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貴様もモフモフになるが良い

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #レプ・ス・カム #フェアリー

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●これ何の毛玉?
 フェアリーランド、それはフェアリー種族のユーベルコードによって生まれる、壺の中の小さな世界だ。その効果は対象を保護する意味合いが強く、そこは基本的に平和で穏やかな、争い事とは無縁の場所。
 冒険者であるフェアリー、シェイの作りだした此処も、傷付いた動物達が傷を癒す、平和な森になっていた。外とは別の暖かな風が吹き、小川のせせらぎと葉擦れの音が聞こえる、緑に満ちた楽園。そこに現れたのは、もう一匹の兎だった。
 そいつが他と違ったのは、巨大とも言えるそのサイズと、入国条件の『壺に触れる』ことを満たしていない事。フェアリーランドの主であるはずのフェアリー……シェイの与り知らぬところで現れたそれは、ふんぞりかえった姿勢で口を開いた。

「ふむ、悪くない。では、此処を余の王国とする」

「は?」

 そこからの変化は劇的だった。そこに暮らす動物達が、過剰にモフモフになっていく――そう、平たく言えば、毛が伸び始めたのだ。

●モフモフ王国だってさ
「うんうん、『だから何だ』って言いたくなるよね、わかるよ」
 もっともらしく頷いて見せて、今回の件を予知したオブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)が話を続ける。最も重要な点は一つ、ここで現れたやけにでかいウサギが、猟書家の配下に当たるということだ。
 つまり、先日倒された幹部「レプ・ス・カム」と同様に、大天使ブラキエルの目論む「天上界への到達」を実現すべく動いている。フェアリーランドと、そこから得られる『鍵』が何を意味するのかは未だ不明ではあるのだが。
「例によって、この冒険者のフェアリーさんは、ユーベルコードを解除することもできず、生命力を消耗させられているんだ」
 少なくとも、このままでは彼女が危ない。だからこそ、是非とも手を貸して欲しいと彼は言う。

「元々、このフェアリーランドは傷付いた動物の保護に使っていたようだね。それが今は、過剰にモフモフにさせられた動物達が、身体の自由も利かない毛玉になってあちこちに転がっている状況みたいだよ」
 保護したはずの動物達がこのような目に遭うのは本意ではないだろう、当のフェアリーはかなりの心労を抱えている様子。
「だからね、君達にはまず、このフェアリーランドの動物達の状況に対処してほしいんだ」
 過剰なモフモフに混乱する動物達をどうにか宥めて、フェアリーの気持ちも落ち着けば、この奇怪な『悪夢』の効果も多少は抑えられるだろう。そうしてから、事態の元凶であるオブリビオンを撃破して欲しい。グリモア猟兵は一同にそう告げた。

「ああ、そうそう。もちろん君達も、この『悪夢』の効果を受ける事になると思うんだ」
 つまり、モフモフになる。
 個人差はあるだろうが、人間種族も獣人くらいの感じにはなるだろうし、尻尾や耳が生えてくるくらいの覚悟は要るだろう。元がふさふさの種族はもっと極端になると思って良いし、深海人もウォーマシンも例外ではない。
「まあ……ちょっと大変かも知れないけど、猟書家の企みを放置するわけにもいかないからね、がんばってきてほしい」
 ついでにカメラも持っていく? などと聞きながら、彼は猟兵達のために道を開いた。


つじ
 内容が内容ですが、これもちゃんと猟書家案件です。
 過剰なモフモフに襲われるフェアリーランドを救い、フェアリーさんとアックス&ウィザーズを守ってください。

●第一章
 フェアリーランドに入ったところからリプレイを開始します。
 森の中に、動けない毛玉と化した動物達が転がったり困ったりしていますので、何とか解決して宥めてあげてください。適度に刈るのが手っ取り早いですが、やり方はお任せします。

●第二章
 『王兎』ウサギサマとのボス戦になります。撃破してください。
 皆さんとどちらのモフモフが上かの頂上決戦になるかもしれません。

●フェアリーランドを襲う悪夢
 中に居ると過剰にモフモフになります。長毛化、獣人化のような効果が見られますが、個人差はあります。モノによっては物にも毛が生えるかも知れません。
 事態解決か、フェアリーランドの外に出られれば元に戻ります。

●フェアリー『シェイ』
 今回のフェアリーランドの主。フェアリーランド外に居ますが、中の状況は把握しており、中からの声掛けも可能です。

 以上になります。それでは、皆さんのご参加をお待ちしています。
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第1章 冒険 『混乱する動物たちを宥めろ!』

POW   :    巨体を持つ熊や虎などの猛獣とタイマンバトル!

SPD   :    すばしっこいウサギやリス、鳥なんかを捕まえる、

WIZ   :    歌や音波、魔法や超能力などを使って、興奮した動物を落ち着かせる

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミーミ・ミャオ
みぃ、やわこくて可愛い……これは何かしら?
ヘイカももふもふだけれど
小さなヘイカのようなこの子ももふもふそうなのよ
隣合う白虎にこてり、寄り添い興味津々にみやる先
白い──ねこが転がって
書物でしか見たことがない、うさぎもいるの

