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実る果実は不和の毒

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #不和の魔女 #愉快な仲間 #猟書家

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 御伽の国のとあるところに、鳥達が暮らす美しい森がありました。
 森の中ではいつでも鳥達の合唱が響き渡り、この森を訪れた人達は彼らの仲睦まじさに思わず笑みを浮かべます。
 けれど――今日のお客様は、そうではありませんでした。

 その日やってきたのは、黒い魔女のお客様でした。
「可愛らしい鳥さん達、素敵な林檎をあげるわね」
 魔女が手にした杖を振るうと、そこには美しい林檎の木が生えてきます。
 つやつやと実る果実は宝石のようで、漂う甘い香りについついうっとりしてしまう。
 そんな素敵な林檎を眺め、鳥達は歌います。
「ありがとう、 魔女さん!」
「とっても美味しそうな林檎ね!」

 最初は喜んでいた鳥達ですが、その声は少しずつ険しいものへと変わっていきます。
「それじゃあこれは僕のものだ!」
「いいえ、私が先に見つけたのよ!」
「うるさい! いいからよこせ!」
 柔らかな歌声は喧しい叫び声に。
 暖かな合唱は醜く言い争う声に。
 仲がよかった鳥達は、林檎を巡って大喧嘩を始めてしまいました。
 その光景を眺めつつ、魔女は少しずつ歩を進めます。
「ああ、やっぱり。あなたがたの絆なんて、そんなものなのね」
 妖しげな笑みを浮かべつつ、魔女は森の奥へと消えていきます。
 彼女の耳には――ひたすら言い争う鳥達の声が響き渡っていました。


「集まってくれてありがとう。新しい猟書家案件だ」
 グリモアベースに集った猟兵の顔を見遣り、レン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)が口を開く。どうやら今回は猟書家案件の案内のようだ。
「アリスラビリンスに『不和の魔女』と呼ばれる猟書家の出現が予知されたんだ。彼女はとある不思議の国に闘争のきっかけ……不和の林檎を植えつけてしまった。このままだとこの国が危ないから、皆にはまず林檎の対処をお願いしたいかな」
 そう言いつつ、レンはグリモアで目的地の景色を映し出す。そこにあったのは広がる美しい森の国だ。

「この国の名前は『鳥達の楽園』。その名の通り鳥の姿をした愉快な仲間たちが暮らす平和な場所だよ。そこに不和の魔女が目をつけて、危険な林檎を植えてしまった」
 不和の林檎がある限り、愉快な仲間たちは正気を失ってしまう。仲間同士でいがみ合い、仲がよかった者同士が争って、その傍らでは林檎の森がひたすら広がっていく。
 そこから先に待ち受けるのは――鉤爪の男が望むような、超弩級の闘争だ。
「まずは林檎の木をどうにかしつつ、正気を失っている愉快な仲間たちを助けてあげてね。彼らが正気を取り戻せば、林檎の対処も手伝ってくれるはずだから」
 不和の林檎は危険な存在とはいえ、対処は普通の林檎と同じで構わない。猟兵達なら対処も簡単だろう。
 愉快な仲間たちに関しては、彼らの心に響くような言葉を伝えたり、林檎から遠ざけたり、或いは宥めたりといった手段が有効だろうか。
 彼らを助けたいという意思があれば、どんな行動だって結果には繋がるだろう。

「林檎の森のどこかに不和の魔女も潜んでいるだろう。彼女の討伐までお願いしたいよ」
 魔女さえ倒せば森の拡大も止められる。
 闘争をやめさせるためにも、猟書家の企みを止めるためにも、魔女の討伐は必須になるはずだ。
「猟書家案件もまだまだ続くだろうけど、一歩ずつ進めていこう。それじゃあ、今回もよろしくお願いするね」


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 林檎は美味しいけれど取り合いは駄目ですね。

●プレイングボーナス
 愉快な仲間達を正気に戻す、共に森の拡大を食い止める。

●一章『不和の森を伐採せよ』
 不思議の国に植えられた不和の林檎の対処をしましょう。
 木をどんどん伐採するのもいいですし、愉快な仲間たちを正気に戻していくのもいいです。
 正気に戻った鳥達は空から林檎が広がる方向を教えてくれたり、仲間の説得を手伝ったりしてくれます。

●二章『不和の魔女』
 猟書家戦です。
 頑張って倒しましょう。

●鳥達の楽園
 多種多様な鳥の姿をした愉快な仲間たちが暮らす平和な国です。
 鳥達は本来ならば仲がよく、一緒に合唱したりしていました。
 今は不和の林檎の効果で仲間と林檎を取り合っています。どうにか助けてあげてください。
 ちなみに鳥の種類は割りとなんでもいます。こんな子と絡みたいな、というのがあればプレイングに記載して下さい。


 どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
 進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
 締め切りの告知もそちらで行っているので確認していただけると幸いです。

 それでは今回もよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『不和の森を伐採せよ』

POW   :    POWのユーベルコードで伐採する/愉快な仲間達の争いを情熱で止める

SPD   :    SPDのユーベルコードで伐採する/愉快な仲間達を不和の林檎から遠ざける

WIZ   :    WIZのユーベルコードで伐採する/争い合う愉快な仲間達を魔法等で落ち着かせる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達は転移を終え、鳥達の楽園へと降り立った。
 最初に気付いたのは言い争う声だ。そちらへ視線を向ければ、数羽の鳥が激しく言い争っている。
 別の方角へ視線を向ければ、林檎の木が少しずつ森を侵食しているようだ。

 愉快な仲間たちの争いと林檎の木の増殖。
 まずはこの両方を止めなくては。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才。開き直った破壊神
一人称:わし
武器:黒燭炎と陰海月

…なあ、何で破壊案件こんなに受けるんじゃ(依頼受けるのは基本、四人総意)。いや、もう開き直ったが。

まあ、破壊というか伐採なら、わし向きなのも事実よな。
というわけで、ゆくぞ、陰海月。侵食するというのなら、早めに止めんといかんしの。
林檎の木を見つけ次第、指定UCによる木の破壊をしよう。
陰海月も影響受けとるから、それなりの速度になるはず。

