3
銀河帝国攻略戦⑥~乱入! 反戦ライブ!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦争
🔒
#銀河帝国攻略戦


0




『憎しみの銀河で愛を叫ぶマシン』 by Loving Destroyer

 赫きレーザーが飛び交い 生きとし生ける者を撃つ
 堪えきれない苦しみが 星を銀河を跋扈する

 黒きマシンが吼え狂い 今滅びゆくこの世界
 許されがたき暴虐が 人をシップを破壊する!

 否(ノー)を言える者は誰だ? 愛囁く者はいるか?
 拒絶をこそ拒絶せよ! 俺はマシン、愛を叫ぶマシン

 憎悪を愛でぶちのめせ 敵が俺を愛するまで
 この愛で融かせぬ 憎しみなどないさ

 憎悪に愛をぶちかませ 敵が愛思い出すまで
 この愛が届かぬ 世界など滅べ!

●グリモアベースにて
「……今の平和的だか過激だかよう解らん歌は、数日後にスペースシップ『チバ』で開催されるライブフェスティバルに向けて、とあるバンドが作った新曲じゃ」
 ヤクモ・カンナビ(スペースノイドのサイキッカー・f00100)はかく語る。若者に人気のメタルバンド『ラヴィング・デストロイヤー』の新曲は、銀河の存亡を賭けて先日始まった『銀河帝国攻略戦』に異を唱え、人々に愛という名の帝国への恭順を促すものである、と。
「わらわとて、反戦への呼びかけは全て帝国に与する悪……などと断じるつもりは毛頭ないのじゃがの。しかし『ラヴィング・デストロイヤー』に限って申せば、実際にデビューに際し、密かに銀河帝国の協力を得ておったようじゃ……今回の新曲も、ファンらに銀河帝国を憎む者を悪と断じさせることでスペースシップ内の対立を煽りたい、帝国エージェントの意向を汲んだもので間違いなさそうじゃの」
 だが、その事実を単純にファンたちに告げただけでは、「『ラヴ・デス』の人気に嫉妬する者たちによる誹謗中傷」としか受け取られないに違いなかった。だから、ファンたちの目を覚まさせるには……。

 ライブだ!!
 猟兵たちもライブフェスティバルに飛び入り参加して、『ラヴ・デス』のファンたちすら魅了するようなライブをしてみせるのだ!

「その際、『ラヴ・デス』の新曲の歌詞に対抗するような歌詞の歌を歌うておけば、効果はより高うなるに違いあるまいて。かの歌は『銀河帝国の暴虐は、人々が銀河帝国を愛さないせいだ、だから銀河帝国を憎む者は敵だ』と歌うておる訳じゃから、逆に愛のために戦う勇気を賞賛する歌など歌うてみるのはいかがかの?」
 もしも歌が苦手であっても嘆くことはない。踊りや、ステージ上のスクリーンに映す映像の編集や、観客席でのオタ芸など……ライブを盛り上げる方法はいくらでもある。猟兵たちのライブが盛り上がれば盛り上がるほど、『ラヴ・デス』の悪意ある歌詞は翳むであろう。
 さあ、歌うのだ猟兵たちよ! 悪意ある歌には歌をぶつけて、世界を滅びから遠ざけるのだ!


あっと。
 あっと。でございます。
 本シナリオは、「戦争シナリオ」です。1フラグメントで完結し、『銀河帝国攻略戦』の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 なお、本シナリオの対応戦場は⑥となります。

 本シナリオのプレイングは、4人程度のユニットでご参加いただくと採用されやすくなるかと思います。その際、プレイングの1行目に【ユニット名】をご記載の上、なるべく同時にプレイングをご送信ください。
 リプレイ執筆は皆様がユニットを結成できるよう数日待つ予定ではございますが、その後はプレイングが失効する前にリプレイを書き始めますので、ユニットメンバー集めはお早めに!