あたたかそう
やわこそう
ぎゅうと抱きしめおもいきし
その熱を感じたい
でも
わたし、毒の手
きっとぎゅうとしたら、冷たくなってしまうから

そうとそうと、壊さないよう
お洋服の上から撫でるのよ
あら、ヘイカ?
お腹とお鼻をぐぅと鳴らして
食べてはだめよ

ふわふわ、刈り取れば動けるかな
みぃ
切るのは得意
しゅうと包丁で綺麗に毛をかって
すかりと動けるようにしてあげる

刈り取った毛の中にもふん!
んふふ!あったかい



●やわこい
「みぃ、やわこくて可愛い……これは何かしら?」
 白虎にこてりとその身を預け、ミーミ・ミャオ(ひみつ・f32848)は転がるそれへと視線を注ぐ。興味津々、と言った様子で見るそれは、ヘイカとよく似た白い毛玉。もふもふなのも、その色だってよく似ているが、大きさが少し違うかも。
 ねこ、という単語が浮かんだその頃には、その近くにある耳の長い生き物が、書物で見たうさぎであると思い至る。
「……」
 そわそわと、ミーミはその指を悩まし気に動かす。あたたかそうで、やわらかそう。ぎゅうと抱きしめたい欲求が、その熱を感じたい衝動が、胸の内で躍っている。けれど、と彼女は思う。伸ばしたそれ、薄紫の指先を。
 それは避け得ぬ毒の色。きっとこれで抱き締めたら、あたたかな熱も消えてしまうのだろう。
 だから、惜しむ気持ちを抱えながら、その爪先を洋服に隠して、そっと撫でる。それでも、その柔らかさの片鱗は感じ取れるだろうか。どちらかというと、その下の強張った身体の気配の方が強く察せられてしまうが……。
「……ヘイカ?」
 撫でるウサギの抱く、緊張の気配を追えば、じっとその毛玉を見つめる白虎の姿があった。もう一つ首を傾げたミーミの前で、白虎のお腹がくぅと鳴る。
「食べてはだめよ?」
 先手を打つようにそう言って、彼女はもう一度、手に触れる感触へと意識を戻した。

「やっぱり、動きづらそう……」
 しばしそれを楽しんでいたミーミは、もがく小動物の様子に気付く。少し刈り取れば動けるだろうか。
 みぃ、と一つ喉を鳴らして、彼女は肉切り包丁をその手に握る。
「……食べないから、大丈夫」
 びくりと震えたような気がする動物へとそう告げて、ミーミはその鋭い刃で毛を切り始めた。柔らかな、けれど重いであろうそれを梳いて、身軽な体に。
 そうして獣達の自由を取り戻してやってから、彼女はおもむろに、残った毛玉の塊へと倒れ込んだ。
 生身ではないこれならば、思う存分感じられる。
「んふふ! あったかい」
 頬を、そして指先を、くすぐる感触にしばし浸った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』破壊神な武の天才
一人称:わし 豪快古風
他人格より借りた武器:黒曜山(毛刈りに最適な形態)

何でわしなんじゃ、と思ったが。合点がいった。
わし、生前は狼獣人(種族:キマイラ)だったからの!つまりは生前に戻った!(?)
尻尾で重心がいささかズレるこの感覚も懐かしい。
戻っとらんのは身長(生前194cm)だけか。

さて…見事な毛玉になっとる。
適度に刈るとするか。蒸れて身体によくない。
まだ寒さ残る春先でよかったの、夏であったら地獄じゃし(経験者は語る)
ほれ、大人しくするがよい。大丈夫、適度な毛刈りは、生前ので慣れておる!


姿は真の姿で橙狼のを参照願います。



●慣れたもの
 一つの身体に四つの意思、場に合わせて入れ替わる馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の、今日の担当は『火』の男。
「何でわしなんじゃ、と思ったが……」
 そういう空気でもあるまい、という当然の疑問は、現地に赴いた時点で氷解した。
 全身を覆う橙の毛皮に、尻尾によってズレる重心。この場を覆う力の影響を受けたこの身に感じるのは、違和感よりも『懐かしい』という感想だった。
「なるほど、生前に戻ったようだ!」
 呵々と笑う。元は狼獣人であった彼からすれば、この方が自然で。
「身長が少々物足りんが、まあ良かろう」
 上機嫌な様子で、義透は早速動物達の相手に取り掛かった。
「さて……見事な毛玉になっとるな」
 見つけたそれは、どうやら鳴き声からして犬のようだが。こうなっては最早犬種もわからない。
「ほれ、少し大人しくするがよい」
 これでは蒸れて体に良くない。というか夏場であれば地獄だろう。しみじみとそんなことを思い返しつつ、漆黒の剣を手に握る。本来の自分の得物ではないが、今回は特別。黒曜石の輝くそれを、毛刈りに丁度良い形へ整えて。
「大丈夫、適度な毛刈りは、生前ので慣れておる!」
 もだもだと蠢いている犬を落ち着かせて、梳くように、その刃を使い始めた。
 もこもこした毛が収穫された果実のように転がる。徐々に身体の自由を取り戻していく動物達を、あまりはしゃがぬようにと宥めながら。
「わしも少しばかり刈っておいた方が良いかのう」
 そんなことを呟きつつ、義透は迫る気配へとその意識を向けた。
 いい加減、この場の『王』が出てくる頃合いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス
【WIZ】
「やれやれ。狼男はハロウィンの仮装で充分ですよ」
腰まで伸びた髪を編み込んで纏めていると
「俺を狼の姿に固定した報いだな」と肩の上で声が。

異質な気配で動物達を怖がらせてしまわないよう、今は仔犬程のサイズにしている闇色の狼の姿のUDC「ツキ」が狼の耳と尻尾まで生えてしまった僕の姿を笑っているようです。
彼も長毛化してますが―

梟の姿の月と夜の精霊「ノクス」を呼び
「頼みましたよ、ノクス」
UC【安息の闇の帳】を発動。
高く舞い上がったノクスのひと鳴きで範囲一帯には優しい藍色の夜の帳。
目を覚ます頃には解決して元に戻っていますよ。
念の為、詠唱銃に装填してきた眠りの魔力を込めた麻酔弾を使う事のないように。