しかし、本当に猟書家、増えたのぅ…。


陰海月「ぷきゅっ!」(きりっ)
修行を経て、指定UCに慣れた。はりきってどっかんばっこんする。




 鼻を擽る甘い林檎の香りを感じつつ、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は鳥達の楽園へと足を踏み入れる。
 今現在、義透の身体の主導権を握っているのは武の天才『侵す者』だ。
 その表情は……なんともいえない顔色に染まっている。
「……なあ、何で破壊案件こんなに受けるんじゃ」
 ぽつりと零れた呟きは他三人の人格に向けて。依頼を受けるのは自身を構成する四人の総意ではあるのだが、それはそれとして役割分担というものもある。
 ここ暫く、『侵す者』には何かを壊したり暴れるような依頼を任されることが多かった。
 だから仲間内では破壊神だとかなんとか……最初は気にしていた『侵す者』だが、もうここまで来れば開き直ってしまった方が早そうだ。
「まあ、破壊というか伐採なら、わし向きなのも事実よな。というわけで、ゆくぞ、陰海月」
『ぷきゅっ!』
 義透の傍らではミズクラゲの『陰海月』がきりっと構える。可愛らしい見た目に鳴き声だが、この子も立派な仲間だ。
 修行も経てきて、戦力としても頼もしくなっている。一緒に進めば林檎の伐採もやりやすいだろう。
「早めに止めんといかんしの。さあ、ゆこうか」
 『黒燭炎』をしっかりと握り、義透は森の中を突き進む。
 目指すは広がる林檎の木々だ。

 歩を進めれば進めるほど、鼻を擽る甘い香りはより強くなってきていた。
 義透はその方角を鋭く睨むと、狙いを定めて黒燭炎を構え直した。
「……あれが件の木か!」
 視線の先にはつやつやとした実を揺らす林檎の木が見える。一見何の変哲もない木だが……あれこそが諸悪の根源だ。
「一撃で仕留めるぞ!」
 目的の方角へ向け、義透は勢いよく槍を振るう。単純で重い一撃があっという間に幹を穿てば、木は一気に枯れて倒れ伏す。
 しかしこれで終わりではない。森を覆う林檎はまだまだ存在しているようだ。
「地道にやっていくしかあるまいな……わしは東を目指そう。陰海月は西を頼んだぞ」
『ぷきゅ!』
 一人きりでは大変な作業でも、義透には陰海月がついている。
 二人で手分けして森を進み、木を見つける度に腕を振るう。やはり作業の内容は単純だが、だからこそ効果も着実に現れるだろう。

 暫く道を進み――義透が後方を振り返れば、そこにあったのは林檎の木々を切り崩した道。
 自分が残した破壊の痕跡を見遣り、『侵す者』はちょっとだけ頬を掻いた。
「……これがわしの役割だからな、うむ」
 猟書家はどんどん数を増やしているが、彼らが暗躍すればするほど自分も破壊依頼に勤しむことになるのだろうか。
 そんな懸念を抱きつつ、義透は更に林檎の伐採を進めていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

嶷神・白檀
【彩黒】

小鳥、意識が遠くにいってはいないか…?無理なら休んでいるか?
……まあ今は無理を通してもわらねばならぬ。やり遂げた後に寝転ぶがいい。

UC竜神飛翔で竜の姿で空を飛びながら、目についたりんごの木に雷を落としていこう。
りんごを巡って喧嘩してる鳥達にはどうするかな……。付近に雷落としてみるか…?びっくりしている内に小鳥がなんとかしてくれるだろう…。
正気に戻った鳥達にりんごの位置を教えてもらいつつ、乗せたりできるかな。もし疲れている様なら…宿り木変わりでも、なんでも。

(同行するオスカーさんの事は『小鳥』呼び)


オスカー・ローレスト
【彩黒】

ぴぃ……ど、どうしよう……!(争う小鳥たちに涙声
と、とにかく、あの木を、どうにかしない、と……(焦って闇雲に木を伐採しようと鋏を構えるも

(白檀に呼びかけられ)
……え、誰……こ、小鳥???(どの小鳥だろうって顔
う、ううん。休まない。大、丈夫……

白檀の雷に、び、ビックリしながらも……か、雷で気が逸れた小鳥達に、よ、呼びかける、よ……

こ、ここは危なくなるから、あ、争ってる場合じゃない、よ……そ、それに、その木は悪いヤツが、君達を惑わそうとして植えたものなんだ……だ、だから、あんまり食べようとしたりしちゃ、ダメ、だよ……!




 耳に入るは鳥達の喧騒。醜く言い争う声が聞こえてくる度、オスカー・ローレスト(小さくとも奮う者・f19434)の目に涙が滲む。
「ぴぃ……ど、どうしよう……!」
 原因は分かっている。悪いのは猟書家が植えた林檎の木だ。
 だから猟兵である自分は木を伐採していかなければ。でも、どうやって?
「と、とにかく、あの木を、どうにかしない、と……」
 焦って取り出したのは『裁ち鋏』だ。確かにこれを使えば木は伐採出来るけれど、きっと林檎の広がるペースには追いつけない。
 だからといって立ち止まってもいられない。こうしている間にも鳥達は喧嘩を続けてしまうのだ。
 オスカーは荒い呼吸のまま、鋏片手に森を駆けようとして――。
「そこの小鳥、意識が遠くにいってはいないか……?」
 ふと、喧騒の合間を縫うように聞こえたのは柔らかい声だ。
 声の方へ振り返ってみれば、そこに立っていたのは桜を纏う竜神の猟兵――嶷神・白檀(竜神の悪霊・f28552)だった。
 どこか浮世離れしたような、春の気配を纏う竜。彼の姿を見遣り、オスカーは思わず目を丸くする。
「……え、誰……こ、小鳥?」
「ああ、君は小鳥だろう。私は嶷神・白檀、この地を訪れた猟兵の一人だ。相当無理をしているように見えるが……大丈夫か、休んでいるか?」
「お、俺はオスカー・ローレスト……俺も、猟兵で……心配、してくれてありがとう。でも、休まない。大、丈夫……」
 自己紹介をしている内に、オスカーも少しずつ落ち着きを取り戻してきたようだ。
 そんなオスカーの様子に白檀はそっと頷いて、彼との距離を縮めた。
「そうだな……まあ今は無理を通してもわらねばならぬ。やり遂げた後に寝転ぶがいい」
「う、うん。そうする……。それで、林檎の木は、どうしよう……?」
 オスカーも改めて白檀の姿を見遣りつつ、鋏をぎゅっと握りしめる。
 冷静に手段を考える必要はあるけれど、あまりのんびりはしていられないだろう。
「それなら私が林檎の木々を打ち払っていこうか……。その代わり、小鳥は鳥達を助けてやってくれないか?」
「わ、わかった……! それなら、俺でも頑張れる……!」
 せっかく二人の猟兵が揃っているのなら、それぞれが出来ることをやるほうが効率的だ。
 二人は互いの役割を確認し、改めて頷き合う。
「それならそちらは任せた。後でまた合流しよう」
 白檀は己の竜としての姿を解放すると、ふわりと森の上を飛んでいく。
 そして彼の通った道を追従するように、オスカーもまた森の中を進み始めた。
 目指すは――森を侵食している、不和の林檎の木々の元。