 フラグメント内容は、POWがパフォーマンスに篭めた熱意、SPDが『ラヴ・デス』の不正に関する証拠をステージ上のスクリーンに効果的に映すネガティブ・キャンペーン、WIZが歌詞による論破、くらいに思っていただけるとよろしいかと思います。不正の証拠の入手自体は「こんなのを見つけました」スタートでかまいません。
 ライブのジャンルは特に指定いたしませんので、ポップでも演歌でも賛美歌でも何でもご自由にどうぞ……でも必ず皆様のオリジナル歌詞でお願いしますね!
49




第1章 冒険 『⑥裏切者を暴け!』

POW   :    多くの市民の集まるイベントに乗り込み、情熱的な演説等で『解放軍』参加への機運を盛り上げます。

SPD   :    銀河帝国派の政治家の事務所などを捜索し、汚職や銀河帝国との内通に関する証拠を見つけ出し、公開します。

WIZ   :    反戦集会や公開討論等に乗り込み、銀河帝国の息を受けた反戦派政治家の意見を論破します。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

彩波・いちご
活動は地元温泉街のローカルでも、私だってアイドルです!
ライブにはライブで対抗します!
※あくまでも女性アイドルとして、ミニスカ和服なステージ衣装でいきます

「確かに戦いはよくないことかもしれません」
ラヴデスの主張を頭から否定はせず、それを取り込んでこちらの主張に変えていきましょう
「だからといって従えば自分だけは安泰ですか?違います、それでは隣人が代わりに不幸になるだけ、未来に不幸を残すだけです」
「私達の未来は、私達で勝ち取るんです!」
そんな想いを込めた勇気の出る癒しの歌を歌います

歌唱だけでなく、誘惑、パフォーマンス、優しさ、コミュ力、手をつなぐ
等々使って鼓舞します
一人一人握手会してもいいですよ♪


メイスン・ドットハック
【SPD】
ま、ライブは他の者に任せておくかのー
拮抗しておる時ほど、ネガティブキャンペーンは効くものじゃて

事前にラヴ・デスの事務所に盗聴・盗撮カメラを仕込んでおく
潜入は「名前のない宝石」と忍び足で足がつかないように
ついでに事務所パソコンにハッキングをして、帝国エージェントとの繋がりの裏を取っておく(ハッキング、情報収集、鍵開け)

そうして集めた情報は、ライブで猟兵とラヴ・デスの盛り上がりが最高潮の時にスクリーン画面をハッキングして公開(ハッキング)
画面に映ったラヴ・デスの醜態、内通の証拠
拮抗している時ほど効くと思われるので、タイミングは慎重に

ライブメンバーとも打ち合わせの上で決行する


ムルヘルベル・アーキロギア
【WIZ】
なるほど、プロパガンダは戦争の常。敵も味な真似をしてくる
だがワガハイがここにいる!
そう、ついこの間UDCアースで、アイドル文化を悪用しようとする邪教徒どもを倒したワガハイがな!
そんなわけで賢者たるワガハイの学んだ知恵を活用

……したいのであるが、唄はその、ちょっと恥ずかしいというか怖いというか……
いや怖くはない! だがワガハイ唄うのはちょっと慣れておらぬ!
そんなわけで唄うであろう他の猟兵たちの歌詞を参考に、コール本を作ってきたのだ
さあオヌシら、これを読め! そしてPPPHとかロマンスとか打つのである!
ワガハイ? ワガハイは遠慮しておく、肉体労働とか賢者に似合わぬし。


アンノット・リアルハート
【POW】で判定
歌はちょっと苦手なのよね、だからライブの合間のパフォーマンスで皆の士気を上げましょう

【彼方の夢よ、失われた記憶を呼び起こしたまえ】と【コミュ力】を使ってスペースシップの人達が帝国に対して立ち上がるように語りかけます
ユーベルコードが映すのは忘れてしまった将来の夢、それを見せれば皆の心も動くはず

貴方達には望んだものがあるはずです、手に入れたい未来があるはずです。
それを得るために戦えとも、死ねとも言いません。その代わり私達を信じてください。
願いを叶える流星に誓って、私達は戦えない全ての人達の剣になります。傷付いた人が居ればこの胸を裂いて血を与えます。
だからお願い、信じて!


高柳・零
【猟兵戦隊】で参加。POW

1番手で歌います。曲調はお日様な戦隊風味です。

帝国に愛を捧げれば
銀河は昔に逆戻り
自由は力で縛られて
明日の歌さえ奪われる

正義なき力は暴力で 力無き正義は無力だ
銀河の自由と未来と平和と愛のために
帝国の暴力に立ち向かえ!

