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澆季末世

#封神武侠界

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#封神武侠界


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「で……でかい……!!」
 手遅れだ、と駆け付けた仙人たちは思った。封印を施されていた洞は破壊され、周囲には血が飛び散っている。血痕は犯人の纏う衣から彼の口元にまで及んでいた。
 食ったのか。
 霊験あらたかなる守護者の仙人すら食われたのだという戦慄。それを行ったものが目の前で笑っていることへの憤怒。
「おのれ――!!」
 仙人たちは手に武器を取り、己を鼓舞するように叫び、巨大な錘を振り回す巨漢へと躍りかかろうとする。
 人は其れを、捨て身の特攻と呼ぶ。
 あるいは無駄死に、と。

「タイミングとしては何とか間に合うかな。仙人たちとそのオブリビオンが交戦している最中へ駆けつける形になると思う。共闘するも彼らを囮に奇襲をかけるもご自由に」
 麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)は何かを手に持っている。
 枯れ木のように乾いた薄茶色の、先に半球体の塊がついた――花托。乾燥した蓮の果実がなった植物器官である。
「ああこれ? 見本。オブリビオンに襲われた洞に封印されていた宝貝がこんな形をしてるんだよね。『澆季末世』なんて物騒な名前がついてる、遥か昔に創造されたものの危険過ぎて封印するしかなかった『宝貝』のひとつ」

 蓮の花托を模したその宝貝の能力は2つ。
 ひとつはその種を撒くことによってあらゆる植物を芽吹かせる再生能力。
 そして、もうひとつはそれらの植物を兵器として操る能力だ。

「末世を救う植物の創出、あるいは末世に導く兵器としての力。二面性を持つ宝貝はとある理由から危険とされながらも破壊されることなく厳重な封印によって匿われていた。それをかぎつけ、奪ったオブリビオンの目的が前者なわけがないからね。はやく取り返さないと、宝貝はその名にし負う結果をこの世にもたらすだろう」

 宝貝を取り戻す、という目的さえ果たせれば仙人たちの命は問われない。だが、そうなるとこの事件に関する情報は以上が全てだ。
「要は案内人が欲しいかどうかってこと。もちろん、彼らが知っていることも知らないこともあるだろうから、何もかもが判明するってわけにはいかないけどね。少なくとも、場当たり的に奪われた宝貝の行方を追うよりはマシじゃないかな」


ツヅキ
 プレイング受付期間:公開時~常時受付中。

 共同プレイングをかけられる場合はお相手の名前とID・もしくは団体名をプレイング冒頭にご記載ください。
 タイミングやプレイングの内容によっては他の参加者とまとめて執筆される場合があります。

●第1章(ボス戦)
 仙人を助けるか見捨てるかで第2章以降の展開が変わります。

●第2章(冒険)
 詳細不明。

●第3章(集団戦)
 詳細不明。

 次章の受付は前章完結の翌日が目安です。
 雑記に記載しますのでご確認お願いします。
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第1章 ボス戦 『赤顔大王』

POW   :    破頭地落砕
レベル×1tまでの対象の【頭部】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    赤顔王軍
自身の【身体の赤い部分のいずれか】を代償に、1〜12体の【分身体】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    赤死撃
【錘の振り下ろし】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に赤い毒池を作り出し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:カツハシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

厳・範
アドリブ歓迎。
半人半獣での参加。

本当に連日…騒がしいことだ。皇帝陛下の対抗策に納得する。

住む場所違えど、仙人は同胞よ。つまりは助ける。
それに、わしの性質上、見捨てるや利用するはない。
まあ、わしも仙人であるから、標的になりそうだが。

着いたら拱手後、UC【声焔】使用。この炎はオブリビオンのみを焼く。つまり、仙人には無害である。
延焼分も、わしが自由に消せるしな。
熱さでその手を離すがよいわ。

敵の攻撃は見切ろう。…UC使用の影響で、本性の黒麒麟になっておるのだ。
麒麟の速さに、追い付けるのか?
追い付かれそうになったら、また一声で焼くのみだが。



 厳・範(老當益壮・f32809)は高らかな蹄音を奏で、猛然と戦場に乱入した。見捨てるという選択肢はなかった。
「!?」
 驚いた赤顔大王の眼が己に釘付けられるのを受け、範は己の鎗を地面に突き刺し、厳かなる拱手で自らの属するところ――つまりは、仙人らの“敵”ではあらぬと身をもって示すのだった。
「はッ!」
 気息は途中で獣の鳴き声と化して炎が迸る。
 そこには黒き毛並みを露わにした範の姿。地面を舐めるように燃え広がったそれが一向に熱く感じない。
 仙人たちは首を傾げた。
「これは、まさか……敵のみを焼くのか……!? あの老人、ただの仙人ではないな。いったい何者だ?」
 あ然と見守る彼らの前で、灼熱の炎に呑まれた赤顔大王が醜い悲鳴を上げた。振り払うのに夢中になって、捕まえていた仙人から手が離れる。範は落下した仙人を背に受け止め、仲間の元へ送り届けた。
「あ、ありがとう」
 範は頷き、鬣を翻して敵に向き直った。
 ――麒麟の速さに、追い付けるのか?
 錘が迸る。
 だが、範の脚の方が早い。
 躱す、避ける。
 瑞獣の美しき尾に血塗れの手が伸びる。だが、あと少しというところで嘶いた声が炎で敵を撒いた。
「お前のような輩がおる限り、皇帝陛下の苦労が偲ばれるわ。そら、儂はこちらだ。此度はお前が飽きるまで存分に相手をしてやるとしよう」

成功 🔵​🔵​🔴​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

緊急事態ゆえ失礼、助太刀します
この悪食め、これ以上の狼藉は許さない

SPDで判定
敵と仙人の間に【ダッシュ】で割り込み【かばう】
その後は仙人は風の【結界術】で守る

本体は孔雀輪で【マヒ攻撃】の【属性攻撃】を乗せた【衝撃波】を放って次の攻撃までの【時間稼ぎ】
召喚された敵を先に銀腕を【武器改造】で剣の形にして【怪力】【鎧無視攻撃】【貫通攻撃】で攻撃して片付ける
敵の攻撃は【オーラ防御】や風の【結界術】で防ぎつつ同じように剣にした銀腕で攻撃