 空から森を見下ろせば、異変は明らかに見て取れた。
 本来生えていた木々の合間から、次々に飛び出す林檎の木々。見た目は美しいが、その成長速度は明らかにおかしい。
 林檎の周りでは鳥達が言い争っている姿も見える。彼らを止めるためにも、まずは――。
「そうだな……まずは雷を落としてみよう。鳥達も、驚いて冷静になってくれればいいのだが」
 白檀が意識を集中すれば、彼の周囲には桜色の雷が迸り始めた。
 なるべく鳥達を避けながら、木に向けてまずは一撃。その光は呪いの林檎だけを燃やし、言い争う鳥達の意識を乱れさせた。
「わぁっ!」
「いきなりなんだ!?」
 すぐに近くの木へと退避した鳥へ向け、オスカーもまた駆け寄っていく。
 白檀が放った雷に驚いてちょっと涙が出たけれど、それはゴシゴシと拭って、だ。
「こ、ここは危なくなるから、あ、争ってる場合じゃない、よ……」
「確かに、さっきみたいな雷が落ちてきたら、僕達焼き鳥になっちゃうね」
 勿論白檀は鳥達を撃ち落とすつもりはないのだが、彼らから見てみれば危険な自然現象が発生したように見えるだろう。
 林檎の木がしっかりと燃やされたことも相まって、鳥達は少しずつ落ち着いてきているようだ。
「そ、それに、その木は悪いヤツが、君達を惑わそうとして植えたものなんだ……」
「ええ、それって本当なの?」
「う、うん……! だ、だから、あんまり食べようとしたりしちゃ、ダメ、だよ……! 他の仲間にも、教えてあげて……!」

 オスカーの説得が上手くいっていることは、上空から見ても確認できる。
 白檀もふわりとオスカーと鳥の元へと降り立つと、彼らへ向けて出来るだけ柔らかな笑みを向けた。
「小鳥の言う通りだ。あの悪い木は出来るだけ早く燃やしていきたい。だから……皆の力を貸して欲しい」
「わぁ、おっきな竜!」
「わかったよ、皆で林檎をどうにかしよう!」
 正気に戻った鳥達は白檀とオスカーの周囲を飛び回り、共に行こうと囃し立てる。
 森の地理ならば彼らの方が詳しいだろう。協力できるなら心強いことこの上ない。
「道案内は頼んだ。もし疲れている様なら……宿り木変わりでも、なんでも。好きに協力してくれ」
 白檀が少し頭を下げれば、鳥達は彼の背へと飛び乗っていく。
 ふわふわとした感触がどこかこそばゆいけれど、賑やかな彼らの声が争うものでなくなったのは喜ばしい。
「お、俺もついてくよ……同じ、愉快な仲間だから」
 オスカーもまた小さく笑みを浮かべ、鳥と共に森を進む準備を進める。
 皆で協力できるなら、この困難だってきっと乗り越えられるはずだ。
 確かな希望を胸に、鳥達と竜は林檎の木々へと立ち向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

城野・いばら
皆、落ち着いて
美味しい物を食べたいってキモチはわかるの
でもケンカは悲しい事だわ

甘い匂い…
林檎さんに夢中なのは香りもあるから?
トロイメライで魔法の風紡いで、
そよ風で匂いを飛ばしちゃおう
あとはUCで、落ち着いてもらう手伝いを

林檎さんは大切な皆を悲しませてまで欲しい物?
独りで楽しむよりね
美味しいも嬉しいも、
分け合った方が素敵になるのよ
皆も知っているはず
ね、思い出して?
皆で歌う時の楽しさを
そうだわ
ごめんねも大好きも
みーんなに届くように、合唱しちゃう?

木こりさんは出来ないから
鳥さんに声をかけつつ、
伐採された木があれば怪力で運ぶね

林檎さんも…唯咲いて生きているだけ
きっと、悪くないの
木材は何かに使えないかな


蝶ヶ崎・羊
酷い…こんな魔法で争って良い訳ありません…早く止めなくては

POW
まずは注目を集める為に林檎の木をOGで伐採
視線を集めることが出来れば【コミュ力】で説得します
『皆さん落ち着いてください
もしその林檎が食べ終わって無くなった時に隣に『美味しかったね』と言い合える友達がいなかったら悲しくはありませんか?』
『お腹は満たされたとしても心は満たされずすり減るような行いをして本当に良いんですか?良い訳ありませんよね?』

鳥さん方が正気に戻ってくれたのなら他の仲間達を正気に戻すようお願いします
ワタシは木を伐採して視線を集めたら説得を繰り返します

『魔法は仲間同士を争わせる為にあるわけがありません…絶対に』




 猟兵達の活躍で少しずつ森は平穏を取り戻してはいるものの、喧騒の声は未だに響いている。
 蝶ヶ崎・羊(罪歌の歌箱・f01975)は争いの音色を耳にしつつ、悲しげな表情のまま森を進んでいた。
「酷い……こんな魔法で争って良い訳ありません……」
 早く止めなくては、と急ぐ彼の隣では、城野・いばら(茨姫・f20406)も寂しげな表情を浮かべていた。
「鳥さん達も、本当は仲良しなんだよね……。早く仲直りさせてあげたいな」
「ええ、勿論です。そのためにも……まずは、これですか」
 歩を進めていた猟兵達は、林檎の木が広がる地点まで辿り着いていた。
 周囲では鳥達が喧嘩を続けており、その声はかなりの音量となっている。普通に話しかけていては、なかなか聞き入れてもらえないかもしれない。
 だから――まずは羊が林檎の木に近づき、埒外の力を発揮しはじめた。
 いばらに少しだけ後退してもらい、放つは渾身の回し蹴りだ。
「少々荒っぽいですが……ッ!」
 見事な蹴りはあっという間に木を切り倒し、凄まじい音を響かせた。
 鳥達の注目がこちらに向いたのを確認した瞬間、いばらもまた埒外を発揮していく。
「甘い匂い……林檎さんに夢中なのは香りもあるからね。それなら……」
 魔法の紡錘『トロイメライ』をゆるりと振って、発動するのはそよ風の魔法だ。
 代わりに広がるように生み出したのは、柔らかな薔薇の香り。茨の子守歌が広がれば、周囲の鳥達も少しずつ落ち着きを取り戻しているようだ。