●穏やかな眠り
 フェアリーランドを覆う力の影響下に置かれ、シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)もまた獣の要素がその身に芽生える。腰まで伸びた髪と、肌を覆う焦げ茶の毛皮。
「やれやれ。狼男はハロウィンの仮装で充分ですよ」
 そんな風に嘆息しながら、伸びた髪を邪魔にならぬよう編んで行く。すると、肩の上に乗っていたそれが、笑みを含んだ声で言う。
「俺を狼の姿に固定した報いだな」
 闇色の狼、UDCの『ツキ』。揶揄するようなそれに、シンは手を止める事無く一瞥をくれて。
「その姿も似合いですよ」
 現地の動物達を怯えさせないようにと、今は仔犬程度のサイズに抑えている。こちらも例に漏れず毛が伸びて、長毛の小犬と化したその姿は、秘めた力や憎まれ口を加味してもかわいさが勝る。
 歯噛みするような気配を感じつつも、身支度を整えたシンは、付き従えたもう一体――月と夜の精霊へと声をかけた。
「頼みましたよ、ノクス」
 こちらも羽毛のボリュームが増した梟は、重そうにしながらも空へと高く舞い上がる。そこからならば、見えるだろう。過剰なもふもふによって身動きの取れなくなった、丸く転がる動物達が。それぞれに混乱しているであろう彼等を、一旦落ち着けるために。
 『安息の闇の帳』。夜の名を冠する精霊がひと鳴きすれば、一帯が優しい藍色に包まれる。夜の帳は眠りを誘い、動物達を安息へと導いていった。
「――目を覚ます頃には、解決して元に戻っていますよ」
 落ち着いた声音でそう口にして、シンは降りてきた梟をその腕に止まらせる。
「……念のため、見て回りましょうか」
 持参した詠唱銃、その麻酔弾まで使う必要は、ないとは思うが。
 そうして、警戒を忘れずに彼は歩き出す。一旦は落ち着いたとはいえ、事の元凶はまだ取り除かれていないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【花簪】
毛が伸びてもふもふになるのは事前の情報で確認しておりましたが
オオカミ殿はもふもふになって人狼に

どうやら私も髪が伸びる程度では済まないようで
体が毛皮のようになるだけではなく、耳や尻尾まで生えて
この通り、猫の獣人になってしまったようです

最早別物ですね

果たして刀が持てるのやら、オオカミ殿も大変なようで
私は肉球部分があるので柄が滑るということはなさそうです
千切るのはかわいそうなので両手で鋏を持つようにしたり
手と鋏を晒に巻き付けて固定するのは如何でしょう?

普段通りにはいきませんので皆様は動かないように
あとは抜刀術『陣風』にて刈ってみせましょう

……そのさらしでは、ないです
実際効果はあるのでしょうか


ジョン・フラワー
【花簪】
僕もうもふもふだから何も気にすることないね!
えっ? お顔もおててもおおかみになってる?
これじゃおおかみじゃなくておおかみ人間だよ!

別物だよ!?

アリスもねこ人間になっちゃった
ふかふかのねこの匂いがする……アリスじゃないみたい

もふもふは楽しくても急にもふもふするとびっくりするよね
大丈夫! 僕はさみも上手なんだ!
ほらはさみ はさみ
おててがはさみを持てないよ! どうしようアリス!
ちぎっていい?

なるほどさらしね!
よーしはさみ君聞いてくれ!
僕は今おててが使えないけどキミならできるはずだ!
なんたってこの僕のはさみなんだから!
さあやるんだ! さあ! さあ!

これはさらしじゃない?
さらしってなんだろうなあ



●さらしってなんだろうなあ
 フェアリーランドに飛び込んで、二人はその異変に直面する。一見牧歌的な光景ではあるのだが、風に混じる不可思議なそれを、ジョン・フラワー(夢見るおおかみ・f19496)は確かに感じ取っていた。
「ふかふかのねこの匂いがする……」
「猫、ですか?」
 さすがオオカミ殿、仕事が早い。救助対象になるであろう動物を探して、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)が辺りへ視線を巡らせる。事前の情報通りであれば、過剰なモフモフに晒された動物がそこに……。
「……?」
 居ませんが。そうして振り返ると、ジョンの視線は他でもない夜彦の方へと注がれていた。
「簪のアリス、で良いんだよね……?」
「ああ……はい、私ですよ」
 なるほど、と夜彦は自分の顔に触れてみる。ふさふさとした毛皮の手応え……というか、自分の手も獣の特徴を帯びつつある。
「かく言うオオカミ殿ももふもふになっていますね」
「え!?」
「とはいえ、オオカミ殿は元からオオカミですから……」
「で、でもこれじゃおおかみじゃなくておおかみ人間だよ!」
「別物ですか」
「別物だよ!?」
 まあ確かに。でも中身は変わらずオオカミ殿ですし。そんなことを言いながら、二人は同じような被害を受けている動物を探し、森の中を歩いていった。微風にくすぐられ、夜彦の頭上の耳が動く。いきなり生えてきたこれに慣れる日が来るのかはわからないが、今は便利に使えなくもない。
「ヒツジ……ですかね」
「まんまるだねえ」
 聞こえた悲鳴らしきものに従って歩き、二人は白い毛玉を発見した。もこもこしたそれは、もはや身動きが取れなくなっているようで。
「もふもふは楽しくても急にもふもふするとびっくりするよね……」
 とにかく、何とかしてみましょう。いつもより重くなった後ろ髪を感じつつ、夜彦は肉球部分で刀を握れるか試してみる。
「妙な感じですが……無理ではないですね」
「本当かい? だったら僕もはさみを……ん、あれ……?」
 ジョンの方も、得物に手を添えてはみるが。
「おててがはさみを持てないよ! どうしようアリス! まあ毛は千切ってもいいかなと思うんだけど!」
「かわいそうなのでやめてあげてください」
 若干怯えたような鳴き声を聞きながら、夜彦は顎に手を遣り、思考する。
「両手で鋏を持つか、手と鋏を晒に巻き付けて固定するのは如何でしょう?」
「なるほど名案だね!」
 さすがアリス! そう口にして、ジョンは両手で挟んだ鋏を一度地面に置く。
「よーしはさみ君聞いてくれ! 僕は今おててが使えないけどキミならできるはずだ! なんたってこの僕のはさみなんだから!」
「オオカミ殿……?」
「さあやるんだ! さあ! さあ!」
 戸惑う夜彦を他所に、ジョンの呼びかけと無垢な視線――『わくわくの波動』の影響を受けて、鋏はひとりでにチョキチョキと動き始めた。
「やっぱりさらしは効果抜群だね! ……どうしたんだい、簪のアリス?」
「いえ……」
 なんで? という疑問が止まないが、実際に効果があったのだから何も言えない。ヒツジの邪魔な毛を刈り始めた鋏を見て溜息をひとつ、夜彦は刀に手を添え、腰を落とす。
「普段通りにはいきませんので、皆様は動かないように」
 鋏はないがこちらは刀で。肉球で挟んだそれは淀みなく走り、白刃がもふもふを良い感じに刻んで行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳥栖・エンデ
なんでもモフモフになるところかぁ
季節は春なのに冬毛になるの大変だねぇ
……そういうことではない?
普段は短毛みたいなボクも長毛種になったりして
ノルウェージャン何とかってネコ見るのは良いけど
トラよりネコっぽくなるのは複雑だなぁ
騎士槍のニールも孔雀みたいな竜姿だったけど
……よし、見なかったことにして任務がんばろ〜