 ほんの瞬きの間に闇と見紛う影が戦場を駆け抜けた。名をルイス・グリッド(生者の盾・f26203)。
 既に人あらざるもの、ゆえに――。
「ぐはははは!! 無力な仙人どもめ、いますぐに腹へ入れてや」 
 ――る?
 がきん、と噛み合わせた歯が人肉以外の何かを食んだ。銀色。敵の分身に捕らわれた仙人を庇うように身を割り込ませたルイスの銀腕そのものである。
「下がって」
 ほとんど突き飛ばすように仙人の胸を後方へ押しやると同時に吹き荒ぶ嵐が絶対不可侵領域を形成。
「風――?」
「結界です。あなた方を護るための」
 言い終えるより早く、激しくぶつかり合う衝撃音が轟いた。
 場所は戦場中央――驚いた顔の赤顔大王本体が足止めに放たれた衝撃波を錘で蹴散らそうと躍起になっている。
 目だ、孔雀の。
「メインディッシュは後に取っておくタイプなのさ」
 銀腕が形を変え、鋭い刃と化した。
「全員でやっちまえ!!」
「悪いが――」
 視界内に狭しとひしめき合う、10体を超す分身の数。牙を剥き、我先にと襲いかかるそれらを惑わすのは孔雀の目が起こすつむじ風である。
 ルイスはひと思いに分身をまとめて突き刺し、そのまま薙ぎ払った。赤顔大王が錘を振りかぶる。
「これ以上の狼藉は許さない。悪食もほどほどにしてもらおうか?」
「ぬっ――」
 風が錘を押し返した隙にルイスの剣が深々と敵の顎を抉った。
 手応え、あり。
「食えるものなら食ってみろ。俺の銀腕は伊達じゃない」

成功 🔵​🔵​🔴​

菱川・彌三八
仙人てなぁ喧嘩は苦手かい
すんなら任せな
派手にやろうゼ

天から急降下
先ずァ死に急ぐ奴を鳳凰の速さでかっ浚う
礼は道先案内だ、否たぁ云わせねェ
分かったら黙って見ていな

掴まれねェよう速さで振り切るが、頭を掴もうとするのが分かってんなら其の隙も使えそうだな
マ、屁理屈みてえなもんだが、蹴り主体にしてみるかね
体はちいと厚みがありやがるってんで、狙うは節、首、頭
それに軽業の類にゃちいと覚えがある
顎に一撃くれてやれりゃ上等だが、気長にやるさ

気長に…
…まだるっこしい、やめだやめだ!
喧嘩は拳も使わねえとな
腹に、横っ面に
そして伸びてきた腕を掴んで、俺の画力と膂力の限り
此の巨体を
地に叩きつける

力士並みだな
だが、悪くねェ



 巨大なる猛禽――。
 全身を鳳凰の刺青で派手に彩った菱川・彌三八(彌栄・f12195)の絢爛たる肉体が天から急降下して敵の獲物を――いままさに食われようとしていた仙人の体を奪い取るさまは、他にどのような言葉も浮かばなかった。
「よォ、初めましてって奴だな」
 彌三八は命拾いした仙人を地上に降ろし、そのまま地面を指先で示す。
「四の五の説明してる暇がねェや。終わるまでそこで黙って見ていな。礼なら道先案内で手を打つぜ」
 まさしく断言。
 返事も聞かずに拳を鳴らし、仁王立つ背に鳳凰が羽搏いた。
 狩りにゆくのか?
 ――否よ。
「こいつァ喧嘩さ。江戸の花を此処でもひとつ咲かせちやる」
 鳶色の瞳を輝かせるのと同時、景気よく両手を打ち鳴らす。それを合図に突進する相手の伸ばす手を紙一重で潜り抜け、懐へ飛び込んだところで回し蹴りを挨拶代わりにお見舞いしてやることにした。
 狙うは――。
「節、首、頭の三拍子!」
 瞬く間に連撃を決め、そのまま首にかけた腕を起点にぐるんと回転した勢いで顎に膝頭を叩き込む。
「ぬっ!?」
「ちったァ効いたかい? ま、この程度じゃたいした傷にはなるまいさナ。気長に付き合っちくんな」
 だが、先に短気の虫が疼いたのは彌三八の方である。文字通り、“手”が出るまでたいして時間はかからなかった。
「ふが、あぶっ、ばばば!!」
 まどろっこしいとばかりに拳を振るう度、激しく振動する敵の巨体。腹を穿ち、横っ面を叩いたところでここぞ、と掴んだ腕を肩に負い――鳳凰が、舞った。
「へっ――」
 その瞬間、赤顔大王は天と地が逆転した世界を見ただろう。続けて、地震とも紛うほどに激しく揺れる大地。
「――ふゥ」
 両手を払い、彌三八は軽く肩を回す。
「力士並みだな。だが、悪くねェ」

成功 🔵​🔵​🔴​

リュアン・シア
あらあら、随分と大きな体で暴れ回っているのね。少し落ち着いたら如何。
そこの仙人さん達もよ。ただ突っ込めばいいというものでもないでしょう。犠牲が増えても、誰も喜ばないわよ。

【生命調律:ユキヒョウ】――いい子ね、さぁいらっしゃい。皆をクールダウンさせる必要があるのよ。あなたの力でお願いね。

召喚した雪豹に乗って俊敏に駈け、まずは赤顔大王の四肢を凍結させて身動きを奪い、その隙に仙人達を奪還。
ああ、退く前に一発くらいあれに攻撃を入れてもいいわよ。凍って動けない今なら大丈夫でしょ。……喪った誰かへの供養よ。
大王様は、無理に動くと体も首も割れるわよ。まあ、動かなくても――分身体含めすべて凍っていくのだけど。



 互いに敵しか見えていない彼らの間に凛と冴える冷気が漂ったのは一瞬の出来事だった。
「――いい子ね、さぁいらっしゃい」
 この雪豹のブレスは一息で敵を氷漬けにしてしまう。柔らかな被毛に覆われた首をひと撫でし、颯爽と騎乗したリュアン・シア(哀情の代執行者・f24683)の行動は速やかだった。
「しまった……ッ」
「今さら気付いても、遅いわ」
 咄嗟に後退る赤顔大王の膝から下が見る間に透き通った氷に覆われる。
「今だ!!」
 殺気だって剣を取る仙人めがけ、雪豹がぞんざいに後ろ脚を蹴って邪魔をした。下がれ、とも待て、とも取れる行為。
「どちらさまも、少し落ち着いたら如何? 特にそこの仙人さん達、ただ突っ込めばいいというものでもないでしょう。犠牲が増えても、誰も喜ばないわよ」
「ぐッ……」
 リュアンは氷で敵を縛り、言葉で彼らを制した。
 赤顔大王は巨体を限界までたわめ、氷を砕こうと暴れる。まだまだ暴れ足りないのだとその顔が言っていた。仙人は歯軋りしてにらみ、それでも怒りを堪えて言う。
「……わかった。ここは君らに任せて引こう」
「物分かりがよくて助かるわ。でもね、あなたたちの気持ちも分かるの。だから」
 リュアンは再び戦場を駆ける。
 さらに足止めの氷を増やし、時間を稼いだ。――何の? 仙人たちは最初こそ首を傾げたがすぐにその意図を察して頷いた。
「かたじけない!」
 それは供養だ。
 喪われてしまった誰かへの、助けられなかったその人に捧ぐ渾身の一撃。さすがの赤顔大王もおおきく体をよろめかせた。リュアンは容赦なく雪豹をけしかけ、四肢のみならずその全身、その分身へと氷の支配を強めていった。
「ぬ……ッ!?」
 およしなさい、とリュアンが囁く。
「無理に動くと体も首も割れるわよ。ね、大王様? おとなしく氷漬けにされてしまいなさいな」

成功 🔵​🔵​🔴​

郭・梦琪
你好!