「あ、あの……君達、何してるの?」
「あれは僕の林檎の木だったのに……」
「いいえ、私のよ!」
 一瞬でも気を抜けば、再び不和が広がってしまう。猟兵達は急いで鳥達の元へと歩み寄ると、彼らへ向けて優しく声をかけ始めた。
「皆、落ち着いて。美味しい物を食べたいってキモチはわかるの、でもケンカは悲しい事だわ」
「もしその林檎を食べてなくなったとしても、隣に『美味しかったね』と言い合える友達がいなくなっては、悲しくはありませんか?」
 猟兵達の言葉に対し、鳥達はついつい黙り込んでしまう。
 彼らも本当は仲間達と楽しく過ごしたいはずだ。けれど今は、その思いも捻じ曲げられてしまっている。
 それを少しでも解き解せたらと、猟兵達は更に言葉を紡いでいく。
「林檎さんは大切な皆を悲しませてまで欲しい物? 独りで楽しむよりね、美味しいも嬉しいも、分け合った方が素敵になるのよ」
 いばらが言葉と薔薇の香りに乗せるのは、この国に向けた暖かな安らぎだ。
 同じアリスを迎える愉快な仲間として、少しでも彼らに笑顔を取り戻して欲しい。いばらが願えば願うほど、優しい薔薇の香りも強まっていく。
「お腹は満たされたとしても心は満たされずすり減るような行いをして本当に良いんですか? 良い訳ありませんよね?」
 一方、羊は穏やかだが厳しい口調で鳥達へと言葉を紡ぐ。
 けれどその内にあるのは優しさだ。少しでも彼らの助けになりたいと、精一杯考えて言葉を紡げばきっと届くはずだから。

 説得の最中、いばらが鳥達の前へと更に歩み寄る。トロイメライを指揮棒のようにふわりと振って、向けるのは愛くるしい笑みだ。
「ね、思い出して? 皆で歌う時の楽しさを。それを皆で現せたら……そうだわ、ごめんねも大好きも、みーんなに届くように、合唱しちゃう?」
「……そうだ、僕達は歌ってたんだ」
「皆で歌うの、楽しかったよね」
 いばらの言葉にハッとした鳥達は、険しい声色を少しずつ解し、再び柔らかな歌声を生み出していく。
 ゆるやかな指揮に合わせて響く合唱は――少しずつだが、喧騒の声も解しているようだ。
「よければ、他の仲間とも一緒に歌を歌って下さい。そうしていけば……きっと仲直りも出来ますから」
「わかった! また皆で歌いたいもんね!」
 羊も鳥達に優しい笑みを向けつつ、再び林檎の木へと向かっていく。
 彼が林檎の木を伐採し続けていけば、注目も自然と集まるだろう。その度に合唱の輪を広げていけば、きっと森も平穏を取り戻すはずだ。

「いばら、木こりさんは出来ないから……この木を運んでいくね」
 伐採された木はいばらが抱きかかえ、共に連れて行くことにしたようだ。
 そんな彼女の様子に、羊は不思議そうに首を傾げた。
「その木はどうなさるのでしょう?」
「この林檎さんも……唯咲いて生きているだけ。きっと、悪くないの」
 悪いのは、不和を広げた魔女だ。
 彼女の手から離れた木々からは邪悪な力も薄れている。もしかすると、この木もいつかは森へと馴染むかもしれない。
「木材は何かに使えないかな。鳥さんのおうちとか、みんなで一緒に歌えるステージとか……」
「良いアイデアですね。沢山生えた木々も、そのように活用出来ればきっと幸せです」
 羊も伐採された木を撫で、安堵の息を溢す。
 許せないのは魔法を悪用した魔女だが、木々自体に罪はない。
 むしろ――魔法で生み出された木々が、誰かを幸せに出来るのなら、それはきっと良いことだ。
「魔法は仲間同士を争わせる為にあるわけがありません……絶対に。魔女をどうにかしたならば、改めてこの森を素敵な魔法でいっぱいにしましょう」
「ええ、そうね。この森を歌でもいっぱいにして、またみんなで笑顔になって欲しいの」
 ぎゅっと木を抱きしめるいばらを見遣り、羊はにっこりと笑みを浮かべる。
 正気を取り戻した鳥達の歌を聞きながら、猟兵達は更に林檎の木へと向かっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ラフィ・シザー
いつも仲良しな小鳥さん達があんな風に喧嘩するなんて…新しい猟書家の不和の林檎か…。

不和の林檎が増えすぎても困るし…よしっ、小鳥さんの喧嘩を止めながら林檎を攻撃しよう。
林檎にはUC【Dancing Scissors】で鋏を操作して攻撃。

小鳥さん達、何をそんなに喧嘩しているんだい?
小鳥さん達の素敵なハーモニーをみんなが楽しみにしていたのに。そんな様子じゃハーモニーなんて奏でられないよ。
林檎が食べたいのならば分け合えばいいじゃないか。俺が平等に分けてあげるよ。




 ぴぃぴぃ、ぎゃあぎゃあ、鳥達の騒ぐ声。
 それを兎の耳で受け止めながら、ラフィ・シザー(【鋏ウサギ】・f19461)も鳥達の楽園へと足を踏み入れた。
「いつも仲良しな小鳥さん達があんな風に喧嘩するなんて……」
 彼らが喧嘩をしている原因は、新しい猟書家なのだという。
 彼女が齎した不和の林檎は森の中で広がり続け、その度に喧騒の声は大きくなっていく。
「不和の林檎が増えすぎても困るし……よしっ」
 こうなったら鳥さん達の喧嘩を止めて、林檎もどんどん切っていこう。
 気合を入れて取り出したのは愛用の鋏達だ。
 大きな『innocence』なら幹もスパッと切り裂けるし、ナイフのような『Single wing』と細身の『pure』なら細かい枝の対処にも向いているだろう。
 それらに埒外の魔力を籠めて、ラフィは弾むように森を進んでいく。
 そんな彼の足取りには――複製された、細身の鋏達が追従していた。