とりあえず、転がってる長すぎる毛玉を
ハサミとかでざくざく切っていったら良いかなぁ
動物達をもふもふ落ち着かせるのも忘れずに〜
何事も適量適度が一番いいよね



●強制長毛種
 何でもモフモフになるところ。何の因果か知らないが、このフェアリーランドは今現在そんな悪夢に包まれている。ここで平和に傷を癒していた動物達も、その悪影響を受けているはずだが。
「春なのに、冬毛になるの大変だねぇ」
 言うならその程度の影響ではある。どこかのんびりとしたことを言いながら、鳥栖・エンデ(悪喰・f27131)は森の中へと降り立った。途端、キマイラである彼自身も力の影響下に置かれ、身体が重くなるのを感じる。
 なるほど、と自らに触れれば、寒冷地の猫のように身体の毛が広がっていた。
「これ、トラというよりネコっぽくなってないかな……」
 あの手のネコを見ている分には良いけれど、自分がそれに寄るのはそう嬉しいものでもない。複雑な思いを抱えつつ、振り返れば。
「……」
 いつもの真白の竜が、クジャクとオナガドリを足して割らないような姿でこちらを見ていた。
「よし、任務がんばろ~」
 とりあえず、コメントは差し控えさせてもらう。
 目を逸らしたエンデは、似たような、むしろさらにひどい状況に陥った動物達の世話に取り掛かった。

「これはちょっと……冬毛ってレベルでもないなぁ」
 過剰に伸びた毛で身動きの取れなくなっている猫を転がし、位置を定めて。エンデは持参したハサミを使って、その毛をざくざくと切っていく。
 不安もあるのだろう、じたばたと暴れそうなその身体をモフモフと宥めながら、自力で動けるようになるまで、じっくりと。ばらばらと落ちた毛が束になって、猫がようやく猫らしい形を取り戻したところで、エンデはその子を解放した。
 元気よく駆けていくその姿を見送りそれから――。
「ま、何事も適量適度が一番いいよね」
 もの言いたげな竜から、もう一度視線を逸らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
うわ~めっちゃ毛深くなった
なにこれ面白い
神様だから成長しなくて髪の毛もずーっとこの長さだから新鮮
さっくりと切っても良いけど
俺様いい方法思い付いたんだ

じゃじゃーんと取り出すのはたくさんのリボン
ブラシにハサミ
やばいリボンにも毛が生えててウケちゃう
面白すぎてテンションがいつもより高め

ブラシで毛を梳いたり
リボンで動物たちの毛を結うよ
自分の毛も邪魔なのはリボンで結んじゃう
こういうのしたことないけど結構楽しい

リボン結んだ子はほらかわいい~ってめっちゃ褒める
どんな髪が…毛型にする?なんてリクエストも聞けど
センスが独特だからナントカ盛りになったり
どうしようもない子は切っちゃうかなぁ
飽きるまで臨時美容師になるよ



●トリマー開業
「うわ~めっちゃ毛深くなった」
 神たるその身、完成されたその肉体が変化するのはどこか新鮮で。伸びて重くなった髪の毛を興味深そうに弄りながら、ロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)は笑みを浮かべていた。
 邪魔になるならさっくり切ってしまっても良いのだが、どうせなら――。
 そうして彼が用意したのは、ブラシにハサミ、そして大量のリボンだ。
「うわっやばい、リボンまでモコモコになってる」
 モフモフ化で厚みの増したそれを摘まみ上げて、「まあこれはこれで」と頷きながら、ロキは早速仕事に取り掛かった。

 過剰に伸びた毛で身動きが取れなくなった動物達は、大抵自分で自分の毛に絡まっている。だからブラシで梳いて伸ばして、リボンで適度にまとめてやれば。
「んー、初めてにしては結構よくない?」
 思ったよりは良い出来。この調子なら大丈夫でしょうと自信を深めて、次のリボンを手に取る。
 目にかかる、というか視界を覆いかねない自分の髪もまとめるべきか。思い付くまま、夜色の髪を真っ白なリボンで結わい、その感触に愉快気に笑う。
「こういうのしたことないけど――」
 結構楽しいね。何度か繰り返し、手つきも徐々に滑らかになれば、独特の美的センスと、何よりも遊び心が顔を出す。
 最初のお客、もとい救助対象のヒツジは、結果的に渦を巻いて天を衝くような盛り髪になった。
「ほらかわいい~、すごい美人になったよ~」
 ご満悦である。本当に余分な毛はちゃんとカットされており、自由を取り戻したヒツジも、どこか優雅な足取りで歩き去っていった。
 続けて長毛の猫を、たくさんの小さなリボンでヒマワリみたいに仕上げて、彼は次々と困った動物を救っていく。
「さて、どんな髪が……毛型にする?」
 最早手慣れた美容師のように、モコモコに絡んだ毛を梳かしてやりながら、問いかける。キツネの君は尻尾がいっぱいある感じにした方が嬉しいかな?
 即席のトリマーは中々盛況で、他の動物の呼ぶ声が、先程よりも大きく響く。
「はいはい、並んで……ってのは無理かなぁ。すぐ行くから大人しく待っててー」
 まあ少なくとも、飽きるまでは続けよう。ブラシとハサミと、リボンが踊る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
【愛好会】
ウン、すっごく有頂天ダネ
しかもちゃっかりカメラまで!
(やる気満々のモフリスト達に笑うしかない顔で)
ああ、兎も角だ!
この状況じゃ癒されるに癒されない
悪王と悪夢から解放しないとな

