き祭り好きの明るい者たちばかりだ。
(もっとこう、おどろおどろしいものかと思ってたけど、そうでもないのかな……?)
可愛らしくなっても変わらない妖怪たちの明るい笑い声は、柊冬の抱いていた偏見を覆すには十分なものだった。
そうして見て回るうちに、柊冬の視界に入ったのは、酒瓶片手に倒れ伏している妖怪だ。
すっかり酔っているようで顔が赤く、身体を丸めるようにして時折うめき声をあげる。
「あの、あまり飲み過ぎてはいけませんよ」
心配になった柊冬が近寄り、膝を枕代わりにして仰向けに寝かせた。
おそらく元は男妖怪だったであろう、可愛らしい女妖怪だ。
スタイルが良く、酔っていてもフェミニンな雰囲気が溢れ出ている。
するとどこからか、ふわりと漂う香り。
(妙に甘ったるい香りがしてクラクラする……これが妖気ってものなのかな?)
弱い強制力のようなものを感じた。
なるほど普通の妖怪であれば、これによって行動を制限されてしまうのだろう。
柊冬がそう考えていると、膝の上で唸っていた妖怪が目を開けた。
「あはぁ、きみ、可愛いねぇ。……食べちゃいたいくらいにぃ」
そう言いながら、妖怪は身体を起こしながら柊冬へと手を伸ばす。
突然身体を触れられた柊冬は、一瞬身体が固まってしまった。
この女妖怪も、中身は良い年齢の男妖怪だ。
中性的で線の細い柊冬を見て、女の子だと思ったのだろう。
言葉自体は女性らしくなっているが、その欲望は元の男性そのものである。
動かない柊冬の髪を撫で、頬を通り、やがて服の下へと潜り込んで柊冬の胸元へ────。
「ちょ、一体何を……!」
そこまできて、脳の危険信号をようやく身体が受け取った。
妖怪の手から逃れるように慌てて立ち上がる柊冬。
それだけ動けるなら、介抱はもう十分だろう。
襟元を直しながら、その場を離れる。
「あ、あれ以上は危なかった気がする……!」
真っ赤になった頬を両手で抑えて、柊冬は女性の指で身体を触られる感触を頭の中で何度も反芻した。
大成功
🔵🔵🔵
木常野・都月
え。
オス…じゃない、男の俺も可愛くなるのか?
まあ、発情期の狐って訳じゃない…はずだ。
可愛くなる程度なら、まぁ…うん…はい。
お、俺が男でも女でも、仕事は仕事だ。
ちゃんと働こう。
というか、この場にいる女の子達、実は男って事だよな?
普通に…というか、割と…可愛いな?
俺も可愛く…見られているんだろうか?
いや、そんな訳ない。
俺はどこからみてもオスの狐!オスの妖狐だ!
可愛く…見えるなんて…ないよな?
どこか鏡、姿が見えるもの!
……あれ?あんまり変わってないような?
でも、どこかいつもと違うような。(顔むにむに)
(顔むにむに)
(尻尾ぶんぶん)
(くるくる回ってみる)
違和感があるのに、違和感がない。
これが妖気の力?
●なってますよ、仕草とか
(え。オス……じゃない、男の俺も可愛くなるのか?)
妖気の充満する宴会場で、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は辺りを見渡した。
酒好きの妖怪たちが集まっていたこの場も、いまや可愛らしい女の子たちが楽しそうに遊ぶ花園だ。
妖気にあてられれば、自分も彼ら(彼女ら?)のような行動を取ってしまうという不安が、都月の頭をよぎる。
思わず両手で頬を覆う。
しばし考えてから、耳をぺたりと寝かして、大きく息を吐いた。
(可愛くなる程度なら、まぁ……うん……はい)
それに、妖怪たちとは違って女の子になってしまうわけではないのだから。
大切なのは、諦めだ。
それから改めて、状況を確認するために辺りに視線を送る。
猟兵と思しき人々と、妖怪の女の子が十数人。
宴会というよりは女子会のような華やかな印象を受ける。
(というか、この場にいる女の子達、実は男って事だよな?)
オブリビオンの術により、妖怪たちはその姿を少女のものへと変えられてしまった。
当人たちは酒に夢中で気付いてはいないようではあるが────。
(普通に……というか、割りと……可愛いな?)
都月の目に入る妖怪たちは皆、鈴を転がしたように笑い、その指の動きひとつひとつが繊細だ。
宴会という場にも関わらず、可愛さのレベルが高いと言えるだろう。
(俺も可愛く……見られているんだろうか?)
可愛くなっているのが妖気の効果であるなら、都月にも影響が出ている可能性がある。
口元に指を当てて、都月が首を傾げた。
(いや、そんな訳ない。俺はどこから見てもオスの狐! オスの妖狐だ!)
自分にそう言い聞かせるが、それでも不安は拭えないようで。
(可愛く……見えるなんて……ないよな?)
慌てて自分の姿を確認できるものを探す都月。
真上の月を綺麗に写す静かな水面を見つけると、自分の顔を覗き込んだ。
(……あれ? あんまり変わってないような?)
そこにあったのは、中性的で柔和そうないつもどおりの都月の顔だ。
(でも、どこかいつもと違うような)
自分の頬を指で押してみるが、分かるようで、分からない。
違和感があるのに、違和感がない。
それは元々都月が可愛いからであることに、気付かなかったのは本人だった。
大成功
🔵🔵🔵
雨宮・いつき
◎
おじさんが女の子に
これはもしや噂に聞くバ美肉というものなのでは?
真相を確かめるべく、僕は宴会会場の奥地へと赴くのでした…
そもそも現実に起こってるからばぁちゃるでは無いですよね
え、どういうつもりでこんな事したんです今回の首謀者…?
とりあえず【破魔】の【結界術】で少しでも妖気の中和を試みたいところですが…
…何か周りの妖怪達から凄い勢いで宴会へのお誘いが
中身がおじさんだと分かってても、可愛らしい見た目の女の子に悪意無く距離感ゼロで来られたらさすがに恥ずかしいですよ…!
い、今お勤め中なのでお誘いは後で…あっあっ近い近い顔が近い
ホントそういうのダメですってばぁ!
何かが歪んでしまう前に分身を囮に退避!!
●おじさん的にはオールオッケー
(おじさんが女の子に。これはもしや噂に聞くバ美肉というものなのでは? 真相を確かめるべく、僕は宴会会場の奥地へと赴くのでした…)
そんなモノローグ共に、雨宮・いつき(憶の守り人・f04568)は宴会場へとやってきた。
始まってから随分と経っているようで、会場の妖怪たちはすっかり酔いが回っているようだ。
至るところで、女妖怪が酔っ払って可愛らしく笑っている。
(え、どういうつもりでこんな事したんです、今回の首謀者……?)
何も知らずに見れば、酒池肉林とも言えるこの状況。
だがどれだけ可愛い外見や仕草をしていても、あくまで中身はおじさんなのである。
ひとまず結界術で妖気を中和しようと、いつきは破魔札を取り出す。
これで状況が良くなればと、宴会場の四方に貼り付けていった。
「あれぇ、なにしてるんですかぁ?」
突然、袖を引かれるいつき。
そちらに目を向けると、酒に酔った女の子が、潤んだ瞳で見上げていた。
「なになに、新しい子? 一緒に飲みましょ?」
それを皮切りにして、酔っ払った女妖怪たちがいつきの元へ集まってくる。
「い、今お勤め中なのでお誘いは後で……」
一瞬、クラっとした。
お酒の香りか、それとも女の子の香りだったのだろうか。
それでも呑まれるわけにはいかないいつきは、誘いを固辞する。
「ほらぁ、緊張しないで? 男の子同士なんだからぁ」
だが酔っぱらいたちは強引にいつきの腕を引っ張った。
酔っぱらい集団に引き込まれたいつきは、すっかり女体に包み込まれてしまった。
(あっあっ近い近い顔が近い! 胸が当たってる……っていうか男同士!!)
顔は可愛らしく、身体も女性らしく柔らかくて、ちょっとした仕草も蠱惑的な女妖怪ではあるが……中身はおじさんである!
いつきの服の中に手が伸びているのは……おじさんか!?
「ホントそういうのダメですってばぁ!」
女体をかき分けて逃げ出し、残念そうに声を上げる妖怪たちから離れていく。
(お、女の子の姿をしたおじさんに穢されてしまうところでした……!)
涙目で服装の乱れを正すいつき。
その仕草がとても可愛らしいものだったのは、妖気のせいかはたまた。
大成功
🔵🔵🔵
メルト・プティング
大好きなお友達のベアータさん(f05212)と!
カワイイ化とのことですが、まぁボクは元々チョー☆カワイイJKなので?
更に可愛くなってしまう可能性はありますがそんなことより!
今回一番の目的は、普段カワイイに抵抗のあるベアータさんが妖気でうっかり可愛くなってしまう展開をこのビデオカメラで記録すること!
え?依頼?いや…まぁ、それはそれということで…
と、言ってる間にベアータさんの言動の端々にカワイイ化の気配が!
これはもう記録するしか!
妖怪さん達への注意はテキトーに済ませて、もう全力で撮影開始
きゃー☆ベアータさんそのポーズ、カワイイです!!
って、ほぁー!大事な、大事な記録の入ったカメラ没収しないでー!!
ベアータ・ベルトット
※クールぶったツンデレ→天真爛漫な元気っ娘モードに
親友のメルト(f00394)と
何なの?このイヤーな感じの空気は…メルトは平気?
って…気のせいかしら。アンタ、やけに楽しそうね?
ところであの宴会、明らかに未成年っぽい娘も混じってるじゃない
注意しにいくわよ!
ちょっとそこのアンタ!……そのお酒、美味しいの?(首こてん)
私にもちょっと飲ませて!
…ッ!!?な、何言ってんのよ私
ち、違うのよメルト!今のは口が勝手に…って何?
内股…?顎に手…?……うがあ!何よこのあざといポーズ!!完全に無意識だったわ!