「さあ、踊れ! 踊れ! 踊れ!」
 埒外の力で数を増やした『pure』を手繰り、ラフィは次々に林檎の木々を切り裂いていく。
 その度に森を覆う甘い香りは薄れていくが――鳥達も何かが起きていることに気づいたようだ。彼らは小さな羽根を羽ばたかせ、次々にラフィの元へとやってきている。
「ちょっと、私の林檎を切らないで!」
「いいや、あれは俺のだよ!」
 わいわいがやがや。お客様がいるのにも関わらず、鳥達はまだ喧嘩を続けている。
 そんな彼らの間に割り込んで、ラフィはぱっと笑みを浮かべた。
「小鳥さん達、何をそんなに喧嘩しているんだい?」
 笑顔と共に鋏をぱちり。煌めく鋏が林檎の枝を切り下ろし、その音が鳥達の意識を一層集中させた。
「小鳥さん達の素敵なハーモニーをみんなが楽しみにしていたのに。そんな様子じゃハーモニーなんて奏でられないよ」
「確かに……林檎に夢中で、歌うことを忘れてしまっていたかも」
 ラフィの言葉を受け、鳥達が首を傾げる。少しでも歌を歌いたいという心があるのなら、きっと彼らも正気に戻れるはずだ。
「それに、林檎が食べたいのならば分け合えばいいじゃないか。俺が平等に分けてあげるよ」
 再び鋏を手繰り、また枝をぱちり。そのまま手を伸ばし、落ちてきた林檎を片手にラフィは微笑む。
 同時に繰り出された鋏の妙技が林檎を切り裂けば、あっという間に皆で分け合える形の出来上がりだ。
「美味しい林檎を皆で食べて、そしてまた歌を歌おう。俺も一緒に楽しむからさ」
「そっちの方が楽しそうかも!」
「うん、皆でもう一度仲良くしよう!」
 鳥達は林檎を啄みながら、再び歌声を重ねていく。
 そのハーモニーを聞きながら、ラフィの笑顔は満足そうなものへと変わるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『不和の魔女』

POW   :    とても美味しい林檎の迷宮
戦場全体に、【心惑わす林檎の森】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    其の感情を、其は喰らう
【怒り】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【ねじれた魔樹】から、高命中力の【毒の林檎】を飛ばす。
WIZ   :    汝、新たなる苗床
攻撃が命中した対象に【不安を宿す木の芽】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【生命を啜りながら成長する樹木】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠黒蛇・宵蔭です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達は少しずつ森を切り拓き、鳥達を正気に戻していく。
 そのまま道を進んでいけば――その先の、黒いシルエットが目に入った。
「ああ、せっかく林檎をあげたのに」
 黒衣の女――『不和の魔女』は猟兵達に気がつくと、杖を構えてそちらを睨む。
 林檎を伐採し続けても、彼女を倒さなければ事件の解決とはいえないだろう。

 鳥達も魔女が危険な存在だと理解したのか、明らかに警戒の声をあげている。
「猟兵さん、あいつが悪い魔女なんだよね!」
「僕達、応援しか出来ないけど……でも、皆が勝てるように祈っているから!」
 そんな鳥達の声を聞き、魔女が浮かべたのは嘲るような笑みだ。
「あなたがた、不和の林檎であっさりと絆を壊されたのに。それとも……猟兵は、もっと素敵な絆の壊れ方を見せてくれるのかしら?」
 この魔女が齎すのは、迷い、怒り、不安といったネガティブな感情だ。
 それを糧に林檎は育ち、その様子を見てひたすらに魔女は嘲る。
「なたがたの絆は、本物かしら? 果たして誰も恨まず、愛し続けることが可能かしら?」
 この魔女が齎すものを乗り越えなければ、鳥達の楽園に平和は戻らない。
 猟書家の企みを砕くためにも、ここは必ず勝たなくては。
ラフィ・シザー
小鳥さん達がああなってしまったのはお前の林檎のせいじゃないか。そんなものがなければ小鳥さん達は仲良くやってたんだ。

絆ってなんだろう。
血の繋がらない家族にだって絆があってでもそれは見えないものだから惑うんだ。
前は感じなかった絆に絶対の自信なんてない。
それに縋ってるのは俺だけかもしれない…。
けれど俺はみんなが大好きだ。
(不安を押し込めて耐えることが出来たならUC【Mad party】)
俺に余計な不安を与えたお礼だぜ!




「小鳥さん達がああなってしまったのは、お前の林檎のせいじゃないか」
 魔女の一方的な言葉に怒りの表情を向けたのはラフィ・シザーだ。
「そんなものがなければ小鳥さん達は仲良くやってたんだ」
「本当に? そう思うのなら、あなたが答えを示してくれるのかしら?」
 魔女がくすりと微笑めば、展開されるのは邪悪な魔力だ。
 ラフィも鋏を構えて立ち向かおうとするが――それより先に、心の中に小さなざわめきが生まれ始めた。

「っ……これって……!」
 ざわめきと共に確認出来たのは足元、肌の出ている部分から顔を出す小さな木の芽。
 どうやらこれが心に不安を植え付けているらしい。ラフィの気持ちが揺らぐ度、木の芽は嬉しそうに小さく揺れている。
「あなたの中にも不安があるのね。きっとそれは……あなた自身に絆に関するもの」
「俺の、絆……」
 頭の中に浮かぶのは、血の繋がらない家族達の姿だった。
 皆はとても俺によくしてくれてる。俺だって皆といるととても嬉しい。
 でも――俺達の間にある絆って、なんだろう。見えないものだからこそ、ついつい惑うこともある。
「確かに……前は感じなかった絆に、絶対の自信なんてない。それに縋ってるのは俺だけかもしれない……」
 不安と共にラフィの耳が垂れれば、面白おかしいものを見たかのように笑みを深めた。
「そう、あなたの絆だっていつかは簡単に壊れるわ。所詮そんなものなんて……」
「……ううん、違うぜ」
 不安で育つ木の芽を鋏で切り取って、ラフィは堂々と魔女を睨む。
 確かに不安はある。血の繋がりのように確かなものはないかもしれない。でも、それ以上に。
「俺はみんなが大好きだ。だから、俺は、俺の気持ちを信じるよ!」
 自分自身が家族を信じられなければ、繋ぎ止められるものもなくなってしまう。
 ざわめく心を押し込めて、ラフィは大きく森の中を跳ねた。

「さぁ、パーティーの始まりだ! お前はどこまで逃げられる?」
 怒りと殺意を胸に、ラフィが放つのは埒外の力だ。
 彼の周囲に展開された鋏は青い炎を纏い、流星のように魔女の元へと殺到していく。
「本物だと証明しきれなくても、信じて踏み込む……そういう方法もあるのね……!」
 魔女も杖を振るって鋏を撃ち落とそうとしているが、ラフィの殺意はそれを大きく上回る。
 撃ち落とされなかった鋏は次々に魔女の身体を切り裂き、炎が青白い肌を焦がしていく。
「俺に余計な不安を与えたお礼だぜ!」
 帰ったら、家族の皆にこの戦いのことだって報告しよう。
 そして――平和になった森に、皆で遊びに来よう。
 家族への想いを胸に、ラフィの放つ攻撃は魔女に確かに刻まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
『侵す者』のまま。

