#封神武侠界
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封神武侠界――大陸以外を海で覆われたこの世界は、大きく分けて人界と仙界となっている。その人界の都で、二体の瑞獣が向かい合っていた。
『ここが人界の都か……なるほど、人が多いわい』
『クカカ! 罪も欲も財も、奪うほど溢れてやがる』
とある塔の最上階。彼らの周囲には、欲に溺れた者達がいくつも転がっている――堕ちたる瑞獣獬金によって、堕落させられた人々だった。
『ここを根城に、今度はこの都全体を堕落させようと?』
『おう、お前もそろそろ小さい村を堕落させるだけでは満足できねぇだろ?』
問いかける獬金に、そう答えたのは大猿――魔猿王だ。長い年月を経て人語を操る知恵を得た大猿は、打ち倒した武侠や術者から術や武具を奪い力を蓄え、一帯の獣の王として君臨する。そこにこの獬金が加わった瞬間、彼らの支配地は加速度的に増えていったのだ。
『然り、然り。ならば、散歩がてらに都を見て回って来るかの』
『おう。オレァ、しばらくここを根城に惰眠でも貪ってらぁ』
獬金が立ち上がり、魔猿王が寝転がる。そこにあるのは、彼らの目的の差だ。獬金は人々を堕落させ、魔猿王はそれを知って排除にやってくる武侠や仙人と戦いたいのだ。
だから、始まりが違う。終わりも違う。ただ、互いに都合がいいからの繋がり。獬金も、魔猿王も、互いにそれをよく理解していた……。
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「厄介な繋がりを持ってくれたものじゃ」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、そうため息をこぼすと語り始めた。
「今回、おぬしらに頼みたいのは封神武侠界で人界の都に現れるオブリビオンどもへの対処じゃ」
獬金と魔猿王、この二体の堕ちたる瑞獣オブリビオン達は、手を組んでいくつもの村々を堕落させ、支配圏を広げてきた。それが、ついに人界の都にも及ぼうとしているのだ。
「厄介なのは、獬金と魔猿王の目的の差じゃよ。魔猿王は戦う事だからまだマシじゃが、獬金のヤツめは魔猿王を先に倒すとどう出るかわからん。下手をすると、逃げかねんからな」
だから、先に獬金を狙う必要がある。今回は都合がいい事に、獬金がねぐらから外へ『散歩』に出ている――ここで先に獬金を倒す必要がある。
「ただ、獬金の護衛に刻印玄蜂という巨大蜂の群れがおる。先にこれを手早く倒し、獬金に挑まねばなるまいて」
護衛と獬金を倒した後ならば、戦う事が目的の魔猿王は決して逃げない――そこでようやく、全てを退治する状況が整うだろう。
「このままでは、都が支配されかねん。手後れになる前に、確実に連中を排除してくれ。頼んだぞ」
波多野志郎
獣達の饗宴! どうも、波多野志郎です。
今回は封神武侠界で人界の都に現れるオブリビオン達と戦っていただきます。
第一章は護衛の刻印玄蜂との集団戦。
第二章は散歩中だった獬金とのボス戦。
第三章はねぐらにいる魔猿王とのボス戦。
以上となっております。
特に第一章は都での集団戦となります。いかに手早く、被害を拡大させないように倒すかが重要になるでしょう。
それでは、人界の都にてお会いしましょう!
第1章 集団戦
『刻印玄蜂』
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POW : 呪詛侵蝕針
【巨大な毒針】が命中した部位に【対象を融かす呪詛】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD : 融解驟雨
自身からレベルm半径内の無機物を【強毒針の雨】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ : 刻印転化
自身の【体が闇】になり、【敵の攻撃を透過する】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
御剣・刀也
でかい蜂だな
まぁ、たかが蜂だ。この程度の羽虫にどうにかされるような鍛え方はしてない
失せろ
呪詛侵蝕針を突き刺そうとして来たら、第六感、見切り、残像で避けるか、武器受けで受け流すかして相手が間合いから出ていく前に、カウンターで斬り捨てる
相手の動きは速いが直線的で見切りやすいと思うので、焦らず慌てず、集団で来たときは、避けてUターンする前に何回か斬って、Uターンしてきたら同じことを繰り返す
「所詮は虫か。こんなのじゃ俺は熱くなれない。もっとましな奴はいないのかね」
木霊・ウタ
心情
目的が違くから手を組める、か
確かに厄介だ
けど負けるもんか
オブリビオンを海へ還し
都の皆を守るぜ
戦闘
イカした音色ならまだしも
ぶんぶんと煩い奴らだ
ワイルドウィンドを奏でる
地獄のメロディで送ってやるぜ!
熱き血潮ならぬ熱き炎が流れるこの身で爪弾けば
響き渡る音は文字通りとびっきりの熱さ
その旋律は紅蓮の渦を呼ぶ
滾る炎の奔流は皆を守る壁の役割にもなる
毒針も瞬時に灰に帰す
万が一呪詛が流し込まれても
針&呪詛そのものを焼却して無効化
地獄にそんなチンケな呪いが効くわけないだろ
旋律の高まりと共に
紅蓮の渦は大きく膨れ上がり
全ての蜂を飲み込み炎で送る
事後
鎮魂曲を奏でる
安らかな眠りを
さて
次は散歩中にお邪魔するか
●都の片隅で
封神武侠界、その人界の都は隅から隅に至るまで活気に満ちていた。片田舎の村々しか知らないものからすれば、そこはまさに欲望の坩堝と言えるだろう――獬金にとっては、ただの散策でさえ心躍る光景だった。
「目的が違くから手を組める、か。確かに厄介だ……けど負けるもんか」
都の裏路地、そこに踏み入って木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が言い捨てる。
「オブリビオンを海へ還し、都の皆を守るぜ」
決意を込めたウタの前へ、巨大な黒い蜂の群れが姿を現す。刻印玄蜂――その巨大蜂を前に、ウタは言った。
「イカした音色ならまだしも、ぶんぶんと煩い奴らだ」
刻印玄蜂は行動で返答した。集団で襲いかかる、その群れにウタはギュイン! とワイルドウィンドを奏でる。その音色は熱を帯びた突風となって、裏路地を吹き抜けた。
「地獄のメロディで送ってやるぜ!」
ゴォ! と熱き炎が流れるその身で爪弾にかれた音色は熱を呼び、炎の渦を生み出す! その炎の渦に飲み込まれ、刻印玄蜂の群れが焼かれていき――。
『――――』
ヴォン! と羽音を一つ、死角から回り込んだ刻印玄蜂が毒針でウタを狙う――だが、その毒針は大きく軌道を逸し、刻印玄蜂が上下に両断され地面を転がった。
「でかい蜂だな」
それは御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)の獅子吼による一閃だ。ウタと背中わせになるように降り立ち、刀也は言い捨てる。
「まぁ、たかが蜂だ。この程度の羽虫にどうにかされるような鍛え方はしてない――失せろ」
●ただただ、疾く――
裏路地に、ワイルドウィンドの音色が響く。建物の瓦が強毒針の雨となって降り注ぐも、ウタの生み出す炎が蒸発させていった。
「響き渡る音は文字通りとびっきりの熱さ――その旋律は紅蓮の渦を呼ぶ!」
ウタのブレイズブラストが、刻印玄蜂を襲う。刻印玄蜂の群れは自らを闇に変えるが――範囲が広すぎる、耐えきれずに燃えだした。
『――――』
だが、刻印玄蜂は数が多い。一部を焼かれている内に、回り込んでくる。それを機動力で抑え込もうとするのが、刀也だ。その毒針が放たれようと、撃ち抜くのはもはや本体のいない残像のみ。
そして、刀也は一気に駆け抜けると剣刃一閃によって刻印玄蜂を断ち切っていく!