って二人まで早速悪夢にやられ…!?
いや、悪夢どころか滅茶苦茶楽しそーだネ
刈る前に記念撮影する?
俺のコトは気にしないで清史郎…あっ
(樹上からころんと落ちた毛玉小鳥を助けた結果
然り気無く隠してた猫尾がコンニチハ
――した拍子に耳まで出た)
お揃い…!?はっバレた!撮るなー!?
(軽く威嚇し更に尾がぼふっと)

(騒ぎつつも毛玉鳥を可愛く整え直してやり)
よしよし、皆もう大丈夫そ――いやまた違う意味で動けなくなってる…!(骨抜き)


筧・清史郎
【愛好会】

俺はもふもふが好きだ
俺はもふもふが大好きだ(大事なので2回
確かに、此処は俺達にとっての天上界だな(にこにこ
ああ、かめらも櫛も鋏も、準備は既に万端だ(きり
毛玉化した動物達をもふもふ救わねばだな

おお、俺ももふもふ猫さんに…!(耳尻尾ぴこゆら、瞳キラキラ超感激
折角のもふもふだが、と
名残惜し気に己のもふを最低限だけ刈って
ふふ、八雲は流石のもふ具合
伊織はどの様なもふもふに…
猫さんでお揃いだな(ぴこりゆらり記念撮影

もふもふすぎて動けないのか
だが大丈夫、俺達に任せてくれ(UC発動し声掛け
何気に存分にもふりつつ
しゃしゃっと匠の手捌きで優しく毛を刈り
骨抜きになるほど巧みに梳き撫でて整えてやろう(微笑み


重松・八雲
【愛好会】
儂等的には此処が天上界の様であるのう!
(もふ天国で天にも昇る心地的な意味で)
清史郎殿、かめらと櫛と鋏――そしてもふり尽くす準備は万端かの!
否、最早聞くまでもないな!
けだまは正義とはいえ、意に反したふるもっふは頂け…

おお!?
(たぬこさま似の狸様を助けんとした瞬間、普段は隠した狐尾がもふっと九割増で飛び出し!)
む、儂も遂に九尾に至ったか!(?)
こりゃ一層色々漲るのう!
(もふにテンション上がっただけのぷらせぼ)
清史郎殿も流石、完璧に似合うのう!
記念に一枚撮っておこう!
無論伊織も入れてな!(ばっちり猫耳撮影)

ではいざもふらん!
余剰分だけもふっと取って優しくといてふわっふわにお仕上げ致そうー!



●極楽
 この世界は毛玉で溢れている。モフモフの波動により何もかもが厚みを増して、きっと吹く風にも毛が混じり、それはさながら悪夢のようなものなのだけど。
「儂等的には此処が天上界の様であるのう!」
「確かに、此処は俺達にとっての天上界だな」
 櫛と鋏、それから大事なカメラも携えて、重松・八雲(児爺・f14006)と筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)が気勢を吐く。
「ウン、すっごく有頂天ダネ」
 盛り上がる二人を後方から、呉羽・伊織(翳・f03578)の心の籠らない声も聞こえるが。
「準備は万端かの! 否、最早聞くまでも無いな!!」
「ああ、準備は既に万端だ」
 二人の気合の前ではそんなもの微風にもならない。笑うしかない、と言った様子の伊織も、諦めて鋏を手に取った。
「毛玉化した動物達をもふもふ救わねばだな」
「確かに、この状況じゃ癒されるに癒されないからな……」
「うむ、けだまは正義とはいえ、意に反したふるもっふは頂け――」
 テンションに差はあれど、同じ使命感を胸に、動物達を救いに向かう彼等だったが、そこにモフモフの力が襲い掛かる。
「おお!?」
「どうした!? まさか二人とも悪夢にやられ……」
 八雲と清史郎が驚愕する声に、伊織がそちらを振り返る。そこには普段の九割増し狐尾を飛び出させた八雲と、猫耳に尻尾まで生やした清史郎の姿があった。
「む、儂も遂に九尾に至ったか!」
「おお、俺ももふもふ猫さんに……!」
「ええ……」
 悪夢どころか滅茶苦茶楽しんでいる。八雲は何やら妖狐として進化した風情になっているし、清史郎はもう瞳が輝きすぎて眩しい。「流石のモフ具合」、「清史郎殿も流石、完璧に似合うのう」などという二人の会話に肩を落として、伊織は一つ溜息を吐いた。
「刈る前に記念撮影する?」
「悪くないのう」
「それで、伊織はどの様なもふもふに……」
「俺のコトは気にしないで清史郎……あっ」
 その時、樹上でモフモフになってしまったのであろう小さな鳥が、枝の間から転がり落ちてきた。飛べない毛玉を咄嗟に捕まえた伊織だったが、その拍子に先程から隠していた尻尾と、ついでに耳が頭上に飛び出した。
「ほう、なるほど」
「猫さんでお揃いだな」
「はっバレた!?」
「では記念撮影といこう」
「やめろ、撮るなー!?」
 二人並んだ猫耳と尻尾は、ばっちりカメラの中に記録された。お揃いってもうちょっとこう……夢見た展開とは大分違ってしまったが、彼等の日常は大体こんな感じである。