やっと見つけたぞ、此度の猟書家!
って、迷路か!わしは迷路苦手なんじゃ!こういうのは、やたら頑丈で壊せんし(破壊前提)

陰海月が嬉々として解いておるから、ついていこう。
うん?陰海月は友じゃぞ?他に何がある(あっけらかん)

迷路から出た頃には、真の姿(橙色の狼)に…。
ふん、絆を簡単に壊せると思うなよ。わしらは四人で一人の悪霊。そして、陰海月も大切な友である。
一度目をなぎ払い、二度目に指定UCよ。報いを受けよ、魔女。


陰海月、迷路のようなものが好き。
不安とか心惑わしとか、何それ美味しいの?レベル。
義透がなぎ払いを行う前に、痺れ呪詛でぺちぺちする狙いあり。




「やっと見つけたぞ、此度の猟書家!」
 馬県・義透を構成する悪霊の一人、『侵す者』は黒燭炎を構え魔女を睨む。
 彼の傍らではミズクラゲの陰海月がぷかぷかと浮いており、義透の戦意に応えるように触手を振るっていた。
「あの鳥達は私をお客様として出迎えてくれたのにね。そしてあなたも……」
 不和の魔女は義透から向けられる戦意をさらりと流し、手にした杖を前へと構える。
 そこから昏い魔力が溢れれば――義透の周囲に不可思議な空間が展開され始めた。
「あなたも、壊れる絆を見せてくれるのかしら?」

 義透が瞬きをする間に、展開されていたのは――。
「なんじゃこら、迷路か!」
 周囲にあるのは無数の林檎の木々。それらが道を作り上げ、巨大な迷路が展開されていたのだ。
 甘い香りが鼻を擽るが、その度に心のどこかに妙な引っかかりが生まれていく。
 けれどそれよりも、義透の心配は別の方向へと向けられていた。
「わしは迷路苦手なんじゃ! こういうのは、やたら頑丈で壊せんし……」
 壊せない迷路というのは『侵す者』の天敵だ。
 義透は思わず頭を抱えて唸るが……そんな彼の肩を、陰海月の触手がぺちぺと叩く。
「ぷきゅっ!」
 愛くるしい鳴き声をあげながら、陰海月はゆらりと迷路を進み始めた。
 それはまるで、自分について来いと言っているようで。
「おお、そうか。陰海月がおるなら頼もしいな」
 安堵の息を零しつつ、義透もまた迷路を進む。
 その道行きは順調かと思われたが――どこかから、魔女の声も響いてきていた。
『本当にその子についていって大丈夫なのかしら? 裏切られない保証はあるの?』
「うん? 陰海月は友じゃぞ? 他に何がある」
 不安を煽る声をあっさりと一蹴しつつ、更に義透は迷路を進む。
 一歩一歩進むごとに、彼の身体には大きな力が滾り始めていた。

 迷路の終わりが見えたなら、先に飛び出したのは陰海月だ。
「ぷきゅ!」
「こんなにあっさりと……!?」
 突撃と同時に振るわれた陰海月の触手は、待ち構えていた魔女の身体を打ち据える。
 更に義透も迷路から飛び出すが――彼の身体は『侵す者』の真の姿、狼獣人のものへと変わっていた。
「ふん、絆を簡単に壊せると思うなよ。わしらは四人で一人の悪霊。そして、陰海月も大切な友である」
 崩れない結束を示すよう、最初に振るうは黒燭炎の薙ぎ払い。
 それで魔女が体勢を崩したのなら、すかさず撃ち込むのは埒外の力だ。
「わしらの絆を軽んじたな。その報いを受けよ、魔女!」
 凄まじい勢いで放たれた刺突は魔女を穿ち、彼女を大きく吹き飛ばす。
 戦いの成果を確認し笑い合う義透と陰海月からは、決して崩せない絆が感じ取れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オスカー・ローレスト
【彩黒】

こ、小鳥達の喧嘩、収まってよかった……本当によかった……(ほっ

お、俺は【暴風纏いし矢羽の乱舞】を放って、魔女の手とかを狙って、【武器落とし】してみる、よ……杖とか持ってるリンゴとか落とせれば、攻撃、妨害できて、芽も植え付けられないんじゃないかな、って……

そ、それでも攻撃できるようなら、あ、あんまり想像したくない、けど……芽が生えても、【激痛耐性】で耐える、よ……あ、あんまり耐性ない、し、不安になる、けど……こ、小鳥達のためにも、手を、止める訳にはいかない、から……耐えない、と……!(それでも痛いのは痛いので涙目

えっ、毒……【毒耐性】あるから、抑えてくれるなら、大丈夫な気が……多分……?


嶷神・白檀
【彩黒】
うん…鳥達も正気に戻ったし、良い事だ。…ここからは危ないから避難していろ。

ふむ…では、私は【杭『落』】で落ちた武器を腐らせてみるか。手先にでもあたれば…使い物にならぬだろう?お前の好きそうな毒だからな、たらふく食ってゆけ。
小鳥の背に生えた忌まわしき木……私の毒で説かせないかな…。調節して、ぎりぎりの威力まで絞って…。
小鳥が頑張っているからな…私も、この毒を最大限に使おう。
そら…毒をくわらば…、と言うのだろう?おまえだけが『毒』を使えるとは思わないことだ。
溶けるように…溺れてゆくがいい。

(同行するオスカーさんの事は小鳥呼びです)




 黒幕である魔女は出現したが、その影響もあってか愉快な仲間たちは元の状態に戻ってきている。
 オスカー・ローレストからすれば、それは何よりも喜ばしいことだった。
「こ、小鳥達の喧嘩、収まってよかった……本当によかった……」
「うん……鳥達も正気に戻ったし、良い事だ」
 その隣では嶷神・白檀がゆるりと頷き、頭上を飛び交う鳥達へと顔を向けた。
「……ここからは危ないから避難していろ」
「分かったよ、猟兵さん」
「気をつけてね!」
 鳥達がぱたぱたと飛び立ったのを確認し、猟兵達は改めて前方を睨む。
 そこに立っているのは――不和を招く魔女だ。
「あなたがた、出会ったばかりなのかしら? それならあなたがたの間にある絆なんて、儚くて脆いものでしょうね」
 魔女が黒い杖を掲げれば、そこから生じるのはどろりとした厭な魔力だ。
 このまま好きにさせてなるものか。
 オスカーは『洋弓銃』を構えつつ、白檀の方をちらりと一瞥した。
「つ、杖を持つ手とか狙えないかな……?」
「ふむ……そうだな。それなら私は杖そのものを狙おう」
 白檀もまた己の内に巡る毒を用いて、腐食毒の杭を生み出していく。
 それから――猟兵達と魔女の力がぶつかりあったのは、ほぼ同時だった。