上から飛び出るワタシネ。
玉錘で頭の天辺狙うヨ。
邪魔!ワタシ ソッチ行きたい。
ワタシの道 塞ぐダメネ。
仙人逃げる宜し。
ワタシたち何とかするアルヨ。

ホッ!ハッ!

巨体の錘の上に乗るヨ。
ワタシ身軽 大得意!
乗ったらワタシ玉錘で頭狙う。
頭から叩き割るネ。
仙人困らせたお仕置きヨ。

アイヤー!毒池ネ!
『火焔』!
火焔、毒池任せる。
アイツ毒池遠ざける 出来る?
毒池の上、強くなるヨ。

巨体!コッチヨ!コッチで戦うネ!
ワタシ囮なるヨ。
その間に火焔がやってくれる筈。
『火焔』!今ヨ!丸焼きする宜し!
業火の炎を食らわせるネ!


司・千尋
連携、アドリブ可

見捨てるのも寝覚めが悪いし
目的は同じだし協力して倒そうぜ
後々考えると案内人がいてくれた方が助かるんだよねぇ


近接武器や投擲での攻撃も混ぜつつ
基本的には攻防に『怪誕不経』を使い
範囲攻撃や2回攻撃など手数で補う

死角や敵の攻撃の隙をついたりフェイント等を駆使
確実に当てられるように工夫
的がデカいと狙いやすくて助かるぜ
片っ端から分解してやるよ


敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
オーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
回避や迎撃する時間を稼ぐ
間に合わない時は双睛を使用
仙人達への攻撃は最優先で防ぐ

赤い毒池は『怪誕不経』で地形ごと分解する
避けるなら回避先を予測し攻撃


月白・雪音
…弱きを強きが喰らう、それは命あるモノの摂理です。
されど、それは獣の理にして、『今』を生きる命が持つべき摂理。
過去より今を侵すとあらば、此処にて討たせて頂きます。


UCを発動、怪力、グラップルによる格闘戦にて相対
敵の攻撃は残像で躱しつつ野生の勘、見切りで
動きを予測しカウンターで反撃
敵が分身で攻めてくれば怪力、グラップルで敵を掴み上げ、
そのまま振り回し範囲攻撃にて敵そのものを武器として一掃する


傷付き動けない仙人が居れば怪力にて持ち上げ残像の速度にて
攻撃の届かない場所まで運搬、礼儀作法を交えた拱手にて礼を表し

…ご無礼を。
これは貴方がたが為すべき戦と承知しておりますが、
この場は預けて頂ければ幸いです。



 赤顔大王は怒っていた。
 なぜ、彼奴等は俺の邪魔をする? 目の前にいる仙人――御馳走――のお預けを食らわされ、それこそ怒髪天を突くほどに。
 そして、誰しも怒りで我を忘れたら視野が狭くなる。ゆえに、赤顔大王は知る由もなかった。
 ――上方から現れた郭・梦琪(斯々然々・f32811)が、玉錘を携えてその脳天を狙っていることに。
「你好!」
「ぎゃふん!!」
 梦琪はくるりと回転してから着地。
 くすりと人懐こく笑い、そこをどけとばかりに玉錘をぴたりと敵の眼前に突き付けた。
「失礼、邪魔なので思わずどついてしまたアルヨ。そこは邪魔ネ。通す宜し」
「お、お、お、おのれ……!」
「おっと、俺のことも忘れないでくれよな」
 司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)が挨拶がてらに軽く手を挙げれば、数本の光槍が迸る。
「見捨てるのも寝覚めが悪いし、目的は同じだし。協力して倒そうぜ」
「異論なく」
 不意打ちの投擲に敵が怯んだ、その隙を月白・雪音(月輪氷華・f29413)は逃さなかった。
 赤顔大王が布陣しておいた分身の合間を、残像を残しつつすり抜ける。すれ違いざま、襟を、袖を掴んでは振り回して他の者に投げつける。見る間に築き上がった分身たちの山を背に、本命へ接敵。
「――ッ」
 微かな、裂帛の気合いを入れるための吐息だった。
 見切る。
 錘が振り下ろされる瞬間、残像が二重三重に雪音の所在を惑わせた。鳩尾に叩き込む拳は確かな手応えあり。
「き、き、き、効いたぞ……!」
「それは僥倖」
 雪音は構え、ひたと敵を見据えた。
「……弱きを強きが喰らう。貴方は獣ですか、それとも過去の残滓たる空蝉ですか」
「どういう意味だ、そりゃあ――」
「自覚がないようでしたら教えて差し上げましょう。貴方に、命あるモノの摂理に生きる資格などありはしないと」
「こいつッ――!」
 だが、反撃のために振り上げた錘が突然に重みを増した。
「な――?」
「ホッ!」
 錘の真上につま先立ちで飛び乗った梦琪は口の横に手を添え、仙人たちに向けて声を張り上げる。
「後はワタシたちに任せて、いまのうちに逃げる宜し!」
 千尋も頷き、彼らの元へ鳥威を差し向ける。
「後々考えると案内人がいてくれた方が助かるんだよねぇ。退路はそいつが保証してくれるんで、安心してくれよな」
「それは有難いが、なぜ助けてくれるのだ。貴公らは何者なのだ?」
 感謝と戸惑いがない交ぜになった表情の彼らだったが、雪音が怪我人を易々と担いだのを見て言葉を呑んだ。
「……ご無礼を。これは貴方がたが為すべき戦と承知しておりますが、この場は預けて頂ければ幸いです」
 雪音は安全な場所へ仙人を運び、丁寧な所作で手のひらと拳を重ね合わせた。――拱手の礼。
 我に返ったかのように、仙人たちもまた次々と礼を取った。
「こちらこそ、疑って申し訳ございませんでした。なにしろ一大事なのです。あの大王めが洞の封印を解き、宝貝を奪ってしまいました。早く取り返さねば一大事に」
 雪音はこくりと頷いた。
「由々しき事態、承知しております。これ以上の犠牲を出さぬためにも、お力添えさせて下さい」