「もう大丈夫だ、俺達に任せてくれ」
 一悶着終えたところで、身動きの取れなくなった動物達へ、清史郎が呼び掛ける。ユーベルコードの効力を乗せたその声は、彼等の間にすぐに広がり、無理に暴れぬよう大人しくさせる。この調子なら、作業はつつがなく終えられるだろう。
「では、いざもふらん!」
「そういう仕事だったか……?」
「なに、余剰分だけ取り除いてやればいいのであろう」
 毛並みの手入れは慣れたもの、八雲は腕の逞しさからは想像できない滑らかな手つきで、猫だか狸だか見分けのつかない毛玉に櫛を通していった。
「ふわっふわにお仕上げ致そうー!」
 絡み合った毛はあっという間にさらさらになり、美しく風になびく。そして清史郎も、それに劣らぬ匠の手捌きで、動物達の毛を優しく刈り取る。自由を取り戻せば後は櫛の時間。梳き撫で、整え、その手つきに夢見心地になった動物達は、うっとりとその場に寝転び始めた。
「また違う意味で動けなくなってる……!」
 でもまあ、幸せそうだから良いか。呆れるような感心するような、そんな表情を浮かべた伊織の傍ら、こちらも可愛く整えられた毛玉鳥が飛び立っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『王兎』ウサギサマ』

POW   :    余に従えば至福の時を約束しよう
【竜の血を浴びた事で手に入れたモフモフさ】を籠めた【自分から命中したくなるモフモフな体当たり】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【闘争心と反抗心……ついでに日々のストレス】のみを攻撃する。
SPD   :    愚かにも余に挑むと言うのか
敵より【も自身のモフモフ度が上回っている】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    此処を余のモフモフ王国とするのだ
【レベルの三乗km内を満たすモフモフオーラ】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は黒玻璃・ミコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ウサギサマ
「せっかくモフモフにしてやったというのに、愚かな連中よ……」
 重く、静かな声が、動物達を救った猟兵のもとへと届く。巨大な体と、それに見合う立派な毛皮をもつ獣は、正に王の風格を宿し、のしのしと森の中を歩いてきた。
「余の王国を侵した罪の重さ、その身で味わうが良い」
 オブリビオンとして、そしてこの場の主として相応しいプレッシャーを以って、『王兎』は一同に挑みかかる。
「さあ、モフモフの海に溺れよ……!」
馬県・義透
狼獣人な『侵す者』のまま。
武器:黒燭炎

ウサギ…つまりは…食糧!(※生きてた時代は戦国乱世です)
いや、それは違うか(半ば本気)

む、その体当たりは攻撃か!本当にモフモフじゃのう…(ふかふかに埋まってる)
ストレスなぁ、あまりないのよ(破壊担当)
しかし、竜の血浴びたらモフモフを手に入れたとは…あっても不思議ではないか(深く考えないタイプ)
夏場、蒸れぬのか?(やっぱり気になる)

堪能したら、毛を刈るようになぎ払い、次に指定UC発動。
え、ああ。これは闘争心でも反抗心でもないぞ。オブリビオンへの殺意×4である(あっけらかん)



●そういうの効かないタイプ
 どことなくモフモフ感の増した茂みを掻き分け、現れたのは一際巨大な毛玉。見上げるほどのサイズのウサギサマを前に、義透はその目を見開く。
「ウサギ……つまりは……食糧!」
「余に向かってその言い草……不敬であるぞ」
「いや、そうか、違うか……」
 だが、一概に違うとも言い切れないのでは。義透がかつての日々を思い返す中、ウサギサマは失礼な敵に向かって突進する。巨体を生かしたその一撃を、義透はその全身で受け止め――。
「本当にモフモフじゃのう……」
 埋まった。体当たりこそ押し留めたが、実はこの攻撃の真価はその毛並みにある。その滑らかさと柔らかさを、手触りに留まらぬ全身で味わえば、日々のストレスにも覿面に効くのだとか何とか。
「ストレスなぁ、あまりないのよ」
 残念ながら、暴れる担当の彼にはその手の悩みはなかったらしい。しかしながら、即座に離れるわけでもなく。
「竜の血を浴びたらモフモフを手に入れたとは……あっても不思議ではないか……」
 考えても仕方ないことに、つらつらと思考を巡らせていると、やはり最初の疑問に立ち返ってしまったようで。
「……夏場、蒸れぬのか?」
 率直な問いに、ウサギサマはフンと鼻を鳴らす。
「笑止。暑くなれば相応の毛に生え変わるのだ」
「蒸れるのだな……」
 言い訳はせずとも良い。わかるぞ、と一方的に理解を示して、義透は愛用の槍を手にした。
 薙ぎ払うようにそれを一閃させれば、半ばで断たれた毛の塊が、もそっと両者の間に落ちる。
「――なるほど、防御が厚い」
 分析するように呟く彼に、毛を刈られて半眼になったウサギサマが怒気を向ける。
「ほう、余の毛並みに沈んでなお、戦意を失わぬか……!」
「え、ああ。これは闘争心でも反抗心でもないからな」
 単純な、オブリビオンへの殺意よ。あっけらかんと呟いて、義透はそれをもう一太刀。鋭い刃は毛皮を切り裂き、今度こそ、その白い毛並みを赤く染める。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス
【WIZ】

事前に、詠唱銃の弾倉を麻酔弾から【破魔】の力を持つ銀の銃弾のものに装填し直して。

「随分デカいウサギだな」
先程とは一転、僕の身長と変わらない体高の巨狼の姿(戦闘形態)になったツキが一言。
「食い出がありそうだ」
とウサギサマに向かっていきます。
敢えて正面から向かうのは、気を逸らす囮役といったところでしょうか。

UC【神縛の枷鎖】で動きを封じ、僕は詠唱銃での攻撃。
技能/【早業】【クイックドロウ】【2回攻撃】【制圧射撃】
ツキはウサギサマに爪と牙、刃物に変化させた尾での近接攻撃。