今こそバトル!帝国に否(ノー)!
銀河の民よ立ち上がれ!


最後に剣を抜いて2回攻撃でカッコ良く剣を振り回し、ポーズを決めます。

(アドリブ歓迎。アホな歌詞なので却下でも構いません)


山梨・玄信
【猟兵戦隊】で参加じゃ。
わしが歌うと「ボエー」という感じ(要は酷い音痴)になるので、前説と最後の台詞を担当するぞい。
他の人が歌ってる時は、手拍子や合いの手を入れて盛り上げ役になるのじゃ。
服装は戦隊者の制服のような衣装で合わせておくぞい。
(色はMS様にお任せします)

「みんな、盛り上がってるか!」
「ヒーローは好きか?」
「最近はバンドがヒーローソングを歌うのも当たり前の世の中じゃ。わしらの歌は熱い魂の歌。それでは行くぞい!」

「愛の本来の意味を知っておるか?愛とは『執着』なのじゃ。帝国への愛とは過去への執着。つまり未来は無い!未来の為にみんな戦うぞい!」

アドリブ歓迎じゃ。却下でも文句は言わんぞい。


ユキ・コシイ
飛び入り可と聞いて…ソロですが我慢できず駆けつけました。
私としては…聴衆と共に、ラヴィング・デストロイヤーにも思いをぶつけたい所。
自分たちを蹂躙することしか考えてない「誰か」の為に歌うのが…本当にあなた達の歌なの?
魂の音楽なの?愛はそこにあるの?
そんな思いをユーベルコードに乗せてぶつけます。

 「誰かの口から出た 偽りの言葉拾って
 振り向く過去は 後悔ばかり
 未来を決めるのは 「誰か」じゃない
 眼の前に居る「オマエ」、お前の ハートだ―!

 お前が望むロックは そこにあるのか!
 お前の愛は そいつにくれちまってもいいのか!!
 目をひんむいてよく見ろ すぐ隣にあるだろう
 お前の愛の行き先が―!」


テラ・ウィンディア
歌か!おれ歌は好きだぞ!
怖い時…恐ろしい時…歌は勇気をくれたからな!

お前らー!
この船を!現在(いま)を愛しているか!
なら…護る為に立ちあがらなければいけない時はあるぞ!
我が歌を聞け!(でもシルと合わせた紅いふりふりのアイドル衣装で顔は紅い。だが歌は本気出す!

シル(f03964)とデュエット

♪魂を燃やせ
♪心を燃やせ

明日を護る為に♪
今こそ立ちあがれ♪

我らが船に迫る不条理を
我らが船に迫る理不尽を
その怒りで焼き尽くせ♪

その愛を護る為に♪
今の愛を護る為に♪
明日の愛を護る為に♪

迫る破壊の影に抗え♪
心に勇気の炎を燃やし♪

身体に炎を宿し輝きながらシルと共に空中戦で飛んで踊り輝く笑顔で歌いぬこう

皆に勇気を宿す為


シル・ウィンディア
妹のテラ(f04499)と一緒に

ライブ…。
え、ええと、歌うんだね。
え、衣装、このふりふりなの着るの?
うぅ、ちょっと恥ずかしいけど、でも、みんなの為に頑張るっ!

衣装の色は、白と水色のふりふりのワンピース
テラとは色合い的に対比になるようにね

ということで、想いを思いっきり伝えてあげるっ!
拙い歌でも、想いをのせて…

歌う内容は
反戦を歌いながらも
帝国により抑圧される今を変える
そんな希望を唄う歌

歌いながら、【空中戦】や【残像】を交えて
動きのある感じにしていくね

アクロバティックで、でも、しっかりと想いを伝えるように…
響け、この想いっ!!


備傘・剱
【猟兵戦隊】
【POW】

…ま、なんだ、俺自身は人前に出るのは苦手なんだが…
後ろの方でサングラスかけてギター演奏をするぜ

で、遊戯守護者召喚を使って、集まってきた人達にチラシを配るぜ
煽り文句に
「銀河帝国がこれまで何をしてきた?」
「世界を変えるのは小さな自分の踏み出した大きな一歩だ!」

とか結構、過激な事を書いておこう

歌は…、ま、こっそりとだな
俺よりもビジュアル栄えする奴がいるしよ
主役は任せるぜ

絡み、アドリブ、何でも構わないぜ
好きに動かしてくれ


摩訶鉢特摩・蓮華
【猟兵戦隊】で参加するよ!
反戦ソングでスペースシップの人たちの対立を煽るだなんて意外とこすい手を使ってくるね。それだけ帝国も余裕がないってことなのかな?
どっちにしても、そんな思惑は叩き潰すから!

