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歌姫の呼び声

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #栄華と破滅の歌姫 #スターライダー

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●カンタービレの嘆き
 スペースシップワールドの全人類と銀河帝国のオブリビオンが戦った、銀河帝国攻略戦から2年。
 スペースシップ『カンタービレ』の人々は、悲しみに包まれていた……あの人類存亡の瀬戸際の中もうちひしがれる人々をその歌声にて励ましつづけてくれた歌姫『キアーラ』が、何の前触れもなく失踪を遂げたのだ。
 カンタービレ社会の暗部に潜むマフィアの関与を疑う者。銀河帝国残党による報復行動だと主張する者。
 悲しみと憤りが人々を揺るがして、あわや犯人探しが人々に断裂を揺るがさんとしたその時……。

 ……歌が、聞こえた。

 歌姫キアーラの歌だった。優しく、けれども力強く澄み渡るあの歌声だ。
 歌姫は動揺の中にある人々に呼びかけて、悲しみのあまり誰かを傷つけてしまいそうになっていた者たちをたしなめる。

 宇宙は一つ。平和も一つ。
 争うべき時と相手をを違えてはならない。人々が当たり前に為すべきことは、他ならぬ人々自身が知っているはずではないか。

 宇宙は一つ。平和も一つ。
 それを成すには何を信じるべきかを、いま一度胸に手を当てて考えてみよう。
 宇宙は一つ。平和も一つ。
 宇宙は一つ。平和も一つ……。

 ……ただ銀河帝国に従うことのみが、人々の唯一の幸福なのだ。

●グリモアベースにて
「……などと失踪した歌姫の歌声を装ったオブリビオンが、人々を新生銀河帝国の臣民へと変えちょるようじゃ」
 ヤクモ・カンナビ(スペースノイドのサイキッカー・f00100)はそう語る。スペースシップ『カンタービレ』の人々はその歌声に導かれ、猟書家幹部『栄華と破滅の歌姫』の下へと集ってしまったのだ、と。
 彼女の歌の正体は、広範囲洗脳ユーベルコード。人々が愛した『キアーラ』の歌声を、彼女は邪悪な銀河帝国の後継者たる『帝国継承軍』を生み出すために利用している――自身の盟主『プリンセス・エメラルド』のために。

 連れ去られた人々がどう扱われるかなど、敢えて語るまでもない。最終的には身も心も改造されて、忠実な帝国継承軍の尖兵となるのであろう……が、幸いにもヤクモの予知はそうならずに済む未来を見出していた。
「今は偽歌姫も必要資源確保の最中じゃ。カンタービレ近傍の小惑星帯にて彼奴を倒せば、洗脳されて鉱石の採掘作業に従事するカンタービレの人々も皆、無事に解放できるじゃろうの」
 ただし、目下の最大の問題は、栄華と破滅の歌姫の歌声が、小惑星帯から離れたカンタービレにまで届くほど強力だということだった。近付けば、猟兵とて無事では済まぬ。それを打ち破る方法は、ヤクモの予知の中にも見つかっていない……。

「……いや、一つだけ方法はあるやも知れぬぞ?」
 ヤクモは自問自答するかのように語ってみせた。無人になったカンタービレの中を、見習いスターライダーの少年――『ジョヴァンニ』という名らしい――が彷徨っているのが見えたのだ。
「可哀想に、ある朝少年が目覚めた時には、家族も友達も皆が偽歌姫の声に導かれて出て行ってしもうた処じゃった……しかし、何故此奴だけが導かれなんだのかの? 偽歌姫のユーベルコードは寝ちょってもお構いなしに働く筈じゃ……何かがジョヴァンニだけを守っちょった……もしも、その理由さえ解き明かせたならば……」

 ……そう。猟兵たちは偽歌姫の喉元に食らいつき、計画に終止符をもたらすことができるのだ。

●少年の勇気
 人影を探して船内を調べ続けていた少年は、遂にその場に座り込んでしまった。
(キアーラの声が聞こえたと思ったら、みんな船の外に出ていった……どこの定点カメラにも同じ映像が録画されてたや)
 どうして、自分だけ……いつもポケットに入れている彼だけの宝――昔、宇宙バイクで小惑星帯に向かった際に拾った、誰も正体を知らない深緑色の鉱石を手に取って見つめる。
 くよくよした時にそうしていると、彼はいつも負けん気にも似た勇気を取り戻す感覚に包まれた。もちろん、今回もそれは同じだ。
「よし……追いかけるぞ!」
 皆がどこに行ったかも判らぬままで、彼は両親に誕生日プレゼントとして買ってもらった宇宙バイクに跨った。
 そうすれば、きっと良い出会いに恵まれるんだ……そして皆がいなくなった秘密を解き明かすことができるんだ。


あっと。
 あっと。でございます。
 既に皆様お察しのこととは思いますが、ジョヴァンニのお宝は栄華と破滅の歌姫のユーベルコードを攻略するための重要なヒントとなっております。
 彼なしでも攻略法を発見することはできるとは思いますが、彼と協力することができればよりスムーズに事を運ぶことができるでしょう。
 皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『洗脳音楽を破れ』

POW   :    洗脳音楽に耐える手段を探す/スターライダーに熱意を持って協力を求める

SPD   :    洗脳音楽の影響を避ける手段を探す/スターライダーと一緒に調査に出向く

WIZ   :    洗脳音楽の情報を集める/スターライダーの体験談からヒントを見出す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

星群・ヒカル
「よぉ、少年!おれも一緒に連れてってくれよ!艦のみんなを探してるんだろう?」
宇宙バイク『銀翼号』に『騎乗』し、ジョヴァンニと接触
『コミュ力』を生かして道中話を弾ませよう
バイクのことや両親のこと、楽しかった思い出をいっぱい聞き出せたらいいな

「おれか?おれは両親の記憶がないんだ、銀河帝国に記憶を消されちまってな。心配だけど、まぁ宇宙のどっかで生きてるんじゃないかって信じてるぜ!」

話の中で深緑の鉱石に触れられれば儲けもの
『第六感・視力』、そして《超宇宙望遠鏡・析光形態》で解析しよう
「この鉱石が、みんなを探す手がかりになるかもしれないな。お手柄じゃないか、ジョヴァンニ!」

※アドリブ歓迎


ヘスティア・イクテュス
(歌姫『キアーラ』の失踪とその歌声を装ったオブリビオンの存在…つまりキアーラは既に……ってとこかしら?)
それにしても銀河帝国…音楽洗脳好きね…


自身の船ソードフィッシュ号に乗り『ジョヴァンニ』に接触
家族、友人の元まで、そして『カンタービレ』への往復送迎船は必要でないかしら?
お代は貴方からの情報提供【情報収集】とお手頃価格よ?

帰りのカンタービレの人達の足として提供し彼に協力要請
何故彼だけが無事だったのか艦内の設備で彼を検査して解き明かせれば…


ん?Psyche Lithos?【第六感】
自身のお守り、その宝玉の輝きの中の光を見て…

彼の持ってる石、その解析をアベル、お願いするわ
わたしの勘が正しければ…



「よぉ、少年!」
 そう掛けられた声に気が付いて、ジョヴァンニは驚いたように顔を上げた。
 どうして……これまであんなに探しても見つからなかったのに、そこには銀色に輝く宇宙バイクに跨った、一人の青年の姿があるではないか。
 一体、どこに隠れてたのだろう? 少年は唖然としたまま固まっていた。それから……窺うように青年の足元から頭の先まで目を凝らす。眩しい笑顔の持ち主だ。そして、こちらへと手を差し伸べている。
「おっと、おれは幽霊なんかじゃないさ。おれは星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)、超宇宙番長だ!! そしてこいつはパートナーの『銀翼号』!」
「俺は……ジョヴァンニだ! パートナーの『フォルティッシモ』は……ええと、これから家に取りに行く!」
 明るいヒカルの声につられて立ち上がり、恐る恐る伸ばした少年の手。それをしっかりと取った超宇宙番長の手のひらは大きくて、まるでジョヴァンニを導いてくれるよう。
「おれも一緒に連れてってくれよ! 艦のみんなを探してるんだろう?」
「そうだぜ! ……でも、なんで判ったんだ?」

 思わず疑問を口に出してから、少年ははっとして急にもじもじとし始めた。
 カンタービレ内の街並みはすっかり静まったまま。少し辺りを観察するだけで、この船の人々が忽然と消えたことなんて言われずとも判るに決まってるじゃないか。
 恥ずかしそうな顔を浮かべた少年は……すぐに悲痛そうに表情を変えた。そうだった、皆、いなくなってしまったんだった。友達も、先生も……そして彼の両親さえも!