「所詮は虫か。こんなのじゃ俺は熱くなれない。もっとましな奴はいないのかね」
刀也は止まらない。その後ろをウタが爪弾きながら続いた。その演奏は、そのまま鎮魂歌となる――刻印玄蜂達もまた、決してそのまま通すような真似はしないが、個々の実力が違いすぎた。
「さて、次は散歩中にお邪魔するか」
ウタの旋律の高鳴りに呼応するように、炎の渦が高く巻き起こる。炎の竜巻は周囲の大気の飲み込み、その気流の捕まった刻印玄蜂の群れを焼き尽くしていった。
「ああ、そうしよう」
そして、それを抜けてくる刻印玄蜂を刀也は断ち切っていく。大上段からの切り返し、薙ぎ払いからの斬り上げ、獅子吼の風切り音を唸らせながら疾駆――刻印玄蜂の抵抗が厚い部分を目指していった。
刻印玄蜂の群れは、獬金を護衛するために展開している――ならば、目的地は抵抗の強い場所。それを知るからこそ、全速力で一直線にウタと刀也は都の裏路地を駆け抜けていった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
大崎・玉恵
久方ぶりの仕事じゃ。準備運動と呼ぶには些か激しいが、こなせぬ程に落ちぶれてはおらぬ。
闇へと変ずると聞いた。闇の扱いは伴侶が長けておってな、故にわしも少々心得がある。
即ち、差す光を遮ることが出来ねば無力であるはず。【破魔】の力を込めた【式陣・朱天照】にて奴らの周囲を囲い、逃げることもかなわぬままに【焼却】し尽くしてくれよう。炎を広く展開すれば素早さも活かせぬじゃろう。
奴らも反撃はしてこよう、飛び道具も扱う故油断は出来ぬな。
【形代】をわしに変化させ、【結界術】を込めた【呪符】を持たせて展開させ接近を妨害させようかのう。ただ守るだけでなく、同じ姿形が二人おれば攻撃が分散し防御も容易になろう。
●夜とて、昼とて、隔てなく――
人界の都、その裏路地で始まった静かな戦いはさざなみのように拡大していく。
「久方ぶりの仕事じゃ。準備運動と呼ぶには些か激しいが、こなせぬ程に落ちぶれてはおらぬ」
大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)が裏路地から、空を見上げる。湖面のように澄んだ、雲ひとつない青空。そこにポツリポツリと浮かび上がる刻印玄蜂の群れが、湖面に落ちた墨汁を思わせた。
ただ、墨汁と大きく違う点は一つ。刻印玄蜂の群れが、空の青を黒く塗りつぶせる事だ。
「闇へと変ずると聞いた。闇の扱いは伴侶が長けておってな、故にわしも少々心得がある」
刻印玄蜂の群れが、刻印転化によって闇へと変わっていく――見上げる空が夜のように暗くなろうと、玉恵は構わない。
「夜とて、昼と染めようぞ」
式陣・朱天照(シキジン・アケノアマテラス)――玉恵を中心に広がっていく膨大な数の狐火は、刻印玄蜂の群れの闇を照らしていく。闇となった体でその炎をかわした、つもりであった。しかし、範囲が広すぎる。
ボォ! と闇の端に散った火花が、闇夜を焼いていく。それは紙が端から燃えていくかのように、闇を散らしていった。
(「奴らも反撃はしてこよう、飛び道具も扱う故油断は出来ぬな」)
駆け出すと同時、玉恵は形代を投擲。直後、強毒針の雨がその場へ降り注いだ。ダダダダダダダダダダダダダダダダダッ! 強い雨脚のような物騒な音、玉恵へと変じた形代は即座に呪符を展開し、結界術で融解驟雨を防いだ。
『ヂヂ!』
燃え上がる仲間に呪詛侵蝕針を刺した刻印玄蜂は、即座に爆破。轟く爆発音、その爆風の中を二人の玉恵が駆け抜けていった。
「同じ姿形が二人おれば攻撃が分散し防御も容易になろう」
左右の建物へ跳躍、それぞれの屋根へと降り立った二人の玉恵が狐火を従えて走る、走る、走る。カンカンカンカン! と屋根瓦を鳴らし、玉恵は立ち塞がる闇を燃やして先を急いだ……。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・ラーヴァ(サポート)
凡そステレオタイプなパニックホラーやSFホラーの蟲型クリーチャーに優しい少女の心を持たせた生物です
無邪気で心優しく、皆と幸せに共存できたら良いと思っています
方針は、人々と世界を守る事を第一とし次に本能としての食べる事と様々な世界で増える事
純真で他者の指示に素直に従いますが、敵対存在は有機物無機物問わず全て捕食対象の雑食系女子
硬い甲殻に守られ大抵の物を切り裂く爪と牙を持っている為生命体として極めて強靭ですが逆を言えばその程度
物理的な手段しか採れません
全ての行動は、数に物を言わせたごり押し戦法
知能は年齢相応の人間並みです
群体という特性上自分達の損害には無頓着、やられ役や引き立て役にどうぞ
●プレデター
自然界には上位捕食者――プレデターという存在がいる。それは生態系ピラミッドの上層部、より下位の存在を食らうという意味だ。
『ギチ……』
刻印玄蜂は、まさにプレデターである。その力を持って弱者を食らう、加えてそれがオブリビオンになったからには立場は盤石と言えた。
だが、刻印玄蜂達は知る。己よりも上位の存在が、オブリビオンさえ狩る者がこの人界の都を訪れていた事を――。
「ギチギチ!(悪い事しちゃ駄目だよ!)」
『ギチ!?』
刻印玄蜂は、見る。都の一角に張られた瓦礫と糸で出来た迷宮――そして、そこに立つアリス・ラーヴァ(狂科学者の愛娘『貪食群体』・f24787)という蟲型クリーチャーを。
張り巡らされたアリスの巣(別荘)(アリスノオウチ)から、アリスの妹達――群体が溢れ出していく。それに刻印玄蜂の群れは融解驟雨によって毒針の雨を降らしていく。
「ギチチギチギチギチ(ここをキャンプ地とするのー)」
アリスの妹達の表皮が毒針に貫かれ倒れていくが、それを上回る数の群体が踏み越えていく。そして、アリス自身も刻印玄蜂の群れへと飛びかかった。
ガギ、とか、ゴキ、とか。軍用装甲をも切り裂く肢と顎で刻印玄蜂の外殻を切り裂き、咀嚼していく。ここに至って、刻印玄蜂は原初の恐怖を思い出す。
すなわち、自身もまた生態系のピラミッドの中にいる事を――そして自身と対等、あるいは上回るプレデターがいるその事実を。
『ギチギチギチギチ!!』
「ギィギィギィ!(ここのみんなを傷つけさせないよー!)」
殺すためのオブリビオンと守るための猟兵が、共に食い殺し合う。その結末は、減っていく刻印玄蜂の数を見れば明白だった……。
成功
🔵🔵🔴
月夜・玲
あー気持ち悪い
蜂じゃん蜂
こう、殺虫剤ぷしゅーってやったら死なないかな?
死なないか…
仕方ない、ちょっとだけ頑張ろう
頑張ればこの先、2体も楽しい強敵が待ち構えているんだから
●
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
飛んでくる毒針は自身の周囲を『オーラ防御』で防御しつつ、両剣で『武器受け』もして斬り落とす
それをしながら敵の群れに接近、その最中に両剣に『エネルギー充填』
此方の射程に入ればもう、こっちのもんさ
【エナジー解放】を起動
敵も、毒針も全てエネルギー波でぶっ飛ばす!
侮るつもりは無いけれど、私をこれで止められると思わないで欲しいな
さてさて、大将は何処を散歩中かな?
アドリブ等歓迎
花咲・翁
「・・・血の池地獄よりはマシなくらいか・・・」
自身の【存在感】で蜂を暴れても問題ない場所におびき出す。
そして、あえて呪詛侵蝕針を地獄で鍛えた【呪詛耐性】で耐え、その隙に、地面に設置していた【ネクロオーブ】をはめ込んだ棺桶【魔天牢の門】からUCを発動。
召喚された数十体の死霊蛇竜による蒼き獄炎属性の【ブレス攻撃】で自分ごとまとめて焼き払う(自分は地獄で鍛えた【火炎耐性】で耐えます)。
アドリブ連携OKです。
荒覇・蛟鬼
いえいえ、本来なら手段であるべき事を目的にしている
魔猿王の方が“塵”ではございませんかな(※獄卒的価値観)
やりやすいのは大変ありがたい事ですれども。
■闘
まあ、こんな愛らしい蟲を連れて。勿体ありませんが討ちますか。
先ずは襲ってくる蟲の動きを【第六感】を巡らせつつ予測、
【残像】を見せながら回避を続け、敵を密集させるように
立ち回りましょう。
万一針が刺さったら【呪詛耐性】で呪いを追い出します。
蟲が集まってきたら軽く【ジャンプ】し、敵の集団目がけて
蹴り技【構え太刀】による【範囲攻撃】を仕掛け一網打尽に
して差し上げましょう。
さぁて、『獬金』とやらはどんな御方でしょうかな。
※アドリブ歓迎・不採用可
秋津洲・瑞穂
数が多いなら狐火さんたちに頼みたいところだけれど……。
これは自分でやった方が楽ね。
虫さんの針に刺されるほど鈍くはないし、刺されたところで、
呪詛は脅威にならないもの。
野生の勘20/聞き耳10/見切り20で避け、
あるいはオーラ防御40/呪詛耐性20/浄化20で耐え、
カウンター20でお返しの一撃。
鎧無視攻撃40/なぎ払い20/2回攻撃40の剣刃一閃は
虫さんの群れくらいに振るうには贅沢かしらね?
ま、手っ取り早いから良いとしましょう。
そもそも、ね?