服装は戦隊物の制服のような衣装で合わせるね。
この日の為に用意したエレキギターを持って参戦だよ!練習もしたし、きっと大丈夫!
ギターを弾きつつ高柳零さんの歌のバックコーラスを務めるよ。

山梨玄信さんの台詞に合わせて合いの手を入れたりするね。
「ヒーロー大好きっ!」
「みんなー!蓮華たちの歌を聴いてーっ!!」

「玄信さんの言うとおり!愛する相手を間違えないで!家族や恋人、大切な人たちと築く未来の為に、ともに戦おう!」



●猟兵(ヒーロー)たちのライブ・フェスティバル
「レイディース・エーンド・ジェントルメン!」
 司会役の開会宣言が終わった頃には、『チバ・フェブラリー・ライブ・フェスティバル』の会場は早くも人で満ち満ちていた。銀河帝国との戦いという不安に加えて、かの『ラヴィング・デストロイヤー』の新作発表。さらには英雄たる猟兵たちの飛び入りまであるという噂まで広まれば、このフェスティバルに人が集まる理由など揃いすぎている。
 その会場をステージ上から見渡してみれば、一番手を任された【猟兵戦隊】の高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)、山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)、備傘・剱(絶路・f01759)、摩訶鉢特摩・蓮華(紅蓮眼・f09007)の4人にとっては、緊張の一瞬以外の何物でもなかった……特に、何を歌っても謎の破壊音波へと変化する、酷い音痴の玄信にとっては。
 が、このステージを制した者こそ、この広いスペースシップワールドの銀河を救うのであろう。
 蓮華は思う。反戦ソングでスペースシップの人たちの対立を煽るだなんて、銀河帝国にしては狡い手を使ってくるものだ、と。もしかしたら、それは帝国といえども単純な物量作戦に限界が来て、余裕がなくなった証拠なのかもしれない。
 仮にその予想が真実であれ間違いであれ、そんな未来を蓮華は許すつもりなんてない。必ずや、このライブフェスティバルに正義をもたらしてみせる……その思いは蓮華のみに限ったものじゃない。テレビウムの身ながら聖騎士を目指した零にとっても、この上なく神聖なクエストに違いない!

 そうだ……この舞台に立つのは未来のヒーローなのだ。ならばその責務を負った者として、皆、身も心もヒーローになりきってみせようじゃないか。
「みんな、盛り上がってるか!」
「「「YEAAAAAAAAAH!!!」」」
 ステージ中央を照らすスポットライトの中、玄信が皆に訊いたなら、大きな歓声と声援が猟兵戦隊の面々へと返ってきた。
 ……よし。頷き、さらに問いかける玄信。
「ヒーローは好きか?」
「「「ヒーロー、大好きーーーっ!!!」」」
 蓮華が答えた台詞に合わせて、観客たちも同じ言葉を返す。ならば玄信はもう一度頷いて、それから拳を顔の前に掲げてみせる。同時に……零と蓮華も同じポーズを決める!
 その後方、ライトの照らさぬ暗闇の中で、剱のベースが重厚な音を轟かせはじめた。黒いジャケットを身に纏い、サングラスをかけた色黒のベーシストの男は、まるで背景と同化した黒子。まあ……あまり人前で目立ちたくない剱にとっては、それくらい控えめなくらいで丁度いい。今日の主役は手前の3人に譲って、剱はただ自らの責務を全うするだけだ。けれどもベースが彩る重低音までは冷めてない……体の奥底から突き上げるかのように、人々の期待感を膨らませてゆく!
 激しく奏でられてゆくイントロが、ついに最高潮に達した瞬間に、スポットライト内の3人は体を覆っていたマントを投げ捨ててみせた。マントの下からは零が赤、玄信が黒、蓮華はピンクのコスチューム。勇ましい曲調と併せれば、誰もがすぐに解っただろう……この曲はヒーロー戦隊番組のオープニングで、3人はたった今変身してみせたのだ。すなわち……彼らが歌うのは、新たなヒーローの到来を告げる曲!
「みんなー! 蓮華たちの歌を聴いてーっ!!」