ちょっ、メルトアンタ…何撮ってんのよ
ピース!…じゃなくて消しなさいよ!カメラ渡しなさいッ!!(容赦なく没収)
●照れ多め可愛さマシマシで
「何なの? このイヤーな感じの空気は…メルトは平気?」
宴会場の近くまでやってきたベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)は、本能で感じ取っていた。
会場に満ちる妖気と、近くの誰かから発せられる邪な欲望を。
隣の親友へとちらりと視線を送るが、ウキウキしている様子こそあれ、イヤーな感じの空気に気付いた様子はない。
「って……気のせいかしら。アンタ、やけに楽しそうね?」
「いえいえいえいえそんなことは!」
両手をぶんぶんと大袈裟に振って誤魔化すメルト・プティング(夢見る電脳タール・f00394)。
元々可愛いを地で行くメルトにとって、この妖気はとくに影響のないものだ。
そんなことより、彼女の心は事件のあらましを聞いたときから決まっていた。
(今回一番の目的は、普段カワイイに抵抗のあるベアータさんが妖気でうっかり可愛くなってしまう展開をこのビデオカメラで記録すること!)
画質設定ヨシ、バッテリーヨシ、容量……ヨシ!
メルトはベアータから見えない角度で、ぐっと拳を握った。
会場の中へとたどり着いたふたり。
すでにずいぶんと盛り上がっているようで、酔って笑っている妖怪たちばかりだ。
だがここにいる妖怪は女、女、女。
皆、女妖怪だ。
妙齢の女性の姿をした妖怪から、少女のような姿の妖怪まで、みんな女性なのだ。
「明らかに未成年っぽい娘も混じってるじゃない。注意しにいくわよ!」
「ああベアータさん、見た目はあれでも中身はおじさんで……」
メルトが制止するよりも早く、ベアータは少女の方へと進んでしまった。
「ちょっとそこのアンタ! ……そのお酒、美味しいの? 私にもちょっと飲ませて欲しいなあ」
口元に人差し指を当てて、こてんと首を傾げた。
一瞬遅れて、自分の口から出た言葉が、身体のとっている行動が、頭で考えていたものとは全く違うことに気付く。
(…ッ!!? な、何言ってんのよ私)
「おお!」
ベアータの可愛い姿を撮影しようと、メルトのカメラのレンズが光る。
「ち、違うのよメルト! 今のは口が勝手に……」
釈明しようとしたベアータが、メルトの方を向き直る。
内股で少し屈み、顎の前で軽く握った両手。
見事なぶりっ子ポーズだ。
「きゃー☆ ベアータさんそのポーズ、カワイイです!!」
「……うがあ! 何よこのあざといポーズ!! 完全に無意識だったわ!」
頭を抱えて、ぶんぶんと首を振って振り払う。
油断すると、すぐに可愛い仕草をしてしまいそうだ。
まさに今、頭を抱えていた手が、ぽかぽかと叩くような動きに変わっていたように。
「あああその調子です! そういうのもっと、もっとください!」
メルトの興奮を示すかのように、カメラのRECランプが赤く輝いている。
「ちょっ、メルトアンタ……何撮ってんのよ!」
感情の昂りからか、口調は元に戻っていた。
しかし顔のすぐ横にピースを作ってしまう身体の動きは、依然妖気にあてられたままだ。
「……じゃなくて消しなさいよ! カメラ渡しなさいッ!!」
今度こそ意識を強く持って、メルトのカメラを強引に奪い取るベアータ。
「ほぁー! 大事な、大事な記録の入ったカメラ没収しないでー!!」
抱えるようにしてカメラを離さないベアータを、メルトは後ろから抱えるようにしてカメラへ手を伸ばす。
「いちゃつくんなら家でやりなよ~」
注意されるはずだった少女の姿の妖怪は、お酒を呷りながらけらけらと笑った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
龍・雨豪
◎
へぇ、なんか何処かで似たようなことやってくる奴が居た気がするわねぇ……!
世界が違うから私を追いやったアイツとは関係ないとは思うけど、それでも一応殴るついでに裏取りしに行きましょ。
あ、ついでにお酒も拝借したいとこね!
おー、やってるわね!
まずは駆け付け一杯貰うとするわ。三杯でも構わないわよ!
妖怪特有の畏怖だとか豪快さに欠けてるからイマイチ盛り上がらないんじゃないかと思ったけど、こうやって”きゃあきゃあ”おしゃべりするのも楽しい……って、これ毒されてるわよね?
お酒に強くなかったら、危うくそのまま溶け込んでるところだったわ。
宴会は名残惜しいけど、雰囲気に流される前に元凶を何とかするのが先ね。
●酒呑む通り雨
(へぇ、なんか何処かで似たようなことやってくる奴が居た気がするわねぇ……!)
事件について聞いたとき、龍・雨豪(虚像の龍人・f26969)の中で嫌な記憶が蘇った。
かつて故郷で行われた、新たな長を決める戦い。
その最中で、自らが受けた屈辱だ。
(世界が違うから私を追いやったアイツとは関係ないとは思うけど、それでも一応殴るついでに裏取りしに行きましょ)
やる気は十分。
意気揚々と宴会場へと乗り込むのだった。
「おー、やってるわね!」
既に随分と盛り上がりを見せている宴会。
だが彼女たちの様子は、皆、酒好き祭好きな妖怪のものとは思えないおしとやかなものだ。
ぺたんと座り、両手でカップを持って、頬に手を当てて笑う。
酒を飲んでいるというのにこの可愛らしさは、却って異質に感じられる。
「私にもお酒貰える?」
雨豪は妖怪の隣に腰を下ろして、ぱちりと片目を閉じた。
「ええ、ええ! もちろんです!」
妖怪たちは喜んで雨豪に酒瓶を差し出す。
受け取った酒瓶そのままに、雨豪は一気に飲み干した。
「わぁ、凄い飲みっぷりっ! お姉さんやるねぇ」
それを見ていた妖怪たちは、目を輝かせる。
普段であれば、ここで中年妖怪のがははという品のない笑いが聞こえて来そうなものである。
言動を可愛らしくされている妖怪たちでは、その笑い声ひとつもまるで砂糖菓子のようだ。
(妖怪特有の畏怖だとか豪快さに欠けてるからイマイチ盛り上がらないんじゃないかと思ったけど)
同じ年頃の容姿の女妖怪たちに囲まれて、明るく笑いながら飲む。
そんな宴会も悪くない、むしろ楽しいのかもしれない。
雨豪の口元も、自然と緩んだ。
(……って、これ毒されてるわよね?)
ふと、純粋に宴会を楽しんでしまっている自分に気づく雨豪。
(お酒に強くなかったら、危うくそのまま溶け込んでるところだったわ)
一度大きく息を吐いて、酒瓶を置いて立ち上がった。
「お姉さんもう行っちゃうの?」
妖怪たちが雨豪の顔を見上げて、瞳を潤ませる。
「やらなきゃいけないことがあるから……続きはまた今度ね」
柔和に微笑んで、雨豪はひらりと手を振り背を向けた。
(宴会は名残惜しいけど、雰囲気に流される前に元凶を何とかするのが先ね)
敵はまだ、姿を見せてもいない。
きゅっと口を結んで、雨豪は妖気の濃い方へと向かった。
大成功
🔵🔵🔵
ルネ・プロスト
◎
妖怪や猟兵達がカワイイを強要される事件と聞いて来ました
妖怪や猟兵達がカワイイを強要される事件と聞いて来ました
大事な事なので以下略
愉快痛快、こんな面白い見世物見逃せるわけないものね
妖気は対策も抵抗もしないよ
或る白くて強い人は言いました
“激流に身を任せればどうにかなる”と
流れに身を任すも一興というものさ
細部違う気がするけど気にしない気にしない
で、妖怪達の対処は
迷彩代わりの『安寧』の幻術で身を隠してこっそり接触&UC
妖怪達の思考を読んで情報集めつつ、感情を「カワイイサイコー!」って感じのに上書いてあげる
折角のお祭り騒ぎに困惑し通し蚊帳の外では可哀想でしょう?
この際皆してカワイイを愉しみましょうね♪
●カワイイの祭典、開催
女性の姿に変えられた妖怪たちで賑わう宴会場を包み込む妖気。
それは、中にいる者に可愛い言動を強制する力を持つ。
場合によっては、猟兵すらもその妖気の餌食となるのだ。
(愉快痛快、こんな面白い見世物見逃せるわけないものね)
口元に指を当てたルネ・プロスト(人形王国・f21741)が、くく、と喉を鳴らして笑う。
会場に入った途端、ルネもその妖気の濃さに気付いた。
どろりと濃く、甘ったるい気だ。
(コレに包まれていると口に動かそうとすると別の言葉が出そうになる……なるほど、強力ね。抵抗できないほどじゃないけど……)
何らかの被害のある妖気であれば話は別だが、この妖気はただ可愛い言動を強制するだけ。
(抵抗しなければいけないようなものでもないし……ならば“激流に身を任せればどうにかなる”さ)
誰かの言葉を引用しながら、ルネはくるりと回して杖を掲げる。
きらきらと輝く光に包まれながら自らにかけたのは幻覚の魔法だ。
(……こんなところまで可愛くなるのか)
妖気に少し呆れながらも、ルネの姿は辺りから見えなくなった。
迷彩によって姿を隠したルネが、妖怪たちの間を縫うように移動しながら、その背中や肩に触れていく。
ひとり、またひとり。
そうして張り巡らせたのは、ルネの霊糸だ。
妖怪たちとの間にパスを繋げて、その感情を読み取った。
(この酔っぱらい共、自分の姿に気付いてないの?)