「心配か?」
 ヒカルは優しい声で囁いてみせた。
「この程度! ……」
 怒ったように返した少年……は、すぐに再びしゅんとする。心細さと、不安と、何もかもが綯い交ぜになって、彼自身でもどうにもできないのだろう。
「なあにジョヴァンニ。まだ幾らでも方法はあるさ」
 再び囁いて遠くを見つめるヒカルの両目には、ジョヴァンニにはまだ解らぬ確信が篭められていた。
「だってそうだろう? おめぇはまだ想い出までは奪われてない。そいつは細い糸だが、手繰ることができる……だから、おめぇ自身の力でみんなを取り戻せるんだ!」

 その時カンタービレ船内に警報が鳴り、次の瞬間には船内に衝撃が走った。
「何だ!?」
 周囲を見回すヒカルにジョヴァンニは叫ぶ。
「デブリ警報だ! そうか……迎撃レーザーやシールドの係員もいなくなったから、この船は接近するデブリを止められないんだ!」
「まさか……!」

 ヒカルが見上げた全天ディスプレイの中では、大型の隕石の姿が見る見る大きくなりはじめていた。先ほどの衝撃はその周囲の小デブリ。それすら止められなかったカンタービレは、あの隕石に何ができるだろうか?
(無事で済んでくれ……!)
 ぐんぐんと近付く隕石の姿。カンタービレとの衝突軌道にあることは明らかだ。居住区への致命的な損傷を避けるだけでも良いほうだろう。もう、ジョヴァンニにできることはない……奇跡が全ての運命を覆すことを祈る以外には!!

 ……が、ジョヴァンニが目を瞑ろうとしたその直後……まさしく奇跡が起こったのだった。
 まずカンタービレに起こった変化は、全天ディスプレイの左から右に、まばゆい光が通り過ぎていったことだ。
 その光は隕石の真ん中を完全に貫いており、それを上下の塊に分かつ。二分された隕石は木の葉のように呆気なく吹き飛んで……カンタービレが感じたものは、微小な破片による些細な揺れくらい。

 隕石を分断したレーザーの残光が少しずつ和らいでゆき、ジョヴァンニがほっと胸を撫で下ろした少し後。
 カンタービレの全天ディスプレイは不意に変わって、中央に一人の少女の姿を映し出していた。
「家族、友人の元まで……それから彼らを連れてカンタービレへの、往復送迎船は必要でないかしら?」
 いまだに船外を映すディスプレイ周辺部の左側からは、青と白の機動宇宙船の姿が現れてくる。そう……この宇宙船こそ隕石を破壊したソードフィッシュ号。そしてその船長――カンタービレに奇跡をもたらした張本人こそが、この少女、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)なのだ。
「お代は貴方からの情報提供。お手頃価格で十分よ」
「情報って……別に売れそうな情報なんて持ってねえけど……」
 ジョヴァンニが口ごもったならばヘスティアは心外そうに、貴方自身が、この失踪事件の謎を解く、この上なく貴重な手がかりなのではなくて、と首を傾げた。
 ……そうだ。皆がいなくなった中、どうして自分だけが無事だったのかという情報は、間違いなく凄まじい価値のあるものだとジョヴァンニも気付く。ただ、それが何であるのかは、彼自身にだって解らない。
 ジョヴァンニは悔しそうに唇を噛んだ。大丈夫、と宥めるヘスティア。それからふと蝶型の帯留めに目を遣って、不思議そうにこう訊ねる。
「そちらの船の施設で調べれば、きっと原因が判る筈だわ。……あら? Psyche Lithosが深緑色の輝きを帯びているわ? 貴方、何か、緑色の大切なものを持ってないかしら……?」

 ………………
 …………
 ……

『……お嬢様。ジョヴァンニ様の鉱石から、宙域に広がる洗脳音波を中和する波動を検知致しました』
 ヘスティアのサポートAIはジョヴァンニの鉱石を一目見るや否や、そのような分析結果を主人に送付した。本当に銀河帝国は音楽での洗脳が好きね……溜め息を吐きながら、ヘスティア自身もキアーラの声と洗脳音楽の音波を比較に掛ける。
(瓜二つね……洗脳音楽のほうには巧妙に邪悪さが隠されていることを除けば)
 嫌な想像が頭を巡る。失踪した歌姫と、その歌声を装うオブリビオン。どうしてキアーラは失踪せねばならなかったのか? もしかしたら、彼女は既に……。

 だが今はもっと考えるべきことがあると、すぐに彼女は頭を切り替えた。同じことは自分のみならず、ヒカルだって気付いているだろう。
 なのにヒカルはおくびにも出そうとしない。此度の事件は悲劇だが、けれども必ず皆を助けられるという口調を崩さない。
「お手柄じゃないか、ジョヴァンニ! この鉱石が、みんなを探す手がかりになるかもしれないな!
 言ったろう、まだ諦めるには早いんだぜ! そのためにもおれに、もっといろんなことを聞かせてくれ! そうだな……例えば、この鉱石はどこで手に入れたんだ、とか。……ほぉ、バイクで小惑星の珍しい鉱石を集めるのが趣味なのか! 両親にも褒めて貰った? そいつは羨ましいなぁ……いや、おれは厳しかったとかじゃなくてだな……」

 ……そうして準備が整った頃には、ジョヴァンニはもう少年ではなくなっていた。
「ああ……ヒカルの言う通りだ。俺は銀河帝国の奴なんかに洗脳されちゃないし、ヒカルみたいに奴らに記憶を消されたわけじゃない。
 今の俺には味方もいるし、何をすればいいのかも知ってる。何も憶えてないはずのヒカルだって両親が宇宙のどこかで生きてるって信じてるのに、俺がくよくよするわけにはいかないじゃないか!」

 ジョヴァンニ少年――いや、今や決意を抱いた一人のスターライダーは、拳を握ってこう呼び掛けた。
「今から、この鉱石を見つけた小惑星に案内するぜ! 場所は……えっと、洗脳音波が広がる宙域に入るか入らないかの辺りになるのか?
 兎に角……俺についてきてくれ! たくさん発掘できれば絶対に銀河帝国のやつらに勝てるぜ!!」

 その視線の先をヒカルが追ったなら……その『星の目』に、遥か遠く、深緑色に照らされる小惑星の姿が浮かび上がってきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
貴方がジョヴァンニ様ですね
先の猟兵の方々から事情は伺っております
宇宙船カンタービレの人々の救助の為、騎士としてご助力させて頂きます

(機械馬に騎乗し現地へ)
さて、洗脳音波対策となる鉱石の入手となるとある程度の量が必要ですね
となると採掘も視野に入りますか

ワイヤーアンカー先端を小惑星に突き刺しマルチセンサーで構成成分●情報収集、ジョヴァンニ様の情報や●世界知識から件の鉱石の鉱脈などの所在を●見切り

爆破作業は破壊力よりも効果半径の調節精度こそが肝要なのですよ
…帝国との戦いでは剣だけに頼れませんでしたので(視線逸らし

UCを小惑星に仕掛け●破壊工作知識で適切範囲を爆破
●怪力で採掘作業を行い鉱石を確保



 宇宙の彼方で明滅する深緑色の光は、次第にその明るさを増していった。
「本当に、この石でみんなが助かるんだよな……」
 ポケットの中の石を握り締めながら宇宙バイクを駆るジョヴァンニの口ぶりは疑念にあらず。確信と感慨に満ちている。
 隣にはもう一機の宇宙バイクが並び、さらに彼らを護衛するかのように、機動宇宙船まで伴走している。
 しかも、それらを率いているのが自分なんだ……独りで宇宙を駆けていた時とは違う、先輩スターライダーたちのツーリングの末席に加えて貰った時とも違う、不思議な高揚感がジョヴァンニを襲う。
(……いやいや違う! 俺はそんなことで満足しちゃいけないんだ! 満足するのはこれからもっと先、みんなを無事に助け出し終えるまで取っておくんだ)
 その高揚感を、彼は慎重に心の奥に仕舞い込むことにした。そして、それを希望へ向かって進む原動力へと変える。