こっちの歴史では、元々はきつねも瑞獣でしょう。
悪者にされたのは通俗物語で悪役に据えられたからよ。
瑞獣の手下にどうにか出来る相手ではないと知りなさいな。
黄・威龍
●WIZ
妖獣、オブリビオンに身を堕としていようが瑞獣は瑞獣だ
俺も瑞獣の端くれ
仙界で好き勝手していたらしいが人界の都に手出ししてきたことを、あの世で後悔させてやろうじゃねぇか
この羽蟲らがエテ公の連れか
都でなけりゃ龍の神通力で纏めて始末できたが、被害を抑えねぇとなりゃ仕方ねぇ
ひとつの群れを虱潰しに退治して回るか
ふん、身体を闇に変えて姿をくらませようとしてやがる
闇になりゃ陽の元に照らすだけだ、そらよ
如意宝珠『北辰』を空に放り投げ、眩い光で闇になった刻印玄蜂を照らし出す
その周囲を俺の【結界術】で結界を張り巡らせ、周囲に被害が出ねぇように封じ込めよう
最期はその中で『天灾通力』による光熱の旋風で一網打尽だ
●静かなる騒乱
人界の都、その片隅で起きた騒動は静かに伝播していく。刻印玄蜂は群れで存在する、だからこそ対応するために陣形を整え迎え撃とうと動いていた。
『ギチギチ……!』
しかし、そのことごとくが対応される。その理由は明白だ、敵の実力が、人数が、刻印玄蜂の対処能力を越えているからだ。
「あー気持ち悪い。蜂じゃん蜂、こう、殺虫剤ぷしゅーってやったら死なないかな? 死なないか……」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、刻印玄蜂の群れを見上げため息をこぼす。しかし、すぐに意識を切り替えた。
「仕方ない、ちょっとだけ頑張ろう。頑張ればこの先、2体も楽しい強敵が待ち構えているんだから」
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀した玲が、即座にエナジー解放(エナジーバースト)の衝撃を飛ばす! ゴォ! と上空を薙ぎ払った衝撃に刻印玄蜂の群れは体を闇に変えて襲いかかった。
「っと」
しかし、放たれる毒針をオーラで包んだ二刀で受けて、玲は敢えて後方へ跳ぶ――そこは、裏路地の隙間に出来た空き地であった。
「うん、よろしく」
「……地獄から浄化の炎を掲げ、進軍せよ……」
ネクロオーブをはめ込んだ棺桶――魔天牢の門を開き、花咲・翁(魔天牢の看守長・f33065)は獄炎の十字軍(インフェルノ・クルセイダーズ)を行使する。死霊蛇竜に騎乗する死霊竜騎士の軍勢が、闇へと解き放たれた。まさに地獄絵図、その宗教画の一幕を思わせる光景だ。
「……血の池地獄よりはマシなくらいか……」
ドォ!! と死霊蛇竜達のブレスが、闇を燃やしていく。闇さえ燃やす炎を前に、更に刻印玄蜂の群れは集まり、毒針の豪雨を降らせていった。
「数が多いなら狐火さんたちに頼みたいところだけれど……これは自分でやった方が楽ね」
秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は、その毒針の豪雨に迷うことなく飛び込んでいった。聞き耳で音を、そして効率的にオーラを身にまとい毒針を受けていく――その時、死角へ回り込んだ刻印玄蜂が呪詛の針を打ち込むも、紙一重でオーラに食い止められる。
「虫さんの針に刺されるほど鈍くはないし、刺されたところで、呪詛は脅威にならないもの」
そして繰り出される瑞穂の剣刃一閃は、甲殻も闇も構わない。鋭い一閃が、周囲を断ち切っていく。
「まあ、こんな愛らしい蟲を連れて。勿体ありませんが討ちますか」
荒覇・蛟鬼(無可有を目指す・f28005)からすれば、刻印玄蜂の群れも愛でるにたる存在だった。
(「本来なら手段であるべき事を目的にしている魔猿王の方が“塵”ではございませんかな。やりやすいのは大変ありがたい事ですれども」)
獄卒的価値観で蛟鬼はそう思いながら、刻印玄蜂の群れへ向かう。繰り出される呪詛の針でさえ、残像でかわしていく――愛らしい蟲にじゃれつかれているようなものだ。使われている、と思えば憐れみさえあるが――。
「すぱっと断ちましょう」
繰り出される右の回し蹴り――剣閃による薙ぎ払いがごとき鋭い蹴りは、闇を切り払う。哀れであっても、情けはかけない……それもまた、愛でるがゆえであろうか。
「妖獣、オブリビオンに身を堕としていようが瑞獣は瑞獣だ。俺も瑞獣の端くれ、仙界で好き勝手していたらしいが人界の都に手出ししてきたことを、あの世で後悔させてやろうじゃねぇか」
そして、集う刻印玄蜂の群れを見上げて黄・威龍(遊侠江湖・f32683)が言い捨てる。
「この羽蟲らがエテ公の連れか。都でなけりゃ龍の神通力で纏めて始末できたが、被害を抑えねぇとなりゃ仕方ねぇ。ひとつの群れを虱潰しに退治して回るか」
威龍が跳ぶ。それを渦巻く闇となって迎撃しようとした刻印玄蜂の群れへ、威龍は言い捨てた。
「ふん、身体を闇に変えて姿をくらませようとしてやがる。闇になりゃ陽の元に照らすだけだ、そらよ」
放り投げられたのは、如意宝珠である北辰だ。そこから放たれる光に、闇が打ち砕かれるように払われた。
●切り払い、露払い
刻印玄蜂の群れは、既に状況を把握していた。知性ではなく、その本能で――圧倒的に不利な状況。実力差。いわば天敵、オブリビオンという強者となって出来たそれを理解していたのだ。
しかし、後退も逃亡も選択肢になかった。野生の本能さえ上回るオブリビオンの本能が、刻印玄蜂の群れを突き動かすのだ。
――殺せ、今を殺せ。そして、己と同じ過去にするのだ、と――。
「まったく、度し難いですな」
蛟鬼は言い捨て、跳躍する。殺意を持って迫る刻印玄蜂の群れ――オブリビオンという歪んでしまった存在へ、最後の情けをかけるために振り上げた足を振り下ろした。
「せめて速やかに終わらせてあげましょう」
ズザン! と大上段に振り下ろされた踵落とし――蛟鬼の構え太刀が、縦一文字に刻印玄蜂の群れを断ち切った。二つに分かたれる闇、それらは左右に別れ猟兵達へと毒針を降り注がせた。
だが、その右側はさらなる横一文字の斬撃に消し飛ばされる。瑞穂の剣刃一閃だ。
「そもそも、ね? こっちの歴史では、元々はきつねも瑞獣でしょう。悪者にされたのは通俗物語で悪役に据えられたからよ。瑞獣の手下にどうにか出来る相手ではないと知りなさいな」
『ギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!』
それを否定しようと、刻印玄蜂の群れによる刺し違えを狙った豪雨が迫る。だが、瑞穂はもはや回避さえしようとしない――その前へ翁が立ち塞がったからだ。
「まとめて焼き払え」
ゴォ!! と数十体の死霊蛇竜による蒼き獄炎が、翁ごと闇と毒針を燃やしていく。まさに地獄――その光景の中で、なおも翁は駆け続け右側の刻印玄蜂の群れを焼き尽くしていった。
『ギチギチギチギ!?』
「侮るつもりは無いけれど、私をこれで止められると思わないで欲しいな――此方の射程に入ればもう、こっちのもんさ」
そして、残った左側に逃れた刻印玄蜂の群れへと玲はエナジー解放を繰り出す。放たれた高威力の衝撃が、刻印玄蜂の群れを押し潰し消し飛ばした――その一部が、逃れようとする。敵の脅威を、伝えようとしたのだ。
『ギチ!?』
しかし、既に遅かった――周囲を結界によって塞がれている。威龍は張り巡らされた結界に動きを止めた刻印玄蜂の群れへと言い放った。
「骨の髄まで教えてやるぜ……荒れ狂う龍の恐ろしさをな!」
天灾通力――光熱の旋風が吹き荒れる。ドォ!! と触れれば燃える風が蜂を、まばゆい光が闇を、それぞれを消し飛ばしていく――それが止めとなり、膨大な数がいた刻印玄蜂の群れが完全に消失した。
こうして人界の都、その一角に青い空が戻ってくる。速やかに、そして静かに――猟兵達の目的は果たされた。
しかし、これは第一段階。次の目的こそ、本命だ。
「さてさて、大将は何処を散歩中かな?」
「さぁて、『獬金』とやらはどんな御方でしょうかな」
玲と蛟鬼の言葉には、期待の色がある――それと同時、彼らは素早く走り出した。瑞獣同時が合流するその前に、全てを終わらせるために……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『獬金』
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POW : 誘堕雷
自身が装備する【角】から【堕落していない者へ降り注ぐ黒雷】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【堕落】の状態異常を与える。
SPD : 誘堕輝
【呪詛を纏った角の輝き】を披露した指定の全対象に【堕落したいという不義の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ : 一起堕落
【皆一緒に堕落して欲望のままに生きたい】という願いを【周囲】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナミル・タグイール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●堕落誘う獣
『……ふむ』
獬金は小さく耳を動かす。人界の都は広く、そして入り組んでいる。あの刻印玄蜂は魔猿王の配下、目障り耳障りだからこそ距離を置かせていた……だからこそ、その事態に気づくのが遅れたのだ。
『面倒よな、ああ、面倒極まりない――』
獬金は魔猿王とは違う。闘うことに、意味も価値も見出していない。だからこそ、今のこの状況を面倒の一言で終わらせた。コレはあの魔猿王の領分だ……だからこそ、観光を素早く切り上げ、踵を返す。
(「一直線に帰るのが吉か。だが――」)
獬金は、本拠地へと駆け出した。しかし、人界の裏路地をわざと利用しての帰還だ。屋根や上空など、すぐにバレる方法は取らない。身を隠せ、すぐに逃亡できる状況を作りながら、最短距離で戻るのだ。
魔猿王と合流さえできれば、よほどのことがない限り問題ない。そして、合流さえできればアレを足止めに利用して自分だけが逃げればいいだけの事。そして、魔猿王はそれを喜びはすれど文句は言わないだろう――彼らの目的の差は、それほどの開きがあったのだった……。
子犬丸・陽菜(サポート)
ダンピールの咎人殺し×聖者、14歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、リーダーには「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
宝珠による臓物を掻き回しを多用し、知られざる枷を使います。怪我は厭わず積極的に行動、臓器の負傷でユーベルコードの威力が上がるので負傷は状況によりわざと受けたりもします。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
潜在的なマゾヒストなのでユーベルコードの苦痛になにか感じる場面もあるかも?