 帝国に愛を 捧げれば
 銀河は昔に 逆戻り
 自由は力で 縛られて
 明日の歌さえ 奪われる

 蓮華のエレキギターが力強い主旋律を生み出しはじめ、零の歌声を彩ってゆく。さらに、その上に音を重ねるように、蓮華は演奏しながらマイクに齧りつく。
 高音のバックコーラスが加わって、明るく輝くステージ全体。歌に合わせて玄信が手拍子を要求すれば、リズミカルな音が返り来る。
 盛り上がれ、もっと盛り上がれ! 応援の声が届くほど、ヒーローは力を奮えるものだ。

 正義なき力は暴力で 力無き正義は無力だ
 銀河の自由と未来と 平和と愛のために
 帝国の暴力に 立ち向かえ!

 今こそバトル! 帝国に否(ノー)!
 銀河の民よ 立ち上がれ!

 最後のフレーズとともに抜かれた零の剣が、激しく空を刻んでみせた。そのままポーズを決めてみせれば、大きな拍手が会場を包む。
「愛の本来の意味を知っておるか? 愛とは『執着』なのじゃ。帝国への愛とは過去への執着。つまり未来は無い! 未来の為にみんな戦うぞい!」
「玄信さんの言うとおり! 愛する相手を間違えないで! 家族や恋人、大切な人たちと築く未来の為に、ともに戦おう!」
 最後に呼びかけた玄信と蓮華の言葉と同時、一度は止みかけた拍手が再び大きくなった。その裏に、ライブ前に剱が召喚した妖怪に配らせたビラ――中には『ラヴ・デス』の主張に異議を唱える「銀河帝国がこれまで何をしてきた?」「世界を変えるのは小さな自分の踏み出した大きな一歩だ!」などの煽り文句がちりばめられていた――の影響もあったであろうことは、おそらく間違いがないだろう。
 このままなら、聴衆の心を掴んでしまえる……そんな確信に包まれながら、3人は次のペアへとバトンを渡すのだ……。

 ちなみに剱の妖怪が、どうしても1枚だけビラを受け取って貰えぬまま帰ってきた、というのは余談である。

●アイドルライブに恥はない
 そんな彼らの次に登場したのは……紅いふりふりのアイドル衣装に身を包んで胸を張りつつやってくるテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)と、白と水色の衣装に身を包んで恥ずかしそうにスカートを抑えながら歩くシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)だった。そんな対照的な2人の様子に、特に男性客たちは大盛り上がりの様子。
(「こんなふりふりな服で踊りながら歌うだなんて……」)
 顔を真っ赤にするシルがちらりとテラの顔を覗いたならば、熱い照明のせいかやはり恥じらいのせいか、双子の妹の顔も少しばかり紅潮して見えた。
 が……テラは堂々と前を向き、聴衆たちに呼びかける。
「お前らー! この船を! 現在(いま)を愛しているかー!?」
「「「おおおーーー!!!」」」
「なら……護る為に立ちあがらなければいけない時はあるぞー!」
「「「おおおーーー!!!」」」
「ならば……我が歌を聞けー! 怖い時……恐ろしい時……歌は勇気をくれるんだからな!」

 そんな妹の言葉に自分も勇気をもらい、シルも思いっきり深呼吸をする。
 想うのはこの船の人々のこと。そしてこの銀河の人々のこと。そうすれば……もうステージ衣装の恥ずかしさも、自分の歌が拙いのではないかという不安も消えて、ただ自分たちの歌に乗せ、帝国により抑圧される今を乗り越えた先――戦いのない未来への希望を届けようという想いだけが手許に残る。