 そうだ、希望だ。世界に絶望を振りまかんとする者に、必ずや抗ってみせんとする意志だ。
 その意志と正しき行動さえあれば、運命は自ずと導かれてくれる。見よ、まるで彼らに寄り添うように、新たに近付いてくる銀色の軌跡を。
 それは宙駈ける騎馬であり、高らかに長剣を掲げた騎士だった。
 無論、それは生身の存在ではない。全身が金属で作られた馬の後部では、煌々と大出力スラスターが輝いている。剣を掲げる騎士さえも、その白銀の鎧こそが彼の躯体。正義と騎士道を備えたウォーマシン。
 騎士――トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はジョヴァンニに並走しながら、騎士らしく通信回線の確立を請願した。
「事情は伺っております。宇宙船カンタービレの人々の救助の為、私にも騎士としてご助力させてはいただけませんか?」

 鉱石の採集なんて仕事が騎士らしくないことなんて、誰よりもトリテレイア自身がよく解っていた。
 騎士とは敵と戦うものであり、石と戦うのは鉱夫の仕事だ。

 だが……それでは銀河帝国を討ち果たせない。それもまたトリテレイアは知ってしまった。
(先の戦いでは剣だけに頼れませんでした……その事実をジョヴァンニ様に悟られぬため視線を逸すのと同様に、真実からも目を背けられればどれほど良かったでしょうか?)
 彼は騎士であるが故、自らを欺くことなどできぬ。たとえ行為こそ騎士らしくなくとも、魂は騎士であることを選ばねばならぬ……だから。
「ここは私にお任せ下さい」
 ようやくすぐそこまで近付いた、細長い深緑色の小惑星に、成分分析装置つきワイヤーアンカーを射出した。分析装置が結果を返す。間違いない……この小惑星全体が、洗脳音波を打倒する鉱石そのものなのだ。
 ならばと、そこに内蔵特殊削岩弾を叩き込んだ。それは騎士の武器ではないどころか兵器ですらもない。
 だとしても……この装備で誰かを救うことができる。であればどこに不満などあろう? それが武器かどうかなど、些細な違いではあるまいか?

 トリテレイアの叩きつけた腕を中心に、小惑星の内部に光が広がった。
 そしてその光が爆発へと変化する。生まれたクレーターを中心に、深緑色の破片が宇宙空間を、ここまでも微かに聞こえてくる洗脳音波の影響のない、清浄な空間へと変えてゆく。

 深緑色の輝きに包まれた星空を見上げて、トリテレイアは安堵とともに独り言ちた。
「爆破作業というものは、破壊しすぎず足りなさすぎない、効果半径の調節精度こそ肝要というもの。私はそれを、やり遂げたでしょうか……? だとすればこの調整技術は、必ずや、今後の銀河帝国との戦いの中でも役に立つに違いありません」

大成功 🔵​🔵​🔵​

山梨・玄信
歌による洗脳か。帝国も人気アーティストを利用しておったが…音楽も使用者次第か

【POW】
耳栓をする…くらいでは対抗出来んのじゃろうな。ならば正攻法で行くしかあるまい。
ジョヴァンニ殿に接触して、歌への対抗策を見つけるぞ。

褌一丁になってから宇宙服を着て、UCを発動して宇宙バイクを追うぞ。
追いついたら通信で自分が猟兵である事を伝え、協力を申し出るのじゃ。

「待ってくれ。わしは怪しく…怪しい者じゃが猟兵じゃ。お主の力になれると思うぞ」
「ふむ。お主だけが洗脳されなかった…何か特別な力でもあるのかの?それとも、御守りでも持っているのかの?」
「なるほど、鉱石か。わしは鉱石掘りの経験もあるから役立てると思うぞ」


高柳・零
【POW】
玄信さん!その格好で突撃したら不審者ですよ!
…なのでフォローします。

カンタービレの人々を守る想いと共にUCを使用。玄信さんの後を追います。
「いくら同性だからって褌一丁の男が飛んできたら普通の人は逃げますよ!」

「ジョヴァンニさん、自分も猟兵です。その人は…ちょっと変ですが悪い人でははないです」
ジョヴァンニさんを落ち着かせから、自分も協力を申し出ます。
「カンタービレの皆さんを助けたい想いは自分達も一緒です。1人より大勢で行った方が上手く行くと思いませんか?」

鉱石の情報は先達が掴んでいるようなので、それに協力します。
「自分もサムエンで鉱石掘りを2年程やってますので、お力になれますよ!」



 深緑色の星空は、次第に小惑星の微弱な重力に従って再び母なる小惑星自身に降り積もらんとしていた。
 ジョヴァンニ自身も小惑星に降り立って、降り注ぐ深緑色の雨を下から見上げる。手の中には、彼の宝物……それと降り注ぐ雨を見比べて、全く同じものであることを確認し、それから両者が混ざらないように、自分の宝物だけを宇宙服のポケットに大切に仕舞い込む。
「あとは……この欠片を拾って、オブリビオンを倒しにいって……そうすればみんな戻ってくるわけか……」

 オブリビオンとの戦いという危険な場所に、自分が赴けるとは思っていなかった。ジョヴァンニの認識では彼らと戦えるのは猟兵のような本当の精鋭ばかりで、自分が行っても足手まといになるに違いないのだ。
 そんな事実が……堪らない悔しさとなってジョヴァンニを襲う。高揚していた気分は一転、暗澹たる深淵へと突き落とされたかのようだ。
 猟兵たちはきっと自分を、解放した人々のところまで連れて行ってくれるだろう。だが、その時には戦いは全て終わった後だ。自分にとって最後の戦いは、ここが最後なのだろうと噛み締める。だからどんなに気分が重くとも、ここでの仕事――鉱石の破片拾いを成し遂げねばならぬ――。
「ふむ……? 何を思い悩んでおるのかのう……?」

 唐突に思考に割り込んできたそんな通信に驚いて見回すと、ジョヴァンニから少し離れたところにぎょっとする光景が広がっていた。
 えっほ、えっほ。そんな効果音が聞こえそうなくらいてきぱきとした手つきで鉱石を拾い集めているのは、宇宙空間であるにもかかわらず生身のやけに小柄な人間。しかも……それが身に着けるのは腰に巻き付いた、たった一枚の褌だけだ。まるで浅黒く黒光りする力強い肌を見せつけるかのごとき威容は、ジョヴァンニをしばし呆然とさせ手の中に集めた鉱石片を取り落とさせるのに十分だったろう。
「ま、待ってくれ! わしは怪しく……怪しい者じゃが猟兵じゃ! お主の力になれると思うぞ?」
「ああもう、玄信さん! その格好で突撃したら不審者ですよ! いくら同性だからって褌一丁の男が宇宙空間にいたら普通の人は逃げますよ!」

 慌ててこちらに飛んできた謎のテレビ頭の聖騎士は、あまりに驚きすぎたせいで逆に逃げるタイミングを失ったジョヴァンニの前で平身低頭平謝りしてみせた。この人も……ちょっと変ですが悪い人ではないんですけどね。そう釈明するテレビウムにジョヴァンニは、ちょっとどころかかなり変では、という気もしたが、考えれば猟兵たちというものは、往々にして常識に囚われぬものだろう。ようやく最初の衝撃から落ち着けば、ジョヴァンニも猟兵たちが特別な宇宙服を得て銀河帝国と戦ったこと――生身とさほど変わらぬまま宇宙を駆ける力を持つことを思い出す。
 ともあれドワーフは山梨・玄信(3-Eの迷宮主・f06912)、テレビウムは高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)と名乗り、ジョヴァンニに同行を申し出た。もちろん、断る理由なんてない……たとえ衝撃的な出会いを果たしたところで、猟兵は憧れのヒーローだ。むしろ年頃のジョヴァンニにとっては、ヒーローは少しくらい突飛な存在であってくれたほうが特別感が強く見えて嬉しいくらいかもしれない。