「なかなか解けないだろう?この鎖には俺も散々な目に遭ってるんだよ」
遠くて聞こえませんが、何を話しているのやら。



●王の狩猟
 ずん、と地面に足音を響かせて、敵の親玉が現れる。眠る動物達を起こさぬように立ち上がり、シンとツキは、王兎と向き合った。頭一つ高い所から、真紅の瞳が向けられる。
「フン、愚かな人間どもめ、そこにいたか」
「随分と……図体も態度もデカいウサギだな」
「やる気になりましたか?」
 肩の上から聞こえた声に、シンが視線を向ければ、闇色の姿はそこには無く。
「まあ、食い出がありそうだからな」
 代わりに現れた、シンの体高に劣らぬ巨狼が身震いをする。長毛種と化しているのは変わらないが、戦闘態勢となったツキは、その巨体に似合わぬ素早さで敵へと向かっていった。
「やれやれ、勝手に先行されても困るのですが……」
 敢えて正面から向かうのは、囮役を担うということだろうか。呆れるような呟きを落としながらも、その意図を汲む様に思考を纏め、シンはそこに手を貸すように魔術を紡ぎ出す。
「――神を捕らえし鎖よ、我が名において今一度顕現し彼の者を捕らえよ」
 白銀の鎖と枷が踊り、シンの意に従って、ウサギサマの身体を拘束した。
「ム……!? 王たる余に縄をかけようとは、不敬の極み……!」
 鎖に雁字搦めにされ、ボンレスハムのようになった王兎が唸る。それをせせら笑うようにして、ツキはその爪と牙、そして刃物と化した尾を用いて敵を狩りに挑む。
「なかなか解けないだろう?この鎖には俺も散々な目に遭ってるんだよ」
「ええい、この程度すぐに……ウオオ、こっちに来るな中途半端なモフモフ肉食獣めが!!」
 はいはい、とあしらってやりながら、ツキはじたばたと暴れる獲物に飛び掛かった。長く分厚い毛はその爪牙をも軽減する、が。本命はこちらではない。

「……さて、何を話しているのやら」
 予想はつくけれど、と苦笑を浮かべて、シンはツキの抑える巨躯へ、選び取った破魔の力――銀の銃弾を撃ち込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【花簪】
私達の変化の原因はあの兎だったのですね
確かにもふもふではありますが……竜の血を浴びて得た毛並みのようで
そうした過程を知ると、純粋に素晴らしい毛並みとは言えないですね

拒否されようとも戦わねばならないのですが
おかげで今の私達も程好い毛並みを持っているのですから負けられません
……オオカミ殿?

随分と楽しそうに、もふもふと……
では私も……少しだけ、少しだけです
我が家に居る兎達とはまた異なる不思議な毛並み
しかし同時に闘争心も奪われていってしまうような

はっ!これが奴の狙い
オオカミ殿、あまり長く触れていては戦えなくなってしまいます
抜刀術『風斬』の攻撃力重視で斬り捨ててしまいましょう!


ジョン・フラワー
【花簪】
わあ! うさぎ君ももふもふだねえ!
大丈夫? 僕のはさみあるよ! 切ってあげるね!
遠慮しないでほらほら!

拒否られちゃった
つまりもふもふ勝負をしたかったんだね!
いいだろう! 白黒つけてからはさみタイムといこうじゃないか!
僕の本気のもふもふを見るといいさ! わんわん!

そして体当たりどーん!
むむ、これはやっかいだよアリス
このうさぎ君もふもふしすぎてて切れないかもしれない!
さわってもさわってももふもふ! ねえほらアリスもさわってみてすごいよ!

さわっちゃだめだったの!?
そんなあ! ええとそれじゃあそれじゃあ
僕が抑えてる間に早くやるんだアリスー!
うさぎ君が大きくても僕だって大きいんだ! 負けないぞ!



●巨大ケモノ対決
「わあ! うさぎ君ももふもふだねえ!」
 居丈高なことを言いながら現れたウサギサマの様子に、ジョンが歓声を上げる。その横では、夜彦が改めて状況を分析しているようだが。
「なるほど、私達の変化の原因はあの兎だったのですね……」
 確かにもふもふしてはいるが、その毛並みは偶然竜の血を浴びた結果らしく、その過程を思うと手離しには褒められないだろうか。とはいえ、連れはその辺りを気にするタイプではないだろう。
「大丈夫? 僕のはさみあるよ! 切ってあげるね!」
 遠慮しないでほらほら! そう勢いよく勧めてかかるも、ウサギサマの態度はつれない様子。
「要らぬ。貴様ちゃんと話聞いておったのか?」
「えっ……拒否られちゃった」
「拒否されようとも戦うしかないのですオオカミ殿」
「そうなのかい? もふもふ勝負でもいいかなあ」
「まあ……確かに、今の私達も程好い毛並みを持っているのですから、それなら負けられませんね」
「話の流れがよくわからんが、余のモフモフに対抗しようとは、やはり愚か……」
 そう言ってふんぞり返ったオブリビオンに向けて、ジョンはその毛並みを最大限に活かせるように姿を変えた。
「いいだろう! 白黒つけてからはさみタイムといこうじゃないか! 僕の本気のもふもふを見るといいさ!!」
 遠吠えを一つ上げれば、足元に色鮮やかな花が咲いて、真の姿――ウサギサマに負けないサイズのオオカミが現れる。
「行くぞーわんわん!」
 強く地を蹴り、体当たり。巨大なサイズの獣同士が衝突し、ずも、と両者の身体が毛の海に沈んだ。
「……オオカミ殿?」
「これは……やっかいだよアリス」
 夜彦の元に、毛に頭を突っ込んだジョンからくぐもった声が届く。
「このうさぎ君もふもふしすぎてて切れないかもしれない!」
 こちらも毛皮持ちであるジョンには実感としてわかるのだろう。もしかすると鋏の刃も通らないかもしれない、そう考えてしまうほどの肌触り……!
「さわってもさわってももふもふ! ねえほらアリスもさわってみてすごいよ!!」
「そんな楽しそうに……では私も、少しだけ……」
 熱烈なオススメに流されるまま、夜彦もその毛並みに触れる。自宅にももふもふふわふわした者達がいるのだが、これはこれで別物、というか心安らぐ不思議な感触は、まるで闘争心さえも奪っていくような――。
「余の毛皮は素晴らしいであろう。言わずとも良い、その表情で分かる。今は何もかも忘れ、この毛並みの中で眠り、わがモフモフ王国の臣民となるが良い……」
「うん? 最後おかしくない?」
「はっ! 最初からそれが狙いで……!?」
 状況を悟った夜彦は、咄嗟にその身を敵から離す。微妙に名残惜しい感じがしてしまう辺り、あと一歩遅かったら危なかったかもしれない。
「オオカミ殿、あまり長く触れていては戦えなくなってしまいます!」
「え、さわっちゃだめだったの!?」
 夜彦の警句に、「そんなあ」と嘆きの声が上がる。彼よりも長い間接触していたジョンは、身体を引き剥がすのにもより労力が必要なようで。ええと、それじゃあ……としばし悩んだ結果。
「ぼ、僕が抑えてる間に早くやるんだアリスー!」
 そういうことになった。すごい棒読みだな、などと感じながらも、夜彦は鞘に納めた刀を握る。威力を重視した居合斬り、抜刀術『風斬』を以ってすれば、厄介な毛並みの上からでも敵を仕留めることが出来るだろう。
「うさぎ君が大きくても僕だって大きいんだ! 負けないぞ!」
「不敬であろう肉食動物めが! 身の程を知れぃ!!」
「ああ、転がらないでくださいオオカミ殿! オオカミ殿ー!」
 どたんばたんごろんごろん、ピンクと白の毛玉が争い転がり行くのを、夜彦が追いかけていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
えっ、これ反則じゃない?
こんな生まれついた可愛さには敵わないじゃん~も~
え~~ウサギサマモフモフさせてほしい
駄目?ブラッシングしてリボン結んであげるからさ
クリスマスカラーとかどう?ねぇねぇ
皆には結構好評だったんだけどなー(ちらっちらっ)
おだてて結んだりトリマーして
モフモフ度を下げる作戦だよたぶん