 赤顔大王は追い詰められていた。あの男の光槍に触れると体が崩れる。女の方の武器にも頭を割られた――あとはもう、この手しかない。
 身を乗り出した梦琪が叫んだ。
「アイヤー! 毒池ネ!」
「やれやれ、往生際が悪いな」
 千尋は肩を竦め、「だが」と笑う。
「こいつは、それすらも分解する――!」
「な――」
 馬鹿な、と赤顔大王の眼が見開かれた。毒池に投げ込まれた光槍から広がる輝きがそれ以上の浸食を食い止める。
「今のうちだ」
「好!」
 焔が渦巻いた。
 顕れたのは悪魔、その名を『火焔』。
「アイツ毒池遠ざける。出来る?」
 無論、と火焔は毒池すらも己の炎に取り込み、魔力を高める。さあ、仕上げだ。梦琪は踊るように跳ね、鮮やかに目を惹いた。
「巨体! コッチヨ! コッチで戦うネ!」
「ど、どっちだ?」
 前に梦琪、後ろに千尋。優柔不断は運の尽き、だ。なにしろ梦琪に迷いはない。合図は――高らかなる宣告。
「『火焔』! 今ヨ! 丸焼きする宜し! 業火の炎を食らわせるネ!」
 まるで預言だった。
 なぜならば、赤顔大王はその言葉通りに焼け死んだのだから。獄炎の悪魔の掌中で灰も残さず燃え尽きるのを梦琪は確かに見送ったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『城塞の如き過密住宅街』

POW   :    目についた建物を総当たりで探索する

SPD   :    複雑な通路を走りながら探索する

WIZ   :    住宅街の構造を把握しながら探索する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「宝貝を持ち去った妖鳥が向かったのは、あちらの方角です」
 仙人は猟兵に礼を言い、筋斗雲という名の移動手段を貸し与えた。一見すると雲だが、乗り手の意思で自在に動く。一行はそれに乗って北東を目指していた。
 洞を襲ったオブリビオンは他にもいたのだ。それは赤顔大王に時間を稼がせ、その間に遠くへと逃げおおせていた。
「もちろん、こちらも仲間を追跡に向かわせました。さっきから連絡が途絶えているのが気になりますが――あっ」
 地平線の彼方に岩山のような影が見えた。
「あれです。外敵から住人を守るため、天然の岩山を利用した城塞都市。最後に連絡があった場所です。ここに妖鳥がいるのでしょうか……」
 だが、仙人らの顔色が変わるまでそれほどの時間を要しなかった。だんだんと近付くにつれ、城塞都市の全貌が明らかとなる。
 石を高々と積み上げた強固な外壁と何重にも守られた門構え。不自然に緑色の。正体は植物の蔓であった。
 巨大な植物の蔓や枝葉、根がそこらじゅうに絡みついている。
「遅かったか……!!」
 仙人が臍を噛む。
「あれは、宝貝『澆季末世』の能力によるもの。気をつけて下さい、あれは人を襲います!」
 仙人と猟兵は敵を攪乱するため、散開した。
 絡めとろうとする蔓を潜り抜け、花芯から放たれる礫のような弾を躱す。一行は地上に降り立ち、手近にあった蔵の影に身を隠した。
「いそいで種を破壊しましょう。それと、養分にされた住人を助けなければ……ええ、そうです。あの植物は人間を肥しにするのです。手分けした方がいいでしょうね。種を壊す者と、住人を救出するものと」
 いいですか、と仙人は神妙な顔つきで言った。
「種は『澆季末世』の花托に備わっていたものですが、現在はおおきな鐘ほどの大きさに生長しているはずです。あの植物の量からすると、数個はあるはず。地面に半分ほど埋まった状態で、それ自体は動いたり攻撃することはできません。ただし、破壊されるほどの衝撃を与えると自爆して半径200mほどが跡形もなく吹っ飛びます」
 仙人が言うには、これは『澆季末世』本体に準じる能力であるらしい。
「なにしろ、『澆季末世』なら同じ条件で半径100kmは焼野原ですからね。ははッ……これまで決して破壊できなかったわけです。それほどの爆発、私たちには被害の防ぎようがない」
 自嘲し、首を横に振る。
「いや、いまは目の前の状況を解決するほうが先決ですね。――あそこを見て下さい、植物の根に倒れた住人が絡み取られている」
 仙人は剣で根を裂き、意識を失った住人を引きずり下ろした。他にも逃げ遅れた者が多数いるはずだ。
「急いで探しましょう。必要があれば、そのまま筋斗雲をお使いください。助けた住人はこちらで引き受け、保護します。再び狙われないように結界を張りましょう。皆さんは種の破壊と救出活動のみに専念なさってください」
厳・範
なるほど、これほどならば封印になるのもわかる。
…影響の範囲が広すぎる。

わしは今、打てる手の関係上、救出の方に回る。
筋斗雲は借りたまま、人間形態での行動。
今回の動きの関係上、こちらの方が都合がいい。

【使令法:蝴蝶】にて呼び出した蝴蝶たちに住人を探させよう。
見つけたら、適宜『焦熱鎗』で根を切り裂いて救出する。
絡めとろうとしてくるならば、焦熱鎗の炎で焼いてやる。焼きすぎないようにはするが。
また、他の猟兵との情報共有も積極的に行っていこう。

焦らず、確実に…ここで年の功を活かさんで、どこで活かすというのだ。


ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

ひどい有様だ、これが宝貝の力か
今から根を焼く。目を閉じて動かないでくれ
誰か他にも逃げ遅れた人を知っているなら教えてくれ

SPDで判定
孔雀輪で【空中機動】【ダッシュ】を使いながら空を飛んで移動
【大声】で呼びかけながら【視力】【暗視】【聞き耳】で【情報収集】しつつ捜索
人がいればその人を風の【結界術】で守りながら孔雀輪の【属性攻撃】【焼却】で根を焼き切り【救助活動】を行う
その後は仙人の元へ送り、【落ち着かせ】ながら他にも逃げ遅れた人が居ないか尋ねる
どちらにしろ都市へ戻って捜索するが、大まかな場所が分かれば時間短縮になる
必要なら【怪力】、銀腕を【武器改造】で剣にして【空中戦】


月白・雪音
…権能の一端が表出したのみで都市一つを呑み込むとは、
宝貝の有する力とはかくも凄まじいものですか。

筋斗雲、踏む地面の無い場所ではこれほど適した物もありませんが…、
踏み締める地面が在るならば、私の方が速いでしょう。


こちらは住民の救出へ

事前に仙人に都市内で最も人の密集する場所を確認し最優先で向かう
UCを発動にて残像、悪路走破、ジャンプで都市を駆け抜け
野生の勘も交え迅速な住民の捜索及び植物の攻撃の回避を行い、
怪力、部位破壊にて襲ってくる植物を破壊
救出した住民は筋斗雲を呼び出し仙人の元へと運ばせる