 ここに三人は互いに強く握手を交わし、まずは目下の“戦い”に精を出すことにした。すなわち、十分な量の鉱石を集め、小惑星帯の中心部に向かうにつれ強くなるだろう栄華と破滅の歌姫の洗脳音楽へと抗うことだ。
「わしはドワーフじゃ。鉱石掘りの経験もあるから役立てると思うぞ」
「自分もサムライエンパイアでは、鉱石掘りを二年ほどやってますので、お力になれますよ!」
 玄信と零はそれぞれそう胸を張ると、やはりえっほ、えっほと鉱石片を拾いはじめた。一心不乱に目の前の仕事と格闘する彼らと一緒にいると、つい先ほどまでジョヴァンニの心にわだかまっていた重い考えも、この瞬間だけはまるでどこかになりを潜めてしまったようにも思える。
「あの……」
 だから彼は意を決し、二人に尋ねてみることにした。
「俺は船のみんなを助けるために、できることをするつもりでいたんだ。そして実際にこうやって、助けるための準備をしてる」
 でも……自分にできることはそれまでなのではないか? それが不安であるとジョヴァンニは吐露する。
「だって、そうだろ……? 俺は確かに運がよかった。オブリビオンの洗脳から逃れたばかりか、洗脳を打ち破る方法を知るための手がかりを持ってた」
「ふむ。その石の――この小惑星のことじゃのう」
「だけど……実際にオブリビオンと戦うのは猟兵のみんなだろ? 俺だってやってみれば少しくらいは戦えるかもしれないけど、きっと、ほとんどみんな任せだ。
 ……本当に、それでいいんだろうか? もっとできることはあるんじゃないか?」

「ジョヴァンニさん。大切なのは、まさにその想いなんですよ」
 それを零は諭してみせた。
「カンタービレの皆さんを助けたい想いは、自分たちも一緒です。そうでなければいくら猟兵であっても、どうしてわざわざ危険なオブリビオンの下にやって来るでしょうか?」
 だから、同じ想いを抱くだけでいい。誰もが、自分のできることをするだけでいい。できないことを恥じるのではなく、できることだけを誇ればいいのだ。
「ですから……一人より大勢でゆく方が上手くゆくとは思いませんか? 戦えないでもそれは同じです。近くで応援してくれる人がいるというだけでも、十分に価値のあることではありませんか?」

 それ以上の言葉は必要なかった。ジョヴァンニはしばし考え込んだ後、どこかほっとしたような表情へと変わった。
(これで大丈夫じゃの)
 そのことに玄信も同じ表情を浮かべ……それからふと真剣な眼差しを作ると、栄華と破滅の歌姫の悪辣な計略を必ずや討ち果たしてみせんと拳を握る。
(猟書家め。歌とは元来こうした笑顔を作るためのものじゃろうに、それを洗脳の道具に仕立て上げるとは。銀河帝国も同じようなことをしてはおったが……まさしく、音楽も使用者次第といったところじゃな)

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミリアリア・アーデルハイム
スターシップって初めて来ました!

洗脳を避けるため、自分に聞こえる程度で浄化の祈りを込めた歌を歌う
「歌唱、祈り、浄化」

「私が洗脳を受けた場合、浄化および掃除で影響を除去して」と箒に依頼

宙港に向かいながら「屏氷万里鏡」を展開して少年を探す
着けば、監視カメラの映像を確認して「情報収集」
人々がどこへ向かったか、少年がどこに居るか調べる
少年が見つかれば協力を要請

「最悪のシナリオはこうです。
不老不死不変の研究成果を以て『キアーラ』さんの偽物が量産され
世界各地に同時に現れ一日にして銀河帝国が再来する…
今、世界を救うために貴方の助けが必要なのです」

UCでジョバンニくんの心を癒す



 その時……新たな歌が近付いてきた。
 栄華と破滅の歌姫の作る、美しく甘くも邪悪な支配の歌とは対照的な歌だ。明るく軽やかにして希望に満ちた、真に人生を楽しむような歌。
 もっとも、その歌声が聞こえていたのは、歌声の主ばかりではあったが。ほとんどミリアリア・アーデルハイム(かけだし神姫・f32606)の口の中だけで囁かれるばかりの、あまりにも小さく綴られるメロディ。

 でも……それは小声ではあるけれど、確かに力強い歌だった。聖女にして魔女なる小女神の、オブリビオンの悪意に抗う祈りであった。
 だって、そうでしょう? ここは大気にも大地にも阻まれることのない星空が、どこまでも眩しく、色とりどりに続いている世界。これほど美しい世界をオブリビオンの悪意で満たしてしまうだなんて、そんな恐ろしいことがあっていいわけがない!

 ミリアリアが生まれて初めて訪れたスペースシップワールドは、あたかも無限の広さであるかのように見えた。
 地上と異なり瞬くことのない、絵画のような星々が、上も、下も、あらゆる角度から彼女を覗き込む世界。ともすれば自分がどこに向かうべきなのかさえ判らなくなりそうな、圧倒的スケールの開放感。
 口ずさむ祈りがますます弾むのはきっと、そうしたくなるだけの冒険の予感が、全身に染み渡ってくるからだ。

 彼女の屏氷万里鏡に映る少年の姿を求めて、どこまでも続く星の世界を縦横無尽。魔女は箒に跨がったまま、相当の時間をおぞましき歌広がる宙を旅したはずなのに、どこにもオブリビオンの悪意を受けてはいなかった。
 それは……彼女の破邪の歌声が、本当に偽歌姫の歌声を打ち消したがためか。それとも実際には歌声自体には効果はなくて、ただ掃除に関しては一家言ある彼女の箒が、歌声の邪悪な影響を掃いて捨ててしまったせいか。
 だがいずれにせよ一つだけ、間違いなく言えることがある。

 ……このまま栄華と破滅の歌姫を野放しにしていれば、いつかはそんなミリアリアさえ洗脳音楽に囚われるだろうということ。

 だから彼女はジョヴァンニの手を取って、自分の手を祈りの形に作って包み込んだ。
「さあ、共に最悪のシナリオから世界を救いましょう。そのシナリオとはこうです……オブリビオンの、不老不死不変の研究成果を以て、キアーラさんの偽物が量産されること」
 ごくり。ジョヴァンニが唾を飲んだのが判る。
「その時には、偽歌姫が世界各地に同時に現れて、一日にして銀河帝国が再来してしまう……」
 ミリアリアの言葉に彼は、真剣に耳を傾け続けている。それがどれほど恐ろしいことかをこの宙域で最もよく知っているのは、きっと彼であっただろうから。
 それからミリアリアが一度言葉を置いたなら……ジョヴァンニは、こんな言葉を彼女に掛けた。
「なあ……止められるんだよな」
 それは疑問から出た言葉ではない。疑問というよりはむしろ、確認に近い訊き方だ。これだけ頼もしい味方が集まってくれているのなら、自分さえ信じれば万事上手くゆく……その予感を彼女に後押ししてほしい、そんな願いから生まれた言葉だ。だから……。

「……はい。今、世界を救うために貴方の助けが必要なのです」
 そのミリアリアの肯定は、ジョヴァンニの心身に力を与えてくれる。

成功 🔵​🔵​🔴​

涼風・穹
カンタービレから出て行った方々を『スカーレット・タイフーン・エクセレントガンマ』で追いかけてみます
どんな洗脳方法でも相手によって効き目や持続時間にばらつきはあるだろうから道中で正気に戻っている方がいるかもしれない
或いは正気でない状態での移動なら普段なら有り得ないような乗り物の故障や操作ミスで脱落する方もいるかもしれないしな
誰か捕まえられたなら色々と話を聞いてみます

もし何の対策も出来ていない状態で歌姫の歌声が聞こえてくれば取り合えず《起動》で自分自身を『イグニッションカード』に封じて歌い終わるまでの時間が経過するまでやり過ごします
ユーベルコード製の異空間にまでは流石に影響を及ぼせない…と思いたい