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
曽我部・律(サポート)
『この力を得たことは後悔していない……』
『私以外の人間が不幸になるところを見過ごすことはできないんでね』
『こういうのには疎いんだが……ふむ、こんな感じか?』
とある事件で妻子を失い、その復讐の為にUDC研究を続けているUDCエージェントです。ですが、UDCを強引に肉体に融合させた副作用として徐々に生来の人格は失われつつあり、妻子の記憶も彼らの写真によって辛うじて繋ぎ止めています。
多重人格者としての別人格『絶』は凶悪なオブリビオンの存在を察知すると、律に代わって表に出てきて戦います。その際、口調は『おい律……うまそうな匂いがするじゃねぇか。代われよ』みたいな凶悪な感じになります。
アト・タウィル(サポート)
『どうも、アトです。』
『ふふ、それはどうも。』
『私にできることなら、なんなりと。』
ねじくれた魔笛≪Guardian of the Gate≫を携え、ふらっと現れる女性。性質は大人しく、いつも笑顔を浮かべているが、その眼は深く開いた穴のように光を写さない。大体平常心で、驚くということがあまりない。その代わり、空気は読むので、必要に応じて驚いたふりなどはする。
戦闘では、魔笛を用いてUCを使う。音楽系はもちろん演奏で、サモニングガイストもそれに合わせて現れる形。ミレナリオ・リフレクションでは、相手のUCが剣などを使う場合は必要に応じて武器としても使う。
後はお任せします、自由に使ってください
寺内・美月(サポート)
アドリブ・連携歓迎
※エロ・グロ・ナンセンスの依頼はご遠慮願います。
・依頼された地域に亡霊司令官(顔アイコンの人物)と隷下部隊、美月の親衛隊から選抜亡霊歩兵を派遣。美月がグリモアベースから到着するまで(サポート参加では現地にいない状態)、現地での活動に必要な権限を付与
・隷下部隊として一個軍団(歩兵・戦車・砲兵・高射・航空・空挺のいずれか)に、出動しない軍団から一個師団程を増強し派遣
・ボスが召喚した敵に対して攻撃し、砲兵・高射・航空部隊の火力、戦車・空挺部隊の機動力、歩兵部隊の柔軟性を生かした戦闘を行う
・ボスが何も召喚しなければ、五人の選抜最精鋭亡霊歩兵を送り込み、5対1でボスと対峙する
●獬金
人界の裏路地を、異形が駆ける。裏路地を疾走する姿は、まさに漆黒と金色の獅子だ。
『――ッ!!』
不意に、獬金が急停止する。それは目の前に立ち塞がる気配に気づいたからだ。気配は五つ――それが迫るのを、獬金は地を蹴って対応しようとした。
「さすがは獣、いい勘をしている」
寺内・美月(霊軍統べし黒衣の帥・f02790)の五人の選抜最精鋭亡霊歩兵だ。さすがに都の中で大戦力を展開はできない――それを理解するからこそ美月は足止め、あるいは時間稼ぎに集中する。
「三人は左の路地へ。二人はそのまま追い込め」
手足のように――あるいはそれ以上の精度で――美月の選抜最精鋭亡霊歩兵は、獬金を追い立てる。切れる獣だ、と美月は脳内で評価を修正。もしも足を止めて対抗しようものなら、既に包囲は終わっているというのに――。
(「優先順位を間違わない――厄介な相手ですね」)
通常、追い込まれれば脳内で選択を求められる。その選択の迷いこそ、付け入る隙だ。だが、こうと決めた方針を最後まで捨てないというのも一つの賢い選択だ。
「狩り、とはいかないものですね」
誘導されてくる建物の屋根の上から、曽我部・律(UDC喰いの多重人格者・f11298)が言い捨てる。獬金の気配が近づいてくる――そう感じた瞬間、律の口角が上がった。
「おい律……うまそうな匂いがするじゃねぇか。代われよ」
オーブ・オブ・ウーズを手にした律――否、別人格である絶が跳ぶ。獬金の頭上、艶めかしい光沢を放ちながら蠢くオーブ・オブ・ウーズを振りかぶり、絶が吐き捨てた。
「喰わせろよ!」
ゴォ!! と破壊音を轟かせ、土煙が立ち昇る。獬金はそのまま止まらず前進、絶の手元から伸びたUDCが迫った。だが、獬金の黒雷がそれを防ぐ!
「行かせない――わよ!」
雷を掻い潜り、血統覚醒でヴァンパイア化した子犬丸・陽菜(倒錯の聖女・f24580)が獬金へ駆ける。内蔵を掻きむしられるような苦痛、それを感じた陽菜が逆恨みの刃を展開しようとした刹那。
『痛みに溺れているがいい――!』
「……っんぐ!?」
陽菜の潜在意識を見逃さなかった獬金の堕落への呪詛に、陽菜の視界が歪む。そのまま陽菜を黄金の爪で引き裂こうとした刹那――律が、止めた。
「邪魔すんな、律ッ!!」
即座に入れ替わり、絶が獬金へ攻撃を繰り出す! それを獬金は建物の壁を足場に、跳躍してかわした。
『邪魔を――』
するな、と続くはずだった獬金の言葉が、不意に途切れる。その場に鳴り響く音色――アト・タウィル(廃墟に響く音・f00114)の魔笛≪Guardian of the Gate≫だ。
「……お願いしますね」
アトの魔笛≪Guardian of the Gate≫の演奏によって召喚されたのは古代の戦士、その霊だ。古代の戦士が繰り出す槍を獬金が黄金の鉤爪で受け流し、ギギギギギギギギギギギギギン! と火花を散らす――その合間に、美月の亡霊歩兵達が回り込んでいた。
『チィ! どこまで厄介な!!』
獬金が、さらなる黒雷を降らせる。だが、狙いは倒す事ではない――あくまで撹乱のためだ。
こと、ここに至っても逃亡を諦めない。それが獬金という堕落への誘惑者の在り方だった……。
●その活路を抜けた先に――
(「……本当にしつこいな」)
内臓がかき回される感覚に息をこぼしながら、陽菜は駆ける獬金の姿を見る。捕食側でありながら、逃走に一切の迷いがない――その判断の的確さは、獣の本能か誘惑者の理性か。どちらにせよ、厄介な代物だった。
『チィ――!』
だが、それは獬金にとっても同じだ。いくら引き離そうとしようと、食らいついてくる。このままでは完全に囚われる――そうなると、強引に抜けるしかなくなり厄介極まりない。獬金の実力を持ってしても、そう思わせる実力が猟兵達にはあった。
「こちら、追い込みをかけます」
「はい、こちらも――」
美月の指示に合わせて、アトの魔笛≪Guardian of the Gate≫が音色を響かせる。五人の亡霊歩兵達による特攻――だが、獬金にとって面倒極まりないのはその割り切りだ。
(「隙が、無さ過ぎるだろうが……!」)
美月という司令塔の存在を知らないからこそ、獬金にとって亡霊歩兵達の連携は悪夢でしかない。こちらを見事に追い込み、誘導してくれる――そして、そこに待ち構えていたのはゆらりとアトの演奏に合わせ舞うかのように構える古代の戦士だ。
『――!!』
ギ、ギギギギギギギギギギギギギギン! と獬金の鉤爪と、古代の戦士の炎をまとう槍が激突する。一合、ニ合、三合、四合、五合――十合を越えた辺りで、槍を肩に受けながら強引に獬金が押し切った。
『ええい、わずらわしいわ!!』
ヒュガ!! と黒雷が、周囲を薙ぎ払う! 雷の狙いは甘い、だが目眩ましとしては十分過ぎる――獬金が身を沈めて疾走、そこへ絶が立ち塞がった。
「どうした、ああ!? 余裕がねぇじゃねぇか!」
『やかましい、狂犬が!!』
ヒュオン! と迫る絶の操るUDCを、獬金は鈎爪と角でねじ伏せる――その直後、絶の蹴り上げた爪先が、獬金の顎を強打した。
『ぐ、が……あ、あああああああああああああああああああああああああああああ!!』
黄金のたてがみを振り乱し、お返しとばかり獬金が回し蹴りを繰り出す。のけぞった体勢での蹴りに薙ぎ払われ、絶は後退――そこへ、不意の激痛が獬金を襲った。
「あたしの、苦痛の一端……感じてみますか? ん、ぐ、んぐぅっ!!」
陽菜の知られざる枷による、内臓をかき回される苦痛だ。それに、獬金は顔を歪め――ボソリと呟いた。
『――――』
その呟きは、陽菜しか届かない。一起堕落、ただ一人の陽菜への堕落のいざないは、しかし、ビクリと陽菜の動きを止めるのに十分だった。
『が、ああああああああああああああああああ!!』
そのまま、獬金は一気に駆け抜ける。付き合っていられぬ、と嫌悪と怒りを隠しもせずに吼えて。
戦いなど、魔猿王のすべき事なのだ。自分の領分ではない。その事への憤りが腹の底からふつふつと煮えたぎる想いだった。
だからこそ、振り返らない。今度こそ完全に振り切った、と獬金は真っ直ぐに路地を駆け抜けていった。
「……ここまでですね」
美月は言う。取り逃がした、とは思っていない。もっとも視界を広く、状況を把握していたのはこの場では間違いなく美月だろう。
「後はお任せしましょう」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
御剣・刀也
よう、どこ行くんだよ?