伝わってくるのは、酒が美味いのと、美少女が近くにいることを喜ぶばかり。
やれやれと息を吐いて、ルネは糸に魔力を流し込む。
(君たちも思う存分、流されたまえ)
妖怪たちの感情を、カワイイで上書きしていく。
カワイイ。
カワイイは素敵。
カワイイがサイコーなのは当たり前。
「わぁ、カワイイっ!」
「あなたこそ、とっても素敵だわ!」
お酒を飲むばかりだった彼女ら(彼ら?)が、お互いの可愛らしさを褒め合い始めた。
姿を表したルネも、それを見て微笑む。
「皆してカワイイを愉しみましょうね♪」
宴会の趣旨は酒からカワイイへ。
こうしてカクリヨの夜が、深まっていく。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『かしまし鬼娘』
|
POW : 鬼の刀
【小刀】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 鬼の鈴
【鈴の音】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ : 鬼の本気
【自身の妖力の全て】を使用する事で、【立派な角】を生やした、自身の身長の3倍の【大鬼】に変身する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●いざ、かしまし
女の姿で可愛さをたっぷりと堪能した妖怪たち。
異変が起こったのは、妖怪たちがその言動に慣れた頃だろうか。
「くすくす、もっと可愛くならなきゃ……ぁ、ああっ」
妖怪のひとりが、妖しげな声を上げ、それから自らの肩を抱いて悶始めた。
同時に、額から生える二本の角。
真っ白に色の抜けていく髪。
オブリビオンだ。
この妖怪は、骸魂に飲み込まれたのだ。
その場にいた妖怪たちは、次々に同様の変化を遂げていく。
これが、今回の事件を仕掛けたオブリビオンの狙いだろうか。
オブリビオンと化した女妖怪たちが、可愛らしく小刀を片手に握り、猟兵たちへと襲いかかるのだった。
※マスターより
2章では妖気の力が濃くなり、猟兵といえど可愛い言動を強く強制されます。
抵抗しながら戦うとどうしてもぎこちなくなってしまうため、あえて抵抗せず、可愛らしく戦うと良いでしょう。
可愛く戦わせたい子、お待ちしております。
メルト・プティング
◎
ベアータ(f05212)さんと!
ああ、カメラがなくなってはもう撮影できない…
なーんていうと思いましたか!こんな事もあろうかと予備はあります!
さぁ、カメラくん2号で撮影してますので、かわいく戦ってくださいな!
ところで今、記憶をどうこうとか聞こえたような。あ、後が怖ひ…!
まぁ後のことは後のボクにお任せして、撮影を頑張りましょう
って、おお?か、かわいいのですがめっちゃビュンビュン空飛んで撮影が…大変…目が回りそ…
うん?なんか暗く?影?…ほあー!いつの間にか背後におっきな鬼娘sがー!?
慌ててUCをぶっ放して、痺れさせてる間に離脱!
って、あれ。カメラの横で高圧電流って、カメラくんダメになったのでは…?
ベアータ・ベルトット
◎
メルト(f00394)と
ぐっ…さらに妖気が濃くなってきたわ
でももうカメラは無い。うっかりカワイイ言動しちゃっても、後でメルト殴って記憶をトバせば問題無いわね
…ってぇ!!アンタカメラ何台持ってんのよ!
く、屈する…ワケには……きゃぴっ☆
かわいく戦うんだね、オッケー!
それじゃあ光の翼を広げて…えへへー、見て見てメルちゃん!すっごいキレイでしょ!ちゃーんと撮ってねー!
そんな攻撃、ぜーんぜん当たんないんだから!ぴょんって躱してポーズをキメて
ビーム連射で乱れ撃ち!威力は弱めてるから安心してね!
あ、メルちゃんナイスっ!痺れた敵の角めがけてトドメのビームを発射!イエーイ!きゃぴっ☆
(…ああ、悪い夢よコレは)
●勝者など居なかった
「ぐっ……さらに妖気が濃くなってきたわ」
気を抜くと媚び媚びな可愛いポーズを取ってしまいそうになるベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)は、気を引き締めて拳を握った。
「でももうカメラは無い。うっかりカワイイ言動しちゃっても、後でメルト殴って記憶をトバせば問題無いわね」
カメラを失って戦いの準備をしているであろう相棒の方をちらりと見る。
そこには当然のように二台目のカメラを用意しているメルト・プティング(夢見る電脳タール・f00394)がいた。
「……ってぇ!! アンタカメラ何台持ってんのよ!」
「こんな事もあろうかと!」
「用意周到すぎるでしょ!」
感情が高ぶるからかツッコミは普通にできたが、相変わらず身体は、胸の前で両手を握って肘を寄せたようなぶりっ子ポーズを自然と取っていた。
(く、屈する……ワケには……!)
抵抗すればするほど、身体は思うように動かない。
ベアータは、厳しい戦いになることを覚悟した。
「さぁベアータさん、思う存分かわいく戦ってくださいな! その方が動きやすいですから!」
興奮気味にカメラを構えたメルトも、可愛らしく手を振る。
もちろん、妖気の影響下にあった。
(ところで今、記憶をどうこうとか聞こえたような。あ、後が怖ひ……!)
戦慄半分、愉快半分でカメラをベアータへ向けるメルト。
いまはただ、この撮影さえできるなら……。
全身全霊をかけて撮影に挑むのだった。
(それにしても……ほんっと思い通りに動かない……! 少しだけ、少しだけ我慢……!)
鬼たちの前に出たベアータは、身体の動きづらさに苦戦していた。
なんせ、脚は勝手に内股になるから踏ん張りが効かないし、腕も大きく振りかぶれない。
可愛いといえばそうかもしれないが、大胆な動きは一切取れないのだ。
逆に、妖気に従って可愛く動けば、いままで以上に身体は動く。
なるほど、とベアータは理解した。
苦渋の選択である。
「かわいくだね、オッケー!」
きゅるるんっと効果音が付きそうなポーズで、ベアータはカメラに目線を送る。
同時に背中から張り出したのは、光線射出機構だ。
吸血光線がまるで光の翼のように次々放たれ、鬼たちへと降り注いでいく。
「きゃああっ! いったーい!」
鬼たちのキャピキャピした悲鳴。
着弾を確認すると、ベアータはぴょんと跳ねて両手をあげた。
「えへへー、見て見てメルちゃん! すっごいキレイでしょ!」
メルトに声をかけながら、ベアータは鬼たちの小刀を飛ぶようにひらりと躱す。
「グッド!!!」
ベアータが飛び回るたびにちらちらと裾を揺らすタイトめなミニスカートに、メルトは親指を立てた。
(覚えておきなさいメェルトォォォ!)
ベアータの憤怒の感情も、舌をべーっと出すだけに変換されてしまっては、半分も伝わらない。
「……? 大丈夫です! スカートの中までは映ってませんから!」
可愛いなあ、なんて考えているホクホク顔で、メルトは変わらずベアータの撮影を続けた。
そうして盛り上がっているメルトに、突然影がかかる。
首を傾げて振り返ると、そこに居たのは巨大化した鬼娘だ。
「……ほあー! あっぶなぁ!」
振りかぶっている拳を躱して、ゴーグルから高圧電流を放った。
「きゃあっ! 痺れるぅ~!」
「あ、メルちゃんナイスっ!」
メルトの電流によって感電した鬼へと、ベアータの光線が降り注ぎ、近くにいた鬼たちは倒し終えた。
「イエーイ!」
人差し指と小指を立てて手首をくるりと返し、星の飛びそうなウインク付きの決めポーズを取るベアータ。
(……ああ、悪い夢よコレは)
心の中では下唇を噛み千切りそうな勢いで力んでいたが、そんな可愛くない行動は取れないのである。
「ベアータさんの可愛いポーズ頂きましたよ! これは永久保存ですね!」
満足げに頬をゆるめたメルトはと言うと、ふと手元のカメラへ視線を落とす。
至近距離で放たれた高圧電流の影響か、スパークしているカメラ。
こころなしか、自分はここまでだと言って親指を立てているような気がする。
「カ、カメラくんーーー!!」
最後に響いたのは、メルトの泣きそうな叫びだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルネ・プロスト
◎
※妖気当てられ中、言動やや●魂寄り
あら? あらあら?
これはもしや、火に油?
……まぁ、遅かれ早かれな状態でしたし些事ですね!
誰一人として流行りに遅れる事無く大変結構です♪
さてさてはてはてそれはそれ!
可愛くなる事と此方を襲う事とに何の因果関係が?
困った事に全くさっぱり分かりませんね!
ねぇ、あなた? そこ行くあなた!
“どうかわたしに、その理由をお教え下さいな♪” ※UC発動
えぇ些事です、全てが些事です!
あなたの言葉も馬耳東風、右から左へさようなら♪
今のあなたはとてもとても可愛いですよ!
操り人形に成り果てた、今のあなたは可哀いですよ?
さて名残惜しくも此度は此処まで!
可愛い最期で幕を降ろして下さいね☆
●踊る絡繰鬼人形
「あら? あらあら?」
鬼娘へと変化していった女妖怪たちを見て、ルネ・プロスト(人形王国・f21741)が口元に手を当てて首を傾げる。
(これはもしや、火に油?)
妖気に強制された行動は、骸魂に妖怪たちの居処を知らせるマーキングのようなものだったのだろうか。
酒を呑んでいた女妖怪たちは、骸魂に飲まれたのだ。
「……まぁ、遅かれ早かれな状態でしたし些事ですね! 誰一人として流行りに遅れる事無く大変結構です♪」
ぱたりと両手を合わせて、笑顔で小さく首を傾げるルネ。
「ところで、可愛くなる事と此方を襲う事とに何の因果関係が?」
続いた言葉たちに、鬼娘たちは顔を見合わせた。
「ねぇ、あなた? そこ行くあなた! どうかわたしに、その理由をお教え下さいな♪」
ルネが唄うように問うが、鬼たちは首を傾げるばかり。
「知らなーいっ! だってあたしたち、妖怪だもん!」
彼女たちが仔細を知るわけもなく、ルネの質問は投げ捨てられた。
それもルネにとって都合の良いことだとは知らずに。
「えっ、ちょっとぉ、なによコレ!」
しゅるりと鬼娘たちの身体に絡まる糸が、身体の自由を奪う。
身体が思う通りに動かなくなり、一体どこから、いつから、そんな疑問を口にする鬼娘たち。
もはや鬼娘たちの指一本までもルネの思うがまま。
「今のあなたはとてもとても可愛いですよ! 操り人形に成り果てた、今のあなたは可哀いですよ?」
くるりと舞うように回るルネが、片手を掲げる。
「さて名残惜しくも此度は此処まで! 可愛い最期で幕を降ろして下さいね☆」
ルネが手を降ろすと、それを皮切りに、鬼娘たちが互いに小刀で切りつけ始めた。
「何するの!? 敵はあっちだって!」
「そんなこと言われても身体が勝手に動いちゃってぇ……あっ」
同士討ちにより骸魂を破壊された鬼娘たちは、女妖怪の姿へと戻る。
「あらあら、まだ可愛くない元の姿に戻るわけではないのですね? ふふ、ではその姿のままお眠りください。全てが終わるまで」
絡繰糸を切ったルネは、頬に手を当てて微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
龍・雨豪
◎
さーて、仕事の時間かしら。
しっかし、この周りの妖気は煩わしいわねぇ。落ち着かないわ。
……うっ、なにモジモジしちゃってるの私。もう、調子狂っちゃう。
これは思ってたより難儀しちゃうかも。
早く片付けたいのに。
何にせよ、襲ってくるなら返り討ちにして……ってナニコレ、構えを取るのが憚られるような感じが。
「あああ、ちょっと待って。やだこれ無理ぃ!」
思わず頭を抱えながら背を向けてしゃがみ込んだ拍子に、尻尾が相手を足払いする形に。
恐る恐る振り返り、差し当っての脅威が無くなったことで安堵の息を漏らす。
もう、びっくりするじゃない。これはお仕置きが必要ね。
UCで強化したでこぴんをプレゼントしてあげる!