 オスカーが洋弓銃にて魔女の手元を狙うと同時に、白檀が杭を次々に敵へとけしかける。
 けれどその攻撃が魔女の元へと殺到するのと、彼女自身の魔術が発動するのは殆ど同じタイミングだった。
 猟兵達の攻撃によって魔女の杖は弾かれたが……。
「っ……!」
「小鳥、大丈夫か?」
 最初に異変に気づいたのはオスカーだった。見れば彼の背からは小さな木の芽が顔を出し、侵食を始めている。
 すぐに白檀が確認すれば、木の芽はどんどん育ち続けているようだ。
 侵食の痛みと芽生えさせられた強い不安。その衝撃でオスカーの身体は震え、目からは涙が零れそうになっていた。
 けれど――泣かない。ここで自分が折れてしまえば、愉快な仲間たちを守れないから。
「だい、じょうぶ……」
「いいや、小鳥が頑張っているのはよく分かる。けれど無理をしてはいけない」
 小鳥の気持ちはよく分かる。けれどこのまま彼を戦わせる訳にもいかない。
 白檀は少しだけ顎に手をあて目を伏せて……ひとつの大きな決断をした。
「……私の毒で、忌まわしき木を解かせないだろうか。調節して、ぎりぎりの威力まで絞って……」
「お、俺……毒には強いから……多分、きっと……大丈夫……かな?」
「そう言ってくれるのなら助かる。もう少しの辛抱だ」
 白檀がオスカーの背に手をあてれば、そこからは不思議な感触が伝わってきていた。
 己を蝕む毒を、誰かのために使うことが出来るなら。そう願い、白檀は掌を木の芽へと押し当てる。
「……私も、この毒を最大限に使おう」
 小鳥を傷付けないように振るわれる、毒の力。
 その不可思議な感触は木の芽だけどずぶりと解かし、オスカーの身体から不安ごと掻き消していく。
「! す、すごい……楽になったよ、ありがとう……」
「私の力が役立ったのなら幸いだ。小鳥、もう動けるか?」
 オスカーは恐る恐る立ち上がると、再びしっかり洋弓銃を握りしめる。
「お陰で、大丈夫……まだ、戦わなきゃ」
「その意気だ。私も更に毒を振るおう」
 二人でゆるく笑顔を向け合い、ここからは仕切り直しだ。

 見れば魔女も杖を握り直し、猟兵達を睨みつけていた。
「出会ったばかりの人間を信用するの? そんな風にしていたら、あっさり騙されてしまうかもしれないわね」
「でも……白檀は、俺を助けてくれた」
「ああ、小鳥は私を信じてくれた」
 魔女の言葉を一蹴し、猟兵達は再び戦いの構えを取る。
「そら……毒をくわらば……、と言うのだろう? おまえだけが『毒』を使えるとは思わないことだ。そして毒を扱えば、他者を救うことも出来た」
 暖かな気持ちを胸に、眠たげな眼差しを暖かく染める白檀へと、魔女が向けたのはまったく面白くなさそうな笑みだった。
「意趣返しのつもりかしら? 何でもいいわ、もう一度不安に埋め尽くされてしまいなさい」
 再び魔女が杖を振るい、どろりとした魔力が猟兵達を包み込む。
 けれどもう、同じ手は通用しない。
「今度はもっと早く……ち、小さい羽だって、こうすれば……!」
 オスカーが羽根をはばたかせれば、そこから生まれるのは風の魔力を纏う、羽根の乱舞だ。
 それは魔女の魔力を打ち消すように森を包み、仲間が攻撃する道を切り開く。
「白檀、今だよ……!」
「ありがとう、小鳥。魔女よ、お前の好きそうな毒だからな――たらふく食ってゆけ」
 羽根の嵐の合間から、飛び出すのは無数の腐食毒の杭だ。
 先程のような仲間を救う毒ではなく、純粋に他者を害するための毒。けれどこの毒だって、仲間や罪のない人々を救う手立てになるはずだ。
 羽根が魔女の身体を切り裂けば、その傷を抉るように杭が突き刺さり――魔女の身体もずぶりと溶けていく。
 激痛に叫ぶ魔女へ、猟兵達は鋭い視線を投げかける。
「溶けるように……溺れてゆくがいい」
「み、みんなに酷いことをした、報いだよ……!」
 不和を齎す魔女は、出会ったばかりの――けれど信頼しあえる猟兵達の手で、確かに骸の海へと導かれていったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蝶ヶ崎・羊
あの程度で壊れたとは言いません
何にせよ、この世界の小鳥さん達の為に貴方を止めます

植物を魔法で操って退路を断ち、止まったところをUCを打ち込みます(属性攻撃、神罰、全力魔法使用)
あまりにも素早ければ鎌鼬の風の【属性攻撃】で切り裂きながら無理矢理にでも止まってもらいます

敵の攻撃はC・Cで【武器受け】するか【見切り】ます
当たった場合は【呪詛】で弾けるか試みます

『あナたのような魔法の使イ方をする魔法使イは嫌イです。
思イ出せマせんが、尊敬する魔法使いの言葉を冒涜さレた気分二なりマス』
真の姿でひび割れた顔で睨み付けます
『誰かヲ恨まなイなんて出来まセン
しかしそれを乗り越えるからこそ強クなる絆モあります』




 猟兵達からの攻撃を受けても、魔女が諦める様子はなさそうだ。
 彼女は嘲るような笑みを浮かべ、鳥達へ向けて言葉をかける。
「どれだけ立派に行動しようと、一度あなたがたの絆は壊れたの。それなのに、また仲間を信頼出来るのかしら?」
「あの程度で壊れたとは言いません」
 魔女の言葉に真っ直ぐな否定を叩きつけたのは蝶ヶ崎・羊だ。
 羊は魔導書を片手にしっかりと魔女を睨み、更に言葉を紡ぐ。
「何にせよ、この世界の小鳥さん達の為に貴方を止めます」
「そういうあなたも……自分の絆を信じることが出来るのかしら」
 ぶわり、魔女を中心に呪詛が広がる。
 その呪いは毒のように羊の身体へ染み込むと、彼の身体から小さな木の芽を発芽させていく。
 そこから不安は生じるけれど――羊の心には、それよりも強い怒りの感情があった。