 そうして完全に意気を取り戻したジョヴァンニが、山ほどの鉱石を拾って小惑星を離れていた頃。

 小惑星から少しばかり小惑星帯の中心に近い宙域を、涼風・穹(人間の探索者・f02404)は独り宇宙バイクにて航行している最中だった。
 次第に耳鳴りのように頭に響き始める歌声は、猟兵を以ってしても抗うのが困難なほどの誘惑にて穹を苛んでゆく。それを……時折手の中のカードを《起動(イグニッション)》。すると彼と彼の乗るスカーレット・タイフーン・エクセレントガンマの姿は一瞬にして旋風へと変わり、カードの中に吸い込まれてしまう。

「……よし」
 カードに吸い込まれると同時に全身に浴びせられはじめた金属音に馴染み深さを感じつつ、穹は袖にて額を拭う。そして……いつの間にか自分が嫌な脂汗を浮かべていたことに初めて気付く。
「やっぱり、これ以上は鉱石を取りに戻ったほうが安全だろうな」

 頭上高く広がる屋根では、クレーンやレール、その他幾つもの装置が慌ただしく動き回っていた。
 ここはいわば、穹だけの秘密基地。ユーベルコードにて作られたこの整備工場は、穹が跨っていたバイクから降りた途端に、自動的にバイクを回収してメンテナンス作業をしはじめる。
 そうして手持ち無沙汰になった暇を潰すかのように、穹は工場の中をゆっくりと歩き回りはじめた。先ほどまであれほど彼を苛んでいた洗脳音楽は、今ではすっかり大人しくなっている。
「どうやらさしもの猟書家も、ユーベルコード製の異空間にまでは流石に影響を及ぼせなかったようだな」
 だとすれば……きっと、穹の勝利だ。修復装置があくせく働く区画を通り過ぎ、もう少し静かな区画をへと足を進める。そこは、本来は広めの資材置き場であったはずの部屋だ……けれども今は資材の代わりに、幾つもの毛布が敷き詰められている。

「ようやく洗脳の影響も取り除けてきたな」
 毛布の上に並べられていたのは、眠ったままの幾人もの人々だった。老若男女さまざまではあるが、共通点は少なからず怪我をしているということだろう。
 彼らを保護した時のことを穹は思い出す。
 彼らの“主”――栄華と破滅の歌姫の下に急いだあまり、障害物に衝突して乗り物から放り出された者。燃料不足を確認し損ねて、途中で置いてゆかれてしまった者。
 正気でない彼らを回収するには幾分骨を折ることになったが、その成果が彼らのいち早い救助――それから敵の新たな弱点の発見に繋がったのだとすれば、苦労の甲斐はあったはずだ。

 その時……寝かされていた中の一人の男が、ふと目を覚まして体を起こした。
「大丈夫か? 何があったのかは憶えているか?」
 穹が気付いて駆け寄れば、呻きながら訥々と言葉を紡ぎ出す男。
「キアーラの声が……皆が、競うかのように殺到し始める。あの声は、抗い難い……小惑星帯の中央に近付くにつれて、歌声はますます思考に靄をかけるんだ……。だが、まだはっきりとはしきってはいない……どうか、あの声の主を取り除いてくれ……そうでもなければこの靄は、きっと完全には晴れてくれない……!」

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『栄華と破滅の歌姫』

POW   :    さあ願うのです、帝国による再統一を
【民衆の知る有名な歌姫そっくりな姿 】に変形し、自身の【四肢】を代償に、自身の【帝国復活を願い行動するよう洗脳する歌声】を強化する。
SPD   :    銀河再統一を果たせるのは帝国だけです
【銀河帝国による銀河再統一を願う歌 】を披露した指定の全対象に【帝国継承軍を支持し帝国の復活を願う】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    抵抗する者は死し、賛同する者は生き残るでしょう
自身が【敵を蹂躙し味方を称賛する歌を歌って 】いる間、レベルm半径内の対象全てに【抗う心を砕き死に導く言葉】によるダメージか【従順な心を育み栄光へと導く言葉】による治癒を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠森宮・陽太です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 カンタービレの人々を救うには猟書家自身を打倒せねばならなかったが、それでも宙域に広がる洗脳音楽自体は、鉱石を手に入れた今の猟兵たち相手には形無しだった。
 どれだけ心を揺さぶらんと欲しても、あの深緑色の鉱石が音波を打ち消してしまう。仇敵さえ配下へと変えてしまうはずの空間が、悪を討つ者たちの到来を妨げない。

 ああ──憎むべき異常事態が近付きつつあることに、栄華と破滅の歌姫も気が付いた。
 カンタービレの人々が強制労働させられる小惑星帯の中心の、まるで棺桶を思わせる何かの装置の上で。彼女は、猟兵の来たる方角を凝視し息を吸う。そして……。

 破滅的音波。

 無差別に放たれただけの歌は鉱石に阻まれ、辛うじて無害に留まりはしたが、それは彼女が本気で猟兵たちに悪意をぶつけようと思ったら、深緑色の鉱石すら役には立たないことを物語っていた。今も宙域に漂う洗脳音楽の影響だけを中和するので精一杯。
 つまり、いつもの戦いと変わらないってことだ。

 ……いいや。この場には他にも勝利の天秤を傾ける要素があり、それは猟兵たちの側にこそ微笑んでいた。
「俺にもできることがあったら言ってくれ!」
 ジョヴァンニは猟兵たちに向かって呼び掛ける。その意志だけは猟兵たちにも負けるつもりなどはなく。
「俺は一番なりたての猟兵の、さらに半分の力もないかもしれない……けど、やっぱり俺だって何らかの形でみんなと戦いたいんだ!!」
ヘスティア・イクテュス
流石に…明確に対象を定めた音波にはこの石でも防げないわね……
ジョヴァンニ、貴方の皆を思う心伝わりました。じゃあ、大切なこの船の守りを任せていいかしら?『カンタービレ』の人達を送り届ける方舟の護衛を


船を任せて、ティターニアで『空中戦』。さぁ、やりましょうか!
アベルから石を解析した波動を出し音波を『ジャミング』
それでも流石に防ぐのは…帝国継承軍を支持…帝国の復活……


それは許さない
銀河帝国への『闘争心』で『鼓舞』し舌を思いっきり噛み痛みで目を覚ます

この世界の平和を再び奪わせるわけにはいかないわ!
ミスティルテインにマイクロミサイルの『一斉発射』で敵の野望を撃ち貫く!



 そんなジョヴァンニの願いはきっと、正しいものに違いなかった。
 悪を憎み、身の危険さえ顧みず、人々を救うために動こうという意志。
 けれども彼が何より正しかったのは、だからと言って無謀な戦いに挑もうとはしなかったことだろう。
 自らの弱さを知っている。どんなに願っても自分にはできないことがあるのだということを理解している。それはただ勇気という名に酔いしれて自らの命を投げ出してしまうことよりも、遥かに立派なことだとヘスティアは信じる。
「ジョヴァンニ、貴方の皆を思う心、伝わりました」

 本当はこの宙域に彼を近付けることさえ、して良いものかは判らなかった。いかに鉱石が洗脳音楽を阻止するからといって、明確に対象を定めた音波を防ぐには流石に心許ない。
 が……だからと言ってカンタービレに帰す? ソードフィッシュ号のレーダーはカンタービレが、しばらくは先ほどのようなデブリとの衝突とは無縁であることを教えてくれている。だが、それが最もジョヴァンニにとって安全な選択肢であったとしても、それを選ぶことなんてできない……彼の崇高な心には、それでは報いることができぬから。

 だから彼女の選択は、彼女自身も覚悟を決めたものだった。ヘスティアがその言葉を向けた時、ジョヴァンニは思わず目を丸くするほどに。
「じゃあ……大切なこの船の守りを任せていいかしら?」
 救い出したカンタービレの人々を生まれた船まで送り届ける方舟。ヘスティア自身の最大の相棒。すなわち、彼女のソードフィッシュ号。

「俺なんかが……できるのか……?」
 そのあまりの大役には、あれほど意気込んでいたジョヴァンニさえどこか及び腰になっていた。
 だが、力強く頷いたヘスティア。そこで安請け合いしない彼だからこそ、彼女の船を護衛するという栄誉を与えることができる。できるか、できないかなどは関係がないのだ。『任せた』という事実がジョヴァンニに報い――そして『任せている』という安心感が飛び出すヘスティアを後押ししてくれる。