 ♪魂を燃やせ
 ♪心を燃やせ

 明日を護る為に♪
 今こそ立ちあがれ♪

 我らが船に迫る 不条理を
 我らが船に迫る 理不尽を
 その怒りで 焼き尽くせ♪

 その愛を 護る為に♪
 今の愛を 護る為に♪
 明日の愛を 護る為に♪

 迫る破壊の 影に抗え♪
 心に勇気の 炎を燃やし♪

 実際に自らの体に魔力を宿し、炎を燃やして宙を舞うテラ。シルの体もその魔力に触れて浮かび上がって、幻想的な宇宙戦闘のようなダンスをしてみせる。
(「歌よりもアクロバットのほうに注目させすぎちゃってないかな?」)
 眼下で魅入られたかのように立ち竦む聴衆たちを見下ろして、ふとそんな不安に駆られたシルだったけれども……観客たちの中の誰かが、そんな彼女に気付いた様子を見せた。
(「安心するがよい。賢者たるワガハイが、観客の皆に、歌詞を絶対に忘れられないライブを味わわせてみせようとも」)
 そんなアイコンタクトを返してみせたムルヘルベル・アーキロギア(宝石賢者・f09868)の片眼鏡には、力押しのみならず芸術を利用したプロパガンダなどという味な真似までしてくる敵に対する興味と、しかしその程度で勝ったと思われては困るという自信の光が宿っていた。
(「そう……ワガハイがここにいる! ついこの間UDCアースにて、アイドル文化を悪用しようとする邪教徒どもを倒したワガハイがな!」)
 でも、そこまで自信があるのになんで自分が歌って対抗しようとしてないのかって言うと、まあつまりその、歌うのはちょっと恥ずかしいというか怖いというか……。
(「いや怖くはない! ワガハイ唄うのはちょっと慣れておらぬだけじゃ!」)

 ……そんなわけでムルヘルベルの聴衆たちへのレクチャーがスタートだ。懐から取り出したコール本には、どこで調べてきたのか猟兵たちの歌詞が全て記されておりに対するケミカルライトの振り方や、手拍子のタイミングなどが事細かに書き込まれている。
「今である! パン、パパン、『ヒュゥ』!」
「左手伸ばす! 右伸ばす! も一度左でハイ、ハイ、ハイ!」
 鬼共感のレクチャーの甲斐あって、聴衆たちは歌詞とリズムを魂に刻みこんでいっている。それに……テラの輝く笑顔。
 もう、シルは余計なことで迷わなかった。そのまま歌と踊りを終えると、姉妹仲良く、小刻みに振られるケミカルライトに見送られてステージを後にする……。

●Loving Destroyer
 が……そんな猟兵たちのパフォーマンスを、快く思わない者たちがいた。
「どうします? リーダー」
「どうもこうもあるかよ。俺たちは銀河の天辺を取らなくちゃいけねぇんだ」
 ステージ袖で密かに囁き合うのは『ラヴ・デス』のメンバーたち。
「そのためにはこんなちっぽけな船で野垂れ死んで堪るか。たとえ歌詞を帝国にくれてやったからって、俺らの曲や演奏がホンモノなのには変わりねぇだろ」
 彼らは鼻白む。猟兵などと言っても音楽は素人のはずだ。ならば……ここで“本物のサウンド”を見せてやろうじゃないか。
 何事にも『ラヴィング・デストロイヤー』は畏れない……そんな彼らのパフォーマンスは今、猟兵たちへと牙を剥く!

 圧倒的な爆音が、一瞬にして辺りを支配した。爆発的なグルーヴ感が押し寄せて、時代はまさに疾風怒濤。
 キーボードが、ベースが、ドラムが、ヴォーカルが、『愛』の一択を突きつける……愛し合うことを忘れた現代社会に、彼らは反旗を翻すのだ!
「「「ラヴ! デス!! ラヴ! デス!!」」」
 絶叫にも似た観衆のコール。『ラヴ・デス』の謳う過激な愛は、若く鋭い情動を鷲掴む。

 ――この愛が届かぬ 世界など滅べ!
 滅べ! 滅べ!! 滅ぼしてやるゥゥッ!!!

 一時は支配的だったはずの反帝国の機運が、瞬く間に『ラヴ・デス』色に染まっていった。
 その色は、聴衆全てを変えてしまったのか? それともただ、彼らの表面を塗り潰しただけなのか――?