密集地点に辿り付けば残像、怪力、限界突破にて群がる植物を一掃し、
必要であれば庇いつつ囚われた住民の救出を



街はあまりにもひどい有り様だった。ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)の眉が微かにひそまり、声が翳る。
「これが宝貝の力、か」
 舞台はそびえ立つ岩山を削り出して創られた天空の街。常時は堅牢なる鉄壁の守りを誇るはずのそれがいまや、どこもかしこも植物に覆われた廃墟と化しているではないか。
「封印になるのも当然だな。しかも、本体ではなく種子による効果のみでこれだ」
 厳・範(老當益壮・f32809)は噛み締めるように唸った。こうしている間にも植物は繁茂し続けている。
「あまり時間はなさそうだな」
「ああ、急ごう」
 範は筋斗雲、ルイスは孔雀輪を移動手段として用い、手分けして人々の救出に向かった。
 一方、地上を駆けるのは月白・雪音(月輪氷華・f29413)である。小柄な体躯を低め、獣のような俊敏さで一気に距離を稼ぐ。
『都市の中心部はどちらの方角ですか?』
『それなら南です。この街道をいけば、人々の住む宅地が密集する区画に出ます』
 さっき仙人と遣り取りしたばかりの内容を反芻する。目の前から襲いかかる蔓の類を拳で跳ね除け、付け根の部位を膝蹴りで破壊。足場の茎を蹴った反動で跳躍――長屋の屋根を越え、鮮やかに着地したと思った次の瞬間にはもう、残像を残して走り去っている。
 状況は凄まじいの一言だ。
(「止めなければ」)
 走る、跳ぶ。
(「助けなければ」)
 砕く、薙ぎ払う。
 雪音の拳武に蹂躙された植物は千切り折られた枝葉をぴくぴくと痙攣させながら地面の上を転がった。
 同じころ、街の上空に火の粉が舞い上がる。ルイスは銀腕を刃に代えて葉を薙ぎ払い、声を張り上げた。
「どこだ? いるなら返事をしてくれ!」
 耳を澄ますと、建物の影から呻き声がした。すぐさま孔雀輪を差し向け、周囲を見回す――いた。どのような闇であろうと見透かす瞳は生気を吸い取られてもがく男の姿をとらえ、揺るぎない声色が言い聞かせるように伝えた。
「目を閉じて、動かないでくれ」
「うッ……」
 素直にまぶたを伏せる男の周囲で、一瞬だけ炎が爆ぜる。孔雀輪で根を焼き払ったのだ。
「誰か他にも逃げ遅れた人を知っているか?」
「あ、ああ……あの植物があらわれた時、どこからか仙人さまが来て俺たちが逃げる時間を稼いでくれたんだ。その代わりに、仙人さまが捕まって……」
 ルイスは彼を風で守り、仙人の元へ送り届けた。もう大丈夫だと背をさすって落ち着かせ、さっき聞いたのと同じ話を繰り返してもらう。
 それを聞いた仙人は頷き、こう言った。
「宝貝の行方を追っていた者たちですね。彼等を救出し、成り行きを聞ければ宝貝本体がどうなっているかの手がかりが得られるかもしれません」
「なるほど」
 ルイスは頷き、捜索を続けるため再び都市に入る。情報の共有を受けた範は胡蝶の群れを解き放った。それは範の命に従いし、索敵や情報収集に特化した指令の一種である。
「焦りは禁物……救出漏れのないように、隅から隅まで頼むぞ」
 美しい鱗粉の小蝶がひらひらと空を翔けるのを霞む視界に見た住人が、恍惚の吐息を漏らした。
「ああ……胡蝶……。ということは、ここは天上か……俺は死んだのか……?」
「いいえ、ここは筋斗雲の上です」
 絡みつく根を引きちぎり、彼を助け出したばかりの雪音は大真面目な顔で言った。
「いま、仙人の元へ飛ばします。動かないでくださいね」
 軽く手で押しやるだけで住人を送り届けてくれる賢い雲を見送り、次、と身を翻す。
「そこを通せ」
 ルイスは空中を疾走したまま、行く手を阻む交差した植物の枝を斬り落とす。視界が開くと同時に迸る焦熱鎗の炎。範が携えた鎗を八の字を描くように振り回すと、火焔の軌跡が根を燃やし尽くした。
「さあ、こちらへ」
 まだ自由が利かないのか、よろめく住人に手を貸して仙人の元まで送り届けた。しかし、未だ植物に襲われたという仙人は見当たらない。
「どこだ……?」
 範は鋭い目を光らせる。
 いったい、彼等はどこに囚われている?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

郭・梦琪
筋斗雲借りるヨ!ワタシ筋斗雲で住人助ける。
高い所危ない。筋斗雲で高い所探すネ。
筋斗雲楽しヨ。ワタシ好きアル。
こうやって乗ってバランスを保つネ。
筋斗雲!上からヒト探すヨ!

見つけたら近寄るネ。ワタシ力持ち。
大きヒトも抱えるアル。一人ずつ見つける時間かかるヨ。
二人までならだいじょぶ?あっちもヒト居る!
逃げ遅れたヒト他にいるカ?大声出して探すネ。
他にもヒトいたら飛んで行くヨ!
だいじょぶ?怪我してるアルネ。ワタシ抱える!

助けたら見回りするヨ。筋斗雲楽し!
他にヒトいるカ?!いたら返事する宜し!
筋斗雲も見つけたらワタシ教えるよろしヨ。



「見つけたアル!」
 ――城塞都市上空。すぐさま筋斗雲の扱い方を心得た郭・梦琪(斯々然々・f32811)は急降下と同時に植物に捕らわれていた人を助け出し、軽々と自分の肩に担ぎ上げた。
「す、すまない……」
「どうってことないネ!」
 梦琪は反対側の肩にふたりめを担ぎ、仙人が用意した結界の中まで彼等を送り届ける。
「どうですか、筋斗雲の調子は?」
「楽しヨ。ワタシ好きアル」
 ふわふわした雲の上でバランスをとるのは難しいはずなのだが、梦琪はいとも容易くそれを操り、声を張り上げた。
「誰かいるなら返事する宜し! 今助けに行くネ!」
 耳を澄ますと、微かな声が聞こえる。
「こっち……こっちだ……!」
 その時、筋斗雲が何かに引っ張られるように向きを変えた。――いた。胸から血を流して倒れている。
「だいじょぶ? ひどい怪我ネ。ん?」
 彼を抱え上げようとした梦琪はあることに気が付いた。さっきの住人とは出で立ちがまるで違う。むしろ同行している仙人らと同じような道士服姿であった。
「もしかして、仙人の仲間アルか?」
「あ、ああ……宝貝を持ち逃げた妖鳥を追っていたのだが、追跡に気付かれてこの有り様だ……巻き込んでしまった住人には申し訳ない……」
「謝るのは後ネ。すぐに仙人のところへ――」
「いや、それよりも宝貝を取り戻してくれ……!」
 仙人は梦琪の手を掴み、懇願するように告げた。
「連中は街の北にある石門で羽を休めている。飛び立ってしまう前に、あの宝貝を取り戻すか、さもなくば――」
 ぎゅっと梦琪の手に力がこもる。
「さもなくば?」
「破壊してくれ。もう二度と、こんな事態が引き起こされないように――!」