●龍だって可愛く
「はーい、じゃあみんなここで死んでくださいねっ」
鬼娘たちの明るい声。
三本指でピースして言うような言葉ではないことで、龍・雨豪(虚像の龍人・f26969)は仕事の気配を感じた。
戦いの時間である。
小刀を手元で回しながら、雨豪へと向かってくる鬼娘の一体。
闘気から伝わる相手の戦闘力は、単体ならそれほど高いものではない。
普段であれば先制攻撃の一蹴で終わりの相手である。
しかし、雨豪の動きは鈍い。
(……うっ、なにモジモジしちゃってるの私。もう、調子狂っちゃう)
脚を大きく開いて構えることができない。
内股の方が可愛いからだ。
指先まで力を込めて拳を作ることができない。
もちろん、ゆるく握る程度が可愛いからだ。
想像以上に厄介な妖気に、雨豪の心の中には小さな焦りが生まれていた
(これは思ってたより難儀しちゃうかも。早く片付けたいのに)
「油断してるとあっという間にバラバラよぉ!」
小刀を構えた鬼娘が、雨豪へと切りかかる。
「あああ、ちょっと待って。やだこれ無理ぃ!」
対して雨豪は、頭を抱えながら背を向けてしゃがみ込むなんて行動を取ってしまった。
人同士の戦いではかなり危険な行動である。
だが雨豪は龍人である。
偶然か必然か、尾が足元を鋭く払い、鬼娘の脚を刈る。
「痛ぁっ! なんなの!?」
突然の足払いに尻もちをついた鬼娘が、不機嫌そうに声を上げた。
その声を聞いて雨豪は恐る恐る振り返り、安堵の息を漏らす。
「もう、びっくりするじゃない。これはお仕置きが必要ね」
まだぺたんと座っている鬼娘の傍へ寄って屈み、その額へと手を掲げた雨豪。
「コレで勘弁してあげる」
雨豪の人差し指に、強い光が宿る。
親指で抑えてぐっと力を込めると、鬼娘の額を弾いた。
「きゃっ!」
ぺしん、という軽い音とは対照的に、鬼娘の身体がいきなり後ろへと倒れる。
雨豪の白く細い指からは信じられないほどの力で弾かれたのだ。
気絶した鬼娘は骸魂が破壊されたのか、女妖怪の姿へと戻っている。
「さて、あとは黒幕ね」
構えは取りづらいが、力自体が衰えているわけではないことを実感すると、雨豪は自分の手を見つめて微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
霧生・柊冬
◎
そういえば先程酔い潰れた妖怪さんはもう大丈夫だろうか
様子を見に行ってみると何やら様子がおかしい…!
どうやらオブリビオンに変化してるようで…
こっちも対抗はしてみるも身体が思ったように動いてくれない…!
どうしたらいいんだろう…集団で襲ってくる相手に翻弄されて逃げ回っていると、躓いてその場でこけてしまう
髪留めのリボンが取れて髪がほどけると…少しだけ動きが軽い?
なんとなくこの場所の秘密がわかってきたような気はする…
正直恥ずかしくはあるけど…この場でやられるわけにはいかない!
万年筆を片手にくるりと回りつつ、可愛らしい振り付けを交えた攻撃で相手を気絶させるのみ
…なんで僕、こんなことしてるんだろ…
●Twinkle in Winter
やけに距離の近い女妖怪たちから逃げるように会場から出た霧生・柊冬(frail・f04111)。
赤らんで熱い顔を手で扇いで、それから呼吸を整える。
(……先程酔い潰れた妖怪さんはもう大丈夫だろうか)
事態が進むまで膝を抱えているわけにもいかず、柊冬は再び宴会場へと戻ることになった。
宴会場に生えた大きな木に身体を隠して、様子をうかがう。
「あらぁ……いらっしゃい。あたしたちと一緒に遊びましょ?」
顔を出した柊冬にすぐに気付いた鬼娘たちが、小刀片手をひらりふわりと寄ってきた。
(これは……オブリビオンに変化してる!)
ひらりと揺れるミニ丈スカート、露出した肩、妖しげな口元。
骸魂に飲まれ、先程とは違う姿になっていたのだ。
「遊んでる場合じゃないみたいだから遠慮しておきます……!」
鬼娘たちが柊冬へと詰め寄るのに合わせて、柊冬も一歩後退る。
最初は、ちょっとした違和感だった。
(なんか……身体が思ったように動いてくれない……!)
右足を後ろへと下げた柊冬。
そのつま先がわずかに内側に向いていて、それに合わせて振った腕も身体を庇うようにして身体の前で軽く握る。
勝手に取った仕草が、やけに可愛らしいのだ。
「ふふ、怯えちゃってかわいっ」
手元の小刀をくるりと回して、鬼娘は柊冬へと襲いかかる。
大きく踏み込んで、一閃。
女性型とはいえ鬼の膂力で振るわれた一撃は、鋭い。
「やっ、危ない……!」
ビクリと肩を震わせた柊冬は更に後ろに下がろうとしたが、突然身体が倒れていくのを感じた。
思ったように動かない足がもつれて、転んでしまったのだ。
そのはずみで髪留めのリボンが解けて、銀色の髪が肩へとかかる。
「いたた……」
ぺたんと座り込んでしまった柊冬の姿は、さながら女の子のものだ。
肩を竦めて口元に手を当てる柊冬。
(……あれ、身体が普通に動いた)
傍から見ればかなり可愛らしい行動だ。
妖気によって矯正される行動と、本人の行動が一致すれば、身体はスムーズに動くというわけだ。
(なんとなくこの場所の秘密がわかってきたような気がする……)
内股気味に立ち上がり、柊冬は鬼娘たちを上目遣いに見やる。
(正直恥ずかしくはあるけど……この場でやられるわけにはいかない!)
耳が赤く染まっているのが、下ろした髪で見えないのが幸いか。
柊冬は万年筆を取り出してくるりと回った。
「もう逃げません! さあ、覚悟です!」
鬼娘たちを指差して、ウインクする柊冬。
それから踊るようにして、万年筆を走らせる。
幾つもの描かれた光の軌跡は、空を駆けて鬼娘たちへと襲いかかった。
「きゃっ……!」
光の奇跡が直撃した鬼娘たちは、気を失って元の女妖怪の姿へと戻っていく。
(これで大丈夫だろうけど……そのままというわけには)
眠る女妖怪たちにブランケットをかけて、柊冬は妖気のより濃い方へと歩いていった。
大成功
🔵🔵🔵
木常野・都月
◎
敵も味方も皆可愛い…妖気って凄い。
俺はもう深くは考えない。
仕事で可愛い鬼を倒す。
それだけよ。
(尻尾と耳をぷるぷる)
敵も俺も女の子。
女の子同士だから大丈夫!戦えるもん!
相手が鈴を付けてるのはラッキーね。
しかも綺麗な鈴の音。
野生の中で培ってきた、俺の聴力は抜群よ。
[野生の勘、第六感]を研ぎ澄まして敵の位置を[情報収集]しよう。
音を頼りに、音が聞こえた方向へ。
UC【精霊の瞬き】!雷の精霊様、お願いします!
小刀は多分金属で出来てるだろうから。
雷の精霊様と相性はいいはず。
ビリビリしちゃえ!
相手の顔をじーっと見てみる。
(こんな可愛くても、男かもしれないんだよね。女の子って凄い。女の子可愛い。)
●世界がきらきらしてる
「やーん、猟兵ちゃんどこかなー?」
りいん、りいん。
ぱっちりした金色の目と、動くたびに揺れる銀髪と鈴。
小刀こそ手にしているものの、可愛らしい鬼娘たちが標的を探して宴会場を練り歩く。
(妖気って……凄い)
その様子を見て、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は心の中で感嘆の声を上げた。
彼女たちも元は酒飲みの中年妖怪だったはずだ。
にもかかわらず、都月の目に映る姿は妙齢の女性そのもの。
それに加えて、仕草まですべて可愛らしくなっている。
どのような仕組みなのかもわからないこの状況、都月は深く考えることをやめた。
(仕事で可愛い鬼を倒す。それだけよ)
尻尾と耳を揺らして、両手をきゅっと握る。
都月の仕草も、妖気の濃さに比例して可愛らしさが増しているように感じた。
相手が女の子だと、本気で攻撃するのは少し憚られるところがあるが、今は────。
「敵も俺も女の子。女の子同士だから大丈夫! 戦えるもん!」
口から出る言葉も徐々に可愛くなっているのを感じて、都月は少しだけバツが悪そうにした。
「へぇ、ほんとに? ちゃんと戦えるのかしらね」
目を細めて口角を上げた鬼娘。
りぃん、りぃん。
鬼娘が髪につけた鈴が鳴る。
その瞬間、鬼娘の姿が都月の視界から消えた。
まさに目にも止まらぬ速さで移動したのだと気付いたのは、すぐ隣から鈴の音が聞こえたからだ。
「……ッ!!」
咄嗟に跳んで、鬼娘の振る小刀を躱す。
卓越した都月の聴力に、野生の勘と第六感が加わって鬼娘の位置をいち早く察知することができたのだ。
攻撃を避けられた鬼娘はすぐに距離を取って、また高速で移動を始める。
一瞬脚を止めて、都月は耳に集中した。
「そこだねっ!」
鈴の音や足音を頼りに、鬼娘のいる方を指差す。
「雷の精霊様、お願いします!」
無数の雷の矢が都月の指先から放たれ、鬼娘たちへと降り注ぐ。
「きゃっ、コレ、痺れる……っ!」
鈴や小刀を通して、鬼娘へと電流が走った。
身体を痙攣させた鬼娘は、意識を失って力なく倒れる。
雷によって骸魂が破壊されたのか、鬼娘たちは女妖怪の姿へと戻っていった。
都月は傍へと寄って、気を失って眠っている女妖怪の顔を覗き込む。
(こんな可愛くても、男かもしれないんだよね。女の子ってすごい。女の子可愛い)
自分の顔を思い出して、都月は女妖怪の顔と比べる。
安らかに眠る女妖怪の顔は、たしかに非常に可愛らしいものだった。
大成功
🔵🔵🔵
雨宮・いつき
◎
色香に惑わされて逃げてしまうだなんて、情けない限りです…
…いえ、しょげている場合ではありませんね
早く彼ら…彼女ら?を助けてあげないと
中身はおじさん…中身はおじさん…だから大丈夫…
よし、全力で頑張っちゃうんだから!