 魔女の呪詛を打ち消すよう、自分自身も呪詛の魔術を展開しつつ羊は歩く。
 一歩一歩、進むごとに彼の白い肌には亀裂が入り、小さな欠片がぽろぽろと零れ落ちていた。
「随分無茶をするのね?」
「……いイえ、違イまス」
 羊の身体は傷付けられているから壊れているのではない。
 このひび割れた姿こそが彼にとっての真の姿。いつか聞いた、誰かの言葉を思い出すのに相応しい姿だ。
「あナたのような魔法の使イ方をする魔法使イは嫌イです。思イ出せマせんが、尊敬する魔法使いの言葉を冒涜さレた気分二なりマス」
 顔に罅は入っていても、その眼光は鋭く真っ直ぐに魔女を睨む。
 羊は更に風の魔術を展開すると、魔女の呪詛をかき消すように鎌鼬達をけしかけていく。
 そうすれば相手も怯み、隙を生み出すことは出来る。そう、あれだけ偉そうなことを言う魔女だって……所詮はただのオブリビオン。
 過去に、壊せるものや揺るがせられるものなどないのだ。
「誰かヲ恨まなイなんて出来まセン。しかしそれを乗り越えるからこそ強クなる絆モあります」
 きっとこの世界の鳥達も、この事件を通して様々なことを学んだはずだ。
 そして――その悲しみを糧に、新しい歌を紡ぐことだって出来るはず。

「そレを理解出来なイ貴方に、何カを述べル資格はありマせン」
「減らず口を……!」
 魔女が再び呪詛を展開しようとした瞬間、鎌鼬達が彼女の周囲を駆け回る。
 生まれた突風は彼女の動きを食い止め、羊が本命の魔術を発動する隙を作り上げた。
「貴方ニ相応シい魔術を……裁キの光でス」
 堂々と魔女を指差し、羊が意識を集中すれば――天からの光が魔女を射抜く!
 その輝きは羊の怒りと誇りを示す一矢。それが邪悪な魔術師を確かに打ちのめしていったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
お歌は独りでも奏でられるけれど
合唱は、皆でないと紡げないもの
絆も、おなじ
…アナタはこの国が羨ましかった?

愛するのに、どうして憎むの
いばらにはまだココロが足りないのは、しってるの
けれどアナタが寂しそうに見えるのよ
ずっと独りだった、茨の魔女のように

飛んで来た芽は茨で武器受け、るけど
未知の感情に、不安が募っていく
憎しみは、愛されたいからこそ芽吹く想い?

確かに、絆は解けるコトもある
でもね
また繋ぎ直すことも出来るのよ
…合唱、聞こえるでしょう?この国は壊れないわ

不和の芽も摂り込んでお仕舞い
森のよに育った茨は皆を守る為に在るの
蔓で攻撃からかばい、
茨がアナタを捕えたなら生命力吸収を
アナタも在るべき所へおかえり




 戦場から遠く、避難した鳥達が奏でるのは応援の合唱曲。
 その音色を耳にしつつ、城野・いばらは目を伏せる。
 お歌は独りでも奏でられるけれど、合唱は、皆でないと紡げない。
「それはきっと、絆も、おなじ」
 顔を上げれば、そこに立つのは黒衣の魔女。
 この人は、どうして愉快な仲間たちに不和を振りまくのだろう。
「……アナタはこの国が羨ましかった?」
「さあ、どうかしら。私はただ、あなたがたの絆が壊れるのが見たいだけ」
 傷を押さえつつ、挑発的な笑みを浮かべる魔女。
 けれどいばらには、彼女の姿がどこか小さく見えていた。
 愛するのに、どうして憎んでしまうのだろう。
 自分にはココロがまだ足りない。だからきっと、この魔女の気持ちをすべて理解することは難しいだろう。
 でも、それでも。
「けれどアナタが寂しそうに見えるのよ。ずっと独りだった、茨の魔女のように」
「……お話はそれでおしまいかしら? 余計なことが言えないよう、あなたにも魔法をかけてあげましょう」
 どろり、周囲の空気が淀む。
 魔女が生み出す呪詛がこちらへと向けられた瞬間を見計らい、『トロイメライ』をそっと触れば――密生した茨が、薔薇の少女の周囲を覆い尽くす。

 しかし、魔女が放った呪詛は強力だった。
 展開された茨には別の木の芽が顔を出し、同時にいばらに感じたことのない気持ちを与え始めた。
「これが、鳥さん達が感じていたココロなの?」
 不安、苦しみ、憎しみ。ぐるぐると渦巻く心にじぃと向き合えば、少しだけ見えてくるものもある。
 そうか、この気持ちは――愛されたいからこそ芽吹く想いなのかもしれない。
「不安に押し潰されてどう思う? この状態で誰かと絆を結べるかしら?」
 茨の奥から聞こえてくるのは魔女の言葉。けれどいばらにとって、返すべき言葉は分かっていた。
「確かに、絆は解けるコトもある。でもね、また繋ぎ直すことも出来るのよ」
 魔女の言葉より更に遠く、聞こえてくるのは鳥達の紡ぐ歌声。
 あの子達は不安を乗り越え、また一緒に歌を歌っている。ありったけの想いを乗せて、歌っているのだ。

「……合唱、聞こえるでしょう? この国は壊れないわ」
 いばらも不安を飲み込むように、芽生えた木の芽をそっと茨の内へと取り込む。
 そのいのちを糧に、すくすくと育つのは茨の蔓だ。
 森のように広がるこの茨は、皆を守るためにある。そして――。
「アナタも、在るべき所へおかえり」
 蔓が魔女を抱きしめれば、彼女も茨の中へと溶け込んでいく。
 この森は、誰かを出迎えるためにも存在している。
 それはきっと、寂しがり屋の魔女だって。
「これでもう、大丈夫だから」
 胸の奥に芽生えた、少しだけほろ苦いココロごと抱きしめて、いばらは柔らかく笑みを浮かべる。
 不和の木々は消え去って、残ったのは美しい森。その片隅で、薔薇の花も暖かく咲いていた。


 こうして不和の林檎の侵食は止まり、猟書家の企みも打ち砕かれた。
 鳥達は猟兵達へとありがとうを歌い、仲間達にはごめんねを歌う。
 森もいずれは元の姿に戻るだろう。そうすれば、全部元通りだ。

 こうして鳥達の楽園では、いつまでもいつまでも暖かな合唱が鳴り響くだろう。
 めでたし、めでたし。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月20日
宿敵 『不和の魔女』 を撃破!


挿絵イラスト