「――――!」
 栄華と破滅の歌姫の歌声が、ティターニア――白いジェットパックで妖精のように中を舞うヘスティアを追い渦を巻いた。
「アベル、逆位相音波を」
 ヘスティアが命じればサポートAIは、ここまでの旅路で解析した洗脳音楽を打ち消す波動を放つ。狭まりつつあった渦が一瞬だけ弛み、妖精はその中から飛び出してゆく。

 ……が、洗脳音楽の渦は膨れ上がって、再びヘスティアを呑み込まんとした。
「何が銀河帝国再統一かしら? そんな野望……帝国継承軍を支持……帝国の復活…………っ!」
 思考が彼女を汚染する。けれどもそれが成る寸前で、彼女は銀河帝国の打倒を思い出す。口元から垂れる赤い液体。でも、洗脳されずに済むなら自ら思いっきり噛んだ舌の痛みなど安いものだ。

「この世界の平和を……再び奪わせるわけにはいかないわ!」
 ヘスティアの決意に呼応するかのごとく、ティターニアの随所が蓋を開けた。
 同時に……ヘスティア自身も栄華と破滅の歌姫にレーザーライフルを向ける。栄華と破滅の歌姫も口を開くが……それよりもヘスティアが引き金を引く方が僅かに早い!

 ティターニアからのマイクロミサイルに加えてレーザービーム。それは栄華と破滅の歌姫の野望を爆炎にて包み込んでみせた。
 歌は……途切れ、その音色を大きくノイズ混じりに変えた。それでもしかし、完全に途切れるには至らない……その心揺さぶる歌声は、すっかりその効果を失ってしまったけれど。

大成功 🔵​🔵​🔵​

涼風・穹
鉱石でも本気の歌姫の歌声は防ぎきれないなら歌い続けられればいずれは洗脳されかねない
この状況下で《起動》で隠れても意味は無いし接近して短期決戦で仕留めるのみ

歌姫に全力でおっぱいダイブを敢行します
(建前)
歌声の作用で徐々に思考に靄がかかってきており正常な判断力を失っていました
(本音)
歌姫が自らの能力の代償で四肢の先端から崩れていくのならその崩壊が胸にまで達する前に全力でそのおっぱいを揉みしだくまで!

そして反撃で瀕死になったりすれば流れた自分の血でXYZと血文字を描いて《灼滅者招来》を発動
探偵に助けを求めます
……『自身と同じ攻撃手段で戦う』とありますがおっぱいダイブまで同じように行うかは…(丸投げ)



 ……が、効果を失ったはずの歌声が、次の瞬間には再び美声を取り戻さんとしていた。
「この歌声……さらにキアーラの声に近付いているのか!?」
 ただでさえキアーラを模していた栄華と破滅の歌姫の歌声が、ますます本物そっくりに変わったように穹には聞こえる。
 否、本物そっくりに変わったのは歌声だけじゃない。爆炎が次第に晴れゆく中に、ありえぬ者の姿が明らかとなりはじめていた……。
「キアーラ……本物――いや、そんなはずがない。あのオブリビオン、歌声だけでは飽き足らず、姿までキアーラのものを奪ったっていうのか!?」

 偽キアーラは再び息を吸い込んで、一気にそれを肺から吐き出した!
 同時にどす黒く凝り固まった音が、憎しみとともに猟兵たちへと突き進んでゆく。
「こいつは……不味い!」
 《起動》で自らの身を異空間に隠すのも忘れ、咄嗟に飛び出てしまった穹。いやそうじゃない……穹の猟兵としての経験が、これほど本気のユーベルコードからは、その程度では逃げ切れないと判断させたのだ。
「なんて歌声だ! 段々と俺まで帝国の復活が素晴らしいことのように思えてくるぜ……!」
 どうせ逃げられないなら受け止めるまで。全身で皆の分まで洗脳音楽を浴びた穹の思考は、次第に靄がかかったかのように曖昧なものへとなりかけていた。
(だが……あれだけ傷ついた状態でこれだけの力を放ったら、いかに猟書家といえどもタダで済むわけがない)
 僅かに残った正気が冷静な判断を下す。実際、偽キアーラの身体は四肢の先から崩壊しはじめており、これほどの洗脳音楽は長くは続かないことを物語っている。

 もっとも、長く続きそうにないのは、当の穹自身とて同じであった。
 もはやその目は歌姫の他に見えてはおらず、耳も彼女の歌声しか聞こえない。必然、彼にできるのは偽キアーラに近付くか否かの判断だけで……彼女の歌に魅了された今、どちらの選択をするかは言わずもがな。
「いくぜ!!!!!」
 穹は、偽キアーラへと飛び込んでいった。崩れゆく四肢などには目もくれず、最も彼女の芯たるものに近付くために。
 四肢の崩壊は止まりそうにない。崩壊は、次第に彼女の全てを覆うであろう。その前に穹は帝国継承軍に忠誠を誓わなくてはならない。彼女の芯に触れねばならない――ゆえに。

「おっぱい!!!!!!」

 穹は両腕で彼女の体を抱きしめて、顔面でその胸元の感触を確かめた。
 歌唱というのは案外カロリーを消費するものだからであろうか、ないとは言わぬが大きくもない。それはそれでよい。大きさなんて偉大なる銀河帝国に譲ってやればいい。おっぱいとは大が小を兼ねるものではありえない。どちらにもその大きさなりの良いものが――……。

「ぐはっ」
 穹は歌姫に物理で殴られ果てた。
 どくどくと頭から流れ出した血が、彼の満足そうな死に顔(死んでない)を染める。その赤で、ダイイングメッセージのように書かれる『XYZ』の字。すると不意にゆらりと人影が現れて、「無茶しやがって……敵は取ってやる」と神妙そうな貧乏探偵顔で穹の冥福を祈る。
「さあ来いよ。次は、俺ともやり合おうか……」

 ……数秒後。
 やはり小惑星の上に倒れた貧乏探偵は、満足そうに手をもみもみ動かしながら無駄にハードボイルドに呟いた。
「隙は作った……これを活かすかどうかはお前たち次第だ……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
「なるほど、歌声による洗脳ですか。歌は各世界でも素敵なものですから。」「おっと、感心してる場合ではないですね。侵略に利用している相手は倒さないと。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】で【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【コキュートス・ブリザード】で、『栄華と破滅の歌姫』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


星群・ヒカル
いくら歌で本性を誤魔化そうったってそうはいかないぜ
星の目の『視力・第六感』で敵の本質がオブリビオンであることを見抜き、『狂気耐性』で歌の洗脳効果に耐えてみせる

ジョヴァンニ、おめーの知ってる歌姫はどんなだ?
歌いながら手足がバラバラになる奴か?
他人に自分の考えを押し付けるような歌を歌う奴か?
……ならあいつに言ってやろう、「そんなシケた女に俺達は惚れたわけじゃない」ってな!

自分とジョヴァンニの叫びを共に、【超宇宙・拡我黎明光】の礎に
成功率を上げる行動は「深緑の鉱石の効果を更に高め、囚われた人の正気を取り戻す」だ
敵が動揺した隙に宇宙バイク『銀翼号』に『騎乗』、加速して敵をはねるぞ!
※アドリブ歓迎


ミリアリア・アーデルハイム
結界術で歌声を軽減、
箒に浄化してもらいつつ屏氷万里鏡で敵の弱点を探る

『カンタービレ』から小惑星、此方までは割と距離もありましたし、どこかに歌声を増幅する装置があるはず…

それらしき物が見つかれば、UCで攻撃 破壊を試みる

『カンタービレ』を支配下に置けば次は他のスペースシップに手を出すでしょうし船の通信機器を利用し他船に直接歌いかける事もあり得ます。
手遅れになる前に止めなければ!