二匹纏めてでも良いかと思ったんだけどな。一匹ずつ叩くみたいだから、まずはお前だ
漁夫の利を得られるなんて思うなよ?
誘堕雷で黒雷を落とそうとしたら、獅子吼を上空に投げて避雷針がわりにして、勇気で被弾を恐れず、ダッシュで一気に間合いを詰めて、グラップルで雷を落としてる角をつかみ、強引に投げてへし折り、動けないところに捨て身の一撃の拳を打ち込む
「堕落?悪いな。俺にそんなことしてる暇はねぇんだ。昨日の自分より、少しでも前に進むためにはな」
●修羅の道行き
猟兵達を振り切った、そのはずだった。だが、その鋭い刃のような声と殺気が、心の臓へとするりと刺し込まれた。
「よう、どこ行くんだよ?」
獬金が、足を止める。それ以上踏み込めば、間違いなく死地であると本能が訴えた。そこに待ち構えていたのは、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)だ。
「二匹纏めてでも良いかと思ったんだけどな。一匹ずつ叩くみたいだから、まずはお前だ。漁夫の利を得られるなんて思うなよ?」
『お、のれぇ……!!』
ギシリ、と獬金が歯ぎしりする。そこに込められたのは、追い込まれた意識した鬱屈した怒りだ。
『何故、気分良く堕落させようとしない!?』
「知るか」
一言で言い捨て、刀也が地を蹴る。それに獬金が横へ跳ぶ。ガキン! と黄金の角と獅子吼が、火花を散らした。
『冗談ではない! 魔猿王め、何をやっているか!?』
戦う力がある事と、意志がある事はイコールではない。獬金からすれば、ただ人々が堕落する姿を見たいだけなのだ。だというのに、魔猿王が好むだろう戦いが何故自分などに舞い込んでくるのか! 理不尽だ、と獬金が歯ぎしりする。
『~~~~~~~~~~~! やっていられるかぁ!!』
獬金は身を沈めて、一気に跳ぶ。建物の屋根へ――もはや、見つかろうがなんだろうが知った事か。こちらが見つかるように、魔猿王もまた自分の置かれた状況に気づくはずだ、と。
『ただただ、戦いに堕ちるがいい! 人の皮を被った修羅がぁ!!』
ズドン! と獬金の誘堕雷が刀也に降り注ぐ――そのはずだった。
「堕落?」
だが、その雷が落ちた先は、刀也が宙へ放り投げた獅子吼にだった。その光景に、獬金が息を飲む。
『――ッ!?』
その刹那、刀也が地を蹴る。刀也は獬金の黄金の角を掴み、強引に投げ飛ばし――。
「覇王武皇拳!!」
刀也の単純で重く質素にして簡潔、鍛え上げられた正拳突きの一撃が獬金の黄金の角を粉砕した。獬金の黒と黄金の体躯が、そのまま裏路地にある大きめの空き地へと吹き飛ばされる。
「……悪いな。俺にそんなことしてる暇はねぇんだ。昨日の自分より、少しでも前に進むためにはな」
昨日よりも今日、今日よりも明日。日進月歩を旨とする修羅は、獬金の一切を否定して言い捨てた……。
大成功
🔵🔵🔵
秋津洲・瑞穂
原始神道の神使を堕落させるっていうのも酷い話ねー。
そもそも堕落なんていう概念自体が成立しないわよ?
神々みんな、欲望の赴くままに好き勝手してる。
わたしだって、うちの神様方が好きだから仕えているし、
人間が好きだから助けたいし、剣技とか術とかどうたら
――そも、仔ぎつねが我欲以外で動くもんか(
ただそうありたいと望むが故に、そうあるだけのこと。
簡単でしょう? 欲望のあり方があなたと違うだけよ。
解ったら鎧無視攻撃40の狐火さんたちのお相手をして下さいな。
2回攻撃40のっけて200匹以上の狐火軍団の飽和攻撃を喰らえ。
「おいでおいで、火の子たち」
木霊・ウタ
心情
堕落なんてさせやしない
皆を守り抜くぜ
敵
散歩のとこ悪いけど
通せんぼだ
瑞獣が落ちたもんだな
可哀そうに
海へ還してやるぜ
戦闘
黒雷を大剣&炎で武器受け
雷のプラズマを炎のそれで相殺
仲間も庇う
状態異常を喰らっても
俺の身の内で燃える獄炎が
堕落を焼き喰らい灰に帰す
この程度で
地獄を堕落させられるわけないだろ
爆炎噴出で間合いを詰め
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払い角を砕く
そのまま炎で包み込み
海へ還す
紅蓮で送ってやる
事後
鎮魂曲を奏でる
安らかにな
次は猿退治か
頑張ろうぜ(ぐっ
荒覇・蛟鬼
獬金とやらは、“お子様”でしたか。
“堕落”程度じゃあ大甘すぎるのですよ、大甘。
そう、この飴のようにね。
■闘
まあいいですや、【鬼の宴】を始めましょう。
牢獄から咎人を出し『隠れた獣を探せ!』と【恫喝】し、
探りを入れさせましょう。
万一に備え『見逃したり、敵の言葉に少しでも賛同したら即処刑』
する旨も告げ【恐怖を与えて】おき、寝返りを防止します。
勿論ですが、私もサボリはしませんぞ。【第六感】や
【聞き耳】を駆使し、隠れた獬金を探り出しましょう。
発見したら反撃に備え奴の動きを【見切り】つつ其の身を
【グラップル】して捕え、周囲の味方や放った咎人達に
差しだし、タコ殴りにさせてやるのです。
※アドリブ歓迎・不採用可
月夜・玲
周囲の路地を『情報収集』して、敵拠点への最短距離に目星を付けて追いかけよう
お、散歩中失礼しまーす
路地を利用してのご帰還中悪いね
逃さないよ、合流されると厄介だからね
ここで一勝負するとしようじゃない?
●
引き続いて《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
『斬撃波』を放って逃げられないよう進行先の建物を壊し、瓦礫で道を塞ぐ
少しでも足が鈍ればそれで十分
さて、やろうよ
上方に『オーラ防御』を全力展開
黒雷をガードしながら接近
防ぎきれない雷は剣で『武器受け』
【偽書・焔神】起動
剣に炎を纏わせ、獬金を斬る
二刀流、『2回攻撃』による連撃と蒼炎による延焼でがっつりダメージを与えて行こう
●アドリブ等歓迎
黄・威龍
●SPD
話で聞いた妖獣の片割れだな
面倒だと抜かしやがるが、それはこちらも同じだ
貴人、民を守護する瑞獣とあろうテメェらの尻拭いをする身にもなってみやがれ
しかし、コイツぁスゲェ呪詛だ
往く先々の集落をまるごと堕落しちまうのも頷けるぜ
だが、テメェの考えることはよく分かる
相棒のエテ公に合流しようって魂胆だ
そうなっちまうと、コイツの力が厄介極まりねぇ物になるなら…その前にケリを付けるまでよ!