…あれ?
何か今変な感覚がありましたが…襲い掛かって来る妖怪達の対処をしましょう
身体が大きくなったという事は小回りが利かないという事
機動力で引っ搔き回します
出番ですよ管狐さん達!頑張って妖怪さん達を助けましょう!えい、えい、おー!
…何言ってんだコイツみたいな目で見ないで下さい!口が勝手に…!
と、とにかく…おそらく額の角が骸魂の力の象徴
【破魔】の力を込めた狐火や刀でそこを攻めて下さい!
●鬼稲荷可憐決戦
宴会場入口までやってきた雨宮・いつき(憶の守り人・f04568)は、大きなため息と共に肩を落としているところだった。
(ああ……色香に惑わされて逃げてしまうだなんて、情けない限りです……)
困ったことに、おじさんの距離感で迫ってくる女性には耐性がない。
たとえ中身はおじさん妖怪であっても、見た目は美女・美少女なのだ。
心の中で何度も蘇ってくる柔らかな感触を、甘い香りを、おじさんという言葉で誤魔化して頭を振る。
(早く彼ら…彼女ら?を助けてあげないと)
二重の意味で大変なことになってしまう。
「よし、全力で頑張っちゃうんだから!」
ぎゅっと両手を握って、脇を締める。
「……あれ?」
自らの口から出た言葉の違和感と無意識に取っていた仕草に首を傾げるのだった。
そうして宴会場の中へと戻ったいつきを待っていたのは、鬼娘へと姿を変えた妖怪たちだった。
ミニ丈から覗く脚が、細い髪がかかってちらつく肩が、視界に飛び込んでくる。
「さっきより目に毒なんですけど!」
「初心なんだ? 可愛いーっ」
くすくす、と鬼娘が笑うと、いつきはかあっと顔を赤くした。
「~~~ッ!!」
なんと反論すべきか悩み、いつきは口を開きかけては、また閉じる。
もたもたと繰り返している間にも、鬼娘たちが身体を巨大化させてその拳を振りかぶっっていた。
「うわっ、危ないですね……!」
寸のところで躱して、懐へと飛び込むいつき。
巨大化した身体では小回りが利かず、鬼娘たちはいつきを捕まえることはできない。
「んもー、ちょこまかして!」
巨大化によって非常に大きくなったため激しく揺れる鬼娘のたわわから目をそらし、いつきは懐から管を取り出した。
「出番ですよ管狐さん達! 頑張って妖怪さん達を助けましょう! えい、えい、おー!」
姿を現した管狐たちが、いつきのことをじっと見る。
そんな可愛い言い方をするような男だっただろうか、という視線が、いつきにグサグサと刺さった。
「……何言ってんだコイツみたいな目で見ないで下さい! 口が勝手に……!」
濃い妖気の充満したこの宴会場では仕方のないことだ。
「と、とにかく……おそらく額の角が骸魂の力の象徴。そこを攻めましょう!」
管狐は口に咥えた小刀を器用に振るって、その角を傷つけていく。
たちまち鬼娘たちは女妖怪の姿へと戻って、気を失うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アルゼブ・アズモリィ
◎
【POW】
もーう!このまま戦わなきゃいけないって言うの!?
これじゃあ威厳も何もあったもんじゃないわ!
『くくく、世界には不思議なことがたくさんあるわねえ、主さん』
うるさいわね!というかそういうアンタだって口調変わってるじゃない!
『……』
こら!黙るな!
ううう……こうなったらやぶれかぶれよ!
《炎の魔王軍》、行きなさい!
なんか彼らの動きも妙な気もするけどこの際気にしない!
あの妖怪たちの戦意を喪失させてやるのよ!
もしも妖怪たちが配下たちを抜けてやってくるようなら〈衝撃波〉で間合いを取るわよ
*『』は喋る武器の声
●魔王だって可愛く
身体が自由に動かない。
それも、麻痺や硬直ではない。
勝手に取ってしまう乙女らしいポーズや言葉遣いに、アルゼブ・アズモリィ(玉座を見据えし悪魔・f31513)は頭を抱える。
「もーう!このまま戦わなきゃいけないって言うの!? これじゃあ威厳も何もあったもんじゃないわ!」
これではキングというよりもクイーンやプリンセスだ。
命に直接的な影響こそないものの、アルゼブのプライドには大きな傷が走る。
『くくく、世界には不思議なことがたくさんあるわねえ、主さん』
普段は尊大で厳かな喋る魔剣の口調までこうも変わってしまえば、調子も狂う。
「うるさいわね! というかそういうアンタだって口調変わってるじゃない!」
『……』
「こら! 黙るな!」
仕草まで強制されるアルゼブとは違い、魔剣はただ黙っていればただの魔剣。
相棒のずるい、もとい、賢い手段に、アルゼブは肩を落とした。
「ううう……こうなったらやぶれかぶれよ! 《炎の魔王軍》、行きなさい!」
アルゼブは魔剣を掲げて、配下のモンスター軍を召喚する。
その際にも片足がちょんと上がってしまって、実に格好がつかないのがアルゼブにとって非常に心残りになったが。
「ちょっとなによこいつら……!」
突如として現れた、宴会場を埋め尽くす炎の軍勢。
その数に、鬼娘たちがたじろいているのが、アルゼブにもすぐに分かった。
「この数を相手にできると思っているのかしら! 諦めなさい!」
魔剣を突き出し、横ピースを付けてウインクするアルゼブ。
軍勢たちは一斉に首を傾げた。
「こっち見ないで!」
内股気味に立って両手をぎゅっと握るアルゼブが叫ぶ。
配下のモンスターたちは、今度は一斉に鬼娘たちの方を見た。
「……こういうときはボスを直接よねぇ」
手元で小刀をくるりと回した鬼娘が、モンスターたちの頭上を一足に飛び越える。
無論それをただ見過ごす炎の軍勢ではなかったが、手を伸ばそうにも上手く動かずバランスを崩し、背の高いモンスターも身体を縮めて避けてしまっていた。
「んも~! なにしてるの!」
頬を膨らませて怒るアルゼブ。
迫りくる鬼娘に向かって魔剣を振り、牽制のための衝撃波を放った。
「……えっ、きゃあっ!?」
だが幸運にもと言うべきか、その衝撃波が鬼娘に綺麗に当たって、軍勢の上へと落ちる。
一撃で骸魂が破壊されたのか、モンスターたちが受け止めたその姿は、女妖怪のものへと戻っていた。
「やったわ!」
アルゼブは勝利を喜ぶピースサインをして飛び跳ねる。
配下のモンスターたちからも、歓声が上がった。
「……こっち見ないでよ!」
羞恥に耳まで赤くして、アルゼブは可愛らしい命令を下すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アニエス・アルカンシェル
◎
……妖気のせいで行動を操られるのならば手早く解決するしかありません。
抵抗したら行動に支障が出るようですし。
大丈夫ですアニエス・アルカンシェル、身体は屈しても心は屈しない。
ふふっ、それじゃああーちゃんオンステージ、いってみようっ☆
鈴の音で相互に強化されるんだったらね、やっぱりここはばしゅっとその元を断つべきだと思うんだよね☆
アナタを撃ち抜くあーちゃんシュート、いっちゃうぞっ☆
あーちゃんシュートでね、鈴をピンポイントで撃ち抜いて破壊しちゃおうっ。
もちろん鈴を撃ち抜いたら忘れずにハートもね☆
……え? 斬撃天使なのにあーちゃんシュートなのかって?