成功 🔵​🔵​🔴​

菱川・彌三八
壊せと云ったり壊せば爆ぜると云ったり、てんで滅茶苦茶じゃねえか
で?結局叩くなってェ事で善いのかい
如何にも要領を得ねェ…が、一つ試してみようか
なに、上手く行かずともちいと其処らが更地になるだけよ

蔦は千切り乍ら進む
道中千人がいりゃあ引っ張り出すかね
にしても、地に半ば迄埋まってるなんてなァ見つけにくくて敵わねえ
蔦の奥を目指しゃあ其の奥にありはしねえものか…

見つけたら一先ず辺りを見て、捕まった奴がいねえか確かめる
念の為な
したが、種に菊文様を重ねよう
此奴ァ俺の持ち手ン中でも一等静かでよ、毒みてえな物サ
ちいと持て余していたが、動かすも叩くも儘ならねえってンならお誂え向きだろう
じわりと枯れて往くが良い


司・千尋
連携、アドリブ可

自爆で半径200m吹っ飛ぶとか
恐ろしい種だな


種の破壊をしてみよう
俺はヤドリガミだから最悪の事態になっても本体が無事なら大丈夫だし…

筋斗雲を借りて空から探す
おおきな鐘サイズなら見逃す事はないだろ


種を見つけたら結界術と細かく分割した鳥威を複数展開し囲う
オーラ防御を鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
耐えきれない時は双睛を使用
近くに仙人や住人がいたら避難してもらう

準備が出来たら囲いの内側で『子虚烏有』を使う
範囲攻撃や2回攻撃など手数を増やし
半数で種を攻撃し一気に消失させ
残りで自爆の衝撃を消失させて防ぐ

種を消失させれば自爆しないなら楽なんだけどなぁ
他に破壊担当がいるなら防御に専念


あと何個だ?



「壊せと云ったり壊せば爆ぜると云ったり、てんで滅茶苦茶じゃねえか。一体全体どういうこったよ」
 頭をかいて睨み据える菱川・彌三八(彌栄・f12195)に、仙人はやはり曖昧な答えを返した。
「“壊せば爆ぜる”のです。つまり、周囲に被害が出ないように結界のようなものを敷くか、あるいは“壊さないように壊す”という手もあるでしょう」
「待った、如何にも要領を得ねぇ……」
 前者は分かる。
 だが、後者の意味は何だ?
 彌三八は僅かに考え込んだ後、腹を決めたような顔で言った。
「上手く行くかどうかはわからねェが、まァ、やってみるか。下手を打とうがちいと其処らが更地になるだけよ」
「俺も、最悪の事態になっても本体が無事なら問題ないからな。そっちに回るとしよう」
 司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)は筋斗雲を借りて空から、彌三八は蔓やら蔦やらを千切っては投げを繰り返しながら大地を駆けた。
「そらよ」
「あ、ありがとう」
 道中助けた住人は仙人に任せ、蔦の奥を目指して進む。
「あれか?」
 筋斗雲を地面すれすれに降ろした千尋は黒々とした種の前に歩み出ると、微かに唸った。
「これが種、か……話に聞いていた通りにでかいな」
 まずは結界を敷き、それからいつも防御に使っている鳥威を周囲に展開して囲い込む。
 更に、気膜で包み込めば即席の覆いが完成だ。
「念のため、な」
 双睛を掲げ、近くに誰もいないことを確かめる。あとは簡単だ。種を敵に見立て、まずは光剣の半分を差し向ける。
 一瞬の出来事だった。
 種は斬り裂かれた瞬間、爆発を生む。光剣は斬り裂いた瞬間、対象を消失させる。消失と同時に起こった爆発を残る光剣が消し去った。
「……ふう」
 千尋は胸を撫でおろした。やはり、物理的に“斬った”時点で爆発が起こるのは避けられないようだ。
「ということは、少しでもタイミングを間違えたらやばいってことだ。あと何個あるかは知らないが、なんとかしてみせるさ」
 同じころ、種を見つけた彌三八は周囲を見回してから「よし」と頷いていた。武器はそう、この筆である。
 墨が描く万呪の菊紋様。典雅なる筆致とは裏腹にこいつは執念深く、気付かれないように静かにゆっくりと毒で侵す。
 鳳凰や大浪が動なら静の技と言えるだろう。
「ちいと持て余していたが、動かすも叩くも儘ならねえってンならお誂え向きだろうサ」
 いつしか膨らんだ蕾が色づくほどにあれほど黒々と艶めいていた種に皺が寄り、ひからびてゆくのがわかる。
 やがて満開の菊花と引き換えに、種の養分を失った植物が茶色い屑と萎れて彌三八の足元に転がっていた。
「折角の植物兵器もこうなっちまったら形無しだな。待ってろ、他のもすぐに枯らしてやらァ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『死告鳥』

POW   :    死告旋翼翔
【翼を広げ、回転しながら繰り出す】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【多くの死告鳥】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    死告嵐
【翼】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    死求鳴
【人の死を求める鳴き声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:+風

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 おかしい、と死告鳥は思った。
 追っ手の仙人は澆季末世の種を使って撒いたはずである。にも関わらず、城塞都市を浸食した植物は次第に枯れ、彼女たちが身を隠している石門までの道を塞いでいた枝葉も潰えてしまった。
「何か、いる?」
 仙人ではない、何か。
 澆季末世の種を破壊できるほどの、誰か。
「敵だ」
「どんな?」
「わからない」
 ひそひそとした囀りはやがて群れ全体に伝播していった。途中で合流した者も合わせ、20羽を越える妖鳥――死告鳥が集っていた。
 彼女たちは仲間の数が多ければ多いほど、力を増す。
「どうしようか?」
「殺す」
「そうしよう」
「どうやって?」
「罠をつくる」
 石門の両脇には崖が聳え立つ。
 あそこから岩を落とせば、きっと“効く”。

 死告鳥たちは相談して自分たちの持ち場を決めた。
 崖の上から岩を落とすもの、
 生き埋めにしたところへ攻撃を仕掛けるもの、
 澆季末世が奪われないよう、守るもの。
「よし、散れ」
 不気味な鳥の鳴き声が蒼天に響いた。
厳・範
人間形態で筋斗雲に乗ったまま。
何があるかわからぬな…念のためにととっておいた策を使うやもな。

なるほど、岩を落としてくるか…!
やはりこの策を使うか。即座にUC使用、風に舞いて回避する。人間に見えておったろうが、わしは瑞獣なのでな…!