それに歌で心を束縛するなんて、許せません
箒で偽歌姫に体当たりして、ジョバンニくんと帰還中の人々に向けて浄化の祈り

星の眼差しが降り注ぐ
本当の心を教えて、と
輝きは今あなたの胸で
目覚めの時を待ってる

拙いけれど、届きますように…


トリテレイア・ゼロナイン
※機械馬に騎乗

ジョヴァンニ様、途中までで結構です
ロシナンテⅡと宇宙バイクの推力方向を合わせて頂けますか
微調整はこちらで
(ワイヤーアンカーをバイクに繋ぎ●ハッキング操縦補助、ブースターとして活用)

貴方の志を持って、かの敵を討ち取ってご覧にいれましょう


(切り離し後UC使用、洗脳無効化しつつ馬上槍構え突撃)

ウォーマシンの電脳への干渉手段があるならば
それへの備えも銀河帝国が用意せぬ筈もありません

…かつては、いえ、何かが掛け違えば
私か、私の同型機が貴女を警護していたやもしれませんね

ですが、この宇宙は既に
力のみ恃む過去の帝国ではなく、今を生きる人々の物
先ずはその姿と声を…返して頂きます

UC出力乗せ刺し貫き



 滔々と奏でられていた声がひとたび雑音混じりに変わった様子。それが再び一際美しい声へと変わった様子に、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は耳を傾けていた。
 紛れもなく極上の歌声だ。この歌を聞けるとあればカンタービレの人々のみならず、銀河の彼方……いや、明の知るいかなる世界の者たちであっても、多かれ少なかれ酔いしれたかもしれなかった。かく言う明自身でさえも、歌声に身を委ねそうになる――その歌詞が銀河帝国の復活を願い、聞き手に臣従を促す代物でなかったならば、の話だが。
「おっと、感心してる場合ではないですね」
 いかに歌声が素晴らしいものであったのだとしても、明は歌い手の悪意を許しはしなかった。むしろ、それが猟書家が世界侵略に利用するものである以上、許さぬどころか全ての力を注いで封じ込めなくてはならない。オブリビオンの復活を礼賛する洗脳音楽なんて、広まれば世界が滅びるのだから。

 必ずや栄華と破滅の歌姫を骸の海へと還す。改めて強まったその決意さえあれば、明にとっては、自己崩壊と引き換えに強烈さを増した洗脳歌がほんの僅かな間だけ止んだ瞬間に勝負を賭すことも不可能ではなかった。
「私のこの速度で……どこまでできるでしょうか?」
 黒いローブに黒マント、手袋とブーツも帽子も黒い、そればかりか髪や瞳の色まで黒で統一した『夜闇』。その接近を漆黒の宇宙空間の中で察することなど、いかにオブリビオンといえども容易くはない。
 しかも、栄華と破滅の歌姫はたった今、全く想定などするわけもない“攻撃”に晒されて対処に手間を取らされたばかりだ……明の強襲に気付くことなどできようはずもない。それも、明の速度を前にして。
「――ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
 再び再開された偽歌姫の歌声は、至近距離からの冷たき術式により凍結させられた。氷獄の名を持つ明の魔術は、ユーベルコードの歌声さえ氷の中へと閉ざす。
 それを、偽歌姫は無理矢理奏でた音色で、明ごと砕いてやらんと欲した。抗えば死ぬ、生持たぬ氷さえその存在律を歪められてしまう呪詛の歌声が、今にも明の処へと迫る!

「……ええ。当然、そう来ると思っていましたよ」
 けれども明の声は別の方角から聞こえた。
「咄嗟に避ける余裕も乏しく、かといって正面から受け止められるほどの耐久力があるようにも思えない。ならば、敵ごと攻撃そのものを消滅させる以外にないのは」
 だから……実際に迫らせていたのは明の魔力が生んだ『残像』だ。本体は……既に氷獄の術式を、再び完成まで持ち込んでいる。偽歌姫も音波の形を変え、本物の明も狙い撃ったが……相殺しきれずますます氷に覆われる彼女に対して、明に届いた歌声はかすれるばかり!

 憎悪に満ちた偽歌姫の瞳は、二度と明の不意打ちを許さじと睨め付けた。なるほど、確かに明はこれ以降、同じ手を使えはしないかもしれない……しかし。
「私たちは、決して独りで戦っているわけではありませんから」
 少しでもダメージを与えることができ、そればかりか栄華と破滅の歌姫は、不可能を不可能のままに抑えておくために、常に明を意識せざるを得ない状態に陥った。
「それははたしてあなたにとって、どれほど厳しい状況でしょうか……? 私の術は、ダメージ以上にあなたを蝕んでいるはずですよ……」

 事実、栄華と破滅の歌姫の歌声は、ともすればミリアリアにはすっかり力を失ってしまったように聞こえた。
 そっと、敢えて鉱石による洗脳音楽の中和範囲から逃れてみれば。ここはもう歌姫のいる小惑星が屏氷万里鏡を覗かなくてもよく見えるほど近いというのに、あれほどミリアリアの脳内でがなり立てていた歌声も随分となりを潜めてしまっていた。
(もちろん、私の鼻歌が結界の役割をしていることも、箒が自動的に対抗術式を組み上げてくれていることも事実ではあるのでしょう……でも、それらを考慮に入れてもほとんど力を感じない)

 ……本当に、そうだろうか?

 どこにも疑う余地なんてないはずなのに、ミリアリアはどこかそれだけではないと感じ取っていた。
 最初は……彼女自身にも朧気なままだ。しかし、間違いなく彼女の思考のどこかに引っ掛かっている。
 けれども……その理由を探して、もう一度星々の中を巡ってみれば、すぐにその違和感の原因が明かされる。
(……判りました。来る途中に私が感じていた歌は、歌姫が弱った分を加味しても強すぎるんです。だとすれば来る途中にすれ違った小惑星のどれかに……歌声を増幅するための何かが設置されていた……?)

 そうと判ればミリアリアの中には、強い使命感のようなものが湧き上がってくるのだった。
(もしも私の想像が本当だったとすれば、偽歌姫を倒すだけでは事件は終わらないかもしれません)
 歌姫自身を倒しても、中継装置自身がその後を継ぐ危険。
 たとえそうではなかったとしても、いつしかまた新たなオブリビオンが近辺に現れて、再び装置を悪用する可能性。
 彼女はこの世界を訪れて、守るべき美しいものであるのだと知った。母なる大地は失われて久しいかもしれないが、そこには今を生きる人々がいる。星々がその営みを見守っている。そんな世界をいつか台無しにしてしまいかねない装置など、残らず壊してしまわねばならぬのだ。

 屏氷万里鏡の中の景色に目を凝らしたならば、明らかに場違いなものはすぐに見つかった。
 小惑星表面のクレーターだらけの曲線とは異なる、直線ばかりで構成された機械。その全容を詳しく確認しようとし、ミリアリアはぞっとした感覚に襲われる。
(まるで……棺桶みたい……)
 そうだ、棺桶だ。今まさに栄華と破滅の歌姫が歌う、小さな舞台とそっくりの。
 嫌な予感がする――すぐさま、視界のみならず自身もそちらに飛翔する。装置を完膚なきまでに破壊するための、無数の魔法剣を伴って。

 結果、それを守るオブリビオンがいなければ容易く破壊できたその装置の中を見て、ミリアリアはあまりの戦慄に身の毛もよだつほどだった。
 けれども同時に彼女は理解する。この絶望のパンドラの匣は、カンタービレの人々に希望をもたらすものでもあるのだと。何故なら――。

 ――この“棺”の中身は空であったが、中には人が一人入れるスペースと生命維持装置が備え付けられていた。
 もしも“棺”が人を生かしたまま“保管”するための装置でもあって、人間から何らかのエネルギーを抽出するものだったとすれば……もしかしたら失踪したキアーラもまだ殺されてはおらず、今も栄華と破滅の歌姫のために生かされているかもしれないのだ――。

 ………………
 …………
 ……

 ミリアリアが歌声の中継装置を破壊した瞬間は、トリテレイアも察知することができた。何故なら彼の人工頭脳を強く圧迫するかのようだった何らかの感覚が、突然、少しだけ和らいだからだ。
(どうやら、どなたかが洗脳音楽を増幅する装置を破壊して下さったようですね。同時にウォーマシンの電脳に対してさえ干渉できる形にも変換する装置でもあったようですから、これで少しばかり動きやすくなります)
 それは干渉が唐突に弱体化したことで、初めて分析が叶った事実。だが、ひとたびそれに気付いてしまえば、最早どうということはない。