こらこら~、そういういじわるなこと言っちゃメっ、だよ☆
●あーちゃんオンステージ、開幕🎉
(……妖気のせいで行動を操られるのならば手早く解決するしかありません)
すでに全力で可愛い名乗りをあげてしまったアニエス・アルカンシェル(虹のアニエス・f31989)。
アルカンシェル家当主として、四天護機の一角として、ここで任務を放棄するわけには行かない。
(大丈夫ですアニエス・アルカンシェル、身体は屈しても心は屈しない。それが)
心を落ち着けて、今は任務に徹すれば大丈夫。
どんな言動をしてしまっても、恥じらうことなどどこにもない。
「────斬撃天使あーちゃんなんだからぁっ!」
(…………)
自分が今どんな表情をしているのか、想像もできなかった。
改めて深呼吸して、戦場を確認する。
元は公園かなにかであっただろう野外宴会場。
アニエスの近くには、頭に鈴をつけた鬼娘のオブリビオンが数人。
自分が相手すべき鬼娘たちはこの数人だけだろう。
りぃん、りぃん。
鈴の音が戦場に響き渡る。
その鈴が鳴るたび、鬼娘たちはまるで音に乗るかのように素早く動いた。
鈴の音が互いを強化しあっているのは、すぐに分かる。
「ふふっ、それじゃああーちゃんオンステージ、いってみようっ☆」
狙いは決まった。
鬼娘たちを指差して、アニエスは踊るように銃を構える。
「アナタを撃ち抜くあーちゃんシュート、いっちゃうぞっ☆」
ぱちりとウインクして、照準を素早く鬼娘たちの付けている鈴へと向けたアニエス。
迷いなくトリガーを引いて、その鈴を撃ち抜く。
1つ、2つ、3つ。
「嘘っ!?」
驚くほど正確な射撃が、鈴だけを撃ち抜いていく。
解けて落ちた鈴が、地面を転がって鈍い音を立てた。
「ちょっとぉ! 斬撃天使なのに射撃なんてずるくない?」
突然身体強化が切れてバランスを崩した鬼娘たちが、非難の声をあげる。
「こらこら~、そういういじわるなこと言っちゃメっ、だよ☆」
アニエスは素早く肉薄して、額を指で小突いて回った。
心が負けを認めてしまっていたのか、鬼娘たちの骸魂は簡単に破壊されて、元の女妖怪へと戻っていく。
(キャバリアでの戦闘だったら、戦場にいる機体全てのレコーダーを壊して回らなければいけないところでしたね……)
戦闘さえ終われば、多少動きづらくても構わない。
気を張ってクールに振る舞うアニエス。
残る黒幕との戦闘を考えると、気が重くなった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『封魔士くノ一』
|
POW : 妖怪封じ技の一・円盤封殴打
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【対象を硬貨のようなまんまる形状に叩き潰す】属性の【巨大巻物の振り下ろし】を、レベル×5mの直線上に放つ。
SPD : 妖怪封じ技の二・薄紙転輪
【横並び陣形の分身】から【巨大巻物転がし】を放ち、【轢き潰して紙のようにペラペラにすること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 妖怪封じ奥義・暗黒握封印
【開いた巨大巻物】から、【巻物の平面空間に敵を封印】の術を操る悪魔「【無数の黒い腕】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ネリー・マティス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●可愛い絵巻を求めて
「ありゃーっ、猟兵ってば駆けつけるのが本当に早いね」
すっかり鎮められてしまった鬼娘たちを見て、封魔士くノ一がつぶやく。
彼女こそが妖気の発生源にして、妖怪女体化事件の犯人である。
「せっかく可愛い鬼娘で絵巻を作ろうと思ったのに……これじゃ台無し」
背負っていた大きな巻物を下ろして、肩を竦める。
可愛い妖怪を集めるよりも、集めた妖怪を可愛くしてしまおうという魂胆だったわけだ。
だがその作戦は、猟兵たちによって打ち砕かれた。
それでも姿を現したのは、余程戦いに自信があるからだろう。
「それじゃまあ……責任取って、あなたたちが代わりに絵巻になってよね!」
黒髪で隠れた片目が、妖しく光った。
※マスターより
3章では引き続き妖気の力で可愛い言動を強く強制されます。
抵抗しながら戦うとどうしてもぎこちなくなってしまうため、あえて抵抗せず、可愛らしく戦うと良いでしょう。
可愛く戦わせたい子、お待ちしております。
花羽・紫音
【アドリブ歓迎】【ソロ希望】【可愛らしい戦い方希望】
「自分勝手な願いで妖怪を襲うなんて許せないわ」
そういって【スーパー・ジャスティス】を使って戦うけど……強制的に可愛らしい戦い方をされて戸惑いと恥じらいでうまく動けそうにないわ
そしてその隙を付かれて可愛い状態で絵巻に封印されそうだわ
●紫薔薇絵巻
「猟兵の絵巻っていうもの面白そうなんじゃなあい?」
封魔士くノ一が、くすりと笑った。
辺りに充満する妖気によって可愛い言動を強制されるこの戦場で、唯一自由に動ける彼女は、巨大な巻物を背負って自由自在に走り回る。
「ただでさえ自分勝手に妖怪を襲おうとして……さらに私たちまで! 許せないわ!」
強く拳を握り、花羽・紫音(セラフィローズ・f23465)は封魔士くノ一を睨みつけた。
「許せなかったら……どうするの?」
「正義と意志の力で、あなたを倒す!」
大きく息を吐いて、紫音は構えを取る。
紫音が力を込めると、全身から黄金のオーラが迸った。
高まる紫音の戦闘力。
どんなオブリビオンが相手であろうと、スーパーヒーローたる紫音が全力で戦えば、敵ではない。
「ダメダメ、そんなの可愛くないわ!」
だが力を高める紫音を前にして、くノ一は余裕綽々といった様子で誂うように笑う。
「関係ないでしょ!」
紫音は力強く地を蹴って、封魔士へと向けて踏み込もうとした。
だが、強い違和感が紫音を襲う。
(これは……!?)
踏み込もうとしたその脚の動きがやけにぎこちない。
くノ一へと向けて真っ直ぐに跳んだつもりが、少し内股になってしまったせいで進行方向が逸れてしまった。
あわや転びそうになるところを、持ち前の運動神経の良さでこらえる。
「あはっ、だからダメだって! ここではもーっと可愛くしてないと」
妖気の影響を受ける猟兵は、可愛い言動を強く強制されるのだ。
紫音はヒーローらしく、勇ましく戦おうとした。
それが妖気による強制力と干渉して、紫音の動きを狂わせる。
「かっ、可愛く!? そんなこと言われたって……!」
紫音は少し悩んでから、戸惑うように身体を捻った。
「そ、それじゃあ……プリティローズが、あ、あなたを倒しちゃうぞっ!」
片足あげて、ウイント共にくノ一を指す。
「やぁん、いいわ、いい感じっ!」
「ふ、ふざけてるの……!?」
ケラケラと笑う封魔士に、苛立ちを募らせる紫音。
だが、可愛い構えしかスムーズに取れない紫音は素早く攻めることはできない。
さらに戸惑いと羞恥が、紫音の心を集中させてくれない。
(冗談みたいな効果だけど、想像以上に厄介ね……)
どうやって戦うべきかと紫音の思考が封魔士から逸れた瞬間に、それはやってきた。
まるで墨か影が実体化したかのような、無数の黒い腕だ。
くノ一の持っていた巨大巻物が開かれていて、そこから伸びているのだ。
「なによこれ……!」
腕たちは素早く紫音の身体を掴み、一気に引き寄せる。
普段であれば、回避も抵抗も容易であっただろう。
だが今は、妖気のせいで紫音はいまいち力を発揮できないでいた。
「じゃあ~、そのまま可愛い絵巻になってもらいましょうね」
くノ一の言葉と共に、紫音は巻物へと叩きつけられた。
そのままが紙を突き破るかと思われたが────。
(……紙の中に、引き込まれる!?)
とぷん。
まるで水面へと落ちるかのように、紫音は巻物の中へと入ってしまった。
波紋のように揺れていた紙面が落ち着く頃、そこにあったのは正面を指差してウインクをしている紫音の絵。
(う、動けない……こんなっ恥ずかしいポーズのまま!?)
くノ一がその絵巻を広げて見せれば、紫音の可愛らしいポーズが衆目に晒されることとなった。
身体は動かないが、意識はある。
視線も感じる。
それが紫音の心を羞恥に染め上げる。
「さぁ、まずはひとり。いくつ収集できるかな」
紫音が囚われたままの巨大巻物を巻き直して、封魔士くノ一はくすりと笑った。
大成功
🔵🔵🔵
雨宮・いつき
◎
出ましたね、今回の黒幕!
誰も彼もが女の子になるだけでも大騒ぎなのに、それを巻物に封じてしまおうだなんて…
そんな横暴許しません!お天道様に代わっておしおきです!(美少女戦士がやりそうなポーズ)
…そろそろ羞恥心が限界なので、本当に全力でやっちゃいますからね!
分身してこちらの逃げ道を塞いだつもりのようですが、そうは問屋が卸しません
陰陽宝珠を複製して空に浮かべ、雷の【属性攻撃】による【範囲攻撃】を降り注がせ、まとめてやっつけちゃいます!
さあご刮目!僕のスターライト・オン・ステージ!
…穴があったら入りたい…!
あ、転がってくる巻物は氷の【属性攻撃】で坂道を作って、轢かれる前に勢いを殺してしまいましょう
●✨スターライト・オン・ステージ✨
(誰も彼もが女の子になるだけでも大騒ぎなのに、それを巻物に封じてしまおうだなんて……)
妖怪も猟兵も、この妖気にあてられてすっかり可愛らしくなってしまった。
雨宮・いつき(憶の守り人・f04568)も妖気に影響され、もはや言動の全てが可愛らしいものに勝手に変換されてしまう。
直接的な害が小さいだけに、強く抵抗するほどでもないところが、一層彼らを混乱させいてた。
「そんな横暴許しません! お天道様に代わっておしおきです!」
両手をぐっと握って憤慨し、それから捻った腰に手を当てて、片目をぱちりと閉じる。
前半までの勢いとは打って変わって、最後には決めポーズになってしまった。
自分のポーズを自覚して、そっと元の姿勢に戻るいつき。
妖狐でなければ、耳まで真っ赤になっていることがわかっていただろう。
「……そろそろ羞恥心が限界なので、本当に全力でやっちゃいますからね!」
「何を怒ってるのかわかんないけど、可愛いからよし!」
にゃはは、と封魔士くノ一は明るく笑う。
両手で素早く印を結ぶと、表れたのは何人もの分身くノ一だ。
くノ一たちは横並びになり、背負っていた巨大巻物を構える。
(なるほど、逃げ道を塞ぐ戦法ですか)
一斉に巻物を転がせば、いつきを含めて辺り一面が押しつぶされてしまうことは想像に難くない。
空中に逃げる手も無くはないが、倒れている妖怪たちを放っておくこともできない。
後の先を取る必要がある。
「そうは問屋が降ろしません!」
いつきが天に掲げるは複製された陰陽宝珠。
いくつもの宝珠が、輝きながら空を舞う。
「さあご刮目! 僕のスターライト・オン・ステージ!」
いつきの言葉と共に、ぱりっと乾いた音。
それから、一気に空気を割るような轟音と共に、宝珠から雷が降り注ぐ。
音楽を奏で、光が溢れるライブの始まりだ。
ついでに雷光に照らされて、三つ指ピースをキメるいつきも映し出される。
まさにここは、いつきのためのステージである!
(……穴があったら入りたい……!)
いつきの心もそろそろ限界ではあるが、くノ一の分身たちは落雷に打たれて消えてしまった。
本体はどこか、いつきは雷の起こしたスモーク……もとい、土煙の中を探す。
ゆらりと煙越しに浮かぶ影。
それは、巨大な筒状のものを足元に転がすような動きをしていて。
「ッ! させません!」
巨大巻物はそれなりの質量がある。
壁を作って防ぐには、骨が折れるだろう。
咄嗟に投げた蒼い宝珠から発せられたのは、冷気だ。
辺りの水分を固めて、ふたりの間に氷の坂道を作っていく。
勢いよく転がされた巨大巻物が、その坂を登る、登る。
けれど運動エネルギーは無限ではなく、坂を登り切る前に止まってしまった。
「……ってぇ、こっちに戻ってきてる!?」
坂を登る途中で止まったのなら、坂を降りていくのが道理。
巨大巻物の経路にそのまま立っていたくノ一は、避ける事もできず巻物の下敷きになるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アルゼブ・アズモリィ
◎
【POW】
アンタが一連の犯人なのね!