都市へ被害出さずに壊すのは得意ではないゆえ、死告鳥たちを引き付けるようにして戦うか。

この姿のとき、 焦熱鎗は馬銜になっておるから、攻撃が口から火炎放射…な形になるか?
今は重さが乗らんからな、こちらの方がいい気がする。
それに、この場に来ておる猟兵は、このくらいでは倒れんだろう、という信用がある。

※人ひとりくらいなら、乗せられたりします。動きに支障なし。


ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

よくもやってくれたな、次はこっちの番だ
そう簡単に仲間をやれるとは思えないが邪魔させてもらう

SPDで判定
崖から岩を落とす者を強襲
外套の【迷彩】や【地形の利用】で隠れながら孔雀輪の【空中浮遊】【空中軌道】を使って見つからないように敵の背後に回る【忍び足】
銀腕を【武器改造】で短刀の形にし近くの敵を【不意打ち】【暗殺】
成功すればそのまま【大声】で【挑発】し敵の狙いを引き付けて、岩を落とさせないようにする
敵の攻撃は指輪の力で張る風の【結界術】や【オーラ防御】で防ぎ
俺は銀腕を剣にして【怪力】【鎧無視攻撃】【貫通攻撃】で敵を攻撃していく
必要なら【敵を盾にする】や【救助活動】の技能も使う



「妖鳥どもが根城にしておるのはあの石門か」
 筋斗雲で風を切る厳・範(老當益壮・f32809)の鋭敏なる感覚が罠の存在を察知する。重厚な門構えの真下を通り過ぎた直後、頭上から岩が崩れ落ちたのである。
「やった!」
 快哉を上げる死告鳥はしかし、すぐに作戦の失敗を悟った。崩落する岩々を軽々と躱して天を駆け昇る黒麒麟――転変した範は彼女らを引き付けるように空を翔ける。
「はやく次を落とせ!」
「――悪いが、そうはさせない」
 ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)がいつから間近にいたのか、死告鳥は最後まで知ることはないだろう。
 外套の迷彩を解き、孔雀輪の浮力を用いてこっそりと岩場の上部まで接近したルイスは的確に敵の急所を短刀と化した銀腕で突いた。
「さあ、こい!」
 ルイスが叫び、範はさらに速度を上げる。死告鳥を誘導し、引き付けて誘い込んだのは岩山を背にした広い戦場である。
 範はルイスに鬣へ掴まるように言い、岩山に沿って直角に壁を駆け昇った。本能的に追う死告鳥たちが巻き上げる嵐を、ルイスの指輪を起点に吹き荒ぶ風が盾のように跳ね除ける。
 範は振り向きざまに大きく顎を開き、巨大な炎を吐いた。火焔は風の援護を受けてどこまでも燃え広がる。
「ああっ!」
 羽が燃える、落ちる――!
「街ではよくもやってくれたな。倍返しだ、受け取れ」
 混乱の渦に巻き込まれた死告鳥は斬り込むルイスに対応することができなかった。乱暴に掴んだ羽を引き寄せ、別の敵へぶつけるようにして迫る嵐から身を躱す。
「耳障りな鳴き声だ」
 範は澄んだ瞳を細め、敵を追い込むように進路を変えた。相手はこちらを罠に嵌める準備を整えただけで満足してしまっていたのだろう。岩で圧し潰すという作戦が失敗した今、統率など失っている。
「どうしよう?」
「これは絶対に渡さない」
 宝貝を持った死告鳥と、それを守る数匹は頷き合った。
「たとえ何匹やられても、これさえ持って逃げられればこちらの勝ち」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 岩落としの罠を喝破され、城塞都市から離れた場所まで誘い出された死告鳥は統率を欠いた動きで場当たり的な攻撃を続ける。
 一方、数羽の鳥が不審な動きを見せていた。
 戦闘に加わると思わせつつ、少しずつ先陣から離れてゆく。
 よく見ると、そのうちの一羽の胸元に蓮の花托と思しき宝貝が差し込まれているではないか。
 あれを取り戻し、できれば破壊する。
 ただし、破壊するほどの物理的なダメージを与えると同時に発動するという周囲100kmを吹き飛ばすほどの爆発を抑え込める手立てがあれば、である。
月白・雪音
…都市の人々は解放出来ました、後は宝貝を取り戻すのみ。
あの巨王とは比べるべくもない戦力ではございましょうが…、
何か策を弄している様子ですね。

UCを発動し、野生の勘にて落石を察知
残像、見切りにて落ちる岩を躱しつつ、怪力で岩を持ち上げ投擲、
上空の死告鳥を撃墜する
宝貝を保有しているものを確認すれば、残像、ジャンプ、悪路走破で追跡し
アイテム『氷柱芯』を飛ばし巻き付け、
引き寄せた後に宝具を破壊しないよう怪力、グラップルによる締め技にて仕留める

…生憎ながら私には大規模な爆発を防ぐ手立ては御座いません。
使い方を誤らねばこの世界において大きな助力ともなるであろう宝貝では在りますが…、
破壊はお任せ致します。


郭・梦琪
ワタシ頼まれたヨ!宝具破壊するネ!

死告鳥何してくる?
岩が落ちて来たらワタシ玉錘で壊す!
アイヤー。思てたよりも多いネ…!
どうするアルヨ。
ワタシ玉錘使う。玉錘使て全部薙ぎ払うヨ。

ワタシ頼まれた。頼まれたからには最後までやる。
ワタシ仕事放置しない。真面目ネ!
アイヤー。死告鳥のお客サン。
全員案内出来ないヨ。一人ずつ順番に来る宜し!

囲われないように地形利用するヨ!
協力者いるなら協力して囲われないように戦うネ!
声掛けはしっかり行うヨ。
ワタシの玉錘重い。お客サン重さに耐えれる?