●世界の片隅より祈る
 そして、彼らの最後の音が残響へと変わり、それも静まり返った観客たちの間に消えていった時。
 ……暗転したままのステージの中に、不意にひとつの声が響き渡った。
「確かに、戦いはよくないことかもしれません……」
 『ラヴ・デス』の主題を否定はせぬものの、しかし含みのある言い方をする声だ。余韻に浸る暇を奪われて、ライブの観客たちがざわめき始める。
 ステージの片隅にスポットライトが当たった。ミニスカ和服風ステージ衣装の裾を摘まんで、ゆっくりと一礼したところから顔を上げた彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)の新曲は……自分たちの未来は自分たちで勝ち取れと説く和風アイドルポップ。

 従えば、自分だけは安泰ですか?
 違います、それでは隣人が……未来の誰かが代わりに不幸になるだけ。

 彼女は歌った。
 だから、戦おう。傷つくことを恐れなくてもいい……傷ついても温泉が癒してくれるから、と。
 すると観客たちの空気が変わる。歌詞の中に現れる『龍神温泉郷』の名を知らずとも、人々はいちごの歌声の中に理想の温泉郷と、『ラヴ・デス』が反戦のために説いたはずの愛の正体を幻視して、しばしの間、帝国軍と戦う恐怖を忘れてしまうのだ……。

 ……なおこれまた余談だが、ライブの後に開催された握手会においていちごに手を握られ戦う意志を確かにした者たちのうち、何人がいちごが少女ではなく少年だと気付いたかは定かではない。

●熱狂と絶叫
 もはやライブフェスティバルはアーティストらによる競演場というよりも、『ラヴ・デス』と彼らに影響されたアーティストらによる反戦ライブと、猟兵たちを筆頭とする銀河帝国打倒ライブの決戦場と化していた。
「「「ラヴ! デス!! ラヴ! デス!!!」」」
「「「イェー! ガー!! イェー! ガー!!!」」」
 それらのコールは会場を二分こそしているものの、何も憎しみあっているわけじゃない。互いに互いの実力を認め合い、その上でそれぞれの『好き』を貫いてこそのこのコール。この人々の魂のシャウトを鎮めるためには……為すべきことはただ1つ。

 再び光量を落としはじめた照明に気がついて、聴衆はアンコールライブの訪れを知った。続いて辺りに満ちていたフェスティバルのテーマBGMが音量を下げてゆき……それにつられるように人々もしんと静まり返ってゆく。
「貴方たちには、望んだものがあるはずです……」
 静けさの中に囁かれはじめた少女のナレーションに、観客たちはじっと固唾を呑んで、あるいは隣の者らと何やら小声でひそめき合った。
「……手に入れたい未来があるはずです」
 ナレーション――アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)の声はただ祈る。
 子供から大人になってゆくにつれ失ってしまった、将来の夢。銀河帝国を恐れて閉ざしてしまった、未来への希望。
 きっと、小さな頃には皆が褒めそやしたはずだ。それを……思い出せ。そして、取り戻してみよう。
 アンノットが言葉を紡ぐ度、人々の目の前にはかつての記憶の幻が浮かんだ。それらを大切に思うなら……選ぶべきものは何なのか?
「それを得るために戦えとも、死ねとも言いません」
 幻に包まれた人々に呼びかけるアンノット。ただお願い、信じてくださいと。
 願いを叶える流星に誓う。剣が必要な者がいるなら剣になろう、傷ついた者がいるならこの胸を裂いてでも血を与えよう……と!

 歓声が上がる。もはや、誰も信念が届くことを疑ってはいない。愛を貫き世界を変えることもまた尊いのであれば、希望を貫き世界を変えることもまた尊い。ただ……手段という些細なことが異なるだけにすぎない!
「F*ck、糞ったれどもめ。俺たちの愛でてめぇらをぶち転がしてやる」
 唐突に始まった『ラヴ・デス』のアンコール。飛び散る汗、喉を枯らすシャウト。『ラヴ・デス』が愛を叫ぶ度に聴衆は、どちらも尊いのであれば、まずは愛を信じてみようじゃないかという気分になってくる。
 スクリーンに映るのはマイクに齧りつくように歌うヴォーカル。それから激しく掻き鳴らされてゆくベース。鍵盤の上でキーボーディストの指が踊って、力の限りスティックを叩きつけられたドラムセットのシンバルが跳ねる。これまでライブ対決で盛り上がってきた気分と相まって、熱狂は今こそ最高潮!
「「「キャーーーーーー!!!」」」
 女性客たちの悲鳴が辺りに響いた。会場のあちこちで失神者が続出し、辺りを混乱の渦へと巻き込んでゆく。
 それは『ラヴ・デス』のパフォーマンスが限界を突破して、遥かな高みに昇った証拠だろうか……?