不義の感情を俺の【義侠心】で抗い、堕落しちまいたい思いを【覇気】を滾らせながら消し去って奴に『宿星天剣戟』で追いついてやる
追いつきゃぁ、テメェの力の源となるその角…宿星剣『北斗』を以って叩き折ってやろう
●都の片隅で――
吹き飛ばされた獬金が、空中で体勢を立て直す。ズサァ! と地面に跡を残し着地に成功した。
『――おのれ』
動きを一度たりとも止めなかった獬金が、初めて動きを止める。それは逃亡を諦めた事を意味していた。
「お、散歩中失礼しまーす。路地を利用してのご帰還中悪いね。逃さないよ、合流されると厄介だからね、ここで一勝負するとしようじゃない?」
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀し、月夜・玲(頂の探究者・f01605)が両刀を振るう。放たれた衝撃波は、広場の入り口である柵を壊し道を塞いだ。
「さて、やろうよ」
『ふん、どちらが悪のやり口かわからんな』
獬金の皮肉は、玲には届かない。この場所まで誘導された――その事実は、覆しようがない。ならば、あの破壊した柵とて破壊して問題ないと判断を下したのだろう。
「話で聞いた妖獣の片割れだな。面倒だと抜かしやがるが、それはこちらも同じだ。貴人、民を守護する瑞獣とあろうテメェらの尻拭いをする身にもなってみやがれ」
ゴキリ、と指を鳴らす黄・威龍(遊侠江湖・f32683)が眼前に、そして横から木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が姿を現した。
「散歩のとこ悪いけど、通せんぼだ。瑞獣が落ちたもんだ、可哀そうに。海へ還してやるぜ」
ピシリ、と獬金を中心に黒雷が走る。角が折られ、制御が効かない――だからこそ、ただ全力を込めて解き放った。
『お前らの都合など、知った事か!!』
ズドン! 誘堕雷が、手あたり次第に広場へと落ちていった。
●堕落へ誘う獣
「原始神道の神使を堕落させるっていうのも酷い話ねー。そもそも堕落なんていう概念自体が成立しないわよ?」
秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)の言葉に込められたのは、明確な呆れだ。
「神々みんな、欲望の赴くままに好き勝手してる。わたしだって、うちの神様方が好きだから仕えているし、人間が好きだから助けたいし、剣技とか術とかどうたら――そも、仔ぎつねが我欲以外で動くもんか」
――あるがままなり。
神道、あるいは古代の自然信仰における精神は宗教でも明確に異質だ。神があって人がいるのではなく、人があって神がある――どうか、こうしてくれと祈るのではない。どうか、こうしてくれるな、と災害を起こさぬように祈るのが自然信仰の基本だ。
『災厄災害の類が!』
「ただそうありたいと望むが故に、そうあるだけのこと。簡単でしょう? 欲望のあり方があなたと違うだけよ」
堕落という概念のあまりの違いに獬金は吐き捨て、瑞穂は膨大な数の狐火を放ち応える。ヒュガガガガガガガガガガガガン! と舞い散る火の粉、それを獬金は掻い潜り――。
「獬金とやらは、“お子様”でしたか。“堕落”程度じゃあ大甘すぎるのですよ、大甘。そう、この飴のようにね」
だが、その眼前にガガガガガガガガガガガガガガガン! と無数の織りが立ち塞がる――荒覇・蛟鬼(無可有を目指す・f28005)だ。
「隠れた獣を探せ!」
『オ、オオオオオオオオオオオオオ、オオオオオオオオオオ……!』
ギ、イィ……と軋んだ音共に開く檻――そこから解き放たれたのは、粗末な武具で武装し鬼の角を生やされた思考を奪われた咎人の幽霊、その群れだ。伸びてくる腕、腕、腕――それを獬金は黄金の鈎爪を振るい、ねじ伏せる!
『このような、鬼ごときで――!』
その刹那、降り注ぐ黒雷を焔摩天を盾に受け止めたウタが迫る。堕落誘う黒雷を地獄の炎で燃やし、ウタは焔摩天を振り下ろした。
「この程度で、地獄を堕落させられるわけないだろ!」
『――ッ!?』
獬金は紙一重で横へ体躯をずらし、回避。すかさず回し蹴りでウタを蹴り飛ばそうとするが、その足に咎人の亡者がしがみつく。
「システム切替、偽書・焔神起動。猛り、狂い、燃やし尽くせ」
そこへ、玲の偽書・焔神による浄化の蒼き炎が放たれた。その蒼炎から両腕で顔面を守った獬金が、強い衝撃に吹き飛ばされた――威龍の覇気をまとった鋭い蹴りの一撃だ。
ガッ! と獬金が吹き飛ばされ、建物の壁にぶつかる。だが、素早く立ち上がると獬金は即座に地を蹴った。
「自分から吹き飛ばされる事を選んだか」
足に残った感触の軽さに、威龍がそう判断する。実際、それが正解だ――獣の敏捷性を持つ獬金は止まらない。
『いいだろう、ならばとことんとやってくれよう――』
獬金の口角が上がった。ぞわり、と猟兵達の背筋に冷たいものが走る。今、獬金は後先を考えるのを止めた――自ら、堕落したのだ。
『考えるな、ただただ――溺れよ』
一起堕落、皆一緒に堕落して欲望のままに生きたい想い――それを喚起する呪詛が、解き放たれた。
●堕落の先に待つモノ――
それは、暴力であった。克己心だとか、自我だとか、経験だとか、意志だとか――そんなものは一切関係ないと、欲望ですべてを塗り潰す暴威そのものだった。
「しかし、コイツぁスゲェ呪詛だ。往く先々の集落をまるごと堕落しちまうのも頷けるぜ」
威龍が、苦々しく言い捨てる。欲望とは、楽とは、決してその先に幸福が待つとは限らない。満たされれば、その先を。楽を覚えれば、なお楽な方へ。上から物が落ちるように、一度落ちてしまえば地に落ちるまで決して止まらない。足を止めることなく走り続ける、血反吐に塗れたマラソンのようなものだ。
それを獬金は理解している。優しく、甘く、ただ最初に背を押すだけ――だが、実際には容赦なく死地へと凄まじい力で蹴り飛ばしているような呪詛だ。
「おいでおいで、火の子たち」
瑞穂の歌うような呼びかけに応え、膨大な数の狐火が獬金へと降り注ぐ! ドドドドドドドドドドドドドドドドドゥ! と降り注ぐそれは、もはや豪雨ではなく狐火の滝だ。それを獬金は疾走で掻い潜るろうと――。
「もうひとつ、どうぞ」
『――ぐ!?』
だが、その滝でさえ瑞穂にとってまだ『半分』だった。縦と横、滝を飲み込む狐火の津波が容赦なく獬金が飲み込む!