でもモフモフ具合は俺様じゃ勝てなさそうだよね
モフモフっていったら獣かな
【影の領域】で獣たちを呼び出して――
おまえたち、やたら毛が多くない?
まさか影もモッフモフになってる?
面白すぎるから皆合体させて
まっくろ毛玉の出来上がり~

やっちゃえって転がしてタックル
果たしてモフモフ対決はどっちに軍配があがるんだろねぇ



●頂上決戦
 ひとしきり動物達のトリミングを終えたところで、ロキの前に巨大な兎が現れる。神を前にしても揺るがぬ威容で、毛を刈る愚か者を睥睨して。
「そのリボンとハサミ……余の臣民を奇怪な姿に変えておるのは貴様か?」
「えっ」
 奇怪って言った? 心外じゃない? ちょっと反論したい気持ちは湧くが、それよりも大きく胸の内を占めるのは、とある衝動。
「カワイイ~、え~こんな生まれついた可愛さには敵わないじゃん~も~~」
 あまりに微笑ましい敵の姿に自然と表情が緩む。仕方ないだろう、こんなにモフモフなのだから。
「え~~ウサギサマモフモフさせてほしい~」
「ほう……仕方あるまい、特別に許そうではないか」
「やった~お礼にブラッシングして、リボンも結んであげちゃうね~」
「な、なに?」
「ねぇねぇクリスマスカラーとかどう? 皆にも結構好評だったんだけどなー」
 ほう、臣民達が気に入るのなら――などと言い出したウサギサマも、ロキのトリマーとしてのお客の一匹になってしまった。
「いやー、それにしても立派なモフモフ。俺様じゃとても敵わなそうだな~」
「ようやく屈する気になったようだな……今ならば余の王国の専属トリマーにしてやっても良い」
「あーでも、こっちはどうかな?」
 ロキの声に応じて、影が蠢き立ち上がる。『影の領域』より出でたそれは、いつものように様々な動物の形を――?
「――おまえたち、やたら毛が多くない?」
 気のせい、ではないだろう。獣達の体積がいつもより明らかに大きい。まさか影もモッフモフになってる? 影なのに?
「まあいいや面白いから! はい皆合体!」
 形を持つが飽くまで影である獣達は、集合することで一つの大きな獣に姿を変える。モフモフ具合も合体したのか、正体不明の黒い毛玉と化したそれに、ロキは主として命令を下した。
「よーし、やっちゃえ!」
 ついでに背を押し、真っ黒毛玉を転がしてやる。ごろんごろんと加速を始めた毛玉は、真っ直ぐにウサギサマへと向かっていった。
「どちらの力が上か、分からせてくれよう――!」
 迎え撃つモフモフと突進するモフモフ、どちらが上かは程なく判明した。

「おのれ、余のモフモフが後れを取るとは……」
 滑らか梳かれ、結ばれた直毛を震わせて、ウサギサマが力無い呻きを上げる。これまでの戦いで削られた毛、そしてトリマーとしての力をふんだんに発揮したロキの手により、そのモフモフはモフモフ度を大きく失っていたのだ。
 無念……だが悔いはない。フッと小さく笑った王兎の頭から王冠が転げ落ちていく。
「そなたこそ、モフモフの頂点に相応しい……余を超えし者よ、次代の王よ、余の遺志を継ぎ、今度こそこの地に王国を――」
「えっ、ごめん。まだ話続いてた?」
 セリフの途中で、役目を終えたモフモフ王後継者候補は、影の中へと帰ってしまった。
「……」
 何かタイミング悪かったかな、と伸びた髪を掻くロキの前で、ウサギサマはぐったりと脱力した。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 べったりと地面に倒れたウサギサマが消えていき、吹いた風が残った毛玉を転がす。そうして何度か風が吹けば、フェアリーランドも元通り。
 平和を取り戻した、妖精の持つ壺の中。
 ユーベルコードの産物であるはずの、この不可思議な空間に、気が付けば光り輝く『鍵』が残されていた。

 この鍵の使い道が分かるのは、もう少し先になるだろう。とはいえ、猟兵達の手で、また一つ猟書家の企みは阻まれた。

最終結果:成功

完成日:2021年04月21日


挿絵イラスト