 ……そうではない。
 聴衆の表情をよく見れば、すっかり青ざめて恐怖に彩られていた。何が起きたのか……スクリーンに背を向けて演奏を続ける『ラヴ・デス』には解らない。ただ……観客たちの恐怖が次第に怒りに変わり、その一部がステージ上まで詰め寄りはじめたことで、何か恐ろしい想定外が起こったのだと知るだけだ。
「おい……プロモーションにしては不謹慎が過ぎるぞ!」
「不謹慎だと? 何の話だ……はっ!?」
 怒鳴り込んできた観客にマイクを奪われて、もはやライブを続けることもままならずに演奏の手を止めた『ラヴ・デス』のメンバーたち。異変の元は……スクリーンなのか? そこに映った映像が暴動の原因だと気付き、ようやく振り返って見たならば、そこに映るのは決して存在してはならない証拠!
「『新作を歌えば帝国の攻撃前の脱出を手配する』って契約書は何だよ!?」
「契約書の帝国エンブレムは本物だったわ……あれって、何しても帝国は攻撃してくるって知ってあんな歌を歌ってたってこと!?」

 大騒ぎになっている会場内をウェブカメラ越しに存分に眺め終えると、メイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)は独り自室で電脳ゴーグルを外した。
 もう、これ以上彼女が何かする必要はない。以降は彼女が会場のコンピューターに仕込んだプログラムが勝手に働いて、まだまだある『ラヴ・デス』の帝国との繋がりの証拠を、次々に映し出してくれるだろう……働いたぶん、しばらく引きこもって英気を養わないと。

●愛の彼方に
 混迷は拡大の一歩を辿り、『ラヴ・デス』はほうぼうの体でステージを追われはじめた。けれどもそんな彼らとて……きっと、最初から帝国の尖兵になるつもりなどはなかったのではいなか?
 そう思うからユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)は演者を失ったステージに上り、すぅと大きく息を吸う。

 誰かの口から出た 偽りの言葉拾って
 振り向く過去は 後悔ばかり

 紡ぎ出した、繊細ながらもよく通る声に、怒りの渦中にあった人々さえもが手を止めた。思わず振り返ってユキを見たなら、少女にすぎない見た目とは裏腹に、会場じゅうに染み渡るかのごとき力強き音色。

 未来を決めるのは 「誰か」じゃない
 眼の前に居る「オマエ」、お前の ハートだー!

 歌が進むたび音色は激しくなってゆく。お前にとって歌とは何か。『ラヴ・デス』こそ自分の愛と歌を思い出せと説いて。

 お前が望むロックは そこにあるのか!
 お前の愛は そいつにくれちまってもいいのか!!
 目をひんむいてよく見ろ すぐ隣にあるだろう
 お前の愛の行き先がー!

「リーダー……俺たち、やっぱり間違ってたんじゃないのか……?」
「お前の言うとおりだ……。お前らまで巻きこんじまって済まねぇな……今ほど派手な舞台にゃ立てなかったかもしれねぇが、帝国なんかに魂を売らなくたって、俺たちは俺たちの歌で勝負すれば良かったんだ」
 膝を突いてうずくまる『ラヴ・デス』のメンバーたちの姿こそ、この戦いの終焉を告げる光景だった。憔悴しきり、泣きながら笑う彼らの未来は、決して楽なものではないに違いあるまいが……どういうわけか彼らの表情の中には、ある種憑き物が取れたかのような清々しさを見て取ることができるだろう。
 それもそのはず、『ラヴ・デス』を麻薬のように呪縛していた帝国の存在は、今や彼らの心の中からも融け去ったのだ。

 ライブフェスティバルの観客たちを『ラヴ・デス』から救い、そして当の『ラヴ・デス』自身をも帝国の魔の手から救った猟兵たち。
 彼らへの賞賛と、さらなるアンコールライブを求める声は、『チバ・フェブラリー・ライブ・フェスティバル』の閉幕の時間になっても、決して止みはしなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日


挿絵イラスト