「怯まず、進みなさい。引くものは即処刑にします」
蛟鬼の恫喝に、その炎の中へと咎人の幽霊達は次々と飛び込んでいく。堕落しようなどという咎人はいない――それほどまでに恐ろしいのだ、地獄の責め苦は。
すがりつく咎人達、それに抑え込まれた獬金は強引に跳んだ――殴打され、燃やされ、獬金は傷だらけだ……しかし、その瞳は死んでいない。
『決めた、決めたぞ。お前らを必ずや――』
「それは無理じゃないかしら?」
堕落させてやる、という言葉に重ね、《RE》IncarnationとBlue Birdに蒼炎を宿し玲が同時に振り下ろす! ドォ! と獬金が蒼炎に飲まれ、地面へと叩きつけられた。
『ぐ、ぬ……!』
空中で体勢を立て直した獬金が、着地する。そこを爆炎噴出で間合いを詰めたウタの獄炎纏う焔摩天が、獣の胸を刺し貫いた。ドン! とそのまま加速――威龍もまた、宿星天剣戟によって駆け、宿星剣『北斗』を振りかぶった。
「――終わりだ」
「紅蓮で送ってやる」
ズザン! と獄炎に飲まれた獬金が、宿星剣『北斗』に断ち切られる。上半身と下半身、胴から切り飛ばされた獬金は地面に落ちる前に燃え尽きていった。
「次は猿退治か、頑張ろうぜ」
安らかに、そう願いを込めて鎮魂歌を奏でたウタがそう呟く。これで堕ちたる瑞獣は、残る一体――魔猿王のみとなった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『魔猿王』
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POW : 獣王顕現
【宝貝の力を解放する】事で【獣の王者】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 猿王の拳
【自身の拳】が命中した部位に【妖気】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
WIZ : 野獣軍団
自身の【ため込んだ食糧】を代償に、【配下にした獣ども】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【それぞれ持つ牙や爪】で戦う。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「草柳・華穂」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●魔猿王
屋敷の中で、乾いた拍手が鳴り響く。
『ハハハハハハ! 逝ったか、獬金!』
魔猿王は、そう楽しくて仕方がないという風に笑って言った。相棒であったはずだ、しかし、戦いに生きる魔猿王の考えは実にシンプルだ。
『敵がお前よりも強かった。ま、そんだけだわなぁ』
くつくつと喉を鳴らし、魔猿王は立ち上がる。向かう先は、食料庫だ。手を使うのも面倒だ、と食料庫の扉を蹴破ると魔猿の王は声を張り上げた。
『存分に食らって、存分に暴れろ! 祭りだ、祭りをやるぞ!!』
魔猿王の声に歓声を上げるのは、魔猿の群れだ。その歓声を聞きながら、魔猿王は一人こぼした。
『獬金よぉ、安心してあそこへ帰れよ。今度はオレが楽しむ番だ、なぁ!!』
御剣・刀也
愉悦ほしさに戦ってるくちか?なら勝ち負けだけじゃなく正悪にも目を向けてみろ
そうすれば負け戦だったとしてもそれなりに楽しめるぞ
獣王顕現で変身されたら、スピードと反応速度では絶対勝てないので、相手が確実に動きが止まる瞬間を作り出し、そこに必殺の一撃を打ち込む
第六感、見切り、残像で相手の攻撃を捌きつつ、隙を作り、勇気でダメージを恐れず、グラップルで筋肉を絞めて抜けなくして、相手の顔面を左手で掴み、顎を握り砕くほどの力で握って逃げられないようにして捨て身の一撃による刺突を打ち込む
「勝ち戦でしか笑えないような奴とこれ以上闘う気にはなれん。終わりだ!」
●修羅と魔猿
魔猿王はヒュオン、と先の折れた七星剣を振るう。肩に担ぐように構えると、吐き捨てた。
『血の匂いがしやがるなぁ、おい』
ニィ、と魔猿王が口角を持ち上げる。まるで狼や虎の威嚇のような笑み、それを向けられたのは御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)だ。刀也は庭の奥から現れると、魔猿王の殺気を真っ向から受け止め、返した。
「愉悦ほしさに戦ってるくちか? なら勝ち負けだけじゃなく正悪にも目を向けてみろ。そうすれば負け戦だったとしてもそれなりに楽しめるぞ」
『雑味だろ、そいつぁ。正義の敵は正義しかねぇぞ』
刀也は既に獅子吼を抜いている。距離は十メートルあるかないか。遠く、平坦ではない。白兵武器の間合いではない――素人ならば、そう考えるだろう。
だが、達人にとってはその程度の距離、瞬きで埋められる。
「――ッ!」
ギィン! と刀也の首元で火花が散った。獅子吼を持つ手に、鈍い痺れが走る――魔猿王が一歩踏み込み、距離を潰すと無造作に七星剣を振るったのだ。
(「スピードと反応速度では勝てんか――」)
ギ、ギギギギギギギギギギギギギギギン! と両者の間で火花が咲き乱れる。獣王顕現による真の力を開放した魔猿王の反射神経と速度は、まさに埒外だ。それに刀也は技で食らいつく。
だが、圧倒的に魔猿王が有利だ。物理的な力は、技さえ凌駕する。剛よく柔を断つ、それを地で行く勢いだ。
(『だってぇ、のに、よッ!』)
だが、ならばもう『終わって』しかるべきだ。的確に狙った急所、そこだけを確実に守る捨て身の攻防――イカれてやがる、と魔猿王は歯を剥いた。命を捨てているからこそ、『終わって』いない。健康のために死ぬとか、落ちないために落ちるとか、本末転倒の先に刀也は活路を見出したのだ。
『尸解仙よりタチ悪りぃ――!?』
目の前の修羅を愉快に思った、心の隙。それを刀也は見逃さない。強引に伸ばした左手が魔猿王の顔を掴み、固定――。
「勝ち戦でしか笑えないような奴とこれ以上闘う気にはなれん。終わりだ!」
上半身のバネを使った零距離から強烈な突き――刀也の雷神突・零式が繰り出された。ガギン! という金属の破壊音。そのまま、魔猿王が吹き飛ばされる。
『ク、ハハ、ガーハハハハハハハハハハハハハハハ! なるほどなるほど、お前がコッチ側にいないあたり、よっぽど持ってやがるなぁ、おい』
ガラン、と獅子吼の刺突を受け止めて完全に砕けた七星剣を、魔猿王は放り捨てる。そして、そのまま刀也を置いて建物の中へ――魔猿王が吼えた。
『殺し尽くせ、魔猿ども! あそこへ帰るのに、生命の一つも持たず帰るんじゃねぇぞ! 莫大な過去をもって、今をブチ殺せ!!』
大成功
🔵🔵🔵
秋津洲・瑞穂
では、存分に戦いましょうか。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」
……こんなに速い相手は珍しいわね?
わたしたち獣の類には元々ヒトより強い力があるから、
どうしても力を限界まで引き出したくなる。
野生の勘20+見切り20で回避
しかし力を入れると固くなる。動きが単純になってしまう。
誘惑10+フェイント20で回避
むしろ力は緩め、ヒトの術を加えて技を磨く。
それが獣の全力を上回る強さに繋がる。
カウンター20+オーラ防御40の平手で敵武器を叩いて回避
獣の出自に縛られていては、わたしには勝てない。
瞬間のダッシュ20+串刺し20+残像40からの
2回攻撃40二発目+鎧無視攻撃40+剣刃一閃
速いだけでは仕方ないのよ。
●――『檻』での戦い
魔猿王は、屋敷の中を疾走する。猟兵、侮るつもりはなかった。仙人や瑞獣とは違う、別の意味での自身の『天敵』。想像はしていた、だが、そこを越えた存在だと魔猿の王は理解した。
『面白れぇ――!』
だからこそ、自身の中で上方修正しながら牙を剥く。配下である魔猿達は既に解き放っていた。連中は自ら『枷』をはめている、守るべきモノが多すぎるのだ。
都。住民。さまざまな不利、それを自分から背負っている。利用しない手は――。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」
カチャリ、と鍔を鳴らし秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)が神獣刀を抜き上から斬りかかった。完璧なタイミング、不意を打った一撃――そのはずだった。
「……こんなに速い相手は珍しいわね?」
だが、振り下ろした細身の刀身に手応えはない。振り下ろし終え、即座に瑞穂はその場を蹴る。次の瞬間、壁を足場に急停止した魔猿王の胴廻し回転蹴りが、空を薙いだ。
こちらの不意打ちに即反応、壁を足場――よく見れば、足の指を壁にめり込ませた跡が残っている――に止まって魔猿王はこちらに対応したのだ。
獣の反射神経と速度、そのどちらかが欠けてもありえない切り返しであった。
(「わたしたち獣の類には元々ヒトより強い力があるから、どうしても力を限界まで引き出したくなる――」)
ガガガガガガガガガガガガガン! と建物の壁を足場に、魔猿王が縦横無尽に駆ける。それに、グっと脚に力を込めて引き絞った瑞穂が――応じた。
『クッ、カカカカカカカカカカカカカカカッ!』
金属の異音が鳴り響く。手数は圧倒的に魔猿王が多い。殴打も、蹴りも、獣のごときそれだ。技ではなく、振るうだけ。だが、獣ゆえの鋭利さがある。無駄の一切ない、急所への強襲――それを、瑞穂は技で捌く。
(「――しかし、力を入れると固くなる。動きが単純になってしまう」)
コンマ秒、反応が遅れれば終わる。その細い細い綱渡りの中で、瑞穂は魔猿王の猛攻に返し――。
「――獣の出自に縛られていては、わたしには勝てない」
トン、とあまりにも軽い瑞穂の掌打。触れるだけ、ただそれだけのソレは魔猿王が放った拳の軌道を大きく外れさせた。
力は緩め、ヒトの術を加えて技を磨く――それが獣の全力を上回る強さに繋がる。自然には存在しない、削ぎ落としたのではなく積み上げた先にある高み。それが人間の技だ。
だから、魔猿王は反応しきれない、軌道を逸らされて崩された体躯、その先に置かれていた刃――ひどくゆっくりと動く刃を、獣の反射神経と速度がかわせない!