あたしにここまで恥ずかしい真似をさせてくれたのはアンタが初めてよ!
覚悟なさい!
振り下ろし攻撃には〈見切り〉で横に回避を試みるわ
さあ、《岩の魔人》、出てくるのよ!
あーもう!
自分の動きに合わせるものだから、こいつもやっぱり女の子っぽい!
しかも大きいからやけに目立つ!!
でもここまできたらなんかもう慣れてきたわ!
『慣れてきたのね……』
小さい声でツッコまれた気がするけど聞かなかったフリ!
魔人でオブリビオンを掴んで思いっきりポイっとしてやるんだから!!
*『』は喋る武器の声
* 解決後どうなるかは完全お任せ
●悪魔なれば可愛らしく
姿を現した封魔士くノ一を前にして、アルゼブ・アズモリィ(玉座を見据えし悪魔・f31513)が指差した。
「あたしにここまで恥ずかしい真似をさせてくれたのはアンタが初めてよ! 覚悟なさい!」
目を潤ませ、頬を膨らませたアルゼブの姿は、怒っているというにはあまりに可愛らしい。
そんな様子を見て、くすりと笑うくノ一。
「恥ずかしかった? せっかく可愛いんだからもっと積極的になったらいいのに」
「えっ、ほんと?」
『毒されてるわよ』
ふと身を乗り出してしまったアルゼブに、相棒が釘を刺す。
「……あっ、あっぶない! 癖になるだった……!」
ハッとしたアルゼブが、抵抗するように頭を振った。
可愛さも大切だが、封魔士くノ一を倒すのが最優先だ。
「魔人ちゃん、きてーっ!」
アルゼブが声をあげて手を掲げると同時に、宴会場の地面が盛り上がっていく。
現れたのは、大きな岩の手。
地面から湧き上がるようにして現れた岩の魔人が内股気味に立ち、宴会場を見下ろした。
「……いまいちかっこ良くない!」
岩の魔人は可愛い言動を強制されているアルゼブと同じ動きをするため、厳つい見た目のわりに仕草が可愛いのだ。
「でもここまできたらもうなんか慣れたわ!」
『慣れてきたのね……』
相棒のツッコミを聞き流して、アルゼブは封魔士くノ一の見やる。
「魔人ちゃん! そいつを思いっきりポイってしちゃって!」
アルゼブが拾う動作をするのに合わせて、岩の魔人がくノ一を掴んだ。
「力づく? それは可愛くない、なぁぁぁ!」
掴まれたままのくノ一が負け惜しみを言うが、言い終わる前に魔人はくノ一を地面へと投げ捨てた。
もちろん、片足をあげて可愛らしく、だ。
「きゃんっ! いったーい!」
役目を果たした岩の魔人が崩れていく音で、叩きつけられたくノ一の可愛らしい声はかき消されたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
メルト・プティング
◎
ベアータ(f05212)さんと!
めげずにカメラくん3号準備よし。さぁ、やっちゃってください!
って、あれ?なんか様子が変?
仕方がないのでベアータさんを引っ張ってダッシュで逃亡
カメラくんは落としちゃうかもですが、仕方ないですね!
ベアータさん、眼帯の下、気にしてるのです?
誰がなんと言おうと、そしてベアータさんがどう思っていても
ボクは眼帯の下を怖いとか思ったことないですし、むしろ好きですよ
だって、その「舌」は、ボクや色んな人達を助けてきたじゃないですか
「舌」を放って戦うベアータさんを見て、思うのは
カワイイベアータさんは新鮮でしたけど
やっぱり、普段のかっこよくてステキなベアータさんが一番だなー、なんて
ベアータ・ベルトット
◎
メルちゃん(f00394)と!
ボスのお出ましだね!力を合わせてやっつけよ…ふぇ、眼帯…?
や、ヤだよっ!目からベロ出すなんて、全然カワイくないもんっ!
(な、何言ってんのよ私!くっ、外せない…!)
嫌ったら嫌!メルちゃんだって、いっつも怖いって思ってるんでしょ!
(……)
え…怖く、ないの?…ホントに?
……そっか。この禍々しい眼のことを、そんな風に思ってくれるのね
(そうか。この封印は、大切なものを守る為の力…
メルトの思いに応える為にも…怖気づいてるワケにはいかないわ。動きなさい、私ッ!
左手で抱きしめる翠の星。硬い掌の中、眩しく輝くメルトの心が力をくれる
眼帯に手をかけ、解き放つ!)
……メルト、ありがとう
●さらばカメラくん3号
良い顔で壊れてしまったカメラ2号との別れを惜しみつつメルト・プティング(夢見る電脳タール・f00394)は新しいカメラを構える。
「カメラ3号も準備よし! さぁ、ベアータさんやっちゃってください! 可愛く、可愛くですよ!」
巨大巻物を構えるくノ一を放置して相方にカメラを向ける姿は些か突飛なものではあった。
「もちろん! 力を合わせてやっつけよ……」
可愛らしさを強制されるベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)はぎゅっと両手を握ると、眼帯に手をかける。
右目の特殊義眼から獣の舌を伸ばして敵を攻撃するのもベアータの得意戦術の一つだからだ。
だが、眼帯に手をかけたところでベアータの動きは止まった。
「ふぇ、眼帯……?」
「あれ? どうしたんですか、ベアータさん」
カメラを構えたままのメルトが、首を傾げながらベアータの顔を覗き込む。
勇んで戦おうとしたベアータが、潤んだ瞳で震えていた。
「や、ヤだよっ! 目からベロ出すなんて、全然カワイくないもんっ!」
駄々をこねる子供のように、戦いを放棄したベアータ。
(な、何言ってんのよ私! くっ、外せない……!)
無論、戦いたくないなんてことはない。
この奇っ怪な事件をさっさと終わらせて、早く帰りたい。
だが、その身体は思ったようには動かないのだ。
「戦えないの? ふぅん、可愛いじゃない」
その隙をくノ一が逃すはずもなく、背負っておいた巨大巻物をベアータへと向けて振りかぶっていた。
「っ! ベアータさん!」
咄嗟に、メルトがベアータの腕を強く引き、くノ一の攻撃から逃れる。
持っていたカメラは落ちてしまったが、仕方ない。
それから木の陰に隠れたところで、ベアータが口を尖らせた。
「嫌ったら嫌! メルちゃんだって、いっつも怖いって思ってるんでしょ!」
義眼から伸びる獣の舌のことだ。
特異な身体であることは間違いないし、一般的の美醜からすれば、整っているとは言い難い。
メルトは口元に指先を当てて、首を傾げる。
「ベアータさん、眼帯の下、気にしてるのです?」
妖気の影響で可愛いこと、可愛くないことに過敏になっているとしても、普段から思ってでもいなければここまで強く拒絶はしなかっただろう。
(……)
無言で目を逸らすベアータの動きは、言葉にせずとも肯定しているも同然だった。
メルトはベアータの手を強く握り、まっすぐに目を向ける。
「誰がなんと言おうと、そしてベアータさんがどう思っていても、ボクは眼帯の下を怖いとか思ったことないですし、むしろ好きですよ」
メルトの言葉に、ベアータがはっと顔を上げた。
「え……怖く、ないの? ……ホントに?」
普段のベアータであれば考えられないほど、弱々しい目をしている。
「だって、その『舌』は、ボクや色んな人達を助けてきたじゃないですか」
ゴーグル越しでも、メルトの目が嘘をついていないことが、ベアータにはわかった。
これまでふたりで歩んできた道は、妖気程度に曲げられるものではない。
「……そっか。この禍々しい眼のことを、そんな風に思ってくれるのね」
ベアータにとって、この眼は間違いなくコンプレックスであった。
だが相棒が、こう言ってくれている。
(そうか。この封印は、大切なものを守る為の力……メルトの思いに応える為にも……怖気づいてるワケにはいかないわ)
それ以上に、必要なことはない。
(動きなさい、私ッ!)
妖気に支配されていたベアータの身体が、一気に軽くなった。
左手で、翠色のネックレスを握りしめる。
眼帯を外して、木陰から飛び出したベアータ。
勢いよく伸びる獣の舌が、くノ一を襲う。
「なんで普通に動いて……!? それにそんな可愛くない攻撃で!」
封魔士くノ一は咄嗟に跳んで躱そうとするが、ベアータの舌は速い。
鋭くくノ一の身体を貫き、命を喰らう。
「私にとってこれが可愛い攻撃なのよ! メルトが認めてくれるならね」
くノ一は刺さった舌を抜くと、勝ち気に笑うベアータから離れていった。
射程外に逃げられたことを悟ったベアータは、再び眼帯を着けてメルトの方へと戻る。
「……メルト、ありがとう」
とても小さな声で、ベアータは呟く。
「いえいえ、カワイイベアータさんは新鮮でしたけど、やっぱり、普段のかっこよくてステキなベアータさんが一番だなー、なんて」
ベアータの腕に抱きついて、メルトは嬉しそうに笑った。
もしゴーグルを外していたらメルトの真っ赤な目が露わになっていただろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木常野・都月
この子も可愛い!
忍者って言うんだよね?
くのいち?女の子の忍者はくのいちっていうのか…。
可愛い子は好きだよ!
でも、俺、捕まる気はないよ?
野生の中で培ってきた狐の足を侮らないで!
俺は巻物にならないんだから!
[野生の勘、第六感、ダッシュ]で敵の攻撃は避け切れるかな?
ダメなら精霊様の[カウンター]で返り討ちにするからね!
巻物、燃やしちゃおうと思ったけど、誰か中にいたら大変かも?
なら、逆にこれでどう?
UC【精霊の矢】で巻物を凍らせちゃえ!
氷の精霊様、お願いします!
後で、巻物から解凍するからね!
加えて風の精霊様、[属性攻撃]をお願いします!
狙いは、くのいちの子!
この子を倒せばきっと元通りになるんだから!
●みんな可愛い!