絶対に耐えれないヨ!無理ヨ!
お客サン仙界の向こう案内するネ!
覚悟する宜し。



 野生の勘――月白・雪音(月輪氷華・f29413)が事前に罠の存在を察知したのは、まさにそうとしか言いようのない反射神経によるものであった。
「躱した!?」
「愚かですね、そう容易く声を上げてしまってはこちらに居場所を教えているようなもの」
 髪の一筋にすら触れること為らず。まるで岩のほうが雪音を避けているかのように見えるほどの、俊敏。岩壁に取り付き、己の数倍は重さがあろうかという巨岩を持ち上げる怪力に悲鳴が上がった。
「や、やめ――」
 鈍く、激しい激突音とともに極彩色の羽が舞い墜ちる。
「よくも!」
 だが、続けて転がした岩は郭・梦琪(斯々然々・f32811)の振り回す玉錘によって派手に砕かれた。
「この、この!」
「アイヤー、次々落ちて来るネ! デモ――」
 鋭く瞳を煌めかせ、渾身の力で握りしめた玉錘を繰り出す。
「全部薙ぎ払てみせるヨ! ワタシ頼まれたからには最後までやる。真面目ネ!」
 破砕された岩の破片が煙となって風に流れた。霞む視界の向こうから、弾丸のように鳥たちが迸る。
「みんなでいく!」
「一緒!!」
 まるで、竜巻のように旋回しながら突っ込んでくる。梦琪はとっさに岩山の狭間へと飛び込んだ。
「お客サン、ワタシが引き付けるネ」
「では、私は――」
 雪音は上空を見つめ、告げる。
「あれを取り戻しましょう」
 死告鳥は一列になって梦琪の待つ岩山の狭間へと突っ込んだ。それを迎え撃つのは、回転力をかけて勢いを増した玉錘の一撃――!!
 ふっ、と梦琪の唇から吐息が漏れた。
 気合いの乗ったとっておきだ。
 これは相手が何であろうと絶対に、耐えられない。
「無理ヨ!」
 出会い頭に一発を叩き付けられた死告鳥はどこまでも吹き飛んでゆく。それこそ仙界の彼方まで、だ。
「ぐはッ」
 次々と返り討ちにあった死告鳥のうち雪音が目をつけたのはただ一羽。残像だけをその場に残して、雪音の姿が地上から消えた。同時に放つワイヤーアンカーが敵の羽と四肢を拘束、ぐっと引き寄せて地上に叩き付ける。
「それが、澆季末世……」
「わ、渡すものか」
 死告鳥の抵抗は呆気なく雪音に抑え込まれた。
「……使い方を誤らねば、この世界において大きな助力ともなるであろう宝貝。なれど悪用されれば甚大なる被害を齎す宝貝」
 仙人たちはこれを破壊したかった。だが、破壊できなかったがゆえに封印するしかなかった。
「破壊するのが、ワタシに頼んだヒトの希望ヨ」
 宝貝を取り戻さんと必死に翻す死告鳥の背に玉錘を見舞い、梦琪が叫ぶ。
「だから破壊するネ!」
「はい」
 頷き、雪音はそれを破壊できる術を持つ猟兵たちへと、後の対処を託したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

菱川・彌三八
鳥共が其の枝を奪いに来るってェのも考えはするが…力仕事ならいっそ他に任せっちまっても好いだろう
此奴を如何にかする方がずっと難儀なんじゃねェかい

孔雀の浄化…よりゃ一遍試した菊を使うか
種よりゃ小せェとしても、力が上ってンなら俺も相応に気張らにゃなるめェ
地に描いた菊の上に枝を乗せ、平生以上に緻密に花を重ねる
屹度一度描いたくれえじゃ負けっちまうだろ
すりゃもう根競べよ
じわりと此奴が枯れる迄、俺ァ只管描くだけだ
派手な図より余程気が張らあな

他にも此奴を如何にか出来るってンなら、俺ァちいと枯らした処で替わろう
煩ェ鳥共は任しつくんな
翼がでかくなる分的もでかくなる
一際大きな菊を空に飛ばして、纏めて叩き落としちやら


司・千尋
連携、アドリブ可

やっと見つけたぜ
モノは大切に!…と言いたいが
これは破壊した方が良いんだろうな


筋斗雲で移動
攻防は基本的に『子虚烏有』を使う
死告鳥が攻撃範囲に入ったら即発動
範囲外なら位置調整
近接や投擲等の武器も使い
範囲攻撃や2回攻撃など手数で補う


死告鳥を倒したら澆季末世の破壊だな

宝貝を結界術と細かく分割した鳥威を複数展開し囲う
オーラ防御を鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
耐えきれない時は双睛を使用

準備完了後、囲いの内側で『子虚烏有』を使う
範囲攻撃や2回攻撃など手数を増やし
半数で攻撃
残りで爆発の衝撃を消失させ防ぐ

他に破壊担当がいるならお任せ




モノは使い方次第で良くも悪くもなる
コイツが悪いわけじゃない…



 菱川・彌三八(彌栄・f12195)の玄人じみた指先がすいとそれを拾い上げる。
「返せ!」
 死告鳥の羽搏きが颶風となって戦場を制圧――できなかった。仲間ごと吹き飛ばすほどの覚悟で放ったというのに、死に物狂いで三度羽を動かしたというのに。
「こちらの方が上手だったようだな」
 筋斗雲で滑り込んだ司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)の光剣がその羽搏きを無かったことにしてしまった。
「やっと見つけたんだ、むざむざと返してやるもんかよ」
 翼の次は死告鳥自身を消し去り、そのまま他の個体も巻き込むようにして虚を描く。
「ああッ」
「うぐぁ!」
 迸る光軌を背に彌三八は顎を擦る。
「此奴を壊さにゃ終わんねェ、か」
 なにしろ、難儀な代物である。
 仙人たちの手にすら余る、創生と破滅の宝貝。見た目はいまにも折れてしまいそうなほどに萎れていながらも、触れた感覚は研ぎ澄まされた刃のように鋭く厳かで。
 彌三八の筆が動いた。
 乾いた地面に鮮やかな菊の花が咲く。真上に宝貝を置き、さらに描く。緻密に、心を込めて、幾重にも――万呪の菊が生い茂る。
 ほんの僅かな黒い染みが最初は点のように、やがて波紋が広がるように大きくなった。
 彌三八は呼吸すら止め、細心の注意を払って奥行き深き図を紡ぐ。苗床にされた宝貝の花托はいまや黒ずみ、端の方から崩れ落ち始めていた。
 ふたりの言葉が被ったのは、まさにその時。
「いけそうか? なら任せ――」
「丁度いいや、後は任せ――」
 顔を見合わせ、小さく吹き出す。
「煩ェ鳥共は任しつくんな」
 千尋と場所を入れ替わるように後ろを振り返れば、あまりにも大き過ぎて的だと言わんばかりの翼が視界を覆い尽くしていた。
「大には大だ、遠慮なく受け取りな」
「ば――」
 とてつもなく巨大な文様――それこそ他の仲間ごと叩き落されてしまうほどの――直撃を受けた死告鳥は叫んだ。
「ばかな!」
 断末魔の叫びと共に極彩色の羽が散る。
「モノは大切に! ……と言いたいが、限度ってものがあるよな。悪いが、壊させてもらうぜ」
 できるだけ細かく分割して展開した鳥威の隙間を埋めるように、千尋の気を込めた結界が敷かれてゆく。
 勝負は一瞬だ。
 厳重に囲われた宝貝は光剣によって幾何学に斬られ、引き続き巻き起こす爆発もろとも虚空に消える。
「オマエが悪いわけじゃない……ただ、悪用しようとする奴らが多すぎるんだ。だから、ゴメンな」
 武装を解き、何もなくなった空間に向かって呟いた。モノは――道具は使い方次第で良くも悪くもなる。
 それが、モノの宿命であると千尋はよく知っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月10日


挿絵イラスト