『ぬ、お!?』
「速いだけでは仕方ないのよ」
ザン! と斬り裂かれ、魔猿王は瑞穂の横を駆け抜けていく。その傷こそが、獣を人が凌駕した証だ。胸元の傷跡を抑え、魔猿王は楽しげに笑った……。
大成功
🔵🔵🔵
木霊・ウタ
心情
猿を海へ還して
皆を守るぜ
戦闘
炎の矢と化してまず向かうのは食糧庫
立ち塞がる野獣軍団を
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払いながら進む
爪や牙を砕きながら紅蓮で消し炭に
食糧を全部燃やしたら(ちょいと勿体ないけど
そのまま壁や天井をぶち抜いて猿王の所へ
猿王を守る軍団を炎で燃やし尽くし
その炎の閃光で視界を灼き
煙で視界を遮り嗅覚を阻害し
熱で空気の流れをかき乱して
皮膚感覚や音での探知を阻害しながら突撃
大焔摩天の長大な炎の刃での一閃で
回避行動されても
そのまま炎に巻き込み灰に帰す
猿
戦いそのものが目的って奴は
目指す未来がある相手には絶対勝てないってコトだ
オブリビオンにゃ判んないだろうけど
事後
鎮魂曲を奏でる
安らかに
荒覇・蛟鬼
“塵”風情に利用された挙句、屍を辱められるとは。
つくづく哀れで、愚かな御方ですな。獬金とやらは。
まあ、組した時点で此の者と同罪ですけれども。
■闘
相手の動きは速いので、向こうから来るのを待ちますか。
敵の一撃を“截つ”(※【カウンター】)ことは、私の専売特許でございます。
先ずはその場からあまり動かず、【第六感】を働かせながら
魔猿王を目で追いかけしょう。
近づいてきたらその動きを【見切り】つつ、剣を持った腕を
【グラップル】して止め、【嘗女の惑乱】で腕を人差し指で
ぐさっと一突き。
魔猿王の感覚に『全身が痺れた』という偽の情報を流す
【マヒ攻撃】を仕掛け、自慢のスピードを封じるのです。
※アドリブ歓迎・不採用可
月夜・玲
いいね、いいねいいね
分かりやすくて良いね
分かりやすいじゃん
つまり、君が倒れるか此方が倒れるか
最期までやろうって事でしょ
いいよ、嫌いじゃない
ま、こっちも負ける気はしないけどね
さあ、死合おうじゃない
●
引き続いて《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
武器を抜き、敵の気配を『第六感』と足音等で『情報収集』して攻撃は『武器受け』して捌く
狙うのは一撃必殺、そのタイミングまで攻撃を受けながら耐える
チャンスが出来たら『カウンター』
【断章・焔ノ杖】起動
これまで受けたダメージ、流した血それこそが代償
蒼炎を纏わせた剣で渾身の『2回攻撃』
やられっ放しだと思った?
そうはいかないよ!
●アドリブ等歓迎
●炎の矢
魔猿王が建物の中で戦っていた頃――食料庫で、それは起きていた。
『キキ!?』
それはまさに炎の矢――天から地上へ突き刺さるように、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が獄炎纏う焔摩天を手に食料庫の屋根から中へと突撃したのだ。
燃え上がる食料庫に、面食らったのは魔猿達だ。何が起きたのかまったくわからず混乱していると、炎の中から飛び出したウタが言い捨てた。
「嵐のお通りだ。ちょいと荒っぽいぜ? ……焔摩天、転生!」
ヒュガ! と炎の軌跡を描きながら、ウタの大焔摩天が振り払われた。魔猿達は炎に怯みながらも、怒りが勝って飛びかかっていく。食事の邪魔をされたのだ、獣にとってこれほど怒りに燃える事もない。
だが、ウタには届かない。大きさや質量さえ自由自在の大焔摩天は、多くの敵に囲まれた状況こそ真価を発揮するのだ。
「ちょいと勿体ないけどな」
ウタは容赦なく、食料庫ごと食べ物を燃やし尽くす。本当に守るべきものな何か? ウタはそれを決して間違えなかった。
『キ、イイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!』
「海へ還れ!」
魔猿達が、ウタへと次から次に襲いかかる。その爪を、その牙を、灰に変えながらウタは地面を蹴った。空を裂き不死鳥の嘶き如き音を轟かせる速さで加速したウタは、そのまま魔猿王を目指して飛び出した。
●魔猿の王
――食料庫の騒動を、魔猿王は見ていない。だが、その方向からの熱気と次から次にやって来る猟兵に察するのみだ。
『ハハハハハハハハハハハ! ったく。無茶苦茶するもんだぜ、なぁ!』
手段を問わない、そのやり方を魔猿王は素直に称賛する。その言葉に、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は小さく笑った。
「いいね、いいねいいね。分かりやすくて良いね、分かりやすいじゃん」
『ああ、まったくだ。わかりやすくていいねぇ』
玲と魔猿王は笑いを交わし、同時に言い切った。
「つまり、君が倒れるか此方が倒れるか、最期までやろうって事でしょ」
『ようは、こっちがくたばるかそっちがくたばるかの二択って事だろう』
重なった言葉に、玲の笑みが濃くなる。ますます気に入った、そういう笑みだ。
「いいよ、嫌いじゃない。ま、こっちも負ける気はしないけどね。さあ、死合おうじゃない」
玲が《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀する。それに、魔猿王も身構えた。
「“塵”風情に利用された挙句、屍を辱められるとは。つくづく哀れで、愚かな御方ですな。獬金とやらは。まあ、組した時点で此の者と同罪ですけれど」
玲の横に並び、荒覇・蛟鬼(無可有を目指す・f28005)が言い捨てる。その視線、その足運びに、魔猿王は蛟鬼の意図を察した上で、低く構えた。
『いくぜぇ――存分に楽しませろ、猟兵ども!』
バキン! と魔猿王の踏み込みに耐えきれなかった床が踏み砕かれ、破片が高速機動の衝撃波に乗って玲と蛟鬼へ迫った。それを即座に玲は二刀を振るった衝撃波で消し飛ばす!
「――――!」
『鈍れぇ!!』
直後、玲の顔面へ魔猿王の拳が迫った。牽制に対処するタイミングを計っての一撃、それに滑り込むように割り込んだのは蛟鬼だ。拳を受け止め、衝撃を殺す動きに合わせての肘でのカウンター――だが、それを床を蹴った魔猿王は二人を飛び越える事でかわした。
『ハハハ! 油断も隙もねぇな!』
「敵の一撃を“截つ”ことは、私の専売特許でございます」
着地と同時、魔猿王の後ろ回し蹴り。それを玲は振り返らずに《RE》Incarnationを床に突き立て、受け止めた。ガギン!! と鈍い激突音。《RE》Incarnationが弾かれ、魔猿王も後退を余儀なくされる。
「やっぱり速いわね」
『もう一度言うぞ? お前らが鈍いんだよ!』
ガガガガガガガガガガガガ! と床や天井、壁を足場に縦横無尽に魔猿王は跳び回る。それに対し、玲と蛟鬼は再び身構えた。
●王として――
獣の王者としての魔猿王の速度は、もはや猟兵達のそれとは文字通り桁が違った。高速の世界におけるコンマ秒の差とは、絶対と言っても過言ではない――それこそが、魔猿王と魔猿を分ける、の王たる所以である。
だが、逆を言えば。コンマ秒の遅れが魔猿王に生じた時、それは王の座から引きずり降ろされる事に等しい。ここまで、魔猿王が戦った猟兵との戦いは、そのコンマ秒の遅れを生んでいたのだ。
それでもなお脅威であったのは――間違いなく、魔猿王の強さがあったからだった。
(「本当に、面白いじゃない」)
だから、玲は窮地にあって笑う。白と黒、勝ちと負け、それだけしか存在しないシンプルな戦場――だからこそ、できる戦いもあるのだ。
『ク、カ、カカカカカカカカカカカカカカカカカカ!!』
それは魔猿王も同じ事。真っ向から食いちぎる、それに値する『敵』だと判断したからこそ魔猿王は全力をもって相対する。
床を蹴る。ミシリ、という軋み、砕ける前の感触が脚に伝わるのがわかる。爆ぜた。一歩目から乗るトップスピード。七星剣を引き抜いた魔猿王は、ただ一本の矢となって駆け抜けた。
それを、蛟鬼が迎え撃つ。七星剣を持つ手、そこへ伸びる蛟鬼の指――嘗女の惑乱の一撃が、魔猿王を捉えた。
『――!?』
嘗女の惑乱は、『全身が痺れた』という偽の情報を魔猿王の感覚に流す。極限まで高めた魔猿王の反射神経は、それを誤認だと自覚した。だが、体は違う。痺れたという誤解が、ほんのわずかな遅れを生じさせた。
(『う――ご――』)
け、と魔猿王が高速思考するより早く、玲の断章・焔ノ杖による蒼い炎がBlue Birdを飲み込みながら切り上げられる。見えている、カウンターの一撃。今まで自分が積み重ねた傷から流した血を燃やした玲の一撃を起こりから、何から、魔猿王は確かに見切っていた。
だが、痺れたと誤解した体が、反応しない。焼き切られていく感覚を感じながら、魔猿王が大きくのけぞった。
そして、《RE》Incarnationの振り下ろしが魔猿王を切り裂く。体制を崩した魔猿王が、地面を転がった。
『ぐ、が、あ――!?』
その瞬間、魔猿王は見た。天井が、燃えていく――その焼けた天井を砕いて飛び込んできたのは、ウタだった。
伸びた大焔摩天の長大な炎の刃による一閃が、魔猿王を断ち切る。ここまででかかった時間は、ニ秒とない――だからこそ、玲とウタ二人の言葉は魔猿王に届かない。
「――やられっ放しだと思った? そうはいかないよ!」
「戦いそのものが目的って奴は、目指す未来がある相手には絶対勝てないってコトだ――オブリビオンにゃ判んないだろうけど」
上半身と下半身に断ち切られた魔猿王が、床を転がっていく。蒼と赤、ニ色の炎に飲まれ、その亡骸はまたたく間に燃え尽きた。
「……安らかに」
ウタは、鎮魂曲を奏でる。最期まで、戦いの中で歓喜の笑みを忘れなかった魔猿の王へ……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