「わぁ、この子も可愛い! 忍者って言うんだよね?」
戦場に現れた封魔士くノ一を見て、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)が感嘆の声を上げる。
「女の忍者は見たことない? くノ一よ、くノ一。可愛いでしょ?」
紅色の口元に指を当てて、くノ一は微笑んだ。
自身の勝利を確信している者の笑みだ。
「うん、可愛い! 可愛い子は好きだよ!」
一方で都月は無邪気に笑う。
これもまた、自分が負けることを想像していない顔だった。
「ふふっ、あなたも可愛いから私の絵巻に加えてあげる!」
くノ一の広げた巻物から、無数の黒い腕が表れる。
腕たちはまっすぐに、素早く都月へと向かっていった。
「俺、捕まる気はないよ? 野生の中で培った狐の足を侮らないで!」
確かに黒い腕の動きは速いが、優れた勘で先回りして動く都月には敵わない。
力強く大地を蹴って、腕の間をくぐり抜け、その射程外へ。
(炎……は、巻物の中に誰かいたら大変かもしれない。なら……)
動きながら頭を巡らせて、都月は対処を考える。
「氷の精霊様!」
都月が掲げた手から、氷の矢が幾つも放たれた。
目標は、くノ一の背負う巻物だ。
矢の当たったところから、巻物は凍りついていく。
「やだ、巻物が!」
「次は風の精霊様、お願いします!」
続けて放たれたのは、風の矢だ。
激しいかまいたちを纏う疾風の矢が、今度はくノ一目掛けて飛んでいく。
「きゃっ! あぶなーい!」
身体で庇うように凍った巻物を抱えたくノ一が、都月から離れていった。
視界からどろんと消えたくノ一を探すが、辺りには見当たらない。
矢の何本かは当たっただろうが、倒し切るには至らなかった。
「……可愛かったな、女の子」
残念そうに呟く都月。
くノ一が去っていったところは、少しだけいい匂いがした。
大成功
🔵🔵🔵
龍・雨豪
コイツがこの騒動の黒幕ね?
なんか変なこと企んでるみたいだから、その前に決着を付けたいところね。
龍の力を行使して、この戦場では魔法や飛び道具が使用できない、接近戦のみ許されるルールを課して、その間に可能な限り多くのダメージを与えるわ!
動き辛くならないように焦らずゆっくり愛嬌を振りまきながら近づいて、技を出せずに隙だらけの相手を満面の笑みでビンタしてやりましょ。
そして、ぎゅ~っと抱き着いてあげるわ、思いっきりね!
UCの効果中に抱きしめ続けて倒せれば良し、効果が切れて相手の術で絵巻にされちゃってもダメージは与えたから良しとしましょ。
これだけ弱らせれば、他の誰かが止めを刺せるはずだしね。
●可憐龍人絵巻
(コイツがこの騒動の黒幕ね?)
宴会場に現れた封魔士くノ一を見て、龍・雨豪(虚像の龍人・f26969)が近づいていく。
くノ一の目的は絵巻を作ることだというのなら、時間をかければ猟兵たちの戦力が削られていくはずだ。
その前に、決着を付けなければならない。
「わぁ! すっごーい! その絵巻、可愛い子を集めてるの?」
雨豪は両手を組んで、興味津々といった様子で封魔士くノ一へと近づいていく。
過剰かもしれないけれど、少し腰もくねらせておく。
可愛い行動を取っていれば行動は制限されないし、好意的な態度をとっていればくノ一も邪険にはしないだろうという思惑があった。
「あら、あなたは分かるクチ? 特別に見せてあげようかしら?」
満更でもないといった様子で、くノ一は巨大巻物を広げる。
写真撮影のようにピースする鬼娘、抱き上げて欲しいと言わんばかりに両手を広げる女吸血鬼、正面を指差してウインクしている女ヒーロー。
可愛らしい女たちの絵姿が、そこに写されていた。
「ほんと、可愛い~!」
くノ一のすぐ正面に立った雨豪が媚びた声を上げる。
ここまで来れば既に、雨豪の間合いの内だ。
「だけど、趣味じゃない」
極めて平静に、満面の笑みのまま、雨豪はくノ一の頬を張った。
乾いた音が宴会場に響く。
「ッ! このっ、騙したわねぇ……!」
頬がひりひりと痛んでから、くノ一は自分がビンタされたことに気付いた。
素早く印を結び、開いたままの巻物を雨豪へと向ける。
だが、何も起こらない。
くノ一の狼狽が、雨豪にも伝わる。
「それはダーメっ」
雨豪の角から発せられる干渉波。
それにより全ての魔法や飛び道具を禁止する法則を制定していたのだ。
その隙に、雨豪はくノ一を抱きしめる。
「ん! なによ、急にハグ? 柔らかくて役得だけど……って痛い痛い痛い!」
みしみしとくノ一の骨が軋む。
雨豪が力の限り締め付けているのだ。
いくら胸が柔らかくとも、龍の膂力で締め付けられては、ひとたまりもない。
だが、このまま封殺というわけにはいかない。
龍の力を以てしても世界の法則を歪める代償は大きいのだ。
(そろそろ効果が切れちゃいそう……)
干渉波が止むと同時に、待ちわびていたと言わんばかりに、巻物から無数の黒い腕が飛び出した。
腕のそれぞれが、雨豪の身体を掴んでくノ一から引き剥がす。
「よくもやってくれたわね……! あんたはぜーったい出してあげないんだから!」
締め付けられて呼吸もできなかったのだろう、息を荒げながら、くノ一は雨豪を睨みつけた。
雨豪の腕力でも抵抗できないほど強い力で巻物へと引き寄せられて、足先から水面に落ちるかのように波紋を作って紙の中へ。
「それじゃ、あとはお願いねっ」
下半身まで吸い込まれてしまったところで、他の猟兵へと向けてひらりと手を振る雨豪。
次の瞬間には、ぺたんこ座りのまま潤んだ眼で見上げる姿の絵として、巻物に封じられてしまった。
身体が動かないだけに、周囲からの視線や、絵巻の表面を撫でるくノ一の指の感触が、やけにはっきりと感じられる。
(あーだめ、完全に動けない。このままは困るけど……まぁ、他の誰かが止めは刺してくれるでしょ)
閉じられていく絵巻。
くノ一の楽しそうな笑い声を聞きながら、雨豪の視界は暗くなっていった。
大成功
🔵🔵🔵
ルネ・プロスト
◎
※空中浮遊でふわふわ
UCは早めに詠唱開始!
山場は派手に過激に鮮烈に、その方が楽しいですものね?
詠唱中の会話は風の魔術で大気震わせ必要あらば♪
あなたが此度の黒幕さん?
あなたにはとてもとても感謝してますよ!
この様な愉快な遊び場を提供してくれて♪
折角です、あなたでわたしも遊びましょう!
腕に捕らわれ封じられるもまた一興?
されど努々忘れる勿れ♪
封は何れ解かれるが世の条理!
例えこの身を封じようとも、瞬き一つで封解き目の前に現れてみせましょう☆
全て全ては『安寧』の、封解き放つ魔鍵の業なれば♪
びっくりしました?どっきりきました?
ならばおまけも差し上げましょう!
詠唱完了、UCを解き放ち大地に大穴穿ちましょう♪
●可憐人形絵巻
「あなたが此度の黒幕さん? あなたにはとてもとても感謝してますよ!」
現れた封魔士くノ一に、ルネ・プロスト(人形王国・f21741)が語りかける。
「この様な愉快な遊び場を提供してくれて♪」
可愛らしい言動しかできない猟兵や妖怪たちは、見ていてとても愉快だった。
ルネは満足げに唄う。
それから両手をぱんと叩いて、ぱっと笑顔の花を咲かせた。
「折角です、あなたでわたしも遊びましょう! 淡き月影、水面の月よ─────」
そう言って、ルネは魔術の詠唱を始める。
長い長い詠唱を用いた、大魔術の詠唱だ。
辺りに満ちる妖気とルネの魔力が混ざり合って、迸る雷光が苛烈な音をたてた。
「わたしであなたが? ふふっ、あなたでわたしがでしょう?」
くノ一は目を細めて、背負っていた巨大巻物を開く。
巻物の白いページから現れたのは、無数の黒い腕だ。
まるで幽霊のようにゆらりと腕が伸びて、ルネの身体を掴んでいく。
「腕に捕らわれ封じられるもまた一興?」
抵抗することなく、腕に拐われて巻物の中へと引き込まれてしまった。
絵巻に写されていたのは、スカートの裾を少し持ち上げて、首を傾げて微笑んでいるルネの姿。
「ああ、可愛らしいお人形さん。大切に愛でてあげるわね」
くノ一は巻物に頬を寄せて、愛おしそうにルネの絵を撫でる。
こうなればもう、ルネにはなにも出来ないだろう。
そう思って勝利を確信している顔だ。
(封は何れ解かれるのが世の条理!)
行動に強制力のある妖気と、黒い腕による封印の組み合わせは強力だ。
だが封印という話であれば、ルネにとって抜け出すことは難しくない。
封魔士くノ一が瞬きをしたわずかな時間で、ルネは外の世界へと現れた。
突如として目の前に姿を見せたルネに、驚いた封魔士くノ一が声を荒げる。
「嘘でしょ……!? 絵巻から抜け出せるなんて!」
「全て全ては『安寧』の、封解き放つ魔鍵の業なれば♪」
月長石の杖を掲げてルネが唱う。
それに応えるように、石が蒼白く輝いた。
(びっくりしました? どっきりきました? ならばおまけも差し上げましょう!)
戦場に満ちる魔力は最高潮。
ルネが封印を破ったことで、周囲の猟兵たちの士気も十分。
「────墜つる光の災禍をここに!」
ルネが人差し指を掲げると共に、魔術の詠唱は完成した。
宴会場の空を覆うほどの結界魔術だ。
見たことがあるだろうか、結界が変形して月になるところを。
聞いたことがあるだろうか、エネルギーが巨大な質量となって打ち出される音を。
術を破られた封魔士くノ一が狼狽えているその間に起きたことだ。
宴会場を中心に発生した轟音と光。
それが止むころに残っていたのは、戦っていた猟兵たちの他には、倒れている妖怪が何人か。
巻物に封じられていた者たちだ。
女妖怪の姿に変えられていた者たちは、元の姿に戻っている。
それはつまり、黒幕である封魔士くノ一の消失を意味していた。
大成功
🔵🔵🔵