(ジョヴァンニ様と約束致しましたから)
 急に負荷が浮いたお蔭で思考を他に割けるようになり、トリテレイアはここに辿り着くまでの出来事を回想していた。
『小惑星帯までの安全な航路なら俺が知ってるぜ!』
 胸を叩いたジョヴァンニに感謝の意を表し、彼に道案内役を頼んだ時のことを。
『前に、従兄の兄ちゃんに連れられてこの辺まで来たことがあってさ』
 愛馬ロシナンテⅡとジョヴァンニのフォルティッシモを連結し、互いの推力を活用して進む間、彼と他愛もない話をした時のことを。
 その話の最後には、彼の分までオブリビオンに一矢報いると誓ったことまで、今のトリテレイアの頭脳は鮮明に思い出す。そして、機械のはずの自分が奇妙なことだと苦笑しながら、その誓いが力として自身に漲っていることを自覚する。

 “始める”前に思い出せてよかった。そうトリテレイアは安堵した。
 何故ならこれから彼の行なうことは、そういった大切な想いをしばしの間忘れることだからだ。
「その程度の干渉能力で、護衛用機種の『守り』を破れるとお思いですか」
 大型馬上槍を展開し、ロシナンテⅡと人馬一体となったトリテレイアの機械眼には、今や無機質な光しか灯っていない。外部からの洗脳電子干渉も、迷いを生み得る自らの心も遮断して、一個の戦闘機械として敵を討つ覚悟。
(かつては――いえ、何かが掛け違えば。私か、私の同型機が貴女を警護していたやもしれませんね)

 そんな悲しみすら自ら覆い隠して、騎士は完全にプログラムされた動きで槍にて敵を突いた。逃れんとする偽歌姫が自らの身体さえ代償として、全ての力を絞り出したとしても、完全なる戦闘モードに入ったトリテレイアは止まらない。
 銀河帝国の偏執は、彼自身の中にも流れているから。あの少年と交わした誓いも、栄華と破滅の歌姫の歌声も、決して響かぬ無味乾燥の最適思考。だが、今はそれで構わない……今は誓いを忘れても、全てが終わった時にはそれが為されていると確信するから……。

 手足は自らの歌の代償として削れ、残る部分も次々に穿たれてゆく歌姫の姿。
 それが本物のキアーラのものでないと頭では判っていたのだとしても、ジョヴァンニはその姿が堪えられなくなっていた。
「キアーラは……カンタービレのみんなの憧れだったんだ。それが、偽物とはいえあんな姿になってるだなんて……」
 しょげたような声で吐露する彼。宇宙服越しでも微かに震えるその背を、超宇宙番長は優しく撫でる。
「別に無理して見ようとしなくたっていいんだぜ?」
「それでも、見たいんだ……カンタービレで起こったこと全てを見届けるために」
 そう答えたジョヴァンニの魂の中に、ヒカルは自身に流れる番長の魂と同じものを見て取った。いや、彼に元々備わっていたものであることは、もっと前からヒカルも知っている。

 けれども……それが今、確かに強く輝いていた。あるいは強烈な逆境と決意の繰り返しによって、磨きがかけられたのだったかもしれない。
 いずれにせよ、ヒカルは知っていた。
「ジョヴァンニ。おめーの知ってる歌姫はどんなだ? 歌いながら手足がバラバラになる奴か? 他人に自分の考えを押し付けるような歌を歌う奴か?」
 その答えにジョヴァンニがはっきりと「違う」と答えることも。そして超宇宙番長の真実の目で見抜いたならば、実際にあれがキアーラとは似ても似つかぬものであることも……栄華と破滅の歌姫がキアーラに見えることさえも、いわば形を変えたある種の洗脳効果に過ぎないものなのだ!

「……ならあいつに言ってやろう! 『そんなシケた女に俺たちは惚れたわけじゃない』ってな!」
「わかった! 『お前はキアーラなんかじゃない! よく見ろ、お前は似ても似つかぬ偽物だ!』」
 そう二人がキアーラ相手に叫んだその時、周囲の世界がひび割れた。
「どういうことだ……?」
 何事かと見渡せばそれは錯覚で、実際には辺りの空間を薄い膜のように覆っていた力が、その時瓦解しただけであるのだと気付く。
「もしかして、今壊れたものって……」
「正解だぜジョヴァンニ。俺たちの祈りがこの石に伝わったんだ!
 いや……どうやら俺たちだけの力じゃなかったみたいだけどな」

〽星の眼差しが降り注ぐ
 本当の心を教えて、と
 輝きは今あなたの胸で
 目覚めの時を待ってる

 ヒカルが辺りを見回したならば、そんな歌声が遠くから近付いてきた。箒で向かってくるミリアリアの歌だ。
 偽歌姫の歌声と比べれば、素朴で拙い、心の内から出たばかりの形。でも……今の偽歌姫の歌と比べれば、ずっと心の篭もった祈りだ。

 栄華と破滅の歌姫の消耗に、破壊された中継機。深緑色の鉱石を握って注ぎ込まれた意志に、高らかに響く人生礼賛の歌。
 重ねられた力に洗脳音楽のフィールドが破られるのは、偶然というよりも必然だった。周囲の小惑星という小惑星で黙々と採掘作業に従事していた洗脳された人々も、まずどうしてこんなところにいるのかと首を傾げて、それから自分の身に降り掛かった不幸を思い出し、それからその不幸の元凶が今にも打倒されんとしていることに気付いて歓声を上げる。
「おい、猟兵たちのところにいるあいつ……もしかしてジョヴァンニじゃないか!?」
 誰かが気付いて指差した。びっくりしてヒカルの顔を伺ったジョヴァンニに対して……ヒカルはそっと背を押してやった。
「今だぜ! みんなが何をするべきか、おめーがみんなに教えてやりな!」
 わかった、と強く頷いてみせたジョヴァンニ。今度は栄華と破滅の歌姫ではなく彼が大きく息を吸い込む番で、それから勢いよく解放されたカンタービレの人々へと呼びかける!
「みんな……みんなを偽のキアーラの歌声で洗脳しておびき出したあいつと戦ってくれる猟兵たちを応援してくれ!!!」

 洗脳フィールドを復活させようと足掻く栄華と破滅の歌姫の声を掻き消したのは、小惑星帯全てを揺るがすような猟兵コールだ。
 これほどの力が応援してくれるなら、誰だってオブリビオンに負けたりなんてしない……だって、この効果を予期していたヒカル自身でさえも、力が湧き上がってくるのを感じるんだから。

「よくやった……じゃあ、俺も行ってくるぜ!」
 ジョヴァンニの頭を力強く撫でると、ヒカル自身も銀翼号に跨った。迎撃の音波は……届かない。動揺する栄華と破滅の歌姫は、そちらに気を回す余裕など残っていないからだ。
「撥ね飛ばしてやるぜ……時間の彼方まで吹っ飛んじまいな!」
 すると。
「ええ、同意です。この宇宙は既に力のみ恃む過去の帝国ではなく、今を生きる人々のもの」
 栄華と破滅の歌姫に向かって加速するヒカルの横を、いつしかトリテレイアとロシナンテⅡが並走していた。しかし、彼は戦闘モードに切り替わることにより、しばしの間だけ他者を思い遣る心さえ忘れたのではなかったか?
「あの歌声を完全に無効化するためには、それが必要な措置だったことは確かです。……が、今やその必要はなくなりました。ならばこれから先はただ戦闘力を求めるのではなく、騎士としての責務のために戦いたい……そうでなければ私自身が、彼らと同じになってしまいますから」

「先ずはその姿と声を……返して頂きます」
 そんなトリテレイアの断罪の言葉とともに、猟兵たちとオブリビオンは交錯した。
 人々をかしずかせた栄華と破滅の歌姫は、四肢が完全に崩れ去り、自慢の喉さえ貫かれ、宇宙の彼方へと弾き飛ばされる。

 彼女が足元に敷いていた舞台――洗脳歌の抽出装置であり増幅装置であり変換装置であった棺状の装置がこじ開けられて、中から本物の歌姫キアーラが発見されたのは、それからすぐの出来事であった。
 キアーラの声が再びカンタービレに響き、人々が勝ち取った平和を噛み締める時は、きっと、そう遠くない未来に訪れるのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月25日


挿絵イラスト